BACK(「ことばの溜め池」表紙へ)
MAIN MENU
ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
就其御引付沙汰定被行候歟〔至徳三年本〕
就之御引付沙汰定可被{執}行候歟〔宝徳三年本〕
就其御引付沙汰定被行候歟〔建部傳内本〕
就テ∨其ニ御引_付ノ沙-汰被レ∨行候歟〔山田俊雄藏本〕
就∨中御引付沙汰定メテ被∨行候歟〔経覺筆本〕
就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定メテ被∨行(ヲコナ)ハレ候歟〔文明四年本〕
引付(ヒキツケ/インフ)[去・去] 。〔態藝門1038六〕
とあって、標記語「引付」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、標記語「引付」の語を未収載にする。また、易林本『節用集』に、
引目(ヒキメ) ―兩(リヤウ)。―入合子(イレガフシ)。―合(アハセ)。―敷(シキ)。―付(ツケ)。〔言辞門225三〕
とあって、標記語「引目」の語を収載し、冠頭字「引」の熟語群に「引付」の語を収載する。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ソモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「引付」とし、その語注記は、未記載にする。
就テ∨之ニ御引付(ヒキツケ)ノ沙汰(サタ)定テ被ハレ∨行(ヲコナ)候歟 ト事。沙汰問注所(モンチウシヨ)ニハ。引付トテ其沙汰事ヲ書註ス也。又云先規先代ノ事ヲ有ノマヽ記シ置テ其事々々ニ取合テ沙汰ヲスルナリ。古ヘハ。トノカフノト云。今ハカクナント沙汰スルナリ。〔下十七オ二〜三〕
之(これ)に就(つき)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さため)て行(おこなハ)被(れ)候歟/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰 就之とハ天下もはや太平に治りたるに付てとなり。引付ハ公事の捌(さば)きをせらるゝ所也。くわしくハ御返状にあり。沙汰とハ事の理非(りひ)をわかち定る事也。是ハもと沙ハすなの事也。汰ハ水にてゆなける事也。金の沙に交りあるを水にてゆなけわけるを云。故に事の理非を取捌(とりさば)くを沙汰といふなり。今噂(うわさ)といふ事に用るハ又一轉(いつてん)したる也。〔57ウ一〜三〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃絵際(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡相論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領絵際。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。▲引付沙汰とハ先代(せんだい)より定(さだ)まれる例(れい)を以て今其事々に引合(ひきあは)せて沙汰する也。〔43ウ四〜五〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の絵際(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。▲引付沙汰とは先代(せんだい)より定(さだ)まれる例(れい)を以て今其事々に引合(ひきあハ)せて沙汰する也。〔77ウ四〜五〕
Fiqitcuqe.ヒキツケ(引付) ある事をなすについて,これから先それに従って行なうように書き残して置かれるしきたり,または,きまり.〔邦訳240r〕
ひき-つけ〔名〕【引付】(一)引き來て合はすること。(二)先例を記し置ける文書、又は記録。又、その引付に引き合はせて、事を處分すること。武家名目抄、職名、五、下「もと引付と云へるは、記録の名より出でし名目なり、云云、政所にては訴訟の顛末を注記し、其訴を沙汰せる奉行人の姓名を傍書したる記録を名づけて、賦名引付と云ふ、また營中、常日の規格を記せしものをば、然云ひしと見ゆ」 吾妻鏡、五十二、文永三年三月六日「諸人訴論事、被止二引付沙汰一、問注所召二愁訴陳状一、可勘二申是非一也」(三)引付衆の略。鎌倉、室町幕府の職名。評定衆の下司にて、其補助として、訴訟を聽斷し、庶務を取扱ひ、兼ねて、政所に出で、時時の日記を記し、例證等を書留む。又、この引付にてなす評定を内談とも稱す。因りてこの衆を、内談衆とも云へり。 吾妻鏡、四十、建長二年九月十日「」(四)病に云ふ。身體の筋肉の釣りて痛むもの。 癬搦(チクジャク)。痙攣。〔1652-2〕
快樂(ケラク) 。〔元亀二年本217九〕
快樂(ケラク) 。〔静嘉堂本248四〕
× 。〔天正十七年本〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着(チヤク)以後久不∨啓‖案内ヲ|之条、殆(ホトンド)如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|頗ル非‖胸中之等閑ニ|只自然之懈怠(ケタイ)也恐入候抑洛陽ノ静謐(セイヒツ)田舎ノ謀无爲貴邊ノ御本望也愚身(クシン)ノ快樂(ケラク)可∨被∨察也〔経覺筆本〕
下-着以-後久不∨啓‖案内ヲ|之条殆(ホトント)如ク∨忘(ワス)ルヽガ‖徃-日芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコフル)非胸-中(ケウ―)ノ等閑ニ|只自-然之懈-怠也恐入候抑洛-陽(ラクヤウ)静-謐田舎(シヤ)無-爲。貴-邊ノ御本-望也愚-身(クラウ)ガ快-樂(ケラク)可∨被∨察(サツ)せ也〔文明本〕懈怠(ケタイ)。靜謐(セイヒツ)。察(サツ)せ。
快樂(ケラク/クワイ・コヽロヨシ、タノシム)[去・入] 。〔態藝門605六〕
とあって、標記語「快樂」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
快樂(ケラク) 。〔永・言語門145五〕〔尭・言語門135一〕
とあって、標記語「快樂」の語を収載し、訓みを「ケラク」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
快樂(クワイラク) ―然(ぜン)。〔言辞門133四〕
とあって、標記語「快樂」の語の訓みを「クワイラク」として収載する。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ソモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「快樂」とし、その語注記は、未記載にする。
快樂(ケラク)可キ∨被ル∨察(サツ)せ也 快樂ハ。心ロヨク樂(タノ)シムト云コトバナリ。〔下十六ウ八〜十七オ一〕
貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也。愚身(ぐしん)の快樂(くわいらく)察(さつ)せ被(らる)可(へき)也/貴邊ノ本望也愚身ノ快樂可被∨察セ也 貴邊とハ先方をあかめたる詞。愚身とハおのれを卑下(ひけ)したる詞也。快樂ハこゝろよくたのしむと讀。察ハ推量といふに同し。〔57オ七〜八〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。〔43オ二〜五〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。〔76ウ二〜六〕
Qeracu.ケラク(快樂) Cocoroyoi tanoximi.(快い楽しみ)歓楽,または,よろこび.〔邦訳489r〕
け-らく〔名〕【快樂】〔けは、快(クワイ)の呉音〕快樂(クワイラク)に同じ。こころよく、たのしむこと。榮花物語、十六、本雫「九重の宮の内に遊戯したまふ事、彼螺利天女の快樂を享けて、歡喜苑の内に遊戯するに劣らず」盛衰記、四十、維盛出家事「欲、色、二界の快樂の天、限りあれば、衰没の悲しみあり」〔0640-2〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着(チヤク)以後久不∨啓‖案内ヲ|之条、殆(ホトンド)如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|頗ル非‖胸中之等閑ニ|只自然之懈怠(ケタイ)也恐入候抑洛陽ノ静謐(セイヒツ)田舎ノ謀无爲貴邊ノ御本望也愚身(クシン)ノ快樂(ケラク)可∨被∨察也〔経覺筆本〕
下-着以-後久不∨啓‖案内ヲ|之条殆(ホトント)如ク∨忘(ワス)ルヽガ‖徃-日芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコフル)非胸-中(ケウ―)ノ等閑ニ|只自-然之懈-怠也恐入候抑洛-陽(ラクヤウ)静-謐田舎(シヤ)無-爲。貴-邊ノ御本-望也愚-身(クラウ)ガ快-樂(ケラク)可∨被∨察(サツ)せ也〔文明本〕懈怠(ケタイ)。靜謐(セイヒツ)。察(サツ)せ。
愚身(グシン/ヲロカ、ミ)[平・平] 。〔態藝門548六〕
とあって、標記語「愚身」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
愚身(グシン) 。〔弘・言語進退門161八〕
愚蒙(グモウ) ―昧(マイ)。―鈍(ドン)。―身(シン)。―暗(アン)。―意(イ)/―癡(チ)。―老(ラウ)。―案(アン)。―慮(リヨ)。―才(サイ)。〔永・言語門131七〕
愚蒙(グモウ) ―昧。―鈍。―身。―暗。―才。―者/―癡。―案。―慮。―意。―拙。―劣。〔尭・言語門120八〕
愚蒙(グモウ) ―昧(マイ)。―鈍(ドン)。―身(シン)。―暗。―才(サイ)。―者(シヤ)/―癡(チ)。―案。―慮(リヨ)。―意(イ)。―拙(せツ)。―劣(レツ)。〔両・言語門146七〕
とあって、標記語「愚身」の語を収載し、訓みを「グシン」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
愚札(グサツ) ―状(ジヤウ)。―報(ホウ)。―拙(せツ)。―鈍(ドン)。―昧(マイ)/―暗(アン)。―魯(ロ)。―詠(エイ)。―心(シム)。―意(イ)。―慮(リヨ)。―蒙(モウ)/―者(シヤ)。―案(アン)。―老(ラウ)/―身(シン)。―人(ニン)。―癡(チ)。〔言辞門133一〜二〕
とあって、標記語「愚札」の語を収載し、冠頭字「愚」の熟語群にも「愚身」の語を収載する。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ソモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「愚身」とし、その語注記は、未記載にする。
貴邊(キヘン)ノ本望(ホンマウ)也愚勞(グラウ) ハ互(タカヒ)ニ悦目(ヨロコヒ)出カシト也。〔下十七オ一〕
貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也。愚身(ぐしん)の快樂(くわいらく)察(さつ)せ被(らる)可(へき)也/貴邊ノ本望也愚身ノ快樂可被∨察セ也 貴邊とハ先方をあかめたる詞。愚身とハおのれを卑下(ひけ)したる詞也。快樂ハこゝろよくたのしむと讀。察ハ推量といふに同し。〔57オ七〜八〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。〔43オ二〜五〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。〔76ウ二〜六〕
Guxin.グシン(愚身) Vorocana mi.(愚かな身)すなわち,Vagami.(我が身)卑しい私,などの意で,謙遜した言い方.〔邦訳313r〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着(チヤク)以後久不∨啓‖案内ヲ|之条、殆(ホトンド)如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|頗ル非‖胸中之等閑ニ|只自然之懈怠(ケタイ)也恐入候抑洛陽ノ静謐(セイヒツ)田舎ノ謀无爲貴邊ノ御本望也愚身(クシン)ノ快樂(ケラク)可∨被∨察也〔経覺筆本〕
下-着以-後久不∨啓‖案内ヲ|之条殆(ホトント)如ク∨忘(ワス)ルヽガ‖徃-日芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコフル)非胸-中(ケウ―)ノ等閑ニ|只自-然之懈-怠也恐入候抑洛-陽(ラクヤウ)静-謐田舎(シヤ)無-爲。貴-邊ノ御本-望也愚-身(クラウ)ガ快-樂(ケラク)可∨被∨察(サツ)せ也〔文明本〕懈怠(ケタイ)。靜謐(セイヒツ)。察(サツ)せ。
貴邊(キヘン/タトシ・ホトリ)[去・平] 。〔態藝門821六〕
とあって、標記語「貴邊」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
貴邊(キヘン) 。〔弘・言語進退門222一〕
貴命(キメイ) ―賤(セン)。―所。―殿。―答)/―寵(テウ)。―方。―辺。―報。〔永・言語門185一〕
貴命(キメイ) ―賤。―殿。―所。―答)/―寵。―辺。―方。―報。〔尭・言語門174五〕
とあって、標記語「貴邊」の語を収載し、訓みを「キヘン」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
貴命(キメイ) ―邊(ヘン)。―賤(セン)。―札(サツ)/―報(ホウ)。―答(タウ)。―酬(ホウ)。〔言辞門189四〕
とあって、標記語「貴命」の語を収載し、冠頭字「貴」の熟語群にも「貴邊」の語を収載する。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ソモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「貴邊」とし、その語注記は、未記載にする。
抑洛-陽静-謐。田舎貴邊 ノ事太平ノ前兆(センデフ)也。〔下十六ウ八〜十七オ一〕
貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也/貴邊ノ本望也愚身ノ快樂可被∨察セ也 貴邊とハ先方をあかめたる詞。愚身とハおのれを卑下(ひけ)したる詞也。快樂ハこゝろよくたのしむと讀。察ハ推量といふに同し。〔57オ七〜八〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。〔43オ二〜五〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。〔76ウ二〜六〕
Qifen.キヘン(貴邊) 貴殿.〔邦訳495l〕
無爲(ブイ) 。〔元亀二年本222八〕
無爲(ブイ) 。〔静嘉堂本254七〕
無爲(フイ) 。〔天正十七年本中56ウ三〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着(チヤク)以後久不∨啓‖案内ヲ|之条、殆(ホトンド)如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|頗ル非‖胸中之等閑ニ|只自然之懈怠(ケタイ)也恐入候抑洛陽ノ静謐(セイヒツ)田舎ノ謀无爲貴邊ノ御本望也愚身(クシン)ノ快樂(ケラク)可∨被∨察也〔経覺筆本〕
下-着以-後久不∨啓‖案内ヲ|之条殆(ホトント)如ク∨忘(ワス)ルヽガ‖徃-日芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコフル)非胸-中(ケウ―)ノ等閑ニ|只自-然之懈-怠也恐入候抑洛-陽(ラクヤウ)静-謐田舎(シヤ)無-爲。貴-邊ノ御本-望也愚-身(クラウ)ガ快-樂(ケラク)可∨被∨察(サツ)せ也〔文明本〕懈怠(ケタイ)。靜謐(セイヒツ)。察(サツ)せ。
無爲 帝徳名/フ井。〔黒川本・疉字門中106オ三〕
無雙 〃頼。〃事。〃極。〃窮。〃頂。〃爲。〃涯。〃邊。〃何。〃卿帝王。〃答。〃射九月。〃限。〃端。〃偏。〃愛。〃彊キヤウ。〃道。〃音。〔卷第七・疉字門84三〕
無爲(ブイ・―、タメ/ナシ、ナス)[○・平] 。〔態藝門635三〕
無爲ニシテ而治(ヲサマル)レハ者、其(ソレ)舜(シユン)也歟(カ)、夫(ソレ)何(ナニ)ヲカ爲(せ)ム哉(ヤ)、恭(ウヤ/\)シフシテレ己(ヲノレ)ヲ正(タヾシク/マサニ)南面(ナンメン)ス而已(ノミ)矣。衛靈公篇〔態藝門635四〕
とあって、標記語「無爲」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
無爲(ブイ) 。〔弘・言語進退門182六〕
無道(ブダウ) ―音(カウ)。―爲(イ)。―力(リヨク)。―災(サイ)。―骨(コツ)。―双(サウ)。―礼(レイ)。―事(ジ)。―菜(サイ)。―難(ナン)。―興(ケウ)。―頼(ライ)。〔永・言語門149七〕
無道(ブダウ) ―音。―爲。―力。―災。―骨。―双/―礼。―事。―菜。―難。―興。―頼。―所存。―心得。〔尭・言語門139五〕
とあって、標記語「無爲」の語を収載し、訓みを「ブイ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
無禮(ブレイ) ―道(タウ)。―性(シヤウ)。―頼(ライ)。―功(コウ)。―コ(トク)。―興(ケウ)。―骨(コツ)。―爲(井)。―事(ジ)。―沙汰(サタ)。―器用(キヨウ)。―人数(ニンジユ)/―力(リヨク)。―勢(セイ)。―人(ニン)。―雙(サウ)。―音(イン)。―覺悟(カクゴ)。―故實(コジツ)。―所存(シヨゾン)。―興隆(コウリウ)。―案内(アンナイ)。无單袴(ブタンゴ)。〔言辞門151七〕
とあって、標記語「無禮」の語を収載し、冠頭字「無」の熟語群にも「無爲」の語を収載する。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ソモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「無爲」とし、その語注記は、未記載にする。
抑洛-陽静-謐。田舎無爲 ノ事太平ノ前兆(センデフ)也。〔下十六ウ八〜十七オ一〕
田舎(いなか)の無爲(ぶゐ)ハ/田舎ノ無爲 無爲とハ事なく靜なるを云。此二句ハ天下の一統したるをいえるなり。〔57オ六〜七〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。〔43オ二〜五〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。〔76ウ二〜六〕
Bui.ブイ(無爲) 平和,静穏.§また、温和.〔邦訳64r〕
ぶ-ゐ〔名〕【無爲】(一)爲(す)ることなきこと。自然のままにて、作爲せざること。むゐ。論語、衛靈公篇「無爲而治者、其舜也歟、夫何爲哉、恭レ心正南面而已矣」 老子、第四十三章「不言之教、無爲之u、天下希レ及レ之」荘子、庚桑楚篇「出二怒不怒一、則怒出二於不怒一、出二爲無爲一出二於無爲一」「無爲而天下治」(二)事なくして平穏なること。無事。太平記、九、主上上皇御沈落事「路次は定めて無爲にぞ候はんずらん」〔1793-5〕
田舎(テンジヤ) 。〔元亀二年本244I〕
田舎(デンジヤ) 。〔静嘉堂本282六〕
田舎(テンシヤ) 。〔天正十七年本中70オ五〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着(チヤク)以後久不∨啓‖案内ヲ|之条、殆(ホトンド)如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|頗ル非‖胸中之等閑ニ|只自然之懈怠(ケタイ)也恐入候抑洛陽ノ静謐(セイヒツ)田舎ノ謀无爲貴邊ノ御本望也愚身(クシン)ノ快樂(ケラク)可∨被∨察也〔経覺筆本〕
下-着以-後久不∨啓‖案内ヲ|之条殆(ホトント)如ク∨忘(ワス)ルヽガ‖徃-日芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコフル)非胸-中(ケウ―)ノ等閑ニ|只自-然之懈-怠也恐入候抑洛-陽(ラクヤウ)静-謐田舎(シヤ)無-爲。貴-邊ノ御本-望也愚-身(クラウ)ガ快-樂(ケラク)可∨被∨察(サツ)せ也〔文明本〕懈怠(ケタイ)。靜謐(セイヒツ)。察(サツ)せ。
田舎 井ナカ。田家 同。〔黒川本・地儀門中55オ六〕
田舎 井ナカ。田家 同。〔卷第五・地儀門222四〕
田舎(イナカ/デンジヤ・タ、イヱ)[平・去] 或作二夷中(イナカ)一。〔天地門4五〕
とあって、標記語「田舎」の語を収載し、訓みは右訓に「いなか」、左訓に「デンジヤ」の訓みを収載し、語注記は「或作二○○一」の形式をもって「夷中」という別表記を記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
夷中(イナカ) 或作為中(同)/又作田舎(同)。〔弘・天地門3七〕
田舎(イナカ)。田家(同)。為中(同)。夷中(同)。〔永・天地門1六〕
田舎(イナカ) 田家。為中/夷中。〔尭・言語門1五〕〔両・言語門1六〕
とあって、弘治二年本だけは、広本『節用集』の表記と注記語を逆にして収載し、他三本は『色葉字類抄』系統の影響を受けてか標記語「田舎」の語以外に「田家・為中・夷中」の三語を併記収載し、訓みを「いなか」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
田舎(デンジヤ) ―宅(タク)。―地(チ)。―園(ヲン)。―圃(ホ)。〔乾坤門163六〕
とあって、訓みを音訓みで「デンジヤ」とし、標記語「田舎」の語を収載する。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ソモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「田舎」とし、その語注記は、未記載にする。
抑洛-陽静-謐。田舎無爲 ノ事太平ノ前兆(センデフ)也。〔下十六ウ八〜十七オ一〕
田舎(いなか)の無爲(ぶゐ)ハ/田舎ノ無爲 無爲とハ事なく靜なるを云。此二句ハ天下の一統したるをいえるなり。〔57オ六〜七〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。〔43オ二〜五〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。〔76ウ二〜六〕
Inaca.イナカ(田舎) 田舎,すなわち,ある主要な町とか市とか以外の土地.一般には五畿内(Goqinai)以外の地をInaca(田舎)と言う.〔邦訳334l〕
Denjaデンジャ(田舎) Tano iye.(田の舎) 村のこと,または,田畑のあたりにある家々.〔邦訳184l〕
でん-しゃ〔名〕【田舎】ゐなか。又ゐなかの家。ゐなかや。史記、蘓秦傳「田舎廬廡之數、曾無レ所二芻牧一、人民之衆、車馬之多、日夜行不レ絶」〔1369-5〕
ゐ-なか〔名〕【田舎】〔田居中(たゐなか)の上略と云ふ、又、小鄙處(をひなか)の約かと、伊豫國、宇摩郡の東方にては、田の中をたいなか、田の路をたいみちと云ふとぞ〕都會ならぬ地の稱。都より離れたる地方。鄙(ひな)。在郷。垂仁紀、二年十月「黄牛負二田器一、將レ徃二田舎一」 萬葉集、三26「昔こそ、難波居中(ゐなか)と、言はれけめ、今は都(みやこ)と、都びにけり」(~龜四年二月、難波宮再造成れり)〔2183-1〕
洛陽(ラクヤウ) 。〔元亀二年本171二〕
洛陽(ラクヤウ) 。〔静嘉堂本190二〕
洛陽(ラクヤウ) 。〔天正十七年本中25ウ二〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着(チヤク)以後久不∨啓‖案内ヲ|之条、殆(ホトンド)如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|頗ル非‖胸中之等閑ニ|只自然之懈怠(ケタイ)也恐入候抑洛陽ノ静謐(セイヒツ)田舎ノ謀无爲貴邊ノ御本望也愚身(クシン)ノ快樂(ケラク)可∨被∨察也〔経覺筆本〕
下-着以-後久不∨啓‖案内ヲ|之条殆(ホトント)如ク∨忘(ワス)ルヽガ‖徃-日芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコフル)非胸-中(ケウ―)ノ等閑ニ|只自-然之懈-怠也恐入候抑洛-陽(ラクヤウ)静-謐田舎(シヤ)無-爲。貴-邊ノ御本-望也愚-身(クラウ)ガ快-樂(ケラク)可∨被∨察(サツ)せ也〔文明本〕懈怠(ケタイ)。靜謐(セイヒツ)。察(サツ)せ。
洛陽 帝都部/ラクヤウ/宮城部。〔黒川本・疉字門中41オ二〕
洛陽ラクヤウ /東京名也。〃華。〃城上同。〃邑城里也。〔卷五・疉字門93四〕
洛陽(ラクヤウ/ミヤコ、ミナミ)[入・平] 或云二燕陽城(ラクヤウシヤウ)ト一。洛洋。柳文。一洋水與二洛水一。同流合間。云二洛陽一。落陽。洛羊編年。落洋。又盧各切。水名。書ニ曰。導(ミチ)レ洛目ス二熊耳一。漢書ニ作レ燕ニ。漢ハ火コ也。忌レ水者也。故ニ作レ燕也。〔天地門448二〕
とあって、標記語「洛陽」の語を収載し、語注記は、「或は燕陽城と云ふ。洛洋。柳文。一洋水。洛水と同じく流合の間。洛陽と云ふ。落陽。洛羊編年。落洋。また、盧各切。水名。書に曰く。洛を導びき熊耳に目す。『漢書』に「燕」に作る。漢は、火コなり。水を忌むものなり。故に「燕」に作るなり」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、なぜか標記語「洛陽」の語を未収載にする。また、易林本『節用集』に、
洛陽(ラクヤウ) ―中(チウ)。―外(クワイ)。〔乾坤門112三〕
とあって、標記語「洛陽」の語を収載する。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ソモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「洛陽」とし、その語注記は、未記載にする。
抑洛-陽静-謐。田舎無爲 ノ事太平ノ前兆(センデフ)也。〔下十六ウ八〜十七オ一〕
抑(そも/\)洛陽(らくやう)の静謐(せいひつ)/抑洛陽静謐 洛陽ハ都(みやこ)をいふなり。元(もと)左京(さけう)を洛陽、右京(うけう)を長安(てうあん)といえり。長安ハ前漢(ぜんかん)の都、洛陽ハ後漢(ごかん)の都の名なり。全(まつた)く是によりてかくは名付られしとそ。されとこゝに洛陽と云ハ廣(ひろ)く都をさしていへる也。静謐の注前に見へたり。。〔57オ四〜六〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。▲洛陽ハもと左京(さきやう)をいふ。右京(う―)を長安(ちやうあん)と号(がう)す。但し爰(こゝ)にハ只(たゞ)都(ミやこ)を指(さ)していふ也。〔43オ二〜六〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。▲洛陽ハもと左京(さきやう)をいふ。右京(う―)を長安(ちやうあん)と号(がう)す。但し爰(こゝ)にハ只(たゞ)都(ミやこ)を指(さ)していふ也。〔76ウ二〜六〕
Racuyo<.ラクヤウ(洛陽) Miyaco miyaco.(洛みやこ)首府.すなわち,国の主要な都市.※この訓注は穏当でない.〔邦訳524l〕
らく-やう〔名〕【洛陽】〔支那、隋唐の世に、帝都は河南道にありて、洛陽と云ひしより移れる名稱なり〕略して、洛。平安城(延喜遷都の時、今の京都)は、初、中央の朱雀大路より東を左京とし、唐土の洛陽に比し、西を右京とし、長安に類す。後に左京のみ存せり。其中を洛中と云ひ、外を洛外と云ふ。地方より上り入るを上洛、又は、入洛と云ふ。みやこ。花洛。京洛。京都。鳳闕見聞圖説(源宗隆)「尚書洛誥篇に出たり、云云、爾雅にも、山南水北を陽と云、洛は洛水の北に有故に、洛陽と名付とあり、今、日本の都は、水なけれども、彼周成王の都を洛水の南に築き給ひし其例に因て、洛陽と云ふなるへし」拾芥抄、中、末、京程部「京都坊名、東京(號二洛陽城一)」法然上人行状畫圖、三十三「念佛の興行、洛陽にして年ひさし、邊鄙におもむきて田夫野人をすすめん亊、年來の本意なり」〔2111-5〕
抑(ソモ/\) 決前祢后詞。〔元亀二年本156二〕
抑(ソモ/\) 決前祢后ノ詞。〔静嘉堂本171二〕
抑(ソモ/\) 決レ前祢レ后詞。〔天正十七年本中16ウ八〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着(チヤク)以後久不∨啓‖案内ヲ|之条、殆(ホトンド)如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|頗ル非‖胸中之等閑ニ|只自然之懈怠(ケタイ)也恐入候抑洛陽ノ静謐(セイヒツ)田舎ノ謀无爲貴邊ノ御本望也愚身(クシン)ノ快樂(ケラク)可∨被∨察也〔経覺筆本〕
下-着以-後久不∨啓‖案内ヲ|之条殆(ホトント)如ク∨忘(ワス)ルヽガ‖徃-日芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコフル)非胸-中(ケウ―)ノ等閑ニ|只自-然之懈-怠也恐入候抑洛-陽(ラクヤウ)静-謐田舎(シヤ)無-爲。貴-邊ノ御本-望也愚-身(クラウ)ガ快-樂(ケラク)可∨被∨察(サツ)せ也〔文明本〕懈怠(ケタイ)。靜謐(セイヒツ)。察(サツ)せ。
抑 ソモ/\。尓惣 同。〔黒川本・辞字中18オ八〕
抑 ソモ/\。〔卷第四・辞字545四〕
抑(ソモ/\/ヨク)[入] 意也。按也。疑辞也。發語ノ辞也。決前生後ノ辞。〔態藝門408一〕
とあって、標記語「抑」の語を収載し、語注記は「意也。按也。疑辞也。發語の辞也。決前生後の辞」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
抑(ソモ/\) 。〔弘・言語進退門120八〕〔永・言語門102二〕〔尭・言語門92五〕〔両・言語門112八〕
とあって、標記語「抑」の語を収載し、訓みを「ソモ/\」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
抑(ソモ/\) 。〔言辞門102三〕
とあって、標記語「抑」の語を収載し、語注記は未記載にする。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ソモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「抑」とし、その語注記は、未記載にする。
抑洛-陽静-謐。田舎無爲 ノ事太平ノ前兆(センデフ)也。〔下十六ウ八〜十七オ一〕
抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)/抑洛陽ノ静謐 洛陽ハ都(みやこ)をいふなり。元(もと)左京(さけう)を洛陽、右京(うけう)を長安(てうあん)といえり。長安ハ前漢(ぜんかん)の都、洛陽ハ後漢(ごかん)の都の名なり。全(まつた)く是によりてかくは名付られしとそ。されとこゝに洛陽と云ハ廣(ひろ)く都をさしていへる也。静謐の注前に見へたり。。〔57オ四〜六〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。〔43オ二〜五〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。〔76ウ二〜六〕
Somosomo.ソモ/\(抑) すなわち,Sate mata.(偖又)その上に,または,従って.§また,ある書物の初めとか,ある事項の最初とかを言い起こすのに用いられる語.〔邦訳572r」〕
そも-そも〔名〕【抑】〔次條の語を、名詞とせるもの〕最初。はじめ。はな。本朝若風俗〔貞享、西鶴〕一「病氣そもそもより此の方、毎日三度づつの見舞ひ」〔1167-3〕
そも-そも〔接〕【抑】(一){抑(そも)を重ねて、意味を強く云ふ語。多くは、意味なく、文を發する語とす。名義抄「抑、ソモソモ」竹取物語「そもそも、いかやうなる志あらむ人にか逢はむと思(おぼ)す」土佐日記、正月七日「そもそも、いかが詠みたると、不審(いぶかし)がりて」續紀、三十六、天應元年四月辛卯、詔「其、仁孝者、百行之基なり、曾毛曾毛、百足之蟲の、至レ死不レ顛事は、輔を多みとなも聞し食す」古今集、序「そもそも、歌の状、六つなり」宇津保物語、俊蔭53「そもそも、獸(けだもの)と云へども、虎、狼ならぬは棲まざなり」(二)或は。又は。ただし。(漢籍讀に)論語、學而篇「夫子至二於是邦一也、必聞二其政一、求ルレ之與(カ)、抑與レ之ヲ與」〔1167-4〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着(チヤク)以後久不∨啓‖案内ヲ|之条、殆(ホトンド)如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|頗ル非‖胸中之等閑ニ|只自然之懈怠(ケタイ)也恐入候抑洛陽ノ静謐(セイヒツ)田舎ノ謀无爲貴邊ノ御本望也愚身(クシン)ノ快樂(ケラク)可∨被∨察也〔経覺筆本〕
下-着以-後久不∨啓‖案内ヲ|之条殆(ホトント)如ク∨忘(ワス)ルヽガ‖徃-日芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコフル)非胸-中(ケウ―)ノ等閑ニ|只自-然之懈-怠也恐入候抑洛-陽(ラクヤウ)静-謐田舎(シヤ)無-爲。貴-邊ノ御本-望也愚-身(クラウ)ガ快-樂(ケラク)可∨被∨察(サツ)せ也〔文明本〕懈怠(ケタイ)。靜謐(セイヒツ)。察(サツ)せ。
恐入(ヲソレイル/キヨフニフ)[上・入] 。〔態藝門223八〕
とあって、標記語「恐入」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』、易林本『節用集』には、標記語「恐入」の語を未収載にする。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ヲモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「恐入」とし、その語注記は、未記載にする。
往日(ワウジツ)ノ芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコブル)非ス‖胸中(ケウ―)ノ等閑(トウカン)ニ|、只自然(シゼン)懈怠(ケタイ)也恐(ヲソ)レ入候事 往日トハ日比(ヒゴロ)ト云心ロナリ。〔下十六ウ七〜八〕
恐(おそ)れ入(い)り候/恐_入候 是まてハ下者の後無沙汰したるを詫(わひ)たるなり。〔57オ三〜四〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。〔43オ二〜五〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。〔76ウ二〜六〕
おそれ-い・る〔自動、四〕【恐入】(一)甚しく恐る。畏怖。古今著聞集、十七、變化「此山伏を見て、此法師、恐れをののきたるけしきにて、云云、三人の山伏、云云、睨(にら)みて立てり、此法師いよいよ恐入りたり」(二)恐れて多く思ふ。勿體なく感ず。恐縮す。「恐れ入りたる御諚」(三)自ら誤れるを知りて、畏(かしこ)しと詫(わ)ぶ。恐謝。沙石集、三、上、第一條「之迄も申入れ候事、恐れ入たる由、御披露候へとて、我と問注に負けて」 〔0297-1〕
懈怠(ケダイ) 。〔元亀二年本217七〕〔天正十七年本中54ウ六〕
懈怠(ケタイ) 。〔静嘉堂本248一〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着(チヤク)以後久不∨啓‖案内ヲ|之条、殆(ホトンド)如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|頗ル非‖胸中之等閑ニ|只自然之懈怠(ケタイ)也恐入候抑洛陽ノ静謐(セイヒツ)田舎ノ謀无爲貴邊ノ御本望也愚身(クシン)ノ快樂(ケラク)可∨被∨察也〔経覺筆本〕
下-着以-後久不∨啓‖案内ヲ|之条殆(ホトント)如ク∨忘(ワス)ルヽガ‖徃-日芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコフル)非胸-中(ケウ―)ノ等閑ニ|只自-然之懈-怠也恐入候抑洛-陽(ラクヤウ)静-謐田舎(シヤ)無-爲。貴-邊ノ御本-望也愚-身(クラウ)ガ快-樂(ケラク)可∨被∨察(サツ)せ也〔文明本〕懈怠(ケタイ)。靜謐(セイヒツ)。察(サツ)せ。
懈怠(ケダイ/カイ・ヲコタリ、ヲコタル)[上・上] 菩薩本行經云。夫レ懈怠者修行之累ナリ。在家ノ懈怠則衣食不レ供。産業不レ挙。出家ノ懈怠則不レ能レ出離スルコト二生死ノ之苦一也。釋論云、出家懶惰則喪(ホロホス)ナリ二於法寳ヲ一在二于釋氏要覧ニ一。〔態藝門598七〕
とあって、標記語「懈怠」の語を収載し、語注記は「菩薩本行經云く。夫れ懈怠は、修行の累なり。在家の懈怠則ち衣食供へず。産業挙げず。出家の懈怠は則ち生死の苦を出離することあたはずなり。釋論に云く、出家懶惰則ち法寳を喪すなり。釋氏要覧にあり」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
懈怠(ケダイ) 。〔弘・言語進退門175七〕〔永・言語門145三〕〔尭・言語門134九〕
とあって、標記語「懈怠」の語を収載し、訓みを「ケダイ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
懈怠(ケダイ) 。〔言辞門145七〕 懈怠(ヲコタル) 。〔言辞門63五〕
とあって、標記語「懈怠」の語を収載し、語注記は未記載にする。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ヲモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「懈怠」とし、その語注記は、未記載にする。
往日(ワウジツ)ノ芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコブル)非ス‖胸中(ケウ―)ノ等閑(トウカン)ニ|、只自然(シゼン)懈怠(ケタイ)也恐(ヲソ)レ入候事 往日トハ日比(ヒゴロ)ト云心ロナリ。〔下十六ウ七〜八〕
只(たゝ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。/只自然之懈怠也 懈怠ハ皆おこたりと讀。道中(とうちう)のつかれかた/\によりおこりて無沙汰(ぶさた)したる也とそ。〔57オ二〜三〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。〔43オ二〜五〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。〔76ウ二〜六〕
Qedai.ケダイ(懈怠) Vocotari,vokotaru.(懈り、怠る)何か物事を行なわせる上での手落ち,不注意,あるいは怠惰.§Qedaiuo suru.(懈怠をする)仕損ずる,または,怠けている.※原文にfazer executarとある..〔邦訳480l〕
け-たい〔名〕【懈怠】おこたること。なまけ。又けだい。韓非子、説林、下篇「將軍不レ怒、將二懈怠一」源氏物語、四十九、東屋29「今朝も、いと懈怠して參らせ給へる」同、五十、浮舟26「さるべき男どもは、けたいなく催しさぶらはせ侍るを」〔0611-5〕
け-だい〔名〕【懈怠】けたい(懈怠)に同じ。〔0612-1〕
自然(―ゼン) 。〔元亀二年本308五〕
自然(シゼン) 。〔静嘉堂本359八〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也〔経覺筆本〕
下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也()〔文明本〕
自然 シセン/シネン 。〔黒川本・疉字下81オ八〕
自在 〃首。〃由/〃行。〃屈。〃給。〃得。〃恣。〃願。〃存。〃然。〃讃。〃歎。〃發。〃他/〃身。〃害。〃断。〃性。〃讃毀他。〃今以後。〃受法樂。。〔弘・言語進退門245三〕
自然(―ゼン/ヨリ・ミツカラ・ヲノツカラ、シカリ)[○・平] 。〔態藝門934二〕
とあって、標記語「自然」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
自然(ジネン) 。〔弘・言語進退門245三〕
自賛(ジサン) ―賣(マイ)。―歎(タン)。―餘(ヨ)。―身(シン)。―筆(ヒツ)。―他(タ)。―滅(メツ)。―慢(マン)/―害(ガイ)殺。―性(シヤウ)。―誓(セイ)。―然(ネン)。―得(トク)。―業(ゲウ)。―愛(アイ)。〔永・言語門209七〕
自賛(ジサン) ―慢。―害。―餘。―身。―賣。―業。―誓/―今以後。―得。―在。―筆。―愛。―由/―他。―然。―滅。―性。―言/―称。―檀又作専。―欲。―火。―力。〔尭・言語門193九〕
とあって、標記語「自然」の語を収載し、訓みを「ジネン」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
自然(ジネン) ―讃(サン)。―訴/―判(ハ)。―行(ギヤウ)。―他(タ)。―作(サク)。―滅(メツ)/―由(イウ)。―専(せン)。―筆(ヒツ)。―己(コ)。―力(リキ)。―害(ガイ)。―問自答(―モンジタフ)/―餘(ヨ)。―物(モツ)。―慢(マン)。―称(せウ)。―水(スイ)入テ∨■死也。―愛(アイ)。―用(ヨウ)。―見(ケン)。―身。―今已後(―コンイゴ)。〔言辞門213六〜七〕
とあって、標記語「自然」の語を収載し、訓みを「ジネン」と記載する。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ヲモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「自然」とし、その語注記は、未記載にする。
往日(ワウジツ)ノ芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコブル)非ス‖胸中(ケウ―)ノ等閑(トウカン)ニ|、只自然(シゼン)懈怠(ケタイ)也恐(ヲソ)レ入候事 往日トハ日比(ヒゴロ)ト云心ロナリ。〔下十六ウ七〜八〕
只(たゝ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。/只自然之懈怠也 懈怠ハ皆おこたりと讀。道中(とうちう)のつかれかた/\によりおこりて無沙汰(ぶさた)したる也とそ。〔57オ二〜三〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。〔43オ二〜五〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。〔76ウ二〜六〕
Xijen.シゼン(自然) Moxi.(もし)ひよっとして.〔邦訳765r〕
し-ぜん「〔名〕【自然】(一)おのづから、然(しか)ること。天然(テンネン)。老子、廿五章「人法レ地、地法レ天、天法レ道、道法二自然一」、 (二)人力を以て左右する能はざる状。勢の、趣く所。史記、孝文紀「死者、天地之理、物之自然者、奚可二甚哀一」(三)天より享(う)けたる性。本性。天賦。太平記、二、爲明詠歌事「六義、數奇の道に携らねども、物類、相、感ずる事、皆、自然なれば、此歌一首の感に依りて、嗷問の責を止めける」(四)萬一の事の、出來たる場合。一旦、緩急ある時。平治物語、一、光頼卿參内事「桂右馬允範能に、膚に腹卷着せ、雜色の裝束に出立たせ、自然の事もあらば、人手にかくな、汝が手に懸けて」〔0895-3〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也〔経覺筆本〕
下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也()〔文明本〕
胸中(キヨウチウ・アタル/ムネ、ナカ)[平・平] 。〔態藝門855一〕
とあって、標記語「胸中」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
胸中(ケウチウ) 。〔弘・言語進退門177三〕〔永・言語門144九〕〔尭・言語門134六〕
とあって、標記語「胸中」の語を収載し、訓みを「(ケウ)チウ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、標記語「胸中」の語を未収載にする。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ヲモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「胸中」とし、その語注記は、未記載にする。
往日(ワウジツ)ノ芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコブル)非ス‖胸中(ケウ―)ノ等閑(トウカン)ニ|、只自然(シゼン)懈怠(ケタイ)也恐(ヲソ)レ入候事 往日トハ日比(ヒゴロ)ト云心ロナリ。〔下十六ウ七〜八〕
頗(すこふ)る胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)す/頗ル非‖胸中ノ等閑ニ| 心中よりなをさりにしたるにあらすと也。〔57オ一〜二〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。〔43オ二〜五〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。〔76ウ二〜六〕
Qeo>chu<.ケゥチュゥ(胸中) Muneno vchi.(胸の中)胸のうち,あるいは,内心.§Qeo>chu<ga firoi,l,xebai.(胸中が広い,または,狭い)知識,学問,技芸を多く身につけている,または,少ししか知らない.→Qio>chu<.〔邦訳488l〕
きょう-ちゅう〔名〕【胸中】むねのうち。こころ。おもひ。荘子、天地篇「機心存二乎胸中一、則純白不レ備」 蘇軾、實秉谷偃竹記「畫レ竹、必先得二成竹于胸中一」 太平記、四、呉越軍事「臣が胸中の安否を、存命の中に知しめ給へ」〔0500-2〕
芳恩(―ヲン) 。〔元亀二年本30三〕
芳恩(―ヲン) 。〔静嘉堂本30二〕
芳恩(ハウヲン) 。〔天正十七年本上16オ二〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也〔経覺筆本〕
下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也()〔文明本〕
芳恩(ハウヲン/カウバシ、イツクシ・ネンコロ)[平・平上] 。〔態藝門62七〕
とあって、標記語「芳恩」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
芳恩(ハウヲン) 。〔弘・言語進退門26二〕〔両・言語門24五〕
芳志(ハウシ) ―命(ハウメイ)。―菲(ヒ)/―枝(シ)。―墨(ホク)。―意(イ)。―詞(シ)。―翰(カン)。―言(コン)。―心(シン)。―約(ヤク)。―札(サツ)/―談(ダン)。―恩(ヲン)。―情(せイ)。―契(ケイ)。―問(モン)。―艶(エン)美女也。―存(ゾン)。―恵(ケイ)。〔永・言語門22六〕
芳志(――) ―命。―菲。―枝。―墨。―意/―詞。―翰。―言。―心。―約/―札。―談。―恩。―情。―契/―問。―艶美女也。―存。―恵。〔尭・言語門20五〕
とあって、標記語「芳恩」の語を収載し、訓みを「ハウヲン」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
芳恩(―イン) 。〔言語門20六〕
とあって、標記語「芳恩」の語を収載し、訓みを「ハウイン」とし、語注記は未記載にする。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ヲモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「芳恩」とし、その語注記は、未記載にする。
往日(ワウジツ)ノ芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコブル)非ス‖胸中(ケウ―)ノ等閑(トウカン)ニ|、只自然(シゼン)懈怠(ケタイ)也恐(ヲソ)レ入候事 往日トハ日比(ヒゴロ)ト云心ロナリ。〔下十六ウ七〜八〕
殆(ほと)んと往日(わうじつ)の芳恩(ハうおん)を忘(わする)るが如(こと)し。/殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往日ノ芳恩ヲ| 殆んと如しとハさも似(に)たりといふかことし。往日ハ過し日を云。芳恩ハ一(ひと)かたならぬよしはなり。〔56ウ八〜57オ一〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。▲芳恩ハ先方(せんばう)の深切(しんせつ)なる情(じやう)をいふ。〔43オ二〜六〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。▲芳恩ハ先方(せんはう)の深切(しんせつ)なる情(じやう)をいふ。〔76ウ二〜77オ一〕
Fo<uon.ハウオン(芳恩) Co<baxij megumi.(芳しい恩み)恩恵.§Fo<uonuo co<muru.(芳恩を蒙る)恩誼を受ける.→Vo<jit.〔邦訳266r〕
往日(―ジツ) 。〔元亀二年本88一〕
徃日(―ヂツ) 。〔静嘉堂本108五〕
× 。〔天正十七年本〕〔西來寺本〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也〔経覺筆本〕
下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也()〔文明本〕
徃日 晨夜分/ワウシツ。〔黒川本・疉字門上72オ八〕
徃古 〃來。〃還。〃反。〃年。〃月。〃複。〃昔。〃代。〃事。〃詣。〔卷第三・疉字門131三〕
往日(ワウジツ/ユク、ヒ)[上・入] 。〔態藝門238七〕
とあって、標記語「往日」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
往日(―ジツ) 。〔弘・時節門70四〕
往日(―ジツ) ―哲(テツ)。―覆(フク)。―返(ヘン)。―還(クハン)。―復(フク)。―昔(シヤク)。―生(シヤウ)。―古(ゴ)。―代(タイ)。/―来(ライ)。―亊(ジ)。―年(ネン)。―箕(ジ)。〔永・言語門71八〕
徃日(ワウシツ) ―哲。―覆。―返。―還。―復。―昔。―生/―古。―代。―来。―亊。―年。―時。〔尭・言語門65五〕
往日(ワウジツ) ―還。―昔。―古。―来/―亊。―年。―時。〔両・言語門77八〕
とあって、標記語「往日」の語を収載し、訓みを「(ワウ)ジツ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』には、標記語「往日」の語を未収載にする。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ヲモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「往日」とし、その語注記は、未記載にする。
往日(ワウジツ)ノ芳恩(ハウヲン)ヲ|頗(スコブル)非ス‖胸中(ケウ―)ノ等閑(トウカン)ニ|、只自然(シゼン)懈怠(ケタイ)也恐(ヲソ)レ入候事 往日トハ日比(ヒゴロ)ト云心ロナリ。〔下十六ウ七〜八〕
往日(わうじつ)芳恩(ハうおん)を忘(わする)るが如(こと)し/殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往日ノ芳恩ヲ| 殆んと如しとハさも似(に)たりといふかことし。往日ハ過し日を云。芳恩ハ一(ひと)かたならぬよしはなり。〔56ウ八〜57オ一〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。▲徃日ハ過(すぎ)し日也。〔43オ二〜六〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。▲徃日ハ過(すぎ)し日也。〔76ウ二〜77オ一〕
Vo<jit.ワウジツ(往日) 過ぎ去った時期,または,日々.§Vo<jitno fo<uonuo vasururu.(往日の芳恩を忘るる)文書語.主君などから受けた以前の恩恵を忘れる.※殆如忘往日芳恩(庭訓往来,八月徃状).〔邦訳707r〕
わう-じつ〔名〕【往日】(一)往(い)にし日。過ぎ去りし日。先日。過日。曩日。禮記、上篇「生與(カゾヘ)二來日一、死與フ二往日一」(二)むかし。徃昔。曩昔。 白居易詩「今日心情如二往日一」〔2157-5〜2158-1〕
下着(―ヂヤク) 。〔元亀二年本213四〕
下着(―チヤク) 。〔静嘉堂本242四〕
下着(―シヤク) 。〔天正十七年本中50ウ四〕
下着以後久不啓案内之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候之抑洛陽静謐田舎○{無爲}貴邊御本望也愚身快樂可被察候也〔至徳三年本〕
下着以後久不啓案内之條殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然懈怠也恐入候恐入候抑洛陽静謐田舎無爲貴邊御本望也愚心快樂可被察也〔宝徳三年本〕
下着以後久不啓案内候之条殆如忘往日芳恩頗非胸中等閑只自然之懈怠也恐入候抑洛陽静謐田舎無為貴邊御本望也愚身快樂可被察也〔建部傳内本〕
下-着已-後久不ル∨啓‖案-内ヲ|之條、殆ント如シ∨忘ルヽカ‖往-日ノ芳-恩ヲ|頗ル非ス‖胸-中ノ等-閑ニ|只自-然ノ之懈怠也恐_入候抑洛-陽静-謐田-舎無-爲貴-邊ノ御本-望也愚-身ノ快-樂可∨被∨察也〔山田俊雄藏本〕
下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也〔経覺筆本〕
下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也()〔文明本〕
下著(ゲチヤク・アラワス/カ・シタ、ツク)[去・入] 。〔態藝門597八〕
とあって、標記語「下着」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
下着(―チヤク) 。〔弘・言語進退門176三〕
下品(ゲボン) ―向(カウ)。―知(ヂ)。―行(ギヤウ)。―桴(コク)/―直(ジキ)。―劣(レツ)。―着(チヤク)。―輩(ハイ)。下戸(ゲコ)。―少(せウ)。/―用(ヨウ)。―臈(ラウ)。〔永・言語門144四〕
下品(ゲホン) ―向。―知。―行。―国。―直。―劣/―着。―輩。―戸。―用。―臈。――。〔尭・言語門134二〕
とあって、標記語「下着」の語を収載し、訓みを「(ケ)チヤク」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
下行(ゲキヤウ) ―賤(せン)。―根(コン)。―知(ヂ)。―國(コク)。―馬(バ)。―座(サ)。―戸(コ)/―用(ヨウ)。―品(ホン)。―向(カウ)。―劣(レツ)。―剋上(コクシヤウ)。―直(ヂキ)。〔言辞門145六〕
とあって、標記語「下行」の語を収載し、冠頭字「下」の熟語群にも「下着」の語を未収載にする。
438下着以後、久不∨啓‖案内ヲ|候条、殆{入道ニト云詞也}如∨忘‖往日ノ芳恩ヲ|。頗(スコムル)非‖胸中ノ等閑ニ|、只自然之懈怠也。恐入候。抑(ヲモ々々)洛-陽静-謐{東都鎌倉ヲ云也}、田舎無-爲、貴邊ノ御本望也。愚身ノ快-樂可∨被可∨察也。就∨中御引付ノ沙汰 先代定沙汰也。〔謙堂文庫蔵四三右B〕
とあって、標記語を「下着」とし、その語注記は、未記載にする。
下着(チヤク)已後(イコ)、久ク不ルノ∨啓(ケイ)せ‖案内(アン―)ヲ|之条 下着(ゲチヤク)トハ洛中ヨリ鄙(イナカ)ヘ下ル事ナリ。〔下十六ウ六〕
下着(げちやく)以後(いご)/下着以後 洛中よりおのか領地(れうち)へ帰りたるを下着といふ。〔56ウ七〕
下著(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く案内(あんない)を啓(けい)せ不(ざ)る之(の)條(でう)殆(ほとんど)往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を忘(わす)るるが如(ごと)し。頗(すこぶる)胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に非(あら)ず。只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくよう)静謐(せいひつ)田舎(いなか)無爲(ぶゐ)貴邊(きへん)乃本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)察(さつ)せら被(る)可(べ)き也(なり)。/下着以後。久ク不ル∨啓せ‖案内ヲ|之條、殆如シ∨忘ルヽガ‖往日ノ芳恩ヲ|頗非ズ‖胸中ノ等閑ニ|。只自然之懈怠也。恐レ入リ候フ。抑洛-陽静-謐。田舎無爲。貴邊ノ本望也。愚身快-樂可キ∨被∨察セラ也。▲下着ハ都(ミやこ)より田舎(ゐなか)へくだり着(つ)くをいふ。〔43オ二〜六〕
下着(げちやく)以後(いご)久(ひさし)く不(ざ)る∨啓(けい)せ‖案内(あんない)を|之(の)條(でう)殆(ほとんど)如(ごと)し∨忘(わす)るゝが‖往日(わうじつ)の芳恩(はうおん)を|頗(すこふる)非(あら)す‖胸中(けうちう)の等閑(とうかん)に|、只(たゞ)自然(しぜん)之(の)懈怠(けだい)也(なり)。恐(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。抑(そも/\)洛陽(らくやう)静謐(せいひつ)田舎(ゐなか)無爲(ぶい)貴邊(きへん)の本望(ほんまう)也(なり)。愚身(ぐしん)の快樂(けらく)可(べ)き∨被(る)∨察(さつ)せら也(なり)。▲下着ハ都(ミやこ)より田舎(ゐなか)へくだり着(つ)くをいふ。〔76ウ二〜77オ一〕
Guechacu.ゲチヤク(下着) Cudaritcuqu.(下り着く)都(Miyaco),または,その他上方(かみがた)の地方から来て到着すること.〔邦訳294l」〕
げ-ちやく〔名〕【下着】くだり、つくこと。都より、田舎の地へ到りつくこと。保元物語、二、爲義降參事「それは、東國へ下着しての事ぞかし」〔0613-4〕
七月日 紀〔至徳三年本〕
七月 日 紀〔宝徳三年本〕
七月日 紀〔建部傳内本〕
七月日 宮内少輔清原〔山田俊雄藏本〕
七月日 紀〔経覺筆本〕
七月日 紀〔文明本〕
清原(キヨハラ) 邉ハ或ハ作ス∨綴ニ也。〔絹布門96六〕
とあって、標記語「清原」の語を収載し、語注記に「邉は、或は綴に作す」と記載する。次に広本『節用集』には、
清原(キヨハラ/ナヲシ、ツヾル)[上入・入] 。〔絹布門162二〕
とあって、標記語「清原」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
清原(キヨハラ) 衣。〔弘・財宝門50五〕〔尭・財宝門47五〕〔両・財宝門56二〕
清原(キヨハラ) 。〔永・財宝門52二〕
とあって、標記語「清原」の語を収載し、訓みを「キヨハラ」とし、語注記は三本に「衣」と記載する。また、易林本『節用集』に、
清原(キヨハラ) 。〔食服門50四〕
とあって、標記語「清原」の語を収載し、訓みは「キヨハラ」とする。
437七月 日 宮内少輔清原 〔謙堂文庫蔵四三右@〕
とあって、標記語を「清原」とし、その語注記は未記載にしている。この「宮内少輔清原」については、今のところ、手がかりとなる史料を見出していない。後日の調査に委ねておく。
七月日 紀(キ)/謹言 大藏丞(ヲホクラゼフ)殿〔下十六ウ四〜五〕
七月 日 紀(き)/謹上/大蔵(おほくら)の丞(ぜう)殿(との)/七月日 紀(キ)/謹言 大藏丞(ヲホクラゼフ)殿。〔56ウ五〜六〕
七月(シチグハつ)の日(ひ) 紀(き)/謹上(きんじやう)/大蔵(おほくら)の丞(じよう)殿(どの)/七月ノ日。 紀。/謹言。 大藏ノ丞。殿。▲大蔵丞ハ大小あり。六位の侍(さむらひ)これに任(にん)ず。唐名(からな)ハ大府郎中(たいふらうちう)といふ。〔42ウ七〜八〕
七月 日 紀(き)/謹上/大蔵(おほくら)の丞(ぜう)殿(との)/七月(しちぐわつ)の日(ひ) 紀(き)/謹上(きんしやう) 大藏丞(おほくらのじよう)殿(どの)▲大蔵丞ハ大小あり。六位の侍(さむらひ)これに任(にん)す。唐名(からな)ハ大府郎中(たいふらうちう)といふ。〔76オ四〜六〕
七月日 紀〔至徳三年本〕
七月 日 紀〔宝徳三年本〕
七月日 紀〔建部傳内本〕
七月日 宮内少輔清原〔山田俊雄藏本〕
七月日 紀〔経覺筆本〕
七月日 紀〔文明本〕
437七月 日 宮内少輔清原 〔謙堂文庫蔵四三右@〕
とあって、標記語を「紀」の語は未収載であって、代わって「宮内少輔清原」の語を収載し、その語注記は、未記載にする。なぜ、真字注だけがこのように異なっているのか不思議なところでもある。
七月日 紀(キ)/謹言 大藏丞(ヲホクラゼフ)殿〔下十六ウ四〜五〕
七月 日 紀(き)/謹上/大蔵(おほくら)の丞(ぜう)殿(との)/七月日 紀(キ)/謹言 大藏丞(ヲホクラゼフ)殿。〔56ウ五〜六〕
七月(シチグハつ)の日(ひ) 紀(き)/謹上(きんじやう)/大蔵(おほくら)の丞(じよう)殿(どの)/七月ノ日。 紀。/謹言。 大藏ノ丞。殿。▲大蔵丞ハ大小あり。六位の侍(さむらひ)これに任(にん)ず。唐名(からな)ハ大府郎中(たいふらうちう)といふ。▲紀氏(うぢ)ハ伊弉諾尊(いざなぎのみこと)より四世~皇彦霊尊(かんむすびのみこと)是其祖~(そじん)にして武内宿禰(たけのうちのすくね)を始とする歟。〔42ウ七〜八〕
七月 日 紀(き)/謹上/大蔵(おほくら)の丞(ぜう)殿(との)/七月(しちぐわつ)の日(ひ) 紀(き)/謹上(きんしやう) 大藏丞(おほくらのじよう)殿(どの)▲大蔵丞ハ大小あり。六位の侍(さむらひ)これに任(にん)す。唐名(からな)ハ大府郎中(たいふらうちう)といふ。▲紀氏(うぢ)ハ伊弉諾尊(いざなぎのみこと)より四世~皇彦霊尊(かんむすびのミこと)是其祖~(そじん)にして武内宿禰(たけのうちのすくね)を始とする歟。〔76オ四〜六〕
不覺(―カク) 。〔元亀二年本221七〕
不覚(――) 。〔静嘉堂本253一〕
不覚(フカク) 。〔天正十七年本中55ウ六〕
龍乕梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大皷鞨皷征皷三皷調抜子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也可被存知者歟謹言〔至徳三年本〕
龍乕梅竹唐繪一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大鼓鞨皷征皷三皷調抜子等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參若有損失者生涯之不覺也。可被存知者歟恐々謹言〔宝徳三年本〕
龍虎梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴琵琶方磬尺八大鼓鞨鼓征鼓三皷調拍子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也。可被存知者歟恐々謹言〔建部傳内本〕
龍虎梅竹ノ唐繪一對并ニ横(ヨコ)笛笙(セウ)篳篥(ヒチリキ)和琴琴(コト)琵琶(ビワ)方磬尺八大皷(コ)鞨皷(カツ―)征皷三ノ皷(ツヽミ)調拍子(トヒヤウ―)振皷等同被ル三尋二_下之ヲ一、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可シ∨被‖持參せ|。若有テ‖損失(ソン―)|者生涯ノ之不覚也。可∨被‖存知せ|者歟。恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
竜虎梅竹ノ唐繪(ヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン)琵琶(ヒワ)方磬(ケイ)尺八太皷鞨皷(カツコ)三皷調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリコ)等同ジク被∨尋‖_下之ヲ|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若シ有‖損失|者生涯之不覚也。可∨被‖存知|者歟。恐々謹言〔経覺筆本〕
龍乕(レウコ)梅竹唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコフヱ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワコン)琵琶(ヒハ)方磬(ハウケイ)尺八太鼓(コ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三皷(サンノ―)調拍子(トヒヤウ―)摺鼓(スリツヽミ)等同被∨尋‖下∨之|用竭(ツキ)亊_終(ヲワ)ラハ者不日ニ可∨被‖持參せ|。有‖損失(ソンシツ)|者生涯(カイ)之不覚(フカク)也可被‖存知|者歟謹言〔文明本〕
不覺 人情部/フカク〔黒川本・疉字門中106オ七〕
不羈(―キ) 〃覺。〃通。〃用。〃審。〃断。〃日。〃善。〃調。〃了。〃意。〃慮。〃和。〃合。〃次一作翅。〃幸。〃運。〃澤。〃諧。〃肖〓同。〃便。〃熟。〃登。〃祥。〃定。〃朽。〃仕。〃足。〃享キヤウ。〃請。〃義。〃欽ツヽシマス。〃虞。〃易エキ。〃忠。〃敵。〃圖。〃善。〃當。〃具。〃遇。〃孝ケウ。〃請。〃備。〃情せイ。〃快。〃別。〃思議。〃中用。〃足言。〃周風西北風也。〔卷第七・疉字門79四〕
不覺(―カク) 失錯ノ之義ナリ也。〔態藝門96六〕
とあって、標記語「不覺」の語を収載し、語注記に「失錯の義なり」と記載する。次に広本『節用集』には、
不覺(フカク・アラズ、サムル/フウ・イナヤ、ヲボウ・サトル)[平・入] 失錯(シツシヤク)義同。〔態藝門628二・三〕
とあって、『下學集』の語および注記を継承し、標記語「不覺」の語を収載し、語注記は、「失錯の義同じ」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
不覚(―カク) 失錯(シツシヤク)義。〔弘・言語進退門181七〕
不慮(フリヨ) 《前略》―覺(―カク) 失錯義。《後略》 。〔永・言語門149四〕
不慮(フリヨ) 《前略》―覺 。《後略》 。〔尭・言語門139四〕
とあって、『下學集』の語および注記を継承し、標記語「不覚」の語を収載し、訓みを「フカク」とし、語注記は二本に「失錯義」と記載する。また、易林本『節用集』に、
不審(フシン) 《前略》―覺(―カク) 。《後略》 。〔言辞門151一〕
とあって、標記語「不審」の語を収載し、冠頭字「不」の熟語群として「不覚」の語を収載する。
436同被∨尋‖_下之|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若有ハ‖損失|者生涯{イキタルキワトヨム折角ノ亊也}之不覚也。能々可被‖存知|者歟。恐々謹言 〔謙堂文庫藏四二左H〕
とあって、標記語を「不覚」とし、その語注記は、未記載にする。
生涯(カイ)之不覺(フカク)也。可∨被‖存知|歟 生涯(ガイ)ト云事。イキタルキワト讀(ヨム)折角(せツカク)ナル事ナリ。〔下十六ウ三〜四〕
生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也/生涯之不覺也 生涯ハ一生をいふなり。〔56オ五〜六〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に方磬(よこふえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の鼓(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゞミ)等(とう)同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つ)き事(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に持參(ぢさん)せら被(る)可(べ)し。損失(そんしつ)有(あ)ら者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。存知(ぞんち)せら被(る)可(べ)き者(もの)歟(か)恐恐(きやう/\)謹言(きんげん)/龍虎梅竹ノ唐絵一對。并ニ横笛。笙。篳篥和琴。筝。琵琶。方磬。尺八。太皷。鞨皷。鉦皷。二ノ皷。銅糺子。摺皷等同ク被∨尋ネ‖_下サ|之ヲ。用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覚也。可キ∨被‖存知せラ|者歟。恐々謹言。〔41ウ八〜42オ七〕
龍虎(りようこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこぶえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太皷(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の皷(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゝミ)等(とう)同(おなじ)く被(る)∨尋(たづ)ね‖_下(くだ)さ|之(これ)を用(よう)竭(つ)き亊(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に可(べ)し∨被(る)‖持參(ぢさん)せら|有(あ)ら‖損失(そんしつ)|者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。可可(べ)き∨被(る)‖存知(ぞんち)せら|者(もの)歟(か)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)。〔74ウ二〜75オ五〕
Fucacu.フカク(不覚) 前もって準備してなかったための名折れや不名誉や失敗.§Fucacuuo caqu.(不覚をかく)何か失敗などをしたために,面目を失う,あるいは,侮辱をこうむる.〔邦訳269l〕
ふ-かく〔名〕【不覺】〔不覺悟の略か〕(一)覺悟の慥ならぬこと。物も覺えぬさまなること。大鏡、中、道兼「さばかりの重き病を受け給ひてければ、云云、ことの外に不覺になり給ひにけりと見え給ひながら」「前後不覺」(二)怠りて、だしぬかるること。油斷。不注意。不覺悟。平家物語、一、鵜川合戰事「先先の目代は、皆不覺でこそ卑しまれた」(三)しくじり。失敗。又、なをれ。不面目。不名譽。下學集、下、言辞門「不覺、フカク、失錯之義也」平家物語、九、木曾最後事「弓矢取りは年比日比、いかなる高名候へども、最後に不覺しぬれば、長き瑕にて候なり」源平盛衰記、十八、仙洞管絃事「昇殿を免さるる事は、高名にこそ依る事なるに、資行は不覺を現じて大床に上る」十訓抄、下、第十、第五十六條「若し不覺かきたらば、申し行ひたりける人を射んが爲なりとぞ、答へける」(四)卑怯なること。臆病なること。謡曲、咸陽宮「身體わななき手を押して、上りかねてぞ休らひける、ああ不覺なりとよ秦舞陽」(五)思はず知らずなること。無意識。謡曲、七騎落「只今の御物語を聞き候ひて、落涙仕りて候ふを、さぞ人人の不覺の涙とや思し召すらん」〔1725-2〕
損失(―シツ) 。〔元亀二年本153五〕〔静嘉堂本167八〕〔天正十七年本中15ウ一〕
龍乕梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大皷鞨皷征皷三皷調抜子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也可被存知者歟謹言〔至徳三年本〕
龍乕梅竹唐繪一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大鼓鞨皷征皷三皷調抜子等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參若有損失者生涯之不覺也。可被存知者歟恐々謹言〔宝徳三年本〕
龍虎梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴琵琶方磬尺八大鼓鞨鼓征鼓三皷調拍子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也。可被存知者歟恐々謹言〔建部傳内本〕
龍虎梅竹ノ唐繪一對并ニ横(ヨコ)笛笙(セウ)篳篥(ヒチリキ)和琴琴(コト)琵琶(ビワ)方磬尺八大皷(コ)鞨皷(カツ―)征皷三ノ皷(ツヽミ)調拍子(トヒヤウ―)振皷等同被ル三尋二_下之ヲ一、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可シ∨被‖持參せ|。若有テ‖損失(ソン―)|者生涯ノ之不覚也。可∨被‖存知せ|者歟。恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
竜虎梅竹ノ唐繪(ヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン)琵琶(ヒワ)方磬(ケイ)尺八太皷鞨皷(カツコ)三皷調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリコ)等同ジク被∨尋‖_下之ヲ|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若シ有‖損失|者生涯之不覚也。可∨被‖存知|者歟。恐々謹言〔経覺筆本〕
龍乕(レウコ)梅竹唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコフヱ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワコン)琵琶(ヒハ)方磬(ハウケイ)尺八太鼓(コ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三皷(サンノ―)調拍子(トヒヤウ―)摺鼓(スリツヽミ)等同被∨尋‖下∨之|用竭(ツキ)亊_終(ヲワ)ラハ者不日ニ可∨被‖持參せ|。有‖損失(ソンシツ)|者生涯(カイ)之不覚(フカク)也可被‖存知|者歟謹言〔文明本〕
損失(ソンシツ/ソコナウ、ウシナフ)[上・入] 。〔態藝門404六〕
とあって、標記語「損失」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
損失(ソンシツ) 。〔弘・言語進退門123四〕
損失(ソンシツ) ―亡。〔永・言語門101九〕
損失(ソンシツ) ―亡。―免/―料。〔尭・言語門92三〕〔両・言語門112五〕
とあって、標記語「損失」の語を収載し、訓みを「ソンシツ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
損益(ソンヱキ) ―得(トク)。―免(メン)。―亡(ハウ)。―失(シツ)。〔言辞門100六・七〕
とあって、標記語「損益」の語を収載し、冠頭字「損」の熟語群として最後に「損失」の語を収載する。
436同被∨尋‖_下之|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若有ハ‖損失|者生涯{イキタルキワトヨム折角ノ亊也}之不覚也。能々可被‖存知|者歟。恐々謹言 〔謙堂文庫藏四二左H〕
とあって、標記語を「損失」とし、その語注記は、未記載にする。
不日ニ可シ∨被‖持參(チサン)|有ラ‖損失(−ンジツ)|者 不日ト云事ハ其日ノ事ナリ。〔下十六ウ二・三〕
損失(そんしつ)有(あ)ら者(ハ)/有ラハ‖損失|者 やふれそこねるを損と云。とりうしなうを失と云。〔56オ五〜六〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に方磬(よこふえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の鼓(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゞミ)等(とう)同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つ)き事(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に持參(ぢさん)せら被(る)可(べ)し。損失(そんしつ)有(あ)ら者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。存知(ぞんち)せら被(る)可(べ)き者(もの)歟(か)恐恐(きやう/\)謹言(きんげん)/龍虎梅竹ノ唐絵一對。并ニ横笛。笙。篳篥和琴。筝。琵琶。方磬。尺八。太皷。鞨皷。鉦皷。二ノ皷。銅糺子。摺皷等同ク被∨尋ネ‖_下サ|之ヲ。用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覚也。可キ∨被‖存知せラ|者歟。恐々謹言。〔41ウ八〜42オ七〕
龍虎(りようこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこぶえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太皷(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の皷(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゝミ)等(とう)同(おなじ)く被(る)∨尋(たづ)ね‖_下(くだ)さ|之(これ)を用(よう)竭(つ)き亊(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に可(べ)し∨被(る)‖持參(ぢさん)せら|有(あ)ら‖損失(そんしつ)|者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。可可(べ)き∨被(る)‖存知(ぞんち)せら|者(もの)歟(か)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)。〔74ウ二〜75オ五〕
Sonxit.ソンシツ(損失) Son(損)に同じ.損失,あるいは,被害.〔邦訳574l〕
そん-しつ〔名〕【損失】(一)そんまう(損亡)に同じ。楊雄、豫州牧箴「靡レ哲靡レ聖、損二失其正一」(二)物を損ひ、又は、失ふこと。失損。後漢書、和帝紀「芻藁若∨所‖損失|」 庭訓往来、七月「用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覺也」〔1164-4〕
龍乕梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大皷鞨皷征皷三皷調抜子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也可被存知者歟謹言〔至徳三年本〕
龍乕梅竹唐繪一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大鼓鞨皷征皷三皷調抜子等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參若有損失者生涯之不覺也。可被存知者歟恐々謹言〔宝徳三年本〕
龍虎梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴琵琶方磬尺八大鼓鞨鼓征鼓三皷調拍子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也。可被存知者歟恐々謹言〔建部傳内本〕
龍虎梅竹ノ唐繪一對并ニ横(ヨコ)笛笙(セウ)篳篥(ヒチリキ)和琴琴(コト)琵琶(ビワ)方磬尺八大皷(コ)鞨皷(カツ―)征皷三ノ皷(ツヽミ)調拍子(トヒヤウ―)振皷等同被ル三尋二_下之ヲ一、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可シ∨被‖持參せ|。若有テ‖損失(ソン―)|者生涯ノ之不覚也。可∨被‖存知せ|者歟。恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
竜虎梅竹ノ唐繪(ヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン)琵琶(ヒワ)方磬(ケイ)尺八太皷鞨皷(カツコ)三皷調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリコ)等同ジク被∨尋‖_下之ヲ|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若シ有‖損失|者生涯之不覚也。可∨被‖存知|者歟。恐々謹言〔経覺筆本〕
龍乕(レウコ)梅竹唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコフヱ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワコン)琵琶(ヒハ)方磬(ハウケイ)尺八太鼓(コ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三皷(サンノ―)調拍子(トヒヤウ―)摺鼓(スリツヽミ)等同被∨尋‖下∨之|用竭(ツキ)亊_終(ヲワ)ラハ者不日ニ可∨被‖持參せ|。有‖損失(ソンシツ)|者生涯(カイ)之不覚(フカク)也可被‖存知|者歟謹言〔文明本〕
不日(フジツ) 。〔弘・時節門179三、言語進退182三〕
不日(フジツ) 。〔永・言語門149三〕
不日(――) 。〔尭・言語門139三〕
とあって、標記語「不日」の語を収載し、訓みを「フジツ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
不日(フジツ) 。〔言語門151一〕
とあって、標記語「不日」の語を収載し、訓みは「フジツ」とする。
436同被∨尋‖_下之|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若有ハ‖損失|者生涯{イキタルキワトヨム折角ノ亊也}之不覚也。能々可被‖存知|者歟。恐々謹言 〔謙堂文庫藏四二左H〕
とあって、標記語を「不日」とし、その語注記は、未記載にする。
不日ニ可シ∨被‖持參(チサン)|有ラ‖損失(−ンジツ)|者 不日ト云事ハ其日ノ事ナリ。〔下十六ウ二・三〕
同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つき)事(こと)終(おわ)らハ不日(ふじつ)に持參(ちさん)せ被(らる)可(へ)し/同被ル∨尋‖_下之ヲ|、用竭キ事_終ラハ者、不日可∨被‖持參セ| 不日とハ時刻(しこく)を移(うつ)さぬ事也。〔56オ五〜六〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に方磬(よこふえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の鼓(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゞミ)等(とう)同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つ)き事(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に持參(ぢさん)せら被(る)可(べ)し。損失(そんしつ)有(あ)ら者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。存知(ぞんち)せら被(る)可(べ)き者(もの)歟(か)恐恐(きやう/\)謹言(きんげん)/龍虎梅竹ノ唐絵一對。并ニ横笛。笙。篳篥和琴。筝。琵琶。方磬。尺八。太皷。鞨皷。鉦皷。二ノ皷。銅糺子。摺皷等同ク被∨尋ネ‖_下サ|之ヲ。用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覚也。可キ∨被‖存知せラ|者歟。恐々謹言。▲不日ハ日をのばさずといふこと。〔42ウ三・四〕
龍虎(りようこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこぶえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太皷(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の皷(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゝミ)等(とう)同(おなじ)く被(る)∨尋(たづ)ね‖_下(くだ)さ|之(これ)を用(よう)竭(つ)き亊(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に可(べ)し∨被(る)‖持參(ぢさん)せら|有(あ)ら‖損失(そんしつ)|者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。可可(べ)き∨被(る)‖存知(ぞんち)せら|者(もの)歟(か)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)▲不日ハ日(ひ)をのばさずといふこと。〔74ウ二〜75オ五〕
Fujit.フジツ(不日) Finarazu.(日ならず)決定していない日.§Fujitni sanji subexi.(不日に参寺すべし)私は日をきめないで寺(Tera)へ参ろう.文書語.§また,直ちに遅滞なく.〔邦訳273r〕
ふ-じつ〔副〕【不日】日ならず。多くの日を歴ずして。詩経、大雅、文王の什、靈臺篇「經始二靈臺一、經レ之營レ之、庶民攻レ之、不日成レ之」 宇治拾遺物語、四、第十七條「郡司、一家ひろきものなれば、人數をおこして、不日に戒壇ヲ築きてけりとぞ」〔1746-3〕
歛伯子(―ビヤウシ) 。〔元亀二年本58十〕
歛拍子(トヒヤウシ) 。〔静嘉堂本67一〕
土拍子(トヒヤウシ) 。〔天正十七年本上34オ六〕〔西來寺本〕
龍乕梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大皷鞨皷征皷三皷調抜子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也可被存知者歟謹言〔至徳三年本〕
龍乕梅竹唐繪一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大鼓鞨皷征皷三皷調抜子等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參若有損失者生涯之不覺也。可被存知者歟恐々謹言〔宝徳三年本〕
龍虎梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴琵琶方磬尺八大鼓鞨鼓征鼓三皷調拍子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也。可被存知者歟恐々謹言〔建部傳内本〕
龍虎梅竹ノ唐繪一對并ニ横(ヨコ)笛笙(セウ)篳篥(ヒチリキ)和琴琴(コト)琵琶(ビワ)方磬尺八大皷(コ)鞨皷(カツ―)征皷三ノ皷(ツヽミ)調拍子(トヒヤウ―)振皷等同被ル三尋二_下之ヲ一、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可シ∨被‖持參せ|。若有テ‖損失(ソン―)|者生涯ノ之不覚也。可∨被‖存知せ|者歟。恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
竜虎梅竹ノ唐繪(ヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン)琵琶(ヒワ)方磬(ケイ)尺八太皷鞨皷(カツコ)三皷調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリコ)等同ジク被∨尋‖_下之ヲ|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若シ有‖損失|者生涯之不覚也。可∨被‖存知|者歟。恐々謹言〔経覺筆本〕
龍乕(レウコ)梅竹唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコフヱ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワコン)琵琶(ヒハ)方磬(ハウケイ)尺八太鼓(コ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三皷(サンノ―)調拍子(トヒヤウ―)摺鼓(スリツヽミ)等同被∨尋‖下∨之|用竭(ツキ)亊_終(ヲワ)ラハ者不日ニ可∨被‖持參せ|。有‖損失(ソンシツ)|者生涯(カイ)之不覚(フカク)也可被‖存知|者歟謹言〔文明本〕
銅糺子(/トウハツ) トヒウシ。糺即鉢也。頓拍子 同。〔黒川本・雜物上46オ五〕
銅糺子 トヒカウシ。糺。銅鉢子 已上同。〔卷第二・雜物上392三〕
土拍子(ドビヤウシ) 。〔器財門112二〕
とあって、標記語「土拍子」の語を収載し、語注記は未記載にする。次に広本『節用集』には、
土拍子(トビヤウシ/ツチ、ハク・ウツ、コ)[上・入・上] 。〔器財門130八〕
とあって、標記語「土拍子」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
歛拍子(トビヤウシ) 。〔弘・財宝門43六〕
土拍子(トヒヤウシ/―ヒヤク―) 。〔永・財宝門44五〕
土拍子(トヒヤウシ) 。〔尭・財宝門40九〕
歛拍子(トヒヤウシ) 。〔両・財宝門48六〕
とあって、標記語「土拍子」の語を収載し、訓みを「トヒヤウシ」「トビヤウシ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
土拍子(トビヤウシ) 。〔食服門43三〕
とあって、標記語「土拍子」の語を収載し、訓みは「トビヤウシ」とする。
435調(ト)拍子摺鼓等 仁王四十六代孝謙天王ニ始。孝謙ハ女帝也。孝謙得‖道鏡ノ大物|歓喜之餘大ニ呼之声ヲ听厭而百官摺鼓ヲ打ト云々也。〔謙堂文庫藏四二左E〕
とあって、標記語を「調拍子」とし、その語注記は、未記載にする。
調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリツヽミ)等同ク被ル∨尋(タツネ)‖_下|之ヲ。用竭(ツ)キ亊_終(ヲハ)ラ者(ハ) 調拍子(トヒヤウシ)ハ。常(ツネ)ニ持テ摺(スル)ナリ。〔下十六オ五〜七〕
調拍子(とひやうし)/調拍子 繞(ねよう)のことく小き物也。〔56オ六〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に方磬(よこふえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の鼓(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゞミ)等(とう)同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つ)き事(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に持參(ぢさん)せら被(る)可(べ)し。損失(そんしつ)有(あ)ら者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。存知(ぞんち)せら被(る)可(べ)き者(もの)歟(か)恐恐(きやう/\)謹言(きんげん)/龍虎梅竹ノ唐絵一對。并ニ横笛。笙。篳篥和琴。筝。琵琶。方磬。尺八。太皷。鞨皷。鉦皷。二ノ皷。銅糺子。摺皷等同ク被∨尋ネ‖_下サ|之ヲ。用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覚也。可キ∨被‖存知せラ|者歟。恐々謹言。▲銅糺子ハもと西戎(せいじう)より出つ綿数(わたかす)寸薄金(すんうすがね)を以て圓(まろ)く作り正中(まんなか)に革紐(かハひも)を通(とふ)し二枚(まい)撃合(うちあハ)て音(ね)を發(はつ)す。〔42ウ二〜三〕
龍虎(りようこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこぶえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太皷(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の皷(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゝミ)等(とう)同(おなじ)く被(る)∨尋(たづ)ね‖_下(くだ)さ|之(これ)を用(よう)竭(つ)き亊(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に可(べ)し∨被(る)‖持參(ぢさん)せら|有(あ)ら‖損失(そんしつ)|者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。可可(べ)き∨被(る)‖存知(ぞんち)せら|者(もの)歟(か)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)▲銅糺子ハもと西戎(せいじう)より出(い)づ。綿数(わたかす)寸薄金(こんうすがね)を以て作り正中(まんなか)に革紐(かハひも)を通(とふ)し二枚(まい)撃合(うちあハ)して音(ね)を發(はつ)す。〔75ウ四〜五〕
Tobio<xi.トビャゥシ(銅拍子) Mico(神子)と呼ばれるある女人が,~(Cami)の前で鳴らす鈴.§Tobio<xiuo auasuru.(銅拍子を合はする)この振鈴を奏する.※原文はSestros.〔Nho>fachiの注〕〔邦訳652l〕
ど-びゃうし〔名〕【銅拍子】〔銅糺子(どうばちし)の轉か〕(一)又、どんびゃうし。樂器の名。形、繞糺(ねうはち)の如くにして小さく、眞鑄にて作る。拾芥抄、上末、樂器「銅拍子、ドビャウシ」 下學集、下、樂器門「土拍子、ドビヤウシ」 歌舞品目、三、八音紀原「銅拍子、此器は、迦陵頻の舞に用ゆる者にして、西城の樂器也」 吾妻鏡、六、文治二年四月八日、靜安、鶴岡舞「工藤左衛門尉祐經、鼓、畠山次郎重忠、銅拍子」(節文)」 十訓抄、中、第七、廿四條「鼓、どんびやうし取出でよとて、御前も侍も舞ひかなでてぞ出でにける、目もあやなり」 (二)蓴菜の異名。葉の形、似たれば云ふ。(和州)〔1416-5〕
龍乕梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大皷鞨皷征皷三皷調抜子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也可被存知者歟謹言〔至徳三年本〕
龍乕梅竹唐繪一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大鼓鞨皷征皷三皷調抜子等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參若有損失者生涯之不覺也。可被存知者歟恐々謹言〔宝徳三年本〕
龍虎梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴琵琶方磬尺八大鼓鞨鼓征鼓三皷調拍子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也。可被存知者歟恐々謹言〔建部傳内本〕
龍虎梅竹ノ唐繪一對并ニ横(ヨコ)笛笙(セウ)篳篥(ヒチリキ)和琴琴(コト)琵琶(ビワ)方磬尺八大皷(コ)鞨皷(カツ―)征皷三ノ皷(ツヽミ)調拍子(トヒヤウ―)振皷等同被ル三尋二_下之ヲ一、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可シ∨被‖持參せ|。若有テ‖損失(ソン―)|者生涯ノ之不覚也。可∨被‖存知せ|者歟。恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
竜虎梅竹ノ唐繪(ヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン)琵琶(ヒワ)方磬(ケイ)尺八太皷鞨皷(カツコ)三皷調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリコ)等同ジク被∨尋‖_下之ヲ|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若シ有‖損失|者生涯之不覚也。可∨被‖存知|者歟。恐々謹言〔経覺筆本〕
龍乕(レウコ)梅竹唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコフヱ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワコン)琵琶(ヒハ)方磬(ハウケイ)尺八太鼓(コ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三皷(サンノ―)調拍子(トヒヤウ―)摺鼓(スリツヽミ)等同被∨尋‖下∨之|用竭(ツキ)亊_終(ヲワ)ラハ者不日ニ可∨被‖持參せ|。有‖損失(ソンシツ)|者生涯(カイ)之不覚(フカク)也可被‖存知|者歟謹言〔文明本〕
434三皷(/ミツノツヽミ) 三番目ニ打故也。〔謙堂文庫蔵四二左E〕
とあって、標記語を「三鼓」とし、その語注記は、「三番目に打つ故なり」と記載する。これが唯一の注記であるが、この語を古辞書はまったく意識しなかったことになる。
方磬(ハウケイ)尺八太鼓(タイコ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三ノ鼓(ツヽミ) 方磬(ハウケイ)ハ鳴物(ナリ―)ナリ。〔下十六オ五〜七〕
二(ふた)ツの鼓(つゝミ)/二ツノ皷 大つゞみ。小つゞミ也。〔56オ五〜六〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に方磬(よこふえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の鼓(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゞミ)等(とう)同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つ)き事(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に持參(ぢさん)せら被(る)可(べ)し。損失(そんしつ)有(あ)ら者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。存知(ぞんち)せら被(る)可(べ)き者(もの)歟(か)恐恐(きやう/\)謹言(きんげん)/龍虎梅竹ノ唐絵一對。并ニ横笛。笙。篳篥和琴。筝。琵琶。方磬。尺八。太皷。鞨皷。鉦皷。二ノ皷。銅糺子。摺皷等同ク被∨尋ネ‖_下サ|之ヲ。用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覚也。可キ∨被‖存知せラ|者歟。恐々謹言。▲二鼓ハ兆鼓(ふりつゞみ)を指(さ)していへるにや。兆鼓(ふりつゞみ)は古(いにしへ)の樂器(がくき)。其形(かたち)小き鼓(つゞミ)を二ツ違(たが)へ重(かさ)ねて柄(え)を貫(つらぬ)きたるもの也。今小児(こども)の弄具(もてあそび)にぶり/\太鼓(だいこ)といふもの即(すなハち)此(この)形(かたち)の遺(のこ)りし也。〔42ウ二〜三〕
龍虎(りようこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこぶえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太皷(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の皷(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゝミ)等(とう)同(おなじ)く被(る)∨尋(たづ)ね‖_下(くだ)さ|之(これ)を用(よう)竭(つ)き亊(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に可(べ)し∨被(る)‖持參(ぢさん)せら|有(あ)ら‖損失(そんしつ)|者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。可可(べ)き∨被(る)‖存知(ぞんち)せら|者(もの)歟(か)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)▲二鼓ハ兆鼓(ふりつゝみ)を指(さ)していへるにや。兆鼓(ふりつゝみ)は古(いにしへ)の樂器(がくき)。其形(かたち)小き鼓を二ツ違(ちか)へ重(かさ)ねて柄(え)を貫(つらぬ)きたるもの也。今小児(こども)の弄具(もてあそび)にぶり/\太鼓(だいこ)といふもの即(すなハち)此形(かたち)の遺(のこ)りし也。〔75ウ三〕
鉦皷(シヤウゴ) 又征。征皷(―ゴ) 。〔元亀二年本313六〕
鉦皷(シヤウコ) 又征。〔静嘉堂本367四〕
龍乕梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大皷鞨皷征皷三皷調抜子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也可被存知者歟謹言〔至徳三年本〕
龍乕梅竹唐繪一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大鼓鞨皷征皷三皷調抜子等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參若有損失者生涯之不覺也。可被存知者歟恐々謹言〔宝徳三年本〕
龍虎梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴琵琶方磬尺八大鼓鞨鼓征鼓三皷調拍子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也。可被存知者歟恐々謹言〔建部傳内本〕
龍虎梅竹ノ唐繪一對并ニ横(ヨコ)笛笙(セウ)篳篥(ヒチリキ)和琴琴(コト)琵琶(ビワ)方磬尺八大皷(コ)鞨皷(カツ―)征皷三ノ皷(ツヽミ)調拍子(トヒヤウ―)振皷等同被ル三尋二_下之ヲ一、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可シ∨被‖持參せ|。若有テ‖損失(ソン―)|者生涯ノ之不覚也。可∨被‖存知せ|者歟。恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
竜虎梅竹ノ唐繪(ヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン)琵琶(ヒワ)方磬(ケイ)尺八太皷鞨皷(カツコ)三皷調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリコ)等同ジク被∨尋‖_下之ヲ|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若シ有‖損失|者生涯之不覚也。可∨被‖存知|者歟。恐々謹言〔経覺筆本〕
龍乕(レウコ)梅竹唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコフヱ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワコン)琵琶(ヒハ)方磬(ハウケイ)尺八太鼓(コ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三皷(サンノ―)調拍子(トヒヤウ―)摺鼓(スリツヽミ)等同被∨尋‖下∨之|用竭(ツキ)亊_終(ヲワ)ラハ者不日ニ可∨被‖持參せ|。有‖損失(ソンシツ)|者生涯(カイ)之不覚(フカク)也可被‖存知|者歟謹言〔文明本〕
鉦皷{鼓} シヤウコ。 鐃同。〔黒川本・雜物下72ウ四〕
鉦鼓(シヤウコ) 。鐃。〔卷第九・雜物156六〕
征鼓(シヤウゴ) 又作鉦皷。鉦(同)。〔弘・財宝241六〕
征鼓(シヤウゴ) 又鉦―。〔永・財宝門208二〕〔尭・財宝門192四〕
とあって、標記語「征鼓」の語を収載し、訓みを「シヤウコ」とし、語注記は「又作○○」形式により、別表記の「鉦鼓」の語を記載する。また、易林本『節用集』に、
征鼓(シヤウゴ) 征又作鉦。〔器財門50四〕
とあって、標記語「征鼓」の語を収載し、訓みは「シヤウゴ」とし、語注記には、「征又、鉦に作す」と記載する。
433鉦鼓 弓矢ノ時ノ鐘也。臺上ニ置打也。〔謙堂文庫蔵四二左E〕
とあって、標記語を「鉦鼓」とし、その語注記は、「弓矢の時の鐘なり。臺上に置き打つ」と記載する。
方磬(ハウケイ)尺八太鼓(タイコ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三ノ鼓(ツヽミ) 方磬(ハウケイ)ハ鳴物(ナリ―)ナリ。〔下十六オ五〜七〕
太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)征皷(しやうこ)/太皷鞨皷征皷 皆太皷の類、打鳴らす物也。〔56オ五〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に方磬(よこふえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の鼓(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゞミ)等(とう)同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つ)き事(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に持參(ぢさん)せら被(る)可(べ)し。損失(そんしつ)有(あ)ら者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。存知(ぞんち)せら被(る)可(べ)き者(もの)歟(か)恐恐(きやう/\)謹言(きんげん)/龍虎梅竹ノ唐絵一對。并ニ横笛。笙。篳篥和琴。筝。琵琶。方磬。尺八。太皷。鞨皷。鉦皷。二ノ皷。銅糺子。摺皷等同ク被∨尋ネ‖_下サ|之ヲ。用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覚也。可キ∨被‖存知せラ|者歟。恐々謹言。▲鉦鼓ハ古(いにしへ)乃樂器(がくき)金皷(きんこ)也。今淨土宗(じやうどしう)に用る。鉦鼓とハ同じからず。〔42ウ一〕
龍虎(りようこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこぶえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太皷(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の皷(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゝミ)等(とう)同(おなじ)く被(る)∨尋(たづ)ね‖_下(くだ)さ|之(これ)を用(よう)竭(つ)き亊(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に可(べ)し∨被(る)‖持參(ぢさん)せら|有(あ)ら‖損失(そんしつ)|者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。可可(べ)き∨被(る)‖存知(ぞんち)せら|者(もの)歟(か)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)▲鉦鼓ハ古(いにしへ)乃樂器(がくき)金皷(きんこ)也。今淨土宗(じやうどしう)に用る。鉦鼓とハ同じからず。〔75ウ二〜三〕
Xo<go.シャゥゴ(鉦鼓) 阿弥陀(Amida)の名号を唱える際に打ち鳴らす金属製の鉢〔鉦〕.※原文Batega.〔Cane(金)の注〕〔邦訳791l〕
しゃう-こ〔名〕【鉦鼓】雅樂に用ゐる樂器、からかねにて造り、圓くして、皿の如し、架に懸けて撃ち、鼓を節す。カネ。倭名抄、四19鐘皷類「鉦鼓、俗云、常古」 類聚名義抄「鉦鼓、シヤウコ」 古今著聞集、廿、魚蟲禽獸「北に、錦の圓座を敷きて太鼓鉦皷を立つ」〔0963-3〕
龍乕梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大皷鞨皷征皷三皷調抜子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也可被存知者歟謹言〔至徳三年本〕
龍乕梅竹唐繪一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大鼓鞨皷征皷三皷調抜子等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參若有損失者生涯之不覺也。可被存知者歟恐々謹言〔宝徳三年本〕
龍虎梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴琵琶方磬尺八大鼓鞨鼓征鼓三皷調拍子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也。可被存知者歟恐々謹言〔建部傳内本〕
龍虎梅竹ノ唐繪一對并ニ横(ヨコ)笛笙(セウ)篳篥(ヒチリキ)和琴琴(コト)琵琶(ビワ)方磬尺八大皷(コ)鞨皷(カツ―)征皷三ノ皷(ツヽミ)調拍子(トヒヤウ―)振皷等同被ル三尋二_下之ヲ一、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可シ∨被‖持參せ|。若有テ‖損失(ソン―)|者生涯ノ之不覚也。可∨被‖存知せ|者歟。恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
竜虎梅竹ノ唐繪(ヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン)琵琶(ヒワ)方磬(ケイ)尺八太皷鞨皷(カツコ)三皷調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリコ)等同ジク被∨尋‖_下之ヲ|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若シ有‖損失|者生涯之不覚也。可∨被‖存知|者歟。恐々謹言〔経覺筆本〕
龍乕(レウコ)梅竹唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコフヱ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワコン)琵琶(ヒハ)方磬(ハウケイ)尺八太鼓(コ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三皷(サンノ―)調拍子(トヒヤウ―)摺鼓(スリツヽミ)等同被∨尋‖下∨之|用竭(ツキ)亊_終(ヲワ)ラハ者不日ニ可∨被‖持參せ|。有‖損失(ソンシツ)|者生涯(カイ)之不覚(フカク)也可被‖存知|者歟謹言〔文明本〕
431太鼓 皇帝ノ時、始或時首ハ似∨猿、尾ハ似∨虎者來、御殿ニ覆ト見レハ王御腦有ル、相者云、彼ハ障碍也。調伏シテ吉ト云。其時太鼓ヲ張申ノ頭、虎ノ尾ニ打也。太鼓ノ役ハ鷄鳴也。鐘モ同時ニ始也。慈味鬼ト云鬼、佛法成‖障碍|調伏也。〔謙堂文庫蔵四二左B〕
とあって、標記語を「太鼓」とし、その語注記は、「皇帝の時、始まる。或る時、首は猿に似て、尾は虎に似たる者來て、御殿に覆ふと見れば王御腦有る、相する者云く、彼は障碍なり。調伏して吉と云ふ。其の時太鼓を張り申の頭、虎の尾にて打つなり。太鼓の役は鷄鳴なり。鐘も同時に始まるなり。慈味鬼と云ふ鬼、佛法を障碍し成るを調伏するなり」と詳細な記載をする。
方磬(ハウケイ)尺八太鼓(タイコ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三ノ鼓(ツヽミ) 方磬(ハウケイ)ハ鳴物(ナリ―)ナリ。〔下十六オ五〜七〕
太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)征皷(しやうこ)/太皷鞨皷征皷 皆太皷の類、打鳴らす物也。〔56オ五〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に方磬(よこふえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の鼓(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゞミ)等(とう)同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つ)き事(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に持參(ぢさん)せら被(る)可(べ)し。損失(そんしつ)有(あ)ら者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。存知(ぞんち)せら被(る)可(べ)き者(もの)歟(か)恐恐(きやう/\)謹言(きんげん)/龍虎梅竹ノ唐絵一對。并ニ横笛。笙。篳篥和琴。筝。琵琶。方磬。尺八。太皷。鞨皷。鉦皷。二ノ皷。銅糺子。摺皷等同ク被∨尋ネ‖_下サ|之ヲ。用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覚也。可キ∨被‖存知せラ|者歟。恐々謹言。▲太皷爰にハ楽器(がくき)の物を指(さ)す。説文(せつもん)に是を鬥(ふん)といふ。長さ八尺面径(おもてわたり)四尺とあるもの是也。〔42オ八〕
龍虎(りようこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこぶえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太皷(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の皷(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゝミ)等(とう)同(おなじ)く被(る)∨尋(たづ)ね‖_下(くだ)さ|之(これ)を用(よう)竭(つ)き亊(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に可(べ)し∨被(る)‖持參(ぢさん)せら|有(あ)ら‖損失(そんしつ)|者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。可可(べ)き∨被(る)‖存知(ぞんち)せら|者(もの)歟(か)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)▲太鼓爰にハ楽器(がくき)の物を指(さ)す。説文(せつもん)に是を鬥(ふん)といふ。長さ八尺面径(おもてわたり)四尺とあるもの是也。〔75ウ一〕
たい-こ〔名〕【太鼓】樂器の名。木にて筒を作る、胴と云ふ、中、空しく貫けり、兩面に馬皮を張り、桴(ばち)にて撃鳴らす。これに三種あり、其一を大太鼓と云ふ、朝廷舞御覧、或は大社の舞樂にも用ゐるもの、其三を太鼓と云ふ、尋常用ゐる所のもの。坐してこれを撃つ、一にこれを釣太鼓と云ふ。(下の出典を見よ)大日本史、禮樂、十六「大太鼓、面径六尺三寸、金地K彩、左部畫二三巴文一、右部二巴文、凡皷畫二、巴文一皆準レ此、周縁穿二十六孔一、各径二寸、匡長(どう)五尺、径四尺二寸、施二布漆一作レ彩、左赤右青、用二赤白K布一、爲レ索約レ革、以レ木作外輪一、面雕二雲形一、左畫二雲龍一、右鳳凰、周邊刻成二火形一、施二朱彩一、凡鼓畫二龍鳳一、左右皆準レ此、匡上立レ柄、K漆長七尺八寸、左掲二日像一、右月像、有二臺架一設レ階、架廣高各三尺、上下施二二横木一、上安レ鼓、下貼レ臺、長三尺、皆有二彩色一、臺高三尺、方八尺、如大鉦鼓臺之製一、欄高一尺二三寸、裝二葱花形十二一、垂二白赤緑流蘓(あげまき)一、施レ幔、左赤右緑、階二段、長四尺、廣二尺七寸設二于庭上一、桴二、K漆、長一尺三寸、撃者左足在二臺上一、右足在階、自二鼓右旁一立撃之。擔(になひ)太鼓、面径二尺七寸、縁穿二十孔一、径各八分、匡長一尺三寸、径増二五寸一、朱地施二花彩一、布索約革、諌長八尺、K漆、設レ鉤懸レ鼓扛レ之、匡上設二火形一、高一尺二三寸、廣一尺七八寸、彫繪如レ上、桴長一尺、奏レ樂則設二于庭上一、行道則立二於右側一撃レ之。釣太鼓、面径一尺八寸、金地畫蝋虎三一、匡長七寸、腹稍大、比二面径一増二二寸一、施朱彩、革周縁冒レ匡寸許、施レ釘、外輪径二尺七寸、廣一寸五分、上邊以レ金作二火形一、有二彫畫一、内施レ鉤懸レ鼓、左右内外並施レ鐶、内者施緒約レ鼓、外者挿レ桴、桴長八寸四五分、扉製如二鉦鼓一、柱高七寸、正面坐撃レ之、其名器有二羊鼓一、音山一、羊鼓径尺有二九寸一、以二羊皮一張之」盛衰記、三十五、義經範頼入京事「平等院の御堂より太鼓を取り寄せ、櫓の下にて打ちければ」「陣太鼓」~樂太鼓」(二)たいこもち(幇間)の略。常に接頭語、おを添へて云ふ。 色道大鑑、(延寳)「太鼓、太鼓持の下略也、太鼓持と云ふは、傾城買ひの客に付き從ふ者を云ふ、此の名目のおこりは、紀州雑賀跳より始まる、鐘を持たる者は、首にかけてをどる、其の中にかねを持たぬものに太鼓を持たする也、是れによりて此の名目とす」(三)たいこむすび(太鼓結)の略。常に接頭語、おを添へて云ふ。御太鼓結の條を見よ。〔1176-3〕
龍乕梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大皷鞨皷征皷三皷調抜子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也可被存知者歟謹言〔至徳三年本〕
龍乕梅竹唐繪一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大鼓鞨皷征皷三皷調抜子等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參若有損失者生涯之不覺也。可被存知者歟恐々謹言〔宝徳三年本〕
龍虎梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴琵琶方磬尺八大鼓鞨鼓征鼓三皷調拍子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也。可被存知者歟恐々謹言〔建部傳内本〕
龍虎梅竹ノ唐繪一對并ニ横(ヨコ)笛笙(セウ)篳篥(ヒチリキ)和琴琴(コト)琵琶(ビワ)方磬尺八大皷(コ)鞨皷(カツ―)征皷三ノ皷(ツヽミ)調拍子(トヒヤウ―)振皷等同被ル三尋二_下之ヲ一、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可シ∨被‖持參せ|。若有テ‖損失(ソン―)|者生涯ノ之不覚也。可∨被‖存知せ|者歟。恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
竜虎梅竹ノ唐繪(ヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン)琵琶(ヒワ)方磬(ケイ)尺八太皷鞨皷(カツコ)三皷調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリコ)等同ジク被∨尋‖_下之ヲ|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若シ有‖損失|者生涯之不覚也。可∨被‖存知|者歟。恐々謹言〔経覺筆本〕
龍乕(レウコ)梅竹唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコフヱ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワコン)琵琶(ヒハ)方磬(ハウケイ)尺八太鼓(コ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三皷(サンノ―)調拍子(トヒヤウ―)摺鼓(スリツヽミ)等同被∨尋‖下∨之|用竭(ツキ)亊_終(ヲワ)ラハ者不日ニ可∨被‖持參せ|。有‖損失(ソンシツ)|者生涯(カイ)之不覚(フカク)也可被‖存知|者歟謹言〔文明本〕
方聲 ホウキヤウ俗。樂器也。〔黒川本・雜物上35ウ六〕
方磬 ホウキヤウ。/樂器。方磬名上一 上工 合 四 上五 陽 一 上/郷 五 江 赤 六 上凡(ホン) 工 下凡 已上々 已上下。〔卷第二・雜物312五〕
429方磬 泗M之石ヲ以造∨之也云々。〔謙堂文庫蔵四二右B〕
とあって、標記語を「方磬」とし、その語注記は、「泗Mの石を以ってこれを造るなり云々」と記載する。
方磬(ハウケイ)尺八太鼓(タイコ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三ノ鼓(ツヽミ) 方磬(ハウケイ)ハ鳴物(ナリ―)ナリ。〔下十六オ五〜七〕
方磬(ほうけい)/方磬 石又ハ銅にて作る。〔56オ四〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に方磬(よこふえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の鼓(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゞミ)等(とう)同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つ)き事(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に持參(ぢさん)せら被(る)可(べ)し。損失(そんしつ)有(あ)ら者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。存知(ぞんち)せら被(る)可(べ)き者(もの)歟(か)恐恐(きやう/\)謹言(きんげん)/龍虎梅竹ノ唐絵一對。并ニ横笛。笙。篳篥和琴。筝。琵琶。方磬。尺八。太皷。鞨皷。鉦皷。二ノ皷。銅糺子。摺皷等同ク被∨尋ネ‖_下サ|之ヲ。用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覚也。可キ∨被‖存知せラ|者歟。恐々謹言。▲方磬ハ楽器(がくき)也。唐土尭(ぎやう)の時作るとぞ。石(いし)又ハ銅(かね)にて作る。〔41ウ八〜42オ七〕
龍虎(りようこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこぶえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太皷(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の皷(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゝミ)等(とう)同(おなじ)く被(る)∨尋(たづ)ね‖_下(くだ)さ|之(これ)を用(よう)竭(つ)き亊(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に可(べ)し∨被(る)‖持參(ぢさん)せら|有(あ)ら‖損失(そんしつ)|者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。可可(べ)き∨被(る)‖存知(ぞんち)せら|者(もの)歟(か)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)▲方磬ハ楽器(がくき)也。唐土尭(げう)の時作るとぞ。石(いし)又ハ銅(かね)にて作る。〔74ウ二〜75オ五〕
龍乕梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大皷鞨皷征皷三皷調抜子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也可被存知者歟謹言〔至徳三年本〕
龍乕梅竹唐繪一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大鼓鞨皷征皷三皷調抜子等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參若有損失者生涯之不覺也。可被存知者歟恐々謹言〔宝徳三年本〕
龍虎梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴琵琶方磬尺八大鼓鞨鼓征鼓三皷調拍子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也。可被存知者歟恐々謹言〔建部傳内本〕
龍虎梅竹ノ唐繪一對并ニ横(ヨコ)笛笙(セウ)篳篥(ヒチリキ)和琴琴(コト)琵琶(ビワ)方磬尺八大皷(コ)鞨皷(カツ―)征皷三ノ皷(ツヽミ)調拍子(トヒヤウ―)振皷等同被ル三尋二_下之ヲ一、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可シ∨被‖持參せ|。若有テ‖損失(ソン―)|者生涯ノ之不覚也。可∨被‖存知せ|者歟。恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
竜虎梅竹ノ唐繪(ヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン)琵琶(ヒワ)方磬(ケイ)尺八太皷鞨皷(カツコ)三皷調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリコ)等同ジク被∨尋‖_下之ヲ|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若シ有‖損失|者生涯之不覚也。可∨被‖存知|者歟。恐々謹言〔経覺筆本〕
龍乕(レウコ)梅竹唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコフヱ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワコン)琵琶(ヒハ)方磬(ハウケイ)尺八太鼓(コ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三皷(サンノ―)調拍子(トヒヤウ―)摺鼓(スリツヽミ)等同被∨尋‖下∨之|用竭(ツキ)亊_終(ヲワ)ラハ者不日ニ可∨被‖持參せ|。有‖損失(ソンシツ)|者生涯(カイ)之不覚(フカク)也可被‖存知|者歟謹言〔文明本〕
横笛(クワウテキ) ヨコフヱ。〔黒川本・雜物上94ウ一〕
横笛 ヨコフエ。〔卷第四・雜物352二〕
横笛(ヨコブエ) 。〔器財門86二〕
とあって、標記語「横笛」の語を収載し、訓みは「ヨコブエ」とする。
423唐繪一對、并横笛 天竺ニハ藥王、唐ハ后漢馬融、字季長、暁天ニ行‖提上|、竜鳴‖水中|二声ニシテ登∨天、其声甚妙也。后ニ構‖巧木|。次ニ不∨似。亦贏∨竹吹∨之。其声相似。自∨是始也。日本ニハ~岩戸ニ込(コモリ)シニ忌部(インヘ)ノ命ト手七ノ目ヲ明テ、天ノ七星、地ノ七草、身ノ七穴ヲ表。自∨外吹ニ則出給也。又弘法仁王五十一代、平城天王ノ時、大同二年丁亥始作∨之給也。〔謙堂文庫藏四一右G〕
とあって、標記語を「横笛」とし、その語注記は、「天竺には藥王、唐は后漢の馬融、字季長、暁天に提上に行き、竜水中に鳴き二声にして天に登る、其の声甚だ妙なり。后に巧木を構ゆ。次に似ず。亦竹を贏りてこれを吹く。其の声に相似たり。是れより始るなり。日本には~の岩戸に込りしに忌部の命と手七の目を明けて、天の七星、地の七草、身の七穴を表す。外より吹くに則ち出で給ふなり。又、弘法仁王五十一代、平城天王の時、大同二年丁亥始これを作り給ふなり」と記載する。
横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン) 横笛(ヨコブヘ)ト云ヨリ三ツノ皷(ツヽミ)ナンドマデ。皆管絃(クハンケン)ノ道具ナリ。又横笛(ヨコブヘ)ノ事大唐ニ急胤(キウイン)ト云シ人アリ。又ハ馬融(バヤウ)ト云此人池(イケ)ノ頭(ホトリ)ヲ通(トヲ)ル時水ノ底(ソコ)ニ。竜(リウ)ノ有ガ一声吟タ雲ヘ出トテ。又一音(コヘ)吟ズ是ヲ急胤(キウイン)聞(キヒ)テ面白(ヲモシロ)ク思ヒテ家路(イヘチ)ニ歸テ竹(タケ)ヲ彫(ヱツ)テ吹(フキ)シ也。其ヨリフヱト云事始シナリ。〔下十六オ五〜七〕
并(ならひ)に横笛(よこぶゑ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)/并横笛笙篳篥 皆吹鳴(ふきなら)らすものなり。〔56オ三〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこふえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の鼓(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゞミ)等(とう)同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つ)き事(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に持參(ぢさん)せら被(る)可(べ)し。損失(そんしつ)有(あ)ら者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。存知(ぞんち)せら被(る)可(べ)き者(もの)歟(か)恐恐(きやう/\)謹言(きんげん)/龍虎梅竹ノ唐絵一對。并ニ横笛。笙。篳篥和琴。筝。琵琶。方磬。尺八。太皷。鞨皷。鉦皷。二ノ皷。銅糺子。摺皷等同ク被∨尋ネ‖_下サ|之ヲ。用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覚也。可キ∨被‖存知せラ|者歟。恐々謹言。▲横笛ハ長(なが)さ一尺四寸孔(あな)九ッあり。笙ハ唐土(もろこし)女蹤氏(にょくハし)作(つく)り初(はし)む。大なるハ十九簧(した)になるハ十三簧あり。〔41ウ八〜42オ五〕
龍虎(りようこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこぶえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太皷(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の皷(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゝミ)等(とう)同(おなじ)く被(る)∨尋(たづ)ね‖_下(くだ)さ|之(これ)を用(よう)竭(つ)き亊(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に可(べ)し∨被(る)‖持參(ぢさん)せら|有(あ)ら‖損失(そんしつ)|者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。可可(べ)き∨被(る)‖存知(ぞんち)せら|者(もの)歟(か)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)▲横笛ハ長さ一尺四寸孔(あな)九ッあり。笙ハ唐土(もろこし)女蹤氏(にょくわし)作(つく)り初(はじ)む。大なるハ十九簧(した)になるハ十三簧あり。〔74ウ二〜75オ三〕
†Yocobuye.ヨコブエ(横笛) 笛.〔邦訳823r〕
†Yo<giu<.ヤウヂュゥ(横笛) Fuye(笛)に同じ.笛.※Yo<gio>(ヤゥヂョゥ)の転化形.〔邦訳825r〕
‡Yo<gio>.ヤウヂョゥ(横笛) →次条;Canchicuno yo>gio>.〔邦訳825r〕
Canchicuno yo>gio>.(ママ)カンチクノヨゥヂョゥ(漢竹の横笛) この名で呼ばれた笛.※yo<gio>(ヤゥヂョゥ)の誤り.〔邦訳88r〕
よこ-ぶえ〔名〕【横笛】ワウテキ。ワウヂャク。ヤウヂャウ。ヤウデウ。笛の、横に用ゐて吹くもの。(豎に吹く尺八、洞簫などに對す)歌口の外に、七孔あるを常とす。其孔名を、干(カン)、五、上(シヤウ)、夕(サク)、中、六、下、と云ふ。樂管(ガククワン)、能管(ノウクワン)、草笛(くさぶえ)、などあり。大和笛、高麗(こま)笛、は六孔なり。横竹。倭名抄、四21、管籥類「横笛、與古布江」〔2086-3〕
一對(イツツイ) 。〔元亀二年本67八〕
一對(イツツイ) 。〔静嘉堂本79八〕
一對(イツツイ) 。〔天正十七年本上40オ四〕〔西來寺本〕
龍乕梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大皷鞨皷征皷三皷調抜子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也可被存知者歟謹言〔至徳三年本〕
龍乕梅竹唐繪一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大鼓鞨皷征皷三皷調抜子等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參若有損失者生涯之不覺也。可被存知者歟恐々謹言〔宝徳三年本〕
龍虎梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴琵琶方磬尺八大鼓鞨鼓征鼓三皷調拍子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也。可被存知者歟恐々謹言〔建部傳内本〕
龍虎梅竹ノ唐繪一對并ニ横(ヨコ)笛笙(セウ)篳篥(ヒチリキ)和琴琴(コト)琵琶(ビワ)方磬尺八大皷(コ)鞨皷(カツ―)征皷三ノ皷(ツヽミ)調拍子(トヒヤウ―)振皷等同被ル三尋二_下之ヲ一、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可シ∨被‖持參せ|。若有テ‖損失(ソン―)|者生涯ノ之不覚也。可∨被‖存知せ|者歟。恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
竜虎梅竹ノ唐繪(ヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン)琵琶(ヒワ)方磬(ケイ)尺八太皷鞨皷(カツコ)三皷調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリコ)等同ジク被∨尋‖_下之ヲ|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若シ有‖損失|者生涯之不覚也。可∨被‖存知|者歟。恐々謹言〔経覺筆本〕
龍乕(レウコ)梅竹唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコフヱ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワコン)琵琶(ヒハ)方磬(ハウケイ)尺八太鼓(コ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三皷(サンノ―)調拍子(トヒヤウ―)摺鼓(スリツヽミ)等同被∨尋‖下∨之|用竭(ツキ)亊_終(ヲワ)ラハ者不日ニ可∨被‖持參せ|。有‖損失(ソンシツ)|者生涯(カイ)之不覚(フカク)也可被‖存知|者歟謹言〔文明本〕
畫(グワ) 此ノ四ヲ畫(エカイ)テ以テ云フ‖四幅(―フク)一對(―ツイ)|也。〔器財門119四〕
とあって、標記語「畫」の語を収載し、その語注記に「此の四を畫ひて以て四幅一對云ふなり」と記載する。次に広本『節用集』には、
一對(イチツイ/―、タイ・コタウ)[○・去] 筆―。畫―。〔數量門12二〕
とあって、標記語「一對」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
一對(―ツイ) 畫。筆。〔弘・言語数量8四〕
一對(イツツイ) 。〔永・言語進退5八〕
一位 ―種。―瓶。―同。―途。―統天下――。―辺。―番。―見。―流。―覧。―献。―騎。―准。―端。―且。―門。―諾。―心。―割。―心。―割。―期。―盞。―盃。―定。―切。―束。―把。―柄。―膳。―烈。―匝。―重。―味。―帝。―部始終。―剤。―挙。―六。―向。―行。―揆。―往。―粒。―鬱。―縮。―宿。―段。―跡。―興。―艘舟。―疋絹。―兩具足藥金車。―對。―銖金。―緡銭。―綾。―喉魚。―羽。―挺鑓燭。―張弓。―倍。―斤二百五十目。―駄馬。―腰太刀。―葉。―管筆。―着。―命。―廉。―業所感。―圓不輸。―瓔ノ度僧。―〓(土豆圭)終合人取作。―炊夢。―落索大恵昼有。―生不犯。―笑。〔尭・言語5六〕
一位 ―種(シユ)。―瓶(ヘイ)。―同。―途(ツ)。―統(トウ)天下――。―辺(ヘン)。―番(バン)。―見(ケン)。―流(リウ)。―覧(ラン)。―献(コン)。―騎(キ)。―准(シユン)。―端(タン)。―旦(タン)。―門(モン)。―諾(ダク)。―心(シン)。―割。―期(ゴ)。―盞(サン)。―盃(ハイ)。―定(チヤウ)。―切(セツ)。―束(ソク)。―把(ハ)。―柄(ヘイ)。―膳。―烈(レツ)。―匝(サウ)。―重(チウ)。―味(ミ)。―H(テイ)。―部(ブ)始終。―剤(サイ)。―挙。―六。―向(カウ)。―行(カウ)。―揆(キ)。―往(ワウ)。―粒(リウ)。―鬱(ウツ)。―縮。―宿。―段。―跡(せキ)。―興(ケウ)。―艘(ソウ)舟。―疋(ヒキ)馬絹。―兩具足藥金車。―對(ツイ)。―銖(シユ)金。―緡銭。―結同。―喉(コン)魚。―双。―挺(チヤウ)鑓燭。―張弓。―倍。―斤二百五十目。―駄馬。―腰太刀。―葉。―管(クワン)筆。―着(チヤク)。―命(メイ)。―廉(カト)。―業所感(ゴウシヨカン)。―圓不輸(シユ)。―瓔ノ度僧。―輕終(ケイロウ)合人取∨作。―炊(スイ)ノ夢。―落索(ラクサン)大恵昼有。〔両・言語門6七〕
とあって、標記語「一對」の語を収載し、訓みを「イツツイ」とし、弘治二年本に語注記「畫。筆」と記載する。また、易林本『節用集』に、
一對(―ツイ) 筆。〔言語門5四〕
とあって、標記語「一對」の語を収載し、訓みは「(イツ)ツイ」とし、語注記に「筆」と記載する。
423唐繪一對、并横笛 天竺ニハ藥王、唐ハ后漢馬融、字季長、暁天ニ行‖提上|、竜鳴‖水中|二声ニシテ登∨天、其声甚妙也。后ニ構‖巧木|。次ニ不∨似。亦贏∨竹吹∨之。其声相似。自∨是始也。日本ニハ~岩戸ニ込(コモリ)シニ忌部(インヘ)ノ命ト手七ノ目ヲ明テ、天ノ七星、地ノ七草、身ノ七穴ヲ表。自∨外吹ニ則出給也。又弘法仁王五十一代、平城天王ノ時、大同二年丁亥始作∨之給也。〔謙堂文庫藏四一右G〕
とあって、標記語を「一對」とし、その語注記は、未記載にする。
鼻高(ヒカウ)草鞋(サウカイ)龍虎(レウコ)梅竹(バイチク)唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ 鼻高(ヒカウ)草鞋(サウカイ)ハ。何(イツ)レモ沓(クツ)ノ類(ルイ)ナリ。〔下十六オ四・五〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐絵(からゑ)一對(いつつい)/竜虎梅竹ノ唐絵一對 懸物(かけもの)也。龍吟(ぎん)ずれは雲(くも)起(おこ)り虎(とら)嘯(うそふけ)は風生す。梅ハ初春乃花木。竹ハ季冬(きとう)にしぼまぬものゆへ一對の掛物としたる也〔56オ一〜二〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこふえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の鼓(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゞミ)等(とう)同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つ)き事(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に持參(ぢさん)せら被(る)可(べ)し。損失(そんしつ)有(あ)ら者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。存知(ぞんち)せら被(る)可(べ)き者(もの)歟(か)恐恐(きやう/\)謹言(きんげん)/龍虎梅竹ノ唐絵一對。并ニ横笛。笙。篳篥和琴。筝。琵琶。方磬。尺八。太皷。鞨皷。鉦皷。二ノ皷。銅糺子。摺皷等同ク被∨尋ネ‖_下サ|之ヲ。用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覚也。可キ∨被‖存知せラ|者歟。恐々謹言。〔41ウ八〜42オ五〕
龍虎(りようこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこぶえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太皷(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の皷(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゝミ)等(とう)同(おなじ)く被(る)∨尋(たづ)ね‖_下(くだ)さ|之(これ)を用(よう)竭(つ)き亊(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に可(べ)し∨被(る)‖持參(ぢさん)せら|有(あ)ら‖損失(そんしつ)|者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。可可(べ)き∨被(る)‖存知(ぞんち)せら|者(もの)歟(か)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)〔74ウ二〜75オ二〕
†Ittcui.イツツイ(一對) 日本のペン〔筆〕,酒の徳利,剃刀,その他これらと同類の,対をなしている多くの物を数える言い方.〔邦訳347l〕
いッ-つゐ〔名〕【一對】物、二箇(ふたつ)、對(つゐ)せしめたるもの。一雙。東坡集「特賜二衣一對一」庭訓往來(元弘)九月「盆、一對」龍虎、梅竹、唐繪、一對」(二幅對を、一對と見たるか)易林本節用集(慶長)「一對、筆」〔0189-5〕
唐畫(―エ) 。〔元亀二年本93五〕
唐畫(―ヱ) 。〔静嘉堂本115八〕
唐絵(カラヱ) 。〔天正十七年本上57オ二〕〔西來寺本〕
龍乕梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大皷鞨皷征皷三皷調抜子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也可被存知者歟謹言〔至徳三年本〕
龍乕梅竹唐繪一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大鼓鞨皷征皷三皷調抜子等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參若有損失者生涯之不覺也。可被存知者歟恐々謹言〔宝徳三年本〕
龍虎梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴琵琶方磬尺八大鼓鞨鼓征鼓三皷調拍子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也。可被存知者歟恐々謹言〔建部傳内本〕
龍虎梅竹ノ唐繪一對并ニ横(ヨコ)笛笙(セウ)篳篥(ヒチリキ)和琴琴(コト)琵琶(ビワ)方磬尺八大皷(コ)鞨皷(カツ―)征皷三ノ皷(ツヽミ)調拍子(トヒヤウ―)振皷等同被ル三尋二_下之ヲ一、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可シ∨被‖持參せ|。若有テ‖損失(ソン―)|者生涯ノ之不覚也。可∨被‖存知せ|者歟。恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
竜虎梅竹ノ唐繪(ヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン)琵琶(ヒワ)方磬(ケイ)尺八太皷鞨皷(カツコ)三皷調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリコ)等同ジク被∨尋‖_下之ヲ|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若シ有‖損失|者生涯之不覚也。可∨被‖存知|者歟。恐々謹言〔経覺筆本〕
龍乕(レウコ)梅竹唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコフヱ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワコン)琵琶(ヒハ)方磬(ハウケイ)尺八太鼓(コ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三皷(サンノ―)調拍子(トヒヤウ―)摺鼓(スリツヽミ)等同被∨尋‖下∨之|用竭(ツキ)亊_終(ヲワ)ラハ者不日ニ可∨被‖持參せ|。有‖損失(ソンシツ)|者生涯(カイ)之不覚(フカク)也可被‖存知|者歟謹言〔文明本〕
唐絵(カラヱ/タウクワイ)[平・去] 。〔器財門270五〕
とあって、標記語「唐絵」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』や易林本『節用集』には、標記語「唐絵」の語を未収載にする。
このように、上記当代の古辞書では、広本『節用集』と『運歩色葉集』とに収載されていて、その訓みを「カラヱ」として、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本にも見えている語である。
423唐繪一對、并横笛 天竺ニハ藥王、唐ハ后漢馬融、字季長、暁天ニ行‖提上|、竜鳴‖水中|二声ニシテ登∨天、其声甚妙也。后ニ構‖巧木|。次ニ不∨似。亦贏∨竹吹∨之。其声相似。自∨是始也。日本ニハ~岩戸ニ込(コモリ)シニ忌部(インヘ)ノ命ト手七ノ目ヲ明テ、天ノ七星、地ノ七草、身ノ七穴ヲ表。自∨外吹ニ則出給也。又弘法仁王五十一代、平城天王ノ時、大同二年丁亥始作∨之給也。〔謙堂文庫藏四一右G〕
※馬融―漢ノ代ノ人也。〔国会図書館藏『左貫注庭訓』書込み〕
とあって、標記語を「唐繪」とし、その語注記は、未記載にする。
鼻高(ヒカウ)草鞋(サウカイ)龍虎(レウコ)梅竹(バイチク)唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ 鼻高(ヒカウ)草鞋(サウカイ)ハ。何(イツ)レモ沓(クツ)ノ類(ルイ)ナリ。〔下十六オ四・五〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐絵(からゑ)一對(いつつい)/竜虎梅竹ノ唐絵一對 懸物(かけもの)也。龍吟(ぎん)ずれは雲(くも)起(おこ)り虎(とら)嘯(うそふけ)は風生す。梅ハ初春乃花木。竹ハ季冬(きとう)にしぼまぬものゆへ一對の掛物としたる也〔56オ一〜二〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこふえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の鼓(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゞミ)等(とう)同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つ)き事(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に持參(ぢさん)せら被(る)可(べ)し。損失(そんしつ)有(あ)ら者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。存知(ぞんち)せら被(る)可(べ)き者(もの)歟(か)恐恐(きやう/\)謹言(きんげん)/龍虎梅竹ノ唐絵一對。并ニ横笛。笙。篳篥和琴。筝。琵琶。方磬。尺八。太皷。鞨皷。鉦皷。二ノ皷。銅糺子。摺皷等同ク被∨尋ネ‖_下サ|之ヲ。用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覚也。可キ∨被‖存知せラ|者歟。恐々謹言。〔41ウ八〜42オ五〕
龍虎(りようこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこぶえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太皷(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の皷(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゝミ)等(とう)同(おなじ)く被(る)∨尋(たづ)ね‖_下(くだ)さ|之(これ)を用(よう)竭(つ)き亊(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に可(べ)し∨被(る)‖持參(ぢさん)せら|有(あ)ら‖損失(そんしつ)|者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。可可(べ)き∨被(る)‖存知(ぞんち)せら|者(もの)歟(か)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)〔74ウ二〜75オ二〕
から-ゑ〔名〕【唐絵】(一){唐土(もろこし)の風物(ありさま)を畫(か)きたる繪。(平安時代の繪は、巨勢金岡流のものなるべし)。枕草子、五、五十段「から繪、にあるやうなる懸盤(かけばん)などして、物食はせたる」(二)鎌倉時代に、土佐派の繪起りて、大和繪と稱するに對して、支那の北宗畫(ホクシユウガ)の稱。唐畫(タウクワ)。又、我が國人の、其風に畫(か)く繪。雪舟、又は、狩野派の祖の正信など、(共に室町時代)畫き始めたるは、宋畫なり、後の狩野派の筆は、明畫(ミングワ)なり。十八大通百手枕(安永、田水金魚)「唐繪は周齋、和繪は秋興」〔0444-1〕
龍乕梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大皷鞨皷征皷三皷調抜子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也可被存知者歟謹言〔至徳三年本〕
龍乕梅竹唐繪一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大鼓鞨皷征皷三皷調抜子等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參若有損失者生涯之不覺也。可被存知者歟恐々謹言〔宝徳三年本〕
龍虎梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴琵琶方磬尺八大鼓鞨鼓征鼓三皷調拍子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也。可被存知者歟恐々謹言〔建部傳内本〕
龍虎梅竹ノ唐繪一對并ニ横(ヨコ)笛笙(セウ)篳篥(ヒチリキ)和琴琴(コト)琵琶(ビワ)方磬尺八大皷(コ)鞨皷(カツ―)征皷三ノ皷(ツヽミ)調拍子(トヒヤウ―)振皷等同被ル三尋二_下之ヲ一、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可シ∨被‖持參せ|。若有テ‖損失(ソン―)|者生涯ノ之不覚也。可∨被‖存知せ|者歟。恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
竜虎梅竹ノ唐繪(ヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン)琵琶(ヒワ)方磬(ケイ)尺八太皷鞨皷(カツコ)三皷調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリコ)等同ジク被∨尋‖_下之ヲ|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若シ有‖損失|者生涯之不覚也。可∨被‖存知|者歟。恐々謹言〔経覺筆本〕
龍乕(レウコ)梅竹唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコフヱ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワコン)琵琶(ヒハ)方磬(ハウケイ)尺八太鼓(コ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三皷(サンノ―)調拍子(トヒヤウ―)摺鼓(スリツヽミ)等同被∨尋‖下∨之|用竭(ツキ)亊_終(ヲワ)ラハ者不日ニ可∨被‖持參せ|。有‖損失(ソンシツ)|者生涯(カイ)之不覚(フカク)也可被‖存知|者歟謹言〔文明本〕
422龍虎梅林ノ 所翁カ竜、裴旻(ハイヒン)カ虎、補子梅、東坡竹。〔謙堂文庫藏四一右F〕
※龍虎梅竹ノ 所翁カ竜、裴旻(バイヒン)カ虎、楊補子{元人也}梅、東坡竹。〔天理図書館藏『庭訓往来註』(室町末写)〕
※龍虎梅竹 所翁カ竜、裴旻(ヒン)カ虎、補子カ梅、東坡カ竹。〔国会図書館藏『左貫注庭訓』〕
とあって、標記語を「梅竹」とし、その語注記は、「補子が梅、東坡が竹」と記載する。
鼻高(ヒカウ)草鞋(サウカイ)龍虎(レウコ)梅竹(バイチク)唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ 鼻高(ヒカウ)草鞋(サウカイ)ハ。何(イツ)レモ沓(クツ)ノ類(ルイ)ナリ。〔下十六オ四・五〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐絵(からゑ)一對(いつつい)/竜虎梅竹ノ唐絵一對 懸物(かけもの)也。龍吟(ぎん)ずれは雲(くも)起(おこ)り虎(とら)嘯(うそふけ)は風生す。梅ハ初春乃花木。竹ハ季冬(きとう)にしぼまぬものゆへ一對の掛物としたる也〔56オ一〜二〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこふえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の鼓(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゞミ)等(とう)同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つ)き事(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に持參(ぢさん)せら被(る)可(べ)し。損失(そんしつ)有(あ)ら者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。存知(ぞんち)せら被(る)可(べ)き者(もの)歟(か)恐恐(きやう/\)謹言(きんげん)/龍虎梅竹ノ唐絵一對。并ニ横笛。笙。篳篥和琴。筝。琵琶。方磬。尺八。太皷。鞨皷。鉦皷。二ノ皷。銅糺子。摺皷等同ク被∨尋ネ‖_下サ|之ヲ。用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覚也。可キ∨被‖存知せラ|者歟。恐々謹言。〔41ウ八〜42オ五〕
龍虎(りようこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこぶえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太皷(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の皷(つヾミ)銅糺子(どうばつし)摺皷(すりつゝミ)等(とう)同(おなじ)く被(る)∨尋(たづ)ね‖_下(くだ)さ|之(これ)を用(よう)竭(つ)き亊(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に可(べ)し∨被(る)‖持參(ぢさん)せら|有(あ)ら‖損失(そんしつ)|者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。可可(べ)き∨被(る)‖存知(ぞんち)せら|者(もの)歟(か)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)〔74ウ二〜75オ二〕
龍乕梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大皷鞨皷征皷三皷調抜子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也可被存知者歟謹言〔至徳三年本〕
龍乕梅竹唐繪一對并横笛笙篳篥和琴々琵琶方磬尺八大鼓鞨皷征皷三皷調抜子等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參若有損失者生涯之不覺也。可被存知者歟恐々謹言〔宝徳三年本〕
龍虎梅竹唐絵一對并横笛笙篳篥和琴琵琶方磬尺八大鼓鞨鼓征鼓三皷調拍子摺皷等同被尋下之用竭亊終者不日可被持參有損失者生涯之不覚也。可被存知者歟恐々謹言〔建部傳内本〕
龍虎梅竹ノ唐繪一對并ニ横(ヨコ)笛笙(セウ)篳篥(ヒチリキ)和琴琴(コト)琵琶(ビワ)方磬尺八大皷(コ)鞨皷(カツ―)征皷三ノ皷(ツヽミ)調拍子(トヒヤウ―)振皷等同被ル三尋二_下之ヲ一、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可シ∨被‖持參せ|。若有テ‖損失(ソン―)|者生涯ノ之不覚也。可∨被‖存知せ|者歟。恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
竜虎梅竹ノ唐繪(ヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコブエ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワゴン)琵琶(ヒワ)方磬(ケイ)尺八太皷鞨皷(カツコ)三皷調拍子(トヒヤウシ)摺皷(スリコ)等同ジク被∨尋‖_下之ヲ|、用竭(ツキ)亊_終ラハ者、不日ニ可∨被‖持參|。若シ有‖損失|者生涯之不覚也。可∨被‖存知|者歟。恐々謹言〔経覺筆本〕
龍乕(レウコ)梅竹唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ横笛(ヨコフヱ)笙(シヤウ)篳篥(ヒチリキ)和琴(ワコン)琵琶(ヒハ)方磬(ハウケイ)尺八太鼓(コ)鞨鼓(カツコ)鉦鼓(シヤウコ)三皷(サンノ―)調拍子(トヒヤウ―)摺鼓(スリツヽミ)等同被∨尋‖下∨之|用竭(ツキ)亊_終(ヲワ)ラハ者不日ニ可∨被‖持參せ|。有‖損失(ソンシツ)|者生涯(カイ)之不覚(フカク)也可被‖存知|者歟謹言〔文明本〕
龍虎(リヨウコ) 。〔氣形門56四〕
とあって、標記語「龍虎」の語を収載し、訓みは「リヨウコ」とする。
422龍虎梅林ノ 所翁カ竜、裴旻(ハイヒン)カ虎、補子梅、東坡竹。〔謙堂文庫藏四一右F〕
とあって、標記語を「龍虎」とし、その語注記は、「所翁が竜、裴旻が虎」と記載する。
鼻高(ヒカウ)草鞋(サウカイ)龍虎(レウコ)梅竹(バイチク)唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ 鼻高(ヒカウ)草鞋(サウカイ)ハ。何(イツ)レモ沓(クツ)ノ類(ルイ)ナリ。〔下十六オ四・五〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐絵(からゑ)一對(いつつい)/竜虎梅竹ノ唐絵一對 懸物(かけもの)也。龍吟(ぎん)ずれは雲(くも)起(おこ)り虎(とら)嘯(うそふけ)は風生す。梅ハ初春乃花木。竹ハ季冬(きとう)にしぼまぬものゆへ一對の掛物としたる也〔56オ一〜二〕
龍虎(りやうこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこふえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太鼓(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の鼓(つヾミ)銅〓子(どうばつし)摺皷(すりつゞミ)等(とう)同(おなじ)く之(これ)を尋(たづ)ね下(くだ)さ被(る)用(よう)竭(つ)き事(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に持參(ぢさん)せら被(る)可(べ)し。損失(そんしつ)有(あ)ら者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。存知(ぞんち)せら被(る)可(べ)き者(もの)歟(か)恐恐(きやう/\)謹言(きんげん)/龍虎梅竹ノ唐絵一對。并ニ横笛。笙。篳篥和琴。筝。琵琶。方磬。尺八。太皷。鞨皷。鉦皷。二ノ皷。銅〓子。摺皷等同ク被∨尋ネ‖_下サ|之ヲ。用竭キ亊_終ラ者。不日ニ可シ∨被‖持參せラ|。有テ‖損失|者。生涯之不覚也。可キ∨被‖存知せラ|者歟。恐々謹言。〔41ウ八〜42オ五〕
龍虎(りようこ)梅竹(ばいちく)の唐繪(からゑ)一對(いつつい)并(ならび)に横笛(よこぶえ)笙(しやう)篳篥(ひちりき)和琴(わごん)筝(さう)琵琶(びハ)方磬(はうけい)尺八(しやくはち)太皷(たいこ)鞨皷(かつこ)鉦皷(しやうこ)二(ふたつ)の皷(つヾミ)銅〓子(どうばつし)摺皷(すりつゝミ)等(とう)同(おなじ)く被(る)∨尋(たづ)ね‖_下(くだ)さ|之(これ)を用(よう)竭(つ)き亊(こと)終(おハ)ら者(バ)不日(ふじつ)に可(べ)し∨被(る)‖持參(ぢさん)せら|有(あ)ら‖損失(そんしつ)|者(バ)生涯(しやうがい)之(の)不覺(ふかく)也(なり)。可可(べ)き∨被(る)‖存知(ぞんち)せら|者(もの)歟(か)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)〔74ウ二〜75オ二〕
Reo>co.リヨウコ(龍虎) Tatcu,tora.(竜,虎)竜と虎と.※原文はLgarto.〔邦訳529r〕
りゆう-こ〔名〕【龍虎】(一)たつと、とらと。關尹子、七釜篇「物即我、我即物、知二此道一者、可三以成二腹中之龍虎一」(二)雲氣の異常なるもの。史記、項羽紀「吾令三人望二其氣一、皆爲二龍虎一成二五采一、此天子氣也」(三)文章の、すぐれたるはたらきに譬ふ。班固、答賓戲「浮二英華一、湛二道コ一〓(言糸2目)(あらはす)二龍虎之文一舊矣」 龍虎の争とは、對等の力あるもの、相下らずして争ふ意。()〔4-0827-4〕
鐃鉢錫杖鈴仏具如意香爐水精半装束念珠帽子直綴鼻高草鞋。〔至徳三年本〕
鐃鉢錫杖鈴仏具如意香爐水精半装束數珠帽子直綴鼻高草鞋。〔宝徳三年本〕
鐃鉢錫杖鈴佛具如意香爐水精半装束帽子直綴鼻高草鞋。〔建部傳内本〕
鐃鉢錫杖(シヤク―)鈴佛具如意香爐水精(―シヤウ)半装束ノ珠数帽子(モウス)直綴(―トツ)。鼻高(ビ―)草鞋(―アイ)。〔山田俊雄藏本〕
鐃鉢(ニユウハチ)錫杖鈴佛具如意香爐水精(スイシヤウ)半装束(―シヤウゾク)ノ念珠(ジユズ)帽子直綴(ヂキトツ)鼻荒(ビカウ)草鞋(―カイ)〔経覺筆本〕
鐃鉢(ネウハチ)錫杖(シヤクシヤウ)鈴(レイ)佛具(ブツグ)如意香爐(―ロ)水精(―シヤウ)半装束(―シヤウソク)数珠(シユズ)帽子(ボウシ)直綴(チキトツ)鼻廣(ヒクワウ)草鞋(サウカイ)〔文明本〕「珠(ヅ)」
草鞋(サウアイ/ワランヂ) 。〔器財門113一〕
草鞋(サウアイ/クサ,―)[上・平]。〔器財門782二〕
とあって、標記語「草鞋」の語を収載し、その読みを「サウアイ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
草鞋(サウアイ/ワランチ) 。〔弘・財宝212三〕
草鞋(サウアイ/ワランヂ) 。〔永・財宝176九〕
草鞋(サウカイ) 。〔尭・財宝165七〕
草鞋(サウカイ/―アイ) 。〔器財179七〕
421草鞋(−アイ) 以∨木作。錦以張。或畫トシテ座ヲ着也。〔謙堂文庫藏四一右F〕
とあって、標記語を「草鞋」とし、その語注記は、「木もって作す。錦もって張る。或は畫として座を着すなり」と記載する。
鼻高(ヒカウ)草鞋(サウカイ)龍虎(レウコ)梅竹(バイチク)唐繪(カラヱ)一對(ツイ)并ニ 鼻高(ヒカウ)草鞋(サウカイ)ハ。何(イツ)レモ沓(クツ)ノ類(ルイ)ナリ。〔下十六オ四・五〕
草鞋(サウアイ)/草鞋 わらじ草履(ぞうり)の類なり。右の佛具(ぶつぐ)僧服(そうふく)圖説にくわし。〔55ウ八〜56オ一〕
繞(にやう)鉢(はち)錫杖(しやくぢやう)鈴(れい)佛具(ぶつぐ)如意(によゐ)香爐(かうろ)水精(すいしやう)半装束(はんしやうそく)の念珠(ねんしゆ)帽子(もうす)直綴(ちきとづ)鼻高(びかう)草鞋(さうあい)/鐃。鉢錫杖。鈴。佛具。如意。香爐。水精半装束念珠。帽子直綴。鼻高。草鞋。▲草鞋ハ和名藁沓(わらぐつ)也。今轉(てん)じてわらうつといふ。〔41ウ八〕
鐃(にやう)。鉢(はち)錫杖(しやくぢやう)。鈴(れい)。佛具(ぶつぐ)。如意(によい)。香爐(かうろ)。水精(すゐしやう)半装束(はんしやうぞく)の念珠(ねんしゆ)。帽子(もうす)直綴(ぢきとづ)。鼻高(びかう)。草鞋(さうあい)。▲草鞋ハ和名藁沓(わらぐつ)也。今轉(てん)じてわらうつといふ。〔74ウ二〕
So<ai.サゥアイ(草鞋) 藁製のある履物.すなわち,Varagi.(草鞋).〔邦訳567l〕
さう-あい〔名〕【草鞋】〔さうかいなり、集韻「鞋、戸佳切」和訓栞、さうかい「草鞋、僧家には、鞋を、あいの音に呼べり」禪家の語の、弘まりしものなるべし、宋音なるか、さうあいとも云ふは、さうあいの連聲(レンジヤウ)なり〕(一)わらぐつ。わらんぢ。わらぢ。サウワイ。下學集、下、器財門「草鞋(サウアイ)、左訓、ワランヂ」太平記、七、先帝船上臨幸事「御輿をば被停て、忝も十善の天子、自ら玉趾を草鞋の塵に汚して、自ら泥土の地を蹈ませ給ひける」(二)さふかい(挿鞋)の條を見よ。〔2-426-1〕
BACK(「言葉の泉」へ)
MAIN MENU(情報言語学研究室へ)
メールは、<(自宅)hagi@kk.iij4u.or.jp.(学校)hagi@komazawa-u.ac.jp.>で、お願いします。