2007年8月25日掲載


地理学科で学んだフィールド調査が今授業に

 
公文国際学園中・高等部教諭
文学部地理学科1999年卒
都立小川高校出身

中村 洋介さん
 

私が教職に就いたのは大学院地理学専攻在籍中で、教育に携わって7年目になります。現在は、横浜市戸塚区にある公文国際学園中・高等部で、主に中学の社会科を担当しています。授業は、中学1・2年生の地理のほかに、高校1年生の現代社会と高校3年生の地理を受け持っていますが、年によっては中学公民を持つこともあります。勤務先では、ときに教員同士で授業を見学しあい、話し合う場があるのが良いところです。

 

授業は、できる限り地図に作業をさせて、生徒自身が考えて気づかせるように心がけています。作業では座席を移動自由にして、生徒同士であれこれ議論ができるようにしています。授業のほか、年に2回、地理の先輩教員と一緒に生徒を集めて地理巡検を実施しています。昨年は1泊2日で新潟県中越地方の米農家を訪問しました。教科以外では生徒会指導などを担当しています。生徒会執行部とのミーティング、リーダー研修会の企画、代議委員会や委員長が集まる会議の指導などです。案外多いのが学年の仕事です。年に3回の学年行事(遠足など)や修学旅行などの校外行事の提案に関わることもあります。校外行事では大学の「調査法」や「巡検」で学んだことが生かせます。最近は、中1の鎌倉への遠足で外国人に英語でインタビュー(聞き取り)をし、鎌倉の魅力を探る企画を提案しました。初めて通じた英語に夢中になる生徒もいて、聞き取り調査にはまってしまった生徒もいました。部活動では、フィールドサイエンス同好会という、登山をしながら山の自然や文化を調べる部活動を立ち上げ、放課後と休日に活動しています。

学校の業務はいろいろとあり、仕事の中で授業の構想や準備にかける時間は十分に取れませんが、ここで発揮できるのが大学・大学院で得た経験です。一から勉強するとなるととても大変ですが、「この資料はここにある」「これを用意すれば生徒の理解が早まるだろう」など、限られた時間の中で授業案を練っています。そのためには、自然地理・人文地理・国内・海外と幅広い視野が必要だと思います。駒澤大学地理学科と大学院を通して得られた経験と知識をフルに活用しています。

大学4年と大学院では、モンスーンアジアの研究が専門の佐藤先生のゼミに属していました。佐藤先生にタイの山村調査に同行させていただいたことなどは貴重な経験となりました。駒澤大学地理学科の良いところは、第1研究館の5Fの研究室を訪ねると、必ずどなたか先生がいて、気軽に話ができることころです。長沼先生を訪ねると、研究のアドバイスをくださり、橋詰先生を訪ねると、夜遅くまで話に付き合っていただきました。小田先生の歴史地理の授業を聴講させていただいたこともあります。大学生活4年間の夏休みも貴重な時間となりました。夏休みを利用してオートバイで日本を縦断したときに撮影した写真は、よく授業で使っていますし、そのときの面白いエピソードを授業の合間にすると、生徒たちは喜んで聞いてくれます。

 

大学院では、院生同士で、院生室で夜遅くまで議論をし、論集『地理学研究』の編集や年度末に巡検を企画したことなど良い経験になっています。学問としての地理はもちろんのこと、駒澤大学地理学科・大学院を通じて得られたことは、今の仕事のひとつひとつに生きています。

教員になり、駒大地理学科・大学院で学んで良かったと思うことは、学生時代にフィールドに多く出られたことです。授業での話は、聞いたあるいは読んだ話よりも、現場での体験を伝えるほうが臨場感が出ます。地理学科には、このフィールド調査のための授業である「地域調査入門」や「調査法」といった科目がたくさん開講され、選択肢が多いことが最大の学科の魅力です。とくに、将来教員を目指すという目標を持っている人は是非、駒大地理学科そして大学院地理学専攻で学んでみてください。

 

 
社会科地理歴史巡検で伊那谷から勝沼へ(2007年8月3日)

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