2013年6月27日掲載


教壇に立ちながらの大学院生

獨協埼玉中学高等学校教諭
 林 靖子 さん

文学部地理学科2005年卒
2009年大学院地理学専攻修士課程入学  
2011年同課程修了

再び駒澤へ
 教員3年目を迎えた頃だったでしょうか,一通り教員としての仕事を覚え,様々な仕事を任されるようになった時,急に地理を教えることが不安になりました。地理は好きでしたが,学部生の時は自分の興味関心のままに授業を受け,卒業論文を書きました。そこで,教える立場としてもう一度地理学を学びたい,そのような思いから,再び駒澤大学の門を叩きました。

二足のわらじ
 大学院で学びたいと思ったものの,教職現場を離れる勇気のなかった私は,覚悟の上,二足のわらじを履くことを選択しました。現在の勤務校ではないのですが,当時の職場と大学院の先生方のご理解・ご協力があって通うことができました。週16コマ中高生に地理を教え,研究日や仕事帰りに大学院の授業を受け,夕方から夜は研究室で課題や研究を進めるという日々でした。今思えば,よくやったなと自分でも思いますが,その時は学ぶことが楽しく,充実した二年間でした。

駒澤で学ぶ意義・魅力
 大学院進学を考えた際,他大学の大学院受験も考えましたが,再び駒澤を選びました。大学院は大学受験と異なり,何よりも自分の研究したい分野の専門の先生がいらっしゃるかどうかが大切です。大学の名前,偏差値よりも,どのような研究をし,論文を書くかが重要になります。
 駒澤の大学院は,地理学を学ぶ環境が整っていました。卒業生であるということだけではなく,当時の専任の先生方は13人と,国公立,私立大学を合わせて比べても日本有数のスタッフの多さです。自然地理学から人文地理学まで,あらゆる分野の先生方がいらっしゃり,自分の関心のある分野を深く学べるだけでなく,地理の教員として地理学全般を学び直すには大変よい環境でした。

充実した講義
 私は人文地理学を専攻し,中国山地の中小都市をフィールドに,農村地理や商業地理などの視点で修士論文を書きました。大学院の講義は,人文地理学の他,自然地理学の水文学や気候学,地図学,ヨーロッパ地誌やアジア地誌など多岐にわたりました。もちろん,学部生の時に,地理学の授業は一通り履修していましたが,先生の研究室で受けた少人数での講義は,毎回密度の濃いもので,私の興味関心をくすぐるものでした。教員同士という,ある意味同じ立場からも,中高生を教える日々の仕事に直結するアドバイスを沢山いただきました。

歴史と伝統のある駒澤大学大学院の地理
 駒澤大学大学院の地理には長い歴史と伝統があります。『地理学研究』という大学院が発行する論集は40年以上の歴史があり,院生が卒業論文を元にした論文や修士論文を投稿しています。紫竹学林会というOB会も毎年開催され,多くのOBの方と交流を持つこともできます。談話会や講演会という形で,学内外問わず多方面で活躍されている方々のお話を聞く機会も多いです。自分の研究以外にも,こうした行事等のサポートも院生の大事な仕事で,学部生の時とはまた違った形で大学や先生,OB,各界の方々と関わりが持てたことは有意義でした。
 地理に関する書籍や地図等が充実していることは,いうまでもありません。大学院生になると,大学の図書館の書庫に入って古い文献を実際に手にすることもできます。自習室のPCとは別に,IllustratorやArcGISといった研究に必要なソフトが自由に使える院生用のPCも完備されています。

これからも地理の教員として
 教員の仕事というのは,主に4つから成ると思っています。それは,教科指導,分掌(生徒指導,進路指導,教務,入試広報など),学級経営と部活動指導です。これらをバランスよくこなすことができて初めて,一人前の教員と言えると思います。地理好きが高じて学校という世界に飛び込みましたが,大学院に進学して,研究指導してくださった櫻井明久先生をはじめ多くの先生方が,教員としての私の5年後10年後を見据えた指導をしてくださいました。人文地理学にしろ,地理教育にしろ,今後自分で課題をみつけて研究を進めていく力を養うことができました。これからも,駒澤の地理の卒業生として恥じぬよう,地理学に携わっていきたいと思います。そして,また多くの後輩達が駒澤で学び,大学院を支え,各地で活躍することを期待しています。

 


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