2004年度発掘調査報告
日本発掘:茨城県土浦市 神明遺跡
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8月2日から9月3日まで茨城県土浦市神明遺跡第5次調査を行いました。
発掘面積は約2,000㎡で、竪穴住居跡3軒、古墳1基、掘立柱建物跡5棟、それに伴うと思われるピット群、地下式坑1基、道路状遺構・溝・土坑多数が確認されました。
竪穴住居跡は古墳前期の土師器小型丸底壺や高坏などが出土しました。古墳は神明遺跡において初めて検出されました。しかし、周溝・墳丘はなく、確認できたのは破壊された主体部のみで、床面に割られた雲母片岩が散乱していました。掘立柱建物跡は、柱穴の中から礎石が検出されました。礎石は版築した土の上に置かれていることから、柱の安定のために使用されたと考えられます。石材は筑波山系の雲母片岩であり、古墳で使われている材質と同じでした。柱穴の中から中国北宋の銭貨「元豊通寶」が出土したため、11世紀後半以降に構築されたと考えられます。
地下式坑は貯蔵穴や埋葬施設と考えられる竪坑式横穴です。入口である竪坑を経て、主室へと至る構造ですが、今回は主室が天井崩落によりほとんど破壊されていました。覆土から中世の陶器・常滑焼が多数出土しています。
中国発掘:中国陜西省 楊官寨遺跡
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9月10日から22日まで、陜西省考古学研究所が発掘調査をしている、楊官寨遺跡で発掘実習を行いました。
楊官寨遺跡は仰韶文化(廟底溝Ⅰ)から竜山文化(廟底溝Ⅱ)までの灰坑(地中の掘られたフラスコ形の貯蔵穴)が多く見つかり、実習ではいくつかを発掘調査しました。
厚い灰層、炭層に混じり多くの灰陶、紅陶、獣骨などが出土しましたが、紅陶に黒色の彩色をした彩陶土器も多く見られました。
雨の日には研究所で出土遺物の分類を体験することができました。また、最近新聞記事でも話題になった岐山県周王墓と鳳翔県秦公一号大墓を見学してきました。