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ことばの溜め池
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引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見議定之趣キ評定衆以下可レ註二_給ル之ヲ一御沙汰之法所務之規式雜務之流例下二知シ成敗ヲ一傍例律令(リツレウ)武家ノ相違存知シ仕リ度ク候。〔経覺筆本〕
引付(ヒキ―ケ)問-注所(モンチウ―)ノ上-裁(サイ)勘-判(カンばン)之躰。異-見(イケン)。義-定之趣ムキ。評-定-衆已下。可レ註(シル)シ二_給(タマ)ハルコト之ヲ一。御-沙-汰之法所-務(―ム)ノ規-式(キ―)。雜-務(サウム)ノ流-例(ルレイ)。下二-知。成-敗。傍-例(ハウレイ)。律-令(リツリヤウ)。武-家相-違一存-知仕度候。〔文明四年本〕
雜談(ザフタン) ―行(ギヤウ)。―作(サ)。―役(ヤク)。―説(せツ)。―乱(ラン)。―物(モツ)。―事(ジ)/―用(ヨウ)。―意(イ)。―務(ム)。―書(シヨ)。―具(グ)。―言(ゴン)。―心(シム)。―訴(ソ)。―掌(シヤウ)。〔言辞門145六〕
とあって、標記語「雜談」の語を収載し、冠頭字「雜」の熟語群に「雜務」の語を収載する。
442異見儀定之趣キ、評定衆以-下可∨註(シルシ)‖_給之ヲ|。御沙汰之-法、所務ノ之規式、雜-務(ム)流-例、下‖_地成敗ヲ|。 成ハ就也。平也。畢也。敗ハ敗也。廢也。〔謙堂文庫蔵四三左C〕
とあって、標記語を「雜務」とし、その語注記は、未記載にする。
雜務(ザウム) トハ。所務(シヨム)ニ付テ多ノ品(シナ)有。米銭ニ限(カギ)ラズ。或ハ錦布絹(キンフケン)。或ハ檀(ダン)紙薄様(ウス―)魚(ウホ)塩(シホ)ノ類色々サマ/\ニ納(ヲサム)ル処也。是ヲ雜務ト云ナリ。〔下十七ウ五〕
御沙汰(ごさた)の法(ほう)所務(しよむ)の規式(ぎしき)雜務(ざうむ)の流例(りうれい)/御沙汰之法所務ノ之規-式雜-務ノ流-例 年中の行事(げうじ)の内重き事を所務と云。軽き事を雜務と云。流例とハ前々よりし來りしならハせ也。〔58ウ七・八〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見議定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲雜務ハ何つれと混雑(ましらい)たる勤事也。〔44オ六〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲雜務ハ何つれと混雑(ましらひ)たる勤事也。〔78オ二〜ウ二〕
Zo<mu.ザツム(雜務) 家来に,それぞれの地位に応じて領地や知行を分配すること.§Zo<mu suru.(雑務する)同上.〔邦訳843r〕
ざつ-む〔名〕【雜務】雜多、些細なる仕事。雜務(ザフム)。〔0814-2〕
ざふ-む〔名〕【雜務】雜多の仕事。ザツム。〔0825-2〕
所務(―ム) 。〔元亀二年本309七〕
所務(――) 。〔静嘉堂本361六〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見議定之趣キ評定衆以下可レ註二_給ル之ヲ一御沙汰之法所務之規式雜務之流例下二知シ成敗ヲ一傍例律令(リツレウ)武家ノ相違存知シ仕リ度ク候。〔経覺筆本〕
引付(ヒキ―ケ)問-注所(モンチウ―)ノ上-裁(サイ)勘-判(カンばン)之躰。異-見(イケン)。義-定之趣ムキ。評-定-衆已下。可レ註(シル)シ二_給(タマ)ハルコト之ヲ一。御-沙-汰之法所-務(―ム)ノ規-式(キ―)。雜-務(サウム)ノ流-例(ルレイ)。下二-知。成-敗。傍-例(ハウレイ)。律-令(リツリヤウ)。武-家相-違一存-知仕度候。〔文明四年本〕
所務(ショム/トコロ、フ・ツトム)[上・去] 年貢ノ義也。〔態藝門932四・五〕
とあって、標記語「所務」の語を収載し、語注記は「年貢の義なり」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
所望(シヨマウ) ―行(ギヤウ)。―職(シヨク)。―爲(イ)。―課(クワ)。―勘(カン)。―務(ム)年貢/―帶(タイ)。―領(リヤウ)。―役(ヤク)。―當(タウ)。―労(ラウ)。―作(サク)。―詮(せン)。〔弘・言語進退門245二〕
所職(シヨシヨク) ―行。―爲。―課。―望。―勘。―領。―務(ム)/―役。―當。―労。―詮。―帶。―作。〔永・言語門210四〕
所職(シヨシヨク) ―行。―爲。―課。―務(ム)。―役。―労。―望。―勘/―領。―當。―詮。―帶。―作。―持。―存。―用。〔尭・言語門194五〕
とあって、標記語「所望」または「所職」とし、冠頭字「所」の熟語群として「所務」の語を収載し、訓みを「(シヨ)ム」とし、語注記は弘治二年本に「年貢」と記載する。また、易林本『節用集』に、
所得(シヨトク) ―謂(イ)。―詮(せン)。―犯(ホン)。―知(チ)。―役(ヤク)。―作(サ)。―願(グワン)。―辨(ベン)。―用(ヨウ)。―縁(エン)。―期(ゴ)。―領(リヤウ)。―職(シヨク)。―望(マウ)。―爲(井)。―帶(タイ)。―學(ガク)。―存(ゾン)。〔言辞門145六〕
とあって、標記語「所務」の語を未収載にする。
442異見儀定之趣キ、評定衆以-下可∨註(シルシ)‖_給之ヲ|。御沙汰之-法、所務ノ之規式、雜-務(ム)流-例、下‖_地成敗ヲ|。 成ハ就也。平也。畢也。敗ハ敗也。廢也。〔謙堂文庫蔵四三左C〕
とあって、標記語を「所務」とし、その語注記は、未記載にする。
所務(シヨム)之規式(ギシキ) 色々有。奥(ヲク)ニ註ス。〔下十八オ二〕
御沙汰(ごさた)の法(ほう)所務(しよむ)の規式(ぎしき)雜務(ざうむ)の流例(りうれい)/御沙汰之法所務ノ之規-式雜-務ノ流-例 年中の行事(げうじ)の内重き事を所務と云。軽き事を雜務と云。流例とハ前々よりし來りしならハせ也。〔58ウ七・八〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見議定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲所務ハおもてたちたる重(おも)き勤事(つとめこと)也。〔44オ五〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法(ほふ)所務(しよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲所務ハおもてたちたる重(おも)き勤事(つとめこと)也。〔78オ二〜ウ二〕
Xomu.ショム(所務) 年貢の取立て.例,Xomu suru.(所務する).〔邦訳793r〕
ショム〔名〕【所務】(一)つとむるところ。つとめ。(二)しょやく(所役)に同じ。吾妻鏡、四十四、建長六年四月廿九日「西國庄公地頭等所務事、有二其沙汰一」〔1017-3〕
評定(―ジヤウ) 。〔元亀二年本342一〕
評定(ヒヤウチヤウ) 。〔静嘉堂本410二〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見議定之趣キ評定衆以下可レ註二_給ル之ヲ一御沙汰之法所務之規式雜務之流例下二知シ成敗ヲ一傍例律令(リツレウ)武家ノ相違存知シ仕リ度ク候。〔経覺筆本〕
引付(ヒキ―ケ)問-注所(モンチウ―)ノ上-裁(サイ)勘-判(カンばン)之躰。異-見(イケン)。義-定之趣ムキ。評-定-衆已下。可レ註(シル)シ二_給(タマ)ハルコト之ヲ一。御-沙-汰之法所-務(―ム)ノ規-式(キ―)。雜-務(サウム)ノ流-例(ルレイ)。下二-知。成-敗。傍-例(ハウレイ)。律-令(リツリヤウ)。武-家相-違一存-知仕度候。〔文明四年本〕
評定(ヒヤウヂヤウ/ヘイテイ・―、サダム)[去・去] 。〔態藝門1041八〕
とあって、標記語「評定」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
評定衆(ヒヤウヂヤウシウ) 談合人。〔弘・人倫門251八〕
評定衆(ヒヤウジヤウシユ) 談合人。〔永・人倫門215五〕
評定衆(ヒヤウチヤウシユ) 談合人。〔尭・人倫門200九〕
とあって、標記語「評定衆」の語を収載し、訓みを「ヒヤウヂヤウシウ」「ヒヤウジヤウシユ」「ヒヤウチヤウシユ」とし、語注記は「談合人」と記載する。また、易林本『節用集』に、
評定衆(ヒヤウヂヤウシユ) 談合人(ダンカフニン)。〔人倫門222三〕
とあって、標記語「評定衆」の語を収載し、語注記に「談合人」と記載する。
442異見儀定之趣キ、評定衆以-下可∨註(シルシ)‖_給之ヲ|。御沙汰之-法、所務ノ之規式、雜-務(ム)流-例、下‖_地成敗ヲ| 成ハ就也。平也。畢也。敗ハ敗也。廢也。〔謙堂文庫蔵四三左C〕
とあって、標記語を「評定衆」とし、その語注記は、未記載にする。
評定衆(―デウシユ)以-下可シ∨註(シル)シ‖_給ハル之ヲ|。御沙汰ノ之-法(ハフ) 評定衆(ヒヨウテウシユ)ト云事内奏(ナイサウ)惣奉行(ソウブキヤウ)探題(タンタイ)管領(クハンリヤウ)閣閤(カクカウ)右筆(ユウヒツ)所司代(シヨシタイ)此人數(カズ)皆々(ミナ―)評定衆(ヒヤウデフシユ)ナリ。此ノ衆一人モ缺(カケ)テハ。評定ト不レ成トナリ。〔下十七ウ五〕
評定衆(ひやうぜうしゆ)以下(いけ)/評定衆以下 公事方の諸役人を云。下に注し給ふへしとあれハ其名前をいふ也。〔58ウ八〜59オ一〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見議定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲評定衆以下とハ公事方(くしかた)諸役人(しよやくにん)の作法(さほふ)をいふなるべし。〔44オ五〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲評定衆以下とハ公事方(くしかた)諸役人(しよやくにん)の作法(さほふ)をいふなるべし。〔78ウ四〕
ひゃうぢゃう−しゅう〔名〕【評定衆】鎌倉、室町幕府の制に、軍政に參議する職。政所(まんどころ)に出仕して、執權(シツケン)と共に政務を評定す。吾妻鏡、廿九、天福元年八月十八日「召二評定衆一、被レ經二沙汰一」 太平記、三十五、北野通夜物語事「一人は古へ關東の頭人評定衆なみに列て、云云」〔1700-5〕
×〔元亀二年本310五〕
議定(―チヤウ) 。〔静嘉堂本328六〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見議定之趣キ評定衆以下可レ註二_給ル之ヲ一御沙汰之法所務之規式雜務之流例下二知シ成敗ヲ一傍例律令(リツレウ)武家ノ相違存知シ仕リ度ク候。〔経覺筆本〕
引付(ヒキ―ケ)問-注所(モンチウ―)ノ上-裁(サイ)勘-判(カンばン)之躰。異-見(イケン)。義-定之趣ムキ。評-定-衆已下。可レ註(シル)シ二_給(タマ)ハルコト之ヲ一。御-沙-汰之法所-務(―ム)ノ規-式(キ―)。雜-務(サウム)ノ流-例(ルレイ)。下二-知。成-敗。傍-例(ハウレイ)。律-令(リツリヤウ)。武-家相-違一存-知仕度候。〔文明四年本〕
議定(ハカリサタム) 評定部。キチヤウ。〔黒川本・疉字下51ウ二〕
議定 〃脂。〔卷第八・疉字533六〕
議定(ギヂヤウ/ハカル、テイ・サダム)[去・去] 評定義同。〔態藝門828六〕
とあって、標記語「儀定」の語を収載し、語注記は「評定の義に同じ」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
義定(―ヂヤウ) 評定義。〔弘・言語進退門221六〕
義理(ギリ) ―式(シキ)。―定(チヤウ)/―絶(ぜツ)。〔永・言語門184八〕
義理(ギリ) ―式。―定/―絶。〔尭・言語門174三〕
とあって、標記語「儀定」の語を収載し、訓みを「(ギ)ヂヤウ」とし、語注記は弘治二年本だけに「評定の義」と記載する。また、易林本『節用集』に、
義理(ギリ) ―絶(ぜツ)。―者(シヤ)/―分(ブン)。―定(ヂヤウ)。〔言辞門145六〕
議定(ギヂヤウ) ―奏(ソウ)。〔言辞門145六〕
とあって、標記語「議定」の語と「義理」の語の冠頭字「義」の熟語群にも「義定」の語を収載する。
442異見儀定之趣キ、評定衆以-下可∨註(シルシ)‖_給之ヲ|。御沙汰之-法、所務ノ之規式、雜-務(ム)流-例、下‖_地成敗ヲ|。 成ハ就也。平也。畢也。敗ハ敗也。廢也。〔謙堂文庫蔵四三左C〕
とあって、標記語を「儀定」とし、その語注記は、未記載にする。
儀定(キテウ)之趣(ヲモムキ) ノ事上ヨリノ御裁許ヲ受(ウク)ル共下ニテ奉行人達(タチ)。サシ集(アツマツ)テ公事ヲ目泗スルヲ義定ト云也。〔下十七ウ五〕
異見(いけん)議定(ぎじやう)の趣(おもむき)/異見議定之趣 公事を捌くに評定衆打寄ておの/\の所存を述るを異見といふ。異見の申にてよろしきに従ひ判断(はんたん)するを議定といふ。〔58ウ七・八〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見議定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲議定ハ異見(いけん)のうち其宜(よろしき)ニ従(したが)ひ一決(いつけつ)するをいふ。〔44オ三〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲議定ハ異見(いけん)のうち其宜(よろしき)ニ従(したが)ひ一決(いつけつ)するをいふ。〔78オ二〜ウ二〕
Guigio<.ギヂヤウ(儀定) ある事柄に関して下される決定。あるいは,裁決.例,Guigio< suru,l,xita.(議定する,または,した)§Guigio< machimachi nari.(議定区なり)決定,あるいは,意見はさまざまであった.〔邦訳298l〕
ぎ-ぢゃう〔名〕【議定】(一)議(はから)ひて、定むること。議定(ギテイ)。平治物語、二、官軍除目を行るる事「此の程、大内に、凶徒、殿舎に宿し、狼藉、繁多なり、清められずして、還幸ならん事、然るべからざるよし、議定區區なりとぞ聞えける」 増鏡、第十五、村時雨「今より、記録所へも、御供に出でさせたまふ、儀(議)定などいふ事にも參り給ふべしと聞えつるに」(二)轉じて、議定したる掟。「議定を立つる」議定を破る」〔0471-2〕
異見(―ケン) 。〔元亀二年本10七〕〔静嘉堂本1七〕〔天正十七年本上3オ六〕〔西来寺本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可∨註シ‖_給フ之ヲ|御沙汰之-法所務之規式雜-務之流-例下知成敗傍-例納-法律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。〔経覺筆本〕
引付問注所。上裁勘判之躰。異見儀定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。〔文明四年本〕
異見(イケン/コトナリ、ミル)[去・去] 。〔態藝門597八〕
とあって、標記語「異見」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
異見(―ケン) 意見(同)。〔弘・言語進退門11五〕
異見(―ケン) 。〔永・言語門6七〕
異相(イサウ) ―域。―様。―味。―形。―父。―能。―見/―体。―活。―治。―標。―論。―類。―儀。―人。〔尭・言語門6一〕
異相(イサウ) ―域(イキ)。―様(ヤウ)。―味。―形(キヤウ)。―父(フ)。―能(ノウ)。―見(ケン)/―体(テイ)。―活(クワツ)。―治(チ)。―標。―論。―類。―儀。―人。〔両・言語門7三〕
とあって、標記語「異見」の語を収載し、訓みを「(イ)ケン」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
異見(―ケン) 。〔言辞門7二〕
とあって、標記語「異見」の語を収載し、語注記は未記載にする。
442異見儀定之趣キ、評定衆以-下可∨註(シルシ)‖_給之ヲ|。御沙汰之-法、所務ノ之規式、雜-務(ム)流-例、下‖_地成敗ヲ|。 成ハ就也。平也。畢也。敗ハ敗也。廢也。〔謙堂文庫蔵四三左C〕
とあって、標記語を「異見」とし、その語注記は、未記載にする。
異見(イ―) ノ趣(ヲモムキ)ハ。公事(クジ)ノ卒法上ヨリノ裁許(サイキヨ)マチ/\也。是ヲ異見(イケン)ト云フナリ。〔下十七ウ七〕
異見(いけん)議定(ぎじやう)の趣(おもむき)/異見儀定之趣 公事を捌くに評定衆打寄ておの/\の所存を述るを異見といふ。異見の申にてよろしきに従ひ判断(はんたん)するを評定といふ。〔58ウ七・八〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見議定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲異見ハ公事(くし)を捌(さは)くに評定衆(ひやうちやうしゆ)打より各(をの/\)其思(おも)ふ所を述(のべ)らるゝをいふ。〔44オ四〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲異見ハ公事(くじ)を捌(さば)くに評定衆(ひやうぢやうしゆ)打(うち)より各(おの/\)其思ふ所を述(のべ)らるゝをいふ。〔78ウ三〕
Iqen.イケン(異見) 忠告,または,訓戒.§Iqunuo mo<su.l,Cuuayuru.(異見を申す,または,加ゆる)忠告を与える. →Guixocu;Saxiate,tcuru.〔邦訳338l〕
い-けん〔名〕【異見】他人に異なる意見(みこみ)。異存。異論。異議。水經、注「莫レ不三逕觀以爲二異見一矣」 梁書、劉敲傳「互生二異見一」〔0145-5〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可∨註シ‖_給フ之ヲ|御沙汰之-法所務之規式雜-務之流-例下知成敗傍-例納-法律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。〔経覺筆本〕
引付問注所。上裁勘判之躰。異見儀定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。〔文明四年本〕
勘判(カンハン/カンガウ、ワカツ)[去・去] 。〔態藝門274三〕
とあって、標記語「勘判」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
勘判(カンバン) 。〔弘・言語進退門87二〕
勘氣(カンキ) ―文(モン)暦家所為。―落(ラク)。―判(ハン)。―責(せキ)/―望(バウ)。―合(ガウ)。―辨(ベン)。/―發(ホツ)。―定(ヂヤウ)。―略(リヤク)。〔永・言語門82六〕
勘當(カンダウ) 為ニ‖君父ノ|所擯(コハム)。―落。―判。―責。―望。―過関過書文言義。―氣。―文暦家所為。―定。―合。―弁。―發。―略。〔尭・言語門75一〕
勘氣(カンキ) ―文暦家所為。―落。―判。―責。―望。―合。―辨。―發。―定。―略。〔両・言語門90三〕
とあって、標記語「勘判」の語を収載し、訓みを「カンバン」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、標記語「勘判」の語を未収載にする。
441勘判ノ之体(テイ) 上裁ノ沙汰ニ勘判スル也。此言ハ引付問註所之人、并ニ上裁ニ拵テ裁ハルノ体同ク異見ヲ云イ。義定ノ趣ヲ皆可∨註‖_給之|也。〔謙堂文庫蔵四三左A〕
とあって、標記語を「勘判」とし、その語注記は、「上裁の沙汰に勘判するなり。此の言は、引付問註所の人、并びに上裁に拵へて裁はるの体同じく異見を云ひ。義定の趣を皆これを註したまふべきなり」と記載する。
引付(ヒキツケ)問注所(モンチユウシヨ)ニ上裁(サイ)勘判(カンバン)ノ躰(テイ) ト云心ハ。問注所(モンチウシヨ)ハ何モ奉行所(ブキヤウシヨ)ナリ沙汰(サタ)也。上裁(サイ)勘判(カンハン)ト云事ハ公事ノ文ノ判形(ハンキヤウ)ヲ留(トヾ)メヲキテ一一ニ上ヘ申上ル。又上ヨリ御裁許(サイキヨ)ニ預(アツカ)ル事ヲ上裁ト云也。〔下十七ウ五〕
被∨勘‖判(カンバン)之ヲ|就テ‖トハ。塗板(ヌリイタ)トテ塗(ヌリ)タル板ニ數人ヲ書也。〔下廿ウ五〕
上裁(じやうさい)勘判(かんぱん)の躰(てい)/上裁勘判之躰 上裁とハ上の御裁許(ごさいきよ)也。裁ハはかり定る義なり。勘ハかんかへ判ハわかつと訓す。捌(さは)きする事也。〔58ウ五〜六〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見儀定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲勘判ハ其事を勘(かんか)へ是非(せひ)を判(わか)つをいふ。〔44オ四〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)儀定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲勘判ハ其事を勘(かんが)へ是非(ぜひ)を判(わか)つをいふ。〔78ウ二〜三〕
上裁(―サイ) 。〔元亀二年本313十〕〔静嘉堂本368一〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可∨註シ‖_給フ之ヲ|御沙汰之-法所務之規式雜-務之流-例下知成敗傍-例納-法律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。〔経覺筆本〕
引付問注所。上裁勘判之躰。異見儀定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。〔文明四年本〕
上裁(シヤウサイ・カミ/ノボル、タツ)[上・平] 公方義也。〔態藝門936四〕
とあって、標記語「上裁」の語を収載し、語注記は「公方の義なり」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
上裁(シヤウサイ) 公方。〔弘・言語進退門245八〕
上品(シヤウボン) ―手。―下。―裁。―表。―洛。―聞。〔永・言語門210三〕
上品(シヤウホン) ―手。―下。―裁。―表。―落。―聞。〔尭・言語門194四〕
とあって、弘治二年本が標記語「上裁」の語を収載し、訓みを「シヤウサイ」とし、語注記には「公方」と記載する。また、易林本『節用集』に、
上裁(ジヤウサイ) 公方義。―根(コン)。―代(ダイ)。―分(ブン)。―品(ボン)。―足(ソク)。―手(ズ)。―戸(ゴ)。―首(シユ)。―意(イ)。―智(チ)。―堂(ダウ)。―古(コ)。―覧(ラン)。―表(ヒヨウ)。―聞(ブン)。〔言辞215七〕
とあって、標記語「上裁」の語を収載し、語注記に「公方の義」と記載する。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「上裁」とし、その語注記は、「公方樣の耳に直に入るるを云ふ」と記載する。
引付(ヒキツケ)問注所(モンチユウシヨ)ニ上裁(サイ)勘判(カンバン)ノ躰(テイ) ト云心ハ。問注所(モンチウシヨ)ハ何モ奉行所(ブキヤウシヨ)ナリ沙汰(サタ)也。上裁(サイ)勘判(カンハン)ト云事ハ公事ノ文ノ判形(ハンキヤウ)ヲ留(トヾ)メヲキテ一一ニ上ヘ申上ル。又上ヨリ御裁許(サイキヨ)ニ預(アツカ)ル事ヲ上裁ト云也。〔下十七ウ五〕
上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)/上裁勘判之躰 上裁とハ上の御裁許(ごさいきよ)也。裁ハはかり定る義なり。勘ハかんかへ判ハわかつと訓す。捌(さは)きする事也。〔58ウ五〜六〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見儀定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲上裁ハ上(かミ)の御裁許(さいきよ)也。上ハ公方(くハう)を指(さ)す。裁ハはかり定(さた)むる義。〔44オ四〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)儀定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲上裁ハ上(かミ)の御裁許(さいきよ)也。上ハ公方(くハう)を指(さ)す。裁ハはかり定(さだ)むる義。〔78ウ二〕
じャう-さい〔名〕【上裁】高貴の、親しく事を裁決せらるること。盛衰記、四、白山~輿登山事「宣下待二聖斷一、仰中上裁上」〔096-1〕
問註所(―ヂウシヨ) 頼朝始置。〔元亀二年本350六〕
問註所(―――) 頼朝始置。〔静嘉堂本421七〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可∨註シ‖_給フ之ヲ|御沙汰之-法所務之規式雜-務之流-例下知成敗傍-例納-法律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。〔経覺筆本〕
引付問注所。上裁勘判之躰。異見儀定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。〔文明四年本〕
問注所(モンヂウシヨ/トイ、シルス、トコロ)[去・去・上] 頼朝之時始置レ之。〔人倫門1065八〕
とあって、標記語「問注所」の語を収載し、語注記は「頼朝の時始めてこれを置く」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
問注所(―ヂウシヨ) 頼朝(ヨリトモ)ノ時始置レ之。〔弘・人倫門258五〕
問注所(モンチウシヨ) 頼朝箕始置之。〔永・言語門220八〕
問注所(モンチウシヨ) 頼朝時始置之。〔尭・人倫門207一〕
とあって、標記語「問注所」の語を収載し、訓みを「(モン)ヂウシヨ」「モンチウシヨ」とし、語注記は、いずれも広本『節用集』の語注記を継承記載する。また、易林本『節用集』に、
問注所(―ヂウシヨ) 頼朝(ヨリトモ)置之。〔人倫門229四〕
とあって、標記語「問注所」の語を収載し、語注記に「頼朝(ヨリトモ)これを置く」と広本『節用集』の語注記を継承記載する。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「問注所」とし、その語注記は、未記載にする。
引付(ヒキツケ)問注所(モンチウシヨ)ニ上裁(サイ)勘判(カンバン)ノ躰(テイ) ト云心ハ。問注所(モンチウシヨ)ハ何モ奉行所(ブキヤウシヨ)ナリ沙汰(サタ)也。上裁(サイ)勘判(カンハン)ト云事ハ公事ノ文ノ判形(ハンキヤウ)ヲ留(トヾ)メヲキテ一一ニ上ヘ申上ル。又上ヨリ御裁許(サイキヨ)ニ預(アツカ)ル事ヲ上裁ト云也。〔下十七ウ五〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)/引付問注所 所も設所なり。下の返状にくわし。〔58ウ五〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見儀定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲問注所ハ公事(くし)を聴(き)く役所(やくしよ)也。〔44オ三〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)儀定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲問注所ハ公事(くじ)を聴(き)く役所(やくしよ)也。〔78オ二〜ウ二〕
Mongiu<xo.モンヂュウショ(問注所) 訴えを聞いて,ある文書係の役人に書きとめさせる所.〔邦訳420l〕
もんぢゅう-しょ〔名〕【問注所】鎌倉、室町幕府の訴訟裁判の署(つかさ)。原被兩造に問ひて、其言葉を注記して、訴訟を裁斷せし所。元暦元年十月、鎌倉柳營の東廂に設けられ(吾妻鏡)、其職に執事、寄人、等あり。庭訓徃來、八月「問注所ハ者永代沽券、安堵年記、放券、奴婢雜人券契、和與状、負累證文等、謀實、糺‖明之|、管領、寄人、右筆、奉行人等評判也」〔2018-2〕
恐ス(―エツ) 。〔元亀二年本215五〕
恐ス(ケウヱツ) 。〔静嘉堂本245六〕
恐ス(―エツ) 。〔天正十七年本中52オ四〕
被書与草案土代被引導奉行所者恐ス候〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
被書與草案土代被引導奉行所者恐ス候〔宝徳三年本〕
被レ∨書‖_与ヘ草-案土-代ヲ|被レハ∨引‖-導奉行-所ニ|者恐-スニ候〔山田俊雄藏本〕
被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ〔経覺筆本〕
被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ〔文明四年本〕
恐ス(キヨウヱツ/ヲソレ、ヨロコブ)[去・入] 。〔態藝門829三〕
とあって、標記語「恐ス」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
恐ス(ケウエツ) 。〔弘・言語進退門177一〕 恐ス(―エツ) 。〔弘・言語進退門223七〕
恐恨(ケウコン) ―惶(クハウ)。―怖(フ)。――(ケウ/\)。/―欝(ウツ)。―ス(エツ)。〔永・言語門144五〕
恐恨(ケウコン) ―惶。―怖。/―欝。―ス。〔尭・言語門134二〕
とあって、標記語「恐ス」の語を収載し、訓みを「ケウエツ」と「キヨウエツ」(弘本)とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、標記語「恐ス」の語を未収載にする。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「恐ス」とし、その語注記は、未記載にする。
奉行所(フキヤウシヨ)ニ|者恐ス(ケウヱツ)ニ候 奉行所ニ引導トハ。奉行ノ処へ引付(ヒキツケ)テ。内奏(ソウ)スル事ナリ。〔下十七ウ五〕
恐悦(きやうゑつ)に候/恐ス候 かくのことく世話して玉らハ悦ひ入るとなり。〔58ウ一〜二〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。〔43ウ七〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。〔78オ二〕
‡Qio>yet.キョゥエッ(恐ス) Vosore,yorocobu.(恐れ,悦ぶ)恐れと喜びと.文書語.〔邦訳503r〕
きょう-えつ〔名〕【恐ス】かしこみ、よろこぶこと。人の事を悦ぶに云ふ敬語。庭訓徃來、八月、「憑二貴殿御扶持一、可レ進二代官一也、短慮未練之仁令二稽古一之程、不レ被レ加二御詞一者越度出來歟。被レ書二_與草案土代一、被レ引二導奉行所一者恐ス候」〔0499-2〕
被書与草案土代被引導奉行所者恐ス候〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
被書與草案土代被引導奉行所者恐ス候〔宝徳三年本〕
被レ∨書‖_与ヘ草-案土-代ヲ|被レハ∨引‖-導奉行-所ニ|者恐-スニ候〔山田俊雄藏本〕
被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ〔経覺筆本〕
被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ〔文明四年本〕
奉行(ブギヤウ/―カウ・タテマツル、ユク・ツラナル)[上・平去] 頭人〔態藝門650一〕
とあって、標記語「奉行」の語を収載し、語注記に「頭人」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
奉行(ブギヤウ) 。〔弘・人倫門179七〕
奉行(ブギヤウ) 頭人。〔永・言語門147六〕 奉行人(ブギヤウニン) 。〔永・後鳥羽院御宇鍛冶結番次第283二〕
奉行(ブキヤウ) 頭人。〔尭・言語門137六〕
とあって、広本『節用集』と同じく標記語「奉行所」の語を未収載にし、標記語「奉行」の語をもって収載し、訓みを「ブギヤウ」とし、語注記も広本『節用集』と同じ「頭人」と記載する。また、易林本『節用集』に、
奉事(ブジ) ―仕(シ)。―行(ギヤウ)。〔言辞門151三〕
とあって、標記語「奉事」の語を収載し、冠頭字「奉」の熟語群にも「奉行」の語を収載する。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「奉行所」とし、その語注記は、未記載にする。
奉行所(フキヤウシヨ)ニ|者恐ス(ケウヱツ)ニ候 奉行所ニ引導トハ。奉行ノ処へ引付(ヒキツケ)テ。内奏(ソウ)スル事ナリ。〔下十七ウ五〕
奉行所(ふぎやうしよ)に引導(ゐんだう)せ被(られ)者(ハ)/被∨引‖導セ奉行所ニ|者 引ハひく導ハミちひくと讀。奉行所へ手引して玉ハれと也。〔58ウ三〜四〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。〔43ウ四〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。〔77ウ四〕
ぶぎゃう-しょ〔名〕【奉行所】武家時代の官署の一。奉行の執務する役所。梅翁随筆、一「卯七月頃より本所邊騒騒しく、徃來の者を剥ぎ取るよし風聞あり、云云、無宿仙藏といふ者、奉行所へ召捕られしより、云云」 八木の話(北越逸民)、堂島米市起立事「早朝の寄附より大引迄の相場、一一に年行司より、日日、奉行所に訴ふることなり」〔1730-2〕
引導(インダウ) 。〔元亀二年本11二〕
引導(インタウ) 。〔静嘉堂本2六〕
引導(―タウ) 。〔天正十七年本上3ウ五〕〔西來寺本〕
被書与草案土代被引導奉行所者恐ス候〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
被書與草案土代被引導奉行所者恐ス候〔宝徳三年本〕
被レ∨書‖_与ヘ草-案土-代ヲ|被レハ∨引‖-導奉行-所ニ|者恐-スニ候〔山田俊雄藏本〕
被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ〔経覺筆本〕
被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ〔文明四年本〕
引導 同(佛法部)/インタウ。〔黒川本・疉字門上10オ八〕
引導 〃接。〃汲。〃裾。〃率。〃唱。〔卷第・疉字門65三〕
引導(インダウ/ヒク、ミチビク)[上去・去] 。〔態藝門29六〕
とあって、標記語「引導」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
引導(インダウ) 。〔弘・言語進退門11七〕
引導(―ダウ) 。〔永・言語門7一〕
引物(インブツ) ―率。―級。―攝。―導。〔尭・言語門6一〕
引物(インブツ) ―率(ゾツ)。―級(キユウ)。―攝(セウ)。―導。―声。―唱。〔両・言語門7四〕
とあって、標記語「引導」の語を収載し、訓みを「インダウ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
引導(インダウ) 。〔言語門7六〕
とあって、標記語「引導」の語を収載し、語注記は未収載にする。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「引導」とし、その語注記は、未記載にする。
土代(ドタイ)ヲ|、被レ∨引‖導(インダウ) 土代ハ。物際ノ田畠(テンバク)ヲバ。親(シタ)シキ中ニハ互(ガヒ)ニ替(カエ)テ作シナリ。〔下十七ウ四〜五〕
奉行所(ふぎやうしよ)に引導(ゐんだう)せ被(られ)者(ハ)/被∨引‖導セ奉行所ニ|者 引ハひく導ハミちひくと讀。奉行所へ手引して玉ハれと也。〔58ウ三〜四〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。〔43ウ四〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。〔77ウ三〕
Indo<.インダゥ(引導) Michibiqu.(導く) 導くこと.特に,死者のために葬礼を執り行ない,さらに法事を行なって,その霊を来世へと導いてやる坊主(Bonzos)のそれを言う.§Vaga xixiteno indo<ua qixouo tanomi zonzuru.(わが死しての引導は貴所を頼み存ずる)私の死んだ後,霊が救われるように私のために祈り,また導いてくださるよう,あなたに切にお願いします.〔邦訳335l〕
いん-だう〔名〕【引導】(一)ひき、みちびくこと。てびき。南史、王僧辨傳「有二〓魚一、躍レ水飛レ空引導」 明月記、寛喜二年七月十六日「右大臣殿、此事引導口入、可レ進二名簿一歟」(二)佛教に、衆生を導きて、佛道に入らしむること。法華経、方便品「無數方便、以引二導衆生一」太平記、二十四、壬生地藏事「今世後世、能引導す」(三)佛葬の時、導師の、棺前に立ち、法語を誦して、死者の、浄土に到るべき方所を示すこと。これを、引導をわたすと云ふ。智度論、「大愛道比丘尼涅槃、佛自在レ前、フ二香爐一引導」〔0213-1〕
被書与草案土代被引導奉行所者恐ス候〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
被書與草案土代被引導奉行所者恐ス候〔宝徳三年本〕
被レ∨書‖_与ヘ草-案土-代ヲ|被レハ∨引‖-導奉行-所ニ|者恐-スニ候〔山田俊雄藏本〕
被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ〔経覺筆本〕
被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ〔文明四年本〕
土代 文章{書}部/トタイ。〔黒川本・疉字門上50オ六〕
歛地 〃古。〃膏。〃代。〃宜。〃風。〃コ。〃産。〃毛。〃民。〃器。〃壌。〃浪。〃宇。〃木。〔卷第・疉字門176三〕
土代(トタイ/ツチ、シロ・カワル)[上・去] 。〔態藝門137七〕
とあって、標記語「土代」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
歛木(トボク) ―代。―毛。―餌(ジ)夫婦部/餌。―貢(コウ)/―公(クウ)。―産(サン)。―人(ニン)。―コ(トク)長者名。〔永・言語門45一〕
歛木(トホク) ―代。―毛。―餌。―貢/―公。―産。―人。―コ長者名。〔尭・言語門41七〕
土代(トダイ) 。〔両・言語門49七〕
とあって、標記語「土代」の語を収載し、訓みを「トダイ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
土代(―タイ) 。〔言辞門44二〕
とあって、標記語「土代」の語を収載し、語注記を未記載にする。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「土代」とし、その語注記は、未記載にする。
土代(ドタイ)ヲ|、被レ∨引‖導(インダウ) 土代ハ。物際ノ田畠(テンバク)ヲバ。親(シタ)シキ中ニハ互(ガヒ)ニ替(カエ)テ作シナリ。〔下十七ウ一〕
草案(そうあん)の土代(どたい)を書(かき)与(あた)へ被(られ)/被∨書キ‖_與草案ノ土代ヲ| 田畠作物の取高等を記したる下事を認(したゝめ)てあたへられよと也。〔58ウ一〜二〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。▲草案ノ土代ハ田地(てんぢ)一件(ひとまき)の下書(しだかき)案文(あんもん)なり。〔43ウ七〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。▲草案ノ土代ハ田地(てんぢ)一件(ひとまき)の下書(しだかき)案文(あんもん)なり。〔78オ二〕
と-だい〔名〕【土代】(一)受領を任命する時の下書(ゲシヨ)。蝉冕翼抄(1322年)「小書出を受領の土代と云ふ」(二)文書の草案。下書(したがき)。草稿。庭訓往來、八月、「草案、土代」「小野道風、屏風土代」〔1407-2〕
草案(―アン) 。〔元亀二年本269九〕
草案(サウアン) 。〔静嘉堂本307五〕
被書与草案土代被引導奉行所者恐ス候〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
被書與草案土代被引導奉行所者恐ス候〔宝徳三年本〕
被レ∨書‖_与ヘ草-案土-代ヲ|被レハ∨引‖-導奉行-所ニ|者恐-スニ候〔山田俊雄藏本〕
被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。〔経覺筆本〕
被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。〔文明四年本〕
草案(サウアン) 文章{書}部〔黒川本・疉字門下42ウ四〕
草創 〃聖。〃案。〃書。〃堂。〃花。〃樹。〃芥。〃庵。〃木。〃玄。〃磅。〃履。〃藁。〔卷第八・疉字門439四〕
草案(サウアン) 。〔態藝門79七〕
草案(サウアン/クサ、カシマヅキ・カンカウ)[上・上] 文ノ中書也。自二裨ェ(ヒシン)始也。〔態藝門597八〕
とあって、標記語「草案」の語を収載し、語注記は「文の中書なり。裨ェより始るなり」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
草案(サウアン) 文。〔弘・言語進退門214五〕
草案(サウアン) ―紙(シ)。―亭(テイ)。〔永・言語門178六〕
草案(サウアン) ―紙(シ)。―庵。―亭。〔尭・言語門167七〕
とあって、標記語「草案」の語を収載し、訓みを「サウアン」とし、語注記は弘治二年本のみだが、「文」と記載し、これは広本『節用集』の語注記の簡略形とみる。また、易林本『節用集』に、
草創(サウサウ) ―案(アン)。〔言辞門181一〕
とあって、標記語「草創」の語を収載し、冠頭字「草」の熟語群にも「草案」の語を収載する。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「草案」とし、その語注記は、未記載にする。
草案(サウアン) トハ。古(イニシ)ヘハ。紙(カミ)ナカリシ。先(マツ)試(コヽロミ)ニ草(クサ)ノ葉(ハ)ニ文(フミ)ヲ書キ人々ニ見セシ也。サテ草案ナリ。〔下十七ウ三〜四〕
越度(おつど)出來(いできた)らん歟(か)/越度出來ン歟 越度とハ思ひよらさるあやまちをし出し法度(はつと)をもかき言開ん詞もなきかこときをいふ。かくいひしこゝろハ投(なけ)かけて頼(たの)まん為なり。〔58ウ一〜二〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。▲草案ノ土代ハ田地(てんぢ)一件(ひとまき)の下書(しだかき)案文(あんもん)なり。〔43ウ七〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。▲草案ノ土代ハ田地(でんぢ)一件(ひとまき)乃下書(したがき)案文(あんもん)なり。〔78オ二〕
So<an.サウアン(草案) Xitagaqi.(下書)ある書状とか書物とかの草稿や下書きであって、後で書き写されるはずのもの.例,So<anuo suru.(草案をする)この草稿や下書きをつくる.〔邦訳567l〕
さう-あん〔名〕【草案】〔さうかう(草稿)の語原を見よ、正字通「著レ書起レ義、曰レ案」〕したがき。下書(ゲシヨ)草稿。〔0765-5〕
出來(―ライ) 。〔元亀二年本310五〕〔静嘉堂本94六〕
出來(シユツライ) 。〔天正十七年本中50ウ四〕
短慮未練之仁令稽古之程不被加御詞者越度出來歟〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
短慮未練之仁令稽古程不被加御詞者越度出來歟〔建部傳内本〕
短慮(タン)未練ノ之仁令ン‖稽古|之程、不∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來せン歟。〔山田俊雄藏本〕
短慮(レヨ)未練(レン)之仁令ル‖稽古|之程、不ンバ∨被∨加‖御詞(コトハ)ヲ|者越度出來歟。〔経覺筆本〕
短-慮(タンリヨ)未-練(ミレン)ノ仁ニ令‖稽-古(ケイコ)|之程(ホト)、不被∨加‖御詞(コトハ)ヲ|者越-度(ヲツト)出-來歟。〔文明四年本〕
出來(シユツライ/イテル、キタル)[去入・平] 。〔態藝門933一〕
とあって、標記語「出來」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、標記語「出來」の語を未収載にする。また、易林本『節用集』に、
出仕(シユツシ) ―納(ナフ)。―頭(トウ)。―物(モツ)。―世(せ)。―生(シヤウ)。―身(シン)。―家(ケ)。〔言辞門216七〕
とあって、標記語「出仕」の語を収載し、冠頭字「下」の熟語群にも「出來」の語を未収載にする。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「出來」とし、その語注記は、未記載にする。
越度(ヲツド)出來ラン歟(カ)被(レ)∨書キ‖_與(アタヘ) 越度(ヲツト)トハ。ヤヽモスレバ誤(アヤマ)リ僻(ヒガコト)ヲシテハ後悔(コウクハ)ヒ悲(カナシ)ミ科(トガ)ヲシテハ。後(ノチ)ニ悲(カナシ)ムヲ云ナリ。〔下十七ウ三〕
越度(おつど)出來(いできた)らん歟(か)/越度出來ン歟 越度とハ思ひよらさるあやまちをし出し法度(はつと)をもかき言開ん詞もなきかこときをいふ。かくいひしこゝろハ投(なけ)かけて頼(たの)まん為なり。〔58ウ一〜二〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。〔43ウ七〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。〔78オ一〜二〕
Xutrai.シュッライ(出來) Ide qitaru.(出で来たる)何事かが到来したり,発生したりすること,または,何事かがなされること.〔邦訳804l〕
しゆつ-らい〔名〕【出來】〔出來(いでく)るの音讀、音便に、しゅったい〕(一)出で來ること。おこること。平治物語、一、待賢門院事「定めて、狼藉出來せんか」(二)物事の、成り調ひたること。出來上がること。成就。〔0613-4〕
越度(ヲツド) 。〔元亀二年本77五〕〔静嘉堂本94六〕
越度(ヲチト) 。〔天正十七年本上47オ二〕
短慮未練之仁令稽古之程不被加御詞者越度出來歟〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
短慮未練之仁令稽古程不被加御詞者越度出來歟〔建部傳内本〕
短慮(タン)未練ノ之仁令ン‖稽古|之程、不∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來せン歟。〔山田俊雄藏本〕
短慮(レヨ)未練(レン)之仁令ル‖稽古|之程、不ンバ∨被∨加‖御詞(コトハ)ヲ|者越度出來歟。〔経覺筆本〕
短-慮(タンリヨ)未-練(ミレン)ノ仁ニ令‖稽-古(ケイコ)|之程(ホト)、不被∨加‖御詞(コトハ)ヲ|者越-度(ヲツト)出-來歟。〔文明四年本〕
越度(ヲツド/ヱツ・コヱ、ワタル)[入・去] 或作乙度|。〔態藝門225八〕
とあって、標記語「越度」の語を収載し、語注記は「或作○○」形式により別表記「乙度」の語を記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
越度(ヲツド) 。〔弘・言語進退門67四〕 乙度(ヲツド) 。〔弘・言語進退門69四〕
越度(ヲツド) ―訴(ソ)。―奏(ソフ)。 乙度(―ト) 。〔永・言語門66四・66五〕
越度(ヲツト) ―訴。―年。―奏。 乙度(ヲツト) 。〔尭・言語門60七〕
越度(ヲツト) ―訴。―奏。 乙度(ヲツト) 。〔両・言語門71四〕
とあって、標記語「越度」の語を収載し、訓みを「ヲツド」とし、語注記は未記載にする。ここで、広本『節用集』が同種別表記に認定した「乙度」を別語枠で収載している点が着目されよう。また、易林本『節用集』に、
越度(ヲツド) 。〔言語門63二〕
とあって、標記語「越度」の語を収載し、語注記を未記載にする。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「越度」とし、その語注記は、未記載にする。
越度(ヲツド)出來ラン歟(カ)被(レ)∨書キ‖_與(アタヘ) 越度(ヲツト)トハ。ヤヽモスレバ誤(アヤマ)リ僻(ヒガコト)ヲシテハ後悔(コウクハ)ヒ悲(カナシ)ミ科(トガ)ヲシテハ。後(ノチ)ニ悲(カナシ)ムヲ云ナリ。〔下十七ウ三〕
越度(おつど)出來(いできた)らん歟(か)/越度出來ン歟 越度とハ思ひよらさるあやまちをし出し法度(はつと)をもかき言開ん詞もなきかこときをいふ。かくいひしこゝろハ投(なけ)かけて頼(たの)まん為なり。〔58ウ一〜二〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。▲越度爰(こゝ)にハ思慮(おもんばかり)の行(ゆき)足(た)らぬをいふ。〔43ウ七〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。▲越度爰(こゝ)にハ思慮(おもんはかり)の行(ゆき)足(た)らぬをいふ。〔78オ一〜二〕
Vochido.ヲチド(越度) 手落ち,または,不注意.→Votdo.〔邦訳698r〕
をち-ど〔名〕【越度】(一)又、をつど。法律の語。古へ、關門、又は、津渡に由らず、法を破りて、間道を行くこと。制度(さだめ)に越ゆること。又、その罪名。衞禁律「凡私度レ關者、徒一年、攝津長門減二一等一、餘關又減二二等一、越度者各加二一等一」 疏「不レ由門爲レ越」 居家必用、注「越度、謂二關不レ由レ門、律不レ由レ濟者一」 林エ節用集、雜用「越度、ヲチド」(二)轉じて、過失(あやまち)の罪となるもの。(常に落度など借書す)しそこなひ。あやまち。十訓抄、上、第一、第廿九條「公事につきて、失禮をもし、ただうちあるふるまひにも、越度(ヲチド)の出來ぬるは、口をしきことなり」 評定所留役覺書「曲事と可レ認哉、越度と可認哉之段、於二一座一評議いたし候處、検校之儀に付、越度と認候方に決す」 伊達日記(伊達成實)天正十六年三月「三郎(志賀)上矢(銃丸なり)に打候間、鞍の後輪を打欠き、犬子所へ打出で候、主殿(太田)むつむきに成り、云云、引除き候而、頓而越度申」(三)討死を云ふ。元龜、天正頃の文書に、於某地手負越度多き由、其聞得候などと見ゆ。水戸市、上市、大町、五、渡邊源五郎藏、天正中の文書(二月十一日、渡邊源五郎右衞門宛、多賀谷重經)「昨日之樣躰無二意元一候、殊に宮ノ下には、ておい越度多由、其聞得候、具に樣躰被レ聞候べく候」〔2202-5〕
短慮未練之仁令稽古之程不被加御詞者越度出來歟〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
短慮未練之仁令稽古程不被加御詞者越度出來歟〔建部傳内本〕
短慮(タン)未練ノ之仁令ン‖稽古|之程、不∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來せン歟。〔山田俊雄藏本〕
短慮(レヨ)未練(レン)之仁令ル‖稽古|之程、不ンバ∨被∨加‖御詞(コトハ)ヲ|者越度出來歟。〔経覺筆本〕
短-慮(タンリヨ)未-練(ミレン)ノ仁ニ令‖稽-古(ケイコ)|之程(ホト)、不被∨加‖御詞(コトハ)ヲ|者越-度(ヲツト)出-來歟。〔文明四年本〕
仁 シン。如断反。〔黒川本・人事門下71オ一〕
仁 シン。〔卷第九・人事門143四〕
親レ仁(シンヲシタシンズ)[去・○] 学而篇。〔態藝門1004三〕
とあって、標記語「仁」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
仁ハ 忘レ自ヲ恵レ他救レ危ヲ助レ極ヲ惣テ於レ物ニ先トシテレ志ヲ有二憐心一云レ仁ト。〔尭・数量門(「」五常」)147四〕
とあって、尭空本に標記語「仁」の語を収載し、語注記には「自らを忘れ他を恵み危うきを救ひ極を助け惣じて物において志を先として憐心あるを仁と云ふ」と記載する。また、易林本『節用集』に、標記語「仁」の語は未収載にする。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「仁」とし、その語注記は、未記載にする。
未練(ミレン)ノ之仁ハ人之 ハ。イマダネレズトヨメリ。〔下十七ウ一〜二〕
短慮(たんりよ)未練(ミれん)の仁(じん)/短慮未練之仁 短慮ハ思慮の行足らぬを云。未練ハ事にねれさるをいふ。是ハ今度登る代官か事になれさるをいえるなり。〔58オ六〜七〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。〔43ウ七〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。〔78オ一〜二〕
Iin.ジン(人・仁) Fito.(ひと) 人.〔邦訳362l〕
じん〔名〕【人・仁】〔説文、我部段注「仁者人也」論語、雍也篇「曰二井有一レ仁(ヒト)焉」朱注「可三以救二井中之人一」〕人(ひと)。晉書、宋織傳「先生、人中之龍」南史、除勉傳「此所レ謂人中騏驥、必能致二千里一」 釋氏要覧、「治襌經後序云、天竺大乗沙門、佛佗斯那、天才特抜、諸國特歩、内外綜博、莫籍不練、世人咸曰人中獅子」 沙石集、四、下「道人可レ捨二執着一事」 本朝文粹、大江匡衡文「臣謬當二其仁(ヒト)一、聊記二盛事一」 吾妻鏡、四十、建長二年三月廿六日「是相州仰、云云、依爲(タル)二尊キ仁一也」「舜明二於庶物一、仁二於人倫一」「眞理を仁す」〔0935-4〕
未練(―レン) 。〔元亀二年本299六〕〔静嘉堂本348三〕
短慮未練之仁令稽古之程不被加御詞者越度出來歟〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
短慮未練之仁令稽古程不被加御詞者越度出來歟〔建部傳内本〕
短慮(タン)未練ノ之仁令ン‖稽古|之程、不∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來せン歟。〔山田俊雄藏本〕
短慮(レヨ)未練(レン)之仁令ル‖稽古|之程、不ンバ∨被∨加‖御詞(コトハ)ヲ|者越度出來歟。〔経覺筆本〕
短-慮(タンリヨ)未-練(ミレン)ノ仁ニ令‖稽-古(ケイコ)|之程(ホト)、不被∨加‖御詞(コトハ)ヲ|者越-度(ヲツト)出-來歟。〔文明四年本〕
未練 ミレン。〔黒川本・疉字門下65ウ八〕
未進 〃熟。〃済。〃来。〃剴。〃發。〃達。〃練。〃償。〃然。〃見。〃定。〃煎甘葛。〃滿。〃結。〔卷第九・疉字門95六〕
未練(ミレン) 。〔言辭門154六〕
とあって、標記語「未練」の語を収載する。次に広本『節用集』(1476(文明六)年頃成立)には、
未練(ミレン/イマダ、ネル)[去・去] 。〔態藝門893四〕
とあって、標記語「未練」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
未練(ミレン) ―熟(ジユク)。―進(シン)。―断(ダン)。―聞(モン)。―分(ブン)/―来(ライ)。〔弘・言語進退門233五〕
未練(ミレン) ―断(ダン)。―聞(モン)。―分(ブン)/―熟(ジユク)。―進(シン)。―来(ライ)。〔永・言語門194四〕
未練(ミレン) ―錬。―断。―聞。―分/―熟。―進。―来。―定。〔尭・言語門184一〕
とあって、標記語「未練」の語を収載し、訓みを「ミレン」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
未練(ミレン) ―断(ダン)。―進(シン)。―分(ブン)/―定(ヂヤウ)。―熟(ジク)。―來(ライ)。〔言辞門200五〕
とあって、標記語「未練」の語を収載し、語注記は未記載にする。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
078才覚未練之間當座定可∨及‖赤面ニ|歟 未練ハ非‖鍛錬ノ義|也。或未練与‖臆病|相_似別也。臆ハ畏∨人、未練ハ无稽古之者云也。〔謙堂文庫藏一二右A〕
とあって、標記語を「未練」の語注記は、「未練は、鍛錬の義に非ざるなり。或は未練、臆病と相_似て別なり。臆は、人に畏まる、未練は、无稽古の者を云ふなり」と記載する。
未練(ミレン) ハ。忍(コラヘ)モナキ心也。未練ト書テ思(ヲモヒ)ミシカシトヨメリ。〔下十七ウ一〕
短慮(たんりよ)未練(ミれん)の仁(じん)/短慮未練之仁 短慮ハ思慮の行足らぬを云。未練ハ事にねれさるをいふ。是ハ今度登る代官か事になれさるをいえるなり。〔58オ六〜七〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。〔43ウ七〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。〔78オ一〜二〕
Guechacu.ミレン(未練) Imada nerezu.(未だ練れず)臆病.§Mire~uo camayuru.(未練を構ゆる)臆病である.この語の本来の意味は,軽々しさ・軽薄さということであって,すぐに飛びかかったり,腹を立てたりするけれども,肝心の時になると,へまをしたり,気力をなくしたり,逃げ出したりするような人について言う語.〔邦訳409r〕
み-れん〔名〕【未練】(一)いまだ事に慣れぬこと。いまだ鍛錬せぬこと。功の足らぬこと。未熟。盛衰記、四十三、源平侍遠矢事「板東の者共は、馬上にてこそ口は聞候へども、船軍は未練なるべし」 徒然草、第二百三十段「五條内裏には、妖物ありけり、云云、未練の狐、化け損じけるのこそ」(二)思ひ切るべきに、尚、心の殘ること。あきらめ得ざること。遺念。「未練に思ふ」未練が殘る」〔1955-5〕
短慮(―リヨ) 。〔元亀二年本135六〕〔静嘉堂本142六〕〔天正十七年本中3ウ一〕
短慮未練之仁令稽古之程不被加御詞者越度出來歟〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
短慮未練之仁令稽古程不被加御詞者越度出來歟〔建部傳内本〕
短慮(タン)未練ノ之仁令ン‖稽古|之程、不∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來せン歟。〔山田俊雄藏本〕
短慮(レヨ)未練(レン)之仁令ル‖稽古|之程、不ンバ∨被∨加‖御詞(コトハ)ヲ|者越度出來歟。〔経覺筆本〕
短-慮(タンリヨ)未-練(ミレン)ノ仁ニ令‖稽-古(ケイコ)|之程(ホト)、不被∨加‖御詞(コトハ)ヲ|者越-度(ヲツト)出-來歟。〔文明四年本〕
短慮(タンリヨ) 。〔態藝門87五〕
短慮(タンリヨ/ミジカシ、ヲモンハカル)[上・去] ――ハ未練(ミレン)ノ相(サウ)。〔態藝門355二〕
とあって、標記語「短慮」の語を収載し、語注記は「短慮は、未練の相」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
短慮(―リヨ) 。〔弘・言語進退門108四〕
短長(タンチヤウ) ―慮(リヨ)。―命(メイ)。―息(ゾク)。/―日(ジツ)。―氣(キ)。〔永・言語門94八〕
短長(タンチヤウ) ―慮。―命。―息。/―日。―氣。―歌。〔尭・言語門86六〕〔両・言語門105一〕
とあって、標記語「短慮」の語を収載し、訓みを「(タン)リヨ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
短慮(タンリヨ) ―命(メイ)。―氣(キ)。―才(サイ)。〔言辞門93二〜三〕
とあって、標記語「短慮」の語を収載し、語注記は未記載にする。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「短慮」とし、その語注記は、未記載にする。
短慮(タンリヨ) ハ。忍(コラヘ)モナキ心也。短慮ト書テ思(ヲモヒ)ミシカシトヨメリ。〔下十七ウ一〕
短慮(たんりよ)未練(ミれん)の仁(じん)/短慮未練之仁 短慮ハ思慮の行足らぬを云。未練ハ事にねれさるをいふ。是ハ今度登る代官か事になれさるをいえるなり。〔58オ六〜七〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。▲短慮爰(こゝ)にハ思慮(おもんばかり)の行(ゆき)足(た)らぬをいふ。〔43ウ七〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。▲短慮爰(こゝ)にハ思慮(おもんはかり)の行(ゆき)足(た)らぬをいふ。〔78オ一〜二〕
Tanrio.タンリョ(短慮) 怒り,あるいは,立腹.〔邦訳612l〕
たん-りょ〔名〕【短慮】(一)思慮の足らざること。かんがへの淺きこと。淺慮。後漢書、袁紹傳、上「愚佻短慮輕進易退」謡曲、景清「只今はちと心にかかることの候ひて、短慮を申して候」清元、其小唄夢廓「生れ故郷は因幡の國、後先思はぬ若氣の短慮、義に依て人を害し、遙遙下りし此吾妻路」(二)たんき(短氣)に同じ。假名手本忠臣藏(寛延、出雲等)二「主人は生得、御短慮なる御生れつき」〔1250-2〕
代官(―クワン) 。〔元亀二年本138一〕
代宮官也(タイクワン) 。〔静嘉堂本146五〕
代官(タイクワン) 。〔天正十七年本中5オ四〕
憑貴方御扶持可進代官也〔至徳三年本〕
憑貴方御扶持可進代官也〔宝徳三年本〕
憑貴方御扶持可進代官也〔建部傳内本〕
憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也〔山田俊雄藏本〕()
憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也〔経覺筆本〕
憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也〔文明四年本〕
代官(ダイクワン/シロ・カワリ、ツカサ)[去・平] 。〔人倫門334七〕
とあって、標記語「代官」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
代官(タイクワン) 。〔弘・人倫門99一〕
とあって、弘治二年本だけに標記語「代官」の語を収載し、訓みを「タイクワン」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
代官(ダイクワン) ―物(モツ)。〔言語門93六〕
とあって、標記語「代官」の語を収載し、語注記を未記載にする。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「代官」とし、その語注記は、未記載にする。
合-期(ガウコ)シ|候憑(タノン)テ‖貴方(キハウ)ノ御扶持(フチ)ヲ|、可キ∨進ス‖代官(タイクワン)ヲ|也 合期ハ。不(ス)∨隨(シタカハ)ト云心也。ハタラキノ事ナリ。イトヽヲロカナルニ猶(ナヲ)短慮(タンリヨ)未練ニテハアシカルベシ。〔下十七オ六〕
代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也/可キ∨進‖代官ヲ|也 言こゝろハ前に言し如くにて自ら参訴する事を得さるゆへ貴辺の世話を頼ミとして名代をさし登(のほ)すと也。〔58オ五〜六〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。▲代官ハ名代(めうだい)のこと。〔43ウ六〜七〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。▲代官ハ名代(めうだい)のこと。〔78一〕
Daiquan.ダイクヮン(代官) Cauari tcucasadoru.(代りつかさどる) 主君の代理をつとめる人.§また,ある領地などを管理支配する役人,または,管理代行者.→Mochi,tcu.〔邦訳179r〕
だい-くゎん〔名〕【代官】(一)名代(ミヤウダイ)の職。長官に代りて土地を支配する職、國司の目代。又、すべて本官に代りて、其職掌を代理するもの。所司代、守護代、地頭代など云ふもこれなり。略して代とのみ云ふ。平家物語、十二、六代事「時政は鎌倉殿の御代官に、都の守護して候はれける」 太平記、一、頼員囘忠事「攝津國葛葉と云ふ處に、地下人、代官を背きて合戰に及ぶ事あり」(二)武家の世に、地方(ぢかた)の役。其支配地の年貢、公事、人別、を統べ掌る。徳川氏にては、これを郡代の次とし、勘定奉行に屬す。郡官。縣令。邑宰。吏徴別録、下「御代官従二前前一在レ之、云云、天和三年癸亥十一月廿五日、西國御代官野田三郎左衞門外八人、當分無役に入」明良帶録、世職「御代官」注「百五十俵高」〔1175-5〕
貴方(―ハウ) 。〔元亀二年本281六〕
貴方(――) 。〔静嘉堂本321六〕
憑貴方扶持可進代官也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
憑(タノン)テ‖貴方ノ之御扶持ヲ|、可∨進‖代官ヲ|也〔山田俊雄藏本〕
憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也〔経覺筆本〕
憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也〔文明四年本〕()
貴方(キハウ/タトシ、カタ)[去・平] 。〔態藝門821六〕
とあって、標記語「貴方」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
貴方(―ハウ) 。〔弘・人倫門217七〕 貴方(キハウ) 。〔弘・言語進退門222一〕
貴人(キニン) ―方(ハウ)。―僧(ソウ)。〔永・人倫門181九〕 貴命(キメイ) ―賤(せン)。―所。―殿。―答/―寵(テウ)。―方。―辺。―報。〔永・言語門185一〕
貴人(キニン) ―方。―所。―僧。―賤。〔尭・人倫門171六〕 貴命(キメイ) ―賤。―殿。―所。―答/―辺。―寵。―方。―報。〔尭・言語門174五〕
とあって、標記語「貴方」の語を収載し、訓みを「(キ)ハウ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
貴僧(キソウ) ―人(ニン)。―所(シヨ)/―方(ハウ)。―斎(サイ)。〔人倫門185四〕
とあって、標記語「貴僧」の語を収載し、冠頭字「貴」の熟語群にも「貴方」の語を収載する。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「貴方」とし、その語注記は、未記載にする。
合-期(ガウコ)シ|候憑(タノン)テ‖貴方(キハウ)ノ御扶持(フチ)ヲ|、可キ∨進ス‖代官(タイクワン)ヲ|也 合期ハ。不(ス)∨隨(シタカハ)ト云心也。ハタラキノ事ナリ。イトヽヲロカナルニ猶(ナヲ)短慮(タンリヨ)未練ニテハアシカルベシ。〔下十七オ六〕
貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也/憑ンテ‖貴方ノ扶持ヲ| 貴方ハよりたのむ也。貴方ハ先方をさす詞なり。貴公貴辺なとゝ云に同し。扶持ハ助力といふか如し。既に前に注せり。〔58オ四〜五〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。〔43ウ六〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。〔77ウ六〕
Qifo<.キハウ(貴方) Tattoqi cata.(貴き方) 上の条.〔Qifen(貴辺)〕に同じ.〔邦訳495r〕
き-はう〔名〕【貴方】あなた。あなたがた。太平記、十二、北野天満宮事「貴方と、愚僧と、師資の儀、淺からずといへども」〔0477-5〕
憑(タノミ) 。頼(同) 。恃(同) 。介(同) 。〔元亀二年本147七〕
憑(タノミ) 。頼(同) 。恃(同) 。介(同) 。〔静嘉堂本159三〕
憑(タノミ) 。頼(同) 。恃(同) 。介(同) 。〔天正十七年本中12オ二〕
憑貴方扶持可進代官也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
憑(タノン)テ‖貴方ノ之御扶持ヲ|、可∨進‖代官ヲ|也〔山田俊雄藏本〕
憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也〔経覺筆本〕
憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也〔文明四年本〕()
憑(タノム/ヒヨウ)[平] 。頼(同/ライ)[去] 。恃(同/シ)[上] 。〔態藝門371三〕
とあって、標記語「憑」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
憑(タノム) 。〔弘・言語進退門106二〕〔永・言語門96四〕〔尭・言語門87九〕〔両・言語門106六〕
とあって、標記語「憑」の語を収載し、訓みを「タノム」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
頼(タノム) 。憑(同) 。 恃(同) 。〔言辞門96五〕
とあって、標記語「憑」の語を収載し、語注記を未記載にする。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「憑」とし、その語注記は、未記載にする。
合-期(ガウコ)シ|候憑(タノン)テ‖貴方(キハウ)ノ御扶持(フチ)ヲ|、可キ∨進ス‖代官(タイクワン)ヲ|也 合期ハ。不(ス)∨隨(シタカハ)ト云心也。ハタラキノ事ナリ。イトヽヲロカナルニ猶(ナヲ)短慮(タンリヨ)未練ニテハアシカルベシ。〔下十七オ六〕
貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也/憑ンテ‖貴方ノ扶持ヲ| 憑ハよりたのむ也。貴方ハ先方をさす詞なり。貴公貴辺なとゝ云に同し。扶持ハ助力といふか如し。既に前に注せり。〔58オ四〜五〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。〔43ウ六〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。〔77ウ六〕
Tanomi.タノミ(憑) 懇願,または,信頼.§Tanomiuo caquru.(頼みを掛くる)誰か人に信頼をおき,期待をかける.§また,婚約のしるしとして送る贈物で,手付金のようなもの〔結納〕.§Tanomiuo yaru,l,vocuru.(頼みをやる,または,送る)そのような手付金〔結納金〕を送る.または,物を賣買する際に, その保証として手付金を渡す.〔邦訳611l〕
たのみ〔名〕【頼・憑】〔田穀の新たに實のりたるを、相賀して、頼む方へ奉りしより起ると云ふ〕稲の子(み)。源氏物語、十三、明石11「此世のまうけ、秋のたのみを刈りをさめ」 古今集、十、物名「後蒔の、「おくれて生ふる、苗なれど、あだにはならぬ、たのみとぞ聞く」 公事根源、下、八朔風俗「初は、田のみとて、米を打敷、かはらけなどに入れて、人のもとにつかはしけるとかや」 後撰集、五、秋、上「あけくらし、守るたのみを、刈らせつつ、袂そほづの、身とぞなりぬる」 小町集「實なき苗の穂に文をさして、人の許にやるに「秋風に、あふたのみこそ、悲しけれ、我身空しく、なりぬと思へば」〔1230-4〕
侘鈷(タクサイ) 失(シツ)スルヲレ志曰――ト一/史記。〔元亀二年本140五〕
侘鈷(タクサイ) 失レ志曰二――ト一/史記。〔静嘉堂本149八〕
侘鈷(タクサイ) 失(―)スルヲレ志ヲ曰――ト一/史記。〔天正十七年本中6ウ六〕
所領遺跡遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲労所領侘鈷難合期候〔至徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違亂之際欲致參訴之處此間疲勞所領侘鈷難合期候〔宝徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲身所領侘鈷難合期候〔建部傳内本〕
所-領ノ安-堵遺-跡(ユイ―)ノ相-論越ル∨境ヲ違-乱ノ之間欲(ホツ)スル∨致ント‖參訴ヲ|之處ニ此間疲勞(ヒ-)所-領侘-鈷(―サイ)難‖合-期シ|候。〔山田俊雄藏本〕
所領ノ安堵(―ト)遺跡(―セキ)ノ相論越境違乱之際欲∨致ント‖參訴|之處此間疲労(ヒラウ)所領侘鈷(タクサイ)難‖合期|候〔経覺筆本〕
所-領ノ安-堵(ア―ト)。遺-跡(ユイセキ)。相-論(そう―)。越-境(ヲツキヤウ)。違-乱之際。欲ルニ∨致サヌト‖參訴(サンソ)ヲ|之ノ處ニ。此ノ間疲-労(ヒラウ)。所-領侘-鈷(タクサイ)。難ク‖合-期(ーコ)|候フ〔文明四年本〕
侘鈷(ワヒアフ) 貧賤部/タクサイ。〔黒川本・疉字門中10オ五〕
侘鈷(タクサイ) 。〔卷第四・疉字門452三〕
侘鈷(タクサイ/ワビル、ワビル)[入・○] 所領ニ云二付非分ヲ一悩レ民ヲ義也。〔態藝門366一〕
とあって、標記語「侘鈷」の語を収載し、語注記は「所領に非分を云ひ付き、民を悩ます義なり」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
侘鈷(タクサイ) 失志曰――史。〔弘・言語進退門111二〕
侘鈷(タクサイ) 。〔永・言語門95八〕〔尭・言語門87五〕〔両・言語門106二〕
とあって、標記語「侘鈷」の語を収載し、訓みを「タクサイ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
絵鈷(タクサイ) 。 〔言語門93六〕
とあって、標記語「絵鈷」の語を収載し、語注記を未記載にする。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領侘際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「侘鈷」とし、その語注記は、未記載にする。
所領(シヨリヤウ)ノ侘際(タクサイ)難ク‖ トハ。所領ニサマタゲズ。〔下十七オ六〕
所領(しよりやう)の侘鈷(たくせつ)合期(がうご)し難(かた)く候ふ/所-領侘際難‖合-期|候 旅のつかれある上に又所領にいろ/\の事申ける者なとありて都合しかたきゆへ参訴する事もならすと也。侘鈷合期の注ハ既に前にくわし。〔58オ二〜四〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ▲侘鈷ハ四月ノ進状に見ゆ。〔43ウ六〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ▲侘鈷ハ四月ノ進状に見ゆ。〔77ウ六〕
Tacusai.タクサイ(侘鈷) 限界,あるいは,際限.例,Tacusaimo mo< vazzuro<.(侘際も無う煩ふ)自分のことがわからないほどひどく病んでいる.§Tacusaimo nai.(侘際もない)すなわち,Qiuamo nai.(際もない) はかりきれないほど限りもなく大きい(もの).〔邦訳600l〕
疲勞(―ラウ) 。〔元亀二年本342四〕
疲勞(ヒラウ) 。〔静嘉堂本410四〕
所領遺跡遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲労所領侘鈷難合期候〔至徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違亂之際欲致參訴之處此間疲勞所領侘鈷難合期候〔宝徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲身所領侘鈷難合期候〔建部傳内本〕
所-領ノ安-堵遺-跡(ユイ―)ノ相-論越ル∨境ヲ違-乱ノ之間欲(ホツ)スル∨致ント‖參訴ヲ|之處ニ此間疲勞(ヒ-)所-領侘-鈷(―サイ)難‖合-期シ|候。〔山田俊雄藏本〕
所領ノ安堵(―ト)遺跡(―セキ)ノ相論越境違乱之際欲∨致ント‖參訴|之處此間疲労(ヒラウ)所領侘鈷(タクサイ)難‖合期|候〔経覺筆本〕
所-領ノ安-堵(ア―ト)。遺-跡(ユイセキ)。相-論(そう―)。越-境(ヲツキヤウ)。違-乱之際。欲ルニ∨致サヌト‖參訴(サンソ)ヲ|之ノ處ニ。此ノ間疲-労(ヒラウ)。所-領侘-鈷(タクサイ)。難ク‖合-期(ーコ)|候フ〔文明四年本〕
疲労(ヒラウ/ツカルヽ、イタワル)[平・平] 。〔態藝門1045七〕
とあって、標記語「疲労」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
疲勞(ヒラウ) 。〔弘・言語進退門256五〕〔永・言語門218九〕
疲労(ヒラウ) 。〔尭・言語門204一〕
とあって、標記語「疲勞」「疲労」の語を収載し、訓みを「ヒラウ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
疲勞(ヒラウ) 。〔言辞門227二〕
とあって、標記語「疲勞」の語を収載し、語注記は未収載にする。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「疲勞」とし、その語注記は、未記載にする。
此間ノ疲勞(ヒラウ) トハ。コトタラヌ事也。又ツカレイタム事ナリ。〔下十七オ六〜七〕
此(この)間(あいた)の疲勞(ひらう)/此間ノ疲労 疲も勞もつかれたる也。近比下者してまた旅のつかれあるをいふ。〔58オ一〜二〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。〔43ウ六〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。〔77ウ六〕
Firo<.ヒラウ(疲勞) Tcucare,itazzugauaxij.(疲れ,いたづがはしい)疲れ.§Firo<xita.(疲労した)私は疲れてくたくただ.§また,比喩.貧しく以前に持っていた家財や道具類もなくした人のことを言う.〔邦訳243l〕
ひ-らう〔名〕【疲勞】身のつかるゝこと。三國志、魏志、ケ艾傳「將士疲勞、不レ可二使用一、」太平記、三十五、京勢重南方撥向事「折を得て疲勞の軍勢、猛惡の下部共、辻辻に打散って」〔1708-3〕
所領遺跡遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲労所領侘鈷難合期候〔至徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違亂之際欲致參訴之處此間疲勞所領侘鈷難合期候〔宝徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲身所領侘鈷難合期候〔建部傳内本〕
所-領ノ安-堵遺-跡(ユイ―)ノ相-論越ル∨境ヲ違-乱ノ之間欲(ホツ)スル∨致ント‖參訴ヲ|之處ニ此間疲勞(ヒ-)所-領侘-鈷(―サイ)難‖合-期シ|候。〔山田俊雄藏本〕
所領ノ安堵(―ト)遺跡(―セキ)ノ相論越境違乱之際欲∨致ント‖參訴|之處此間疲労(ヒラウ)所領侘鈷(タクサイ)難‖合期|候〔経覺筆本〕
所-領ノ安-堵(ア―ト)。遺-跡(ユイセキ)。相-論(そう―)。越-境(ヲツキヤウ)。違-乱之際。欲ルニ∨致サヌト‖參訴(サンソ)ヲ|之ノ處ニ。此ノ間疲-労(ヒラウ)。所-領侘-鈷(タクサイ)。難ク‖合-期(ーコ)|候フ〔文明四年本〕
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「參訴」とし、その語注記は、未記載にする。
參訴(サンソ)ノ|之處ニ トハ。所領ニサマタゲズ。〔下十七オ六〕
參訴(さんそ)致(いた)さんと欲(ほつ)するの処(ところ)/欲スル∨致サント‖參訴|之處 參訴ハまいりうつたふる也。加賀の国中に所領安堵の者遺跡越境のあらそひなとありて大丞(だいじやう)か所存(しよそん)にて捌きかたき事ゆへ參らして訴人下知を成んと思ふをいふなり。〔57ウ七〜58オ一〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。〔43ウ六〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。〔77ウ六〕
違乱(イラン) 。〔元亀二年本10四〕
違乱(イラン) 。〔静嘉堂本1四〕
違乱(イラン) 。〔天正十七年本上3オ三〕〔西来寺本〕
所領遺跡遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲労所領侘鈷難合期候〔至徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違亂之際欲致參訴之處此間疲勞所領侘鈷難合期候〔宝徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲身所領侘鈷難合期候〔建部傳内本〕
所-領ノ安-堵遺-跡(ユイ―)ノ相-論越ル∨境ヲ違-乱ノ之間欲(ホツ)スル∨致ント‖參訴ヲ|之處ニ此間疲勞(ヒ-)所-領侘-鈷(―サイ)難‖合-期シ|候。〔山田俊雄藏本〕
所領ノ安堵(―ト)遺跡(―セキ)ノ相論越境違乱之際欲∨致ント‖參訴|之處此間疲労(ヒラウ)所領侘鈷(タクサイ)難‖合期|候〔経覺筆本〕
所-領ノ安-堵(ア―ト)。遺-跡(ユイセキ)。相-論(そう―)。越-境(ヲツキヤウ)。違-乱之際。欲ルニ∨致サヌト‖參訴(サンソ)ヲ|之ノ處ニ。此ノ間疲-労(ヒラウ)。所-領侘-鈷(タクサイ)。難ク‖合-期(ーコ)|候フ〔文明四年本〕
違濫 井ラン/乱イ本。〔黒川本・疉字門中57ウ三〕
違背 〃例。〃勅。〃格。〃期。〃乱。〃衆。〃紛。〃濫。〃犯。〔卷第六・疉字門234四〕
違乱(イラン) 違ノ字日本ニ作ス∨〓ニ。非ナリ也。〔言辭門151六〕
違亂(イラン/ソムク・タガウ、ミダル)[去・上] 日本ノ俗作‖〓乱ト|。非也。〔態藝門597八〕
とあって、標記語「違乱」の語を収載し、語注記は「日本の俗〓と作す。非なり」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
違乱(イラン) 。〔弘・言語進退門13一〕〔永・言語門8二〕
違乱(イラン) ―背。―約。―衆朋友/―変。―例。―期。―犯。〔尭・言語門6五〕
違乱(イラン) ―背(ハイ)。―約(ヤク)。―衆(シユ)朋友。―変(ヘン)/―例(レイ)。―期(ゴ)。―犯(ボン)。〔両・言語門8二〕
とあって、標記語「違乱」の語を収載し、訓みを「イラン」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
違變(井ヘン) ―背(ハイ)。―犯(ボン)/―乱(ラン)。〔言語門122四〕
とあって、標記語「違變」の語を収載し、冠頭字「違」の熟語群にも「違乱」の語を収載する。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「違乱」とし、その語注記は、未記載にする。
越境(エツキヤウ)違乱(イラン)之際(アヒタ)、欲∨致(イタサ)ントハ‖ 越境違乱ノ事。我サカイ。人ノサカイト限(カキ)リ有ヲ。他ノサカイヲコシ。ワウリヤウス。其ヲ又辨(ワキ)マヘテ遺乱(イ―)ス是ヲ越境ト云フナリ。〔下十七オ五〜六〕
越境(ゑつきやう)違乱(いらん)の際(あいだ)/越境違乱之際 境(さかい)の入乱れて定かたきをとやかく申訴(うつた)ふるを云。〔57ウ五〜六〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。▲越境違乱ハ境(さかい)を越(こゆ)るの乱(ミだれ)也。境目(さいめ)の論(あらそい)をいふ。〔43ウ六〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。▲越境違乱ハ境(さかい)を越(こゆ)るの乱(ミだれ)也。境目(さいめ)の論(あらそい)をいふ。〔77ウ六〜七〕
Iran.イラン(違乱) Tagai midaruru.(違ひ乱るる)何か約束事などに背いたり,それを破ったりして,物事を妨害したり,かき乱したりするようなことをいろいろと言うこと.§Iranuo yu<(違乱を言ふ)上述のようなことをいろいろと言う.§Cono gui iran aruna.(この儀違乱あるな)決して,違約するな,背くな,それのみならず,妨害するようなこととか,不都合なことなどを言うな.〔邦訳339r〕
ゐ-らん〔名〕【違乱】たがひみだるること。秩序の紊亂すること。又、法をみだすこと。左傳、桓公二年「而況將レ昭二違亂之賄器於大廟一、其若レ之何」 沙石集、五、下、第十四條「永代を限りて、子孫まで違亂あるまじき由の御下文給てぞ下ける、わりなき勸賞にこそ」〔2187-3〕
越境(―キヤウ) 。〔元亀二年本77五〕
越境(―キヤウ) 。〔静嘉堂本94六〕
越境(ヲツキヤウ) 。〔天正十七年本上47オ三〕
所領遺跡遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲労所領侘鈷難合期候〔至徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違亂之際欲致參訴之處此間疲勞所領侘鈷難合期候〔宝徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲身所領侘鈷難合期候〔建部傳内本〕
所-領ノ安-堵遺-跡(ユイ―)ノ相-論越ル∨境ヲ違-乱ノ之間欲(ホツ)スル∨致ント‖參訴ヲ|之處ニ此間疲勞(ヒ-)所-領侘-鈷(―サイ)難‖合-期シ|候。〔山田俊雄藏本〕
所領ノ安堵(―ト)遺跡(―セキ)ノ相論越境違乱之際欲∨致ント‖參訴|之處此間疲労(ヒラウ)所領侘鈷(タクサイ)難‖合期|候〔経覺筆本〕
所-領ノ安-堵(ア―ト)。遺-跡(ユイセキ)。相-論(そう―)。越-境(ヲツキヤウ)。違-乱之際。欲ルニ∨致サヌト‖參訴(サンソ)ヲ|之ノ處ニ。此ノ間疲-労(ヒラウ)。所-領侘-鈷(タクサイ)。難ク‖合-期(ーコ)|候フ〔文明四年本〕
越境(―キヤウ) 。〔言語門063二〕
とあって、標記語「越境」の語を収載する。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「越境」とし、その語注記は、未記載にする。
越境(エツキヤウ)違乱(イラン)之際(アヒタ)、欲∨致(イタサ)ントハ‖ 越境違乱ノ事。我サカイ。人ノサカイト限(カキ)リ有ヲ。他ノサカイヲコシ。ワウリヤウス。其ヲ又辨(ワキ)マヘテ遺乱(イ―)ス是ヲ越境ト云フナリ。〔下十七オ五〜六〕
越境(ゑつきやう)違乱(いらん)の際(あいだ)/越境違乱之際 境(さかい)の入乱れて定かたきをとやかく申訴(うつた)ふるを云。〔57ウ五〜六〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。▲越境違乱ハ境(さかい)を越(こゆ)るの乱(ミだれ)也。境目(さいめ)の論(あらそい)をいふ。〔43ウ六〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。▲越境違乱ハ境(さかい)を越(こゆ)るの乱(ミだれ)也。境目(さいめ)の論(あらそい)をいふ。〔77ウ六〜七〕
Vocqio<.ヲッキャウ(越境) Sacaiuo coyuru.(境を越ゆる) ある地所の境界を越えて,隣の人の地所に入ること.例,Vocqio< so<ron.(越境相論)地所の境界を越えることについての争論や紛争.〔邦訳700r〕
相論(―ロン) 。〔元亀二年本270二〕〔静嘉堂本308一〕
所領遺跡遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲労所領侘鈷難合期候〔至徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違亂之際欲致參訴之處此間疲勞所領侘鈷難合期候〔宝徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲身所領侘鈷難合期候〔建部傳内本〕
所-領ノ安-堵遺-跡(ユイ―)ノ相-論越ル∨境ヲ違-乱ノ之間欲(ホツ)スル∨致ント‖參訴ヲ|之處ニ此間疲勞(ヒ-)所-領侘-鈷(―サイ)難‖合-期シ|候。〔山田俊雄藏本〕
所領ノ安堵(―ト)遺跡(―セキ)ノ相論越境違乱之際欲∨致ント‖參訴|之處此間疲労(ヒラウ)所領侘鈷(タクサイ)難‖合期|候〔経覺筆本〕
所-領ノ安-堵(ア―ト)。遺-跡(ユイセキ)。相-論(そう―)。越-境(ヲツキヤウ)。違-乱之際。欲ルニ∨致サヌト‖參訴(サンソ)ヲ|之ノ處ニ。此ノ間疲-労(ヒラウ)。所-領侘-鈷(タクサイ)。難ク‖合-期(ーコ)|候フ〔文明四年本〕
相論(サウロン/アウ、アラソウ)[平去・平去] 。〔態藝門786四〕
とあって、標記語「相論」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
相論(サウロン) 。〔弘・言語進退門214六〕
相續(サウゾク) ―應(ヲウ)。―違(イ)。―當(タウ)。―博(アイカエル)/―傳(デン)。―論(ロン)。―加(カ)。〔永・言語門178三〕
相續(サウゾク) ―應。―違。―當。―博/―傳。―論。―加。―通。〔尭・言語門167四〕
とあって、標記語「相論」の語を収載し、訓みを「サウロン」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
相論(サウロン) ―好(カウ)。―傳(デン)。―對(ツイ)。―順(シタガフ)。―生(シヤウ)。―當(タウ)/―違(イ)。―續(ゾク)。―尅(コク)。―承向(ぜウ)。―應(ヲウ)。〔言辞門180七〕
とあって、標記語「相論」の語を収載し、語注記は未記載にする。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「相論」とし、その語注記は、未記載にする。
遺跡(イセキ)相論(サウロン) ハ。親(ヲヤ)ノ讓(ユツラ)レシアトヲ辨(ハキマ)ヘテ相論スル事。〔下十七オ四〜五〕
遺跡(ゆいせき)爭論(さうろん)/遺跡爭論 父の領所を一門の内にて誰彼(たれかれ)か取んとあらそふを云。〔57ウ五〜六〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃侘鈷(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡争論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。▲遺跡争論ハ親(おや)の遺(のこ)し置(をか)れし跡(あと)を誰彼(たれかれ)取(とら)んと争(あらそ)ふ也。〔43ウ六〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の侘鈷(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。▲遺跡爭論ハ親(おや)の遺(のこ)し置れし跡(あと)を誰彼(たれかれ)取(とら)んと争(あらさ)ふ也。〔77ウ六〕
So>ron.(ママ)サウロン(相論) Ai,ronzuru.(相,論ずる)議論,論争,あるいは,口論.※So<ron(サウロン)の誤り.〔邦訳576r〕
さう-ろん〔名〕【爭論】言ひあらそふこと。いさかひ。史記、儒林傳「爭論於二上ノ前一」、源平盛衰記、八、法皇三井寺灌頂事「縱ひ、和合海にこそ入らざらめ、諍論を專らにし」(諍は爭に同じ)〔0775-5〕
遺跡(―セキ) 。〔元亀二年本292六〕〔静嘉堂本339六〕
所領遺跡遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲労所領侘鈷難合期候〔至徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違亂之際欲致參訴之處此間疲勞所領侘鈷難合期候〔宝徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲身所領侘鈷難合期候〔建部傳内本〕
所-領ノ安-堵遺-跡(ユイ―)ノ相-論越ル∨境ヲ違-乱ノ之間欲(ホツ)スル∨致ント‖參訴ヲ|之處ニ此間疲勞(ヒ-)所-領侘-鈷(―サイ)難‖合-期シ|候。〔山田俊雄藏本〕
所領ノ安堵(―ト)遺跡(―セキ)ノ相論越境違乱之際欲∨致ント‖參訴|之處此間疲労(ヒラウ)所領侘鈷(タクサイ)難‖合期|候〔経覺筆本〕
所-領ノ安-堵(ア―ト)。遺-跡(ユイセキ)。相-論(そう―)。越-境(ヲツキヤウ)。違-乱之際。欲ルニ∨致サヌト‖參訴(サンソ)ヲ|之ノ處ニ。此ノ間疲-労(ヒラウ)。所-領侘-鈷(タクサイ)。難ク‖合-期(ーコ)|候フ〔文明四年本〕
遺跡(ユイせキ/ノコル、アト)[去・去] 。〔態藝門862八〕
とあって、標記語「遺跡」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
遺跡(ユイセキ) 。〔弘・言語進退門227四〕
遺言(ユイゴン) ―跡(せキ)。―誡(カイ)。―物(モツ)。〔永・言語門188八〕
遺言(ユイゴン) ―跡。―誡/―物。―恨。〔尭・言語門178四〕
とあって、標記語「遺跡」の語を収載し、訓みを「ユイセキ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
遺誡(ユイカイ) ―跡(せキ)。―物(モツ)。 ―言(コン)。―教經(ケウキヤウ)。―君(クン)。―骨(コツ)。〔言辞門194五〕
とあって、標記語「遺誡」の語を収載し、冠頭字「遺」の熟語群にも「遺跡」の語を収載する。
440遺跡相論越-境違-乱之際、欲∨致‖參訴|之處、此間ノ疲(ビ/ヒ)-労所-領絵際難‖合-期|候。憑テ‖貴方ノ御扶持|、可∨進‖代官|也。短慮未練之仁令‖稽古|之程、不ンハ∨被∨加‖御詞ヲ|者越度出來歟。被∨書‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導奉行所|者恐スニ候。引付問注所ノ上裁(サイ) 公方樣ノ耳直ニ入ヲ云也。〔謙堂文庫蔵四三右F〕
とあって、標記語を「遺跡」とし、その語注記は、未記載にする。
遺跡(イセキ)相論(サウロン) ハ。親(ヲヤ)ノ讓(ユツラ)レシアトヲ辨(ハキマ)ヘテ相論スル事。〔下十七オ四〜五〕
遺跡(ゆいせき)争論(さうろん)/遺跡争論 父の領所を一門の内にて誰彼(たれかれ)か取んとあらそふを云。〔57ウ五〜六〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃絵際(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡相論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領絵際。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。▲遺跡争論ハ親(おや)の遺(のこ)し置(をか)れし跡(あと)を誰彼(たれかれ)取(とら)んと争(あらそ)ふ也。〔43ウ六〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の絵際(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。▲遺跡争論ハ親(おや)の遺(のこ)し置れし跡(あと)を誰彼(たれかれ)取(とら)んと争(あらさ)ふ也。〔77ウ六〕
Yuixeqi.ユイセキ(遺跡) Nocoru ato.(遺る跡) すなわち,人の死後に残る物.たとえば,家財など.§また,比喩.人が生前にして残しておく手本,または,行跡.〔邦訳835l〕
ゆゐ-せき〔名〕【遺跡】又、ゐせき。古への物事ののこりたる跡。字鏡抄、「遺迹」易林本節用集(慶長)下、言辭門「遺跡、ユイセキ」〔2079-3〕
安堵(アンド) 史記――如故。〔元亀二年本257二〕
安堵(アンド) 史記――如レ故(モト)ノ。〔静嘉堂本290二〕
所領安堵遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲労所領侘鈷難合期候〔至徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違亂之際欲致參訴之處此間疲勞所領侘鈷難合期候〔宝徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲身所領侘鈷難合期候〔建部傳内本〕
所-領ノ安-堵遺-跡(ユイ―)ノ相-論越ル∨境ヲ違-乱ノ之間欲(ホツ)スル∨致ント‖參訴ヲ|之處ニ此間疲勞(ヒ-)所-領侘-鈷(―サイ)難‖合-期シ|候。〔山田俊雄藏本〕
所領ノ安堵(―ト)遺跡(―セキ)ノ相論越境違乱之際欲∨致ント‖參訴|之處此間疲労(ヒラウ)所領侘鈷(タクサイ)難‖合期|候〔経覺筆本〕
所-領ノ安-堵(ア―ト)。遺-跡(ユイセキ)。相-論(そう―)。越-境(ヲツキヤウ)。違-乱之際。欲ルニ∨致サヌト‖參訴(サンソ)ヲ|之ノ處ニ。此ノ間疲-労(ヒラウ)。所-領侘-鈷(タクサイ)。難ク‖合-期(ーコ)|候フ〔文明四年本〕
安堵 地部/アント/田舎部。〔黒川本・疉字門下32オ七〕
安危(アンヤク) 〃居九十日。〃閑。〃平。〃穏。〃坐。〃摩舞。〃寧。〃襌。〃慰。〃適。〃寢シム。〃祥。〃樂。〃堵。〃房國名。〃藝同。〃置。〃養。〃内。〔卷第八・疉字門354六〕
安堵(アント) 。〔言辭門149一〕
安堵(アンド・イツクソ/ヤスシ、カキ)[去・上] ――字出二漢高紀ヨリ一史記本記云。吏民――如レ故。〔態藝門750五〕
とあって、標記語「安堵」の語を収載し、語注記は「安堵の字漢高紀より出づ。史記本記云く。吏民安堵故の如し」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
安堵(アンド) 出于漢書。〔弘・言語進退門206六〕
安穏(アンヲン) ―平(ベイ)。―排(バイ)。―楽(ラク)。/―堵(ト)。―危(キ)。―全。〔永・言語門170三〕
安穏(アンヲン) ―平。―排。―楽。―否。―寧。―養/―靜。―堵。―危。―全。―泰。―居。〔尭・言語門159七〕
とあって、標記語「安堵」の語を収載し、訓みを「アンド」とし、語注記は弘治二年本に、「『漢書』に出づ」と記載する。また、易林本『節用集』に、
安穏(アンヲン) ―堵(ド)。―居(ゴ)。―全(せン)。―樂(ラク)。―置(ヂ)。―坐(ザ)。―否(フ)。―心(ジム)―危(キ)。〔言辞172四〕
とあって、標記語「安穏」の語を収載し、冠頭字「安」の熟語群に「安堵」の語を収載する。
439定テ被∨行(ヲコナハシ)候歟。所領安堵 堵ハ五版ヲ爲∨堵、疏云一版ノ廣サ二尺、是ヲ五ツ合ルヲ舎∨堵ト、一堵墻、長丈高サ一丈也。〔謙堂文庫蔵四三右E〕
とあって、標記語を「安堵」とし、その語注記は、「堵は、五版を堵と爲す、疏云く一版の廣さ二尺、是れを五つ合せるを堵と舎し、一堵墻、長丈高さ一丈なり」と記載する。この注記は上記古辞書には全く反映されていない、いわば、特有の注記である。広本『節用集』では、「環堵(クワント/メクル,カキ)」〔545四〕の注記に「謂二計會人ノ居ヲ一。土――之室。注ニ堵ハ長(ナカサ)一丈高一丈云々」とあって、これらが稍近似た注記である。
所領(シヨリヤウ)ノ安堵(アント) ノコト先祖(ソ)ノ所領中絶(せツ)ス。今安堵(ト)シタリ。〔下十七オ四〕
所領(しよれう)安堵(あんど)/所領安堵 安堵の字漢書(かんしよ)に見へたり。師古(しこ)か注に動(うごか)しうつさゝるをいふといえり。所領安堵とハ今迄領し來りし地所を其儘に領するをいふなり。〔57ウ四〜五〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃絵際(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡相論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領侘鈷。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。▲安堵ハ墻(かき)を安(やす)んずるにて其居所(きよしよ)に落着(をちつき)て動(うご)かざる義(き)也。三月ノ返状田堵(でんど)の注(ちう)を見合すべし。〔43ウ五〜六〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の絵際(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。▲安堵ハ墻(かき)を安(やす)んずるにて其居所(きよしよ)に落着(おちつき)て動(うご)かざる義(き)也。三月ノ返状田堵(でんと)の注(ちゆう)を見合すべし。〔77ウ五〜六〕
Ando.アンド(安堵) 以前からの望みを達したことから来る安心.§また,以前に自分が所有していた本来の領地に戻ること.§Ando suru.l,fonrio<ni ando suru.(安堵する.または,本領に安堵する)自分の本来の領地に帰される.§Andono vomoiuo nasu.(安堵の思をなす)心が静まり安心する.〔邦訳25r〕
あん-ど〔名〕【安堵】〔説文「堵、垣(かき)也」己が居處の意〕(一)人民、其地に安んじて居ること。安住。史記、高祖紀、高祖入レ關「諸吏人、皆安(ヤスン)ズルコトレ堵ニ如レ故(モト)ノ」 文選、檄レ蜀文「百姓土民、安堵樂レ業」續記、七、靈龜元年十月「陸奥蝦夷、云云、請下於二香河村一、造二建郡家一、爲二編戸民一、永保中安堵上、云云、許レ之」(香河は、久呂河(黒川郡)の誤なるか)古今著聞集、十二、偸盗「昔は、八幡の兒(ちご)にて、云云、叔父を殺して、八幡にも安堵せず」(節文)(二)武家時代、安堵の地、即ち、將士、社寺の領地の所有權を、公認せらるること。父の領地を繼承し、又は、中絶せし舊領地を返し與へらるるを、本領安堵と云ひ、其公認の證書を、安堵下文(あんどのくだしぶみ)と云ひ、それを略して、安堵とのみも云ふ。安堵の請願、訴訟を受理し、證書を下附する職を、安堵奉行と云ふ。太平記、六、赤坂合戰事「本領安堵の御教書を成し、殊に功あらむ者には、則恩賞を可レ申二沙汰一」(敵に對して云へるなり) 建内記、正長二年七月廿九日「可レ被レ遣三安堵御書於二三寳院准后一」(寺領安堵なり) 謡曲、鉢木、佐野源左衛門常世「常世が本領、佐野庄三十餘郷、返し與ふる所なり、云云、自筆の状、安堵を取添へ賜(た)びければ」 新編追加、雜務「御下文施行事、以二配分状一、可レ付二奉行人一」(三)身の落着(おちつき)。心のおちつき。安意。安心。百錬抄、十四、四條院「立兵士屋篝火、云云、諸人安堵之計也」 盛衰記、十八、文覺清水状事「沖吹く風も和(な)ぎて、岸打つ浪も靜なり、舟中の者も安堵し、云云」〔0093-1〕
所領(シヨレウ) 。〔元亀二年本309六〕
所領(―レウ) 。〔静嘉堂本361五〕
所領安堵遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲労所領侘鈷難合期候〔至徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違亂之際欲致參訴之處此間疲勞所領侘鈷難合期候〔宝徳三年本〕
所領安堵遺跡相論越境違乱之際欲致參訴之處此間疲身所領侘鈷難合期候〔建部傳内本〕
所-領ノ安-堵遺-跡(ユイ―)ノ相-論越ル∨境ヲ違-乱ノ之間欲(ホツ)スル∨致ント‖參訴ヲ|之處ニ此間疲勞(ヒ-)所-領侘-鈷(―サイ)難‖合-期シ|候。〔山田俊雄藏本〕
所領ノ安堵(―ト)遺跡(―セキ)ノ相論越境違乱之際欲∨致ント‖參訴|之處此間疲労(ヒラウ)所領侘鈷(タクサイ)難‖合期|候〔経覺筆本〕
所-領ノ安-堵(ア―ト)。遺-跡(ユイセキ)。相-論(そう―)。越-境(ヲツキヤウ)。違-乱之際。欲ルニ∨致サヌト‖參訴(サンソ)ヲ|之ノ處ニ。此ノ間疲-労(ヒラウ)。所-領侘-鈷(タクサイ)。難ク‖合-期(ーコ)|候フ〔文明四年本〕
所領(シヨリヤウ/―レイ・トコロ、ノトル・クビ)[上・上] 。〔態藝門932五〕
とあって、標記語「所領」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
所領(シヨリヤウ) 。〔弘・天地門235五〕〔永・天地門195九〕
所領(シヨリヤウ) ―帶。〔尭・天地門185八〕
所望(シヨマウ) ―行(ギャウ)。―職(シヨク)。―為(イ)。―課(クワ)。―勘(カン)。―務(ム)年貢/―帶(タイ)。―領(リヤウ)。―役(ヤク)。―當(タウ)。―勞(ラウ)。―作(サク)。―詮(せン)。〔弘・言語進退門245二〕所職(シヨシヨク) ―行。―為。―課。―望。―勘。―領。―務(ム)/―役。―當。―勞。―詮。―帶。―作。〔永・言語門210四〕
所職(シヨシヨク) ―行。―為。―課。―務。―役。―勞。―望。―勘/―領。―當。―詮。―帶。―作。―持。―存。―用。〔尭・言語門194五〕
とあって、標記語「所領」の語を収載し、訓みを「シヨリヤウ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
所得(シヨトク) ―謂(イ)。―詮(せン)。―犯(ホン)。―知(チ)。―役(ヤク)。―作(サ)。―願(グワン)。―辨(ベン)。―用(ヨウ)/―縁(エン)。―期(ゴ)。―領(リヤウ)。―職(シヨク)。―望(マウ)。―為(井)。―帶(タイ)。―學(ガク)。―存(ゾン)。〔言辞門214四〕
とあって、標記語「所得」の語を収載し、冠頭字「所」の熟語群にも「所領」の語を収載する。
439定テ被∨行(ヲコナハシ)候歟。所領安堵 堵ハ五版ヲ爲∨堵、疏云一版ノ廣サ二尺、是ヲ五ツ合ルヲ舎∨堵ト、一堵墻、長丈高サ一丈也。〔謙堂文庫蔵四三右E〕
とあって、標記語を「所領」とし、その語注記は、未記載にする。
所領(シヨリヤウ)ノ安堵(アント) ノコト先祖(ソ)ノ所領中絶(せツ)ス。今安堵(ト)シタリ。〔下十七オ四〕
所領(しよれう)安堵(あんど)/所領安堵 安堵の字漢書(かんしよ)に見へたり。師古(しこ)か注に動(うごか)しうつさゝるをいふといえり。所領安堵とハ今迄領し來りし地所を其儘に領するをいふなり。〔57ウ四〜五〕
之(これ)に就(つい)て御引付(おんひきつけ)の沙汰(さた)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)定(さだめ)て行(おこな)ハ被(れ)候(さふら)ふ歟(か)所領(しよれう)安堵(あんど)遺跡(ゆいせき)争論(そうろん)越境(ゑつけう)違乱(いらん)之(の)際(あいだ)參訴(さんそ)を致(いた)さんと欲(ほつ)する之(の)處(ところ)此(この)間(あいだ)の疲勞(ひらう)所領(しよれう)乃絵際(たくさい)合期(がふご)し難(がた)く候(さふら)ふ。貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を憑(たの)ミ代官(だいくハん)を進(しん)ず可(べ)き也(なり)。短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)稽古(けい―)せ令むる之(の)程(ほど)御詞(おんことは)を加(くハ)へら被(れ)不(さ)れ者(バ)越度(おちと)出來(いてきた)らん歟(か)草案(さうあん)の土代(とたい)を書(か)き與(あた)へら被(れ)奉行所(ふきやうところ)に引導(いんだう)せら被(れ)者(ハ)恐悦(きやうゑつ)に候(さふら)ふ/就テ∨之ニ御引付ノ沙汰定テ被∨行ハ候ツ歟。所領安堵。遺跡相論。越-境違-乱之際。欲スルニ∨致サン‖參訴ヲ|之處。此間ノ疲-労。所-領絵際。難ク‖合-期|候フ。憑ミ‖貴方ノ御扶持ヲ|可キ∨進‖代官ヲ|也。短慮未練之仁令ムル‖稽古セ|之程、不レ∨被∨加ヘテ‖御詞ヲ|者越度出來ラン歟。被∨書キ‖_与草案ノ土代ヲ|、被∨引‖導セラ奉行所ニ|者恐スニ候フ。〔43ウ四〜五〕
就(つい)て∨之(これ)に御(おん)引付(ひきつけ)の沙汰(さた)定(さだ)めて被(れ)∨行(おこな)ハ候(さふらふ)歟(か)。所領(しよりやう)安堵(あんど)。遺跡(ゆゐせき)争論(さうろん)越境(ゑつきやう)違乱(ゐらん)之(の)際(あひだ)欲(ほつ)する∨致(いた)さんと‖參訴(さんそ)を|之(の)處(ところ)。此(この)間(あひだ)の疲労(ひらう)所領(しよりやう)の絵際(たくさい)難(がた)く‖合期(がふご)し|候(さふら)ふ憑(たのミ)‖貴方(きはう)の御扶持(ごふち)を|可(べ)き∨進(しん)ず‖代官(だいくわん)を|也(なり)短慮(たんりよ)未練(ミれん)之(の)仁(しん)令(し)むる‖稽古(けいこ)せ|之(の)程(ほど)、不(ざ)れ∨被(れ)∨加(くハへ)ら‖御詞(おんことバ)を|者(ハ)越度(をちど)出來(いできた)らん歟(か)。被(れ)∨書(か)き‖_与(あたへ)ら草案(さうあん)の土代(どだい)を|、被(れ)∨引‖導(いんだう)せ奉行所(ぶぎやうところ)に|者(バ)恐ス(きょうえつ)に候(さふら)ふ。〔77ウ四〜五〕
Xorio<.ショリャゥ(所領) Chiguio<(知行)に同じ.領地,または,相続した財産.〔邦訳795l〕
しよ-りやう〔名〕【所領】又、そりやう。領する所。領分。領地。北魏書、甄隕傳「邊外小縣所レ領、不レ過二百戸一」古今著聞集、五、和歌、鳥羽宮「和泉國に、相傳の所領の候を、人に、押して取られて候ふ」〔1018-1〕
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