CDアルバム「あわてなさんな」の紹介



谷川俊太郎の珠玉の五編とジョン・レノン作詞・作曲「
イマジン」をアイリッシュ・ミュージックにのせて高石ともやとザ・サファリンゲールが唄います。今年の4月、シアトルで録音しました。

 

“タイム・イズ・タイム

 

―楽しい時間をお金にかえるなんて―


10年前、英会話を始めた頃、先生が質問した。
―思いつく英語の諺を一つ言って下さい。
―たまたま、“タイム・イズ・マネー”と答えた私に、英語教師のボブさんは自身満々に答えた。
―お金のために働くことが善だと信じているのは、イギリスとアメリカと日本ですが、私の国アイルランドには“タイム・イズ・マネー”の諺はありません。
――神さまから戴いた“時間”をお金にかえて幸せなんですか。
―アイルランドでは夕方になると、仕事から離れます。大事な時間は楽しいことに使うのが神さまの意志ですから、夜は友だちや家族が集まって語り合うとか、歌や音楽やダンスや演劇に楽しくすごします。日本がバブル経済に入る前のお金がふくらんで狂乱の時代に、私はアイルランドの音楽の心に出会ってしまった。毎年アイルランドを訪ねるうちに僕自身の音楽観も落ち着いたものになっていた。“タイム・イズ・マネー”から“タイム・イズ・タイム”へ心の持ち方が変わったとたんに、不思議な友人に出会った。ジェイさん、ロンさん、フェリシティさん、アイルランド大使はじめ、同国の総理府のケネディさんや、大使館で働いていた三村さん、ダブリン市のパブで出会ったたくさんのミュージシャンたち……そしてシアトル市でサファリン・ゲールの4人組みに出会った。

―新しい旅のはじまりの予感です。―


今、日本で、母親が子どもに使う一番多い言葉は“はやくしなさい”親も子も、教師も会社員も、政治家も宗教家も、ビジネス・マンも、ミュージシャンも、マスコミ人も、おおいそぎで毎日を通り過ぎる時代に“フォークソング”なんてとても時代をとらえられないとあきらめていた時、谷川俊太郎さんの詩集に再会した。2、30年も前に読んだはずの詩がひょいと私の心の中にメロディーといっしょにしみ込んで来た。アイルランドの楽器のメロディーとだけで唄う、シンプルだけど力づよい唄のイメージが、雨あがりの風のようにさわやかに生まれていた。“あわてなさんな”、谷川俊太郎さんとアイリッシュ音楽がとけて……今、21世紀を落ち着いて迎えられそうな……いい気分。ありがとう。                                  高石ともや

 


曲目
  1 川よ ―時代はいつでもあたらしい―
      作詞 ビル・スタイン
      作曲 ビル・スタイン
      訳詞 高石ともや

  2 父の唄 ―遠くゆけ息子よ―
      作詞 谷川俊太郎
      作曲 高石ともや

  3 あわてなさんな ―若い頃の笑顔で―
      作詞 谷川俊太郎
      作曲 高石ともや

  4 リール(Reel) ―マウンテン・トップ―
      アイリッシュ・トラッド

  5 春を待つ少女 ―かける娘は光の中―
      作詞 高石ともや
      作曲 高石ともや

  6 ひとりぼっちの裸の子ども ―魚をとってやろう―
      作詞 谷川俊太郎
      作曲 湯浅譲二

  7 イマジン ―国境のない世界を―
      作詞 ジョン・レノン
      作曲 ジョン・レノン
      訳詞 高石ともや

  8 私のこどもたちへ ―生きている鳥たちが―
      作詞 笠木 透
      作曲 笠木 透

  9 ジグ(Jig) ―川を下って―
      アイリッシュ・トラッド

  10 初恋 ―夏草のさわぐままに―
      作詞 W.B.イェーツ
      訳詞 高石ともや
      曲  The Maids of Mourne ShoreのAirより

  11 じゃあね ―年をとるのはこわいけれど―
      作詞 谷川俊太郎
      作曲 高石ともや

  12 Ondo―よさぶら(音頭与三郎) ―心変わりがせねばよい―
      岐阜県  古謡
      アダプト 笠木 透

  13 ワクワク ―悲しけりゃ笑っちゃえ―
      作詞 谷川俊太郎
      作曲 高石ともや

  14 
シアトルへ行こう ―友だちさがしの―
      作詞 高石ともや
      作曲 高石ともや

  15 谷間の虹 ―追伸・それでも虹を―
      作詞 高石とし子
      作曲 高石とし子

1997.7.15 発売。税込価格
\2,800
申込問合せ:
高石ともや音楽事務所 京都市西京区山田上ノ町1丁目 fax075-393-2581

MAIN MENU