2013年5月20日掲載


第二の人生のスタートは大学院生

 
文学部地理学科1974年卒
静岡県長泉町役場2011年退職
2011年大学院地理学専攻修士課程入学
2013年同課程修了

稲田 康明さん

 私は、人生は出会いの中で生きていると実感しています。2011年3月の東日本大震災後に駒澤大学大学院に入学し、この度2013年3月に滞りなく修了いたしました。1970年駒澤大学入学のときは、今は亡き大和英成教授との出会いから地理学に触れ、大学院でも学部の同期生でした橋詰直道教授との出会いもありました。国内旅行業務取扱管理者の取得もでき、充実した2年間でした。土’谷先生の指導の下,「JR御殿場線沿線地域の工業立地の変容―交通環境の変化が与える影響―」という修士論文をまとめ,日本地理学会でも発表することができました。

 地方公務員時代には、地理学との関係深い都市計画部門の業務は通算6年と少なかったのですが、地理学で学んだ地図思考(柔軟なものの見方)が役に立ちました。とかく行政は縦割りという言葉があるように、自分たちの立場を中心とした動きになりがちで、議論の衝突をしながら、地理学で学んだ地図思考をフル稼働して相手に理解してもらうことが出来た結果が、事業の進捗にもつながりました。その他は役所の業務がほぼ3年単位での異動によって、社会教育を皮切りに、広報、自治振興、企画、国際交流、県立がんセンターの誘致、JR御殿場線新駅プロジェクト、男女共同参画、子育て、福祉、保険、健康づくりなどの幅広い分野に携わりました。常に新たな分野の業務が比較的多く、一般に公務員の業務はマンネリしていると思われていますが、現実は新しい事への挑戦が続きました。その中でも、特に入所時の社会教育、そして広報担当の業務で多くの方々と出会えたことも、公務員生活を支えてくれました。

 今日平均寿命が延び、人生80年時代に入り、退職後の生き方が注目されています。退職数年前に大学院で勉強している社会人の方にお会いし、また、福祉行政に携わる中で、いかに健康でクオリティを上げる生活を過ごせるかと考えさせられました。さらに、人は学ぶことに終わりはないという社会教育時代に学んだ言葉「今、時代が求めているのは過去形の生き方ではなく、今学んでいる。これからも学び続けるという現在進行形の生き方である」を思い出しました。さらに、中高年の星、ウォーキングの元祖、史上最大の旅行家とも言われている伊能忠敬の生き方にも感銘し、「世のため人のため」の言葉を心に、自分の好きな地理をもう一度見つめなおそうと思い立ち、大学院での挑戦となりました。

 およそ40年ぶりの大学は建物がかなり変わっていました。深沢の大学院校舎に院生室が出来ていて、各自のデスクが揃い、いつでも研究などの学習ができ、環境は抜群に良いものでした。社会人の方、これからの超高齢社会の中で、大学や大学院への門を叩いてみてはいかがでしょうか。通うことや学ぶことは心身の健康にもつながり、認知症予防にもなること請け合いです。新しいことに触れることを難しく考えるのではなく、新たなものを知るときめき感と考えたら面白いですよ。若い人を含めてさまざまな方、思いもよらない方との出会いがあるかもしれません。定年退職を間近に控えた年代の方にとっても、人生後半(退職後)の生き方を考える際に大学院での研究活動もその候補としてみてはどうでしょうか。

 今後は、大学院での経験を基に、地域研究を続けながら、地元観光協会などでの地域活動に取り組む予定で、長泉町から全国へ情報発信して地域に貢献していければと思っています。

土'谷ゼミ学部3年生の鹿児島巡検(2012年10月)

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