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DATE:2017.01.06研究レポート
研究こぼれ話『留学の思い出』
法学部 井上 健一 教授
![仏教学部 松本史朗 教授](/plus/files/20161219inoue_p2.jpg)
- 法学部 井上 健一 教授
- 研究テーマは、企業形態の比較法研究、保険契約法、コーポレートガバナンスの動学ゲーム論分析など。
年数だけは経てしまった研究生活の中では、干支が一回り前に行ったニューヨーク大学(NYU)への留学が一番記憶に残っている。研究分野である会社法もそれなりには勉強したが、主として勉強したのは法人税法と法哲学であり、特に法哲学は惜しくも3年前に世を去られたロナルド・ドゥオーキンのゼミに出られたのが忘れがたい。
ドゥオーキンのゼミは外部スピーカーを読んで、その人のワーキングペーパーを紹介してもらってみんなで議論するという比較的よくある形式なのだが、だいたい時間が議論含めて3時間超(3時30分ぐらいから7時くらいまで)なのはまあ良いとして(自分の学部時代もそんなものだったから)、そこで扱うテーマの幅広さと、それにきちんとコメントをつけ、議論を交通整理できるドゥオーキンのポテンシャルには圧倒された。「巨大な体系をバッググラウンドにした上での、幅広い知のつまみ食い」とでも言おうか。そうした講義なりゼミもいずれはやってみたいものであるが、「つまみ食い」はできても、「巨大な体系」は作り上げられるかどうか。
NYUでは新しく、かつその後の研究スタイルにも生活スタイルにも影響を与え続ける様々な出会いがあった。「子供が同性愛であることをカミングアウトした時に親はどうすべきか」というセミナーが大学のカウンセラー主催で開かれたことなどを思い返すにつけ、新しい問題を進んで可視化していく試みは大学・大学人の一つの役割とも思う。
※ 本コラムは『学園通信323号』(2016年7月発行)に掲載しています。掲載内容は発行当時のものです。
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