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ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
侍所者謀叛殺害山海兩賊強竊二-盗放火〔至徳三年本〕
侍所者謀叛殺害山海兩賊強竊二-盗放火〔宝徳三年本〕
侍所者謀叛殺害山海兩賊強竊二-盗放火〔建部傳内本〕
侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)〔山田俊雄藏本〕
侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)〔経覺筆本〕
侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
472山海(―ンカイ)ノ兩-賊強-竊ノ二-盗放-火刃-傷 兵刃棒等以成∨疵也。〔謙堂文庫藏四六右C〕
とあって、標記語「兩賊」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
與奪(ヨダツ)ヲ|當参ノ仁ハ者成シ‖書下ヲ|。下國ノ之時ハ者下シ‖奉書(ホウ―)ヲ|而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)與奪ト云事罪過(ザイクハ)ニ処(シヨ)せラレテ。後ヒイキ人アリ。本ノ如ク御免(ユル)シヲ蒙(カウム)ルヲ與奪ト云也。又我処ヘ差(サシ)テ來ル財産(サイサン)ヲ近付人分ケ遣(ツカハ)スヲ云フナリ。人ノ家ニツクル者ナリ。〔下21ウ三〜八〕
山海(さんかい)の両賊(りやうぞく)強竊(かうせつ)の二盗(にとう)/山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗山賊海賊強盗窃盗の注前に見へたり。〔66ウ三〜四〕
とあって、この標記語「兩賊」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
侍所(さむらひどころ)者(ハ)謀叛(むほん)殺害(せつがい)山海(さんかい)の両賊(りやうぞく)強竊(かうせつ)の二盗(にとう)放火(はうくハ)/侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)。▲山海ノ兩賊強竊ノ二盗ハ六月の進状に見ゆ。〔49オ八〕
侍所(さむらひところ)者(ハ)謀叛(むほん)殺害(せつかい)山海(さんかい)兩賊(りやうぞく)強-竊(がうせつ)二盗(にとう)放火(はうくわ)。▲山海ノ兩賊強竊ノ二盗ハ六月の進状に見ゆ。〔88オ六〜ウ一〕
侍所者謀叛殺害山海兩賊強竊二-盗放火〔至徳三年本〕
侍所者謀叛殺害山海兩賊強竊二-盗放火〔宝徳三年本〕
侍所者謀叛殺害山海兩賊強竊二-盗放火〔建部傳内本〕
侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)〔山田俊雄藏本〕
侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)〔経覺筆本〕
侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書に、「山海」の語は未収載であり、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本には収載しているのである。
472山海(―ンカイ)ノ兩-賊強-竊ノ二-盗放-火刃-傷 兵刃棒等以成∨疵也。〔謙堂文庫藏四六右C〕
とあって、標記語「山海」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
與奪(ヨダツ)ヲ|當参ノ仁ハ者成シ‖書下ヲ|。下國ノ之時ハ者下シ‖奉書(ホウ―)ヲ|而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)與奪ト云事罪過(ザイクハ)ニ処(シヨ)せラレテ。後ヒイキ人アリ。本ノ如ク御免(ユル)シヲ蒙(カウム)ルヲ與奪ト云也。又我処ヘ差(サシ)テ來ル財産(サイサン)ヲ近付人分ケ遣(ツカハ)スヲ云フナリ。人ノ家ニツクル者ナリ。〔下21ウ三〜八〕
山海(さんかい)の両賊(りやうぞく)強竊(かうせつ)の二盗(にとう)/山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗山賊海賊強盗窃盗の注前に見へたり。〔66ウ三〜四〕
とあって、この標記語「山海」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
侍所(さむらひどころ)者(ハ)謀叛(むほん)殺害(せつがい)山海(さんかい)の両賊(りやうぞく)強竊(かうせつ)の二盗(にとう)放火(はうくハ)/侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)。▲山海ノ兩賊強竊ノ二盗ハ六月の進状に見ゆ。〔49オ八〕
侍所(さむらひところ)者(ハ)謀叛(むほん)殺害(せつかい)山海(さんかい)兩賊(りやうぞく)強-竊(がうせつ)二盗(にとう)放火(はうくわ)。▲山海ノ兩賊強竊ノ二盗ハ六月の進状に見ゆ。〔88オ六〜ウ一〕
Sancai.サンカイ(山海) Yama,vmi.(山,海) 山と海と.例,Sancaino chinbut,cocudono quaxi.(山海の珍物,国土の菓子)海や陸地の結構な食物と,諸国の果物と.〔邦訳553r〕
さん-かい〔名〕【山海】やまと、うみと。うみやま。海陸。史記、平準書「通二輕重之權一、徼二山海之業一」犬子集(寛永)「山海の、珍物なれや、紅葉鮒」「山海の利」〔0830-5〕
× 。〔元亀二年本は欠落〕
殺害(セツガイ) 。〔静嘉堂本425八〕
侍所者謀叛殺害山海兩賊強竊二-盗放火〔至徳三年本〕
侍所者謀叛殺害山海兩賊強竊二-盗放火〔宝徳三年本〕
侍所者謀叛殺害山海兩賊強竊二-盗放火〔建部傳内本〕
侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)〔山田俊雄藏本〕
侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)〔経覺筆本〕
侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
絢害 同/セツカイ。〔黒川本・疉字門下105ウ五〕
絢害 〃生。〔卷十・疉字門463四〕
殺害(せツガイ/コロス・ソコナウ)[入・去] 。〔態藝門1095二〕
とあって、標記語「殺害」の語を収載し、訓みを「セツガイ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
殺害(―ガイ) 。〔弘・言語進退門266一〕
殺生(セツシヤウ) ―害(ガイ)。―入(ジユ)。〔永・言語門226五〕
殺生(セツシヤウ) ―害。―入。〔尭・言語門213二〕
とあって、標記語「殺害」との語を収載する。また、易林本『節用集』には、
殺生(セツシヤウ) ―害(ガイ)。〔言語門236六〕
このように、上記当代の古辞書に、「殺害」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
471殺害 直ニ殺ヲ有也。〔謙堂文庫藏四六右B〕
とあって、標記語「殺害」の語を収載し、語注記は、「直に殺すを有なり」と記載する。
與奪(ヨダツ)ヲ|當参ノ仁ハ者成シ‖書下ヲ|。下國ノ之時ハ者下シ‖奉書(ホウ―)ヲ|而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)與奪ト云事罪過(ザイクハ)ニ処(シヨ)せラレテ。後ヒイキ人アリ。本ノ如ク御免(ユル)シヲ蒙(カウム)ルヲ與奪ト云也。又我処ヘ差(サシ)テ來ル財産(サイサン)ヲ近付人分ケ遣(ツカハ)スヲ云フナリ。人ノ家ニツクル者ナリ。〔下21ウ三〜八〕
侍所(さむらひところ)ハ謀叛(むほん)殺害(せつがい)/侍所者謀叛殺害山賊海賊強盗窃盗の注前に見へたり。〔66ウ二〜三〕
とあって、この標記語「殺害」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
侍所(さむらひどころ)者(ハ)謀叛(むほん)殺害(せつがい)山海(さんかい)の両賊(りやうぞく)強竊(かうせつ)の二盗(にとう)放火(はうくハ)/侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)。▲殺害ハ人を殺(ころ)す者。〔48ウ四〕
侍所(さむらひところ)者(ハ)謀叛(むほん)殺害(せつかい)山海(さんかい)兩賊(りやうぞく)強-竊(がうせつ)二盗(にとう)放火(はうくわ)。▲殺害ハ人を殺(ころ)す者(もの)。〔86ウ六〜87オ一〕
Xetgai.セツガイ(殺害) Coroxi,su.(殺し,す)殺すこと,すなわち殺戮.〔邦訳756lr〕
せつ-がい〔名〕【殺害】又、せちがい。ころし、害(そこな)ふこと。あやむること。(人に云ふ)後漢書、西域傳「疏勒王連相殺害」謡曲、籠太鼓「荒けなき人心、情なしとは思へども、殺害の科を免れえぬ、報いの程ぞ無慙なる」〔1109-4〕
探題(タンダイ) 。〔元亀二年本140九〕
探題(タンダイ) 。〔静嘉堂本150五〕
探題(タンダイ) 。〔天正十七年本中7オ三〕
而無音之時下使者召文調訴陳状相對當所執事年管領奉-行人等可致問答披露沙汰就探題之異見所加下知也〔至徳三年本〕
而無音之時下使者召文調訴陳状相對當所執事年之管領奉-行人等可致問答披露沙汰就探題之異見所加下知也〔宝徳三年本〕
無音之時者下使者召文調訴陳状相對當所執事管領奉-行人等致問答披露沙汰就探題之異見所加下知也〔建部傳内本〕
而(シカル)ニ無-音ノ之時ハ者下シ‖使-者ノ召文ヲ|調ヘ‖訴-陳-状ヲ|相ヒ‖-對シテ當-所ノ執-亊(シツ―)管-領奉-行-人等ニ|致‖問-答ヲ|披-露沙汰就テ‖探題(タンダイ)ノ之異-見ニ|所∨加‖下-知ヲ|也。〔山田俊雄藏本〕
而テ无音之時下シ‖使者ニ召文ヲ|調(シラ)ベ‖訴陳ノ状ヲ|相‖-對シ當所ノ執亊年々ノ管領奉行人等ニ|可下致シ‖問答ヲ|披中露ス沙汰ヲ上就キ‖探題(タンダイ)之異見ニ|所∨加‖下知ヲ|也。〔経覺筆本〕
而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使者ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
探題(タンタイ) 。〔態藝門84六〕
探題(タンダイ/サグル、―) 。〔態藝門356八〕
とあって、標記語「探題」の語を収載し、訓みを「タンダイ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
探題(タンダイ) 。〔弘・言語進退門112六〕〔永・言語門95五〕〔尭・言語門87二〕
探題(タンタイ) 。〔両・言語門105七〕
とあって、標記語「探題」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
探題(タンダイ) 。〔言語門95四〕
このように、上記当代の古辞書に、「探題」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
470无-音之時-者下(クー)シ‖使者ニ召_文ヲ|調ヘ‖訴陳ノ状ヲ|相‖-對シ當所執亊(シツシ)ニ|官-領奉-行-人-等ニ可下致‖問答|披露中沙汰上就‖探題(タンタイ)之異見|所∨加‖下知|也。侍所者謀叛 法意ニハ八扈ノ内第三ヲ爲‖謀叛|。亦第一ヲ曰‖謀叛|、謂∨謀ルヲ∨危ント‖国家ヲ|。必乱‖其国|、又背∨国云∨謀。背∨邑云∨叛。々音ハ薄半反、離也。去也。又府遠反、覆也。不順也。漢音也。而ヲ爲‖呉音|、僻亊也。呉音叛ト可∨讀。今不∨及∨力也。〔謙堂文庫蔵四五左G〕
とあって、標記語「探題」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
與奪(ヨダツ)ヲ|當参ノ仁ハ者成シ‖書下ヲ|。下國ノ之時ハ者下シ‖奉書(ホウ―)ヲ|而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)與奪ト云事罪過(ザイクハ)ニ処(シヨ)せラレテ。後ヒイキ人アリ。本ノ如ク御免(ユル)シヲ蒙(カウム)ルヲ與奪ト云也。又我処ヘ差(サシ)テ來ル財産(サイサン)ヲ近付人分ケ遣(ツカハ)スヲ云フナリ。人ノ家ニツクル者ナリ。〔下21ウ三〜八〕
當所(とうしよ)の執事(しつじ)年々(ねん/\)の管領(くわんりやう)奉行人(ふきやうにん)等(とう)に相對(あいたい)して問答(もんとう)を致(いた)さす可(へし)沙汰(さた)を披露(ひろう)し探題(たんだい)の異見(いけん)に就(つい)て下知(げち)を加(くハふ)る所(ところ)也/相‖-對ノ當所ノ執事之年々ノ管領奉行人等ニ|可下致サス‖問答ヲ|披-露ス沙汰ヲ|就テ‖探題之異見ニ|所∨加ル‖下知ヲ|也皆上に注す。披露沙汰異見の注并に前に見へたり《以下略》。〔66オ一〕
とあって、この標記語「探題」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
而(しか)るに無音(ぶいん)之(の)時(とき)ハ使節(しせつ)召文(めしぶミ)を下(くだ)し訴陳(そちん)の状(じやう)を調(とゝの)へ當所(たうしよ)乃執事(しつじ)年年(ねん/\・とし)の管領(くハんれい)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)に相對(あいたい)し問答(もんだふ)を致(いた)し沙汰(さた)を披露(ひろう)す可(べ)し探題(たんたい)之(の)異見(いけん)に就(つい)て下知(げぢ)を加(くハ)ふる所(ところ)也(なり)/而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執事(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。▲探題ハ鎌倉(かまくら)将軍(しやうぐん)久明親王(ひさあきらしんわう)の時永仁(ゑいにん)三年鎮西(ちんせい)國の探題を置れしより始(はじま)る。北條(ほうでう)の比(ころ)両六波羅(りやうろくはら)を京都の探題と云へり。即(すなハち)今(いま)の所司代(しよしだい)也。〔48ウ四〜五〕
而(しかる)に無-音(ぶいん)之(の)時(とき)ハ下(くだ)し‖使節(しせつ)召文(めしぶミ)を|調(とゝの)ヘ‖訴陳(そちん)の状(じやう)を|相(あ)ひ‖-對(たい)し當所(たうしよ)の執事(しつじ)|年々(ねん/\)の管領(くわんれい)奉-行人(ぶぎやうにん)等(とう)に可(べし)下致(いたし)‖問答(もんだふ)を|披露(ひろう)す中沙汰(さた)を上就(つい)て‖探題(たんだい)之(の)異見(いけん)に|所(ところ)∨加(くハふ)る‖下知(げぢ)を|也(なり)。▲探題ハ鎌倉(かまくら)将軍(しやうぐん)久明親王(ひさあきらしんわう)の時永仁(ゑいにん)三年鎮西(ちんぜい)國(ごく)の探題を置れしより始(はじま)る。北條(ほうでう)の比(ころ)両六波羅(りやうろくはら)を京都の探題と云へり。即(すなハち)今(いま)の所司代(しよしだい)なり。〔87オ二〜三〕
Tandai.タンダイ(探題) 統治者,または,司法官.〔邦訳610l〕
たん-だい〔名〕【探題】(一)内宴、重陽の宴などにて、詩歌を賦する時、題を探りて分ち取ること。王建詩「探題得幽石」字類抄「探題、タムタイ、サクリアラハス」名目抄「探題(タンダイ)、内宴重陽宴等時、取二作文題一事也、天台宗有此名目其事太相違」後撰集、十八、雜、四「左大臣ノ家にて、かれこれ題をさぐりて歌よみ侍りけるに、露といふ文字を得侍りて、云云」(二)鎌倉、北條氏の頃に、六波羅探題(京都)、中國探題(長門)、築紫探題(筑前)、陸奥探題などありて、遠隔重要の地方に置ける職名。其一地方の事を奉行し、訴訟成敗を掌り、外寇などの鎭とす。大和事始、二、官位門「伏見院の御時、北條貞時、始て北條兼時を六波羅より築紫に遣し、鎭西の探題とし、西國の成敗を掌り、異賊のおさへとす、又一族の内、一人を長門の探題とし、中國の事を掌らしむ、是れ探題職の始也」(三)佛家にて、法華會、又は、維摩會(ゆゐまゑ)などの時、論議の題を出し、其答辯の判定をする役僧。江家次第、五、圓宗寺最勝會「次探題參」行状翼讀、五、「判斷者ありて、是非を調べらる、是を題者と稱し、又探題と云ふ」武峯論話「探題の名義は、歌道に出る歟、其人を指しては、必ず題者と云ふべし、高座にては精義者と云ふべし」〔1247-1〕
問答(モンダウ) 。〔元亀二年本348六〕
問答(―タウ) 。〔静嘉堂本419三〕
問答(モンタウ) 。〔天正十七年本中1ウ二〕
而無音之時下使者召文調訴陳状相對當所執事年管領奉-行人等可致問答披露沙汰就探題之異見所加下知也〔至徳三年本〕
而無音之時下使者召文調訴陳状相對當所執事年之管領奉-行人等可致問答披露沙汰就探題之異見所加下知也〔宝徳三年本〕
無音之時者下使者召文調訴陳状相對當所執事管領奉-行人等致問答披露沙汰就探題之異見所加下知也〔建部傳内本〕
而(シカル)ニ無-音ノ之時ハ者下シ‖使-者ノ召文ヲ|調ヘ‖訴-陳-状ヲ|相ヒ‖-對シテ當-所ノ執-亊(シツ―)管-領奉-行-人等ニ|致‖問-答ヲ|披-露沙汰就テ‖探題(タンダイ)ノ之異-見ニ|所∨加‖下-知ヲ|也。〔山田俊雄藏本〕
而テ无音之時下シ‖使者ニ召文ヲ|調(シラ)ベ‖訴陳ノ状ヲ|相‖-對シ當所ノ執亊年々ノ管領奉行人等ニ|可下致シ‖問答ヲ|披中露ス沙汰ヲ上就キ‖探題(タンダイ)之異見ニ|所∨加‖下知ヲ|也。〔経覺筆本〕
而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使者ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
問答 モンタウ。〔黒川本・疉字門下100ウ二〕
問訊 モンシン 〃者。〃冷。〃注/〃答。〃頭。〔卷四・疉字門366二〕
問答(モンダフ/フン・トイ、コタヱ)[去・入] 。〔態藝門1072六〕
とあって、標記語「問答」の語を収載し、訓みを「モンダフ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
問答(モンタウ) 。〔弘・言語進退門261一〕
問答(モンタウ) ―注(ヂウ)。―訊(シン)。〔永・言語門222二〕
問答(モンタウ) ―注。―話。―訊。〔尭・言語門208五〕
とあって、標記語「問答」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
問答(モンダフ) ―註(ヂフ)。〔言語門230七〕
このように、上記当代の古辞書に、「問答」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
470无-音之時-者下(クー)シ‖使者ニ召_文ヲ|調ヘ‖訴陳ノ状ヲ|相‖-對シ當所執亊(シツシ)ニ|官-領奉-行-人-等ニ可下致‖問答|披露中沙汰上就‖探題(タンタイ)之異見|所∨加‖下知|也。侍所者謀叛 法意ニハ八扈ノ内第三ヲ爲‖謀叛|。亦第一ヲ曰‖謀叛|、謂∨謀ルヲ∨危ント‖国家ヲ|。必乱‖其国|、又背∨国云∨謀。背∨邑云∨叛。々音ハ薄半反、離也。去也。又府遠反、覆也。不順也。漢音也。而ヲ爲‖呉音|、僻亊也。呉音叛ト可∨讀。今不∨及∨力也。〔謙堂文庫蔵四五左G〕
とあって、標記語「問答」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
與奪(ヨダツ)ヲ|當参ノ仁ハ者成シ‖書下ヲ|。下國ノ之時ハ者下シ‖奉書(ホウ―)ヲ|而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)與奪ト云事罪過(ザイクハ)ニ処(シヨ)せラレテ。後ヒイキ人アリ。本ノ如ク御免(ユル)シヲ蒙(カウム)ルヲ與奪ト云也。又我処ヘ差(サシ)テ來ル財産(サイサン)ヲ近付人分ケ遣(ツカハ)スヲ云フナリ。人ノ家ニツクル者ナリ。〔下21ウ三〜八〕
當所(とうしよ)の執事(しつじ)年々(ねん/\)の管領(くわんりやう)奉行人(ふきやうにん)等(とう)に相對(あいたい)して問答(もんとう)を致(いた)さす可(へし)沙汰(さた)を披露(ひろう)し探題(たんだい)の異見(いけん)に就(つい)て下知(げち)を加(くハふ)る所(ところ)也/相‖-對ノ當所ノ執事之年々ノ管領奉行人等ニ|可下致サス‖問答ヲ|披-露ス沙汰ヲ|就テ‖探題之異見ニ|所∨加ル‖下知ヲ|也皆上に注す。披露沙汰異見の注并に前に見へたり《以下略》。〔66オ一〕
とあって、この標記語「問答」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
而(しか)るに無音(ぶいん)之(の)時(とき)ハ使節(しせつ)召文(めしぶミ)を下(くだ)し訴陳(そちん)の状(じやう)を調(とゝの)へ當所(たうしよ)乃執事(しつじ)年年(ねん/\・とし)の管領(くハんれい)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)に相對(あいたい)し問答(もんだふ)を致(いた)し沙汰(さた)を披露(ひろう)す可(べ)し/而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執事(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。▲無音使節訴陳等以下の注(ちう)皆(ミな)前に見ゆ。〔48ウ四〕
而(しかる)に無-音(ぶいん)之(の)時(とき)ハ下(くだ)し‖使節(しせつ)召文(めしぶミ)を|調(とゝの)ヘ‖訴陳(そちん)の状(じやう)を|相(あ)ひ‖-對(たい)し當所(たうしよ)の執事(しつじ)|年々(ねん/\)の管領(くわんれい)奉-行人(ぶぎやうにん)等(とう)に可(べし)下致(いたし)‖問答(もんだふ)を|披露(ひろう)す中沙汰(さた)を上就(つい)て‖探題(たんだい)之(の)異見(いけん)に|所(ところ)∨加(くハふ)る‖下知(げぢ)を|也(なり)。▲無音使節訴陳等以下の注(ちう)皆(ミな)前に見ゆ。〔86ウ六〜87オ一〕
Mondo<.モンダゥ(問答) Toi,cotayuru.(問ひ,答ゆる)議論.§Mo~do<ni voyobu.(問答に及ぶ)議論をする.例,Saiuo<no mondo<ni voyobu becarazu.(再往の問答に及ぶべからず)Taif.(太平記)卷二十八.反論する必要はない,または,議論をむしかえす必要はない.§Mondo< suru.(問答する)議論する.※卷二十七の誤り.太平記,二十七,御所囲事.〔邦訳419r〕
もん-だう〔名〕【問答】又、もだふ。問(と)ふと答(こた)ふると。雜纂續(宋、王祺)「少二道理一不レ會、襌和尚問答、村學堂講書」大鏡、中、伊尹「殿上に歌ろぎと云ふこと出で來て、その道の人人いかがもんだふすべきなど、歌の學問より外の事もなきに」源平盛衰記、廿六、慈心坊得二閻魔請一事「勸進のために、暫殘留めて、閻魔王と問答の次でに申しけるは」〔2018-1〕
而無音之時下使者召文調訴陳状相對當所執事年管領奉-行人等可致問答披露沙汰就探題之異見所加下知也〔至徳三年本〕
而無音之時下使者召文調訴陳状相對當所執事年之管領奉-行人等可致問答披露沙汰就探題之異見所加下知也〔宝徳三年本〕
無音之時者下使者召文調訴陳状相對當所執事管領奉-行人等致問答披露沙汰就探題之異見所加下知也〔建部傳内本〕
而(シカル)ニ無-音ノ之時ハ者下シ‖使-者ノ召文ヲ|調ヘ‖訴-陳-状ヲ|相ヒ‖-對シテ當-所ノ執-亊(シツ―)管-領奉-行-人等ニ|致‖問-答ヲ|披-露沙汰就テ‖探題(タンダイ)ノ之異-見ニ|所∨加‖下-知ヲ|也。〔山田俊雄藏本〕
而テ无音之時下シ‖使者ニ召文ヲ|調(シラ)ベ‖訴陳ノ状ヲ|相‖-對シ當所ノ執亊年々ノ管領奉行人等ニ|可下致シ‖問答ヲ|披中露ス沙汰ヲ上就キ‖探題(タンダイ)之異見ニ|所∨加‖下知ヲ|也。〔経覺筆本〕
而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使者ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
當所(タウシヨ/アタル、トコロ)[去・上] 。〔態藝門348三〕
とあって、標記語「當所」の語を収載し、訓みを「タウシヨ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、標記語「當所」の語は未収載にする。また、易林本『節用集』には、
當時(タウジ) ―代(ダイ)。―道(ダウ)。―流(リウ)。―腹(ブク)。―院(井ン)。―世(セイ)。―座(ザ)。―罰(バツ)。―番(バン)。―機(キ)/―學(ガク)。―用(ヨウ)。―家(ケ)。―山(サン)。―國(コク)。―所(シヨ)。―來(ライ)。―季(キ)。―分(ブン)。〔言語門93一〕
このように、上記当代の古辞書に、「當所」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
470无-音之時-者下(クー)シ‖使者ニ召_文ヲ|調ヘ‖訴陳ノ状ヲ|相‖-對シ當所執亊(シツシ)ニ|官-領奉-行-人-等ニ可下致‖問答|披露中沙汰上就‖探題(タンタイ)之異見|所∨加‖下知|也。侍所者謀叛 法意ニハ八扈ノ内第三ヲ爲‖謀叛|。亦第一ヲ曰‖謀叛|、謂∨謀ルヲ∨危ント‖国家ヲ|。必乱‖其国|、又背∨国云∨謀。背∨邑云∨叛。々音ハ薄半反、離也。去也。又府遠反、覆也。不順也。漢音也。而ヲ爲‖呉音|、僻亊也。呉音叛ト可∨讀。今不∨及∨力也。〔謙堂文庫蔵四五左G〕
とあって、標記語「當所」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
與奪(ヨダツ)ヲ|當参ノ仁ハ者成シ‖書下ヲ|。下國ノ之時ハ者下シ‖奉書(ホウ―)ヲ|而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)與奪ト云事罪過(ザイクハ)ニ処(シヨ)せラレテ。後ヒイキ人アリ。本ノ如ク御免(ユル)シヲ蒙(カウム)ルヲ與奪ト云也。又我処ヘ差(サシ)テ來ル財産(サイサン)ヲ近付人分ケ遣(ツカハ)スヲ云フナリ。人ノ家ニツクル者ナリ。〔下21ウ三〜八〕
當所(とうしよ)の執事(しつじ)年々(ねん/\)の管領(くわんりやう)奉行人(ふきやうにん)等(とう)に相對(あいたい)して問答(もんとう)を致(いた)さす可(へし)沙汰(さた)を披露(ひろう)し探題(たんだい)の異見(いけん)に就(つい)て下知(げち)を加(くハふ)る所(ところ)也/相‖-對ノ當所ノ執事之年々ノ管領奉行人等ニ|可下致サス‖問答ヲ|披-露ス沙汰ヲ|就テ‖探題之異見ニ|所∨加ル‖下知ヲ|也皆上に注す。披露沙汰異見の注并に前に見へたり《以下略》。〔66オ一〕
とあって、この標記語「當所」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
而(しか)るに無音(ぶいん)之(の)時(とき)ハ使節(しせつ)召文(めしぶミ)を下(くだ)し訴陳(そちん)の状(じやう)を調(とゝの)へ當所(たうしよ)乃執事(しつじ)年年(ねん/\・とし)の管領(くハんれい)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)に相對(あいたい)し問答(もんだふ)を致(いた)し沙汰(さた)を披露(ひろう)す可(べ)し/而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執事(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。〔48ウ四〕
而(しかる)に無-音(ぶいん)之(の)時(とき)ハ下(くだ)し‖使節(しせつ)召文(めしぶミ)を|調(とゝの)ヘ‖訴陳(そちん)の状(じやう)を|相(あ)ひ‖-對(たい)し當所(たうしよ)の執事(しつじ)|年々(ねん/\)の管領(くわんれい)奉-行人(ぶぎやうにん)等(とう)に可(べし)下致(いたし)‖問答(もんだふ)を|披露(ひろう)す中沙汰(さた)を上就(つい)て‖探題(たんだい)之(の)異見(いけん)に|所(ところ)∨加(くハふ)る‖下知(げぢ)を|也(なり)。〔86ウ六〜87オ一〕
To<xo.タウショ(當所) Cono tocoro.(この所) この場所,あるいは,この村里.〔邦訳673l〕
たう-しょ〔名〕【當處・當所】このところ。この土地。當地。本地。又、そのところ。楞嚴經「心精通 濫、當處湛然」謡曲、錦木「何れも何れも當所の名物なり」〔1194-4〕
召文(―ブミ) 。〔元亀二年本296七〕
而無音之時下使者召文調訴陳状相對當所執事年管領奉-行人等可致問答披露沙汰就探題之異見所加下知也〔至徳三年本〕
而無音之時下使者召文調訴陳状相對當所執事年之管領奉-行人等可致問答披露沙汰就探題之異見所加下知也〔宝徳三年本〕
無音之時者下使者召文調訴陳状相對當所執事管領奉-行人等致問答披露沙汰就探題之異見所加下知也〔建部傳内本〕
而(シカル)ニ無-音ノ之時ハ者下シ‖使-者ノ召文ヲ|調ヘ‖訴-陳-状ヲ|相ヒ‖-對シテ當-所ノ執-亊(シツ―)管-領奉-行-人等ニ|致‖問-答ヲ|披-露沙汰就テ‖探題(タンダイ)ノ之異-見ニ|所∨加‖下-知ヲ|也。〔山田俊雄藏本〕
而テ无音之時下シ‖使者ニ召文ヲ|調(シラ)ベ‖訴陳ノ状ヲ|相‖-對シ當所ノ執亊年々ノ管領奉行人等ニ|可下致シ‖問答ヲ|披中露ス沙汰ヲ上就キ‖探題(タンダイ)之異見ニ|所∨加‖下知ヲ|也。〔経覺筆本〕
而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使者ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
召文(メシフミ) 下知。〔弘・言語進退門229八〕
とあって、標記語「召文」の語を収載し、語注記に「下知」と記載する。また、易林本『節用集』には、
召捕(メシトル) ―仕(ツカフ)。―次(ツギ)。―符(フ)/―文(ブミ/ブ)。―籠(コムル)。―具(グ)。〔言語門197二〕
このように、上記当代の古辞書においては、元亀二年本『運歩色葉集』、印度本系統の弘治二年本『節用集』、そして易林本『節用集』に「召文」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
470无-音之時-者下(クー)シ‖使者ニ召_文ヲ|調ヘ‖訴陳ノ状ヲ|相‖-對シ當所執亊(シツシ)ニ|官-領奉-行-人-等ニ可下致‖問答|披露中沙汰上就‖探題(タンタイ)之異見|所∨加‖下知|也。侍所者謀叛 法意ニハ八扈ノ内第三ヲ爲‖謀叛|。亦第一ヲ曰‖謀叛|、謂∨謀ルヲ∨危ント‖国家ヲ|。必乱‖其国|、又背∨国云∨謀。背∨邑云∨叛。々音ハ薄半反、離也。去也。又府遠反、覆也。不順也。漢音也。而ヲ爲‖呉音|、僻亊也。呉音叛ト可∨讀。今不∨及∨力也。〔謙堂文庫蔵四五左G〕
とあって、標記語「召文」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
與奪(ヨダツ)ヲ|當参ノ仁ハ者成シ‖書下ヲ|。下國ノ之時ハ者下シ‖奉書(ホウ―)ヲ|而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)與奪ト云事罪過(ザイクハ)ニ処(シヨ)せラレテ。後ヒイキ人アリ。本ノ如ク御免(ユル)シヲ蒙(カウム)ルヲ與奪ト云也。又我処ヘ差(サシ)テ來ル財産(サイサン)ヲ近付人分ケ遣(ツカハ)スヲ云フナリ。人ノ家ニツクル者ナリ。〔下21ウ三〜八〕
無音(ぶいん)の時(とき)ハ使節(しせつ)召文(めしぶミ)を下(くだ)す/無音之時者下ス‖使節召文ヲ|皆上に注す。〔65ウ五〜六〕
とあって、この標記語「召文」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
而(しか)るに無音(ぶいん)之(の)時(とき)ハ使節(しせつ)召文(めしぶミ)を下(くだ)し訴陳(そちん)の状(じやう)を調(とゝの)へ當所(たうしよ)乃執事(しつじ)年年(ねん/\・とし)の管領(くハんれい)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)に相對(あいたい)し問答(もんだふ)を致(いた)し沙汰(さた)を披露(ひろう)す可(べ)し/而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執事(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。▲無音使節訴陳等以下の注(ちう)皆(ミな)前に見ゆ。〔48ウ四〕
而(しかる)に無-音(ぶいん)之(の)時(とき)ハ下(くだ)し‖使節(しせつ)召文(めしぶミ)を|調(とゝの)ヘ‖訴陳(そちん)の状(じやう)を|相(あ)ひ‖-對(たい)し當所(たうしよ)の執事(しつじ)|年々(ねん/\)の管領(くわんれい)奉-行人(ぶぎやうにん)等(とう)に可(べし)下致(いたし)‖問答(もんだふ)を|披露(ひろう)す中沙汰(さた)を上就(つい)て‖探題(たんだい)之(の)異見(いけん)に|所(ところ)∨加(くハふ)る‖下知(げぢ)を|也(なり)。▲無音使節訴陳等以下の注(ちう)皆(ミな)前に見ゆ。〔86ウ六〜87オ一〕
めし-ぶみ〔名〕【召文】官より人を召す状。鎌倉幕府以來、御家人などを召すにも、又、訴訟にて被告人を召喚するにも云へり。めしジャウ。さしがみ。呼出状。徴書。召符。式目抄、坤、問注所難澁の輩事「右於二遠國一者、被レ下二召文一之後、無レ故至二于五月一、不二參對一者、就二訴人申状一、可レ有二其沙汰一也」〔1988-5〕
奉行人得差符方之与奪當参仁者成書下々國之時者下奉書〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
奉行人得差符方與奪當參仁者成書下々國之時者下奉書〔宝徳三年本〕
奉-行-人得テ‖差符(サシ―)方ノ与-奪(タツ)トヲ|當-参ノ仁ニハ者成シ‖書下ヲ|々國之時者下ス‖奉-書ヲ|〔山田俊雄藏本〕
奉行人得テ‖差符(サシフ)方ノ之与奪ヲ|當参ノ仁ニハ者成‖書下|下國之時ハ者下シ‖奉書ヲ|〔経覺筆本〕
奉行人得(エ)レ差符方(サシフカタ)ノ与‖奪(ヨタツ)ヲ|當参ノ仁者(ハ)成(ナ)シレ書下(カキクタシ)ヲ|。下國ノ之時者下シレ奉書ヲ一〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
下國(ゲコク・―、クダル/カ・シタ、クニ)[上・入] 。〔態藝門597八〕
とあって、標記語「下國」の語を収載し、訓みを「ゲコク」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
下国(―コク) 。〔弘・言語進退門176三〕
下品(ゲボン) ―向(カウ)。―知(ヂ)。―行(ギヤウ)。―国(コク)/―直(ジキ)。―劣(レツ)。―着(チヤク)。―輩(ハイ)。下戸(ゲコ)。―少(せウ)/―用(ヨウ)。―臈(ラウ)。〔永・言語門144四〕
下品(ゲホン) ―向。―知。―行。―国。―直。―劣/―着。―輩。―戸。―用。―臈――。〔尭・言語門134二〕
とあって、標記語「下国」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
下行(ゲギヤウ) ―賤(せン)。―根(コン)。―知(ヂ)。―國(コク)。―馬(バ)。―座(ザ)。―戸(コ)。/―用(ヨウ)。―品(ボン)。―向(カウ)。―劣(レツ)。―尅上(コクシヤウ)。―直(ヂキ)。〔言辞門145六〕
このように、上記当代の古辞書には、広本『節用集』、弘治二年本・永祿二年本・尭空本『節用集』、易林本『節用集』に「下國」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
469當参仁ニハ者成シ‖書下ヲ|々國之時ンハ者下(クー)シ‖奉書ヲ| 當參仁ハ今在京ノ仁也。訴人論人之一人在鄙、在∨竸イ下状、一人ノ方ヘ云也。国々ヘ下ル人々ノ時ハ、下‖奉書|。一人ハ必在京也。成書下国ノ時、奉書ヲ下云也。无音ナレハ使‖召文|。是ハ者二人有亊也。〔謙堂文庫蔵四五左E〕
とあって、標記語「下國」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
與奪(ヨダツ)ヲ|當参ノ仁ハ者成シ‖書下ヲ|。下國ノ之時ハ者下シ‖奉書(ホウ―)ヲ|而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)與奪ト云事罪過(ザイクハ)ニ処(シヨ)せラレテ。後ヒイキ人アリ。本ノ如ク御免(ユル)シヲ蒙(カウム)ルヲ與奪ト云也。又我処ヘ差(サシ)テ來ル財産(サイサン)ヲ近付人分ケ遣(ツカハ)スヲ云フナリ。人ノ家ニツクル者ナリ。〔下21ウ三〜八〕
當参ノ仁ニハ者成‖書下ヲ|。下國之時者下シ‖奉書ヲ|當参とハ将軍家の御在所に参勤して居る者を云。下國とハ其願所/\へ帰り居る者を云。書下も奉書も皆問状の奉書の事なり。こゝにはこゝろハ奉行人差符方の差圖に從ひ公事あるものへ問状乃奉書を下すをいふなり。〔65ウ二〜五〕
とあって、この標記語「下國」の語を収載し、語注記は、「下國とは、其願所/\へ帰り居る者を云ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
奉行人(ぶぎやうにん)差符方(さしふかた)之(の)與奪(よだつ)を得(え)バ當參(たうざん)の仁(じん)者(ハ)書下(しよげ)を成(な)し下國(げこく)之(の)時(とき)者(ハ)奉書(ほうしよ)を下(くだ)す/奉行人得バ‖差符方之與‖奪ヲ|當参ノ仁者成シ‖書下ヲ|。々國之時者下ス‖奉書ヲ|▲下國ハ相手(あいて)の者國元(くにもと)に下(くだ)り居(ゐ)るをいふ。〔48ウ三・四〕
奉行人(ぶぎやうにん)得(え)ハ‖差符方(さしふかた)之(の)與‖奪(よだつ)を|當参(たうざん)の仁(じん)者(ハ)成(な)し‖書下(しよげ)を|。下國(けこく)之(の)時(とき)者(ハ)下(くだ)す‖奉書(ほうしよ)を|。▲下國ハ相手(あいて)の者國元(くにもと)に下(くだ)り居(ゐ)るをいふ。〔86ウ六〜87オ一〕
Guecocu.ゲコク(下国) Cuniye cudaru.(国へ下る)都(Miyaco)から自分の国へ帰ること.〔邦訳294l〕
げ-こく〔名〕【下國】國(くに)へ、下(くだ)ること。都より、國許(くにもと)へ行くこと。庭訓徃來、八月「奉行人、得二差符方與奪一、當參仁者成二書下一、下國時者下二奉書一、無音之時者下二使者召文一」云云、越訴覆勘者、依二探題管領一、被レ執二行之一奏三事於二庭中一」〔0607-3〕
奉行人得差符方之与奪當参仁者成書下々國之時者下奉書〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
奉行人得差符方與奪當參仁者成書下々國之時者下奉書〔宝徳三年本〕
奉-行-人得テ‖差符(サシ―)方ノ与-奪(タツ)トヲ|當-参ノ仁ニハ者成シ‖書下ヲ|々國之時者下ス‖奉-書ヲ|〔山田俊雄藏本〕
奉行人得テ‖差符(サシフ)方ノ之与奪ヲ|當参ノ仁ニハ者成‖書下|下國之時ハ者下シ‖奉書ヲ|〔経覺筆本〕
奉行人得テ‖差符方之與‖奪ヲ|當参ノ仁者成シ‖書下ヲ|。々國之時者下ス‖奉書ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においても、「書下」の語は未収載であって、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本にだけ見えている語となっている。
469當参仁ニハ者成シ‖書下ヲ|々國之時ンハ者下(クー)シ‖奉書ヲ| 當參仁ハ今在京ノ仁也。訴人論人之一人在鄙、在∨竸イ下状、一人ノ方ヘ云也。国々ヘ下ル人々ノ時ハ、下‖奉書|。一人ハ必在京也。成書下国ノ時、奉書ヲ下云也。无音ナレハ使‖召文|。是ハ者二人有亊也。〔謙堂文庫蔵四五左E〕
とあって、標記語「書下」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
與奪(ヨダツ)ヲ|當参ノ仁ハ者成シ‖書下ヲ|。下國ノ之時ハ者下シ‖奉書(ホウ―)ヲ|而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)與奪ト云事罪過(ザイクハ)ニ処(シヨ)せラレテ。後ヒイキ人アリ。本ノ如ク御免(ユル)シヲ蒙(カウム)ルヲ與奪ト云也。又我処ヘ差(サシ)テ來ル財産(サイサン)ヲ近付人分ケ遣(ツカハ)スヲ云フナリ。人ノ家ニツクル者ナリ。〔下21ウ三〜八〕
當参ノ仁ニハ者成‖書下ヲ|。下國之時者下シ‖奉書ヲ|當参とハ将軍家の御在所に参勤して居る者を云。下國とハ其願所/\へ帰り居る者を云。書下も奉書も皆問状の奉書の事なり。こゝにはこゝろハ奉行人差符方の差圖に從ひ公事あるものへ問状乃奉書を下すをいふなり。〔65ウ二〜五〕
とあって、この標記語「書下」の語を収載し、語注記は、「書下も奉書も皆問状の奉書の事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
奉行人(ぶぎやうにん)差符方(さしふかた)之(の)與奪(よだつ)を得(え)バ當參(たうざん)の仁(じん)者(ハ)書下(しよげ)を成(な)し下國(げこく)之(の)時(とき)者(ハ)奉書(ほうしよ)を下(くだ)す/奉行人得バ‖差符方之與‖奪ヲ|當参ノ仁者成シ‖書下ヲ|。々國之時者下ス‖奉書ヲ|▲書下奉書共(とも)に問状(うらいん)の事也。〔48ウ四〕
奉行人(ぶぎやうにん)得(え)ハ‖差符方(さしふかた)之(の)與‖奪(よだつ)を|當参(たうざん)の仁(じん)者(ハ)成(な)し‖書下(しよげ)を|。下國(けこく)之(の)時(とき)者(ハ)下(くだ)す‖奉書(ほうしよ)を|。▲書下奉書共(とも)に問状の事也。〔86ウ六〜87オ一〕
奉行人得差符方之与奪當参仁者成書下々國之時者下奉書〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
奉行人得差符方與奪當參仁者成書下々國之時者下奉書〔宝徳三年本〕
奉-行-人得テ‖差符(サシ―)方ノ与-奪(タツ)トヲ|當-参ノ仁ニハ者成シ‖書下ヲ|々國之時者下ス‖奉-書ヲ|〔山田俊雄藏本〕
奉行人得テ‖差符(サシフ)方ノ之与奪ヲ|當参ノ仁ニハ者成‖書下|下國之時ハ者下シ‖奉書ヲ|〔経覺筆本〕
奉行人得テ‖差符方之與‖奪ヲ|當参ノ仁者成シ‖書下ヲ|。々國之時者下ス‖奉書ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
當参(タウサン/アタル、マイル)[平去・平] 。〔態藝門348二〕
とあって、標記語「當参」の語を収載し、訓みを「タウサン」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』・易林本『節用集』には、標記語「當参」の語は未収載にする。
このように、上記当代の古辞書では、広本『節用集』にだけ「當参」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
469當参仁ニハ者成シ‖書下ヲ|々國之時ンハ者下(クー)シ‖奉書ヲ| 當參仁ハ今在京ノ仁也。訴人論人之一人在鄙、在∨竸イ下状、一人ノ方ヘ云也。国々ヘ下ル人々ノ時ハ、下‖奉書|。一人ハ必在京也。成書下国ノ時、奉書ヲ下云也。无音ナレハ使‖召文|。是ハ者二人有亊也。〔謙堂文庫蔵四五左E〕
とあって、標記語「當参仁」の語を収載し、語注記は、「當參仁は、今在京の仁なり」と記載する。
與奪(ヨダツ)ヲ|當参ノ仁ハ者成シ‖書下ヲ|。下國ノ之時ハ者下シ‖奉書(ホウ―)ヲ|而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)與奪ト云事罪過(ザイクハ)ニ処(シヨ)せラレテ。後ヒイキ人アリ。本ノ如ク御免(ユル)シヲ蒙(カウム)ルヲ與奪ト云也。又我処ヘ差(サシ)テ來ル財産(サイサン)ヲ近付人分ケ遣(ツカハ)スヲ云フナリ。人ノ家ニツクル者ナリ。〔下21ウ三〜八〕
當参ノ仁ニハ者成‖書下ヲ|。下國之時者下シ‖奉書ヲ|當参とハ将軍家の御在所に参勤して居る者を云。下國とハ其願所/\へ帰り居る者を云。書下も奉書も皆問状の奉書の事なり。こゝにはこゝろハ奉行人差符方の差圖に從ひ公事あるものへ問状乃奉書を下すをいふなり。〔65ウ二〜五〕
とあって、この標記語「當参」の語を収載し、語注記は、「當参とは、将軍家の御在所に参勤して居る者を云ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
奉行人(ぶぎやうにん)差符方(さしふかた)之(の)與奪(よだつ)を得(え)バ當參(たうざん)の仁(じん)者(ハ)書下(しよげ)を成(な)し下國(げこく)之(の)時(とき)者(ハ)奉書(ほうしよ)を下(くだ)す/奉行人得バ‖差符方之與‖奪ヲ|當参ノ仁者成シ‖書下ヲ|。々國之時者下ス‖奉書ヲ|▲當参仁ハ訴出る者(もの)をいふ。〔48ウ四〕
奉行人(ぶぎやうにん)得(え)ハ‖差符方(さしふかた)之(の)與‖奪(よだつ)を|當参(たうざん)の仁(じん)者(ハ)成(な)し‖書下(しよげ)を|。下國(けこく)之(の)時(とき)者(ハ)下(くだ)す‖奉書(ほうしよ)を|。▲當参ノ仁ハ訴出る者(もの)をいふ。〔87オ一〕
たう-さん〔名〕【當参】參ること。又、其人。太平記、廿二、義助被レ參二吉野一事「臨時の宣下ありて、一級を加へらる、加之、當参の一族、并に相順へる兵共に至るまで、或は恩賞を賜り、或は、官位を進められければ」〔1193-3〕
与奪(―ダツ) 。〔元亀二年本131九〕
与奪(ヨダツ) 。〔静嘉堂本138二〕
与奪(ヨタツ) 。〔天正十七年本中1ウ二〕
奉行人得差符方之与奪當参仁者成書下々國之時者下奉書〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
奉行人得差符方與奪當參仁者成書下々國之時者下奉書〔宝徳三年本〕
奉-行-人得テ‖差符(サシ―)方ノ与-奪(タツ)トヲ|當-参ノ仁ニハ者成シ‖書下ヲ|々國之時者下ス‖奉-書ヲ|〔山田俊雄藏本〕
奉行人得テ‖差符(サシフ)方ノ之与奪ヲ|當参ノ仁ニハ者成‖書下|下國之時ハ者下シ‖奉書ヲ|〔経覺筆本〕
奉行人得テ‖差符方之與‖奪ヲ|當参ノ仁者成シ‖書下ヲ|。々國之時者下ス‖奉書ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
与奪 ヨタツ。〔黒川本・疉字門上98オ七〕
与奪 〃不。〔卷四・疉字門366二〕
與奪(ヨダツ/クミス・アタウ、ウバウ)[去・入] 。〔態藝門320二〕
とあって、標記語「與奪」の語を収載し、訓みを「ヨダツ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
与奪(ヨダツ) 。〔弘・言語進退門94四〕
與奪(ヨダツ) ―同(ドウ)。〔永・言語門88九〕
與奪(ヨダツ) ―同。〔尭・言語門80八〕
與奪(ヨタツ) ―同。〔両・言語門97五〕
とあって、標記語「与奪」と「與奪」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
與奪(ヨダツ) ―善(セン)。―同(トウ)。〔言語門86三〕
このように、上記当代の古辞書に、「與奪」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
468糺‖-明シ之ヲ|官領ノ寄人(ヨリサウト)右-筆(ウー)奉-行-人等評判也。奉行人得‖差符ノ方ヲ|与‖-奪ヲ| 方角奉行也。又奉行下ニシテ万亊ヲ云付ル人也。〔謙堂文庫蔵四五左C〕
とあって、標記語「与奪」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
與奪(ヨダツ)ヲ|當参ノ仁ハ者成シ‖書下ヲ|。下國ノ之時ハ者下シ‖奉書(ホウ―)ヲ|而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)與奪ト云事罪過(ザイクハ)ニ処(シヨ)せラレテ。後ヒイキ人アリ。本ノ如ク御免(ユル)シヲ蒙(カウム)ルヲ與奪ト云也。又我処ヘ差(サシ)テ來ル財産(サイサン)ヲ近付人分ケ遣(ツカハ)スヲ云フナリ。人ノ家ニツクル者ナリ。〔下21ウ三〜八〕
奉行人得‖差符ノ方ヲ|與‖-奪ヲ|。差符方も役所也。与奪とハあたふへきにハあたへうほふへきにハうほふといふこゝろにて事のきりもりをする事をいふなり。〔65オ七〜八〕
とあって、この標記語「與奪」の語を収載し、語注記は、「差符方も役所なり。与奪とは、あたふべきにはあたへ、うほふへきには、うほふといふこゝろにて事のきりもりをする事をいふなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
奉行人(ぶぎやうにん)差符方(さしふかた)之(の)與奪(よだつ)を得(え)バ當參(たうざん)の仁(じん)者(ハ)書下(しよげ)を成(な)し下國(げこく)之(の)時(とき)者(ハ)奉書(ほうしよ)を下(くだ)す/奉行人得バ‖差符方之與‖奪ヲ|當参ノ仁者成シ‖書下ヲ|。々國之時者下ス‖奉書ヲ|。▲差符方ノ与奪差符方ハ他所(ほかのところ)へ差替(さしかへ)らる事なるべし。与奪ハ其職に代(かハ)るの義。〔48ウ三・四〕
奉行人(ぶぎやうにん)得(え)ハ‖差符方(さしふかた)之(の)與‖奪(よだつ)を|當参(たうざん)の仁(じん)者(ハ)成(な)し‖書下(しよげ)を|。下國(けこく)之(の)時(とき)者(ハ)下(くだ)す‖奉書(ほうしよ)を|。▲差符方ノ与奪差符方ハ他所(ほかのところ)へ差替(さしかへ)らるゝ事なるべし。与奪ハ其職(しよく)に代(かハ)るの義。〔86ウ六〜87オ一〕
Yodat.ヨダツ(与奪) 相続によって与えること,すなわち,父が子に家や財産などを引き渡すこと.〔邦訳824r〕
よ-だつ〔名〕【與奪】(一)あたふることと、うばふことと。晉書、祖納傳「好レ學不レ倦、從レ善如レ流、若使レ修二著一代之典一、褒貶與奪、誠一時之儁」(二)其職に代はること。讓り與ふること。又、子に職を讓るなどにも云ふ。(奪の字は帶説なり)職原抄、上、左大臣「是依二關白與奪一也」海人藻芥、中「權上座於レ有二指合一者、次第次第、次人可二與奪一」(三)うはさの高きこと。有名なること。庭訓徃來、八月「奉行人、得二差符方與奪一、云云、越訴覆勘者、依二探題管領與奪一、被レ執二行之一奏三事於二庭中一」〔1701-2〕
奉行人得差符方之与奪當参仁者成書下々國之時者下奉書〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
奉行人得差符方與奪當參仁者成書下々國之時者下奉書〔宝徳三年本〕
奉-行-人得テ‖差符(サシ―)方ノ与-奪(タツ)トヲ|當-参ノ仁ニハ者成シ‖書下ヲ|々國之時者下ス‖奉-書ヲ|〔山田俊雄藏本〕
奉行人得テ‖差符(サシフ)方ノ之与奪ヲ|當参ノ仁ニハ者成‖書下|下國之時ハ者下シ‖奉書ヲ|〔経覺筆本〕
奉行人得テ‖差符方之與‖奪ヲ|當参ノ仁者成シ‖書下ヲ|。々國之時者下ス‖奉書ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書に、「差符」の語は未収載であり、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本には見えている語となっている。
468糺‖-明シ之ヲ|官領ノ寄人(ヨリサウト)右-筆(ウー)奉-行-人等評判也。奉行人得‖差符ノ方ヲ|与‖-奪ヲ| 方角奉行也。又奉行下ニシテ万亊ヲ云付ル人也。〔謙堂文庫蔵四五左C〕
△得‖差シ府―ノ奪ヲトハ自レ上古引付ヲ持タル者ヲ云。与奪ハ引付ノ与――ニ任せテ今モ与――スヘキ也。〔静嘉堂本『庭訓往来抄』古寫頭注書込み〕
とあって、標記語「差符」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
評判(ヒヤウバン)也奉-行-人得(エ)‖差符(サシフ)方(カタ)ノ|評判トハ。評定衆(シユ)以下(イゲ)サシカイ判形ヲ加ルナリ。〔下21ウ二〕
奉行人得‖差符ノ方ヲ|與‖-奪ヲ|。差符方も役所也。与奪とハあたふへきにハあたへうほふへきにハうほふといふこゝろにて事のきりもりをする事をいふなり。〔65オ七〜八〕
とあって、この標記語「差符」の語を収載し、語注記は、「差符方も役所なり。与奪とは、あたふべきにはあたへ、うほふへきには、うほふといふこゝろにて事のきりもりをする事をいふなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
奉行人(ぶぎやうにん)差符方(さしふかた)之(の)與奪(よだつ)を得(え)バ當參(たうざん)の仁(じん)者(ハ)書下(しよげ)を成(な)し下國(げこく)之(の)時(とき)者(ハ)奉書(ほうしよ)を下(くだ)す/奉行人得バ‖差符方之與‖奪ヲ|當参ノ仁者成シ‖書下ヲ|。々國之時者下ス‖奉書ヲ|。▲差符方ノ与奪差符方ハ他所(ほかのところ)へ差替(さしかへ)らる事なるべし。与奪ハ其職に代(かハ)るの義。〔48ウ三・四〕
奉行人(ぶぎやうにん)得(え)ハ‖差符方(さしふかた)之(の)與‖奪(よだつ)を|當参(たうざん)の仁(じん)者(ハ)成(な)し‖書下(しよげ)を|。下國(けこく)之(の)時(とき)者(ハ)下(くだ)す‖奉書(ほうしよ)を|。▲差符方ノ与奪差符方ハ他所(ほかのところ)へ差替(さしかへ)らるゝ事なるべし。与奪ハ其職(しよく)に代(かハ)るの義。〔86ウ六〜87オ一〕
評梺判(―バン) 。〔元亀二年本342二〕※「ハン」の字は手偏に「判」とする。
評梺判(―ハン) 判。〔静嘉堂本410二〕 ※「ハン」の字は手偏に「判」とする。
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(サフルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
評判(ヒヤウバン/ヘイ、―)[平去・去] 。〔態藝門1041八〕
とあって、標記語「評判」の語を収載し、訓みを「ヒヤウバン」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
評判(―バン) 。〔弘・言語進退門257五〕
評定(ヒヤウチヤウ) ―議。―判。〔永・言語門218六〕〔尭・言語門203八〕
とあって、弘治二年本が標記語「評判」の語を収載し、他本は標記語「評定」の冠頭字「評」の熟語群として「評判」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
評議(ヒヤウギ) ―判(バン)。―定(ヂヤウ)。〔言辞門226六〕
このように、上記当代の古辞書に、「評判」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
468糺‖-明シ之ヲ|官領ノ寄人(ヨリサウト)右-筆(ウー)奉-行-人等評判也。奉行人得‖差符ノ方ヲ|与‖-奪ヲ| 方角奉行也。又奉行下ニシテ万亊ヲ云付ル人也。〔謙堂文庫蔵四五左C〕
とあって、標記語「評判」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
評判(ヒヤウバン)也奉-行-人得(エ)‖差符(サシフ)方(カタ)ノ|評判トハ。評定衆(シユ)以下(イゲ)サシカイ判形ヲ加ルナリ。〔下21ウ二〕
管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/管領寄人右筆奉-行人等評判也 管領の事ハ下にあり。其□□□見へたり。評ハ事のすじを論する也。判ハ其よしあしをわくるなり。〔65オ七〜八〕
とあって、この標記語「評判」の語を収載し、語注記は、「評は、事のすじを論する也。判は、其よしあしをわくるなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也▲評判ハ事の條(すぢ)を論(ろん)じて是非(よしあし)を判(わか)つ也。〔48ウ三〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|管領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)▲評判ハ事の條(すぢ)を論(ろん)じて是非(よしあし)を判(わか)つ也。〔86ウ六〕
Fio<ban.ヒャゥバン(評判) すなわち,Danco< suru.(談合する)Feo<ban(評判)の条を見よ.〔邦訳235lr〕
Fio<ban.l,feo<ban.ヒャゥバンまたは,ヘャゥバン(評判) Fifan(批判)に同じ.世間に流布する話.あるいは,噂. 〔邦訳235l〕
ひゃう-ばん〔名〕【評判】(一)評して、是非、善惡、醜美などを判ずること。評定。庭訓徃來、八月「問注所、云云、管領寄人、右筆奉行人等、評判也」(二)世人の評して、言觸らすこと。世の風評。うはさ。とりさた。織留(元禄、西鶴)一「賢き者の事を評判致しけるぞ」(三)うはさの高きこと。有名なること。浮世風呂(文化、三馬)二編、下「御部屋中で評判のお結構人でございました」〔1701-2〕
寄人(ヨリウド) 。〔元亀二年本132二〕
寄人(ヨリウト) 。〔静嘉堂本138六〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(サフルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
寄人(ヨリウド/キシン) 。〔官位門315八〕
とあって、標記語「寄人」の語を収載し、訓みを「ヨリウド」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
寄人(ヨリウト) 。〔弘・言語進退門94三〕
とあって、弘治二年本だけに標記語「寄人」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、標記語「寄人」の語を未収載にする。
このように、上記当代の古辞書に、「寄人」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
468糺‖-明シ之ヲ|官領ノ寄人(ヨリサウト)右-筆(ウー)奉-行-人等評判也。奉行人得‖差符ノ方ヲ|与‖-奪ヲ| 方角奉行也。又奉行下ニシテ万亊ヲ云付ル人也。〔謙堂文庫蔵四五左C〕
とあって、標記語「寄人」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
管領(クハンリヨウ)寄人(ヨリウド)右筆奉-行-人等管領(クハンリヨウ)寄人(ヨリウト)トハ。管領ニ隨(シタカ)ヒ贔屓(ヒイキ)ノ者ナリ。〔下21ウ一〜二〕
管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/管領寄人右筆奉-行人等評判也 管領の事ハ下にあり。其□□□見へたり。評ハ事のすじを論する也。判ハ其よしあしをわくるなり。〔65オ七〜八〕
とあって、この標記語「寄人」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也。▲管領寄人ハ執事(しつじ)の下司(したつかさ)也。執事ハ六月の返状(へんじやう)に見ゆ。〔48ウ三〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|管領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)。▲管領ノ寄人ハ執事(しつじ)の下司(したつかさ)也。執事ハ六月の返状(へんじやう)に見ゆ。〔86ウ五〜六〕
より-うど〔名〕【寄人】又、よりびと。和歌所、記録所、などに召されて、事を執る職。きにん。隆信集「和歌所のよりうどに參りて、吉書奏すとて、云云」〔2100-3〕
管領(クワンレイ) 。〔元亀二年本189十〕〔静嘉堂本214一〕〔天正十七年本中36ウ一〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(サフルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
管領(クワンレイ/フヱ、ノトル)[上・上] 。〔態藝門531七〕
とあって、標記語「管領」の語を収載し、訓みを「クワンレイ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
管領(クハンレイ) 。〔弘・人倫門157四〕〔永・人倫門128七〕
管領(クワンレイ) 。〔尭・人倫門117八〕〔両・人倫門143一〕
とあって、標記語「管領」の語を収載し、訓みは「クハンレイ」と「クワンレイ」の二種が見える。また、易林本『節用集』には、
官領(クワンレイ) 殿上人頭也。―位。―途。―爵。〔言辞門128七〕
このように、上記当代の古辞書に、「官領」「管領」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
468糺‖-明シ之ヲ|官領ノ寄人(ヨリサウト)右-筆(ウー)奉-行-人等評判也。奉行人得‖差符ノ方ヲ|与‖-奪ヲ| 方角奉行也。又奉行下ニシテ万亊ヲ云付ル人也。〔謙堂文庫蔵四五左C〕
とあって、標記語「官領」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
管領(クハンリヨウ)寄人(ヨリウド)右筆奉-行-人等管領(クハンリヨウ)寄人(ヨリウト)トハ。管領ニ隨(シタカ)ヒ贔屓(ヒイキ)ノ者ナリ。〔下21ウ一〜二〕
管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/管領寄人右筆奉-行人等評判也 管領の事ハ下にあり。其□□□見へたり。評ハ事のすじを論する也。判ハ其よしあしをわくるなり。〔65オ七〜八〕
とあって、この標記語「管領」の語を収載し、語注記は、「管領の事ハ下にあり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也。▲管領寄人ハ執事(しつじ)の下司(したつかさ)也。執事ハ六月の返状(へんじやう)に見ゆ。〔48ウ三〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|管領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)。▲管領ノ寄人ハ執事(しつじ)の下司(したつかさ)也。執事ハ六月の返状(へんじやう)に見ゆ。〔86ウ五〜六〕
†Quanrio<.クヮンリャウ(管領) Chiguio<uo tcucasadoru.(知行を管る)ある在所,領地などを所有,あるいは,管理支配すること.〔邦訳519r〕
Quanrei.クヮンレイ(管領) ある官職の名称.〔邦訳519l〕
くゎん-りゃう〔名〕【管領】〔くゎんれい(管領)を參見せよ〕占めて、我が物とすること。道徳指揮論「心意虚靜、~氣我順、管二領天地一、無レ不二包裹一」和漢朗詠集、上「歌酒家家花處處、莫三空管二領上陽春一」後愚昧記、應安四年四月四日「佐川下人死人等、川原者取二棄之一、取二衣裳一之間、犬~人等、稱下可二管領一之旨上、返二川原者所一取レ之、云云」〔0591-1〕
くゎん-れい〔名〕【管領】〔日中行事「くゎんれいの陰陽師」林エ節用集(文明)人倫「關白(クワンパク)、管領(クワンレイ)」運歩色葉集「管領(クワンレイ)」れいは、領の漢音、令、靈、同じ、くゎんりょう(管領)を參見せよ〕(一)管(つかさど)り、治むること。支配すること。管轄すること。源平盛衰記、十九、文覺頼朝對面事「太政入道、云云、天下を管領すれども、惡逆無道にして、宿運、既に盡きたり」(二)管領する職。諏訪大明~繪詞(延文)「東夷起して、奥州騒亂する事ありき、云云、武家、其濫吹を鎭護せむ爲に、安藤太と云ふ者を、蝦夷管領とす」武家名目鈔、廿七、職名、下「蝦夷管領、又、稱二蝦夷代官一、云云、北條義時、武家の執權たりし時に、安藤氏を、津輕の夷地に居らしめて、奥羽、及、渡島(わたりじま)の蝦夷に備へ、夷人を管領せられし、云云」太平記、十四、新田足利確執奏状事「中務卿親王を、東國の御管領に成し奉り、新田左兵衞督義貞を、大將軍に定めて、國國の大名どもをぞ、添へられける」日中行事(後醍醐天皇)「代厄の御祭、くゎんれいの陰陽師勤むる也」(三)室町幕府の第一の重職の稱、鎌倉幕府の執權、江戸幕府の老中の如し、初、執事と稱せしが、將軍義滿以後、管領と改む、斯波氏、細川氏、畠山氏、の三家、代る代る、之れに補せられて、これを、三管領と稱せり。儀式などに、管領の出仕せざる時、其一族の者の代理するを、管領代と云ふ。又、別に、鎌倉に置きて東國を鎭せしめしを、關東管領と云ひき、其條を見よ。海人藻芥、下「細川武藏守頼之迄は、執事と稱す、其以後、皆稱二管領一如レ此事、依二時事一歟」〔0591-1〕
×。〔元亀二年本はこの部分を欠落する〕
糺明(キウメイ) 。〔静嘉堂本326七〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(サフルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
糺明(キウメイ) 。〔態藝門89二〕
糺明(キウメイ/タヾス、アキラカ)[上・○] 。〔態藝門836一〕
とあって、標記語「糺明」の語を収載し、訓みを「キウメイ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
糺明(キウメイ) 。〔弘・言語進退門221六〕
糺明(キウメイ) ―決(ケツ)。〔永・言語門184九〕
糺明(キウメイ) ―決。〔尭・言語門174四〕
とあって、標記語「糺明」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
糺明(キウメイ) ―決(ケツ)。〔言辞門190二〕
このように、上記当代の古辞書に、「糺明」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
468糺‖-明シ之ヲ|官領ノ寄人(ヨリサウト)右-筆(ウー)奉-行-人等評判也。奉行人得‖差符ノ方ヲ|与‖-奪ヲ| 方角奉行也。又奉行下ニシテ万亊ヲ云付ル人也。〔謙堂文庫蔵四五左C〕
とあって、標記語「糺明」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
負累(ブルイ)證文(セウ―)等ノ謀實(ボウジツ)糺‖-明(キウメイ)ス之ヲ|負累證文トハ。公方(クハウ)私シ隠(カク)レモナキ文ナリ。〔下21オ八〜ウ一〕
之(これ)を糾明(きうめい)す/糺‖-明ス之ヲ| 糺明ハたゝしくあきらかにすと訓す。〔65オ六〕
とあって、この標記語「糺明」の語を収載し、語注記は、「糺明ハたゝしくあきらかにすと訓ず」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也。〔48ウ二〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|管領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)。〔86ウ五〕
Qiu<mei.キウメイ(糺明) Tadaxi aqiramuru.(糺し明らむる)裁判,または,審問.例,Qiu<mei suru.(糺し明らむる)審判する,または,取り調べる.〔邦訳511r〕
きう-めい〔名〕【糺明・糾明】かんがふること。罪をただし、あきらむること。仔細に、事情を問ひ糺ぶること。糺問。吟味。侍所沙汰篇「一、刈田狼藉事、爲検斷方、可レ有二糺明之」〔0454-2〕
證文(―モン) 。〔元亀二年本352七〕
證文(――) 。〔静嘉堂本424六〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(サフルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
證文(シヨウモン/アラワス、ブン・フミ)[去・平] 。〔態藝門943七〕
とあって、標記語「證文」の語を収載し、訓みを「シヨウモン」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には「世」部に、
證文(セウモン) 。〔弘・言語進退門266七〕
證明(シヨウミヤウ) ―文。―拠(ゴ)。―跡(ゼキ)。〔永・言語門226六〕
證明(シヨウミヤウ) ―文。―拠。―状/―跡。―人。〔尭・言語門213三〕
とあって、弘治二年本は、標記語に「證文」の語を収載し、他本は標記語「證明」の冠頭字「證」の熟語群として収載する。また、易林本『節用集』には、
證據(シヨウコ) ―明(ミヤウ)。―人(ニン)。〔言辞門215三〕
このように、上記当代の古辞書では、広本『節用集』『運歩色葉集』印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本『節用集』に、「證文」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
467負累(ブルイ)證文等ノ之謀實(ホシツ) 負累ハ古キ負目之日記等也。〔謙堂文庫蔵四五左B〕
とあって、標記語「證文」の語を収載し、語注記は未記載にする。
負累(ブルイ)證文(セウ―)等ノ謀實(ボウジツ)糺‖-明(キウメイ)ス之ヲ|負累證文トハ。公方(クハウ)私シ隠(カク)レモナキ文ナリ。〔下21オ八〜ウ一〕
負累(ふるい)證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ぼうじつ)/負累證文等ノ謀実 負累ハわつらひをおふと訓す。あやまり證文の事也。謀実の注は前にあり。〔65オ五〜六〕
とあって、この標記語「證文」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也。〔48ウ二〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|管領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)。〔86ウ五〕
Xo>mon.シヨウモン(證文) Xo>cono caqimono.(証拠の書き物)証拠となる真正の文書.〔邦訳793r〕
しょう-もん〔名〕【證文】(一)後の證(あかし)とする文書(かきもの)。證書。(二)あかしとなる文章。典據(てんきょ)となる文。出典。袋草子(藤原清輔)三「範兼、顯廣が同心時如レ虎、聞二證文一復如レ鼠也」(三)契約の文書。契約書。〔1010-1〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(フルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
負累 勅吏/フルイ。〔黒川本・疉字門中106ウ三〕
負累 〃名。〃戴。〃。〃物。〃擔。〃笈。〃駄。〃荷。〔卷第七・疉字門84一〕
このように、上記当代の古辞書にあっては、三卷本『色葉字類抄』(1177-81年)と十巻本『伊呂波字類抄』に「負累」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
467負累(ブルイ)證文等ノ之謀實(ホシツ) 負累ハ古キ負目之日記等也。〔謙堂文庫蔵四五左B〕
とあって、標記語「負累」の語を収載し、語注記は、「負累は、古き負目の日記等なり」と記載する。
負累(ブルイ)證文(セウ―)等ノ謀實(ボウジツ)糺‖-明(キウメイ)ス之ヲ|負累證文トハ。公方(クハウ)私シ隠(カク)レモナキ文ナリ。〔下21オ八〜ウ一〕
負累(ふるい)證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ぼうじつ)/負累證文等ノ謀実 負累ハわつらひをおふと訓す。あやまり證文の事也。謀実の注は前にあり。〔65オ五〜六〕
とあって、この標記語「負累」の語を収載し、語注記は、「負累ハわつらひをおふと訓す。あやまり證文の事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。官領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也。▲負累ハ古(ふる)き債(おひめ)の證文也と。〔48ウ二〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|官領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)。▲負累ハ古(ふる)き債(おひめ)の證文也と。〔86ウ五〕
和与(―ヨ) 。〔元亀二年本87五〕〔天正十七年本上53オ六〕
和与(ワヨ) 。〔静嘉堂本107六〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(サフルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
和與(ワヨ/―、クニスル・アタウ)[○・去] 。〔態藝門238四〕
とあって、標記語「和與」の語を収載し、訓みを「ワヨ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
和與(ワヨ) 。〔弘・言語進退門73三〕
和合(ワガウ) ―讒(ザン)。―歌(カ)。―顔(ガン)。―塵(ヂン)。―同。―談(ダン)/―市(シ。―姦(カン)。―漢(カン)。―與(ヨ)。―光(クハウ)。―儀(ギ)/―利。〔永・言語門71九〕
和合(ワガウ) ―讒。―歌。―顔。―塵。―同。―談/―市。―姦。―與。―免。―儀。―利。〔尭・言語門65六〕
和合(ワカウ) ―歌。―談。―光/―漢。―與。―利。〔両・言語門78一〕
とあって、弘治二年本は標記語「和與」の語を収載し、他本は標記語「和合」の冠頭字「和」の熟語群として収載する。また、易林本『節用集』には、
和與(ワヨ) 。〔言辞門67五〕
このように、上記当代の古辞書に、「和與」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
466券ン-契(ゲイ){シタシキ中ヘウルヲ云}和-与ノ状 和与ハ式目有‖十九ケ条|也。契盟之義以譲‖_与所帶ヲ|云也。〔謙堂文庫蔵四五左B〕
とあって、標記語「和與」の語を収載し、語注記は、「和与は、式目十九ケ条に有るなり。契盟の義を以って所帶を譲与するを云ふなり」と記載する。
和與状(ワヨせウ)ハ和合(ワガウ)ノ文(ブン)也。子孫(シソン)兄弟(ケイテイ)ノ中能(ヨク)々可レ然アレト書文也。〔下21オ八〕
和与状(わよじやう)/和与状 和睦(わぼく)のしるしとして取替(とりかわ)せたる證文なり。〔65オ四〕
とあって、この標記語「和與」の語を収載し、語注記は、「和睦のしるしとして取替せたる證文なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也。▲和與状ハ和睦(なかなをり)の取替(とりかは)せ證文也。〔48ウ二〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|管領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)。▲▲和與状ハ和睦(なかなほり)の取替(とりかハ)せ證文也。〔86ウ五〕
Quayo.クヮヨ(和與) Voya quabocu.(和与和睦) 講和,あるいは,和解.※Vayoの誤植.〔邦訳521r〕
わ-よ〔名〕【和與】(一)和(やはら)ぎてあたふること。又、昔、田宅を授け與ふること。其書付を和與状と云ひ、其地を和與地と云ひ、すべて其物を和與物と云ふ。式目抄、三「和與はあまない與る也、財寳にてもあれ、田地にてもあれ、眞箇、發氣してやるを和與と云」尺素往来「本領之事、云云、~明寄進、佛陀施入、他人和與、庶子割分之地者、不レ可レ有二悔還改動之儀一」(二)相與(とも)に和解すること。和談すること。源平盛衰記、三十七、則綱討二盛俊一事「我を助給たらん人をば、爭か我も助奉らで有べき、云云、和與して命は生たれ共、とても遁まじき盛俊也」〔2173-5〕
わよ-じゃう〔名〕【和與状】前條の語の(一)を見よ。忽那家古文書、建長六年三月八日「如二去月廿四日和與状一者、西浦者可レ爲二重虎處分一、云云、且兩方守二和與状一、相互無二違亂一可レ致二沙汰一」〔2173-5〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(サフルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
券契(ケンケイ/チギル・ノリ、チギル)[去・去] 證文。〔態藝門595四〕
とあって、標記語「券契」の語を収載し、訓みを「ケンケイ」とし、その語注記は「證文」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
券契(ケンケイ) 。〔永・言語門145一〕
券契(ケンケイ) 〔尭・言語門134七〕
とあって、標記語「券契」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、標記語「券契」の語は未収載にする。
このように、上記当代の古辞書には、広本『節用集』と印度本系統の永祿二年本・尭空本『節用集』に「券契」の語が収載されていて、広本『節用集』の語注記「證文」は、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えていない。即ち、語注記は異なった資料をもって記載しているのである。
466券ン-契(ゲイ){シタシキ中ヘウルヲ云}和-与ノ状 和与ハ式目有‖十九ケ条|也。契盟之義以譲‖_与所帶ヲ|云也。〔謙堂文庫蔵四五左B〕
とあって、標記語「券契」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
雜人(ザウ―)券契(ケンケイ)ハ。男女券契(ケンケイ)トハシタシキ中ヘウツルヲ云ナリ。〔下21オ七〕
奴婢(ぬひ)雜人(ざうにん)の券契(けんけい)/奴婢雜人ノ券契 男子に奴と云。婦人に婢と云。皆人につかハるゝいやしき者也。雑人ハ下級也。券契はそれを召抱(めしかゝへ)し手形證文なり。〔65オ二〜四〕
とあって、この標記語「券契」の語を収載し、語注記は、「男子に奴と云ふ。婦人に婢と云ふ。皆人につかはるゝいやしき者なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也。▲奴婢雑人ノ券契ハ奴隷(しもべ)婢女(はした)など下人を召抱(めしかヽ)ゆる證文也。〔48ウ一〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|管領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)。▲▲奴婢雑人ノ券契ハ奴隷(しもべ)婢女(はした)など下人を召抱(めしかヽ)ゆる證文也。〔86ウ二〜三〕
けん-けい〔名〕【券契】地券、手形、割符などの總名。戦國策、齊策「約レ車治レ裝載二券契一而行」吾妻鏡、九、文治五年九月十四日「辨二定諸郡券契、郷里田畠一」〔0626-5〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(サフルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
また、易林本『節用集』には、
雜職(ザフシキ) ―人(ニン)。―兵(ヒヤウ)。〔人倫門177二〕
このように、上記当代の古辞書にあっては、易林本『節用集』に「雜人」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語となる。
465放券奴婢雜人 旅券ハ我カ奴婢等ヲ賣放之券也。即年記云也。〔謙堂文庫蔵四五左A〕
とあって、標記語「雜人」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
雜人(ザウ―)券契(ケンケイ)ハ。男女券契(ケンケイ)トハシタシキ中ヘウツルヲ云ナリ。〔下21オ七〕
奴婢(ぬひ)雜人(ざうにん)の券契(けんけい)/奴婢雜人ノ券契 男子に奴と云。婦人に婢と云。皆人につかハるゝいやしき者也。雑人ハ下級也。券契はそれを召抱(めしかゝへ)し手形證文なり。〔65オ二〜四〕
とあって、この標記語「雜人」の語を収載し、語注記は、「雑人は、下級なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。官領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也。▲奴婢雑人ノ券契ハ奴隷(しもべ)婢女(はした)など下人を召抱(めしかヽ)ゆる證文也。〔48ウ一〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|官領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)。▲▲奴婢雑人ノ券契ハ奴隷(しもべ)婢女(はした)など下人を召抱(めしかヽ)ゆる證文也。〔86ウ二〜三〕
Zo<nin.l,zo<ninbara.ザウニン(雜人,または,雜人原) 下賤な者,または,下級の軍勢.〔邦訳843r〕
ざふ-にん〔名〕【雜人】奴婢の類。下賤のものども。吾妻鏡、四十三、建長五年十月一日「奴婢雜人事、被レ定レ法、付二出地一召二仕百姓子息所從一事、雖レ經二年序一、宜レ任二彼輩之意一」太平記、十、新田義貞謀叛事「我が館のあたりを、雜人の馬の蹄にかけさせつることこそ、かへすがへすも無念なれ」俗語録、(寛文)「魏書、諸州雜人」〔0824-5〕
奴婢(ヌビ) 男ヲ曰レ―(ヌ)ト二。女ヲ曰レ―ト二。〔元亀二年本75三〕
奴婢(ヌビ) 男曰レ―。女曰レ―。〔静嘉堂本91三〕
奴婢(ヌヒ) 男曰―。女曰―。〔天正十七年本上45ウ三〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(サフルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
奴婢 ヌヒ/下賎部。〔黒川本・疉字門上62ウ六〕
奴婢 ヌヒ。〔卷第三・疉字門38三〕
奴婢(ヌヒ/ト・ヤツコ、シモヲンナ)[上・○] 奴男婢ハ女。共下人ノ義。〔人倫門200八〕
とあって、標記語「奴婢」の語を収載し、訓みを「ヌヒ」とし、その語注記は、「奴は男、婢は女。共に下人の義」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
奴婢(ヌビ) 下人。〔弘・人倫門59四〕〔永・人倫門60五〕〔両・人倫門63三〕
奴婢(ヌビ/アルジ、ヤツコ) 下人也。〔尭・人倫門55一〕
とあって、標記語「奴婢」の語を収載し、語注記には「下人(なり)」と記載する。また、易林本『節用集』には、
奴婢(ヌビ) 。〔人倫門58七〕
このように、上記当代の古辞書に、「奴婢」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。ただし、広本『節用集』、『運歩色葉集』に見える語注記は、この『庭訓徃來註』とは異なっている。
465放券奴婢雜人 旅券ハ我カ奴婢等ヲ賣放之券也。即年記云也。〔謙堂文庫蔵四五左A〕
とあって、標記語「奴婢」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
奴婢(ヌビ)ハ。奴ハ女(ヲンナ)ノツカヒモノ。婢ハ男のツカヒモノ也。〔下21オ七〕
奴婢(ぬひ)雜人(ざうにん)の券契(けんけい)/奴婢雜人ノ券契 男子に奴と云。婦人に婢と云。皆人につかハるゝいやしき者也。雑人ハ下級也。券契はそれを召抱(めしかゝへ)し手形證文なり。〔65オ二〜四〕
とあって、この標記語「奴婢」の語を収載し、語注記は、「男子に奴と云ふ。婦人に婢と云ふ。皆人につかはるゝいやしき者なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。官領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也。▲奴婢雑人ノ券契ハ奴隷(しもべ)婢女(はした)など下人を召抱(めしかヽ)ゆる證文也。〔48ウ一〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|官領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)。▲▲奴婢雑人ノ券契ハ奴隷(しもべ)婢女(はした)など下人を召抱(めしかヽ)ゆる證文也。〔86ウ二〜三〕
NVbi.ヌヒ(奴婢) Yatcuco yatcuco.(奴婢) 奉公人の男,または,女.〔邦訳475l〕
ぬ-ひ〔名〕【奴婢】下男と、下女と。めしつかひの男女。ドヒ。名義抄、二「奴、音駑、ヤッコ、ヤツカリ、ツカヒヒト、婢、ヤッコ、ヒ」運歩色葉集「奴婢、ヌヒ、男曰レ奴、女曰レ婢」唐書、張志和傳「帝嘗賜二奴婢各一人一、志和配爲二夫婦一」〔1514-3〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(サフルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
放券(ハウケン/ハナツ、ノリ)[去・○] 。〔態藝門69七〕
とあって、標記語「放券」の語を収載し、訓みを「ハウケン」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
放券(―ケン)。〔弘・言語進退門26一〕
放逸(ハウイツ) ―黨(タウ)。―券(ケン)。―火(クワ)。―牧(ボク)。―参(サン)/―喰(サン)。―盞(サン)盃酒部。―縱(セウ)。―言(ゴン)音也/―逐(チク)。―言(ゴン)。―免(メン)。―坐(ザ)。―還(ケン)。―散(サン)牛馬。―題(ダイ)詩歌所言也。日本俗或云‖放埒人|。〔永・言語門22四〕
放逸(ハウイツ) ―償。―券。―火。―牧/―参(サン)。―盞盃酒部。―縱/―言詈言也。―逐。―免。―坐。―散牛馬。―題(ダイ)詩歌所言也。日本俗或云‖放埒如生馬―レ―シテ也。―喰(サン)。〔尭・言語門20三〕
とあって、標記語「放券」とするのは弘治二年本であり、他本は標記語「放逸」の冠頭字「放」の熟語群として収載する。また、易林本『節用集』には、標記語「放券」の語は未収載にする。
このように、上記当代の古辞書に、「放券」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
465放券奴婢雜人 放券ハ我カ奴婢等ヲ賣放之券也。即年記云也。〔謙堂文庫蔵四五左A〕
とあって、標記語「放券」の語を収載し、語注記は、「放券は、我が奴婢等を賣り放つの券なり。即ち年記を云ふ」と記載する。
問注所ハ者永代ノ沽券(ウリケン)安堵(アンド)ノ年記放券(ハウケン)ノト云事ハ。賣渡(ウリワタ)ス事ナリ。放券(―ケン)ト云ナリ。〔下21オ六〜七〕
安堵(あんと)年記(ねんき)の放券(ほうけん)/安堵ノ年記放券 安堵の注前に見えたり。〔65オ一〜二〕
とあって、この標記語「放券」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。官領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也。▲安堵年記ノ放券ハすべて質物(しちもつ)等の證文をいふ。是年限(ねんげん)を定(さだ)めて物を預(あづ)かる手形(てがた)也。其年(とし)の中(なか)ハ其(その)元(もと)の安堵(もの)といふ意(ゐ)歟(か)。安堵の注(ちう)ハ前(まへ)の進状に見ゆ。〔48ウ一〜二〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|官領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)。▲安堵年記ノ放券ハすべて質物(しつもつ)等の證文(しようもん)をいふ。是年限(ねんげん)を定(さだ)めて物(もの)を預(あづ)くる手形(てがた)也。其年(とし)の中(うち)ハ其(その)元(もと)の安堵(もの)といふ意(い)歟(か)。安堵の注(ちゆう)ハ前(まへ)の進状に見ゆ。〔86ウ三〜四〕
年紀(―キ) 今ハ曰‖廿一年ヲ|也。〔元亀二年本163九〕
年紀(ネンキ) 今ハ曰‖廿一季ト|也。〔静嘉堂本181二〕
年紀(―キ) 今廿一季ヲ云也。〔天正十七年本中21ウ三〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(サフルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
年記(ネンキ/トシ、シルス)[平・○] 契約限也。〔態藝門429一〕
とあって、標記語「年記」の語を収載し、訓みを「ネンキ」とし、その語注記は「契約の限りなり」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
年記(ネンキ) 契約限。〔弘・時節門133一〕
年記(ネンキ) 契約(ケイヤク)之限リ。〔永・言語門107三〕
年記(ネンキ) 契約之限。〔尭・言語門97九〕〔両・言語門119七〕
とあって、標記語「年記」を収載し、その語注記は広本『節用集』を継承し「契約の限り」と記載する。また、易林本『節用集』には、
年齢(ネンレイ) ―紀(キ)。―預(ヨ)。―來(ライ)。―行事(キヤウジ)/―臈(ラフ)。―年。―貢(グ)。―号(ガウ)。〔言辞門108三〕
このように、上記当代の古辞書に、標記語「年記」の語をもって収載するのは、広本『節用集』と印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』類であり、これらには「契約の限り」という意味説明の語注記が記載されている。そして、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語であるが、この注記は茲の箇所にはあたらない。
464安堵年記 何ケ年ト云。篭∨記地、又人ヲ賣ニ當‖其記|之時、返‖本錢|。賣買之物ヲ取_返者也云々。〔謙堂文庫蔵四五左@〕
とあって、標記語「年記」の語を収載し、語注記は、「何ケ年と云ふ。記して篭る地、また、人を賣るに當に其れを記すべきの時、本錢を返す。賣買の物を取り返すものなり云々」と記載する。
問注所ハ者永代ノ沽券(ウリケン)安堵(アンド)ノ年記放券(ハウケン)ノト云事ハ。賣渡(ウリワタ)ス事ナリ。放券(―ケン)ト云ナリ。〔下21オ六〜七〕
安堵(あんと)年記(ねんき)の放券(ほうけん)/安堵ノ年記放券 安堵の注前に見えたり。〔65オ一〜二〕
とあって、この標記語「年記」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。官領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也。▲安堵年記ノ放券ハすべて質物(しちもつ)等の證文をいふ。是年限(ねんげん)を定(さだ)めて物を預(あづ)かる手形(てがた)也。其年(とし)の中(なか)ハ其(その)元(もと)の安堵(もの)といふ意(ゐ)歟(か)。安堵の注(ちう)ハ前(まへ)の進状に見ゆ。〔48ウ一〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|官領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)。▲安堵年記ノ放券ハすべて質物(しつもつ)等の證文(しようもん)をいふ。是年限(ねんげん)を定(さだ)めて物(もの)を預(あづ)くる手形(てがた)也。其年(とし)の中(うち)ハ其(その)元(もと)の安堵(もの)といふ意(い)歟(か)。安堵の注(ちゆう)ハ前(まへ)の進状に見ゆ。〔86ウ三〜四〕
ねん-き〔名〕【年紀】(一)としだて。よ。年代。後漢書、光武紀、下「孝宣帝毎レ有二嘉瑞一、輒以改元、~爵、五鳳、甘露、黄龍、列爲二年紀一」保元物語、三、爲義最期事「年紀三百四十七年」(二)としばへ。よはひ。年齢。晉書、魯褒傳「不レ計二優劣一、不レ論二年紀一、賓客輻輳、門常如レ市」〔1527-3〕
沽券(ウリケン) 。〔元亀二年本180一〕 沽券(―ケン) 。〔元亀二年本231十〕
沽券(ウリケン) 。〔静嘉堂本201四〕 沽券(―ケン) 。〔静嘉堂本266五〕
沽券(ウリケン) 。〔天正十七年本中29ウ八〕 沽券(コケン) 。〔天正十七年本中62オ四〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(サフルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
沽券(コケン/ウル、チギル・ノリ)[平・去] 券者文也。〔態藝門691五〕
とあって、標記語「沽券」の語を収載し、訓みを「コケン」とし、その語注記は「券者文なり」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
沽券(ウリケン)。〔弘・言語進退門152二〕 沽券(コケン)。〔弘・言語進退門189七〕
沽券(ウリケン)。 〔永・言語門122八〕 沽券(コケン)。 ―却(キヤク)。〔永・言語門155七〕
沽券(ウリケン)。 〔尭・言語門112四〕 沽券(コケン)。〔尭・言語門145六〕
沽券(ウリケン)。 〔両・言語門136七〕
とあって、標記語「沽券」の語を収載し、訓みは「うりケン」と「コケン」との両用にある。また、易林本『節用集』には、
沽却(コキヤク) ―券(ケン)。〔言辞門158六〕
このように、上記当代の古辞書に、「沽券」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
463於‖御前ニ|遂‖對决ヲ|任せ‖雌雄ノ是非ニ|奉行人令メ∨取‖-捨亊書ヲ|於‖引付ニ|窺ヒ‖御評定之異見ヲ|所∨令ル‖成敗|也。問注所ハ者永代沽(ウリ)券 券ハ科註ニ曰、組券也。長一尺二寸法‖十二月|、廣三寸法‖天-地人ニ|刻思カ云曰、小券短書ヲ号∨疏ト也。則賣買之札也云々。〔謙堂文庫蔵四五右F〕
とあって、標記語「沽券」の語を収載し、語注記は、「券は、科註に曰く、組券なり。長さ一尺二寸十二月に法し、廣さ三寸天-地人に法す。刻思が云ふに曰く、小券短書を疏と号すなり。則ち賣買の札なり云々」と記載する。
問注所ハ者永代ノ沽券(ウリケン)安堵(アンド)ノ年記放券(ハウケン)ノト云事ハ。賣渡(ウリワタ)ス事ナリ。放券(―ケン)ト云ナリ。〔下21オ六〜七〕
永代(ゑいたい)の沽券(こけん)/永代ノ沽券 旧地等賣渡しの證文なり。券は手形證文の事なり。〔65オ一〜二〕
とあって、この標記語「沽券」の語を収載し、語注記は「旧地等賣渡しの證文なり。券は手形證文の事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。官領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也。▲永代沽券ハ田地(でんぢ」)屋敷(やしき)なと賣渡(うりわた)しの證文(しようもん)をいふ。〔48ウ一〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|官領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)。▲永代沽券ハ田地(でんち)屋敷(やしき)など賣渡(うりわた)しの證文(しようもん)をいふ。〔86ウ二〜三〕
Vriqen.ウリケン(沽券・売券) 家屋,田畑や地所などを売る人が渡す売渡状.→Vri,u.〔邦訳732r〕
Coqe~.コケン(沽券) 家や地所などの売渡し証書.※原文はcha~o. これでは不十分と考えて,次条のように農耕地を意味する語に改めて補遺に収めたものか.→次条.〔邦訳148r〕
†Coqen.コケン(沽券) 家屋とか田畑とかの売渡し証書.※原文にou campo de casaとあるのは,de casa,ou campoの誤植であろう.〔邦訳148r〕
うり-けんじゃう〔名〕【沽券状】沽券(コケン)に同じ。〔0263-5〕
こ-けん〔名〕【沽券】〔沽却(コキヤク)の語原を見よ〕(一)賣券状(うりケンジヤウ)。沽券状(コケンジヤウ)。地所、屋敷などの賣買、所有を證する券(てがた)。即ち、賣渡(うりわたし)證文なり。光明寺舊記、一、「右件屋敷者、云云、所レ奉レ沽三却渡于二荒木田氏子一、實正明白也、云云、沽券之状如件、永和四年戊午十一月一日、權禰宜度會久兼」東大寺文書、五「右件敷地者、云云、限二永代一、直錢拾伍貫文仁、宗安殿方奉二賣渡一事、實正明鏡也、云云、賣券状如レ件、應永五年戊寅八月廿二日、年預懐乘花押」(古事類苑)(二)價値(ねうち)の意より轉じて、人の資格。ひとがら。人品。品位。「そんな言を云はれては、こけんにかかはる」黙っては、こけんがさがる」〔0270-2〕
永代(エイダイ) 。〔元亀二年本336五〕
永代(――) 。〔静嘉堂本401八〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雑人券契和与状負累證文等謀実糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
問注所者永代沽券安堵年記放券奴婢雜人券契和與状負累證文等謀實糺明之管領寄人右筆奉行人等評判也〔宝徳三年本〕
問-注-所ハ者永-代ノ沽(ウリ)券安-堵年-記(キ)ノ放-券(ホウケン)奴-婢(ヌヒ)雜-人ノ券-契(ケンケイ)和-与状負-累(フルイ)證-文等之謀-実糺‖-明ス之ヲ|管-領寄人(ヨリウト)右-筆。奉-行-人等ノ評-判也〔山田俊雄藏本〕
問注所者、永代ノ沽券(ウリケン)、安堵ノ年記放券ノ奴婢雑人、券契(ケンケイ)和与ノ状、負累(フルイ)ノ證文等ノ之謀実(ホウ―)、糺‖-明ス之ヲ|。管領ノ寄人(ヨリウト)右筆奉-行人等之ノ評判也。〔経覺筆本〕
問-注-所者(ハ)永-代ノ沽-券(コケン)安-堵(ト)ノ年(ネン)ノ-記放-券(ハウケン)奴-婢(ヌビ)雜-人(サウニン)券-契(ケンケ井)和-与(ワヨ)ノ状。負-累(サフルイ)ノ證-文等謀-実(ホウシツ)糺-明(キウメイ)ス之ヲ|。管-領(クワンレイ)ノ寄-人(ヨリウド)右-筆(ユウヒツ)奉-行-人等ノ評-判也。〔文明四年本〕※契(ケイ)。累(ルイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
永代(ヱイタイ/ナガシ、カワル・ヨ)[上・去] 。〔態藝門704二〕
とあって、標記語「永代」の語を収載し、訓みを「エイタイ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
永代(エイタイ)。〔弘・言語進退門195六〕
永代(エイタイ)。 ―地(ヂ)。〔永・言語門161二〕
永代(エイタイ)。 ―地。―領。〔尭・言語門150四〕
とあって、標記語「永代」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
永領(エイリヤウ) ―代(タイ)。〔言辞門163二〕
このように、上記当代の古辞書に、「永代」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
463於‖御前ニ|遂‖對决ヲ|任せ‖雌雄ノ是非ニ|奉行人令メ∨取‖-捨亊書ヲ|於‖引付ニ|窺ヒ‖御評定之異見ヲ|所∨令ル‖成敗|也。問注所ハ者永代沽(ウリ)券 券ハ科註ニ曰、組券也。長一尺二寸法‖十二月|、廣三寸法‖天-地人ニ|刻思カ云曰、小券短書ヲ号∨疏ト也。則賣買之札也云々。〔謙堂文庫蔵四五右F〕
とあって、標記語「永代」の語を収載し、語注記は未記載にする。
問注所ハ者永代ノ沽券(ウリケン)安堵(アンド)ノ年記放券(ハウケン)ノト云事ハ。賣渡(ウリワタ)ス事ナリ。放券(―ケン)ト云ナリ。〔下21オ六〜七〕
永代(ゑいたい)の沽券(こけん)/永代ノ沽券 旧地等賣渡しの證文なり。券は手形證文の事なり。〔65オ一〜二〕
とあって、この標記語「永代」の語を収載し、語注記は「取は、とる。捨は、すつると訓ず。理ありて直なるを取り、理なくして往れるを捨つるをいふなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
問注所(もんちうしよ)者(ハ)永代(ゑいたい)の沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)の券契(けんけい)和與状(わよじやう)負累(ふるい)の證文(しやうもん)等(とう)の謀實(ばうじつ)之(これ)を糾明(きうめい)す管領(くハんれい)の寄人(よりうど)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)/問注所者。永代ノ沽券。安堵年記ノ放券。奴婢雜人ノ券契。和-與ノ状。負累ノ證文等ノ之謀実。糺‖-明ス之ヲ|。官領ノ寄人。右-筆。奉-行-人等ノ評判也。▲永代沽券ハ田地(でんぢ」)屋敷(やしき)なと賣渡(うりわた)しの證文(しようもん)をいふ。〔48ウ一〕
問注所(もんちゆうしよ)者(ハ)永代(えいたい)沽券(うりけん)安堵(あんど)年記(ねんき)の放券(はうけん)奴婢(ぬひ)雜人(ざふにん)券契(けんけい)和-與(わよ)状(じやう)負累(ふるゐ)の證文(しようもん)等(とう)之(の)謀実(ばうじつ)糺‖-明(きうめい)す之(これ)を|官領(くわんれい)の寄人(よりうと)右筆(いうひつ)奉行人(ぶぎやうにん)等(とう)の評判(ひやうばん)也(なり)。▲永代沽券ハ田地(でんち)屋敷(やしき)など賣渡(うりわた)しの證文(しようもん)をいふ。〔86ウ二〜三〕
Yeitai.エイタイ(永代) Nagai yo.(永い代)永久に,あるいは,長く代々を通じて.〔邦訳817l〕
えい-たい〔名〕【永代】永世に同じ。魏武帝、令、「趙奢賽嬰之爲レ將也、受レ賜千金、一朝散レ之、故永代流レ聲」〔0270-2〕
於御前遂對决任雌雄是非奉行人令取捨事書於引付窺御評定異見所令成敗也〔至徳三年本〕
於御前遂對决任雌雄是非奉行人令取捨事書於引付窺御評定異見所令成敗也〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
於テ‖御-前ニ|遂ケ‖問-答對-决ヲ|任テ‖雌-雄(シユウ)ノ之是-非ニ|奉-行-人令三取‖-捨せ事-書ヲ|於テ‖引_付_方ニ|窺ヒ‖御-評-定ノ異-見ヲ|所∨令ル‖成-敗|也〔山田俊雄藏本〕
於‖御前|遂ゲ‖對决ヲ|任セ‖雌雄(シユウ)ノ是非ニ|奉行人ニ令∨取‖捨セ事書ヲ|於テ‖引付ニ|窺ヒ‖御評定ノ異見(イ―)ヲ|。所∨令ムル‖成敗|也〔経覺筆本〕
於テ御前ニ|。遂ケ‖對-决ヲ|任(マカ)せ‖雌-雄(シユウ)ノ是-非(ゼヒ)ニ|奉-行-人令メ∨取‖-捨(シユシヤ/トリスツル)。事_書(コトカキ)ヲ|於テ‖引_付ニ|。窺(ウカヽ)井‖御-評-定ノ異-見(イケン)ヲ|。所∨令‖成敗|也。〔文明四年本〕※對决(タイケツ)。取捨(シユシヤ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書には、「事書」の語が未収載となっていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本には見えている語である。これを確認できる資料としては、下記に示す『日葡辞書』だけとなっている。
463於‖御前ニ|遂‖對决ヲ|任せ‖雌雄ノ是非ニ|奉行人令メ∨取‖-捨亊書ヲ|於‖引付ニ|窺ヒ‖御評定之異見ヲ|所∨令ル‖成敗|也。問注所ハ者永代沽(ウリ)券 券ハ科註ニ曰、組券也。長一尺二寸法‖十二月|、廣三寸法‖天-地人ニ|刻思カ云曰、小券短書ヲ号∨疏ト也。則賣買之札也云々。〔謙堂文庫蔵四五右F〕
とあって、標記語「事書」の語を収載し、語注記は未記載にする。
雌雄(シユウ)ノ是非ニ|奉-行-人令メ∨取‖捨(シユシヤ)事_書ヲ|於テ‖引_付ニ|窺(ウカヽ)ヒ‖御評-定之異見(イ―)ヲ|所∨令‖成敗(せイバイ)|也雌雄ノ是非トハ。女鳥(メドリ)男鳥(ヲントリ)ノ事也。戦(タヽ)カヒヲナス時ニ女鳥勝(カツ)時モ有男鳥勝ツ事モ有也。定難シ∨知。〔下21オ二〜三〕
奉行人(ぶぎやうにん)事書(ことかき)を取捨(しゆしや)せ令(し)め/奉行人令∨取‖-捨セ亊書ヲ| 取ハとる。捨ハすつると訓す。理ありて直(すく)なるを取理なくして往(ゆか)れるを捨るをいふ也。事書とハ前に問答訴陳の時両人の申すを記したる事問なり。事書を取捨するとハゑらひわけるをいふなり。こゝにて罪の有無(うむ)事の是非先決着(けつちやく)したり。〔64ウ三〜四〕
とあって、この標記語「事書」の語を収載し、語注記は「事書とは、前に問答訴陳の時両人の申すを記したる事問なり。事書を取捨するとは、ゑらびわけるをいふなり。こゝにて罪の有無、事の是非先ず決着したり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
執筆(しゆひつ)問状(もんじやう)の訴人(そにん)於(に)書與(かきあた)ふる之(の)時(とき)兩度(りやうど)に及(およん)て無音(ぶいん)せバ使節(しせつ)に仰(おふ)せて召符(めしふ)を下(くだ)さ被(れ)違背(いはい)散状(さんじやう)に就(つい)て者(ハ)直(ぢき)に訴人(そにん)于(に)下知(げぢ)せら被(れ)召(めし)進(しん)せ令(し)むる之(の)時(とき)者(ハ)訴状(そじやう)を封(ふう)じ下(くだ)さ被(れ)三問三答(さんもんさんたふ)の訴陳(そちん)を番(つが)ひ御前(こぜん)に於(おいて)對決(たいけつ)を遂(と)げ雌雄(しゆう)是非(ぜひ)に任(まか)せ奉行人(ぶぎやうにん)事書(ことかき)を取捨(しゆしや)せ令(し)め引付(ひきつけ)に於(おいて)御評定(ごひやうじやう)乃異見(いけん)を窺(うかゞ)ひ成敗(せいばい)せ令(し)むる所(ところ)也(なり)/執筆書キ‖_與フル問_状ノ奉書ヲ於訴人ニ|之時。及テ‖兩度ニ|無-音セハ者。仰セテ‖使節ニ|被∨下サ‖召符ヲハ|就テ‖違背散-状者。直ニ被∨下‖-知セラ于訴人|。令ムル‖召シ-進セ之時者。被∨封シ‖-下サ訴状ヲ|番ヒ‖三問三答ノ訴陳ヲ|。於‖御前ニ|遂ケ‖對决ヲ|任セ‖雌雄是非ニ|。奉行人令∨取‖-捨セ亊書ヲ|於‖引付ニ|窺ヒ‖御評定ノ異見ヲ|。所∨令ムル‖成敗セ|也。▲取捨事書とハ前(まへ)の問答乃時(とき)両人の申口書(くちがき)を撰分(ゑらびわく)る也。〔48オ一〕
執筆(しゆひつ)書(かき)‖_與(あた)ふる問状(もんじやう)の奉書(ほうしよ)を於訴人(そにん)|之(の)時(とき)及(およん)で‖兩度(りやうど)に|無音(ぶいん)せバ仰(おほ)せて‖使節(しせつ)に|被(れ)∨下(くだ)さ‖召符(めしふ)を|就(つい)て‖違背(ゐはい)散状(さんじやう)に者(ハ)直(ぢき)に被(れ)∨下‖-知(げぢ)せら于訴人(そにん)に|令(しむ)る∨召(めし)‖-進(しん)ぜ之(の)|時(とき)者(ハ)被(れ)∨封(ふう)じ‖-下(くだ)さ訴状(そじやう)を|番(つが)ひ‖三問三答(さんもんさんたふ)の訴陳(そちん)を|於(おい)て‖御前(ごぜん)に|遂(とけ)‖對决(たいけつ)を|任(まか)せ‖雌雄(しゆう)是非(ぜひ)に|奉行人(ぶきやうにん)令(し)め∨取‖-捨(しゆしや)せ亊書(ことかき)を|於(おい)て‖引付(ひきつけ)に|窺(うかゞ)ひ‖御評定(ごひやうじやう)の異見(いけん)を|所(ところ)∨令(しむ)る‖成敗(せいばい)せ|也(なり)。▲取捨事書とハ前(まへ)の問答の時(とき)両人(りやうにん)の申口書(くちがき)を撰分(えらひわく)る也。〔85ウ三〕
†Cotogaqi.コトガキ(事書) 文書中のわかりにくい箇所を説明するために,そのそばに書き加える注釈.〔邦訳153r〕
こと-がき〔名〕【事書】事を、箇條に立てて、書き列ぬるもの。箇條書。公書にも、私書にも云ふ。吾妻鏡、八、文治四年二月二日「所所地頭等所領已下事、云云、御事書云、寳殿越後國、奥山莊、地頭不當事、修理大夫家、尾張國、津島社、板垣冠者、不レ辨二所當一之由事、云云」武家名目鈔、文書、三、上「凡、箇條書は、一條毎に、某事、某事と記すが故に、或は又、事書とも云ふなり」庭訓徃來、八月「奉行人令レ取二捨事書一、於二引付一、窺二御評定異見一、所令二成敗一也」關城書考に戴する、興國二年十二月、常陸の關城中なる、北畠親房卿より、陸奥、白河なる、結城親朝に贈られたる書簡に「以二此事書之趣一、能能可レ有二料簡一候也」とあり。太平記、十五、三井寺合戰事、彌勒の首に、血の付きたりけるを見て「山法師や仕たりけむ、大札を立てて、一首の歌に、事書を副へたりけり」執筆被レ書三與問状奉書於二訴人一之時、及二兩度一無音、仰二使節一、被レ下二事書一」〔0699-2〕
於御前遂對决任雌雄是非奉行人令取捨事書於引付窺御評定異見所令成敗也〔至徳三年本〕
於御前遂對决任雌雄是非奉行人令取捨事書於引付窺御評定異見所令成敗也〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
於テ‖御-前ニ|遂ケ‖問-答對-决ヲ|任テ‖雌-雄(シユウ)ノ之是-非ニ|奉-行-人令三取‖-捨せ事-書ヲ|於テ‖引_付_方ニ|窺ヒ‖御-評-定ノ異-見ヲ|所∨令ル‖成-敗|也〔山田俊雄藏本〕
於‖御前|遂ゲ‖對决ヲ|任セ‖雌雄(シユウ)ノ是非ニ|奉行人ニ令∨取‖捨セ事書ヲ|於テ‖引付ニ|窺ヒ‖御評定ノ異見(イ―)ヲ|。所∨令ムル‖成敗|也〔経覺筆本〕
於テ御前ニ|。遂ケ‖對-决ヲ|任(マカ)せ‖雌-雄(シユウ)ノ是-非(ゼヒ)ニ|奉-行-人令メ∨取‖-捨(シユシヤ/トリスツル)。事_書(コトカキ)ヲ|於テ‖引_付ニ|。窺(ウカヽ)井‖御-評-定ノ異-見(イケン)ヲ|。所∨令‖成敗|也。〔文明四年本〕※對决(タイケツ)。取捨(シユシヤ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
取捨 シユシヤ。〔黒川本・疉字門下81オ七〕
取捨 。〔卷第九・疉字門224二〕
取捨(シユシヤ/トル、ステル)[上・上] 用捨ト同意。〔態藝門944四〕
とあって、標記語「取捨」の語を収載し、訓みを「シユシヤ」とし、その語注記は「用捨と同意」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』・易林本『節用集』には、「取捨」の語を未収載にする。
このように、上記当代の古辞書のうちでは、三卷本『色葉字類抄』(1177-81年)と十巻本『伊呂波字類抄』と広本『節用集』(1476(文明六)年頃成立)に、「取捨」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。なぜ、『運歩色葉集』及び印度本系統の『節用集』類が此語を未収載したのか、能々考察する余地が残されている。いわば、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本『庭訓往来註』に記載が見られる総ての語を収載するという網羅的記載ではなく、ここには一つの選定意識が働いていると見て良かろう。この意味から、とりわけ、広本『節用集』が収載するということ、また、語注記に「用捨」と同意といったことを付帯するものであることは、他『節用集』類が認知しなかったなかでの収載であり、まさに、その収載の特有性を有することをここに指摘しておく。
463於‖御前ニ|遂‖對决ヲ|任せ‖雌雄ノ是非ニ|奉行人令メ∨取‖-捨亊書ヲ|於‖引付ニ|窺ヒ‖御評定之異見ヲ|所∨令ル‖成敗|也。問注所ハ者永代沽(ウリ)券 券ハ科註ニ曰、組券也。長一尺二寸法‖十二月|、廣三寸法‖天-地人ニ|刻思カ云曰、小券短書ヲ号∨疏ト也。則賣買之札也云々。〔謙堂文庫蔵四五右F〕
とあって、標記語「取捨」の語を収載し、語注記は未記載にする。
雌雄(シユウ)ノ是非ニ|奉-行-人令メ∨取‖捨(シユシヤ)事_書ヲ|於テ‖引_付ニ|窺(ウカヽ)ヒ‖御評-定之異見(イ―)ヲ|所∨令‖成敗(せイバイ)|也雌雄ノ是非トハ。女鳥(メドリ)男鳥(ヲントリ)ノ事也。戦(タヽ)カヒヲナス時ニ女鳥勝(カツ)時モ有男鳥勝ツ事モ有也。定難シ∨知。〔下21オ二〜三〕
奉行人(ぶぎやうにん)事書(ことかき)を取捨(しゆしや)せ令(し)め/奉行人令∨取‖-捨セ亊書ヲ| 取ハとる。捨ハすつると訓す。理ありて直(すく)なるを取理なくして往(ゆか)れるを捨るをいふ也。事書とハ前に問答訴陳の時両人の申すを記したる事問なり。事書を取捨するとハゑらひわけるをいふなり。こゝにて罪の有無(うむ)事の是非先決着(けつちやく)したり。〔64ウ三〜四〕
とあって、この標記語「取捨」の語を収載し、語注記は「取は、とる。捨は、すつると訓ず。理ありて直なるを取り、理なくして往れるを捨つるをいふなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
執筆(しゆひつ)問状(もんじやう)の訴人(そにん)於(に)書與(かきあた)ふる之(の)時(とき)兩度(りやうど)に及(およん)て無音(ぶいん)せバ使節(しせつ)に仰(おふ)せて召符(めしふ)を下(くだ)さ被(れ)違背(いはい)散状(さんじやう)に就(つい)て者(ハ)直(ぢき)に訴人(そにん)于(に)下知(げぢ)せら被(れ)召(めし)進(しん)せ令(し)むる之(の)時(とき)者(ハ)訴状(そじやう)を封(ふう)じ下(くだ)さ被(れ)三問三答(さんもんさんたふ)の訴陳(そちん)を番(つが)ひ御前(こぜん)に於(おいて)對決(たいけつ)を遂(と)げ雌雄(しゆう)是非(ぜひ)に任(まか)せ奉行人(ぶぎやうにん)事書(ことかき)を取捨(しゆしや)せ令(し)め引付(ひきつけ)に於(おいて)御評定(ごひやうじやう)乃異見(いけん)を窺(うかゞ)ひ成敗(せいばい)せ令(し)むる所(ところ)也(なり)/執筆書キ‖_與フル問_状ノ奉書ヲ於訴人ニ|之時。及テ‖兩度ニ|無-音セハ者。仰セテ‖使節ニ|被∨下サ‖召符ヲハ|就テ‖違背散-状者。直ニ被∨下‖-知セラ于訴人|。令ムル‖召シ-進セ之時者。被∨封シ‖-下サ訴状ヲ|番ヒ‖三問三答ノ訴陳ヲ|。於‖御前ニ|遂ケ‖對决ヲ|任セ‖雌雄是非ニ|。奉行人令∨取‖-捨セ亊書ヲ|於‖引付ニ|窺ヒ‖御評定ノ異見ヲ|。所∨令ムル‖成敗セ|也。▲取捨事書とハ前(まへ)の問答乃時(とき)両人の申口書(くちがき)を撰分(ゑらびわく)る也。〔48オ一〕
執筆(しゆひつ)書(かき)‖_與(あた)ふる問状(もんじやう)の奉書(ほうしよ)を於訴人(そにん)|之(の)時(とき)及(およん)で‖兩度(りやうど)に|無音(ぶいん)せバ仰(おほ)せて‖使節(しせつ)に|被(れ)∨下(くだ)さ‖召符(めしふ)を|就(つい)て‖違背(ゐはい)散状(さんじやう)に者(ハ)直(ぢき)に被(れ)∨下‖-知(げぢ)せら于訴人(そにん)に|令(しむ)る∨召(めし)‖-進(しん)ぜ之(の)|時(とき)者(ハ)被(れ)∨封(ふう)じ‖-下(くだ)さ訴状(そじやう)を|番(つが)ひ‖三問三答(さんもんさんたふ)の訴陳(そちん)を|於(おい)て‖御前(ごぜん)に|遂(とけ)‖對决(たいけつ)を|任(まか)せ‖雌雄(しゆう)是非(ぜひ)に|奉行人(ぶきやうにん)令(し)め∨取‖-捨(しゆしや)せ亊書(ことかき)を|於(おい)て‖引付(ひきつけ)に|窺(うかゞ)ひ‖御評定(ごひやうじやう)の異見(いけん)を|所(ところ)∨令(しむ)る‖成敗(せいばい)せ|也(なり)。▲取捨事書とハ前(まへ)の問答の時(とき)両人(りやうにん)の申口書(くちがき)を撰分(えらひわく)る也。〔85ウ三〕
Xuxa.シユシヤ(取捨) Toru,sutcuru.(取る,捨つる)取ることと捨てること.文書語.〔邦訳804l〕
しゆ-しゃ〔名〕【取捨】取ると、捨つると。用ゐると、用ゐざると。班固、答賓戯「取捨者昔人之上務」「取捨選擇」〔0994-4〕
是非(――) 。〔静嘉堂本428一〕 ※〔元亀二年本×〕
於御前遂對决任雌雄是非奉行人令取捨事書於引付窺御評定異見所令成敗也〔至徳三年本〕
於御前遂對决任雌雄是非奉行人令取捨事書於引付窺御評定異見所令成敗也〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
於テ‖御-前ニ|遂ケ‖問-答對-决ヲ|任テ‖雌-雄(シユウ)ノ之是-非ニ|奉-行-人令三取‖-捨せ事-書ヲ|於テ‖引_付_方ニ|窺ヒ‖御-評-定ノ異-見ヲ|所∨令ル‖成-敗|也〔山田俊雄藏本〕
於‖御前|遂ゲ‖對决ヲ|任セ‖雌雄(シユウ)ノ是非ニ|奉行人ニ令∨取‖捨セ事書ヲ|於テ‖引付ニ|窺ヒ‖御評定ノ異見(イ―)ヲ|。所∨令ムル‖成敗|也〔経覺筆本〕
於テ御前ニ|。遂ケ‖對-决ヲ|任(マカ)せ‖雌-雄(シユウ)ノ是-非(ゼヒ)ニ|奉-行-人令メ∨取‖-捨(シユシヤ/トリスツル)。事_書(コトカキ)ヲ|於テ‖引_付ニ|。窺(ウカヽ)井‖御-評-定ノ異-見(イケン)ヲ|。所∨令‖成敗|也。〔文明四年本〕※對决(タイケツ)。取捨(シユシヤ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
是非 評定分/せヒ。〔黒川本・疉字門下105ウ四〕
是非 。〔卷第十・疉字門466三〕
是非(ぜヒ)。〔言辞門237二〕
このように、上記当代の古辞書『運歩色葉集』と易林本『節用集』とに、「是非」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
463於‖御前ニ|遂‖對决ヲ|任せ‖雌雄ノ是非ニ|奉行人令メ∨取‖-捨亊書ヲ|於‖引付ニ|窺ヒ‖御評定之異見ヲ|所∨令ル‖成敗|也。問注所ハ者永代沽(ウリ)券 券ハ科註ニ曰、組券也。長一尺二寸法‖十二月|、廣三寸法‖天-地人ニ|刻思カ云曰、小券短書ヲ号∨疏ト也。則賣買之札也云々。〔謙堂文庫蔵四五右F〕
とあって、標記語「是非」の語を収載し、語注記は未記載にする。
雌雄(シユウ)ノ是非ニ|奉-行-人令メ∨取‖捨(シユシヤ)事_書ヲ|於テ‖引_付ニ|窺(ウカヽ)ヒ‖御評-定之異見(イ―)ヲ|所∨令‖成敗(せイバイ)|也雌雄ノ是非トハ。女鳥(メドリ)男鳥(ヲントリ)ノ事也。戦(タヽ)カヒヲナス時ニ女鳥勝(カツ)時モ有男鳥勝ツ事モ有也。定難シ∨知。〔下21オ二〜三〕
雌雄(しゆう)是非(ぜひ)に任(まか)せ/任せ‖雌雄是非ニ| 雌ハめん鳥也。負たるにたとふ。雄ハおん鳥也。勝たるにたとふ。是ハ理ある也。非ハ理なきなり。〔64ウ三〜四〕
とあって、この標記語「是非」の語を収載し、語注記は「是は、理あるなり。非は、理なきなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
執筆(しゆひつ)問状(もんじやう)の訴人(そにん)於(に)書與(かきあた)ふる之(の)時(とき)兩度(りやうど)に及(およん)て無音(ぶいん)せバ使節(しせつ)に仰(おふ)せて召符(めしふ)を下(くだ)さ被(れ)違背(いはい)散状(さんじやう)に就(つい)て者(ハ)直(ぢき)に訴人(そにん)于(に)下知(げぢ)せら被(れ)召(めし)進(しん)せ令(し)むる之(の)時(とき)者(ハ)訴状(そじやう)を封(ふう)じ下(くだ)さ被(れ)三問三答(さんもんさんたふ)の訴陳(そちん)を番(つが)ひ御前(こぜん)に於(おいて)對決(たいけつ)を遂(と)げ雌雄(しゆう)是非(ぜひ)に任(まか)せ奉行人(ぶぎやうにん)事書(ことかき)を取捨(しゆしや)せ令(し)め引付(ひきつけ)に於(おいて)御評定(ごひやうじやう)乃異見(いけん)を窺(うかゞ)ひ成敗(せいばい)せ令(し)むる所(ところ)也(なり)/執筆書キ‖_與フル問_状ノ奉書ヲ於訴人ニ|之時。及テ‖兩度ニ|無-音セハ者。仰セテ‖使節ニ|被∨下サ‖召符ヲハ|就テ‖違背散-状者。直ニ被∨下‖-知セラ于訴人|。令ムル‖召シ-進セ之時者。被∨封シ‖-下サ訴状ヲ|番ヒ‖三問三答ノ訴陳ヲ|。於‖御前ニ|遂ケ‖對决ヲ|任セ‖雌雄是非ニ|。奉行人令∨取‖-捨セ亊書ヲ|於‖引付ニ|窺ヒ‖御評定ノ異見ヲ|。所∨令ムル‖成敗セ|也。▲雌雄是非ハ公事の勝負(かちまけ)をいふ。雄と是ハ勝方(かちかた)雌と非ハ負方(まけかた)也。〔47ウ八〜48オ一〕
執筆(しゆひつ)書(かき)‖_與(あた)ふる問状(もんじやう)の奉書(ほうしよ)を於訴人(そにん)|之(の)時(とき)及(およん)で‖兩度(りやうど)に|無音(ぶいん)せバ仰(おほ)せて‖使節(しせつ)に|被(れ)∨下(くだ)さ‖召符(めしふ)を|就(つい)て‖違背(ゐはい)散状(さんじやう)に者(ハ)直(ぢき)に被(れ)∨下‖-知(げぢ)せら于訴人(そにん)に|令(しむ)る∨召(めし)‖-進(しん)ぜ之(の)|時(とき)者(ハ)被(れ)∨封(ふう)じ‖-下(くだ)さ訴状(そじやう)を|番(つが)ひ‖三問三答(さんもんさんたふ)の訴陳(そちん)を|於(おい)て‖御前(ごぜん)に|遂(とけ)‖對决(たいけつ)を|任(まか)せ‖雌雄(しゆう)是非(ぜひ)に|奉行人(ぶきやうにん)令(し)め∨取‖-捨(しゆしや)せ亊書(ことかき)を|於(おい)て‖引付(ひきつけ)に|窺(うかゞ)ひ‖御評定(ごひやうじやう)の異見(いけん)を|所(ところ)∨令(しむ)る‖成敗(せいばい)せ|也(なり)。▲雌雄是非ハ公事(くじ)の勝負(かちまけ)をいふ。雄(ゆう)と是(ぜ)ハ勝方(かちかた)雌(し)と非(ひ)ハ負方(まけかた)也。〔85ウ二〜三〕
Iefi.ゼヒ(是非) すなわち,Yoxi axi.(善し悪し) 善悪.§また,Iefe.(是非)すなわち,Iefitomoni.(是非ともに)どうしても.例,Iefi cudasarei.(是非下されい)どうしてもそれを私に下さい,あるいは,譲って下さい.→Ronji,zuru;Vacachi,tcu.〔邦訳356l〕
ぜ-ひ〔名〕【是非】よきと、あしきと。善惡。邪正。孟子、公孫丑、上篇「無二是非之心一、非レ人也」百練鈔、十四、仁治三年正月十九日「今夕、關東飛脚參洛、洛中馳走、不レ辨二是非一」宇治拾遺物語、一、第十六條「尼、見るままに、ぜひも知らず、伏しまろびて、拝み入りて」「是非をわかつ」是非善惡」是非に及ばずとは、爲む方無し。是非するまでも無し。已むことを得ず。太平記、三、楠事「弓矢取る身の面目、何事か是に過ぎじ、と思ひければ、是非の思案にも不及、先づ忍びて、笠置へぞ參じける」〔1117-1〕
雌雄(シユウ) 。〔元亀二年本317四〕
雌雄(シヲウ) 。〔静嘉堂本373一〕
於御前遂對决任雌雄是非奉行人令取捨事書於引付窺御評定異見所令成敗也〔至徳三年本〕
於御前遂對决任雌雄是非奉行人令取捨事書於引付窺御評定異見所令成敗也〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
於テ‖御-前ニ|遂ケ‖問-答對-决ヲ|任テ‖雌-雄(シユウ)ノ之是-非ニ|奉-行-人令三取‖-捨せ事-書ヲ|於テ‖引_付_方ニ|窺ヒ‖御-評-定ノ異-見ヲ|所∨令ル‖成-敗|也〔山田俊雄藏本〕
於‖御前|遂ゲ‖對决ヲ|任セ‖雌雄(シユウ)ノ是非ニ|奉行人ニ令∨取‖捨セ事書ヲ|於テ‖引付ニ|窺ヒ‖御評定ノ異見(イ―)ヲ|。所∨令ムル‖成敗|也〔経覺筆本〕
於テ御前ニ|。遂ケ‖對-决ヲ|任(マカ)せ‖雌-雄(シユウ)ノ是-非(ゼヒ)ニ|奉-行-人令メ∨取‖-捨(シユシヤ/トリスツル)。事_書(コトカキ)ヲ|於テ‖引_付ニ|。窺(ウカヽ)井‖御-評-定ノ異-見(イケン)ヲ|。所∨令‖成敗|也。〔文明四年本〕※對决(タイケツ)。取捨(シユシヤ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
雌雄 シイウ。〔黒川年本・疉字門下82オ五〕
雌雄 〃黄。〃伏。〔卷第九・疉字門207二〕
鴛鴦(ヱンワウ) 此ノ鳥尤異トナル者ノ也。養フレ雛(ヒナ)ヲ於二土窟(トクツ)ニ一。能ク使シテ/シム狐(クツネ)ヲ護(マホラ)レ之ヲ。雌雄(シイウ)不二暫クモ離(ハナレ)一。杜子美カ句ニ鴛鴦不ス二獨リ宿セ一。〔態藝門404五〕
このように、上記当代の古辞書のうち、『色葉字類抄』『運歩色葉集』そして、『下學集』の標記語「鴛鴦」の語注記のなかに「雌雄」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
463於‖御前ニ|遂‖對决ヲ|任せ‖雌雄ノ是非ニ|奉行人令メ∨取‖-捨亊書ヲ|於‖引付ニ|窺ヒ‖御評定之異見ヲ|所∨令ル‖成敗|也。問注所ハ者永代沽(ウリ)券 券ハ科註ニ曰、組券也。長一尺二寸法‖十二月|、廣三寸法‖天-地人ニ|刻思カ云曰、小券短書ヲ号∨疏ト也。則賣買之札也云々。〔謙堂文庫蔵四五右F〕
とあって、標記語「雌雄」の語を収載し、語注記は未記載にする。
雌雄(シユウ)ノ是非ニ|奉-行-人令メ∨取‖捨(シユシヤ)事_書ヲ|於テ‖引_付ニ|窺(ウカヽ)ヒ‖御評-定之異見(イ―)ヲ|所∨令‖成敗(せイバイ)|也雌雄ノ是非トハ。女鳥(メドリ)男鳥(ヲントリ)ノ事也。戦(タヽ)カヒヲナス時ニ女鳥勝(カツ)時モ有男鳥勝ツ事モ有也。定難シ∨知。〔下21オ二〜三〕
雌雄(しゆう)是非(ぜひ)に任(まか)せ/任せ‖雌雄是非ニ| 雌ハめん鳥也。負たるにたとふ。雄ハおん鳥也。勝たるにたとふ。是ハ理ある也。非ハ理なきなり。〔64ウ三〜四〕
とあって、この標記語「雌雄」の語を収載し、語注記は「雌は、めん鳥なり。負たるにたとふ。雄は、おん鳥なり。勝たるにたとふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
執筆(しゆひつ)問状(もんじやう)の訴人(そにん)於(に)書與(かきあた)ふる之(の)時(とき)兩度(りやうど)に及(およん)て無音(ぶいん)せバ使節(しせつ)に仰(おふ)せて召符(めしふ)を下(くだ)さ被(れ)違背(いはい)散状(さんじやう)に就(つい)て者(ハ)直(ぢき)に訴人(そにん)于(に)下知(げぢ)せら被(れ)召(めし)進(しん)せ令(し)むる之(の)時(とき)者(ハ)訴状(そじやう)を封(ふう)じ下(くだ)さ被(れ)三問三答(さんもんさんたふ)の訴陳(そちん)を番(つが)ひ御前(こぜん)に於(おいて)對決(たいけつ)を遂(と)げ雌雄(しゆう)是非(ぜひ)に任(まか)せ奉行人(ぶぎやうにん)事書(ことかき)を取捨(しゆしや)せ令(し)め引付(ひきつけ)に於(おいて)御評定(ごひやうじやう)乃異見(いけん)を窺(うかゞ)ひ成敗(せいばい)せ令(し)むる所(ところ)也(なり)/執筆書キ‖_與フル問_状ノ奉書ヲ於訴人ニ|之時。及テ‖兩度ニ|無-音セハ者。仰セテ‖使節ニ|被∨下サ‖召符ヲハ|就テ‖違背散-状者。直ニ被∨下‖-知セラ于訴人|。令ムル‖召シ-進セ之時者。被∨封シ‖-下サ訴状ヲ|番ヒ‖三問三答ノ訴陳ヲ|。於‖御前ニ|遂ケ‖對决ヲ|任セ‖雌雄是非ニ|。奉行人令∨取‖-捨セ亊書ヲ|於‖引付ニ|窺ヒ‖御評定ノ異見ヲ|。所∨令ムル‖成敗セ|也。▲雌雄是非ハ公事の勝負(かちまけ)をいふ。雄と是ハ勝方(かちかた)雌と非ハ負方(まけかた)也。〔47ウ八〜48オ一〕
執筆(しゆひつ)書(かき)‖_與(あた)ふる問状(もんじやう)の奉書(ほうしよ)を於訴人(そにん)|之(の)時(とき)及(およん)で‖兩度(りやうど)に|無音(ぶいん)せバ仰(おほ)せて‖使節(しせつ)に|被(れ)∨下(くだ)さ‖召符(めしふ)を|就(つい)て‖違背(ゐはい)散状(さんじやう)に者(ハ)直(ぢき)に被(れ)∨下‖-知(げぢ)せら于訴人(そにん)に|令(しむ)る∨召(めし)‖-進(しん)ぜ之(の)|時(とき)者(ハ)被(れ)∨封(ふう)じ‖-下(くだ)さ訴状(そじやう)を|番(つが)ひ‖三問三答(さんもんさんたふ)の訴陳(そちん)を|於(おい)て‖御前(ごぜん)に|遂(とけ)‖對决(たいけつ)を|任(まか)せ‖雌雄(しゆう)是非(ぜひ)に|奉行人(ぶきやうにん)令(し)め∨取‖-捨(しゆしや)せ亊書(ことかき)を|於(おい)て‖引付(ひきつけ)に|窺(うかゞ)ひ‖御評定(ごひやうじやう)の異見(いけん)を|所(ところ)∨令(しむ)る‖成敗(せいばい)せ|也(なり)。▲雌雄是非ハ公事(くじ)の勝負(かちまけ)をいふ。雄(ゆう)と是(ぜ)ハ勝方(かちかた)雌(し)と非(ひ)ハ負方(まけかた)也。〔85ウ二〜三〕
Xiuo>.l,xiyu<.シヲゥ,または,シユゥ.(雌雄) Medori,vodori.(雌鳥,雄鳥)雌鳥と雄鳥と.§また,Maqe,cachi.(負け,勝ち)負けることと勝つこと.→Xiuo>fimbo.〔邦訳783r〕
し-ゆう〔名〕【雌雄】(一)めと、をと。(鳥類に云ふ)詩經、小雅、祈父之什、正月篇「召二彼故老一、訊レ之占レ夢、具曰二予聖一、誰知二烏之雌雄一」(二)かちまけ。勝負(シヨウブ)。優劣。史記、項羽紀「願與二漢王一挑レ戰決二雌雄一」太平記、十七、山門牒送二南都一事「合戰の雌雄は、時の運による事にて候へば、かねて、勝負を定めがたく候」〔0985-3〕
對决(タイケツ) 。〔元亀二年本135二〕〔天正十七年本中3オ五〕
對决(―ケツ) 。〔静嘉堂本142二〕
於御前遂對决任雌雄是非奉行人令取捨事書於引付窺御評定異見所令成敗也〔至徳三年本〕
於御前遂對决任雌雄是非奉行人令取捨事書於引付窺御評定異見所令成敗也〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
於テ‖御-前ニ|遂ケ‖問-答對-决ヲ|任テ‖雌-雄(シユウ)ノ之是-非ニ|奉-行-人令三取‖-捨せ事-書ヲ|於テ‖引_付_方ニ|窺ヒ‖御-評-定ノ異-見ヲ|所∨令ル‖成-敗|也〔山田俊雄藏本〕
於‖御前|遂ゲ‖對决ヲ|任セ‖雌雄(シユウ)ノ是非ニ|奉行人ニ令∨取‖捨セ事書ヲ|於テ‖引付ニ|窺ヒ‖御評定ノ異見(イ―)ヲ|。所∨令ムル‖成敗|也〔経覺筆本〕
於テ御前ニ|。遂ケ‖對-决ヲ|任(マカ)せ‖雌-雄(シユウ)ノ是-非(ゼヒ)ニ|奉-行-人令メ∨取‖-捨(シユシヤ/トリスツル)。事_書(コトカキ)ヲ|於テ‖引_付ニ|。窺(ウカヽ)井‖御-評-定ノ異-見(イケン)ヲ|。所∨令‖成敗|也。〔文明四年本〕※對决(タイケツ)。取捨(シユシヤ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
對决(タイケツ) 。〔態藝門89一〕
對决(タイケツ/コタフ・ムカウ、サクル)[去・入] 。〔態藝門353七〕
とあって、標記語「對决」の語を収載し、訓みを「タイケツ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
對决(タイケツ) 。〔弘・言語進退門108一〕
對决(タイケツ) ―治(ヂ)。―揚(ヤウ)。―論(ロン)。―桿(カン)敵退義。―面。〔永・言語門94九〕
對决(タイケツ) ―治。―揚。―論。―悍敵退義。―面。〔尭・言語門86七〕
對决(タイケツ) ―治。―揚。―論。―悍敵退義。―面。―坐。〔両・言語門105二〕
とあって、標記語「對决」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
對治(タイヂ)。―談(ダン)。―論(ロン)。―揚(ヤウ)。―桿(カン)。―决(ケツ)。―面(メン)/―句(ク)。―座(サ)。〔言辞門93五〕
このように、上記当代の古辞書に、「對决」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
463於‖御前ニ|遂‖對决ヲ|任せ‖雌雄ノ是非ニ|奉行人令メ∨取‖-捨亊書ヲ|於‖引付ニ|窺ヒ‖御評定之異見ヲ|所∨令ル‖成敗|也。問注所ハ者永代沽(ウリ)券 券ハ科註ニ曰、組券也。長一尺二寸法‖十二月|、廣三寸法‖天-地人ニ|刻思カ云曰、小券短書ヲ号∨疏ト也。則賣買之札也云々。〔謙堂文庫蔵四五右F〕
とあって、標記語「對决」の語を収載し、語注記は未記載にする。
三問答ノ訴陳(ソチン)ニ|。於テ‖御前ニ|遂(ト)ゲ‖對决(タイケツ)シテ|任テ‖三問答ト云事ハ。論人訴人ト相對(サウタイ)シテ。三問答スル也。問答三度(タヒ)ノ後ハ是非ヲイハセズ。理ニ任せテ御裁許(サイキヨ)有ナリ。〔下21オ二〜三〕
御前(ごぜん)に於(おゐ)て對決(たいけつ)を遂(とげ)/於テ‖御前ニ|遂(ト)ゲ‖對决(タイケツ)ヲ| 對决とハ訴られたる者にあり。されとかゝわるへからす。〔64ウ一〜二〕
とあって、この標記語「對决」の語を収載し、語注記は「對决とは、訴られたる者にあり。されどかゝわるべからず」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
執筆(しゆひつ)問状(もんじやう)の訴人(そにん)於(に)書與(かきあた)ふる之(の)時(とき)兩度(りやうど)に及(およん)て無音(ぶいん)せバ使節(しせつ)に仰(おふ)せて召符(めしふ)を下(くだ)さ被(れ)違背(いはい)散状(さんじやう)に就(つい)て者(ハ)直(ぢき)に訴人(そにん)于(に)下知(げぢ)せら被(れ)召(めし)進(しん)せ令(し)むる之(の)時(とき)者(ハ)訴状(そじやう)を封(ふう)じ下(くだ)さ被(れ)三問三答(さんもんさんたふ)の訴陳(そちん)を番(つが)ひ御前(こぜん)に於(おいて)對決(たいけつ)を遂(と)げ雌雄(しゆう)是非(ぜひ)に任(まか)せ奉行人(ぶぎやうにん)事書(ことかき)を取捨(しゆしや)せ令(し)め引付(ひきつけ)に於(おいて)御評定(ごひやうじやう)乃異見(いけん)を窺(うかゞ)ひ成敗(せいばい)せ令(し)むる所(ところ)也(なり)/執筆書キ‖_與フル問_状ノ奉書ヲ於訴人ニ|之時。及テ‖兩度ニ|無-音セハ者。仰セテ‖使節ニ|被∨下サ‖召符ヲハ|就テ‖違背散-状者。直ニ被∨下‖-知セラ于訴人|。令ムル‖召シ-進セ之時者。被∨封シ‖-下サ訴状ヲ|番ヒ‖三問三答ノ訴陳ヲ|。於‖御前ニ|遂ケ‖對决ヲ|任セ‖雌雄是非ニ|。奉行人令∨取‖-捨セ亊書ヲ|於‖引付ニ|窺ヒ‖御評定ノ異見ヲ|。所∨令ムル‖成敗セ|也。▲對决ハ訴人と相手方とを召して問答(もんたふ)させ其言葉(ことば)の邪正(しやしやう)によつて理非(りひ)を決断(けつたん)するをいふ。〔47ウ八〕
執筆(しゆひつ)書(かき)‖_與(あた)ふる問状(もんじやう)の奉書(ほうしよ)を於訴人(そにん)|之(の)時(とき)及(およん)で‖兩度(りやうど)に|無音(ぶいん)せバ仰(おほ)せて‖使節(しせつ)に|被(れ)∨下(くだ)さ‖召符(めしふ)を|就(つい)て‖違背(ゐはい)散状(さんじやう)に者(ハ)直(ぢき)に被(れ)∨下‖-知(げぢ)せら于訴人(そにん)に|令(しむ)る∨召(めし)‖-進(しん)ぜ之(の)|時(とき)者(ハ)被(れ)∨封(ふう)じ‖-下(くだ)さ訴状(そじやう)を|番(つが)ひ‖三問三答(さんもんさんたふ)の訴陳(そちん)を|於(おい)て‖御前(ごぜん)に|遂(とけ)‖對决(たいけつ)を|任(まか)せ‖雌雄(しゆう)是非(ぜひ)に|奉行人(ぶきやうにん)令(し)め∨取‖-捨(しゆしや)せ亊書(ことかき)を|於(おい)て‖引付(ひきつけ)に|窺(うかゞ)ひ‖御評定(ごひやうじやう)の異見(いけん)を|所(ところ)∨令(しむ)る‖成敗(せいばい)せ|也(なり)。▲對决ハ訴人と相手方とを召(め)して問答(もんたふ)させ其言葉(ことバ)の邪正(じやしやう)によつて理非(りひ)を決断(けつだん)するをいふ。〔85ウ二〕
Taiqet.タイケツ(對决) ある訴訟事について,双方が裁判官の前でそれぞれ自分のために弁明して争うこと.〔邦訳604r〕
たい-けつ〔名〕【對决】裁判に、訴訟人(原告)と、其相手方(被告)とを對(むか)ひ合はせて、訟を聽くこと。對理。對審。御成敗式目「兩方證文理非顯然時、擬レ遂二對决一事」〔1176-2〕
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