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ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
調(シラベ) 鼓。〔元亀二年本334一〕〔静嘉堂本398六〕
とあって、標記語「調」の語を収載し、語注記は「鼓」と記載する。
御迎伶人調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前舞人者打伺至峙舞行踵於庭上〔至徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭者御前舞人者打伺至峙舞行之踵於庭上〔宝徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭御前舞人者打伺至峙舞行之踵於庭上〔建部傳内本〕
御迎ノ伶人ハ者。調(シラヘ)テ‖樂妓(キ)ヲ|飜シ‖羅-綾(レウ)之(ノ)袂(タモト)ヲ於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人(マイウト)者(ハ)。打テ‖伺至(ケイロウ)ヲ|峙(ソバダツ) ‖舞(ブ)-行(コウ)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|〔山田俊雄藏本〕
御迎(ムカイ)ノ伶(レイ)人者(ハ)調ヘ‖樂伎ヲ|飜ス‖羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ於‖陣-頭(トウ)ニ|御前ノ舞人(マウト)者(ハ)打‖伺至(ケイロウ)ヲ|峙(ソバダ)ツ ‖舞行(フコウ)之踵(クビス)ヲ|於‖庭上ニ|〔経覺筆本〕
御迎伶人()者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
調 シラフ/和也。〔黒川本・辞字門下74ウ八〕〔卷第九・辞字門179三〕
調(シラベ/テウ・トヽノウ)[平・去] ―琴。〔態藝門1024五〕
調(シラベ) ―∨琴。〔弘・言語進退門244三〕
調(シラヘ) ―琴。〔永・言語門213二〕
調(シラヘ) ∨琴。〔尭・言語門196八〕
とあって、標記語「調」の語を収載し、語注記に「琴の調べ」と記載する。また、易林本『節用集』には、
調(シラフ) 。彈(同)。〔言辭門219四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「調」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
499調ヘ‖樂妓(−ギ)ヲ|飜‖羅-綾之袂ヲ|。於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人ハ者、打ツテ‖〓〔十豆+磨l- 〓〔十+終〕(ケイロ)ヲ|峙(ソハタテ/タツ) ‖舞-行(ブ−)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|。袮-宜 男御子也。〔謙堂文庫藏四八右H〕
とあって、標記語「調」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御迎(ムカヒ)ノ伶人(レイジン)者調(トヽノ)ヘ‖樂妓(カクキ)ヲ|飜(ヒルカヘ)ス‖羅-綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ|。於‖陳-頭(チントウ)ニ|御前ノ舞人者(ハ)、打テ‖〓〔十豆+〕-〓〔十+終〕(ケイロウ/コシツヽミ)ヲ|峙(ソバタツ) ‖舞-行(ブカウ)ノ踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|御迎ノ伶人ト云事御掌拝ノ砌ニハ伶人舞童(トウ)之儀有樂(カク)錦(ニシキ)ノ袖ヲカサスナリ。御前ニテ舞(マヒ)戯(タハフ)ルヽ人ハケイロウト云鼓(ツヽミ)ヲ打テ乱曲ノ袂ヲヒルガヘス。〔下25ウ七〜26オ二〕
樂器(かくき)を調(とヽの)ヘ/調ヘ‖樂器ヲ|樂器ハ音楽の器笙(せう)篳篥(ひちりき)太鼓(たいこ)の類を云。楽妓(かくき)と書たる本もあり。楽妓とハ舞姫(まひひめ)の事也。是ハ誤(あやま)りにて楽器と書たるを是(ぜ)とす。〔72オ三〜四〕
とあって、この標記語「調」の語を収載し、語注記は、「樂器は、音楽の器笙(せう)篳篥(ひちりき)太鼓(たいこ)の類を云ふ。楽妓(かくき)と書きたる本もあり。楽妓とは、舞姫(まひひめ)の事なり。是は、誤(あやま)りにて楽器と書きたるを是(ぜ)とす」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔52ウ七〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔94ウ五〜95オ六〕
Xirabe,uru.l,xirame,uru.シラベ,ブル,また,シラメ,ムル(調べ,ぶる,べた.または,調め,むる) 絃楽器,あるいは,その他の楽器,たとえば,鼓などの調子を整える.例,Biua,l,tcuzzumiuo xiraburu.(琵琶,または,鼓を調ぶる)琵琶や鼓の調子を整える.※原文は1)3)tabaquinho,2)viola.それぞれTcuzzumiおよびBiua(琵琶)の注参照.〔邦訳776r〕
しら-べ〔名〕【調】(一){しらぶること。音の律呂を、調ふること。調子。源氏物語、十三、明石39「琴の御琴、取りに遣はして、心異なるしらべを、仄かに掻き鳴らし給へる」六帖、四、「常磐なる、松のしらべに、弾く琴は、緒毎に君を、千年とぞ鳴る」字類抄「黴、シラベ、琴上修注處、所表發撫抑之處」倭名抄、四20琴瑟類「琴、云云、黴以二鍾山之玉一」又、笛にも、増鏡、十六、秋のみ山「絲竹のしらべは、をり惡しければ」(二)かれこれと、照り合はせて、見ること。査。點檢。(三)罪状を問ひ糺すこと。吟味。詮議。糾問。審理。〔1022-4〕
御迎伶人調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前舞人者打伺至峙舞行踵於庭上〔至徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭者御前舞人者打伺至峙舞行之踵於庭上〔宝徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前之舞人者打伺至峙舞行之踵於庭上〔建部傳内本〕
御迎ノ伶人ハ者。調(シラヘ)テ‖樂妓(キ)ヲ|飜シ‖羅-綾(レウ)之(ノ)袂(タモト)ヲ於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人(マイウト)者(ハ)。打テ‖伺至(ケイロウ)ヲ|峙(ソバダツ) ‖舞(ブ)-行(コウ)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|〔山田俊雄藏本〕
御迎(ムカイ)ノ伶(レイ)人者(ハ)調ヘ‖樂伎ヲ|飜ス‖羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ於‖陣-頭(トウ)ニ|御前ノ舞人(マウト)者(ハ)打‖伺至(ケイロウ)ヲ|峙(ソバダ)ツ ‖舞行(フコウ)之踵(クビス)ヲ|於‖庭上ニ|〔経覺筆本〕
御迎伶人()者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書において、標記語「樂妓」の語は未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
499調ヘ‖樂妓(−ギ)ヲ|飜‖羅-綾之袂ヲ|。於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人ハ者、打ツテ‖〓〔十豆+磨l- 〓〔十+終〕(ケイロ)ヲ|峙(ソハタテ/タツ) ‖舞-行(ブ−)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|。袮-宜 男御子也。〔謙堂文庫藏四八右H〕
とあって、標記語「樂妓」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御迎(ムカヒ)ノ伶人(レイジン)者調(トヽノ)ヘ‖樂妓(カクキ)ヲ|飜(ヒルカヘ)ス‖羅-綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ|。於‖陳-頭(チントウ)ニ|御前ノ舞人者(ハ)、打テ‖〓〔十豆+〕-〓〔十+終〕(ケイロウ/コシツヽミ)ヲ|峙(ソバタツ) ‖舞-行(ブカウ)ノ踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|御迎ノ伶人ト云事御掌拝ノ砌ニハ伶人舞童(トウ)之儀有樂(カク)錦(ニシキ)ノ袖ヲカサスナリ。御前ニテ舞(マヒ)戯(タハフ)ルヽ人ハケイロウト云鼓(ツヽミ)ヲ打テ乱曲ノ袂ヲヒルガヘス。〔下25ウ七〜26オ二〕
樂器(かくき)を調(とヽの)ヘ/調ヘ‖樂器ヲ|樂器ハ音楽の器笙(せう)篳篥(ひちりき)太鼓(たいこ)の類を云。楽妓(かくき)と書たる本もあり。楽妓とハ舞姫(まひひめ)の事也。是ハ誤(あやま)りにて楽器と書たるを是(ぜ)とす。〔72オ三〜四〕
とあって、この標記語「樂器」の表記の語で収載し、語注記は、「樂器は、音楽の器笙(せう)篳篥(ひちりき)太鼓(たいこ)の類を云ふ。楽妓(かくき)と書きたる本もあり。楽妓とは、舞姫(まひひめ)の事なり。是は、誤(あやま)りにて楽器と書きたるを是(ぜ)とす」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|▲樂妓ハ樂伎の誤なるべし。伎ハ侶(ともから)なり。舞楽の徒(と)といふことならんと關牛翁いはれき。〔53オ五〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|▲樂妓ハ樂伎の誤なるべし。伎ハ侶(ともがら)なり。舞楽乃徒(と)といふことならんと關牛翁いはれき。〔94ウ五〜95オ六〕
†Gacugui.ガクギ(樂器) 音楽の道具.→GACqi;Gacuqi.〔邦訳290l〕
御迎伶人調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前舞人者打伺至峙舞行踵於庭上〔至徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭者御前舞人者打伺至峙舞行之踵於庭上〔宝徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前之舞人者打伺至峙舞行之踵於庭上〔建部傳内本〕
御迎ノ伶人ハ者。調(シラヘ)テ‖樂妓(キ)ヲ|飜シ‖羅-綾(レウ)之(ノ)袂(タモト)ヲ於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人(マイウト)者(ハ)。打テ‖伺至(ケイロウ)ヲ|峙(ソバダツ) ‖舞(ブ)-行(コウ)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|〔山田俊雄藏本〕
御迎(ムカイ)ノ伶(レイ)人者(ハ)調ヘ‖樂伎ヲ|飜ス‖羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ於‖陣-頭(トウ)ニ|御前ノ舞人(マウト)者(ハ)打‖伺至(ケイロウ)ヲ|峙(ソバダ)ツ ‖舞行(フコウ)之踵(クビス)ヲ|於‖庭上ニ|〔経覺筆本〕
御迎伶人()者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「御迎」の語は未収載であり、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
498御迎ノ伶人者 樂人也。琴伶人ハ晋時ハ克康字ハ叔夜向‖北山|。従‖道士孫登|学∨琴經‖三年|孫不∨教∨之。曰汝ハ有‖逸群ノ才|。必當戮云々。于市克遂ニ別レ去。孫及乗∨雲昇∨天ニ。康向南至‖會克ノ王伯通カ家ニ|。造‖-得一舘|。未ルニ∨得‖三年ヲ|毎夜有ルニ‖人ノ宿|伯者不∨至‖天明ニ|便死ス。伯見‖此凶ヲ|遂ニ常ニ閉却ス。不∨放‖人宿ニ|。克康暫借‖舘門前|宿ス。至‖一更之後|康取∨琴。至‖弾シテ二更ニ|。時ニ見∩有‖八ケノ鬼|従‖後舘ノ中|出ルコト∪拍∨之。微(ヒソカ)ニ咒シテ曰、乾元亨利貞祝コト三反。問∨鬼曰、王伯通造‖-得此舘ヲ|。成テ未ルニ‖三年ナラ|毎夜有ハ‖人ノ宿ル|者死ス。惣シテ是鞄チ八ケノ鬼殺∨他ヲ。鬼ノ曰、我ハ是不∨殺∨人。鬼我ハ是舜時掌ル‖樂官|。兄弟八人号シテ曰‖伶倫|者也。舜ニ有テ‖侫臣|殺‖我兄弟ヲ|。在‖此ノ所ニ|∨埋ム。王伯造∨舘不∨知‖其故|。向‖我上ニ|築∨垣ヲ厭∨我ヲ。此故云。為ニ顕ル也。今賞‖先生ヲ|授‖一ノ廣陵ノ曲ノ天下ニ妙絶ヲ|。康聞∨之大ニ悦テ遂ニ把∨琴与∨鬼。々教∨康ニ也。自∨是司∨樂者ヲ云‖伶人ト|。〔謙堂文庫藏四八右G〕
とあって、標記語「御迎」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御迎(ムカヒ)ノ伶人(レイジン)者調(トヽノ)ヘ‖樂妓(カクキ)ヲ|飜(ヒルカヘ)ス‖羅-綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ|。於‖陳-頭(チントウ)ニ|御前ノ舞人者(ハ)、打テ‖〓〔十豆+〕-〓〔十+終〕(ケイロウ/コシツヽミ)ヲ|峙(ソバタツ) ‖舞-行(ブカウ)ノ踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|御迎ノ伶人ト云事御掌拝ノ砌ニハ伶人舞童(トウ)之儀有樂(カク)錦(ニシキ)ノ袖ヲカサスナリ。御前ニテ舞(マヒ)戯(タハフ)ルヽ人ハケイロウト云鼓(ツヽミ)ヲ打テ乱曲ノ袂ヲヒルガヘス。〔下25ウ七〜26オ二〕
御迎(おんむかい)の伶人(れいじん)者(ハ)/御迎伶人者。伶人ハ音楽をする者なり。〔72オ三〕
とあって、この標記語「御迎」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔52ウ七〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔94ウ五〜95オ六〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈従之〔至徳三年本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈從之〔宝徳三年本〕
自門外前後隨兵番上下左右之太刀帯列二行御帯刀役人御調度懸之人相並弓手妻手扈從之〔建部傳内本〕
自リ‖門-外|者前-後ノ隨-兵番ヒ‖上-下ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列リ‖二-行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役-人御調度懸ノ人相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コせウ)ス之ヲ|〔山田俊雄藏本〕
自リ‖門外|者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ‖二行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相‖-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈‖-從(コジウ)ス之ニ|〔経覺筆本〕
自ハ‖門-外|者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)‖上-下左-右ニ|太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)‖二-行(カウ)ニ|御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)‖-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈從(コシヨウ)ス∨之ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
扈從(コシヨウ) [文選註]從テ二君主ニ一行ク也。〔第四冊人倫門58二〕
とある。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「扈從」の語は未収載であり、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
497相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コ―/トリツヽム)ス之ヲ| 妻手ハ犬追物有リ。弓手ハ左ノ手ヲ云フ也。妻手ハ右ニテ手縄ヲ取、拵∨馬ヲ何モ馬上ノ義也。〔謙堂文庫藏四八右F〕
とあって、標記語「扈從」の語を収載し、語注記は未記載にする。
扈‖-從ス之ヲ|トハサハリヒキシロウ事ナリ。ハタカリネル事也。〔下25ウ七〕
弓手(ゆんて)馬手(めて)に相並(あいなら)んて之(これ)に扈從(こしやう)す/相‖-並ンテ弓手馬手ニ|扈‖-從ス之ヲ|左を弓手右を馬手といふ。又妻手とも書なり。扈從もしたかふと訓す。供する事なり。こゝにて供奉の行列ハ言終りたり。〔71ウ三〜四〕
とあって、この標記語「扈從」の語を収載し、語注記は、「扈從もしたかふと訓す。供する事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|▲扈從ハ随(ひたか)ひ侍(はへ)るの義。〔52オ六〜52ウ七〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|▲扈從ハ随(したが)ひ侍(はべ)るの義。〔93ウ五〜94ウ五〕
こ-じゅう〔名〕【扈從】〔字典「後ニ從フヲ曰レ扈」供すること。隨行。扈從(コシヨウ)。司馬相如、上林賦「扈從横行」留青日記、「言下隨二從天子一、逐レ獸横行上也」續後紀、十五、承和十二年二月、天皇幸二水成瀬野一「賜二扈從臣及國司等禄一」〔2-0288-1〕
妻手( テ) 右。馬手(同) 右。〔元亀二年本296G〕 妻手(メテ) 。馬手(同) 右。〔静嘉堂本348@〕
自リ二門外一者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ二上下ニ一左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ二二行ニ一御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相二-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ一扈二-從(コジウ)ス之ニ一〔経覺筆本〕
自ハ二門-外一者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)二上-下左-右ニ一太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)二二-行(カウ)ニ一御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)二-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ一扈從(コシヨウ)スレ之ヲ一〔文明十四年本〕
と見え、標記語「妻手」の語を収載し、経覺筆本・文明十四年本は「妻手(メテ)」と訓みを記載する。
妻手(メテ)メアワス/せイシユウ・ツマ[上去・上] 弓手――。〔支體門872G〕
妻手(メテ) 弓手――。又馬手(同)。〔弘・支体門229@〕 妻手(メテ) 弓手/馬手。〔永・支体門191@〕
妻手(メテ) 弓手(ユンテ)/馬手(メテ)。〔尭・支体門180A〕
とあって、標記語「妻手」の語を収載し、語注記は広本『節用集』を継承し「弓手妻手」とし、さらに「又馬手に作る」する。また、易林本『節用集』には、
妻手(メテ) 。〔支躰門195F〕
このように、上記当代の古辞書において、標記語「妻手」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。ここで、静嘉堂本『運歩色葉集』の語注記「左」は、下記真字本の語注記「弓手ハ左ノ手ヲ云フ也」の簡略形とも考えられよう。
497相二-並テ弓手妻手ニ一扈(コ)二-從トリツヽムス之ヲ一 妻手ハ犬追物有リ。弓手ハ左ノ手ヲ云フ也。妻手ハ右ニテ手縄ヲ取、拵レ馬ヲ何モ馬上ノ義也。〔謙堂文庫藏四八右F〕
とあって、標記語「妻手」の語を収載し、語注記は「妻手は、犬追物有り」と記載する。
弓手(ゆんて)馬手(めて)に相並(あいなら)んて之(これ)に扈從(こしやう)す/相二-並ンテ弓手馬手ニ一扈二-從ス之ヲ一左を弓手右を馬手といふ。又妻手とも書なり。扈從もしたかふと訓す。供する事なり。こゝにて供奉の行列ハ言終りたり。〔71ウB〜C〕
とあって、この標記語「妻手」の語を収載し、語注記は、「左を弓手右を馬手といふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろいろ)の甲冑(かつちう)思々(おもひおもひ)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就レ中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ二重代之重宝一。用ヒ二新調之美麗ヲ一。自リ二門外一者。前後ノ之隨兵番ヒ二上下ニ一左右ノ帶刀列リ二二行ニ一。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相二-並テ弓手妻手ニ一扈二-從ス之一▲弓手ハ左(ひたり)。馬手は右(ミき)也。〔52オE〜52ウF〕。〔52オE〜52ウD〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろいろ)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひおもひ)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し二重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を一用(もち)ひ二新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を一自(より)二門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ二上下(じやうげ)に一左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り二二行(にきやう)に一御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)二並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に一扈(こ)二従(じゆう)す之(これ)に一▲弓手ハ左(ひたり)。馬手は右(ミき)也。〔93ウD〜94ウC・D〕
Mete.メテ(妻手・馬手) すなわち,Migui.(右)右手.§Yu~de meteni ainarabu.(弓手馬手に相並ぶ)左側と右側にそろって並ぶ.〔邦訳398r〕
Yundemete.ユンデメテ(弓手馬手) 左手と右手と.〔邦訳836l〕
め-て〔名〕【妻手】(一)右(みぎ)の手。(弓手(ゆんで)の條を見よ)矢手(やて)。右手。保元物語、一、新院御所各門門固事「ゆんでのかひなの、めてに四寸伸びて」同、(二)右のかた。右の方面。平治物語、二、義朝青墓落着事「海道をば馬手になして落ち給へば」〔4-589-4〕
弓手(ユンデ) 。〔元亀二年本292六〕
弓手(ユンデ) 左。〔静嘉堂本339六〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈従之〔至徳三年本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈從之〔宝徳三年本〕
自門外前後隨兵番上下左右之太刀帯列二行御帯刀役人御調度懸之人相並弓手妻手扈從之〔建部傳内本〕
自リ‖門-外|者前-後ノ隨-兵番ヒ‖上-下ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列リ‖二-行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役-人御調度懸ノ人相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コせウ)ス之ヲ|〔山田俊雄藏本〕
自リ‖門外|者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ‖二行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相‖-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈‖-從(コジウ)ス之ニ|〔経覺筆本〕
自ハ‖門-外|者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)‖上-下左-右ニ|太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)‖二-行(カウ)ニ|御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)‖-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈從(コシヨウ)ス∨之ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
弓手(ユンデ/キウ・ユミ、シユウ)[平・上] ――/妻手。〔支體門860五〕
弓手(ユンデ) ――妻手(メテ)/又作馬手(同)。〔弘・支体門225五〕
弓手(ユンデ) 。〔永・支体門187八〕
弓手(ユンテ) ――妻手/馬手。〔尭・支体門177六〕
とあって、標記語「弓手」の語を収載し、語注記は広本『節用集』を継承し「弓手妻手」とし、さらに「又馬手に作る」する。また、易林本『節用集』には、
弓手(ユンデ) 。〔支躰門193三〕
このように、上記当代の古辞書において、標記語「弓手」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。ここで、静嘉堂本『運歩色葉集』の語注記「左」は、下記真字本の語注記「弓手ハ左ノ手ヲ云フ也」の簡略形とも考えられよう。
497相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コ―/トリツヽム)ス之ヲ| 妻手ハ犬追物有リ。弓手ハ左ノ手ヲ云フ也。妻手ハ右ニテ手縄ヲ取、拵∨馬ヲ何モ馬上ノ義也。〔謙堂文庫藏四八右F〕
とあって、標記語「弓手」の語を収載し、語注記は「弓手は、左の手を云ふなり」と記載する。
御(ミ)調度懸(チヤウトカケノ)人。相ヒ‖-並テ弓(ユン)手妻手(メテ)ニ|御調度ハ矢ナリ。御多羅枝ナリ。〔下25ウ四〕
弓手(ゆんて)馬手(めて)に相並(あいなら)んて之(これ)に扈從(こしやう)す/相‖-並ンテ弓手馬手ニ|扈‖-從ス之ヲ|左を弓手右を馬手といふ。又妻手とも書なり。扈從もしたかふと訓す。供する事なり。こゝにて供奉の行列ハ言終りたり。〔71ウ三〜四〕
とあって、この標記語「弓手」の語を収載し、語注記は、「左を弓手右を馬手といふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|▲弓手ハ左(ひたり)。馬手は右(ミき)也。〔52オ六〜52ウ七〕。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|▲弓手ハ左(ひだり)。馬手は右(ミき)也。〔93ウ五〜94ウ四・五〕
Yunde.ユンデ(弓手) すなわち,Yumino te.(弓の手)左手.〔邦訳836l〕
Yundemete.ユンデメテ(弓手馬手) 左手と右手と.〔邦訳836l〕
ゆん-で〔名〕【弓手】〔ゆみでの音便〕(一)弓を持つ方の手、即ち、左の手の稱。左手。右手には手綱を持つ、因りて、右を馬手と云ふ。保元物語、一、新院御所各門門固事「弓手の肘、馬手に四寸伸びて、云云」同、二、白河殿攻落事「爲朝是を弓手に相請けて、はたと射る」(二)左の方。左。保元物語、二、白河殿攻落事「須藤九郎に弓手の太股を射させ、云云」〔2076-5〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈従之〔至徳三年本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈從之〔宝徳三年本〕
自門外前後隨兵番上下左右之太刀帯列二行御帯刀役人御調度懸之人相並弓手妻手扈從之〔建部傳内本〕
自リ‖門-外|者前-後ノ隨-兵番ヒ‖上-下ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列リ‖二-行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役-人御調度懸ノ人相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コせウ)ス之ヲ|〔山田俊雄藏本〕
自リ‖門外|者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ‖二行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相‖-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈‖-從(コジウ)ス之ニ|〔経覺筆本〕
自ハ‖門-外|者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)‖上-下左-右ニ|太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)‖二-行(カウ)ニ|御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)‖-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈從(コシヨウ)ス∨之ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
相並(アイナラブ/シヤウ・ヘイ)[平・上] 雙。〔態藝門752二〕
相逢(アヒアフ) ―比(□□)。―伴(トモナフ)。―構(カマヘテ)。―語(カタル)。/―叶(カナフ)。―姓(シヤウ)。―圖(ヅ)。―觸(フル)。〔言辭門172二〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』だけに「相並」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている標記語「相並」の語と共通する。
497相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コ―/トリツヽム)ス之ヲ| 妻手ハ犬追物有リ。弓手ハ左ノ手ヲ云フ也。妻手ハ右ニテ手縄ヲ取、拵∨馬ヲ何モ馬上ノ義也。〔謙堂文庫藏四八右F〕
とあって、標記語「相並」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御(ミ)調度懸(チヤウトカケノ)人。相ヒ‖-並テ弓(ユン)手妻手(メテ)ニ|御調度ハ矢ナリ。御多羅枝ナリ。〔下25ウ四〕
弓手(ゆんて)馬手(めて)に相並(あいなら)んて之(これ)に扈從(こしやう)す/相‖-並ンテ弓手馬手ニ|扈‖-從ス之ヲ|左を弓手右を馬手といふ。又妻手とも書なり。扈從もしたかふと訓す。供する事なり。こゝにて供奉の行列ハ言終りたり。〔71ウ三〜四〕
とあって、この標記語「相並」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|。〔93ウ五〜94ウ二〕
Ainarabi,u,uru.アヒナラべ,ブル,ベタ(相並べ,ぶる,べた) Narabi,uru(並べ,ぶる)の条を見よ.〔邦訳18l〕
調度(ト) 公方様御矢之事。〔元亀二年本244八〕
調度(ド) 公方樣御矢之亊也。〔静嘉堂本282四〕
調度(ト) 公方樣御矢之事也。〔天正十七年本上20オ一〕〔西來寺本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈従之〔至徳三年本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈從之〔宝徳三年本〕
自門外前後隨兵番上下左右之太刀帯列二行御帯刀役人御調度懸之人相並弓手妻手扈從之〔建部傳内本〕
自リ‖門-外|者前-後ノ隨-兵番ヒ‖上-下ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列リ‖二-行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役-人御調度懸ノ人相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コせウ)ス之ヲ|〔山田俊雄藏本〕
自リ‖門外|者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ‖二行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相‖-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈‖-從(コジウ)ス之ニ|〔経覺筆本〕
自ハ‖門-外|者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)‖上-下左-右ニ|太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)‖二-行(カウ)ニ|御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)‖-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈從(コシヨウ)ス∨之ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。このうち、経覺筆本だけが「人」を「男」と表記している。
調渡懸(テウドカケ) 烏帽子ノ縛緒(ユイヲ)也。〔器財門119五〕
調渡懸(テウドカケ/トヽノウ、ワタル、ケン)[去・入・平] 烏帽(エホ)子結(ユウ)レ緒(ヲヽ)也。〔器財門717一〕
調渡懸(テウトカケ)テウヅカケ 烏帽子ノ結緒。〔弘・器財門198一〕
調渡懸(デウドカケ) 烏帽子結緒也。〔永・器財門163八〕
調渡懸(テウトカケ) 烏帽子結緒也。〔尭・器財門153二〕
とあって、弘治二年本が標記語「調渡懸」の語を収載し、語注記は「烏帽子の緒を結うなり」と広本『節用集』を継承記載する。また、易林本『節用集』には、
調度懸(テウドカケ) 烏帽子縛緒也。〔言語門165一〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』だけが「調度懸」とし、『下學集』をはじめとする古辞書群は標記語「調渡懸」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている標記語「調度懸」の語とは、表記を異にする。また、『運歩色葉集』にあっては、標記語「調度」とし、語注記も「公方樣御矢之事也」として別な資料に依拠している箇所となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「御調度懸人」の語を収載し、語注記は「烏帽子の縛緒なり。懸を馬の尾を以って爲るを云ふなり。或説に云く、弓を御多羅技と云ふ。矢を御調度と云ふ時は、是は弓役か。又位有り、人行くには、必ず小長き袋を懸け、此の説誠に尤も善し、矢を云ふには字別なり。虫-頭(ツ)と書くなり。言は、彼の虫口に毒を含み飛ぶなり。体は、矢の如くにして、同羽も付くなり。口傳有るなり」と記載する。 この語注記の文頭箇所は、『下學集』の語注記と合致する。
御(ミ)調度懸(チヤウトカケノ)人。相ヒ‖-並テ弓(ユン)手妻手(メテ)ニ|御調度ハ矢ナリ。御多羅枝ナリ。〔下25ウ六・七〕
御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)/御調度懸ノ人調度懸ハ弓矢を入て負ふ物なり。懸る調度といふハ道具の事也。公家にて尊ぶ道具ハ冠なるゆへ冠を懸る物を調度懸といひ武家にて重んする物ハ弓矢なるゆへそれを入るゝ物を調度懸と云。たとへハ今平士のもつとも重き道具ハ鑓なる故鑓を呼んて道具といへるかことし。扨武家乃調度懸に大小の二ツあり。大なる方ハ御座所乃かたハらに置。小き方ハ人に負(おハ)せて供奉に遣ふ。陰陽弓を両方に立中に矢二十四筋指(さす)となり。猶圖説にくわしきゆへこゝに略せり。〔71オ七〜ウ三〕
とあって、この標記語「御調度懸人」の語を収載し、語注記は、「調度懸ハ弓矢を入て負ふ物なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|▲調度懸ハ弓矢(ゆみや)を納(ハか)る器(うつハ)也。其制数種(すしゆ)あり。但し大なるハ御座所(さしよ)に居(す)へ小なるハ人に負(おハ)すとぞ太田道潅(おほたたうくハん)か義政(よしまさ)公の問(とひ)に應(おう)せし哥(うた)に√矢(や)を指(さし)て左右(さいう)に弓(ゆミ)をてうとかけ奥(おく)の習(ならひ)ハ家(いへ)によるべきとそと。〔52オ六〜52ウ七〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|。▲調度懸ハ弓矢(ゆミや)を納(いる)る器(うつハ)也。其制数種(すしゆ)あり。但し大なるハ御座所(ざしよ)に居(す)ゑ小なるハ人に負(おハ)すとぞ太田道潅(おほたたうくハん)か義政(よしまさ)公(こう)の問(とひ)に應(おう)ぜし哥(うた)に√矢(や)を指(さし)て左右(さいう)に弓(ゆミ)をてうとかけ奥(おく)の習(ならひ)ハ家(いへ)によるべきと云云。〔93ウ五〜94ウ四〕
Giodogaqe.ヂョウドガケ(調度懸) Yeboxino caqeuo.(烏帽子の懸緒)一種のつばなし帽子〔烏帽子〕を顎の下で結びつけるための紐.※原文はbarretes.〔Yeboxiの注〕.〔邦訳318r〕
てうど-がけ〔名〕【調度懸】(一)弓矢を懸け飾る具。弓、二張を左右に並べ立て、其中央に、箙を飾り付けたるもの。調度持。貞丈雜記、十一、武具之部「弓矢を立て置く道具に、調度掛と云ふ道具あり、云云、太田道灌の歌に、矢をさして、左右に弓を、調度がけ、奥のならひは、家によるべし」(二)主君、他行の時、其調度(弓矢)を肩にかけて、持ちて從ふ役。今昔物語集、廿六、第十七語「利仁が供にも、調度がけ一人、舎人男一人ぞありける」吾妻鏡、廿、建暦二年正月十九日「將軍家御二參鶴岡八幡宮、云云、召二大須賀四郎胤信一、被レ仰下可懸二御調度一由上」(三)朝廷の儀式の時、弓矢を持ちて列する役。〔1350-3〕
役 ―人。〔元亀二年本205五〕
役(ヤク) ―人。〔静嘉堂本233二〕
役(ヤク) 人。〔天正十七年本中45ウ八〕
と記載する。これに対し、天正十七年本は、上記の語の他として、
役人(ヤクニン) 。〔天正十七年本中44オ七〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈従之〔至徳三年本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈從之〔宝徳三年本〕
自門外前後隨兵番上下左右之太刀帯列二行御帯刀役人御調度懸之人相並弓手妻手扈從之〔建部傳内本〕
自リ‖門-外|者前-後ノ隨-兵番ヒ‖上-下ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列リ‖二-行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役-人御調度懸ノ人相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コせウ)ス之ヲ|〔山田俊雄藏本〕
自リ‖門外|者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ‖二行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相‖-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈‖-從(コジウ)ス之ニ|〔経覺筆本〕
自ハ‖門-外|者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)‖上-下左-右ニ|太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)‖二-行(カウ)ニ|御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)‖-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈從(コシヨウ)ス∨之ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
役人(ヤクニン) 。〔弘・態藝門74四〕
役人(ヤクニン/ツカイ、ジン・ヒト)[去・平] 。〔態藝門556二〕
役人(ヤクニン) 。〔弘・人倫門165七〕
役(ヤク) ―者/―人〔永・人倫門135五〕
役者(ヤクシヤ) ―人。〔尭・人倫門124四〕
とあって、弘治二年本が標記語「役人」の語を収載し、他本は熟語群として収載する。また、易林本『節用集』には、
役者(ヤクシヤ) ―人(ニン)。〔言語門136六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「役人」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「役人」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御帶刀(ハカせ)ノ役(ヤク)-人(ニン)トハ御太刀ヲ提(ヒツサ)ゲテ御供申人ナリ。〔下25ウ四〕
御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)/御帶刀ノ役人御太刀の役なり。〔71オ七〕
とあって、この標記語「役人」の語を収載し、語注記は、「御太刀の役なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|。〔93ウ五〜94ウ二〕
Yacunin.ヤクニン(役人) 何か役目にたずさわる人一般を言う.〔邦訳806r〕
やく-にん〔名〕【役人】(一)役目ある人。官職を有する人。官人。官員。官吏。役員。有司。吏。平家物語、三、公卿揃事「餘りに人多く參りつどひ、云云、役人ぞ、あけられ候へとて、云云」(二)やくしゃ(役者)の條の(二)に同じ。松風村雨束帯鑑(元禄、近松作)五、「猿の役人、面押取って捨てければ、恒寂僧都顕れ出で」〔2032-3〕
帶刀(ハカせ) 。〔元亀二年本26三〕〔天正十七年本上13オ五〕〔西來寺本〕
帶刀(ハキダチ) 。〔静嘉堂本24四〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈従之〔至徳三年本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈從之〔宝徳三年本〕
自門外前後隨兵番上下左右之太刀帯列二行御帯刀役人御調度懸之人相並弓手妻手扈從之〔建部傳内本〕
自リ‖門-外|者前-後ノ隨-兵番ヒ‖上-下ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列リ‖二-行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役-人御調度懸ノ人相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コせウ)ス之ヲ|〔山田俊雄藏本〕
自リ‖門外|者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ‖二行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相‖-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈‖-從(コジウ)ス之ニ|〔経覺筆本〕
自ハ‖門-外|者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)‖上-下左-右ニ|太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)‖二-行(カウ)ニ|御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)‖-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈從(コシヨウ)ス∨之ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
帶刀(ハカせ/タイタウ・ヲビ、カタナ)[去・平] 太刀名也。〔器財門59四〕
帶刀(ハカせ) 太刀名。〔弘・財宝門21五〕
帶刀(ハカせ) 太刀ノ名。〔永・財宝門19二〕
帶刀(ハカせ) 太刀之名。〔尭・財宝門17六〕〔両・財寳門21七〕
とあって、標記語「帶刀」の語を収載し、語注記は広本『節用集』を継承して「太刀の名」と記載する。また、易林本『節用集』には、標記語「帶刀」の語は未収載にする。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「帶刀」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「帶刀」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御帶刀(ハカせ)ノ役(ヤク)-人(ニン)トハ御太刀ヲ提(ヒツサ)ゲテ御供申人ナリ。〔下25ウ四〕
御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)/御帶刀ノ役人御太刀の役なり。〔71オ七〕
とあって、この標記語「帶刀」の語を収載し、語注記は、「御太刀の役なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。▲御帶刀ノ役人ハ太刀持(たちもち)也。〔52オ六〜52ウ六〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|▲御帶刀ノ役人ハ太刀持(たちもち)也。〔93ウ五〜94ウ二・三〕
Vonpacaxe.ヲンパカセ(御帶刀) 公方(Cubo<)などのような貴人の刀(Catana).〔邦訳715l〕
はか-せ〔名〕【佩刀】又、はかし。佩き給ふ刀。大將の用に云ふ。後に、又、一種の製のもの起り、儀式の用とす。書言字考節用集、七、器財門「帶刀、ハカセ」謡曲、正尊「御佩刀を取って、靜靜と中門の廊に出で給ひ」〔1564-5〕
連(ツラナル) 。聯(同) 。綿(同) 。陣(同) 。羅(同) 。〔元亀二年本161二〕〔天正十七年本中20オ一〕
連(ツラナル) 。聯(同) 。綿(同) 。?(同) 。羅(同) 。〔静嘉堂本177三〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈従之〔至徳三年本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈從之〔宝徳三年本〕
自門外前後隨兵番上下左右之太刀帯列二行御帯刀役人御調度懸之人相並弓手妻手扈從之〔建部傳内本〕
自リ‖門-外|者前-後ノ隨-兵番ヒ‖上-下ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列リ‖二-行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役-人御調度懸ノ人相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コせウ)ス之ヲ|〔山田俊雄藏本〕
自リ‖門外|者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ‖二行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相‖-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈‖-從(コジウ)ス之ニ|〔経覺筆本〕
自ハ‖門-外|者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)‖上-下左-右ニ|太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)‖二-行(カウ)ニ|御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)‖-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈從(コシヨウ)ス∨之ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
連ツラヌ 。列 。貫般矢噛・・・・〔下略〕。〔黒川本・辞字門中26オ六〕
連ツラナル/ツラヌ 。聯六連―綿不縫也。列 。陳麗六離/魚―・・・・〔下略〕。〔卷四・辞字門603二〕
連(ツルヽ・ツラナル/レン)[平] 。列(同/レツ)[入] 。〔態藝門423三〕
連(ツラナル) 。聯(同) 。列(同) 。〔弘・言語進退門128八〕
連(ツラナル) 聯。列。〔永・言語門106一〕〔尭・言語門96五〕〔両・言語門118四〕
とあって、弘治二年本が標記語「列」の語は「連・聯」と同列表記で収載し、他本は標記語冠頭字「連」の同語異表記として「列」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
連(ツラナル) 。聯(同) 。列(同) 。〔言語門106四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「列」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「列」の語を収載し、語注記は未記載にする。
前後ノ之隨兵(スイビヤウ)番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左右ノ刀帶(タテワキ)列(ツラナ)ル‖前後ノ隨兵ハ物具(ク)結構(ケツコウ)ニ拵(コシ)ラヘタル武者(ムシヤ)ナリ。〔下25ウ四〕
左右(さゆう)の帶刀(たてわき)二行(にぎやう)に列(れつ)し/左右ノ帶刀列シ‖二行ニ|隨兵帶刀前後左右に立並んて御門外より若宮まて打つゝき非常のいましめとす。きわめて嚴重乃さまをいえるなり。〔71オ五〜六〕
とあって、この標記語「列」の語を収載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|。〔93ウ五〜94ウ二〕
Tcuranari,u,atta.ツラナリ,ル,ッタ(連・列なり,る,つた) 物がひとつらなりになる,あるいは,順序に並ぶ.例,Zani tcuranaru.(座に列なる)順序に従って座敷(Zaxiqui)に坐る.§Ichimonni tcuranaru fito.(一門に連なる人)ある一族と親族関係にある人,あるいは,その血統,血族に属する人.〔邦訳634r〕
つら-な・るル・レ・ラ・リ・レ〔自動、四〕【連・列・陳】〔列成(つらな)るの義〕一列にそろふ。ならびつづく。列をなす。新葉集、二、春・下「住の江の、松もさかゆく、色見えて、連なる枝に、かかる藤枝」新千載集、十七、雜・中「軒ちかき、竹のそのふの、世世の風、つらなる枝に、吹きぞつたへむ」拾遺員外、上「君が代に、「よろづ代めぐれ、をとめごが、つらなる庭の、いざよひの月」〔1336-1〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈従之〔至徳三年本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈從之〔宝徳三年本〕
自門外前後隨兵番上下左右之太刀帯列二行御帯刀役人御調度懸之人相並弓手妻手扈從之〔建部傳内本〕
自リ‖門-外|者前-後ノ隨-兵番ヒ‖上-下ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列リ‖二-行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役-人御調度懸ノ人相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コせウ)ス之ヲ|〔山田俊雄藏本〕
自リ‖門外|者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ‖二行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相‖-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈‖-從(コジウ)ス之ニ|〔経覺筆本〕
自ハ‖門-外|者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)‖上-下左-右ニ|太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)‖二-行(カウ)ニ|御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)‖-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈從(コシヨウ)ス∨之ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「二行」の語は未収載であり、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「二行」の語を収載し、語注記は未記載にする。
二行ニ|トハ二タ并ニ行事也。是ハ小太刀ヲウチツケ/\帶キ裏打ニテ御供せラルヽナリ。小番(ハン)ノ衆ナリ。〔下25ウ四〕
左右(さゆう)の帶刀(たてわき)二行(にぎやう)に列(れつ)し/左右ノ帶刀列シ‖二行ニ|隨兵帶刀前後左右に立並んて御門外より若宮まて打つゝき非常のいましめとす。きわめて嚴重乃さまをいえるなり。〔71オ五〜六〕
とあって、この標記語「二行」の語を収載し、語注記は、「隨兵帶刀前後左右に立並んで御門外より若宮まで打つづき非常のいましめとす。きわめて嚴重のさまをいえるなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。〔52オ六〜52ウ二〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|。〔93ウ五〜94ウ二〕
Nigo<.ニガゥ(二行) すなわち,Sayu<.(左右)両方の側,すなわち,右側と左側と.§Nigo<ni tcuranaru.(二行に列なる)両側に列をなして,または,順序に従って坐る.文書語.〔邦訳464r〕
帶(ハク) 太刀。〔元亀二年本35十〕〔静嘉堂本38三〕〔天正十七年本上19ウ八〕〔西來寺本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈従之〔至徳三年本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈從之〔宝徳三年本〕
自門外前後隨兵番上下左右之太刀帯列二行御帯刀役人御調度懸之人相並弓手妻手扈從之〔建部傳内本〕
自リ‖門-外|者前-後ノ隨-兵番ヒ‖上-下ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列リ‖二-行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役-人御調度懸ノ人相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コせウ)ス之ヲ|〔山田俊雄藏本〕
自リ‖門外|者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ‖二行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相‖-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈‖-從(コジウ)ス之ニ|〔経覺筆本〕
自ハ‖門-外|者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)‖上-下左-右ニ|太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)‖二-行(カウ)ニ|御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)‖-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈從(コシヨウ)ス∨之ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
帶(ハク/テイ・ヲビ)[去] ―二太刀ヲ一又要(ハク)。〔態藝門84四〕
帶(ハク) ―レ皮。―二太刀ヲ一/―レ靴。〔弘・言語進退門22八〕
帶(ハク) ―レ釼。沓。〔永・言語門24二〕
帶(ハク) ―釼/沓。〔尭・言語門21四〕
帶(ハク) ―レ剣/―レ沓。〔両・言語門25五〕
とあって、標記語「帶」の語を収載し、弘治二年本が語注記に「皮を帯く。太刀を帯く。靴を帯く」と記載し、他本は「釼を帯く。沓(を帯く)」と記載する。また、易林本『節用集』には、
帶(ハク) 太刀。〔言語門24三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「帶」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「帶」の語を収載し、語注記は未記載にする。
前後ノ之隨兵(スイビヤウ)番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左右ノ刀帶(タテワキ)列(ツラナ)ル‖前後ノ隨兵ハ物具(ク)結構(ケツコウ)ニ拵(コシ)ラヘタル武者(ムシヤ)ナリ。〔下25ウ四〕
左右(さゆう)の帶刀(たてわき)二行(にぎやう)に列(れつ)し/左右ノ帶刀列シ‖二行ニ|隨兵帶刀前後左右に立並んて御門外より若宮まて打つゝき非常のいましめとす。きわめて嚴重乃さまをいえるなり。〔71オ五〜六〕
とあって、この標記語「帶刀」の語を収載し、訓みを「たてわき」にして語注記は、「隨兵帶刀前後左右に立並んで御門外より若宮まで打つづき非常のいましめとす。きわめて嚴重のさまをいえるなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|。〔93ウ五〜94ウ二〕
Faqi,u.ハキ,ク(穿・履・佩き,く,いた) 履く.例,Tabiuo faqu.(単皮を穿く)単皮(Tabis)をはく.§Tachiuo faqu.(太刀を佩く)太刀を腰に佩用する.→Cataxigataxi;Guegue.〔邦訳206r〕
は-く〔他動、四〕【佩・帶】(一){すべて身に着く。腰に着く。帶ぶ。わきばさむ。差す。書言字考節用集、八、言辭門「要、要レ刀也(出二文選一)、佩、帶、著(著レ沓)履(同上)、ハク」~代紀、上22「臂著(ハキ)二稜威之高鞆一」應~即位前紀「肖下皇太后爲二雄装一之負(ハキ)上レ鞆、故稱二其名一、謂二譽田天皇一」垂仁紀、八十八年七月「刀子、云云、自ハ佩(ハケリ)レ之」萬葉集、十一26「劔刀、身に佩そふる、ますらをや、戀ちふものを、しぬびかねてむ」「太刀を佩く」、(二)腰より下部に着く。着せ被ふ。着(き)る。穿着。「袴をはく」脛巾(はばき)をはく」足袋をはく」沓をはく」〔1568-3〕
左右(サイウ) 。〔元亀二年本270十〕
左右(サユウ) 。〔静嘉堂本309三〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈従之〔至徳三年本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈從之〔宝徳三年本〕
自門外前後隨兵番上下左右之太刀帯列二行御帯刀役人御調度懸之人相並弓手妻手扈從之〔建部傳内本〕
自リ‖門-外|者前-後ノ隨-兵番ヒ‖上-下ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列リ‖二-行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役-人御調度懸ノ人相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コせウ)ス之ヲ|〔山田俊雄藏本〕
自リ‖門外|者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ‖二行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相‖-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈‖-從(コジウ)ス之ニ|〔経覺筆本〕
自ハ‖門-外|者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)‖上-下左-右ニ|太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)‖二-行(カウ)ニ|御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)‖-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈從(コシヨウ)ス∨之ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
左右(サウ/ヒダリ、ユウ・ミギリ)[上去・上去] 案内義也。〔態藝門789四〕
左右(サウ) 案内義。〔弘・言語進退門215二〕
左右(サイウ) ―道(タウ)。―礼(ザレ)戯義。―遷(せン)流。〔永・言語門178二〕
左右(サイウ) ―道。―礼戯義。―?流。〔尭・言語門167三〕
とあって、弘治二年本には広本『節用集』の語注記を継承していて、他本を含め標記語「左右」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
左傳(サデン) 本也/―道(タウ)。〔言語門181六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「左右」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「左右」の語を収載し、語注記は未記載にする。
前後ノ之隨兵(スイビヤウ)番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左右ノ刀帶(タテワキ)列(ツラナ)ル‖前後ノ隨兵ハ物具(ク)結構(ケツコウ)ニ拵(コシ)ラヘタル武者(ムシヤ)ナリ。〔下25ウ四〕
左右(さゆう)の帶刀(たてわき)二行(にぎやう)に列(れつ)し/左右ノ帶刀列シ‖二行ニ|隨兵帶刀前後左右に立並んて御門外より若宮まて打つゝき非常のいましめとす。きわめて嚴重乃さまをいえるなり。〔71オ五〜六〕
とあって、この標記語「左右」の語を収載し、語注記は、「隨兵帶刀前後左右に立並んで御門外より若宮まで打つづき非常のいましめとす。きわめて嚴重のさまをいえるなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|。〔93ウ五〜94ウ二〕
Sayu<.サイウ(左右) So<(左右)に同じ.Fidari,migui.(左,右)左の方と右の方と.〔邦訳566r〕
さ-いう〔名〕【左右】(一)ひだりと、みぎと。左右(サウ)。孟子、梁惠王、下篇「王顧二左右一而言レ他」(二)左右に居る者。近侍の臣。孟子、梁惠王、下篇「左右皆曰レ賢、未レ可也、諸大夫皆曰レ賢、未レ可也、國人皆曰レ賢、然後察レ之」集註、「左右、近臣」鄒陽、獄中上梁王書「秦信二左右一而亡」(三)年齢の、其前後にあること。あとさき。おっつかっつ。左傳、僖公四年、杜注「六十左右時、子在二十歳一」(四)かにかくにの條を見よ。〔0753-5〕
隨兵(ヒヤウ) 。〔元亀二年本359三〕
隨兵 。〔静嘉堂本437二〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈従之〔至徳三年本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈從之〔宝徳三年本〕
自門外前後隨兵番上下左右之太刀帯列二行御帯刀役人御調度懸之人相並弓手妻手扈從之〔建部傳内本〕
自リ‖門-外|者前-後ノ隨-兵番ヒ‖上-下ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列リ‖二-行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役-人御調度懸ノ人相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コせウ)ス之ヲ|〔山田俊雄藏本〕
自リ‖門外|者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ‖二行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相‖-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈‖-從(コジウ)ス之ニ|〔経覺筆本〕
自ハ‖門-外|者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)‖上-下左-右ニ|太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)‖二-行(カウ)ニ|御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)‖-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈從(コシヨウ)ス∨之ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
隨兵(ズイヒヤウ) 。〔人倫門40三〕
隨兵(ズイビヤウ/シタガウ、ヘイ・ツワモノ)[平・平] 。〔態藝門1127三〕
隨兵(ズイビヤウ) 。〔弘・人倫門268六〕
隨 ―兵(ビヤウ)/―人(ジン)。〔永・人倫門230一〕
隨兵(ズイビヤウ) ―人。〔尭・人倫門216一〕
とあって、『下學集』と同じく人倫門に標記語「隨兵」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
隨身(ズイジン) ―兵(ヒヤウ)。〔官位門238五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「隨兵」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「隨兵」の語を収載し、語注記は未記載にする。
前後ノ之隨兵(スイビヤウ)番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左右ノ刀帶(タテワキ)列(ツラナ)ル‖前後ノ隨兵ハ物具(ク)結構(ケツコウ)ニ拵(コシ)ラヘタル武者(ムシヤ)ナリ。〔下25ウ四〕
前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ/前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|隨兵とハ御供に隨ふ武士をいふ也。〔71オ四〜五〕
とあって、この標記語「隨兵」の語を収載し、語注記は、「隨兵とは、御供に隨ふ武士をいふなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|▲隨兵帶刀いつれも御供(とも)に随(したか)ふ武士(ぶし)也。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|▲隨兵帶刀いづれも御供(とも)に随(したが)ふ武士(ぶし)なり。〔93ウ五〜94ウ二〕
Zuibio<.ズイビャゥ(随兵) 主君が引率している兵士や軍勢.〔邦訳844r〕
ずゐ-ひゃう〔名〕【隨兵】(一)供に連るる兵士(つはもの)。從兵。(二)將軍出行の時、前後を警衞する兵士。庭訓往來、八月「前後隨兵、番二上下一、左右帶刀、列二二行一」〔1074-2〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈従之〔至徳三年本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈從之〔宝徳三年本〕
自門外前後隨兵番上下左右之太刀帯列二行御帯刀役人御調度懸之人相並弓手妻手扈從之〔建部傳内本〕
自リ‖門-外|者前-後ノ隨-兵番ヒ‖上-下ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列リ‖二-行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役-人御調度懸ノ人相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コせウ)ス之ヲ|〔山田俊雄藏本〕
自リ‖門外|者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ‖二行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相‖-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈‖-從(コジウ)ス之ニ|〔経覺筆本〕
自ハ‖門-外|者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)‖上-下左-右ニ|太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)‖二-行(カウ)ニ|御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)‖-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈從(コシヨウ)ス∨之ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
前後(せンコ/マヱ、コウ・ノチ)[平・去] 。〔態藝門1088五〕
賢愚(ケング)共(トモ)ニ零落(レイラク)貴賎(キせン)同(ヲナジ)ク埋没(マイホツ)ス東岱(トウタイ)ノ前後(ぜンゴ)ノ魂(コン)北亡(ホクバウ)新舊(シンキユウ)ノ骨(ホネ)白氏文集。〔態藝門609五〕
前後(ゴ) 。〔弘・言語進退門265四〕
前表(ぜンベウ) ―世(ぜ)。―後(ゴ)/―非(ヒ)。―代(ダイ)未聞(ミモン)。〔永・言語門226七〕
前表(センベウ) ―世。―後。―非/―代未聞。〔尭・言語門213五〕
とあって、弘治二年本が標記語「前後」の語を収載し、他本は標記語「前表」の冠頭字「前」の熟語群として「前後」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
前後(ぜンゴ) ―住(チウ)。―世(ぜ)。―業(ゴウ)。―代(ダイ)未聞(ミモン)。―宵(せウ)。〔言語門235六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「前後」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「前後」の語を収載し、語注記は未記載にする。
前後ノ之隨兵(スイビヤウ)番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左右ノ刀帶(タテワキ)列(ツラナ)ル‖前後ノ隨兵ハ物具(ク)結構(ケツコウ)ニ拵(コシ)ラヘタル武者(ムシヤ)ナリ。〔下25ウ四〕
前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ/前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|隨兵とハ御供に隨ふ武士をいふ也。〔71オ四〜五〕
とあって、この標記語「前後」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|。〔93ウ五〜94ウ二〕
Iengo.ゼンゴ(前後) Maye,vxiro.(前,後)すなわち,Ato saqi.(あとさき)正面と背後と,または,時間的に前と後と.§Iengo sayu<ni banuo voqu.(前後左右に番を置く)あらゆる方向に番人を置く.§Iengo sayu<ni banuo voqu.(前後左右に番を置く)あらゆる方向に番人を置く.§Iengouo bo<zuru.(前後を忘ずる)すなわち,Atosaqiuo vasururu.(あとさきを忘るる) 何もかもわけがわからなくなる.§Ienguuo voboyezu,l,xiranu.(前後を覚えず,または,知らぬ)同上.→Arasoi,o>;Vaqimaye,uru;Xiri,ru.〔邦訳357l〕
ぜん-ご〔名〕【前後】まへと、うしろと。さきと、のちと。あとさき。先後。老子、第二章「前後相隨」左傳、隠公九年「衷二戒師一、前後撃レ之」宇津保物語、藏開、中17「酒を強ひて賜び侍りつるに、前後も知らでなん」〔1122-2〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈従之〔至徳三年本〕
自門外者前後隨兵番上下左右刀帶列二行御帶刀役人御調度懸人相並弓手妻手扈從之〔宝徳三年本〕
自門外前後隨兵番上下左右之太刀帯列二行御帯刀役人御調度懸之人相並弓手妻手扈從之〔建部傳内本〕
自リ‖門-外|者前-後ノ隨-兵番ヒ‖上-下ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列リ‖二-行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役-人御調度懸ノ人相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從(コせウ)ス之ヲ|〔山田俊雄藏本〕
自リ‖門外|者、前後ノ隨兵番(ツガ)ヒ‖上下ニ|左-右之太刀帯(ハカせ)列(ツラ)ナリ‖二行ニ|御帶刀(ハカせ)ノ役人・御調度(チウツ)懸ノ男相‖-並(ナラン)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈‖-從(コジウ)ス之ニ|〔経覺筆本〕
自ハ‖門-外|者前-後ノ之隨(スイ)-兵番(ツカイ)‖上-下左-右ニ|太刀(タチ)帶(ハキ)列(ツラナル)‖二-行(カウ)ニ|御帶刀(ハカせ){御博士(ハカせ)ノ}ノ役(ヤク)-人(ニン)御調(テウ)-度(ト)懸(カケ)ノ人相(アヒ)‖-並(ナラヒ)テ弓手(ユンテ)妻手(メテ)ニ|扈從(コシヨウ)ス∨之ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
門外(モングワイ/カド、ホカ)[平・去] 。〔態藝門1071八〕
門前(モンぜン/カド、マヱ)[平・平] 。〔態藝門1071八〕
門流(モンリウ) ―派(ハ)。―外(グワイ)。―前(ぜン)。―葉(ヨフ)。/閉(トツ)二―戸(コ)ヲ。―下生(カせイ)。―内(ナイ)。〔言語門230七〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』及び易林本『節用集』に「門外」「門前」の両語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』に見えている語となっている。また、『下學集』、『運歩色葉集』そして印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』にはこの両語とも未収載としている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「門前」の語を収載し、語注記は未記載にする。ここで、「門外」から「門前」に置換されたのかが問われるのである。なぜ、真字本『庭訓往来註』だけがこうした異なりをしているのか考えておく必要があろう。因みに、天理図書館藏『庭訓徃來註』・東大図書館蔵『庭訓往来古註』も同じく「門前」と表記するものである。そして、東洋文庫蔵『庭訓之抄』は、「門前(クワイ)」と表記は上記古注と同じであるが、訓みを「(モン)グワイ」と記す。次に静嘉堂文庫蔵『庭訓往来抄』・国会図書館藏『左貫注庭訓』は、古写本同様「門外」と表記している。諸本間にあって崩し字の「外」と「前」の読み取りの過程が茲に反映されていることになる。
用ヒ‖新調(シンテウ)之美麗(ビレイ)ヲ|。自リハ‖門外|者トハ今度ヲハレト出立ナリ。〔下25ウ三〕
門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)/自リハ‖門外|者御所の門外より若宮迄の路傍の事をいふなり。〔70ウ八〜71オ一〕
とあって、この標記語「門外」の語を収載し、語注記は、「御所の門外より若宮迄の路傍の事をいふなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|。〔93ウ五〜94ウ二〕
Monguai.モングヮィ(門外) Cadono foca.(門の外)門,あるいは,玄関の外.→Saxitcudoi,o>.〔邦訳419r〕
Monjen.モンゼン(門前) Cadono maye.(門の前)門の前.§また,寺(tera),すなわち,寺院の門外にある家々.§Monje~ni ichiuo nasu.(門前に市を成す)門のあたりに大勢の人々が集まり,大にぎわいをし,騒ぎたてる.〔邦訳420l〕
もん-ぐゎい〔名〕【門外】(一)もんのそと。禮記、昏義篇「主人筵二几於廟一、而拝迎二門外一」(二)物事の範圍外。專門以外。〔2017-2〕
もん-ぜん〔名〕【門前】(一)門(かど)の前(まへ)。杜甫、秦州雜詩「車馬何簫索、門前百草長」門前市を成すとは、出入するもの甚だ多くして、賑はふ意。盛衰記、三十九、頼朝重衡對面事「兵衛左と三位中將と對面あるべきの由披露あり、大名小名門前成レ市」戰國策、齊策「羣臣進諫、門庭若レ市」門前雀羅を張るとは、訪ふ人なく、門前に雀を捕ふる羅(あみ)を張り得るほどさびしとの意。(雀羅(じやくら)の條、參見せよ) 夫木抄、三十二、門「ひきかへて、すすみ(めぃ)のあみを、かけてけり、こや市を成す、門とみえけり」〔2018-1〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳(ヒ)武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔至徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節銘金銀凡迄(至)于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陣武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔宝徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳之武士警固勇士甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代重寳用新調之美麗〔建部傳内本〕
家ノ文當-色(シキ)、色々ノ狂-文盡シ‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄(イタルマテ)ニ‖于中間雜-色舎-人牛_飼等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)フ∨色ヲ。就∨中後-陣ノ武-士警-固ノ勇-士色_々ノ甲-冑(カツチウ)思ヒ_々ノ鎧_直_垂レ馬_鞍弓_籬着シ‖重-代ノ之重-寳ヲ|用フ‖新調ノ美麗(レイ)ヲ|。〔山田俊雄藏本〕
家文當色之狂文尽シ‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハ)ム‖金銀ヲ|凡至(イタル)マテ‖于中間雜色舎人(トネリ)牛_飼(カイ)等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)ヘ∨色ヲ。就テ∨中ニ後陣ノ武士警固ノ勇士色々ノ甲冑(カツチウ)思々(オモイオモイ)ノ鎧イ直垂レ馬鞍弓_籬(エビラ)着シ‖重代之重宝ヲ|用イ‖新調(シンテウ)之美麗(ヒレイ)ヲ|。〔経覺筆本〕
家(イヱ)ノ文(モン)當(タウ)-色(シヨク)シキ、色々(イロ/\)ノ狂(ヒヤウ)-文(モン)盡(ツクシ)‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハメ)(チリハム)タリ ‖金-銀ヲ|凡ソ{至(イタル)}迄(イタル)‖于(マテ)中間雜-色舎(ト)-人(ネリ)牛(ウシ)_飼(カイ)等ニ|折(ヲリ)∨花ヲ交(マシユ)∨色ヲ。就∨中後(ゴ)-陣(チン)ノ武(フ)-士(シ)警(ケイ)-固(コ)ノ勇(ヨウ)-士(シ)、色_々ノ甲(カツ)-冑(チウ)思_々ノ鎧_直(ヒタ)_垂(タレ)馬_鞍弓_箙(ヤナクイ)ヲ着(チヤク)シ∨重-代ノ之重-寳ヲ|用ユ∨新調之美麗(ビレイ)ヲ|。〔文明四年本〕色(イロ)。鏤(チリハム)。至(イタルマテ)。後陣(チン)。警固(ケイゴ)。勇子(ユウシ)。重寳(テウホウ)。麗(レイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
美麗(ヨ ハウ) 同(人倫分)/ヒレイ。〔黒川本・疉字門下93ウ一〕
美麗 〃服。〃膳。〃女。〃物。〃菜。〃人。〃材。〃景。〃悪。〃食。〔卷第十・疉字門364一〕
美麗(ビレイ/カホヨシ、ウルワシ・ウツクシ)[上・平] 容顔――。〔態藝門1040三〕
容顔美麗(ヨウガンビレイ/カタチ、カホ、イツクシ、ウルワシ)[平・平・上・去] 。〔態藝門318五〕
美麗(ヒレイ) 。〔弘・言語進退門257一〕
美相 ―麗(レイ)。―敷/―好。〔永・言語門218四〕
美相 ―麗。―敷/―好。〔尭・言語門203六〕
とあって、弘治二年本が標記語「美麗」の語を収載し、他本は標記語「美相」の冠頭字「美」の熟語群として「美麗」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
美談(ビダン) ―麗(レイ)。―景(ケイ)/――(ビヾ)敷(シク)。―名(メイ)。〔言語門190五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「美麗」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「美麗」の語を収載し、語注記は未記載にする。
用ヒ‖新調(シンテウ)之美麗(ビレイ)ヲ|。自リハ‖門外|者トハ今度ヲハレト出立ナリ。〔下25ウ三〕
新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ゆ/用ユ‖新調之美麗ヲ|新調ハ今新敷(あたらしく)作りたるを云。美麗ハ見事成事也。此二句あるひハ古物(こぶつ)の得かたきを用ひあるひハ新作(しんさく)のはなやかなるを用ひておの/\派手(はで)を尽(つくす)をいふ也。〔71オ二〜三〕
とあって、この標記語「美麗」の語を収載し、語注記は、「美麗は、見事成る事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。〔52オ六〜52ウ一〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|。〔93ウ五〜94オ二〕
Birei.ビレイ(美麗) Vtcucuxu> vruuaxij.(美しう麗しい)美しさ,きれいさ.〔邦訳57r〕
び-れい〔名〕【美麗】うるはしきこと。きれい。戰國策、齋策「城北徐公、齋國之美麗者也」漢書、薫賢傳「賢傳レ漏在二殿下一、爲レ人美麗自喜、哀帝望見、説二其儀貌一」述異記(梁、任ム)「武都丈夫、化爲二女子一顔色美麗、蓋山之精也」〔1713-4〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳(ヒ)武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔至徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節銘金銀凡迄(至)于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陣武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔宝徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳之武士警固勇士甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代重寳用新調之美麗〔建部傳内本〕
家ノ文當-色(シキ)、色々ノ狂-文盡シ‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄(イタルマテ)ニ‖于中間雜-色舎-人牛_飼等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)フ∨色ヲ。就∨中後-陣ノ武-士警-固ノ勇-士色_々ノ甲-冑(カツチウ)思ヒ_々ノ鎧_直_垂レ馬_鞍弓_籬着シ‖重-代ノ之重-寳ヲ|用フ‖新調ノ美麗(レイ)ヲ|。〔山田俊雄藏本〕
家文當色之狂文尽シ‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハ)ム‖金銀ヲ|凡至(イタル)マテ‖于中間雜色舎人(トネリ)牛_飼(カイ)等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)ヘ∨色ヲ。就テ∨中ニ後陣ノ武士警固ノ勇士色々ノ甲冑(カツチウ)思々(オモイオモイ)ノ鎧イ直垂レ馬鞍弓_籬(エビラ)着シ‖重代之重宝ヲ|用イ‖新調(シンテウ)之美麗(ヒレイ)ヲ|。〔経覺筆本〕
家(イヱ)ノ文(モン)當(タウ)-色(シヨク)シキ、色々(イロ/\)ノ狂(ヒヤウ)-文(モン)盡(ツクシ)‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハメ)(チリハム)タリ ‖金-銀ヲ|凡ソ{至(イタル)}迄(イタル)‖于(マテ)中間雜-色舎(ト)-人(ネリ)牛(ウシ)_飼(カイ)等ニ|折(ヲリ)∨花ヲ交(マシユ)∨色ヲ。就∨中後(ゴ)-陣(チン)ノ武(フ)-士(シ)警(ケイ)-固(コ)ノ勇(ヨウ)-士(シ)、色_々ノ甲(カツ)-冑(チウ)思_々ノ鎧_直(ヒタ)_垂(タレ)馬_鞍弓_箙(ヤナクイ)ヲ着(チヤク)シ∨重-代ノ之重-寳ヲ|用ユ∨新調之美麗(ビレイ)ヲ|。〔文明四年本〕色(イロ)。鏤(チリハム)。至(イタルマテ)。後陣(チン)。警固(ケイゴ)。勇子(ユウシ)。重寳(テウホウ)。麗(レイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「新調」の語は未収載であり、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「新調」の語を収載し、語注記は未記載にする。
用ヒ‖新調(シンテウ)之美麗(ビレイ)ヲ|。自リハ‖門外|者トハ今度ヲハレト出立ナリ。〔下25ウ三〕
新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ゆ/用ユ‖新調之美麗ヲ|新調ハ今新敷(あたらしく)作りたるを云。美麗ハ見事成事也。此二句あるひハ古物(こぶつ)の得かたきを用ひあるひハ新作(しんさく)のはなやかなるを用ひておの/\派手(はで)を尽(つくす)をいふ也。〔71オ二〜三〕
とあって、この標記語「新調」の語を収載し、語注記は、「新調は、今新敷(あたらしく)作りたるを云ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。▲新調ハ今流行の製作(せいさく)也。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|▲新調ハ今流行(りうかう)の製作(せいさく)也。〔93ウ五〜94ウ二〕
しん-てう〔名〕【新調】(一)あらたに、調(ととの)ふること。新規に、作ること。「新調の洋服」(二)あたらしき調子。新曲。〔0948-4〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳(ヒ)武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔至徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節銘金銀凡迄(至)于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陣武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔宝徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳之武士警固勇士甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代重寳用新調之美麗〔建部傳内本〕
家ノ文當-色(シキ)、色々ノ狂-文盡シ‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄(イタルマテ)ニ‖于中間雜-色舎-人牛_飼等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)フ∨色ヲ。就∨中後-陣ノ武-士警-固ノ勇-士色_々ノ甲-冑(カツチウ)思ヒ_々ノ鎧_直_垂レ馬_鞍弓_籬着シ‖重-代ノ之重-寳ヲ|用フ‖新調ノ美麗(レイ)ヲ|。〔山田俊雄藏本〕
家文當色之狂文尽シ‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハ)ム‖金銀ヲ|凡至(イタル)マテ‖于中間雜色舎人(トネリ)牛_飼(カイ)等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)ヘ∨色ヲ。就テ∨中ニ後陣ノ武士警固ノ勇士色々ノ甲冑(カツチウ)思々(オモイオモイ)ノ鎧イ直垂レ馬鞍弓_籬(エビラ)着シ‖重代之重宝ヲ|用イ‖新調(シンテウ)之美麗(ヒレイ)ヲ|。〔経覺筆本〕
家(イヱ)ノ文(モン)當(タウ)-色(シヨク)シキ、色々(イロ/\)ノ狂(ヒヤウ)-文(モン)盡(ツクシ)‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハメ)(チリハム)タリ ‖金-銀ヲ|凡ソ{至(イタル)}迄(イタル)‖于(マテ)中間雜-色舎(ト)-人(ネリ)牛(ウシ)_飼(カイ)等ニ|折(ヲリ)∨花ヲ交(マシユ)∨色ヲ。就∨中後(ゴ)-陣(チン)ノ武(フ)-士(シ)警(ケイ)-固(コ)ノ勇(ヨウ)-士(シ)、色_々ノ甲(カツ)-冑(チウ)思_々ノ鎧_直(ヒタ)_垂(タレ)馬_鞍弓_箙(ヤナクイ)ヲ着(チヤク)シ∨重-代ノ之重-寳ヲ|用ユ∨新調之美麗(ビレイ)ヲ|。〔文明四年本〕色(イロ)。鏤(チリハム)。至(イタルマテ)。後陣(チン)。警固(ケイゴ)。勇子(ユウシ)。重寳(テウホウ)。麗(レイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
重寳(チヨウホウ・ヲモシ/カサナル、タカラ)[平去・上] 太刀劔刀等也。〔器財門162七〕
重寳(ヂウホウ) 。〔弘・言語進退門52八〕 重寳(テウホウ) 。〔弘・言語進退門199三〕
重科(ヂウクワ) ―罪(ザイ)。―識。―疊(チヨウデウ)。―犯(ホン)/―宝(チヨウホウ)。―病(ヒヤウ)。―言(コン)。―恩(ヲン)。―厄(ヤク)。―服(ヂウブク)。―怠(タイ)/―訴(ソ)。―説(せツ)。〔永・言語門53四〕 重祚(テウソ) 天子再即位之也。―寳(ホウ)。―疊(デウ)。〔永・言語門164四〕
重科(ヂウクワ) ―犯。―代。―罪。―識。―疊。―病/―言。―悦。―恩。―厄。―服。―怠/―訴。―宝。――。〔尭・言語門48六〕 重祚(テウソ) 天子再即位ヲ云也/―疊。―宝。〔尭・言語門153六〕
重科(ヂウクワ) ―罪。―犯。―宝。―言/―恩。〔両・言語門57四〕
とあって、弘治二年本が標記語「重寳」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
重寳(テウホウ) 。〔言辞門165七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「重寳」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及びに下記真字本見えている語となっている。ここで、『運歩色葉集』に見えないことが注記される。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「重宝」の語を収載し、語注記は未記載にする。
就ク∨中ン後陳(チン)ノ武士警固(ケイゴ)ノ之勇士(ヨウシ)色々ノ甲冑(カツチウ)思_々ノ鎧(ヨロヒ)_直垂(ヒタタレ)馬鞍(ムマクラ)弓箙(ユミヤナクヒ)着(―)せン‖重-代ノ重寳(ヂウホウ)ヲ|トハ御警固(ケイゴノ)爲ニ武士(ブシ)兵(ツハモノ)トモ後陳(ゴヂン)ニ甲冑(カツチ )ヲ帶(タイ)シ扣ヘタリ。〔下25ウ一〜三〕
重代(ぢうだい)乃重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し/着シ‖重代之重寳|代々持傳へたる武具なとを用るをいふ。〔70ウ八〜71オ一〕
とあって、この標記語「重寳」の語を収載し、語注記は、「代々持傳へたる武具なとを用るをいふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。▲重代之重寳爰(こゝ)にハ代々(よゝ)持傳(もちつた)へたる武具(ふぐ)をいふ。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|▲重寳之重寳爰(こゝ)にハ代々(よゝ)持傳(もちつた)へたる武具(ふぐ)をいふ。〔93ウ五〜94ウ二〕
Cho>fo>.チョウホウ(重宝) Vomoqi tacara.(重き宝)珍重される高価な物.あるいは,役に立つ物.〔邦訳126r〕
ちょう-ほう〔名〕【重寳】(一)ぢゅうはう(重寳)の誤。(二)利用の途のひろきこと。便利なること。(三)珍重とすること。狂言記、粟田口「大名、小名の、何とて足下をば、重寳をなさるるぞ」〔1294-1〕
重代 。〔元亀二年本95八〕〔天正十七年本上20オ一〕〔西來寺本〕
重代 。〔静嘉堂本119二〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳(ヒ)武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔至徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節銘金銀凡迄(至)于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陣武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔宝徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳之武士警固勇士甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代重寳用新調之美麗〔建部傳内本〕
家ノ文當-色(シキ)、色々ノ狂-文盡シ‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄(イタルマテ)ニ‖于中間雜-色舎-人牛_飼等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)フ∨色ヲ。就∨中後-陣ノ武-士警-固ノ勇-士色_々ノ甲-冑(カツチウ)思ヒ_々ノ鎧_直_垂レ馬_鞍弓_籬着シ‖重-代ノ之重-寳ヲ|用フ‖新調ノ美麗(レイ)ヲ|。〔山田俊雄藏本〕
家文當色之狂文尽シ‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハ)ム‖金銀ヲ|凡至(イタル)マテ‖于中間雜色舎人(トネリ)牛_飼(カイ)等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)ヘ∨色ヲ。就テ∨中ニ後陣ノ武士警固ノ勇士色々ノ甲冑(カツチウ)思々(オモイオモイ)ノ鎧イ直垂レ馬鞍弓_籬(エビラ)着シ‖重代之重宝ヲ|用イ‖新調(シンテウ)之美麗(ヒレイ)ヲ|。〔経覺筆本〕
家(イヱ)ノ文(モン)當(タウ)-色(シヨク)シキ、色々(イロ/\)ノ狂(ヒヤウ)-文(モン)盡(ツクシ)‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハメ)(チリハム)タリ ‖金-銀ヲ|凡ソ{至(イタル)}迄(イタル)‖于(マテ)中間雜-色舎(ト)-人(ネリ)牛(ウシ)_飼(カイ)等ニ|折(ヲリ)∨花ヲ交(マシユ)∨色ヲ。就∨中後(ゴ)-陣(チン)ノ武(フ)-士(シ)警(ケイ)-固(コ)ノ勇(ヨウ)-士(シ)、色_々ノ甲(カツ)-冑(チウ)思_々ノ鎧_直(ヒタ)_垂(タレ)馬_鞍弓_箙(ヤナクイ)ヲ着(チヤク)シ∨重-代ノ之重-寳ヲ|用ユ∨新調之美麗(ビレイ)ヲ|。〔文明四年本〕色(イロ)。鏤(チリハム)。至(イタルマテ)。後陣(チン)。警固(ケイゴ)。勇子(ユウシ)。重寳(テウホウ)。麗(レイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
重代 同(家業分)/チウタイ。〔黒川本・疉字門上55ウ七〕
重代(チヨウダイ・ヲモシ/カサナル、カワル・ヨ)[去・去] 。〔態藝門172四〕
重代(ダイ) 。〔弘・言語進退門50七〕
重書(ヂウジヨ) ―代(ダイ)/―箱(ハコ)。〔永・言語門52二〕
重書(チウシヨ) ―代/―箱。〔尭・言語門47六〕〔両・言語門56三〕
重科 ―犯。―代。―罪。―識。―疊。―病。/―言。―悦。―恩。―厄。―服。―怠。/―訴。―宝/――。〔尭・言語門48五〕
とあって、弘治二年本が標記語「重代」の語を収載し、他本は標記語「重書」の冠頭字「重」の熟語群に標記語「重代」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
重代(ヂウタイ) 。〔言語門51五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「重代」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語となっている。また、訓みでは広本『節用集』だけが「チョウダイ」を記載している。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「重代」の語を収載し、語注記は未記載にする。
就ク∨中ン後陳(チン)ノ武士警固(ケイゴ)ノ之勇士(ヨウシ)色々ノ甲冑(カツチウ)思_々ノ鎧(ヨロヒ)_直垂(ヒタタレ)馬鞍(ムマクラ)弓箙(ユミヤナクヒ)着(―)せン‖重-代ノ重寳(ヂウホウ)ヲ|トハ御警固(ケイゴノ)爲ニ武士(ブシ)兵(ツハモノ)トモ後陳(ゴヂン)ニ甲冑(カツチ )ヲ帶(タイ)シ扣ヘタリ。〔下25ウ一〜三〕
重代(ぢうだい)乃重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し/着シ‖重代之重寳|代々持傳へたる武具なとを用るをいふ。〔70ウ八〜71オ一〕
とあって、この標記語「重代」の語を収載し、語注記は、「代々持傳へたる武具なとを用るをいふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。▲重代之重寳爰(こゝ)にハ代々(よゝ)持傳(もちつた)へたる武具(ふぐ)をいふ。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|▲重代之重寳爰(こゝ)にハ代々(よゝ)持傳(もちつた)へたる武具(ふぐ)をいふ。〔93ウ五〜94ウ二〕
Giu<dai.ヂュウダイ(重代) Casanuru yo.(重ぬる代)多くの代〔代々〕.例,Giu<daino fiquan.(重代の被官)何代にもわたる昔からの家臣.→Giu<mot;MochitCitaye,uru.〔邦訳320l〕
ぢゆう-だい〔名〕【重代】先祖より代代傳へたること。世世。傳家。謝莊奏「重代列聖、成由厥道」参考盛衰記、劔卷「別當は重代すべき者なり」塩尻(天野信景)下「古へより源平の武將に屬し、王の師を勤め、勲功の名を立てしものの子孫にして、民家に落ちず、武業を傳へて家譜を失はぬ家を、重代の武士と云ふ、又、譜第とも稱す」浄瑠璃物語、そとの管絃「源氏重代の黄金造の古年刀(コンネンタウ)」重代の厚恩」重代の太刀」〔1290-5〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳(ヒ)武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔至徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節銘金銀凡迄(至)于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陣武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔宝徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳之武士警固勇士甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代重寳用新調之美麗〔建部傳内本〕
家ノ文當-色(シキ)、色々ノ狂-文盡シ‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄(イタルマテ)ニ‖于中間雜-色舎-人牛_飼等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)フ∨色ヲ。就∨中後-陣ノ武-士警-固ノ勇-士色_々ノ甲-冑(カツチウ)思ヒ_々ノ鎧_直_垂レ馬_鞍弓_籬着シ‖重-代ノ之重-寳ヲ|用フ‖新調ノ美麗(レイ)ヲ|。〔山田俊雄藏本〕
家文當色之狂文尽シ‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハ)ム‖金銀ヲ|凡至(イタル)マテ‖于中間雜色舎人(トネリ)牛_飼(カイ)等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)ヘ∨色ヲ。就テ∨中ニ後陣ノ武士警固ノ勇士色々ノ甲冑(カツチウ)思々(オモイオモイ)ノ鎧イ直垂レ馬鞍弓_籬(エビラ)着シ‖重代之重宝ヲ|用イ‖新調(シンテウ)之美麗(ヒレイ)ヲ|。〔経覺筆本〕
家(イヱ)ノ文(モン)當(タウ)-色(シヨク)シキ、色々(イロ/\)ノ狂(ヒヤウ)-文(モン)盡(ツクシ)‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハメ)(チリハム)タリ ‖金-銀ヲ|凡ソ{至(イタル)}迄(イタル)‖于(マテ)中間雜-色舎(ト)-人(ネリ)牛(ウシ)_飼(カイ)等ニ|折(ヲリ)∨花ヲ交(マシユ)∨色ヲ。就∨中後(ゴ)-陣(チン)ノ武(フ)-士(シ)警(ケイ)-固(コ)ノ勇(ヨウ)-士(シ)、色_々ノ甲(カツ)-冑(チウ)思_々ノ鎧_直(ヒタ)_垂(タレ)馬_鞍弓_箙(ヤナクイ)ヲ着(チヤク)シ∨重-代ノ之重-寳ヲ|用ユ∨新調之美麗(ビレイ)ヲ|。〔文明四年本〕色(イロ)。鏤(チリハム)。至(イタルマテ)。後陣(チン)。警固(ケイゴ)。勇子(ユウシ)。重寳(テウホウ)。麗(レイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「着」の語は未収載であり、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語となっている。また、下記『日葡辞書』には見えている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「着」の語を収載し、語注記は未記載にする。
就ク∨中ン後陳(チン)ノ武士警固(ケイゴ)ノ之勇士(ヨウシ)色々ノ甲冑(カツチウ)思_々ノ鎧(ヨロヒ)_直垂(ヒタタレ)馬鞍(ムマクラ)弓箙(ユミヤナクヒ)着(―)せン‖重-代ノ重寳(ヂウホウ)ヲ|トハ御警固(ケイゴノ)爲ニ武士(ブシ)兵(ツハモノ)トモ後陳(ゴヂン)ニ甲冑(カツチ )ヲ帶(タイ)シ扣ヘタリ。〔下25ウ一〜三〕
重代(ぢうだい)乃重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し/着シ‖重代之重寳|代々持傳へたる武具なとを用るをいふ。〔70ウ八〜71オ一〕
とあって、この標記語「着」の語を収載し、語注記は、「代々持傳へたる武具なとを用るをいふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|〔93ウ五〜94ウ二〕
Chacuxi,suru,xita.チャクシ,スル,シタ(着し,する,した) qiru.(着る)に同じ.衣服を着る.〔邦訳117r〕
ちゃく・すスル・スレ・セ・シ・セヨ〔他動、左變〕【着】つく。きる。着用す。穿衣。豹文記(永禄)縫物の小袖の事「男は人に因りて、十四五まで着し候」「衣服を着す」〔1284-2〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳(ヒ)武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔至徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節銘金銀凡迄(至)于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陣武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔宝徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳之武士警固勇士甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代重寳用新調之美麗〔建部傳内本〕
家ノ文當-色(シキ)、色々ノ狂-文盡シ‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄(イタルマテ)ニ‖于中間雜-色舎-人牛_飼等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)フ∨色ヲ。就∨中後-陣ノ武-士警-固ノ勇-士色_々ノ甲-冑(カツチウ)思ヒ_々ノ鎧_直_垂レ馬_鞍弓_籬着シ‖重-代ノ之重-寳ヲ|用フ‖新調ノ美麗(レイ)ヲ|。〔山田俊雄藏本〕
家文當色之狂文尽シ‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハ)ム‖金銀ヲ|凡至(イタル)マテ‖于中間雜色舎人(トネリ)牛_飼(カイ)等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)ヘ∨色ヲ。就テ∨中ニ後陣ノ武士警固ノ勇士色々ノ甲冑(カツチウ)思々(オモイオモイ)ノ鎧イ直垂レ馬鞍弓_籬(エビラ)着シ‖重代之重宝ヲ|用イ‖新調(シンテウ)之美麗(ヒレイ)ヲ|。〔経覺筆本〕
家(イヱ)ノ文(モン)當(タウ)-色(シヨク)シキ、色々(イロ/\)ノ狂(ヒヤウ)-文(モン)盡(ツクシ)‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハメ)(チリハム)タリ ‖金-銀ヲ|凡ソ{至(イタル)}迄(イタル)‖于(マテ)中間雜-色舎(ト)-人(ネリ)牛(ウシ)_飼(カイ)等ニ|折(ヲリ)∨花ヲ交(マシユ)∨色ヲ。就∨中後(ゴ)-陣(チン)ノ武(フ)-士(シ)警(ケイ)-固(コ)ノ勇(ヨウ)-士(シ)、色_々ノ甲(カツ)-冑(チウ)思_々ノ鎧_直(ヒタ)_垂(タレ)馬_鞍弓_箙(ヤナクイ)ヲ着(チヤク)シ∨重-代ノ之重-寳ヲ|用ユ∨新調之美麗(ビレイ)ヲ|。〔文明四年本〕色(イロ)。鏤(チリハム)。至(イタルマテ)。後陣(チン)。警固(ケイゴ)。勇子(ユウシ)。重寳(テウホウ)。麗(レイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「弓箙」の語は未収載であり、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語となっている。
さて、真字本『庭訓往来註』八月十三日の状には、
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「弓禝」の語を収載し、語注記は未記載にする。
就ク∨中ン後陳(チン)ノ武士警固(ケイゴ)ノ之勇士(ヨウシ)色々ノ甲冑(カツチウ)思_々ノ鎧(ヨロヒ)_直垂(ヒタタレ)馬鞍(ムマクラ)弓箙(ユミヤナクヒ)着(―)せン‖重-代ノ重寳(ヂウホウ)ヲ|トハ御警固(ケイゴノ)爲ニ武士(ブシ)兵(ツハモノ)トモ後陳(ゴヂン)ニ甲冑(カツチ )ヲ帶(タイ)シ扣ヘタリ。〔下25ウ一〜三〕
思々(おもひ/\)の鎧(よろい)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆミ)箙(やなくい)/思_々ノ鎧直垂馬鞍弓箙注皆前に見へたり。〔70ウ八〜71オ一〕
とあって、この標記語「弓箙」の語を収載し、語注記は、「注皆前に見へたり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|▲馬鞍弓箙ハ六月の返状に見ゆ。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|▲馬鞍弓箙ハ六月の返状にミゆ。〔93ウ五〜94ウ一〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳(ヒ)武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔至徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節銘金銀凡迄(至)于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陣武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔宝徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳之武士警固勇士甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代重寳用新調之美麗〔建部傳内本〕
家ノ文當-色(シキ)、色々ノ狂-文盡シ‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄(イタルマテ)ニ‖于中間雜-色舎-人牛_飼等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)フ∨色ヲ。就∨中後-陣ノ武-士警-固ノ勇-士色_々ノ甲-冑(カツチウ)思ヒ_々ノ鎧_直_垂レ馬_鞍弓_籬着シ‖重-代ノ之重-寳ヲ|用フ‖新調ノ美麗(レイ)ヲ|。〔山田俊雄藏本〕
家文當色之狂文尽シ‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハ)ム‖金銀ヲ|凡至(イタル)マテ‖于中間雜色舎人(トネリ)牛_飼(カイ)等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)ヘ∨色ヲ。就テ∨中ニ後陣ノ武士警固ノ勇士色々ノ甲冑(カツチウ)思々(オモイオモイ)ノ鎧イ直垂レ馬鞍弓_籬(エビラ)着シ‖重代之重宝ヲ|用イ‖新調(シンテウ)之美麗(ヒレイ)ヲ|。〔経覺筆本〕
家(イヱ)ノ文(モン)當(タウ)-色(シヨク)シキ、色々(イロ/\)ノ狂(ヒヤウ)-文(モン)盡(ツクシ)‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハメ)(チリハム)タリ ‖金-銀ヲ|凡ソ{至(イタル)}迄(イタル)‖于(マテ)中間雜-色舎(ト)-人(ネリ)牛(ウシ)_飼(カイ)等ニ|折(ヲリ)∨花ヲ交(マシユ)∨色ヲ。就∨中後(ゴ)-陣(チン)ノ武(フ)-士(シ)警(ケイ)-固(コ)ノ勇(ヨウ)-士(シ)、色_々ノ甲(カツ)-冑(チウ)思_々ノ鎧_直(ヒタ)_垂(タレ)馬_鞍弓_箙(ヤナクイ)ヲ着(チヤク)シ∨重-代ノ之重-寳ヲ|用ユ∨新調之美麗(ビレイ)ヲ|。〔文明四年本〕色(イロ)。鏤(チリハム)。至(イタルマテ)。後陣(チン)。警固(ケイゴ)。勇子(ユウシ)。重寳(テウホウ)。麗(レイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「馬鞍」の語はすべて未収載であり、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「馬鞍」の語を収載し、語注記は未記載にする。
就ク∨中ン後陳(チン)ノ武士警固(ケイゴ)ノ之勇士(ヨウシ)色々ノ甲冑(カツチウ)思_々ノ鎧(ヨロヒ)_直垂(ヒタタレ)馬鞍(ムマクラ)弓箙(ユミヤナクヒ)着(―)せン‖重-代ノ重寳(ヂウホウ)ヲ|トハ御警固(ケイゴノ)爲ニ武士(ブシ)兵(ツハモノ)トモ後陳(ゴヂン)ニ甲冑(カツチ )ヲ帶(タイ)シ扣ヘタリ。〔下25ウ一〜三〕
思々(おもひ/\)の鎧(よろい)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆミ)箙(やなくい)/思_々ノ鎧直垂馬鞍弓箙注皆前に見へたり。〔70ウ八〜71オ一〕
とあって、この標記語「馬鞍」の語を収載し、語注記は、「注皆前に見へたり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|▲馬鞍弓箙ハ六月の返状に見ゆ。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|▲馬鞍弓箙ハ六月の返状にミゆ。〔93ウ五〜94ウ一〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳(ヒ)武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔至徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節銘金銀凡迄(至)于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陣武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔宝徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳之武士警固勇士甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代重寳用新調之美麗〔建部傳内本〕
家ノ文當-色(シキ)、色々ノ狂-文盡シ‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄(イタルマテ)ニ‖于中間雜-色舎-人牛_飼等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)フ∨色ヲ。就∨中後-陣ノ武-士警-固ノ勇-士色_々ノ甲-冑(カツチウ)思ヒ_々ノ鎧_直_垂レ馬_鞍弓_籬着シ‖重-代ノ之重-寳ヲ|用フ‖新調ノ美麗(レイ)ヲ|。〔山田俊雄藏本〕
家文當色之狂文尽シ‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハ)ム‖金銀ヲ|凡至(イタル)マテ‖于中間雜色舎人(トネリ)牛_飼(カイ)等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)ヘ∨色ヲ。就テ∨中ニ後陣ノ武士警固ノ勇士色々ノ甲冑(カツチウ)思々(オモイオモイ)ノ鎧イ直垂レ馬鞍弓_籬(エビラ)着シ‖重代之重宝ヲ|用イ‖新調(シンテウ)之美麗(ヒレイ)ヲ|。〔経覺筆本〕
家(イヱ)ノ文(モン)當(タウ)-色(シヨク)シキ、色々(イロ/\)ノ狂(ヒヤウ)-文(モン)盡(ツクシ)‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハメ)(チリハム)タリ ‖金-銀ヲ|凡ソ{至(イタル)}迄(イタル)‖于(マテ)中間雜-色舎(ト)-人(ネリ)牛(ウシ)_飼(カイ)等ニ|折(ヲリ)∨花ヲ交(マシユ)∨色ヲ。就∨中後(ゴ)-陣(チン)ノ武(フ)-士(シ)警(ケイ)-固(コ)ノ勇(ヨウ)-士(シ)、色_々ノ甲(カツ)-冑(チウ)思_々ノ鎧_直(ヒタ)_垂(タレ)馬_鞍弓_箙(ヤナクイ)ヲ着(チヤク)シ∨重-代ノ之重-寳ヲ|用ユ∨新調之美麗(ビレイ)ヲ|。〔文明四年本〕色(イロ)。鏤(チリハム)。至(イタルマテ)。後陣(チン)。警固(ケイゴ)。勇子(ユウシ)。重寳(テウホウ)。麗(レイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「鎧直垂」の語は未収載であり、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「鎧直垂」の語を収載し、語注記は未記載にする。
就ク∨中ン後陳(チン)ノ武士警固(ケイゴ)ノ之勇士(ヨウシ)色々ノ甲冑(カツチウ)思_々ノ鎧(ヨロヒ)_直垂(ヒタタレ)馬鞍(ムマクラ)弓箙(ユミヤナクヒ)着(―)せン‖重-代ノ重寳(ヂウホウ)ヲ|トハ御警固(ケイゴノ)爲ニ武士(ブシ)兵(ツハモノ)トモ後陳(ゴヂン)ニ甲冑(カツチ )ヲ帶(タイ)シ扣ヘタリ。〔下25ウ一〜三〕
思々(おもひ/\)の鎧(よろい)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆミ)箙(やなくい)/思_々ノ鎧直垂馬鞍弓箙注皆前に見へたり。〔70ウ八〜71オ一〕
とあって、この標記語「鎧直垂」の語を収載し、語注記は、「注皆前に見へたり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。▲鎧直垂ハいにしへ主将(しゆしやう)の用ゆる所にして鎧(よろひ)の下に着(ちやく)す。其制(せい)長絹(ちやうけん)乃ことく露紐(つゆひも)菊?(きくとち)等あり。地(ち)ハ錦(にしき)裏(うら)ハ朽葉(くちは)薄紅(うすくれない)の板(いた)の物(もの)たるへしとそ。〔52オ六〜52ウ五〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|▲鎧直垂ハいにしへ主将(しゆしやう)の用ゆる所にして鎧(よろひ)の下に着(ちやく)す。其制(せい)長絹(ちやうけん)乃ごとく露紐(つゆひも)菊?(きくとぢ)等あり。地(ち)ハ錦(にしき)裏(うら)ハ朽葉(くちば)薄紅(うすくれなゐ)の板(いた)の物(もの)たるべしとぞ。〔93ウ五〜94ウ一〕
†Yoroibitatare.ヨロヒビタタレ(鎧直垂) 鎧の上に着る一種の外套.※“下”の誤りか.〔邦訳830r〕
よろひ-びたたれ〔名〕【鎧直垂】直垂の一種。尊卑に因りて、色と地とに差あり。錦、生絹(すずし)、練絹、などにて製す。錦なるは、大將の鎧の下に着るもの。袴、短く、裾と袖との端を括緒(くくりを)にて括る。戰袍。源平盛衰記、三十五、巴は都を出ける時は、紺村紅に千鳥の鎧直垂を著たりけるが、云云」〔2102-5〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳(ヒ)武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔至徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節銘金銀凡迄(至)于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陣武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔宝徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳之武士警固勇士甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代重寳用新調之美麗〔建部傳内本〕
家ノ文當-色(シキ)、色々ノ狂-文盡シ‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄(イタルマテ)ニ‖于中間雜-色舎-人牛_飼等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)フ∨色ヲ。就∨中後-陣ノ武-士警-固ノ勇-士色_々ノ甲-冑(カツチウ)思ヒ_々ノ鎧_直_垂レ馬_鞍弓_籬着シ‖重-代ノ之重-寳ヲ|用フ‖新調ノ美麗(レイ)ヲ|。〔山田俊雄藏本〕
家文當色之狂文尽シ‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハ)ム‖金銀ヲ|凡至(イタル)マテ‖于中間雜色舎人(トネリ)牛_飼(カイ)等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)ヘ∨色ヲ。就テ∨中ニ後陣ノ武士警固ノ勇士色々ノ甲冑(カツチウ)思々(オモイオモイ)ノ鎧イ直垂レ馬鞍弓_籬(エビラ)着シ‖重代之重宝ヲ|用イ‖新調(シンテウ)之美麗(ヒレイ)ヲ|。〔経覺筆本〕
家(イヱ)ノ文(モン)當(タウ)-色(シヨク)シキ、色々(イロ/\)ノ狂(ヒヤウ)-文(モン)盡(ツクシ)‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハメ)(チリハム)タリ ‖金-銀ヲ|凡ソ{至(イタル)}迄(イタル)‖于(マテ)中間雜-色舎(ト)-人(ネリ)牛(ウシ)_飼(カイ)等ニ|折(ヲリ)∨花ヲ交(マシユ)∨色ヲ。就∨中後(ゴ)-陣(チン)ノ武(フ)-士(シ)警(ケイ)-固(コ)ノ勇(ヨウ)-士(シ)、色_々ノ甲(カツ)-冑(チウ)思_々ノ鎧_直(ヒタ)_垂(タレ)馬_鞍弓_箙(ヤナクイ)ヲ着(チヤク)シ∨重-代ノ之重-寳ヲ|用ユ∨新調之美麗(ビレイ)ヲ|。〔文明四年本〕色(イロ)。鏤(チリハム)。至(イタルマテ)。後陣(チン)。警固(ケイゴ)。勇子(ユウシ)。重寳(テウホウ)。麗(レイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「思思」の語は未収載であり、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語となっている。ただし、下記に示す『日葡辞書』には収載されている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「思思」の語を収載し、語注記は未記載にする。
就ク∨中ン後陳(チン)ノ武士警固(ケイゴ)ノ之勇士(ヨウシ)色々ノ甲冑(カツチウ)思_々ノ鎧(ヨロヒ)_直垂(ヒタタレ)馬鞍(ムマクラ)弓箙(ユミヤナクヒ)着(―)せン‖重-代ノ重寳(ヂウホウ)ヲ|トハ御警固(ケイゴノ)爲ニ武士(ブシ)兵(ツハモノ)トモ後陳(ゴヂン)ニ甲冑(カツチ )ヲ帶(タイ)シ扣ヘタリ。〔下25ウ一〜三〕
思々(おもひ/\)の鎧(よろい)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆミ)箙(やなくい)/思_々ノ鎧直垂馬鞍弓箙注皆前に見へたり。〔70ウ八〜71オ一〕
とあって、この標記語「思々」の語を収載し、語注記は、「注皆前に見へたり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。〔52オ七〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|。〔93ウ六〕
Vomoivomoi.オモイオモイ(思思) 各人がそれぞれ望むところ,思うところに従って.例,Vomoivomoino idetachi.(思ひ思ひの出で立ち)各人それぞれのやり方と流儀に従った様々な服装.→Casanarifuxi,su.〔邦訳711r〕
おもひ-おもひ-に〔副〕【思思】各、思ふ所、異にて。心心に。てんでんに。宇津保物語、樓上、上1「一條殿の對どもに居給へりし御方方、云云、おもひおもひに渡り給ひにし中に」〔0326-2〕」
甲冑(カツチウ) 。〔元亀二年本95二〕〔静嘉堂本118四〕〔天正十七年本上58オ六〕〔西來寺本〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳(ヒ)武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔至徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節銘金銀凡迄(至)于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陣武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔宝徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳之武士警固勇士甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代重寳用新調之美麗〔建部傳内本〕
家ノ文當-色(シキ)、色々ノ狂-文盡シ‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄(イタルマテ)ニ‖于中間雜-色舎-人牛_飼等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)フ∨色ヲ。就∨中後-陣ノ武-士警-固ノ勇-士色_々ノ甲-冑(カツチウ)思ヒ_々ノ鎧_直_垂レ馬_鞍弓_籬着シ‖重-代ノ之重-寳ヲ|用フ‖新調ノ美麗(レイ)ヲ|。〔山田俊雄藏本〕
家文當色之狂文尽シ‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハ)ム‖金銀ヲ|凡至(イタル)マテ‖于中間雜色舎人(トネリ)牛_飼(カイ)等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)ヘ∨色ヲ。就テ∨中ニ後陣ノ武士警固ノ勇士色々ノ甲冑(カツチウ)思々(オモイオモイ)ノ鎧イ直垂レ馬鞍弓_籬(エビラ)着シ‖重代之重宝ヲ|用イ‖新調(シンテウ)之美麗(ヒレイ)ヲ|。〔経覺筆本〕
家(イヱ)ノ文(モン)當(タウ)-色(シヨク)シキ、色々(イロ/\)ノ狂(ヒヤウ)-文(モン)盡(ツクシ)‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハメ)(チリハム)タリ ‖金-銀ヲ|凡ソ{至(イタル)}迄(イタル)‖于(マテ)中間雜-色舎(ト)-人(ネリ)牛(ウシ)_飼(カイ)等ニ|折(ヲリ)∨花ヲ交(マシユ)∨色ヲ。就∨中後(ゴ)-陣(チン)ノ武(フ)-士(シ)警(ケイ)-固(コ)ノ勇(ヨウ)-士(シ)、色_々ノ甲(カツ)-冑(チウ)思_々ノ鎧_直(ヒタ)_垂(タレ)馬_鞍弓_箙(ヤナクイ)ヲ着(チヤク)シ∨重-代ノ之重-寳ヲ|用ユ∨新調之美麗(ビレイ)ヲ|。〔文明四年本〕色(イロ)。鏤(チリハム)。至(イタルマテ)。後陣(チン)。警固(ケイゴ)。勇子(ユウシ)。重寳(テウホウ)。麗(レイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
甲冑 同(武藝部)/カツチウ。〔黒川本・疉字門上89オ一〕
甲乙 〃弟。〃子。〃兵。〃冑。〃科。〃帳。〃宅。甲斐無。〔卷第三・疉字門87七〕
甲冑(カツチウ)[入・去] 鎧。〔器財門270二〕
甲冑(カツチウ) 鎧(ヨロイ)。〔弘・財宝門83八〕
甲冑(カツチウ)(/カフト) 鎧。〔永・言語門80六〕
甲冑(カツチウ) 鎧。〔尭・言語門73四〕
甲冑(カツチウ) 。〔両・言語門87六〕
とあって、標記語「甲冑」の語を収載し、弘治二年本・永祿二年本・尭空本が語注記に「鎧」と記載して広本『節用集』の語注記を継承する。また、易林本『節用集』には、
帯(タイ)ス‖甲冑(カツチウ)ヲ|。〔言語門84七〕
このように、上記当代の古辞書において、「甲冑」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「甲冑」の語を収載し、語注記は未記載にする。
就ク∨中ン後陳(チン)ノ武士警固(ケイゴ)ノ之勇士(ヨウシ)色々ノ甲冑(カツチウ)思_々ノ鎧(ヨロヒ)_直垂(ヒタタレ)馬鞍(ムマクラ)弓箙(ユミヤナクヒ)着(―)せン‖重-代ノ重寳(ヂウホウ)ヲ|トハ御警固(ケイゴノ)爲ニ武士(ブシ)兵(ツハモノ)トモ後陳(ゴヂン)ニ甲冑(カツチ )ヲ帶(タイ)シ扣ヘタリ。〔下25ウ一〜三〕
色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)/色々ノ甲冑甲はよろい冑ハかふと也。縅(おとし)の色一様ならぬゆへ色々といふ。〔70ウ七・八〕
とあって、この標記語「甲冑」の語を収載し、語注記は、「甲はよろい冑は、かぶとなり。縅(おとし)の色一様ならぬゆへ色々といふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。▲色々ノ甲冑甲(かう)ハよろひ冑(ちう)ハかぶと也。製作(せいさく)毛色(けいろ)各(おの/\)異(こと)なる也。〔52オ六〜52ウ四〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|▲色々ノ甲冑甲(かう)ハよろひ冑(ちう)ハかぶと也。製作(せいさく)毛色(けいろ)各(おの/\)異(こと)なる也。〔93ウ五〜94オ六〕
Cacchu<.カッチュウ(甲冑) Yoroi cabuto.(甲冑) 鎧と冑と.〔邦訳73r〕
かつ-ちゅう〔名〕【甲冑】〔禮記、曲禮、上篇「獻甲者執冑」鄭注「甲、鎧也、冑、兜?也」鎧(よろい)と、兜(かぶと)と。具足(グソク)。易經、説卦傳「離、爲二甲冑一」保元物語、二、新院左府御没落事「甲冑を脱捨」〔0388-1〕」
勇士(ユウジ) 。〔元亀二年本132七〕
勇士(ヨウジ) 。〔静嘉堂本139四〕
勇士(ヨウシ) 。〔天正十七年本中2オ二〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳(ヒ)武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔至徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節銘金銀凡迄(至)于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陣武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔宝徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳之武士警固勇士甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代重寳用新調之美麗〔建部傳内本〕
家ノ文當-色(シキ)、色々ノ狂-文盡シ‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄(イタルマテ)ニ‖于中間雜-色舎-人牛_飼等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)フ∨色ヲ。就∨中後-陣ノ武-士警-固ノ勇-士色_々ノ甲-冑(カツチウ)思ヒ_々ノ鎧_直_垂レ馬_鞍弓_籬着シ‖重-代ノ之重-寳ヲ|用フ‖新調ノ美麗(レイ)ヲ|。〔山田俊雄藏本〕
家文當色之狂文尽シ‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハ)ム‖金銀ヲ|凡至(イタル)マテ‖于中間雜色舎人(トネリ)牛_飼(カイ)等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)ヘ∨色ヲ。就テ∨中ニ後陣ノ武士警固ノ勇士色々ノ甲冑(カツチウ)思々(オモイオモイ)ノ鎧イ直垂レ馬鞍弓_籬(エビラ)着シ‖重代之重宝ヲ|用イ‖新調(シンテウ)之美麗(ヒレイ)ヲ|。〔経覺筆本〕
家(イヱ)ノ文(モン)當(タウ)-色(シヨク)シキ、色々(イロ/\)ノ狂(ヒヤウ)-文(モン)盡(ツクシ)‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハメ)(チリハム)タリ ‖金-銀ヲ|凡ソ{至(イタル)}迄(イタル)‖于(マテ)中間雜-色舎(ト)-人(ネリ)牛(ウシ)_飼(カイ)等ニ|折(ヲリ)∨花ヲ交(マシユ)∨色ヲ。就∨中後(ゴ)-陣(チン)ノ武(フ)-士(シ)警(ケイ)-固(コ)ノ勇(ヨウ)-士(シ)、色_々ノ甲(カツ)-冑(チウ)思_々ノ鎧_直(ヒタ)_垂(タレ)馬_鞍弓_箙(ヤナクイ)ヲ着(チヤク)シ∨重-代ノ之重-寳ヲ|用ユ∨新調之美麗(ビレイ)ヲ|。〔文明四年本〕色(イロ)。鏤(チリハム)。至(イタルマテ)。後陣(チン)。警固(ケイゴ)。勇子(ユウシ)。重寳(テウホウ)。麗(レイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
勇士 同(武藝部)/ヨウシ。〔黒川本・疉字門上96オ四〕
勇敢 〃毅キ。〃士。〃飢。〃勘。〔卷第四・疉字門366二〕
勇士(ユシ/ヨウ・イサム、サブライ)[上・上] 。〔態藝門868五〕
奚(イヅクンゾ)誰(タレカ)為(せム)レ忠(チウ)ト主暴(シユホウ)ナルヲ/ナレドモ不(ズ)レ諫(イサメ)非(アラズ)二忠臣(チウシン)ニ一畏(ヲソツ)テレ死(シ)ヲ不(ズ)レ言(イワ)非(アラズ)二勇士(ユウジ)ニ一臣軌。〔態藝門171五〕
主暴(シユホウ)ナルヲ不(ザレハ)レ諫(イサメ)非(アラズ)二忠臣(チウシン)ニ一也。畏(ヲソツ)テレ死(シ)ヲ不(ザルハ)レ云(イワ)非(アラズ)二勇士(ユウジ)ニ一也。見(ミル)レ過(アヤマチ)ヲ則諫(イサム)不(ザルハ)レ用(モチイ)レ死(シ)ヲ忠(チウ)之至(イタリ)也(ナリ)新序。〔態藝門1017一〕
勇士(ヨウシ) 。〔弘・言語進退門94五〕
とあって、弘治二年本だけが標記語「勇士」の語を収載し、訓みを「ユウシ」とする。また、易林本『節用集』には、
勇士(ヨウシ) ―者(シヤ)。〔與部・人倫門85四〕
このように、上記当代の古辞書に収載が確認され、古写本『庭訓徃來』及び下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「勇士」の語を収載し、語注記は未記載にする。
就ク∨中ン後陳(チン)ノ武士警固(ケイゴ)ノ之勇士(ヨウシ)色々ノ甲冑(カツチウ)思_々ノ鎧(ヨロヒ)_直垂(ヒタタレ)馬鞍(ムマクラ)弓箙(ユミヤナクヒ)着(―)せン‖重-代ノ重寳(ヂウホウ)ヲ|トハ御警固(ケイゴノ)爲ニ武士(ブシ)兵(ツハモノ)トモ後陳(ゴヂン)ニ甲冑(カツチ )ヲ帶(タイ)シ扣ヘタリ。〔下25ウ一〜三〕
警固(けいご)の勇士(ゆうし)/警固ノ勇士警固ハ非道をいましめんかためかため守る事なり。〔70ウ六・七〕
とあって、この標記語「勇士」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。〔52オ七〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|〔93ウ五〕
Yu<xi.ユウシ(勇士) Isamu votoco.(勇む士) 強い男.→Yu<ji.〔邦訳838r〕
Yu<ji.ユウジ(勇士) すなわち,Qenaguena votoco.(健気な士) 勇敢で力の強い男.→Yu<xi(勇士).〔邦訳835l〕
ゆう-し〔名〕【勇士】猛く剛勇なる男子。剛き武夫(つはもの)。剛の者。ますらたけを。勇者。孟子、縢文公、下篇「志士不レ忘レ在二溝?一、勇士不レ忘レ喪二其元一」吾妻鏡、一、治承四年八月十九日「參二北條一之勇士等、以二走湯山一、爲二往還路一」〔2062-1〕」
よう-じ〔名〕【勇士】ゆうし(勇士)の轉。運歩色葉集「勇士、ヨウシ」〔2081-3〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳(ヒ)武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔至徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節銘金銀凡迄(至)于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陣武士警固勇士色々甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代之重寳用新調美麗〔宝徳三年本〕
家文當色色々狂文盡色節鏤金銀凡迄于中間雜色舎人牛飼等折花交色就中後陳之武士警固勇士甲冑思々鎧直垂馬鞍弓箙着重代重寳用新調之美麗〔建部傳内本〕
家ノ文當-色(シキ)、色々ノ狂-文盡シ‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄(イタルマテ)ニ‖于中間雜-色舎-人牛_飼等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)フ∨色ヲ。就∨中後-陣ノ武-士警-固ノ勇-士色_々ノ甲-冑(カツチウ)思ヒ_々ノ鎧_直_垂レ馬_鞍弓_籬着シ‖重-代ノ之重-寳ヲ|用フ‖新調ノ美麗(レイ)ヲ|。〔山田俊雄藏本〕
家文當色之狂文尽シ‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハ)ム‖金銀ヲ|凡至(イタル)マテ‖于中間雜色舎人(トネリ)牛_飼(カイ)等ニ|折リ∨花ヲ交(マシ)ヘ∨色ヲ。就テ∨中ニ後陣ノ武士警固ノ勇士色々ノ甲冑(カツチウ)思々(オモイオモイ)ノ鎧イ直垂レ馬鞍弓_籬(エビラ)着シ‖重代之重宝ヲ|用イ‖新調(シンテウ)之美麗(ヒレイ)ヲ|。〔経覺筆本〕
家(イヱ)ノ文(モン)當(タウ)-色(シヨク)シキ、色々(イロ/\)ノ狂(ヒヤウ)-文(モン)盡(ツクシ)‖色節(イロフシ)ヲ|、鏤(チリハメ)(チリハム)タリ ‖金-銀ヲ|凡ソ{至(イタル)}迄(イタル)‖于(マテ)中間雜-色舎(ト)-人(ネリ)牛(ウシ)_飼(カイ)等ニ|折(ヲリ)∨花ヲ交(マシユ)∨色ヲ。就∨中後(ゴ)-陣(チン)ノ武(フ)-士(シ)警(ケイ)-固(コ)ノ勇(ヨウ)-士(シ)、色_々ノ甲(カツ)-冑(チウ)思_々ノ鎧_直(ヒタ)_垂(タレ)馬_鞍弓_箙(ヤナクイ)ヲ着(チヤク)シ∨重-代ノ之重-寳ヲ|用ユ∨新調之美麗(ビレイ)ヲ|。〔文明四年本〕色(イロ)。鏤(チリハム)。至(イタルマテ)。後陣(チン)。警固(ケイゴ)。勇子(ユウシ)。重寳(テウホウ)。麗(レイ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
後陣(―ヂン/ノチ、ニワ)[上・去] 。〔態藝門668三〕
後陳 (チン)。〔弘・言語進退門191一〕
後悔(コウクハイ) ―勘(カン)。―判(ハン)。―陣(チン)/―世(せイ)。―胤(イン)。〔永・言語門155四〕
後悔(コウクワイ) ―勘。―判。―陣/―世。―胤。〔尭・言語門145四〕
とあって、弘治二年本が標記語「後陳」の語を収載し、他本は標記語「後悔」の冠頭字「後」の熟語群として「後陣」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
後代(コウダイ) −記(キ)。−訴(ソ)。−證(シヨウ)。−悔(クワイ)。−便(ビン)。−勘(カン)。−期(キ)。−顔(カン)。−輩(ハイ)。−人(ジン)。−胤(イン)。−音(イン)。−生(セイ/ゴシヤウ)。−昆(コン)。−參(サン)。−來(ライ)。−學(ガク)。−見(ケン)。−陣(ヂン)。−世(セ)。〔言辞門159@〕
このように、上記当代の古辞書においては、「後陳」と表記する例と「後陣」と表記する両用の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』に見えている語となっている。また、下記真字本に見えている語となっている。
496衣-文撥イ∨當リヲ、行粧(カウサウ)驚∨目ヲ。家文當-色、色々ノ狂-文尽‖色節ヲ|、鏤(チリハメ) ‖金-銀ヲ|凡迄‖于中間・雜ツ-色・舎-人(トネリ)・牛_飼(カイ)等ニ|折∨花ヲ交ヘ∨色。就∨中後-陣ノ武-士・警-固ノ勇-士、色_々ノ甲-冑・思_々ノ鎧_直_垂・馬_鞍・弓_禝(ヤ)着(―)シ‖重-代之重-宝ヲ|用ユ‖新調之美麗(ヒレイ)ヲ|。自リ‖門前|者、前後ノ之隨兵番(ツカ)ヒ‖上-下(ケ)ニ|左-右ノ太刀帯(ハキ)列ナリ‖二-行(キヤウ)ニ|御帶刀ノ役-人・御調度懸人(テウト[ツ]カケヒト) 烏帽子ノ縛緒也。懸ヲ馬ノ尾ヲ以テ爲ルヲ云也。或説云、弓ヲ御多羅技ト云。矢ヲ御調度ト云時ハ、是ハ弓役歟。又有∨位人行ニハ、必小_長キ懸∨袋ヲ、此説誠ニ尤モ善シ、矢ヲ云ニハ者字別也。虫-頭(ツ)ト書也。言ハ彼_虫口ニ含∨毒ヲ飛也。体ハ如ニシテ∨矢ノ、同羽モ付也。口傳有也。〔謙堂文庫蔵四七左I〕
とあって、標記語「後陣」の語を収載し、語注記は未記載にする。
就ク∨中ン後陳(チン)ノ武士警固(ケイゴ)ノ之勇士(ヨウシ)色々ノ甲冑(カツチウ)思_々ノ鎧(ヨロヒ)_直垂(ヒタタレ)馬鞍(ムマクラ)弓箙(ユミヤナクヒ)着(―)せン‖重-代ノ重寳(ヂウホウ)ヲ|トハ御警固(ケイゴノ)爲ニ武士(ブシ)兵(ツハモノ)トモ後陳(ゴヂン)ニ甲冑(カツチ )ヲ帶(タイ)シ扣ヘタリ。〔下25ウ一〜三〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)/就∨中後陣ノ武士就中の注前にあり。後陣は跡共(あととも)あり。〔70ウ六〕
とあって、この標記語「後陣」の語を収載し、語注記は「後陣は跡共(あととも)あり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)。色々(いろ/\)の甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)の鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなくい)重代(ぢうだい)之(の)重寳(ちやうほう)を着(ちやく)し新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を用(もち)ひ門外(もんぐわい)自(より)者(ハ)前後(せんこ)乃隨兵(ずいひやう)上下(じやうげ)に番(つが)ひ左右(さいう)の帶刀(たてわき)二行(にきやう)に列(つらな)り御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)弓手(ゆんで)妻手(めて)に相並(あいなら)んで之(これ)に扈從(こしよう)す/就∨中後陣ノ武士。警固ノ勇士。色々ノ甲冑。思_々ノ鎧直垂。馬。鞍。弓。箙着シ‖重代之重宝|。用ヒ‖新調之美麗ヲ|。自リ‖門外|者。前後ノ之隨兵番ヒ‖上下ニ|左右ノ帶刀列リ‖二行ニ|。御帶刀ノ役-人。御調度懸人。相‖-並テ弓手妻手ニ|扈‖-從ス之|。▲後陣ハ後(あと)隊(そなへ)也。〔52オ六〜52ウ三〕
就中(なかんつく)後陣(ごぢん)の武士(ぶし)警固(けいご)の勇士(ゆうし)色々(いろ/\)之(の)甲冑(かつちう)思々(おもひ/\)之(の)鎧(よろひ)直垂(ひたたれ)馬(むま)鞍(くら)弓(ゆみ)箙(やなぐひ)着(ちやく)し‖重代(ぢうだい)之(の)重宝(ちやうほう)を|用(もち)ひ‖新調(しんてう)之(の)美麗(びれい)を|自(より)‖門外(もんぐわい)者(ハ)前後(せんこ)の隨兵(ずゐひやう)番(つが)ひ‖上下(じやうげ)に|左右(さいう)の帶刀(たてわき)列(つらな)り‖二行(にきやう)に|御(おん)帶刀(はかせ)の役人(やくにん)御(ミ)調度(てうど)懸(がけ)の人(ひと)相(あひ)‖並(なら)んて弓手(ゆんで)妻手(めて)に|扈(こ)‖従(じゆう)す之(これ)に|▲後陣ハ後(あと)隊(ぞなへ)也。〔93ウ五〜94オ五〕
Gogin.ゴヂン(後陣) Vxirogin.(後陣) 軍隊の後衛.〔邦訳306l〕
ご-ぢん〔名〕【後陣】〔前陣に對す〕後(うしろ)に備へたる陣。あとぞなへ。後軍。六韜「後陣欲レ走」太平記、八、山徒寄二京都一事「前陣已に、法勝寺眞如堂に附けば、後陣は未だ、山上坂本に充ち滿ちたり」〔3-304-2〕
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