BACK(「ことばの溜め池」表紙へ)
MAIN MENU
ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
導師 法會分/タウシ。〔黒川本・畳字門中9ウ五〕
導師(タウシ/ミチビク、ヲシエ)[去・平] 又殊ノ言住二是道ニ一己能令二衆生ヲ一得中成熟(ジヤウジユク)ヲ上。故名二――ト一。云々。釋氏要覽。〔態藝門334五〕
導師(タウシ) 。〔言語門94五〕
このように、上記当代の古辞書においては、三卷本『色葉字類抄』、広本『節用集』、易林本『節用集』に標記語「導師」の語を収載していて、下記真字本に見えている語となっている。
562(導)師等可∨被∨加‖請之ヲ|也 自∨唄以下皆讀物之名也。〔謙堂文庫蔵五三右C〕
とあって、標記語「導師」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
Do<xi.ダゥシ(導師) Michibiqite(導き手)に同じ.指導者,あるいは,師匠.〔邦訳190l〕
だう-し〔名〕【導師】(一)佛教に、能く衆生を説きて、無生死の道に導く者。又、佛菩薩の通稱とす。所問經「文殊答云、住二是道一、已能令三衆生得二成熟一、故名二導師一」釋氏要覽、上「十住斷結經云、號二導師一者、令三衆生類示二其正道一故、華首經云、能爲レ人説二無生死道一名二導師一」法華經、誦出品「菩薩於二其衆中一、最爲二上首唱導之師一」(二)法會などの時、其主となりて事を執る僧。古今集、十二、戀一「しもついづも寺に、人の業しける日、眞西法師のだうしにていへりける詞を歌に」(三)佛事の時に、法儀の主となる僧。枕草子、十一、百四十六段「宮御佛名の、そやの御導師聞きて、出づる人は」〔1193-5〕
講師注記竪者證義并探題并散花梵音錫杖對楊咒願師等可被加請之也〔至徳三年本〕
講師讀師註記竪者證義并探題唄散花梵音錫杖對揚呪願師等可被加請也〔宝徳三年本〕
講師讀師注記竪者證義探題并唄散花梵音錫杖對楊呪願師等可被加請之也〔建部傳内本〕
講-師讀-師注(チウ)-記(キ)竪(リツ)-者證-義探(タン)-題(ダイ)并ニ唄(バイ)散-花梵-音錫-杖對-揚呪(シユ)-願-師等尤可レ被二加-一請セヲ之一也〔山田俊雄藏本〕
講師讀師註記(チウキ)竪(シユ)者證議(シヤウキ)探題(タンタイ)竝ニ唄(バイ)散花梵音錫杖對揚咒(シユ)願師等可レ被ルレ加ヘ二請(セウ)之ヲ一也〔経覺筆本〕
講師(カウジ)。讀師(ドクシ)。註記(チウキ)。竪(リツ)者。證義(セウキ)。探題(タンタイ)。并ニ唄(バイ)。散華(サンゲ)。梵音(ホンヲン)。錫杖(シヤクシヤウ)。對揚(タイヤウ)。咒願師(シユクワンシ)等。可レ被レ加請(カシヤウ)布施以也候也〔文明十四年〕
と見え、茲で至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明十四年の古写本には「咒願師」とし、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本に「シユ(クワンシ)」、文明十四年に「シユクワンシ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「咒願」の語を未収載にしていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
561咒願 如二十佛名ノ一云也。〔謙堂文庫蔵五三右C〕
とあって、標記語「咒願」の語を収載し語注記は、「十佛名のごとく云ふなり」と記載する。
并ニ唄(ハイ)散花(サンゲ)梵音(ボンヲン)錫杖(シヤクチヤウ)對楊(タイヤウ)咒願(シユグワン)師(シ)等可レ被レ加二請(シヤウ)セ一也ト云モ皆々音職(ヲンシヨク)ナリ。音声ヲ以態(ワザ)ヲ成也。何共喩(タトヘ)ン樣ナシ。〔下29ウC・D〕
對揚(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)/對揚。咒願師等 對揚とハ佛の誓願(せいくわん)を言上る事也。咒願とハ仏に祈願(きくわん)を然る事也。〔79ウD・E〕
とあって、この標記語「咒願」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに)鎌華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大鎌會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)鎌服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シレ被レ進セラ二諷誦願文ヲ一。佛像。經巻。讃嘆者。不レ可カラレ有ル二子細一。堂塔供養。并ニ法華八講者。相二_當ル大法會儀式ニ一歟。可有ル二法服。登高座。大行-道等一。以二聖-道ノ名僧ヲ一。可シレ被レ遂ケ二其節ヲ一。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對揚。咒願師等。可キレ被レ加二請セヲ之一也。▲咒願師ハ修行(しゆぎやう)する所の法(ほふ)会の願文(ぐハんもん)を唱(とな)ふる役とぞ。〔58オA・B〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)レ被(る)レ進(しん)ぜら二諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)レ可(べから)レ有(ある)ル二子細(しさい)一堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)二當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に一歟(か)可(べし)有(ある)二法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)一以(もつて)二聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を一可(べし)レ被(る)レ遂(とげ)ら二其節(そのせつ)を一講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)レ被(る)レ加(か)二請(しやう)せら之(これ)を一也(なり)▲咒願師ハ修行( ぎやう)する所の法会の願文を唱(とな)ふる役とぞ。〔104オB〕
じゅ-ぐゎん〔名〕【咒願】(一)佛教の語、法會の時、施主の所願を、祈ること。又、其文。呪願文。盛衰記、廿七、信濃横田川原軍事「其時は、朝綱の宰相、勅に依て、呪願を書きて、驗ありと云へり、今度は、呪願の沙汰なし」(二)次條の語の略。太平記、二、南都北嶺行幸事「咒願は、時の座主、大塔尊運法親王にてぞ御座しける」〔2-0807-2〕
じゅぐゎん-し〔名〕【咒願師】法會の時、呪願の文を讀み上ぐる僧職。(前條を見よ)〔2-0807-2〕
じゅ‐がん[:グヮン]【呪願・咒願】〔名〕(「しゅがん」とも)仏語。(1)法会または食時(じきじ)に、法語を唱え、施主の幸福などを祈願すること。また、その祈願文。*万葉周〔八C後〕三・三二七・題詞「戯請二通観僧之咒願一時」*観智院本三宝絵〔九八四(永観二)〕中「女蟹をもちて寺に帰て行基碧して咒願せしめて谷河にはなつ」*雑談集〔一三〇五(嘉元三)〕五・呪願事「華厳経、大集経等に物ことに呪願(シユクヮン)すべしと見へたり」*源平盛衰記〔一四C前〕二七・周武王誅紂王事「朝綱の宰相、勅に依って呪願(シユグヮン)を書て、験ありといへり」(2)「じゅがんし(呪願師)」に同じ。*九暦‐逸文・天暦八年〔九五四(天暦八)〕一〇月一八日「以智淵律師為二呪願一」*左経記‐寛仁四年〔一〇二〇(寛仁四)〕三月二二日「御堂供養請僧〈略〉咒願 大僧都林懐、権大僧都澄円」*栄花物語〔一〇二八(長元元)〜九二頃〕玉の飾「山の座主・権僧正、導師・呪願仕うまつり給て」*太平記〔一四C後〕二・南都北嶺行幸事「御導師は妙法院尊澄法親王、咒(シユ)願は時の座主大塔尊雲法親王にてぞ御座しける」【発音】ジュガン〈標ア〉[0]
じゅがん‐し[ジュグヮン:]【呪願師】〔名〕仏語。法会のとき、呪願文を読む僧。必ず法会の大導師がこの役をつとめる。呪願。*庭訓往来〔一三九四(応永元)〜一四二八(正長元)頃〕「対揚、呪願師等」【発音】ジュガンシ〈標ア〉[カ゜]
對楊( ヤウ) 。〔元亀二年本135三〕〔静嘉堂本142三〕〔天正十七年本中3オ六〕
講師注記竪者證義并探題并散花梵音錫杖對揚咒願師等可被加請之也〔至徳三年本〕
講師讀師註記竪者證義并探題唄散花梵音錫杖對揚呪願師等可被加請也〔宝徳三年本〕
講師讀師注記竪者證義探題并唄散花梵音錫杖對揚呪願師等可被加請之也〔建部傳内本〕
講-師讀-師注(チウ)-記(キ)竪(リツ)-者證-義探(タン)-題(ダイ)并ニ唄(バイ)散-花梵-音錫-杖對-揚呪(シユ)-願-師等尤可レ被二加-一請セヲ之一也〔山田俊雄藏本〕
講師讀師註記(チウキ)竪(シユ)者證議(シヤウキ)探題(タンタイ)竝ニ唄(バイ)散花梵音錫杖對揚咒(シユ)願師等可レ被ルレ加ヘ二請(セウ)之ヲ一也〔経覺筆本〕
講師(カウジ)。讀師(ドクシ)。註記(チウキ)。竪(リツ)者。證義(セウキ)。探題(タンタイ)。并ニ唄(バイ)。散華(サンゲ)。梵音(ホンヲン)。錫杖(シヤクシヤウ)。對揚(タイヤウ)。咒願師(シユクワンシ)等。可∨被∨加請(カシヤウ)布施以也候也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「對揚」とし、訓みは、文明四年本に「タイヤウ」と記載する。
對楊 タイヤウ。〔黒川本・畳字門中10ウ四〕
對楊 ヤウ/〃面。〃座。〃决。〃問史記云宗主始之。〃捍。〃策シヤク。〔卷第四・畳字門444六〕
對揚(タイヤウ/コタウ・ムカウ、アガル)[去・平] 讀物(ヨミモノ)。〔態藝門353七〕
對揚( ヤウ) 。〔弘・言語進退門108二〕
對决(タイケツ) ―治(ヂ)。―揚(ヤウ)。―論/―捍(カン)。―面。〔永・言語門94九〕
對决(タイケツ) ―治。―揚。―論/―捍?退義。―面。―坐。〔堯・言語門86七〕
對决(タイケツ) ―治。―揚/―論。―捍?退義/―面。―坐。〔両・言語門105二〕
對治(タイヂ) ―談。―論。―揚(ヤウ)。―捍(カン)。―决(ケツ)。―面(メン)。―句(ク)。―座(サ)。〔言語門93四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「對揚」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
560散花梵音錫杖對楊 々々懺法ノ如ク‖我-今ノ|也。〔謙堂文庫蔵五三右C〕
とあって、標記語「對楊」の語を収載し、この語についての語注記は、「對揚懺法の我今の如くなり」と記載する。そして、古辞書においてはこの注記は見られない。
并ニ唄(ハイ)散花(サンゲ)梵音(ボンヲン)錫杖(シヤクチヤウ)對揚(たいやう)咒願(シユグワン)師(シ)等可∨被∨加‖請(シヤウ)セ|也ト云モ皆々音職(ヲンシヨク)ナリ。音声ヲ以態(ワザ)ヲ成也。何共喩(タトヘ)ン樣ナシ。〔下29ウ四・五〕
對揚(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)/對揚。咒願師等 對揚とハ佛の誓願(せいくわん)を言上る事也。咒願とハ仏に祈願(きくわん)を然る事也。〔79ウ五・六〕
とあって、この標記語「對揚」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對揚(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對揚。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。〔56ウ七〜58オ一・二〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對揚(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)。〔104オ一〜三〕
Taiyo<.l,taiyo<na.タイヤゥ,または,タイヤゥナ(対揚または,対揚な) 形状,質,力などが同じである(こと).¶Tauyo<na aite(対揚な相手)同等の競争相手.〔邦訳606r〕
たい-やう〔名〕【對揚】(一)匹敵(つりあ)はすること。庚申、樂章「幽顯對揚、人~咫尺」太平記、廿、越後勢越越前事「然れども敵に對揚すべき程の勢ならねば」古今著聞集、七、能書「抑、天下に道にたづさはる人、おほけれども、御邊の道におきては、又對揚なし」(二)それに答へて、其旨を稱揚すること。書經、君牙篇「奉二若于先王一、對二揚文武之光命一」同、説命、下篇「敢對二揚天子之休命一」(三)佛教の語。法會などの時に、佛前にて偈(ゲ)を唱ふること。又、其僧。江家次第、七、最勝講「散華師申二對揚一」庭訓往來、九月「梵音、錫杖、對揚、呪願師」(四)禪林にて、學人に對して、宗旨を擧揚(コヤウ)すること。碧巌録、第十九則「對揚深愛老倶胝」〔1211-1〕
講師注記竪者證義并探題并散花梵音錫杖對楊咒願師等可被加請之也〔至徳三年本〕
講師讀師註記竪者證義并探題唄散花梵音錫杖對揚呪願師等可被加請也〔宝徳三年本〕
講師讀師注記竪者證義探題并唄散花梵音錫杖對楊呪願師等可被加請之也〔建部傳内本〕
講-師讀-師注(チウ)-記(キ)竪(リツ)-者證-義探(タン)-題(ダイ)并ニ唄(バイ)散-花梵-音錫-杖對-揚呪(シユ)-願-師等尤可レ被二加-一請セヲ之一也〔山田俊雄藏本〕
講師讀師註記(チウキ)竪(シユ)者證議(シヤウキ)探題(タンタイ)竝ニ唄(バイ)散花梵音錫杖對揚咒(シユ)願師等可レ被ルレ加ヘ二請(セウ)之ヲ一也〔経覺筆本〕
講師(カウジ)。讀師(ドクシ)。註記(チウキ)。竪(リツ)者。證義(セウキ)。探題(タンタイ)。并ニ唄(バイ)。散華(サンゲ)。梵音(ホンヲン)。錫杖(シヤクシヤウ)。對揚(タイヤウ)。咒願師(シユクワンシ)等。可∨被∨加請(カシヤウ)布施以也候也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「梵音」とし、訓みは、文明四年本に「ホンヲン」と記載する。
梵音深妙(ボンヲンジンメウ/ハンイン、キミ、コヱ・サト、フカシ、タヘナリ)[去・平・平・○] 。〔態藝門107五〕
560散花梵音錫杖對楊 々々懺法ノ如ク‖我-今ノ|也。〔謙堂文庫蔵五三右C〕
とあって、標記語「梵音」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
并ニ唄(ハイ)散花(サンゲ)梵音(ボンヲン)錫杖(シヤクチヤウ)對楊(タイヤウ)咒願(シユグワン)師(シ)等可∨被∨加‖請(シヤウ)セ|也ト云モ皆々音職(ヲンシヨク)ナリ。音声ヲ以態(ワザ)ヲ成也。何共喩(タトヘ)ン樣ナシ。〔下29ウ四・五〕
梵音(ぼんおん)/梵音 梵音ハ天竺の音聲を云。經をとなへる事なり。又唱物の名ともいふなり。〔79ウ四・五〕
とあって、この標記語「梵音」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對揚。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。▲梵音衆錫杖衆ハ散花師の後(あと)に残(のこ)りて左右に對揚(たいやう)し梵音を唱(とな)へ終(をハ)れバ錫杖を振(ふつ)て文(もん)を唱ふ。以上四役(やく)を四箇(か)の法用(ほふよう)といふ。法会(ほふゑ)の始(はしめ)也。〔56ウ七〜58オ一・二〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)▲梵音衆錫杖衆ハ散花師の跡(あと)に残りて左右(いう)に對揚(たいやう)し梵音を唱へ終れバ錫杖を振て文を唱ふ。以上四役を四箇(か)の法用といふ。法会の始(はしめ)也。〔104オ一〜三〕
‡Bonuon.ボンノン(梵音) より正しくはBonuon(梵音)である。イゲレジヤ(Igreja教会)〔寺院〕における荘厳な勤行とか,葬儀・法事とかの場合に,読誦し始め,音頭を取る人.※原文はexequias.〔Butcujiの注〕〔邦訳61l〕
ぼん-おん〔名〕【梵音】〔大梵天王の發する音聲の意〕(一)佛の音聲。五種清淨の音ありと云ふ。法華文句「佛報得清淨音聲、長妙號爲二梵音一」三藏法數、三十二「梵音者、即大梵天王所出之聲、而有二五種清淨之音一也」(二)ぼんばい(梵唄)に同じ。法華經、普門品「梵音、海潮音」(三)讀經の聲の稱。許相卿、月林精舎「月午天霜破衲寒、梵音蕭颯度二林端一」太平記、廿四、大佛供養事「天花(ゲ)風に繽紛として、梵音雲に悠揚す、上古にも末代にも、難レ有かりし供養也」〔1854-1〕
講師注記竪者證義并探題并散花梵音錫杖對楊咒願師等可被加請之也〔至徳三年本〕
講師讀師註記竪者證義并探題唄散花梵音錫杖對揚呪願師等可被加請也〔宝徳三年本〕
講師讀師注記竪者證義探題并唄散花梵音錫杖對楊呪願師等可被加請之也〔建部傳内本〕
講-師讀-師注(チウ)-記(キ)竪(リツ)-者證-義探(タン)-題(ダイ)并ニ唄(バイ)散-花梵-音錫-杖對-揚呪(シユ)-願-師等尤可レ被二加-一請セヲ之一也〔山田俊雄藏本〕
講師讀師註記(チウキ)竪(シユ)者證議(シヤウキ)探題(タンタイ)竝ニ唄(バイ)散花梵音錫杖對揚咒(シユ)願師等可レ被ルレ加ヘ二請(セウ)之ヲ一也〔経覺筆本〕
講師(カウジ)。讀師(ドクシ)。註記(チウキ)。竪(リツ)者。證義(セウキ)。探題(タンタイ)。并ニ唄(バイ)。散華(サンゲ)。梵音(ホンヲン)。錫杖(シヤクシヤウ)。對揚(タイヤウ)。咒願師(シユクワンシ)等。可∨被∨加請(カシヤウ)布施以也候也〔文明四年本〕
と見え、茲で至徳三年本が此の語を脱語している以外は、宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「散花」とし、訓みは、文明四年本に「サンゲ」と記載する。
散花 。〔黒川本・畳字門下41ウ八〕
このように、上記当代の古辞書においては、三卷本『色葉字類抄』に標記語「散花」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。何故室町時代の古辞書に収載されずじまいなのか問わねばなるまい。また、下記『大言海』が引用する室町時代の『鮮嚢鈔』卷第十・一に此の語が見えていることに注意しておきたい。
560散花梵音錫杖對楊 々々懺法ノ如ク‖我-今ノ|也。〔謙堂文庫蔵五三右C〕
とあって、標記語「散花」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
并ニ唄(ハイ)散花(サンゲ)梵音(ボンヲン)錫杖(シヤクチヤウ)對楊(タイヤウ)咒願(シユグワン)師(シ)等可∨被∨加‖請(シヤウ)セ|也ト云モ皆々音職(ヲンシヨク)ナリ。音声ヲ以態(ワザ)ヲ成也。何共喩(タトヘ)ン樣ナシ。〔下29ウ四・五〕
并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)/并ニ唄散花 法事の時経文を唱なから帋にて作りし花ひらをまきちらす事なり。唄ハ経文をとなへる事なり。又唱物の名ともいふなり。〔79ウ三・四〕
とあって、この標記語「散花」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。。▲散花師ハ唄(ばい)をハると其まゝ立て造花(つくりばな)をまき散(ちら)す役。〔56ウ七〜58オ一〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)▲散花師ハ唄をハると其(その)まゝ立て造花(つくり )をまき散す役。〔103ウ六〜104オ一〕
†Baisangue.バイサンゲ(唄散華) 坊主(bozos)が歌を歌い,花をまき散らしながら行なう,儀式の一種.〔邦訳47r〕
さん-げ〔名〕【散華】佛教の法會に行ふ儀式の一。紙にて作れる、五色の蓮辨を、數枚、華籠(けこ)に盛り、讀經、行道(ギヤウダウ)しつつ、蒔き散らすなり。鮮嚢鈔、十、大法會、四箇法用「散華は、花開清淨、妙色妙香、散諸佛刹、若し、華、開くる事あれば、諸佛來て坐したまふ、云云。故に、(是故ニ。下界ノ中ニハ。花ヲ以テ。爲‖淨土ト|。色ヲ見香ヲ聞クニ。諸ノ鬼~等嫌∨之ヲ猶シ人天ノ糞穢ヲ。キタナムニ過タリト。所以(コノユヘ)ニ)、花を散し、惡~の障礙を宥(しりぞ)け、佛を請じて、志願を成ずる也」同卷、七僧法會「講師、讀師、呪願師、三禮、唄師、散華、堂達也」〔0834-5〕*省略部分を()内に補足記載した。
講師注記竪者證義并探題并散花梵音錫杖對楊咒願師等可被加請之也〔至徳三年本〕
講師讀師註記竪者證義并探題唄散花梵音錫杖對揚呪願師等可被加請也〔宝徳三年本〕
講師讀師注記竪者證義探題并唄散花梵音錫杖對楊呪願師等可被加請之也〔建部傳内本〕
講-師讀-師注(チウ)-記(キ)竪(リツ)-者證-義探(タン)-題(ダイ)并ニ唄(バイ)散-花梵-音錫-杖對-揚呪(シユ)-願-師等尤可レ被二加-一請セヲ之一也〔山田俊雄藏本〕
講師讀師註記(チウキ)竪(シユ)者證議(シヤウキ)探題(タンタイ)竝ニ唄(バイ)散花梵音錫杖對揚咒(シユ)願師等可レ被ルレ加ヘ二請(セウ)之ヲ一也〔経覺筆本〕
講師(カウジ)。讀師(ドクシ)。註記(チウキ)。竪(リツ)者。證義(セウキ)。探題(タンタイ)。并ニ唄(バイ)。散華(サンゲ)。梵音(ホンヲン)。錫杖(シヤクシヤウ)。對揚(タイヤウ)。咒願師(シユクワンシ)等。可∨被∨加請(カシヤウ)布施以也候也〔文明四年本〕
と見え、茲で至徳三年本が此の語を脱語している以外は、宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「唄」とし、訓みは、山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本ともに「バイ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「唄」の語は未収載あって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。唯一下記に示す『日葡辞書』にあるのみか。
559并唄(ハイ) 々ハ梵語、散花。此ニハ反‖讃嘆ト|、歌唄声明引声等也。此ハ魏文帝時始ト云。此王弟入‖相山ニ|時、岩穴ニ声有ヲ聞ヨリ始ト云。又陳思王登‖魚山ニ|、岩屈ニ声聞ト云ルナリ、散花或云。加来唄ハ、顕ノ時声下(ヒキ)シ、散花云何、唄ハ密ニ灌頂滿陀羅々漢救、同出家唄、剃髪之時也。又律・布薩頗利唄散、四ケ法用ノ時ハ始段唄散花梵音錫杖是即四ケ法用也。錫杖ハ九-手ノ錫杖、自‖常ノ錫杖|短シ。異貫花ハ天竺ニハ花ヲ絲ニ貫テ賣也。散花ハ只不シテ∨實賣也。散花ハ落花。翫貫花ハ々ノ枝ニ付テ津暮弥(ツホミ)開ヲ喜類也。讃嘆此ハ反‖歌唄ト|、梵ニハ云‖婆師|声長歌ト云也。〔謙堂文庫蔵五二左G〕
とあって、標記語「唄」の語を収載し、この語についての語注記は、「唄は梵語<略>此は、魏の文帝の時始ると云ふ。此の王弟相山に入る時、岩穴に声有るを聞くより始ると云ふ。また、陳思王魚山に登り、岩屈に声聞くと云るなり<略>唄は、密に灌頂滿陀羅々漢救、同じく出家唄、剃髪の時なり。また、律・布薩頗利唄散、四ケ法用の時は、始めに段唄・散花・梵音・錫杖、是れ即ち四ケ法用なり」と記載する。
并ニ唄(ハイ)散花(サンゲ)梵音(ボンヲン)錫杖(シヤクチヤウ)對楊(タイヤウ)咒願(シユグワン)師(シ)等可∨被∨加‖請(シヤウ)セ|也ト云モ皆々音職(ヲンシヨク)ナリ。音声ヲ以態(ワザ)ヲ成也。何共喩(タトヘ)ン樣ナシ。〔下29ウ四・五〕
并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)/并ニ唄散花 法事の時経文を唱なから帋にて作りし花ひらをまきちらす事なり。唄ハ経文をとなへる事なり。〔79ウ三・四〕
とあって、この標記語「唄」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。▲唄師ハ最初(さいしよ)に聲明(しやうミやう)をなして仏コ(ふつとく)を讃(さん)する役。〔56ウ七〜58オ一〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)▲唄師ハ最初(さい )に聲明をなして仏コを讃(さん)する役。〔103ウ六〜104オ一〕
†Baisangue.バイサンゲ(唄散華) 坊主(bozos)が歌を歌い,花をまき散らしながら行なう,儀式の一種.〔邦訳47r〕
講師注記竪者證義并探題并散花梵音錫杖對楊咒願師等可被加請之也〔至徳三年本〕
講師讀師註記竪者證義并探題唄散花梵音錫杖對揚呪願師等可被加請也〔宝徳三年本〕
講師讀師注記竪者證義探題并唄散花梵音錫杖對楊呪願師等可被加請之也〔建部傳内本〕
講-師讀-師注(チウ)-記(キ)竪(リツ)-者證-義探(タン)-題(ダイ)并ニ唄(バイ)散-花梵-音錫-杖對-揚呪(シユ)-願-師等尤可レ被二加-一請セヲ之一也〔山田俊雄藏本〕
講師讀師註記(チウキ)竪(シユ)者證議(シヤウキ)探題(タンタイ)竝ニ唄(バイ)散花梵音錫杖對揚咒(シユ)願師等可レ被ルレ加ヘ二請(セウ)之ヲ一也〔経覺筆本〕
講師(カウジ)。讀師(ドクシ)。註記(チウキ)。竪(リツ)者。證義(セウキ)。探題(タンタイ)。并ニ唄(バイ)。散華(サンゲ)。梵音(ホンヲン)。錫杖(シヤクシヤウ)。對揚(タイヤウ)。咒願師(シユクワンシ)等。可∨被∨加請(カシヤウ)布施以也候也〔文明四年本〕
と見え、茲で至徳三年本が此の語を脱語している以外は、宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「證義」とし、訓みは、経覺筆本に「シヤウギ」、文明四年本に「セウキ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「證議」の語は未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
557證議 問者講師ノ云イ得ル処ヲ批判シテ决明スル者也。〔謙堂文庫蔵五二左G〕
とあって、標記語「證議」の語を収載し、この語についての語注記は、「問者、講師の云い得る処を批判して决明する者なり」と記載する。
證議(せウギ)ハ勤行(ゴンギヤウ)奉行(ブギヤウ)ナリ。〔下29ウ三・四〕
證義(しやうぎ)/證義 論議の判者也。〔79ウ三〕
とあって、この標記語「證議」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。〔56ウ七〜57オ五・六〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)。〔102ウ五〜103オ一〕
讀師(ドクシ) 歌。〔元亀二年本56七〕
讀師( シ) 歌。〔静嘉堂本63七〕〔天正十七年本上32ウ六〕〔西來寺本〕
講師注記竪者證義并探題并散花梵音錫杖對楊咒願師等可被加請之也〔至徳三年本〕
講師讀師註記竪者證義并探題唄散花梵音錫杖對揚呪願師等可被加請也〔宝徳三年本〕
講師讀師注記竪者證義探題并唄散花梵音錫杖對楊呪願師等可被加請之也〔建部傳内本〕
講-師讀-師注(チウ)-記(キ)竪(リツ)-者證-義探(タン)-題(ダイ)并ニ唄(バイ)散-花梵-音錫-杖對-揚呪(シユ)-願-師等尤可レ被二加-一請セヲ之一也〔山田俊雄藏本〕
講師讀師註記(チウキ)竪(シユ)者證議(シヤウキ)探題(タンタイ)竝ニ唄(バイ)散花梵音錫杖對揚咒(シユ)願師等可レ被ルレ加ヘ二請(セウ)之ヲ一也〔経覺筆本〕
講師(カウジ)。讀師(ドクシ)。註記(チウキ)。竪(リツ)者。證義(セウキ)。探題(タンタイ)。并ニ唄(バイ)。散華(サンゲ)。梵音(ホンヲン)。錫杖(シヤクシヤウ)。對揚(タイヤウ)。咒願師(シユクワンシ)等。可∨被∨加請(カシヤウ)布施以也候也〔文明四年本〕
と見え、茲で至徳三年本が此の語を脱語している以外は、宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「讀師」とし、訓みは、文明四年本に「ドクシ」と記載する。
讀師 トクシ。〔黒川本・人倫門上44ウ六〕
讀師 。〔卷第二・人倫門386一〕
讀師(ドクシ) 歌道。〔言辞門44六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「讀師」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
555讀師註記(−ギ) 註記ハ禪ノ蔵主ノ位也。〔謙堂文庫蔵五二左E〕
とあって、標記語「讀師」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
讀師(ドクシ)ハ經(キヤウ)ヲ始(ハシム)ル人ナリ。〔下29ウ三〕
讀師(とくし)/讀師 衆僧讀經の音頭(おんとう)となる僧なり。〔79ウ二〕
とあって、この標記語「讀師」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。▲讀師ハ法会(ほふゑ)の經文を訓讀(くんどく)する僧。〔56ウ七〜57ウ七・八〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)▲讀師ハ法会(ゑ)の經文を訓讀する僧。〔103ウ五〕
どく-し〔名〕【讀師】(一)ものよみ。講釋。(二)古へ、諸國の國分寺におかれたる僧官。こうし(講師)の條を見よ。(三)經論講説の法會などに、講師と相對して、佛前の高座に登り、經題を讀みあげることを掌る役僧。榮花物語、音樂「佛の御前の庭に、講師、讀師の高座、左右にたてて、上に、えもいはずめでたき寳蓋おほひたり」(四)詩、又は、歌の會などにて、人人の作品を讀みあぐる役の人。袋草紙、一、和歌會次第「儀式之時、多用二四位一、次歌人應召近參候、次讀師進寄二文臺下一、取重置レ之」中右記、大治五年九月十七日「別當宰相、師時、伊通、予依レ爲二當座上臈一、勤二讀師一」〔1397-2〕
行道( ダウ) 。〔元亀二年本284一〕
行道( タウ) 。〔静嘉堂本325五〕
可有法服登高座大行道等以聖道名僧可被成其節〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
可有法服登高座大行道等聖道名僧可被成其節〔建部傳内本〕
可∨有‖法-服。登-高-座大-行-道等|以テ‖聖-道ノ名-僧ヲ|可シ∨被∨成‖其_節ヲ|〔山田俊雄藏本〕
可∨有‖法服登(トノ)高座大行道等|以テ‖聖道ノ名僧ヲ|可シ∨被∨成‖其節(フシ)ヲ|〔経覺筆本〕
可∨有ル‖法服(ホウフク)。登高座(トウカウザ)。大行導(キヤウタウ)等。以∨聖道名(メイ)僧ヲ|。可∨被∨成サ∨其節(せツ)ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本の古写本は、「大行道」とし、文明四年本だけが「大行導」と表記していて訓みは、文明四年本に「(タイ)キヤウタウ」と記載する。
行道 法會部/キヤウタウ。〔黒川本・畳字門下50オE〕
行幸 〃道。〃年。〃程。〃人。〃頸。〃力。〃事。〃啓。〃遁。〃法。〔卷第八・畳字門520六〕
行道(ギヤウ・ヲコナウ、ダウ/カウ・ツナク・ツラナル、ミチ)[平去・上] 。〔態藝門852五〕
行道(ギヤウダウ) ―儀(ギ)。―法(ボフ)。―證(シヨウ)。―水(ズイ)。―業(ゴフ)。―幸(ガウ)。―歩(ブ)。―力(リキ)。―用(ヨウ)。―?(ジヤウ)。〔言辞門190五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「行道」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
554法服可有‖登ノ高座大行-道等|以‖聖-道ノ名僧ヲ|可∨被∨成‖其ノ節ヲ|講師 上‖本壇|法花ヲ講スル也。〔謙堂文庫蔵五二左D〕
とあって、標記語「大行道」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
大行(ギヤウ)-道(タウ)等一以二如レ常列座(レツザ)ノ衆諷ト云フテ。仏前ニシテ廻(メク)ル事ナリ。〔下29ウ一〕
大行道(たいけうとう)等(とう)/大行道等上 衆僧仏前に於て行列(きやうれつ)を調へ經を誦しなから右に行左にまかりて廻るを行道といふなり。〔79オ一〜四〕
とあって、この標記語「大行道」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。▲大行道ハ仏前(ぶつぜん)をめぐりて讀經(とくきやう)する也。〔56ウ七〜57ウ七〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)大行道ハ仏前をめぐりて讀經する也。〔102ウ五〜103オ一〕
Guio<do<.ギャゥダゥ(行道) Yuqi michi.(行く道)礼拝行列のようにして練り歩くこと,あるいは,進んで行くこと.〔邦訳301l〕
ぎゃう-だう〔名〕【行道】佛法に、衆僧、列をなして、佛像、佛堂の周圍(まはり)を廻(めぐ)りあるくこと。天竺の俗に、崇むる所は、禮後に旋繞す、歸敬の至なり。遶佛繞行。源氏物語、三十七、鈴蟲3「堂、飾りはてて、講師參(ま)うのぼり、ぎゃうだうの人人、參りつどひたまへば」榮花物語、十七、音樂「事ども始まりぬれば、左右に分れて行道す、云云、行道終りて、左の方は、五大堂の南の庇につきぬ」齊明紀、四年十一月「馬、自、行三道ス於二寺ノ金堂一」〔0494-1〕
高座( ザ) 。〔元亀二年本91二〕〔静嘉堂本112四〕
高座( サ) 。〔天正十七年本上55オ七〕〔西來寺本〕
可有法服登高座大行道等以聖道名僧可被成其節〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
可有法服登高座大行道等聖道名僧可被成其節〔建部傳内本〕
可∨有‖法-服。登-高-座大-行-道等|以テ‖聖-道ノ名-僧ヲ|可シ∨被∨成‖其_節ヲ|〔山田俊雄藏本〕
可∨有‖法服登(トノ)高座大行道等|以テ‖聖道ノ名僧ヲ|可シ∨被∨成‖其節(フシ)ヲ|〔経覺筆本〕
可∨有ル‖法服(ホウフク)。登高座(トウカウザ)。大行導(キヤウタウ)等。以∨聖道名(メイ)僧ヲ|。可∨被∨成サ∨其節(せツ)ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「登高座」とし、訓みは、文明四年本に「トウカウザ」と記載する。
高座 俗/カウサ。〔黒川本・雜物門上80ウ一〕
高座 カウサ。〔卷三・雜物門211四〕
講座(カウザ/マツリ・カンガウ、ナカ)[上・去] 或作二高座一。〔態藝門255六〕
講座(カウザ) 或云高座。〔弘・天地門75三〕〔永・天地門74四〕
講座(カウザ) 或高―。〔両・天地門80一〕
高座(カウザ) 。〔乾坤門69三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「高座」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
554法服可有‖登ノ高座大行-道等|以‖聖-道ノ名僧ヲ|可∨被∨成‖其ノ節ヲ|講師 上‖本壇|法花ヲ講スル也。〔謙堂文庫蔵五二左D〕
とあって、標記語「高座」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
登高座(トウカウザ)トハ。講師(カウシ)ノアガリテ論議(ロンギ)博(ヒロ)ク著(アラハ)スル座(ザ)ナリ。〔下29オ八〜ウ一〕
高座(かうざ)に登(のぼり)/登リ二高座ニ一 導師の登りて論議する座なり。〔79オ一〜四〕
とあって、この標記語「高座」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。▲登高座ハ大法会(たいほふゑ)の節(せつ)左右(さいう)に對(たい)し設(もう)けて讀師と講(こう)師とのあがる座(ざ)也。〔56ウ七〜57ウ六・七〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)▲登高座ハ大法会の節左右(さいう)に對(たい)し設(まう)けて讀師と講(こう)師とのあがる座(ざ)也。〔102ウ五〜103ウ三・四〕
Co<za.カゥザ(高座) Tacai za.(高い座)説教壇,すなわち,経を読んだり説教をしたりする高い所.〔邦訳158r〕
かう-ざ〔名〕【高座】講釋、説法、などの席に、一段高くして、講師の坐(すわ)る座。世説、文學、下篇「向二高座一者」李白詩「黄金獅子承二高座一、白玉鹿尾談二重玄一」玄蕃寮式「正月、最勝王經齋會堂、裝二高座二具一」〔0342-3〕
法服(ホウブク)トハ。導師(タウシ)ニ着(キ)スル衣(コロモ)ナリ。〔下29オ八〕
大法会(だいほうゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あた)る歟(か)法服(ほうふく)して/相‖_當ル大法會ノ儀式ニ|歟。可レ有下‖法服シテ 導師の着る衣なり。〔79オ一〜四〕
とあって、この標記語「法服」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。▲法服ハ導(たう)師の着(き)る衣(ころも)也。〔56ウ七〜57ウ六〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)▲法服ハ導師の着る衣也。〔103ウ三〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法華八講者相當大法会儀式者〔至徳三年本〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法花八講者相當大法會儀式〔宝徳三年本〕
仏像經巻讃嘆者不可有子細堂塔供養并法華八講者相當大法会儀式歟〔建部傳内本〕
仏像經巻讃嘆ハ者不∨可∨有‖子細|候堂塔供養并ニ法花ノ八講ハ者相‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔山田俊雄藏本〕
仏像經巻ノ讃嘆者(ハ)不∨可∨有ル‖子細|堂塔ノ供養并ニ法花ノ八講者(ハ)相( イ)‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔経覺筆本〕
佛像(サウ)經(キヤウ)巻ノ讃嘆(サンタン)者不∨可∨有‖子細|堂塔供養(クヤウ)并ニ法花(ホツケ)ノ八講(カウ)者相‖_當ル大法會ノ儀式(シキ)ニ歟(カ)〔文明四年本〕 ※式(シキ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「儀式」とし、訓みは、文明四年本に「(ギ)シキ」と記載する。
儀式 同(公卿部)/キシキ。〔畳字門下50ウ一〕
儀形 〃式。〃軌ク井。〃則。〃伏フク。〔畳字門八531四〕
義式(ギシキ) 。〔弘・言語進退221六〕
義理(ギリ) ―式(シキ)。―定(チヤウ)/―絶(ぜツ)。〔永・言語門184八〕
義理(ギリ) ―式。―定/―絶。〔堯・言語門174三〕
儀式(ギシキ) 。〔言辞門190一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「儀式」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
553佛像經巻ノ讃嘆者不∨可∨有‖子細|堂塔供養并法花ノ八講者相‖_當大法會ノ儀式ニ歟 八講ハ法花問答講也。後二条関白御悩ノ時、北ノ政所三ノ願有リ。一ニハ大鳥{山王ノ}井ヨリ始テ社々ノ御宝前ヨリ此社ニ至マテ造‖-懸ント廻廊ヲ|也。二ハ八王子ノ外(シタ)ト殿ニ候ナル諸ノ頑-人ト交リ庭ノ拂∨塵ヲ一千日ノ宮仕セント也。三ハ毎日法花問答末代怠(アテ)也。兩ノ願ハ不‖承ハリ給ハ|也。問答神喜コヒ三年ノ命延給也。紀伊国田中庄ヲハ八王子ニ起-進シテ毎日問答也。法花ノ論義也。役者八人シテ問答也。問答八人答者八人也。〔謙堂文庫蔵五二右H〕
とあって、標記語「儀式」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
願(グハン)文ヲ|佛像(サウ)經巻(クハン)讃嘆(サンダン)者(ハ)不∨可∨有‖子細(シサイ)|堂塔(ダウタウ)供養(クヤウ)。并ニ法花(ホツケ)八講(カウ)ハ者相(アヒ)‖_當(アタル)カ大法會(エ)ノ儀式(キシキ)ニ|歟。可∨有‖願文(グハンモン)ハ。佛陀(ブツダ)ノ。コトヲ。ヨミ上ルナリ。〔下29オ六〜八〕
大法会(だいほうゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あた)る歟(か)法服(ほうふく)して/相‖_當ル大法會ノ儀式ニ|歟。可レ有下‖法服シテ 導師の着る衣なり。〔79オ一〜四〕
とあって、この標記語「儀式」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。〔56ウ七〜57オ五・六〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)。〔102ウ五〜103オ一〕
Guixiqi.ギシキ(儀式) 何かの祭事,宴会,結婚などが行なわれる儀式,盛典.〔邦訳303r〕
ぎ-しき〔名〕【儀式】公事、祭事、祝儀など行ふ手續の作法。詩經、周頌、我將編「儀式、刑二文王之典一」晉書、律暦志「儀式乃備」落窪物語、四「裝束(サウゾク)ども、しつらひたるぎしき、いとめでたし」〔0464-3〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法華八講者相當大法会儀式者〔至徳三年本〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法花八講者相當大法會儀式〔宝徳三年本〕
仏像經巻讃嘆者不可有子細堂塔供養并法華八講者相當大法会儀式歟〔建部傳内本〕
仏像經巻讃嘆ハ者不∨可∨有‖子細|候堂塔供養并ニ法花ノ八講ハ者相‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔山田俊雄藏本〕
仏像經巻ノ讃嘆者(ハ)不∨可∨有ル‖子細|堂塔ノ供養并ニ法花ノ八講者(ハ)相( イ)‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔経覺筆本〕
佛像(サウ)經(キヤウ)巻ノ讃嘆(サンタン)者不∨可∨有‖子細|堂塔供養(クヤウ)并ニ法花(ホツケ)ノ八講(カウ)者相‖_當ル大法會ノ儀式(シキ)ニ歟(カ)〔文明四年本〕 ※式(シキ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「相當」とし、訓みは、山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の三本は、「(あいあた)る」と訓読している。
相當(サウタウ/アウ、アタル)[平去・平去] 。〔態藝門786四〕
相當(サウタウ) 。〔弘・言語進退門214六〕
相續(サウゾク) ―應(ヲウ)。―違(イ)。―當(タウ)。―博(バク)アイカエル/―傳(デン)。―論(ロン)。―加(カ)。〔永・言語門178三〕
相續(サウゾク) ―應。―違。―當。―博/―傳。―論。―加。―通。〔堯・言語門167四〕
相論(サウロン) ―好(カウ)。―傳(デン)。―對(タイ)。―順(シタガフ)。―生(シヤウ)。―當(タウ)/―違(イ)。―續(ゾク)。―尅(コク)。―承(ゼウ)。―應(ヲウ)。〔言辞門180七〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』や他『節用集』に標記語「相當」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
553佛像經巻ノ讃嘆者不∨可∨有‖子細|堂塔供養并法花ノ八講者相‖_當大法會ノ儀式ニ歟 八講ハ法花問答講也。後二条関白御悩ノ時、北ノ政所三ノ願有リ。一ニハ大鳥{山王ノ}井ヨリ始テ社々ノ御宝前ヨリ此社ニ至マテ造‖-懸ント廻廊ヲ|也。二ハ八王子ノ外(シタ)ト殿ニ候ナル諸ノ頑-人ト交リ庭ノ拂∨塵ヲ一千日ノ宮仕セント也。三ハ毎日法花問答末代怠(アテ)也。兩ノ願ハ不‖承ハリ給ハ|也。問答神喜コヒ三年ノ命延給也。紀伊国田中庄ヲハ八王子ニ起-進シテ毎日問答也。法花ノ論義也。役者八人シテ問答也。問答八人答者八人也。〔謙堂文庫蔵五二右H〕
とあって、標記語「相當」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
願(グハン)文ヲ|佛像(サウ)經巻(クハン)讃嘆(サンダン)者(ハ)不∨可∨有‖子細(シサイ)|堂塔(ダウタウ)供養(クヤウ)。并ニ法花(ホツケ)八講(カウ)ハ者相(アヒ)‖_當(アタル)カ大法會(エ)ノ儀式(キシキ)ニ|歟。可∨有‖願文(グハンモン)ハ。佛陀(ブツダ)ノ。コトヲ。ヨミ上ルナリ。〔下29オ六〜八〕
大法会(だいほうゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あた)る歟(か)法服(ほうふく)して/相‖_當ル大法會ノ儀式ニ|歟。可レ有下‖法服シテ 導師の着る衣なり。〔79オ一〜四〕
とあって、この標記語「相當る」の語をもって収載し、語注記未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。〔56ウ七〜57オ五・六〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)。〔102ウ五〜103オ一〕
Ai atari,u,atta.アイアタリ,ル,ッタ(相当) Ataru(当る)の条を見よ.〔邦訳16l〕
So<to<.サゥタゥ(相当) Aiataru.(相当る)ふさわしいこと,あるいは,あてはまること.§So<to< xita coto.(相当したこと)ふさわしいこと.〔邦訳578l〕
さう-たう〔名〕【相當】あひ、あたること。ふさはしきこと。程善く、釣合ふこと。理に適(かな)ふこと。相應(サウオウ)。漢書、武帝紀、注「角抵者。兩兩相當」〔0771-5〕
法花( ケ) 佛八ケ年説之。〔元亀二年本42七〕
法花(ホツケ) 佛八ケ季ニ説∨之ヲ。〔静嘉堂本46七〕
法花(ホツケ) 佛八ケ年説之。〔天正十七年本上24オ七〕〔西來寺本〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法華八講者相當大法会儀式者〔至徳三年本〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法花八講者相當大法會儀式〔宝徳三年本〕
仏像經巻讃嘆者不可有子細堂塔供養并法華八講者相當大法会儀式歟〔建部傳内本〕
仏像經巻讃嘆ハ者不∨可∨有‖子細|候堂塔供養并ニ法花ノ八講ハ者相‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔山田俊雄藏本〕
仏像經巻ノ讃嘆者(ハ)不∨可∨有ル‖子細|堂塔ノ供養并ニ法花ノ八講者(ハ)相( イ)‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔経覺筆本〕
佛像(サウ)經(キヤウ)巻ノ讃嘆(サンタン)者不∨可∨有‖子細|堂塔供養(クヤウ)并ニ法花(ホツケ)ノ八講(カウ)者相‖_當ル大法會ノ儀式(シキ)ニ歟(カ)〔文明四年本〕 ※式(シキ)。
と見え、至徳三年本と建部傳内本は、「法華」と表記し、宝徳三年本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「法花」とし、訓みは、文明四年本に「ホツケ」と記載する。
法華(ホウクワ) 。〔弘・言語進退門34六〕
法文(モン) ―會(エ)。―令(リヤウ)。―相(ホツサウ)。―用(ヨウ)。―家(ケ)。―華(ホツケ)。―門(モン)。―談(タン)。―條(デウ)。―樂(ラク)。―務(ム)。―式(シキ)。〔永・言語門34六〕
法文(ホウモン) ―會。―令。―用。―家。―華。―門/―談。―條。―樂。―務。―式。―衣/―流。〔堯・言語門31七〕
法華(ホツケ) 。〔両・言語門38四〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』・饅頭屋本『節用集』に標記語「法花」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。ここで、『運歩色葉集』の語注記は合致しない。
553佛像經巻ノ讃嘆者不∨可∨有‖子細|堂塔供養并法花ノ八講者相‖_當大法會ノ儀式ニ歟 八講ハ法花問答講也。後二条関白御悩ノ時、北ノ政所三ノ願有リ。一ニハ大鳥{山王ノ}井ヨリ始テ社々ノ御宝前ヨリ此社ニ至マテ造‖-懸ント廻廊ヲ|也。二ハ八王子ノ外(シタ)ト殿ニ候ナル諸ノ頑-人ト交リ庭ノ拂∨塵ヲ一千日ノ宮仕セント也。三ハ毎日法花問答末代怠(アテ)也。兩ノ願ハ不‖承ハリ給ハ|也。問答神喜コヒ三年ノ命延給也。紀伊国田中庄ヲハ八王子ニ起-進シテ毎日問答也。法花ノ論義也。役者八人シテ問答也。問答八人答者八人也。〔謙堂文庫蔵五二右H〕
とあって、標記語「法花」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
願(グハン)文ヲ|佛像(サウ)經巻(クハン)讃嘆(サンダン)者(ハ)不∨可∨有‖子細(シサイ)|堂塔(ダウタウ)供養(クヤウ)。并ニ法花(ホツケ)八講(カウ)ハ者相(アヒ)‖_當(アタル)カ大法會(エ)ノ儀式(キシキ)ニ|歟。可∨有‖願文(グハンモン)ハ。佛陀(ブツダ)ノ。コトヲ。ヨミ上ルナリ。〔下29オ六〜八〕
堂塔(だうたう)供養(くやう)并(ならひ)に法花八講(ほつけはつかう)者(ハ)/堂塔供養并ニ法華八講者 法花問答講(もんとうかう)あり。役者八人して問答するゆへ法華八講といふ。〔79オ四〜五〕
とあって、この標記語「法花・法華」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。▲法華八講ハ舊注(きうちう)に法華經(ほけきやう)八卷(くハん)を講(こう)ずる也と云々。〔56ウ七〜57オ六〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)▲法華八講ハ舊注(きうちう)に法華經(ほけきやう)八卷(くハん)を講(こう)ずる也と云々。〔102ウ五〜103オ二・三〕
Focqe.ホッケ(法華) Foquequio<(法華経)と呼ばれる釈迦(Xaca)の経典.§また,法華宗徒(Focquexus)の宗派.→次条.〔邦訳256l〕
ほっ-け〔名〕【法華】(一)ほけきゃう(法華經)の略。法華經、法師品「我所説而於此經中、法華最第一」(二)ほっけしゅう(法華宗)の略。元亨釋書、二、榮西傳「雲曰、汝於支那、揄揚台教、亦我國之法華也」類聚國史、百四十七、撰書、延暦廿二年三月「己未、大僧都傳燈大法師位行賀卒、云云、法師生年廿五、被充入唐留學、學唯識法華兩宗、住唐三十一年、云云」〔1843-3〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法華八講者相當大法会儀式者〔至徳三年本〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法花八講者相當大法會儀式〔宝徳三年本〕
仏像經巻讃嘆者不可有子細堂塔供養并法華八講者相當大法会儀式歟〔建部傳内本〕
仏像經巻讃嘆ハ者不∨可∨有‖子細|候堂塔供養并ニ法花ノ八講ハ者相‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔山田俊雄藏本〕
仏像經巻ノ讃嘆者(ハ)不∨可∨有ル‖子細|堂塔ノ供養并ニ法花ノ八講者(ハ)相( イ)‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔経覺筆本〕
佛像(サウ)經(キヤウ)巻ノ讃嘆(サンタン)者不∨可∨有‖子細|堂塔供養(クヤウ)并ニ法花(ホツケ)ノ八講(カウ)者相‖_當ル大法會ノ儀式(シキ)ニ歟(カ)〔文明四年本〕 ※式(シキ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本は、「堂」とし、建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「堂塔」とし記載する。
堂塔(ダウタフ) 。〔乾坤門〕
このように、上記当代の古辞書においては、天正十八年版『節用集』に標記語「堂塔」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
553佛像經巻ノ讃嘆者不∨可∨有‖子細|堂塔供養并法花ノ八講者相‖_當大法會ノ儀式ニ歟 八講ハ法花問答講也。後二条関白御悩ノ時、北ノ政所三ノ願有リ。一ニハ大鳥{山王ノ}井ヨリ始テ社々ノ御宝前ヨリ此社ニ至マテ造‖-懸ント廻廊ヲ|也。二ハ八王子ノ外(シタ)ト殿ニ候ナル諸ノ頑-人ト交リ庭ノ拂∨塵ヲ一千日ノ宮仕セント也。三ハ毎日法花問答末代怠(アテ)也。兩ノ願ハ不‖承ハリ給ハ|也。問答神喜コヒ三年ノ命延給也。紀伊国田中庄ヲハ八王子ニ起-進シテ毎日問答也。法花ノ論義也。役者八人シテ問答也。問答八人答者八人也。〔謙堂文庫蔵五二右H〕
とあって、標記語「堂塔」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
願(グハン)文ヲ|佛像(サウ)經巻(クハン)讃嘆(サンダン)者(ハ)不∨可∨有‖子細(シサイ)|堂塔(ダウタウ)供養(クヤウ)。并ニ法花(ホツケ)八講(カウ)ハ者相(アヒ)‖_當(アタル)カ大法會(エ)ノ儀式(キシキ)ニ|歟。可∨有‖願文(グハンモン)ハ。佛陀(ブツダ)ノ。コトヲ。ヨミ上ルナリ。〔下29オ六〜八〕
堂塔(だうたう)供養(くやう)并(ならひ)に法花八講(ほつけはつかう)者(ハ)/堂塔供養并ニ法華八講者 法花問答講(もんとうかう)あり。役者八人して問答するゆへ法華八講といふ。〔79オ四〜五〕
とあって、この標記語「堂塔」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。〔56ウ七〜57オ五・六〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)。〔102ウ五〜103オ一〕
Do<to<.ダゥタゥ(堂塔) 内部に仏(Fotoques)〔の像〕を安置した寺院と木造の塔と.→Conriu<; Iunrei.〔邦訳190l〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法華八講者相當大法会儀式者〔至徳三年本〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法花八講者相當大法會儀式〔宝徳三年本〕
仏像經巻讃嘆者不可有子細堂塔供養并法華八講者相當大法会儀式歟〔建部傳内本〕
仏像經巻讃嘆ハ者不∨可∨有‖子細|候堂塔供養并ニ法花ノ八講ハ者相‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔山田俊雄藏本〕
仏像經巻ノ讃嘆者(ハ)不∨可∨有ル‖子細|堂塔ノ供養并ニ法花ノ八講者(ハ)相( イ)‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔経覺筆本〕
佛像(サウ)經(キヤウ)巻ノ讃嘆(サンタン)者不∨可∨有‖子細|堂塔供養(クヤウ)并ニ法花(ホツケ)ノ八講(カウ)者相‖_當ル大法會ノ儀式(シキ)ニ歟(カ)〔文明四年本〕 ※式(シキ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「子細」とし、訓みは、文明四年本に「(ゼン)コン」と記載する。
子細 雜部/シサイ。〔黒川本・畳字門下81オ三〕
子孫 〃弟。〃姪チツ。〃衿。〃息。〃細。〔巻第九・畳字門211一〕
子細(シサイ/コ、ホソシ)[上・去] 。〔態藝門1003二〕
此(コノ/シ)[上]子細(シサイ/コ、せイ・ホソシ)[上・去] 。〔態藝門673二〕
仔細(シサイ)。〔言辞門217六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「子細」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
553佛像經巻ノ讃嘆者不∨可∨有‖子細|堂塔供養并法花ノ八講者相‖_當大法會ノ儀式ニ歟 八講ハ法花問答講也。後二条関白御悩ノ時、北ノ政所三ノ願有リ。一ニハ大鳥{山王ノ}井ヨリ始テ社々ノ御宝前ヨリ此社ニ至マテ造‖-懸ント廻廊ヲ|也。二ハ八王子ノ外(シタ)ト殿ニ候ナル諸ノ頑-人ト交リ庭ノ拂∨塵ヲ一千日ノ宮仕セント也。三ハ毎日法花問答末代怠(アテ)也。兩ノ願ハ不‖承ハリ給ハ|也。問答神喜コヒ三年ノ命延給也。紀伊国田中庄ヲハ八王子ニ起-進シテ毎日問答也。法花ノ論義也。役者八人シテ問答也。問答八人答者八人也。〔謙堂文庫蔵五二右H〕
とあって、標記語「子細」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
願(グハン)文ヲ|佛像(サウ)經巻(クハン)讃嘆(サンダン)者(ハ)不∨可∨有‖子細(シサイ)|堂塔(ダウタウ)供養(クヤウ)。并ニ法花(ホツケ)八講(カウ)ハ者相(アヒ)‖_當(アタル)カ大法會(エ)ノ儀式(キシキ)ニ|歟。可∨有‖願文(グハンモン)ハ。佛陀(ブツダ)ノ。コトヲ。ヨミ上ルナリ。〔下29オ六〜八〕
佛像(ぶつぞう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)可(べから)不(す)/佛像經巻ノ讃嘆者不∨可∨有‖子細| いふこゝろハ仏法に帰依(きゑ)して仏像を作り経文を写し堂塔を建(たて)て供養せんとの志必住持も称歎せられんと也。是ハ入道の状に御讃嘆の義に非すと雖も以て啓白すといえるによりかく言て其心を安んし速(すミやか)に願文を進(すゝ)めしめんか為なり。〔79オ一〜四〕
とあって、この標記語「子細」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。〔56ウ七〜57オ五・六〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)。〔102ウ五〜103オ一〕
Xisai.シサイ(子細) 理由,または,道理.〔邦訳780l〕
し-さい〔名〕【子細】〔又、仔細とも書く、正字通「俗作二仔細一」〕細かなる、ことわけ。ゆゑよし。ことがら。いはれ。事由。魏書、源懷傳「爲二貴人一、理二世務一、當レ擧二綱維一、何必須二太子細一也」杜甫詩「野橋分二子細一」宇治拾遺物語、五、第八條「この侍に、事の子細有るまじきにて候と申せば」「子細無し」子細に及ばず、子細にや及ぶとは、彼れこれと、事柄を申し立つるまでも無し。平家物語、七、忠度都落事「身、朝敵となりぬる上は、子細に不レ及と乍レ云恨めかりし事共なり」同、二、西光被レ斬事「扨、それをば、法皇も知ろしめされたるか、子細にや及び候、執事の別當成親卿の、軍兵催され候ひしにも、院宣とてこそ、召されしか」〔0888-5〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法華八講者相當大法会儀式者〔至徳三年本〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法花八講者相當大法會儀式〔宝徳三年本〕
仏像經巻讃嘆者不可有子細堂塔供養并法華八講者相當大法会儀式歟〔建部傳内本〕
仏像經巻讃嘆ハ者不∨可∨有‖子細|候堂塔供養并ニ法花ノ八講ハ者相‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔山田俊雄藏本〕
仏像經巻ノ讃嘆者(ハ)不∨可∨有ル‖子細|堂塔ノ供養并ニ法花ノ八講者(ハ)相( イ)‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔経覺筆本〕
佛像(サウ)經(キヤウ)巻ノ讃嘆(サンタン)者不∨可∨有‖子細|堂塔供養(クヤウ)并ニ法花(ホツケ)ノ八講(カウ)者相‖_當ル大法會ノ儀式(シキ)ニ歟(カ)〔文明四年本〕 ※式(シキ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「經巻」とし、訓みは、文明四年本に「キヤウ(クワン)」と記載する。
經論(キヤウロン) ―教(ゲウ)。―説(せツ)。―律(リツ)。―卷(グワン)。―藏(ザウ)。―歴(レキ)。〔言辞門190四〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に熟語群に「經巻」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
553佛像經巻ノ讃嘆者不∨可∨有‖子細|堂塔供養并法花ノ八講者相‖_當大法會ノ儀式ニ歟 八講ハ法花問答講也。後二条関白御悩ノ時、北ノ政所三ノ願有リ。一ニハ大鳥{山王ノ}井ヨリ始テ社々ノ御宝前ヨリ此社ニ至マテ造‖-懸ント廻廊ヲ|也。二ハ八王子ノ外(シタ)ト殿ニ候ナル諸ノ頑-人ト交リ庭ノ拂∨塵ヲ一千日ノ宮仕セント也。三ハ毎日法花問答末代怠(アテ)也。兩ノ願ハ不‖承ハリ給ハ|也。問答神喜コヒ三年ノ命延給也。紀伊国田中庄ヲハ八王子ニ起-進シテ毎日問答也。法花ノ論義也。役者八人シテ問答也。問答八人答者八人也。〔謙堂文庫蔵五二右H〕
とあって、標記語「經巻」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
願(グハン)文ヲ|佛像(サウ)經巻(クハン)讃嘆(サンダン)者(ハ)不∨可∨有‖子細(シサイ)|堂塔(ダウタウ)供養(クヤウ)。并ニ法花(ホツケ)八講(カウ)ハ者相(アヒ)‖_當(アタル)カ大法會(エ)ノ儀式(キシキ)ニ|歟。可∨有‖願文(グハンモン)ハ。佛陀(ブツダ)ノ。コトヲ。ヨミ上ルナリ。〔下29オ六〜八〕
佛像(ぶつぞう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)可(べから)不(す)/佛像經巻ノ讃嘆者不∨可∨有‖子細| いふこゝろハ仏法に帰依(きゑ)して仏像を作り経文を写し堂塔を建(たて)て供養せんとの志必住持も称歎せられんと也。是ハ入道の状に御讃嘆の義に非すと雖も以て啓白すといえるによりかく言て其心を安んし速(すミやか)に願文を進(すゝ)めしめんか為なり。〔79オ一〜四〕
とあって、この標記語「經巻」の語をもって収載し、語注記未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。〔56ウ七〜57オ五・六〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)。〔102ウ五〜103オ一〕
Qio<guan.キャゥグヮン(經巻) 経典,または,文書.〔邦訳502l〕
きャう-くヮん〔名〕【經卷】經文を記したる書。經典。法華經、法師品「受二持讀五誦解四説書三寫妙法華經乃至一偈一、於二此經卷一、敬視如レ佛」太平記、廿七、直義隱遁事「時遷り、事去りて、人物、古にあらざる事を感じ、蘿窓、草屋の底に座來して、經卷を抛つひまもなかりけり」〔0492-1〕
佛像( ゾウ) 。〔元亀二年本223五〕
佛像( ザウ) 。〔静嘉堂本225七〕
佛像( サウ) 。〔天正十七年本225七〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法華八講者相當大法会儀式者〔至徳三年本〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂供養并法花八講者相當大法會儀式〔宝徳三年本〕
佛像經巻讃嘆者不可有子細堂塔供養并法華八講者相當大法会儀式歟〔建部傳内本〕
佛像經巻讃嘆ハ者不∨可∨有‖子細|候堂塔供養并ニ法花ノ八講ハ者相‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔山田俊雄藏本〕
佛像經巻ノ讃嘆者(ハ)不∨可∨有ル‖子細|堂塔ノ供養并ニ法花ノ八講者(ハ)相( イ)‖_當ル大法会ノ儀式ニ歟〔経覺筆本〕
佛像(サウ)經(キヤウ)巻ノ讃嘆(サンタン)者不∨可∨有‖子細|堂塔供養(クヤウ)并ニ法花(ホツケ)ノ八講(カウ)者相‖_當ル大法會ノ儀式(シキ)ニ歟(カ)〔文明四年本〕 ※式(シキ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「佛像」とし、訓みは、文明四年本に「(ゼン)コン」と記載する。
佛事(フツシ) ―説(せツ)。―語(ゴ)。―詣(ケイ)。―像(サウ)。―教(ケウ)。―陀(ダ)。―後(ゴ)。―性(シヤウ)。―物(モツ)。―法(ホフ)。―知(チ)。―惠(エ)。―慧(エ)。―前(ぜン)。―具(グ)。―心(シム)。―果(クワ)。―意(イ)。―祖不傳(ソフデン)。―恩(オン)。〔言辞門152一〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』と易林本『節用集』とが標記語「佛像」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
553佛像經巻ノ讃嘆者不∨可∨有‖子細|堂塔供養并法花ノ八講者相‖_當大法會ノ儀式ニ歟 八講ハ法花問答講也。後二条関白御悩ノ時、北ノ政所三ノ願有リ。一ニハ大鳥{山王ノ}井ヨリ始テ社々ノ御宝前ヨリ此社ニ至マテ造‖-懸ント廻廊ヲ|也。二ハ八王子ノ外(シタ)ト殿ニ候ナル諸ノ頑-人ト交リ庭ノ拂∨塵ヲ一千日ノ宮仕セント也。三ハ毎日法花問答末代怠(アテ)也。兩ノ願ハ不‖承ハリ給ハ|也。問答神喜コヒ三年ノ命延給也。紀伊国田中庄ヲハ八王子ニ起-進シテ毎日問答也。法花ノ論義也。役者八人シテ問答也。問答八人答者八人也。〔謙堂文庫蔵五二右H〕
とあって、標記語「佛像」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
願(グハン)文ヲ|佛像(サウ)經巻(クハン)讃嘆(サンダン)者(ハ)不∨可∨有‖子細(シサイ)|堂塔(ダウタウ)供養(クヤウ)。并ニ法花(ホツケ)八講(カウ)ハ者相(アヒ)‖_當(アタル)カ大法會(エ)ノ儀式(キシキ)ニ|歟。可∨有‖願文(グハンモン)ハ。佛陀(ブツダ)ノ。コトヲ。ヨミ上ルナリ。〔下29オ六〜八〕
佛像(ぶつぞう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)可(べから)不(す)/佛像經巻ノ讃嘆者不∨可∨有‖子細| いふこゝろハ仏法に帰依(きゑ)して仏像を作り経文を写し堂塔を建(たて)て供養せんとの志必住持も称歎せられんと也。是ハ入道の状に御讃嘆の義に非すと雖も以て啓白すといえるによりかく言て其心を安んし速(すミやか)に願文を進(すゝ)めしめんか為なり。〔79オ一〜四〕
とあって、この標記語「佛像」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。〔56ウ七〜57オ五・六〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)。〔102ウ五〜103オ一〕
Butzo<.ブツザウ(佛像) Fotoqeno catachi.(仏の像) 仏(Fotoqe)の画像,または,彫像.〔邦訳69l〕
ぶつ-ざう〔名〕【佛像】ほとけの彫像、又、その繪すがた。義楚六帖、一「目連爲レ王運二大~通一、將下三十二人工匠、往二?利天一以二栴檀木一、剋二彫佛像一、下界爲レ王供養上」扶桑略記、三、欽明天皇十三年「敬捧二佛像、經教法師一、附レ使貢獻」佛像」〔1763-1〕
願文( モン) 。〔元亀二年本193一〕〔静嘉堂本218四〕
願文(クワンモン) 。〔天正十七年本中38ウ五〕
善根事兼日可被進諷誦願文〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
善根ノ事。兼日ニ可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|〔山田俊雄藏本〕
善根之事兼日ニ可シ∨被ル∨進‖諷誦願文ヲ|〔経覺筆本〕
善根(コン)ノ事。兼日(ケンシツ)ニ可∨被ル∨進(シン)せ‖諷誦(フシユ)願文(クワンモン)ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「願文」とし、訓みは、文明四年本に「グワンモン」と記載する。
願文(グワンモン/ゲンブン、ネガイ、カザル・フミ)[去・上] 。〔態藝門541二〕
願望(グワンマウ) ―文。―書。―立。〔堯・財宝門121五〕
願望(グワンマウ) ―文。―書。―立(ダテ)。〔両・財宝門147六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「願文」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。但し、語注記は古辞書には引用が見られないのである。
552願文ヲ 回向、言ハ於‖比施時|、回‖此功コ|向‖薩婆若海|、普及‖一切群生ニ|者也。〔謙堂文庫蔵五二右G〕
とあって、標記語「願文」の語を収載し、この語についての語注記は、「回向、言は、比施時に於いて、此の功コ回し薩婆若海に向ひ、普く一切群生に及ぼす者なり」と記載する。
願(グハン)文ヲ|佛像(サウ)經巻(クハン)讃嘆(サンダン)者(ハ)不∨可∨有‖子細(シサイ)|堂塔(ダウタウ)供養(クヤウ)。并ニ法花(ホツケ)八講(カウ)ハ者相(アヒ)‖_當(アタル)カ大法會(エ)ノ儀式(キシキ)ニ|歟。可∨有‖願文(グハンモン)ハ。佛陀(ブツダ)ノ。コトヲ。ヨミ上ルナリ。〔下29オ六〜八〕
兼日(けんじつ)諷誦(ふじゆ)の願文(ぐわんもん)を進(しん)せ被可/兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ| 兼日ハ前廣といふかことし。諷誦の願文といふ事いまた其をしらす。ある人云諷誦ハ讀あくる事也。願文を披露の時。書讀上るゆへ諷誦の願文といえるなり。又或ひハ云諷誦讀誦なといふて何れも經文を讀事(よむこと)也。法會の時何々の經文を讀玉へといふ。願文の□□□□何れの説に從ひてよむべきや知らず。願文とハ願ひの趣を事記したる書付なり。〔78ウ五〜79オ一〕
とあって、この標記語「願文」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。▲願文ハ仏陀(ぶつた)へ祈願(きぐハん)する條(すち)を記(しる)せし文書(もんしよ)也。〔56ウ七〜57オ五・六〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)▲願文ハ仏陀へ祈願する條を記(しる)せし文書也。〔102ウ五〜103オ一〕
Guanmon.l,guanjo.グヮンモン,または,グヮンジョ(願文・願書) Nego< fumi.(願ふ文)書き物による祈願で,その中で誰かの健康とかその他現世的な幸福とかをこいねがい,そのような健康とかその他の願いが叶えられたら,これこれの物を寄進するということを約束するもの.〔邦訳314r〕
ぐヮん-もん〔名〕【願文】~佛に立願(リフクワン)の趣意を記したる文。源氏物語、四、夕顔49「願文作らせ給ふ、大きなる沈の文箱に封(ふん)じこめて奉りたり」狭衣物語、三、上5「一乘の法文すぐるるわざにや、願文のこころばへ、泣くなく讀み給へるも、涙流さぬ人なきに」〔0590-5〕
諷誦( ジユ) 。〔元亀二年本224一〕
諷誦(フジユ) 。〔静嘉堂本256六〕
諷誦( シユ) 。〔天正十七年本中57ウ一〕
善根事兼日可被進諷誦願文〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
善根ノ事。兼日ニ可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|〔山田俊雄藏本〕
善根之事兼日ニ可シ∨被ル∨進‖諷誦願文ヲ|〔経覺筆本〕
善根(コン)ノ事。兼日(ケンシツ)ニ可∨被ル∨進(シン)せ‖諷誦(フシユ)願文(クワンモン)ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「諷誦」とし、訓みは、文明四年本に「(ゼン)コン」と記載する。
諷誦(フジユ/フウ・イマシム・ホノカ、シユウ・ヨム)[去・去] 辻(ツジ)説經之知識(チシキ)最初擧(コ)二揚(ヤウ)スル之ヲ一也。〔態藝門627一〕
諷誦(―ジユ) 辻説經之知識最前擧唱之。〔弘・言語進退門183四〕
諷誦(フジユ) 辻説經之知識最前擧唱之。〔永・言語門150一〕
諷諫(フカン) ―誦辻説經之知識最前唱――。〔堯・言語門139八〕
諷經(フギン) ―誦(ジユ)。―諫(カン)。〔言辞門151二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「諷誦」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。とりわけ、広本『節用集』や印度本系統『節用集』の語注記とは異にしている点は、留意しておきたいところである。そして、この依拠する資料がどのようなものなのか今後の課題としたい。
551尤可∨被∨謝∨之ヲ|者也。唱導之亊申入ノ候ノ處、臨ンテ‖其期|手輿(タ-)ヲ可∨給ル‖御迎ニ|也。善-根之亊、兼日ニ可∨被∨進‖諷誦 自‖旦那|壇ノ置_物、又導師布施也。伽陀此ハ云‖諷誦ト|。孤起偈也。伽陀ハ偈也。即偈ト反ス。伽陀ハ梵語也。漢ニハ不∨重∨頌ト是ヲ名也。如‖竜女献∨珠於明‖刹那成菩薩亊咒偈。〔謙堂文庫蔵五二右D〕
とあって、標記語「諷誦」の語を収載し、この語についての語注記は、「伽陀此れは、諷誦と云ふ。孤起偈なり。伽陀は、偈なり。即ち偈と反す。伽陀は、梵語なり。漢には、頌と重ねず是れを名くなり。竜女の如く珠を献じて刹那成菩薩亊咒偈を明かにす」と記載する。
諷誦(フジユ)ハ志ノ事ヲカキヨミ上ルナリ。〔下29オ五・六〕
兼日(けんじつ)諷誦(ふじゆ)の願文(ぐわんもん)を進(しん)せ被可/兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ| 兼日ハ前廣といふかことし。諷誦の願文といふ事いまた其をしらす。ある人云諷誦ハ讀あくる事也。願文を披露の時。書讀上るゆへ諷誦の願文といえるなり。又或ひハ云諷誦讀誦なといふて何れも經文を讀事(よむこと)也。法會の時何々の經文を讀玉へといふ。願文の□□□□何れの説に從ひてよむべきや知らず。願文とハ願ひの趣を事記したる書付なり。〔78ウ五〜79オ一〕
とあって、この標記語「諷誦」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。▲諷誦ハ舊抄(きうせう)にこゝろざしの事を書(かき)て讀(よミ)あぐる也とぞ。〔56ウ七〜57オ五〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)▲諷誦ハ舊抄にこゝろざしの事を書て讀あぐる也とぞ。〔102ウ五〜103オ一〕
Fuju.l,fujumon.フジユ,または,フジュモン(諷誦.または,諷誦文) 坊主(Bonzos)が死者のことについて読み上げる書き物.〔邦訳274l〕
ふ-じゅ〔名〕【諷誦】フウジュ(諷誦)の條を見よ。無量壽經、上「受二讀經法一、諷誦持説」庭訓往來、九月「善根事、兼日可レ被レ進二諷誦願文一」謡曲、自然居士「諸佛十方の薩?に申して申さく、總~分に般若心經、や、是は諷誦を御あげ候か」書言字考節用集、九、言辭門「諷誦、フジユ、梵云二伽陀一」〔1749-3〕
ふう-じゅ〔名〕【諷誦】(一)聲を立てて讀むこと。又、そらよみすること。フウショウ。(二)經を讀むこと。ドキャウ。フジュ。拾遺集、廿、哀傷「御諷誦おこなはせ給ひける時」法隆寺記補忘集「敬白、請二諷誦一事」(文明二年)南屏燕語(釋南山)三「眞歇和尚、云云、乃大士に新て夢の告を感じ、令三衆行道諷二誦此咒一」〔1720-5〕
兼日(―ジツ) 。〔元亀二年本214一〕
兼日(ケチシツ) 。〔静嘉堂本243五〕
兼日(ケンシツ) 。〔天正十七年本243五〕
善根事兼日可被進諷誦願文〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
善根ノ事。兼日ニ可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|〔山田俊雄藏本〕
善根之事兼日ニ可シ∨被ル∨進‖諷誦願文ヲ|〔経覺筆本〕
善根(コン)ノ事。兼日(ケンシツ)ニ可∨被ル∨進(シン)せ‖諷誦(フシユ)願文(クワンモン)ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「兼日」とし、訓みは、文明四年本に「ケンジツ」と記載する。
兼日(ケンジツ/カネテ、ヒ)[平・入] 。〔態藝門602六〕
兼日(ケン ) 。〔弘・時節門172五〕
兼日(ケンジツ) 。〔永・時節門141七〕〔堯・時節門131四〕
兼學(ケンガク) ―約(ヤク)。―日(ジツ)。〔言辞門146二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「兼日」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
551尤可∨被∨謝∨之ヲ|者也。唱導之亊申入ノ候ノ處、臨ンテ‖其期|手輿(タ-)ヲ可∨給ル‖御迎ニ|也。善-根之亊、兼日ニ可∨被∨進‖諷誦 自‖旦那|壇ノ置_物、又導師布施也。伽陀此ハ云‖諷誦ト|。孤起偈也。伽陀ハ偈也。即偈ト反ス。伽陀ハ梵語也。漢ニハ不∨重∨頌ト是ヲ名也。如‖竜女献∨珠於明‖刹那成菩薩亊咒偈。〔謙堂文庫蔵五二右D〕
とあって、標記語「兼日」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
手輿(テコシ)可キ∨給ハル‖御迎(ムカイ)ニ|也。善根(ぜンコン)ノ亊、兼(ケン)日可∨被∨進‖手輿ハ輦(テクルマ)チリ取(トリ)ナドノ類(ルイ)ナリ。〔下29オ一〜四・五〕
兼日(けんじつ)諷誦(ふじゆ)の願文(ぐわんもん)を進(しん)せ被可/兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ| 兼日ハ前廣といふかことし。諷誦の願文といふ事いまた其をしらす。ある人云諷誦ハ讀あくる事也。願文を披露の時。書讀上るゆへ諷誦の願文といえるなり。又或ひハ云諷誦讀誦なといふて何れも經文を讀事(よむこと)也。法會の時何々の經文を讀玉へといふ。願文の□□□□何れの説に從ひてよむべきや知らず。願文とハ願ひの趣を事記したる書付なり。〔78ウ五〜79オ一〕
とあって、この標記語「兼日」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。〔56ウ七〜57オ五〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)。〔102ウ五〜103オ一〕
Tagoxi.ケンジツ(兼日) 覆いも日除けも付いていない,腰掛けのような輿.※原文はAndas.(Coxi(輿)の注)〔邦訳602r〕
けん-じつ【兼日】(一)日を、かぬること。數日に渉ること。王充、論衡「温不二兼日一、則冰不レ解」(二)兼日(かねてのひ)の字の音讀。數日前。前日。百練抄、五、寛治七年五月五日「郁芳門院根合、兼日定二兩方ノ念人(ネンニン)一」白河文書、親房卿事書「此事、自二兼日一聊有二嫌疑一云云、兼日之謳歌、無二子細一候ひけり」〔0629-5〕
善根事兼日可被進諷誦願文〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
善根ノ事。兼日ニ可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|〔山田俊雄藏本〕
善根之事兼日ニ可シ∨被ル∨進‖諷誦願文ヲ|〔経覺筆本〕
善根(コン)ノ事。兼日(ケンシツ)ニ可∨被ル∨進(シン)せ‖諷誦(フシユ)願文(クワンモン)ヲ|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「善根」とし、訓みは、文明四年本に「(ゼン)コン」と記載する。
善根(せンゴン/ヨシ、ケン・ネ)[上・平] 。〔態藝門1100二〕
善悪(ぜンアク) ―根(ゴン)。―亊(ジ)。〔永・言語門227六〕
善悪 ―根。―亊。〔堯・言語門214一〕
善縁(ぜンヱン) ―根(ゴン)。―政(せイ)。―亊(ジ)。―因(イン)。―業(ゴフ)。―惡(アク)。〔器財門91七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「善根」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
551尤可∨被∨謝∨之ヲ|者也。唱導之亊申入ノ候ノ處、臨ンテ‖其期|手輿(タ-)ヲ可∨給ル‖御迎ニ|也。善-根之亊、兼日ニ可∨被∨進‖諷誦 自‖旦那|壇ノ置_物、又導師布施也。伽陀此ハ云‖諷誦ト|。孤起偈也。伽陀ハ偈也。即偈ト反ス。伽陀ハ梵語也。漢ニハ不∨重∨頌ト是ヲ名也。如‖竜女献∨珠於明‖刹那成菩薩亊咒偈。〔謙堂文庫蔵五二右D〕
とあって、標記語「善根」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
手輿(テコシ)可キ∨給ハル‖御迎(ムカイ)ニ|也。善根(ぜンコン)ノ亊、兼(ケン)日可∨被∨進‖手輿ハ輦(テクルマ)チリ取(トリ)ナドノ類(ルイ)ナリ。〔下29オ一〜四・五〕
善根(ぜんごん)の事(こと)/善根ノ事 大法会執行の事をさしていえるなり。〔78ウ三〜五〕
とあって、この標記語「善根」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對楊。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。▲善根ハこゝに大法会(だいほふゑ)修行(しゆきやう)の事をさしていふ。〔56ウ七〜57オ五〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)▲善根ハこゝに大法会修行の事をさしていふ。〔102ウ五〜103オ一〕
Iengon.ゼンゴン(善根) すなわち,len no coto.(善のこと)善コ,または,善行.¶ lenji jengonuo nasu.(善事善根をなす) 善行をする.〔邦訳357l〕
ぜん-こん〔名〕【善根】佛教の語。善果を得べき所業(しわざ)。功コ(クドク)。阿彌陀經「不レ可三以少二善根一」金剛經「種二諸善根一」日本紀略、後篇、十一、寛弘五年二月廿二日「修二前花山院七七日御善根一」宇治拾遺物語、十二、第四條「堂を造り、塔を建つる、最上の善根なりとて、勸進せられけり」〔1221-4〕
手輿(タゴシ) 。〔元亀二年本137七〕〔静嘉堂本145八〕
尤可被謝者也唱導事申入候之處臨其期手輿可給御迎也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
尤可∨被∨謝者也。唱導ノ事申入候處ニ臨テ‖其期ニ|手輿(タコシ)可∨給‖御迎ニ|也〔山田俊雄藏本〕
尤可∨被∨謝者也。唱導之事。申入候之處臨テ‖其期(コ)ニ|手輿(タコシ)ヲ可∨給ル‖御迎ニ|也〔経覺筆本〕
尤モ可∨被∨謝(シヤせ)せ者也。唱導(シヤウタウ)之事。申入候處ニ臨(ノソンテ)‖其の期(コ)ニ|手輿(タコシ)ヲ可∨給‖御迎ニ|也〔文明四年本〕 ※期(ゴ)
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「手輿」とし、訓みは、山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「タコシ」と記載する。
夙輿(エウヨ)タコシ/タコシ。肩舁 同。手輿 同/俗用之。〔黒川本・雜物門中5オ六〕
腰輿タコシ/手―。肩舁 。手輿 已上同。〔巻第三・雜物門409四・五〕
手輿(タゴシ/シユウヨ、テ―)[上・平] 。〔態藝門342一〕
手輿(タゴシ) 。〔弘・財宝門105三〕〔永・財宝門93九〕〔両・財宝門103八〕 腰輿(タゴシ) 壺。〔弘・財宝門105六〕
手輿(タコシ) 。〔堯・財宝門85九〕
手輿(タゴシ) ―縄(ナワ)。―挿(バサミ)。〔器財門91七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「手輿」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
551尤可∨被∨謝∨之ヲ|者也。唱導之亊申入ノ候ノ處、臨ンテ‖其期|手輿(タ-)ヲ可∨給ル‖御迎ニ|也。善-根之亊、兼日ニ可∨被∨進‖諷誦 自‖旦那|壇ノ置_物、又導師布施也。伽陀此ハ云‖諷誦ト|。孤起偈也。伽陀ハ偈也。即偈ト反ス。伽陀ハ梵語也。漢ニハ不∨重∨頌ト是ヲ名也。如‖竜女献∨珠於明‖刹那成菩薩亊咒偈。〔謙堂文庫蔵五二右D〕
とあって、標記語「手輿」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
手輿(テコシ)可キ∨給ハル‖御迎(ムカイ)ニ|也。善根(ぜンコン)ノ亊、兼(ケン)日可∨被∨進‖手輿ハ輦(テクルマ)チリ取(トリ)ナドノ類(ルイ)ナリ。〔下29オ一〜四・五〕
手輿(たこし)御迎(おんむかひ)を給(たまハ)る可(べ)き也/手輿可∨給ル‖御迎ヲ|也 手輿とハなかえのこし也。こゝにいふ心ハ申越れたる唱導師の事を長老に達したりしに早速承知ありしゆへ其時に至りなは迎の手輿をさし越されよとなり。〔78ウ三〜五〕
とあって、この標記語「手輿」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
芳札(はうさつ)之(の)旨(むね)披見(ひけんせ)せ令(しめ)候(さふらひ)訖(おハん)ぬ誠(まこと)に御給仕(ごきふじ)有(あ)る可(へ)き之(の)旨(むね)誓願(せいぐわん)せら被(る)る歟(か)今(いま)懈怠(けたい)之(の)條(てう)凡情(ほんしやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)尤(もつとも)謝(しや)せらる被(る)可(べ)き者(もの)也(なり)唱導(しやうたう)之(の)事(こと)申(まを)し入(い)れ候(さふら)ふ之(の)處(ところ)其期(そのごに)に臨(のそん)て手輿(たごし)御迎(おんむかひ)を給(たま)ふ可(べ)き由(よし)仰(あふせ)に候(さふら)ふ/芳札之旨。令‖披見セ|候ヒ訖ヌ。誠ニ可キ∨有‖御給仕|之旨。被ル‖誓願セラ|歟。于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也。尤可キ∨被∨謝セラ∨之ヲ|者也。唱導ノ之事。申シ入ン候フ處。臨テ‖其期ニ|手輿可キ∨給フ‖御迎フ|由仰ニ候フ▲手輿はながえ乃こしなり。〔57オ二〜六〕
芳札(はうさつ)之(の)旨(むね)令(しめ)‖披見(ひけんせ)|候(さふらひ)畢(をハんぬ)誠(まこと)に可(へき)∨有(ある)‖御給仕(ごきふじ)|之(の)旨(むね)被(るゝ)‖誓願(せいくわん)せら|歟(か)于(に)∨今(いま)懈怠(けだい)之(の)條(でう)凡情(ぼんじやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)尤(もつとも)可(べき)∨被(る)∨謝(しやせら)者(もの)也(なり)。唱導(しやうたう)之(の)事(こと)申入(まうしいれ)候(さふらふ)之(の)處(ところ)臨(のそんて)‖其期(そのごに)|手輿(たごし)可(べき)∨給(たまふ)‖御迎(おんむかひ)|由(よし)仰(おほせに)候(さふらふ)▲手輿はながえ乃こしなり。〔102オ四〜102ウ四〕
Tagoxi.タゴシ(手輿) 覆いも日除けも付いていない,腰掛けのような輿.※原文はAndas.(Coxi(輿)の注)〔邦訳602r〕
た-ごし〔名〕【腰輿】〔手輿(タゴシ)の義。肩にて擔ぐ肩輿と別つ〕輿(こし)の、人の手にて擡(もた)げ行かしむるもの。其高さ、腰に至る。主上は鳳輦ならぬ時、又は中宮など乘らせたまふ。倭名抄、十一3車類「腰輿、太古之」太神宮儀式帳「手輿」内匠寮式「腰輿一具」注「長一丈二尺、廣二尺九寸、斗内長三尺、脚高五寸」榮花物語、廿九、玉飾「請僧皆威儀いつくしうしてまゐりたる、九十九體はたごしと云ふものに乘せ奉りて」〔1211-1〕
業障(コツジヤウ) 。〔元亀二年本232七〕
業障(ゴツシヤウ) 。〔静嘉堂本267五〕
業障(コツシヤウ) 。〔天正十七年本中62ウ四〕
于今懈怠之條凡情常業障也〔至徳三年本〕
于今懈怠之條凡情常業障也〔宝徳三年本〕
于今懈怠之條凡情常業障也〔建部傳内本〕
于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也〔山田俊雄藏本〕
于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也〔経覺筆本〕
于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也〔文明四年本〕※誓願(せイクワン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「業障」と記載する。
業障(ゴツシヤウ/シワザ、サワリ)[入・去] 因果義也。〔態藝門691二〕
業障(ゴウシヤウ) 因果ノ義。〔弘・言語進退門190一〕
業障(ゴツシヤウ) ―因(イン)。〔永・言語門155四〕
業障(ゴツシヤウ) ―因。―人。―報。〔堯・言語門145四〕
業障(ゴツシヤウ) ―報(ホウ)。―果(クワ)。―力(リキ)。―因(ゴフイン)。―行(ギヤウ)。〔言辞門159六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「業障」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
550于∨今懈怠之条凡"-情(カリナルナサケ)常ノ業ツ-障也。 凡夫ノ姓之義也。〔謙堂文庫蔵五二右C〕
とあって、標記語「業障」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
于∨今懈怠之條業障常ノ業障也誓願ト云事。ネガイチカウトコロナリ。〔下29オ一・二〕
今(いま)懈怠(けたい)之(の)條(てう)凡情(ほんしやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)/于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也 芳札披見の注並に前に見たり。〔78オ三〕
とあって、この標記語「業障」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
芳札(はうさつ)之(の)旨(むね)披見(ひけんせ)せ令(しめ)候(さふらひ)訖(おハん)ぬ誠(まこと)に御給仕(ごきふじ)有(あ)る可(へ)き之(の)旨(むね)誓願(せいぐわん)せら被(る)る歟(か)今(いま)懈怠(けたい)之(の)條(てう)凡情(ほんしやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)尤(もつとも)謝(しや)せらる被(る)可(べ)き者(もの)也(なり)唱導(しやうたう)之(の)事(こと)申(まを)し入(い)れ候(さふら)ふ之(の)處(ところ)其期(そのごに)に臨(のそん)て手輿(たごし)御迎(おんむかひ)を給(たま)ふ可(べ)き由(よし)仰(あふせ)に候(さふら)ふ/芳札之旨。令‖披見セ|候ヒ訖ヌ。誠ニ可キ∨有‖御給仕|之旨。被ル‖誓願セラ|歟。于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也。尤可キ∨被∨謝セラ∨之ヲ|者也。唱導ノ之事。申シ入ン候フ處。臨テ‖其期ニ|手輿可キ∨給フ‖御迎フ|由仰ニ候フ▲業障ハいまだ其身(ミ)の業(ごふ)滿(ミた)ずして世(よ)の障碍(さハり)にかゝづらふをいふ。〔57オ二〜六〕
芳札(はうさつ)之(の)旨(むね)令(しめ)‖披見(ひけんせ)|候(さふらひ)畢(をハんぬ)誠(まこと)に可(へき)∨有(ある)‖御給仕(ごきふじ)|之(の)旨(むね)被(るゝ)‖誓願(せいくわん)せら|歟(か)于(に)∨今(いま)懈怠(けだい)之(の)條(でう)凡情(ぼんじやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)尤(もつとも)可(べき)∨被(る)∨謝(しやせら)者(もの)也(なり)。唱導(しやうたう)之(の)事(こと)申入(まうしいれ)候(さふらふ)之(の)處(ところ)臨(のそんて)‖其期(そのごに)|手輿(たごし)可(べき)∨給(たまふ)‖御迎(おんむかひ)|由(よし)仰(おほせに)候(さふらふ)▲業障ハいまだ其身(ミ)の業(ごふ)滿(ミた)ずして世(よ)の障碍(さハり)にかゝづらふをいふ。〔102オ四〜102ウ三・四〕
Goxxo<.ゴッシャウ(業障) すなわち,Acugo>no sauari.(悪業の障り)罪悪から生ずる障り,あるいは,妨げ.〔邦訳310l〕
ごふ-しゃう〔名〕【業障】〔ごッしゃうと云ふは、急呼なり(合掌(ガウシャウ)、がっしやう)〕佛教の語、貪欲、瞋恚、愚痴などの惡業(アクゴフ)の、正道の障(さはり)となること。又、ごっしゃう。玉葉集、十九、釋教「我が身の業障、重き事を恐れ思ひて」源氏物語、三十八、夕霧19「惡靈(アクラウ)は、執念(しふね)きやうなれど、ごっしゃうに絡(まつ)はれたる、はかなものなり」林逸節用集(文明)雜用「業障(ゴウシヤウ)」〔0718-4〕
于今懈怠之條凡情常業障也〔至徳三年本〕
于今懈怠之條凡情常業障也〔宝徳三年本〕
于今懈怠之條凡情常業障也〔建部傳内本〕
于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也〔山田俊雄藏本〕
于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也〔経覺筆本〕
于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也〔文明四年本〕※誓願(せイクワン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「凡情」と記載する。
凡情(ボンジヤウ/ハンせイ・ヲヨフ、ナサケ)[平・去] 。〔態藝門106七〕
このように、上記当代の古辞書においては、唯一広本『節用集』に標記語「凡情」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
550于∨今懈怠之条凡"-情(カリナルナサケ)常ノ業ツ-障也。 凡夫ノ姓之義也。〔謙堂文庫蔵五二右C〕
とあって、標記語「凡情」の語を収載し、この語についての語注記は、「凡夫の姓([性])の義なり」と記載する。
于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也誓願ト云事。ネガイチカウトコロナリ。〔下29オ一・二〕
今(いま)懈怠(けたい)之(の)條(てう)凡情(ほんしやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)/于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也 芳札披見の注並に前に見たり。〔78オ三〕
とあって、この標記語「凡情」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
芳札(はうさつ)之(の)旨(むね)披見(ひけんせ)せ令(しめ)候(さふらひ)訖(おハん)ぬ誠(まこと)に御給仕(ごきふじ)有(あ)る可(へ)き之(の)旨(むね)誓願(せいぐわん)せら被(る)る歟(か)今(いま)懈怠(けたい)之(の)條(てう)凡情(ほんしやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)尤(もつとも)謝(しや)せらる被(る)可(べ)き者(もの)也(なり)唱導(しやうたう)之(の)事(こと)申(まを)し入(い)れ候(さふら)ふ之(の)處(ところ)其期(そのごに)に臨(のそん)て手輿(たごし)御迎(おんむかひ)を給(たま)ふ可(べ)き由(よし)仰(あふせ)に候(さふら)ふ/芳札之旨。令‖披見セ|候ヒ訖ヌ。誠ニ可キ∨有‖御給仕|之旨。被ル‖誓願セラ|歟。于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也。尤可キ∨被∨謝セラ∨之ヲ|者也。唱導ノ之事。申シ入ン候フ處。臨テ‖其期ニ|手輿可キ∨給フ‖御迎フ|由仰ニ候フ▲凡情ハ凡夫(ほんふ)の情(こゝろ)也。〔57オ二〜五〕
芳札(はうさつ)之(の)旨(むね)令(しめ)‖披見(ひけんせ)|候(さふらひ)畢(をハんぬ)誠(まこと)に可(へき)∨有(ある)‖御給仕(ごきふじ)|之(の)旨(むね)被(るゝ)‖誓願(せいくわん)せら|歟(か)于(に)∨今(いま)懈怠(けだい)之(の)條(でう)凡情(ぼんじやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)尤(もつとも)可(べき)∨被(る)∨謝(しやせら)者(もの)也(なり)。唱導(しやうたう)之(の)事(こと)申入(まうしいれ)候(さふらふ)之(の)處(ところ)臨(のそんて)‖其期(そのごに)|手輿(たごし)可(べき)∨給(たまふ)‖御迎(おんむかひ)|由(よし)仰(おほせに)候(さふらふ)▲凡情ハ凡夫(ほんふ)の情(こゝろ)也。〔102オ四〜102ウ三〕
給仕(ジ) 。〔元亀二年本283五〕
給仕(キウジ) 。〔静嘉堂本324五〕
芳札之旨令披見候訖誠可有御給仕之旨被誓願歟〔至徳三年本〕
芳札之旨令披見候畢誠可有御給仕之旨被誓願歟〔宝徳三年本〕
芳札之旨令披見候了誠可有御給仕之由被誓願歟〔建部傳内本〕
芳札ノ之旨令‖披見|候畢誠ニ可∨有‖御給仕|之旨被レ‖誓願|候歟〔山田俊雄藏本〕
芳札之旨令‖披見せ|候畢誠ニ可キノ∨有‖御給仕|之旨被‖誓願せ|歟〔経覺筆本〕
芳札之旨。令‖披見|候畢。誠ニ可∨有‖御給(キウ)仕|之旨被‖誓(せイ)願|歟〔文明四年本〕※誓願(せイクワン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「給仕」と記載し、訓みは文明四年本に「キウ(シ)」と記載する。
給仕(キフジ/タマワル、ツカマツル)[入・上] 。〔態藝門826六〕
給仕(キウジ) 。〔弘・人倫門218一、言語進退221五〕
給人(キウニン) ―仕(ジ)。―(キツ)主。〔永・人倫門181九〕
給人(キフニン) ―仕。―主。〔堯・人倫門171六〕
給使(キフジ) ―恩(オン)。―分(ブン)。―田(デン)。―仕(ジ)。 〔言辭門190二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「給仕」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
549芳札之旨令‖披見|候畢。誠ニ可∨有‖御給仕|之旨被‖誓願せ|候歟。 四也衆生無辺誓願度、法門無尽誓願学、煩悩無辺誓願断、佛道無上誓願成也云々。〔謙堂文庫蔵五二右B〕
とあって、標記語「給仕」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
芳(ハウ)札之旨(ムネ)令‖披(ヒ)見|候畢ヌ。誠(マコト)ニ可∨有‖御給仕(コキウシ)|之由被(ラル)‖誓願(せイクハン)せ|歟于∨今懈怠(ケダイ)ノ之条誓願ト云事。ネガイチカウトコロナリ。〔下29オ一・二〕
誠(まこと)に以(もつ)て御給仕(おんきうじ)有(ある)可(へき)の旨(むね)/誠ニ以可∨有‖御給仕|之旨 給仕ハ其側につかへて用を達する事也。子の父母につかふるか如きハ皆給仕なり。〔78オ四〕
とあって、この標記語「給仕」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
芳札(はうさつ)之(の)旨(むね)披見(ひけんせ)せ令(しめ)候(さふらひ)訖(おハん)ぬ誠(まこと)に御給仕(ごきふじ)有(あ)る可(へ)き之(の)旨(むね)誓願(せいぐわん)せら被(る)る歟(か)今(いま)懈怠(けたい)之(の)條(てう)凡情(ほんしやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)尤(もつとも)謝(しや)せらる被(る)可(べ)き者(もの)也(なり)唱導(しやうたう)之(の)事(こと)申(まを)し入(い)れ候(さふら)ふ之(の)處(ところ)其期(そのごに)に臨(のそん)て手輿(たごし)御迎(おんむかひ)を給(たま)ふ可(べ)き由(よし)仰(あふせ)に候(さふら)ふ/芳札之旨。令‖披見セ|候ヒ訖ヌ。誠ニ可キ∨有‖御給仕|之旨。被ル‖誓願セラ|歟。于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也。尤可キ∨被∨謝セラ∨之ヲ|者也。唱導ノ之事。申シ入ン候フ處。臨テ‖其期ニ|手輿可キ∨給フ‖御迎フ|由仰ニ候フ▲給仕ハ側(かたハら)に侍(はへ)りてつかふるをいふ。〔57オ二〜五〕
芳札(はうさつ)之(の)旨(むね)令(しめ)‖披見(ひけんせ)|候(さふらひ)畢(をハんぬ)誠(まこと)に可(へき)∨有(ある)‖御給仕(ごきふじ)|之(の)旨(むね)被(るゝ)‖誓願(せいくわん)せら|歟(か)于(に)∨今(いま)懈怠(けだい)之(の)條(でう)凡情(ぼんじやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)尤(もつとも)可(べき)∨被(る)∨謝(しやせら)者(もの)也(なり)。唱導(しやうたう)之(の)事(こと)申入(まうしいれ)候(さふらふ)之(の)處(ところ)臨(のそんて)‖其期(そのごに)|手輿(たごし)可(べき)∨給(たまふ)‖御迎(おんむかひ)|由(よし)仰(おほせに)候(さふらふ)▲給仕ハ側(かたハら)に侍(はへ)りてつかふるをいふ。〔102オ四〜102ウ三・四〕
きふ-じ〔名〕【給仕】(一)側に侍り居て、雜用を勤むること。又、其人。給侍。給事。古今著聞集、二、釋教「淨藏法師、云云、花をとり、水を汲みて、給仕しけり」(二)專ら、食事の給仕。狂言記、二千石「御茶のきふじ」〔0479-5〕
披見(ケン) 。〔元亀二年本339七〕
披見(ヒケン) 。〔静嘉堂本407二〕
芳札之旨令披見候訖誠可有御給仕之旨被誓願歟〔至徳三年本〕
芳札之旨令披見候畢誠可有御給仕之旨被誓願歟〔宝徳三年本〕
芳札之旨令披見候了誠可有御給仕之由被誓願歟〔建部傳内本〕
芳札ノ之旨令‖披見|候畢誠ニ可∨有‖御給仕|之旨被レ‖誓願|候歟〔山田俊雄藏本〕
芳札之旨令‖披見せ|候畢誠ニ可キノ∨有‖御給仕|之旨被‖誓願せ|歟〔経覺筆本〕
芳札之旨。令‖披見|候畢。誠ニ可∨有‖御給(キウ)仕|之旨被‖誓(せイ)願|歟〔文明四年本〕※誓願(せイクワン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「披見」と記載する。
披見(ヒケン/ヒラク、ミル)[平・去] 。〔態藝門1038七〕
披見( ケン) 。〔弘・言語進退門256六〕
披露(ヒロウ) ―閲。―見。―講。―分。―。〔永・言語門218六〕
披露(ヒロウ) ―閲。―見。―講。―分。〔堯・言語門203七〕
披覽(ヒラン) ―陳(チン)。―露(ロ)。―見(ケン)。―閲(エツ)。〔言辭門226二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「披見」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
549芳札之旨令‖披見|候畢。誠ニ可∨有‖御給仕|之旨被‖誓願せ|候歟。 四也衆生無辺誓願度、法門無尽誓願学、煩悩無辺誓願断、佛道無上誓願成也云々。〔謙堂文庫蔵五二右B〕
とあって、標記語「披見」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
芳(ハウ)札之旨(ムネ)令‖披(ヒ)見|候畢ヌ。誠(マコト)ニ可∨有‖御給仕(コキウシ)|之由被(ラル)‖誓願(せイクハン)せ|歟于∨今懈怠(ケダイ)ノ之条誓願ト云事。ネガイチカウトコロナリ。〔下29オ一・二〕
芳札(ほうさつ)之(の)旨(むね)披見(ひけん)セ令(しめ)候ひ畢ぬ/芳札之旨令‖披見セ|候畢 芳札披見の注並に前に見たり。〔78オ三〕
とあって、この標記語「披見」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
芳札(はうさつ)之(の)旨(むね)披見(ひけん)せ令(しめ)候(さふらひ)訖(おハん)ぬ誠(まこと)に御給仕(ごきふじ)有(あ)る可(へ)き之(の)旨(むね)誓願(せいぐわん)せら被(る)る歟(か)今(いま)懈怠(けたい)之(の)條(てう)凡情(ほんしやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)尤(もつとも)謝(しや)せらる被(る)可(べ)き者(もの)也(なり)唱導(しやうたう)之(の)事(こと)申(まを)し入(い)れ候(さふら)ふ之(の)處(ところ)其期(そのごに)に臨(のそん)て手輿(たごし)御迎(おんむかひ)を給(たま)ふ可(べ)き由(よし)仰(あふせ)に候(さふら)ふ/芳札之旨。令‖披見セ|候ヒ訖ヌ。誠ニ可キ∨有‖御給仕|之旨。被ル‖誓願セラ|歟。于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也。尤可キ∨被∨謝セラ∨之ヲ|者也。唱導ノ之事。申シ入ン候フ處。臨テ‖其期ニ|手輿可キ∨給フ‖御迎フ|由仰ニ候フ。〔57オ二〜五〕
芳札(はうさつ)之(の)旨(むね)令(しめ)‖披見(ひけんせ)|候(さふらひ)畢(をハんぬ)誠(まこと)に可(へき)∨有(ある)‖御給仕(ごきふじ)|之(の)旨(むね)被(るゝ)‖誓願(せいくわん)せら|歟(か)于(に)∨今(いま)懈怠(けだい)之(の)條(でう)凡情(ぼんじやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)尤(もつとも)可(べき)∨被(る)∨謝(しやせら)者(もの)也(なり)。唱導(しやうたう)之(の)事(こと)申入(まうしいれ)候(さふらふ)之(の)處(ところ)臨(のそんて)‖其期(そのごに)|手輿(たごし)可(べき)∨給(たまふ)‖御迎(おんむかひ)|由(よし)仰(おほせに)候(さふらふ)。〔102オ四〜102ウ三〕
Fiqen.ヒケン(披見) Firaqi miru.(披き見る)開いて見ること,あるいは,開いて読むこと.例,Gojo< fiqen mo<xi soro.(御状披見申しそろ)あなたの手紙を読みました.文書語.〔邦訳236r〕
ひ-けん〔名〕【披見】文書など、披(ひら)きて見ること。披覽。易林本節用集(慶長)下、言辭門「披見、ヒケン」太平廣記(宋、李ム等)劉根傳「發二車上一披見」太平記、六、正成天王寺未來記披見事「是をばたやすく人の披見する事は候はねども」〔1657-4〕
芳札(ハウサツ) 。〔元亀二年本30二〕〔天正十七年本上16オ二〕〔西來寺本〕
芳札(サツ) 。〔静嘉堂本30一〕
芳札之旨令披見候訖誠可有御給仕之旨被誓願歟〔至徳三年本〕
芳札之旨令披見候畢誠可有御給仕之旨被誓願歟〔宝徳三年本〕
芳札之旨令披見候了誠可有御給仕之由被誓願歟〔建部傳内本〕
芳札ノ之旨令‖披見|候畢誠ニ可∨有‖御給仕|之旨被レ‖誓願|候歟〔山田俊雄藏本〕
芳札之旨令‖披見せ|候畢誠ニ可キノ∨有‖御給仕|之旨被‖誓願せ|歟〔経覺筆本〕
芳札之旨。令‖披見|候畢。誠ニ可∨有‖御給(キウ)仕|之旨被‖誓(せイ)願|歟〔文明四年本〕※誓願(せイクワン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「芳札」と記載する。
芳札 ハウサツ/消息詞。〔黒川本・畳字門上26ウ二〕
芳菲 〃契。〃札。〃命。〃心。〃草。〃蘭。〃年。〃春。〃鮮―せン/魚名也。〃唐―イン。〃友。〃談。〃紛。〃躅。〔巻第一・畳字門209二〕
恩簡(ヲンカン) 芳札(ハウ ツ)之義也。〔態藝門89七〕
芳札(ハウサツ/カウバシ、フダ)[平・入] 。〔態藝門63二〕
芳札(ハウサツ) 。〔弘・言語進退門26二〕〔両・言語門24六〕
芳志(ハウシ) ―命(メイ)。―菲(ヒ)。―枝(シ)。―墨(ホク)。―意(イ)。―詞(シ)。―翰(カン)。―言(コン)。―心(シン)。―約(ヤク)。―札(サツ)。―談(ダン)。―恩(ヲン)。―情(せイ)。―契(ケイ)。―問(モン)。―艶(エン)美女也。―存(ゾン)。―惠(ケイ)。〔永・言語門22六〕
芳志(ハウシ) ―命。―菲。―枝。―墨。―意。―詞。―翰。―言。―心。―約。―札。―談。―恩。―情。―契。―問。―艶美女也。―存。―惠。〔堯・言語門20五〕
芳札( サツ) 。〔言辞門20六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「芳札」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
549芳札之旨令‖披見|候畢。誠ニ可∨有‖御給仕|之旨被‖誓願せ|候歟。 四也衆生無辺誓願度、法門無尽誓願学、煩悩無辺誓願断、佛道無上誓願成也云々。〔謙堂文庫蔵五二右B〕
とあって、標記語「芳札」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
芳(ハウ)札之旨(ムネ)令‖披(ヒ)見|候畢ヌ。誠(マコト)ニ可∨有‖御給仕(コキウシ)|之由被(ラル)‖誓願(せイクハン)せ|歟于∨今懈怠(ケダイ)ノ之条誓願ト云事。ネガイチカウトコロナリ。〔下29オ一・二〕
芳札(ほうさつ)之(の)旨(むね)披見(ひけん)セ令(しめ)候ひ畢ぬ/芳札之旨令‖披見セ|候畢 芳札披見の注並に前に見たり。〔78オ三〕
とあって、この標記語「芳札」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
芳札(はうさつ)之(の)旨(むね)披見(ひけんせ)せ令(しめ)候(さふらひ)訖(おハん)ぬ誠(まこと)に御給仕(ごきふじ)有(あ)る可(へ)き之(の)旨(むね)誓願(せいぐわん)せら被(る)る歟(か)今(いま)懈怠(けたい)之(の)條(てう)凡情(ほんしやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)尤(もつとも)謝(しや)せらる被(る)可(べ)き者(もの)也(なり)唱導(しやうたう)之(の)事(こと)申(まを)し入(い)れ候(さふら)ふ之(の)處(ところ)其期(そのごに)に臨(のそん)て手輿(たごし)御迎(おんむかひ)を給(たま)ふ可(べ)き由(よし)仰(あふせ)に候(さふら)ふ/芳札之旨。令‖披見セ|候ヒ訖ヌ。誠ニ可キ∨有‖御給仕|之旨。被ル‖誓願セラ|歟。于∨今懈怠之條凡情常ノ業障也。尤可キ∨被∨謝セラ∨之ヲ|者也。唱導ノ之事。申シ入ン候フ處。臨テ‖其期ニ|手輿可キ∨給フ‖御迎フ|由仰ニ候フ。〔57オ二〜五〕
芳札(はうさつ)之(の)旨(むね)令(しめ)‖披見(ひけんせ)|候(さふらひ)畢(をハんぬ)誠(まこと)に可(へき)∨有(ある)‖御給仕(ごきふじ)|之(の)旨(むね)被(るゝ)‖誓願(せいくわん)せら|歟(か)于(に)∨今(いま)懈怠(けだい)之(の)條(でう)凡情(ぼんじやう)常(つね)の業障(ごふしやう)也(なり)尤(もつとも)可(べき)∨被(る)∨謝(しやせら)者(もの)也(なり)。唱導(しやうたう)之(の)事(こと)申入(まうしいれ)候(さふらふ)之(の)處(ところ)臨(のそんて)‖其期(そのごに)|手輿(たごし)可(べき)∨給(たまふ)‖御迎(おんむかひ)|由(よし)仰(おほせに)候(さふらふ)。〔102オ四〜102ウ三〕
Fo<sat.ハウサツ(芳札) Co<baxij fuda.(芳ばしい札)すなわち,Fo<can.l,fo<bocu.(芳翰.または,芳墨)書いた人を敬って,上品に書かれた手紙をほめるために使う語.〔邦訳264r〕
はう-さつ〔名〕【芳札】他の手紙を敬稱する語。御手紙の意。貴札。芳翰。芳書。梁元帝、與二劉孝綽一書「數レ路計レ行、遲還二芳札一」韋應物、寄二子西一詩「傷離在二芳札一、忻遂見二心曲一」〔1556-5〕
九月十三日 沙弥/進上 侍者御中〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
九月十二日 沙弥/進上 侍者御中〔建部傳内本〕
九月十三日 沙弥/進上 侍者御中〔山田俊雄藏本〕〔経覺筆本〕
九月十三日 沙弥沙弥(シヤミ)/進上 侍者御中〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本の古写本は、「御中」と記載記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「御中」の語を未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には、見えている語となっている。
547謹上侍者御中 〔謙堂文庫蔵五二右@〕
とあって、標記語「御中」の語を収載し、この語についての語注記は、「」と記載する。
恐々謹言 九月十二日 沙弥/進上 侍者御中〔下28ウ七〜八〕
九月十三日 沙弥(しやミ)/進上 侍者(ししや)御中(おんなか)/九月十三日 沙弥/進上 侍者御中〔77ウ七〜78オ二〕
とあって、この標記語「謹言」の語をもって収載し、語注記未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
九月十三日(くぐわつじふさんにち) 沙弥(しやミ)/進上(しんじやう) 侍者(じしや)御中(おんなか)/九月十三日 沙弥/進上 侍者御中▲沙弥ハ十月の進状中しるす。〔56オ五〜八〕
九月十三日(くぐわつじふさんにち) 沙弥(しやミ)/進上(しんじやう) 侍者(じしや)御中(おんなか)▲沙弥ハ十月の進状中しるす。〔102オ一・三〕
沙弥( ミ) 駆烏――自十歳至十五歳。應法――自十六歳至テ‖十九歳ニ|。名字――廿歳也。〔元亀二年本312二〕
沙弥(シヤミ) 馳烏――自十歳至十五才。應法――十六歳至十九。名字――廿歳也。〔静嘉堂本365三・四〕
九月十三日 沙弥/進上 侍者御中〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕
九月十二日 沙弥/進上 侍者御中〔建部傳内本〕
九月十三日 沙弥/進上 侍者御中〔山田俊雄藏本〕〔経覺筆本〕
九月十三日 沙弥沙弥(シヤミ)/進上 侍者御中〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本の古写本は、「沙弥」と記載し、訓みは文明四年本に「シヤミ」と記載する。
沙弥 シヤミ。〔黒川本・人倫門下70オ四〕〔巻第九・人倫門140二〕
沙彌(シヤミ) 小僧又賤使(センシ)。〔人倫門40五〕
沙彌(シヤミ/イサゴ、イヨ/\)[平・平] 此始テ落髪(ハツ)ノ之称謂也。言此人出二煩惱一求二涅槃一故也云々。此云二息慈一。又云二勒策一。寄皈傳授十戒已為求宗最下七歳至年十三者。此曰名鳥([烏])沙弥。若年十四至十九名應法若年二十已上。号二名字沙弥ト一也。〔官位門919七・八〕
沙弥(シヤミ) 。〔弘・官名門238一〕〔永・官名門200八〕〔堯・官名門190八〕
沙弥(シヤミ) 。〔人倫門203七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「沙弥」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。なかでも、『運歩色葉集』が語注記を同じくし、継承関係が見られ、更に、広本『節用集』(1476(文明六)年頃成立)にも類似する内容が見えている。
548沙弥 驅烏沙弥自‖十歳|至‖十五|。應法々自十六|。至‖十九名字沙弥ハ至‖廿歳|。六位上司ハ當‖五位ニ|也。〔謙堂文庫蔵五二右@〕
とあって、標記語「沙弥」の語を収載し、この語についての語注記は、「驅烏沙弥、十歳より十五に至る。應法沙弥十六より十九に至る。名字沙弥ハ廿歳に至る。六位上司は、五位に當るなり」と記載する。
恐々謹言 九月十二日 沙弥/進上 侍者御中〔下28ウ七〜八〕
九月十三日 沙弥(しやミ)/進上 侍者(ししや)御中(おんなか)/九月十三日 沙弥/進上 侍者御中〔77ウ七〜78オ二〕
とあって、この標記語「謹言」の語をもって収載し、語注記未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
九月十三日(くぐわつじふさんにち) 沙弥(しやミ)/進上(しんじやう) 侍者(じしや)御中(おんなか)/九月十三日 沙弥/進上 侍者御中▲沙弥ハ十月の進状中しるす。〔56オ五〜八〕
九月十三日(くぐわつじふさんにち) 沙弥(しやミ)/進上(しんじやう) 侍者(じしや)御中(おんなか)▲沙弥ハ十月の進状中しるす。〔102オ一・三〕
Xami.シャミ(沙弥) 修道院の食糧室係のように,家事をつとめる寺(Tera)の坊主(Bõzos).〔邦訳742r〕
しゃ-み〔名〕【沙彌】〔梵語、?rama?era.(室羅末尼羅(シラマネエラ))の略、求寂、又、息慈と譯す、息惡行慈の意〕又、サミ。始めて佛門に入り、~を剃りし男子の稱。即ち、得度式のみ終ハりたるもの。女なるを、沙彌尼と云ふ。魏書、釋老志「爲二沙門一者、初修二十誡一、曰二沙彌一」源平盛衰記、十六、仁寛流罪事「今年は、十二歳にぞ成らせ給ふ、かかる亂れの世なりければ、御受戒なく、唯、沙彌にてぞ、坐(オハシマ)しける」〔0983-1〕
一向仰御哀憐恐惶敬白〔至徳三年本〕
一向仰御哀憐恐惶敬白〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
一向仰二御哀憐(レン)ヲ一恐惶敬白〔山田俊雄藏本〕
一向ニ仰(アヲク)二御哀憐(アイレン)ヲ一。恐惶謹言〔経覺筆本〕
一向仰(アフク)レ御哀憐(アイレン)ヲ一恐惶敬白〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本の古写本は、「敬白」と記載し、経覺筆本だけが「謹言」と記載する。
敬白(ケイハク/ウヤマウ、マウス)[去・入] 。〔態藝門603四〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』にだけ標記語「敬白」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
545可∨被∨鳴(ナラ)‖一-磬ヲ|候也。一向ニ仰‖御哀憐|恐々敬白〔謙堂文庫藏五一左F〕
とあって、標記語「敬白」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
恐々謹言 九月十二日 沙弥/進上 侍者御中〔下28ウ七〜八〕
一向(いつかう)御哀憐(ごあいれん)を仰(あを)く/恐惶謹言/九月十三日 沙弥/進上 侍者御中〔77ウ七〜78オ二〕
とあって、この標記語「謹言」の語をもって収載し、語注記未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
但(たゞし)し佛(ぶつ)布施(ふせ)并(ならび)に被物(ひもつ)録物等(ろくもつとう)用意(ようゐ)軽賤(けいせん)也(なり)只(たゞ)御助成(ごじよせい)に擬(ぎ)して之(これ)を執行(しゆぎやう)せら被(る)可(べ)し。御讃嘆(ごさんたん)之(の)に儀(ぎ)に非(あら)ずと雖(いへども)啓白(けいびやく)許(ばかり)を以(もつて)一磬(いつけい)を鳴(な)らさ被(る)可(べ)く候(さふら)ふ也(なり)。一向(いつかふ)に御哀憐(ごあいれん)を仰(あふ)ぐ恐惶(きやうくはう)敬白(けいはく)/但シ佛布施。并ニ被物。録物等ニ用意軽賤也。只擬シテ二御助成ニ一。可シレ被レ執二行セラ之ヲ一。雖レ非ズト二御讃嘆之儀ニ一。以二啓白許ヲ一。可レ被レ鳴ラサ二一磬ヲ一候フ也。一向ニ仰グ二御哀憐ヲ一。恐惶敬白▲敬白(―)ハうやまつてまうすと訓(くん)ず。〔56オ五〜ウ二〕
但(たゞし)佛(ぶつ)布施(ふせ)并(ならび)に被物(ひもつ)録物等(ろくもつとう)用意(ようい)軽賤(けいせん)也(なり)只(たゞ)擬(ぎして)二御助成(ごじよせい)に一可(べし)レ被(る)レ執(しゆ)二行(ぎやうせ)之(これを)一雖(いへども)レ非(あら)ずと御讃嘆(ごさんたん)之(の)儀(ぎに)以(もつて)二啓白(けいびやく)許(ばかりを)可(へく)レ被(る)レ鳴(ならさ)二一磬(いつけい)を一候(さふら)也(なり)一向(いつかうに)仰(あふく)二御哀憐(ごあいれんを)一恐惶(きやうくはう)敬白(けいはく)▲敬白(―)ハうやまつてまうすと訓ず。〔100ウ六〜101ウ一〕
Qeifiacu.ケイヒャク(敬白) Vyamatte m?su.(敬つて白す)尊敬の念をこめて申すこと.例,Qeifacu suru.(敬白する)文書語.※敬白けいひゃく.うやまって,まうす(落葉集).〔邦訳482l〕
けい-はく〔句〕【敬白】けいびゃくの條を見よ。庭訓往來、九月「佛布施、并被物、敬白等敬白、輕賤也」〔0600-2〕
けい-びゃく〔句〕【敬白】うやまひて、まうす。願文。書翰文。などに記す敬語なり。朝野群載、二、獻三供物於二北野廟一「敬白、獻上御幣、上紙百帖、云云、繪馬二匹」庭訓往來、九月「一向仰二御哀憐一、恐惶敬白」〔0600-3〕
哀憐(レン) 。〔元亀二年本259七〕
哀憐(アイレン) 。〔静嘉堂本293七〕
一向仰御哀憐恐惶敬白〔至徳三年本〕
一向仰御哀憐恐惶敬白〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
一向仰二御哀憐(レン)ヲ一恐惶敬白〔山田俊雄藏本〕
一向ニ仰(アヲク)二御哀憐(アイレン)ヲ一。恐惶謹言〔経覺筆本〕
一向仰(アフク)レ御哀憐(アイレン)ヲ一恐惶敬白〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本の古写本は、「哀憐」と記載し、訓みは、経覺筆本・文明四年本に「アイレン」、山田俊雄藏本に「(アイ)レン」と記載する。
哀憐 慈悲分/アイレン。〔黒川本・畳字門下32ウ一〕
哀憐 〃樂。〃勧。〃傷シヤウ。〃歎。〃愍。〃吟。〔巻第八・畳字門355三〕
哀憐(アイレン/カナシム、アワレム)[平・平] 。〔態藝門757二〕
哀憐(アイレン) 。〔弘・言語進退門206六〕
哀憐(アイレン) ―傷(シヤウ)。―愍(ミン)。〔永・言語門170五〕
哀憐(アイレン) ―傷。―愍。〔堯・言語門159八〕
哀慟(アイトウ) ―憐。―情(せイ)。―戚(せキ)。―愍(ミン)。―察(サツ)。〔言辞門172二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「哀憐」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
545可∨被∨鳴(ナラ)‖一-磬ヲ|候也。一向ニ仰‖御哀憐|恐々敬白〔謙堂文庫藏五一左F〕
とあって、標記語「哀憐」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
啓(ケイ)白計ヲ一。可レ被ルレ鳴(ナラ)ラサ二一磬(ケイ)ヲ一也。一向ニ仰ク二御哀憐(アイレン)ヲ一一磬ヲ鳴ス事ハ。上天下界ヲ驚(ヲトロ)カス心ナリ。啓白ハ。始メ結(ケツ)願ハ終ナリ。〔下28ウ五〜七〕
一向(いつかう)御哀憐(ごあいれん)を仰(あを)く/一向ニ仰ク二御哀憐ヲ一 一向ハ一と動にと云事なり。哀憐ハ皆あわれむと讀。今度の法会合力あれハ執行(とりおこな)ハれ合力なけれハ執行ハれすして志至されハ憐て合力あれと也。〔77ウ三〜六〕
とあって、この標記語「哀憐」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
但(たゞし)し佛(ぶつ)布施(ふせ)并(ならび)に被物(ひもつ)録物等(ろくもつとう)用意(ようゐ)軽賤(けいせん)也(なり)只(たゞ)御助成(ごじよせい)に擬(ぎ)して之(これ)を執行(しゆぎやう)せら被(る)可(べ)し。御讃嘆(ごさんたん)之(の)に儀(ぎ)に非(あら)ずと雖(いへども)啓白(けいびやく)許(ばかり)を以(もつて)一磬(いつけい)を鳴(な)らさ被(る)可(べ)く候(さふら)ふ也(なり)。一向(いつかふ)に御哀憐(ごあいれん)を仰(あふ)ぐ恐惶(きやうくはう)敬白(けいはく)/但シ佛布施。并ニ被物。録物等ニ用意軽賤也。只擬シテ二御助成ニ一。可シレ被レ執二行セラ之ヲ一。雖レ非ズト二御讃嘆之儀ニ一。以二啓白許ヲ一。可レ被レ鳴ラサ二一磬ヲ一候フ也。一向ニ仰グ二御哀憐ヲ一。恐惶敬白。〔56オ五〜八〕
但(たゞし)佛(ぶつ)布施(ふせ)并(ならび)に被物(ひもつ)録物等(ろくもつとう)用意(ようい)軽賤(けいせん)也(なり)只(たゞ)擬(ぎして)二御助成(ごじよせい)に一可(べし)レ被(る)レ執(しゆ)二行(ぎやうせ)之(これを)一雖(いへども)レ非(あら)ずと御讃嘆(ごさんたん)之(の)儀(ぎに)以(もつて)二啓白(けいびやく)許(ばかりを)可(へく)レ被(る)レ鳴(ならさ)二一磬(いつけい)を一候(さふら)也(なり)一向(いつかうに)仰(あふく)二御哀憐(ごあいれんを)一恐惶(きやうくはう)敬白(けいはく)。〔100ウ六〜101オ五・六〕
Airon.(ママ)アイレン(哀憐) Auaremi.(憐れみ)慈悲心,寛大.¶Airenuo taruru,l,cuuayuru.(哀憐を垂るる,または,加ゆる)あわれむ,または,同情する.※Airenの誤植.補遺にAirenを収めたのは,これの訂正であろう.→次条.〔邦訳18r〕
あい-れん〔名〕【愛憐】いつくしみ、あはれむこと。いとほしむこと。〔0003-4〕
BACK(「言葉の泉」へ)
MAIN MENU(情報言語学研究室へ)
上記、記載内容についての問い合わせのメールは、
《(学校)hagi@komazawa-u.ac.jp. (自宅)hagi@kk.iij4u.or.jp.》で、お願いします。