BACK(「ことばの溜め池」表紙へ)
MAIN MENU
ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
秘計(ヒケイ) 。〔元亀二年本339八〕
秘計(――) 。〔静嘉堂本407三〕
奉行人賄賂衆中属託上衆秘計口入頭人内奏屓贔窺譏嫌可申之〔至徳三年本〕
奉行人賄賂衆中屬託上衆秘計口入頭人内奏屓贔窺譏嫌可申之〔宝徳三年本〕
奉行人賄賂衆中属託上衆秘計口入頭人内奏屓贔伺機嫌可申之〔建部傳内本〕
奉-行-人ノ賄-賂(ワイロ)衆-中ノ属-託上-衆ノ秘-計口-入頭-人ノ内-奏ヲ屓-贔窺ヒ‖機-嫌ヲ|可∨申∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
奉行人ノ賄賂衆中ノ属託(ソクタク)上衆ノ秘計(ヒケイ)口入ノ頭人内奏(ナイソウ)屓贔(ヒイキ)窺ヒ‖機嫌(キケン)|可∨申∨之ヲ。〔経覺筆本〕
奉-行人ノ賄-賂(ワイロ)衆-中ノ属-託(ソクタク)上-衆ノ秘-計(ヒケイ)口-入頭-人(トウ―)内-奏(―ソウ)贔-屓(ヒ井キ)窺(ウカヽ)イ‖譏嫌(キケン)ヲ|可∨申∨之ヲ〔文明四年本〕※賄賂(ハイロ)。機嫌(キケン)。機(キ)。
秘計 ヒケイ。〔黒川本・疉字門下94オ八〕
秘密 〃藏。〃書。〃計。〃術。〃重。〔卷第十・疉字門366四〕
秘計(ヒケイ/ヒソカ・カクス、ハカリ)[去・去] 。〔態藝門1039一〕
とあって、標記語「秘計」の語を収載し、訓みを「クジヨ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
秘計(―ケイ)。〔弘・言語進退門256四〕
秘蔵(ヒサウ) ―計(ケイ)。―術(ジユツ)。―亊(ジ)。―薬(ヤク)/―密(ミツ)。―法。―曲(キヨク)。〔永・言語門218五〕
秘蔵(ヒサウ) ―計。―術。―亊。―曲/―薬。―蜜。―法。〔尭・言語門203七〕
とあって、弘治二年本は標記語「秘計」を収載し、他二本も標記語「秘蔵」の冠頭字「秘」の熟語群として収載する。また、易林本『節用集』には、
秘密(ヒミツ) ―計(ケイ)。―要(ヨウ)。―傳(デン)。―術(ジユツ)/―曲(キヨク)。―書(シヨ)。―亊(ジ)。―藏(ザウ)〔言辞門226三〕
このように、上記当代の古辞書に、「秘計」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
455奉行人ノ賄-賂(ワイロ){トハツクノイ也}衆中ノ属託上-衆秘-計 沙汰処ノ上衆也。〔謙堂文庫蔵四四左C〕
とあって、標記語を「秘計」とし、その語注記は、未記載にする。
衆中ノ属託(ゾクタク)上衆ノ秘計(ケイ)口_入頭人(トウニン)衆中ノ属託(ソクタク)雜賞(サツシヤウ)也。〔下19ウ八〕
上衆(じやうしゆ)秘計(ひけい)の口入(くちいれ)/上衆秘計ノ口入 秘計ハ内々にて事をはかる人なり。〔62ウ三〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)擧状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の經廻圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖圖師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。▲秘計ハ内々(ない―)にて事を計らふ也。〔46ウ五〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖擧状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|▲秘計ハ内々(ない―)にて事を計らふ也〔83オ五〕
Fiqei.ヒケイ(秘計) すなわち,Fiqiauasuru.l,nacadachiuo suru.(引き合わする.または,媒をする)何事かの媒介人,たとえば売買の仲介人などになること.〔邦訳236l〕
ひ-けい〔名〕【秘計】(一)秘密なる計略(はかりごと)。太平記、十二、公家一統政道事「依二内奏ノ秘計一、只今までは朝敵なりつる者も、安堵を賜はり」(二)不思議なるはかりごと。漢書、高帝紀、下「遂至二平城一、爲二匈奴所一レ圍七日、用陳平二秘計一得レ出」〔1657-2〕
奉行人賄賂衆中属託上衆秘計口入頭人内奏屓贔窺譏嫌可申之〔至徳三年本〕
奉行人賄賂衆中屬託上衆秘計口入頭人内奏屓贔窺譏嫌可申之〔宝徳三年本〕
奉行人賄賂衆中属託上衆秘計口入頭人内奏屓贔伺機嫌可申之〔建部傳内本〕
奉-行-人ノ賄-賂(ワイロ)衆-中ノ属-託上-衆ノ秘-計口-入頭-人ノ内-奏ヲ屓-贔窺ヒ‖機-嫌ヲ|可∨申∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
奉行人ノ賄賂衆中ノ属託(ソクタク)上衆ノ秘計(ヒケイ)口入ノ頭人内奏(ナイソウ)屓贔(ヒイキ)窺ヒ‖機嫌(キケン)|可∨申∨之ヲ。〔経覺筆本〕
奉-行人ノ賄-賂(ワイロ)衆-中ノ属-託(ソクタク)上-衆ノ秘-計(ヒケイ)口-入頭-人(トウ―)内-奏(―ソウ)贔-屓(ヒ井キ)窺(ウカヽ)イ‖譏嫌(キケン)ヲ|可∨申∨之ヲ〔文明四年本〕※賄賂(ハイロ)。機嫌(キケン)。機(キ)。
このように、上記当代の古辞書において、「上衆」の語は未収載となっている。そして、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本には見えている語である。
455奉行人ノ賄-賂(ワイロ){トハツクノイ也}衆中ノ属託上-衆秘-計 沙汰処ノ上衆也。〔謙堂文庫蔵四四左C〕
※―異見者也。〔静嘉堂文庫藏『庭訓徃來抄』古冩書込み〕
とあって、標記語を「上衆」とし、その語注記は、未記載にする。
衆中ノ属託(ゾクタク)上衆ノ秘計(ケイ)口_入頭人(トウニン)衆中ノ属託(ソクタク)雜賞(サツシヤウ)也。〔下19ウ八〕
上衆(じやうしゆ)秘計(ひけい)の口入(くちいれ)/上衆秘計ノ口入 秘計ハ内々にて事をはかる人なり。〔62ウ三〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)擧状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の經廻圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖圖師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。▲上衆ハ沙汰所(さたところ)の上役人(うハやくにん)也。〔46ウ四〜五〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖擧状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|▲上衆ハ沙汰所(さたどころ)の上役人(うハやくにん)也。〔83オ五〕
Io<xu.ジャゥシュ(上衆) 重立った人.または,他の人々の頭領のような人.〔邦訳370l〕
じゃう-しゅ〔名〕【上衆】引付衆。庭訓徃來、下、八月「上衆ノ秘計口入」〔0966-3〕
属託(ソクタク) 下。〔元亀二年本153六〕〔天正十七年本中15ウ二〕
属託(ゾクタク) 。〔静嘉堂本168一〕
奉行人賄賂衆中属託上衆秘計口入頭人内奏屓贔窺譏嫌可申之〔至徳三年本〕
奉行人賄賂衆中屬託上衆秘計口入頭人内奏屓贔窺譏嫌可申之〔宝徳三年本〕
奉行人賄賂衆中属託上衆秘計口入頭人内奏屓贔伺機嫌可申之〔建部傳内本〕
奉-行-人ノ賄-賂(ワイロ)衆-中ノ属-託上-衆ノ秘-計口-入頭-人ノ内-奏ヲ屓-贔窺ヒ‖機-嫌ヲ|可∨申∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
奉行人ノ賄賂衆中ノ属託(ソクタク)上衆ノ秘計(ヒケイ)口入ノ頭人内奏(ナイソウ)屓贔(ヒイキ)窺ヒ‖機嫌(キケン)|可∨申∨之ヲ。〔経覺筆本〕
奉-行人ノ賄-賂(ワイロ)衆-中ノ属-託(ソクタク)上-衆ノ秘-計(ヒケイ)口-入頭-人(トウ―)内-奏(―ソウ)贔-屓(ヒ井キ)窺(ウカヽ)イ‖譏嫌(キケン)ヲ|可∨申∨之ヲ〔文明四年本〕※賄賂(ハイロ)。機嫌(キケン)。機(キ)。
囑託 佞媚分/ソクタク。〔黒川本・疉字門中19オ一〕
属降(ソクカウ) 〃諸。〃託。〔卷四・疉字門553三〕
屬託(ソクタク) 。〔態藝門77五〕
属託(ゾクタク/シヨク・ツグ、―)[入・入] 。〔態藝門399七〕
とあって、標記語「属託」の語を収載し、訓みを「ゾクタク」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
属託(ソクタク) 賄賂(ワイロ)――。〔弘・言語進退門121八〕〔永・言語門102一〕〔両・言語門112六〕
属託(ソクタク) 賄賂。〔尭・言語門92四〕
とあって、標記語「属託」の語を収載し、語注記に「賄賂属託」と記載する。また、易林本『節用集』には、
囑託(ソクタク) 。〔言辞門101六〕
このように、上記当代の古辞書に、「属託」乃至「囑託」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
455奉行人ノ賄-賂(ワイロ){トハツクノイ也}衆中ノ属託上-衆秘-計 沙汰処ノ上衆也。〔謙堂文庫蔵四四左C〕
とあって、標記語を「属託」とし、その語注記は、未記載にする。
衆中ノ属託(ゾクタク)上衆ノ秘計(ケイ)口_入頭人(トウニン)衆中ノ属託(ソクタク)雜賞(サツシヤウ)也。〔下19ウ八〕
衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)/衆中ノ属託 属も託も皆たのむ事也。〔62ウ三〜四〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)擧状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の經廻圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖圖師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。▲属託ハつけにすると訓ず。彼是(かれこれ)事に託(かこつけ)て非(ひ)を覆(おほ)ハんとすることならん。〔46ウ四〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖擧状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|▲属託ハつけにすると訓ず。彼是(かれこれ)事に託(かこつけ)て非(ひ)を覆(おほ)ハんとすることならん。〔83オ三〕
Socutacu.ソクタク(属託) Zaxxo<(雑餉)に同じ.酒や食物などの贈物.〔邦訳569r〕
そく-たく〔名〕【屬託】懸賞にて、罪人を検擧すること。賞格。募鋸。犒金。和訓栞、そくたく「屬託と書り、罪人を募求るに金銀を賞料とし、郡縣に屬託する意なり」賞(そくたくを)榜(かける)」〔1148-1〕
ぞく-たく〔名〕【囑託】又、しょくたく。頼み、委(ゆだ)ぬること。又、其れを受けたる人。尺素徃來、「奉行、若酖二賄賂屬侘一、令レ贔二屓一方一者、太以不當也」源平盛衰記、九、堂衆事「堂衆等は、執心深く思て、面を振りける上、語ふ處の惡黨ども、賄賂、屬託に耽て、死生知ず戰ければ」(屬は、囑に同じ)〔1148-1〕
奉行人賄賂衆中属託上衆秘計口入頭人内奏屓贔窺譏嫌可申之〔至徳三年本〕
奉行人賄賂衆中屬託上衆秘計口入頭人内奏屓贔窺譏嫌可申之〔宝徳三年本〕
奉行人賄賂衆中属託上衆秘計口入頭人内奏屓贔伺機嫌可申之〔建部傳内本〕
奉-行-人ノ賄-賂(ワイロ)衆-中ノ属-託上-衆ノ秘-計口-入頭-人ノ内-奏ヲ屓-贔窺ヒ‖機-嫌ヲ|可∨申∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
奉行人ノ賄賂衆中ノ属託(ソクタク)上衆ノ秘計(ヒケイ)口入ノ頭人内奏(ナイソウ)屓贔(ヒイキ)窺ヒ‖機嫌(キケン)|可∨申∨之ヲ。〔経覺筆本〕
奉-行人ノ賄-賂(ワイロ)衆-中ノ属-託(ソクタク)上-衆ノ秘-計(ヒケイ)口-入頭-人(トウ―)内-奏(―ソウ)贔-屓(ヒ井キ)窺(ウカヽ)イ‖譏嫌(キケン)ヲ|可∨申∨之ヲ〔文明四年本〕※賄賂(ハイロ)。機嫌(キケン)。機(キ)。
衆中(シユチユウ・アタル/シユウ・モロ/\、ナカ)[去・平去] 。〔態藝門949二〕
とあって、標記語「衆中」の語を収載し、訓みを「シユチウ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、標記語「衆中」の語を未収載にする。また、易林本『節用集』には、
衆議(シユギ) ―列(レツ)。―中(ヂウ)。〔言辞門214六〕
このように、上記当代の古辞書に、「衆中」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
455奉行人ノ賄-賂(ワイロ){トハツクノイ也}衆中ノ属託上-衆秘-計 沙汰処ノ上衆也。〔謙堂文庫蔵四四左C〕
※私云――ハ賄賂也。〔静嘉堂文庫藏『庭訓徃來抄』古冩書込み〕
とあって、標記語を「衆中」とし、その語注記は、未記載にする。
衆中ノ属託(ゾクタク)上衆ノ秘計(ケイ)口_入頭人(トウニン)衆中ノ属託(ソクタク)雜賞(サツシヤウ)也。〔下19ウ八〕
衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)/衆中ノ属託 属も託も皆たのむ事也。〔62ウ三〜四〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)擧状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の經廻圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖圖師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。〔46ウ四〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖擧状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|。〔83オ三〕
Xugiu<.シュヂュウ(衆中) 大勢の人々の中央,または,大勢の人々の間.〔邦訳800r〕
賄賂(ワイロ) 。〔元亀二年本87九〕〔静嘉堂本108二〕〔天正十七年本上53ウ二〕
賄賂(ハイロ) 。〔西來寺本〕
奉行人賄賂衆中属託上衆秘計口入頭人内奏屓贔窺譏嫌可申之〔至徳三年本〕
奉行人賄賂衆中屬託上衆秘計口入頭人内奏屓贔窺譏嫌可申之〔宝徳三年本〕
奉行人賄賂衆中属託上衆秘計口入頭人内奏屓贔伺機嫌可申之〔建部傳内本〕
奉-行-人ノ賄-賂(ワイロ)衆-中ノ属-託上-衆ノ秘-計口-入頭-人ノ内-奏ヲ屓-贔窺ヒ‖機-嫌ヲ|可∨申∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
奉行人ノ賄賂衆中ノ属託(ソクタク)上衆ノ秘計(ヒケイ)口入ノ頭人内奏(ナイソウ)屓贔(ヒイキ)窺ヒ‖機嫌(キケン)|可∨申∨之ヲ。〔経覺筆本〕
奉-行人ノ賄-賂(ワイロ)衆-中ノ属-託(ソクタク)上-衆ノ秘-計(ヒケイ)口-入頭-人(トウ―)内-奏(―ソウ)贔-屓(ヒ井キ)窺(ウカヽ)イ‖譏嫌(キケン)ヲ|可∨申∨之ヲ〔文明四年本〕※賄賂(ハイロ)。機嫌(キケン)。機(キ)。
賄賂(マヒナヒ) 倭媚分/ワイロ/追従詞。〔黒川本・疉字門上72ウ二〕
賄賂ワイロ 〃貨。〃之イ本。〔卷第三・疉字門132三〕
賄賂(ワイロ) 。〔態藝門77五〕
賄賂(ワイロ/マイナイ)[上・○] 。〔態藝門240一〕
とあって、標記語「賄賂」の語を収載し、訓みを「ワイロ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
賄賂(ワイロ) 送財也。〔弘・言語進退門73四〕
賄賂(ワイロ) ―之(クハ)。〔永・言語門71九〕
賄賂(ワイロ) ―之(クハ)。――/属託。〔尭・言語門65六〕
賄賂(ワイロ) ―之。〔両・言語門77八〕
とあって、標記語「賄賂」の語を収載し、語注記は弘治二年本に「送財なり」と記載する。また、易林本『節用集』には、
賄賂(ワイロ) 〔言辞門67六〕
このように、上記当代の古辞書に、「賄賂」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
455奉行人ノ賄-賂(ワイロ){トハツクノイ也}衆中ノ属託上-衆秘-計 沙汰処ノ上衆也。〔謙堂文庫蔵四四左C〕
とあって、標記語を「賄賂」とし、その語注記は、未記載にする。
奉行人ノ賄-賂(アイロ)ハ。償(ツクナ)ヒナリ。〔下19ウ八〕
奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)/奉行人ノ賄賂 奉行衆への進物なり。〔62ウ三〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)擧状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の經廻圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖圖師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。▲賄賂ハまいなひと訓(くん)ず。奉行衆(ふきやうしゆ)へ取入らんとする也。〔46ウ四〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖擧状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|▲賄賂ハまいなひと訓(くん)ず。奉行衆(ふきやうしゆ)へ取入らんとする也。〔83オ三〕
Vairo.ワイロ(賄賂) Mainai.(賂).賄賂,すなわち,金銭で誘惑すること.§Vairouo toru.(賄賂を取る)賄賂を取る.§Vaironi fuqeru,lmezzuru.(賄賂に耽る,または,愛づる)金銭で誘惑される,あるいは,賄賂に引かれる.§Vaironi yotte ficujiuo rininsuru.(賄賂に依って非公事を理にする)賄賂によって,あるいは,利益によって,不公正な裁判を正当化する.→Mainai.〔邦訳676r〕
わい-ろ〔名〕【賄賂】不正不義なる贈物。まひ。まひなひ。袖の下。音物(インモツ)。苞苴。南史、陳、楊貴妃傳「閹宦便侫之徒、内外交結、轉相引進、賄賂公行、賞罰無レ常、綱紀瞥亂矣」〔2156-5〕
奉行(ブキヤウ) 。〔元亀二年本224七〕
奉行(ブギヤウ) 。〔静嘉堂本362四〕
奉行人賄賂衆中属託上衆秘計口入頭人内奏屓贔窺譏嫌可申之〔至徳三年本〕
奉行人賄賂衆中屬託上衆秘計口入頭人内奏屓贔窺譏嫌可申之〔宝徳三年本〕
奉行人賄賂衆中属託上衆秘計口入頭人内奏屓贔伺機嫌可申之〔建部傳内本〕
奉-行-人ノ賄-賂(ワイロ)衆-中ノ属-託上-衆ノ秘-計口-入頭-人ノ内-奏ヲ屓-贔窺ヒ‖機-嫌ヲ|可∨申∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
奉行人ノ賄賂衆中ノ属託(ソクタク)上衆ノ秘計(ヒケイ)口入ノ頭人内奏(ナイソウ)屓贔(ヒイキ)窺ヒ‖機嫌(キケン)|可∨申∨之ヲ。〔経覺筆本〕
奉-行人ノ賄-賂(ワイロ)衆-中ノ属-託(ソクタク)上-衆ノ秘-計(ヒケイ)口-入頭-人(トウ―)内-奏(―ソウ)贔-屓(ヒ井キ)窺(ウカヽ)イ‖譏嫌(キケン)ヲ|可∨申∨之ヲ〔文明四年本〕※賄賂(ハイロ)。機嫌(キケン)。機(キ)。
奉行(ブギヤウ・ヲコナウ/タテマツル、カウ・ユク・ツラナル)[上・平去] 頭人。〔態藝門650一〕
とあって、標記語「奉行」の語を収載し、訓みを「ブギャウ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
奉行(ブギヤウ) 。〔弘・人倫門179七〕
奉行(ブギヤウ) 頭人(トウニン)。〔永・人倫門147六〕
奉行(ブキヤウ) 頭人。〔尭・言語門137六〕
○○奉行人 。〔永・後鳥羽院御宇鍛冶結審次第283二〕
とあって、標記語「奉行」「奉行人」(永禄二年本のみ)を収載する。また、易林本『節用集』には、
奉事(ブジ) ―仕(シ)。―行(ギヤウ)。〔言辞門216七〕
このように、上記当代の古辞書には、「奉行」の語が収載されていて、「奉行人」は印度本系永禄二年本に記載があるのみである。そして、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
455奉行人ノ賄-賂(ワイロ){トハツクノイ也}衆中ノ属託上-衆秘-計 沙汰処ノ上衆也。〔謙堂文庫蔵四四左C〕
とあって、標記語を「奉行人」とし、その語注記は、未記載にする。
奉行人ノ賄-賂(アイロ)ハ。償(ツクナ)ヒナリ。〔下19ウ八〕
奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)/奉行人ノ賄賂 奉行衆への進物なり。〔62ウ三〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)擧状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の經廻圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖圖師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。〔46ウ四〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖擧状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|〔83オ三〕
Buguio<.ブギヤウ(奉行) Vqetamauari,vocono<.(奉り,行ふ)ある物事を統べ司る人,または,物事の世話をする人.§また,国王その他の主君の役人.→次条.〔邦訳64r〕
ぶぎゃう-にん〔名〕【奉行人】事を奉行する人。支配頭。ぶぎゃう(奉行)の條をも見よ。吾妻鏡、脱漏、元仁二年九月廿日「武州(泰時)召集二奉行人等一、令二對面一」古今著聞集、廿、魚蟲禽獸「この事、中御門左大臣殿の御尋ねによりて、奉行人經房朝臣かきて奉りける也」庭訓徃來、下、八月「管領、寄人、右筆、奉行人等之評判也」〔1316-3〕
經廻(―クワイ) 。〔元亀二年本214三〕〔静嘉堂本243六〕
径廻(―クワイ) 。〔天正十七年本中51オ六〕
先被進擧状代者公所出仕諸亭之經廻可申圖師也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
先被進挙状代者公所之出仕諸亭經廻可圖師申也〔建部傳内本〕
先被レ∨進‖挙-状代ヲ|者公-所ノ出-仕諸-亭ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖-師(ヅ―)|也〔山田俊雄藏本〕
先ツ被∨進‖挙状(キヨシヤウ)ヲ代官ニ|者公所ノ出仕諸亭(テイ)ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖師(ヅシ)|也〔経覺筆本〕
先ツ被ラレ∨進‖挙状(キヨ)代(ヒ)ヲ|者公-所出-仕諸亭(テイ)ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖師(ツ―)ヲ|也〔文明四年本〕
經廻 〃過。〃緯。〃歴。〃笥シ。〃營。〃傳。〃史。〃法。〃緯。〔卷第七・疉字門18六〕
經廻(ケイグワイ) 。〔疉字門159一〕
經徊(ケイクワイ/タテ・フル、タチモドル)[平・平] 徃來義也。〔態藝門601五〕
とあって、標記語「經徊」の語を収載し、訓みを「ケイクワイ」とし、その語注記は、「徃来の義なり」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
經徊(―クワイ) 徃来義。〔弘・言語進退門175五〕
經廻(ケイクハイ) ―歴(レキ)。―徊(クハイ)。―營(エイ)。〔永・言語門144二〕
經廻(ケイクワイ) ―歴。―徊。―営。―緯。〔尭・言語門133八〕
とあって、標記語「經廻」と「經徊」の語を収載し、弘治二年本には、広本『節用集』を継承して語注記に「徃来の義」と記載が見える。また、易林本『節用集』には、
經營(ケイエイ) ―回(クワイ)。―歴(レキ)。〔言辞門146七〕
このように、上記当代の古辞書に、「經廻」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
454先被∨進‖挙状代ヲ|者公-所ノ出-仕諸亭ノ經廻可∨申‖図師(ヅ―)|也 諸亭ハ家之体也。三官領等ノ居処也。經廻圖師ハ内ヲ計者也。又畫ニ書見也。〔謙堂文庫蔵四四左A〕※――ハせメクル心也〔静嘉堂文庫蔵『庭訓往来抄』古寫書込み〕
とあって、標記語を「諸亭」とし、その語注記は、「經廻圖師は、内を計る者なり。また、畫に書見なり」と記載する。
諸亭(シヨテイ)經廻(ケイクハイ)トハ。諸候ノ家々ニ出入スル事ナリ。〔下19ウ五〜七〕
諸亭(シヨテイ)の經廻(けいくわい)/諸亭ノ經廻 諸亭とハ諸役人の宅なり。經廻ハへめくると訓す。諸役人乃宅へ行道筋をいふなり。〔62オ八〜ウ一〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)擧状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の經廻圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖図師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。▲諸亭經廻ハ諸役人(しよやくにん)乃宅(いへ)へ出入する事。〔46ウ三〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖擧状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|▲諸亭經廻ハ諸役人(しよやくにん)の家(いへ)へ出入する事。〔83オ三〕
Qeiquai.ケイクヮイ(經廻) Femeguru.(経廻る)あちこちの土地を歩き回ること.例,Xococuuo qeiquaisu.(諸国を経廻す)すべての国を遍歴する.文書語.〔邦訳482r〕
けい-くゎい〔名〕【經廻】(一)諸方を經廻(へめぐ)ること。平家物語、十一、腰越事「京都之經廻一難治間、諸國令二遊行一、在在所所隠レ身」庭訓徃來、八月「公所之出仕、諸亭之經廻、可レ申二圖師一也」(二)世を經(ふ)ること。源平盛衰記、四十一、頼盛關東下向事「頼朝、世に經廻せば、御方に奉公仕りて、彼御恩に可レ奉レ報」〔0595-3〕
先被進擧状代者公所出仕諸亭之經廻可申圖師也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
先被進挙状代者公所之出仕諸亭經廻可圖師申也〔建部傳内本〕
先被レ∨進‖挙-状代ヲ|者公-所ノ出-仕諸-亭ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖-師(ヅ―)|也〔山田俊雄藏本〕
先ツ被∨進‖挙状(キヨシヤウ)ヲ代官ニ|者公所ノ出仕諸亭(テイ)ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖師(ヅシ)|也〔経覺筆本〕
先ツ被ラレ∨進‖挙状(キヨ)代(ヒ)ヲ|者公-所出-仕諸亭(テイ)ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖師(ツ―)ヲ|也〔文明四年本〕
このように、上記当代の古辞書には、「諸亭」の語を未収載にする。そして、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本には見えている語である。
454先被∨進‖挙状代ヲ|者公-所ノ出-仕諸亭ノ經廻可∨申‖図師(ヅ―)|也 諸亭ハ家之体也。三官領等ノ居処也。經廻圖師ハ内ヲ計者也。又畫ニ書見也。〔謙堂文庫蔵四四左A〕
とあって、標記語を「諸亭」とし、その語注記は、未記載にする。
諸亭(シヨテイ)經廻(ケイクハイ)トハ。諸候ノ家々ニ出入スル事ナリ。〔下19ウ五〜七〕
諸亭(シヨテイ)の經廻(けいくわい)/諸亭ノ經廻 諸亭とハ諸役人の宅なり。經廻ハへめくると訓す。諸役人乃宅へ行道筋をいふなり。〔62オ八〜ウ一〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)擧状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖図師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。▲諸亭經廻ハ諸役人(しよやくにん)乃宅(いへ)へ出入する事。〔46ウ三〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖擧状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|▲諸亭經廻ハ諸役人(しよやくにん)の家(いへ)へ出入する事。〔83オ三〕
しょ-てい〔名〕【諸亭】(一)諸方の貴人の邸宅。多くの亭。(つか)ふること。仕官。源平盛衰記、十三、高倉宮信連合戰事「私に、主を憑みて、諸亭に腕首を握らず、久しく、宮の御所に召し仕はれて、奉公、年、積もれり」(二)鎌倉時代、引附方、又、問注所、等の諸局の名。庭訓徃來、八月「諸亭經廻、可レ申二圖師一也」〔1016-2〕
出仕(―シ) 。〔元亀二年本310二〕〔静嘉堂本362四〕
先被進擧状代者公所出仕諸亭之經廻可申圖師也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
先被進挙状代者公所之出仕諸亭經廻可圖師申也〔建部傳内本〕
先被レ∨進‖挙-状代ヲ|者公-所ノ出-仕諸-亭ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖-師(ヅ―)|也〔山田俊雄藏本〕
先ツ被∨進‖挙状(キヨシヤウ)ヲ代官ニ|者公所ノ出仕諸亭(テイ)ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖師(ヅシ)|也〔経覺筆本〕
先ツ被ラレ∨進‖挙状(キヨ)代(ヒ)ヲ|者公-所出-仕諸亭(テイ)ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖師(ツ―)ヲ|也〔文明四年本〕
出仕(シユツシ/イテル、ツカマツル)[去入・上] 。〔態藝門933一〕
とあって、標記語「出仕」の語を収載し、訓みを「クジヨ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
出陣(―チン) ―仕(シ)。―頭(トウ)。―御(ギヨ)。―現(ゲン)。―入(ニウ)。―銭(セン)。〔弘・言語進退門246二〕
出入(シユツニウ) ―頭(トウ)。―御(ギヨ)。―陣(ヂン)。―現(ゲン)。―張(チヤウ)/―仕(シ)。―院(シユツエン)擯出之義。〔永・言語門210三〕
出入(シユツニウ) ―頭。―御。―陣。―現/―挙。―張。―仕。―院。―奔。〔尭・言語門194五〕
とあって、標記語「出陣」「出入」の冠頭字「出」の熟語群として収載する。また、易林本『節用集』には、
出仕(シユツシ) ―納(ナフ)。―頭(トウ)。―物(モツ)。―世(せ)。―生(シヤウ)。―身(シン)。―家(ケ)。〔言辞門216七〕
このように、上記当代の古辞書に、「出仕」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
454先被∨進‖挙状代ヲ|者公-所ノ出-仕諸亭ノ經廻可∨申‖図師(ヅ―)|也 諸亭ハ家之体也。三官領等ノ居処也。經廻圖師ハ内ヲ計者也。又畫ニ書見也。〔謙堂文庫蔵四四左A〕
とあって、標記語を「出仕」とし、その語注記は、未記載にする。
活持(クハツジ)之計略(ケイリヤク)ヲ|先ツ被レ∨進‖挙状(キヨ―)代ヲ|者公-所(コウシヨ)ノ之出-仕(シユツシ)活持(クハツジ)之計畧(ケイリヤク)トハ。ノガシヤハラクル計トナリ。〔下19ウ五〜七〕
公所(こうしよ)の出仕(しゆつし)/公所ノ出仕 公所とは將軍家の御在所也。出仕とハ登城(とじやう)する事なり。〔62オ八〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)擧状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の經廻圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖図師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。▲公所ノ出仕ハ公議(くうぎ)の御前(ごぜん)へ出ること。〔46ウ三〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖擧状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|▲公所ノ出仕ハ公議(くうぎ)の御前(ごぜん)へ出ること。〔83オ二〜三〕
Xuxxi.シュッシ(出仕) Ide tcucayuru.(出で仕ゆる)すなわち,Cubo<samaye mairu.(公方樣へ参る)公方(Cubo<)なり,ある屋形(Yacata)なりの御殿へ行くこと.〔邦訳804r〕
しゅっ-し〔名〕【出仕】(一)出(い)でて、仕(つか)ふること。仕官。東坡集「元不二出仕一而巳」(二)勤(つとめ)に、出づること。出勤。上衙。古今著聞集、三、政道忠臣「小野宮殿、九條殿、御同車にて、出仕せさせ給ける時」太平記、廿六、直冬西國下向事「紀州、暫、静謐の體にて、直冬被二歸參一しより後、早、人人、是を重じ奉る儀も出來り、時時、將軍の御方へも出仕し給しが共」(三)員外官の稱。「海軍省出仕」文部省出仕」〔0997-1〕
先被進擧状代者公所出仕諸亭之經廻可申圖師也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
先被進挙状代者公所之出仕諸亭經廻可圖師申也〔建部傳内本〕
先被レ∨進‖挙-状代ヲ|者公-所ノ出-仕諸-亭ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖-師(ヅ―)|也〔山田俊雄藏本〕
先ツ被∨進‖挙状(キヨシヤウ)ヲ代官ニ|者公所ノ出仕諸亭(テイ)ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖師(ヅシ)|也〔経覺筆本〕
先ツ被ラレ∨進‖挙状(キヨ)代(ヒ)ヲ|者公-所出-仕諸亭(テイ)ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖師(ツ―)ヲ|也〔文明四年本〕
公所(クジヨ/コウ・キミ、トコロ)[平・上] 。〔態藝門538四〕
とあって、標記語「公所」の語を収載し、訓みを「クジヨ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』・易林本『節用集』には、標記語「公所」の語を未収載にする。
このように、上記当代の古辞書では、広本『節用集』だけに「公所」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
454先被∨進‖挙状代ヲ|者公-所ノ出-仕諸亭ノ經廻可∨申‖図師(ヅ―)|也 諸亭ハ家之体也。三官領等ノ居処也。經廻圖師ハ内ヲ計者也。又畫ニ書見也。〔謙堂文庫蔵四四左A〕
とあって、標記語を「公所」とし、その語注記は、未記載にする。
活持(クハツジ)之計略(ケイリヤク)ヲ|先ツ被レ∨進‖挙状(キヨ―)代ヲ|者公-所(コウシヨ)ノ之出-仕(シユツシ)活持(クハツジ)之計畧(ケイリヤク)トハ。ノガシヤハラクル計トナリ。〔下19ウ五〜七〕
公所(こうしよ)の出仕(しゆつし)/公所ノ出仕 公所とは將軍家の御在所也。出仕とハ登城(とじやう)する事なり。〔62オ八〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)擧状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の經廻圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖図師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。▲公所ノ出仕ハ公議(くうぎ)の御前(ごぜん)へ出ること。〔46ウ三〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖擧状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|▲公所ノ出仕ハ公議(くうぎ)の御前(ごぜん)へ出ること。〔83オ二〜三〕
く-しょ〔名〕【公所】役所。官衙。庭訓徃來、八月「公所出仕、諸亭之經廻」〔0522-5〕
先被進擧状代者公所出仕諸亭之經廻可申圖師也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
先被進挙状代者公所之出仕諸亭經廻可圖師申也〔建部傳内本〕
先被レ∨進‖挙-状代ヲ|者公-所ノ出-仕諸-亭ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖-師(ヅ―)|也〔山田俊雄藏本〕
先ツ被∨進‖挙状(キヨシヤウ)ヲ代官ニ|者公所ノ出仕諸亭(テイ)ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖師(ヅシ)|也〔経覺筆本〕
先ツ被ラレ∨進‖挙状(キヨ)代(ヒ)ヲ|者公-所出-仕諸亭(テイ)ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖師(ツ―)ヲ|也〔文明四年本〕
このように、上記当代の古辞書には、全て「代」の語を未収載にする。そして、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本には見えている語である。
454先被∨進‖挙状代ヲ|者公-所ノ出-仕諸亭ノ經廻可∨申‖図師(ヅ―)|也 諸亭ハ家之体也。三官領等ノ居処也。經廻圖師ハ内ヲ計者也。又畫ニ書見也。〔謙堂文庫蔵四四左A〕
とあって、標記語を「代」とし、その語注記は、未記載にする。
活持(クハツジ)之計略(ケイリヤク)ヲ|先ツ被レ∨進‖挙状(キヨ―)代ヲ|者公-所(コウシヨ)ノ之出-仕(シユツシ)活持(クハツジ)之計畧(ケイリヤク)トハ。ノガシヤハラクル計トナリ。〔下19ウ五〜七〕
先(まつ)擧状(きよじやう)を代(たい)を進(しん)せ被(られ)者(ハ)/先被レハ∨進セ‖挙状代ヲ|者 擧状ハ事の様子を申上る事也。代ハ名代也。故障(こしやう)ありて自身(じしん)出て事の様子を言上(ごんじやう)する事を得さるによりて出したる名代の者を挙状代といふ也。前の書状にいえる代官の事なり。〔62オ六〜八〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)擧状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の經廻圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖図師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。▲代官ハ爰(こゝ)に進状(しんしやう)にいへる大掾が名代(めうたい)を指(さ)す。〔46ウ三〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖擧状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|▲代官ハ爰(こゝ)に進状(しんじやう)にいへる大掾が名代(ミやうだい)を指(さ)す。〔83オ二〕
Dai.ダイ(代) Cauari.(代り) 代わり・交換.§また,他の人の代わりに立つ者.§Daiuo tatcuru.(代を立つる)ある人の代わりに,または,自分自身の代わりに,他の人を定める,あるいは,遣わす.〔邦訳177r〕
だい〔名〕【代】(一)〔正字通「代、世也、家語、古之王者、易レ代改レ號、取二報五行一」〕王侯士庶の家に、父子世世相代(カハ)りて、其家を繼ぎて主(あるじ)たる年月の間。世。神皇正統記、二「人皇第一代、~日本磐余彦天皇と申す、後に、~武と名づけ奉る、云云、伊弉諾尊には六世、大日靈尊には五世の天孫にまします」「親の代」「子の代」代がはり」(二)他に代りて、用を辨ずる人。名代。代官。〔1173-2〕
×〔元亀二年本〕
擧状(キヨジヤウ) 吹―之状。〔静嘉堂本327二〕
先被進擧状代者公所出仕諸亭之經廻可申圖師也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
先被進挙状代者公所之出仕諸亭經廻可圖師申也〔建部傳内本〕
先被レ∨進‖挙-状代ヲ|者公-所ノ出-仕諸-亭ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖-師(ヅ―)|也〔山田俊雄藏本〕
先ツ被∨進‖挙状(キヨシヤウ)ヲ代官ニ|者公所ノ出仕諸亭(テイ)ノ經廻(ケイクワイ)可∨申‖圖師(ヅシ)|也〔経覺筆本〕
先被∨進‖挙状代ヲ|者公-所ノ出-仕諸亭ノ經廻可∨申‖図師(ヅ―)|也〔文明四年本〕()
擧状 キヨシヤウ。〔黒川本・疉字門下52オ四〕
擧動 〃措。〃達。〃奏。〃状。〔卷第八・疉字門532二〕
擧状(キヨジヤウ) 。〔態藝門74六〕
擧状(キヨジヤウ/アグル、カタチ)[上・去] 。〔態藝門830四〕
とあって、標記語「擧状」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
擧状(キヨジヤウ) 。〔弘・言語進退門221三〕
擧状(キヨシヤウ) ―達(タツ)。〔永・言語門184六〕
擧状(キヨシヤウ) ―達。〔尭・言語門174一〕
とあって、標記語「擧状」の語を収載する。また、易林本『節用集』に、
擧達(キヨタツ) ―状(ジヤウ)。〔言辞門190六〕
とあって、標記語「擧達」の冠頭字「擧」の熟語群として「擧状」語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「擧状」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
454先被∨進‖挙状代ヲ|者公-所ノ出-仕諸亭ノ經廻可∨申‖図師(ヅ―)|也 諸亭ハ家之体也。三官領等ノ居処也。經廻圖師ハ内ヲ計者也。又畫ニ書見也。〔謙堂文庫蔵四四左A〕
とあって、標記語を「擧状」とし、その語注記は、未記載にする。
活持(クハツジ)之計略(ケイリヤク)ヲ|先ツ被レ∨進‖挙状(キヨ―)代ヲ|者公-所(コウシヨ)ノ之出-仕(シユツシ)活持(クハツジ)之計畧(ケイリヤク)トハ。ノガシヤハラクル計トナリ。〔下19ウ五〜七〕
先(まつ)擧状(きよじやう)を代(たい)を進(しん)せ被(られ)者(ハ)/先被レハ∨進セ‖挙状代ヲ|者 擧状ハ事の様子を申上る事也。代ハ名代也。故障(こしやう)ありて自身(じしん)出て事の様子を言上(ごんじやう)する事を得さるによりて出したる名代の者を挙状代といふ也。前の書状にいえる代官の事なり。〔62オ六〜八〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)挙状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の經廻圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖図師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。▲挙状ハ古注(こちう)に公事(くし)の目安(め―)の下書也と云云。〔46オ四〜46ウ三〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖挙状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|▲挙状ハ古注(こちう)に公事(くじ)の目安(めやす)の下書也と云々。〔82オ五〜83オ二〕
Qiojo<.キョジャウ(擧状) ある訴訟事などに関して,証拠や証明を添えて主君に提出する書付.〔邦訳502r〕
きょ-じゃう〔名〕【擧状】(一)官途などに薦擧の書。丹州書札式「爲二昇進一申二擧状一事、不レ論二貴賤一、一向可レ停二止之一」註「從二關東一擧状を申請け、上洛して昇進を可レ望候也」(二)轉じて、下の言を、上に傳達する書。沙汰未練書「地頭、御家人の外は、不レ可レ及二直訴一、名主、莊官以下者、帶二在所地頭擧状一、及二訴訟一也」〔0503-4〕
計略(ケイリヤク) 。〔元亀二年本213八〕〔静嘉堂本243一〕〔天正十七年本中50ウ八〕
可被用意活持計略〔至徳三年本〕
可被用意活持之計略〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
可∨被三用二-意セラ活-持ノ之計-略(ケツラク)ヲ一。〔山田俊雄藏本〕
可∨被∨用‖意セ活持(クワツチ)之計略ヲ|。〔経覺筆本〕
可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。〔文明四年本〕()
計略 方略分/ケイリヤク。〔黒川本・疉字門中99ウ七〕
計略 〃歴 違期任国司所申下正負給外記。〃損 權任給官符。〃會 正暦十一二五格毎―仲帳進官勘會人物檢察遺漏近代不行大帳別薄也計會作戸日輩出擧數也。〃偖。〃帳。〔卷第七、疉字門17六〕
計略(ケイリヤク) ―會(クハイ)。〔永・言語門143八〕
計略(ケイリヤク) ―會。〔尭・言語門133六〕
とあって、標記語「計略」の語を収載し、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
計略(ケイリヤク) ―會(クワイ)。〔言辞門146七〕
とあって、標記語「計略」の語を収載する。
このように、上記当代の古辞書では、『運歩色葉集』と印度本系『節用集』易林本『節用集』に「計略」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
453訴訟若有‖悠々緩怠之儀|者御在洛之費ヘ也。可被∨用‖意活持之計略ヲ| 活持ハ亊闕ヌ樣ニ活用意也。即堪忍之分也。〔謙堂文庫蔵四四左@〕
とあって、標記語を「計略」とし、その語注記は、未記載にする。
活持(クハツジ)之計略(ケイリヤク)ヲ|先ツ被レ∨進‖挙状(キヨ―)代ヲ|者公-所(コウシヨ)ノ之出-仕(シユツシ)活持(クハツジ)之計畧(ケイリヤク)トハ。ノガシヤハラクル計トナリ。〔下19ウ五〜七〕
活持(くハつじ)の計略(けいりやく)に用意(ようい)セ被(らる)可(へし)/可∨被∨用‖意セ活持之計略ニ| 活持を活時(くわつじ)と書る本もあり。舊注に活持之計畧とハのかれやはらぐるはかり也と云あやしき説也。ある説に云、活ハ生々として働(はたら)くをいふ。持ハたすけたもつと訓す。凡亊の計略をするに其時勢(じせい)にあたれハ其計畧働きありて物のたすけとなる亊多し。若時勢にあわされハ設(もうけ)たる計畧死物となりて物の益(ゑき)とならす。故に其時勢に應し急務(きうむ)のはかりことをするを活持乃計畧と云。活時の計略に作れハ唯時勢にあひたるはかりことく云義也。〔62オ一〜六〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)擧状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の經廻圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖図師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。▲活持之計略ハ事に應じてはたらきあるはかりことをいふ。〔46オ四〜46ウ三〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖擧状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|▲活持之計略ハ事に應(おう)じてはたらきあるはかりことをいふ。〔82オ五〜83オ二〕
Qeiriacu.l,qeisacu.ケイリャク.または,ケイサク(計略または,計策) 計略,または,方策.§Qeiriacu uo megurasu.(計略を廻らす)ある事をするために,計略を立てる,または,その方法と対策を講ずる.〔邦訳483l〕
けい-りゃく〔名〕【計略】はかりごと。計策。後漢書、杜詩傳「善於二計略一」太平記、二、後醍醐天皇潜二幸笠置一事「此は又、餘りに山深く、里遠くして、何事の計略も叶ふまじき處なれば、云云」〔0601-5〕
可被用意活持計略〔至徳三年本〕
可被用意活持之計略〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
可∨被三用二-意セラ活-持ノ之計-略(ケツラク)ヲ一。〔山田俊雄藏本〕
可∨被∨用‖意セ活持(クワツチ)之計略ヲ|。〔経覺筆本〕
可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。〔文明四年本〕()
このように、上記当代の古辞書は、「活持」の語を未収載にする。これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本には見えている。
453訴訟若有‖悠々緩怠之儀|者御在洛之費ヘ也。可被∨用‖意活持之計略ヲ| 活持ハ亊闕ヌ樣ニ活用意也。即堪忍之分也。〔謙堂文庫蔵四四左@〕※―事闕(ケツ)又明ニ意可レ有也〔静嘉堂文庫蔵『庭訓徃來抄』古冩書込み〕
とあって、標記語を「活持」とし、その語注記は、未記載にする。
活持(クハツジ)之計略(ケイリヤク)ヲ|先ツ被レ∨進‖挙状(キヨ―)代ヲ|者公-所(コウシヨ)ノ之出-仕(シユツシ)活持(クハツジ)之計畧(ケイリヤク)トハ。ノガシヤハラクル計トナリ。〔下19ウ五〜七〕
活持(くハつじ)の計略(けいりやく)に用意(ようい)セ被(らる)可(へし)/可∨被∨用‖意セ活持之計略ニ| 活持を活時(くわつじ)と書る本もあり。舊注に活持之計畧とハのかれやはらぐるはかり也と云あやしき説也。ある説に云、活ハ生々として働(はたら)くをいふ。持ハたすけたもつと訓す。凡亊の計略をするに其時勢(じせい)にあたれハ其計畧働きありて物のたすけとなる亊多し。若時勢にあわされハ設(もうけ)たる計畧死物となりて物の益(ゑき)とならす。故に其時勢に應し急務(きうむ)のはかりことをするを活持乃計畧と云。活時の計略に作れハ唯時勢にあひたるはかりことく云義也。〔62オ一〜六〕
活持(くハつち)之(の)計畧(けいりやく)を用意(ようゐ)せら被(る)可(べ)し。先(まづ)擧状(きよじやう)を代官(たいくハん)於(に)進(しん)ぜら被(れ)者(バ)公所(くしよ)の出仕(しゆつし)諸亭(しよてい)の經廻圖師(けいくわいづし)を申(まふ)す可(べ)き也。奉行人(ぶきやうにん)の賄賂(わいろ)衆中(しゆちう)の屬託(そくたく)上衆(しやうしゆ)乃秘計(ひけい)口入(くちいり)頭人(とうにん)内奏(ないそう)贔屓(ひいき)譏嫌(きげん)を窺(うかゝ)ひ之(これ)を申(まふ)す可(へ)し。讓状(ゆつりしやう)乃謀實(はうしつ)越境(ゑつきやう)の相論(さうろん)未(いまだ)甲乙(かふをつ)の次第(しだい)を分(わか)た未(さる)譜代(ふたい)相傳(さうでん)之(の)重書(ちうしよ)等(とう)者(ハ)引付方(ひきつけかた)に於(おいて)御沙汰(ごさた)に逢(あ)は被(る)可(べ)し/可シ∨被∨用‖意セラ活持之計略ヲ|。先被∨進セラ‖挙状代官ニ|者。公-所出-仕。諸亭之經廻。可キ∨申ス‖図師(―)ヲ|也。奉行人ノ賄-賂。衆中ノ属託。上-衆ノ秘-計。口入頭人。内奏。屓贔。窺ヒ‖機嫌ヲ|可シ∨申ス∨之ヲ。状ノ謀實。越-境ノ相-論。未タ/ズ∨分タ‖甲子ノ次第ヲ|。譜代相傳之重書等者。於‖引付方ニ|。可シ∨被∨逢ハ‖御沙汰ニ|。▲活持之計略ハ事に應じてはたらきあるはかりことをいふ。〔46オ四〜46ウ三〕
可(べし)∨被(る)∨用‖意(ようい)せら活持(くわつぢ)之(の)計略(けいりやく)を|。先(まづ)被(れ)∨進(しん)ぜられ‖擧状(きよじやう)於(を)代官(たいくわん)に|者(バ)。公-所(くしよ)の出-仕(しゆつし)。諸亭(しよてい)之(の)經廻(けいくわい)。可(べ)き∨申(まう)す‖図師(づし)を|也(なり)。奉行人(ぶぎやうにん)の賄-賂(わいろ)。衆中(しゆちゆう)の属託(ぞくたく)。上-衆(じやうしゆ)の秘-計(ひけい)。口入(くちいれ)頭人(とうにん)。内奏(ないさう)。屓贔(ひいき)。窺(うかが)ひ‖機嫌(きげん)を|可(べ)し∨申(まう)す∨之(これ)を。讓状(ゆづりじやう)謀實(ばうじつ)。越-境(ゑつきやう)の相-論(さうろん)。未(いまだ/ず)∨分(わか)た‖甲乙(かふをつ)の次第(したい)を|。譜代(ふだい)相傳(さうでん)之(の)重書(ぢうしよ)等(とう)者(ハ)。於(おい)て‖引付方(ひきつけかた)に|。可(べ)し∨被(る)∨逢(あ)ハ‖御沙汰(ごさた)に|▲活持之計略ハ事に應(おう)じてはたらきあるはかりことをいふ。〔82オ五〜83オ二〕
費(ツイユル) 。弊(同) 。〔元亀二年本161四〕
費(ツイヱ) 。弊(同) 。〔静嘉堂本177五〕
訴訟若有悠々緩怠之儀者御在洛之費也。〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
訴訟(ソウシヨ)ハ者悠々(ユウ―)緩怠ノ之儀|不∨可∨有∨之御在洛ハ者費(ツイエ)也。〔山田俊雄藏本〕
訴訟(ソシヨウ)若シ有ハ‖悠々緩怠(クワンタイ)之儀|者御在洛之費(ツイヘ)也。〔経覺筆本〕
訴訟若シ有レ悠々(ユウ/\)緩怠(クワンタイ)ノ之儀|者御在洛之費(ツイヘ/ツヱ)也。〔文明四年本〕費(ツイヱ/ツヱ/スウ)。
費 ツヒエ/ツヒユ/ツヰヤス。柾弊債朖蔽穿類啌減詞也微已上同。〔黒川本・辞字門中26ウ一〕
費 ツイヤス/ツイユ/つヰエ。柾弊債朖蔽穿類啌減詞也微已上同。〔卷第四・辞字門619一〕
費(ツイヤス/ヒ)[去] 。〔態藝門423四〕
とあって、標記語「費」の語を収載し、訓みを「ついやす」とし、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
弊(ツイヘ) 。〔弘・言語進退門130一〕
費(ツイヤス) 。〔弘・言語進退門128一〕〔尭・言語門96四〕〔両・言語門118三〕
費(ツイヤス/ヒ) 。〔永・言語門106二〕
とあって、標記語「費」の語を未収載にする。また、易林本『節用集』に、
耗(ツイエ) 。費(同) 。〔言辞門107五〕
とあって、標記語「耗」の語と「費」の語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「費」の語を収載し、「ツイヤス」という動詞型が目立つなか、『色葉字類抄』を継承する易林本『節用集』が「ついえ」の訓を収載し、これが古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
453訴訟若有‖悠々緩怠之儀|者御在洛之費ヘ也。可被∨用‖意活持之計略ヲ| 活持ハ亊闕ヌ樣ニ活用意也。即堪忍之分也。〔謙堂文庫蔵四四左@〕
とあって、標記語を「費」とし、その語注記は、未記載にする。
緩怠(クハンタイ)ノ之儀|者御(コ)在洛(ザイラク)ノ之費(ツヒエ)也可∨被∨用‖意緩怠(クハンタイ)ハ。タヱユルマル事也。人ハ心ニ油断(ユタン)ナク慇懃(インギン)ヲ宗(ムネ)トスベシ。其心ヲユルシタヘツツレハ尾篭(ヒロウ)殊ニ多シ。去テ社(コソ)緩怠(クハンタイ)トハ有ナレ。相ヒ構(カマヘ)テ/\心ヲユルカせニ持ザレ。天ニ跼(せクヽ)マリ地ニ蹐(ヌキアシ)スト云本文有。〔下19ウ三〜五〕
御在洛(ございらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/御在洛之費也 洛ハ洛陽也。京都をいふ。この比將軍京都に都し玉ふにより大名高家の人/\参勤して京都にあるを在洛といふ。今江戸にあるを在江戸といふかことし。こゝに云こゝろハ惣して願所の公事等一己(いつこ)の所存にて捌きかたき事ハ事の子細を能穿鑿(せんさく)して後上洛して下知をすへき事也。若怠りて穿鑿をも遂されハ上洛したりとも事引しろひて埒(らち)明(あか)されハ空しく日を費す事なる故若緩怠の義あらハ御在洛の費なりといえる也。〔61ウ六〜62オ一〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ六〕
Tcuiye.ツイエ(費) 費やすこと,損失,あるいは,出費.§Tcuiyeni naru.(費えになる)損失,出費である,または,損失,出費になる,など.〔邦訳627r〕
つひ-え〔名〕【弊】(一)弊(つひ)ゆること。惡しくなり行くこと。よわること。「政事の弊」敵國の弊に乘る」(二){費(つひ)ゆること。用ゐて減り行くこと。入費。費。宇津保物語、、藤原君「物のつひえあることを數ふれば、多くの損(ソン)なり」方丈記「七珍萬寳、さながら灰燼となりにき、そのつひえいくばくぞ」太平記、五、相模入道弄二田樂一事「直垂、大口を解いて抛げ出す、云云、其の弊え、幾千萬と云ふ數を不レ知」〔1326-3〕
在洛(サイラク) 。〔元亀二年本268五〕
在洛(―ラク) 。〔静嘉堂本305四〕
訴訟若有悠々緩怠之儀者御在洛之費也。〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
訴訟(ソウシヨ)ハ者悠々(ユウ―)緩怠ノ之儀|不∨可∨有∨之御在洛ハ者費(ツイエ)也。〔山田俊雄藏本〕
訴訟(ソシヨウ)若シ有ハ‖悠々緩怠(クワンタイ)之儀|者御在洛之費(ツイヘ)也。〔経覺筆本〕
訴訟若シ有レ悠々(ユウ/\)緩怠(クワンタイ)ノ之儀|者御在洛之費(ツイヘ/ツヱ)也。〔文明四年本〕費(ツイヱ/ツヱ/スウ)。
在洛(ザイラク/アル、ミヤコ)[上去・入] 。〔態藝門788一〕
とあって、標記語「在洛」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』・易林本『節用集』には、標記語「在洛」の語を未収載にする。
このように、上記当代の古辞書では、広本『節用集』と『運歩色葉集』だけが「在洛」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
453訴訟若有‖悠々緩怠之儀|者御在洛之費ヘ也。可被∨用‖意活持之計略ヲ| 活持ハ亊闕ヌ樣ニ活用意也。即堪忍之分也。〔謙堂文庫蔵四四左@〕
とあって、標記語を「在洛」とし、その語注記は、未記載にする。
緩怠(クハンタイ)ノ之儀|者御(コ)在洛(ザイラク)ノ之費(ツヒエ)也可∨被∨用‖意緩怠(クハンタイ)ハ。タヱユルマル事也。人ハ心ニ油断(ユタン)ナク慇懃(インギン)ヲ宗(ムネ)トスベシ。其心ヲユルシタヘツツレハ尾篭(ヒロウ)殊ニ多シ。去テ社(コソ)緩怠(クハンタイ)トハ有ナレ。相ヒ構(カマヘ)テ/\心ヲユルカせニ持ザレ。天ニ跼(せクヽ)マリ地ニ蹐(ヌキアシ)スト云本文有。〔下19ウ三〜五〕
御在洛(ございらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/御在洛之費也 洛ハ洛陽也。京都をいふ。この比將軍京都に都し玉ふにより大名高家の人/\参勤して京都にあるを在洛といふ。今江戸にあるを在江戸といふかことし。こゝに云こゝろハ惣して願所の公事等一己(いつこ)の所存にて捌きかたき事ハ事の子細を能穿鑿(せんさく)して後上洛して下知をすへき事也。若怠りて穿鑿をも遂されハ上洛したりとも事引しろひて埒(らち)明(あか)されハ空しく日を費す事なる故若緩怠の義あらハ御在洛の費なりといえる也。〔61ウ六〜62オ一〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ六〕
Zairacu.サイラク(在洛) Miyaconi aru.(洛に在る)Zaiqio<(在京)に同じ.都(Miyaco)の中に居ること.〔邦訳840r〕
緩怠(クワンタイ) 。〔元亀二年本189八〕
緩怠(クハンタイ) 。〔静嘉堂本213六〕
緩怠(―タイ) 。〔天正十七年本中36オ六〕
訴訟若有悠々緩怠之儀者御在洛之費也。〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
訴訟(ソウシヨ)ハ者悠々(ユウ―)緩怠ノ之儀|不∨可∨有∨之御在洛ハ者費(ツイエ)也。〔山田俊雄藏本〕
訴訟(ソシヨウ)若シ有ハ‖悠々緩怠(クワンタイ)之儀|者御在洛之費(ツイヘ)也。〔経覺筆本〕
訴訟若シ有レ悠々(ユウ/\)緩怠(クワンタイ)ノ之儀|者御在洛之費(ツイヘ/ツヱ)也。〔文明四年本〕費(ツイヱ/ツヱ/スウ)。
緩怠 人情部/クワンタイ。〔黒川本・疉字門中79ウ四〕
緩怠 〃急。〔卷第六、疉字門448四〕
緩怠(クワンタイ) 。〔態藝門81七〕
緩怠(クハンタイ/ユルク、ヲコタル)[○・○] 。〔態藝門548八〕
とあって、標記語「緩怠」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
緩怠(―タイ) 。〔弘・言語進退門162三〕
緩怠(クハンタイ) ―急(キウ)。――(クハン/\)。〔永・言語門131八〕
緩怠(クハンタイ) ―急。――。〔尭・言語門120九〕〔両・言語門147一〕
とあって、標記語「緩怠」の語を収載する。また、易林本『節用集』に、
緩怠(クワンタイ) ―急。〔言辞門134二〕
とあって、標記語「緩怠」の語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「緩怠」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
453訴訟若有‖悠々緩怠之儀|者御在洛之費ヘ也。可被∨用‖意活持之計略ヲ| 活持ハ亊闕ヌ樣ニ活用意也。即堪忍之分也。〔謙堂文庫蔵四四左@〕
とあって、標記語を「緩怠」とし、その語注記は、未記載にする。
緩怠(クハンタイ)ノ之儀|者御(コ)在洛(ザイラク)ノ之費(ツヒエ)也可∨被∨用‖意緩怠(クハンタイ)ハ。タヱユルマル事也。人ハ心ニ油断(ユタン)ナク慇懃(インギン)ヲ宗(ムネ)トスベシ。其心ヲユルシタヘツツレハ尾篭(ヒロウ)殊ニ多シ。去テ社(コソ)緩怠(クハンタイ)トハ有ナレ。相ヒ構(カマヘ)テ/\心ヲユルカせニ持ザレ。天ニ跼(せクヽ)マリ地ニ蹐(ヌキアシ)スト云本文有。〔下19ウ三〜五〕
訴訟(そせう)若(も)し悠々(ゆう/\)緩怠(くハんたい)之(の)儀(き)有(あら)者(ハ)/訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者 訴訟ハミなうつたへと訓す。今の所謂(いわゆる)公事也。悠々ハ緩怠なるを形容(けいよう)したる詞也。緩怠ハゆる/\として事におこたるを云也。〔61ウ四〜六〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ六〕
Quantai.クハンタイ(緩怠) Yurucu vocotaru.(緩く怠る)すなわち,Ro<jeqi.(狼藉)不注意なり,怠慢なりから,ある人が他の人に対してなす無礼や侮り.しかし,今日では一般に,ある人が他の人に反抗して行なう罪悪や無礼の意味に取られる.〔邦訳519r〕
くヮん-たい〔名〕【緩怠】(一)おこたり。等閑(なほざり)。なまけ。保元物語、二、爲義最後事「清盛、既に叔父を誅す、何ぞ緩怠せしめむ」(義朝をして、急ぎ其父爲義を誅せしめむと云なり)(二)等閑の意より轉じて、失禮。不作法。甲陽軍艦、十三、品第四十、上「穴山殿は、信玄公御從弟、しかも、總領聟にてましますが、緩怠ながら、さやうの御詞を、他國の家中に、聞きて笑ひ候はむずるなり」〔0587-4〕
悠々(ユウ/\) 。〔元亀二年本293五〕
悠々(ユウ/\) 。〔静嘉堂本341一〕
訴訟若有悠々緩怠之儀者御在洛之費也。〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
訴訟(ソウシヨ)ハ者悠々(ユウ―)緩怠ノ之儀|不∨可∨有∨之御在洛ハ者費(ツイエ)也。〔山田俊雄藏本〕
訴訟(ソシヨウ)若シ有ハ‖悠々緩怠(クワンタイ)之儀|者御在洛之費(ツイヘ)也。〔経覺筆本〕
訴訟若シ有レ悠々(ユウ/\)緩怠(クワンタイ)ノ之儀|者御在洛之費(ツイヘ/ツヱ)也。〔文明四年本〕費(ツイヱ/ツヱ/スウ)。
悠々(ユウ―/ハルカナリ)[平・○] 。〔態藝門869七〕
とあって、標記語「悠々」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
悠々(イウ/\) 。〔弘・言語進退門14二〕〔尭・言語門9五〕〔両・言語門11六〕
悠々(イウ/\/タヲヤカナリ) 。〔永・言語門11六〕
とあって、標記語「悠々」の語を収載する。また、易林本『節用集』に、
悠々(ユウ/\) 。〔言辞門195一〕
とあって、標記語「悠々」の語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「悠々」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
453訴訟若有‖悠々緩怠之儀|者御在洛之費ヘ也。可被∨用‖意活持之計略ヲ| 活持ハ亊闕ヌ樣ニ活用意也。即堪忍之分也。〔謙堂文庫蔵四四左@〕※―イヨ/\也。〔静嘉堂文庫蔵『庭訓徃來抄』古冩書込み〕
とあって、標記語を「悠々」とし、その語注記は、未記載にする。
政道(せイタウ)ニ|訴訟(そせウ)若シ有ラハ‖悠々(ユウ―)政道マサシキ道也。成(ナ)スワザハ行事ヲ以テ本トス。然ハ道ト云ナリ。政道ハ玉鉾(ギヨクホウ)ノ道トテ事ノ行子細ナリ。彼(カノ)玉鉾(タマホコ)ト云物ヲ投(ナク)レバ何(イカ)ナル。ヲソロシキ。藪山棘(ソウサンキヨク)モ割(キリ)サカレテ道(ミチ)直(スグ)ナル也。其ノ如ク君ヨリ成(ナ)リ下ル詞ヲ忽諸(ゆるかセ)モせズ敬(ウヤマ)ヘバ道ハ道タリ。斯(カヽ)ル事ヲ以テ。御門(ミカド)ヲ玉体(タイ)ト申奉ナリ。〔下19オウ一〜三〕
訴訟(そせう)若(も)し悠々(ゆう/\)緩怠(くハんたい)之(の)儀(き)有(あら)者(ハ)/訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者 訴訟ハミなうつたへと訓す。今の所謂(いわゆる)公事也。悠々ハ緩怠なるを形容(けいよう)したる詞也。緩怠ハゆる/\として事におこたるを云也。〔61ウ四〜六〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ六〕
Yu<yu<to.l,Yu<yu<to xite.ユゥユゥト.または,ユゥユゥトシテ(悠々と.または,悠々として)ゆったりと,または,のんびりと.〔邦訳838r〕
いう-いう〔副〕【悠々】(一)ゆったりしたる状に云ふ語。悠然。詩經、鄭風、載馳篇「驅レ馬悠悠」(二)遙(はる)けき状に云ふ語。詩經、唐風、鴇羽篇「悠悠タル蒼天、曷(イツカ)其レ有レ極」(三)渺渺として、とりとめなき状に云ふ語。張謂、題長安主人壁詩「世人結レ交須二黄金一、黄金不レ多交不レ深、縦令然諾暫相許、終是悠悠行路心」(路に行合ふ人の冷淡なるが如し)〔0126-3〕
訴訟(ソせウ) 。〔元亀二年本152四〕
訴訟(―せウ) 。〔静嘉堂本166五〕
訴訟若有悠々緩怠之儀者御在洛之費也。〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
訴訟(ソウシヨ)ハ者悠々(ユウ―)緩怠ノ之儀|不∨可∨有∨之御在洛ハ者費(ツイエ)也。〔山田俊雄藏本〕
訴訟(ソシヨウ)若シ有ハ‖悠々緩怠(クワンタイ)之儀|者御在洛之費(ツイヘ)也。〔経覺筆本〕
訴訟若シ有レ悠々(ユウ/\)緩怠(クワンタイ)ノ之儀|者御在洛之費(ツイヘ/ツヱ)也。〔文明四年本〕費(ツイヱ/ツヱ/スウ)。
訴噂訟 同(呵責分)愁詞/ソシヨウ。〔黒川本・疉字門中18ウ八〕
訴訟 。〔卷第四・疉字門554二〕
訴訟(ソシヨウ) 。〔態藝門89三〕
訴訟(ソシヨウ/ウタヱ、ウタフ)[上・平去]。〔態藝門404五〕
とあって、標記語「訴訟」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
訴訟(ソセウ) 。〔弘・言語進退門121八〕
訴訟(ソせウ) ―論(ロン)。―陳(チン)。〔永・言語門101七〕
訴訟(ソセウ) ―論。―陳。〔尭・言語門92二〕〔両・言語門112三〕
とあって、標記語「訴訟」の語を収載する。また、易林本『節用集』に、
訴陳(ソチン) ―訟(せウ)。―人(ニン)。―状(ジヤウ)。〔言辞門101四〕
とあって、標記語「訴陳」の冠頭字「訴」の熟語群として「訴訟」の語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「訴訟」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
453訴訟若有‖悠々緩怠之儀|者御在洛之費ヘ也。可被∨用‖意活持之計略ヲ| 活持ハ亊闕ヌ樣ニ活用意也。即堪忍之分也。〔謙堂文庫蔵四四左@〕
とあって、標記語を「訴訟」とし、その語注記は、未記載にする。
政道(せイタウ)ニ|訴訟(そせウ)若シ有ラハ‖悠々(ユウ―)政道マサシキ道也。成(ナ)スワザハ行事ヲ以テ本トス。然ハ道ト云ナリ。政道ハ玉鉾(ギヨクホウ)ノ道トテ事ノ行子細ナリ。彼(カノ)玉鉾(タマホコ)ト云物ヲ投(ナク)レバ何(イカ)ナル。ヲソロシキ。藪山棘(ソウサンキヨク)モ割(キリ)サカレテ道(ミチ)直(スグ)ナル也。其ノ如ク君ヨリ成(ナ)リ下ル詞ヲ忽諸(ゆるかセ)モせズ敬(ウヤマ)ヘバ道ハ道タリ。斯(カヽ)ル事ヲ以テ。御門(ミカド)ヲ玉体(タイ)ト申奉ナリ。〔下19オウ一〜三〕
訴訟(そせう)若(も)し悠々(ゆう/\)緩怠(くハんたい)之(の)儀(き)有(あら)者(ハ)/訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者 訴訟ハミなうつたへと訓す。今の所謂(いわゆる)公事也。悠々ハ緩怠なるを形容(けいよう)したる詞也。緩怠ハゆる/\として事におこたるを云也。〔61ウ四〜六〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ六〕
Soxo>.ソセウ(訴訟) 目上の人に何事かを乞うこと.§また,訴えること.例,Soxo> suru.(訴訟する) →Canaye,uru;Mo<xicanaye,uru;Vchinobe,uru.〔邦訳579l〕
そ-しョう〔名〕【訴訟】うたへ。うったへ。公事。後漢書、陳寵傳「訴訟日百數」公式令、義解「凡、訴訟、皆從レ下始」謂、告レ寃曰レ訴、爭レ財曰レ訟、從レ下始者、言、從二郡司一始也」雜令、義解「凡、訴訟(謂、財物良賤譜第之類、事非二侵害一、應二待レ時申訴一者也)起二十月一日一、至二三月卅日一檢校、以外不レ合、若交相侵奪者、不レ在二此例一」太平記、一、飢人窮民施行事「訴訟の人、出來の時、若し、下情、上に達えざる事もや有らんとて、記録所に出御成りて、直に訴を聞召明らめ」曾我物語、三、曾我兄弟命乞事「然あらんに於いては、合はざるそせうなりとも、一度はなどか、御免なからん」〔1152-2〕
政道(―タウ) 。〔元亀二年本354四〕
政道(せイタウ) 。〔静嘉堂本430三〕
更非停滞預儀之政道〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
更ニ非ス‖停-滞(せイタウ)豫-儀ノ之政-道ニ|〔山田俊雄藏本〕
更ニ非‖停滞(テイタイ)預儀(ヨギ)之政道ニ|〔経覺筆本〕
更ニ非‖停滞(テイタイ)豫儀(ヨギ)之(ノ)政道ニ|〔文明四年本〕
政道(せイタウ/マツリコト、ミチ)[去・上]。〔態藝門1116八〕
とあって、標記語「政道」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
政道(せイタウ) 。〔弘・言語進退門265六〕
政道(せイタウ) 。〔永・言語門226八〕
政道(――) 。〔尭・言語門213六〕
とあって、標記語「政道」の語を収載する。また、易林本『節用集』に、
政道(せイタウ) 。〔言辞門237三〕
とあって、標記語「政道」の語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「政道」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「政道」とし、その語注記は、未記載にする。
政道(せイタウ)ニ|訴訟(そせウ)若シ有ラハ‖悠々(ユウ―)政道マサシキ道也。成(ナ)スワザハ行事ヲ以テ本トス。然ハ道ト云ナリ。政道ハ玉鉾(ギヨクホウ)ノ道トテ事ノ行子細ナリ。彼(カノ)玉鉾(タマホコ)ト云物ヲ投(ナク)レバ何(イカ)ナル。ヲソロシキ。藪山棘(ソウサンキヨク)モ割(キリ)サカレテ道(ミチ)直(スグ)ナル也。其ノ如ク君ヨリ成(ナ)リ下ル詞ヲ忽諸(ゆるかセ)モせズ敬(ウヤマ)ヘバ道ハ道タリ。斯(カヽ)ル事ヲ以テ。御門(ミカド)ヲ玉体(タイ)ト申奉ナリ。〔下19オウ一〜三〕
更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)す/更ニ非‖停滞豫儀之政道ニ| 停ハとゝまる。滞ハとゝこほると訓す。豫儀はためらふと事を果さゝるを云。この句ハ即(すなハ)ち嚴蜜の事をいえる也。〔61ウ二・三〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ六〕
Xeito<.セイタウ(政道) Matcurigotono michi.(政の道) 政治上の禁制,統制,あるいは,掟.例,Xeito< tadaxij.(政道正しい)政治上の掟と統制が厳正である.〔邦訳747r〕
せい-たう〔名〕【政道】(一)政事の道。まつりごと。治道。晋書、樂志「聖王制レ樂、讀二揚政道一」古今著聞集、三、政道忠臣「村上御時、南殿出御ありけるに、云云、當時の政道をば、世にはいかが申すと、御尋有ければ、目出度とこそ申候へ」。〔1085-2〕
更非停滞預儀之政道〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
更ニ非ス‖停-滞(テイタイ)豫-儀ノ之政-道ニ|〔山田俊雄藏本〕
更ニ非‖停滞(テイタイ)預儀(ヨギ)之政道ニ|〔経覺筆本〕
更非‖停滞(―タイ)預儀之政道|-()〔文明四年本〕
豫儀(ヨギ/アラカジメ、ヨソヲイ)[去・平]〔態藝門325四〕
とあって、標記語「豫儀」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
豫儀(ヨギ) ―参(サン)列參義。〔永・言語門89一〕
豫儀(ヨギ) ―参列余義。〔尭・言語門80八〕〔両・言語門97六〕
とあって、標記語「豫儀」の語を収載する。また、易林本『節用集』に、
豫儀(ヨキ) 。〔言語門86六〕
とあって、標記語「豫儀」語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「豫儀」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「豫儀」とし、その語注記は、未記載にする。
停滞(テイタイ)預儀(ヨギ)之ト)ハ。トヾコホリモナキトネカウ心也。只スナヲナル詞(コトハ)也。〔下19オ八〜ウ一〕
更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)す/更ニ非‖停滞豫儀之政道ニ| 停ハとゝまる。滞ハとゝこほると訓す。豫儀はためらふと事を果さゝるを云。この句ハ即(すなハ)ち嚴蜜の事をいえる也。〔61ウ二・三〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ六〕
よ-ぎ〔名〕【豫議】(一)あらかじめ協議すること。前以てうちあはすること。〔0744-1〕
更非停滞預儀之政道〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
更ニ非ス‖停-滞(テイタイ)豫-儀ノ之政-道ニ|〔山田俊雄藏本〕
更ニ非‖停滞(テイタイ)預儀(ヨギ)之政道ニ|〔経覺筆本〕
更非‖停滞(―タイ)預儀之政道|-()〔文明四年本〕
このように、上記当代の古辞書には、「停滞」の語を未収載にする。そして、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本には見えている語である。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「停滞」とし、その語注記は、未記載にする。
停滞(テイタイ)預儀(ヨギ)之ト)ハ。トヾコホリモナキトネカウ心也。只スナヲナル詞(コトハ)也。〔下19オ八〜ウ一〕
更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)す/更ニ非‖停滞豫儀之政道ニ| 停ハとゝまる。滞ハとゝこほると訓す。豫儀はためらふと事を果さゝるを云。この句ハ即(すなハ)ち嚴蜜の事をいえる也。〔61ウ二・三〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ六〕
Teitai.テイタイ(停滞) Todomari,todocouoru.(停まり,滞る)遮られたり,引き留められたりすること.文書語.〔邦訳642r〕
てい-たい〔名〕【停滞】(一)物事の一所にとどこほること。晋書、虞豫傳「王塗未レ夷、所在停滞」晋太平記、二、長崎新左衛門尉意見事「事停滞して、武家追罰の宣旨を下されなば」(二)食物の胃中にて、消化(こな)れかぬること。〔1345-2〕
執行(シユギヤウ) 。〔元亀二年本307九〕〔静嘉堂本358八〕
御沙汰亊嚴密被執行也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也〔山田俊雄藏本〕
御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也〔経覺筆本〕
御沙-汰(さた)之亊既ニ嚴-密(ケンミツ)正所∨被∨執行せル|也〔文明四年本〕
執行(シフギヤウ/トル、カウ・ユク・ツラナル)[入・去]〔態藝門944二〕
とあって、標記語「執行」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
執行(シユギヤウ) 。〔弘・人倫門238三〕
執行(シユキヤウ) ―筆(ヒツ)。―亊(シツジ)。〔永・人倫門198四〕
執行(シユキヤウ) ―亊代。―亊。―筆。〔尭・人倫門188四〕
とあって、標記語「執行」の語を未収載にする。また、易林本『節用集』に、
執着(シフヂヤク) ―情(ジヤウ)。―寧(ネイ)。―心(シム)。―筆(シユヒツ)。〔言辞門215一〕
とあって、標記語「執着」の冠頭字「執」の熟語群として「執行」語を未収載にする。
このように、上記当代の古辞書は、「執行」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「執行」とし、その語注記は、未記載にする。
幸祐(カウユウ)也御沙汰既(スデ)ニ嚴密(ゲンミツ)ニ所ロ∨被ルヽ‖執行(トリヲコナハ)|也。更(サラ)ニ非ス‖幸祐ハ。サイハイヨロコビナリ。〔下19オ七八〕
御沙汰(こさた)既(すで)に嚴密(げんミつ)に執行(しゆげう)せら被(らるゝ)所(ところ)也/御沙汰既ニ嚴密ニ所∨被‖執行せ|也。 沙汰嚴密の注皆前に在。執行ハとりおこなふと訓す。〔61ウ一・二〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸祐(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ所∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ六〕
Xuguio<.シュギャゥ(執行) Tori vocono<.(執り行ふ)すなわち,行なうこと,あるいは,挙行すること.〔邦訳800r〕
しっ-かう〔名〕【執行】(一)とり、おこなふこと。「法律を執行す」「裁判執行」強制執行」〔0904-3〕
四海泰平一天静謐事人々攘災所々幸祐也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
四-海泰-平一-天ノ静-謐ノ之事人-々ノ攘(シヤウ)-災所々ノ幸-祐也〔山田俊雄藏本〕
四海太平一天静謐ノ事人々攘災(ジヨウサイ)所々ノ幸(カウ)祐也〔経覺筆本〕
四-海ノ泰-平一-天静-謐之事人々攘-災(シヤウサイ)所々ノ幸-祐(ユウ)也〔文明四年本〕※静謐(せイヒツ)
このように、上記当代の古辞書群には、「幸祐」の語を未収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本には見えている語となっている。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「幸祐」とし、その語注記は、未記載にする。
幸祐(カウユウ)也御沙汰既(スデ)ニ嚴密(ゲンミツ)ニ所ロ∨被ルヽ‖執行(トリヲコナハ)|也。更(サラ)ニ非ス‖幸祐ハ。サイハイヨロコビナリ。〔下19オ七八〕
所所(しよ/\)の幸佇(こうこ)也(なり)/所々ノ幸佇也 幸も佇もさいわいと訓す。上の句に人こといひこの句に所々といふハ文をたかひにしたる也。わさわひをまぬかれたる程さいわいなる事なきゆへ所々の幸佇といえる也。是迄ハ世の中も静り人々のよろこひ給ふを述たるなり。〔61オ七〜ウ一〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸佇(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。▲幸佇ハさいはひと訓む。喜悦(よろこひ)のこと。幸祐に作るハ誤也。〔45ウ二〜46オ二〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。▲幸佇ハさいはひと訓(よ)む。喜悦(よろこび)のこと。幸祐に作(つく)るハ誤(あやまり)也。〔81オ三〜82オ二・三〕
殃(ワザハイ) 。禍(同) 。抵(同) 。災(同) 字。(同) 毛。〔元亀二年本90七〕
殃(ワザワイ) 。禍(同) 。抵(同) 。災(同) 字同。(同) 毛。〔静嘉堂本111七〕〔天正十七年本上55オ二〕〔西來寺本〕
掃(ハラウ) 。拂(同) 。撥(同) 。攘(同) 難。〔元亀二年本36一〕〔静嘉堂本38五〕
掃(ハラウ) 。拂(同) 。撥(同) 。攘(同) 。〔天正十七年本上20オ一・二〕〔西來寺本〕
とあって、標記語「災」の語と「攘」の語とで収載している。
四海泰平一天静謐事人々攘災所々幸祐也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
四-海泰-平一-天ノ静-謐ノ之事人-々ノ攘(シヤウ)-災所々ノ幸-祐也〔山田俊雄藏本〕
四海太平一天静謐ノ事人々攘災(ジヨウサイ)所々ノ幸(カウ)祐也〔経覺筆本〕
四-海ノ泰-平一-天静-謐之事人々攘-災(シヤウサイ)所々ノ幸-祐(ユウ)也〔文明四年本〕※静謐(せイヒツ)
災(ワザワイ/サイ)[平] 。禍(同/クワ) 。殃(同/アウ)[平] 。厄(同/ヤク)[入] 烟塵禍胎。〔態藝門250三〕
とあって、標記語「災」の語を収載するが、標記語「攘」の語は未収載にする。そして、印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
災(ワザハイ) 抵。禍(同/クワ) 。〔弘・言語進退門72四〕
災(ワザハイ) 禍。夭。殃。祟。厄。死。〔永・言語進退門72五〕
災(ワザハイ/サイ) 禍。夭。殃。祟。厄。死。 烟塵(ワザハイ) 禍.胎。〔尭・言語門66一・六〕
烟塵(ワザハイ) 禍.胎。 災(ワザワイ) 禍。夭。殃。祟。厄。死。〔両・言語門78二・五〕
掃(ハラウ) 。 拂(ハラウ) 救。箒。佯。撥。洒。治。〔弘・言語進退門22四、23四〕
洒(ハラウ) 臙。攘。 拂(ハラウ) 救。箒。佯。撥。洒。治。〔永・言語進退門24五、25二〕
洒(ハラフ) 臙。攘。 拂(ハラフ) 救。箒。佯。撥。洒。治。〔尭・言語門21六、22二〕
洒(ハラウ) 。拂(ハラウ) 。〔両・言語門25七、26二〕
とあって、標記語「災」の語と標記語「攘」の語とを収載する。また、易林本『節用集』も、
災(ワザハイ) 抵。禍(同) 。殃(ワザハヒ) 。〔言語門68二・三〕
拂(ハラフ) 。掃(同) 。〔言語門23七〕
とあって、標記語「災」の語を収載するが、標記語「攘」の語は未収載にする。
このように、上記当代の古辞書は、字音「攘災」の語を全て未収載にし、古写本『庭訓徃來』は字音、そして下記真字本は「わざはひをはらふ」と和語読みしている語であり、古辞書群は、真字本に遵って和語読みにして「災」の語と「攘」の語にして収載する。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「災を攘ひ」とし、その語注記は、未記載にする。
攘-災。處々ノ攘災ハ。ハザハイヲハラウコヽロナリ。〔下19オ七〕
人人(ひとびと)の攘災(じやうさい)/人々ノ攘災 攘災ハわさわひをはらふと訓す。人々とハ兵乱(ひやうらん)ありてわさわひにかゝりしか今ハ安穏なるをいふ。〔61オ六〜七〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸佇(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。▲攘災ハわさはひをはらふと訓む。安穏(あんおん)なるのこと。〔45ウ二〜46オ一・二〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。▲攘災ハわざハひをはらふと訓(よ)む。安穏(あんおん)なるのこと。〔81オ三〜82オ一〕
じゃう-さい〔名〕【攘災】(一)災いを、攘(はら)ひ除くこと。晉書、郭璞傳、「攘レ災轉レ禍」庭訓徃來、八月「四海太平、一天静謐事、人人攘災、所所幸祐也」〔0964-1〕
四海泰平一天静謐事人々攘災所々幸祐也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
四-海泰-平一-天ノ静-謐ノ之事人-々ノ攘(シヤウ)-災所々ノ幸-祐也〔山田俊雄藏本〕
四海太平一天静謐ノ事人々攘災(ジヨウサイ)所々ノ幸(カウ)祐也〔経覺筆本〕
四-海ノ泰-平一-天静-謐之事人々攘-災(シヤウサイ)所々ノ幸-祐(ユウ)也〔文明四年本〕※静謐(せイヒツ)
一天四海(−テンシカイ) 。〔言語門六二〕
とあって、標記語「一天四海」という四字熟語で収載している。
このように、上記当代の古辞書では、易林本『節用集』に「一天四海」の語を収載するのみであり、これは、下記用例に示す『吾妻鏡』のごとき用例であって、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語ではないのかもしれない。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「一天」とし、その語注記は、未記載にする。
一天静謐(せイヒツ)ノ亊、人々ノ一天静謐(せイヒツ)ハ國王ノ御座(マシマ)ス処ヲ京ト云也。サレバ中央(ワウ)也。大日ノ國也。遍照(ヘンせウ)ノ土ヲバ成所作智(せウシヨサチ)ト云也。是ハ蒼天(タウ―)ノ惣(サウ)名ナリ。依レ之都ヘ上ル人ハ皆上ルト云也。高キ心ナリ。都静(シツカ)ナレバ。萬民豊(ユタカ)ナリト云フ心ナリ。〔下19オ五〜七〕
四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)之(の)事(こと)/四海泰平一天静謐之事 四海といひ一天といひ皆天下の事也。唯詞を替たるまてにてさして替れる意味もなし。泰平ハ甚たたいらきたる也。静謐の注前に在。〔61オ四〜六〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸佇(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ六〕
Itten xicai.イツテンシカイ(一天四海) 同上(全世界).〔邦訳347l〕
いつ-てん〔名〕【一天】〔空中(そらぢゅう)、一山、皆、花〕(一)大空、一面。天下、全體。蘇軾詩、明月隨人共一天」保元物語、一、鳥羽院崩御事「保元元年七月二日、終に一院隱れさせたまひぬ、云云、一天暮れて、日月の光を失へるが如く、萬人歎きて、父母の喪に遭ふに過ぎたり」「一天、俄かに曇りて、雨、車軸を流すが如し」(二)次條の語の略。〔一317-3〕
四海(シカイ) 東海。南海。西海。北海。〔元亀二年本327二〕
四海(―カイ) 東海。南海。西海。北海。〔静嘉堂本387六〕
太平(―ヘイ) 。泰平(同) 。〔元亀二年本137三〕〔静嘉堂本145二・三〕
四海泰平一天静謐事人々攘災所々幸祐也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
四-海泰-平一-天ノ静-謐ノ之事人-々ノ攘(シヤウ)-災所々ノ幸-祐也〔山田俊雄藏本〕
四海太平一天静謐ノ事人々攘災(ジヨウサイ)所々ノ幸(カウ)祐也〔経覺筆本〕
四-海ノ泰-平一-天静-謐之事人々攘-災(シヤウサイ)所々ノ幸-祐(ユウ)也〔文明四年本〕※静謐(せイヒツ)
大平 同(宮城分)/タイヘイ。〔黒川本・疉字門中9ウ六〕
四海(シカイ/―・ウミ)[○・上] 九夷東。八狄北。七戎西。六蛮南。四夷是也。〔數量門929五〕
四海(シカイ/ヨツ・ウミ)[去・上] 。〔態藝門955八〕
泰平(タイヘイ/ユタカ、タイラカ)[去・○] 泰與レ太同。〔態藝門343二〕
とあって、標記語「四海」「太平」の語を収載し、語注記はそれぞれ、「九夷東。八狄北。七戎西。六蛮南。四夷是れなり」と「泰を太與に同じ」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
太平(タイヘイ) 。泰平(同) 。〔弘・言語進退門109六〕
太平(タイヘイ) 泰平 。〔永・言語門94九〕〔両・言語門105二〕
太平(タイヘイ) 泰― 。〔尭・言語門86七〕
とあって、標記語「太平・泰平」の語だけを収載する。また、易林本『節用集』に、
四維(シユイ) ―海(カイ)。―方(ハウ) 。〔言辞門214一〕
泰平(タイヘイ) 泰与太同。〔言語門93五〕
とあって、標記語「四維」の冠頭字「四」の熟語群に「四海」の語を収載し、標記語「泰平」の語はそのまま収載し、語注記に「泰と太与に同じ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書は、「四海太平」の語を「四海」と「太平」または「泰平」にして収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「四海太平」とし、その語注記は、未記載にする。
四-海太-平 ハ一天靜(シツカ)也ト云事此秋津洲(アキツス)ハ出現(ゲン)離(リ)ノ嶋(シマ)也。三國ト云トモ當朝(タウテウ)ヲ日ニ喩(タトヘ)テ佛法流布(ルフ)ノ國也。四魔夷(マエビス)トテ。四方ノ國ヨリ。競(キソヒ)望(ノゾミ)ヲナス也。然(シカル)ニ卅三年ヲハ灑乱厥(サイランケツ)ト云波立ナリ。一切ノ有情(ウジヤウ)ヲ突埋(ツキウメ)ントス。是併外道(ケダウ)ノ萌(キザ)ス時ニ。波(ナミ)起(ヲキル)ナリ。君ノ君タル時ハ王法(ハフ)政事(せイジ)潔(イサギ)ヨシ。斯(カゝ)ル時ハ。神明モ佛陀(ブツ―)モ加護(カゴ)有ケレバ。魔軍(クン)恐(ヲソ)レテ四海波タヽズトナリ。サテコソ太平ナレ。〔下19オ三〜五〕
四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)之(の)事(こと)/四海泰平一天静謐之事 四海といひ一天といひ皆天下の事也。唯詞を替たるまてにてさして替れる意味もなし。泰平ハ甚たたいらきたる也。静謐の注前に在。〔61オ四〜六〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸佇(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海泰平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。▲四海一天いづれも天下といふに同じ。▲泰平静謐共に安(やす)くしつまる也。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。▲四海一天いづれも天下(てんか)といふに同し。▲泰平静謐共に安(やす)くしづまる也。〔81オ三〜82オ一〕
Xicai.シカイ(四海) Yotcuno vmi.(四つの海)都(Miyaco)から言って四つの方角にある四つの海.§Itten xicai.(一天四海)全世界.〔邦訳759r〕
Taifei.タイヘイ(太平) Vouoini,tairacani.(大いに,平らかに)静穏,平和.§Tencano taifeini vosamuru.(天下を太平に治むる)国家を平和に治める.〔邦訳603r〕
し-かい〔名〕【四海】(一)四方(よも)の海。平治物語、一、信頼信西不快事「四海に、風波の恐れなく」(二)天下。世界。書經、禹貢篇「四海會同」同、説命、下篇「四海之内、咸仰二朕コ一」「富(とみ)、四海を保つ」〔0878-4〕
たい-へい〔名〕【太平・泰平】世、大いに治りて、人人安堵して暮し居ること。又、國家の極めて穏かに治りてあること。昇平。史記、秦始皇紀「黔首脩潔、人樂二同則一、嘉保二太平一」漢書、食貨志、上「泰平、二十七歳、遺九年食、然後至コ流洽、禮樂成焉」太平記、二、長崎新左衞門尉意見事「武家彌愼みて勅命に應ぜば、君もなどか思召し直すことなからん、かくてぞ國家の泰平、武運の長久にて候はんと存ず」〔0878-4〕
庶幾何事如之〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
庶幾(―キ)何事カ如シ∨之〔山田俊雄藏本〕
庶幾(ソキ)何事カ如ン∨之ニ哉〔経覺筆本〕
庶-幾(ソキ)何_事カ如(シカン)∨之ニ〔文明四年本〕
何亊(ナニゴト/カ・イヅレ、シ・ワザ)[平・去]〔態藝門440一〕
とあって、標記語「何事」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、標記語「何事」の語を未収載にする。また、易林本『節用集』に、
何樣(ナニサマ) ―條(デウ)。―等(ラ)。―年(ナンネン)。―時(ナントキ)。―事(コト)。―月(ナンクワツ)。〔言辞門110七〕
とあって、標記語「何樣」の冠頭字「何」の熟語群として「何事」語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「何事」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「何事」とし、その語注記は、未記載にする。
依テ∨無ニ‖指_事(サせル―)|常(ツネ)ニ不‖申_通せ疎畧(ソリヤク)之至(イタリ)驚(ヲドロキ)_入_候ノ處芳問(ハウモン)之条(デウ)珍重(チンテウ)也。日來(ヒゴロ)ノ本望(ホンモフ)忽(スミヤカ)ニ以テ滿足(マンゾク)ニ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何ニ事カ如(シカ)ン∨之ニ哉(ヤ)。庶幾トハ。隨ヒウクル心ナリ。〔下19オ一〜三〕
庶幾(そき)何事(なにこと)か之(これ)に如(しか)ん哉(や)/庶幾何事カ如ン∨之ニ哉 庶幾ハこひねかふと訓す。願ひ望みたる事此上ハなしと也。是まては殊に願り悦ふ事を述たるなり。〔61オ三〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸佇(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。▲庶幾ハこひねがふと訓(よ)む。願ひ望(のそ)む事といふ義。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。▲庶幾ハこひねがふと訓(よ)む。願ひ望(のそ)む事といふ義。〔81オ三〜81ウ六〕
Nanigoto.ナニゴト(何事) どんな事.〔邦訳448l〕
庶幾(ソキ) 。〔元亀二年本152三〕
庶幾(―キ) 。〔静嘉堂本344二〕
庶幾何事如之〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
庶幾(―キ)何事カ如シ∨之〔山田俊雄藏本〕
庶幾(ソキ)何事カ如ン∨之ニ哉〔経覺筆本〕
庶-幾(ソキ)何_事カ如(シカン)∨之ニ〔文明四年本〕
庶幾(ソキ/コヒネガハク) 。〔言辭門149五〕
庶幾(ソキ/ヲモテ、ヲガム)[去・去] 。〔態藝門876八〕
とあって、標記語「庶幾」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
庶幾(ソキ) 。〔弘・言語進退門122一〕〔永・言語門101九〕〔尭・言語門92四〕〔両・言語門112六〕
とあって、標記語「庶幾」の語を収載し、訓みを「ソキ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
庶幾(ソキ) ―品(ホン)。〔言辞門101二〕
とあって、標記語「庶幾」の語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「庶幾」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「庶幾」とし、その語注記は、未記載にする。
依テ∨無ニ‖指_事(サせル―)|常(ツネ)ニ不‖申_通せ疎畧(ソリヤク)之至(イタリ)驚(ヲドロキ)_入_候ノ處芳問(ハウモン)之条(デウ)珍重(チンテウ)也。日來(ヒゴロ)ノ本望(ホンモフ)忽(スミヤカ)ニ以テ滿足(マンゾク)ニ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何ニ事カ如(シカ)ン∨之ニ哉(ヤ)。庶幾トハ。隨ヒウクル心ナリ。〔下19オ一〜三〕
庶幾(そき)何事(なにこと)か之(これ)に如(しか)ん哉(や)/庶幾何事カ如ン∨之ニ哉 庶幾ハこひねかふと訓す。願ひ望みたる事此上ハなしと也。是まては殊に願り悦ふ事を述たるなり。〔61オ三〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸佇(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。▲庶幾ハこひねがふと訓(よ)む。願ひ望(のそ)む事といふ義。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。▲庶幾ハこひねがふと訓(よ)む。願ひ望(のそ)む事といふ義。〔81オ三〜81ウ六〕
Soqi.ソキ(庶幾) すなわち,Coinego<.(庶ふ) 乞うこと,あるいは,望むこと.例,Soqisuru.(庶幾する)〔邦訳574r〕
そ-き・すスル・スレ・セ・セヨ〔他動、左變〕【庶幾】しょきす(庶幾)に同じ。太平記、八、山徒寄二京都一事「二人が命を捨てて、三塔の恥を雪めんと云ひければ、豪仙、云ふにや及ぶ、尤も、庶幾(ソキ)する所なり」〔1144-5〕
滿足(マンゾク) 。〔元亀二年本206三〕〔静嘉堂本234二〕
滿足(マンソク) 。〔天正十七年本中46ウ二〕
日来本望忽以滿足候訖〔至徳三年本〕
日來本望忽以滿足候畢〔宝徳三年本〕
日來之本望忽以滿足候了〔建部傳内本〕
日_來(コロ)ノ本-望忽_以滿足候訖〔山田俊雄藏本〕
日_來(ヒコロ)ノ本望忽チニ以滿足仕リ候畢〔経覺筆本〕
日_來ノ本望忽以滿足候畢〔文明四年本〕
滿足(マンゾク・―アシ/ミチ、タル)[上・入]〔態藝門580三〕
とあって、標記語「滿足」の語を収載し、語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
滿足(マンゾク) 。〔弘・言語進退門171二〕
滿足(マンゾク) ―遍(ベン)。―散(サン)。〔永・言語門139九〕
滿足(マンソク) ―遍。―座。―散。〔尭・言語門129三〕
とあって、標記語「滿足」の語を収載し、訓みを「マンゾク」「マンソク」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
満晏(マンベン) ―足(ゾク)。―作(サク)。―散(サン)。〔言辞門141五〕
とあって、標記語「満晏」の冠頭字「滿」の熟語群として「滿足」語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「滿足」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「滿足」とし、その語注記は、未記載にする。
依テ∨無ニ‖指_事(サせル―)|常(ツネ)ニ不‖申_通せ疎畧(ソリヤク)之至(イタリ)驚(ヲドロキ)_入_候ノ處芳問(ハウモン)之条(デウ)珍重(チンテウ)也。日來(ヒゴロ)ノ本望(ホンモフ)忽(スミヤカ)ニ以テ滿足(マンゾク)ニ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何ニ事カ如(シカ)ン∨之ニ哉(ヤ)。庶幾トハ。隨ヒウクル心ナリ。〔下19オ一〜三〕
珍重(ちんてう)々々(/\)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつ)て滿足(まんそく)候ひ訖ぬ/珎重々々日來ノ本望忽以滿足候畢 滿ハみつる、足ハたれりと訓す。日比の望ミ十分に足れりと也。〔61オ二・三〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸佇(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。▲滿足ハ心に足る也。〔45ウ二〜46オ一〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。▲滿足ハ心に足る也。〔81オ三〜81ウ六〕
Manzocu.マンゾク(滿足) 満ち足りること,十分であること,あるいは,満足であること.例,Manzocu xita.(満足した)私は喜ばしく満ち足りている.§また,これはある人が,ある物事に対する喜びとか感謝とかの心をあらわすのに用いる言葉である.〔邦訳384r〕
まん-ぞく〔名〕【滿足】(一)みちたれること。全きこと。南齊書、張敬兒傳「自稱二三公一、然而意知二滿足一」(二)心滿足(みちた)ること。思ひ通りになれるに感じて、甘んじてあること。望みの十分に適ひて、些の不足を感ぜぬこと。林エ節用集、雜用「滿足、マンゾク」庭訓徃來、八月「日來本望、忽以滿足候畢訖」狂言記、布施無「それは役に立ちまして、滿足に存じます」(三)數學にて、方程式の術語。或方程式を成立せしむる未知數の値は、その方程式に滿足すと云ふ。〔1902-2〕
日來(―ゴロ) 。〔元亀二年本340二〕
日來(ヒゴロ) 。〔静嘉堂本411五〕
日来本望忽以滿足候訖〔至徳三年本〕
日來本望忽以滿足候畢〔宝徳三年本〕
日來之本望忽以滿足候了〔建部傳内本〕
日_來(コロ)ノ本-望忽_以滿足候訖〔山田俊雄藏本〕
日_來(ヒコロ)ノ本望忽チニ以滿足仕リ候畢〔経覺筆本〕
日_來ノ本望忽以滿足候畢〔文明四年本〕
日來(ヒゴロ/ジチライ)[入・平] 日比。〔態藝門1046三〕
とあって、標記語「日來」の語を収載し、語注記は同語表記「日比」の語を記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
日来(ヒゴロ) 。〔弘・時節251一〕〔永・言語門214八〕〔尭・言語門200二〕
とあって、標記語「日来」の語を収載し、訓みを「ヒゴロ」とし、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』に、
日來(ヒゴロ) 。〔時候門221七〕
とあって、標記語「日來」語を収載する。
このように、上記当代の古辞書は、「日來」の語を収載し、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
452依∨无‖指亊|常ニ不ルコト/ス‖申通せ疎略之至驚入候ノ処ニ芳問之条珎重々々。日_來ノ本望忽以滿足仕候畢。庶幾(ソキ)何亊カ如∨之ニ哉。四海ノ太平、一天ノ静謐ノ亊、人々ノ攘(ハライ)-∨災(サイ)ヲ所々ノ幸祐也。御沙汰ノ亊嚴密ニ被‖執行|也。更非‖停滞(―タイ)預儀之政道| 預猶預之義也。〔謙堂文庫蔵四四右E〕
とあって、標記語を「日來」とし、その語注記は、未記載にする。
依テ∨無ニ‖指_事(サせル―)|常(ツネ)ニ不‖申_通せ疎畧(ソリヤク)之至(イタリ)驚(ヲドロキ)_入_候ノ處芳問(ハウモン)之条(デウ)珍重(チンテウ)也。日來(ヒゴロ)ノ本望(ホンモフ)忽(スミヤカ)ニ以テ滿足(マンゾク)ニ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何ニ事カ如(シカ)ン∨之ニ哉(ヤ)。庶幾トハ。隨ヒウクル心ナリ。〔下19オ一〜三〕
珍重(ちんてう)々々(/\)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつ)て滿足(まんそく)候ひ訖ぬ/珎重々々日來ノ本望忽以滿足候畢 滿ハみつる、足ハたれりと訓す。日比の望ミ十分に足れりと也。〔61オ二・三〕
指(さ)せる事(こと)無(な)きに依(よつ)て常に申(まふ)し通ぜ不(す)疎略(そりやく)之(の)至(いた)り驚(おどろ)き入(い)り候(さふら)ふ之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之條(てう)珍重(ちんちやう)珍重(ちんちやう)日來(ひころ)の本望(ほんもう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふら)ひ訖(をハん)ぬ庶幾(そき)何事(なにこと)か之に如(しか)ん哉(や)四海泰平(しかいたいへい)一天静謐(いつてんせいひつ)乃事(こと)人人(ひとびと)の攘災(しやうさひ)所所(しよ/\)の幸佇(こうこ)也(なり)御沙汰(こさた)乃事(こと)嚴密(けんミつ)に執行(しゆきやう)せら被(ら)る所(ところ)也(なり)更(さら)に停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に非(あら)ず訴訟(そせう)若(もし)悠々緩怠(ゆう/\くハんたい)之(の)儀(き)有(あ)ら者(ハ)御在洛(こさいらく)之(の)費(ついえ)也(なり)/依テ∨無‖指事|常ニ不‖申シ通セ。疎略之至。驚キ入候フ之處。芳問之條。珎重々々。日來ノ本望忽以滿足シ候ヒ畢ヌ。庶幾(ソキ)何事カ如カン∨之ニ哉。四海太平。一天静謐ノ事。人々攘-災。所々ノ幸佇也。御沙汰ノ事嚴密ニ取∨被‖執行セラ|也。更ニ非ス‖停滞豫儀之政道|。訴訟若有ラ‖悠々緩怠之儀|者。御在洛之費エ也。〔45ウ二〜八〕
依(よつ)て∨無(なき)に‖指(させる)事(こと)|常(つね)に不(ず)‖申(まう)し通(つう)ぜ疎略(そりやく)之(の)至(いたり)。驚(おとろ)き入(い)り候(さふらふ)之(の)處(ところ)芳問(はうもん)之(の)條(でう)珎重(ちんちよう)々々(/\)日來(ひごろ)本望(ほんまう)忽(たちまち)以(もつて)滿足(まんそく)し候(さふらひ)訖(をハんぬ)庶幾(そき)何事(なにこと)か如(しか)ん∨之(これ)に哉(や)四海(しかい)泰平(たいへい)一天(いつてん)静謐(せいひつ)の事(こと)人々(ひと/\)の攘災(じやうさい)所々(しよ/\)の幸佇(かうこ)也(なり)。御沙汰(こさた)の事(こと)嚴密(げんミつ)に所(ところ)∨被(るゝ)‖執行(しゆぎやう)せら|也(なり)。更(さら)に非(あら)ず‖停滞(ていたい)豫儀(よぎ)之(の)政道(せいたう)に|訴訟(そしやう)若(もし)有(あ)ら‖悠々(いう/\)緩怠(くわんたい)之(の)儀(ぎ)|者(バ)御在洛(ございらく)之(の)費(つひえ)也(なり)。〔81オ三〜81ウ五〕
Figoro.ヒゴロ(日比) この数日間,または,数日前.〔邦訳231l〕
ひ-ごろ〔副〕【日頃】數日このかた。かねてより。つねづね。日來。源氏物語、四、夕顔4「ひごろおこたり難く物せらるるを、安からず歎きわたりつるに」榮花物語、一、月宴「式部卿の宮、ひごろいたく煩ひ給ふと聞ゆれば」玉葉集、三、夏「夕立の、なごりばかりの、にはたづみ、ひごろも聞かぬ、蛙鳴くなり」「日頃の思」日頃の顔」〔1658-5〕
BACK(「言葉の泉」へ)
MAIN MENU(情報言語学研究室へ)
メールは、<(自宅)hagi@kk.iij4u.or.jp.(学校)hagi@komazawa-u.ac.jp.>で、お願いします。