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ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
珎重(チンテウ) 。〔元亀二年本63七〕
珎重(――) 。〔静嘉堂本73八〕〔天正十七年本上37オ六〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之條珎重々々〔至徳三年本〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之條珍重々々〔宝徳三年本〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之条珎重々々〔建部傳内本〕
依テ∨無キニ‖指タル_事|常ニ不‖申_通せ疎-略ノ之至驚_入候ノ處ニ預ル‖芳問ニ|之条珎-重々々〔山田俊雄藏本〕
依テ∨无ニ‖指シタル事|常ニ不ルコト‖申通|疎略之至驚(ヲドロキ)入候之處芳問之条珍重々々〔経覺筆本〕
依テ無‖指_事|常(ツネ)ニ不申_通|疎-略(ソリヤク)ノ之至驚(ヲトロキ)_入候處芳問(ハウモン)ノ之条珎-重々々〔文明四年本〕
珎重 稱譽分/チンチヤウ。〔黒川本・疉字門上55ウ八〕
珎財 〃寳。〃重。〃膳。〃恠。〃臺。〃物。〃既。〃奇。〃菓。〃美。〃舘。〃亊。〔卷第二・疉字門471三〕
珎重(チンヂヨウ・ヲモシ/メヅラシ、シゲシ・カサナル)[○・去]釋氏相見將ニレ退、即口ニ云二珍重一、但(タヽ)合掌俯首示レ敬也。在二釋氏要覽。〔態藝門876八〕
とあって、標記語「珎重」の語を収載し、語注記は「釋氏相見て將に退くべし、即ち口に珍重と云ふ、但、合掌俯首敬ひ示すなり。『釋氏要覽』に在り」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
珎重(チンテウ) 。〔弘・言語進退門53八〕
珎重(チンテウ) ―宝(ボウ)。―財(ザイ)。―菓。―物(ブツ)。―美(ミ)。―亊(ジ)。〔永・言語門53八〕
珎重(――) ―宝。―財。―菓。―物。―美。―亊。〔尭・言語門48八〕
珎重(チンチユウ) ―宝。―物。―財。―菓。〔両・言語門57七〕
とあって、標記語「珎重」の語を収載し、訓みを「チンテウ」「チンチユウ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
珍重(チンテウ) 。〔言辞門54六〕
とあって、標記語「珍重」の語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「珎重」「珍重」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
024自他嘉幸千萬々々御芳札披見之處青陽遊遊宴殊ニ珍重ニ候 青ハ東色也。言ハ春ハ陽気自∨東發之間云‖青陽ト|也。珎ハ翫也。爰ニハ二字トモニ翫也。念比之義也。〔謙堂文庫藏七右A〕→正月十五日の状
083祝言於‖于今|雖‖亊_旧候ト|。猶以珎重々々慶賀遂∨日重畳家門迎∨年ヲ繁昌ス。自他不∨可∨有‖際限|早ク可∨令‖参賀|候。抑御領入部无‖相違|之条先以神妙之曲御感ニ候也。→三月三日の状
742御消息忽ニ披見(ヒ−)珎重々々 消ハ尽也。通也。息ハ生也。消象ル‖於陰ニ|。息ハ象‖於陽|也。只音信マテ也。又消(ケス)∨息(イキ)ヲ。讀間筆ニテ畫シテ口ニテ不ルヲ∨言消息ト云∨之ヲ也。〔謙堂文庫蔵六三左G〕→十二月の状
とあって、標記語を「珎重」とし、その語注記は、未記載にする。024の語注記に「珎は、翫なり。爰には、二字ともに翫なり。念比の義なり」とあるのが注記なる文言と言えよう。
依テ∨無ニ‖指_事(サせル―)|常(ツネ)ニ不‖申_通せ疎畧(ソリヤク)之至(イタリ)驚(ヲドロキ)_入_候ノ處芳問(ハウモン)之条(デウ)珍重(チンテウ)也。日來(ヒゴロ)ノ本望(ホンモフ)忽(スミヤカ)ニ以テ滿足(マンゾク)ニ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何ニ事カ如(シカ)ン∨之ニ哉(ヤ)。庶幾トハ。隨ヒウクル心ナリ。〔下19オ一〜三〕
珍重(ちんてう)々々(/\)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつ)て滿足(まんそく)候ひ訖ぬ/珎重々々日來ノ本望忽以滿足候畢 滿ハみつる、足ハたれりと訓す。日比の望ミ十分に足れりと也。〔61オ二・三〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸祐也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜八〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸祐(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ五〕
Chincho>.チンチャウ(珎重) Mezzuraxu casanuru.(珍しう重ぬる)おもに年頭の喜びを表わす言葉.例,Chincho> chincho>.(珍重珍重)新年おめでとう,祝日おめでとうございます.§Chincho>ni zonzuru.(珍重に存ずる)感謝し喜ぶ,あるいは,おめでとうの意.→Caqei(嘉慶).〔邦訳122l〕
ちん-ちゃう〔名〕【珍重】(一)珍(メヅラ)しとし重んずること。朗詠集、下「珍重紅房透二翠簾一」(二)めでたしと喜び祝ふ語。學山録(藤原明遠)六「俗間書牘、有二珍重語一、此有二所レ本、文粹載、比裴度寄二李喜一書、末云、間猶希尺牘、珍重珍重、力書無餘、又穽朝聘曰、珍重祝三人保養自重如二珍寳一也」九條殿遺誡「在レ朝也、欲二珍重矜莊一、在レ私也、欲二雍容仁愛一」拾遺集、十八、雜、賀「流俗(リウシヨク)の、色にはあらず、梅の花」珍重すべき、ものとこそ見れ」珍重に存ず」(三)人に自重自愛を勤むる敬語。釋氏要覽、中「釋氏相見將レ退、即口ニ云二珍重一、如此方俗、云二安置一也、言珍重、即是嘱云三善加二保重一也」(四)轉じて、我が身を大切にすること。自重すること。王僧孺、與二何炯一書「握手戀戀、難別珍重」〔1276-4〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之條珎重々々〔至徳三年本〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之條珍重々々〔宝徳三年本〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之条珎重々々〔建部傳内本〕
依テ∨無キニ‖指タル_事|常ニ不‖申_通せ疎-略ノ之至驚_入候ノ處ニ預ル‖芳問ニ|之条珎-重々々〔山田俊雄藏本〕
依テ∨无ニ‖指シタル事|常ニ不ルコト‖申通|疎略之至驚(ヲドロキ)入候之處芳問之条珍重々々〔経覺筆本〕
依テ無‖指_事|常(ツネ)ニ不申_通|疎-略(ソリヤク)ノ之至驚(ヲトロキ)_入候處芳問(ハウモン)ノ之条珎-重々々〔文明四年本〕
芳問(ハウモン/カウバシ、ブン・トウ)[平・去]〔態藝門62八〕
とあって、標記語「芳問」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
芳問(ハウモン) 。〔弘・言語進退門26二〕
芳志(ハウシ) ―命(メイ)。―非(ヒ)。―枝(シ)。―墨(ボク)。―意(イ)。―詞(シ)。―翰(カン)。―言(ゴン)。―心(シン)。―約(ヤク)。―札(サツ)。―談(ダン)。―恩(ヲン)。―情(せイ)。―契(ケイ)。―問(モン)。―艶(エン)美女也。―存(ゾン)。―恵(ケイ)。〔永・言語門22六〕
芳志(ハウシ) ―命。―非。―枝。―墨。―意。―詞。―翰。―言。―心。―約。―札。―談。―恩。―情。―契。―問。―艶美女也。―存。―恵。〔尭・言語門20五〕
とあって、標記語「芳問」の語を収載し、訓みを「ハウモン」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
芳問(―モン) 。〔言語門20六〕
とあって、標記語「芳問」の語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「芳問」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「芳問」とし、その語注記は、未記載にする。
依テ∨無ニ‖指_事(サせル―)|常(ツネ)ニ不‖申_通せ疎畧(ソリヤク)之至(イタリ)驚(ヲドロキ)_入_候ノ處芳問(ハウモン)之条(デウ)珍重(チンテウ)也。日來(ヒゴロ)ノ本望(ホンモフ)忽(スミヤカ)ニ以テ滿足(マンゾク)ニ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何ニ事カ如(シカ)ン∨之ニ哉(ヤ)。庶幾トハ。隨ヒウクル心ナリ。〔下19オ一〜三〕
芳問(はうもん)之条(でう)/芳問之条 芳問ハ先方よりおのれをたつねられしを云。○○して芳の字を○たり芳ハかうばしと讀。〔60ウ八〜61オ一〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸祐也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。▲芳問ハ先方より我(われ)を尋(たづ)ねられしをいふ。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸祐(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。▲芳問ハ先方より我(われ)を尋(たづ)ねられしをいふ。〔81オ三〜81ウ六〕
Fo<mon.ハウモン(芳問) Co<baxu>to>.(芳しう問ふ)手紙で尋ね問う,または,手紙によって見舞う意で,その見舞ってくれた人,手紙を書き送ってくれた人を敬って言う.文書語.〔邦訳259l〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之條珎重々々〔至徳三年本〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之條珍重々々〔宝徳三年本〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之条珎重々々〔建部傳内本〕
依テ∨無キニ‖指タル_事|常ニ不‖申_通せ疎-略ノ之至驚_入候ノ處ニ預ル‖芳問ニ|之条珎-重々々〔山田俊雄藏本〕
依テ∨无ニ‖指シタル事|常ニ不ルコト‖申通|疎略之至驚(ヲドロキ)入候之處芳問之条珍重々々〔経覺筆本〕
依テ無‖指_事|常(ツネ)ニ不申_通|疎-略(ソリヤク)ノ之至驚(ヲトロキ)_入候處芳問(ハウモン)ノ之条珎-重々々〔文明四年本〕
驚入(ヲドロキイル/ケイシフ)[平・○]〔態藝門229二〕
とあって、標記語「驚入」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』・易林本『節用集』には、標記語「驚入」の語を未収載にする。
このように、上記当代の古辞書では、広本『節用集』のみが「驚入」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語となっている。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「驚入」とし、その語注記は、未記載にする。
依テ∨無ニ‖指_事(サせル―)|常(ツネ)ニ不‖申_通せ疎畧(ソリヤク)之至(イタリ)驚(ヲドロキ)_入_候ノ處芳問(ハウモン)之条(デウ)珍重(チンテウ)也。日來(ヒゴロ)ノ本望(ホンモフ)忽(スミヤカ)ニ以テ滿足(マンゾク)ニ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何ニ事カ如(シカ)ン∨之ニ哉(ヤ)。庶幾トハ。隨ヒウクル心ナリ。〔下19オ一〜三〕
疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)之処/疎略之至驚入候之處 疎略ハうとくおろそか也と訓す。是迄ハこゝえよりも無暮したるを同しなり。〔60ウ七・八〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸祐也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜八〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸祐(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ五〕
おどろき-い・る〔自動・四〕【驚入】深く驚く。狂言記、腰祈「さてもさても、奇特千萬、おどろきいりましてござる」〔0303-3〕
疎略(ソリヤク) 。〔元亀二年本152五〕
踈畧(―リヤク) 。〔静嘉堂本166六〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之條珎重々々〔至徳三年本〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之條珍重々々〔宝徳三年本〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之条珎重々々〔建部傳内本〕
依テ∨無キニ‖指タル_事|常ニ不‖申_通せ疎-略ノ之至驚_入候ノ處ニ預ル‖芳問ニ|之条珎-重々々〔山田俊雄藏本〕
依テ∨无ニ‖指シタル事|常ニ不ルコト‖申通|疎略之至驚(ヲドロキ)入候之處芳問之条珍重々々〔経覺筆本〕
依テ無‖指_事|常(ツネ)ニ不申_通|疎-略(ソリヤク)ノ之至驚(ヲトロキ)_入候處芳問(ハウモン)ノ之条珎-重々々〔文明四年本〕
踈略(ヲロソカ也) 无{礼歟}略分/ソリヤク/踈詞。〔黒川本・疉字門中18ウ八〕
踈略 〃簡。〃遠。〃漏。〃頑クワン/ヲロカナリ。〔卷第四・疉字門552三〕
疎略(ソリヤク) 。〔疉字門159二〕
踈略(ソリヤク/ヲロソカ・ウトム、ハカリコト)[平・入] 。〔態藝門403六〕
とあって、標記語「踈略」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
踈畧(ソリヤク) 。〔弘・言語進退門122一〕
踈略(ソリヤク) ―遠(エン)。―忽(コツ)。卒骨・鼠骨・楚忽。〔永・言語門101七〕
疎略(ソリヤク) ―遠。―忽又鼠―。―竟/又楚忽又卒忽又卒骨。〔尭・言語門92二〕
疎略(ソリヤク) ―遠。―忽(コツ)又鼠―/―竟(キヤウ)。又楚忽又卒忽又卒骨。〔両・言語門112三〕
とあって、標記語「疎略」の語を収載し、訓みを「ソリヤク」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
疎鬱(ソウツ) ―略(リヤク)。―遠(ヱン)。―縁(エン)。―相(サウ)。―意(イ)。―學(ガク)。〔言辞門101三〕
とあって、標記語「疎鬱」の冠頭字「疎」の熟語群として「疎略」語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「疎略」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「疎略」とし、その語注記は、未記載にする。
依テ∨無ニ‖指_事(サせル―)|常(ツネ)ニ不‖申_通せ疎畧(ソリヤク)之至(イタリ)驚(ヲドロキ)_入_候ノ處芳問(ハウモン)之条(デウ)珍重(チンテウ)也。日來(ヒゴロ)ノ本望(ホンモフ)忽(スミヤカ)ニ以テ滿足(マンゾク)ニ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何ニ事カ如(シカ)ン∨之ニ哉(ヤ)。庶幾トハ。隨ヒウクル心ナリ。〔下19オ一〜三〕
疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)之処/疎略之至驚入候之處 疎略ハうとくおろそか也と訓す。是迄ハこゝえよりも無暮したるを同しなり。〔60ウ七・八〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸祐也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜八〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸祐(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ五〕
Soriacu.ソリャク(疎略) 疎漏.Soreacu(疎略)の条を見よ.〔邦訳576l〕
そ-りゃく〔名〕【疎略・麁略】おろそかにすること。丁寧ならぬこと。簡。漢書、夏侯勝傳「爲レ學疎略」英雄記、魏、王粲「丁原爲レ人麁略、有二武勇一、善二騎射一」平家物語、七、忠度都落事「薩摩守、申されけるは、先年、申し承りてより後は、ゆめゆめ、疎略を存ぜずとは申しながら」「麁略に取扱」〔1171-1〕
指(サス) 。差(同) 。刺(同) 。螫(同) 蜂。〔元亀二年本279八〕
指(サス) 。差(同) 。刺(サス) 。螫(同) 蜂。〔静嘉堂本319六〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之條珎重々々〔至徳三年本〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之條珍重々々〔宝徳三年本〕
依無指事常不申通疎略之至驚入候之處芳問之条珎重々々〔建部傳内本〕
依テ∨無キニ‖指タル_事|常ニ不‖申_通せ疎-略ノ之至驚_入候ノ處ニ預ル‖芳問ニ|之条珎-重々々〔山田俊雄藏本〕
依テ∨无ニ‖指シタル事|常ニ不ルコト‖申通|疎略之至驚(ヲドロキ)入候之處芳問之条珍重々々〔経覺筆本〕
依テ無‖指_事|常(ツネ)ニ不申_通|疎-略(ソリヤク)ノ之至驚(ヲトロキ)_入候處芳問(ハウモン)ノ之条珎-重々々〔文明四年本〕
指亊(サシタルコト/シ・ユビ、シ)[上・去] 又作差亊。〔態藝門790二〕
とあって、標記語「指事」の語を収載し、語注記は「また、差亊に作る」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
差亊(サシタルコト) 。○。指事(サシタルコト) 。〔弘・言語進退門215三〕
差亊(サシタルコト) ―寄(サシヨせ)。―上。―作(ハゲテ)。―迫(ツメ)。〔永・言語門178九〕
差亊(サシタルコト) ―寄。―上。―作。―迫。〔尭・言語門168一〕
とあって、標記語「指事」「差亊」の両語を収載し、訓みを「さしたること」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』には、標記語「指事」の語を未収載にする。
このように、上記当代の古辞書のうち広本『節用集』(1476(文明六)年頃成立)と印度本系統の弘治二年本『節用集』にだけ「指事」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「指事」とし、その語注記は、未記載にする。
依テ∨無ニ‖指_事(サせル―)|常(ツネ)ニ不‖申_通せ疎畧(ソリヤク)之至(イタリ)驚(ヲドロキ)_入_候ノ處芳問(ハウモン)之条(デウ)珍重(チンテウ)也。日來(ヒゴロ)ノ本望(ホンモフ)忽(スミヤカ)ニ以テ滿足(マンゾク)ニ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何ニ事カ如(シカ)ン∨之ニ哉(ヤ)。庶幾トハ。隨ヒウクル心ナリ。〔下19オ一〜三〕
指(さ)せる事(こと)無(なき)に依(よつ)て常(つね)に申(もふし)通(つふ)せ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おとろ)き入(いり)候之処/依テ∨無ニ‖指_事(サせル―)|常(ツネ)ニ不‖申_通せ| さしたる事もあらさるゆへ常々音信もなく遠(とを)く處打へたりと也。〔60ウ六・七〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸祐也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜八〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸祐(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ五〕
Saxitaru.サシタル(指) 重要な(こと).否定語を伴う.例,Saxitaru yo>niua arazu.(さしたる用にはあらず)必須の事でもなく,大切な用事でもない.〔邦訳565l〕
さ-す〔他動・四〕【指】(一)人指指(ひとさしゆび)を向けて、其方を示す。ゆびざす。指點。「鹿を指して、馬なりと云ふ」(二){其方へ、向ふ。こころざす。向。古今集、十五、戀「蘆邊より、雲居をさして、行く雁の、いや遠ざかる、我が身悲しも」土左日記、十二月廿七日「大津より、浦戸をさして、漕ぎ出づ」司馬相如、上林賦「率乎(シユツコ)として直指」呂公、注「指、行也」(三){それと、定む。決むる。指定。神武紀15「謂來二目歌一、此的(サシテ)取二歌者一而名之也」「名をさす」日をさす」指し定むる」指し招く」(四)尺(ものさし)にて、測(はか)る。(長短を指し示すなり)度。「着物の丈をさす」(五)匣、机など、作る。(尺にて、さして作るなり)雍州府志(天和)七、土産門「倭俗、以レ板造レ器、總謂レ指(サス)ト、造之家、號二指物屋一」「本箱をさす」(さし物師) (六)指し狙(ねら)ひて、突き捕る。「黐竿(モチザヲ)にて、雀をさす」〔0805-4〕
民部卿 唐名 戸部(コホウ)。〔元亀本301十〕
民部卿(ミンブキヤウ) 唐名戸部。〔静嘉堂本351六〕
謹上 民部大夫殿〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
謹上 民部大輔殿〔山田俊雄藏本〕
進上 民部大夫殿〔経覺筆本〕
謹上 民部大夫殿〔文明四年本〕
民部省(ミンブセイ/タミ、ツカサ、ハブク)[平・上・去] 。當唐ノ戸部(コホウ)。卿一人相當正四位下、唐名戸(コ)部尚書。大輔一人。権相當正五位下唐名戸部侍郎。少輔一人権相當從五位下、唐名同ク負外郎。丞大ハ二人小ハ一人。唐名戸部郎中。録大少、唐名戸部主事。〔官位門889六〕
民部(ミンブ) ――大輔。――少輔。――卿/以上唐名戸部尚書。〔弘・官名232四〕
民部(ミンブ) 〃―大輔。〃―少輔/〃―卿。唐名戸部(コホウ)尚書。〔永・官名193三〕
民部(ミンブ) 〃―大輔。〃―少輔/〃―卿。唐名戸部尚書。〔尭・官名183二〕
このように、上記当代の古辞書に、「民部」の語を収載し、語注記は未記載にする。そして、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
451進上民部大輔殿〔謙堂文庫蔵四四右D〕
とあって、標記語を「民部大輔」とし、その語注記は未記載にする。後の十一月状に詳しい。
謹上 民部(ミンブ)ノ大輔(タイウ)殿〔下18ウ八〕
謹上/民部(ミんぶ)の大夫(たゆふ)殿(との)/謹上 民部大夫殿。〔60ウ五〕
民部(ミんふ)の大輔(たいふ)殿(との)/民部ノ大輔。殿。▲民部ノ大輔ハ正五位ノ下に相當す。唐名(からな)ハ戸部(とほう)侍郎(しらう)といふ。〔45ウ一〕
民部(みんぶ)の大輔(たいふ)殿(どの)▲民部ノ大輔ハ正五位下に相當(さうたう)す。唐名(からな)ハ戸部(とほう)侍郎(じらう)といふ。〔81オ一〕
みんぶ-の-たいふ〔名〕【民部大輔】〔大夫は五位の通稱なり〕民部省の丞(六位相當官)をやめて、受領となりたる五位の人の稱。即ち、民部丞の、五位に叙せられたるものを云ふ。〔1949-2〕
和氣(―ケ) 。〔元亀本87D〕〔静嘉堂本107F〕〔天正十七年本上53オF〕
七月晦日 加賀大拯和氣〔至徳三年本〕
七月卅日 加賀大拯和氣〔宝徳三年本〕
七月晦日 加賀大丞和氣〔建部傳内本〕
七月晦日 加賀大掾和氣〔山田俊雄藏本〕
七月卅日 加賀大丞和氣(ワケ)〔経覺筆本〕
七月晦日 加賀大丞和氣()〔文明四年本〕
和氣(―ケ) 。〔尭・人名64F〕〔両・人名76E〕
このように、上記当代の古辞書では、『運歩色葉集』と印度本系統の尭空本・両足院本『節用集』とに「和氣」の語を収載し、語注記は未記載にする。そして、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
450八月三日 加賀大丞和氣{醫道之氏也}〔謙堂文庫蔵四四右C〕
とあって、標記語を「和氣」とし、その語注記は、「醫道の氏なり」と記載する。後の十一月状に詳しい。
七月晦日(ツモコリ) 加賀(カガ)ノ大丞(タイせウ)和氣(ワケ)。〔下18ウ七〕
七月晦日/加賀(かゝ)の大丞(たいぜう)和氣(わけ)/七月晦日 加賀大丞和氣。〔60ウ四〕
八月三日/加賀(かが)の大掾(たいせう)和氣(わけ)/八月。三日。 加賀ノ大掾。和氣。▲和氣の姓(せい)ハ垂仁(すいしん)天皇十五代の孫(そん)大納言僧(そう)正三位清麿(きよまろ)に始る。〔45ウ一〕
八月(はちぐわつ)三日()。 加賀(かが)の大掾(だいじやう)和氣(わけ)。▲和氣の姓(せい)ハ垂仁(すゐにん)天皇十五代の孫(そん)大納言僧(ぞう)正三位清麿(きよまろ)に始る。〔80オ一・二〕
わ-け〔名〕【別・和氣】國造、稲置などの類にて、古へ、諸國の處處にありて、其地を治むる職。後に尸(かばね)となり、又、氏ともなりたり。 古事記、中(景行)44「自レ其餘七十七王者、悉別二賜國國之國造、亦和氣、及稻置、縣主一也」景行紀、四年二月「七十餘子。皆封二國郡一。各如二其國一。故當今時。謂二諸國之別一者。即其別王之苗裔焉」同「弟稻背入彦皇子。是播磨別之始祖也」續紀、廿六、天平~護元年三月「從六位上藤野別眞人清麻呂等三人、賜二姓吉備一藤野和氣眞人」〔2165-2〕
七月晦日 加賀大拯和氣〔至徳三年本〕
七月卅日 加賀大拯和氣〔宝徳三年本〕
七月晦日 加賀大丞和氣〔建部傳内本〕
七月晦日 加賀大掾和氣〔山田俊雄藏本〕
七月卅日 加賀大丞和氣(ワケ)〔経覺筆本〕
七月晦日 加賀大丞和氣()〔文明四年本〕
450八月三日 加賀大丞和氣{醫道之氏也}〔謙堂文庫蔵四四右C〕
とあって、標記語を「大丞」とし、その語注記は、未記載にする。
七月晦日(ツモコリ) 加賀(カガ)ノ大丞(タイせウ)和氣(ワケ)。〔下18ウ七〕
七月晦日/加賀(かゝ)の大丞(たいぜう)和氣(わけ)/七月晦日 加賀大丞和氣。〔60ウ四〕
八月三日/加賀(かが)の大掾(たいせう)和氣(わけ)/八月。三日。 加賀ノ大掾。和氣。〔45オ七〕
八月(はちぐわつ)三日(ミつか)。 加賀(かが)の大掾(だいじやう)和氣(わけ)。〔80ウ五〕
面拝(―バイ) 。〔元亀二年本296二〕
面拝(――) 。〔静嘉堂本344二〕
右筆等雖難叶候雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝候恐々謹言〔至徳三年本〕
右筆等雖難叶候雜訴風情許者成管見之窺度候心事不及能腐毫併期面拝恐々謹言〔宝徳三年本〕
右筆等雖難叶雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝之時候恐々謹言〔建部傳内本〕
右-筆等雖‖難シト∨叶ヒ候フト|雜-訴(ザツ―)ノ風-情計ハ者成シ‖管-見ノ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度候心事不∨及‖腐毫(フゴウ)ニ|併期ス‖面拝之次ヲ|恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併期‖面拝之時ヲ|候恐々謹言〔経覺筆本〕
雖レ難レ叶レ右筆(ユウ−)等ニ一雜訴(サツソ)ノ風-情計者成(ナシ)‖管見(クハンケン)ノ之窺(ウカヽイ・ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不及二腐毫(フカウ)ニ一併期面拝ヲ恐々謹言〔文明四年本〕
面拜 同/メンハイ。〔黒川本・疉字門下60オ四〕
面目 〃拜。〃覲。〃談。〃前。〃子。〃諛。〃謁。〃展。〃縛。〃勤。〔卷第九・疉字門52二〕
面拜(メンハイ/ヲモテ、ヲガム)[去・去]〔態藝門876八〕
とあって、標記語「面拝」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
面拜(メンハイ) 。〔弘・言語進退門229六〕
面拜(メンハイ) ―談(ダン)。―展(テン)。―謁(エツ)。―目(ボク)。/―活(カツ)。―皮(ヒ)。―賀(カ)。―打(チヤウ)。〔永・言語門191二〕
面拜(メンハイ) ―談。―展。―謁。―目。―前/―話。―皮。―賀。―打。―体。〔尭・言語門180六〕
とあって、標記語「面拜」の語を収載し、訓みを「メンハイ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
面目(メンエツ) ―談(ダン)。―拜(ハイ)。―話(ワ)。―張(チヤウ)。―道(タウ)。―目(モク)。―會(クワイ)。――皮(ヒ)。―上(ジヤウ)。―受口決(ジユクケツ)。―壁(ヘキ)。―展(テン)。―打(チヤウ)。〔言辞門196六・七〕
とあって、標記語「面目」の冠頭字「面」の熟語群として「面拜」語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「面拝」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
449心亊不∨及‖腐毫ニ|併期‖面拝ヲ|恐々謹言 〔謙堂文庫蔵四四右B〕
とあって、標記語を「面拝」とし、その語注記は、未記載にする。
雜訴(ザツソ)ノ之風情(フゼイ)計(ハカリ)者(ハ)成(ナシ)‖管見(クハンケン)ヲ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併(シカシ)ナカラ期シ‖面拝(ハイ)ノ之時ヲ|候 雜訴ノ風情(フセイ)計(バカリ)トハ。色々ヲウツタヘサハク事ナリ。風情可也。〔下18ウ四〜六〕
併(しかしなから)面拝(めんはい)を期(ご)し候/併(シカシ)ナカラ期シ‖面拝ヲ|候 この注も前にあり。〔60オ六〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。〔44ウ七〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(フゼイ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。〔79五・六〕
Menpai.メンパイ(面拝) Vomoteuo vogamu.(面を拝む)貴人に恭しく対面すること.〔邦訳397l〕
めん-ぱい〔名〕【面拝】おんめにかかること。拝顔。面展。 庭訓徃來、二月「面拝之後、中絶良久、遺恨如レ山、何時散二意霧一哉」〔0942-2〕
右筆等雖難叶候雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝候恐々謹言〔至徳三年本〕
右筆等雖難叶候雜訴風情許者成管見之窺度候心事不及能腐毫併期面拝恐々謹言〔宝徳三年本〕
右筆等雖難叶雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝之時候恐々謹言〔建部傳内本〕
右-筆等雖‖難シト∨叶ヒ候フト|雜-訴(ザツ―)ノ風-情計ハ者成シ‖管-見ノ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度候心事不∨及‖腐毫(フゴウ)ニ|併期ス‖面拝之次ヲ|恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併期‖面拝之時ヲ|候恐々謹言〔経覺筆本〕
雖レ難レ叶レ右筆(ユウ−)等ニ一雜訴(サツソ)ノ風-情計者成(ナシ)‖管見(クハンケン)ノ之窺(ウカヽイ・ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不及二腐毫(フカウ)ニ一併期面拝ヲ恐々謹言〔文明四年本〕
筆(フデ/ヒツ)[入]。毫(同/カフ)[平] 《前略》意遊管翠羽(スイウ)鶏距彫筆兎毛腐毫禿筆義也」〔態藝門423二〕
とあって、標記語「腐毫」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』・易林本『節用集』には、標記語「腐毫」の語を未収載にする。
このように、上記当代の古辞書では、広本『節用集』の「筆」の語注記に「腐毫」の語を収載し、語注記には「禿筆義なり」とし、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。ここで、広本『節用集』の語注記「禿筆義也」だが、下記に示す真字本、正月五日の語注記に「又禿筆之義也」とあって、ここに合致するものである。
449心亊不∨及‖腐毫ニ|併期‖面拝ヲ|恐々謹言 〔謙堂文庫蔵四四右B〕
〔謙堂文庫蔵四四右A〕
017少々有テ‖御誘引|思食立給ハ者本望也。心事雖∨多為ンヤ∨期‖参會之次|委ク不∨能ハ‖腐毫ニ| 腐ハ念_比ニ不ル∨及∨申義也。又禿筆之義也。又筆名也。〔謙堂文庫藏五左H〕
とあって、標記語を「腐毫」とし、449には語注記は、未記載にし、017には「腐は、念比に申すに及ばざる義なり。また、禿筆の義なり。また、筆の名なり」と記載する。
雜訴(ザツソ)ノ之風情(フゼイ)計(ハカリ)者(ハ)成(ナシ)‖管見(クハンケン)ヲ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併(シカシ)ナカラ期シ‖面拝(ハイ)ノ之時ヲ|候 雜訴ノ風情(フセイ)計(バカリ)トハ。色々ヲウツタヘサハク事ナリ。風情可也。〔下18ウ四〜六〕
雜訴(ざつそ)の風情(ふぜい)計(はかり)者(ハ)/雜訴ノ風情計リ者ハ 雑訴ハいろ/\の公事なり。風情とハ訴を取捌く大方を云。〔60オ六〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。〔44ウ七〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(フゼイ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。〔79五・六〕
Fugo<.フガゥ(腐毫) Cusare fude.(腐れ毫)すでにいたんだりこわれたりしたペン〔筆〕.書状用語で,これによって謙遜の意を示す語.例,Fugo<ni atauazu.(腐毫に能はず)このちびた,あるいは,いたんだペン〔筆〕では,とても書くことができない.〔邦訳273l〕
右筆等雖難叶候雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝候恐々謹言〔至徳三年本〕
右筆等雖難叶候雜訴風情許者成管見之窺度候心事不及能腐毫併期面拝恐々謹言〔宝徳三年本〕
右筆等雖難叶雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝之時候恐々謹言〔建部傳内本〕
右-筆等雖‖難シト∨叶ヒ候フト|雜-訴(ザツ―)ノ風-情計ハ者成シ‖管-見ノ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度候心事不∨及‖腐毫(フゴウ)ニ|併期ス‖面拝之次ヲ|恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併期‖面拝之時ヲ|候恐々謹言〔経覺筆本〕
雖レ難レ叶レ右筆(ユウ−)等ニ一雜訴(サツソ)ノ風-情計者成(ナシ)‖管見(クハンケン)ノ之窺(ウカヽイ・ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不及二腐毫(フカウ)ニ一併期面拝ヲ恐々謹言〔文明四年本〕
心亊(シンジ/コヽロ、コト・ワザ)[平・去] 。〔態藝門942一〕
とあって、標記語「心事」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
心事(シンジ) 。〔弘・言語進退門247七〕
心底(シンテイ) ―性。―労。―中。―肝。―亊。〔永・言語門212四〕〔尭・言語門196三〕
とあって、標記語「心事」の語を収載し、訓みを「シンジ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
心事(シンジ) 。〔言辞門106五〕
とあって、標記語「心事」の語を収載する。
449心亊不∨及‖腐毫ニ|併期‖面拝ヲ|恐々謹言 〔謙堂文庫蔵四四右B〕
とあって、標記語を「心事」とし、その語注記は、未記載にする。
雜訴(ザツソ)ノ之風情(フゼイ)計(ハカリ)者(ハ)成(ナシ)‖管見(クハンケン)ヲ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併(シカシ)ナカラ期シ‖面拝(ハイ)ノ之時ヲ|候 雜訴ノ風情(フセイ)計(バカリ)トハ。色々ヲウツタヘサハク事ナリ。風情可也。〔下18ウ四〜六〕
心事(しんじ)腐毫(ふがう)に及(およ)ハ不(す)/心事不∨及‖腐毫ニ| 心に思ふ事共前にのせかたしとなり。腐毫の注前に見へたり。〔60ウ二〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。〔44ウ七〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(フゼイ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。〔79五・六〕
しん-じ〔名〕【心事】(一)心に、思ひ設けてある事柄。 謝靈運、詩序「徐幹少無二宦情一、有二箕頴之心事一、故仕レ世多二素辭一」榮花物語、十五、疑)「我若向後至二大位一、心事相諧者、云云」心事を明かす」〔0942-2〕
伺(ウカヽウ) 。窺(同) 。〔元亀二年本184九〕〔静嘉堂本208一〕〔天正十七年本中33オ五〕
右筆等雖難叶候雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝候恐々謹言〔至徳三年本〕
右筆等雖難叶候雜訴風情許者成管見之窺度候心事不及能腐毫併期面拝恐々謹言〔宝徳三年本〕
右筆等雖難叶雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝之時候恐々謹言〔建部傳内本〕
右-筆等雖‖難シト∨叶ヒ候フト|雜-訴(ザツ―)ノ風-情計ハ者成シ‖管-見ノ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度候心事不∨及‖腐毫(フゴウ)ニ|併期ス‖面拝之次ヲ|恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併期‖面拝之時ヲ|候恐々謹言〔経覺筆本〕
雖レ難レ叶レ右筆(ユウ−)等ニ一雜訴(サツソ)ノ風-情計者成(ナシ)‖管見(クハンケン)ノ之窺(ウカヽイ・ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不及二腐毫(フカウ)ニ一併期面拝ヲ恐々謹言〔文明四年本〕
伺(ウカヽウ/シ)[平] 。窺(同/キ) 。〔態藝門488四〕
以レ―ヲ窺(ウカガイ)レ天(テン)ヲ以(モツテ)レ―蠡(レイ)ヲ測(ハカル)レ海(カイ)ヲ 文選。〔態藝門532五〕
とあって、標記語「窺」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
伺(ウカヽウ) 。窺(同) 。〔弘・言語進退門150六〕
伺(ウカヽウ) 窺。〔永・言語門123二〕
伺(ウカウ) 窺。〔尭・言語門112七〕
伺(ウカヾウ) 窺。〔両・言語門137三〕
とあって、標記語「窺」の語を収載し、訓みを「ウカヽウ」「ウカウ」」「ウカヾウ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
伺(ウカヽウ) 。候(同) 。靫(同)。窺(同) 。〔言辞門120一〕
とあって、標記語「窺」の語を収載する。
448風-情計者ハ成シ‖管見之窺ヲ|度候 管ニ筆法師ノ穴也。少義也。以∨管窺∨天ヲ也。〔謙堂文庫蔵四四右A〕
とあって、標記語を「窺」とし、その語注記は、未記載にする。
雜訴(ザツソ)ノ之風情(フゼイ)計(ハカリ)者(ハ)成(ナシ)‖管見(クハンケン)ヲ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併(シカシ)ナカラ期シ‖面拝(ハイ)ノ之時ヲ|候 雜訴ノ風情(フセイ)計(バカリ)トハ。色々ヲウツタヘサハク事ナリ。風情可也。〔下18ウ四〜六〕
管見(くわんけん)之(の)窺(うかゝひ)を成(な)し度(た)く候/成シ‖管見之窺ヲ|度候 こゝに云こゝろハ右筆の掛亊ハ事廣き事にてそれをつゝあきらめん事ハ及ひかたけれとも雑訴の捌き方はかりハ其つと端(はし)を心得たしと也。管見の字ハ荘子(そうじ)に出たり。管の中より大空をうかゝふといふ詞あり。是によりて書しなり。管見は唯其一ト端を見るはかりといふ義なり。〔60オ六〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。〔44ウ七〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(フゼイ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。〔79五・六〕
‡Vcagai.ウカガイ(窺) →Quanqen(管見).〔邦訳683r〕
うかが・ひ〔名〕【窺】(一){伺ふこと。のぞくこと。 宇津保物語、俊蔭55「人のうかがひなどするに、尋ね出られて」(二){竊に敵陣の動静(やうす)を探り知ること。うかみ。ものみ。しのび。斥候。間諜。天治字鏡、三13「諜、伊久佐乃宇加加比」(三)官に、事を申立てて、指令を仰ぐこと。伺を立つると云ふ。申稟。〔0223-3〕
風情(―せイ) 。〔元亀二年本222七〕
風情(―ゼイ) 。〔静嘉堂本254五〕
風情(――) 。〔天正十七年本中56オ八〕
右筆等雖難叶候雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝候恐々謹言〔至徳三年本〕
右筆等雖難叶候雜訴風情許者成管見之窺度候心事不及能腐毫併期面拝恐々謹言〔宝徳三年本〕
右筆等雖難叶雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝之時候恐々謹言〔建部傳内本〕
右-筆等雖‖難シト∨叶ヒ候フト|雜-訴(ザツ―)ノ風-情計ハ者成シ‖管-見ノ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度候心事不∨及‖腐毫(フゴウ)ニ|併期ス‖面拝之次ヲ|恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併期‖面拝之時ヲ|候恐々謹言〔経覺筆本〕
雖レ難レ叶レ右筆(ユウ−)等ニ一雜訴(サツソ)ノ風-情計者成(ナシ)‖管見(クハンケン)ノ之窺(ウカヽイ・ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不及二腐毫(フカウ)ニ一併期面拝ヲ恐々謹言〔文明四年本〕
風情 同/フせイ。〔黒川本・疉字門中106ウ八〕
風情 〃流。〃聞。〃俗。〃月。〃景。〃皃。〃簾。〃雲。〃烈。〃宋。〃化。〃霜。〃荷。〃雅。〃疾。〃土。〃塵。〃業。〃骨。〃襟キン。〃光。〃痺ヒ。〃物。〔卷第七82二〕
風流(フウリウ/フリウ) 風情(フせイ)ノ義也。日本ノ俗呼テ二拍子物(ハヤシモノ)ヲ一曰フ二風流ト一。〔態藝門78五〕
風情(フぜイ/カぜ、コヽロ・ナサケ)[平・平] 。〔態藝門625五〕
とあって、標記語「風情」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
風情(フゼイ) 。〔弘・言語進退門181六〕
風雅(フウガ) ―聞(ブン)。―情(ぜイ)。―度(ト)。―流(リウ)風情之義也。拍子物(ハヤシモノ)ヲ――ト云。〔永・言語門149六〕
風雅(フウガ) ―聞。―情。―度。―流拍子物―情義。〔尭・言語門139四〕
とあって、標記語「風情」の語を収載し、訓みを「フゼイ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
風俗(フウゾク) ―躰(テイ)。―便(ビン)。―波(ハ)。―聞(ブン)。―流(リウ)。―味(ミ)。―葉(ヨフ)。―晨月夕(シンゲツセキ)。〔言辞門152三〕
とあって、標記語「風情」の語を未収載にする。
448風-情計者ハ成シ‖管見之窺ヲ|度候 管ニ筆法師ノ穴也。少義也。以∨管窺∨天ヲ也。〔謙堂文庫蔵四四右A〕
とあって、標記語を「風情」とし、その語注記は、未記載にする。
雜訴(ザツソ)ノ之風情(フゼイ)計(ハカリ)者(ハ)成(ナシ)‖管見(クハンケン)ヲ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併(シカシ)ナカラ期シ‖面拝(ハイ)ノ之時ヲ|候 雜訴ノ風情(フセイ)計(バカリ)トハ。色々ヲウツタヘサハク事ナリ。風情可也。〔下18ウ四〜六〕
雜訴(ざつそ)の風情(ふぜい)計(はかり)者(ハ)/雜訴ノ風情計リ者ハ 雑訴ハいろ/\の公事なり。風情とハ訴を取捌く大方を云。〔60オ六〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。〔44ウ七〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(フゼイ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。〔79五・六〕
Fujei.フゼイ(風情) 格好,あるいは,様子.§Icarino fujeiuo arauasu.(怒の風情をあらはす)怒りの表情と態度をあらわに見せる.→Vomozaxi.〔邦訳273r〕
ふ-ぜい〔名〕【風情】(一)けしき。けはひ。おもむき。あぢはひ。趣致。 方丈記「跡ノ白波ニ身ヲヨスル朝ニハ、岡ノ屋ニ行キカフ船ヲナガメテ、滿沙彌ガ風情ヲヌスミ」花傳書別紙口傳(應永、世阿彌)「口傳に曰く、音曲、舞、働、振、風情、これまた同じ心なり」(二)さま。やうす。ふう。平家物語、一、鱸事「似るを友とかやの風情にて、忠盛の好いたりければ、此女房も優なりけり」源氏烏帽子折(元禄、近松作)三「地にひれふし、穴へも入りたき風情なり」(三)などやうのもの。平家物語、十、三日平氏事「長持、云云、黄金、卷物、染物ふぜいの物を入れて奉らる」徒然草、五十四段「風流の破籠やうの物、懇に營み出でて、箱風ぜいの物にしたため入れて、垂フ岡の便りよき所に埋みおきて」(四)などやうのやから。又、たぐひ。(卑めて云ふ) 海人藻芥、中「當時襌家幵時衆風情の輩、坊中の具足を令二結構一」柳樽、七編「下女ふぜい、などと陳ずる、若旦那」〔1751-4〕
右筆等雖難叶候雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝候恐々謹言〔至徳三年本〕
右筆等雖難叶候雜訴風情許者成管見之窺度候心事不及能腐毫併期面拝恐々謹言〔宝徳三年本〕
右筆等雖難叶雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝之時候恐々謹言〔建部傳内本〕
右-筆等雖‖難シト∨叶ヒ候フト|雜-訴(ザツ―)ノ風-情計ハ者成シ‖管-見ノ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度候心事不∨及‖腐毫(フゴウ)ニ|併期ス‖面拝之次ヲ|恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併期‖面拝之時ヲ|候恐々謹言〔経覺筆本〕
雖レ難レ叶レ右筆(ユウ−)等ニ一雜訴(サツソ)ノ風-情計者成(ナシ)‖管見(クハンケン)ノ之窺(ウカヽイ・ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不及二腐毫(フカウ)ニ一併期面拝ヲ恐々謹言〔文明四年本〕
447不∨可∨捐ツ借シ‖_給テ古キ日記ノ法例ノ引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|惣‖不審之亊ニ|者可キ‖尋明|也。右筆等雖‖難∨叶候ト|雜訴(ソ)ノ 小公亊等也。〔謙堂文庫蔵四三左H〕
とあって、標記語を「雜訴」とし、その語注記は、未記載にする。
雜訴(ザツソ)ノ之風情(フゼイ)計(ハカリ)者(ハ)成(ナシ)‖管見(クハンケン)ヲ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併(シカシ)ナカラ期シ‖面拝(ハイ)ノ之時ヲ|候 雜訴ノ風情(フセイ)計(バカリ)トハ。色々ヲウツタヘサハク事ナリ。風情可也。〔下18ウ四〜六〕
雜訴(ざつそ)の風情(ふぜい)計(はかり)者(ハ)/雜訴ノ風情計リ者ハ 雑訴ハいろ/\の公事なり。風情とハ訴を取捌く大方を云。〔60オ六〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。▲雑訴ノ風情ハ種々(いろ/\)様々(さま/\)の公事(くし)を捌(さば)く趣(おもむき)也。〔44ウ八〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(ざつそ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。▲雑訴ノ風情ハ種々(いろ/\)様々(さま/\)の公事(くじ)を捌(さば)く趣(おもむき)也。〔79ウ六〜80オ一〕
ざッ-そ〔名〕【雜訴】ざふそ(雜訴)を見よ。〔0812-4〕
ざふ-そ〔名〕【雜訴】種種なる、訴へごと。急呼して、ざっそ。〔0824-5〕
叶(カナウ) 。稱(同) 。殯(同) 。〔元亀二年本105四〕 合(カナウ) 道―。協(同) 。適(同) 略。〔元亀二年本106二〕
叶(カナウ) 。〔静嘉堂本132一〕 合(カナウ) 道―。協(同) 。適(同) 略。〔静嘉堂本132一〕
叶(カナウ) 。稱(カナウ) 。殯(同) 。〔天正十七年本上64ウ七〕 合(カナウ) 道―。協(同) 。適(同) 。〔天正十七年本上65オ七〕
右筆等雖難叶候雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝候恐々謹言〔至徳三年本〕
右筆等雖難叶候雜訴風情許者成管見之窺度候心事不及能腐毫併期面拝恐々謹言〔宝徳三年本〕
右筆等雖難叶雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝之時候恐々謹言〔建部傳内本〕
右-筆等雖‖難シト∨叶ヒ候フト|雜-訴(ザツ―)ノ風-情計ハ者成シ‖管-見ノ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度候心事不∨及‖腐毫(フゴウ)ニ|併期ス‖面拝之次ヲ|恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併期‖面拝之時ヲ|候恐々謹言〔経覺筆本〕
雖レ難レ叶レ右筆(ユウ−)等ニ一雜訴(サツソ)ノ風-情計者成(ナシ)‖管見(クハンケン)ノ之窺(ウカヽイ・ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不及二腐毫(フカウ)ニ一併期面拝ヲ恐々謹言〔文明四年本〕
叶カナフ 。〔黒川本・辞字門上84ウ二〕
諧カナフ 不―。叶 。冥 ―心懐。協 。稱 。合 不―。適 。拷 。階 。證 。應 。符 。秤 。滑 。兄 。洽 。尤 。殯 。搆 。揩 。撃 。鯨 。軆 。必 。給 。詠 已上カナフ。 〔卷第三・辞字251二〕
叶(カナウ/ケフ)[入] 。囑(同/ケフ)[入] 。協(同/ケフ)[入] 。〔態藝門311六〕
とあって、標記語「叶」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
叶(カナウ) 。〔弘・言語進退門81八〕〔永・言語門85一〕〔両・言語門92八〕
叶(カナフ) 。〔尭・言語門76九〕
とあって、標記語「叶」の語を収載し、訓みを「カナウ」「カナフ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
諧(カナフ) 。稱(同) 。協(同) 叶(同)。〔言語門82一〕
とあって、標記語「叶」の語を収載する。
447不∨可∨捐ツ借シ‖_給テ古キ日記ノ法例ノ引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|惣‖不審之亊ニ|者可キ‖尋明|也。右筆等雖‖難∨叶候ト|雜訴(ソ)ノ 小公亊等也。〔謙堂文庫蔵四三左H〕
とあって、標記語を「難叶」とし、その語注記は、未記載にする。
右筆(ユウヒツ)等雖トモ‖難(ガタシ)ト∨叶(カナヒ) 右筆トハ計(ハカラヒ)書人也。〔下18ウ四〕
古(ふる)日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)ハらハ/右筆等ハ雖‖難∨叶候ト 右筆ハ筆取乃職なり。禁中(きんちう)にてハ外記(けき)内記(ないき)といふ武家にてハ右筆と云。是ハ鎌倉将軍(かまくらしやうくん)頼朝(よりとも)公の時邦通(くにみち)といひし者を引付乃公事とせられしよりはしまりたり〔60オ四・五〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。〔44ウ七〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(ざつそ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。〔79五・六〕
Canai,o<.カナイ,ゥ,ゥタ(叶・適ひ,ふ,うた) 可能である.§また,望みや祈願などが成就する,あるいは,遂げられる.例,Nozomi,l,guanga cano<ta.(望み,または,願が叶うた)希望,あるいは,祈願が遂げられた.§また(適ふ),満足させる,ぴたりと適合する.例,Cocoroni cano<(心に適ふ) §Michini cano<ta coto,l,aicano<ta coto.(道に適うた事,または,相適うた事)道理に合致している事,または,ある特定の技芸の法に合った事.→Ben;Bumei;Fanjin;Fonguai;Iibun(自分);Nanito;Tanpu;Xo<-i.〔邦訳87l〕
かな・ふ〔自動、四〕【叶】〔兼合(かねあ)ふの約か、玉箒「叶、古文ノ協ノ字」〕(一)善く合ふ。ふさふ。あてはまる。相當す。相應す。適合。 萬葉集、一10「熟田津(にぎたづ)(伊豫)に舩乘(ふなのり)せむと、月待てば、潮も可奈比ぬ、今は漕出(こぎで)な」 名義抄「適、カナフ、アタル」 字類抄「叶、諧、協、カナフ」(二)望みに合ふ。思ふやうになる。成就。 古今集、八、離別「命だに、心にかなふ、ものならば、何か別れの、悲しからまし」 源氏物語、七、紅葉賀19「思ひしこと、かなふと思(おぼ)す」 かなはずとは、(一)力、及ばず。成し得ず。能はず。はたらかず。不能。 宇治拾遺物語、十二、第二十二條「我が心一つにてはかなはじ、此由を院に申してこそは」 七十一番職人盡歌合(文安)三十九番、硯士「逢ふことは、なほ難ければ、硯石、金剛杵(コンガウシヨウ)も、かなはざりけり」詞書(若王子(ジヤクワウジ)(石の名)は、白み堅くて、切りにくき」「かなはぬ時の~頼み」強敵にはかなはぬ」手足がかなはぬ」(二)已むことを得ず。よんどころなし。狂言記、節分「かなはぬ用の事がござる、平(ひら)に、ここを明けてくだされい」〔1393-5〕
右筆(―ヒツ) 。〔元亀二年本293一〕〔静嘉堂本340四〕
右筆等雖難叶候雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝候恐々謹言〔至徳三年本〕
右筆等雖難叶候雜訴風情許者成管見之窺度候心事不及能腐毫併期面拝恐々謹言〔宝徳三年本〕
右筆等雖難叶雜訴風情計者成管見之窺度候心事不及腐毫併期面拝之時候恐々謹言〔建部傳内本〕
右-筆等雖‖難シト∨叶ヒ候フト|雜-訴(ザツ―)ノ風-情計ハ者成シ‖管-見ノ之窺(ウカヽヒ)ヲ|度候心事不∨及‖腐毫(フゴウ)ニ|併期ス‖面拝之次ヲ|恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候心事不∨及‖腐毫(フガウ)ニ|併期‖面拝之時ヲ|候恐々謹言〔経覺筆本〕
雖レ難レ叶レ右筆(ユウ−)等ニ一雜訴(サツソ)ノ風-情計者成(ナシ)‖管見(クハンケン)ノ之窺(ウカヽイ・ウカヽヒ)ヲ|度(タク)候心事不及二腐毫(フカウ)ニ一併期面拝ヲ恐々謹言〔文明四年本〕
右筆(ユウヒツ/ミギリ、フデ)[上・入] 。〔態藝門867七〕
とあって、標記語「右筆」の語を収載し、訓みを「ユウヒツ」とし、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
右筆(―ヒツ) 。〔弘・言語進退門11二〕〔永・言語門6三〕
右筆(ユウヒツ) 。〔弘・言語進退門227五〕〔永・言語門189一〕〔尭・言語門178五〕
右動(イウトウ) ―筆。〔尭・言語門5八〕
右筆(イウヒツ) 。〔両・言語門7一〕
とあって、標記語「右筆」の語を収載し、訓みを伊部に「(イウ)ヒツ」、遊部に「ユウヒツ」とし、伊部・遊部両方にその語を収載する。また、易林本『節用集』には、標記語「右筆」の語を未収載にする。
447不∨可∨捐ツ借シ‖_給テ古キ日記ノ法例ノ引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|惣‖不審之亊ニ|者可キ‖尋明|也。右筆等雖‖難∨叶候ト|雜訴(ソ)ノ 小公亊等也。〔謙堂文庫蔵四三左H〕
とあって、標記語を「右筆」とし、その語注記は、未記載にする。
右筆(ユウヒツ)等雖トモ‖難(ガタシ)ト∨叶(カナヒ) 右筆トハ計(ハカラヒ)書人也。〔下18ウ四〕
古(ふる)日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)ハらハ/右筆等ハ雖‖難∨叶候ト 右筆ハ筆取乃職なり。禁中(きんちう)にてハ外記(けき)内記(ないき)といふ武家にてハ右筆と云。是ハ鎌倉将軍(かまくらしやうくん)頼朝(よりとも)公の時邦通(くにみち)といひし者を引付乃公事とせられしよりはしまりたり〔60オ四・五〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。▲右筆ハ執筆(ふてとり)の役(やく)をいふ。〔44ウ七〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(ざつそ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。▲右筆ハ執筆(ふてとり)の役(やく)をいふ。〔79ウ六〕
Yu<fit.イウヒツ(右筆) 主君に代わって書きものをする書記.例,Xujinno yu<fituo suru.(主人の右筆をする)主人のために書きものをする.〔邦訳834l〕
いう-ひつ〔名〕【右筆】〔右手に筆を執る意か、繪を、左筆と稱する語もありと云ふ〕(一)筆を執りて、文を書くこと。執筆。雲州消息、中、末「右筆非レ暇、追可二注シ申ス一」百寮訓要抄、「參議、陣の座にて、物をよみ、右筆する器也」 鮮嚢鈔、二27「右筆、フムデヲトル」(二)轉じて、文學を以て奉仕する者。右文左武(ウブンサブ)の語もあり。文筆。平家物語、一、殿上闇討事「忠盛、云云、我れ右筆の身にあらず、武勇の家に生れて」吾妻鏡、二、壽永元年五月十二日「伏見冠者藤原廣綱、初參二武衞一、是右筆也」(三)轉じて、武家の職名、文書を作り、書くことを掌るもの。かきやく。ものかき。筆吏。庭訓徃來、八月「管領、寄人、右筆、奉行」 徳川幕府にては、(祐筆などとも記す)表右筆、奥右筆おあり、奥右筆と云ふもの、古記録、前例を考へ、幕府の公文を作る機密に參して、權力ありき。〔0130-2〕
雖晩学候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔至徳三年本〕
雖晩學候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔宝徳三年本〕
雖晩学候螢雪鑽仰之功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審之事者可尋明也〔建部傳内本〕
雖‖晩-学ニ候|螢-雪鑽-仰(サンカウ)之(ノ)功(カウ)不∨可カラ∨捐(ムナシ)カル借シ‖_給リ古キ日-記法-例ノ引付ヲ|加ヘ‖一-見ヲ|於テハ‖不-審ノ亊ニ|者可‖尋_明|候也〔山田俊雄藏本〕
雖‖晩学ニ候フト|、蛍雪(ケイ―)鑽仰(サンキヤウ)之功、不∨可∨捐(ムナシ)カル。借シ‖給古キ日記法例引付ヲ|成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候〔経覺筆本〕
雖レ晩-学ニ候ト一蛍雪(ケイせツ)鑽-仰(サンキヤウ)ノ之功(コウ)不可捐(スツ)借(カシ)二_給(タマワツ)テ古(コ)日-記ヲ法-例ノ引-付一加ヘレ一見ヲ一於テ不審亊一者可二尋明一也〔文明四年本〕
447不∨可∨捐ツ借シ‖_給テ古キ日記ノ法例ノ引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|惣‖不審之亊ニ|者可キ‖尋明|也。右筆等雖‖難∨叶候ト|雜訴(ソ)ノ 小公亊等也。〔謙堂文庫蔵四三左H〕
とあって、標記語を「尋明」とし、その語注記は、未記載にする。
鑽仰(せンカウ)之功(コウ)不∨可∨捐(ムナシ)カル借(カシ)‖_給ハヽ古キ日-記法-例(レイ)ノ引付ヲ|加‖一見ヲ|有ラ‖不審(シン)ノ之亊ニ|者可キ‖尋(タツ)ネ明(アカラ)ム|也 鑽仰ト云事。孔子の。弟子ニ顔淵(カンエン)ト云シ人アリ。師ノ智(チ)ノ難(カタ)ク。又大木(タイボク)ヲ小刀ニテキルニ日ヲ經テモ切竭(キリツク)シ難シ。其ノ間ニ我身ノ根機(コンキ)盡(ツキ)絶(タユ)ル如クナリト。孔子ヲ崇(アガ)メホメタル事ナリ。コヽヲ以テ鑽(サン)ノ字ヲバ。キルトヨメリ。仰(カウ)ノ字ヲ。アヲヌク共。又アフグトモヨムナリ師ノ智ヲ。アフキ智ノ大(タクマ)シキ事大小ノカタキニ比(ヒ)シ高山ノ峯(ミネ)ヲ仰ギミル樣ナリト云フ心ナリ。〔下18オ六〜ウ三〕
古(ふる)日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)ハらハ/借シ‖_給ウハ古日記 昔より代々の政道の事ともをつくしかたる書物也。〔59ウ七・八〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。〔44ウ七〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(ざつそ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。〔79五・六〕
一見(―ケン) 。〔元亀二年本18四〕〔静嘉堂本13一〕〔天正十七年本上7ウ八〕〔西來寺本〕
雖晩学候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔至徳三年本〕
雖晩學候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔宝徳三年本〕
雖晩学候螢雪鑽仰之功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審之事者可尋明也〔建部傳内本〕
雖‖晩-学ニ候|螢-雪鑽-仰(サンカウ)之(ノ)功(カウ)不∨可カラ∨捐(ムナシ)カル借シ‖_給リ古キ日-記法-例ノ引付ヲ|加ヘ‖一-見ヲ|於テハ‖不-審ノ亊ニ|者可‖尋_明|候也〔山田俊雄藏本〕
雖‖晩学ニ候フト|、蛍雪(ケイ―)鑽仰(サンキヤウ)之功、不∨可∨捐(ムナシ)カル。借シ‖給古キ日記法例引付ヲ|成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候〔経覺筆本〕
雖レ晩-学ニ候ト一蛍雪(ケイせツ)鑽-仰(サンキヤウ)ノ之功(コウ)不可捐(スツ)借(カシ)二_給(タマワツ)テ古(コ)日-記ヲ法-例ノ引-付一加ヘレ一見ヲ一於テ不審亊一者可二尋明一也〔文明四年本〕
一見(イツケン/―、ミル)[入・去] 。〔態藝門37二〕
とあって、標記語「一見」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
一見(―ケン) 。〔弘・言語進退門7七〕〔永・言語進退門5三〕
一位(――) 《前略》―番。一見。―流。《後略》〔尭・言語門5五〕
一位(――) 《前略》―番(バン)。一見(ケン)。―流(リウ)。《後略》〔両・言語門6五〕
とあって、標記語「一見」の語を収載し、訓みを「(イツ)ケン」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
一見(―ケン) 。〔言語門5六〕
とあって、標記語「一見」の語を収載する。
447不∨可∨捐ツ借シ‖_給テ古キ日記ノ法例ノ引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|惣‖不審之亊ニ|者可キ‖尋明|也。右筆等雖‖難∨叶候ト|雜訴(ソ)ノ 小公亊等也。〔謙堂文庫蔵四三左H〕
とあって、標記語を「一見」とし、その語注記は、未記載にする。
鑽仰(せンカウ)之功(コウ)不∨可∨捐(ムナシ)カル借(カシ)‖_給ハヽ古キ日-記法-例(レイ)ノ引付ヲ|加‖一見ヲ|有ラ‖不審(シン)ノ之亊ニ|者可キ‖尋(タツ)ネ明(アカラ)ム|也 鑽仰ト云事。孔子の。弟子ニ顔淵(カンエン)ト云シ人アリ。師ノ智(チ)ノ難(カタ)ク。又大木(タイボク)ヲ小刀ニテキルニ日ヲ經テモ切竭(キリツク)シ難シ。其ノ間ニ我身ノ根機(コンキ)盡(ツキ)絶(タユ)ル如クナリト。孔子ヲ崇(アガ)メホメタル事ナリ。コヽヲ以テ鑽(サン)ノ字ヲバ。キルトヨメリ。仰(カウ)ノ字ヲ。アヲヌク共。又アフグトモヨムナリ師ノ智ヲ。アフキ智ノ大(タクマ)シキ事大小ノカタキニ比(ヒ)シ高山ノ峯(ミネ)ヲ仰ギミル樣ナリト云フ心ナリ。〔下18オ六〜ウ三〕
一見(いつけん)を加(くハ)へ/加ヘ‖一見ヲ| 一覧を遂(とげ)るといふかことし。一通り見る事なり。〔59ウ七・八〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。〔44ウ一〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(ざつそ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。〔79オ三〕
Icqen.イッケン(一見) 例,Icqen tcucamatcutta.(一見仕つた)私はちょっと見た,または,一度目を通した.〔邦訳329r〕
いッ・けん〔形〕【一見】(一)ひとわたり見ること。一覽。漢書、趙充國傳「百聞不レ如二一見一」 雲圖抄「頭一見、聊加二校正一」(頭ノ藏人が文書を校正すると云なるべし) 太平記、廿七、雲景未來記事、貞和五年六月二十日、山伏「是は、諸國一見の者にて候ふが、云云、大伽藍にて候ふなれば、一見仕候はばやと存じて、天龍寺へ參り候ふなり」(二)初對面。「一見、舊の如し」〔0183-5〕
雖晩学候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔至徳三年本〕
雖晩學候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔宝徳三年本〕
雖晩学候螢雪鑽仰之功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審之事者可尋明也〔建部傳内本〕
雖‖晩-学ニ候|螢-雪鑽-仰(サンカウ)之(ノ)功(カウ)不∨可カラ∨捐(ムナシ)カル借シ‖_給リ古キ日-記法-例ノ引付ヲ|加ヘ‖一-見ヲ|於テハ‖不-審ノ亊ニ|者可‖尋_明|候也〔山田俊雄藏本〕
雖‖晩学ニ候フト|、蛍雪(ケイ―)鑽仰(サンキヤウ)之功、不∨可∨捐(ムナシ)カル。借シ‖給古キ日記法例引付ヲ|成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候〔経覺筆本〕
雖レ晩-学ニ候ト一蛍雪(ケイせツ)鑽-仰(サンキヤウ)ノ之功(コウ)不可捐(スツ)借(カシ)二_給(タマワツ)テ古(コ)日-記ヲ法-例ノ引-付一加ヘレ一見ヲ一於テ不審亊一者可二尋明一也〔文明四年本〕
法令(ホフリヤウ/ノリ、レイ・ノリ)[入・去] 。〔態藝門102一〕
とあって、標記語「法令」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
法令(ホウリヤウ) 。〔弘・言語進退門34六〕
法文(―モン) ―會(エ)。―令(リヤウ)。―相(ホツサウ)。―用(ヨウ)。―家(ケ)。―華(ホツケ)。―門(モン)。―談(タン)。―條(デウ)。―樂(ラク)。―務(ム)。―式(シキ)。〔永・言語門34六〕
法文(―モン) ―會。―令。―用。―家。―華。―門。―談。―條。―樂。―務。―式。―衣。―流。〔尭・言語門31七〕
とあって、標記語「法令」の語を収載し、訓みを「ホウリヤウ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、標記語「法例」の語を未収載にする。
447不∨可∨捐ツ借シ‖_給テ古キ日記ノ法例ノ引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|惣‖不審之亊ニ|者可キ‖尋明|也。右筆等雖‖難∨叶候ト|雜訴(ソ)ノ 小公亊等也。〔謙堂文庫蔵四三左H〕
とあって、標記語を「法例」とし、その語注記は、未記載にする。
鑽仰(せンカウ)之功(コウ)不∨可∨捐(ムナシ)カル借(カシ)‖_給ハヽ古キ日-記法-例(レイ)ノ引付ヲ|加‖一見ヲ|有ラ‖不審(シン)ノ之亊ニ|者可キ‖尋(タツ)ネ明(アカラ)ム|也 鑽仰ト云事。孔子の。弟子ニ顔淵(カンエン)ト云シ人アリ。師ノ智(チ)ノ難(カタ)ク。又大木(タイボク)ヲ小刀ニテキルニ日ヲ經テモ切竭(キリツク)シ難シ。其ノ間ニ我身ノ根機(コンキ)盡(ツキ)絶(タユ)ル如クナリト。孔子ヲ崇(アガ)メホメタル事ナリ。コヽヲ以テ鑽(サン)ノ字ヲバ。キルトヨメリ。仰(カウ)ノ字ヲ。アヲヌク共。又アフグトモヨムナリ師ノ智ヲ。アフキ智ノ大(タクマ)シキ事大小ノカタキニ比(ヒ)シ高山ノ峯(ミネ)ヲ仰ギミル樣ナリト云フ心ナリ。〔下18オ六〜ウ三〕
古(ふる)日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)ハらハ/法例 法ハ法度。例ハ先例なり。〔59ウ八〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。▲法例ハ法度(はつと)の倣(ならひ)。〔44ウ七〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(ざつそ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。▲法例ハ法度(はつと)の倣(ならひ)。〔79五・六〕
Fo<rei.ホウレイ(法例) 法規,または,一般のしきたり.§Fo<reini suguita coto.(法例に過ぎた事)しきたり,あるいは,一般のやり方を越えた,あるいは、それに外れた事.〔邦訳263l〕
日記(―キ) 。〔元亀二年本38五〕〔天正十七年本上21ウ二〕〔西來寺本〕
日記(――) 。〔静嘉堂本41六〕
雖晩学候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔至徳三年本〕
雖晩學候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔宝徳三年本〕
雖晩学候螢雪鑽仰之功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審之事者可尋明也〔建部傳内本〕
雖‖晩-学ニ候|螢-雪鑽-仰(サンカウ)之(ノ)功(カウ)不∨可カラ∨捐(ムナシ)カル借シ‖_給リ古キ日-記法-例ノ引付ヲ|加ヘ‖一-見ヲ|於テハ‖不-審ノ亊ニ|者可‖尋_明|候也〔山田俊雄藏本〕
雖‖晩学ニ候フト|、蛍雪(ケイ―)鑽仰(サンキヤウ)之功、不∨可∨捐(ムナシ)カル。借シ‖給古キ日記法例引付ヲ|成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候〔経覺筆本〕
雖レ晩-学ニ候ト一蛍雪(ケイせツ)鑽-仰(サンキヤウ)ノ之功(コウ)不可捐(スツ)借(カシ)二_給(タマワツ)テ古(コ)日-記ヲ法-例ノ引-付一加ヘレ一見ヲ一於テ不審亊一者可二尋明一也〔文明四年本〕
日記(ニツキ/シツ・ヒ、シルス)[入・去] 犬追者所役也。〔態藝門89六〕
とあって、標記語「日記」の語を収載し、語注記は「犬追者所役なり」と記載する。この注記内容は、他の古辞書にもまた、下記真字注にも未収載の内容にある。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
日記(―キ) 。〔弘・言語進退門30一〕〔両・言語門31四〕
日限(―ゲン) ―果(ニツクハ)。―給(キウ)帝王―。―勞(ラウ)。―參(サン)。―記(キ)。―数(シユ)。〔永・言語門29四〕
日限(ニチケン) ―課。―給帝王部。―労。―参。―記。―数。〔尭・言語門26六〕
とあって、標記語「日記」の語を収載し、訓みを「(ニツ)キ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
日記(―キ) 。〔言辞門28三〕
とあって、標記語「日記」の語を収載する。
447不∨可∨捐ツ借シ‖_給テ古キ日記ノ法例ノ引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|惣‖不審之亊ニ|者可キ‖尋明|也。右筆等雖‖難∨叶候ト|雜訴(ソ)ノ 小公亊等也。〔謙堂文庫蔵四三左H〕
とあって、標記語を「日記」とし、その語注記は、未記載にする。
鑽仰(せンカウ)之功(コウ)不∨可∨捐(ムナシ)カル借(カシ)‖_給ハヽ古キ日-記法-例(レイ)ノ引付ヲ|加‖一見ヲ|有ラ‖不審(シン)ノ之亊ニ|者可キ‖尋(タツ)ネ明(アカラ)ム|也 鑽仰ト云事。孔子の。弟子ニ顔淵(カンエン)ト云シ人アリ。師ノ智(チ)ノ難(カタ)ク。又大木(タイボク)ヲ小刀ニテキルニ日ヲ經テモ切竭(キリツク)シ難シ。其ノ間ニ我身ノ根機(コンキ)盡(ツキ)絶(タユ)ル如クナリト。孔子ヲ崇(アガ)メホメタル事ナリ。コヽヲ以テ鑽(サン)ノ字ヲバ。キルトヨメリ。仰(カウ)ノ字ヲ。アヲヌク共。又アフグトモヨムナリ師ノ智ヲ。アフキ智ノ大(タクマ)シキ事大小ノカタキニ比(ヒ)シ高山ノ峯(ミネ)ヲ仰ギミル樣ナリト云フ心ナリ。〔下18オ六〜ウ三〕
古(ふる)日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)ハらハ/借シ‖_給ウハ古日記 昔より代々の政道の事ともをつくしかたる書物也。〔59ウ七・八〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。▲古日記ハ先々より代々政道(せいたう)の事どもを記(しる)したる書物也。〔44ウ七〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(ざつそ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。▲古日記ハ先々より代々政道(せいたう)の事ともを記(しる)したる書物(かきもの)也。〔79五・六〕
Nicqi.ニツキ(日記) 毎日記入する帳簿,または,書付.→次条.〔邦訳462r〕
†Nicqi.*ニツキ(日記) §Nicqini noru.(日記に載る) ある帳簿に記載される.〔邦訳462r〕
にッき〔形〕【日記】にき。日次(ひなみ)の記。日毎に起これる事を、記しつけて置くもの。日録。日誌。日乘。清波雜志(宋、周W)「雖二數日程道倥偬之際一、亦有二日記一」 宇津保物語、藏開、上84「俊蔭の朝臣、唐に渡りける日より、父は日記し」〔1494-5〕
虚(ムナシ) 。空(同) 。〔元亀二年本178四〕〔静嘉堂本199三〕
虚(ムナシヽ) 。空(同) 。〔天正十七年本中20ウ一〕
棄(スツル) 。捨(同) 。捐(同) 。 釋(同) 云レ米(スキ)ヲ。〔元亀二年本161十〕
棄(スツル) 。捨(同) 。捐(同) 。 釋(同) 云レ釆。〔静嘉堂本442二〕
雖晩学候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔至徳三年本〕
雖晩學候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔宝徳三年本〕
雖晩学候螢雪鑽仰之功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審之事者可尋明也〔建部傳内本〕
雖‖晩-学ニ候|螢-雪鑽-仰(サンカウ)之(ノ)功(カウ)不∨可カラ∨捐(ムナシ)カル借シ‖_給リ古キ日-記法-例ノ引付ヲ|加ヘ‖一-見ヲ|於テハ‖不-審ノ亊ニ|者可‖尋_明|候也〔山田俊雄藏本〕
雖‖晩学ニ候フト|、蛍雪(ケイ―)鑽仰(サンキヤウ)之功、不∨可∨捐(ムナシ)カル。借シ‖給古キ日記法例引付ヲ|成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候〔経覺筆本〕
雖レ晩-学ニ候ト一蛍雪(ケイせツ)鑽-仰(サンキヤウ)ノ之功(コウ)不可捐(スツ)借(カシ)二_給(タマワツ)テ古(コ)日-記ヲ法-例ノ引-付一加ヘレ一見ヲ一於テ不審亊一者可二尋明一也〔文明四年本〕
空 ムナシ。虚無穹亡喪泯死沖唐竅竇捐素盂唐康鵆断徒曠―箕嵶耗已上同空也。〔黒川本辞字門中45五〜七〕
空 ムナシ。虚無亡穹喪湲泯死沖唐竅竇捐索盂淺鵆断徒曠嵶耗已上/ムナシ。〔卷第五、辞字127五〜128四〕
虚(ムナシ/キヨ) 。空(同/クウ) 。〔態藝門466四〕
棄(ステル/キ) 弃同。捐(同/ヱン) 。捨(同/シヤ) 。〔態藝門1133五〕
とあって、標記語「捐」の語を「ステル」の訓みに収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
空(ムナシク) 。〔弘・言語進退門146六〕〔尭・言語門108二〕〔両・言語門131五〕
捨(スツ) 。棄(同) 弃同。捐(同) ―レ扇。〔弘・言語進退門270六〕
弃(スツ) 。捐(同) ―レ扇。棄(同) 捨。〔永・言語門231九〕
弃(スツル) 。捐(同) ―扇。棄(スツ) 。捨(スツ) 同。〔尭・言語門217九〕
とあって、標記語「捐」の語を収載し、訓みを「スツ」「スツル」とし、語注記は「扇を捐つる」と記載する。また、易林本『節用集』に、
空(ムナシ) 。虚(同) 。〔言辞門115五・六〕
捨(スツ) 。捐(同)。廢(同)。去(同)。〔弘・言辞門242五〕
とあって、標記語「捐」の語を「スツ」の訓みとして収載する。
447不∨可∨捐ツ借シ‖_給テ古キ日記ノ法例ノ引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|惣‖不審之亊ニ|者可キ‖尋明|也。右筆等雖‖難∨叶候ト|雜訴(ソ)ノ 小公亊等也。〔謙堂文庫蔵四三左H〕
とあって、標記語を「捐」とし、その語注記は、未記載にする。
鑽仰(せンカウ)之功(コウ)不∨可∨捐(ムナシ)カル借(カシ)‖_給ハヽ古キ日-記法-例(レイ)ノ引付ヲ|加‖一見ヲ|有ラ‖不審(シン)ノ之亊ニ|者可キ‖尋(タツ)ネ明(アカラ)ム|也 鑽仰ト云事。孔子の。弟子ニ顔淵(カンエン)ト云シ人アリ。師ノ智(チ)ノ難(カタ)ク。又大木(タイボク)ヲ小刀ニテキルニ日ヲ經テモ切竭(キリツク)シ難シ。其ノ間ニ我身ノ根機(コンキ)盡(ツキ)絶(タユ)ル如クナリト。孔子ヲ崇(アガ)メホメタル事ナリ。コヽヲ以テ鑽(サン)ノ字ヲバ。キルトヨメリ。仰(カウ)ノ字ヲ。アヲヌク共。又アフグトモヨムナリ師ノ智ヲ。アフキ智ノ大(タクマ)シキ事大小ノカタキニ比(ヒ)シ高山ノ峯(ミネ)ヲ仰ギミル樣ナリト云フ心ナリ。〔下18オ六〜ウ三〕
捐(むなし)かる可(へか)ら不(ず)/不∨可∨捐 年老たりとも志の厚く出精したらんにハ得さるといふ事なし。されハ年老ひたれはとて学問の志は絶(たつ)へからすとなり。〔59ウ六・七〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)捐(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。〔44オ三〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(ざつそ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。〔79オ一〜ウ二〕
Munaxij.ムナシイ(空しい) 空虚な,無駄な(こと).例,Munaxij xinro<.(空しい辛労)無益な,あるいは,甲斐のない骨折り.〔邦訳432r〕
Sute,tcuru,eta.ステ,ツル,テタ(捨・棄て,つる,てた) 棄てる,あるいは,投げ捨てる.→Fitojichi;Inochi;Mei(命).〔邦訳592r〕
むな・し〔形〕【空・虚】〔空(むな)の活用、實無し、の義〕(一)中に物無し。明きてあり。空(から)なり。萬葉集、三52「人もなき、空家(むなしきいへ)は、草枕、旅にまさりて、苦しかりけり」(二)事の痕、無し。源氏物語、廿一、少女24「むなしき事にて、人の御名やけがれんとの給へば、云云」(三)身空しく失せたり。死したり。死。源氏物語、四、夕顔30「此人を空しくしなしてん事の、いみじく思さるるにそへて」同、四十四、橋姫39「空しうなり給ひし騒ぎに」「空しき人」「空しき躯(から)」(四)いたづらなり。無uなり。不用なり。徒爲。萬葉集、十九14長歌「ますらをや、無奈之久あるべき」「空しく待ツ」「空しく骨折る」、(五)かりそめなり。はかなし。萬葉集、五4「世の中は、牟奈之伎ものと、知る時し、いよよますます、悲しかりけり」螢雪捐、ツカマツル」 宇津保物語、藤原君32「かしら白き女水汲む、女童一人お物ほりつかまつる」同、祭使20「御~樂の召人、催馬樂つかまつるべき右近尉松方」〔1306-3〕
雖晩学候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔至徳三年本〕
雖晩學候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔宝徳三年本〕
雖晩学候螢雪鑽仰之功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審之事者可尋明也〔建部傳内本〕
雖‖晩-学ニ候|螢-雪鑽-仰(サンカウ)之(ノ)功(カウ)不∨可カラ∨捐(ムナシ)カル借シ‖_給リ古キ日-記法-例ノ引付ヲ|加ヘ‖一-見ヲ|於テハ‖不-審ノ亊ニ|者可‖尋_明|候也〔山田俊雄藏本〕
雖‖晩学ニ候フト|、蛍雪(ケイ―)鑽仰(サンキヤウ)之功、不∨可∨捐(ムナシ)カル。借シ‖給古キ日記法例引付ヲ|成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候〔経覺筆本〕
雖レ晩-学ニ候ト一蛍雪(ケイせツ)鑽-仰(サンキヤウ)ノ之功(コウ)不可捐(スツ)借(カシ)二_給(タマワツ)テ古(コ)日-記ヲ法-例ノ引-付一加ヘレ一見ヲ一於テ不審亊一者可二尋明一也〔文明四年本〕
鑽仰(ホメアフク) 同(文章部)/サンキヤウ。〔黒川本、疉字門下・42ウ四〕
鑽仰(サンキヤウ) 。〔卷第八、疉字門450二〕
螢雪鑽仰(サンギヤウ/キリ、アホグ、ツトム)[上]ノ功(コウ/ツトム) 。〔態藝門603八〕
とあって、標記語「螢雪鑽仰功」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、標記語「鑽仰」の語を未収載にする。また、易林本『節用集』に、
鑽仰(サンキヤウ) 學道。〔言辞門182五〕
とあって、標記語「鑽仰」の語を収載し、語注記「學道」とする。
446雖‖晩覚ニ候|蛍-雪鑽ニ-仰ク之-功 車胤ハ集∨蛍讀∨書。孫康ハ映シテ∨雪ニ読∨書。終ニ成‖學匠|也。論語ニ云、仰弥高鑽ハ弥堅、言ハ顔回学‖孔子之道|不∨及処ヲ譽詞也。此ハ学文辛労シテ到処ヨリ見義也。〔謙堂文庫蔵四三左F〕
とあって、標記語を「鑽仰」とし、その語注記は、「『論語』に云く、仰ぐこと弥よ高く、鑽は弥よ堅し、言は、顔回孔子の道を学び及ばざる処を譽むる詞なり。此れは、学文辛労して、到る処より見る義なり」と記載する。
鑽仰(せンカウ)之功(コウ)不∨可∨捐(ムナシ)カル借(カシ)‖_給ハヽ古キ日-記法-例(レイ)ノ引付ヲ|加‖一見ヲ|有ラ‖不審(シン)ノ之亊ニ|者可キ‖尋(タツ)ネ明(アカラ)ム|也 鑽仰ト云事。孔子の。弟子ニ顔淵(カンエン)ト云シ人アリ。師ノ智(チ)ノ難(カタ)ク。又大木(タイボク)ヲ小刀ニテキルニ日ヲ經テモ切竭(キリツク)シ難シ。其ノ間ニ我身ノ根機(コンキ)盡(ツキ)絶(タユ)ル如クナリト。孔子ヲ崇(アガ)メホメタル事ナリ。コヽヲ以テ鑽(サン)ノ字ヲバ。キルトヨメリ。仰(カウ)ノ字ヲ。アヲヌク共。又アフグトモヨムナリ師ノ智ヲ。アフキ智ノ大(タクマ)シキ事大小ノカタキニ比(ヒ)シ高山ノ峯(ミネ)ヲ仰ギミル樣ナリト云フ心ナリ。〔下18オ六〜ウ三〕
螢雪(けいせつ)鑽仰(さんこう)の功(こう)/螢雪鑽仰之功 是ハ學問に出精(しゆつせい)して厚く道に志(こゝろさ)すを云○車胤(しやいん)といひし人学問に志(こゝろさう)せしか家(いへ)貧(まつしく)して燈油を求ん力もなし。かくてハ学問乃功もはか/\しからすとて歎(なけ)き居いたりしにふと思ひ出てゝ夏の夜にハ練(ねり)の袋(ふくろ)に数十乃螢(ほたる)を入其光りにて書籍(しよじやく)を讀たり。又孫康(そんかう)といひし人も家貧(まづ)しかりしかは冬の夜ことに雪の光りを以て書物を照らして勤学したり。かゝりし事なれは二人共に終(つゐ)に大儒(たいじゆ)の名を得たりし也。この故事(こじ)によりて学問に出精する事を螢雪といえるなり。又孔子(こうし)の御門人に顔淵(がんゑん)と云し人あり。数年孔子に從(したか)ひて学ひたりしか孔子の御コ乃廣くまし/\て及ひかたきを嘆美(たんひ)して是を仰(あを)けはいよ/\高く是を鑽(き)れはいよ/\かたしと申されたり。此語(このご)によりて道に厚く志すを鑽仰といえるなり。〔59ウ一〜六〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。▲鑽仰ハ尽(つく)すこと能(あた)ハさるの義。むかし孔子(こうし)の御弟子(でし)顔淵(かんゑん)といへる人聖人(せいじん)の道の窮(きハまり)なきことを歎(たん)して仰(あふけハ)レ之(これを)弥(いよ/\)高(たかく)鑽(きれは)レ之(これを)弥(いよ/\)堅(かたし)といへるより出たる詞(ことは)。〔44オ三〜六〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(ざつそ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。▲鑽仰ハ尽(つく)すこと能(あた)ハざるの義。むかし孔子(こうし)の御弟子(でし)顔淵(がんえん)といへる人聖人(せいじん)の道(ミち)の窮(きハまり)なきことを歎(たん)じて仰(あふけハ)レ之(これを)弥(いよ/\)高(たかく)鑽(きれは)レ之(これを)弥(いよ/\)堅(かたし)といへるより出たる詞(ことは)。〔79オ一〜ウ五〕
Tcucamatcuri,ru,utta.サンギヤウノコウ(螢雪鑽仰功) する.〔邦訳622r〕
さん-ぎゃう〔名〕【鑽仰】〔論語、子罕篇「顔淵喟然歎曰、仰レ之彌高、鑽レ之彌堅」〕他人の威徳を、仰ぎ慕ふこと。保元物語、二、左府御最期事「内外の鑽仰、只、一心の爲めなり」〔0833-2〕
雖晩学候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔至徳三年本〕
雖晩學候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔宝徳三年本〕
雖晩学候螢雪鑽仰之功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審之事者可尋明也〔建部傳内本〕
雖‖晩-学ニ候|螢-雪鑽-仰(サンカウ)之(ノ)功(カウ)不∨可カラ∨捐(ムナシ)カル借シ‖_給リ古キ日-記法-例ノ引付ヲ|加ヘ‖一-見ヲ|於テハ‖不-審ノ亊ニ|者可‖尋_明|候也〔山田俊雄藏本〕
雖‖晩学ニ候フト|、蛍雪(ケイ―)鑽仰(サンキヤウ)之功、不∨可∨捐(ムナシ)カル。借シ‖給古キ日記法例引付ヲ|成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候〔経覺筆本〕
雖レ晩-学ニ候ト一蛍雪(ケイせツ)鑽-仰(サンキヤウ)ノ之功(コウ)不可捐(スツ)借(カシ)二_給(タマワツ)テ古(コ)日-記ヲ法-例ノ引-付一加ヘレ一見ヲ一於テ不審亊一者可二尋明一也〔文明四年本〕
螢雪(ケイセツ/ホタル、ユキ、ツトム)[平・○]ノ功(コウ)[平] 。螢雪鑽仰(サンギヤウ/キリ、アホグ、ツトム)[上]ノ功(コウ/ツトム) 。〔態藝門603八〕
とあって、標記語「螢雪ノ功」と「螢雪鑽仰ノ功」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
螢雪(ケイセツ) 。〔永・言語門145六〕
蛍雪(ケイセツ) 。〔尭・言語門135三〕
とあって、標記語「螢雪」「蛍雪」の語を収載し、訓みを「ケイセツ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
螢雪鑽仰(ケイせチサンキヤウ) 斈文義。〔言辞門147五〕
とあって、標記語「螢雪鑽仰」の語を収載する。
446雖‖晩覚ニ候|蛍-雪鑽ニ-仰ク之-功 車胤ハ集∨蛍讀∨書。孫康ハ映シテ∨雪ニ読∨書。終ニ成‖學匠|也。論語ニ云、仰弥高鑽ハ弥堅、言ハ顔回学‖孔子之道|不∨及処ヲ譽詞也。此ハ学文辛労シテ到処ヨリ見義也。〔謙堂文庫蔵四三左F〕
とあって、標記語を「螢雪鑽仰功」とし、その語注記は、「車胤は、蛍を集め書を讀む。孫康は、雪に映じて書を読む。終に、學匠と成るなり。『論語』に云く、「仰弥高鑽は、弥堅く、言は、顔回孔子の道を学び、及ばざる処を譽詞なり。此れは、学文辛労して到る処より見る義なり」と記載する。
螢雪(ケイセツ) トハ。昔シコトタラハズシテ。油蝋燭(アブララウソク)ナケレバ。螢(ホタル)雪(ユキ)ヲ集(アツ)メ燈(トモシヒ)トシテ。其ノ光(ヒカリ)ニテカクセシ人トモ也。委(クハシ)ク童子教(ドウジケウ)ニ各トモハ有。〔下18オ六・七〕
螢雪(けいせつ)鑽仰(さんこう)の功(こう)/螢雪鑽仰之功 是ハ學問に出精(しゆつせい)して厚く道に志(こゝろさ)すを云○車胤(しやいん)といひし人学問に志(こゝろさう)せしか家(いへ)貧(まつしく)して燈油を求ん力もなし。かくてハ学問乃功もはか/\しからすとて歎(なけ)き居いたりしにふと思ひ出てゝ夏の夜にハ練(ねり)の袋(ふくろ)に数十乃螢(ほたる)を入其光りにて書籍(しよじやく)を讀たり。又孫康(そんかう)といひし人も家貧(まづ)しかりしかは冬の夜ことに雪の光りを以て書物を照らして勤学したり。かゝりし事なれは二人共に終(つゐ)に大儒(たいじゆ)の名を得たりし也。この故事(こじ)によりて学問に出精する事を螢雪といえるなり。又孔子(こうし)の御門人に顔淵(がんゑん)と云し人あり。数年孔子に從(したか)ひて学ひたりしか孔子の御コ乃廣くまし/\て及ひかたきを嘆美(たんひ)して是を仰(あを)けはいよ/\高く是を鑽(き)れはいよ/\かたしと申されたり。此語(このご)によりて道に厚く志すを鑽仰といえるなり。〔59ウ一〜六〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。▲螢雪ハ学文(かくもん)をする故事(こし)也。むかし唐土(もろこし)の車胤(しやいん)といふ人ハうす絹(きぬ)の嚢(ふくろ)に螢(ほたる)を入て其光(ひかり)にて書(しよ)を讀(よ)ミ又孫康(そんかう)といふ人の雪(ゆき)を聚(あつ)めて其光にて夜学(やかく)せしとぞ何(いつ)れも家(いへ)貧(まつし)く燈(とも)すべき油さへなかりけれバケ樣(かやう)にしても勤(つと)めて遂(つい)に大儒(たいしゆ)と成けり。〔44オ四〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(ざつそ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。▲螢雪ハ学文(がくもん)をする故事(こじ)也。むかし唐土(もろこし)の車胤(しやゐん)といふ人ハうす絹(きぬ)の嚢(ふくろ)に螢(ほたる)を入て其光(ひかり)にて書(しよ)を讀(よ)ミ又孫康(そんかう)といふ人の雪(ゆき)を聚(あつ)めて其光にて夜学(やがく)せしとぞ何(いづ)れも家(いへ)貧(まづし)く燈(とも)すへき油(あぶら)さへなかりけれバケ樣(かやう)にしても勤(つと)めて遂(つひ)に大儒(たいしゆ)と成けり。〔79オ一〜ウ二〕
Qeixet.ケイセツ(螢雪) Fotaru,yuqi.(螢,雪) 螢と雪と.§Qeixetno co>uo tcumu.(螢雪の功を積む)夜も昼も勉強する.または,勉強に精を出す.灯火が無いために,その小虫〔螢〕と雪の明りで勉強した,あるシナの学生のことから比喩として取られたもの.〔邦訳483l〕
けい-せつ〔名〕【螢雪】〔車胤、孫康が故事より云ふ、出典を見よ〕辛苦、勉勵して、學問うること。苦學すること。晉書、車胤傳「家貧不二常得一レ油、夏月則練嚢盛二數十螢火一、以照レ書、以レ夜繼レ日焉、云云、爲二中書侍郎一」 蒙求、上「孫康、家貧無レ油、常映レ雪讀レ書、云云、後至二御史大夫二」 魏書、崔費傳「未二嘗聚レ螢映レ雪、懸レ頭刺一レ股」 沙石集、一、下、第七條「螢雪の功、年積(つも)りて、碩學の聞えありけり」〔0598-4〕
晩學(バンガク) 。〔元亀二年本27一〕
晩學(バンガク) 。〔静嘉堂本25五〕
晩學(―カク) 。〔天正十七年本上13ウ七〕〔西來寺本〕
雖晩学候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔至徳三年本〕
雖晩學候螢雪鑽仰功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審亊者可尋明也〔宝徳三年本〕
雖晩学候螢雪鑽仰之功不可捐借給古日記法例引付加一見於不審之事者可尋明也〔建部傳内本〕
雖‖晩-学ニ候|螢-雪鑽-仰(サンカウ)之(ノ)功(カウ)不∨可カラ∨捐(ムナシ)カル借シ‖_給リ古キ日-記法-例ノ引付ヲ|加ヘ‖一-見ヲ|於テハ‖不-審ノ亊ニ|者可‖尋_明|候也〔山田俊雄藏本〕
雖‖晩学ニ候フト|、蛍雪(ケイ―)鑽仰(サンキヤウ)之功、不∨可∨捐(ムナシ)カル。借シ‖給古キ日記法例引付ヲ|成シ‖管見之窺(ウカガヒ)ヲ|度ク候〔経覺筆本〕
雖レ晩-学ニ候ト一蛍雪(ケイせツ)鑽-仰(サンキヤウ)ノ之功(コウ)不可捐(スツ)借(カシ)二_給(タマワツ)テ古(コ)日-記ヲ法-例ノ引-付一加ヘレ一見ヲ一於テ不審亊一者可二尋明一也〔文明四年本〕
晩學(バンガク/ヲソシ・クレ、マナブ)[上] 。〔態藝門77五〕
とあって、標記語「晩學」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
晩學(バンガク) 。〔弘・言語進退門25六〕
晩頭(――) ―學(バンガク)。―田(テン)。―春。―夏(カ)。―秋。―冬。〔永・言語門21六〕
晩頭(バンドウ) ―学。―田。―春。―夏。―秋。―冬。〔尭・言語門19四〕
晩斈(ハンガク) 。〔両・言語門24二〕
とあって、標記語「晩學」「晩斈」の語を収載し、訓みを「バンガク」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
晩學(バンガク) 。〔言辞門21五〕
とあって、標記語「晩學」の語を収載する。
446雖‖晩覚ニ候|蛍-雪鑽ニ-仰ク之-功 車胤ハ集∨蛍讀∨書。孫康ハ映シテ∨雪ニ読∨書。終ニ成‖學匠|也。論語ニ云、仰弥高鑽ハ弥堅、言ハ顔回学‖孔子之道|不∨及処ヲ譽詞也。此ハ学文辛労シテ到処ヨリ見義也。〔謙堂文庫蔵四三左F〕
とあって、標記語を「晩覚」とし、その語注記は、未記載にする。
晩學(バンガク)ニ候ト トハ。年シ寄(ヨツテ)ノ學問也。〔下18オ六〕
存知(ぞんち)度(たく)候晩学(ばんかく)に候と雖(いへとも)/存知度候雖‖晩学ニ候ト| 学問ハ年若き時よりすへき事也。年老て後学問始るを晩学といふ。晩は暮方の事故遅(おそ)しと云義也。〔59オ七・八〕
晩學(ばんがく)に候(さふら)ふと雖(いへとも)螢雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)損(す)つ可(べ)から不(ず)古(ふる)き日記(につき)法例(ほふれい)引付(ひきつけ)を借(か)し給(たま)はゞ一見(いつけん)を加(くハ)へ不審(ふしん)の事(こと)に於(おいて)者(ハ)尋(たつ)ね明(あきら)む可(へ)き也(なり)右筆(いうひつ)等(とう)叶(かな)ひ難(かた)く候(さふら)ふと雖(いへとも)雜訴(さつそ)之(の)風情(ふせい)計(ばかり)者(ハ)管見(くハンけん)之(の)窺(うかがひ)を成(な)し度(た)く候(さふら)ふ心事(しんし)腐毫(ふかう)に及(およ)ば不(す)併(しかな)面拝(めんはい)を期(こ)す恐々(きやうきやう)謹言(きんげん)/雖‖晩学候フト|。蛍-雪鑽-仰之_功。不∨可カラ∨捐ツ借シ‖_給ハヽ古キ日-記。法-例引付ヲ|加ヘ‖一見ヲ|於‖不審ノ之亊ニ|者可キ‖尋ネ明ム|也。右筆等雖‖難∨叶ヒ候フト|雜訴之風-情計。者成シ‖管見之窺ヲ|度ク候ノ心亊不∨能ハ‖腐毫ニ|併期ス‖面拝ヲ|恐-々謹-言。▲晩学ハ年(とし)闌(たけ)て學問(ものまなひ)するをいふ。〔44オ三〕
雖(いへども)‖晩学(ばんがく)に候(さふら)ふと|蛍雪(けいせつ)鑽仰(さんかう)之(の)功(こう)不(す)∨可(べ)から∨捐(す)つ借(か)し‖給(たま)ハヽ古(ふる)き日記(につき)法例(はふれい)引付(ひきつけ)を|加(くハ)ヘ‖一見(いつけん)を|於(おいて)‖不審(ふしん)の之(の)亊(こと)に|者(ハ)可(べ)き‖尋(たつ)ね明(あきら)む|也(なり)。右筆(いうひつ)等(とう)雖(いへども)‖難(がたく)∨叶(かな)ひ候(さふら)ふと|雜訴(ざつそ)之(の)風情(ふぜい)計(ばかり)者(ハ)成(な)し‖管見(くわんけん)之(の)窺(うかゞ)ひを|度(た)く候(さふら)ふ心亊(しんじ)不(ず)∨能(あた)ハ‖腐毫(ふがう)に|併(しかし)なから期(ご)す‖面拝(めんはい)を|恐々(きようきょう)謹言(きんげん)。▲晩学ハ年(とし)闌(たけ)て學問(がくもん)するをいふ。〔79オ一〜ウ二〕
Bangacu.バンガク(晩学) Vosoi gacumon.(晩い学文)おそくなってから,すなわち,年をとってから勉学すること.例,Bangacuua ro<xite co>naxi.(晩学は労して功なし)おそくとりかかった学問は,骨が折れて,効果があがらない.〔邦訳48r〕
ばん-がく〔名〕【晩學】年長けて晩(おそ)く學問を始むること。書字考節用集、八、言辭門「晩學、バンガク、顔氏家訓、孔子五十學易、曾子七十、荀子五十乃學、公孫弘四十、方讀二春秋一、皇甫謐二十、始受二孝經論語一」 陳書、沈不害傳「遂踰二一紀一、後世敦悦不レ見二函丈之儀一、晩學鑽仰、徒深二椅席之歎一」〔1620-5〕
仕(ツカユル) ―君。〔元亀二年本161十〕
仕(ツカウル) ―君。〔静嘉堂本178三〕
仕(ツカヘル) レ君。〔天正十七年本中20ウ一〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見議定之趣キ評定衆以下可レ註二_給ル之ヲ一御沙汰之法所務之規式雜務之流例下二知シ成敗ヲ一傍例律令(リツレウ)武家ノ相違存知シ仕リ度ク候。〔経覺筆本〕
引付(ヒキ―ケ)問-注所(モンチウ―)ノ上-裁(サイ)勘-判(カンばン)之躰。異-見(イケン)。義-定之趣ムキ。評-定-衆已下。可レ註(シル)シ二_給(タマ)ハルコト之ヲ一。御-沙-汰之法所-務(―ム)ノ規-式(キ―)。雜-務(サウム)ノ流-例(ルレイ)。下二-知。成-敗。傍-例(ハウレイ)。律-令(リツリヤウ)。武-家相-違一存-知仕度候。〔文明四年本〕
仕(ツカマツル/シ)[上] 。〔態藝門423二〕
とあって、標記語「仕」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
事(ツカサ、ツカフル) 。仕(同) 。〔弘・言語進退門129一〕
事(ツカウル) ―仕。〔永・言語門106二〕
事(ツカフ) 仕。〔尭・言語門96六〕
とあって、標記語「仕」の語を収載し、訓みを「ツカフル」「ツカウル」「ツカフ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
仕(ツカフル) 。〔言辞門106五〕
とあって、標記語「仕」の語を収載する。
445无‖相違|存知仕-度候 此ノ前ハ何モ刺史之存知処也。〔謙堂文庫蔵四三左E〕
とあって、標記語を「仕度」とし、その語注記は、未記載にする。
傍例(ハウレイ)納法(ナツハウ)律令(リツリヤウ)武家(ブケ)ノ相-違(サウイ)|存-知(―ンチ)仕_度候雖トモ ト云事傍輩(ハウバイ)ノ律令ト云事。律令トハ。律ハヲキテ也。令ハ誡(イマシ)メナリ。傍輩(ハウバイ)衆中猥(ミダリガハ)シキ事多(ヲ―)シ上ヨリヲキテ無ンバ。衆中猥ハシカルベシ。此ノヲキテヲ律令ト云ナリ。〔下18オ四〜六〕
存知(ぞんち)度(たく)候晩学(ばんかく)に候と雖(いへとも)/存知度候雖‖晩学ニ候ト| 学問ハ年若き時よりすへき事也。年老て後学問始るを晩学といふ。晩は暮方の事故遅(おそ)しと云義也。〔59オ七・八〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見議定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。〔44オ三〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ〔78オウ一〕
Tcucamatcuri,ru,utta.ツカマツリ,ル,ッタ(仕り,る,つた) する.〔邦訳622r〕
つかまつ・る〔名〕【仕】つかうまつる(仕)の約。爲(す)、爲(な)す、行ふの敬語。名義抄「仕、ツカマツル」 宇津保物語、藤原君32「かしら白き女水汲む、女童一人お物ほりつかまつる」同、祭使20「御~樂の召人、催馬樂つかまつるべき右近尉松方」〔1306-3〕
武家(―ケ) 。〔元亀二年本223三〕〔静嘉堂本255二〕〔天正十七年本中56ウ六〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見議定之趣キ評定衆以下可レ註二_給ル之ヲ一御沙汰之法所務之規式雜務之流例下二知シ成敗ヲ一傍例律令(リツレウ)武家ノ相違存知シ仕リ度ク候。〔経覺筆本〕
引付(ヒキ―ケ)問-注所(モンチウ―)ノ上-裁(サイ)勘-判(カンばン)之躰。異-見(イケン)。義-定之趣ムキ。評-定-衆已下。可レ註(シル)シ二_給(タマ)ハルコト之ヲ一。御-沙-汰之法所-務(―ム)ノ規-式(キ―)。雜-務(サウム)ノ流-例(ルレイ)。下二-知。成-敗。傍-例(ハウレイ)。律-令(リツリヤウ)。武-家相-違一存-知仕度候。〔文明四年本〕
武家(ブケ) 公家/――。〔弘・言語進退門183六〕
とあって、標記語「武家」の語を収載し、訓みを「ブケ」とし、語注記は単に「公家・武家」と記載する。また、易林本『節用集』に、
武略(ブリヤク) ―邊(ヘン)。―具(グ)/―家(ケ)。―藝(ゲイ)。〔弘・言語進退門151三〕
とあって、標記語「武略」とし、冠頭字「武」の熟語群に「武家」の語を収載する。
444武家 自‖~武|始也。凡八十氏也。〔謙堂文庫蔵四三左E〕
とあって、標記語を「武家」とし、その語注記は、「~武より始まるなり。凡そ八十氏」と記載する。この注記は『下學集』そして『運歩色葉集』などの古辞書には継承されていないのである。
傍例(ハウレイ)納法(ナツハウ)律令(リツリヤウ)武家(ブケ)ノ相-違(サウイ)|存-知(―ンチ)仕_度候雖トモ ト云事傍輩(ハウバイ)ノ律令ト云事。律令トハ。律ハヲキテ也。令ハ誡(イマシ)メナリ。傍輩(ハウバイ)衆中猥(ミダリガハ)シキ事多(ヲ―)シ上ヨリヲキテ無ンバ。衆中猥ハシカルベシ。此ノヲキテヲ律令ト云ナリ。〔下18オ四〜六〕
武家(ぶけ)の相違(そうゐ)/武家ノ相違 公家武家乃掟(おきて)乃事に皆同しからさる事多し。〔59オ六・七〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見議定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲武家ノ相違とハ公家(くげ)の律令(りつれう)と武家の作法(さほふ)との異(たか)ひたる事をいふ。〔44オ七〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲武家ノ相違とハ公家(くげ)の律令(りつれい)と武家(ふげ)の作法(さはふ)との差(たか)ひめをいふ。〔78オ二〜ウ五〕
Buqe.ブケ(武家) Buxino iye.(武士の家)公方(Cubo<)を棟梁とする兵士,あるいは,騎士の一族.公方はまた,Xo<gun(将軍)とも呼ばれ,日本国王の軍隊の総司令官である.§Buqeno goxo.(武家の御所)すなわち,Cubo<.(公方)日本国王の軍隊の総司令官.→Samixi,suru.〔邦訳66lr〕
ぶ-け〔名〕【武家】武士(もののふ)の家筋。即ち、鎌倉時代以後、公家に對して、將軍、大小名、及、其家の稱。武弁。盛衰記、十四、興福寺返牒事「清盛入道者、平氏之糟糠、武家之塵芥也」太平記、一、御告文事「御治世の御事は、朝議に任せ奉る上は、武家綺(いろ)ひ申すべきにあらず」〔1740-3〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見議定之趣キ評定衆以下可レ註二_給ル之ヲ一御沙汰之法所務之規式雜務之流例下二知シ成敗ヲ一傍例律令(リツレウ)武家ノ相違存知シ仕リ度ク候。〔経覺筆本〕
引付(ヒキ―ケ)問-注所(モンチウ―)ノ上-裁(サイ)勘-判(カンばン)之躰。異-見(イケン)。義-定之趣ムキ。評-定-衆已下。可レ註(シル)シ二_給(タマ)ハルコト之ヲ一。御-沙-汰之法所-務(―ム)ノ規-式(キ―)。雜-務(サウム)ノ流-例(ルレイ)。下二-知。成-敗。傍-例(ハウレイ)。律-令(リツリヤウ)。武-家相-違一存-知仕度候。〔文明四年本〕
律令(リチリヤウ/タヾシ・ノリ、ノリ)[入・○] 。〔態藝門196八〕
とあって、標記語「律令」の語を収載し、訓みを「リチリャウ」とし、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、標記語「律令」の語を未収載にする。また、易林本『節用集』にも、標記語「律令」の語を未収載にする。このことは、当代の実務社会には、この用語そのものがあまり必要不可欠とされていなかったということを浮彫りにした結果とも言えよう。唯一、広本『節用集』が収載する。また、『伊京集』人倫門に、「律令(リツリヤウ)暦博士司暦正」の語が見えている。
443法-例律-令 弘仁格序曰、律以‖以懲粛|爲∨宗、令ハ以‖勧誡|爲∨本。格則量時立制、式則補∨闕拾∨遺矣也。〔謙堂文庫蔵四三左D〕
とあって、標記語を「法例」とし、その語注記は、未記載にする。
傍例(ハウレイ)納法(ナツハウ)律令(リツリヤウ)武家(ブケ)ノ相-違(サウイ)|存-知(―ンチ)仕_度候雖トモ ト云事傍輩(ハウバイ)ノ律令ト云事。律令トハ。律ハヲキテ也。令ハ誡(イマシ)メナリ。傍輩(ハウバイ)衆中猥(ミダリガハ)シキ事多(ヲ―)シ上ヨリヲキテ無ンバ。衆中猥ハシカルベシ。此ノヲキテヲ律令ト云ナリ。〔下18オ四〜六〕
納法(なつぽふ)律令(りつれい)/納法律令 納法の注ハ前に見へたり。律令ハ成敗の式目(しきもく)政事(せいじ)の定格(でうかく)を記せし書物なり。〔59オ五・六〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見議定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲律令律(りつ)ハ掟(おきて)。令(れい)ハ誡(いましめ)也。〔44オ六〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲律令律(りつ)ハ掟(おきて)。令(れい)ハ誡(いましめ)也。〔78オ二〜79オ一〕
りつ-りょう〔名〕【律令】次條の語を見よ。天武紀、下、十年二月「朕今更欲下定二律令一改中法式上」〔2124-3〕
りつ-れい〔名〕【律令】〔史記、杜周傳「前主所レ是、著爲レ律、後主所レ是、疏爲レ令」〕(一)のり。おきて。法令。(二)臺湾總督の發する命令。其管轄内に於ては、法律と同等の効力あるもの。〔2124-4〕
傍例(―レイ) 。〔元亀二年本26一〕〔静嘉堂本24二〕〔天正十七年本上13オ四〕〔西來寺本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見議定之趣キ評定衆以下可レ註二_給ル之ヲ一御沙汰之法所務之規式雜務之流例下二知シ成敗ヲ一傍例律令(リツレウ)武家ノ相違存知シ仕リ度ク候。〔経覺筆本〕
引付(ヒキ―ケ)問-注所(モンチウ―)ノ上-裁(サイ)勘-判(カンばン)之躰。異-見(イケン)。義-定之趣ムキ。評-定-衆已下。可レ註(シル)シ二_給(タマ)ハルコト之ヲ一。御-沙-汰之法所-務(―ム)ノ規-式(キ―)。雜-務(サウム)ノ流-例(ルレイ)。下二-知。成-敗。傍-例(ハウレイ)。律-令(リツリヤウ)。武-家相-違一存-知仕度候。〔文明四年本〕
傍例 公事部/バウレイ/流例ト。〔黒本本・疉字門上25ウ七〕
傍官 〃輩。〃例。〃像。〃徨―クハウ/タチモトホル。傍若无人。〔卷第三・疉字門209四・五〕
傍例(ハウレイ/カタワラ、タグイ)[平・去] 。〔態藝門69四〕
とあって、標記語「傍例」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
傍例(ハウレイ) 。〔弘・言語進退門25一〕〔両・言語門24三〕
傍例(ハウレイ)公事部 ―坐(ハウサ)。―題(タイ)。―孫(ソン)人倫部。―輩(バイ)。〔永・言語門22二〕
傍例(ハウレイ) ―坐。―題。―輩(バイ)/―孫人倫部。〔尭・言語門19九〕
とあって、標記語「傍例」の語を収載し、訓みを「ハウレイ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
傍例(ハウレイ) 。〔言語門21一〕
とあって、標記語「傍例」の語を収載し、語注記は未記載にする。
443法-例律-令 弘仁格序曰、律以‖以懲粛|爲∨宗、令ハ以‖勧誡|爲∨本。格則量時立制、式則補∨闕拾∨遺矣也。〔謙堂文庫蔵四三左D〕
とあって、標記語を「法例」とし、その語注記は、未記載にする。本来は「傍例」と表記するところであるが、同音異表記である「法例」の語表記を用いているところがこの真字注表記の特徴点と考えられる。因みに古辞書には、この「法例」の語は未収載にある。
傍例(ハウレイ)納法(ナツハウ)律令(リツリヤウ)武家(ブケ)ノ相-違(サウイ)|存-知(―ンチ)仕_度候雖トモ ト云事傍輩(ハウバイ)ノ律令ト云事。律令トハ。律ハヲキテ也。令ハ誡(イマシ)メナリ。傍輩(ハウバイ)衆中猥(ミダリガハ)シキ事多(ヲ―)シ上ヨリヲキテ無ンバ。衆中猥ハシカルベシ。此ノヲキテヲ律令ト云ナリ。〔下18オ四〜六〕
下知(げぢ)成敗(せいはい)の傍例(ハうれい)/下知成敗ノ傍例 定りたる大方の例の外に又種々の例あるを傍例と云。あるひハ云めし度事の例を正例(せいれい)といひ憂(うれい)の事の例を傍例と云。成敗ハ憂に属したる事ゆへ傍例といふ。〔59オ三・四〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見議定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲傍例ハ定式(しき)の外(ほか)に又種々(いろ/\)ある事の倣(ならひ)をいふ。〔44オ六〜七〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲傍例ハ定式(ぢやうしき)の外に又種々(いろ/\)ある事の倣(ならひ)をいふ。〔78オ二〜ウ六〕
ばう-れい〔名〕【傍例】定法以外の例。運歩色葉集「傍例、バウレイ」庭訓徃來、七月「雜務之流例、下知、成敗、傍例、納法、律令」」〔1563-1〕
成敗(―バイ) 。〔元亀二年本352五〕
成敗(セイバイ) 。〔静嘉堂本424四〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見議定之趣キ評定衆以下可レ註二_給ル之ヲ一御沙汰之法所務之規式雜務之流例下二知シ成敗ヲ一傍例律令(リツレウ)武家ノ相違存知シ仕リ度ク候。〔経覺筆本〕
引付(ヒキ―ケ)問-注所(モンチウ―)ノ上-裁(サイ)勘-判(カンばン)之躰。異-見(イケン)。義-定之趣ムキ。評-定-衆已下。可レ註(シル)シ二_給(タマ)ハルコト之ヲ一。御-沙-汰之法所-務(―ム)ノ規-式(キ―)。雜-務(サウム)ノ流-例(ルレイ)。下二-知。成-敗。傍-例(ハウレイ)。律-令(リツリヤウ)。武-家相-違一存-知仕度候。〔文明四年本〕
成敗(セイバイ) 。〔態藝門75一〕
成敗(セイハイ/ナル、ヤブル)[平・去] 成ハ平也。敗ハ乱也。言ハ平二政道理乱ヲ一義也。〔態藝門197六〕
とあって、標記語「成敗」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
成敗(セイバイ) 成ハ平也。敗ハ乱也。言平政道之乱。〔弘・言語進退門265六〕
成敗(セイハイ) 成ハ平也。敗ハ乱也。平ニスル二政道ノ之乱一也。〔永・言語門226八〕
成敗(セイバイ) 成ハ平也。敗ハ乱也。平政道之乱也。〔尭・言語門213五〕
とあって、標記語「成敗」の語を収載し、訓みを「セイバイ」とし、語注記は「成は平なり。敗は乱なり。政道の乱れを平らかにするなり」と記載する。また、易林本『節用集』に、
成敗(セイバイ) ―長(ヂヤウ)。―功(コウ)。〔態藝門75一〕
とあって、標記語「成敗」の語を収載する。
442異見儀定之趣キ、評定衆以-下可∨註(シルシ)‖_給之ヲ|。御沙汰之-法、所務ノ之規式、雜-務(ム)流-例、下‖_地成敗ヲ|。 成ハ就也。平也。畢也。敗ハ敗也。廢也。〔謙堂文庫蔵四三左C〕
とあって、標記語を「成敗」とし、その語注記は、「成は、就なり。平なり。畢なり。敗は、敗なり。廢なり」と記載し、古辞書の注記とは異なっている。
流例(ゲチ)下_知成敗(せイバイ) トハ。先代ヨリ。有様ノ例也。其ノ如クニ。下知成敗せヨト云フ心ロナリ。〔下18オ三〜四〕
下知(げぢ)成敗(せいはい)の傍例(ハうれい)/下知成敗ノ傍例 定りたる大方の例の外に又種々の例あるを傍例と云。あるひハ云めし度事の例を正例(せいれい)といひ憂(うれい)の事の例を傍例と云。成敗ハ憂に属したる事ゆへ傍例といふ。〔59オ三・四〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見議定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲成敗ハ天下を治(おさ)むる政道(せいたう)をいふ。〔44オ六〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲成敗ハ天下を治(おさ)むる政道(せいたう)をいふ。〔78オ二〜ウ五〕
Xeibai.セイバイ(成敗) 殺すこと,または,処刑すること.§Xeibaiuo suru,l,cuuayuru.(成敗をする,または,加ゆる) 死刑に処する.→Voconai,no<.〔邦訳744r〕
せい-はい〔名〕【成敗】成(な)ると、敗(やぶ)るると。成就と、失敗(しくじり)と。成否。史記、高祖紀「天下匈匈、苦戰數載、成敗未レ可レ知」〔1087-3〕
せい-ばい〔名〕【成敗】〔善を成し、惡を敗る意〕(一)政事を、取扱ふこと。貞永の御成敗式目とは、武家政事の法令なり。平家物語、一、禿童事「いかなる賢王の御政、攝政、關白の御成敗にも及ばず」(二)罪なふこと。罰すること。仕置(しおき)。刑罰。(三)斬り棄つること。死刑。松隣夜話、下「御不斷所へ、彼の娘を被二召出一、云云、此の女、去る子細あり、只今、於御前一成敗仕れ、云云、脇差を抜き、小首を不レ掛討落す」狂言記、武惡「汝を成敗せぬに於ては、身共まで、御手討になさるとの御事ぢゃ」(四)取りさばくこと。裁斷すること。吾妻鏡、四、元暦二年六月十六日「典膳大夫、近藤七等、爲二關東御使一、帶二院宣一、巡二検畿内近國一、成二敗土民訴訟一」(五)取り計らふこと。工夫すること。太平記、廿二、鞆軍事「敵の小勢に、御方を合すれば、一騎に十騎を對しつべし、飽くまで敵を悩まして、弊(つひえ)に乘りて、一揉、揉みたらんに、などか、是等を討たざるべきと、委細に、手段を成敗して、旗の眞前に露れて、閑閑(しづしづ)とぞ進まれたる」二王靈妃一贈二レ道士李榮一詩「別有三衆中二稱黜帝一、天上人間少二成敗一」〔1087-3〕
下知(―ヂ) 。〔元亀二年本213四〕〔静嘉堂本242三〕
下知(―チ) 。〔天正十七年本中50ウ三〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見議定之趣キ評定衆以下可レ註二_給ル之ヲ一御沙汰之法所務之規式雜務之流例下二知シ成敗ヲ一傍例律令(リツレウ)武家ノ相違存知シ仕リ度ク候。〔経覺筆本〕
引付(ヒキ―ケ)問-注所(モンチウ―)ノ上-裁(サイ)勘-判(カンばン)之躰。異-見(イケン)。義-定之趣ムキ。評-定-衆已下。可レ註(シル)シ二_給(タマ)ハルコト之ヲ一。御-沙-汰之法所-務(―ム)ノ規-式(キ―)。雜-務(サウム)ノ流-例(ルレイ)。下二-知。成-敗。傍-例(ハウレイ)。律-令(リツリヤウ)。武-家相-違一存-知仕度候。〔文明四年本〕
下知(―ヂ) 成敗。〔弘・言語進退門175四〕
下品(ゲボン) ―向(カウ)。―知(ヂ)。―行(ギヤウ)。―国(コク)/―直(ジキ)。―劣(レツ)。―着(チヤク)/―輩(ハイ)。下戸(ゲコ)。―少(せウ)。―用(ヨウ)。―臈(ラウ)。〔永・言語門144四〕
下品(ゲホン) ―向。―知。―行。―国。―直。―劣/―着。―輩。―戸。―用。―臈。――。〔尭・言語門134二〕
とあって、標記語「下知」の語を収載し、訓みを「(ゲ)ヂ」とし、語注記は弘治二年本にだけ「成敗」と記載する。また、易林本『節用集』に、
下行(ゲキヤウ) ―賎(せン)。―根(コン)。―知(ヂ)。―國(コク)。―馬(バ)。―座(ザ)。―戸(ゲコ)。―用(ヨウ)。―品(ホン)。―向(カウ)。―劣(レツ)。―剋上(コクシヤウ)。―直(ヂキ)。〔言辞門145六〕
とあって、標記語「下行」の冠頭字「下」の熟語群に「下知」の語を収載する。
442異見儀定之趣キ、評定衆以-下可∨註(シルシ)‖_給之ヲ|。御沙汰之-法、所務ノ之規式、雜-務(ム)流-例、下‖_地成敗ヲ|。 成ハ就也。平也。畢也。敗ハ敗也。廢也。〔謙堂文庫蔵四三左C〕
とあって、標記語を「下地」とし、その語注記は、未記載にする。
流例(ゲチ)下_知成敗(せイバイ) トハ。先代ヨリ。有様ノ例也。其ノ如クニ。下知成敗せヨト云フ心ロナリ。〔下18オ三〜四〕
下知(げぢ)成敗(せいはい)の傍例(ハうれい)/下知成敗ノ傍例 定りたる大方の例の外に又種々の例あるを傍例と云。あるひハ云めし度事の例を正例(せいれい)といひ憂(うれい)の事の例を傍例と云。成敗ハ憂に属したる事ゆへ傍例といふ。〔59オ三・四〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見議定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲下知ハ上より下へ告知(つけし)らしむをいふ。〔44オ六〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲下知ハ上より下へ告知(つげし)らしむるをいふ。〔78オ二〜ウ五〕
Guegi.ゲヂ(下知) 命令.§Guegiuo suru,l,nasu,l,cuuayuru.(下知をする,または,なす,または,加ゆる)命ずる,あるいは,命令を下す.→Naxi,su(為し,す)Qen-i.〔邦訳294r〕
げ-ぢ〔名〕【下地】下等の地位。しもの位地。沙石集、八、下、十六條「下總國に、先世房と云者ありけり、下地の者なりけれども、心樣、尋常なりけり」〔0613-1〕
げ-ぢ〔名〕【下知】〔下(くた)し知らしむる義、下文(くだしぶみ)などの意〕(一)おほせ。申しつけ。いひつけ。さしづ。命令。指揮。下命。文徳實録、一、嘉祥三年四月「宣二早下知莫一レ令二更然一」盛衰記、四十二、屋島合戰事「鞆の六郎が(せがい)に立って、己れは軍もせず、人の舟を下知して、軍は、とこそすれ、かくこそすれと云ひける」(二)鎌倉幕府にて、將軍の命を奉じて、執權の下(くた)す命令。其文書を、下知状と云ふ、下文(くだしぶみ)なり、末文に「依レ仰下知如レ件」など、記す。室町幕府に至りては、奉行人より下知状を下せり、奉書と、略、似たり。吾妻鏡、三十五、仁治四年五月廿三日「評定是難二事終一、書遅遅之時、諸人歎申事也、向後付二奉行人等一、引三合事書與二御下知草案一、加二内評定一之後、可レ下二清書一之由、云云」 沙汰未練書、「御下知とは、就二訴論人相論事一、蒙二御成敗一下知状也(又、裁許云也)」王靈妃一贈二道士李榮一詩「別有三衆中二稱黜帝一、天上人間少二下知一」〔0613-1〕
流例(―レイ) 。〔元亀二年本310五〕〔静嘉堂本94六〕
流例(リウレイ) 。〔天正十七年本中50ウ四〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違之存知仕度候〔至徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務規式雜務流例下知成敗傍例律令○-{格式}武家-○{無}相違存知仕度候〔宝徳三年本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見儀定之趣評定衆以下可注給之御沙汰之法所務之規式雑務流例下知成敗傍例律令武家相違存知仕度候〔建部傳内本〕
引_付問-注所上-裁勘-判ノ之躰異-見儀-定ノ之趣評-定衆以-下可三註シ‖_給之ヲ|。御沙-汰ノ之法所-務ノ之規-式雜-務ノ之流(リウ)-例下-知成-敗傍-例律-令武-家ノ相-違|存-知仕リ度候。〔山田俊雄藏本〕
引付問注所上裁勘判之躰異見議定之趣キ評定衆以下可レ註二_給ル之ヲ一御沙汰之法所務之規式雜務之流例下二知シ成敗ヲ一傍例律令(リツレウ)武家ノ相違存知シ仕リ度ク候。〔経覺筆本〕
引付(ヒキ―ケ)問-注所(モンチウ―)ノ上-裁(サイ)勘-判(カンばン)之躰。異-見(イケン)。義-定之趣ムキ。評-定-衆已下。可レ註(シル)シ二_給(タマ)ハルコト之ヲ一。御-沙-汰之法所-務(―ム)ノ規-式(キ―)。雜-務(サウム)ノ流-例(ルレイ)。下二-知。成-敗。傍-例(ハウレイ)。律-令(リツリヤウ)。武-家相-違一存-知仕度候。〔文明四年本〕
流例 公事部/リウレイ。〔黒本本・疉字門上59ウ六〕
流例 〃俗。〃涕。〃后。〃年。〃冗流散(〃カウ)也。〃電。〃星。〃離。〃溢〃イツ。〃吏。〃家。〃眄メン/ナカシメニミユ。〔卷第三・疉字門13三〕
流例(リウレイ/ナガルヽ、タグイ)[平・去] 。〔態藝門197六〕
とあって、標記語「流例」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
流例(リウレイ) 。〔弘・言語進退門176三〕
流水(リウスイ) ―穴(ケツ)流散也。―涕(テイ)。―眄(メン)。―鳥(テウ)火名。―俗。/―離(リ)。―例。〔永・言語門58四〕
流水(リウスイ) 琴名―穴流散也。―俗。―例。―鳥火名。―眄。―理離。〔尭・言語門52八〕
とあって、標記語「流例」の語を収載し、訓みを「リウレイ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、標記語「流例」の語を未収載にする。
442異見儀定之趣キ、評定衆以-下可∨註(シルシ)‖_給之ヲ|。御沙汰之-法、所務ノ之規式、雜-務(ム)流-例、下‖_地成敗ヲ|。 成ハ就也。平也。畢也。敗ハ敗也。廢也。〔謙堂文庫蔵四三左C〕
とあって、標記語を「流例」とし、その語注記は、未記載にする。
流例(リウレイ)下_地成敗(せイバイ) トハ。先代ヨリ。有様ノ例也。其ノ如クニ。下知成敗せヨト云フ心ロナリ。〔下18オ三〜四〕
御沙汰(ごさた)の法(ほう)所務(しよむ)の規式(ぎしき)雜務(ざうむ)の流例(りうれい)/御沙汰之法所務ノ之規-式雜-務ノ流-例 年中の行事(げうじ)の内重き事を所務と云。軽き事を雜務と云。流例とハ前々よりし來りしならハせ也。〔58ウ七・八〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちうしよ)上裁(しやうさい)勘判(かんぱん)之(の)體(てい)異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)評定衆(ひやうちやうしゆ)以下(いげ)之(これ)を注(ちう)し給(たま)ふ可(へ)し御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)雜務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)下知(けち)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうい)存知(ぞんち)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ/引付問注所。上裁勘判之躰。異見議定之趣。評定衆以下。可∨註シ‖_給フ之ヲ|。御沙汰之-法所務之規式。雜-務之流-例。下知。成敗。傍-例。納-法。律-令。武-家ノ相-違|存-知仕リ度ク候フ。▲流例ハ先々(せんせん)より仕來(しきた)りしならハせるなり。〔44オ六〕
引付(ひきつけ)問注所(もんちゆうしよ)。上裁(じやうさい)勘判(かんはん)之(の)躰(てい)。異見(いけん)議定(ぎぢやう)之(の)趣(おもむき)。評定衆(ひやうぢやうしゆ)以下(いげ)。可(べ)し∨註(ちゆう)し‖_給(たま)ふ之(これ)を|。御沙汰(ごさた)之(の)法所務(ほふしよむ)之(の)規式(きしき)。雜-務(ざふむ)之(の)流例(りうれい)。下知(げぢ)成敗(せいばい)傍例(はうれい)納法(なつぽふ)律令(りつれい)武家(ぶけ)の相違(さうゐ)|存知(ぞんぢ)仕(つかまつ)り度(た)く候(さふら)ふ▲流例ハ先々(せんせん)より仕來(しきた)りしならハせなり。〔78オ二〜ウ五〕
りゅう-れい〔名〕【流例】慣(なら)ひ來れる例。舊例。先例。駱賓王、代二王靈妃一贈二道士李榮一詩「別有三衆中二稱黜帝一、天上人間少二流例一」〔2119-5〕
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