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ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
本末(マツ) 。〔元亀二年本43三〕〔静嘉堂本47七〕〔天正十七年本上24ウ七〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
本末 古今部/ホンマツ/始終―/又雨合部。〔黒川本・畳字門上38オ一〕
本末 〃誓。〃心。〃覺。〃師。〃願。〃躰。〃所。〃家。〃意。〃糸。〔巻第二・畳字門332一〕
本末(ホンマツ/モト、スヱ)[上・入] 。〔態藝門100七〕
本末(ホンマツ) 。〔弘・言語進退門34三〕〔両・言語門38七〕
本末(ホンマツ) ―意(ホンイ)。―系モトヲツク。―来(ライ)。―復(フク)。―懐(クワイ)。―性(シヤウ)。―跡(せキ)。―所。―領(リヤウ)。―体(タイ)。―樣。―望(マウ)。―分(フン)。―訴(ソ)。―券(ケン)。〔永・言語門35一〕
本末(ホンマツ) ―意。―系。―来。―復。―懐。―性。―跡/―所。―願。―体。―樣。―望。―分。―訴。―地。〔尭・言語門31九〕
とあって、標記語「本末」の語を収載し、弘治二年本・両足院本は単独収載し、他二本は巻頭字「本」の熟語群語を併合して記載する。また、易林本『節用集』には、
本末(ホンマツ) 。〔言語門〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「本末」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
506調ヘ‖拍子ノ本末|賽(カヘリモウシ)ス‖礼奠ニ|賽ハ奉∨拝義也。神申亊御聞有也ト云テ礼奠スル也。奠ハ神供也。七夕ニ乞巧奠ト云モ供具ヲ祭ヲ云也。又備星疋(ヒコホシ)ノ祭ヲ云。礼記ニ曰、釈奠学‖鄭氏註曰、釈∨藥ヲ奠∨幤云々。又幤帛ヲ以祭ヲ曰‖礼奠(テン)ト|。是質素ノ祭也。文集曰、悟真寺ノ詩ニ戯奠无‖葷幃|。言ハ葷ハ精進之腥物也。〔謙堂文庫蔵四九右C〕
とあって、標記語「本末」の語を収載し、語注記は未記載にする。
朝倉返(アサクラガヘシ)ノ詠(ウタヒ)物。調(トヽノヘ)‖拍(ヒヤウ)子ノ本末(ホンマツ)ヲ|朝倉返(アサクラカヘシ)トテ神歌(ウタ)ニ大事アリ。天照太神天(アマ)ノ岩戸ニ篭(コモリ)給ヒシ時諸神達(タチ)詠(ウタヒ)給フヲ朝倉返シト云也。神主(ヌシ)舞人ノ態(ワザ)ニハ秘事ナリ。〔下26オ七・八〕
拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)/拍子ノ本末拍子の上に調乃字を置たる本もあり。本末とハ始め終りと云か如し。拍子乃よくとゝのひたるをいふ。〔73オオ三〜四〕
とあって、この標記語「本末」の語を収載し、語注記は、「本末とハ始め終りと云か如し」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言〔53オ八〜ウ四〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)〔95ウ五〜96オ四〕
Fonmat.ホンマツ(本末) Moto,suye.(本,末) 始めと終わりと.§Fio<xino fonmatuo totonoyete &c.(拍子の本末を調へて,云々)始めと終わりの拍子がそろうように,楽器を調整して.〔邦訳260r〕
ほん-まつ〔名〕【本末】もとと、すゑと。始終。易經、上經、大過卦「瀲曰、大過、大者過也、棟撓、本末弱也」大學、「物有二本末一事有二終始一、知レ所二先後一則近レ道矣」書言故事(宋、胡繼宗)「張公藝九世同居、唐高宗幸二其居一問二本末一、書二忍字百餘一以對」~代紀、下23「對以二事之本末(アルカタヲ)一」〔1859-2〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「詠物」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
505當座之~樂・朝倉返(−リ)ノ詠(ウタ/ヱイシ)−_物 ~樂ノ樂ノ哥ノ名也。〔謙堂文庫蔵四九右B〕
とあって、標記語「詠物」の語を収載し、語注記は未記載にする。
朝倉返(アサクラガヘシ)ノ詠(ウタヒ)物。調(トヽノヘ)‖拍(ヒヤウ)子ノ本末(ホンマツ)ヲ|朝倉返(アサクラカヘシ)トテ神歌(ウタ)ニ大事アリ。天照太神天(アマ)ノ岩戸ニ篭(コモリ)給ヒシ時諸神達(タチ)詠(ウタヒ)給フヲ朝倉返シト云也。神主(ヌシ)舞人ノ態(ワザ)ニハ秘事ナリ。〔下26オ七・八〕
當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)/當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物朝倉返ハ~うたなり。天照太神の天岩戸に入玉ひし時もろ/\~達うたひ玉ひしうたなりと云。〔73オ一〜オ三〕
とあって、この標記語「詠物」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言〔53オ八〜ウ四〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)〔95ウ五〜96オ四〕
うたひ-もの〔名〕【詠物】節をなして、聲長く歌ふべき詞曲(ことば)の總稱。~樂歌、催馬樂、今様歌、宴曲、謡曲、長唄、小唄など、皆是れなり。歌曲。浄瑠璃節などの詞を平語の如く語るを、かたりものと云ふ。〔1-393-3〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。訓みは「あさくらかへし」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「朝倉返」の語は未収載であるが、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
505當座之~樂・朝倉返(−リ)ノ詠(ウタ/ヱイシ)−_物 ~樂ノ樂ノ哥ノ名也。〔謙堂文庫蔵四九右B〕
とあって、標記語「朝倉返」の語を収載し、語注記は未記載にする。
朝倉返(アサクラガヘシ)ノ詠(ウタヒ)物。調(トヽノヘ)‖拍(ヒヤウ)子ノ本末(ホンマツ)ヲ|朝倉返(アサクラカヘシ)トテ神歌(ウタ)ニ大事アリ。天照太神天(アマ)ノ岩戸ニ篭(コモリ)給ヒシ時諸神達(タチ)詠(ウタヒ)給フヲ朝倉返シト云也。神主(ヌシ)舞人ノ態(ワザ)ニハ秘事ナリ。〔下26オ七・八〕
當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)/當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物朝倉返ハ~うたなり。天照太神の天岩戸に入玉ひし時もろ/\~達うたひ玉ひしうたなりと云。〔73オ一〜オ三〕
とあって、この標記語「朝倉返」の語を収載し、語注記は、「朝倉返は、~うたなり。天照太神の天岩戸に入玉ひし時もろ/\~達うたひ玉ひしうたなりと云ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言▲朝倉返ハ神楽(かぐら)の哥(うた)の名(な)尤秘事(ひじ)なるよし。〔53オ八〜ウ五〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)▲朝倉返ハ神楽(かぐら)の哥(うた)の名(な)尤秘事(ひじ)なるよし。〔95ウ五〜96オ五〕
あさ-くら〔名〕【朝倉】~樂歌の曲の名。きのまろどのを見よ。語彙、あさくら「~樂譜、可レ仕二朝倉一支(き)催二堪能之歌人(うたびと)一須(す)」〔0027-3〕
~樂(カグラ) 。〔元亀二年本97@〕〔西來寺本172E〕
~樂(―グラ) 。〔静嘉堂本121B〕
~樂(カクラ) 。〔天正十七年本上59ウC〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
~樂(カグラ/シン・カミ、?)[平・入] 又作二神遊(カグラ)一。〔神祇門260一〕
~樂(カグラ) 神祇。〔弘・財宝門85三〕
~樂(カクラ) 神祇。〔永・言語門83五〕
~樂(カクラ) 神祇。又?遊。〔尭・言語門75七〕
神遊(カクラ) 神楽。神祇。〔両・人倫門92六〕
とあって、標記語「~樂」の語を収載し、語注記に「神祇」と記載する。また、易林本『節用集』には、
~樂(カグラ) 。〔言語門84七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「~樂」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
505當座之~樂・朝倉返(−リ)ノ詠(ウタ/ヱイシ)−_物 ~樂ノ樂ノ哥ノ名也。〔謙堂文庫蔵四九右B〕
とあって、標記語「~樂」の語を収載し、語注記は未記載にする。
當座ノ~樂又其節ヲナシテ致スナリ。〔下26オ七〕
當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)/當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物朝倉返ハ~うたなり。天照太神の天岩戸に入玉ひし時もろ/\~達うたひ玉ひしうたなりと云。〔73オ一〜オ三〕
とあって、この標記語「~樂」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言〔53オ八〜ウ四〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)〔95ウ五〜96オ四〕
Cagura.カグラ(~樂) 神(Cami)の前で行われるある種の舞楽.→So>xi,suru.〔邦訳79l〕
かぐ-ら〔名〕【~樂】〔かみくら、かんぐら、かぐらと轉じたる語、(筆(ふで)、ふんで、ふで。札(ふだ)、ふんだ、ふだ)~座遊の略にて、~座の音樂の意なるべし、~遊の條を併せ見よ、伴信友の~樂歌考の初に「古本~樂歌に、~樂と書き、又、~樂遊仕候時、云云、ともあり」〕かみあそび。歌舞の、太古より傳はれるもの。日~の、天の岩戸隠に、六合の内、常闇となりし時、八百萬~の奏したる~遊に始まると云ふ、これを傳へて、後に、内侍所、清暑堂の御~樂、其他の~祭に、夜、庭燎(にはび)を焚きて行ふを例とせり。歌あり、舞あり、樂器は、大和琴(やまとごと)、大和笛、拍子(ハウシ)なり、後に、篳篥(ひちりき)を加ふ、樂人、本方(もとかた)、末方(すゑかた)の二座に別れ、人長(ニンヂヤウ)一人、舞人を指揮して奏せしむ。古語拾遺「猿女君氏、供二~樂之事一」壇北建祭殿伺候」儀式、園?韓~祭儀「調三~樂於二兩~殿前一」貫之集「内の御屏風の料の歌、夏かぐら」宇津保物語、祭使20「御かぐらの召人、催馬樂仕るべき、云云」又、里~樂(さとかぐら)、太~樂(たいかぐら)、太太~樂あり、各條を見よ。〔0362-3〕
當座(ザ) 。〔元亀二年本138四〕〔静嘉堂本146七〕
當座(サ) 。〔天正十七年本中5オ七〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之(シカノミナス)臨時之陪従(ベイシヨウ)當座(ザ)ノ~樂(カクラ)朝倉返(アサクラカヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調ヘレ拍子(ヒヤウシ)本末(ホンマツ)ヲ賽(カヘリマウシ)レ礼奠(レイテン)致レ如在之儀ヲ~感(カン)ノ之興(ケウ)厳重ノ態(ワサ)誠ニ以テ掲焉(ケチエン)也耳目(シモク)之(ノ)所及不遑(イトマ)禿筆(トクヒツ)ニ只仰ク/キ高察ヲ而已(マクノミ)謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
當座(タウザ/アタル、ユカ)[去・平] 。〔態藝門348二〕
當座(タウザ) 即席。〔弘・言語進退門110三〕
當職(タウシヨク) ?世(せイ)。?道諸藝道。?座即席/?流。?分。?腹。〔永・言語門95二〕
當職(タウシヨク) ?世。?道諸藝道/?座。?流。?分。?服。〔尭・言語門86九〕
當職(タウシヨク) ?世。?道/?座(ザ)。?流(リウ)/?分(ブン)。?服(ブク)。〔両・言語門105四・五〕
とあって、弘治二年本が標記語「當座」の語を収載し、語注記に「即席」と記載する。他本は標記語「當職」の巻頭字「當」の熟語群として「當座」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
當時 ?代(ダイ)。?道(ダウ)。?流(リウ)。?腹(ブク)。?院(井ン)。?世(せイ)。?座(ザ)。?罰(バツ)。?番(バン)。?機(キ)/?學(カク)。?用(ヨウ)。?家(ケ)。?山(サン)。?國(コク)。?所(シヨ)。?來(ライ)。?季(キ)。?分(ブン)。〔言語門93一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「當座」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
505當座之~樂・朝倉返(−リ)ノ詠(ウタ/ヱイシ)−_物 ~樂ノ樂ノ哥ノ名也。〔謙堂文庫蔵四九右B〕
とあって、標記語「當座」の語を収載し、語注記は未記載にする。
當座ノ~樂又其節ヲナシテ致スナリ。〔下26オ七〕
當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)/當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物朝倉返ハ~うたなり。天照太神の天岩戸に入玉ひし時もろ/\~達うたひ玉ひしうたなりと云。〔73オ一〜オ三〕
とあって、この標記語「當座」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言〔53オ八〜ウ四〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)〔95ウ五〜96オ四〕
To<za.タウザ(當座) Ataru za.(当たる座)人々の居るその座席.または,家.§To<zano coto.(当座の事)今の事,あるいは,少しの間だけですぐに過ぎ去ってしまうような事.〔邦訳673r〕
たう-ざ〔名〕【當座】(一)其座に當りてのこと。座上。席上。狂言記、雙六僧「相手を斬り殺し、其の身も當座に相果て申され候」(二)和歌の題の、其會の席上にて出すもの。(兼題に對す)古今著聞集、五、和歌「順徳院御位の時、當座の歌合せ有りけり」(三)當分の中。假初に數の間。狂言記、千鳥「足下の左様仰せられうと存じ、當座の代りは持って參った」(四)たうざよきん(當座預金)の略。其條を見よ。〔1193-2〕
陪従(バイせウ)イサウシヒト。〔元亀二年本28十〕
陪従(ハイシウ) 。〔静嘉堂本28四〕〔天正十七年本上15オ六〕〔西來寺本〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重之態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
陪從(バイシヨウ/ハンベル、―)[○・去] 。〔態藝門66七〕
陪従(バイゼウ) 。〔永・言語門22九〕〔両・言語門24七〕
陪従(ハイせウ) ―膳。〔尭・言語門20六〕
とあって、標記語「陪従」の語を収載し、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』には、標記語「陪従」の語は未収載にする。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「陪従」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
504伺‖-候シ/ス拝殿ニ|。加∨之臨-時ノ倍-従(バイ−/ハイ−) 臨-時ノ祭云也。二月初卯ノ日祭也。〔謙堂文庫蔵四九右A〕
とあって、標記語「陪従」の語を収載し、語注記は未記載にする。
陪從(ハイシヨウ)ト云ハ打カケテ期(ゴニ)莅(ノゾン)テ~ニ物ヲ申事ナリ。〔下26オ六〜七〕
如之(しかのみならす)臨時(りんじ)の陪従(ばいじう)/加∨之臨-時之陪-従加之とハ是はかりにハあらす又その上にといふこゝろなり。前々より□□□□にもあらで不時にある事を臨時と云。陪従ハ御供して其席に出るをいふなり。〔72ウ八〜73オ一〕
とあって、この標記語「陪従」の語を収載し、語注記は、「拜殿とハ其所に出てならひ居るをいふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ陪-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言〔53オ八〜ウ四〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)陪従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)〔95ウ五〜96オ四〕
ばい-じゅう〔名〕【陪従】つきしたがふこと。供をすること。又、その人。晋書、豫章王檗傳「車馬數遊幸、唯檗陪從」江淹、辭二建平王一箋「河湾二荊呉一、必獲二陪從一、京輔二關轂一、長奉二帷席一」〔1550-3〕
加(ナラス)レ之(シカノミ) 。〔元亀二年本314九〕
加之(シカノミナラス) 。〔静嘉堂本369四〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔至徳三年本〕
加之臨時倍從當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔宝徳三年本〕
加之臨時之倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興嚴重態誠以掲焉也耳目所及不遑禿筆只仰高察而已恐々謹言〔建部傳内本〕
加之(シカノミナラス)臨時ノ陪従(バイジフ)當座ノ~樂朝倉返シノ詠(ウタヒ)物調(ソロヘ)拍子ノ本末ヲ賽(カヘリマウシ)テ礼奠(レイテン)ニ致ス如在ノ之儀ヲ一~感ノ之興厳重ノ態誠ニ以テ掲焉(カツエン)也耳目ノ之所レ及不レ遑アラ二禿(トク)筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已(ノミ)恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
加(シカノミ)レ之(ナラズ)臨時ノ倍従當座ノ~樂朝(アサ)倉返(カヘシ)ノ詠物(ウタイモノ)調(ソロヘ)二拍子ノ本(モト)末ヲ賽(カヘリモウシ)二礼奠ニ一致シ二如在之儀ヲ一~感之興厳(ケン)重之態誠(マコトニ)以掲焉(ケツエン)也耳目(シホク)之所レ及不レ遑二禿筆ニ一只仰ク二高察ヲ一而已謹言〔経覺筆本〕
加之臨時倍従當座~樂朝倉返詠物調拍子本末賽礼奠致如在之儀~感之興厳重之態誠以掲焉也耳目之所及不遑禿筆只仰高察而已謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
加之 シカノミナラス。〔黒川本・疉字門下82ウ八〕
加之 シカノミナラス。〔卷第九・疉字門226一〕
加之(シカノミナラズ/カシ、クワウ、コレ)[平・上] 又作加(シカノミ)旅(ナラズ)。〔態藝門970八〕
加之(シカノミナラス) 。〔弘・言語進退門247四〕〔永・言語門211九〕
如之(シカノミナラス) 。〔尭・言語門195九〕
とあって、標記語「加之」の語を収載し、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』には、
加之(シカノミナラス) 加以(同)。至若(同)。〔辞字門217六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「加之」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
504伺‖-候シ/ス拝殿ニ|。加∨之臨-時ノ倍-従(バイ−/ハイ−) 臨-時ノ祭云也。二月初卯ノ日祭也。〔謙堂文庫蔵四九右A〕
とあって、標記語「加之」の語を収載し、語注記は未記載にする。
職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|加∨之臨-時ノ職掌(シヨクシヤウ)トテ黄(キイ)色ニ染(ソメ)タル浄衣(ジヤウエ)ヲキテ立烏帽子(エボシ)ニテ堪忍(カンニン)ス。~樂男トハ白キ浄衣キテマフ也。調拍子ト云物ヲ指ナリ。〔下26オ五〜六〕
如之(しかのみならす)臨時(りんじ)の陪従(ばいじう)/加∨之臨-時之倍-従加之とハ是はかりにハあらす又その上にといふこゝろなり。前々より□□□□にもあらで不時にある事を臨時と云。陪従ハ御供して其席に出るをいふなり。〔72ウ八〜73オ一〕
とあって、この標記語「加之」の語を収載し、語注記は、「加之とは、是ばかりにはあらず又その上にといふこゝろなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
加之(しかのミならず)臨時(りんじ)の陪從(べいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)拍子(ひやうし)乃本末(ほんまつ)を調(とゝの)へ賽礼(さいれい)の奠(まつり)如在(ぢよざい)之儀を致す~感(しんかん)之(の)興(きやう)嚴重(げんじゆう)之(の)態(わざ)誠(まこと)に以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)及(およ)ぶ所(ところ)禿筆(とくひつ)に遑(いとまあ)ら不(ず)只(たゞ)高察(こうさつ)を仰(あふ)ぐ而已(のミ)謹言(きんけん)/加∨之臨-時ノ倍-従。當座ノ~樂。朝倉返ノ詠ヒ物。調ヘ‖拍子ノ本末ヲ|。賽‖礼ノ奠|。致ス‖如在之儀ヲ|。~感之興。厳重之態。誠_以掲焉也。耳目之所∨及ブ。不∨遑アラ‖禿筆ニ|只仰グ‖高察ヲ|而已。謹言〔53オ八〜ウ四〕
加之(しかのミならす)臨時(りんじ)之(の)倍従(へいしゆう)當座(たうざ)の~樂(かぐら)朝倉返(あさくらがへし)の詠物(うたひもの)調(とゝのへ)‖拍子(ひやうし)の本末(ほんまつ)を|賽(さい)‖礼(れい)の奠(まつり)|致(いたす)‖如在(ぢよざい)之(の)儀(ぎ)を|~感(しんかん)之(の)興(きやう)厳重(げんぢう)之(の)態(わざ)誠(まことに)以(もつて)掲焉(けちえん)也(なり)耳目(じもく)之(の)所(ところ)∨及(およふ)不(ず)∨遑(いとまあら)‖禿筆(とくひつ)に|只(たゞ)仰(あふぐ)‖高察(かうさつ)を|而已(のミ)謹言(きんけん)〔95ウ五〜96オ四〕
Xicanominarazu.シカノミナラズ(然にみならず) これだけではなくて,また,など.〔邦訳760l〕
しかのみ-ならず〔接〕【加之】〔然而已(しかのみ)ならずの義〕然あるのみにあらずして。その上に。あまっさへ。おまけに。名義抄「加之、シカノミナラズ」字鏡十五「啻、過分也、餘也、不也、志加乃三」天平~護記「然乃味仁不レ在」〔0880-2〕
伺候(シコウ) 六韜三農器之所。〔元亀二年本306六〕〔静嘉堂本357二〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。標記語「祇候」と表記し、訓みは「シコウ」と記載する。
祗候(ツヽシミツカフ) シコウ。〔黒川本・疉字門下79ウ六〕
祗候 祗承シヨウ/シルヘ。〔卷第九・疉字門220二〕
祗候(シコウ/ツヽシム) 。〔疉字門160三〕
伺候 伺或ハ作スレ祇ニ。〔態藝門88三〕
祗候(シコウ/―、ウカヾウ) 或作仕候(シコウ)。伺候。紙候。韓文伺二候於公卿ノ門ニ一。〔態藝門971一〜二〕
伺候(シコウ) 。祗候(同) 同上。仕候(同) 此字非也。〔弘・言語進退門249二〕
伺候(シコウ) 又作祗候。〔永・言語門212三〕
伺候(シコウ) 又作祗―。〔尭・言語門196二〕
北面(ホクメン) 仙洞ニ祗候(シコウ)ノ武士。〔永・人倫門33三〕
とあって、弘治二年本は標記語「伺候」「祗候」の両語を併記収載し、他本は標記語「伺候」を収載し、その語注記に「祗候」の語を広本『節用集』と同じく「又作○○」の形式によって記載する。ここで、注目しておきたいこととして、弘治二年本が「仕候」の語を語注記に「此字非也」と指摘しているところが注目されよう。また、易林本『節用集』には、
伺候(シコウ)。〔言辞門214三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「祗候」と「伺候」の両語が収載されていて、古写本『下學集』・広本『節用集』から同一語として収載する編纂意識が見られることが注目されよう。そのところで古写本『庭訓徃來』と下記真字本との表記の異なりが見えている語となっている。
504伺‖-候シ/ス拝殿ニ|。加∨之臨-時ノ倍-従(バイ−/ハイ−) 臨-時ノ祭云也。二月初卯ノ日祭也。〔謙堂文庫蔵四九右A〕
とあって、標記語「伺候」の語を収載し、語注記は未記載にする。
職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|加∨之臨-時ノ職掌(シヨクシヤウ)トテ黄(キイ)色ニ染(ソメ)タル浄衣(ジヤウエ)ヲキテ立烏帽子(エボシ)ニテ堪忍(カンニン)ス。~樂男トハ白キ浄衣キテマフ也。調拍子ト云物ヲ指ナリ。〔下26オ五〜六〕
調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す/合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|調拍子ハ樂器也。繞に似て小し。左右持て打合すなり。拜殿とハ其所に出てならひ居るをいふ。〔72ウ六〜八〕
とあって、この標記語「伺候」の語を収載し、語注記は、「拜殿とハ其所に出てならひ居るをいふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|▲伺候ハ其所に在(あり)て時宜(じぎ)を伺(うかゞ)ふ也。〔53オ一〜八〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|▲伺候ハ其所に在(あり)て時宜(じぎ)を伺(うかゞ)ふ也。〔95オ二〜ウ五〕
Xico>.シコウ(伺候) Vcagai matcu.(伺ひ候つ) 自分に命ぜられることを聞くために,毎日主君の御前に控えて居ること.例,Xico>xite iru(伺候して居る)§また,行くという意であって,行く先を尊敬して言う.例,Xico> itasu.(伺候致す)〔邦訳762l〕
し-こう〔名〕【伺候】さぶらふこと。侍り居ること。韓愈、送三李愿歸二盤谷一序「伺二候於公卿之門一」太平記、二、助光事「是れは、右少辨殿の伺候の者にて候が」〔0887-3〕
し-こう〔名〕【祇候】敬みて、侍ふこと。つつしみて、うかがふこと。?候。魏書、劉休賓傳「聞二王臨一レ境、故來祇候」白氏文集、廿七「祇(ツツシミ)テ候ヒ二高情ヲ一」名義抄「祇候、ツツシミサブラフ、ツツシミウカガフ」太平記、廿一、義助攻二落K丸城一事「如何にもして、一戰に利を得、南方祇候の人人の機をも扶けばや」〔0887-4〕
拝殿(ハイデン) 。〔元亀二年本30四〕
拝殿 。〔静嘉堂本30四〕
拝殿(ハイテン) 。〔天正十七年本上16オ四〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
拝殿(ハイデン/ヲガム、ヲクルヽ・トノ)[去・去] 。〔神祇門54一〕
拝殿(ハイデン) 神前。〔弘・天地門16八〕〔両・人倫門15一〕
拝殿(ハイテン) 神前。〔永・天地門15三〕〔尭・人倫門13三〕
とあって、標記語「拝殿」の語を収載し、語注記に「神前」と記載する。また、易林本『節用集』には、
拜殿(ハイデン) 神前。〔乾坤門14五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「拝殿」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
504伺‖-候シ/ス拝殿ニ|。加∨之臨-時ノ倍-従(バイ−/ハイ−) 臨-時ノ祭云也。二月初卯ノ日祭也。〔謙堂文庫蔵四九右A〕
とあって、標記語「拝殿」の語を収載し、語注記は未記載にする。
職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|加∨之臨-時ノ職掌(シヨクシヤウ)トテ黄(キイ)色ニ染(ソメ)タル浄衣(ジヤウエ)ヲキテ立烏帽子(エボシ)ニテ堪忍(カンニン)ス。~樂男トハ白キ浄衣キテマフ也。調拍子ト云物ヲ指ナリ。〔下26オ五〜六〕
調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す/合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|調拍子ハ樂器也。繞に似て小し。左右持て打合すなり。拜殿とハ其所に出てならひ居るをいふ。〔72ウ六〜八〕
とあって、この標記語「拝殿」の語を収載し、語注記は、「拜殿とハ其所に出てならひ居るをいふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ一〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔95オ二〕
Faiden.ハイデン(拝殿) Vogamijo.(拝み所) 神(Cami)の社の正面にある一種の礼拝所.〔邦訳198l〕
はい-でん〔名〕【拝殿】神社の前に設けてある拝禮を行ふ殿。(本殿(ホンデン)の條を見よ)八篇類篇「壇北建二祭殿拝殿一」古今著聞集、十二、博打「山のすそには八間の家を作りて、拝殿と名づけて、八少女以下、~樂男などすゑたりける」〔1551-5〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。訓みは「シキシヤウ」とする。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「職掌」の語は未収載であり、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
502八乙女者曳イテ‖裙帯ヲ|舞‖-遊フ透廊(トウ−/スキ−)ニ|。職(シキ)ノ掌ノ神樂男ハ 職掌ハ黄色之直垂着也。神樂ハ天照大神天ノ岩戸ニ引篭ノ時神達始樂ナリ。〔謙堂文庫蔵四九右@〕
とあって、標記語「職掌」の語を収載し、語注記は未記載にする。
職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|加∨之臨-時ノ職掌(シヨクシヤウ)トテ黄(キイ)色ニ染(ソメ)タル浄衣(ジヤウエ)ヲキテ立烏帽子(エボシ)ニテ堪忍(カンニン)ス。~樂男トハ白キ浄衣キテマフ也。調拍子ト云物ヲ指ナリ。〔下26オ五〜六〕
職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)/職掌ノ神樂男者~樂男ハ囃子手の事なり。〔72ウ六〕
とあって、この標記語「職掌」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ一〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔95オ二〕
しょく-しゃう〔名〕【職掌】つとめかた。役目。晉書、樂志「伯益佐二舜禹一、職二掌山與一レ川」〔1011-5〕
舞遊 。〔元亀二年本163二〕
舞遊 。〔静嘉堂本180二〕〔天正十七年本中21オ二〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「舞遊」の語は未収載であり、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
502八乙女者曳イテ‖裙帯ヲ|舞‖-遊フ透廊(トウ−/スキ−)ニ|。職(シキ)ノ掌ノ神樂男ハ 職掌ハ黄色之直垂着也。神樂ハ天照大神天ノ岩戸ニ引篭ノ時神達始樂ナリ。〔謙堂文庫蔵四九右@〕
とあって、標記語「舞遊」の語を収載し、語注記は未記載にする。
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
裙帯(くんたい)を曳(ひき)て透廊(すきらう)に舞(まい)遊(あそ)び/曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|裙ハもすそ。帶はおびなり。〔72ウ四〜五〕
とあって、この標記語「舞遊」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ一〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔95オ二〕
透廊(スキラウ) 。〔元亀二年本360二〕〔静嘉堂本438五〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。訓みは、「スキラウ」とする。
透廊(スキラウ) 。〔伊京・天地門126九〕〔饅頭・天地門175六〕
とあって、標記語「透廊」の語を収載し、語注記は未記載にする。
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』『伊京集』饅頭屋本『節用集』に、標記語「透廊」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
502八乙女者曳イテ‖裙帯ヲ|舞‖-遊フ透廊(トウ−/スキ−)ニ|。職(シキ)ノ掌ノ神樂男ハ 職掌ハ黄色之直垂着也。神樂ハ天照大神天ノ岩戸ニ引篭ノ時神達始樂ナリ。〔謙堂文庫蔵四九右@〕
とあって、標記語「透廊」の語を収載し、語注記は未記載にする。
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
裙帯(くんたい)を曳(ひき)て透廊(すきらう)に舞(まい)遊(あそ)び/曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|裙ハもすそ。帶はおびなり。〔72ウ四〜五〕
とあって、この標記語「透廊」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ一〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔95オ二〕
すい-らう〔名〕【透廊】すきわたどの(透渡殿)に同じ。古事談、六、亭宅諸道「入道殿、被レ造二東三條一時、有國奉二行之一、西ノ千貫之泉、透廊南へ長く着出たる中程」古今著聞集、五、和歌、平治元年二月廿五日「御方違に、押小路殿に行幸有けり、透廊にて、夜もすがら、御遊ありけるに」吾妻鏡、三十、文暦二年正月廿日「忠尚、親職(ちかもと)、晴賢、文元、等、候二于渡殿透廊北縁一」武家名目抄「按、廊の、左右を覆はず、見透さるる如く造りたるを、透廊と云ふ、例の、幾を、伊に通はして、須伊廊と讀也」〔1035-1〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
裙帯 クンタイ/装束具。〔黒川本・雜物門中76オ五〕
裙帯比礼 クンタイヒレ/青羅――是也。〔卷第六・雜物門417三〕
このように、上記当代の古辞書では、三卷本『色葉字類抄』(1177-81年)と十巻本『伊呂波字類抄』にのみ標記語「裙帯」の語が収載されていて、室町時代の上記古辞書には未採録の語となっている。そして、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
502八乙女者曳イテ‖裙帯ヲ|舞‖-遊フ透廊(トウ−/スキ−)ニ|。職(シキ)ノ掌ノ神樂男ハ 職掌ハ黄色之直垂着也。神樂ハ天照大神天ノ岩戸ニ引篭ノ時神達始樂ナリ。〔謙堂文庫蔵四九右@〕
とあって、標記語「裙帯」の語を収載し、語注記は未記載にする。
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
裙帯(くんたい)を曳(ひき)て透廊(すきらう)に舞(まい)遊(あそ)び/曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|裙ハもすそ。帶はおびなり。〔72ウ四〜五〕
とあって、この標記語「裙帯」の語を収載し、語注記は、「裙は、もすそ。帶は、おびなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|▲裙ハもすそ。帯ハおび也。〔53オ七〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|▲裙ハもすそ。帯ハおび也。〔95ウ四〕
Cuntai.クンタイ(裙帯) 帯と一種の着物と.〔邦訳168l〕
くん-たい〔名〕【裙帯】〔説文「裙、下裳也」くたいは、くんたいの略、勘文(かんもん)、かもん。本尊(ほんぞん)、ほぞん〕又、くたい。貴婦人、正装の具、幅廣き紐の如きもの、腰に結びて垂れ、末は、地を曳きたるものの如し、肩の領巾(ひれ)と對(ツヰ)す、後世の引腰、引帶、と云ふもの、此遺なりと云ふ。白氏文集、廿三「青羅裙帯」李羣玉詩「一雙裙帶同心結」倭名抄、十二19衣服類「裙帶、此間云、如レ字」枕草子、六、五十段「御てうづばんの采女、青裾濃の裳(も)、くんたい、領巾(ひれ)などして」同、五、四十六段「赤紐の色にはあらぬを、領巾、くたいなどして」庭訓往來、八月「巫、八乙女者、曳二裙帶一、舞二遊透廊一」〔0548-5〕
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)/巫八乙女者八乙女ハ~樂男に組したる~の舞姫也。〔72ウ四〜五〕
とあって、この標記語「八乙女」の語を収載し、語注記は、「八乙女は、~樂男に組したる~の舞姫なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|▲八乙女ハ~樂(かぐら)~子(みこ)舞姫(まひひめ)也。〔53オ七〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|▲八乙女ハ~樂(かぐら)~子(みこ)舞姫(まひひめ)也。〔95オ二〕
や(ヤ)-をとめ(オトメ)〔名〕【八乙女】~樂の舞姫。古へ、安房大~を主~として、八柱の~に、八童子(八男(やをとこ))と共に奉仕せし八人の少女。(伴信友の説)轉じて、~~に奉仕して、~樂を舞ひなどする八人の少女。又、一人にても云ふ。字類抄「八女、ヤヲトメ、稲舂女、大嘗會供奉人名也」風俗歌、八乎止女「也乎止女波、云云、~ノ坐ス、高天ノ原ニ、立ツ也乎止女、立ツ也乎止女」古今集註(顯昭)「~樂には巫女は常になけれども、やをとめとて、八人の巫女相具したり」兵範記、仁安三年十一月二日、大嘗會「南廂自二第三四間一敷二布端疊一、爲二八女座一」〔2061-1〕
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)/巫八乙女者八乙女ハ~樂男に組したる~の舞姫也。〔72ウ四〜五〕
とあって、この標記語「巫」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|▲巫ハ~(かミ)を降(くた)す者也。男を巫(ふ)といひ女を覡(けき)といふ。〔53オ七〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|▲巫ハ~(かミ)を降(くだ)す者也。男を巫(ふ)といひ女を覡(げき)といふ。〔95ウ三〜四〕
かん-なぎ〔名〕【巫・覡】〔~和(かんなぎ)の義〕かみなぎの音便。(其の條を見よ)かうなぎ。〔0430-1〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
500~主ハ捧ケ‖幣-帛ヲ|於‖大_床ニ|、別-當・社-僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ|於玉ノ甍(イラカ)ニ 經仁王卅代欽明天王御宇自∨唐經ナリ。〔謙堂文庫藏四八左E〕
とあって、標記語「玉甍」の語を収載し、語注記は未記載にする。
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)に解(とき)/解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|經の紐を解ハ頓て讀誦(とくしゆ)をはしめんか爲なり。甍は棟瓦(むねかハら)にて經の紐を解とハいふへからす。おもふに玉甍(きよくほう)とハ玉にて飾りたる机(つくへ)の類をいふにや。但し字のあやまりたるもはかり給けれハ姑(しハら)く是を闕く。〔72ウ二〜四〕
とあって、この標記語「玉甍」の語を収載し、語注記は、「玉甍(きよくほう)とハ玉にて飾りたる机(つくへ)の類をいふにや。但し字のあやまりたるもはかり給けれハ姑(しハら)く是を闕く」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ一〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔95オ二〕
紐(ヒボ) 。〔元亀二年本346五〕
紐(ヒモ) 。〔静嘉堂本416七〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。経覺筆本及び文明四年本は、この語の訓みは「ひぼ」とする。
紐(ケム) ヒモ/女久反/衣―。細子同。〔黒川本・雜物門下90ウ二〕
紐 ヒホ/―子。―衣。細子。綺已上同/ヒホ/文。〔卷第十・雑物門343二〕
紐(ヒボ/チウ、ムスブ)[上] 。〔絹布門1034八〕
紐(ヒボ) 徑―。〔弘・財宝衣服門254二〕
紐(ヒボ) 經ノ―。〔永・財宝門217二〕
紐革(ヒボカハ) 。〔尭・財宝門202八〕
紐(ムスブ)ヒモ。〔両・言語門131五〕
とあって、標記語「紐」の語を収載し、語注記に「經の紐」と記載する。また、易林本『節用集』には、
紐(ヒモ)ヂン 單繩。〔食服門224七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「紐」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
500~主ハ捧ケ‖幣-帛ヲ|於‖大_床ニ|、別-當・社-僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ|於玉ノ甍(イラカ)ニ 經仁王卅代欽明天王御宇自∨唐經ナリ。〔謙堂文庫藏四八左E〕
とあって、標記語「紐」の語を収載し、語注記は「經、仁王卅代欽明天王の御宇、唐より經るなり」と記載する。
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)に解(とき)/解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|經の紐を解ハ頓て讀誦(とくしゆ)をはしめんか爲なり。甍は棟瓦(むねかハら)にて經の紐を解とハいふへからす。おもふに玉甍(きよくほう)とハ玉にて飾りたる机(つくへ)の類をいふにや。但し字のあやまりたるもはかり給けれハ姑(しハら)く是を闕く。〔72ウ二〜四〕
とあって、この標記語「紐」の語を収載し、語注記は、「經の紐を解ハ頓て讀誦(とくしゆ)をはしめんか爲なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ一〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔95オ二〕
Fibo.ヒボ(紐) 結びつけるための紐,または革紐.→Fimo.〔邦訳227r〕
ひぼ〔名〕【紐】ひも(紐)の訛。名義抄「襟、イレヒボ」書言字考節用集、六、服飾門「紐、ヒモ、ヒボ、説文、結而可レ解者」濱松中納言物語、一「から組のひぼ、長やかにうるはしきを、云云」〔1693-1〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
經 キヤウ/五―。七―/十三―/佛―。〔黒川本・雜物門下48オ一〕
經 キヤウ/五―。七―/十三―。〔卷第八・雜物門503六〕
經(キヤウ/ケイ・タテ・ヘル)[平] 孝經序云。経ハ常也。廣曰絞也。徑也。亦経緯也。欽明天皇僧聽四年辛未ニ自二大唐一渡レ經ヲ也。 異名田堰B頌葉。唄葉。唄多。又?曰、白馬。三蔵。無安。貝免言函。??般若。佛言。〔器財門817六〕
經(キヤウ)?(テツ) 上ハ經書/下ハ麻帶。〔弘・點畫小異字317二〕
?(テツ)經(キヤウ) 上ハ麻ノ帶(ヲヒ)/下ハ經書。〔永・點畫少異字233二〕
?(テツ)經(キヤウ) 上麻帶/下經書。〔尭・點畫少異字219二〕
とあって、標記語「經」の語を収載し、語注記に「下は經書」と記載する。また、易林本『節用集』には、
經(キヤウ) 。〔器財門189二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「經」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
500~主ハ捧ケ‖幣-帛ヲ|於‖大_床ニ|、別-當・社-僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ|於玉ノ甍(イラカ)ニ 經仁王卅代欽明天王御宇自∨唐經ナリ。〔謙堂文庫藏四八左E〕
とあって、標記語「經」の語を収載し、語注記は未記載にする。
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)に解(とき)/解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|經の紐を解ハ頓て讀誦(とくしゆ)をはしめんか爲なり。甍は棟瓦(むねかハら)にて經の紐を解とハいふへからす。おもふに玉甍(きよくほう)とハ玉にて飾りたる机(つくへ)の類をいふにや。但し字のあやまりたるもはかり給けれハ姑(しハら)く是を闕く。〔72ウ二〜四〕
とあって、この標記語「經」の語を収載し、語注記は、「經の紐を解ハ頓て讀誦(とくしゆ)をはしめんか爲なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ一〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔95オ二〕
Qio<.キヤウ(經) 書物[経].例,Qio<uo tozzuru.(経を綴づる)書物[経]を綴じる.〔邦訳500r〕
きゃう(キヨウ)〔名〕【經】(一){尊むべき書。佛の教を記したる書の總稱。佛經。佛教祖論、「聖哲彝訓曰レ經」源氏物語、五十二、手習36「經ならひて、誦み給ふ」(二)經書。(其の條を見よ)「詩經」書經」〔0490-4〕
社僧(ソウ) 。〔元亀二年本311七〕〔静嘉堂本364六〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
社僧(シヤソウ/ヤシロ、スミゾメ)[上・平] 。〔神祇門915五〕
社僧(シヤソウ) 。〔弘・人倫門238三〕
社僧(シヤソウ) ―務(ム)。―人(ニン)。/―家(ケ)。〔永・人倫門198五〕
社僧(シヤソウ) ―務。―人。/―家。〔尭・人倫門188五〕
とあって、標記語「社僧」の語を収載し、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』には、
社僧(シヤソウ) 。〔人倫門204二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「社僧」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
500~主ハ捧ケ‖幣-帛ヲ|於‖大_床ニ|、別-當・社-僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ|於玉ノ甍(イラカ)ニ 經仁王卅代欽明天王御宇自∨唐經ナリ。〔謙堂文庫藏四八左E〕
とあって、標記語「社僧」の語を収載し、語注記は未記載にする。
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)/別當社僧者皆僧徒也。〔72オ八〜ウ一〕
とあって、この標記語「別當」の語を収載し、語注記は、「皆僧徒なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ一〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔95オ二〕
Xaso>.シヤソウ(社僧) Yashirono fijiri.(社の僧) 神(Camis)の社に仕える坊主(Bonzo).〔邦訳743l〕
しや-そう〔名〕【社僧】昔し、~社に事ふる僧。沙石集、一、下、第十條「所領の中の~田を検注して、餘田を取る間、社僧・~官、等、憤り申し」〔0980-5〕
別當(タウ) 唐名大事(シ)。〔元亀二年本49五〕
別當(タウ) 蔵人頭ヲ云/唐名大事。〔静嘉堂本54六〕〔天正十七年本上28六〕〔西來寺本〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
別當 ヘツタウ。在検非違使/并蔵人所等。〔黒川本・官職門上43オ二〕
別當 〃業。〃墅上同。〃宮。〃舘。〃離。〃進。〃所。〃緒憂。〃寝。〃功。〃給。別奏不入官奏上卿付弁若人奏文〃。〔卷第二・官職門364三〕
別當一人(ベツタウ―ニン/ワカレ、アタル、―)[入・平去・○・○] 唐名大理卿。〔官位門113四〕
別當(ベツタウ) 。〔弘・人倫門37八〕〔永・人倫門37八〕〔尭・人倫門34六〕〔両・人倫門41五〕
とあって、標記語「別當」の語を収載し、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』には、
別當(ベツタウ) 。〔官位門35七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「別當」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
500~主ハ捧ケ‖幣-帛ヲ|於‖大_床ニ|、別-當・社-僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ|於玉ノ甍(イラカ)ニ 經仁王卅代欽明天王御宇自∨唐經ナリ。〔謙堂文庫藏四八左E〕
とあって、標記語「別當」の語を収載し、語注記は未記載にする。
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)/別當社僧者皆僧徒也。〔72オ八〜ウ一〕
とあって、この標記語「別當」の語を収載し、語注記は、「皆僧徒なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|▲別當ハ社僧(しやそう)の頭(かしら)。〔53オ七〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|▲別當ハ社僧(しやそう)の頭(かしら)。〔95ウ三〕
Betto.(ママ)ベツタウ(別當) 例,Vmayano betto<(厩の別当)厩の係の頭(かしら).〔邦訳54l〕
べつ-たう〔名〕【別當】〔本官の外、職別に専當する意〕(一)又、べたう。古へ、特異なる職の長官の稱。検非違使、藏人所、淳和院、奬學院、大歌所等、尚多し。武家にては、政所、侍所、等なり。左右衛門府式「凡検非違使別當、充二隨身火長二人一」小右記、長和五年二月廿七日「以右大臣(藤原顯光)、爲二藏人所別當一」三代實録、元慶五年十二月十一日「淳和院永置二公卿別當一」職原抄、下、「奬學院別當、源氏公卿第一之人稱レ之、爲二納言一之時、多兼二奬學淳和兩院一」同、下「大歌所別當、納言已上、補レ之」吾妻鏡、十一、建久二年正月十五日「政所別當、前因幡守平朝臣廣元」同、一、治承四年十一月十七日「和田小太郎義盛、補二侍所別當一」(二)僧職の一。興福寺、東大寺、法隆寺、四天王寺、などの大寺にありて、一山の寺務を綜理する長官。座主(ザス)。長吏(チヤウリ)。長者の類。又、~宮寺の僧官。検校(けんげう)(其條を見よ)に次ぐもの。玄蕃領式「凡諸寺、以二別當一爲二長官一」榮花物語、三十一、殿上花見「やはたの別當元命といふ者、御くだものすゑて參らせたり」(三)院の御厩の頭。名目抄、院中「御厩別當(みまやのべつたう)(西園寺代代補之云云)」源平盛衰記、四十五、源氏等受領事「大夫判官は伊豫守を賜はる上、院の御厩の別當に成て、云云」(四)國司の厩を預る職。源平盛衰記、廿四、南都合戰事「修理大夫顯季卿の、播磨守にて、國務の時は、厩の別當に被二召仕一き」吾妻鏡、二、養和元年七月廿日「下總國御厩別當所、可三早免二除貢馬一事、云云」(五)院厩(ゐんのうまや)の別當より轉じて、俗に、馬飼。乘馬の口取。馬丁。(六)童などの、~に奉りたる供物の菓子を、取りおろして食ふこと。「おべったうをする」(七)我物顔に、物をほしいままに扱ふこと。(八)遊女の別當。即ち、遊女を取締まるもの。吾妻鏡、十三、建久四年五月十五日「遊女令二群參一列二候御前(頼朝)一、而召二里見冠者義成一、向後可レ爲二遊君別當一、云云」(九)今、宮號を賜はりたる皇族の家務を總理し、所屬の職員を監督する勅任官。〔1808-5〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
大総鞦(オホブサシリカヒ) 大笠(ガサ)。―船(フネ)。―鋸(オガ)。―車(クルマ)/―鼓(ツヽミ)。―綱(ツナ)。―緒(ヲ)。―床(ユカ)。〔器財門126二〕
このように、上記当代の古辞書においては、上記易林本『節用集』に標記語「大床」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
500~主ハ捧ケ‖幣-帛ヲ|於‖大_床ニ|、別-當・社-僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ|於玉ノ甍(イラカ)ニ 經仁王卅代欽明天王御宇自∨唐經ナリ。〔謙堂文庫藏四八左E〕
とあって、標記語「大床」の語を収載し、語注記は未記載にする。
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)に捧(さゝ)け/捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|幣帛ハ神に奉る品なり。〔72オ八〜ウ一〕
とあって、この標記語「大床」の語を収載し、語注記は、「幣帛ハ神に奉る品なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|▲大床ハ神前(しんぜん)の祭壇(さいだん)をいふ。〔53オ六〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|▲大床ハ神前(しんぜん)の祭壇(さいだん)をいふ。〔95オ二〕
Vo>yuca.オホユカ(大床) 高い床張り,または,簀子張りをもった大きな差掛けのような部屋.〔邦訳728r〕
おほ-ゆか〔名〕【大床】(一)~社の簀子縁。(二)武家の邸宅にて、廣廂(ひろびさし)の稱。平家物語、十二、紺掻く事「聖(文覺)をば大床に立て、我身(頼朝)は庭に立って、泣く泣く、父(義朝)の頭を請け取り給ふ」〔0319-2〕
幣(ヘイ)帛 。〔元亀二年本48I〕
幣帛(ヘイハク) 。〔静嘉堂本56七〕〔天正十七年本上29オ七〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
幣帛(ヘイハク/コハク、キヌ)[去・入] 。〔神祇門112八〕
幣帛(ヘイハク) 。〔弘・財宝門38四〕〔永・財宝門38一〕〔尭・財宝門35二〕〔両・財寳門42四〕
とあって、標記語「幣帛」の語を収載し、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』には、
幣帛(ヘイハク) 。〔食服門37二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「幣帛」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
500~主ハ捧ケ‖幣-帛ヲ|於‖大_床ニ|、別-當・社-僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ|於玉ノ甍(イラカ)ニ 經仁王卅代欽明天王御宇自∨唐經ナリ。〔謙堂文庫藏四八左E〕
とあって、標記語「幣帛」の語を収載し、語注記は未記載にする。
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)に捧(さゝ)け/捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|幣帛ハ神に奉る品なり。〔72オ八〜ウ一〕
とあって、この標記語「幣帛」の語を収載し、語注記は、「幣帛ハ神に奉る品なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ一〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔95オ二〕
Feifacu.ヘイハク(幣帛) Fei(幣)に同じ.神(Cami)の前で或る儀式を行なう際に用いる物で,紙を細かに切ったもの.〔邦訳219r〕
へい-はく〔名〕【幣帛】(一)~にささぐるもの。みてぐら。にぎて。ぬさ。神祇令「凡供二祭祀一幣帛、飲食及菓實之屬」皇太~宮儀式帳、供奉幣帛本紀事「春宮坊幵皇后宮幣帛、幵東海道驛使之幣帛、云云、納二外幣帛殿一」、(二)支那にて、贈遺する物品。進物。禮記、坊記篇「子云、禮之先二幣帛一也、欲二民之先レ事而後一レ禄也」〔1799-2〕
神主(カンヌシ) 。〔元亀二年本97一〕〔静嘉堂本121三〕〔天正十七年本上59ウ四〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)。~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
神主 カンヌシ。〔黒川本・官職門上91ウ二〕
神主 。〔卷第四・官職門337四〕
神主(カンヌシ) 。〔神祇門35五〕
神主(―ヌシ/シン・カミ、シユ)[平・上] 。〔神祇門260一〕
神主(カンヌシ) 。〔弘・人倫門77三〕〔永・人倫門76八〕〔尭・人倫門69五〕〔両・人倫門82八〕
とあって、標記語「神主」の語を収載し、語注記は未記載にする。また、易林本『節用集』には、
神主(カンヌシ) 。〔人倫門71一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「神主」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
500~主ハ捧ケ‖幣-帛ヲ|於‖大_床ニ|、別-當・社-僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ|於玉ノ甍(イラカ)ニ 經仁王卅代欽明天王御宇自∨唐經ナリ。〔謙堂文庫藏四八左E〕
とあって、標記語「神主」の語を収載し、語注記は未記載にする。
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)/袮宜~主者皆~職也。〔72オ八〜ウ一〕
とあって、この標記語「神主」の語を収載し、語注記は、「皆~職なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ一〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔95オ二〕
Cannuxi.カンヌシ(神主) 神(Camis)に仕える重立った人々の一人で,その長のような人.〔邦訳91l〕
かん-ぬし〔名〕【神主】〔~(かみ)の大人(うし)の約、齋(いはひ)の大人(うし)、いはひぬし〕(一){臨時の~祭に、第一に主たる人、上古には重務とせり。祭主。崇~紀、七年八月「以二大田多根子命一、爲下祭二大物主大~一之主(カムヌシ)上」古事記、中(崇~)27「以意冨多多泥古命、爲~主」~功攝政前紀、「皇后選吉日入齋宮、親爲~主、云云、請曰、云云」同「祭~主(カムヌシ)」(二){~社に奉仕する、~官の長(をさ)。其下に、禰宜(ねぎ)、祝部(はふり)、巫覡(かんなぎ)、等あり、~事一切の事に從事す。天武紀、下、六年五月「天社地社之~税者、三分之、一爲擬(ツカム)供(マツルモノト)~ニ、二分チ給~主ニ」類聚三代格、一、延暦十七年正月、太政官符「應レ任二諸國~宮司~主一事、云云、自レ今以後、簡下?彼氏之中、潔清廉貞、堪二~主一者上補任セヨ」祈年祭祝詞「~主、祝部等」台記、久壽元年六月十五日「賀茂禰宜重忠、轉二~主一、權禰宜家平、轉二禰宜一」(三)泛く、~社に仕ふる人。~官。祠官。〔0430-3〕
祢宜(ネギ) 。〔元亀二年本163二〕
祢宜(ネキ) 。〔静嘉堂本180二〕〔天正十七年本中21オ二〕
袮宜~主者捧幣帛於大床別當社僧者解經紐玉甍巫八女者曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子祇候拝殿〔至徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者解經紐於玉甍巫八女者曳裙帶舞遊透廊職掌神樂男者合調拔子私((祇))候拝殿〔宝徳三年本〕
袮宜~主者捧弊((幣))帛於大床別當社僧者{解經紐於玉甍巫八乙女者}曳裙帯舞遊透廊職掌神樂男者合調拍子祇候拝殿〔建部傳内本〕
袮宜~主ハ者捧ケ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|別-當社-僧ハ者解キ‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八_乙_女(ヤウトメ)ハ者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞ヒ‖-遊フ透_廊(スキ―)ニ|職-掌(シヤウ)ノ神_樂男(ヲトコ)ハ者。合テ‖調-拍-子ヲ|祇‖-候ス拝-殿ニ|。〔山田俊雄藏本〕
袮宜~主ハ捧‖幣帛ヲ於大床(ユカ)ニ|別當社僧ハ者解キ‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)者曳キ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞イ‖-遊フ透廊(スキ―)ニ|。職(シキ)掌ノ神樂(カクラ)男ハ合セ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇‖-候(シコウ)拝殿(ハイデン)ニ|。〔経覺筆本〕
袮宜(ネキ)~主ハ者。捧(サヽ)ク‖幣(ヘイ)-帛(ハク)ヲ於レ大_床(ユカ)ニ|。別當社-僧ハ者。解(トキ)‖經ノ紐(ヒホ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナキ)八(ヤ)乙女者曳(ヒキ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マイ)‖-遊(アソ)ヒ透廊(スキラウ)ニ|職掌(シキシヤウ)ノ神樂(ラ)男(ヲトコ)者(ハ)。合テ‖調拍子(トヒヤウシ)ヲ|祇(シ)‖候(コウ)スレ拝-殿|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
祢宜 ネキ。〔黒川本・官職門中31ウ八〕
祢宜 。〔卷第五・官職門20五〕
祢宜(ネギ) 。〔神祇門35五〕
禰宜(ネギ/ネイ、ヨロシ)[平・平] 社人。〔人倫門426一〕
祢宜(ネギ) 神人。〔弘・人倫門133六〕〔永・人倫門107六〕〔両・人倫門120四〕
祢宜(ネキ) 神人。〔尭・人倫門98四〕
とあって、標記語「祢宜」の語を収載し、語注記に「神人」と記載する。また、易林本『節用集』には、
祢宜(ネギ) 。〔人倫門107七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「祢宜」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
499調ヘ‖樂妓(−ギ)ヲ|飜‖羅-綾之袂ヲ|。於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人ハ者、打ツテ‖〓〔十豆+圭〕- 〓〔十+終〕(ケイロ)ヲ|峙(ソハタテ/タツ) ‖舞-行(ブ−)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|。袮-宜 男御子也。〔謙堂文庫藏四八右H〕
とあって、標記語「祢宜」の語を収載し、語注記は未記載にする。
袮宜(ネギ)~主者捧(サヽ)ゲ‖幣帛(ヘイハク)ヲ大床ニ|別(ヘツ)-當社僧者(ハ)解(ト)ク‖經ノ紐(ヒボ)ヲ於玉ノ甍(イラカ)ニ|巫(カンナギ)ノ八乙女(ヤヲトメ)者(ハ)曳(ヒイ)テ‖裙帯(クンタイ)ヲ|舞(マ)ヒ‖-遊(アソ)ビ透廊(スイラウ)ニ|。祢宜(ネキ)神主(カンヌシ)ノ役ハ弊(ヘイ)ヲ捧テ擧言ヲ申。大床(ユカ)ヲ見レバ社僧等ハ讀誦(ドクジユ)ノ声ヲ挙(アク)ル玉ノ甍(イラカ)ニテ也。巫(カンナギ)八乙女(ヤヲトメ)ハ裙帯(クンタイ)ト云ヲビヲハエテ透廊ニ伺候スル。〔下26オ二〜四〕
袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)/袮宜~主者皆~職也。〔72オ八〜ウ一〕
とあって、この標記語「祢宜」の語を収載し、語注記は、「皆~職なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ一〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔95オ二〕
Negui.ネギ(祢宜) 神(Camis)に仕える人.→Xanin.〔邦訳457l〕
ねぎ〔名〕【禰宜】〔祈(ねぎ)の義、我が身、人の上を~に祈る、或は、~を勞(ねぐ)の義か〕かんぬし(~主)の條を見よ。~人。廟祝。易林本節用集(慶長)上、人倫門「禰宜、ネギ」續日本紀、十七、天平勝寶元年十一月「八幡大~禰宜外從五位下大~杜女、云云、賜大~朝臣之姓」皇太~宮儀式帳、御鎮座次第「爾時太~宮禰宜氏、荒木田~主等遠祖、國摩大鹿嶋命孫、天見通命乎禰宜定弖、倭姫内親王、朝廷爾參上坐支、從是時始弖、禰宜氏無絶事弖、職掌供奉、禰宜之任日、忌火飯食忌慎」古今著聞集、二、釋教「弘仁五年春、傳教大師、云云、禰宜、祝等、この事を見て、昔よりいまだかかる事を見聞かずといひけり」林葉集、七「~垣の、たよりに立つか、梅の花、鶯の來て、ねぎと定むる」(根木に禰宜をかく)〔1519-1〕
庭上(テイシヤウ) 。〔元亀二年本246五〕〔静嘉堂本284八〕
御迎伶人調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行踵於庭上〔至徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭者御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔宝徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔建部傳内本〕
御迎ノ伶人ハ者。調(シラヘ)テ‖樂妓(キ)ヲ|飜シ‖羅-綾(レウ)之(ノ)袂(タモト)ヲ於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人(マイウト)者(ハ)。打テ‖〓(ケイ)(十豆+)-〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダツ) ‖舞(ブ)-行(コウ)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|〔山田俊雄藏本〕
御迎(ムカイ)ノ伶(レイ)人者(ハ)調ヘ‖樂伎ヲ|飜ス‖羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ於‖陣-頭(トウ)ニ|御前ノ舞人(マウト)者(ハ)打‖〓(ケイ)(十豆+)〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダ)ツ ‖舞行(フコウ)之踵(クビス)ヲ|於‖庭上ニ|〔経覺筆本〕
御迎ノ伶人(レイ)者(ハ)調(トヽノ)ヘ∨樂妓(カツキ)ヲ|飜(ヒルカヘシ)シ∨羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ。於∨陣-頭(チントウ)ニ。御前(―ン)之(ノ)。舞-人(マユウト)者(ハ)打チ∨〓(十豆+)-〓(十豆+婁)(ケイロウ)ヲ|。峙(ソハタ)ツ∨舞-行(フカウ)之(ノ)踵(クヒス)ヲ。於∨庭上ニ|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
庭上(テイシヤウ/ニワ・―)[平・上去] 。〔態藝門733二〕
庭上(テイシヤウ) 。〔弘・言語進退門199五〕
庭上(テイシヤウ) ―前(せン)。―儀(キ)/―訓(キン)クン。―中(チウ) 直(ジキ)訴訟(ソせウ)申也。〔永・言語門164六〕
庭上 ―前。―儀。―中/―訓 直ニ訴訟申ス也。〔尭・言語門153七〕
とあって、弘治二年本が標記語「庭上」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
庭訓(テイキン) ―儀(ギ)/―中(チウ)。〔言語門166三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「庭上」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
499調ヘ‖樂妓(−ギ)ヲ|飜‖羅-綾之袂ヲ|。於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人ハ者、打ツテ‖〓〔十豆+圭〕- 〓〔十+終〕(ケイロ)ヲ|峙(ソハタテ/タツ) ‖舞-行(ブ−)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|。袮-宜 男御子也。〔謙堂文庫藏四八右H〕
とあって、標記語「庭上」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御迎(ムカヒ)ノ伶人(レイジン)者調(トヽノ)ヘ‖樂妓(カクキ)ヲ|飜(ヒルカヘ)ス‖羅-綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ|。於‖陳-頭(チントウ)ニ|御前ノ舞人者(ハ)、打テ‖〓〔十豆+圭〕-〓〔十+終〕(ケイロウ/コシツヽミ)ヲ|峙(ソバタツ) ‖舞-行(ブカウ)ノ踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|御迎ノ伶人ト云事御掌拝ノ砌ニハ伶人舞童(トウ)之儀有樂(カク)錦(ニシキ)ノ袖ヲカサスナリ。御前ニテ舞(マヒ)戯(タハフ)ルヽ人ハケイロウト云鼓(ツヽミ)ヲ打テ乱曲ノ袂ヲヒルガヘス。〔下25ウ七〜26オ二〕
舞行(ぶがう)の踵(くびす)を庭上(ていしやう)に峙(そばた)つ/峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|踵ハ足のかゝと也。踵を峙つとハ頓て看んとして足つくろひをするを云也。〔72オ七〜八〕
とあって、この標記語「庭上」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|〔53オ五〜六〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔94ウ五〜95ウ一〕
Teixo<.テイシヤウ(庭上) Niuano vye.(庭の上)庭(Niua)の上,または,庭の中.§Teixo<ni caxicomaru.(庭上に畏る)庭にうずくまる,しゃがむ.〔邦訳643l〕
欹(ソハダツ) 。側(同) 。〔元亀二年本156四〕
欹(ソバダツ) 。側(同) 。〔静嘉堂本171四〕
欹(ソハタツ) 。譏(同) 。〔天正十七年本上20オ一〕
御迎伶人調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行踵於庭上〔至徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭者御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔宝徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔建部傳内本〕
御迎ノ伶人ハ者。調(シラヘ)テ‖樂妓(キ)ヲ|飜シ‖羅-綾(レウ)之(ノ)袂(タモト)ヲ於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人(マイウト)者(ハ)。打テ‖〓(ケイ)(十豆+)-〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダツ) ‖舞(ブ)-行(コウ)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|〔山田俊雄藏本〕
御迎(ムカイ)ノ伶(レイ)人者(ハ)調ヘ‖樂伎ヲ|飜ス‖羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ於‖陣-頭(トウ)ニ|御前ノ舞人(マウト)者(ハ)打‖〓(ケイ)(十豆+)〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダ)ツ ‖舞行(フコウ)之踵(クビス)ヲ|於‖庭上ニ|〔経覺筆本〕
御迎ノ伶人(レイ)者(ハ)調(トヽノ)ヘ∨樂妓(カツキ)ヲ|飜(ヒルカヘシ)シ∨羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ。於∨陣-頭(チントウ)ニ。御前(―ン)之(ノ)。舞-人(マユウト)者(ハ)打チ∨〓(十豆+)-〓(十豆+婁)(ケイロウ)ヲ|。峙(ソハタ)ツ∨舞-行(フカウ)之(ノ)踵(クヒス)ヲ。於∨庭上ニ|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
欹 ソハタツ/―枕。跋側(又ソハム) ―国也/―身/―耳。峙 ―山也/―枝也/已上同。〔黒川本・辞字門中18オ七〕
欹 ソハタツ/―枝。跋。峙 已上同/―枕/―山。〔卷第四・辞字門中542五〕
欹(ソバタツ/キ)[平]。峙(同/シ)[上] 。〔態藝門408五〕
欹(ソハタツ) 。側(同) ―レ耳。〔弘・言語進退門121四〕
欹(ソバタツ) 。側(ソバタテ) 耳ヲ―。峙(同) 。崎(同) 。〔永・言語門102六〕
欹(ソバタツ) 崎峙。側(同)レ耳。〔尭・言語門92九〕
欹(ソハタツ) 崎峙。側(同) ―レ耳。〔両・言語門113三〕
とあって、上記『運歩色葉集』と同じく弘治二年本だけが標記語「峙」の語を未収載にし、他本は収載する。また、易林本『節用集』には、
欹(ソバダツ) 枕。峙(同) 山。〔言語門190五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「峙」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。ただし、『運歩色葉集』と印度本系統の弘治二年本『節用集』がこの語を未収載としていることがここにクローズアップしてきている。すなわち、この語を真字本『庭訓往来註』からは採録していないという事実であり、語注記のない語はこうした範疇に置かれていることも知らねばなるまい。
499調ヘ‖樂妓(−ギ)ヲ|飜‖羅-綾之袂ヲ|。於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人ハ者、打ツテ‖〓〔十豆+圭〕- 〓〔十+終〕(ケイロ)ヲ|峙(ソハタテ/タツ) ‖舞-行(ブ−)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|。袮-宜 男御子也。〔謙堂文庫藏四八右H〕
とあって、標記語「峙」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御迎(ムカヒ)ノ伶人(レイジン)者調(トヽノ)ヘ‖樂妓(カクキ)ヲ|飜(ヒルカヘ)ス‖羅-綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ|。於‖陳-頭(チントウ)ニ|御前ノ舞人者(ハ)、打テ‖〓〔十豆+圭〕-〓〔十+終〕(ケイロウ/コシツヽミ)ヲ|峙(ソバタツ) ‖舞-行(ブカウ)ノ踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|御迎ノ伶人ト云事御掌拝ノ砌ニハ伶人舞童(トウ)之儀有樂(カク)錦(ニシキ)ノ袖ヲカサスナリ。御前ニテ舞(マヒ)戯(タハフ)ルヽ人ハケイロウト云鼓(ツヽミ)ヲ打テ乱曲ノ袂ヲヒルガヘス。〔下25ウ七〜26オ二〕
舞行(ぶがう)の踵(くびす)を庭上(ていしやう)に峙(そばた)つ/峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|踵ハ足のかゝと也。踵を峙つとハ頓て看んとして足つくろひをするを云也。〔72オ七〜八〕
とあって、この標記語「峙」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ五〜六〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔94ウ五〜95ウ一〕
Sobatachi,tcu,atta.ソバダチ,ツ,ッタ(峙ち,つ,つた) 傾いている.§また,時として,岩石や巌などが高くそそり立っている意.→Sobatachi,tcu.〔邦訳567r〕
そばだ・つ・ツ・テ・タ・チ・テ〔自動、四〕【峙】〔稜立(そばた)つの義〕獨り、別に聳(そび)ゆ。殊に、高く立つ。(山などに)字類抄、「峙、ソバダツ」古今著聞集、十七、變化「其のあとに、大なる石ぞ、其の數知らず、そばだちてありける」〔2076-5〕
踵(クビス) 。〔元亀二年本198四〕〔静嘉堂本225二〕〔天正十七年本中42オ一〕
御迎伶人調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行踵於庭上〔至徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭者御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔宝徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔建部傳内本〕
御迎ノ伶人ハ者。調(シラヘ)テ‖樂妓(キ)ヲ|飜シ‖羅-綾(レウ)之(ノ)袂(タモト)ヲ於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人(マイウト)者(ハ)。打テ‖〓(ケイ)(十豆+)-〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダツ) ‖舞(ブ)-行(コウ)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|〔山田俊雄藏本〕
御迎(ムカイ)ノ伶(レイ)人者(ハ)調ヘ‖樂伎ヲ|飜ス‖羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ於‖陣-頭(トウ)ニ|御前ノ舞人(マウト)者(ハ)打‖〓(ケイ)(十豆+)〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダ)ツ ‖舞行(フコウ)之踵(クビス)ヲ|於‖庭上ニ|〔経覺筆本〕
御迎ノ伶人(レイ)者(ハ)調(トヽノ)ヘ∨樂妓(カツキ)ヲ|飜(ヒルカヘシ)シ∨羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ。於∨陣-頭(チントウ)ニ。御前(―ン)之(ノ)。舞-人(マユウト)者(ハ)打チ∨〓(十豆+)-〓(十豆+婁)(ケイロウ)ヲ|。峙(ソハタ)ツ∨舞-行(フカウ)之(ノ)踵(クヒス)ヲ。於∨庭上ニ|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
踵(シヨウ) 云隴/クヒス/俗云キヒス。〔黒川本・人躰門中74オ一〕
踵 クヒス。跟 同(クヒス)/亦作?。〔卷第六・人躰門401一〕
踵(クビス) 。〔支體門69五〕
踵(クビス/シヨウ)[上] 合紀苦卑筈(クビス)。〔支體門503四〕
踵(クビス) 。〔弘・支体門158二〕〔永・支体門129五〕〔尭・支体門118五〕
踵(クビス) 苦卑筈同。〔永・国花合紀集抜書・280三〕
とあって、標記語「踵」の語を収載する。また、易林本『節用集』には、
踵(クビス) 。〔支躰門129五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「踵」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
499調ヘ‖樂妓(−ギ)ヲ|飜‖羅-綾之袂ヲ|。於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人ハ者、打ツテ‖〓〔十豆+圭〕- 〓〔十+終〕(ケイロ)ヲ|峙(ソハタテ/タツ) ‖舞-行(ブ−)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|。袮-宜 男御子也。〔謙堂文庫藏四八右H〕
とあって、標記語「踵」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御迎(ムカヒ)ノ伶人(レイジン)者調(トヽノ)ヘ‖樂妓(カクキ)ヲ|飜(ヒルカヘ)ス‖羅-綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ|。於‖陳-頭(チントウ)ニ|御前ノ舞人者(ハ)、打テ‖〓〔十豆+圭〕-〓〔十+終〕(ケイロウ/コシツヽミ)ヲ|峙(ソバタツ) ‖舞-行(ブカウ)ノ踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|御迎ノ伶人ト云事御掌拝ノ砌ニハ伶人舞童(トウ)之儀有樂(カク)錦(ニシキ)ノ袖ヲカサスナリ。御前ニテ舞(マヒ)戯(タハフ)ルヽ人ハケイロウト云鼓(ツヽミ)ヲ打テ乱曲ノ袂ヲヒルガヘス。〔下25ウ七〜26オ二〕
舞行(ぶがう)の踵(くびす)を庭上(ていしやう)に峙(そばた)つ/峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|踵ハ足のかゝと也。踵を峙つとハ頓て看んとして足つくろひをするを云也。〔72オ七〜八〕
とあって、この標記語「踵」の語を収載し、語注記は、「踵は、足のかゝとなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|▲踵ハ跟(かゞと)也。爰(こゝ)にハ足踏(あしぶミ)をいふなるべし。〔53オ五〜六〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|▲踵ハ跟(かゝと)也。爰(こゝ)にハ足踏(あしぶミ)をいふなるべし。〔94ウ五〜95ウ二〕
†Cubisu.クビス(踵) かかと.→Qibisu;Tcugui,gu.〔邦訳159r〕
きびす〔名〕【踵】くびすの條を見よ。〔0479-1〕
くび-す〔名〕【踵】くびびすの條を見よ。〔0542-1〕
くび-び-す〔名〕【踵・跟】〔くびびは、縊(くび)頸(くび)の約にて(際際(きはきは)、きはは。撓撓、たわわ)足頸を云ふ、すは、居(すゑ)の下略ならむ(杙末(くひすゑ)、杭(くひぜ))釋名「跟、在二下方一著地、一體任レ之、象二木根一也」きびびすは、音轉(黄金、こがね、くがね)くびす、きびすは、再び約れるなり〕足の裏の、後部。脚の、地を蹈みて立つところ。又、くびす。きびびす。きびす。今、かかと、又、あくとと云ふ。仁徳紀、六十五年「踵(クビビス)」華嚴經私記音義(奈良朝)「跟、久比比須」天治字鏡、二26「跟、踵也、久比比須」字鏡2肉偏ニ爭ノ字「脚筋也、支比比須(キビビス)乃須知」同33革、殿の合字「履之跟也、久豆之支比比須」倭名抄、三7手足類「跟、踵、足後也、久比須(クビス)、俗云、岐比須(キビス)」宇津保物語、あて宮23「沓片足(くつかたし)、草鞋(さうがい)片足(かたし)、きびすをば、はなに穿(は)くきて、徒歩(かち)から參りて、帝の、南殿(なでん)に出でたまへるに立ちて」(草鞋の踵(きびす)を、足の端(はな)に穿(は)きたるなり)〔0543-1〕
御迎伶人調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行踵於庭上〔至徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭者御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔宝徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔建部傳内本〕
御迎ノ伶人ハ者。調(シラヘ)テ‖樂妓(キ)ヲ|飜シ‖羅-綾(レウ)之(ノ)袂(タモト)ヲ於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人(マイウト)者(ハ)。打テ‖〓(ケイ)(十豆+)-〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダツ) ‖舞(ブ)-行(コウ)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|〔山田俊雄藏本〕
御迎(ムカイ)ノ伶(レイ)人者(ハ)調ヘ‖樂伎ヲ|飜ス‖羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ於‖陣-頭(トウ)ニ|御前ノ舞人(マウト)者(ハ)打‖〓(ケイ)(十豆+)〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダ)ツ ‖舞行(フコウ)之踵(クビス)ヲ|於‖庭上ニ|〔経覺筆本〕
御迎ノ伶人(レイ)者(ハ)調(トヽノ)ヘ∨樂妓(カツキ)ヲ|飜(ヒルカヘシ)シ∨羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ。於∨陣-頭(チントウ)ニ。御前(―ン)之(ノ)。舞-人(マユウト)者(ハ)打チ∨〓(十豆+)-〓(十豆+婁)(ケイロウ)ヲ|。峙(ソハタ)ツ∨舞-行(フカウ)之(ノ)踵(クヒス)ヲ。於∨庭上ニ|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
499調ヘ‖樂妓(−ギ)ヲ|飜‖羅-綾之袂ヲ|。於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人ハ者、打ツテ‖〓〔十豆+圭〕- 〓〔十+終〕(ケイロ)ヲ|峙(ソハタテ/タツ) ‖舞-行(ブ−)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|。袮-宜 男御子也。〔謙堂文庫藏四八右H〕
とあって、標記語「舞行」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御迎(ムカヒ)ノ伶人(レイジン)者調(トヽノ)ヘ‖樂妓(カクキ)ヲ|飜(ヒルカヘ)ス‖羅-綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ|。於‖陳-頭(チントウ)ニ|御前ノ舞人者(ハ)、打テ‖〓〔十豆+圭〕-〓〔十+終〕(ケイロウ/コシツヽミ)ヲ|峙(ソバタツ) ‖舞-行(ブカウ)ノ踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|御迎ノ伶人ト云事御掌拝ノ砌ニハ伶人舞童(トウ)之儀有樂(カク)錦(ニシキ)ノ袖ヲカサスナリ。御前ニテ舞(マヒ)戯(タハフ)ルヽ人ハケイロウト云鼓(ツヽミ)ヲ打テ乱曲ノ袂ヲヒルガヘス。〔下25ウ七〜26オ二〕
舞行(ぶがう)の踵(くびす)を庭上(ていしやう)に峙(そばた)つ/峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|踵ハ足のかゝと也。踵を峙つとハ頓て看んとして足つくろひをするを云也。〔72オ七〜八〕
とあって、この標記語「舞行」の語を収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ五〜六〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔94ウ五〜95ウ一〕
御迎伶人調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行踵於庭上〔至徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭者御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔宝徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔建部傳内本〕
御迎ノ伶人ハ者。調(シラヘ)テ‖樂妓(キ)ヲ|飜シ‖羅-綾(レウ)之(ノ)袂(タモト)ヲ於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人(マイウト)者(ハ)。打テ‖〓(ケイ)(十豆+)-〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダツ) ‖舞(ブ)-行(コウ)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|〔山田俊雄藏本〕
御迎(ムカイ)ノ伶(レイ)人者(ハ)調ヘ‖樂伎ヲ|飜ス‖羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ於‖陣-頭(トウ)ニ|御前ノ舞人(マウト)者(ハ)打‖〓(ケイ)(十豆+)〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダ)ツ ‖舞行(フコウ)之踵(クビス)ヲ|於‖庭上ニ|〔経覺筆本〕
御迎ノ伶人(レイ)者(ハ)調(トヽノ)ヘ∨樂妓(カツキ)ヲ|飜(ヒルカヘシ)シ∨羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ。於∨陣-頭(チントウ)ニ。御前(―ン)之(ノ)。舞-人(マユウト)者(ハ)打チ∨〓(十豆+)-〓(十豆+婁)(ケイロウ)ヲ|。峙(ソハタ)ツ∨舞-行(フカウ)之(ノ)踵(クヒス)ヲ。於∨庭上ニ|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
499調ヘ‖樂妓(−ギ)ヲ|飜‖羅-綾之袂ヲ|。於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人ハ者、打ツテ‖〓〔十豆+圭〕- 〓〔十+終〕(ケイロ)ヲ|峙(ソハタテ/タツ) ‖舞-行(ブ−)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|。袮-宜 男御子也。〔謙堂文庫藏四八右H〕
※天理図書館藏『庭訓往来註』の左訓は、「コシツヽミ」とする。※「――トハ鼓ヲ打テ乱曲ノ袂ヲ頻リニス」《国会図書館藏『左貫注庭訓往来』書き込み》※ケイロウ/コシツヽミ―○昔、調拍子ニ音ヲカク令ル調コト也。〔静嘉堂文庫蔵『庭訓往来抄』古寫書込み〕
とあって、標記語「〓〔十豆+圭〕〓〔十+終〕」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御迎(ムカヒ)ノ伶人(レイジン)者調(トヽノ)ヘ‖樂妓(カクキ)ヲ|飜(ヒルカヘ)ス‖羅-綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ|。於‖陳-頭(チントウ)ニ|御前ノ舞人者(ハ)、打テ‖〓〔十豆+圭〕-〓〔十+終〕(ケイロウ/コシツヽミ)ヲ|峙(ソバタツ) ‖舞-行(ブカウ)ノ踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|御迎ノ伶人ト云事御掌拝ノ砌ニハ伶人舞童(トウ)之儀有樂(カク)錦(ニシキ)ノ袖ヲカサスナリ。御前ニテ舞(マヒ)戯(タハフ)ルヽ人ハケイロウト云鼓(ツヽミ)ヲ打テ乱曲ノ袂ヲヒルガヘス。〔下25ウ七〜26オ二〕
伺至(がいろう)を打(うち)/打テ‖伺至ヲ|つゞミの類なり。〔72オ七〕
とあって、この標記語「伺至」の語を収載し、語注記は、「つゞみの類なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|▲伺至ハ舞(まひ)の履(くつ)也。伺ハ音ガイ也。ケイとよむハ誤なり。〔53オ六〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|▲伺至ハ舞(まひ)の履(くつ)也。伺ハ音(おん)ガイ也。ケイとよむハ誤(あやまり)なり。〔94ウ五〜95ウ一〕
けい-らう-こ〔名〕【鷄婁鼓・伺至鼓】雅樂の樂器の名、革製にして、形、、甕の如く、胴の長さ六寸、面の徑六寸、左右に環をつけ、紐にて頸にかけて、撃ち鳴らす。唐六典、十四「大燕會、則設二十部之伎於庭一、云云、六日、餉茲伎、云云、腰鼓、?婁婁鼓具、各一」教訓抄、九、「鷄婁、云云、於二唐國鳳樓一、曉撃レ之、仍名二鷄樓一」〔0601-5〕
舞人(ヒト) 。〔元亀二年本207一〕
舞人(マイヒト) 。〔静嘉堂本235四〕〔天正十七年本中47オ四〕
御迎伶人調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行踵於庭上〔至徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭者御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔宝徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔建部傳内本〕
御迎ノ伶人ハ者。調(シラヘ)テ‖樂妓(キ)ヲ|飜シ‖羅-綾(レウ)之(ノ)袂(タモト)ヲ於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人(マイウト)者(ハ)。打テ‖〓(ケイ)(十豆+)-〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダツ) ‖舞(ブ)-行(コウ)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|〔山田俊雄藏本〕
御迎(ムカイ)ノ伶(レイ)人者(ハ)調ヘ‖樂伎ヲ|飜ス‖羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ於‖陣-頭(トウ)ニ|御前ノ舞人(マウト)者(ハ)打‖〓(ケイ)(十豆+)〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダ)ツ ‖舞行(フコウ)之踵(クビス)ヲ|於‖庭上ニ|〔経覺筆本〕
御迎ノ伶人(レイ)者(ハ)調(トヽノ)ヘ∨樂妓(カツキ)ヲ|飜(ヒルカヘシ)シ∨羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ。於∨陣-頭(チントウ)ニ。御前(―ン)之(ノ)。舞-人(マユウト)者(ハ)打チ∨〓(十豆+)-〓(十豆+婁)(ケイロウ)ヲ|。峙(ソハタ)ツ∨舞-行(フカウ)之(ノ)踵(クヒス)ヲ。於∨庭上ニ|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。この古写本類のこの語の訓みだが、「まいうど」とウ音便化の表記が「マイウト」「マウト」「マユウト」と記載されているのが特徴である。
舞姫 ―人(ビト)。〔人倫門139四〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』と易林本『節用集』に「舞人」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
499調ヘ‖樂妓(−ギ)ヲ|飜‖羅-綾之袂ヲ|。於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人ハ者、打ツテ‖〓〔十豆+圭〕- 〓〔十+終〕(ケイロ)ヲ|峙(ソハタテ/タツ) ‖舞-行(ブ−)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|。袮-宜 男御子也。〔謙堂文庫藏四八右H〕
とあって、標記語「舞人」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御迎(ムカヒ)ノ伶人(レイジン)者調(トヽノ)ヘ‖樂妓(カクキ)ヲ|飜(ヒルカヘ)ス‖羅-綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ|。於‖陳-頭(チントウ)ニ|御前ノ舞人者(ハ)、打テ‖〓〔十豆+圭〕-〓〔十+終〕(ケイロウ/コシツヽミ)ヲ|峙(ソバタツ) ‖舞-行(ブカウ)ノ踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|御迎ノ伶人ト云事御掌拝ノ砌ニハ伶人舞童(トウ)之儀有樂(カク)錦(ニシキ)ノ袖ヲカサスナリ。御前ニテ舞(マヒ)戯(タハフ)ルヽ人ハケイロウト云鼓(ツヽミ)ヲ打テ乱曲ノ袂ヲヒルガヘス。〔下25ウ七〜26オ二〕
御前(ごぜん)の舞人(まいひと)者(ハ)/御前ノ舞人者伶人に組たる舞手なり。〔72オ六〕
とあって、この標記語「舞人」の語を収載し、語注記は、「伶人に組たる舞手なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|▲舞人ハ伶人(れいしん)に組(くミ)たる舞手(まひて)なり。〔53オ六〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|▲舞人ハ伶人(れいしん)に組(くミ)たる舞手(まひて)なり。〔95ウ一〕
Maido.マヒド(舞人) ある楽器の音に合わせて舞う人.→Maibito.〔邦訳380l〕
Maibito.マヒビト(舞人) 舞を舞う人,または,舞踏家.→Maido(舞人).〔邦訳380l〕
まひ-びと〔名〕【舞人】まひを行ふ人。まひうど。源氏物語、三十四、下、若菜、下15「まひ人はゑふのすけ共の、かたちきよげに、たけだちひとしきかぎりをえらせ給」〔1896-1〕
飜(ヒルガヘル) 。飄(同) 。〔元亀二年本346八〕
翻(ヒルカヘル) 。飜 。飄 。〔静嘉堂本417二〕
御迎伶人調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行踵於庭上〔至徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭者御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔宝徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔建部傳内本〕
御迎ノ伶人ハ者。調(シラヘ)テ‖樂妓(キ)ヲ|飜シ‖羅-綾(レウ)之(ノ)袂(タモト)ヲ於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人(マイウト)者(ハ)。打テ‖〓(ケイ)(十豆+)-〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダツ) ‖舞(ブ)-行(コウ)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|〔山田俊雄藏本〕
御迎(ムカイ)ノ伶(レイ)人者(ハ)調ヘ‖樂伎ヲ|飜ス‖羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ於‖陣-頭(トウ)ニ|御前ノ舞人(マウト)者(ハ)打‖〓(ケイ)(十豆+)〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダ)ツ ‖舞行(フコウ)之踵(クビス)ヲ|於‖庭上ニ|〔経覺筆本〕
御迎ノ伶人(レイ)者(ハ)調(トヽノ)ヘ∨樂妓(カツキ)ヲ|飜(ヒルカヘ)シ∨羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ。於∨陣-頭(チントウ)ニ。御前(―ン)之(ノ)。舞-人(マユウト)者(ハ)打チ∨〓(十豆+)-〓(十豆+婁)(ケイロウ)ヲ|。峙(ソハタ)ツ∨舞-行(フカウ)之(ノ)踵(クヒス)ヲ。於∨庭上ニ|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
翻ヒルカヘス/亦作飜(ハン)/孚袁反。翩轉倒返飄?已上同。〔黒川本・辞字門下93オ二〕
飜ヒルカヘル。飄。翻。翩。轉。倒。返。?已上同。〔卷第十・辞字門359四〕
飜(ヒルガヘル/ハン) 。翻(同/ハン) 。飄(同/ヘウ) 。〔態藝門1063三〕
翻(ヒルカヘス)飜同。〔弘・言語進退門255六〕
飄(ヒルカヘル) 。翻(同) 。飜(同) 。〔永・言語門219六〕
飄(ヒルカヘル) 飜/翻。〔尭・言語門204七〕
とあって、標記語「飜」の語を収載し、弘治二年本が「ヒルガヘス」訓みを記載する。また、易林本『節用集』には、
飄(ヒルガヘル)(ヘウ) 。翻(同)(ホン)飜同。〔言辭門227七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「飜」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
499調ヘ‖樂妓(−ギ)ヲ|飜‖羅-綾之袂ヲ|。於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人ハ者、打ツテ‖〓〔十豆+圭〕- 〓〔十+終〕(ケイロ)ヲ|峙(ソハタテ/タツ) ‖舞-行(ブ−)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|。袮-宜 男御子也。〔謙堂文庫藏四八右H〕
とあって、標記語「飜」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御迎(ムカヒ)ノ伶人(レイジン)者調(トヽノ)ヘ‖樂妓(カクキ)ヲ|飜(ヒルカヘ)ス‖羅-綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ|。於‖陳-頭(チントウ)ニ|御前ノ舞人者(ハ)、打テ‖〓〔十豆+圭〕-〓〔十+終〕(ケイロウ/コシツヽミ)ヲ|峙(ソバタツ) ‖舞-行(ブカウ)ノ踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|御迎ノ伶人ト云事御掌拝ノ砌ニハ伶人舞童(トウ)之儀有樂(カク)錦(ニシキ)ノ袖ヲカサスナリ。御前ニテ舞(マヒ)戯(タハフ)ルヽ人ハケイロウト云鼓(ツヽミ)ヲ打テ乱曲ノ袂ヲヒルガヘス。〔下25ウ七〜26オ二〕
羅綾(られう)の袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)に飜(ひるかへ)し/飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|羅綾ハ伶人の着たるうすものあやの衣装なり。袂を翻すとハ樂を奏する時手の動くに付て袖のひらめくを云。陣頭の注ハ前に見へたり。〔72オ四〜六〕
とあって、この標記語「飜」の語を収載し、語注記は、「袂を翻すとは、樂を奏する時手の動くに付けて袖のひらめくを云ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ五〜六〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔94ウ五〜95ウ一〕
Firugayexi,su,eita.ヒルガヘシ,ス,イタ(翻し,す,いた) 風が旗とか着物の袖とかなどを吹き返す.§また,比喩.Yacusocuuo firugayesu.(約束を翻す)取り決めを破る.Zombuuo firugayesu.(存分を翻す)意見を変える.→Ia(邪);Xita(舌). 〔邦訳244l〕
ひる-がへ・す・ス・セ・サ・シ・セ〔他動、四〕【翻・飜・飄】(一)ひらりとかへす。裏表になす。杜甫詩「翻レ手作レ雲覆レ手雨」名義抄「反、ヒルカヘス」散木集、四、冬「難波潟、あまのいさりに、立つ千鳥、いくたび磯に、ひるがへすらん」狂言記、雁かりがね「風白浪をひるがへせば、花千片」(二)うらがへす。くつがへす。狂言記、三人百姓「いやいや、仰せ出された事を飜す事はならぬ、急いで詠みませい」「志を翻す」前説を翻す」(三)旗などを、風にひらめかす。太平記、五、大塔宮熊野落事「赤旗三旒、松の嵐に翻して、其勢五六百騎が程、かけ出たり」「風、旗を翻す」〔1712-3〕
袂(タモト) 。〔元亀二年本147一〕〔静嘉堂本158五〕〔天正十七年本中11ウ四〕
御迎伶人調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行踵於庭上〔至徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭者御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔宝徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔建部傳内本〕
御迎ノ伶人ハ者。調(シラヘ)テ‖樂妓(キ)ヲ|飜シ‖羅-綾(レウ)之(ノ)袂(タモト)ヲ於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人(マイウト)者(ハ)。打テ‖〓(ケイ)(十豆+)-〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダツ) ‖舞(ブ)-行(コウ)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|〔山田俊雄藏本〕
御迎(ムカイ)ノ伶(レイ)人者(ハ)調ヘ‖樂伎ヲ|飜ス‖羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ於‖陣-頭(トウ)ニ|御前ノ舞人(マウト)者(ハ)打‖〓(ケイ)(十豆+)〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダ)ツ ‖舞行(フコウ)之踵(クビス)ヲ|於‖庭上ニ|〔経覺筆本〕
御迎ノ伶人(レイ)者(ハ)調(トヽノ)ヘ∨樂妓(カツキ)ヲ|飜(ヒルカヘシ)シ∨羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ。於∨陣-頭(チントウ)ニ。御前(―ン)之(ノ)。舞-人(マユウト)者(ハ)打チ∨〓(十豆+)-〓(十豆+婁)(ケイロウ)ヲ|。峙(ソハタ)ツ∨舞-行(フカウ)之(ノ)踵(クヒス)ヲ。於∨庭上ニ|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
袂 タモト。〔黒川本・雜物門中5オ四〕〔卷第四・雜物門411一〕
袂(タモト) 。〔絹布門98三〕
袂(タモト/ヘイ)[去] 。〔絹布門340七〕
袂(タモト) 袖。〔弘・衣服門102四〕
袂(タモト) 。〔永・財宝門94三〕〔尭・財宝門86二〕〔両・財寳門104二〕
とあって、標記語「袂」の語を収載し、弘治二年本が語注記に「袖」と記載する。また、易林本『節用集』には、
袂(タモト) 。〔食服門91三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「袂」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
499調ヘ‖樂妓(−ギ)ヲ|飜‖羅-綾之袂ヲ|。於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人ハ者、打ツテ‖〓〔十豆+磨l- 〓〔十+終〕(ケイロ)ヲ|峙(ソハタテ/タツ) ‖舞-行(ブ−)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|。袮-宜 男御子也。〔謙堂文庫藏四八右H〕
とあって、標記語「袂」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御迎(ムカヒ)ノ伶人(レイジン)者調(トヽノ)ヘ‖樂妓(カクキ)ヲ|飜(ヒルカヘ)ス‖羅-綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ|。於‖陳-頭(チントウ)ニ|御前ノ舞人者(ハ)、打テ‖〓〔十豆+〕-〓〔十+終〕(ケイロウ/コシツヽミ)ヲ|峙(ソバタツ) ‖舞-行(ブカウ)ノ踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|御迎ノ伶人ト云事御掌拝ノ砌ニハ伶人舞童(トウ)之儀有樂(カク)錦(ニシキ)ノ袖ヲカサスナリ。御前ニテ舞(マヒ)戯(タハフ)ルヽ人ハケイロウト云鼓(ツヽミ)ヲ打テ乱曲ノ袂ヲヒルガヘス。〔下25ウ七〜26オ二〕
羅綾(られう)の袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)に飜(ひるかへ)し/飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|羅綾ハ伶人の着たるうすものあやの衣装なり。袂を翻すとハ樂を奏する時手の動くに付て袖のひらめくを云。陣頭の注ハ前に見へたり。〔72オ四〜六〕
とあって、この標記語「袂」の語を収載し、語注記は、「袂を翻すとは、樂を奏する時手の動くに付けて袖のひらめくを云ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|。〔53オ五〜六〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|。〔94ウ五〜95ウ一〕
Tamoto.タモト(袂) 袖の袋のところ.§Tamotouo nurasu.(袂を濡らす)詩歌語.泣く.§Tamotono cauaqu fimamo naxi.(袂の乾く隙もなし)ひどく泣く.§Tamotoni toritcuqu,l,sugaru.(袂に取り付く,または,縋る)袖につかまる,あるいは,取りすがる.§Tamotouo ficayuru,l,fiqitodomru.(袂を控ゆる,または,引き留むる)袖を引っ張って人を引きとどめる.→Naqicogare,uru;Voxiate,tcuru;Xibori,u.〔邦訳609l〕
たもと〔名〕【袂】〔手本(たもと)の義、手末(たなすゑ)に對す〕(一){袖の本の方。肘より肩までの間、即ち肱に當る所。(上古の衣は、筒袖にて、袖の肱に當る邊を云ひしが如し)倭名抄、十二、衣服具「袂、開張以レ臂屈伸也」(一本、屈伸の上に受の字あり、臂受の誤倒かと云ふ)名義抄「袂、タモト、ソテ」萬葉集、五9長歌「漢玉を、多母等に卷かし、白妙の、袖振りかはし」同、十五28「我が袖(そで)は、多毛登(たもと)とほりて、濡れぬとも、戀忘れ貝、採らずば行かじ」宇治拾遺物語、一、十八條「若き男(をのこ)どもの、袂より手出したる、薄らかなる刀の長やかなるもたるが」(腋(わきした)なり)(二)混じて、袖。(三)ふもと。麓。「山の袂」(四)きは。そば。際。側。才藏狂歌集、夏「夏の夜の、月をみはしの、たもとにて、ふいたる汗も、風にひたたれ」(五){支那、隨唐の風移り、大袖となりて下に垂るもあり。萬葉集、十四19「風の音の、遠き吾妹が、着せし衣、多母登の行(くだり)、まよひきにけり」(肱の)〔1251-3〕
羅綾(リウ) 。〔元亀二年本172一〕
羅綾(ラレウ) 。〔静嘉堂本191四〕
羅綾(レウ) 。〔天正十七年本中26オ二〕
御迎伶人調樂妓飜羅綾之袂於陳頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行踵於庭上〔至徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭者御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔宝徳三年本〕
御迎伶人者調樂妓飜羅綾之袂於陣頭御前舞人者打〓(十豆+)〓(十豆+婁)峙舞行之踵於庭上〔建部傳内本〕
御迎ノ伶人ハ者。調(シラヘ)テ‖樂妓(キ)ヲ|飜シ‖羅-綾(レウ)之(ノ)袂(タモト)ヲ於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人(マイウト)者(ハ)。打テ‖〓(ケイ)(十豆+)-〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダツ) ‖舞(ブ)-行(コウ)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|〔山田俊雄藏本〕
御迎(ムカイ)ノ伶(レイ)人者(ハ)調ヘ‖樂伎ヲ|飜ス‖羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ於‖陣-頭(トウ)ニ|御前ノ舞人(マウト)者(ハ)打‖〓(ケイ)(十豆+)〓(ロウ)(十豆+婁)ヲ|峙(ソバダ)ツ ‖舞行(フコウ)之踵(クビス)ヲ|於‖庭上ニ|〔経覺筆本〕
御迎ノ伶人(レイ)者(ハ)調(トヽノ)ヘ∨樂妓(カツキ)ヲ|飜(ヒルカヘシ)シ∨羅綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ。於∨陣-頭(チントウ)ニ。御前(―ン)之(ノ)。舞-人(マユウト)者(ハ)打チ∨〓(十豆+)-〓(十豆+婁)(ケイロウ)ヲ|。峙(ソハタ)ツ∨舞-行(フカウ)之(ノ)踵(クヒス)ヲ。於∨庭上ニ|。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と建部傳内本とは、読み点を一切加えていないのに対し、文明四年本、山田俊雄藏本と経覺筆本は、読み点を施して記載している。
羅綾(ラレウ/ウスモノ、アヤ)[平・平] 。〔絹布門452七〕
羅綾(ラレウ) 。〔食服門112七〕
このように、上記当代の古辞書において、広本『節用集』『運歩色葉集』易林本『節用集』に「羅綾」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。ここで、印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』にこの語が見えないことを注目せねばなるまい。印度本原編者の収載意識として、絹布門の語を未収録にするその理由があろう。
499調ヘ‖樂妓(−ギ)ヲ|飜‖羅-綾之袂ヲ|。於‖陣-頭ニ|御前ノ舞人ハ者、打ツテ‖〓〔十豆+磨l- 〓〔十+終〕(ケイロ)ヲ|峙(ソハタテ/タツ) ‖舞-行(ブ−)之踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|。袮-宜 男御子也。〔謙堂文庫藏四八右H〕
とあって、標記語「羅綾」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御迎(ムカヒ)ノ伶人(レイジン)者調(トヽノ)ヘ‖樂妓(カクキ)ヲ|飜(ヒルカヘ)ス‖羅-綾(ラレウ)之袂(タモト)ヲ|。於‖陳-頭(チントウ)ニ|御前ノ舞人者(ハ)、打テ‖〓〔十豆+〕-〓〔十+終〕(ケイロウ/コシツヽミ)ヲ|峙(ソバタツ) ‖舞-行(ブカウ)ノ踵(クヒス)ヲ|於‖庭上ニ|御迎ノ伶人ト云事御掌拝ノ砌ニハ伶人舞童(トウ)之儀有樂(カク)錦(ニシキ)ノ袖ヲカサスナリ。御前ニテ舞(マヒ)戯(タハフ)ルヽ人ハケイロウト云鼓(ツヽミ)ヲ打テ乱曲ノ袂ヲヒルガヘス。〔下25ウ七〜26オ二〕
羅綾(られう)の袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)に飜(ひるかへ)し/飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|羅綾ハ伶人の着たるうすものあやの衣装なり。袂を翻すとハ樂を奏する時手の動くに付て袖のひらめくを云。陣頭の注ハ前に見へたり。〔72オ四〜六〕
とあって、この標記語「羅綾」の語を収載し、語注記は、「羅綾は、伶人の着たるうすものあやの衣装なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)樂妓(がくき)を調(とヽの)ヘ羅綾(られう)之(の)袂(たもと)を陣頭(ぢんとう)於(に)飜(ひるかへ)し御前(ごぜん)乃舞人(まひびと)者(ハ) 伺至(がいろう)を打(うつ)て舞行(ぶこう)之踵(くびす)を庭上(ていしやう)於(に)峙(そばた)つ。袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)幣帛(へいはく)を大牀(おほゆか)於(に)捧(さゝ)げ、別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)經(きやう)の紐(ひも)を玉(たま)の甍(いらか)於(に)解(と)く。巫(かんなぎ)。八乙女(やをとめ)者(ハ)裙帯(くんたい)を曳(ひい)て透廊(すいろう)に舞(まひ)遊(あそ)び職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)調拍子(どびやうし)を合(あハ)して拝殿(はいでん)に伺候(しこう)す。/御迎伶人者。調ヘ‖樂妓ヲ|飜シ‖羅-綾之袂ヲ於‖陣-頭|。御前ノ舞人者。打テ‖伺至ヲ|峙ツ ‖舞-行之踵ヲ|於‖庭上ニ|。袮宜。~主者。捧ゲ‖幣-帛ヲ於大_床ニ|。別-當。社-僧者。解ク‖經ノ紐ヲ於玉ノ甍ニ|。巫。八乙女者。曳テ‖裙帯ヲ|舞ヒ‖-遊透廊ニ|。職掌ノ神樂男者。合シテ‖調拍子ヲ|伺‖-候ス拝殿ニ|▲羅うすもの。綾ハあや。即(すなハち)伶人(れいじん)の装束(しやうぞく)をいふ。〔53オ五〜六〕
御迎(おんむかひ)の伶人(れいじん)者(ハ)調(とヽの)ヘ‖樂妓(がくぎ)を|飜(ひるかへ)し‖羅綾(られう)之(の)袂(たもと)於|陣頭(ぢんとう)於(に)御前(ごぜん)の舞人(まひびと)者(ハ)打(うつ)て‖伺至(がいろう)を|峙(そばた)つ‖舞行(ぶこう)之(の)踵(くびす)を於庭上(ていしやう)に|袮宜(ねぎ)~主(かんぬし)者(ハ)捧(さゝ)げ‖幣帛(へいはく)於大床(おほゆか)に|別當(べつたう)社僧(しやそう)者(ハ)解(とく)‖經(きやう)の紐(ひも)於(を)玉(たま)の甍(いらか)に|巫(かんなぎ)八乙女(やをとめ)者(ハ)曳(ひい)て‖裙帯(くんたい)を|舞(まひ)‖遊(あそび)透廊(すいろう)に|職掌(しよくしやう)の~樂(かぐら)男(をとこ)者(ハ)合(あハ)して‖調拍子(どびやうし)を|伺(し)‖候(こうす)拝殿(はいでん)に|▲羅うすもの。綾ハあや。即(すなハち)伶人(れいじん)の装束(しやうぞく)をいふ。〔94ウ五〜95ウ一〕
Rareo>.ラレウ(羅綾) Vsumono aya.(羅綾) ある種の上質の織物.〔邦訳526r〕
ら-れう〔名〕【羅綾】うすぎぬと、あやおりと。綾羅。謡曲、一角仙人「桂のまゆずみ、羅綾のきぬ、更にただ人とは見え給はず候」〔2117-2〕
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