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ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
罪(ツミ) 。〔元亀二年本161三〕〔静嘉堂本177四〕〔天正十七年本中20オ二〕
此外火印追放以下随辜輕重其人是非可被行之〔至徳三年本〕
此外火印追放以下随辜輕重○{■}其人○{是}非○{可}被行之〔宝徳三年本〕
此外火印追放以下随辜輕重其人是非被行之〔建部傳内本〕
此_外火-印追-放以-下随フ二辜(ツミ)ノ輕-重其_人ノ是-非ニ一被ルレ行レ之ヲ〔山田俊雄藏本〕
此ノ外火印追放以下随二辜(ツミ)ノ輕重其人ノ是非ニ一可レ被レ行レ之〔経覺筆本〕
此_外火-印追-放以-下随フ二辜(ツミ)ノ輕-重其_人ノ是-非ニ一被ルレ行レ之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
罪(ツミ) 刑。辞。辟。辜。殃。戻。叛。科。過。六。〓。誅。認。〓。坐。〓。禁。〓。已上同ツミ。〔黒川本・人事門中22ウ三〕
罪(ツミ) 徒―、流―、死。刑五―本乍〓。辜云孤。戻。坐。科。殃。戻。叛。過。六。〓。誅。認。〓。禁。〓已上同ツミ。〔卷四・人事門583一〕
罪(ツミ/サイ)[上]。辜(同/コ)[平]。坐(同/ザ)[去]。〔態藝門423五〕
とあって、標記語「辜」の語を収載し、訓みを「ツミ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
辜(ツミ)。〔弘・言語門128八〕
罪(ツミ) 辜。〔永・言語門106二〕
罪(ツミ) 辜。坐。〔尭・言語門96五〕
罪(ツミ) 辜。坐(ツミセラル)。〔両・言語門118四〕
とあって、弘治二年本は標記語「辜」の語を収載し、他本は「罪」の冠頭字「罪」の語註に「辜」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
罪(ツミ) 。〔言語門107五〕
このように、上記当代の古辞書に、「辜」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
479追-放以-下随辜輕-重其ノ人ノ是非ニ|可∨被ル∨行∨之次ニ寺-社訴-詔者ハ就テ‖本所ノ挙達ニ| 本所ハ指‖公家|。又寺社ノ指‖奉行|也。〔謙堂文庫藏四六左C〕
とあって、標記語「辜」の語を収載し、語注記は未記載にする。
追(ツイ)-放(ハウ)已-下随テ二辜(ツミ)ノ輕(ケウ)-重(ヂウ)其ノ人ノ是非ニ一可レ被ルヽレ行(ヲコナハ)レ之ヲ次ニ追放トハ罪(トカ)人ヲ片髪(カタカミ)ヲ剃(ソリ)落シ。又ハ鼻(ハナ)ヲ割(キツ)テ。ヲイハナツ事ナリ。雖然辜(ツミ)ノ輕重ニ依ルベシ。大唐ニハ三ノ道ヲ潜(クヾ)ルナリ。慈穴(ジケツ)道藪穴(ソウケツ)道暗(アン)穴道也。上罪(ザイ)ノ者暗(アン)穴道ヲ通(トヲ)ス也。三七日クラキ穴ヲ這々(ハルバル)トクヾル也。其内ニ難処多(ヲヽ)シ。中罪ノ者ヲバ。藪(ソウ)穴道ヲ通(トヲ)ス。二七日潜(クヽル)也。ウバラカラタチノミハヘテ毒虫(ドクチウ)多(ヲヽ)キヤフノ穴(アナ)ヲクヾル也。下罪ノ者ヲバ慈穴道ヲ通ス也。一七日脚(アシ)滔(クンシ)ニ及ブ。水の穴(アナ)ヲ渡ル也。少シ休(ヤス)ム処アレバ是ヲ少(スコシ)ノツミト云ナリ。三國共業過難レ遁(ノガレ)。〔下22ウ四〜八〕
事(こと)の輕重(けいぢう)其(その)人(ひと)の是非(ぜひ)に随(したかつ)て之(これ)を行(おこな)被(ハる)可(へ)し/随テ二事ノ輕重其人ノ是非ニ一可レ被レ行レ之ヲ罪の軽きハ刑軽く罪の重きハ刑重し。其人理ありて是(ぜ)なれハゆるし理なくして非なれハ罪し其罪次第に刑罪を行ふを云。是迄ハ侍所の事を説し也〔68オ三〜五〕
とあって、この標記語「辜」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
斷罪(だんざい)す可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を誅(ちう)せら被(れ)誡(いまし)む可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を禁獄(きんごく)し流刑(るけい)す可(べ)き者(もの)ハ流帳(るちやう)に記(しる)さ被(る)此(この)外(ほか)火印(くハゐん)追放(ついはう)以下(いげ)事(こと)の輕重(けいぢう)其(その)人(ひと)の是非(ぜひ)に随(したがつ)て之(これ)を行(おこな)ハ被(る)可(べ)し。/可二断-罪ス一者ハ被レ誅セラレ之ヲ可キレ誡ム者ハ禁二獄シ之ヲ一可キ二流-刑ス一者ハ被レ記サ二流帳ニ一此外火印追-放以-下随ニ事輕-重其人ノ是非ニ一可シレ被レ行ハレ之ヲ。〔49ウ五〜六〕
可(べ)き二断(だん)-罪(ざい)す一者(もの)は被(れ)レ誅(ちゆう)せらレ之(これ)を可(べ)きレ誡(いましむ)者(もの)は禁(きん)二獄(ごく)し之(これ)を一可(べ)き二流(る)-刑(けい)す一者(もの)ハ被(る)レ記(しる)さる二流(る)帳(ちやう)に一此(この)外(ほか)火印(くわいん)追(つゐ)-放(はう)以(い)-下(げ)随(したが)つて事(こと)の輕(けい)-重(ぢう)其(そ)の人(ひと)の是非(ぜひ)に一可(べ)しレ被(る)レ行(おこなハ)レ之(これ)を。〔89オ二〜三〕
Tcumi.ツミ(罪) 罪科.§又,罪科に対するこらしめ,あるいは,刑罰.§Tcumiuo nadamuru.(罪を宥むる)罪,または,罪によって課せられた刑罰を免ずる.§Tcumiuo ito>.(罪を厭ふ)罪科を望まない,あるいは,厭い嫌う.§Tcumiuo forobosu.(罪を亡ぼす)罪科をなくする,または,滅ぼす.§Tcumixeraruru.(罪せらるる)ある罪によって罰せられる,あるいは,処刑される.一般にこの言い方は書物の中で用いられる,→Cui canaximi,u;Fuxe,uru(伏せ,する);Tcucuri,u;Tcumori,u.〔邦訳630l〕
つみ〔名〕【罪】〔障の約、慎むの意〕(一){人の惡行、穢れ、禍など、すべて、厭ひ惡むべき、凶しき事の稱。大祓祝詞「天津罪止、畔放、溝埋、樋放、頻蒔(しきまき)、串刺、生剥、逆剥、屎(くそ)戸(と)、云云、國津罪止八、生膚斷、死膚斷、白人、胡久美、己母犯罪、云云、許許太久乃罪出武」(二)專ら、政府の法律を破る所行。源氏物語、十三、明石27「罪におちて、都を去りし人を、三年をだに過さず、ゆるされんことは、世の人も、いかが言ひ傳へ侍らむなど」(三)~に對して、恐るべく慎むべきことを、犯したること。(四)又、佛の教法を破る所業。後に、其罰の果を受くとす。罪業。源氏物語、廿二、玉鬘7「いとつみふかき身にても、かかる世にさすらふらん」金葉集、三、秋、下「いのちをも、つみをも露に、たとへけり、消えばともにや、消えんとすらん」(五)人に對して、道コに背きたる行爲。〔0570-1〕
追放(ハウ) 。〔元亀二年本157六〕〔静嘉堂本172六〕
此外火印追放以下随辜輕重其人是非可被行之〔至徳三年本〕
此外火印追放以下随辜輕重○{■}其人○{是}非○{可}被行之〔宝徳三年本〕
此外火印追放以下随辜輕重其人是非被行之〔建部傳内本〕
此_外火-印追-放以-下随フ二辜(ツミ)ノ輕-重其_人ノ是-非ニ一被ルレ行レ之ヲ〔山田俊雄藏本〕
此ノ外火印追放以下随二辜(ツミ)ノ輕重其人ノ是非ニ一可レ被レ行レ之〔経覺筆本〕
此_外火-印追-放以-下随フ二辜(ツミ)ノ輕-重其_人ノ是-非ニ一被ルレ行レ之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
追放 貶點部/ツイハウ/追放分。〔黒川本・疉字門中28オ七〕
追従 〃討。〃捕。〃却ツイキヤク。〃放。〃儺ツイナ、延喜廿―始行之。追儺事長輪暦日十二月晦夜追儺事。昔高辛氏之女子 女子晦夜在堂寺成魍魎常行疫癘之事又奪祖魂祭物周之以桃弓等射鬼為令安静国土代所傳也。〃爵。〃求。〃福佛事。〃善。〔卷第四・疉字630六〜631三〕
追放(ツイハウ/ヲイ、ハナツ)[平・去] 。〔態藝門416三〕
とあって、標記語「追放」の語を収載し、訓みを「ツイハウ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
追放(ハウ) 。〔弘・言語進退門131二〕
追薦(ツイぜン) 又作―従(せウ)。―却(キヤク)。―拂(ホツ)進發之義。―伐(バツ)。―修(シユ)。―福(フク)追善之義/―善。―放(ハウ)。―加。―討(タウ)。―捕(フ)。―考(カウ)。―出(シユツ)。〔永・言語門105七〕
追薦(ツイぜン) 又薦作レ善―従。―却。―拂進發義。―伐。―修/―福追善義。―善。―放。―加。―討。―捕。―考。―出。〔尭・言語門96二〕〔両・言語門117八〕
とあって、弘治二年本は標記語「追放」を収載し、他本は、「追薦」の冠頭字「追」の熟語群として「追放」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
追討(ツイタウ) ―捕(フ)。―放(ハウ)。―従(せウ)。―加(カ)/―却(キヤク)。―罰(バツ)。―伐(バツ)。―善(ぜン)。―出(シユツ)。〔言語門105五〕
このように、上記当代の古辞書に、「追放」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
479追-放以-下随二辜輕-重其ノ人ノ是非ニ一可レ被ルレ行レ之次ニ寺-社訴-詔者ハ就テ二本所ノ挙達ニ一 本所ハ指二公家一。又寺社ノ指二奉行一也。〔謙堂文庫藏四六左C〕
とあって、標記語「追放」の語を収載し、語注記は未記載にする。
追(ツイ)-放(ハウ)已-下随テ二辜(ツミ)ノ輕(ケウ)-重(ヂウ)其ノ人ノ是非ニ一可レ被ルヽレ行(ヲコナハ)レ之ヲ次ニ追放トハ罪(トカ)人ヲ片髪(カタカミ)ヲ剃(ソリ)落シ。又ハ鼻(ハナ)ヲ割(キツ)テ。ヲイハナツ事ナリ。雖然辜(ツミ)ノ輕重ニ依ルベシ。大唐ニハ三ノ道ヲ潜(クヾ)ルナリ。慈穴(ジケツ)道藪穴(ソウケツ)道暗(アン)穴道也。上罪(ザイ)ノ者暗(アン)穴道ヲ通(トヲ)ス也。三七日クラキ穴ヲ這々(ハルバル)トクヾル也。其内ニ難処多(ヲヽ)シ。中罪ノ者ヲバ。藪(ソウ)穴道ヲ通(トヲ)ス。二七日潜(クヽル)也。ウバラカラタチノミハヘテ毒虫(ドクチウ)多(ヲヽ)キヤフノ穴(アナ)ヲクヾル也。下罪ノ者ヲバ慈穴道ヲ通ス也。一七日脚(アシ)滔(クンシ)ニ及ブ。水の穴(アナ)ヲ渡ル也。少シ休(ヤス)ム処アレバ是ヲ少(スコシ)ノツミト云ナリ。三國共業過難レ遁(ノガレ)。〔下22ウ四〜八〕
此(この)外(ほか)火印(くわいん)追放(ついはう)以下(いけ)/此外火印追放以下火印ハ燒かねをあてる事也。今の入墨の類也。又其外いろ/\の仕置あるゆへ以下と云し也。〔67ウ八〕
とあって、この標記語「追放」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
斷罪(だんざい)す可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を誅(ちう)せら被(れ)誡(いまし)む可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を禁獄(きんごく)し流刑(るけい)す可(べ)き者(もの)ハ流帳(るちやう)に記(しる)さ被(る)此(この)外(ほか)火印(くハゐん)追放(ついはう)以下(いげ)事(こと)の輕重(けいぢう)其(その)人(ひと)の是非(ぜひ)に随(したがつ)て之(これ)を行(おこな)ハ被(る)可(べ)し。/可二断-罪ス一者ハ被レ誅セラレ之ヲ可キレ誡ム者ハ禁二獄シ之ヲ一可キ二流-刑ス一者ハ被レ記サ二流帳ニ一此外火印追-放以-下随ニ事輕-重其人ノ是非ニ一可シレ被レ行ハレ之ヲ。▲追放ハ国所(くにところ)を追(お)ひはらふをいふ。〔49ウ五〜六〕
可(べ)き二断(だん)-罪(ざい)す一者(もの)は被(れ)レ誅(ちゆう)せらレ之(これ)を可(べ)きレ誡(いましむ)者(もの)は禁(きん)二獄(ごく)し之(これ)を一可(べ)き二流(る)-刑(けい)す一者(もの)ハ被(る)レ記(しる)さる二流(る)帳(ちやう)に一此(この)外(ほか)火印(くわいん)追(つゐ)-放(はう)以(い)-下(げ)随(したが)つて事(こと)の輕(けい)-重(ぢう)其(そ)の人(ひと)の是非(ぜひ)に一可(べ)しレ被(る)レ行(おこなハ)レ之(これ)を。▲追放ハ国所(くにところ)を追(お)はらふをいふ。〔89オ二〜三〕
Tcuifo<.ツイハウ(追放) Voi fanasu.(追ひ放す)ある人を領土外に追い出す,または,配流する.§Tcuifo<no quannin.(追放の官人)人を配流し,あるいは,領土外に追い出すことを役目とする人.〔邦訳627l〕
つゐ-はう〔名〕【追放】(一)おひはなつこと。(二)徳川氏の世の刑の名。罪人を一定の區域より追拂ふこと。これには數等あり、所拂(ところばらひ)(所構(ところがまへ))、江戸拂(江戸構)、江戸十里四方拂、輕追放、中追放、重追放等なり。敲(たたき)より重く、遠島より輕し。皆郷里より追ひ拂ひて、永く本籍へ歸ることを免さず。又、其輕きものに、門前拂などもあり。追失。御定書百箇條「追放もの御郭外にて放遣、侍は其場所にて大小渡遣候事」科條類典、下、七、「追放者御構場之内、甲斐國前前入候處、松平美濃守江レ被レ下候以後、只今以入不レ申候、自レ今甲斐國入可レ然奉レ存候、依レ之奉レ伺候、則追放御構場所書付入二御覽一申候」〔1341-3〕
火印(―イン) 。〔元亀二年本191三〕〔静嘉堂本215八〕〔天正十七年本中37オ七〕
此外火印追放以下随辜輕重其人是非可被行之〔至徳三年本〕
此外火印追放以下随辜輕重○{■}其人○{是}非○{可}被行之〔宝徳三年本〕
此外火印追放以下随辜輕重其人是非被行之〔建部傳内本〕
此_外火-印追-放以-下随フ二辜(ツミ)ノ輕-重其_人ノ是-非ニ一被ルレ行レ之ヲ〔山田俊雄藏本〕
此ノ外火印追放以下随二辜(ツミ)ノ輕重其人ノ是非ニ一可レ被レ行レ之〔経覺筆本〕
此_外火-印追-放以-下随フ二辜(ツミ)ノ輕-重其_人ノ是-非ニ一被ルレ行レ之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書において、『運歩色葉集』が唯一この「刑法」の用語である「火印」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語となっていることに注目しておきたい。
478尋二_究之ヲ一尋二_捜テ与同ノ黨類等ヲ一可二断-罪ニス一者被レ誅レ之ヲ可レ戒(イマシ)ム者ハ禁二獄之ヲ一可二流-刑(ゲイ)一者ハ被レ記二流帳一此外大印 式(シキ)目ニ念比有也。〔謙堂文庫藏四六左A〕
とあって、標記語「火印」の語を収載し、語注記は「『御成敗式目』に念比(ねんごろ)に有るなり」と記載する。
火印(イン)トハ。頬(ツラ)ニ焼鐵(ヤキカネ)ヲササルヽ事ナリ。〔下22ウ四〕
此(この)外(ほか)火印(くわいん)追放(ついはう)以下(いけ)/此外火印追放以下火印ハ燒かねをあてる事也。今の入墨の類也。又其外いろ/\の仕置あるゆへ以下と云し也。〔67ウ八〕
とあって、この標記語「火印」の語を収載し、語注記は「牢にとぢこめおく事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
斷罪(だんざい)す可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を誅(ちう)せら被(れ)誡(いまし)む可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を禁獄(きんごく)し流刑(るけい)す可(べ)き者(もの)ハ流帳(るちやう)に記(しる)さ被(る)此(この)外(ほか)火印(くハゐん)追放(ついはう)以下(いげ)事(こと)の輕重(けいぢう)其(その)人(ひと)の是非(ぜひ)に随(したがつ)て之(これ)を行(おこな)ハ被(る)可(べ)し。/可二断-罪ス一者ハ被レ誅セラレ之ヲ可キレ誡ム者ハ禁二獄シ之ヲ一可キ二流-刑ス一者ハ被レ記サ二流帳ニ一此外火印追-放以-下随ニ事輕-重其人ノ是非ニ一可シレ被レ行ハレ之ヲ。▲火印ハ科人(とがにん)の額(ひたひ)に焼(やき)がねをあつること。今の黥(いれずミ)の類(るい)也。〔49ウ五〜六〕
可(べ)き二断(だん)-罪(ざい)す一者(もの)は被(れ)レ誅(ちゆう)せらレ之(これ)を可(べ)きレ誡(いましむ)者(もの)は禁(きん)二獄(ごく)し之(これ)を一可(べ)き二流(る)-刑(けい)す一者(もの)ハ被(る)レ記(しる)さる二流(る)帳(ちやう)に一此(この)外(ほか)火印(くわいん)追(つゐ)-放(はう)以(い)-下(げ)随(したが)つて事(こと)の輕(けい)-重(ぢう)其(そ)の人(ひと)の是非(ぜひ)に一可(べ)しレ被(る)レ行(おこなハ)レ之(これ)を。▲火印ハ科人(とがにん)の額(ひたひ)に焼(やき)がねをあつること。今の黥(いれずミ)の類也。〔89オ二〜三〕
Quain.クハイン(火印) Finovoxite.(火の印)体や顔などに焼いて捺す烙印.§Quainuo atcuru,l,vosu.(火印を当つる,または,捺す)獣などに烙印を捺す,あるいは,焼印をする.〔邦訳517l〕
くゎ-いん〔名〕【火印】やきいん(燒印)に同じ。長門本平家物語、十五、院宣御使事「其院宣を、平大納言、見たまひて、大に嗔て、彼院宣を投げすて、御使を召出して、顔に、火印をさして、追上せらる」〔0570-1〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
流帳(ルチヤウ/タグイ・ナガルヽ、イタム)[平・入] 書ル二流人ノ名ヲ一帳也。〔態藝門206五〕
とあって、標記語「流帳」の語を収載し、訓みを「ルチヤウ」とし、その語注記は「流人の名を書ける帳なり」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』・易林本『節用集』には、標記語「流帳」の語は未収載にする。
このように、上記当代の古辞書においては、唯一広本『節用集』だけがこの「流帳」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。但し、語注記は別資料によるものである。
478尋二_究之ヲ一尋二_捜テ与同ノ黨類等ヲ一可二断-罪ニス一者被レ誅レ之ヲ可レ戒(イマシ)ム者ハ禁二獄之ヲ一可二流-刑(ゲイ)一者ハ被レ記二流帳一此外大印 式(シキ)目ニ念比有也。〔謙堂文庫藏四六左A〕
とあって、標記語「流帳」の語を収載し、語注記は「『御成敗式目』に念比に有るなり」と記載する。
可キレ誡(イマ)シム者ヲハ禁(キン)二獄(ゴク)シ之ヲ一可キ二流(ル)-刑(ケイ)ス一者ヲハ被レ記せ二流帳ニ一此ノ外可キレ誡(イマシム)ヲハ。禁(キン)二獄(ゴク)之ヲ一ト云ハ。篭(ロウ)者獄者サスル也。篭トハ。材(サイ)木ニテ造(ツク)ル。獄(コク)ハ土ノ穴(アナ)ヲ堀(ホツ)テ押(ヲシ)入ル也。流刑ハ。慵(モノウ)キ処ヘ流(ナカ)ス事ナリ。〔下22ウ二〜四〕
流刑(るけい)す可(へき)者(もの)ハ流帳(るちやう)に記(き)せ被(らる)/可二流刑ス一者ハ被レ記セ二流帳ニ一流刑ハ遠き所へ流しやるをいふ。流帳ハ流さるゝ罪人の名前等を記し置帳面(てうめん)也。此帳に記し置て流刑の定(さた)りし時一所に所/\へ流すなり。〔67ウ八〜68オ一〕
とあって、この標記語「流帳」の語を収載し、語注記は「流帳ハ流さるゝ罪人の名前等を記し置帳面(てうめん)也。此帳に記し置て流刑の定(さた)りし時一所に所/\へ流すなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
斷罪(だんざい)す可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を誅(ちう)せら被(れ)誡(いまし)む可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を禁獄(きんごく)し流刑(るけい)す可(べ)き者(もの)ハ流帳(るちやう)に記(しる)さ被(る)此(この)外(ほか)火印(くハゐん)追放(ついはう)以下(いげ)事(こと)の輕重(けいぢう)其(その)人(ひと)の是非(ぜひ)に随(したがつ)て之(これ)を行(おこな)ハ被(る)可(べ)し。/可二断-罪ス一者ハ被レ誅セラレ之ヲ可キレ誡ム者ハ禁二獄シ之ヲ一可キ二流-刑ス一者ハ被レ記サ二流帳ニ一此外火印追-放以-下随ニ事輕-重其人ノ是非ニ一可シレ被レ行ハレ之ヲ。▲流帳ハ流罪(るざい)に究(きハま)りたる者を記(しる)し置く帳面(ちやうめん)也。是(これ)ハ一人つゝ行(おこな)ハれたる刑(しをき)ゆへ流人(るにん)の数(かず)の充(ミつ)るまでケ様(かやう)にすること也。〔49ウ四〜五〕
可(べ)き二断(だん)-罪(ざい)す一者(もの)は被(れ)レ誅(ちゆう)せらレ之(これ)を可(べ)きレ誡(いましむ)者(もの)は禁(きん)二獄(ごく)し之(これ)を一可(べ)き二流(る)-刑(けい)す一者(もの)ハ被(る)レ記(しる)さる二流(る)帳(ちやう)に一此(この)外(ほか)火印(くわいん)追(つゐ)-放(はう)以(い)-下(げ)随(したが)つて事(こと)の輕(けい)-重(ぢう)其(そ)の人(ひと)の是非(ぜひ)に一可(べ)しレ被(る)レ行(おこなハ)レ之(これ)を。▲流帳ハ流罪(るざい)に究(きハま)りたる者(もの)を記(しる)し置く帳面(ちやうめん)也。是(これ)ハ一人つゝ行(をこな)ハれたる刑(しをき)ゆへ流人(るにん)の数(かず)の充(ミつ)るまでケ様(かやう)にすることなり。〔89オ一〜二〕
る-ちゃう〔名〕【流帳】古へ、流人の名、及、流し場などを記したる帳簿。庭訓往來、八月、「可二流刑一者、被レ記二流帳一」〔2137-3〕
流刑(ケイ) 。〔元亀二年本76三〕〔静嘉堂本92六〕〔天正十七年本上46オ七〕
とあって、標記語「流刑」の語を収載する。
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。宝徳三年本は、「流刑」の「刑」の字を「形」に誤り表記する。
流刑(ルケイ/タグイ・ナガルヽ・ツミ)[平・平] 。〔態藝門206五〕
とあって、標記語「流刑」の語を収載し、訓みを「ルケイ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
流罪(ル ザイ) ―布(フ)。―刑(ゲイ)。―(ル)浪(ラウ)。―記(キ)。―類。―通(ヅウ)。―儀(キ)。―轉(テン)。―(ル)入。〔永・言語門62六〕
流罪(ル ザイ) ―布。―刑。―(ル)浪(ラウ)。―記。―類。―通。―儀。―轉。―入。〔両・言語門65七〕
とあって、標記語「流罪」の冠頭字「流」の熟語群として「流刑」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
流刑(ケイ) 。〔言語門60四〕
このように、上記当代の古辞書に、「流刑」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
478尋二_究之ヲ一尋二_捜テ与同ノ黨類等ヲ一可二断-罪ニス一者被レ誅レ之ヲ可レ戒(イマシ)ム者ハ禁二獄之ヲ一可二流-刑(ゲイ)一者ハ被レ記二流帳一此外大印 式(シキ)目ニ念比有也。〔謙堂文庫藏四六左A〕
とあって、標記語「流刑」の語を収載し、語注記は「『御成敗式目』に念比に有るなり」と記載する。
可キレ誡(イマ)シム者ヲハ禁(キン)二獄(ゴク)シ之ヲ一可キ二流(ル)-刑(ケイ)ス一者ヲハ被レ記せ二流帳ニ一此ノ外可キレ誡(イマシム)ヲハ。禁(キン)二獄(ゴク)之ヲ一ト云ハ。篭(ロウ)者獄者サスル也。篭トハ。材(サイ)木ニテ造(ツク)ル。獄(コク)ハ土ノ穴(アナ)ヲ堀(ホツ)テ押(ヲシ)入ル也。流刑ハ。慵(モノウ)キ処ヘ流(ナカ)ス事ナリ。〔下22ウ二〜四〕
流刑(るけい)す可(へき)者(もの)ハ流帳(るちやう)に記(き)せ被(らる)/可二流刑ス一者ハ被レ記セ二流帳ニ一流刑ハ遠き所へ流しやるをいふ。流帳ハ流さるゝ罪人の名前等を記し置帳面(てうめん)也。此帳に記し置て流刑の定(さた)りし時一所に所/\へ流すなり。〔67ウ八〜68オ一〕
とあって、この標記語「流刑」の語を収載し、語注記は「流刑ハ遠き所へ流しやるをいふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
斷罪(だんざい)す可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を誅(ちう)せら被(れ)誡(いまし)む可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を禁獄(きんごく)し流刑(るけい)す可(べ)き者(もの)ハ流帳(るちやう)に記(しる)さ被(る)此(この)外(ほか)火印(くハゐん)追放(ついはう)以下(いげ)事(こと)の輕重(けいぢう)其(その)人(ひと)の是非(ぜひ)に随(したがつ)て之(これ)を行(おこな)ハ被(る)可(べ)し。/可二断-罪ス一者ハ被レ誅セラレ之ヲ可キレ誡ム者ハ禁二獄シ之ヲ一可キ二流-刑ス一者ハ被レ記サ二流帳ニ一此外火印追-放以-下随ニ事輕-重其人ノ是非ニ一可シレ被レ行ハレ之ヲ。▲流刑は牢舎(ひとや)へ入るゝ也。〔49ウ四〕
可(べ)き二断(だん)-罪(ざい)す一者(もの)は被(れ)レ誅(ちゆう)せらレ之(これ)を可(べ)きレ誡(いましむ)者(もの)は禁(きん)二獄(ごく)し之(これ)を一可(べ)き二流(る)-刑(けい)す一者(もの)ハ被(る)レ記(しる)さる二流(る)帳(ちやう)に一此(この)外(ほか)火印(くわいん)追(つゐ)-放(はう)以(い)-下(げ)随(したが)つて事(こと)の輕(けい)-重(ぢう)其(そ)の人(ひと)の是非(ぜひ)に一可(べ)しレ被(る)レ行(おこなハ)レ之(これ)を。▲流刑は牢舎(ひとや)へ入るゝ也。〔88ウ六〜89オ一〕
Ruqei.ルケイ(流刑) Ruzai(流罪)に同じ.ある罪による追放〔配流〕.〔邦訳544l〕
る-けい〔名〕【流刑】又、りうけい。るざい(流罪)に同じ。百練抄、四、康平六年十二月十八日「一季二度、不レ可レ行二流刑一」〔2137-1〕
禁獄(―ゴク) 。〔元亀二年本283一〕〔静嘉堂本323八〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
禁獄(キンコク/イマシメ、ダケ・ウタヘ)[去・入] 。〔態藝門827八〕
とあって、標記語「禁獄」の語を収載し、訓みを「キンコク」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
禁獄(キンゴク) 。〔弘・言語進退門222八〕
禁忌(キンギ) ―獄(ゴク)。―戒(カイ)。―足(ソク)。―断(ダン)。―制(ゼイ)。〔永・言語門185二〕
禁忌(キンギ) ―獄。―戒。―足。―断。―制。〔尭・言語門174五〕
とあって、標記語「禁獄」の語を収載する。易林本『節用集』には、
禁制(キンぜイ) ―断(ダン)。―物(モツ)。―札(サツ)。―獄(ゴク)。―戒(カイ)。―忌(キ)。―足(ソク)。―好物(カウモツ)。―止(ジ)。〔言語門189三〕
このように、上記当代の古辞書に、「禁獄」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
478尋‖_究之ヲ|尋‖_捜テ与同ノ黨類等ヲ|可‖断-罪ニス|者被∨誅∨之ヲ可∨戒(イマシム)者ハ禁‖獄之ヲ|可‖流-刑(ゲイ)|者ハ被∨記‖流帳|此外大印 式目(シキ―)ニ念比有也。〔謙堂文庫藏四六左A〕
とあって、標記語「禁獄」の語を収載し、語注記は「『御成敗式目』に念比に有るなり」と記載する。
可キ∨誡(イマシム)者ヲハ禁‖獄(キンゴク)シ之ヲ|可キ‖流-刑(ルケイ)ス|者ヲハ被∨記せ‖流帳ニ|此ノ外可キレ誡(イマシム)ヲハ。禁(キン)二獄(ゴク)之ヲ一ト云ハ。篭(ロウ)者獄者サスル也。篭トハ。材(サイ)木ニテ造(ツク)ル。獄(コク)ハ土ノ穴(アナ)ヲ堀(ホツ)テ押(ヲシ)入ル也。流刑ハ。慵(モノウ)キ処ヘ流(ナカ)ス事ナリ。〔下22ウ二〜四〕
戒(いまし)む可(へ)き者(もの)ハ之(これ)を禁獄(きんごく)し/可∨戒(イマシム)者ハ禁‖獄之ヲ|牢にとちこめおく事なり。〔67ウ八〕
とあって、この標記語「禁獄」の語を収載し、語注記は「牢にとぢこめおく事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
斷罪(だんざい)す可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を誅(ちう)せら被(れ)誡(いまし)む可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を禁獄(きんごく)し流刑(るけい)す可(べ)き者(もの)ハ流帳(るちやう)に記(しる)さ被(る)此(この)外(ほか)火印(くハゐん)追放(ついはう)以下(いげ)事(こと)の輕重(けいぢう)其(その)人(ひと)の是非(ぜひ)に随(したがつ)て之(これ)を行(おこな)ハ被(る)可(べ)し。/可‖断-罪ス|者ハ被∨誅セラ∨之ヲ可キ∨誡ム者ハ禁‖獄シ之ヲ|可キ‖流-刑ス|者ハ被∨記サ‖流帳ニ|此外火印追-放以-下随ニ事輕-重其人ノ是非ニ|可シ∨被∨行ハ∨之ヲ。▲禁獄は牢舎(ひとや)へ入るゝ也。〔49ウ四〕
可(べ)き‖断-罪(だんざい)す|者(もの)は被(れ)∨誅(ちゆう)せら∨之(これ)を可(べ)き∨誡(いましむ)者(もの)は禁‖獄(きんごく)し之(これ)を|可(べ)き‖流-刑(るけい)す|者(もの)ハ被(る)∨記(しるさ)さる‖流帳(るちやう)に|此(この)外(ほか)火印(くわいん)追-放(つゐはう)以-下(いげ)随(したが)つて事(こと)の輕-重(けいぢう)其(そ)の人(ひと)の是非(ぜひ)に|可(べ)し∨被(る)∨行(おこなハ)∨之(これ)を。▲禁獄は牢舎(ひとや)へ入るゝ也。〔88ウ六〜89オ一〕
Qingocu.キンゴク(禁獄) 拘禁,または,監禁.例,Qingocu ruzaini voconauaru.(禁獄流罪に行はる)投獄監禁,配流に処せられる.§Fitouo qingocu suru.(人を禁獄する)人を逮捕する,または,その人を牢獄に入れる.〔邦訳498r〕
きん-ごく〔名〕【禁獄】獄中に、拘禁(いまし)め置くこと。刑部省式「凡諸國申送流移入及家口、未二發遺一間、固二禁獄中一」源平盛衰記、二「雨禁獄事」〔0484-4〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。この古写本では、「斬罪」とし、唯一文明四年本の傍らに「断(タン)」の文字を示していて、真字注では此標記語を用いていることに留意しておくこととする。
断罪(ダン・コトワリ、ザイ/タツ、ツミ)[去・上] 。〔態藝門351八〕
とあって、標記語「断罪」の語を収載し、訓みを「ダンザイ」とし、その語注記は未記載にする。また、「斬罪」の語は未収載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
断罪(ダンザイ) 。〔永・言語門95八〕〔尭・言語門87五〕〔両・言語門106二〕
とあって、標記語「断罪」の語を収載する。また、「斬罪」の語は未収載にする。易林本『節用集』には、
断絶(ダンせツ) ―酒(シユ)。―滅(メツ)。―食(シキ)。―腸(チヤウ)。―罪(サイ)。―金契(キンノチギリ)。〔言語門93三〕
このように、上記当代の古辞書に、「断罪」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
478尋‖_究之ヲ|尋‖_捜テ与同ノ黨類等ヲ|可‖断-罪ニス|者被∨誅∨之ヲ可∨戒(イマシム)者ハ禁‖獄之ヲ|可‖流-刑(ゲイ)|者ハ被∨記‖流帳|此外大印 式目(シキ―)ニ念比有也。〔謙堂文庫藏四六左A〕
とあって、標記語「断罪」の語を収載し、語注記は「『御成敗式目』に念比に有るなり」と記載する。
可キ‖断罪(タンサイ)ス|者ヲハ被ラレ∨誅(チウ)せ∨之ト云フハ。ハタト切テ捨ル也〔下22ウ二〕
斷罪(だんざい)す可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を誅(ちう)せら被(れ)/可‖断罪ス|者ハ被レ∨誅せ∨之ヲ断罪ハ死罪也。〔67ウ七〜八〕
とあって、この標記語「断罪」の語を収載し、語注記は「断罪は死罪なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
斷罪(だんざい)す可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を誅(ちう)せら被(れ)誡(いまし)む可(べ)き者(もの)ハ之(これ)を禁獄(きんごく)し流刑(るけい)す可(べ)き者(もの)ハ流帳(るちやう)に記(しる)さ被(る)此(この)外(ほか)火印(くハゐん)追放(ついはう)以下(いげ)事(こと)の輕重(けいぢう)其(その)人(ひと)の是非(ぜひ)に随(したがつ)て之(これ)を行(おこな)ハ被(る)可(べ)し。/可‖断-罪ス|者ハ被∨誅セラ∨之ヲ可キ∨誡ム者ハ禁‖獄シ之ヲ|可キ‖流-刑ス|者ハ被∨記サ‖流帳ニ|此外火印追-放以-下随ニ辜輕-重其人ノ是非ニ|可シ∨被∨行ハ∨之ヲ。▲断罪は死刑(ころすつみ)也。〔49ウ四〕
可(べ)き‖断-罪(だんざい)す|者(もの)は被(れ)∨誅(ちゆう)せら∨之(これ)を可(べ)き∨誡(いましむ)者(もの)は禁‖獄(きんごく)し之(これ)を|可(べ)き‖流-刑(るけい)す|者(もの)ハ被(る)∨記(しるさ)さる‖流帳(るちやう)に|此(この)外(ほか)火印(くわいん)追-放(つゐはう)以-下(いげ)随(したが)つて事(こと)の輕-重(けいぢう)其(そ)の人(ひと)の是非(ぜひ)に|可(べ)し∨被(る)∨行(おこなハ)∨之(これ)を。▲断罪は死刑(ころすつみ)也。〔88ウ六〜89オ一〕
†Tanzai.タンザイ(断罪) Tcumiuo cotouaru.(罪を断る)ある犯罪についての尋問,あるいは,審問.〔邦訳612r〕
だん-ざい〔名〕【断罪】ざんざい(斬罪)に同じ。死罪(シザイ)の條を見よ。太平記、廿一、佐渡判官流刑事「あはれ断罪流刑にも行はせばや」〔1244−4〕
ざん-ざい〔名〕【斬罪】死罪(シザイ)の條を見よ。〔0836−5〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
尋窮(タヅネキハムル/ジンキユウ)[平・○] 。〔態藝門354七〕
とあって、標記語「尋窮」の語を収載し、訓みを「タヅネキハムル」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』・易林本『節用集』には、標記語「尋究」の語は未収載にする。
このように、上記当代の古辞書では広本『節用集』だけに、「尋窮」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語とは異表記となっている。
478尋‖_究之ヲ|尋‖_捜テ与同ノ黨類等ヲ|可‖断-罪ニス|者被∨誅∨之ヲ可∨戒(イマシム)者ハ禁‖獄之ヲ|可‖流-刑(ゲイ)|者ハ被∨記‖流帳|此外大印 式目(シキ―)ニ念比有也。〔謙堂文庫藏四六左A〕
とあって、標記語「尋究」の語を収載し、語注記は「『御成敗式目』に念比に有るなり」と記載する。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ扨其人白状しける上ハ又其同類一味の者を一人も残さすさかし出すをいふ。〔67ウ六〜七〕
とあって、この標記語「尋究」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)下部(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)犯人(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|。〔49ウ一〜二〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|。〔88ウ三〕
拷訊(―シ―) 。〔元亀二年本93八〕
拷訊(ガウジン) 。〔静嘉堂本116三〕
拷訊(―シン) 。〔天正十七年本上26オ三〕〔西來寺本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
拷訊 同/ガウシン。〔黒川本・疉字門上88ウ七〕
拷掠 〃訊。〔卷三・疉字門273四〕
拷訊(ガウジン/―、トウ)[○・去] 。〔態藝門287七〕
とあって、標記語「拷訊」の語を収載し、訓みを「ガウジン」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
拷問(カウモン) ―訊。〔永・言語門83三〕〔両・言語門91一〕
拷問(ガウモン) ―訊。〔尭・言語門75六〕
とあって、標記語「拷訊」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
拷訊(―ジン) 。〔言語門77七〕
このように、上記当代の古辞書に、「拷訊」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
477拷問(カウ―)拷訊(―シン)等 何モ打訊也。又訊ハ放シ召人也。晝ハ使イ、夜ハ禁獄ス。是三年之間也。又打出∨血問。〔謙堂文庫藏四六左@〕
とあって、標記語「拷訊」の語を収載し、語注記は「何も打訊なり。また、訊は、放し召人なり。晝は、使い、夜は禁獄す。是れ三年の間なり。また、打ちて血を出させ問ふ」と記載する。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
拷訊(がうじん)等(とう)に及(およ)んて之(これ)を尋(たづ)ね捜(さぐ)り/拷訊等是ハ拷問より一段強き責方なり。此三条ともに四方責方いろ/\あり。〔67ウ三〜四〕
とあって、この標記語「拷訊」の語を収載し、語注記は「是ハ拷問より一段強き責方なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)下部(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)犯人(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|▲拷問拷訊ハ共にたゝき責(せめ)て強(つよ)く尋ぬるをいふ。〔49ウ四〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|▲拷問拷訊ハ共にたゝき責(せめ)て強(つよ)く尋ぬるをいふ。〔88ウ六〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
拷悶{問} カウモン。〔黒川本・疉字門上88ウ八〕
拷問(ガウモン/―ブン・トウ)[○・去] 。〔態藝門287七〕
とあって、標記語「拷問」の語を収載し、訓みを「ガウモン」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
拷問(ガウモン) 。〔弘・言語進退門85五〕
拷問(カウモン) ―訊。〔永・言語門83三〕〔両・言語門91一〕
拷問(ガウモン) ―訊。〔尭・言語門75六〕
とあって、標記語「拷問」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
拷問(ガウモン) 。〔言語門77七〕
このように、上記当代の古辞書に、「拷問」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
477拷問(カウ―)拷訊(―シン)等 何モ打問也。又訊ハ放シ召人也。晝ハ使イ、夜ハ禁獄ス。是三年之間也。又打出∨血問。〔謙堂文庫藏四六左@〕
とあって、標記語「拷問」の語を収載し、語注記は「何れも打問なり」と記載する。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
拷問(がうもん)拷訊(がうじん)等(とう)に及(およ)んて之(これ)を尋(たづ)ね捜(さぐ)り/拷問拷ハ打たたく也。推問するといへとも白状せされハ打たゝきて責問ふをいふなり。〔67ウ二〜三〕
とあって、この標記語「拷問」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)下部(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)犯人(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|▲拷問拷訊ハ共にたゝき責(せめ)て強(つよ)く尋ぬるをいふ。〔49ウ四〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|▲拷問拷訊ハ共にたゝき責(せめ)て強(つよ)く尋ぬるをいふ。〔88ウ六〕
Go<mon.ガウモン(拷問) Araqenaqu xeme to>.(荒けなく責め問ふ)虐待,責苦.例,Go<mon caxacu suru.(拷問呵責する)白状させるために責苦を加える,または,虐待する.〔邦訳307l〕
がう-もん〔名〕【拷問・栲問】いためぎんみ。牢問(らうどひ)。實を白(まう)さぬ罪人を、苛責して問ひ糺(ただ)すこと。拷訊。参考保元物語、一、謀叛人各召捕事「盛憲、經憲をば、秦助安に仰て、勒負應にて栲問を加ふ」〔0348-3〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
推問(スイモン/ヲシ、フン・トウ)[平・去] 。〔態藝門1127五〕
とあって、標記語「推問」の語を収載し、訓みを「スイモン」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
推問(スイモン) 水問(同)。〔弘・言語進退門271五〕
推参(スイサン) ―量(リヤウ)。―問(モン)。―察(サツ)。〔永・言語門231七〕
推参(スイサン) ―量。―問。―察。〔尭・言語門217六〕
とあって、弘治二年本は標記語「推問」の語を収載し、語注記に上記に示した『運歩色葉集』の「水問」の語を同じとして収載する。他本は標記語「推參」とし、冠頭字「推」の熟語群として収載する。また、易林本『節用集』には、
推量(スイリヤウ) ―參(サン)。―察(サツ)。―問(モン)。―擧(キヨ)。〔言語門241一〕
このように、上記当代の古辞書に、「推問」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
476賦‖訴状ヲ於右筆ニ|之時以‖小舎人或ハ下部(―ベ)等ヲ|召‖_出シ犯人ヲ|於テ‖侍所(シヨ/トコロ)ニ記‖-録シ申_詞(コ―ハ)ヲ|依テ‖言色(―ジキ)ノ体嫌疑ニ|糺‖-明スル犯-否(―フ) ヲ|之時所-犯已(ス―)ニ无ンハ‖∨所∨遁者則召‖_篭之ヲ|或ハ推問(スイ―) 令下∨水-火ヲ|問上也。〔謙堂文庫藏四六右F〕
とあって、標記語「推問」の語を収載し、語注記は「水火を問はしむなり」と記載する。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
或(あるひ)は推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(がうじん)等(とう)に及(およ)んて之(これ)を尋(たづ)ね捜(さぐ)り/或及ンデ推問其事跡をおしてたつね極るをいふ。〔67オ八〜67ウ二〕
とあって、この標記語「推問」の語を収載し、語注記は「其事跡をおしてたづね極るをいふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)下部(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)犯人(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|▲推問ハ罪(つミ)を犯(おか)したる意趣(いしゆ)を推尋(をしたづ)ぬる也。〔49ウ三〜四〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|▲推問ハ罪(つミ)を犯(おか)したる意趣(いしゆ)を推尋(をしたづ)ぬる也。〔88ウ五〜六〕
すい-もん〔名〕【推問】(一)おし尋ね、問ふこと。推究、審問すること。晉書、鮑景傳「其父母尋訪、得李氏、推問皆符驗」「口頭推問」(二)罪を、問ひただすこと。訊問。吾妻鏡、十八、建永二年十月二日「被レ推二問囚人盤五家次一」元久二年六月廿六日「關東國國守護、検二斷地頭所務以下一事、任二先規一、可レ致二嚴密沙汰一之由有レ仰」〔1074-5〕
召篭(―コムル) 。〔元亀二年本296六〕
召籠(メシゴメ) 。〔静嘉堂本344七〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
召籠(メシコムル/せウロウ)[上・上] 。〔態藝門881七〕
とあって、標記語「召籠」の語を収載し、訓みを「メシコムル」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
召籠(メシコホル) 。〔弘・言語進退門229七〕
召具(メシグス) ―捕(トル)。―放(ハナシ)。―寄(ヨスル)。―集(アツム)。―出(イタス)。―篭(コムル)。〔永・言語門191二〕
召具(メシグス) ―捕。―放。―寄。―集。―出。―籠。〔尭・言語門180七〕
とあって、弘治二年本は、標記語「召籠」を示し、他二本は、標記語「召具」の冠頭字「召」の熟語群に「召籠」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
召捕(メシトル) ―仕(ツカフ)。―次(ツギ)。―符(フ)。―文(ブミ/ブ)。―籠(コムル)。―具(グ)。〔言語門197二〕
このように、上記当代の古辞書に、「召籠」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
476賦‖訴状ヲ於右筆ニ|之時以‖小舎人或ハ下部(―ベ)等ヲ|召‖_出シ犯人ヲ|於テ‖侍所(シヨ/トコロ)ニ記‖-録シ申_詞(コ―ハ)ヲ|依テ‖言色(―ジキ)ノ体嫌疑ニ|糺‖-明スル犯-否(―フ) ヲ|之時所-犯已(ス―)ニ无ンハ‖∨所∨遁者則召‖_篭之ヲ|或ハ推問(スイ―) 令下∨水-火ヲ|問上也。〔謙堂文庫藏四六右F〕
とあって、標記語「召篭」の語を収載し、語注記は未記載にする。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(なく)んハ則(すなハち)之(これ)を召(め)し籠(こめ)/所-犯已ニ無ンハ∨所∨遁ルヽ者則召シ‖_籠之ヲ|法度を犯せし罪疑ひなきに極りたらハ牢(らう)に入るゝと也。〔67オ八〜67ウ二〕
とあって、この標記語「召籠」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)下部(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)犯人(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|▲召篭は、入牢(にふろう)せしむるをいふ。〔49ウ三〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|▲召篭は、入牢(にふろう)せしむるをいふ。〔88ウ五〕
Mexicome,uru,etaメシコメ,ムル,メタ(召し籠め,むる,めた) 人を或る所に拘禁するとか,取り囲むとかして,外へ出ないようにする.〔邦訳399r〕
めしこめ〔名〕【召籠】めしこむること。おしこめて、出さざること。古今著聞集、九、武勇「さりとも今は馬殿の召籠は、免され給ひなん」〔1988-2〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
所得(シヨトク) ―謂(イ)。―詮(せン)。―犯(ホン)。―知(チ)。―役(ヤク)。―作(サ)。―願(グワン)。―辨(ベン)。―用(ヨウ)。―縁(エン)。―期(ゴ)。―領(リヤウ)。―職(シヨク)。―望(マウ)。―爲(ヰ)。―帶(タイ)。―學(ガク)。―存(ゾン)。〔言語門214四・五〕
このように、上記当代の古辞書において、易林本『節用集』・『塵芥』に「所犯」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
476賦‖訴状ヲ於右筆ニ|之時以‖小舎人或ハ下部(―ベ)等ヲ|召‖_出シ犯人ヲ|於テ‖侍所(シヨ/トコロ)ニ記‖-録シ申_詞(コ―ハ)ヲ|依テ‖言色(―ジキ)ノ体嫌疑ニ|糺‖-明スル犯-否(―フ) ヲ|之時所-犯已(ス―)ニ无ンハ‖∨所∨遁者則召‖_篭之ヲ|或ハ推問(スイ―) 令下∨水-火ヲ|問上也。〔謙堂文庫藏四六右F〕
とあって、標記語「所犯」の語を収載し、語注記は未記載にする。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(なく)んハ則(すなハち)之(これ)を召(め)し籠(こめ)/所-犯已ニ無ンハ∨所∨遁ルヽ者則召シ‖_籠之ヲ|法度を犯せし罪疑ひなきに極りたらハ牢(らう)に入るゝと也。〔67オ八〜67ウ二〕
とあって、この標記語「所犯」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)下部(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)犯人(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|。〔49ウ一〜二〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|。〔88ウ三〕
Xobon.シヨボン(所犯) 罪を犯すこと,あるいは,罪科をなすこと.〔邦訳788l〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
犯否(ボンフ/ハン・ヲカス、フウ・イナヤ)[上・上] 。〔態藝門102七〕
とあって、標記語「犯否」の語を収載し、訓みを「ボンフ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本『節用集』には、
犯不(ボンフ) 。〔弘・言語進退門34七〕
犯詞(ボンシ) ―過(クワ)。―罪(サイ)。―用(ヨウ)。―土(ト)。―料(レウ)。―不(フ)。―戒。〔永・言語門35四〕
とあって、異なる標記語「犯不」の語をもって収載する。また、易林本『節用集』には、標記語「犯否」の語は未収載にする。
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』にだけ「犯否」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本にも見えている語である。
476賦‖訴状ヲ於右筆ニ|之時以‖小舎人或ハ下部(―ベ)等ヲ|召‖_出シ犯人ヲ|於テ‖侍所(シヨ/トコロ)ニ記‖-録シ申_詞(コ―ハ)ヲ|依テ‖言色(―ジキ)ノ体嫌疑ニ|糺‖-明スル犯-否(―フ)ヲ|之時所-犯已(ス―)ニ无ンハ‖∨所∨遁者則召‖_篭之ヲ|或ハ推問(スイ―) 令下∨水-火ヲ|問上也。〔謙堂文庫藏四六右F〕
とあって、標記語「犯否」の語を収載し、語注記は未記載にする。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)/糺‖-明スル犯-否ヲ|之時法度を犯したるや犯さゝるやを言色躰の三つによりてたゝす也。糺明の注前にあり。〔67オ七〜八〕
とあって、この標記語「犯否」の語を収載し、語注記は、「法度を犯したるや犯さざるやを言・色・躰の三つによりてただすなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)下部(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)召出(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|▲犯否ハ、罪(つみ)を犯(おか)したると犯さざるとをいふ。〔49ウ三〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|▲犯否ハ、罪(つみ)を犯(おか)したると犯さざるとをいふ。〔88ウ五〕
†Bonpu.ボンプ(犯否) Vocasuya,inaya.(犯すや,否や) ある人がある罪科を犯したかどうかを疑うこと.§Bonpuuo ronzuru.(犯否を論ずる)ある人がある悪事を犯したか否かを取り調べる.〔邦訳61l〕
嫌疑(ケンギ) 。〔元亀二年本217五〕〔静嘉堂本247八〕
×。〔天正十七年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
嫌疑 疑慮分/ケンキ。〔黒川本・疉字門中99オ三〕
嫌疑 。〔卷七・疉字門29六〕
嫌疑(ケンギ) 无実ノ義也。〔態藝門87二〕
嫌疑(ケンギ/キラウ、ウタガウ)[平・○] 無知實義。〔態藝門605二〕
とあって、標記語「嫌疑」の語を収載し、訓みを「ケンギ」とし、その語注記は「無知の實義」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本『節用集』には、
嫌疑(ケンギ) 無實知義。〔弘・言語進退門175三〕
嫌疑(ケンギ) 無実義。〔永・言語門145一〕
嫌疑(ケンギ) 无實義。〔尭・言語門134七〕
とあって、標記語「嫌疑」の語を収載し、その語注記は、弘治二年本が広本『節用集』の影響下にありはするが語順に異同が見られ意味を別とする結果としている。他二本は『下學集』の語注記を継承する。また、易林本『節用集』には、
嫌疑(ケンギ) 。〔言語門147三〕
このように、上記当代の古辞書に、「嫌疑」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。ただし、『下學集』そして、広本『節用集』や印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本『節用集』が有する語注記に相当する語注記はここには見えない。
476賦‖訴状ヲ於右筆ニ|之時以‖小舎人或ハ下部(―ベ)等ヲ|召‖_出シ犯人ヲ|於テ‖侍所(シヨ/トコロ)ニ記‖-録シ申_詞(コ―ハ)ヲ|依テ‖言色(―ジキ)ノ体嫌疑ニ|糺‖-明スル犯-否(―フ) ヲ|之時所-犯已(ス―)ニ无ンハ‖∨所∨遁者則召‖_篭之ヲ|或ハ推問(スイ―) 令下∨水-火ヲ|問上也。〔謙堂文庫藏四六右F〕
とあって、標記語「嫌疑」の語を収載し、語注記は未記載にする。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
言色體(ごんしきてい)の嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て/依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|言ハこと葉。色ハ顔色(かんしよく)。躰ハ容貌(なりかたち)なり。嫌疑ハ皆うたかはしと訓す。凡己か実情(じつじやう)を隠し偽りをかさる者ハ言葉と顔色と容貌と符合(そぐハ)ぬものなり。公事を捌くにハ先此みつに心を留むへき事なり。〔67オ五〜七〕
とあって、この標記語「嫌疑」の語を収載し、語注記は、「嫌疑は、皆うたがはしと訓ず」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)下部(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)召出(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|。〔49ウ一〜二〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|。〔88ウ三〕
Qengui.ケンギ(嫌疑) Vtagauaxiqiuo qiro<.(疑はしきを嫌ふ)訴訟などの際に,疑わしい事からのがれ遠ざかること.自分自身に道理があるように抗弁する人とか,疑わしいことを持って出頭した人とかを、容易に信用しないこと.§また,自分のしようと思う意向が,悪い方へ曲解されたり疑われたりするおそれのあることを,しないように用心すること.文書語.〔邦訳485r〕
けん-ぎ〔名〕【嫌疑】(一)相似て、紛らはしきこと。禮記、曲禮、上篇「夫禮者、所下以定二親疏一、決二嫌疑一、別二同異一、明中是非上也」(二){疑はしく思はるること。いぶかしむこと。うたぐり。きらひ。楚辞、九章、惜徃日「奉二先功一以照レ下兮、明二法度之嫌疑一」枕草子、三、廿八段「けんぎの者やあると、戯れにも咎む」落窪物語、一「我れを、嫌疑の者と思ひて捕ふると、思ひつるに」〔0625-3〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においては、「言色」の語は未収載となっており、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本には記載されているのである。
476賦‖訴状ヲ於右筆ニ|之時以‖小舎人或ハ下部(―ベ)等ヲ|召‖_出シ犯人ヲ|於テ‖侍所(シヨ/トコロ)ニ記‖-録シ申_詞(コ―ハ)ヲ|依テ‖言色(―ジキ)ノ体嫌疑ニ|糺‖-明スル犯-否(―フ) ヲ|之時所-犯已(ス―)ニ无ンハ‖∨所∨遁者則召‖_篭之ヲ|或ハ推問(スイ―) 令下∨水-火ヲ|問上也。〔謙堂文庫藏四六右F〕
とあって、標記語「言色」の語を収載し、語注記は未記載にする。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
言色體(ごんしきてい)の嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て/依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|言ハこと葉。色ハ顔色(かんしよく)。躰ハ容貌(なりかたち)なり。嫌疑ハ皆うたかはしと訓す。凡己か実情(じつじやう)を隠し偽りをかさる者ハ言葉と顔色と容貌と符合(そぐハ)ぬものなり。公事を捌くにハ先此みつに心を留むへき事なり。〔67オ五〜七〕
とあって、この標記語「言色」の語を収載し、語注記は、「言は、こと葉。色は、は、顔色(かんしよく)。躰は、容貌(なりかたち)なり。嫌疑は、皆うたがはしと訓ず。凡そ己れが実情(じつじやう)を隠し偽りをかさる者は、言葉と顔色と容貌と符合(そぐハ)ぬものなり。公事を捌くには、先ず此のみつに心を留むへき事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)下部(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)召出(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|。〔49ウ一〜二〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|。〔88ウ三〕
該当箇所脱写。〔元亀二年本×〕
記録(キロク) 。〔静嘉堂本327一〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
記録 文書分/キロク。〔黒川本・疉字門下51オ八〕
記録 〃傳。〃文。〃籍。〔卷八・疉字門527六〕
記録(キロク/シルス、シルス)[去・入] 。〔態藝門835三〕
とあって、標記語「記録」の語を収載し、訓みを「キロク」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、標記語「記録」の語を未収載にする。また、易林本『節用集』には、
記録(キロク) ―傳(デン)。〔言語門189七〕
このように、上記当代の古辞書に、「記録」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
476賦‖訴状ヲ於右筆ニ|之時以‖小舎人或ハ下部(―ベ)等ヲ|召‖_出シ犯人ヲ|於テ‖侍所(シヨ/トコロ)ニ記‖-録シ申_詞(コ―ハ)ヲ|依テ‖言色(―ジキ)ノ体嫌疑ニ|糺‖-明スル犯-否(―フ) ヲ|之時所-犯已(ス―)ニ无ンハ‖∨所∨遁者則召‖_篭之ヲ|或ハ推問(スイ―) 令下∨水-火ヲ|問上也。〔謙堂文庫藏四六右F〕
とあって、標記語「記録」の語を収載し、語注記は未記載にする。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
侍所(さむらひところ)於(おゐ)て申(もふ)す詞(ことば)を記録(きろく)し/於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|記も録もしるすと訓す。犯人乃申口を書とるをいふなり。〔67オ四〜五〕
とあって、この標記語「記録」の語を収載し、語注記は、「記も録もしるすと訓す」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)下部(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)召出(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|。〔49ウ一〜二〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|。〔88ウ三〕
Qirocu.キロク(記録) Xiruxi,su.(記し,す)書くこと,または,ある事を書き留めて文書にしておくこと.〔邦訳509l〕
き-ろく〔名〕【記録】(一)後に遺さむが爲に、記録し付けておく文書(かきもの)。後漢書、班彪傳「漢興定天下、大中大夫陸賈、記二録時功一、作二楚漢春秋九篇一」保元物語、一、新院御謀叛事、左大臣頼長「和漢ともに、人に勝れ、禮義を調へ、自他の記録に暗からず」〔0511-3〕
犯人(―ニン) 。〔元亀二年本45二〕
犯人(――) 。〔静嘉堂本50四〕
犯人(―ニン) 。〔天正十七年本上26オ三〕〔西來寺本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
犯人(ボンニン/ハン・ヲカス、シン・ヒト)[上・平] 。〔態藝門102七〕
とあって、標記語「犯人」の語を収載し、訓みを「ボンニン」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』、易林本『節用集』には、標記語「犯人」の語は未収載にする。
このように、上記当代の古辞書に、「犯人」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
476賦‖訴状ヲ於右筆ニ|之時以‖小舎人或ハ下部(―ベ)等ヲ|召‖_出シ犯人ヲ|於テ‖侍所(シヨ/トコロ)ニ記‖-録シ申_詞(コ―ハ)ヲ|依テ‖言色(―ジキ)ノ体嫌疑ニ|糺‖-明スル犯-否(―フ) ヲ|之時所-犯已(ス―)ニ无ンハ‖∨所∨遁者則召‖_篭之ヲ|或ハ推問(スイ―) 令下∨水-火ヲ|問上也。〔謙堂文庫藏四六右F〕
とあって、標記語「犯人」の語を収載し、語注記は未記載にする。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
小舎人(ことねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を以(もつ)て犯人(ぼんにん)を召出(めしいだ)し/小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|小舎人下部に召とらへさするハ今与力同心をやるかことし。犯人ハ上の法度を犯(おか)せし咎(とが)人なり。謀叛より喧嘩といふまて乃類ヒハミな犯人なり。〔67オ二〜四〕
とあって、この標記語「犯人」の語を収載し、語注記は、「犯人は、上の法度を犯(おか)せし咎(とが)人なり。謀叛より喧嘩といふまて乃類ひはみな犯人なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)下部(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)召出(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|。〔49ウ一〜二〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|。〔88ウ三〕
†Bonnin.ボンニン(犯人) Vocasu fito.(犯す人)罪を犯した人,あるいは,悪事をする人.〔邦訳61l〕
ぼん-にん〔名〕【犯人】(一)又、はんにん。罪を犯したるもの。犯罪人。十訓抄、下、第十、第七十六條「火既に獄舎に移りなんとしける時、檢非違使の犯人(ボンニン)を出だすべきの由申しければ」〔1858-2〕
召出(―イダス) 。〔元亀二年本296六〕
召出(メシイダス) 。〔静嘉堂本344七〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
召出(メシイダス/せウシユツ)[去・去入] 。〔態藝門881七〕
とあって、標記語「召出」の語を収載し、訓みを「メシイダス」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
召出(―イタス) 。〔弘・言語進退門229八〕
召具(メシグス) ―捕(トル)。―放(ハナシ)。―寄(ヨスル)。―集(アツム)。―出(イタス)。―篭(コムル)。〔永・言語門191二〕
召具(メシグス) ―捕。―放。―寄。―集。―出。―籠。〔尭・言語門180七〕
とあって、標記語「召出」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
召捕(メシトル) ―仕(ツカフ)。―次(ツギ)。―符(フ)。―文(ブミ/ブ)。―籠(コムル)。―具(グ)。〔言語門197二〕
このように、上記当代の古辞書に、「召出」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
476賦‖訴状ヲ於右筆ニ|之時以‖小舎人或ハ下部(―ベ)等ヲ|召‖_出シ犯人ヲ|於テ‖侍所(シヨ/トコロ)ニ記‖-録シ申_詞(コ―ハ)ヲ|依テ‖言色(―ジキ)ノ体嫌疑ニ|糺‖-明スル犯-否(―フ) ヲ|之時所-犯已(ス―)ニ无ンハ‖∨所∨遁者則召‖_篭之ヲ|或ハ推問(スイ―) 令下∨水-火ヲ|問上也。〔謙堂文庫藏四六右F〕
とあって、標記語「召出」の語を収載し、語注記は未記載にする。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
小舎人(ことねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を以(もつ)て犯人(ぼんにん)を召出(めしいだ)し/小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|小舎人下部に召とらへさするハ今与力同心をやるかことし。犯人ハ上の法度を犯(おか)せし咎(とが)人なり。謀叛より喧嘩といふまて乃類ヒハミな犯人なり。〔67オ二〜四〕
とあって、この標記語「召出」の語を収載し、語注記は、「下部とハ事の實否(じつふ)を詮議して罪の輕重をさたむるをいふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)下部(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)召出(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|。〔49ウ一〜二〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|。〔88ウ三〕
Mexijdaxi,su.メシイダシ,ス,イタ(召出) 同上(呼び寄せる).§また,主君や貴人が目下の者に盃(Saca~zuqui)をやって,その面前で飲ませる.※Sacazzuquiとあるべきもの.〔邦訳399r〕
めし-いだ・す〔他動・四〕【召出】(一)召して呼び出す。(二)召して、禄、又は、職を授く。めしだす。めしづ。徴辟。清輔集、「新院御位におはしましける時、臨時祭の、四位の陪從にめしいだされ(めされイ)て」〔1987-5〕
めし-い・づ〔他動・下二〕【召出】召出。前條の語に同じ。源氏物語、四、夕顔20「人の思はん所もえはばかり給はで、右近をめしいでて、随身をめさせ給ひて、御車ひき入れさせ給ふ」〔1988-1〕
下部(―ベ) 。〔元亀二年本309二〕〔静嘉堂本360八〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
下部(シモベ/カ、ホウ・ツカサ)[去・去] 。〔人倫門916七〕
とあって、標記語「下部」の語を収載し、訓みを「シモベ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
下部(シモヘ) 。〔弘・人倫238六〕
下部(シモベ) 。〔永・人倫門198八〕〔尭・人倫門188八〕
とあって、標記語「下部」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
下部(シモベ) 。〔人倫門204五〕
このように、上記当代の古辞書に、「下部」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
476賦‖訴状ヲ於右筆ニ|之時以‖小舎人或ハ下部(―ベ)等ヲ|召‖_出シ犯人ヲ|於テ‖侍所(シヨ/トコロ)ニ記‖-録シ申_詞(コ―ハ)ヲ|依テ‖言色(―ジキ)ノ体嫌疑ニ|糺‖-明スル犯-否(―フ) ヲ|之時所-犯已(ス―)ニ无ンハ‖∨所∨遁者則召‖_篭之ヲ|或ハ推問(スイ―) 令下∨水-火ヲ|問上也。〔謙堂文庫藏四六右F〕
とあって、標記語「下部」の語を収載し、語注記は未記載にする。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
小舎人(ことねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を以(もつ)て犯人(ぼんにん)を召出(めしいだ)し/小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|小舎人下部に召とらへさするハ今与力同心をやるかことし。犯人ハ上の法度を犯(おか)せし咎(とが)人なり。謀叛より喧嘩といふまて乃類ヒハミな犯人なり。〔67オ二〜四〕
とあって、この標記語「下部」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)召出(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|。〔49ウ一〜二〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|〔88ウ三〕
Ximobe.シモベ(下部) 身分の卑しい奉公人の男や女.例,Votokoximobe,vonagoximobe.(男下部,女下部).〔邦訳767l〕
しも-べ〔名〕【下部】雜事に召使はるる、卑しき者の稱。下男。奴僕。下隷。枕草子、七、六十四段「此辨の少納言などの許に、かかる物持て來たる下部などには、する事やあると問へば」源氏物語、廿三、初音10「何の數ならぬしもべどもなどだに、云云、まして、若やかなる上達部など、云云」同、三十五、柏木10「院のしもべ、廰の召次」紫式部日記、上「御湯殿、云云、火ともして、宮の下部、縁の衣(きぬ)の上に、白き當色着て、御湯參る」徒然草、百十九段「鎌倉の海に、鰹と云ふ魚は、云云、はかばかしき人の前へ出ることも、侍らざりき、頭は、下部も食はず」〔0958-2〕
小舎人(トネリ) 。〔元亀二年本235七〕
小舎人(コトネリ) 。〔静嘉堂本271三〕
小舎人(ヲホトネリ) 。〔天正十七年本中63ウ八〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
小舎人 コトネリ。〔黒川本・官職門下11オ二〕
小舎人 コトネリ。〔卷七・官職門197一〕
小舎人(コトネリ) 。〔人倫門39二〕
小舎人(コデヌリ/せウシヤジン)[上・上去・平] 。〔官位門659三〕
とあって、標記語「小舎人」の語を収載し、訓みを「コデヌリ」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
小舎人(コテヌリ) 雜職。〔弘・言語進退門186五〕
小舎人(コデヌリ) 雜識。〔永・言語門152七〕
とあって、標記語「小舎人」の語を収載し、語注記に「雜職」と記載する。また、易林本『節用集』には、
小舎人(コドネリ) 。〔人倫門154四〕
このように、上記当代の古辞書に、「小舎人」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
476賦‖訴状ヲ於右筆ニ|之時以‖小舎人或ハ下部(―ベ)等ヲ|召‖_出シ犯人ヲ|於テ‖侍所(シヨ/トコロ)ニ記‖-録シ申_詞(コ―ハ)ヲ|依テ‖言色(―ジキ)ノ体嫌疑ニ|糺‖-明スル犯-否(―フ) ヲ|之時所-犯已(ス―)ニ无ンハ‖∨所∨遁者則召‖_篭之ヲ|或ハ推問(スイ―) 令下∨水-火ヲ|問上也。〔謙堂文庫藏四六右F〕
とあって、標記語「小舎人」の語を収載し、語注記は未記載にする。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
小舎人(ことねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を以(もつ)て犯人(ぼんにん)を召出(めしいだ)し/小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|小舎人下部に召とらへさするハ今与力同心をやるかことし。犯人ハ上の法度を犯(おか)せし咎(とが)人なり。謀叛より喧嘩といふまて乃類ヒハミな犯人なり。〔67オ二〜四〕
とあって、この標記語「小舎人」の語を収載し、語注記は、「小舎人とハ事の實否(じつふ)を詮議して罪の輕重をさたむるをいふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)召出(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|。▲小舎人下部ハ今の与力(よりき)同心(どうしん)の下司(したつかさ)。〔49ウ二〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|▲小舎人下部ハ今の与力(よりき)同心(どうしん)の下司(したつかさ)。〔88ウ三〕
こ-どねり〔名〕【小舎人】〔とねりの條を見よ〕(一)藏人所(くらうどどころ)に屬して、殿上の使役に供せらる職。殿上童(テンジヤウわらは)とも云ふ。~樂歌、大宮「大宮の、ちひさ古止禰利也(ことねりや)、云云、玉ならば、晝は手に取りや、夜(よる)はさ寐てむ」簾中抄、下、禁中、藏人所「御藏小舎人六人、殿上童、小舎人と云ふ」有職袖中抄、小舎人「昔は六人、近代十二人、云云、親王、大臣の家司等、任ずと、云云、殿上にして、殿上人につかはるる役也」(二)小舎人童(こどねりわらは)の略。次條を見よ。〔0702-5〕
屡断(ケンダン) 。〔元亀二年本214二〕
屡断(ケンダツ) 。〔静嘉堂本243五〕
屡断(ケンタン) 。〔天正十七年本中51オ四〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無{所}遁者召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可徒者禁獄之可流刑被記流帳〔至徳三年本〕
管領執筆奉行人検斷之所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否之時所犯已無所遁則召籠之或及推問拷問等尋究之尋捜與同黨類等可斬罪者被誅之可徙者禁獄之可流形者被記流帳〔宝徳三年本〕
管領執筆奉行人検断所司代賦訴状於右筆之時以小舎人或下部等召出犯人於侍所記録申詞依言色躰嫌疑糺明犯否時所犯已無所遁者召籠之或及推問拷問拷訊等尋究之尋捜与同黨類等可斬罪者被誅之可誡者禁獄之可流刑者被記流帳〔建部傳内本〕
管-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴-状ヲ於右-筆ニ|之時以テ‖小_舎_人或ハ下_部等ヲ|召‖_出シ犯-人ヲ|於テ‖侍_所記ニ‖-録(キ―)シ申_詞ヲ|依テ‖言色躰(ケンシヨクテイ)嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明スル犯-否(ボンフ)ヲ|之時キ所-犯(ボン)既ニ無∨所∨遁(ノガルヽ)者則召シ‖_籠メ之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷椪(―ジン)等尋‖_究(キハメ)之ヲ|尋‖_捜テ与同黨類等ヲ|可ンハ‖斬-罪ス|者被レ∨誅せ∨之ヲ可ンハ徒-罪ス|者ハ禁‖-獄之ヲ|可ンハ‖流-刑ス|者被ル∨記(キ)せ‖流-帳ニ|〔山田俊雄藏本〕
管領執筆奉行人検断(ケンタン)之|所司代賦(クバル)‖訴状ヲ於右筆ニ|之時者ハ以テ‖小舎人(―トネリ)或ハ下モ部等ヲ|召(メシ)‖出シ犯人(ホン―)ヲ|於‖侍所ニ記‖録シ申ス詞ヲ|依‖言色躰ノ嫌疑ニ|糺‖明(キウメイ)スル犯否ヲ|之時所∨犯已ニ无ンハ∨所∨遁(ノガルヽ)者則チ召(メシ)‖籠(コメ)之ヲ|或ハ及ビ‖推問拷問(ガウ―)拷訊(―ジン)等ニ尋‖究之ヲ|尋‖捜テ与同ノ黨類ヲ|可キ‖斬罪ニ|者ヲハ被∨誅(チウ)∨之可∨戒ム者ヲハ禁‖獄シ之ヲ|可‖流刑(ルケイ)|者ヲハ被∨記(シルサ)‖流帳ニ|〔経覺筆本〕
管-領執-筆(シユ―)奉-行-人検‖-断(ケンダン)シ之ヲ|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソ―)ヲ於右筆ニ|之時以テ‖小舎人(コテヌリ/コテヌリ)或下部(シモヘ)等ヲ|召シ‖_出シ犯-人ヲ|於‖侍-所ニ|記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言(ケン・コトハ)ノ色(シヨク/シキ)ノ躰嫌疑(ケンキ)ニ|糺‖-明(キウメイ)犯-否(ホンフ)ヲ|之時キ所-犯(シヨホン)已(ステ)ニ無ハ∨所ロ∨遁(ノカルヽ)則キハ召_籠(コメ)之(コレ)ヲ|或ハ及シテ推問(スイ―)拷訊(カウモン)等尋‖_究(キハム)之ヲ|尋(タツネ)‖_捜(サグツ)テ与同(ヨトウ)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|可‖斬断(タン)-罪(サンサイ)|者(モノ)ヲハ被∨誅(チウ)∨之ヲ可∨徒(シタウ/イマシムル)者ハ∨禁-獄(キンゴク)之ヲ|或ハ可‖流-刑(ルケイ・キヤウ)―流罪|者(モノ)ヲハ被∨記(キ)せ‖流-帳(ル―)ニ|〔文明四年本〕 推問(スイモン) 拷問(ガウモン) 拷粋(カウスイ) 或ハ令
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
檢断(ケンダン) 。〔態藝門89二〕
検断(ケンダン・コトハル/カンガウ、タツ)[○・去] 罪科用レ之。〔態藝門600三〕
とあって、標記語「検断」の語を収載し、訓みを「ケンダン」とし、その語注記は「罪科之を用ゆ」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
検断(ケンダン) 罪科在之。〔弘・言語進退門175六〕 検断(ケンダン) 。〔弘・言語進退門176五〕
検所(ケンシヨ)―断(ダン)。―納(ナウ)。―察(サツ)。―使(シ)。―知(チ)。―注。〔永・言語143九〕
検所(ケンジヨ)―断。―納。―察。―使。―知。―注。〔尭・言語133六〕
とあって、標記語「検断」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
檢斷(ケンダン) ―使(シ)。―料(レウ)。―見(ミ)。〔言語門146二〕
このように、上記当代の古辞書に、「検断」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
475闘諍(トウシヤウ)喧嘩等ト也。官-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之|所-司-代 畠山ノ官領ノ初也。所司代モ始京極殿ノ自∨家始也。有‖近年マテ|。又京極殿ノ代ニ終ル。其故ニ京極殿ノ内ノ多香[賀イ]豊後守ハ所司代也。細川道永ニ无。〔謙堂文庫藏四六右E〕
とあって、標記語「検断」の語を収載し、語注記は未記載にする。
管-領(クハンリヤウ)執-筆(シツシ)奉-行-人検‖-断(ケンダン)ノ之|所-司-代賦(クハル)‖訴状(ソジヤウ)ヲ於右筆ニ|之時ニ以テ‖小舎人(コドネリ)或ハ下部(シモベ)等ヲ|召(メシ)‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所記‖-録(キロク)シ申ス_詞(コトハ)ヲ|依テ‖言ノ色躰ノ嫌疑(ケンギ)ニ|糺‖-明(キウメイ)せン犯-否(ボンフ) ヲ|之時キ所-犯已(ステ)ニ無(ナク)ンハ‖∨所∨遁(ノカルヽ)者則召(メシ)‖_籠(コメ)之ヲ|或ハ及テ推問(スイ―)拷問(カウ―)拷訊(カウヂン)等尋(タツネ)‖_捜(サグリ)之ヲ|尋(タツネ)‖_究(キハメ)テ與同(ヨ―)ノ黨類(タウルイ)等ヲ|所司代(シヨシタイ)管領(クハンリヤウ)執事(シツ―)ハ。侍所(サフライ)也。検断(ケンダン)ハ。人ノ古ノツミヲ聞(キヽ)立テ。罪過ヲ行フ役人(ヤク―)也。記録(キロク)ハ。シルシ。シルストヨムナリ。次ニ犯人ヲアテ行フ様ノ事先ツ過(トカ)人ヲ召(メシ)篭置(ヲキ)テ一ニハ推問(スイモン)トハ。先(サキ)ヲオシトフ也。子細(シサイ)ヲ不謂(イハ)時梯(ハシコ)ニノせテ。水(ミツ)ヲクルヽナリ。又小蛇(コジヤ)ヲ口(クチ)ヨリイルヽ也。二ニハ。ガウ問トハ。鞭伐(ムチウチ)ニスル也。其後廿ノ爪(ツメ)ヲコス也。又錐(キリ)ニテ脚(アシ)ヲモムナリ。三ニハ拷訊(ガウジン)トハ。火頂(クハチヤウ)ト云テ鐵(クロカネ)ノ鉢(ハチ)ヲアカク燒(ヤイ)テ犯(ホン)人ノ頂(カシラ)ニ覆(ヲヽ)フナリ。首(カシラ)則チ燒(ヤ)ケ砕(クダク)ルナリ。〔下22オ三〜22ウ二〕
管領(くわんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶきやうにん)之(これ)を検断(けんだん)す/管領執筆奉行人検‖-断ス之ヲ|検断とハ事の實否(じつふ)を詮議して罪の輕重をさたむるをいふ。〔66ウ七〜八〕
とあって、この標記語「検断」の語を収載し、語注記は、「検断とハ事の實否(じつふ)を詮議して罪の輕重をさたむるをいふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
管領(くハんれい)執事(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)之(これ)を検斷(けんだん)す所司代(しよしだい)訴状(そじやう)を右筆(いうひつ)於(に)賦(くば)る之(の)時(とき)小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもへ)等(とう)を以(もつて)犯人(ぼんにん)を侍所(さむらひどころ)於(に)召出(めしいだ)し申(まを)す詞(ことバ)を記録(きろく)し言色體(げんしよくてい)乃嫌疑(けんぎ)に依(よつ)て犯否(ぼんひ)を糺明(きうめい)する之(の)時(どき)所犯(しよぼん)已(すでに)遁(のが)るヽ所(ところ)無(な)くん者(バ)則(すなハち)之(これ)を召籠(めしこ)め或(あるひハ)推問(すいもん)拷問(がうもん)拷訊(かうすい)等(とう)に及(をよ)んで之(これ)を尋捜(たづねさぐ)り與同(よとう)黨類(とうるい)等(とう)を尋究(たづねきハ)め/管領。執-筆。奉-行-人。検‖-断ス之ヲ|所-司-代賦ル‖訴状ヲ於右筆ニ|之時。以‖小舎人。或下部等ヲ|。召‖_出シ犯人ヲ|於‖侍所ニ|。記‖-録シ申ス_詞ヲ|。依テ‖言色躰ノ嫌疑ニ|。糺‖-明スル犯-否ヲ|之時。所-犯已無クンハ∨所∨遁ルヽ者。則召シ‖_籠メ之ヲ|。或及ンデ推問。拷問拷訊等ニ。尋ネ‖_捜リ之ヲ|。尋ネ‖_究メ与同。黨類等ヲ|。▲検断ハ四月の進状に見ゆ。〔49ウ一〜二〕
管領(くわんれい)執筆(しつじ)奉行人(ぶぎやうにん)検‖断(けんだん)す之(これ)を|所司代(しよしだい)賦(くば)る‖訴状(そじやう)を於右筆(いうひつ)に|之(の)時(とき)以(もつ)て‖小舎人(こどねり)或(あるひ)ハ下部(しもべ)等(とう)を|召(めし)‖_出(いだ)し犯人(ぼんにん)を|於‖侍所(さむらひどころ)に記‖-録(きろく)し申(まう)す詞(ことば)を|依(よつ)て‖言色躰(げんしよくてい)の嫌疑(けんぎ)に|糺‖-明(きうめい)する犯-否(ぼんひ)を|之(の)時(とき)所-犯(しよぼん)已(すで)に無(なく)ん∨所(ところ)∨遁(のがるゝ)者(バ)則(すなハち)召(めし)‖_籠(こめ)之(これ)を|或(あるひ)ハ及(およん)で推問(すゐもん)拷問(かうもん)拷訊(かうすゐ)等(とう)に尋(たづね)‖_捜(さぐり)之(これ)を|尋(たづね)‖_究(きハめ)與同(よとう)黨類(たうるゐ)等(とう)を|▲検断ハ四月の進状に見ゆ。〔88ウ三〕
Qendau.ケンダン(検断) 統治をし,裁判をする職.§Qendan suru.(検断する)首長・裁判長としての上述の役目を執り行なう.※原文はpresidente..〔邦訳485l〕
けん-だん〔名〕【檢断】(一)非違を檢(あらた)めて、其罪を斷(き)むること。又、其職。鎌倉幕府時代、諸國の守護の専務にて、稍、檢非違使に類せしもの。室町幕府時代に至りて、検斷職は、侍所の管掌なりき。吾妻鏡、十八、元久二年六月廿六日「關東國國守護、検二斷地頭所務以下一事、任二先規一、可レ致二嚴密沙汰一之由有レ仰」武家名目抄、職名、廿九、上「凡、守護の職掌は、検斷を旨とするは勿論なれども、鎌倉右大將家の時定められしは、大番役の催促、謀叛人の検斷、すべて三箇條を専務とす、其外にも、強盗、竊盗、山賊、海賊、等の検斷をも兼ね行へり」同、職名、十五「足利殿の時、検斷の職掌は、すべて侍所の被管たる輩、專ら、其事に從へり」(二)後には、大莊屋を、検斷と稱し、仙臺領にては、宿驛の問屋場の小役人をも稱したり。地方凡例録、七、上「大庄屋、云云、國に依り、割元、或は、總庄屋、検斷など唱ふる所もあり」〔0633-4〕
喧嘩(ケンクワ) 。〔元亀二年本217二〕〔静嘉堂本247四〕
刃傷打擲蹂躙勾引路次狼籍闘諍喧嘩等也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
刃-傷(ニンヂヤウ)打-擲蹂-躙(シウリン)勾_引(ヒトカトヒ)路-次ノ狼-藉闘-諍(ケンクワ)喧-嘩等也〔山田俊雄藏本〕
刃傷打擲蹂躙(ジウリン)勾引(ヒトカトイ)路次ノ狼籍闘諍喧嘩等也〔経覺筆本〕
刃-傷(ニンシヤウ)打-擲(チヤウヤク)蹂-躙(ジウリン/フミニシリ)勾-引(コウ井ン/ヒトカトヒ)路-次ノ狼-藉(ラウせキ)闘-諍(トウシヤウ)喧-疑(ケンクワ)等也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
喧譁(ケンクワ) 。〔元・疉字門159六〕
※但し古写本類は、喧嘩(ケンクワ/カマヒスシ、/\) 。〔亀田本・疉字門133二〕とする。
喧嘩(ケンクワ/カマヒスシ、同)[平・平] 脾誼譁(クワ)モ同。――闘諍。〔態藝門606二〕
とあって、標記語「喧嘩」の語を収載し、訓みを「ケンクワ」とし、その語注記は「脾・誼譁も同。誼譁闘諍」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
喧嘩(ケンクワ) 闘諍(トウジヤウ)。〔弘・言語進退門175二〕
喧嘩(ケンクワ) 。〔永・言語門144九〕
喧嘩(ケンクワ) 。〔尭・言語門134六〕
とあって、標記語「喧嘩」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
誼譁(ケンクワ) 。〔言語門147四〕
このように、上記当代の古辞書に、「喧嘩」と「誼譁」の語が収載されていて、前の標記語が古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
475闘諍(トウシヤウ)喧嘩等ト也。官-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之|所-司-代 畠山ノ官領ノ初也。所司代モ始京極殿ノ自∨家始也。有‖近年マテ|。又京極殿ノ代ニ終ル。其故ニ京極殿ノ内ノ多香[賀イ]豊後守ハ所司代也。細川道永ニ无。〔謙堂文庫藏四六右E〕
とあって、標記語「喧嘩」の語を収載し、語注記は未記載にする。
闘諍(トウジヤウ)喧嘩(ケンクハ)等也トハ。市町路次ニテシ出シタル禍ナリ。ケンクハノ二字ヲ。カヾメテカマビスシトヨムナリ。〔下22オ二〜三〕
闘諍(とうじやう)喧疑(けんくわ)等(とう)也/闘諍喧嘩等也人と打合ふを闘諍と云。人と物言するを喧嘩と云。〔66ウ六〜七〕
とあって、この標記語「喧嘩」の語を収載し、語注記は、「人と物言いするを喧嘩と云ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
放火(はうくハ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(こういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくハ)等(とう)也(なり)/放火。刃傷。打擲。蹂躙。勾引。路次ノ狼藉。闘諍。喧嘩等也▲闘諍喧嘩ハいさかひわめき合(あ)ふこと。〔49ウ一〕
放火(はうくわ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(かういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくわ)等(とう)也(なり)▲闘諍喧嘩ハいさかひわめき合(あ)ふこと。〔88ウ二・三〕
Qenqua ケンクワ(喧嘩) Camabisuxi.(喧し)喧嘩.§Qenquauo suru.(喧嘩をする)喧嘩する.※この訓注は不十分.喧嘩けんくは.かまびすし,かまびすし(落葉集).→Xicaqe,uru..〔邦訳486r〕
けん-くわ〔名〕【誼譁・喧嘩】(一)かまびすしきこと。さわがしきこと。史記、叔孫通傳「竟レ朝置酒、無二敢誼譁失禮者一、乃拗怒而久息」左思傳、蜀都賦「誼譁鼎沸」洛陽田樂記(朝野群載)洛陽の上下に、田樂の、盛んに行はるることを記して「日夜無レ絶、喧嘩之甚驚レ人耳」明月記、建暦三年七月十一日「明後日奉幣、五位人數極少、沙汰喧嘩、被付吉祥」(是れ等、次項の意に移る徑路なるべし)(二)いさかひ。爭ひ、鬪ふこと。(いさかひハ、言逆(いひさかひ)なり、怒聲の騒がしきより移る)諍鬪。太平記、三十五、北野通夜物語事「檀那の夫婦、俄に喧嘩を爲出して、共に打合ひける間」尺素往来(文明)「企二印地一、招二喧嘩一」室町殿日記、十九、好喧嘩徒黨之事「つと差寄り、胸がらみに、ひしと握み」後撰夷曲集(寛文)六、蕨の宿にて、馬子共の喧嘩するを見て「手を出せろ、折てくれべい、馬鹿面め、云云」喧嘩を買ふ、喧嘩を賣ると云ふは、けんくゎかひの條を見よ。喧嘩兩成敗と云ふは、爭鬪(いさかひ)したる者は、雙方共に罰すと云ふこと。令條記、慶長十四年七月十七日、伏見城在番の輩に馬印状「喧嘩口論、堅停止之上、於違背者、不論理非、雙方可爲成敗」(此令條、鎌倉北條氏に始まると云ふ) 喧嘩過ぎての棒ちぎりと云ふことは、いさかひの條を見よ。〔0877-3〕
闘諍(トウジヤウ) 。〔元亀二年本55一〕
闘諍(トウヂヤウ) 。〔静嘉堂本61五〕
闘諍(トウシヤウ) 。〔天正十七年本上31ウ四〕〔西來寺本〕
刃傷打擲蹂躙勾引路次狼籍闘諍喧嘩等也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
刃-傷(ニンヂヤウ)打-擲蹂-躙(シウリン)勾_引(ヒトカトヒ)路-次ノ狼-藉闘-諍(トウジヤウ)喧-嘩等也〔山田俊雄藏本〕
刃傷打擲蹂躙(ジウリン)勾引(ヒトカトイ)路次ノ狼籍闘諍喧嘩等也〔経覺筆本〕
刃-傷(ニンシヤウ)打-擲(チヤウヤク)蹂-躙(ジウリン/フミニシリ)勾-引(コウ井ン/ヒトカトヒ)路-次ノ狼-藉(ラウせキ)闘-諍(トウシヤウ)喧-疑(ケンクワ)等也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
闘諍 同/トウシヤウ。〔黒川本・疉字門上50オ七〕
闘諍 〃乱。〃訟。〃鶏。〃草クサアハせ。〃打。〔卷二・疉字門425一〕
闘諍(トウジヤウ) 。〔態藝門82一〕
闘諍(トウジヤウ/タヽカイ、イサム)[去・去] 。〔態藝門140五〕
とあって、標記語「闘諍」の語を収載し、訓みを「トウジヤウ」とし、その語注記は「刃傷殺害」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
闘諍(イサカイ/トウシヤウ) 。〔弘・言語進退門13六〕 闘諍(トウジヤウ) 。〔弘・言語進退門46六〕闘諍(トウシヤウ/イサカイ) ―乱(ラン)。―訟(せウ)。〔永・言語門45八〕
闘諍(トウシヤウ) ―乱。―訟。〔尭・言語門42四〕
闘諍(トウシヤウ) 。〔両・言語門50五〕
とあって、標記語「闘諍」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
闘諍(トウシヤウ) 。〔言語門43六〕
このように、上記当代の古辞書に、「闘諍」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
475闘諍(トウシヤウ)喧嘩等ト也。官-領執-筆奉-行-人検‖-断ス之|所-司-代 畠山ノ官領ノ初也。所司代モ始京極殿ノ自∨家始也。有‖近年マテ|。又京極殿ノ代ニ終ル。其故ニ京極殿ノ内ノ多香[賀イ]豊後守ハ所司代也。細川道永ニ无。〔謙堂文庫藏四六右E〕
とあって、標記語「闘諍」の語を収載し、語注記は未記載にする。
闘諍(トウジヤウ)喧嘩(ケンクハ)等也トハ。市町路次ニテシ出シタル禍ナリ。ケンクハノ二字ヲ。カヾメテカマビスシトヨムナリ。〔下22オ二〜三〕
闘諍(とうじやう)喧疑(けんくわ)等(とう)也/闘諍喧嘩等也人と打合ふを闘諍と云。人と物言するを喧嘩と云。〔66ウ六〜七〕
とあって、この標記語「闘諍」の語を収載し、語注記は、「人を打合ふを闘諍と云ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
放火(はうくハ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(こういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくハ)等(とう)也(なり)/放火。刃傷。打擲。蹂躙。勾引。路次ノ狼藉。闘諍。喧嘩等也▲闘諍喧嘩ハいさかひわめき合(あ)ふこと。〔49ウ一〕
放火(はうくわ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(かういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくわ)等(とう)也(なり)▲闘諍喧嘩ハいさかひわめき合(あ)ふこと。〔88ウ二・三〕
To>jo<.トウジヤウ(闘諍) Tatacai araso>.(闘ひ諍ふ)すなわち,Qenqua.(喧嘩) 騒動,または,喧嘩.〔邦訳658r〕
勾引(―イン) 。〔元亀二年本232六〕
勾引(コウイン) 。〔静嘉堂本267三〕〔天正十七年本中62ウ二〕
刃傷打擲蹂躙勾引路次狼籍闘諍喧嘩等也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
刃-傷(ニンヂヤウ)打-擲蹂-躙(シウリン)勾_引(ヒトカトヒ)路-次ノ狼-藉闘-諍(トウジヤウ)喧-嘩等也〔山田俊雄藏本〕
刃傷打擲蹂躙(ジウリン)勾引(ヒトカトイ)路次ノ狼籍闘諍喧嘩等也〔経覺筆本〕
刃-傷(ニンシヤウ)打-擲(チヤウヤク)蹂-躙(ジウリン/フミニシリ)勾-引(コウ井ン/ヒトカトヒ)路-次ノ狼-藉(ラウせキ)闘-諍(トウシヤウ)喧-疑(ケンクワ)等也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
勾引(コウイン/マガル・カド、ヒク・サカス)[平・上去] 。〔態藝門691三〕
とあって、標記語「勾引」の語を収載し、訓みを「カウイン」とし、その語注記は「刃傷殺害」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
勾引(コウイン) 。〔弘・言語進退門190一〕
とあって、弘治二年本だけが標記語「勾引」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
勾引(ゴウイン) ―惜(シヤク)。〔言語門159二〕
このように、上記当代の古辞書に、「勾引」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。 さて、真字本『庭訓往来註』八月七日の状には、
474蹂躙勾引路次狼藉 悪人ハ如二狼ノ所籍ル草花ヲ一散乱也。〔謙堂文庫藏四六右D〕
※―ハ人カトイ也。〔静嘉堂文庫蔵『庭訓往来抄』古寫書込み〕
とあって、標記語「勾引」の語を収載し、語注記は未記載にする。
勾引(コウイン)ハ。人カドイナリ。〔下22ウ一〕
勾引(こういん)/勾引人かとひ也。〔66ウ四〜五〕
とあって、この標記語「勾引」の語を収載し、語注記は、「人かとひなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
放火(はうくハ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(こういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくハ)等(とう)也(なり)/放火。刃傷。打擲。蹂躙。勾引。路次ノ狼藉。闘諍。喧嘩等也▲勾引ハかどハかし也。〔49ウ一〕
放火(はうくわ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(かういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくわ)等(とう)也(なり)▲勾引ハかどハかし也。〔88ウ二〕
Co>in.コウイン(勾引) Fitocadoi.(人かどひ) 人を呼び寄せて,だましたり,さらったりして連れて行くこと.→Iu<rin.〔邦訳142r〕
こう-いん〔名〕【勾引】〔引きかけ入るる意〕ひとかどひ。かどはかし。〔0644-1〕
刃傷打擲蹂躙勾引路次狼籍闘諍喧嘩等也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
刃-傷(ニンヂヤウ)打-擲蹂-躙(シウリン)勾_引(ヒトカトヒ)路-次ノ狼-藉闘-諍(トウジヤウ)喧-嘩等也〔山田俊雄藏本〕
刃傷打擲蹂躙(ジウリン)勾引(ヒトカトイ)路次ノ狼籍闘諍喧嘩等也〔経覺筆本〕
刃-傷(ニンシヤウ)打-擲(チヤウヤク)蹂-躙(ジウリン/フミニシリ)勾-引(コウ井ン/ヒトカトヒ)路-次ノ狼-藉(ラウせキ)闘-諍(トウシヤウ)喧-疑(ケンクワ)等也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
蹂躙(シウリン) 又フミニシル。奎朿同。〔黒川本・疉字門中107ウ八〕
蹂躙(フミニシル) 闘乱部/シフリン。〔黒川本・疉字門下80オ八〕
蹂躙 フミニシル。奎朿同。〔卷七・疉字門89二〕蹂躙 シウリン。〔卷九・疉字門226四〕
蹂躙(フミニジル/ジウリン) 。〔言辞門152三〕
このように、上記の古辞書にては、三卷本『色葉字類抄』(1177-81年)と十巻本『伊呂波字類抄』、そして、易林本『節用集』に「蹂躙」の語を収載していて、これが古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
474蹂躙勾引路次狼藉 悪人ハ如二狼ノ所籍ル草花ヲ一散乱也。〔謙堂文庫藏四六右D〕
とあって、標記語「蹂躙」の語を収載し、語注記は未記載にする。
蹂躙(シウリン)ハ。人ヲフミケル事ナリ。去(サテ)コソフミニジルト書(カケ)レ。〔下22オ一〕
打擲(ちやうちやく)蹂躙(じうりん)/打擲蹂躙人を打たゝくを打擲と云。人をふミけるを蹂躙といふ。〔66ウ四〜五〕
とあって、この標記語「蹂躙」の語を収載し、語注記は、「人をふミけるを蹂躙といふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
放火(はうくハ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(こういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくハ)等(とう)也(なり)/放火。刃傷。打擲。蹂躙。勾引。路次ノ狼藉。闘諍。喧嘩等也▲蹂躙ハ人を蹴仆(けたを)しふミにしる也。〔49オ八〜ウ一〕
放火(はうくわ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(かういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくわ)等(とう)也(なり)▲蹂躙ハ人を蹴仆(けたふ)しふミにじる也。〔88ウ一・二〕
Iu<rin.ヂュウリン(蹂躙) Fumi nijiru.(蹂み躙る)足で踏みつけること.例,Fitouo ju<rin suru.(人を蹂躙する)人を踏みつける,または,足蹴にする.§Iu<rin,co>in.(蹂躙,勾引)ある人を足蹴にして,無理に連れていくかすること.文書語.※この句は,庭訓徃來,八月返状に見える.〔邦訳373l〕
じう-りん〔名〕【蹂躙】ふみ、にじること。蹂踐。班固、西都賦「蹂二躙其十二三一、乃拗怒而久息」〔0877-3〕
打擲(ヂヤウチヤク) 。〔元亀二年本63十〕
打擲(――/―チヤク) 。〔静嘉堂本74三〕
打擲(チヤウチヤク) 。〔天正十七年本上37ウ一〕〔西來寺本〕
刃傷打擲蹂躙勾引路次狼籍闘諍喧嘩等也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
刃-傷(ニンヂヤウ)打-擲蹂-躙(シウリン)勾_引(ヒトカトヒ)路-次ノ狼-藉闘-諍(トウジヤウ)喧-嘩等也〔山田俊雄藏本〕
刃傷打擲蹂躙(ジウリン)勾引(ヒトカトイ)路次ノ狼籍闘諍喧嘩等也〔経覺筆本〕
刃-傷(ニンシヤウ)打-擲(チヤウヤク)蹂-躙(ジウリン/フミニシリ)勾-引(コウ井ン/ヒトカトヒ)路-次ノ狼-藉(ラウせキ)闘-諍(トウシヤウ)喧-疑(ケンクワ)等也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
打擲(チヤウチヤク/テイ・ウツ、ナゲウツ)[上・入] 。〔態藝門90六〕
とあって、標記語「打擲」の語を収載し、訓みを「チヤウチヤク」とし、その語注記は未記載にする。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
打擲(チヤウチヤク) 。〔弘・言語進退門53六〕〔永・言語門54一〕〔両・言語門57八〕
打球(チヤウク) 音楽部/―擲。〔尭・言語門49一〕
とあって、標記語「打擲」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、標記語「打擲」の語は未収載にする。
このように、上記当代の古辞書に、「打擲」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
473打-擲(―チヤク) 式目ニ念比ニ有也。〔謙堂文庫藏四六右C〕
とあって、標記語「打擲」の語を収載し、語注記は、「『(御成敗)式目』に念比に有るなり」と記載する。
打擲(チヤウチヤク)トハ。人ヲコキタヽクナリ。〔下21ウ八〜22オ一〕
打擲(ちやうちやく)蹂躙(じうりん)/打擲蹂躙人を打たゝくを打擲と云。人をふミけるを蹂躙といふ。〔66ウ四〜五〕
とあって、この標記語「打擲」の語を収載し、語注記は、「人を打ちたゝくを打擲と云ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
放火(はうくハ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(こういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくハ)等(とう)也(なり)/放火。刃傷。打擲。蹂躙。勾引。路次ノ狼藉。闘諍。喧嘩等也▲打擲ハ棒(ぼう)などにて人を打(うち)たゝくこと。〔49オ八〕
放火(はうくわ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(かういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくわ)等(とう)也(なり)▲打擲ハ棒(ぼう)なとにて人を打(うち)たゝくこと。〔88オウ一〕
Cho<chacu.チャゥチャク(打擲) Fitouo yamasuru coto.(人をやますること)手でなぐったり,鞭で打ったりすること.〔邦訳125r〕
ちゃう-ちゃく〔名〕【打擲】〔チャクは、テキの呉音〕人を撃ちたたくこと。法華経、譬喩品、頌「爲三諸童子所二打擲一、受二諸苦痛一」太平記、廿一、佐渡判官入道流刑事「持ちたる紅葉の枝を奪ひ取り、散散に打擲して、門より外へ追出す」〔1282-1〕二一等一
刃傷(―シヤウ) 。〔元亀二年本38四〕
刃傷(――) 。〔静嘉堂本41五〕
刃傷(ニンシヤウ) 。〔天正十七年本上21ウ一〕
刃傷打擲蹂躙勾引路次狼籍闘諍喧嘩等也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
刃-傷(ニンヂヤウ)打-擲蹂-躙(シウリン)勾_引(ヒトカトヒ)路-次ノ狼-藉闘-諍(トウジヤウ)喧-嘩等也〔山田俊雄藏本〕
刃傷打擲蹂躙(ジウリン)勾引(ヒトカトイ)路次ノ狼籍闘諍喧嘩等也〔経覺筆本〕
刃-傷(ニンシヤウ)打-擲(チヤウヤク)蹂-躙(ジウリン/フミニシリ)勾-引(コウ井ン/ヒトカトヒ)路-次ノ狼-藉(ラウせキ)闘-諍(トウシヤウ)喧-疑(ケンクワ)等也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
刃傷 ニンシヤウ/雜部。〔黒川本・疉字門上32オ七〕
刃傷 ニンシヤウ。〔卷二・疉字門275四〕
刃傷(ニンジヤウ) 。〔態藝門82一〕
刃傷(ニンジヤウ/ジン・ヤイバ、ヤブル)[上・平] ――殺害。〔態藝門90六〕
とあって、標記語「刃傷」の語を収載し、訓みを「ニンジヤウ」とし、その語注記は「刃傷殺害」と記載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』には、
刃傷(ヂンジヤウ) 。〔弘・言語進退門29六〕
刃傷(ニンジヤウ) 。〔永・言語門29五〕
刃傷(ニンシヤウ) 。〔尭・言語門26七〕
刃傷(ニンチヤウ) 。〔両・言語門31七〕
とあって、標記語「刃傷」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
刃傷(ニンジヤウ) 傷ハ刃。〔言語門28三〕
このように、上記当代の古辞書に、「刃傷」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。この語において、広本『節用集』の語注記と真字本『庭訓往来註』の下記の語注記とでは共通を見ないのである。
472山海(―ンカイ)ノ兩-賊強-竊ノ二-盗放-火刃-傷 兵刃棒等以成∨疵也。〔謙堂文庫藏四六右C〕
とあって、標記語「刃傷」の語を収載し、語注記は、「兵、刃・棒等を以って疵を成すなり」と記載する。
刃傷(ニンシヤウ)トハ。人ヲ截(キリ)タル者也。但(タゝ)シ疵(キス)ツクルコトナリ。〔下21ウ八〕
放火(ハうくわ)刃傷(にんしやう)/放火刃傷放火ハ火つけ也。刃物(はもの)以て人をあやめるを刃傷といふ。〔66ウ四〕
とあって、この標記語「刃傷」の語を収載し、語注記は、「刃物以って人をあやめるを刃傷といふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
放火(はうくハ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(こういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくハ)等(とう)也(なり)/放火。刃傷。打擲。蹂躙。勾引。路次ノ狼藉。闘諍。喧嘩等也▲刃傷ハ刃物(はもの)を以(もつ)て人をあやめるなり。〔49オ八〕
放火(はうくわ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(かういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくわ)等(とう)也(なり)▲刃傷ハ刃物(はもの)を以て人をあやめるなり。〔88オウ一〕
Yodat.ニンジヤウ(刃傷) 傷つけること.例,Ximobe-domouo ninjo<xi,xetgai xitacotoua chicagoro fun-betni voyobanu.(下部共を刃傷し,殺害した事は近比分別に及ばぬ)Fei.(平家)巻二.家来や召使どもを傷つけて殺すことは,私には納得できない.※Feiqe,P.112..〔邦訳r〕
にん-じゃう〔名〕【刃傷】刃(やいば)にて人に傷(きず)つくること。刀劔の切合にて、他に傷を負はすること。字類抄「刃傷、ニンシャウ」源平盛衰記、十八、文覺高雄勸進事「賢王明コの道は弊民を育むを以て先とす、況んや剃髪染衣の僧をや、それに打擲刃傷に及ぶ條、希代の不思議なり」仮名手本忠臣藏、(寛延、竹田出雲等合作)四「此の度、鹽冶判官高定、私の宿意をもって、執事高師直を刃傷に及び、舘を騒がせし科によって、國郡を没収し、切腹申し附くる者なり」〔1504-5〕
放火(―クワ) 。〔元亀二年本25二〕〔天正十七年本上12ウ三〕〔西來寺本〕
放火(ハウ―) 。〔静嘉堂本22八〕
侍所者謀叛絢害山海兩賊強竊二盗放火〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
侍所者謀叛殺害山海兩賊強竊二盗放火〔宝徳三年本〕
侍_所ハ者謀-叛殺-害山-海兩-賊強-竊二-盗放-火〔山田俊雄藏本〕
侍所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツカイ)山海ノ兩賊強竊ノ二-盗放火〔経覺筆本〕
侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
放火 ハウクワ。〔黒川本・疉字門上98オ七〕
放火 〃不。〔卷四・疉字門366二〕
放火(ハウクワ) 。〔弘・言語進退門25一〕
放エ(ハウイツ) ―儻(タウ)。―券(ケン)。―火(クワ)。―牧(ボク)。―参(サン)。―喰(ザン)。―盞(サン)盃酒部。―縱(ゼウ)。―言(コン)音也。―逐(チク)。―免(メン)。―坐(ザ)。―還(ケン)。―散(サン)牛馬。―題(ダイ)詩歌所言也。日本俗或云二放埒人一―埒(ラツ)不順法度如二生馬―カ一レ―ヲ也。〔永・言語門22四〕
放エ(ハウイツ) ―償。―券。―火。―牧。―参。―盞盃酒部。―縱。―言詈言之。―逐。―免。―坐。―散牛馬。―題詩歌所言也/日本俗或云二放埒人不順二法度如生馬―レ―ヲ也。―喰。〔尭・言語門20三〕
放火(ハウクワ) ―同。〔両・言語門24五〕
とあって、標記語「放火」と「放火」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
放火(―クワ) 。〔言語門20七〕
このように、上記当代の古辞書に、「放火」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語である。
472山海(―ンカイ)ノ兩-賊強-竊ノ二-盗放-火刃-傷 兵刃棒等以成∨疵也。〔謙堂文庫藏四六右C〕
とあって、標記語「放火」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
與奪(ヨダツ)ヲ|當参ノ仁ハ者成シ‖書下ヲ|。下國ノ之時ハ者下シ‖奉書(ホウ―)ヲ|而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)與奪ト云事罪過(ザイクハ)ニ処(シヨ)せラレテ。後ヒイキ人アリ。本ノ如ク御免(ユル)シヲ蒙(カウム)ルヲ與奪ト云也。又我処ヘ差(サシ)テ來ル財産(サイサン)ヲ近付人分ケ遣(ツカハ)スヲ云フナリ。人ノ家ニツクル者ナリ。〔下21ウ三〜八〕
放火(ハうくわ)刃傷(にんしやう)/放火刃傷放火ハ火つけ也。刃物(はもの)以て人をあやめるを刃傷といふ。〔66ウ四〕
とあって、この標記語「放火」の語を収載し、語注記は、「放火は、火つけなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
放火(はうくハ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(こういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくハ)等(とう)也(なり)/放火。刃傷。打擲。蹂躙。勾引。路次ノ狼藉。闘諍。喧嘩等也▲放火ハ火(ひ)つけ也。〔49オ八〕
放火(はうくわ)刃傷(にんじやう)打擲(てうちやく)蹂躙(じうりん)勾引(かういん)路次(ろじ)の狼藉(らうぜき)闘諍(とうじやう)喧嘩(けんくわ)等(とう)也(なり)▲放火ハ火(ひ)つけ也。〔88オウ一〕
Fo<qua.ハゥクヮ(放火) Fiuo fanatcu.(火を放つ)焼くこと.特に悪事を働いた者の家を焼く時とか,敵方の家屋や村落に火をつける時とかに用いられる語.§Iyeuo fo<qua suru.(家を放火する)家を焼く.〔邦訳262r〕
はう-くゎ〔名〕【放火】火を放つこと。人家に火をつけて燒くこと。ひつけ。つけび。張籍、樂府「放火燒二奚帳一、分旗築二漢城一」三代実録、三十六、元慶三年十二月十五日「放レ火燒二不動糒二千三十八斛五斗并倉四一、依格應二挌殺一、云云、詔曰、死罪宣下降二一等一、處中之遠流上」〔1555-1〕
侍所者謀叛絢害山海兩賊強竊二盗放火〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
侍所者謀叛殺害山海兩賊強竊二盗放火〔宝徳三年本〕
侍_所ハ者謀-叛殺-害山-海兩-賊強-竊二-盗放-火〔山田俊雄藏本〕
侍所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツカイ)山海ノ兩賊強竊ノ二-盗放火〔経覺筆本〕
侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書において、「二盗」の語が未収載にあり、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本には、見えている語である。
321強竊二盗ノ 是モ在‖式目ニ|。〔謙堂文庫藏三四右C〕
472山海(―ンカイ)ノ兩-賊強-竊ノ二-盗放-火刃-傷 兵刃棒等以成∨疵也。〔謙堂文庫藏四六右C〕
とあって、標記語「二盗」の語を収載し、語注記は、六月状に「是れも『貞永式目』に在り」と記載する。
與奪(ヨダツ)ヲ|當参ノ仁ハ者成シ‖書下ヲ|。下國ノ之時ハ者下シ‖奉書(ホウ―)ヲ|而テ無-音(イン)ノ時ニハ下シ‖使節ニ召文(メシフミ)ヲ|調(トヽノ)ヘ‖訴陳(ソヂン)ノ状ヲ|相ヒ‖-對(タイ)シテ當所(タウ―)ノ執亊(シツジ)|年々ノ管領(クハンリヤウ)奉-行(ブキヤウ)-人-等ニ可下致‖問答(モンダウ)ヲ|披露(ヒロウ)ス中沙汰ヲ上就テ‖探題(タンダイ)之異見(イ―)ニ|所ロ∨加ル‖下知ヲ|也。侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)與奪ト云事罪過(ザイクハ)ニ処(シヨ)せラレテ。後ヒイキ人アリ。本ノ如ク御免(ユル)シヲ蒙(カウム)ルヲ與奪ト云也。又我処ヘ差(サシ)テ來ル財産(サイサン)ヲ近付人分ケ遣(ツカハ)スヲ云フナリ。人ノ家ニツクル者ナリ。〔下21ウ三〜八〕
山海(さんかい)の兩賊(りやうぞく)強竊(かうせつ)の二盗(にとう)/山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗山賊海賊強盗窃盗の注前に見へたり。(山中にかくれ居て徃来の旅人をなやまするを山賊と云。海上に乗出して渡海の舟人をかすめるを海賊と云。ある本にハ山賊海賊と書たり。/同類多く勢ひ盛んなるを強盗と云。勢ひ微にして唯物を盗ミとるを竊盗といふ)〔66ウ三〜四(38オ八〜ウ一)〕
とあって、この標記語「二盗」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
侍所(さむらひどころ)者(ハ)謀叛(むほん)殺害(せつがい)山海(さんかい)の両賊(りやうぞく)強竊(かうせつ)の二盗(にとう)放火(はうくハ)/侍(サフラヒ)所ハ者謀叛(ムホン)殺害(せツガイ)山海(サンカイ)兩賊(―ゾク)強-竊(カウせツ)ノ二-盗(タウ)放-火(ハウ―)。▲山海ノ兩賊強竊ノ二盗ハ六月の進状に見ゆ。(▲強竊窃盗ハ日中あらハに狼藉(らうせき)して奪ひ捕(と)るを強盗(がうとう)といひ、人を忍(しの)びて密(ひそか)に盗(ぬす)むを窃盗(せつとう)といふ)〔49オ八(31オ一)〕
侍所(さむらひところ)者(ハ)謀叛(むほん)殺害(せつかい)山海(さんかい)兩賊(りやうぞく)強-竊(がうせつ)二盗(にとう)放火(はうくわ)。▲山海ノ兩賊強竊ノ二盗ハ六月の進状に見ゆ。(▲強竊窃盗ハ日中(ひるなか)あらハに狼藉(らうぜき)して奪(うば)ひ捕(と)るを強盗(がうとう)といひ、人を忍(しの)びて密(ひそか)に盗(ぬす)むを窃盗(せつたう)といふ)〔88オ六〜ウ一(54ウ五〜六)〕
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