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ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
僧衆(シユ) 。〔元亀二年本153二〕
僧衆 。〔静嘉堂本167六〕※「衆」の文字の下部「維」文字に変形表記
禪律僧衆諸寺諸社聖道衆徒崛請事候也〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
禪律(リツ)ノ僧衆諸寺諸社ノ聖道衆徒屈請(クツシヤウ)申事ニ候也〔山田俊雄藏本〕
禪律ノ僧衆諸寺諸社ノ聖道ノ衆徒(ト)。崛請ノ事ニ候也〔経覺筆本〕
禪律(ぜンリツ)ノ僧衆(ソウシユウ)。諸寺諸社ノ聖道。ノ衆徒(ト)。屈請(クツシヤウ)ノ事ニ候也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「僧衆」と記載し、訓みは文明四年本に「ソウシユウ」と記載する。
僧衆(シユ) 。〔弘・人倫門118八〕
僧俗(ソク) ―侶(リヨ)。―徒(ト)/―衆(シユ)。〔人倫門099六〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』・弘治二年本『節用集』に標記語「僧衆」、熟語群では易林本『節用集』にこの語を収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が、収載している。
580禅律ノ兩僧衆諸寺諸社ノ 社ハ神武ノ父地神五代鞄緊草不合葺尊ノ始云也。〔謙堂文庫蔵五四右A〕
とあって、標記語「僧衆」の語を収載し、この語についての語注記は未記載にする。
同者結夏(ケツゲ)以前可キレ然カル時分ニ候禪律(せンリツ)ノ僧(ソウ)衆諸寺諸社ノ聖道(シヤウダウ)ノ衆徒(ト)結夏(ケツゲ)トハ四月ヲ云也。但シ宗ニ依テ替(カハ)ルベシ。此文秋(アキ)冬ヲ兼(カネ)タル月付也。夏ノ事治定(チデフ)ナリ。〔下31オ七・八〕
禪律(ぜんりつ)の僧衆(そうしゆ)諸寺(しよじ)諸社(しよしや)聖道(しやうだう)の衆徒(しゆと)/禪律(せンリツ)ノ僧(ソウ)衆諸寺諸社ノ聖道(シヤウダウ)ノ衆徒(ト) 注前に見へたり。〔81ウ四〕
とあって、この標記語「僧衆」の語をもって収載し、語注記は「よきころなりぞ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
禪律(ぜんりつ)乃僧衆(そうしゆ)諸寺(しよじ)諸社(しよしや)の聖道(しやうだう)の衆徒(しゆと)之(これ)を屈請(くつしやう)する事(こと)に候(さふら)ふ/禪律ノ僧衆。諸寺諸社ノ聖道ノ衆徒。屈二請スル之ヲ一事ニ候。〔59オ七〕
禪律(ぜんりつの)僧衆(そうしゆ)諸寺(しよじ)諸社(しよしやの)聖道(しやうだうの)衆徒(しゆと)屈(くつ)二請(しやうする)之(これを)一事(ことに)候(さふらふ)。〔107オ一〕
So>xu.ソゥシュ(僧衆) すなわち,Bo<zutachi.(坊主たち)坊主たち.(Bonzos).〔邦訳579l〕
そう-しゅう〔名〕【僧衆】〔佛家にては、ソウシュ。多くの比丘の和合して一國をなすもの〕多くの僧。衆徒。僧徒。宋書、蕭開傳「自宣悉供二僧衆一」〔1140-4〕
同者結夏以前可然時分候〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
同者(ハ)結夏以前可レ然時分ニ候〔山田俊雄藏本〕
同ク者結夏以前。可キレ然ル時分ニ候〔経覺筆本〕
同ク者結夏(ケツケ)以前。可キレ然(しかるも)ル時分(しぶん)ニ候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「時分」と記載する。
時分(ジブン/トキ、ワカツ)[平・平] 。〔態藝門942六〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』だけが標記語「時分」の語を収載する。これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本は、収載しているのである。
579同者結夏以前可∨然時分候 結夏以前是ハ十月ノ文ナル間来年之結夏ヲ云也。〔謙堂文庫蔵五四右@〕
とあって、標記語「時分」の語を収載し、この語についての語注記は未記載にする。
同者結夏(ケツゲ)以前可キレ然カル時分ニ候禪律(せンリツ)ノ僧(ソウ)衆諸寺諸社ノ聖道(シヤウダウ)ノ衆徒(ト)結夏(ケツゲ)トハ四月ヲ云也。但シ宗ニ依テ替(カハ)ルベシ。此文秋(アキ)冬ヲ兼(カネ)タル月付也。夏ノ事治定(チデフ)ナリ。〔下31オ七・八〕
然(しか)る可(へき)の時分(じぶん)に候/可レ然之時分ニ候 よきころなりとそ。〔81ウ三・四〕
とあって、この標記語「時分」の語をもって収載し、語注記は「よきころなりぞ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
同(おなじ)く者(ハ)結夏(けつげ)以前(いぜん)然(しか)る可(べ)き之(の)時分(じぶん)に候(さふら)ふ/同ク者結夏以前。可キレ然ル之時分ニ候フ。〔59オ七〕
同(おなじく)者(ハ)結夏(けつげ)以前(いぜん)可(べき)然(しか)之(の)時分(じぶんに)候(さふらふ)。〔106オ六〕
Iibun.ジブン(時分) 時.¶Iibun to<rai suru.(時分到来する)何かの時期,あるいは,好機をねらう.¶Iibunuo motte mairo<zu.(時分を以て参らうず)私はその時になったら行こう.¶So<to<no jibun.(相当の時分)ある事をするのに都合のよい時期.¶Iibun fazzureni monouo suru.(時分外れに物をする)その時期でない時,または,定められた時でない時などに物事をする.→Mifacarai,o<;Mitcuroi,o>.〔邦訳360l〕
じ-ぶん〔名〕【時分】とき。をり。ころほひ。時機。太平記、十六、船坂合戰事「三石にありし勢は、皆、熊山に向ひたる時分なれば、闘はんとするに、勢なく」「時分、良し」いつ時分」時分を伺ふ」〔0926-3〕
同者結夏以前可然時分候〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
同者(ハ)結夏以前可レ然時分ニ候〔山田俊雄藏本〕
同ク者結夏以前。可キレ然ル時分ニ候〔経覺筆本〕
同ク者結夏(ケツケ)以前。可キレ然(しかるも)ル時分(しぶん)ニ候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「以前」と記載する。
已前(イゼン/ヲノレ・スデニ、マヱ)[去・平] 又作二以前一。〔態藝門416六〕
已前(イぜン) 。〔言辞門007三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「已前」の語を以て収載し、広本『節用集』の注記により「以前」の語を確認できる状況にある。これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本は、収載しているのである。
579同者結夏以前可∨然時分候 結夏以前是ハ十月ノ文ナル間来年之結夏ヲ云也。〔謙堂文庫蔵五四右@〕
とあって、標記語「以前」の語を収載し、この語についての語注記は未記載にする。
同者結夏(ケツゲ)以前可キレ然カル時分ニ候禪律(せンリツ)ノ僧(ソウ)衆諸寺諸社ノ聖道(シヤウダウ)ノ衆徒(ト)結夏(ケツゲ)トハ四月ヲ云也。但シ宗ニ依テ替(カハ)ルベシ。此文秋(アキ)冬ヲ兼(カネ)タル月付也。夏ノ事治定(チデフ)ナリ。〔下31オ七・八〕
同(おな)じくハ結夏(けつか)以前(いぜん)/同者結夏以前 結夏ハ四月十五日の事也。くわしくハ九月十三日の進状九旬の法花といふ下の注に見へたり。是ハ十月の状なれハ来年の事をいえるなり。〔81ウ二・三〕
とあって、この標記語「以前」の語をもって収載し、語注記未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
同(おなじ)く者(ハ)結夏(けつげ)以前(いぜん)然(しか)る可(べ)き之(の)時分(じぶん)に候(さふら)ふ/同ク者結夏以前。可キレ然ル之時分ニ候フ。〔59オ七〕
同(おなじく)者(ハ)結夏(けつげ)以前(いぜん)可(べき)然(しか)之(の)時分(じぶんに)候(さふらふ)。〔106オ六〕
IIen.イゼン(以前) 前に.〔邦訳332r〕
い-ぜん〔名〕【以前】〔以後に對す〕(一)これより前(まへ)。史記、趙世家「今、三世以前」榮花物語、十一、莟花「四月御安禮(みあれ)の日より、手斧(てをの)始めて、來年の四月いぜんに、作出さざらむをば、官(つかさ)を取り、國を召しかへし、などせさせたまひ」(二)そのかみ。さきつころ。往時。「以前拝面致候節」〔0158-1〕
結夏(ケツケ) 自四月十五日至七月十四日九十日間也{頭注書込:一夏九旬ト云也}。〔元亀二年本214六〕結夏(ケツケ) 自二四月十五日至二七月十四日ニ一九十日也。〔静嘉堂本244二〕
結夏(ケツカ) 自四月.十四日至七月十四日.九十日間也。〔天正十七年本中51ウ二〕
同者結夏以前可然時分候〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
同者(ハ)結夏以前可レ然時分ニ候〔山田俊雄藏本〕
同ク者結夏以前。可キレ然ル時分ニ候〔経覺筆本〕
同ク者結夏(ケツケ)以前。可キレ然(しかるも)ル時分(しぶん)ニ候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「結夏」とし、訓みは、山田俊雄藏本に「ツイ(―)」、経覺筆本に「タイイン」、そして文明四年本に「ツイヱン」と異なって記載する。
結夏(ケツゲ/ムスブ、カ・ナツ)[入・上] 或云二結制ト一。事林廣記云。四月十五日。乃僧家結夏之日。荊楚歳時記云。天下僧尼。此日就二禅刹ニ一。梅塔謂二之結夏ト一。又謂二之結制ト一。盖夏乃具養之節。在外行則恐二傷草木虫類一。故九十日安居矣云々。〔時節門589七・八〕
結夏(ケツゲ) 四月十五日。結制(セイ) 同。〔弘・時節門172四〕
結夏(ケツゲ) 四月十五日。〔永・時節門141六〕〔堯・時節門131三〕
結夏(ケツゲ) 。〔天地門143六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「結夏」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
579同者結夏以前可∨然時分候 結夏以前是ハ十月ノ文ナル間来年之結夏ヲ云也。〔謙堂文庫蔵五四右@〕
とあって、標記語「結夏」の語を収載し、この語についての語注記は「結夏以前、是れは十月の文なる間に、来年の結夏を云ふなり」と記載する。
同者結夏(ケツゲ)以前可キレ然カル時分ニ候禪律(せンリツ)ノ僧(ソウ)衆諸寺諸社ノ聖道(シヤウダウ)ノ衆徒(ト)結夏(ケツゲ)トハ四月ヲ云也。但シ宗ニ依テ替(カハ)ルベシ。此文秋(アキ)冬ヲ兼(カネ)タル月付也。夏ノ事治定(チデフ)ナリ。〔下31オ七・八〕
同(おな)じくハ結夏(けつか)以前(いぜん)/同者結夏以前 結夏ハ四月十五日の事也。くわしくハ九月十三日の進状九旬の法花といふ下の注に見へたり。是ハ十月の状なれハ来年の事をいえるなり。〔81ウ二・三〕
とあって、この標記語「結夏」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
同(おなじ)く者(ハ)結夏(けつげ)以前(いぜん)然(しか)る可(べ)き之(の)時分(じぶん)に候(さふら)ふ/同ク者結夏以前。可キレ然ル之時分ニ候フ。▲結夏ハ四月ハ十五日也。七月十六日解夏(げゝ)といふ。委(くわし)く九月の進状に見ゆ。〔59オ七、59ウ三・四〕
同(おなじく)者(ハ)結夏(けつげ)以前(いぜん)可(べき)然(しか)之(の)時分(じぶんに)候(さふらふ)▲結夏ハ四月ハ十五日也。七月十六日解夏(げゝ)といふ。委(くハし)く九月の進状に見ゆ。〔106オ六、106ウ六〜107オ一〕
Qetgue.ケッゲ(結夏) Natcuuo musubu.(夏を結ぶ)〔陰暦の〕四月八日から七月の十五日までの夏の時期.〔邦訳490l〕
けつ-げ〔名〕【結夏】又、結夏(ケチゲ)。僧の、一夏(イチゲ)九旬の閨A(陰暦、四月十五日より、七月十五日まで)禁足して、靜かに家に籠り居ること。これを始むるを、結夏と云ひ、又、安居(アンゴ)とも云ふ。草木の芽。蟲蟻の類を踏み傷(いた)めむことを恐れて、然りと云ふ。庭訓往來、十月「可レ令レ行二大齋一候、同者結夏以前、可レ然之時分候」〔0615-2〕
けち-げ〔名〕【結夏】けつげ(結夏)に同じ。〔0613-3〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召{招}請申候次且為看經且為諷經可令行大齊候〔至徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且爲看經且爲諷經可令行大齋候〔宝徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且為看經且為諷經可令行大齋候〔建部傳内本〕
入院(ジユエン)ノ新命。退(ツイ)院ノ西堂久不二相看(シヤウカン)申之間近日可二招請(テウセウ)申一候次ニ且ハ為二看經(カンキン)ノ一且ハ為二諷經(フギン)一可レ令レ行ハ二大齊ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
入(シユ)院ノ新命(シンメイ)退院(タイイン)ノ西堂久シク不レ申二相看(シヤウカン)一之間近日可二招請(セウシヤウ)申一之次且ハ為二看経(カンキン)ノ一且ハ為二諷経ノ一可クレ被ムレ行二大齋(サイ)ヲ一候〔経覺筆本〕
入院(シユヱン)ノ新命(シンメイ)。退院(ツイヱン)ノ。西堂(せイタウ)久不レ申レ相看(シヤウカン)之(ノ)間。近日可レ招請(テウシヤウ)申一候。次ニ且ハ為(タメ)二看經(カンキン)ノ一。且ハ為レ諷經(フギン)ノ可(ヘク)レ令ムレ行(ヲコナフ)ハ二大齊(サイ)ヲ一候〔文明四年本〕 ※召請(テウシヤウ)。齋(トキ)サイ、せイ。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「大齋」とし、訓みは、山田俊雄藏本に「ツイ(―)」、経覺筆本に「タイイン」、そして文明四年本に「ツイヱン」と異なって記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「大齋」の語は未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
578且為‖諷経|可∨被∨行‖大齋ヲ|候 齋ハ齊歟。齊ハ行也。大齊ハ大佛亊也。{頭注:諷經 トブライノ經也}〔謙堂文庫蔵五三左H〕
とあって、標記語「大齋」の語を収載し、語注記は「齋ハ齊歟。齊ハ行也。大齊ハ大佛亊也」と記載する。
大齊ヲ|候大齊(サイ)トハ大(ヲヽ)キニスクフトヨメリ。〔下31オ三六・七〕
大齋(たいさい)を行(おこな)ハ令(しむ)可(べく)候/可レ令レ行二大齋ヲ一候 精進(しやうじん)の振舞(ふるまい)を齊(さい)と云。ときと讀なり。〔81ウ一・二〕
とあって、この標記語「大齋」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐん)乃西堂(せいだう)久(ひさ)しく相看(しやうかん)申(まうさ)さゞる之(の)間(あいだ)近日(きんじつ)召請(せうしやう)申(まを)す可(べ)く候(さふら)ふ次(ついで)且(かつ)ハ看経(かんぎん)の爲(ため)且(かつ)ハ諷経(ふきん)の爲(ため)大齋(だいさい)を行(おこな)ハ令(し)む可(べ)く候(さふら)ふ/入院新命。退院西堂。久ク不ルレ申サ二相看一之間。近日可ク二召請申ス一候。次。且ハ為二看経ノ一。且ハ為二諷経一。可クレ令ムレ行ハ二大齋ヲ一候。▲大齋ハ大仏事(ぶつじ)を執行(しゆぎやう)して齊(とき)を設(もう)くるをいふ。〔59オ七、59ウ三〕
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐんの)西堂(せいだう)久(ひさしく)不(さる)レ申(まうさ)二相看(しやうかん)之(の)間(あひだ)近日(きんじつ)可(へく)二召請(せうしやう)申(まうす)一候(さふらふ)次(ついで)且(かつ)ハ為(ため)二看経(かんきん)の一且(かつ)ハ為(ため)二諷経(ふきん)の一可(べく)レ令(しむ)レ行(おこなハ)二大齋(だいさい)を一候(さふらふ)▲大齋ハ大仏事(ぶつじ)を執行(しゆぎやう)して齊(とき)を設(まう)くるをいふ。〔106オ六、106ウ六〕
諷經(キン) 。〔元亀二年本224一〕〔天正十七年本中57ウ一〕
諷經(フギン) 。〔静嘉堂本256五〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召{招}請申候次且為看經且為諷經可令行大齊候〔至徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且爲看經且爲諷經可令行大齋候〔宝徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且為看經且為諷經可令行大齋候〔建部傳内本〕
入院(ジユエン)ノ新命。退(ツイ)院ノ西堂久不二相看(シヤウカン)申之間近日可二招請(テウセウ)申一候次ニ且ハ為二看經(カンキン)ノ一且ハ為二諷經(フギン)一可レ令レ行ハ二大齊ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
入(シユ)院ノ新命(シンメイ)退院(タイイン)ノ西堂久シク不レ申二相看(シヤウカン)一之間近日可二招請(セウシヤウ)申一之次且ハ為二看経(カンキン)ノ一且ハ為二諷経ノ一可クレ被ムレ行二大齋(サイ)ヲ一候〔経覺筆本〕
入院(シユヱン)ノ新命(シンメイ)。退院(ツイヱン)ノ。西堂(せイタウ)久不レ申レ相看(シヤウカン)之(ノ)間。近日可レ招請(テウシヤウ)申一候。次ニ且ハ為(タメ)二看經(カンキン)ノ一。且ハ為レ諷經(フギン)ノ可(ヘク)レ令ムレ行(ヲコナフ)ハ二大齊(サイ)ヲ一候〔文明四年本〕 ※召請(テウシヤウ)。齋(トキ)サイ、せイ。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「諷經」とし、訓みは、山田俊雄藏本・文明四年本に「フギン」と記載する。
諷經(フギン) 。〔態藝門84一〕
諷經(フギン/イマシム・ホノカ、ケイ・タテ)[去・去] 。〔態藝門627一〕
諷經(ギン) 。〔弘・言語進退門183四〕
諷經(フギン) ―誦(ジユ)。―諌(カン)。〔言辞門151二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「諷經」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
578且為‖諷経|可∨被∨行‖大齋ヲ|候 齋ハ齊歟。齊ハ行也。大齊ハ大佛亊也。{頭注:諷經 トブライノ經也}〔謙堂文庫蔵五三左H〕
とあって、標記語「諷經」の語を収載し、この語についての語注記はなく、頭注に、「諷經 とぶらいの經」と記載する。
諷經(フギン)ノ|可ク∨令ム∨行ハ‖諷經(フギン)ト云事吊(トフラヒ)ノ經ナリ。〔下31オ三五〕
次(つぎ)に且(かつ)ハ看経(かんきん)の爲且ハ諷経(ふぎん)の爲(ため)/次且ハ為二看經ノ一且ハ為二諷經ノ一。次にとハ前の事云終りて又事を云述る時置く字(じ)也。看經ハきやうを見る。諷經ハきやうを唱(とな)ふと訓す。〔81オ八〜ウ一〕
とあって、この標記語「諷經」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐん)乃西堂(せいだう)久(ひさ)しく相看(しやうかん)申(まうさ)さゞる之(の)間(あいだ)近日(きんじつ)召請(せうしやう)申(まを)す可(べ)く候(さふら)ふ次(ついで)且(かつ)ハ看経(かんぎん)の爲(ため)且(かつ)ハ諷経(ふきん)の爲(ため)大齋(だいさい)を行(おこな)ハ令(し)む可(べ)く候(さふら)ふ/入院新命。退院西堂。久ク不ルレ申サ二相看一之間。近日可ク二召請申ス一候。次。且ハ為二看経ノ一。且ハ為二諷経一。可クレ令ムレ行ハ二大齋ヲ一候。▲諷經ハ吊(とむらひ)の經也。〔59オ七、59ウ三〕
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐんの)西堂(せいだう)久(ひさしく)不(さる)レ申(まうさ)二相看(しやうかん)之(の)間(あひだ)近日(きんじつ)可(へく)二召請(せうしやう)申(まうす)一候(さふらふ)次(ついで)且(かつ)ハ為(ため)二看経(かんきん)の一且(かつ)ハ為(ため)二諷経(ふきん)の一可(べく)レ令(しむ)レ行(おこなハ)二大齋(だいさい)を一候(さふらふ)▲諷經ハ吊(とむらひ)の經也。〔106オ六、106ウ五〕
†Fuguin.フギン(諷經) 禅宗僧(Ienxus)が仏事の際に行う或る儀式.※原文はexequias.〔Butcujiの注〕〔邦訳272r〕
ふ-ギン〔名〕【諷經】〔經(キン)の字は宋音〕經文を讀誦すること。特に、禪家にては、佛前の勤行をも云ふ。下學集、下、態藝門「諷經フギン」撮壤集、上、行事(禪家)「諷經フギン」易林本節用集(慶長)下、言辭門「諷經フギン」敕修百丈清規、祈?「鳴レ鐘集レ衆諷經」南禪規式「夏中罰下不レ赴二諷經一者上」備用清規「食訖、鳴レ槌一下、住持下レ地、次第桂鉢出レ堂、上レ殿諷經」空華日工集「日本號二日中諷經一者、昔爲二外國敵来襲一、建長寺始誦二法華普門品一、爾來毎寺、或誦二金剛、法華、圓覺等經一」南屏燕語(釋南山)三「古法は放參後、山門首に諷經す」〔1729-5〕
看經且爲看經(カンキン)ハ。持經(ヂキヤウ)也。近クミル經也。惣(ソウ)シテ讀誦(トクジユ)トテ。本デヨムヲバ讀ト云ヒ。ソラニヨムヲバ。誦ト云フ也。心ハ別也。〔下31オ五・六〕
招請(テウシヤウ) 。〔元亀二年本245四〕〔静嘉堂本283三〕〔天正十七年本中70ウ二〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召{招}請申候次且為看經且為諷經可令行大齊候〔至徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且爲看經且爲諷經可令行大齋候〔宝徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且為看經且為諷經可令行大齋候〔建部傳内本〕
入院(ジユエン)ノ新命。退(ツイ)院ノ西堂久不二相看(シヤウカン)申之間近日可二招請(テウセウ)申一候次ニ且ハ為二看經(カンキン)ノ一且ハ為二諷經(フギン)一可レ令レ行ハ二大齊ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
入(シユ)院ノ新命(シンメイ)退院(タイイン)ノ西堂久シク不レ申二相看(シヤウカン)一之間近日可二招請(セウシヤウ)申一之次且ハ為二看経(カンキン)ノ一且ハ為二諷経ノ一可クレ被ムレ行二大齋(サイ)ヲ一候〔経覺筆本〕
入院(シユヱン)ノ新命(シンメイ)。退院(ツイヱン)ノ。西堂(せイタウ)久不レ申レ相看(シヤウカン)之(ノ)間。近日可レ招請(テウシヤウ)申一候。次ニ且ハ為(タメ)二看經(カンキン)ノ一。且ハ為レ諷經(フギン)ノ可(ヘク)レ令ムレ行(ヲコナフ)ハ二大齊(サイ)ヲ一候〔文明四年本〕 ※召請(テウシヤウ)。齋(トキ)サイ、せイ。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「招請」とし、訓みは、山田俊雄藏本に「テウセウ」、経覺筆本に「セウシヤウ」、そして文明四年本に「テウシヤウ」と異なって記載する。
招請(チヨウシヤウ) 。〔態藝門93四〕
招請(テウシヤウ/マネク、ウケル)[平・平] 。〔態藝門737四〕
招請(テウシヤウ) 。〔弘・言語進退門198五〕〔永・言語門164九〕〔堯・言語門154三〕
招請(テウシヤウ) 。〔言辞門166六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「招請」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
577久不∨申‖相看(シヤウカン)|候間近日可‖招請申|候次且ハ爲‖看経ノ| 無シテ∨音心中ニ誦ルヲ云‖看経ト|。{頭注:相看トハチカ/\トヨリテ言色ヲ啓スル亊也}{頭注:招請トハマネキ請シタルカ聞及タル亊ニテ謂ヒカヘス亊ナシ。然ニ是達タル人也。聞ク人ヲ呼テ便ヲ以付也。是ヲ招請ト云也}〔謙堂文庫蔵五三左H〕
とあって、標記語「招請」の語を収載し、この語についての語注記は、「招請とは、まねき請したるが聞及びたる事にて謂ひかへす事なし。然るに是れ達したる人なり。聞く人を呼びて便を以って付くなり。是れを招請と云ふなり」と記載する。
相看(シヤウカン)|之間近(キン)日可ク‖招請(テウシヤウ)申|候次ニ且ハ爲メ‖相看(シヤウカン)トハ。チカ/\ト寄(ヨツ)テ吉(ヨ)キ色(イロ)ヲ啓(ケイ)スル事ナリ。招請(テウシヤウ)トハ。マネキ請シタル歟(カ)。其故ハ聞(キヽ)及ビタル計(ハカリ)ニテ謂(イヒ)カハス事ナシ。然ニ此ハ究(キハ)メタル人也。得(トク)人ヲ喚(ヨバ)ントテ便(タヨ)リヲ以テ伺(ウカヾ)フナリ。是ヲ招請(テフシヤウ)トハ云フナリ。〔下31オ三五〕
近日(きんじつ)招請(てうしやう)申(もふす)可(べく)候/近日可‖招請シ申|候 招請ハまねきこふと讀て呼遣る事也。爰に云こゝろハ住持代替りの後ハ事多くありしゆへ久/\相逢ふ事もなく殊遠に打過たれは近々之内にまねき申さんとなり。〔81オ六・七〕
とあって、この標記語「招請」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐん)乃西堂(せいだう)久(ひさ)しく相看(しやうかん)申(まうさ)さゞる之(の)間(あいだ)近日(きんじつ)召請(せうしやう)申(まを)す可(べ)く候(さふら)ふ次(ついで)且(かつ)ハ看経(かんぎん)の爲(ため)且(かつ)ハ諷経(ふきん)の爲(ため)大齋(だいさい)を行(おこな)ハ令(し)む可(べ)く候(さふら)ふ/入院新命。退院西堂。久ク不ルレ申サ二相看一之間。近日可ク二召請申ス一候。次。且ハ為二看経ノ一。且ハ為二諷経一。可クレ令ムレ行ハ二大齋ヲ一候。▲召請ハ招(まね)き迎(むか)ふる也。〔59オ七、59ウ三〕
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐんの)西堂(せいだう)久(ひさしく)不(さる)レ申(まうさ)二相看(しやうかん)之(の)間(あひだ)近日(きんじつ)可(へく)二召請(せうしやう)申(まうす)一候(さふらふ)次(ついで)且(かつ)ハ為(ため)二看経(かんきん)の一且(かつ)ハ為(ため)二諷経(ふきん)の一可(べく)レ令(しむ)レ行(おこなハ)二大齋(だいさい)を一候(さふらふ)▲召請ハ招(まね)き迎(むか)ふる也。〔106オ六、106ウ五〕
Cho>xo<.テウシャウ(招請) Maneqi vquru.(招き請くる)迎えること.〔邦訳128r〕
せう-じゃう〔名〕【招請】セウセイ(招請)に同じ。太平記、九、足利殿御上洛事「高氏を招請ありて、樣樣、賞翫どもありしに、御先祖、累代の白旌あり」〔1095-1〕
せう-せい〔名〕【招請】招き、請(シヤウ)ずること。まねき、迎ふること。招待。三國志、魏志、張範傳「袁術、備レ禮招請、範、稱レ疾不レ往」〔1095-3〕
相看(カン) 。〔元亀二年本312八〕〔静嘉堂本366三〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召{招}請申候次且為看經且為諷經可令行大齊候〔至徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且爲看經且爲諷經可令行大齋候〔宝徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且為看經且為諷經可令行大齋候〔建部傳内本〕
入院(ジユエン)ノ新命。退(ツイ)院ノ西堂久不二相看(シヤウカン)申之間近日可二招請(テウセウ)申一候次ニ且ハ為二看經(カンキン)ノ一且ハ為二諷經(フギン)一可レ令レ行ハ二大齊ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
入(シユ)院ノ新命(シンメイ)退院(タイイン)ノ西堂久シク不レ申二相看(シヤウカン)一之間近日可二招請(セウシヤウ)申一之次且ハ為二看経(カンキン)ノ一且ハ為二諷経ノ一可クレ被ムレ行二大齋(サイ)ヲ一候〔経覺筆本〕
入院(シユヱン)ノ新命(シンメイ)。退院(ツイヱン)ノ。西堂(せイタウ)久不レ申レ相看(シヤウカン)之(ノ)間。近日可レ招請(テウシヤウ)申一候。次ニ且ハ為(タメ)二看經(カンキン)ノ一。且ハ為レ諷經(フギン)ノ可(ヘク)レ令ムレ行(ヲコナフ)ハ二大齊(サイ)ヲ一候〔文明四年本〕 ※召請(テウシヤウ)。齋(トキ)サイ、せイ。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「相看」とし、訓みは、山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「シヤウカン」と記載する。
相看(シヤウ・タスク、カン/アウ、ミル)[平・去] 。〔態藝門965三〕
相看(シヤウカン) 。〔弘・言語進退門244六〕
相伴(シヤウバン) ―看。―待。―用。―(シン)暇。〔永・言語門209五〕
相伴(シヤウバン) ―眼。―看。―待。―用。―暇。〔堯・言語門193七〕
相伴(シヤウバン) ―看。〔言辞門105七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「相看」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
577久不∨申‖相看(シヤウカン)|候間近日可‖招請申|候次且ハ爲‖看経ノ| 無シテ∨音心中ニ誦ルヲ云‖看経ト|。{頭注:相看トハチカ/\トヨリテ言色ヲ啓スル亊也}{頭注:招請トハマネキ請シタルカ聞及タル亊ニテ謂ヒカヘス亊ナシ。然ニ是達タル人也。聞ク人ヲ呼テ便ヲ以付也。是ヲ招請ト云也}〔謙堂文庫蔵五三左H〕
とあって、標記語「相看」の語を収載し、この語についての語注記はなく、頭注に「相看とは、ちかぢかとよりて言色を啓する事なり」と記載する。
相看(シヤウカン)|之間近(キン)日可ク‖招請(テウシヤウ)申|候次ニ且ハ爲メ‖相看(シヤウカン)トハ。チカ/\ト寄(ヨツ)テ吉(ヨ)キ色(イロ)ヲ啓(ケイ)スル事ナリ。招請(テウシヤウ)トハ。マネキ請シタル歟(カ)。其故ハ聞(キヽ)及ビタル計(ハカリ)ニテ謂(イヒ)カハス事ナシ。然ニ此ハ究(キハ)メタル人也。得(トク)人ヲ喚(ヨバ)ントテ便(タヨ)リヲ以テ伺(ウカヾ)フナリ。是ヲ招請(テフシヤウ)トハ云フナリ。〔下31オ三五〕
久(ひさ)しく相看(しやうかん)申(もふ)さ不(ざる)の間(あいだ)/久不∨申‖相看之間 相看とハ相逢ふ事也。〔81オ五・六〕
とあって、この標記語「相看」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐん)乃西堂(せいだう)久(ひさ)しく相看(しやうかん)申(まうさ)さゞる之(の)間(あいだ)近日(きんじつ)召請(せうしやう)申(まを)す可(べ)く候(さふら)ふ次(ついで)且(かつ)ハ看経(かんぎん)の爲(ため)且(かつ)ハ諷経(ふきん)の爲(ため)大齋(だいさい)を行(おこな)ハ令(し)む可(べ)く候(さふら)ふ/入院新命。退院西堂。久ク不ルレ申サ二相看一之間。近日可ク二召請申ス一候。次。且ハ為二看経ノ一。且ハ為二諷経一。可クレ令ムレ行ハ二大齋ヲ一候。▲相看ハ対面(たいめん)の義。〔59オ七、59ウ二〕
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐんの)西堂(せいだう)久(ひさしく)不(さる)レ申(まうさ)二相看(しやうかん)之(の)間(あひだ)近日(きんじつ)可(へく)二召請(せうしやう)申(まうす)一候(さふらふ)次(ついで)且(かつ)ハ為(ため)二看経(かんきん)の一且(かつ)ハ為(ため)二諷経(ふきん)の一可(べく)レ令(しむ)レ行(おこなハ)二大齋(だいさい)を一候(さふらふ)▲相看ハ対面(たいめん)の義。〔106オ六、106ウ四〕
Xo<can.シャゥカン(相看) Ai miru.(相看る)すなわち,Vo<.(会ふ)例,Fitoni xo<ca~ suru.(人に相看する)人と面会する.〔邦訳788r〕
しゃう-かん〔名〕【相看】相互に、まみえること。面會。太平記、三十九、光嚴院禪定法皇行脚事「主上、未だ、御相看無き先に、御涙を流させ給ひ」〔0961-2〕
西堂(タウ) 。〔元亀二年本353七〕〔静嘉堂本429三〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召{招}請申候次且為看經且為諷經可令行大齊候〔至徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且爲看經且爲諷經可令行大齋候〔宝徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且為看經且為諷經可令行大齋候〔建部傳内本〕
入院(ジユエン)ノ新命。退(ツイ)院ノ西堂久不二相看(シヤウカン)申之間近日可二招請(テウセウ)申一候次ニ且ハ為二看經(カンキン)ノ一且ハ為二諷經(フギン)一可レ令レ行ハ二大齊ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
入(シユ)院ノ新命(シンメイ)退院(タイイン)ノ西堂久シク不レ申二相看(シヤウカン)一之間近日可二招請(セウシヤウ)申一之次且ハ為二看経(カンキン)ノ一且ハ為二諷経ノ一可クレ被ムレ行二大齋(サイ)ヲ一候〔経覺筆本〕
入院(シユヱン)ノ新命(シンメイ)。退院(ツイヱン)ノ。西堂(せイタウ)久不レ申レ相看(シヤウカン)之(ノ)間。近日可レ招請(テウシヤウ)申一候。次ニ且ハ為(タメ)二看經(カンキン)ノ一。且ハ為レ諷經(フギン)ノ可(ヘク)レ令ムレ行(ヲコナフ)ハ二大齊(サイ)ヲ一候〔文明四年本〕 ※召請(テウシヤウ)
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「西堂」とし、訓みは、文明四年本に「セイダウ」と記載する。
西堂(せイダウ/ニシ、イヱ)[平・平] 清山長老之名也。〔官位門1083六〕
西堂(セイタウ) 。〔弘・官名門263三〕〔堯・官名門212一〕
西堂(せイタウ) 。〔永・官名門225一〕
西堂(セイタウ) ―板。〔官位門233四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「西堂」の語を収載していて、広本『節用集』だけが訓みを「セイダウ」とし、他古辞書は「セイタウ」とする。そして、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
576退院(タイ・ツイ―)西堂 前住也。當住ハ自∨東入レハ前住ハ自∨西而出者也。〔謙堂文庫蔵五三左F〕
585東堂西堂 東堂ハ乗無位地々々ノ々トハ寂光土也云々。西堂者當‖一位|也。〔謙堂文庫蔵五四左A〕
とあって、標記語「西堂」の語を収載し、この語についての語注記は、「西堂は、一位に當るなり」と記載する。
退院(ツイエン)西堂(せイタウ)久ク不(ザル)レ申サ二ハ。寺ヲ退(シリソ)ク長老也。此レ等(ラ)ハカワリ持(モチ)ナルベシ。輪番(リンバン)持ト云フナリ。〔下31オ二・三〕
退院(たいいん)西堂(せいだう)/退院西堂 入院の僧と代りて寺をのくを退院と云。西堂の注ハ下にあり。〔81オ四・五〕
とあって、この標記語「西堂」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐん)乃西堂(せいだう)久(ひさ)しく相看(しやうかん)申(まうさ)さゞる之(の)間(あいだ)近日(きんじつ)召請(せうしやう)申(まを)す可(べ)く候(さふら)ふ次(ついで)且(かつ)ハ看経(かんぎん)の爲(ため)且(かつ)ハ諷経(ふきん)の爲(ため)大齋(だいさい)を行(おこな)ハ令(し)む可(べ)く候(さふら)ふ/入院新命。退院西堂。久ク不ルレ申サ二相看一之間。近日可ク二召請申ス一候。次。且ハ為二看経ノ一。且ハ為二諷経一。可クレ令ムレ行ハ二大齋ヲ一候。▲入院新命ハ一寺(てら)の住持(ぢうぢ)立かハるとき。當住(たうぢう)の人新(あらた)に命(いゝつけ)を受(うけ)て初(はじめ)て寺(てら)へ入るをいふ。〔59オ七、59ウ二〕
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐんの)西堂(せいだう)久(ひさしく)不(さる)レ申(まうさ)二相看(しやうかん)之(の)間(あひだ)近日(きんじつ)可(へく)二召請(せうしやう)申(まうす)一候(さふらふ)次(ついで)且(かつ)ハ為(ため)二看経(かんきん)の一且(かつ)ハ為(ため)二諷経(ふきん)の一可(べく)レ令(しむ)レ行(おこなハ)二大齋(だいさい)を一候(さふらふ)▲入院新命ハ一寺(てら)の住持(ぢうぢ)立かハるとき。當住(たうぢう)の人新(あらた)に命(いひつけ)を受(うけ)て初(はじめ)て寺(てら)へ入るをいふ。〔106オ六、106ウ四〕
Xeito<.セイタウ(西堂) 禅宗坊主(Bonzos lexus)の或る位.〔邦訳747r〕
せい-だう〔名〕【西堂】禪家にて、他寺の前住にして、來りて本寺に住するものの稱。サイダウ。とうだう(東堂)の條をも併はせ見よ。庭訓往來、十月「禪家者、堂頭和尚、東堂、西堂」〔1085-2〕
退院(ツイイン) 。〔元亀二年本158九〕〔静嘉堂本174五〕
×。〔天正十七年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召{招}請申候次且為看經且為諷經可令行大齊候〔至徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且爲看經且爲諷經可令行大齋候〔宝徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且為看經且為諷經可令行大齋候〔建部傳内本〕
入院(ジユエン)ノ新命。退(ツイ)院ノ西堂久不二相看(シヤウカン)申之間近日可二招請(テウセウ)申一候次ニ且ハ為二看經(カンキン)ノ一且ハ為二諷經(フギン)一可レ令レ行ハ二大齊ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
入(シユ)院ノ新命(シンメイ)退院(タイイン)ノ西堂久シク不レ申二相看(シヤウカン)一之間近日可二招請(セウシヤウ)申一之次且ハ為二看経(カンキン)ノ一且ハ為二諷経ノ一可クレ被ムレ行二大齋(サイ)ヲ一候〔経覺筆本〕
入院(シユヱン)ノ新命(シンメイ)。退院(ツイヱン)ノ。西堂(せイタウ)久不レ申レ相看(シヤウカン)之(ノ)間。近日可レ招請(テウシヤウ)申一候。次ニ且ハ為(タメ)二看經(カンキン)ノ一。且ハ為レ諷經(フギン)ノ可(ヘク)レ令ムレ行(ヲコナフ)ハ二大齊(サイ)ヲ一候〔文明四年本〕 ※召請(テウシヤウ)
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「退院」とし、訓みは、山田俊雄藏本に「ツイ(―)」、経覺筆本に「タイイン」、そして文明四年本に「ツイヱン」と異なって記載する。
退院(ツイヱン/タイ・シリゾク、マガキ)[去・去] 擯出義也。〔態藝門416六〕
退院(ツイイン) 。〔弘・言語進退門131四〕〔永・言語門106九〕
退院(ツイエン) 。〔堯・言語門97二〕〔両・言語門119二〕
退院(ツイヱン) 禅家。〔言辞門105七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「退院」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
576退院(タイ・ツイ―)西堂 前住也。當住ハ自∨東入レハ前住ハ自∨西而出者也。〔謙堂文庫蔵五三左F〕
とあって、標記語「退院」の語を収載し、この語についての語注記は、「前住なり。當住は東より入れば、前住は西より出るものなり」と記載する。
退院(ツイエン)西堂(せイタウ)久ク不(ザル)レ申サ二ハ。寺ヲ退(シリソ)ク長老也。此レ等(ラ)ハカワリ持(モチ)ナルベシ。輪番(リンバン)持ト云フナリ。〔下31オ二・三〕
退院(たいいん)西堂(せいだう)/退院西堂 入院の僧と代りて寺をのくを退院と云。西堂の注ハ下にあり。〔81オ四・五〕
とあって、この標記語「退院」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐん)乃西堂(せいだう)久(ひさ)しく相看(しやうかん)申(まうさ)さゞる之(の)間(あいだ)近日(きんじつ)召請(せうしやう)申(まを)す可(べ)く候(さふら)ふ次(ついで)且(かつ)ハ看経(かんぎん)の爲(ため)且(かつ)ハ諷経(ふきん)の爲(ため)大齋(だいさい)を行(おこな)ハ令(し)む可(べ)く候(さふら)ふ/入院新命。退院西堂。久ク不ルレ申サ二相看一之間。近日可ク二召請申ス一候。次。且ハ為二看経ノ一。且ハ為二諷経一。可クレ令ムレ行ハ二大齋ヲ一候。▲入院新命ハ一寺(てら)の住持(ぢうぢ)立かハるとき。當住(たうぢう)の人新(あらた)に命(いゝつけ)を受(うけ)て初(はじめ)て寺(てら)へ入るをいふ。〔59オ七、59ウ二〕
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐんの)西堂(せいだう)久(ひさしく)不(さる)レ申(まうさ)二相看(しやうかん)之(の)間(あひだ)近日(きんじつ)可(へく)二召請(せうしやう)申(まうす)一候(さふらふ)次(ついで)且(かつ)ハ為(ため)二看経(かんきん)の一且(かつ)ハ為(ため)二諷経(ふきん)の一可(べく)レ令(しむ)レ行(おこなハ)二大齋(だいさい)を一候(さふらふ)▲入院新命ハ一寺(てら)の住持(ぢうぢ)立かハるとき。當住(たうぢう)の人新(あらた)に命(いひつけ)を受(うけ)て初(はじめ)て寺(てら)へ入るをいふ。〔106オ六、106ウ四〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召{招}請申候次且為看經且為諷經可令行大齊候〔至徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且爲看經且爲諷經可令行大齋候〔宝徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且為看經且為諷經可令行大齋候〔建部傳内本〕
入院(ジユエン)ノ新命。退(ツイ)院ノ西堂久不二相看(シヤウカン)申之間近日可二招請(テウセウ)申一候次ニ且ハ為二看經(カンキン)ノ一且ハ為二諷經(フギン)一可レ令レ行ハ二大齊ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
入(シユ)院ノ新命(シンメイ)退院(タイイン)ノ西堂久シク不レ申二相看(シヤウカン)一之間近日可二招請(セウシヤウ)申一之次且ハ為二看経(カンキン)ノ一且ハ為二諷経ノ一可クレ被ムレ行二大齋(サイ)ヲ一候〔経覺筆本〕
入院(シユヱン)ノ新命(シンメイ)。退院(ツイヱン)ノ。西堂(せイタウ)久不レ申レ相看(シヤウカン)之(ノ)間。近日可レ招請(テウシヤウ)申一候。次ニ且ハ為(タメ)二看經(カンキン)ノ一。且ハ為レ諷經(フギン)ノ可(ヘク)レ令ムレ行(ヲコナフ)ハ二大齊(サイ)ヲ一候〔文明四年本〕 ※召請(テウシヤウ)
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「新命」とし、訓みは、経覺筆本・文明四年本に「シンメイ」と記載する。
新命(シンメイ/アタラシ、イノチ・ノタマウ)[平・去] 今長老也。〔態藝門916二〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』・天正十八年版『節用集』に標記語「新命」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。そして、広本『節用集』の語注記は下記真名註とは異なっていて典拠を別にする。
575入院(ヱン)ノ新命 當住也。新命ハ當住ノ命也。或當住ノ先拂僧ヲ新命ト云者也云々。〔謙堂文庫蔵五三左F〕
とあって、標記語「新命」の語を収載し、この語についての語注記は、「當住なり」と記載する。
入院(ジユエン)新命(シンメイ)ハ。始テ寺入スル智識(チシキ)ナリ。〔下31オ二〕
入院(じゆいん)新命(しんめい)/入院新命 今度上の侶を受て寺入したる住持なり。〔80ウ一・二〕
とあって、この標記語「新命」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐん)乃西堂(せいだう)久(ひさ)しく相看(しやうかん)申(まうさ)さゞる之(の)間(あいだ)近日(きんじつ)召請(せうしやう)申(まを)す可(べ)く候(さふら)ふ次(ついで)且(かつ)ハ看経(かんぎん)の爲(ため)且(かつ)ハ諷経(ふきん)の爲(ため)大齋(だいさい)を行(おこな)ハ令(し)む可(べ)く候(さふら)ふ/入院新命。退院西堂。久ク不ルレ申サ二相看一之間。近日可ク二召請申ス一候。次。且ハ為二看経ノ一。且ハ為二諷経一。可クレ令ムレ行ハ二大齋ヲ一候。▲入院新命ハ一寺(てら)の住持(ぢうぢ)立かハるとき。當住(たうぢう)の人新(あらた)に命(いゝつけ)を受(うけ)て初(はじめ)て寺(てら)へ入るをいふ。〔59オ七、59ウ二〕
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐんの)西堂(せいだう)久(ひさしく)不(さる)レ申(まうさ)二相看(しやうかん)之(の)間(あひだ)近日(きんじつ)可(へく)二召請(せうしやう)申(まうす)一候(さふらふ)次(ついで)且(かつ)ハ為(ため)二看経(かんきん)の一且(かつ)ハ為(ため)二諷経(ふきん)の一可(べく)レ令(しむ)レ行(おこなハ)二大齋(だいさい)を一候(さふらふ)▲入院新命ハ一寺(てら)の住持(ぢうぢ)立かハるとき。當住(たうぢう)の人新(あらた)に命(いひつけ)を受(うけ)て初(はじめ)て寺(てら)へ入るをいふ。〔106オ六、106ウ四〕
入院( エン)イン 。〔元亀二年本308七〕
入院( イン) 。〔静嘉堂本360二〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召{招}請申候次且為看經且為諷經可令行大齊候〔至徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且爲看經且爲諷經可令行大齋候〔宝徳三年本〕
入院新命退院西堂久不申相看之間近日可召請申候次且為看經且為諷經可令行大齋候〔建部傳内本〕
入院(ジユエン)ノ新命。退(ツイ)院ノ西堂久不二相看(シヤウカン)申之間近日可二招請(テウセウ)申一候次ニ且ハ為二看經(カンキン)ノ一且ハ為二諷經(フギン)一可レ令レ行ハ二大齊ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
入(シユ)院ノ新命(シンメイ)退院(タイイン)ノ西堂久シク不レ申二相看(シヤウカン)一之間近日可二招請(セウシヤウ)申一之次且ハ為二看経(カンキン)ノ一且ハ為二諷経ノ一可クレ被ムレ行二大齋(サイ)ヲ一候〔経覺筆本〕
入院(シユヱン)ノ新命(シンメイ)。退院(ツイヱン)ノ。西堂(せイタウ)久不レ申レ相看(シヤウカン)之(ノ)間。近日可レ招請(テウシヤウ)申一候。次ニ且ハ為(タメ)二看經(カンキン)ノ一。且ハ為レ諷經(フギン)ノ可(ヘク)レ令ムレ行(ヲコナフ)ハ二大齊(サイ)ヲ一候〔文明四年本〕 ※召請(テウシヤウ)
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「入院」とし、訓みは、経覺筆本に「ジユ(ヱン)」・山田俊雄藏本と文明四年本に「ジユヱン」と記載する。
入院(ジユイン) 。〔態藝門83七〕
入院(ジユヱン/イル、マガキ)[入・去] 入寺(ニフシ)ノ義也。――開堂。〔態藝門931一〕
入院(ジユエン) 入寺。〔弘・言語進退門244六〕
入院(ジユヱン) ―眼(ガン)。―御(ギヨ)。―内(タイ)。―興(ケフ)。―魂(ジユツコン)。〔永・言語門209四〕
入院 ―眼。―御。―内。―興。―魂。〔堯・言語門193六〕
入院(ジユヱン) 入(ニフ)寺也。―御(ギヨ)。―眼(ガン)。―洛(ラク)。―魂(コン)。―興(ケウ)。〔言辞門213六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「入院」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。ここで、『下學集』及び『運歩色葉集』の訓みが唯一異なる「ジユイン」であるのに対し、広本『節用集』を頂点とする古本『節用集』類が「ジユエン/ヱン」とすることを指摘せねばなるまい。そして、下記に引用した『日本国語大辞典』第二版の此の語の補注内容では、『運歩色葉集』の訓みについて指摘がなされいないことを此所で補正しておきたい。
575入院(ヱン)ノ新命 當住也。新命ハ當住ノ命也。或當住ノ先拂僧ヲ新命ト云者也云々。〔謙堂文庫蔵五三左F〕
とあって、標記語「入院」の語を収載し、この語についての語注記は、「當住なり」と記載する。
入院(ジユエン)新命(シンメイ)ハ。始テ寺入スル智識(チシキ)ナリ。〔下31オ二〕
入院(じゆいん)新命(しんめい)/入院新命 今度上の侶を受て寺入したる住持なり。〔80ウ一・二〕
とあって、この標記語「入院」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐん)乃西堂(せいだう)久(ひさ)しく相看(しやうかん)申(まうさ)さゞる之(の)間(あいだ)近日(きんじつ)召請(せうしやう)申(まを)す可(べ)く候(さふら)ふ次(ついで)且(かつ)ハ看経(かんぎん)の爲(ため)且(かつ)ハ諷経(ふきん)の爲(ため)大齋(だいさい)を行(おこな)ハ令(し)む可(べ)く候(さふら)ふ/入院新命。退院西堂。久ク不ルレ申サ二相看一之間。近日可ク二召請申ス一候。次。且ハ為二看経ノ一。且ハ為二諷経一。可クレ令ムレ行ハ二大齋ヲ一候。▲入院新命ハ一寺(てら)の住持(ぢうぢ)立かハるとき。當住(たうぢう)の人新(あらた)に命(いゝつけ)を受(うけ)て初(はじめ)て寺(てら)へ入るをいふ。〔59オ七、59ウ二〕
入院(しゆゐん)新命(しんめい)退院(たいゐんの)西堂(せいだう)久(ひさしく)不(さる)レ申(まうさ)二相看(しやうかん)之(の)間(あひだ)近日(きんじつ)可(へく)二召請(せうしやう)申(まうす)一候(さふらふ)次(ついで)且(かつ)ハ為(ため)二看経(かんきん)の一且(かつ)ハ為(ため)二諷経(ふきん)の一可(べく)レ令(しむ)レ行(おこなハ)二大齋(だいさい)を一候(さふらふ)▲入院新命ハ一寺(てら)の住持(ぢうぢ)立かハるとき。當住(たうぢう)の人新(あらた)に命(いひつけ)を受(うけ)て初(はじめ)て寺(てら)へ入るをいふ。〔106オ六、106ウ四〕
Iu<yen.ジュエン(入院) ある坊主(Bonzo)が僧院長となって,その役職の僧院を引き受ける際に行なわれる祝宴,または,慶事.〔邦訳373r〕
じゅ-ゐん〔名〕【入院】僧侶の、住職となりて、其の寺院に入ること。又、晉山(シンザン)とも云ふ。觀修百丈清規抄、六「入院と、開堂とは、二事也。開堂は、爲二祝壽一也。禪儀外文序云、唐宋の閨A迄二于?京一、入院、開堂、兩也。南渡以後、合爲レ一焉」教令類纂、初集、九十二、延寳三年閏四月廿日「覺、増上寺北條入院之時、附來上座之僧、於レ被レ列者、不レ可レ過二二人一座配去月行事中、遂二僉議一可レ定之事」下學集、下、態藝門「入院、ジユイン」〔1005-5〕
平家(ケ) 。○。平氏(ジ) 。〔元亀二年本49二〕
平家 。○。平氏 。〔静嘉堂本54三〕
平家(ケ) 。○。平氏(シ) 。〔天正十七年本上28オ三〕
平入道殿 御返事〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔山田俊雄藏本〕〔文明四年本〕
平入道殿 御報〔建部傳内本〕
平入道殿〔経覺筆本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「平入道殿」と記載する。
入道(ニツダウ/シユ・イル、ミチ)[入・上] 。〔態藝門89七〕
入道(ニウダウ) 。〔弘・人倫門28七〕
入道(ニウタウ) 。〔永・人倫門28九〕〔堯・人倫門25七〕〔両・人倫門30一〕
入道(ニフタウ) 〔人倫門25五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「入道」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
574平入道殿〔謙堂文庫蔵五三左E〕
とあって、標記語「平入道」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
平入道(たひらのにふだうどの)殿 御報。〔下31オ一〕
平(たいら)の入道殿(にふだうどの)/平ノ入道殿 。〔81オ三〕
とあって、この標記語「平入道」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
平(たいら)の入道殿(にふだうどの)/平ノ入道。殿▲平ハ姓(せい)なり。三月の進状に見ゆ。▲入道ハ貴賤(きせん)とも。髪を剃たる者(もの)をいふ。仏道(ぶつだう)に入るといふ意也。〔59オ五、六〕
平入道殿(たひらのにふだうどの)▲平ハ姓(せい)なり。三月の進状に見ゆ。▲入道ハ貴賤(きせん)とも。髪を剃(そり)たる者(もの)を云。仏道(ぶつだう)に入るといふ意(い)也。〔106オ四、五〕
Nhu<do<.ニュウダゥ(入道) Do<ni iru.(道に入る)剃髪者.¶Nhu<do suru.(入道する)剃髪者になる.〔邦訳461r〕
にふ-だう〔名〕【入道】(一)世を捨てて佛の道に入り、修行すること。洛陽伽藍記(後魏、楊衒之)「入レ道爲レ尼」寳積經、三十六「以二浄信心一、於二佛法中一、出家入道」平家物語、一、禿童事「清盛、仁安三年十一月十一日、歳五十一にして病に侵されて、存命の為、忽に出家入道す。法名浄蓮と申しけるが、程なく改名して浄海と云」(二)佛の道に入れる人の稱。但し、三位以上の人に限りて稱す。其以下は新發意(シンボチ)とすとぞ。然れども後には、區別なく云ふ。「法性寺入道前関白(藤原道長)」多田新發意(源滿仲)」(三)坊主頭の人を罵りて云ふ語。(四)俗に、僧形の妖怪の名。(五)まはりみち。よりみち。中務内侍日記「事はてぬれば、なし原へかへりぬ、ついでに、ちと、にふだうして、京へまゐりつきぬ」〔1501-2〕
臨時之纏頭者左道之儀也無周章之様兼日可被調置也心事雖多紙面有限只得御意可被認歟委細期見参之時候恐々謹言〔至徳三年本〕
臨時之纏頭者左道之儀也無周章樣兼日可被調置也心事雖多紙面有限只得御意可被認歟委細期見參之時候恐々謹言〔宝徳三年本〕
臨時之纏頭者左道之儀也無周章之様兼日可被調置也心事雖多帋面有限只得御意可被認歟委細期見参之時候恐々謹言〔建部傳内本〕
臨時ノ之纏(テン)頭者(ハ)左道ノ之儀也無キ‖周章|之様兼日ニ可∨被‖調置|也心事雖∨多シト紙面有∨限只得‖御意ヲ|可∨被∨認(シタヽメ)歟委細期シ‖見参ノ時ヲ|候恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
臨時ノ纏(テン)頭者左道之儀也無キ‖周章|様ニ兼日ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカ)|也心事雖∨多ト紙面ニ有∨限只得テ‖御意(イ)ヲ|可∨被∨認(シタヽメ)歟委細期‖見参之時ヲ|候恐々謹言〔経覺筆本〕
臨時ノ之纏頭(テントウ)者。左道ノ之儀式。無(ナキ)∨周章(シユシヤウ)之(ノ)様ニ。兼(ケン)日ニ可∨被∨調ヘ置(ヲカ)|也心事雖∨多ト紙面ニ有リ∨限(カキリ)只得テ∨御意ヲ|可被認(シタヽメ)歟(カ)委細(いさい)期(コシ)∨見参(サン)之時ヲ|候恐々謹言〔文明四年本〕 ※認。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「見参」とし、訓みは、文明四年本に「(ケン)サン」と記載する。
見参ケンサン 。〔黒川本・畳字中100オ六〕
見参 〃證。〃聞。〃輸ユウ/イタル。〃過。〃納。〃在。〃存。〃知。〃沽。〃風。〃住。〃直。〔卷第七・畳字門21三〕
見参(ゲンサン/ミル、マイル)[去・平] 。〔態藝門597五〕
見参(ケンサン) 。〔弘・言語進退門176六〕
見(ケン)聞 ―參。―物(ブツ)。―所(ジヨ)。〔永・言語門144二〕
見聞(ケンモン) ―參。―物。―叙。―所。―知。―面。〔堯・言語門133九〕
見聞(ケンモン) ―物(ブツ)。―證(せウ)。―在(サイ)。―參(サン)。〔言辞門146三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「見参」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。ここで、上記『運歩色葉集』には、何故この語が未収載であるのかを今後検討していくうえで注目しておかねばなるまい。
572兼日ニ可∨被‖調置|也心亊雖∨多紙面有∨限只得‖御意|可∨被∨認候歟委細期‖見参之時|候恐々謹言〔謙堂文庫蔵五三左B〕
とあって、標記語「見参」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
無ノ‖周章(シユシヤウ)|之様(ヤウ)ニ。兼日(ケンジツ)ニ可∨被ル∨調(トヽノヘ)置(ヲカ)|也心事雖∨多ト紙面(シメン)ニ有リ∨限(カキリ)只タ得テ∨御意ヲ|可キ∨被∨認(シタヽメ)歟委細(いさい)期(コシ)∨見参(ゲンザン)之(ノ)時(トキ)ヲ|候周章ト書テ。アハタタシト。ヨメリ。〔下30ウ五〜七〕
心事(しんじ)多(おヽ)しと雖(いへども)紙面(しめん)限(かぎり)有(あ)り。只(たゞ)御意(おんこゝろ)に得(え)て認(したゝ)めら被(る)可き歟(か)。委細(いさい)見参(げんさん)之(の)時(とき)を期(ご)し候(さふら)ふ恐々(きやう/\)謹言(きんげん)/心事雖∨多シト紙面有リ∨限。只得テ‖御意ニ|可キ∨被∨認メ歟。委細期シ‖見参之時ヲ|候恐々謹言 香炉を置處也。〔80ウ一・二〕
とあって、この標記語「見参」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
心事(しんじ)多(おヽ)しと雖(いへども)紙面(しめん)限(かぎり)有(あ)り。只(たゞ)御意(おんこゝろ)に得(え)て認(したゝ)めら被(る)可き歟(か)。委細(いさい)見参(げんさん)之(の)時(とき)を期(ご)し候(さふら)ふ恐々(きやう/\)謹言(きんげん)/心事雖∨多シト紙面有リ∨限。只得テ‖御意ニ|可キ∨被∨認メ歟。委細期シ‖見参之時ヲ|候恐々謹言。〔58オ五〕
心事(しんじ)雖(いへども)∨多(おほしと)紙面(しめん)有(あり)限(かぎり)只(たゞ)得(えて)御意(おんこゝろに)可(べき)∨被(る)∨認(したゝめら)歟(か)委細(ゐさい)期(ごし)見参(けんざん)之(の)時(ときを)候(さふらふ)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)。〔104ウ一〕
Guenzan.ゲンザン(見参) 訪問したりなどして人に会うこと.¶Guenzanni iru.l,guenzan suru.(見參に入る.または,見參する)ある人にわざわざ会う,または,出会う.→次条.〔邦訳286r〕
げん-ざん〔名〕【見参】〔見參(みえまゐらす)の字の音讀(みゆの條を見よ)ゲザンは、つづめて云ふなり、検非違使(けんびゐし)、けびゐし〕見えまゐらすること。面會、對面の敬語。又、げざん。謁見。見參するを、見參に入ると云ふ。源氏物語、五十一、蜻蛉44「大方には、參りながら、此御方のげざんに入ることの難くはべれば」保元物語、一、親治等生捕事「搦め取て、見參に入れよ」宇治拾遺物語、五、第八條「何某と申す者こそ、參りて候へ、御げんざんに入りたがり候」常山紀談、四、「今度京都(みやこ)にて、馬揃へあるべしと存じ候てこそ、奉れと云ふ」(山内一豐の妻、駿馬を買ふ金を出せるなり)〔0628-5〕
委細(イサイ) 。〔元亀二年本11三〕〔静嘉堂本2七〕〔天正十七年本上3ウ六〕〔西來寺本〕
臨時之纏頭者左道之儀也無周章之様兼日可被調置也心事雖多紙面有限只得御意可被認歟委細期見参之時候恐々謹言〔至徳三年本〕
臨時之纏頭者左道之儀也無周章樣兼日可被調置也心事雖多紙面有限只得御意可被認歟委細期見參之時候恐々謹言〔宝徳三年本〕
臨時之纏頭者左道之儀也無周章之様兼日可被調置也心事雖多帋面有限只得御意可被認歟委細期見参之時候恐々謹言〔建部傳内本〕
臨時ノ之纏(テン)頭者(ハ)左道ノ之儀也無キ‖周章|之様兼日ニ可∨被‖調置|也心事雖∨多シト紙面有∨限只得‖御意ヲ|可∨被∨認(シタヽメ)歟委細期シ‖見参ノ時ヲ|候恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
臨時ノ纏(テン)頭者左道之儀也無キ‖周章|様ニ兼日ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカ)|也心事雖∨多ト紙面ニ有∨限只得テ‖御意(イ)ヲ|可∨被∨認(シタヽメ)歟委細期‖見参之時ヲ|候恐々謹言〔経覺筆本〕
臨時ノ之纏頭(テントウ)者。左道ノ之儀式。無(ナキ)∨周章(シユシヤウ)之(ノ)様ニ。兼(ケン)日ニ可∨被∨調ヘ置(ヲカ)|也心事雖∨多ト紙面ニ有リ∨限(カキリ)只得テ∨御意ヲ|可被認(シタヽメ)歟(カ)委細(いさい)期(コシ)∨見参(サン)之時ヲ|候恐々謹言〔文明四年本〕 ※認。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「委細」とし、訓みは、文明四年本に「いさい」と記載する。
委細ヰサイ 。〔黒川本・畳字門中57ウ四〕
委曲 〃細。〃蛇イ沢神也。〃付。〃納。〃積。〔卷五・畳字門235一〕
委細(イサイ/ユタヌル・クワシ、せイ・ホソシ)[上・去] 。〔態藝門19一〕
委細(イサイ) 。〔弘・言語進退門12七〕〔永・言語門8一〕
委曲(イキヨク) ―細。―悉。―啓。―付。〔堯・言語門6四〕〔両・言語門8一〕
委趣(井シユ) ―細(サイ)。―曲(キヨク)。〔器財門91七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「委細」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
572兼日ニ可∨被‖調置|也心亊雖∨多紙面有∨限只得‖御意|可∨被∨認候歟委細期‖見参之時|候恐々謹言〔謙堂文庫蔵五三左B〕
とあって、標記語「委細」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
無ノ‖周章(シユシヤウ)|之様(ヤウ)ニ。兼日(ケンジツ)ニ可∨被ル∨調(トヽノヘ)置(ヲカ)|也心事雖∨多ト紙面(シメン)ニ有リ∨限(カキリ)只タ得テ∨御意ヲ|可キ∨被∨認(シタヽメ)歟委細(イサイ)期(コシ)∨見参(ゲンザン)之(ノ)時(トキ)ヲ|候周章ト書テ。アハタタシト。ヨメリ。〔下30ウ五〜七〕
心事(しんじ)多(おヽ)しと雖(いへども)紙面(しめん)限(かぎり)有(あ)り。只(たゞ)御意(おんこゝろ)に得(え)て認(したゝ)めら被(る)可き歟(か)。委細(いさい)見参(げんさん)之(の)時(とき)を期(ご)し候(さふら)ふ恐々(きやう/\)謹言(きんげん)/心事雖∨多シト紙面有リ∨限。只得テ‖御意ニ|可キ∨被∨認メ歟。委細期シ‖見参之時ヲ|候恐々謹言 香炉を置處也。〔80ウ一・二〕
とあって、この標記語「委細」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
心事(しんじ)多(おヽ)しと雖(いへども)紙面(しめん)限(かぎり)有(あ)り。只(たゞ)御意(おんこゝろ)に得(え)て認(したゝ)めら被(る)可き歟(か)。委細(いさい)見参(げんさん)之(の)時(とき)を期(ご)し候(さふら)ふ恐々(きやう/\)謹言(きんげん)/心事雖∨多シト紙面有リ∨限。只得テ‖御意ニ|可キ∨被∨認メ歟。委細期シ‖見参之時ヲ|候恐々謹言。〔58オ五〕
心事(しんじ)雖(いへども)∨多(おほしと)紙面(しめん)有(あり)限(かぎり)只(たゞ)得(えて)御意(おんこゝろに)可(べき)∨被(る)∨認(したゝめら)歟(か)委細(ゐさい)期(ごし)見参(けんざん)之(の)時(ときを)候(さふらふ)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)。〔104ウ一〕
Isai.イサイ(委細) こまかなこと,または,詳細に.¶Isai cocoroyeta.(委細心得た)私は細かな点まで了解した.〔邦訳342l〕
ゐ-さい〔名〕【委細】くはしく。つぶさに。委曲。太平記、廿七、雲景未來記事「此所へ尋來給へば、委細の物語を申也」〔2180-2〕
紙面(シ メン) 。〔元亀二年本307二〕〔静嘉堂本358一〕
臨時之纏頭者左道之儀也無周章之様兼日可被調置也心事雖多紙面有限只得御意可被認歟委細期見参之時候恐々謹言〔至徳三年本〕
臨時之纏頭者左道之儀也無周章樣兼日可被調置也心事雖多紙面有限只得御意可被認歟委細期見參之時候恐々謹言〔宝徳三年本〕
臨時之纏頭者左道之儀也無周章之様兼日可被調置也心事雖多帋面有限只得御意可被認歟委細期見参之時候恐々謹言〔建部傳内本〕
臨時ノ之纏(テン)頭者(ハ)左道ノ之儀也無キ‖周章|之様兼日ニ可∨被‖調置|也心事雖∨多シト紙面有∨限只得‖御意ヲ|可∨被∨認(シタヽメ)歟委細期シ‖見参ノ時ヲ|候恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
臨時ノ纏(テン)頭者左道之儀也無キ‖周章|様ニ兼日ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカ)|也心事雖∨多ト紙面ニ有∨限只得テ‖御意(イ)ヲ|可∨被∨認(シタヽメ)歟委細期‖見参之時ヲ|候恐々謹言〔経覺筆本〕
臨時ノ之纏頭(テントウ)者。左道ノ之儀式。無(ナキ)∨周章(シユシヤウ)之(ノ)様ニ。兼(ケン)日ニ可∨被∨調ヘ置(ヲカ)|也心事雖∨多ト紙面ニ有リ∨限(カキリ)只得テ∨御意ヲ|可被認(シタヽメ)歟(カ)委細(いさい)期(コシ)∨見参(サン)之時ヲ|候恐々謹言〔文明四年本〕 ※認。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「紙面」、建部傳内本は「帋面」と記載する。
紙面 。〔黒川本・畳字門下80オ三〕
紙面(シメン) ―筆(ヒツ)。―上(ジヤウ)。〔言辞門214三〕
このように、上記当代の古辞書においては、三卷本『色葉字類抄』、『運歩色葉集』・易林本『節用集』に標記語「紙面」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
572兼日ニ可∨被‖調置|也心亊雖∨多紙面有∨限只得‖御意|可∨被∨認候歟委細期‖見参之時|候恐々謹言〔謙堂文庫蔵五三左B〕
とあって、標記語「紙面」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
無ノ‖周章(シユシヤウ)|之様(ヤウ)ニ。兼日(ケンジツ)ニ可∨被ル∨調(トヽノヘ)置(ヲカ)|也心事雖∨多ト紙面(シメン)ニ有リ∨限(カキリ)只タ得テ∨御意ヲ|可キ∨被∨認(シタヽメ)歟委細(いさい)期(コシ)∨見参(ゲンザン)之(ノ)時(トキ)ヲ|候周章ト書テ。アハタタシト。ヨメリ。〔下30ウ五〜七〕
心事(しんじ)多(おヽ)しと雖(いへども)紙面(しめん)限(かぎり)有(あ)り。只(たゞ)御意(おんこゝろ)に得(え)て認(したゝ)めら被(る)可き歟(か)。委細(いさい)見参(げんさん)之(の)時(とき)を期(ご)し候(さふら)ふ恐々(きやう/\)謹言(きんげん)/心事雖∨多シト紙面有リ∨限。只得テ‖御意ニ|可キ∨被∨認メ歟。委細期シ‖見参之時ヲ|候恐々謹言 香炉を置處也。〔80ウ一・二〕
とあって、この標記語「紙面」の語をもって収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
心事(しんじ)多(おヽ)しと雖(いへども)紙面(しめん)限(かぎり)有(あ)り。只(たゞ)御意(おんこゝろ)に得(え)て認(したゝ)めら被(る)可き歟(か)。委細(いさい)見参(げんさん)之(の)時(とき)を期(ご)し候(さふら)ふ恐々(きやう/\)謹言(きんげん)/心事雖∨多シト紙面有リ∨限。只得テ‖御意ニ|可キ∨被∨認メ歟。委細期シ‖見参之時ヲ|候恐々謹言▲紙面有限とハ思ふことハ多(をゝ)くて限(かぎり)なし。紙には限ありて具(つぶさ)に書取(かきとり)がたしといふ意(い)。〔58オ五、58ウ七〕
心事(しんじ)雖(いへども)∨多(おほしと)紙面(しめん)有(あり)限(かぎり)只(たゞ)得(えて)御意(おんこゝろに)可(べき)∨被(る)∨認(したゝめら)歟(か)委細(ゐさい)期(ごし)見参(けんざん)之(の)時(ときを)候(さふらふ)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)▲紙面有レ限とハ思ふことハ多(おほ)くて限(かぎり)なし。紙(かミ)には限(かぎり)ありて具(つぶさ)に書取(かきとり)がたしといふ意(い)。〔104ウ一、105ウ一・二〕
†Ximen.シメン(紙面) 紙の表面.例,Ximenni nozwgataxi.(紙面に載せ難し)紙に書き載せることができない.〔邦訳766r〕
し-めん〔名〕【紙面】文書(かきもの)などの面(おもて)。手紙の上の文言。紙上。?溪集、「溢生二紙面一」甲陽軍鑑、十四、品第四十、下「事長うして、際限なし、さるに付、遍く沙汰の有斗、紙面に書載せ申候」「衷情、紙面に溢る」紙面の趣き」新聞紙の紙面の都合」〔0956-2〕
左道之儀也左道ト云ハ不∨調ハルヲ云也。唐(タウ)ノ内裏(ダイリ)ニ右膳左膳トテ有。右膳ト云ハ。右ノ道ナリ。能々調(ト)ヘタル物ヲ持テ参ル也。何事モ心ニ任(マカ)せタル人ハ。右ノ道ヨリ出入ス。其故ニ文ニ右ト云事字ニ書ハ是ハ定リタル。ユルガスト云心也。次ニ左膳トハ。左ノ道也。タラハヌ人ノ出入ス。片輪(カタワ)ナル人モ参(マヒ)ル也。不足(フソク)ナル事ヲ左道ト云ハ。左ノ道云ハ。其ノ謂(イハレ)也。乏少(ホクせフ)ハスクナキ事ナリ。〔下30ウ二〜五〕
と記載する。
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐香合白蓋赤蓋白拂法螺燒香造花卓机▲卓ハ香炉(かうろ)を置(を)く臺(だい)也。▲机ハ経巻(きやうくハん)を載(の)する臺(だい)也。〔58オ五、58ウ六〕
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)▲卓ハ香炉(かうろ)を置く臺(だい)也。▲机ハ経巻(きやうくハん)を載(の)する臺(だい)也。〔104ウ一、105オ六〜ウ一〕
可被用意物者縁道絹講坊薦縵幕大寳高座僧蓋瓔珞香爐箱如意白蓋白拂法螺燒香造花卓〔至徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋白拂法螺燒香造花卓机〔宝徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦慢幕大法高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋赤蓋白払法螺燒香造花卓机〔建部傳内本〕
可レ被二用意一物ハ者縁道ノ絹講坊ノ薦(コモ)縵幕大寳ノ高座僧蓋瓔珞如意香爐香箱白蓋白拂(ホツ)法螺(ラ)燒香造花卓(シヨク)机〔山田俊雄藏本〕
可レ被二用意一物者縁道ノ絹講房(カウハウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳ノ高座所W(カイ)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)香箱(ハコ)白蓋(ハクガイ)赤蓋白払(ホツス)法螺(ラ)燒香造(ツクリ)花卓(シヨク)机(ツクヘ)〔経覺筆本〕
可被‖用意|物(もの)者縁道(ヱンタウ)ノ絹(キヌ)講房(カウバウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ボウ)ノ高座所W(ソウカ井)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)箱(ハコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂(ヒヤクホツ)法螺(ホウラ)燒香造花(ツクリ ナ)卓(シヨク)机(ツクヘ)〔文明四年本〕※薦(コモ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「造花」とし、訓みは、経覺筆本に「つくり(はな)」・文明四年本に「つくり(は)な」と記載する。
造華(ツクリバナ/サウクワ)[上・平] 。〔器財門414六〕
造花(ツクリハナ) 。〔弘・財宝門127四〕〔堯・財宝門95七〕〔両・財宝門117三〕
造花(ツクリバナ) 。〔永・財宝門105二〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』、印度本系統の『節用集』類に標記語「造花」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
570焼香造リ花卓(シヨク)机エ 卓ハ貫差シ結構スルヲ云也。机ハ四足斗有也。〔謙堂文庫蔵五三左@〕
とあって、標記語「造花」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
高座(カウサ)所W(ソウカイ)瓔珞(ヤウラク)如意(ニヨイ)香爐(カウロ)香箱(カウバコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂( ホツ)法螺(ホウラ)燒香(せウカウ)造花(ザウケ)卓(シヨク)机(ツクヘ)臨時(リンジ)ノ纏頭(テントウ)者高座ト云ヨリ造花ニ至ルマデ如件。〔下30ウ二〕
法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/法螺燒香造花卓 香炉を置處也。〔80ウ一・二〕
とあって、この標記語「造花」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐香合白蓋赤蓋白拂法螺燒香造花卓机〔58オ五〕
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)。〔104ウ一〕
†Tcucuribana.ツクリバナ(造花) 模造した花.〔邦訳624r〕
つくり-ばな〔名〕【造花】(一)花結(はなむすび)。菊綴(きくとぢ)の類。絲花。雍州府志、七、土産門「作花師、一條烏丸西人家造レ之、所レ著二長絹一之菊花等在二此家一」職人圖彙、造花師「諸の糸をもて作る、むすび花とも云ふ」(二){五彩の紙、帛などにて、眞の花葉の形を作るもの。(生花に對す)ザウクヮ。綵花。綵華。翦綵花。花勝。竹取物語、上「前なる鉢の、ひたKに煤つきたるを取りて、錦の袋に入れて、つくり花の枝につけて」」〔1314-2〕
ざう-くヮ〔名〕【造花】つくりばな。綵花。〔0767-2〕
燒香(せウカウ) 。〔元亀二年本353三〕
燒香 。〔静嘉堂本428五〕
可被用意物者縁道絹講坊薦縵幕大寳高座僧蓋瓔珞香爐箱如意白蓋白拂法螺燒香造花卓〔至徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋白拂法螺燒香造花卓机〔宝徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦慢幕大法高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋赤蓋白払法螺燒香造花卓机〔建部傳内本〕
可∨被‖用意|物ハ者縁道ノ絹講坊ノ薦(コモ)縵幕大寳ノ高座僧蓋瓔珞如意香爐香箱白蓋白拂(ホツ)法螺(ラ)燒香造花卓(シヨク)机〔山田俊雄藏本〕
可∨被‖用意|物者縁道ノ絹講房(カウハウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳ノ高座所W(カイ)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)香箱(ハコ)白蓋(ハクガイ)赤蓋白払(ホツス)法螺(ラ)燒香造(ツクリ)花卓(シヨク)机(ツクヘ)〔経覺筆本〕
可被‖用意|物(もの)者縁道(ヱンタウ)ノ絹(キヌ)講房(カウバウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ボウ)ノ高座所W(ソウカ井)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)箱(ハコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂(ヒヤクホツ)法螺(ホウラ)燒香造花(ツクリ ナ)卓(シヨク)机(ツクヘ)〔文明四年本〕※薦(コモ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「燒香」と記載する。
燒香(セウカウ) 。〔弘・財宝門264六〕
燒香(せウカウ) 。〔器財門91七〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』・弘治二年本『節用集』・易林本『節用集』に標記語「燒香」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
570焼香造リ花卓(シヨク)机エ 卓ハ貫差シ結構スルヲ云也。机ハ四足斗有也。〔謙堂文庫蔵五三左@〕
とあって、標記語「燒香」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
高座(カウサ)所W(ソウカイ)瓔珞(ヤウラク)如意(ニヨイ)香爐(カウロ)香箱(カウバコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂( ホツ)法螺(ホウラ)燒香(せウカウ)造花(ザウケ)卓(シヨク)机(ツクヘ)臨時(リンジ)ノ纏頭(テントウ)者高座ト云ヨリ造花ニ至ルマデ如件。〔下30ウ二〕
法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/法螺燒香造花卓 香炉を置處也。〔80ウ一・二〕
とあって、この標記語「燒香」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐香合白蓋赤蓋白拂法螺燒香造花卓机。〔58オ五〕
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)。〔104ウ一〕
Xo>co<.セウカウ(燒香) Co<uo taqu.(香を焼く)神や死者の前で香をたくこと.〔邦訳788r〕
せう-かう〔名〕【燒香】〔大日經、疏「燒香、是遍至二法界一義、云云、隨二悲願力一、自在而轉、普熏二一切一、故曰二燒香一」〕(一)香を、燒(た)くこと。燃香。焚香。(二)香(かう)を燒(た)きて、佛に手向くること。上香。進香。晉書、佛圖澄傳「詣レ寺、燒レ香禮拝、以遵二典禮一」太平記、八、主上自令修金輪法給事「今日は、佛生日とて、心あるも、心なきも、灌佛の水に心を澄し、供花、燒香に經を翻して、捨惡、修繕を事とする習なるに」親長卿記、文明三年正月三日「今日御葬禮(後花園天皇)治定、云云、智恩寺諷經、次御比丘尼衆有レ諷者、次人人燒香、禁裏并舊院女房出現、有二燒香一、次退出」〔1092-2〕
可被用意物者縁道絹講坊薦縵幕大寳高座僧蓋瓔珞香爐箱如意白蓋白拂法螺燒香造花卓〔至徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋白拂法螺燒香造花卓机〔宝徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦慢幕大法高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋赤蓋白払法螺燒香造花卓机〔建部傳内本〕
可∨被‖用意|物ハ者縁道ノ絹講坊ノ薦(コモ)縵幕大寳ノ高座僧蓋瓔珞如意香爐香箱白蓋白拂(ホツ)法螺(ラ)燒香造花卓(シヨク)机〔山田俊雄藏本〕
可∨被‖用意|物者縁道ノ絹講房(カウハウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳ノ高座所W(カイ)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)香箱(ハコ)白蓋(ハクガイ)赤蓋白払(ホツス)法螺(ラ)燒香造(ツクリ)花卓(シヨク)机(ツクヘ)〔経覺筆本〕
可被‖用意|物(もの)者縁道(ヱンタウ)ノ絹(キヌ)講房(カウバウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ボウ)ノ高座所W(ソウカ井)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)箱(ハコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂(ヒヤクホツ)法螺(ホウラ)燒香造花(ツクリ ナ)卓(シヨク)机(ツクヘ)〔文明四年本〕※薦(コモ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「法螺」とし、訓みは、山田俊雄藏本・経覺筆本に「(ホ)ラ」、文明四年本に「ホウラ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「法螺」の語は未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
569法螺 遠近ニ結縁也。〔謙堂文庫蔵五三右H〕
とあって、標記語「法螺」の語を収載し、この語についての語注記は、「遠き近きに結縁なり」と記載する。
高座(カウサ)所W(ソウカイ)瓔珞(ヤウラク)如意(ニヨイ)香爐(カウロ)香箱(カウバコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂( ホツ)法螺(ホウラ)燒香(せウカウ)造花(ザウケ)卓(シヨク)机(ツクヘ)臨時(リンジ)ノ纏頭(テントウ)者高座ト云ヨリ造花ニ至ルマデ如件。〔下30ウ二〕
法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/法螺燒香造花卓 香炉を置處也。〔80ウ一・二〕
とあって、この標記語「法螺」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐香合白蓋赤蓋白拂法螺燒香造花卓机▲法螺ハ梵唄(ぼんばい)也。是を吹(ふ)くハ一切(いつさい)諸仏(しんぶつ)結縁(けちえん)のためとかや。〔58オ五、58ウ六〕
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)▲法螺ハ梵唄(ぼんばい)也。是を吹(ふ)くハ一切(いつさい)諸仏(しよぶつ)結縁(けちえん)のためとかや。〔104ウ一、105オ四・五〕
Foragai.ホラガヒ(法螺貝) Forano cai.(法螺の貝)に同じ.軍勢を呼びよせるのに使う法螺貝.〔邦訳262r〕
Forano cai.ホラノカヒ(法螺の貝) ラッパと同じように吹き鳴らす法螺貝.〔邦訳262r〕
ほ-ら〔名〕【法螺・寳螺】(字の音の約、或は、中の洞なる意か、又は、聲のほがらかなる意かとも云ふ)(一){ほらがひの略。介(かひ)の名。形、ばい(海螺)に似て甚だ大きく、殻は黄白にして、淡紫の虎斑(とらふ)あり、海に産ず、肉、食ふべし。梭尾螺。舶來の大なるものは、長さ二尺に至る。末端を磨りて孔を作りて吹く。其聲、高くほがらかなり。ほらのかひ。かひ。軍陣に用ゐて、進退を示すを陣貝とも云ふ。哮?。又、修驗者、これを吹きて山に入り、同行の導とし、又猛獸を畏れしむ。梵貝。略して貝(かひ)。倭名抄、十三3僧坊具「寳螺、千手經云、若爲レ召二呼一切諸天善~一者、當二手寳螺一(一本、當レ於二寳螺手一)」大和本草、十四、介類「梵貝(ホラガヒ)、云云、俗に、ほらの貝と云、大螺なり、佛書に法螺(ハフラ)と云、是なり、云云、本邦、昔より軍陣に用て吹レ之、云云、又本邦の山伏これをふく」(二)俗に、虚言を語ること。(空洞の意か)虚言。「法螺を吹く」法螺を言ふ」〔1860-5〕
可被用意物者縁道絹講坊薦縵幕大寳高座僧蓋瓔珞香爐箱如意白蓋白拂法螺燒香造花卓〔至徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋白拂法螺燒香造花卓机〔宝徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦慢幕大法高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋赤蓋白払法螺燒香造花卓机〔建部傳内本〕
可∨被‖用意|物ハ者縁道ノ絹講坊ノ薦(コモ)縵幕大寳ノ高座僧蓋瓔珞如意香爐香箱白蓋白拂(ホツ)法螺(ラ)燒香造花卓(シヨク)机〔山田俊雄藏本〕
可∨被‖用意|物者縁道ノ絹講房(カウハウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳ノ高座所W(カイ)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)香箱(ハコ)白蓋(ハクガイ)赤蓋白払(ホツス)法螺(ラ)燒香造(ツクリ)花卓(シヨク)机(ツクヘ)〔経覺筆本〕
可被‖用意|物(もの)者縁道(ヱンタウ)ノ絹(キヌ)講房(カウバウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ボウ)ノ高座所W(ソウカ井)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)箱(ハコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂(ヒヤクホツ)法螺(ホウラ)燒香造花(ツクリ ナ)卓(シヨク)机(ツクヘ)〔文明四年本〕※薦(コモ)。
と見え、建部傳内本は「白払」、至徳三年本・宝徳三年本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「白拂」とし、訓みは、山田俊雄藏本に「(ヒヤク)ホツ」、経覺筆本に「(ヒヤク)ホツス」、文明四年本に「ヒヤクホツ」と記載する。
白鑞(ビヤクラフ) ―拂(ホツ)。―蓋(カイ)。〔器財門225五〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』の熟語群の語に「白拂」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
568白拂 禪家ノ拂子也。白牛(ゴ)ノ毛ヲ以テ作也。故ニ曰‖白拂ト|也云々。〔謙堂文庫蔵五三右H〕
とあって、標記語「白拂」の語を収載し、この語についての語注記は、「禪家の拂子なり。白牛(ゴ)の毛を以って作るなり。故に白拂と曰ふなり云々」と記載する。
高座(カウサ)所W(ソウカイ)瓔珞(ヤウラク)如意(ニヨイ)香爐(カウロ)香箱(カウバコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂( ホツ)法螺(ホウラ)燒香(せウカウ)造花(ザウケ)卓(シヨク)机(ツクヘ)臨時(リンジ)ノ纏頭(テントウ)者高座ト云ヨリ造花ニ至ルマデ如件。〔下30ウ二〕
白蓋(びやくがい)白拂(ひやくほつ)/白蓋白拂 白き毛にて作りたるほつすなり。〔80オ七・八〕
とあって、この標記語「白拂」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐香合白蓋赤蓋白拂法螺燒香造花卓机▲白拂ハ白牛(しろうし)の尾(を)にて作りたる払子(ほつす)也。〔58オ五、58ウ五・六〕
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)▲白拂ハ白牛(しろうし)の尾(を)にて作りたる払子(ほつす)也。〔104ウ一、105オ六〕
可被用意物者縁道絹講坊薦縵幕大寳高座僧蓋瓔珞香爐箱如意白蓋白拂法螺燒香造花卓〔至徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋白拂法螺燒香造花卓机〔宝徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦慢幕大法高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋赤蓋白払法螺燒香造花卓机〔建部傳内本〕
可∨被‖用意|物ハ者縁道ノ絹講坊ノ薦(コモ)縵幕大寳ノ高座僧蓋瓔珞如意香爐香箱白蓋白拂(ホツ)法螺(ラ)燒香造花卓(シヨク)机〔山田俊雄藏本〕
可∨被‖用意|物者縁道ノ絹講房(カウハウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳ノ高座所W(カイ)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)香箱(ハコ)白蓋(ハクガイ)赤蓋白払(ホツス)法螺(ラ)燒香造(ツクリ)花卓(シヨク)机(ツクヘ)〔経覺筆本〕
可被‖用意|物(もの)者縁道(ヱンタウ)ノ絹(キヌ)講房(カウバウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ボウ)ノ高座所W(ソウカ井)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)箱(ハコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂(ヒヤクホツ)法螺(ホウラ)燒香造花(ツクリ ナ)卓(シヨク)机(ツクヘ)〔文明四年本〕※薦(コモ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・・山田俊雄藏本・文明四年本には未収載であり、建部傳内本・経覺筆本の古写本には「赤蓋」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「赤蓋」の語は未収載あって、古写本『庭訓徃來』(建部傳内本・経覺筆本のみ)及び、下記真字本には見えている語となっている。
567赤盖 胎藏盖也。〔謙堂文庫蔵五三右H〕
とあって、標記語「赤盖」の語を収載し、この語についての語注記は、「胎藏の盖なり」と記載する。
高座(カウサ)所W(ソウカイ)瓔珞(ヤウラク)如意(ニヨイ)香爐(カウロ)香箱(カウバコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂( ホツ)法螺(ホウラ)燒香(せウカウ)造花(ザウケ)卓(シヨク)机(ツクヘ)臨時(リンジ)ノ纏頭(テントウ)者高座ト云ヨリ造花ニ至ルマデ如件。〔下30ウ二〕
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐香合白蓋赤蓋白拂法螺燒香造花卓机▲白蓋ハ金剛(こんがう)。赤蓋ハ胎藏(たいざう)。共に白赤(しろあか)の絹(きぬ)にて張(はり)たる天蓋也。〔58オ五、58ウ五〕
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)▲白蓋ハ金剛(こんがう)。赤蓋ハ胎藏(たいざう)。共に白赤(しろあか)の絹(きぬ)にて張(はり)たる天蓋也。〔104ウ一、105オ五・六〕
可被用意物者縁道絹講坊薦縵幕大寳高座僧蓋瓔珞香爐箱如意白蓋白拂法螺燒香造花卓〔至徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋白拂法螺燒香造花卓机〔宝徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦慢幕大法高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋赤蓋白払法螺燒香造花卓机〔建部傳内本〕
可∨被‖用意|物ハ者縁道ノ絹講坊ノ薦(コモ)縵幕大寳ノ高座僧蓋瓔珞如意香爐香箱白蓋白拂(ホツ)法螺(ラ)燒香造花卓(シヨク)机〔山田俊雄藏本〕
可∨被‖用意|物者縁道ノ絹講房(カウハウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳ノ高座所W(カイ)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)香箱(ハコ)白蓋(ハクガイ)赤蓋白払(ホツス)法螺(ラ)燒香造(ツクリ)花卓(シヨク)机(ツクヘ)〔経覺筆本〕
可被‖用意|物(もの)者縁道(ヱンタウ)ノ絹(キヌ)講房(カウバウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ボウ)ノ高座所W(ソウカ井)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)箱(ハコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂(ヒヤクホツ)法螺(ホウラ)燒香造花(ツクリ ナ)卓(シヨク)机(ツクヘ)〔文明四年本〕※薦(コモ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「白蓋」とし、訓みは、経覺筆本・文明四年本に「ヒヤクカイ」と記載する。
白盖(ヒヤクカイ) 高座/―也。〔黒川本・雜物門下90ウ一〕
白蓋 ヒヤカイ/高庭具。〔卷第十・雜物門343一〕
白鑞(ビヤクラフ) ―拂(ホツ)。―蓋(カイ)。〔器財門225五〕
このように、上記当代の古辞書においては、三卷本『色葉字類抄』と十巻本『伊呂波字類抄』、易林本『節用集』に標記語「白蓋」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
566瓔珞如意香炉香箱白盖(ガイ) 金剛盖也。〔謙堂文庫蔵五三右G〕
とあって、標記語「白盖」の語を収載し、この語についての語注記は、「金剛の盖なり」と記載する。
高座(カウサ)所W(ソウカイ)瓔珞(ヤウラク)如意(ニヨイ)香爐(カウロ)香箱(カウバコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂( ホツ)法螺(ホウラ)燒香(せウカウ)造花(ザウケ)卓(シヨク)机(ツクヘ)臨時(リンジ)ノ纏頭(テントウ)者高座ト云ヨリ造花ニ至ルマデ如件。〔下30ウ二〕
白蓋(びやくがい)白拂(ひやくほつ)/白蓋白拂 白き毛にて作りたるほつすなり。〔80オ七・八〕
とあって、この標記語「白蓋」の語をもって収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐香合白蓋赤蓋白拂法螺燒香造花卓机▲白蓋ハ金剛(こんがう)。赤蓋ハ胎藏(たいざう)。共に白赤(しろあか)の絹(きぬ)にて張(はり)たる天蓋也。〔58オ五、58ウ五〕
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)▲白蓋ハ金剛(こんがう)。赤蓋ハ胎藏(たいざう)。共に白赤(しろあか)の絹(きぬ)にて張(はり)たる天蓋也。〔104ウ一、105オ五・六〕
香合(バコ) 。〔元亀二年本94二〕〔静嘉堂本116八〕
香合(ハコ) 。〔天正十七年本上57ウ二〕〔西來寺本〕
可被用意物者縁道絹講坊薦縵幕大寳高座僧蓋瓔珞香爐箱如意白蓋白拂法螺燒香造花卓〔至徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋白拂法螺燒香造花卓机〔宝徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦慢幕大法高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋赤蓋白払法螺燒香造花卓机〔建部傳内本〕
可∨被‖用意|物ハ者縁道ノ絹講坊ノ薦(コモ)縵幕大寳ノ高座僧蓋瓔珞如意香爐香箱白蓋白拂(ホツ)法螺(ラ)燒香造花卓(シヨク)机〔山田俊雄藏本〕
可∨被‖用意|物者縁道ノ絹講房(カウハウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳ノ高座所W(カイ)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)香箱(ハコ)白蓋(ハクガイ)赤蓋白払(ホツス)法螺(ラ)燒香造(ツクリ)花卓(シヨク)机(ツクヘ)〔経覺筆本〕
可被‖用意|物(もの)者縁道(ヱンタウ)ノ絹(キヌ)講房(カウバウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ボウ)ノ高座所W(ソウカ井)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)箱(ハコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂(ヒヤクホツ)法螺(ホウラ)燒香造花(ツクリ ナ)卓(シヨク)机(ツクヘ)〔文明四年本〕※薦(コモ)。
と見え、経覺筆本・山田俊雄藏本だけが「香箱」とし、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・文明四年本の古写本にては「箱」とし、訓みは、経覺筆本に「(カウ)ハコ」と記載する。
香合(カウハコ) 。〔器財門105一〕
香合(カウバコ/カウバシ、カウ・アハス)[平・入] 。〔器財門268一〕
香合(カウバコ) 。〔弘・財宝門83三〕
香炉(カウロ) ―合(バコ)。―筋(バシ)。〔永・財宝門80三〕〔両・財寳門87四〕
香爐(カウロ) ―合。―裹。―臺/―筋。―鋸。〔堯・財宝門73一〕
香合( カフ) 。〔器財門75五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「香合」の語を収載していて、表記は異なるが古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
566瓔珞如意香炉香箱白盖(ガイ) 金剛盖也。〔謙堂文庫蔵五三右G〕
とあって、標記語「香箱」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
高座(カウサ)所W(ソウカイ)瓔珞(ヤウラク)如意(ニヨイ)香爐(カウロ)香箱(カウバコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂( ホツ)法螺(ホウラ)燒香(せウカウ)造花(ザウケ)卓(シヨク)机(ツクヘ)臨時(リンジ)ノ纏頭(テントウ)者高座ト云ヨリ造花ニ至ルマデ如件。〔下30ウ二〕
香爐香箱/香爐香箱 。〔80オ八〕
とあって、この標記語「香合」の語をもって収載し、語注記未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐香合白蓋赤蓋白拂法螺燒香造花卓机。〔58オ五〕
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)。〔104ウ一〕
Co<baco.カウバコ(香合) 香を入れる小さな箱.→Tcuico>.〔邦訳132r〕
かう-がふ〔名〕【香合】〔合は、盒の略字なりと云ふ〕香料を盛るに用ゐる器。漆塗、蒔繪、堆朱、陶器等、種種なり。かうばこ。香盒。香匳。朱有〓、送レ雪詩「準備煖レ金香合子、明朝送レ雪與相知」〔0340-5〕
かう-ばこ〔名〕【香匣】かうがふ(香合)に同じ。建武以來追加、定二コ政一事「かうばこ、茶碗、云云、廿ケ月たるべき事」〔0347-2〕
瓔珞(ヤウラク) 。〔元亀二年本202五〕〔静嘉堂本229二〕
瓔珞(ラク) 。〔天正十七年本中44オ七〕
可被用意物者縁道絹講坊薦縵幕大寳高座僧蓋瓔珞香爐箱如意白蓋白拂法螺燒香造花卓〔至徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋白拂法螺燒香造花卓机〔宝徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦慢幕大法高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋赤蓋白払法螺燒香造花卓机〔建部傳内本〕
可∨被‖用意|物ハ者縁道ノ絹講坊ノ薦(コモ)縵幕大寳ノ高座僧蓋瓔珞如意香爐香箱白蓋白拂(ホツ)法螺(ラ)燒香造花卓(シヨク)机〔山田俊雄藏本〕
可∨被‖用意|物者縁道ノ絹講房(カウハウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳ノ高座所W(カイ)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)香箱(ハコ)白蓋(ハクガイ)赤蓋白払(ホツス)法螺(ラ)燒香造(ツクリ)花卓(シヨク)机(ツクヘ)〔経覺筆本〕
可被‖用意|物(もの)者縁道(ヱンタウ)ノ絹(キヌ)講房(カウバウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ボウ)ノ高座所W(ソウカ井)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)箱(ハコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂(ヒヤクホツ)法螺(ホウラ)燒香造花(ツクリ ナ)卓(シヨク)机(ツクヘ)〔文明四年本〕※薦(コモ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「瓔珞」とし、訓みは、経覺筆本・文明四年本に「ヤウラク」と記載する。
瓔珞 ヤウラク。〔黒川本・雜物門中85ウ四〕
瓔珞 ヤウラク。〔卷第六・雜物門519五〕
日観(シツクワン) 元ノ人。尤工蒲萄(ブダウ)ヲ。古人ノ句ニ云ク葡萄老人瓔珞(ヤウラク)漿(コンツ)自呼テ号二知皈子ト一也。〔人名門51二〕
瓔珞(ヤウラク/ヱイ・タマ、タマ)[○・入] 寳珠――。〔器財門557三〕
瓔珞(ヤウラク) 。〔弘・財宝門166五〕〔永・財宝門136二〕〔堯・財宝門125三〕
瓔珞(ヤウラク) 。〔食服門137三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「瓔珞」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。このなかで、広本『節用集』の「寳珠瓔珞」の語注記は一致を見ない。他資料を典拠とするものである。
566瓔珞如意香炉香箱白盖(ガイ) 金剛盖也。〔謙堂文庫蔵五三右G〕
とあって、標記語「瓔珞」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
高座(カウサ)所W(ソウカイ)瓔珞(ヤウラク)如意(ニヨイ)香爐(カウロ)香箱(カウバコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂( ホツ)法螺(ホウラ)燒香(せウカウ)造花(ザウケ)卓(シヨク)机(ツクヘ)臨時(リンジ)ノ纏頭(テントウ)者高座ト云ヨリ造花ニ至ルマデ如件。〔下30ウ二〕
瓔珞(やうらく)/瓔珞 玉を糸に貫きかさりたる物也。仏のむねに懸。〔80オ七・八〕
とあって、この標記語「瓔珞」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐香合白蓋赤蓋白拂法螺燒香造花卓机▲瓔珞ハ珠玉(たま)を糸(いと)に貫(つらぬ)きたる物にて仏身(ぶつしん)の飾(かざり)也。〔58オ五、58ウ四・五〕
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)▲瓔珞ハ珠玉(たま)を糸(いと)に貫(つらぬ)きたる物にて仏身(ぶつしん)の飾(かざり)也。〔104ウ一、105オ四・五〕
Yo<racu.ヤウラク(瓔珞) Tamatama.(瓔珞)飾り,金銀珠玉の装身具,など.¶Yo<racu sainanno ixo<.(瓔珞細軟の衣裳)すなわち,柔らかで豪華な衣裳.〔邦訳829l〕
やう-らく〔名〕【瓔珞】〔西域記、二「首冠二華鬘一、身佩二瓔珞一」頭に在るを瓔と云ひ、身に在るを珞と云ふと〕佛像などの頭、頸、胸などに懸くる飾。珠玉を絲に貫きて垂る。字類抄「瓔珞、ヤウラク」榮花物語、十七、音樂「光の中の化佛無數億にして、云云、寳幢、寳瓔珞、上下四方に光明照らし輝けり」〔2027-1〕
可被用意物者縁道絹講坊薦縵幕大寳高座僧蓋瓔珞香爐箱如意白蓋白拂法螺燒香造花卓〔至徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋白拂法螺燒香造花卓机〔宝徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦慢幕大法高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋赤蓋白払法螺燒香造花卓机〔建部傳内本〕
可∨被‖用意|物ハ者縁道ノ絹講坊ノ薦(コモ)縵幕大寳ノ高座僧蓋瓔珞如意香爐香箱白蓋白拂(ホツ)法螺(ラ)燒香造花卓(シヨク)机〔山田俊雄藏本〕
可∨被‖用意|物者縁道ノ絹講房(カウハウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳ノ高座所W(カイ)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)香箱(ハコ)白蓋(ハクガイ)赤蓋白払(ホツス)法螺(ラ)燒香造(ツクリ)花卓(シヨク)机(ツクヘ)〔経覺筆本〕
可被‖用意|物(もの)者縁道(ヱンタウ)ノ絹(キヌ)講房(カウバウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ボウ)ノ高座所W(ソウカ井)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)箱(ハコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂(ヒヤクホツ)法螺(ホウラ)燒香造花(ツクリ ナ)卓(シヨク)机(ツクヘ)〔文明四年本〕※薦(コモ)。
と見え、至徳三年本・・山田俊雄藏本は、「僧蓋」、宝徳三年本・建部傳内本・経覺筆本・文明四年本の古写本は、「所W」とし、訓みは、経覺筆本に「(ソウ)ガイ」、文明四年本に「ソウカ井」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「所W」の語は未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
565縵幕大宝高座-盖 ニテ飾盖也。〔謙堂文庫蔵五三右F〕
とあって、標記語「所W」の語を収載し、この語についての語注記は、「盾ノて飾る盖なり」と記載する。
高座(カウサ)所W(ソウカイ)瓔珞(ヤウラク)如意(ニヨイ)香爐(カウロ)香箱(カウバコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂( ホツ)法螺(ホウラ)燒香(せウカウ)造花(ザウケ)卓(シヨク)机(ツクヘ)臨時(リンジ)ノ纏頭(テントウ)者高座ト云ヨリ造花ニ至ルマデ如件。〔下30ウ二〕
所W(そうかい)/所W かとりきぬにて張たる天盖なり。純nかとりきぬ也。〔80オ七〕
とあって、この標記語「所W」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐香合白蓋赤蓋白拂法螺燒香造花卓机▲所Wハかとりぎぬにて張(はり)たる天蓋(てんがい)也。〔58オ五、58ウ四〕
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)▲所Wハかとりぎぬにて張(はり)たる天蓋(てんがい)也。〔104ウ一、105オ四〕
可被用意物者縁道絹講坊薦縵幕大寳高座僧蓋瓔珞香爐箱如意白蓋白拂法螺燒香造花卓〔至徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋白拂法螺燒香造花卓机〔宝徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦慢幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋赤蓋白払法螺燒香造花卓机〔建部傳内本〕
可∨被‖用意|物ハ者縁道ノ絹講坊ノ薦(コモ)縵幕大寳ノ高座僧蓋瓔珞如意香爐香箱白蓋白拂(ホツ)法螺(ラ)燒香造花卓(シヨク)机〔山田俊雄藏本〕
可∨被‖用意|物者縁道ノ絹講房(カウハウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳ノ高座所W(カイ)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)香箱(ハコ)白蓋(ハクガイ)赤蓋白払(ホツス)法螺(ラ)燒香造(ツクリ)花卓(シヨク)机(ツクヘ)〔経覺筆本〕
可被‖用意|物(もの)者縁道(ヱンタウ)ノ絹(キヌ)講房(カウバウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ボウ)ノ高座所W(ソウカ井)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)箱(ハコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂(ヒヤクホツ)法螺(ホウラ)燒香造花(ツクリ ナ)卓(シヨク)机(ツクヘ)〔文明四年本〕※薦(コモ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「大寳」とし、訓みは、文明四年本に「(タイ)ボウ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「大寳」の語は未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
565縵幕大宝高座-盖 ニテ飾盖也。〔謙堂文庫蔵五三右F〕
とあって、標記語「大宝」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
講房(カウバウノ)薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ホウ)如ク無印。〔下30オ八〕
大宝(たいほう)/大寳 檀の事なり。〔80オ六〕
とあって、この標記語「大寳」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)/縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐香合白蓋赤蓋白拂法螺燒香造花卓机▲大宝ハ加持(かぢ)に用ゆる護摩檀(こまだん)也。〔58オ五、58ウ四〕
縵幕(まんまく)大寳(たいほう)高座(かうざ)所W(そうがい)瓔珞(ようらく)如意(によい)香爐(かうろ)香合(かうばこ)白蓋(びやくがい)赤蓋(しやくかい)白拂(ひやくほつ)法螺(ほふら)燒香(しやうかう)造花(つくりばな)卓机(しよくつくへ)▲大宝ハ加持(かぢ)に用ゆる護摩檀(ごまだん)也。〔104オ六、105オ四〕
たい-ぼう〔名〕【大寳】佛家にて、加持に用ゐる護摩壇の異稱。庭訓徃來、九月「可∨被‖用意|物者縁道絹、講房薦(コモ)、縵幕、大寳、高座、所W、瓔珞」〔1188-1〕
薦(コモ) 菰(同)。〔元亀二年本241五〕〔静嘉堂本278五〕〔天正十七年本中68オ四〕
可被用意物者縁道絹講坊薦縵幕大寳高座僧蓋瓔珞香爐箱如意白蓋白拂法螺燒香造花卓〔至徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋白拂法螺燒香造花卓机〔宝徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦慢幕大法高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋赤蓋白払法螺燒香造花卓机〔建部傳内本〕
可∨被‖用意|物ハ者縁道ノ絹講坊ノ薦(コモ)縵幕大寳ノ高座僧蓋瓔珞如意香爐香箱白蓋白拂(ホツ)法螺(ラ)燒香造花卓(シヨク)机〔山田俊雄藏本〕
可∨被‖用意|物者縁道ノ絹講房(カウハウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳ノ高座所W(カイ)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)香箱(ハコ)白蓋(ハクガイ)赤蓋白払(ホツス)法螺(ラ)燒香造(ツクリ)花卓(シヨク)机(ツクヘ)〔経覺筆本〕
可被‖用意|物(もの)者縁道(ヱンタウ)ノ絹(キヌ)講房(カウバウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ボウ)ノ高座所W(ソウカ井)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)箱(ハコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂(ヒヤクホツ)法螺(ホウラ)燒香造花(ツクリ ナ)卓(シヨク)机(ツクヘ)〔文明四年本〕※薦(コモ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「薦」とし、訓みは、山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「コモ」と記載する。
薦(せン) コモ/作旬反。〔黒川本・雜物門下6ウ一〕
薦 コモ/―席也。〔卷第七・雜物門140一〕
薦(スヽム/せン・コモ)[○] ―人。〔態藝門1134一〕
蒲(コモ) 菰(同) 。〔弘・草木門185八〕
菰(コモ) ―蒋。〔草木門155五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「薦」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
564法會ノ指南以∨之爲メ/シ∨先ト可∨被‖用意|物者縁道(トウ)ノ絹講房ノ薦(コモ) 兩カラ庭ノ儀式也。灌頂ノ時、庭ニ薦ヲ敷、上ニ布ヲ敷ヲ云也。〔謙堂文庫蔵五三右E〕
とあって、標記語「薦」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
講房(カウバウノ)薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ホウ)如ク無印高座(カウサ)所W(ソウカイ)瓔珞(ヤウラク)如意(ニヨイ)香爐(カウロ)香箱(カウバコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂( ホツ)法螺(ホウラ)燒香(せウカウ)造花(ザウケ)卓(シヨク)机(ツクヘ)臨時(リンジ)ノ纏頭(テントウ)者高座ト云ヨリ造花ニ至ルマデ如件。〔下30オ八〕30ウ二
講房(こうばう)の薦(こも)/講房ノ薦 論義説法の席へしく敷物なり。〔80オ五・六〕
とあって、この標記語「薦」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
用意(ようい)せら被(る)可(べ)き物(もの)者(ハ)縁道(えんだう)の絹(きぬ)講房(こうばう)乃薦(こも)/可∨被‖用意|物者縁道(トウ)ノ絹講房ノ薦▲講房薦ハ灌頂(くハんてう)のとき庭(にハ)に薦(こも)をしき其上に布(ぬの)をしくをいふとぞ。〔58オ四、58ウ三・四〕
可(べき)∨被(る)‖用意(よういせら)|物(もの)者(ハ)縁道(えんたうの)絹(きぬ)講房(かうばうの)薦(こも)▲講房薦ハ灌頂(くハんてう)のとき庭(にハ)に薦(こも)をしき其上に布(ぬの)をしくをいふとぞ。〔104オ六、105オ三〕
Como.コモ(薦) 粗くて粗末な藁筵.→Fogomo.〔邦訳145l〕
こも〔名〕【薦】〔菰席(こもむしろ)の下略(祝詞(のりとごと)、のりと。辛夷(こぶしはじかみ)、こぶし)菰の葉にて作れるが、元なり、~事に用ゐる清薦(すごも)即ち、菰席(こもむしろ)なり〕(一){菰、又は、藁にて、粗(あら)く編み作れる席(むしろ)。萬葉集、十三14長歌「掻き棄てむ、破薦(やれごも)を敷きて」倭名抄、十四18坐臥具「薦、唐韻云薦<作甸反 古毛>席也」安齋隨筆、前編十二「薦席(こもむしろ)、まこもとも云ふ草を編みて、席にしたる也。禁中~事に用レ之事あり云云、今、江戸にて、聖靈棚に薦を敷くは、遺風也」(節文)(二)薦僧(こもそう)、又は、薦被(こもかぶり)の(二)の略、各條を見よ。〔0739-1〕
可被用意物者縁道絹講坊薦縵幕大寳高座僧蓋瓔珞香爐箱如意白蓋白拂法螺燒香造花卓〔至徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋白拂法螺燒香造花卓机〔宝徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦慢幕大法高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋赤蓋白払法螺燒香造花卓机〔建部傳内本〕
可∨被‖用意|物ハ者縁道ノ絹講坊ノ薦(コモ)縵幕大寳ノ高座僧蓋瓔珞如意香爐香箱白蓋白拂(ホツ)法螺(ラ)燒香造花卓(シヨク)机〔山田俊雄藏本〕
可∨被‖用意|物者縁道ノ絹講房(カウハウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳ノ高座所W(カイ)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)香箱(ハコ)白蓋(ハクガイ)赤蓋白払(ホツス)法螺(ラ)燒香造(ツクリ)花卓(シヨク)机(ツクヘ)〔経覺筆本〕
可被‖用意|物(もの)者縁道(ヱンタウ)ノ絹(キヌ)講房(カウバウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ボウ)ノ高座所W(ソウカ井)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)箱(ハコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂(ヒヤクホツ)法螺(ホウラ)燒香造花(ツクリ ナ)卓(シヨク)机(ツクヘ)〔文明四年本〕※薦(コモ)。
と見え、至徳三年本・山田俊雄藏本は、「講坊」と表記し、宝徳三年本・建部傳内本・経覺筆本・文明四年本の古写本は「講房」と表記し、訓みは、経覺筆本に「カウハウ」、文明四年本に「カウバウ」と記載する。
564法會ノ指南以∨之爲メ/シ∨先ト可∨被‖用意|物者縁道(トウ)ノ絹講房ノ薦(コモ) 兩カラ庭ノ儀式也。灌頂ノ時、庭ニ薦ヲ敷、上ニ布ヲ敷ヲ云也。〔謙堂文庫蔵五三右E〕
とあって、標記語「講房」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
講房(カウバウノ)薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ホウ)如ク無印高座(カウサ)所W(ソウカイ)瓔珞(ヤウラク)如意(ニヨイ)香爐(カウロ)香箱(カウバコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂( ホツ)法螺(ホウラ)燒香(せウカウ)造花(ザウケ)卓(シヨク)机(ツクヘ)臨時(リンジ)ノ纏頭(テントウ)者高座ト云ヨリ造花ニ至ルマデ如件。〔下30オ八〕30ウ二
講房(こうばう)の薦(こも)/講房ノ薦 論義説法の席へしく敷物なり。〔80オ五・六〕
とあって、この標記語「講房」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
用意(ようい)せら被(る)可(べ)き物(もの)者(ハ)縁道(えんだう)の絹(きぬ)講房(こうばう)乃薦(こも)/可∨被‖用意|物者縁道(トウ)ノ絹講房ノ薦▲講房薦ハ灌頂(くハんてう)のとき庭(にハ)に薦(こも)をしき其上に布(ぬの)をしくをいふとぞ。〔58オ四、58ウ三・四〕
可(べき)∨被(る)‖用意(よういせら)|物(もの)者(ハ)縁道(えんたうの)絹(きぬ)講房(かうばうの)薦(こも)▲講房薦ハ灌頂(くハんてう)のとき庭(にハ)に薦(こも)をしき其上に布(ぬの)をしくをいふとぞ。〔104オ六、105オ三〕
可被用意物者縁道絹講坊薦縵幕大寳高座僧蓋瓔珞香爐箱如意白蓋白拂法螺燒香造花卓〔至徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦縵幕大寳高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋白拂法螺燒香造花卓机〔宝徳三年本〕
可被用意物者縁道絹講房薦慢幕大法高座所W瓔珞如意香爐箱白蓋赤蓋白払法螺燒香造花卓机〔建部傳内本〕
可∨被‖用意|物ハ者縁道ノ絹講坊ノ薦(コモ)縵幕大寳ノ高座僧蓋瓔珞如意香爐香箱白蓋白拂(ホツ)法螺(ラ)燒香造花卓(シヨク)机〔山田俊雄藏本〕
可∨被‖用意|物者縁道ノ絹講房(カウハウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳ノ高座所W(カイ)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)香箱(ハコ)白蓋(ハクガイ)赤蓋白払(ホツス)法螺(ラ)燒香造(ツクリ)花卓(シヨク)机(ツクヘ)〔経覺筆本〕
可被‖用意|物(もの)者縁道(ヱンタウ)ノ絹(キヌ)講房(カウバウ)ノ薦(コモ)縵幕(マンマク)大寳(ボウ)ノ高座所W(ソウカ井)瓔珞(ヤウラク)如意香爐(ロ)箱(ハコ)白蓋(ヒヤクカイ)白拂(ヒヤクホツ)法螺(ホウラ)燒香造花(ツクリ ナ)卓(シヨク)机(ツクヘ)〔文明四年本〕※薦(コモ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「縁道絹」とし、訓みは、文明四年本に「ヱンタウのきぬ」と記載する。
縁道絹(エンダウノキヌ) 。〔食服門162四〕
このように、上記当代の古辞書においては、唯一易林本『節用集』に、標記語「縁道絹」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
564法會ノ指南以∨之爲メ/シ∨先ト可∨被‖用意|物者縁道(トウ)ノ絹講房ノ薦(コモ) 兩カラ庭ノ儀式也。灌頂ノ時、庭ニ薦ヲ敷、上ニ布ヲ敷ヲ云也。〔謙堂文庫蔵五三右E〕
とあって、標記語「縁道絹」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
縁道(エンダウ)ノ絹(キヌ)ハ水引(ミツヒキ)打敷(ウチシキ)ナンドノ事黙。〔下30オ八〕
縁道(ゑんたう)の絹(きぬ)/縁道ノ絹 善(ぜん)の綱(つな)の事也。〔80オ五〕
とあって、この標記語「縁道絹」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
用意(ようい)せら被(る)可(べ)き物(もの)者(ハ)縁道(えんだう)の絹(きぬ)講房(こうばう)乃薦(こも)/可∨被‖用意|物者縁道(トウ)ノ絹講房ノ薦▲縁道ノ絹ハ古抄に仏前(ぶつぜん)に引く善(ぜん)の綱(つな)をいふとぞ。〔58オ四、58ウ三〕
可(べき)∨被(る)‖用意(よういせら)|物(もの)者(ハ)縁道(えんたうの)絹(きぬ)講房(かうばうの)薦(こも)▲縁道ノ絹ハ古抄に仏前(ぶつぜん)に引く善(ぜん)の綱(つな)をいふとぞ。〔104オ五、105オ二・三〕
えん-だう〔名〕【筵道】筵(むしろ)を敷きて、通路とするもの。枕草子、一、第四段「檳榔毛(びらうげ)の車などは、門、小さければ、障りて、え入らねば、例の筵道敷きて下(お)るるに」〔0280-3〕
舞童( トウ) 。〔元亀二年本223十〕〔天正十七年本中57オ八〕
舞童(ブドウ) 。〔静嘉堂本256四〕
伶人舞童之儀式殊大切也法会指南以之為先〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
伶人舞童之儀式殊大切也法會指南以之爲先〔宝徳三年本〕
伶人舞童(ブドウ)之儀式殊ニ大切也法會ノ指南以テレ之ヲ爲レ先ト〔山田俊雄藏本〕
伶(レイ)人舞童(フトウ)ノ儀式殊ニ大切也法会ノ指(シ)南。以レ之爲(ス)レ先ト〔経覺筆本〕
伶人(レイ ゛)舞童(ブトウ)之儀式殊ニ大切也。法會ノ指南以レ之ヲ爲(ス)レ先(サキ)ト〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「舞童」とし、訓みは、山田俊雄藏本に「ブドウ」、経覺筆本に「フトウ」、文明四年本に「ブトウ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「舞童」の語は収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
563伶人(ジン)舞童ノ儀式殊ニ大切也 児ノ役也。太平竜王等也。〔謙堂文庫蔵五三右D〕
とあって、標記語「舞童」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
舞童(ブドウ)之(ノ)儀式(ギシキ)殊(コトニ)大切(せツ)也法會指南(ホウエノシナン)以之ヲ爲(ス)レ先(サキト)可レ被二用意物者一舞童ノ事児四人シテマフ也。是ヲ泰平樂(タイヘイラク)ト云也。昔(ムカシ)秦(シン)ノ國ニ王御座(ヲワ)ス。名(ナ)付テ高祖(カウソ)ト申シ奉ル并(ナラビ)ノ国ニジユツコクトイヘル國アリ。王ノ御名ヲ項羽(カウウ)ト申シ奉ル。或時(アルトキ)項羽(カウウ)ノ高祖(カウソ)ノ内裏(ダイリ)ヘ行幸(キヤウガフ)有テ彼(カノ)泰平樂(タイヘイラク)ヲマイ給フ舞臺(ブタイ)ヲコシラヘ人ヲノケ門ヲ閉(トヂ)テ項羽(カウウ)ト高祖ト又項羽(カウウ)ノ童ニ呂馬童(リヨバトウ)ト云童子(ドウシ)ヲ召具(メシク)せラレタリ。彼(カレ)ト已上三人三尺ノ劔ヲ皆(ミナ)拔持(ヌキモチ)テ悪魔(アクバ)降伏(ガウフク)ノ篇(ヘン)拝ト號(ガウ)シテ樂(ガク)ヲ吹(フキ)ハヤサせテ舞(マワ)ルヽナリ。是ハ併(シカシナガラ)項羽ノ高祖ヲ討(ウタ)ントノ謀(ハカリコト)也。門ヲバ閉(トヂ)テ人ヲ通(トヲ)サズ。門外(モンクハイ)ニテ高祖ノ兵(ツハモノ)攀懊(ハンクハヒ)ト云シ者御樂(ヲンガク)ヲ聴聞(チヤウモン)シケルガ急(キウ)ノ樂(ガク)ニ成(ナリ)テ死(シ)ノ位ノ樂(ガク)アリ。樊懊(ハンクハイ)今ハ帝王(テイワウ)ノ御命(ヲンイノチ)危(アヤウシ)シトテ鉄(クロカネ)ノ門ヲ推破(ヲシヤブツ)テ内ヘ参(マイ)リ。吾(ワレ)モ祖王(ソワウ)ノ方人(カトウド)ノ樂(カク)トテ大動錬(ダイドウレン)ト云劔(ツルギ)ヲヌキ持(モチ)テ舞(マヒ)ケレバ。項羽(カウウ)ノ謀(ハカリ)モ不レ叶(カナハ)也。其(ソノ)時ヨリ泰平樂(タイヘイラク)ハ四人ニ成(ナリ)ケリ。今ノ世ニ舞(マフ)ト云事ハ是也。剱ヲ以テマフ也。呂馬童(リヨバトウ)ガ舞始(マイハジメ)シ也。サレバ災難(サイナン)ヲ拂(ハラウ)ベクハ泰(タイ)平樂ニ不レ如(シカ)。四人ニテマフハ。四方ノ夷(エビス)ヲ切ル心也。又外聞(クハイブン)ト云詞(コトバ)其時ヨリ起(ヲコ)レリ。外(クハイ)ニ聞(ブン)ト云ハ。我ヨリ勝(スグ)レタル者ガ外面(ソトモ)ニ有ニ。サシモナキ事。シサバクニ彼(カノ)人是ヲ聞(キイ)テ後ニ嘲(アザケ)ル也。是ヲ外聞(クハイブン)トハ申也。如レ此樊懊(ハンクハイ)ト云フ。シレ者門外ニ有ニ何トソ。勝負(セウブ)ヲ决せン。深(シン)渕ニ莅(ノゾン)デ薄氷(ハクヒヨウ)ヲ蹈ムト云フ事是ナリ。文選(モンゼン)ノ表ノ卷ニ具サニ見ヘタリ。〔下29ウ七〜30オ七〕
伶人(れいじん)舞童(ぶとう)之(の)儀式(ぎしき)/伶人舞童之儀式 伶人の注前に見へたり。舞童ハまいをする童子なり。〔79ウ八〜80オ一〕
とあって、この標記語「舞童」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
伶人(れいじん)舞童(ぶとう)之(の)儀式(ぎしき)殊(こと)に大切(たいせつ)也(なり)。法會(ほふゑ)の指南(しなん)之(これ)を先(さき)と爲(す)/伶人。舞童。之儀式殊ニ大切也。法會ノ指南。以レ之ヲ爲レ先ト▲舞童ハ童子(わらハ)の舞(まひ)也。太平楽(たいへいらく)の楽(がく)ハ童子四人にて舞ふといふ其類(たぐひ)也。〔58オ三、58ウ二・三〕
伶人(れいじん)舞童(ぶどう)之(の)儀式(ぎしき)殊(ことに)大切(たいせつ)也(なり)法會(ほふゑの)指南(しなん)以(もつて)レ之(これを)爲(す)レ先(さきと)▲舞童ハ童子(わらハ)の舞(まひ)也。太平楽(たいへいらく)の楽(がく)ハ童子四人にて舞(ま)ふといふ其類(たぐひ)なり。〔104オ三、105オ二・三〕
伶人(ジン)常ニアリ。供養(クヤウ)法會(ホウエ)ナンドニハ。專(モツハ)ラ有ベシ。伶人トハ。サヽ人トヨムナリ。百廿帖(デウ)ノ樂(ガク)ヲ奏(ソウ)スル也。百廿詞ハ。天人聖衆ノ御遊(アソビ)ノマネ也。其故ニ。三界ノ天衆地頭ヲ驚カサン爲ナリ。伶人アリ。〔下29ウ五〜七〕
講師注記竪者證義并探題并散花梵音錫杖對楊咒願師等可被加請之也〔至徳三年本〕
講師讀師註記竪者證義并探題唄散花梵音錫杖對揚呪願師等可被加請也〔宝徳三年本〕
講師讀師注記竪者證義探題并唄散花梵音錫杖對楊呪願師等可被加請之也〔建部傳内本〕
講-師讀-師注(チウ)-記(キ)竪(リツ)-者證-義探(タン)-題(ダイ)并ニ唄(バイ)散-花梵-音錫-杖對-揚呪(シユ)-願-師等尤可レ被二加-一請セヲ之一也〔山田俊雄藏本〕
講師讀師註記(チウキ)竪(シユ)者證議(シヤウキ)探題(タンタイ)竝ニ唄(バイ)散花梵音錫杖對揚咒(シユ)願師等可レ被ルレ加ヘ二請(セウ)之ヲ一也〔経覺筆本〕
講師(カウジ)。讀師(ドクシ)。註記(チウキ)。竪(リツ)者。證義(セウキ)。探題(タンタイ)。并ニ唄(バイ)。散華(サンゲ)。梵音(ホンヲン)。錫杖(シヤクシヤウ)。對揚(タイヤウ)。咒願師(シユクワンシ)等。可∨被∨加請(カシヤウ)布施以也候也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本の古写本には「加請」とし、訓みは、文明四年本に「カシヤウ」と記載する。
加請(カシヤウ/クワヱル、せイ・ウケル)[平・平去] 。〔態藝門273三〕
このように、上記当代の古辞書においては、唯一広本『節用集』に標記語「加請」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
561加請 如‖十佛名ノ|云也。〔謙堂文庫蔵五三右C〕
とあって、標記語「加請」の語を収載し、この語についての語注記は、未記載にする。
并ニ唄(ハイ)散花(サンゲ)梵音(ボンヲン)錫杖(シヤクチヤウ)對楊(タイヤウ)咒願(シユグワン)師(シ)等可∨被∨加‖請(シヤウ)セ|也ト云モ皆々音職(ヲンシヨク)ナリ。音声ヲ以態(ワザ)ヲ成也。何共喩(タトヘ)ン樣ナシ。〔下29ウ四・五〕
之(これ)を加(か)請(しやう)せ被(らる)可(べき)也/可∨被∨加‖請セ之ヲ|也 加ハそへる義也。請ハ承迎る事也。講師より探題まて六役是に唄散花の役梵音の役錫杖の役對揚師咒願師をあわせてト一役なり。是等乃役僧をもともに承事□□□り。〔79ウ六〜八〕
とあって、この標記語「加請」の語をもって収載し、語注記も上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
善根(ぜんごん)乃事(こと)兼日(けんしつ)諷誦(ふしゆ)願文(ぐハんもん)を進(しん)ぜら被(る)可(べ)し佛像(ぶつざう)經巻(きやうくハん)讃嘆(さんたん)者(ハ)子細(しさい)有(ある)る可(べ)から不(す)堂塔(たうたふ)供養(くよう)并(ならびに) 烹華八講(ばつけはつこう)者(ハ)大烹會(たいほふゑ)の儀式(きしき)に相(あい)當(あたる)る歟(か)烹服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいぎやうだう)等(とう)有(あ)る可(べ)し聖道(しやうたう)の名僧(めいそう)を以(もつは)其節(そのせつ)を遂(と)けら被(る)可(べ)し。講師(こうし)讀師(とくし)注記(ちうき)竪者(しゆしや)證議(しようぎ)探題(たんだい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對揚(たいやう)咒願(しゆくハん)師(し)等(とう)之(これ)を加(か)請(しやう)せら被(る)可(べ)き也(なり)/善根ノ事。兼日可シ∨被∨進セラ‖諷誦願文ヲ|。佛像。經巻。讃嘆者。不∨可カラ∨有ル‖子細|。堂塔供養。并ニ法華八講者。相‖_當ル大法會儀式ニ|歟。可有ル‖法服。登高座。大行-道等|。以‖聖-道ノ名僧ヲ|。可シ∨被∨遂ケ‖其節ヲ|。講師。讀師。注記。竪者。證議。探題。并ニ唄。散花。梵音。錫杖。對揚。咒願師等。可キ∨被∨加‖請セヲ之|也。〔58オ二・三〕
善根(ぜんごん)の事(こと)兼日(けんじつ)可(べき)∨被(る)∨進(しん)ぜら‖諷誦(ふじゆ)願文(ぐわんもん)を佛像(ぶつざう)經巻(きやうくわん)讃嘆(さんたん)者(ハ)不(す)∨可(べから)∨有(ある)ル‖子細(しさい)|堂塔(だうたふ)供養(くやう)并(ならひに)法華八講(ほつけはつかう)者(ハ)相(あひ)‖當(あたる)大法會儀式(だいほふゑのぎしき)に|歟(か)可(べし)有(ある)‖法服(ほふふく)登(のぼり)高座(かうざ)大行道(たいきやうたう)等(とう)|以(もつて)‖聖道(しやうだう)の名僧(めいそう)を|可(べし)∨被(る)∨遂(とげ)ら‖其節(そのせつ)を|講師(かうし)讀師(どくし)注記(ちうき)竪者(じゆしや)證議(しようき)探題(たんたい)并(ならび)に唄(はい)散花(さんげ)梵音(ぼんおん)錫杖(しやくちやう)對楊(たいやう)咒願(しゆくわん)師(し)等(とう)可(べき)∨被(る)∨加(か)‖請(しやう)せら之(これ)を|也(なり)。〔104オ三〕
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