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ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
664頭首方(カタ)者 法亊司ノ之人也。〔謙堂文庫蔵五七左@〕
とあって、標記語「頭首方」の語を収載し、語注記は、「法亊司るの人なり」と記載する。
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔至徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布二三端上品紬古([細布等])知事方素紗梅花并襖單衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔宝徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔建部傳内本〕
青番羅(シンハンロ)花番羅(クハハンロ)三法紗(サハヽシヤ)顕紋紗(ケンモンシヤ)并ニ黄(ワウ)草布一二端(タン)上品ノ紬(ツムキ)等知事方ニハ者素紗(スシヤ)ノ梅花(モイクワ)并ニ襖(フスマ)単衫(タンザン)ノ絹花〓(リン)(糸+彦)木綿(モメン)等各一ツ配(アテ)〔山田俊雄藏本〕
青番羅(セイハンロ)三法紗(シヤ)結紋紗花番羅并ニ黄草布一二端(タン)上品ノ細布(ホソヌノ)等知事方者(ハ)素紗(スシヤ)梅(モイ)花并ニ襖単衫(アウタンサン)之絹花綾(クワレウノ)木綿(モメン)等各一ツ配(ツヽ)〔経覺筆本〕
青番羅(シンバンロ)三法紗(サンハヽシヤ)顯紋紗(ケンモンシヤ)花番羅(クワハンロ)并ニ黄草布(ワウサウフ)二三端(タン)上品ノ紬古{〓(糸+貰)サイミ}等知事方ニハ者素紗(スシヤ)梅花(モイクワ)并ニ襖単衫(ワウタンサン)之絹(キヌ)花〓(クワリン)(糸+彦)木綿(モメン)等一ツ配(アテ)〔文明四年本〕 ※紗花(シヤクワ)。番羅(ハンロ)。端(ダン)。素紗(スシヤ)。襖單(ワウタン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・文明四年本が「一配」と記載し、訓みは、経覺筆本に「(ひと)つずつ」、山田俊雄藏本・文明四年本に「(ひと)つあて」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、天正十八年本『節用集』標記語「一配」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本は収載しているのである。
663各一配(−ツアテ) 六十端ヲ一ト云也。〔謙堂文庫蔵五七右H〕
とあって、標記語「一配」の語を収載し、語注記は、「六十端を一と云ふなり」と記載する。
花〓(クハリン)(糸+彦)木綿(モメン)等各一ツ配(ツヽ)頭首(テウシユ)方(ガタ)者(ハ)素紗(ソシヤ)ノ衣(コロモ)袈裟(ケサ)各ノ一帖(テウ)此ノ外 花〓(糸+彦)木綿ハ。色色アルモメン也。〔下34オ八〜34ウ一〕
木綿(もめん)等各(おの/\)一配(ひとつくばり)/木綿等各一配 配ハくはると訓す一宛といふに同し。〔87ウ四・五〕
とあって、この標記語「一配」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
木綿(もめん)等(とう)各(おの/\)一配(ひとつあて)/木綿等各一配。〔64オ三〕
木綿(もめん)等(とう)各(おの/\)一配(ひとつあて)。〔115オ三・四〕
†Fitotcuate.ヒトツアテ(一つ宛) 人に物を一つずつ与えて割り当てる際の数え方で,二つずつであればFutatcu ate(二つ宛)のように言い,それ以上は物の数に応じて〔三つ宛・四つ宛…と〕言う.〔邦訳250l〕
も-めん〔名〕【木綿】草綿(きわた)の果實の中に生ずるもの。潔白にして、甚だ柔なり、綿として、衣服、布團などに入れて、温を取る。眞綿に對して、もめん綿と云ふ。これを紡ぎて絲せるを、木綿絲(綿絲)とし、綿布に織る。(天文年閨A薩摩織り始むと)綿花布。張籍詩「蜀客南行過二碧溪一、木綿花發錦江西」字類抄「木綿、モメン」〔2019-1〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔至徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布二三端上品紬古([細布等])知事方素紗梅花并襖單衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔宝徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔建部傳内本〕
青番羅(シンハンロ)花番羅(クハハンロ)三法紗(サハヽシヤ)顕紋紗(ケンモンシヤ)并ニ黄(ワウ)草布一二端(タン)上品ノ紬(ツムキ)等知事方ニハ者素紗(スシヤ)ノ梅花(モイクワ)并ニ襖(フスマ)単衫(タンザン)ノ絹花〓(リン)(糸+彦)木綿(モメン)等各一ツ配(アテ)〔山田俊雄藏本〕
青番羅(セイハンロ)三法紗(シヤ)結紋紗花番羅并ニ黄草布一二端(タン)上品ノ細布(ホソヌノ)等知事方者(ハ)素紗(スシヤ)梅(モイ)花并ニ襖単衫(アウタンサン)之絹花綾(クワレウノ)木綿(モメン)等各一ツ配(ツヽ)〔経覺筆本〕
青番羅(シンバンロ)三法紗(サンハヽシヤ)顯紋紗(ケンモンシヤ)花番羅(クワハンロ)并ニ黄草布(ワウサウフ)二三端(タン)上品ノ紬古{〓(糸+貰)サイミ}等知事方ニハ者素紗(スシヤ)梅花(モイクワ)并ニ襖単衫(ワウタンサン)之絹(キヌ)花〓(クワリン)(糸+彦)木綿(モメン)等一ツ配(アテ)〔文明四年本〕 ※紗花(シヤクワ)。番羅(ハンロ)。端(ダン)。素紗(スシヤ)。襖單(ワウタン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・文明四年本が「花〓(糸+彦)」と記載し、経覺筆本は、「花綾」と記載する。訓みは、山田俊雄藏本に「(クワ)りん」、経覺筆本に「クワレウ」、文明四年本に「クワリン」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「花〓(糸+彦)」の語は未収載にあるが、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
661花〓(糸+彦)(−リン) 唐織□。花紋也。〔謙堂文庫蔵五七右H〕
とあって、標記語「花〓(糸+彦)」の語を収載し、語注記は、「唐織□。花紋なり」と記載する。
花〓(クハリン)(糸+彦)木綿(モメン)等各一ツ配(ツヽ)頭首(テウシユ)方(ガタ)者(ハ)素紗(ソシヤ)ノ衣(コロモ)袈裟(ケサ)各ノ一帖(テウ)此ノ外 花〓(糸+彦)木綿ハ。色色アルモメン也。〔下34オ八〜34ウ一〕
花〓(くわりん)(糸+彦)/花〓(糸+彦) 襖も単衫も衣類の名也。是に仕立へききぬなり。〔87ウ三〕
とあって、この標記語「花〓(糸+彦)」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
花〓(くわりん)(糸+彦)木綿(もめん)等(とう)各(おの/\)一配(ひとつあて)/花〓(糸+彦)木綿等各一配▲花〓(糸+彦)木綿ハ今いふ花布(さらさ)の類(たぐひ)ならん。但し〓(糸+彦)の字いまだ所見なし如何。〔64オ三、64オ八〕
花〓(くわりん)(糸+彦)木綿(もめん)等(とう)各(おの/\)一配(ひとつあて)▲花〓(糸+彦)木綿ハ今いふ花布(さらさ)乃類(たぐひ)ならん。但し〓(糸+彦)の字いまだ所見なし如何。〔115オ三、115ウ四・五〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔至徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布二三端上品紬古([細布等])知事方素紗梅花并襖單衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔宝徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔建部傳内本〕
青番羅(シンハンロ)花番羅(クハハンロ)三法紗(サハヽシヤ)顕紋紗(ケンモンシヤ)并ニ黄(ワウ)草布一二端(タン)上品ノ紬(ツムキ)等知事方ニハ者素紗(スシヤ)ノ梅花(モイクワ)并ニ襖(フスマ)単衫(タンザン)ノ絹花〓(リン)(糸+彦)木綿(モメン)等各一ツ配(アテ)〔山田俊雄藏本〕
青番羅(セイハンロ)三法紗(シヤ)結紋紗花番羅并ニ黄草布一二端(タン)上品ノ細布(ホソヌノ)等知事方者(ハ)素紗(スシヤ)梅(モイ)花并ニ襖単衫(アウタンサン)之絹花綾(クワレウノ)木綿(モメン)等各一ツ配(ツヽ)〔経覺筆本〕
青番羅(シンバンロ)三法紗(サンハヽシヤ)顯紋紗(ケンモンシヤ)花番羅(クワハンロ)并ニ黄草布(ワウサウフ)二三端(タン)上品ノ紬古{〓(糸+貰)サイミ}等知事方ニハ者素紗(スシヤ)梅花(モイクワ)并ニ襖単衫(ワウタンサン)之絹(キヌ)花〓(クワリン)(糸+彦)木綿(モメン)等一ツ配(アテ)〔文明四年本〕 ※紗花(シヤクワ)。番羅(ハンロ)。端(ダン)。素紗(スシヤ)。襖單(ワウタン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「襖単衫」と記載し、訓みは、山田俊雄藏本に「ふすまタンザン」、経覺筆本に「アウタンサン」、文明四年本に「ワウタンサン」とそれぞれ異なった記載をする。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「襖単衫」の語は未収載にあって、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
660并襖単衫之絹 生々(スヽシ)ハ絲ノ単絹也。〔謙堂文庫蔵五七右G〕
とあって、標記語「襖単衫」の語を収載し、語注記は、「生々(スヽシ)は絲の単絹なり」と記載する。
并ニ襖単衫(アウタンサン)之(ノ)絹(キヌ) アラキススシノキヌナリ。〔下34オ七・八〕
并に襖単衫(わうたんさん)の絹(きぬ)/并ニ襖単衫之絹 襖も単衫も衣類の名也。是に仕立へききぬなり。〔87ウ三〕
とあって、この標記語「襖単衫」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
并(ならひ)に襖単衫(あうたんさん)之(の)絹(きぬ)/并ニ襖単衫之絹▲襖単衫之絹ハ生絹(すゞし)のひとへ絹(きぬ)也と。〔64オ一、64オ七・八〕
并(ならひに)襖単衫(あうたんさん)之(の)絹(きぬ)▲襖単衫之絹ハ生絹(すゞし)のひとへ絹(きぬ)也と。〔115オ三、115ウ四〕
梅花(モイグワ) 。〔元亀二年本348十〕
梅花(モイクワ) 。〔静嘉堂本419七〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔至徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布二三端上品紬古([細布等])知事方素紗梅花并襖單衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔宝徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔建部傳内本〕
青番羅(シンハンロ)花番羅(クハハンロ)三法紗(サハヽシヤ)顕紋紗(ケンモンシヤ)并ニ黄(ワウ)草布一二端(タン)上品ノ紬(ツムキ)等知事方ニハ者素紗(スシヤ)ノ梅花(モイクワ)并ニ襖(フスマ)単衫(タンザン)ノ絹花〓(リン)(糸+彦)木綿(モメン)等各一ツ配(アテ)〔山田俊雄藏本〕
青番羅(セイハンロ)三法紗(シヤ)結紋紗花番羅并ニ黄草布一二端(タン)上品ノ細布(ホソヌノ)等知事方者(ハ)素紗(スシヤ)梅(モイ)花并ニ襖単衫(アウタンサン)之絹花綾(クワレウノ)木綿(モメン)等各一ツ配(ツヽ)〔経覺筆本〕
青番羅(シンバンロ)三法紗(サンハヽシヤ)顯紋紗(ケンモンシヤ)花番羅(クワハンロ)并ニ黄草布(ワウサウフ)二三端(タン)上品ノ紬古{〓(糸+貰)サイミ}等知事方ニハ者素紗(スシヤ)梅花(モイクワ)并ニ襖単衫(ワウタンサン)之絹(キヌ)花〓(クワリン)(糸+彦)木綿(モメン)等一ツ配(アテ)〔文明四年本〕 ※紗花(シヤクワ)。番羅(ハンロ)。端(ダン)。素紗(スシヤ)。襖單(ワウタン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は「梅花」と記載し、訓みは、経覺筆本に「モイ(クワ)」、山田俊雄藏本・文明四年本に「モイクワ」と記載する。
梅花(モイクワ) 絹ノ紋ニ織(ヲル)二梅花ヲ一也。〔絹布門95七〕
梅花(モイクワ/ムメ、ハナ)[平・平] 綾也。絹紋(キヌノモン)ニ織二梅花ヲ一也。〔絹布門1067三〕
梅花(モイクワ) 綾紋(アヤノモン)。表補(ヘウホ)。繪(ヱ)具。〔弘・財宝門259五〕
梅花(モイクハ) 綾紋(アヤノモン)。表具(ヘウグニ)用レ之。〔永・財宝門221五〕
梅花(モイクワ) 綾ノ紋。〔尭・財宝門207八〕
梅花(モイクワ) 綾ノ紋。〔食服門230二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「梅花(モイクワ)」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。その語注記は、『下學集』に類似し、また、広本『節用集』を含め継承連関するものとなっている。
659知亊方者素紗(スヾ)梅花(モイ−) 有‖梅花之紋也。〔謙堂文庫蔵五七右G〕
とあって、標記語「梅花」の語を収載し、語注記は、「梅花の紋あるなり」と記載する。
梅花(ハイクハ) ハ赤(アカ)キアヤナリ。〔下34オ七〕
梅花(ばいくわ)/梅花 あかきあや也。〔87ウ二・三〕
とあって、この標記語「梅花」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
梅花(ばいくわ)/梅花▲梅花ハ赤(あか)き綾(あや)也とぞ。〔64オ二、64オ七〕
梅花(ばいくわ)▲梅花ハ赤(あか)き綾(あや)也とぞ。〔115オ二、115ウ三〕
Moiqua.モイクヮ(梅花) ある織物についてある種の浮織り模様,あるいは,木の葉模様.〔邦訳417r〕
モイ-くヮ〔名〕【梅花】〔もいハ、梅の支那近代音〕うめの花の模様。又、其模様を織り出したる絹布。下學集、下、絹布門「梅花、モイクヮ、絹紋織二梅花一也」易林本節用集(慶長)下、食服門「梅花、モイクヮ、綾紋」「梅花綾」〔1998-2〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔至徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布二三端上品紬古([細布等])知事方素紗梅花并襖單衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔宝徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔建部傳内本〕
青番羅(シンハンロ)花番羅(クハハンロ)三法紗(サハヽシヤ)顕紋紗(ケンモンシヤ)并ニ黄(ワウ)草布一二端(タン)上品ノ紬(ツムキ)等知事方ニハ者素紗(スシヤ)ノ梅花(モイクワ)并ニ襖(フスマ)単衫(タンザン)ノ絹花〓(リン)(糸+彦)木綿(モメン)等各一ツ配(アテ)〔山田俊雄藏本〕
青番羅(セイハンロ)三法紗(シヤ)結紋紗花番羅并ニ黄草布一二端(タン)上品ノ細布(ホソヌノ)等知事方者(ハ)素紗(スシヤ)梅(モイ)花并ニ襖単衫(アウタンサン)之絹花綾(クワレウノ)木綿(モメン)等各一ツ配(ツヽ)〔経覺筆本〕
青番羅(シンバンロ)三法紗(サンハヽシヤ)顯紋紗(ケンモンシヤ)花番羅(クワハンロ)并ニ黄草布(ワウサウフ)二三端(タン)上品ノ紬古{〓(糸+貰)サイミ}等知事方ニハ者素紗(スシヤ)梅花(モイクワ)并ニ襖単衫(ワウタンサン)之絹(キヌ)花〓(クワリン)(糸+彦)木綿(モメン)等一ツ配(アテ)〔文明四年本〕 ※紗花(シヤクワ)。番羅(ハンロ)。端(ダン)。素紗(スシヤ)。襖單(ワウタン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は「素紗」と記し、訓みは、山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「スシヤ」と記載する。
素紗(スジヤ) 。〔絹布門95六〕
素紗(スシヤ/シロシ、―)[去・平] 。〔絹布門1124七〕
素紗(スシヤ) 。〔弘・衣服門270二〕〔永・財宝門231六〕
素紗(スジヤ) 。〔尭・財宝門217五〕
素紗(スジヤ) 。〔食服門239四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「素紗」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
659知亊方者素紗(スヾ)梅花(モイ−) 有‖梅花之紋也。〔謙堂文庫蔵五七右G〕
とあって、標記語「素紗」の語を収載し、この訓みを「すず」とし、語注記は未記載にする。
素紗(ソシヤ) ハ白(シロ)キシヤナリ。〔下34オ七〕
知事方(ちじかた)ハ素紗(そしや)/知事方者素紗 白きしや也。〔87ウ一・二〕
とあって、この標記語「素紗」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
知事方(ちじかた)者(ハ)素紗(そしや)/知事方者。素紗。▲素紗ハ白(しろ)き紗也。〔64オ二、64オ七〕
知事方(ちじかた)者(ハ)素紗(そしや)▲素紗ハ白(しろ)き紗(しや)也。〔115オ二、115ウ四〕
Suxa.スシャ(素紗) 絹の単(ひとえ)の着物の一種で,上に着るもの.〔邦訳593l〕
す-しゃ〔名〕【素紗】染色なき紗。白き紗。庭訓往來、十月「素紗(无紋云也)、梅花(有二梅花文一也)」〔1047-1〕
細美( ミ) 。貲布(同) 。〔元亀二年本270九〕
細美(サイミ) 。些布(同) 。〔静嘉堂本308八〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔至徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布二三端上品紬古([細布等])知事方素紗梅花并襖單衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔宝徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔建部傳内本〕
青番羅(シンハンロ)花番羅(クハハンロ)三法紗(サハヽシヤ)顕紋紗(ケンモンシヤ)并ニ黄(ワウ)草布一二端(タン)上品ノ紬(ツムキ)等知事方ニハ者素紗(スシヤ)ノ梅花(モイクワ)并ニ襖(フスマ)単衫(タンザン)ノ絹花〓(リン)(糸+彦)木綿(モメン)等各一ツ配(アテ)〔山田俊雄藏本〕
青番羅(セイハンロ)三法紗(シヤ)結紋紗花番羅并ニ黄草布一二端(タン)上品ノ細布(ホソヌノ)等知事方者(ハ)素紗(スシヤ)梅(モイ)花并ニ襖単衫(アウタンサン)之絹花綾(クワレウノ)木綿(モメン)等各一ツ配(ツヽ)〔経覺筆本〕
青番羅(シンバンロ)三法紗(サンハヽシヤ)顯紋紗(ケンモンシヤ)花番羅(クワハンロ)并ニ黄草布(ワウサウフ)二三端(タン)上品ノ紬古{〓(糸+貰)サイミ}等知事方ニハ者素紗(スシヤ)梅花(モイクワ)并ニ襖単衫(ワウタンサン)之絹(キヌ)花〓(クワリン)(糸+彦)木綿(モメン)等一ツ配(アテ)〔文明四年本〕 ※紗花(シヤクワ)。番羅(ハンロ)。端(ダン)。素紗(スシヤ)。襖單(ワウタン)。
と見え、至徳三年本・建部傳内本は「細美」、宝徳三年本は「紬古[細布等]」、山田俊雄藏本は「紬(つむぎ)」、経覺筆本は「細布(ほそぬの)」、文明四年本は「紬古{〓(糸+貰)サイミ}」とそれぞれ異なる語で記載し、表記のばらつきが目立つ語となっている。訓みはそれぞれ括弧内に示した如くである。
細美(サイミ) 。〔絹布門97四〕
細微(サイミ/せイヒ・ホソシ、イヤシ・スコシ)[去・平] 布名也。或微作レ美。又貲布。〔絹布門780六〕
細微(サイミ) 布名。或云貲布。〔弘・財宝門212二〕
細微(サイミ) 布也。又云レ細美。又曰レ貲布(シフ)ト。〔永・財宝門177一〕
細微(サイミ) 布也。又―美。又曰二貲布(シノフ)ト一。〔尭・財物門165七〕
細美(サイミ) 。貲布(同) 。〔食服門178一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「細布」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
658上品ノ細布(ホソ−)等 上品ハ在濃州ニ。処ノ名也。〔謙堂文庫蔵五七右F〕
とあって、標記語「細布」の語を収載し、語注記は未記載にする。
細美(サイミ)等知事(チジ)方(ガタ)者(ハ) 細美(サイミ)ハホソ布ナリ。〔下34オ六・七〕
上品(じやうぼん)の細美(さいミ)等/上品ノ細美等 細美ハ今のちゝみなとの類なり。方丈西堂ハ貴き僧ゆへこれらの品を送れと也。〔87ウ一・二〕
とあって、この標記語「細美」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
上品(じやうぼん)の細美(さいミ)等/上品ノ細美等▲細布ハ太布(たふ)ふとぬの也。〔64オ一、64オ七〕
上品(じやうぼん)ノ細美(さいミ)等(とう)▲細美ハ太布(たふ)ふとぬの也。〔115オ二、115ウ三〕
‡Fosonuno.ホソヌノ(細布) ある国から産する麻布.〔邦訳265l〕
Saimi.サイミ(細布・貲布) 帷子(Catabiras)を作るのに用いる,ある種の生(き)の麻布.〔邦訳550r〕
ほそ-ぬの〔名〕【細布】幅のせまき布。けふ(狹布)の條を見よ。ケフのほそぬの。基俊集「川上にさらす細布、けふだにも、胸あふばかり、契りせよ君」謡曲、錦木「また細布は機ばりせばくて、さながら身をもかくさねば」〔0456-5〕
さい-み〔名〕【貲布】(一)麻布の名、「さよみのぬの」→江家次第、五「細美布(サイミヌノ)廿三段」下學集、下(文安)絹布門「細美(サイミ)、太布(タフ)」を見よ。(二)太布(ふとぬの)を、さいみと云ふ。(太布の條を見よ)〔0763-3〕
黄草布(ワウサウフ)一二端(タン)上品ノ トハ。サイミ布(ヌ)ノ。ウスクアラキ布(ヌノ)ナリ。〔下34オ五・六〕
上品(じやうぼん)の細美(さいミ)等/上品ノ細美等 細美ハ今のちゝみなとの類なり。方丈西堂ハ貴き僧ゆへこれらの品を送れと也。〔87ウ一・二〕
とあって、この標記語「上品」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
上品(じやうぼん)の細美(さいミ)等/上品ノ細美等▲上品ハ四月の返状に見ゆ。〔64オ一、64オ七〕
上品(じやうぼん)ノ細美(さいミ)等(とう)▲上品ハ四月の返状に見ゆ。〔115オ二、115ウ三・四〕
Io<bon.ジャウボン(上品) Vyeno xina.(上の品)物のすぐれた種類,または最上級.〔邦訳367r〕
じャう-ぼん〔名〕【上品】〔中品、下品に對す〕くほんじゃうど(九品淨土)の條を見よ。古今著聞集、二、釋教「上品極樂は、我が本國也、定めて、終に徃生すべし」「上品蓮臺」〔0972-2〕
一端(ダン) 布。〔元亀二年本18八〕
一端 布。〔静嘉堂本13八〕
一端(タン) 布。〔天正十七年本上8オ七〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔至徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布二三端上品紬古([細布等])知事方素紗梅花并襖單衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔宝徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔建部傳内本〕
青番羅(シンハンロ)花番羅(クハハンロ)三法紗(サハヽシヤ)顕紋紗(ケンモンシヤ)并ニ黄(ワウ)草布一二端(タン)上品ノ紬(ツムキ)等知事方ニハ者素紗(スシヤ)ノ梅花(モイクワ)并ニ襖(フスマ)単衫(タンザン)ノ絹花〓(リン)(糸+彦)木綿(モメン)等各一ツ配(アテ)〔山田俊雄藏本〕
青番羅(セイハンロ)三法紗(シヤ)結紋紗花番羅并ニ黄草布一二端(タン)上品ノ細布(ホソヌノ)等知事方者(ハ)素紗(スシヤ)梅(モイ)花并ニ襖単衫(アウタンサン)之絹花綾(クワレウノ)木綿(モメン)等各一ツ配(ツヽ)〔経覺筆本〕
青番羅(シンバンロ)三法紗(サンハヽシヤ)顯紋紗(ケンモンシヤ)花番羅(クワハンロ)并ニ黄草布(ワウサウフ)二三端(タン)上品ノ紬古{〓(糸+貰)サイミ}等知事方ニハ者素紗(スシヤ)梅花(モイクワ)并ニ襖単衫(ワウタンサン)之絹(キヌ)花〓(クワリン)(糸+彦)木綿(モメン)等一ツ配(アテ)〔文明四年本〕 ※紗花(シヤクワ)。番羅(ハンロ)。端(ダン)。素紗(スシヤ)。襖單(ワウタン)。
と見え、至徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本は、「一二端」とし、宝徳三年本・文明四年本が「二三端」として収載する。訓みは、山田俊雄藏本に「(イチニ)タン」、文明四年本に「(ニサン)タン」と記載する。このように、古写本において「一二端」と「二三端」といった二つの数詞標記の系統が存在していることになる。がしかし、下記注釈書類はいずれも「一二端」と標記している。
端 タン/布剴剿。〔黒川本・員數門中6オ四〕
端 タン 又用段字錦布等員也。或文云 調布四丈二尺為―。庸布二丈八尺為― 商布二丈五尺為―。〔卷第四・員數門414三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「端」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
657并ニ黄草布(キハタ/ワウサフフ)一二端 進冬ノ註ニ本草ニ曰、進冬ハ冬モ花開。春モ開。則未∨知∨名。只付∨色ニ。曰‖黄草ト|。故ニ進冬(ヤマフキ)色ノ布也。〔謙堂文庫蔵五七右E〕
とあって、標記語「一二端」の語を収載し、語注記は、「紫色は、高位を定むる亊、黄帝より始まる。委しくは、『釋氏(要覽)』に在り」と記載する。
黄草布(ワウサウフ)一二端(タン)上品ノ トハ。サイミ布(ヌ)ノ。ウスクアラキ布(ヌノ)ナリ。〔下34オ五・六〕
并(ならび)に黄草布(わうさふ)一二端(いちにたん)/并ニ黄草布一二端 黄草布を又黄雑布(わうさふふ)とも書さいミ布の事なり。一端ハ並の人壱人前の着丈(きたけ)也。又一反(いちたん)とも書。 人皇四十三代 元明天皇の和銅(わとう)七年より二丈六尺を一端と定め玉へり。〔87オ六〜87ウ一〕
とあって、この標記語「一二端」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
并(ならび)に黄草布(わうさふ)一二端(いちにたん)/并ニ黄草布一二端▲一端ハ二丈六尺をいふ。〔64オ一、64オ七〕
并(ならびに)黄草布(わうさふ)一二端(いちにたん)▲一端ハ一端ハ二丈六尺をいふ。〔115オ一、115ウ三〕
†Ittan.イッタン(一端) 木綿,麻布,絹布,その他これに類する多くの物を数える言い方.※原文はcangas.〔Momenの注〕.〔邦訳347l〕
たん〔名〕【端・反】〔布帛には端なり、田數の段を借字して、段より反と誤る〕(一)布帛に云ふ一定の長(たけ)の稱。即ち、鯨尺二丈六尺(今、或は二丈八尺乃至三丈二尺)幅九寸なり。これを尋常、一人の衣服を作る料とす。(寛文五年に、二丈六尺と定めらる)これを倍にせるを匹(ひき)とす。禮記、曾子問篇の疏に、束帛を十端とし、杜預が二端を一兩と爲す、いはゆる匹なりと云へり。湘山野録(宋、僧文瑩)「束間則卷二其帛一爲二二端一、五匹逐見二十端一」字類抄「端、タン、五丈」同、「端、又、用二段字一、謂二布四丈二尺一爲レ段、庸布二丈八尺爲レ段、商布二丈五尺爲レ段」續日本紀、六、和銅七年二月、制「以二商布二丈六尺一爲レ段」玉勝、八「台記に布三反、布二反などあり、その頃も、端を反と書きしなり」(台記は近衞天皇の康治元年より久壽二年迄の記)嬉遊笑覽、二、上「寛文四年七月十二日、絹紬の事、大工曲尺にて、長さ三丈四尺、巾一尺四寸、木綿の事、同、長さ三丈四尺、巾一尺三寸と制定せらる」(二)帆の幅を數ふるに云ふ語。筵一枚の幅、三尺を云ふ。甚句「三十五端の帆をははりあげて、行くよ仙臺石巻」〔1241-5〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔至徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布二三端上品紬古([細布等])知事方素紗梅花并襖單衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔宝徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔建部傳内本〕
青番羅(シンハンロ)花番羅(クハハンロ)三法紗(サハヽシヤ)顕紋紗(ケンモンシヤ)并ニ黄(ワウ)草布一二端(タン)上品ノ紬(ツムキ)等知事方ニハ者素紗(スシヤ)ノ梅花(モイクワ)并ニ襖(フスマ)単衫(タンザン)ノ絹花〓(リン)(糸+彦)木綿(モメン)等各一ツ配(アテ)〔山田俊雄藏本〕
青番羅(セイハンロ)三法紗(シヤ)結紋紗花番羅并ニ黄草布一二端(タン)上品ノ細布(ホソヌノ)等知事方者(ハ)素紗(スシヤ)梅(モイ)花并ニ襖単衫(アウタンサン)之絹花綾(クワレウノ)木綿(モメン)等各一ツ配(ツヽ)〔経覺筆本〕
青番羅(シンバンロ)三法紗(サンハヽシヤ)顯紋紗(ケンモンシヤ)花番羅(クワハンロ)并ニ黄草布(ワウサウフ)二三端(タン)上品ノ紬古{〓(糸+貰)サイミ}等知事方ニハ者素紗(スシヤ)梅花(モイクワ)并ニ襖単衫(ワウタンサン)之絹(キヌ)花〓(クワリン)(糸+彦)木綿(モメン)等一ツ配(アテ)〔文明四年本〕 ※紗花(シヤクワ)。番羅(ハンロ)。端(ダン)。素紗(スシヤ)。襖單(ワウタン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「黄草布」と記載し、訓みは、山田俊雄藏本に「ワウ(サウフ)」、文明四年本に「ワウサウフ」と記載する。
黄草布(ワウサウフ/キ、クサ、ヌノ)[平・上・去] 進冬色(ヤマフキイロ)ノ布也。〔絹布門237二〕
黄雜布(ワウザフフ) 。〔食服門66五〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』に標記語「黄草布」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。そして、広本『節用集』の語注記は、真字本の末尾句に共通している。このことから、その両書の継承性が見て取れよう。また、易林本『節用集』は、別体表記「黄雜布」を以て収載している点に留意したい。
657并ニ黄草布(キハタ/ワウサフフ)一二端 進冬ノ註ニ本草ニ曰、進冬ハ冬モ花開。春モ開。則未∨知∨名。只付∨色ニ。曰‖黄草ト|。故ニ進冬(ヤマフキ)色ノ布也。〔謙堂文庫蔵五七右E〕
とあって、標記語「黄草布」の語を収載し、語注記は、「進冬の註に『本草』に曰く、進冬は冬も花開く。春も開く。則ち未だ名を知らず。只色に付き黄草と曰ふ。故に進冬(ヤマフキ)色の布なり」と記載する。
黄草布(ワウサウフ)一二端(タン)上品ノ トハ。サイミ布(ヌ)ノ。ウスクアラキ布(ヌノ)ナリ。〔下34オ五・六〕
并(ならび)に黄草布(わうさふ)一二端(いちにたん)/并ニ黄草布一二端 黄草布を又黄雑布(わうさふふ)とも書さいミ布の事なり。一端ハ並の人壱人前の着丈(きたけ)也。又一反(いちたん)とも書。 人皇四十三代 元明天皇の和銅(わとう)七年より二丈六尺を一端と定め玉へり。〔87オ六〜87ウ一〕
とあって、この標記語「黄草布」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
并(ならび)に黄草布(わうさふ)一二端(いちにたん)/并ニ黄草布一二端▲黄草布ハ山吹(やまぶき)色の布(ぬの)也。〔64オ一、64オ七〕
并(ならびに)黄草布(わうさふ)一二端(いちにたん)▲黄草布ハ山吹(やまぶき)色の布(ぬの)也。〔115オ一、115ウ三〕
花番羅(クハバンロ)并ニ ハ赤(アカ)キ羅也。〔下34オ五〕
花番羅(くハばんろ)/花番羅 色赤き羅なり。〔87オ六・七〕
とあって、この標記語「結紋紗」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
花番羅(くハばんろ)/花番羅▲花番羅ハ薄紅(うすくれない)色にて浮紋(うきもん)あるうすもの也。〔64オ一、64オ六〕
花番羅(くわばんろ)▲花番羅ハ薄紅(うすくれなゐ)色にて浮紋(うきもん)あるうすもの也。〔115オ一、115ウ二〕
顕紋紗(ケンモンシヤ) 有リ二浮紋一。〔元亀二年本219五〕
顕紋紗(ケンモンシヤ) 有二浮紋一。〔静嘉堂本250三〕
×〔天正十七年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔至徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布二三端上品紬古([細布等])知事方素紗梅花并襖單衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔宝徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔建部傳内本〕
青番羅(シンハンロ)花番羅(クハハンロ)三法紗(サハヽシヤ)顕紋紗(ケンモンシヤ)并ニ黄(ワウ)草布一二端(タン)上品ノ紬(ツムキ)等知事方ニハ者素紗(スシヤ)ノ梅花(モイクワ)并ニ襖(フスマ)単衫(タンザン)ノ絹花〓(リン)(糸+彦)木綿(モメン)等各一ツ配(アテ)〔山田俊雄藏本〕
青番羅(セイハンロ)三法紗(シヤ)結紋紗花番羅并ニ黄草布一二端(タン)上品ノ細布(ホソヌノ)等知事方者(ハ)素紗(スシヤ)梅(モイ)花并ニ襖単衫(アウタンサン)之絹花綾(クワレウノ)木綿(モメン)等各一ツ配(ツヽ)〔経覺筆本〕
青番羅(シンバンロ)三法紗(サンハヽシヤ)顯紋紗(ケンモンシヤ)花番羅(クワハンロ)并ニ黄草布(ワウサウフ)二三端(タン)上品ノ紬古{〓(糸+貰)サイミ}等知事方ニハ者素紗(スシヤ)梅花(モイクワ)并ニ襖単衫(ワウタンサン)之絹(キヌ)花〓(クワリン)(糸+彦)木綿(モメン)等一ツ配(アテ)〔文明四年本〕 ※紗花(シヤクワ)。番羅(ハンロ)。端(ダン)。素紗(スシヤ)。襖單(ワウタン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・経覺筆本は、「結紋紗」と記載し、山田俊雄藏本・文明四年本が「顕紋紗」と記載する。訓みは後者の二本に「ケンモンシヤ」と記載されている。
顕紋紗(ケンモンシヤ) 。〔食服門145二〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』及び易林本『節用集』に、標記語「顕紋紗」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。そして、『運歩色葉集』の注記内容は、真字註に近く、その継承生を知るのである。
655顕紋紗(−モンシヤ) 浮紋ノ紗也云々。〔謙堂文庫蔵五七右E〕
とあって、標記語「顕紋紗」の語を収載し、語注記は、「浮紋の紗なり云々」と記載する。
三法紗(サンバフシヤ)結紋紗(ケツモンシヤ) 何モ形(カタ)アルレヤ。〔下34オ五〕
三法紗(さんほうしや)結紋紗(けつもんしや)/三法紗結紋紗 皆文(もん)からあるしや也。〔87オ六〕
とあって、この標記語「結紋紗」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
三烹紗(さんぼふしや)顕紋紗(けんもんしや)/三法紗。顕紋紗▲顕紋紗ハ浮紋(うきもん)の紗也。〔63ウ八、64オ六〕
三法紗(さんぼふしや)顕紋紗(けんもんしや)▲顕紋紗ハ浮紋(うきもん)の紗也。〔114ウ六、115ウ二〕
三法紗(ホウシヤ) 有龜陰松之三紋也。〔元亀二年本277九〕
三法紗 有亀陰松之三紋也。〔静嘉堂本317四〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔至徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布二三端上品紬古([細布等])知事方素紗梅花并襖單衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔宝徳三年本〕
青番羅三法紗結紋紗花番羅并黄草布一二端上品細美等知事方者素紗梅花并襖単衫之絹花〓(糸+彦)木綿等各一配〔建部傳内本〕
青番羅(シンハンロ)花番羅(クハハンロ)三法紗(サハヽシヤ)顕紋紗(ケンモンシヤ)并ニ黄(ワウ)草布一二端(タン)上品ノ紬(ツムキ)等知事方ニハ者素紗(スシヤ)ノ梅花(モイクワ)并ニ襖(フスマ)単衫(タンザン)ノ絹花〓(リン)(糸+彦)木綿(モメン)等各一ツ配(アテ)〔山田俊雄藏本〕
青番羅(セイハンロ)三法紗(シヤ)結紋紗花番羅并ニ黄草布一二端(タン)上品ノ細布(ホソヌノ)等知事方者(ハ)素紗(スシヤ)梅(モイ)花并ニ襖単衫(アウタンサン)之絹花綾(クワレウノ)木綿(モメン)等各一ツ配(ツヽ)〔経覺筆本〕
青番羅(シンバンロ)三法紗(サンハヽシヤ)顯紋紗(ケンモンシヤ)花番羅(クワハンロ)并ニ黄草布(ワウサウフ)二三端(タン)上品ノ紬古{〓(糸+貰)サイミ}等知事方ニハ者素紗(スシヤ)梅花(モイクワ)并ニ襖単衫(ワウタンサン)之絹(キヌ)花〓(クワリン)(糸+彦)木綿(モメン)等一ツ配(アテ)〔文明四年本〕 ※紗花(シヤクワ)。番羅(ハンロ)。端(ダン)。素紗(スシヤ)。襖單(ワウタン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「三法紗」と記載し、訓みは、経覺筆本に「(サハウ)シヤ」、山田俊雄藏本に「サハヽシヤ」、文明四年本に「サンハヽシヤ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』に標記語「三法紗」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。そして、語注記は、真字本の注記内容に類似するものとなっていることから、両書における継承性を此語をもって見ることができる。
654三法紗(サバヾ) 地ハ紗ニシテ上ニ亀鶴松之三アリ。〔謙堂文庫蔵五七右D〕
とあって、標記語「三法紗」の語を収載し、語注記は、「地は、紗にして上に亀・鶴・松の三つあり」と記載する。
三法紗(サンバフシヤ)結紋紗(ケツモンシヤ) 何モ形(カタ)アルレヤ。〔下34オ五〕
三法紗(さんほうしや)/三法紗結紋紗 皆文(もん)からあるしや也。〔87オ六〕
とあって、この標記語「三法紗」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
三烹紗(さんぼふしや)顕紋紗(けんもんしや)/三法紗。顕紋紗▲三法紗ハ地紋(ぢもん)の上にI(つる)龜(かめ)松(まつ)三ツの紋(もん)ある紗(しや)也と古抄にいへり。〔63ウ八、64オ六〕
三法紗(さんぼふしや)顕紋紗(けんもんしや)▲三法紗ハ地紋(ぢもん)の上にI(つる)龜(かめ)松(まつ)三ツの紋(もん)ある紗(しや)也と古抄にいへり。〔114ウ六、115ウ一・二〕
青番羅(シンバンロ) トハ。青(アヲ)キ羅(ロ)也。〔下34オ四・五〕
青番羅(しんばんろ)/青番羅 色青き羅なり。〔87オ五・六〕
とあって、この標記語「青番羅」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
青番羅(しんばんろ)/青番羅▲青番羅ハ青色(あをいろ)有紋(うもん)のうすもの也。〔63ウ八、64オ六〕
青番羅(しんばんろ)▲青番羅ハ青色(あをいろ)有紋(うもん)のうすもの也。〔114ウ六、115ウ一〕
せい-ばんろ〔名〕【青番羅】青色にして、紋ある羅(うすもの)。庭訓往來、十月「素羅、青番羅」運歩色葉集「青番羅、青地之上、同色之紋在レ之」〔1087-5〕
方丈西堂者綾紫小袖一重宛素羅〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
長老西堂ニ者(ハ)綾紫ノ小袖一重充(アテ)素羅(スロ)〔山田俊雄藏本〕
方丈ノ西堂者(ハ)綾(アヤ)紫ノ小袖一重充(ツヽ)素羅(スロ)〔経覺筆本〕
方丈(ホウシヤウ)西堂(せイタウ)者綾紫(アヤムラサキノ)小袖一重(カサネ)宛(アテノ)素羅(スロ)〔文明四年本〕 ※方丈(ホウシヤウ)。西堂(せイタウ)。宛(アテノ)。素羅(スロ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・文明四年本が「素羅」と記載し、経覺筆本は、「愚意」と記載する。
素羅(スロ/ソ・シロシ、ラ・ウスモノ)[去・平] 無紋(ムモン)而(ニシテ)白地(シロチナリ)。自(ヨリ)レ側(ソハ)見(ミレハ)有(アル)レ紋也。〔絹布門1124七〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』に標記語「素羅」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。そして、語注記は、広本『節用集』と前半部が共通していることで、その継承性が指摘できるのである。
652一重充(ツヽ)素羅(スロ) 无∨紋而白地也。〔謙堂文庫蔵五七右C〕
とあって、標記語「素羅」の語を収載し、語注記は、「紋なくして白地なり」と記載する。
方丈(ホウヂヤウ)西堂(せイタウ)者(ハ)綾(アヤ)紫(ムラサキ)小袖(コソデ)一重(ヒトカサネ)充(アテ)素羅(ソロ)。 方丈トハ。衆僧ノ頭(カシラ)也。此等ノ人ニハ。位ノ有ハ綾(アヤ)紫(ムラサキ)ヲ著(チヤク)ス也。素羅(ソロ)青番(シンバン)羅花(ロクハ)番羅(バンロ)三法(サバ)紗顕(シヤケン)紋紗(モンシヤ)ナンドヲメスナリ。〔下34オ三・四〕
素羅(そろ)/素羅 色白き羅なり。〔87オ五〕
とあって、この標記語「素羅」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
方丈(はうぢやう)西堂(さいだう)者(ハ)綾紫(あやむらさき)の小袖(こそで)一重(ひとかさね)宛(あて)素羅(そろ)/方丈西堂者綾紫小袖一重宛素羅▲素羅ハ白地(しろぢ)無紋(むもん)のうすもの也。〔63ウ八、64オ五・六〕
方丈(ほうじやう)西堂(さいだう)者(ハ)綾紫(あやむらさきの)小袖(こそで)一重(ひとかさね)宛(あて)素羅(そろ)▲素羅ハ白地(しろぢ)無紋(むもん)のうすもの也。〔114ウ六、115ウ一〕
Suro.スロ(素羅) 紋織りにした白絹で作った単(ひとえ)の着物の一種.〔邦訳591l〕
一重(エ) 。〔元亀二年本345九〕〔静嘉堂本415八〕
方丈西堂者綾紫小袖一重宛素羅〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
長老西堂ニ者(ハ)綾紫ノ小袖一重充(アテ)素羅(スロ)〔山田俊雄藏本〕
方丈ノ西堂者(ハ)綾(アヤ)紫ノ小袖一重充(ツヽ)素羅(スロ)〔経覺筆本〕
方丈(ホウシヤウ)西堂(せイタウ)者綾紫(アヤムラサキノ)小袖一重(カサネ)宛(アテノ)素羅(スロ)〔文明四年本〕 ※方丈(ホウシヤウ)。西堂(せイタウ)。宛(アテノ)。素羅(スロ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・文明四年本が「一重」と記載し、経覺筆本は、「愚意」と記載する。
一重(ヒトカサネ/イチチヨウ・シケシ)[入・去] 小袖――。〔數量門1037二〕
一重(ヂウ) 。〔伊部・言語門6七〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』に標記語「一重(ヒトカサネ)」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
652一重充(ツヽ)素羅(スロ) 无∨紋而白地也。〔謙堂文庫蔵五七右C〕
とあって、標記語「一重」の語を収載し、語注記は未記載にする。
方丈(ホウヂヤウ)西堂(せイタウ)者(ハ)綾(アヤ)紫(ムラサキ)小袖(コソデ)一重(ヒトカサネ)充(アテ)素羅(ソロ)。 方丈トハ。衆僧ノ頭(カシラ)也。此等ノ人ニハ。位ノ有ハ綾(アヤ)紫(ムラサキ)ヲ著(チヤク)ス也。素羅(ソロ)青番(シンバン)羅花(ロクハ)番羅(バンロ)三法(サバ)紗顕(シヤケン)紋紗(モンシヤ)ナンドヲメスナリ。〔下34オ三・四〕
綾紫(あやむらさき)の小袖(こそで)一重(ひとかさね)宛(あて)/綾紫ノ小袖一重宛 上着(うハき)下着(したき)侍りたるを一重と云。〔87オ四〕
とあって、この標記語「一重」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
方丈(はうぢやう)西堂(さいだう)者(ハ)綾紫(あやむらさき)の小袖(こそで)一重(ひとかさね)宛(あて)素羅(そろ)。/方丈西堂者綾紫小袖一重宛素羅。〔63ウ八〕
方丈(ほうじやう)西堂(さいだう)者(ハ)綾紫(あやむらさきの)小袖(こそで)一重(ひとかさね)宛(あて)素羅(そろ)。〔114ウ五〕
†Fitocasane.ヒトカサネ(一重ね) 小袖(Cosondes)であれ,帷子(Catabiras)であれ,ともかく着物を対(つい)で数える場合,物を書きつけたり,物を載せたり,物を包んだりするための紙の枚数を対で数える場合の言い方.〔邦訳246r〕
方丈西堂者綾紫小袖一重宛素羅〔至徳三年本〕〔宝徳三年本〕〔建部傳内本〕
長老西堂ニ者(ハ)綾紫ノ小袖一重充(アテ)素羅(スロ)〔山田俊雄藏本〕
方丈ノ西堂者(ハ)綾(アヤ)紫ノ小袖一重充(ツヽ)素羅(スロ)〔経覺筆本〕
方丈(ホウシヤウ)西堂(せイタウ)者綾紫(アヤムラサキノ)小袖一重(カサネ)宛(アテノ)素羅(スロ)〔文明四年本〕 ※方丈(ホウシヤウ)。西堂(せイタウ)。宛(アテノ)。素羅(スロ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「綾紫」と記載し、訓みは、経覺筆本に「あや(むらさき)」文明四年本に「あやむらさき」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「綾紫」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
651西堂者ハ綾(アヤ)紫ノ小袖 紫色高位ヲ定亊自‖黄帝|始ル。委在‖釈氏|。〔謙堂文庫蔵五七右C〕
とあって、標記語「綾紫」の語を収載し、語注記は、「紫色は、高位を定むる亊、黄帝より始まる。委しくは、『釋氏(要覽)』に在り」と記載する。
方丈(ホウヂヤウ)西堂(せイタウ)者(ハ)綾(アヤ)紫(ムラサキ)小袖(コソデ)一重(ヒトカサネ)充(アテ)素羅(ソロ)。 方丈トハ。衆僧ノ頭(カシラ)也。此等ノ人ニハ。位ノ有ハ綾(アヤ)紫(ムラサキ)ヲ著(チヤク)ス也。素羅(ソロ)青番(シンバン)羅花(ロクハ)番羅(バンロ)三法(サバ)紗顕(シヤケン)紋紗(モンシヤ)ナンドヲメスナリ。〔下34オ三・四〕
綾紫(あやむらさき)の小袖(こそで)一重(ひとかさね)宛(あて)/綾紫ノ小袖一重宛 上着(うハき)下着(したき)侍りたるを一重と云。〔87オ四・五〕
とあって、この標記語「綾紫」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
方丈(はうぢやう)西堂(さいだう)者(ハ)綾紫(あやむらさき)の小袖(こそで)一重(ひとかさね)宛(あて)素羅(そろ)。/方丈西堂者綾紫小袖一重宛素羅。▲紫ハ禁色(きんしよく)といふ高位(かうゐ)の服(ふく)也。〔63ウ七・八、64オ五〕
方丈(ほうじやう)西堂(さいだう)者(ハ)綾紫(あやむらさきの)小袖(こそで)一重(ひとかさね)宛(あて)素羅(そろ)。▲紫ハ禁色(きんしよく)といふ高位(かうゐ)の服(ふく)也。〔114ウ五、115ウ一〕
むら-さき〔名〕【紫】(二){七色の一。紫草の根皮にて染む。赤と青との關F。紫。(支那にて、古く紫(シ)と云へるは、赤色の濃きもの。今云ふ眞紅(シンク)なり。論語、陽貨篇に「惡二紫之奪レ一朱」と見えたり。天武天皇の御宇、遣唐使たる粟田眞人は、正四位下にして深緋袍なりしを、唐書に、紫袍を着たりと記せり。達磨の圖に其被りたる衣の赤色なるは、梁の武帝の贈れる紫衣なり。これにて、古への紫は、赤きを云ふ證とすべし。後には、Kみ深きを、古代紫と呼ぶ)萬葉集、七33「紫の、絲をぞ吾がよる、あしびきの、山橘を、ぬかむと思ひて」拾遺集、七、物名「紫の、色には咲くな、武蔵野の、草のゆかりと、人もこそ知れ」〔1975-5〕
方丈(ホウヂヤウ)西堂(せイタウ)者(ハ)綾(アヤ)紫(ムラサキ)小袖(コソデ)一重(ヒトカサネ)充(アテ)素羅(ソロ)。 方丈トハ。衆僧ノ頭(カシラ)也。此等ノ人ニハ。位ノ有ハ綾(アヤ)紫(ムラサキ)ヲ著(チヤク)ス也。素羅(ソロ)青番(シンバン)羅花(ロクハ)番羅(バンロ)三法(サバ)紗顕(シヤケン)紋紗(モンシヤ)ナンドヲメスナリ。〔下34オ三・四〕
抑(そも/\)調菜人(てうさいにん)等の事(とう こと)然(しかる)可(べ)き仁(じん)無(なく)候ふ之際(あいた)粗(ほゞ)愚才(ぐさい)に任(まか)せ注進(ちうしん)せ令(し)め候/方丈西堂者。方丈ハ元三山(もとさん/\)の一(いつ)なり。三山とハ蓬莱(ほうらい)方丈(ほうしやう)瀛州(ゑいしう)の三ツを云。皆仙人(せんにん)の居る所なり。この山の名を仮(かり)用(もち)ひた住持(ちうじ)の居る所を方丈と云。又其居る所の名を称(せう)してそれを呼ふの号(な)とせし也。〔86ウ五〕
とあって、この標記語「方丈」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
方丈(はうぢやう)西堂(さいだう)者(ハ)綾紫(あやむらさき)の小袖(こそで)一重(ひとかさね)宛(あて)素羅(そろ)。/方丈西堂者綾紫小袖一重宛素羅。▲方丈ハ西域(せいいき)維摩居士(ゆいまこし)の石室(せきしつ)方(はう)一丈ありしより起(おこり)てすべての住持(ぢうじ)の僧(そう)居(ゐ)る所の室(いま)の名(な)とす。又自(ミづから)轉(てん)じて住持(ぢうぢ)長老(ちやうらう)の稱(しよう)に用ゆ。〔63ウ七、64オ四・五〕
方丈(ほうじやう)西堂(さいだう)者(ハ)綾紫(あやむらさきの)小袖(こそで)一重(ひとかさね)宛(あて)素羅(そろ)。▲方丈ハ西域(せいいき)維摩居士(ゆゐまこじ)の石室(せきしつ)方(はう)一丈ありしより起(おこり)てすべての住持(ぢうじ)の僧(そう)居(ゐ)る所の室(いま)の名(な)とす。又自(ミづから)轉(てん)じて住持(ぢうぢ)長老(ちやうらう)の稱(しよう)に用ふ。〔114ウ五、115オ五〕
IIen.ホウヂャウ(方丈) .〔邦訳r〕
はう-ぢゃう〔名〕【方丈】〔縱横共に一丈なる意。釋氏要覽、上「唐、王玄策、徃二西域一、云云、維摩居士宅、云云、躬以二手板一、縱横量レ之、得二十笏一、故號二方丈一」(笏、尺也)〕(一)一丈四方なること。孟子、盡心、下篇「食前方丈、侍妾數百人」方丈記「其家ノ有樣、世ノ常ニモ似ズ、廣サハ僅ニ方丈、高サハ七尺ガ内ナリ」(二)轉じて、寺の長老の居る所の稱。寺院の正寢。傳燈録、羅門規式「長老既爲二化主一、即處二于方丈一、同二淨名之室一、非二私寢之室一也」謡曲、東北「あの方丈は和泉式部の御休所にて候ふか」好色五人女(貞享、西)四「方丈に行きて見れども、彼の兒人の寢姿見えねば」(三)又、轉じて、其所に住む人の稱。住持。住職。白居易詩「方丈若能來問レ疾」〔1560-3〕
御札之旨大齊之躰心事難申盡候抑調菜人等事無可然之仁候間粗任愚才令注進候御布施物之事被物録物等可被略之歟〔至徳三年本〕
御札之旨大齋之躰心事難申盡候抑調菜人等事無可然之仁候際粗任愚才令注進候御布施物事被物禄物等可被略候歟〔宝徳三年本〕
御札之旨大齊之躰心事難申盡候抑調菜人等事無可然仁候之間粗任愚才令註進候御布施物事被物禄物等可被略之歟。〔建部傳内本〕
御札(ギヨサツ)之(ノ)旨承候畢大齊ノ事心事難‖申盡|候抑調菜人等ノ無‖可∨然仁|候之間粗(ホヽ)任テ‖愚才ニ|令‖注進|候。御布施物ノ事被物(フツ)禄物等可∨被∨略∨之ヲ歟。〔山田俊雄藏本〕
御札之旨大齋之躰心事難‖申尽|候。抑(ソモ/\)調菜人等ノ事无ク‖可∨然仁|候ノ間粗(ホヽ)任‖愚意ニ|令≡註進候。御布施物之事被(ヒ)物禄物等可∨被∨略∨之候歟。〔経覺筆本〕
御札(ケサツ)之旨大齊(タイサイ)之(ノ)躰心事難c申盡|。抑調菜人ノ等事無可∨然仁|候間粗(ホヽ)任‖愚才ニ|令注進候。御布施物ノ事被(ヒ)物(フツ)禄物等可(ヘキ)∨被∨略(リヤク)∨之ヲ候歟(カ)。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・文明四年本が「愚才」と記載し、経覺筆本は、「愚意」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「愚才」の語は未収載にあって、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
650御札之旨委細承候大齊之体心亊難‖申尽|候。抑調菜人等无‖可∨然器用ノ仁|候ノ間粗任‖愚才ニ|令註進候。御布施物之亊被(ヒ)物禄物等可∨被∨略∨之候歟。方丈(−チヤウ) 々々蓋寺院ノ正寝也。釈氏要覧ニ曰、維摩東北四里許維摩居士宅示∨疾∨之室遺北畳ミ石為∨之王策躬以手板縦横量之得‖十笏ヲ|。故ニ号‖方丈ト|。〔謙堂文庫蔵五六左H〕
とあって、標記語「愚才」の語を収載し、語注記は未記載にする。
御札(キヨサツ)之旨(ムネ)委細(イサイ)承リ候大齊(サイ)之(ノ)躰(テイ)心事難(カタク)‖申シ盡(ツクシ)|候抑(ソモ/\)調菜(テウサイ)人等ノ事無ク‖可キ∨然ル仁|候之際(アヒタ)粗(ホヽ)任テ‖愚才(グサイ)ニ|令∨注(チウ)‖進(シン)之|候。御布施物(ふせノ)之亊被物(ヒブツ)禄物(ロクモツ)等可キ∨被(ラル)∨畧(リヤクせ)∨之ヲ歟。 大齊トハ。大ニ営ム事ナリ。〔下33ウ八〜34オ一〕
抑(そも/\)調菜人(てうさいにん)等の事(とう こと)然(しかる)可(べ)き仁(じん)無(なく)候ふ之際(あいた)粗(ほゞ)愚才(ぐさい)に任(まか)せ注進(ちうしん)せ令(し)め候/抑調菜人等事。無‖可∨然仁|候之際粗任セ‖愚才ニ|令‖注進セ|候フ。〔86ウ五〕
とあって、この標記語「愚才」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御札(ぎよさつ)之(の)旨(むね)大齊(だいさい)之(の)體(てい)心事(しんじ)申(まを)し盡(つく)し難(がた)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)調菜人(てうさいにん)等の事(とう こと)然(しかる)可(べ)き仁(じん)無(な)く候(さふら)ふ之(の)際(あひだ)粗(ほゞ)愚才(ぐさいに)に任(まか)せ注進(ちうしん)せ令(し)め候(さふら)ふ。御(おん)布施(ふせ)物(もつ)の事(こと)被物(ひもつ)禄物(ろくもつ)等(とう)之(これを)を略(りやく)せら被(る)可(べ)き歟(か)/御札之旨。大齊之躰。心事難フ‖申シ尽|候。抑調菜人等ノ事。無ク‖可キ∨然ル仁|候フ之際。粗任セ‖愚才ニ|令メ注進セ候フ。御布施物ノ事。被物。禄物等。可キ∨被∨略セラ∨之ヲ歟。〔63ウ五〕
御札(ぎよさつ)之(の)旨(むね)大齊(だいさい)之(の)躰(てい)心事(しんじ)難(かたく)‖申(まうし)尽(つくし)|候(さふらふ)。抑(そも/\)調菜人(てうさいにん)等事(とうのこと)無(なく)‖可(べき)∨然(しかる)仁(じん)|候(さふらふ)之(の)際(あひだ)粗(ほゞ)任(まかせ)‖愚才(ぐさいに)|令(しめ)‖注進(ちうしんせ)|候(さふらふ)。御(おん)布施(ふせ)物(もつの)事(こと)被物(ひもつ)禄物(ろくもつ)等(とう)可(べき)∨被(る)∨略(りやくせら)∨之(これを)歟(か)。〔114ウ二〕
×〔元亀二年本、脱落語〕
禅師 。〔静嘉堂本426六〕
進上衣鉢侍者禅師〔至徳三年本〕
進上衣鉢侍者禅師〔宝徳三年本〕
進上衣鉢侍者禅師〔建部傳内本〕
進上衣鉢侍者禅師〔山田俊雄藏本〕
進上衣鉢侍者禅師御寮〔経覺筆本〕
進上衣鉢(イフ)侍者禅師御寮〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「禅師」と記載する。ここで此語の後に「御寮」なる語を付加するのは経覺筆本と文明四年本に記載がある。
禅師(ゼン・ユツル、シ/シヅカ、ヲシヱ)[去・平] 文殊云、於二一切ノ法ヲ一、可レ取二不レ取ラ一。一行思量所謂不生。如ナルヲレ是ノ名二――ト一。釋氏要覧。〔官位門1083七〕
禪師(ぜンジ) ―衲(ナフ)。―僧(ソウ)。―律(リツ)。―客(カク)。―宗(シウ)。―門(モン)。〔人倫門233七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「禅師」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
649進上衣鉢侍者禅師 方廣語ニ云禅師ハ拠‖其枢要ニ|直ニ了‖心源ヲ|頓ニ奉ル∨見‖如来ヲ|云也。〔謙堂文庫蔵五六左G〕
とあって、標記語「禅師」の語を収載し、語注記は「『方廣語』に云く、禅師は、其の枢要に拠りて、直に心源を了ぬ。頓に如来を見奉るを云ふなり」と記載する。
進上衣鉢侍者禅師。〔下33ウ六〕
進上 衣鉢(えはつ)の侍者(じじや)禪師(ぜんじ)御寮(ごりやう)/進上衣鉢侍者禅師御寮。禅師とハあかめたる詞なり。儒家(しゆか)にていはゝ何(なに)先生(せんせい)なとゝいふに同し。俗に様(さま)殿(との)なとゝいふこゝろなり。御寮ハ侍者の居る所也。御舘なとゝ申に同し。先方を直に斥(さゝ)ずしてその居る所をさすハ是亦あかめたるなり。〔86オ八〜86ウ二〕
とあって、この標記語「禅師」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
進上(しんじやう)衣鉢(えふ)の侍者(ぢしや)禪師(ぜんじ)御寮(ごりやう)/進上衣鉢侍者禅師御寮▲禅師ハ先方(さきかた)を尊(たつと)びいへるのミ。〔63ウ二・三〕
進上(しんしやう) 衣鉢(えふの)侍者(じしや)禅師(ぜんじ)御寮(ごりやう)▲禅師ハ先方(さきかた)を尊(たつと)びいへるのミ。〔114オ三〕
Ienxi.ゼンシ(禅師) 禅宗僧(Ienxus)の師.〔邦訳358r〕
ぜん-じ〔名〕【禅師】〔又、ぜじ〕(一){僧の職、宮中の内道塲に奉仕するもの、十人あり、十禪師と云ふ、後に、内供奉十禪師と云ふ。(内供奉(ナイグブ)の條を見よ)。續日本記、三十三、寳龜三年四月、道鏡「入二内道塲一、列爲二禪師一」同、三十二、寳龜三年三月「當時稱爲二十禪師一、其後有レ闕、擇二清行者一補レ之」(二)禪定を修する法師の稱。善住意天子所問經「禪師者、於二一切法一、一行思量、所レ謂不生、若如レ是知、得レ言二禪師一」(三){泛く、法師の稱。續日本記、十九、天平勝寳八年四月「遣三醫師、禪師、官人、各一人、於二左右京、四畿内一」伊勢物語、八十四段「俗なる、ぜんじなる、あまた參り集りて」源氏物語、十五、蓬生05「ただ御兄(せうと)の禪師の君ばかりぞ」(四)天子より、高コの禪僧に賜はる稱號。元亨釋書、六、釋道驕u府奏乞レ諡、賜二大覺禪師一、本朝禪師之號、始二于一也」後世は妄りに、自らも稱す。〔1123-4〕
十月 應鐘。初冬。孟冬。小春。神無月諸~皆集出雲大社也。出雲ハ者~在ル月。〔元亀二年本329七〕
十月 應鐘。初冬。孟冬。小春。神無月、諸~皆集出雲ノ大社故云也。出雲者神在月。〔静嘉堂本391五〕
十月三日 沙弥〔至徳三年本〕
十月三日 沙弥〔宝徳三年本〕
十月三日 沙弥〔建部傳内本〕
十月三日 沙弥〔山田俊雄藏本〕
十月三日 沙弥〔経覺筆本〕
十月三日 沙弥〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「十月」と記載する。
十月(ジフグワツ/トヲ、ゲツ・ツキ)[入・入] 斗建亥月令注――之辰日在房{尾イ}月令注孟冬――。亊林廣記云、十月一日。宰臣已下受衣著錦襖云士庶民出城享墳禁中車馬出道院。及西京朝陵宗室車馬亦如寒食節有司進綏爐民間皆作綏爐會。異名、下元十五日也。應鐘月令孟冬候中――。良月漢十月為――。吉月漢書ハ陽明為――。應陽十月万物――。始氷月令注水――。納禾詩十月――。小春詩十月――梅蘂綻。陽月暮要孟冬日――。孟冬。初冬。玄冬。夾月。霜朝。寒雨。雪納。稼開爐一日也。重衾。旦月。玄冥。霜寒。始至。雪冷。薄寒。開冬。玄英。卜養。~無月。早月。閉塞。六陰。陰月。〔時節門911二〕
十月 應鐘。孟冬。玄冬。陽月。陰天。玄英/小春。良月。上冬。應陽。夾月。〔弘・月異名2四〕十十月奉行人 同前 同行国 備前。〔永・後鳥羽院御宇鍛冶結番次第284二〕
十(ジフ)月 孟冬(トウ)。初(ソ)冬(トウ)。玄英(ケンエイ)/小春(せウシユン)。陽月(ヤウゲツ)。應鐘(ヲウせウ)。〔數量門211三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「十月」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
648十月三日 亥日群忌隆集ニ曰、十月亥子作餅食令∨人无∨病尺素ニ云。亥ノ児舂(ツキ)餅ハ十月ノ神示。〔謙堂文庫蔵五六左F〕
とあって、標記語「十月」の語を収載し、語注記は「亥の日、『群忌隆集』に曰く、十月の亥の子、餅を作くりこれを食す、人を无病ならしむ。『尺素(徃來)』に云く。亥の児の舂(つき)餅は、十月の神示」と記載する。
十月三日 沙弥(シヤミ)。〔下33ウ六〕
十月三日 沙弥(しやミ)。/十月三日 沙弥。〔86オ七〕
とあって、この標記語「十月」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
十月(じふぐハつ)三日(ミつか) 監守(かんす)。/十月三日 監守。〔63オ一〕
十月(じふぐわつ)三日(ミつか) 監守(かんす)。〔113オ二〕
‡Iu<guat.ジフグヮツ(十月) →Conofazzuqi.〔邦訳371l〕
‡Iu<guachi.ジフグヮチ(十月) →Caminazzuqi.〔邦訳371l〕
じふ-ぐゎつ〔名〕【十月】年の、第十にあたる月。~無月(かみなづき)。小春(こはる)。陽月。應鐘。〔0922-4〕
恐惶(クワウ) 。〔元亀二年本215五〕〔天正十七年本中52オ三〕
恐惶(ケウクワウ) 。〔静嘉堂本245六〕
毎事期参拝之時候恐惶敬白〔至徳三年本〕
毎事期參拝之次候恐惶敬白〔宝徳三年本〕
毎事期参拝之次候恐惶謹言〔建部傳内本〕
毎事期シ二参拝之次ヲ一候。恐惶謹言〔山田俊雄藏本〕
毎事期シ二参拝之次ヲ一候。恐惶謹言〔経覺筆本〕
毎事期(ゴス)レ参拝レ之次ヲ一候。恐々敬白〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本が「恐惶」と記載し、文明四年本だけが江戸期の諸註釈と同じく「恐々」と記載する。次の「敬白」としている古写本は至徳三年本・宝徳三年本・文明四年本の三本で、他古写本は「謹言」とする。真字本も「敬白」としている点で上記古写本との連関性を有していることに留意しておきたい。
恐惶謹言(キヨウクワウツヽシンテマウス/ヲソレ、ヲノヽク、―、イフ)[去・○・去・平] 。〔態藝門829二〕
恐惶(ケウクハウ)謹(ツヽシンテ)言(マウス) 。〔弘・言語進退門177三〕恐惶(キヤウクワウ)謹言 。〔弘・言語進退門223七〕
恐恨(ケウコン) ―惶(クハウ)。―怖(フ)。――(ケウ/\)/―鬱(ウツ)。―悦(エツ)。〔永・言語門144五〕
恐恨(ケウコン) ―惶。―怖。/―鬱。―悦。〔尭・言語門134二〕
恐惶(キヨウクワウ)謹(ツヽシンテ)言(マフス) 。〔言辞門191六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「恐惶」の語を収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
647可∨註シ‖給フ上下品ヲ|也。諸亊御才覚之外无∨所∨憑不∨貽‖心底|被∨示∨之者尤以テ本望也。兼又先日内々所‖申入|之掛塔(クワタ)ノ之僧ノ亊无‖相違(サヲイ)|預‖御許容ニ|者畏入候。毎亊期‖参拝之時|候。恐惶敬白 監寺(カンゾ) 〔謙堂文庫蔵五六左B〕
とあって、標記語「恐惶」の語を収載し、語注記は未記載にする。
恐々謹言。〔下33ウ五〕
毎事(まいじ)参入(さんにう)の次(つゐで)を期(ご)す恐々謹言/毎事期‖参入之次ヲ|恐々謹言。〔85ウ七〕
とあって、この標記語「恐々」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
諸事(しよじ)御(ご)才覺(さいかく)之(の)外(ほか)憑(たの)む所(ところ)無(な)し心底(しんてい)を貽(のこ)さ不(ず)之(これ)を示(しめ)さ被(れ)者(バ)尤(もつとも)以(もつて)本望(ほんまう)也(なり)。兼(かね)て又(また)先日(せんじつ)申(まを)し入(いる)る所(ところ)之(の)掛塔(くハだ)の僧(そう)の事(こと)相違(さうい)無(な)く御(ご)許容(きよよう)に預(あづか)り候(さふら)は者(バ)畏(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。毎事(まいじ)参入(さんにう)之(の)次(ついで)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)/諸事御才覚之外。無シ∨所∨憑ム。不∨貽サ‖心底ヲ|被∨示サ∨之ヲ者。尤以本望也。兼テ又。先日所‖申シ入ル|之掛塔ノ之僧ノ事。無ク‖相違|預‖御許容ニ|候ハ者。畏レ入リ候フ。毎事期ス‖参入之次ヲ|恐々謹言。〔63オ四〕
諸事(しよじ)御(ご)才覚(さいかく)之(の)外(ほか)無(なし)∨所(ところ)∨憑(たのむ)不(ず)∨貽(のこさ)‖心底(しんていを)|被(れ)∨示(しめさ)∨之(これを)者(ハ)尤(もつとも)以(もつて)本望(ほんまう)也(なり)。兼(かねて)又(また)先日(せんじつ)所(ところ)‖申(まうし)入(いる)|之(の)掛塔(くハだの)僧(そうの)事(こと)無(なく)‖相違(さうゐ)|預(あづかり)‖御(ご)許容(きよように)|候(さふらハ)者(ゞ)畏(おそれ)入(いり)候(さふらふ)。毎事(まいじ)期(ごす)‖参入(さんにふ)之(の)次(ついでを)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)。〔113ウ一〕
‡Qeo>quo<.ケゥクヮゥ(恐惶) →Qio>quo<.〔邦訳488l〕
Qio>quo<.ケゥクヮゥ(恐惶) Vosore vosore.(恐れ惶れ) 書状の末尾に記して,非常に深い敬意を表わす語.〔邦訳502r〕
きょう-くヮう〔名〕【恐惶】かしこむこと。恐恐。書状の文などの末に記す敬語。呉越春秋「諸侯怖 塰皆恐惶」庭訓往來、五月「期二參拝之時一候、不具、恐惶謹言」〔0499-4〕
兼又先日所申入候掛塔僧事無相違預御許容候者畏入候〔至徳三年本〕
兼又先日所申入之掛塔僧事無相違預御許容者畏入候〔宝徳三年本〕
兼又先日所申入掛塔僧事無相違預御許容候者畏入候〔建部傳内本〕
兼又先日所ノ二申入候一掛塔(クワタウ)僧ノ事無二相違一預ラ二御許容ニ一者畏入候〔山田俊雄藏本〕
兼又先日内々所二申入一之掛塔(クワタ)之僧ノ事无二相違一預二御許容(キヨヨウ)ニ一者畏入候〔経覺筆本〕
兼(カネテハ)又(マタ)先日所レ申入一候之掛塔(クワタウ)クワタウ僧ノ事無二相(アイナク)違一預レ御許容(キヨヨウ)ニ一候者畏入候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「畏入」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「畏入」の語表記は未収載にあり、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
647可∨註シ‖給フ上下品ヲ|也。諸亊御才覚之外无∨所∨憑不∨貽‖心底|被∨示∨之者尤以テ本望也。兼又先日内々所‖申入|之掛塔(クワタ)ノ之僧ノ亊无‖相違(サヲイ)|預‖御許容ニ|者畏入候。毎亊期‖参拝之時|候。恐惶敬白 監寺(カンゾ) 〔謙堂文庫蔵五六左B〕
とあって、標記語「畏入」の語を収載し、語注記は未記載にする。
掛塔(クワタフ)僧ノ事無‖相違(サウイ)|預(アツカリ)‖御許容(ゴキヨヨウ)ニ|者可ク‖畏リ入|候。心事期シ‖参拝ノ之次ヲ|候 掛塔僧(クハタノソウ)トハ。他(タ)寺ノ僧(ソウ)衆学文ノ爲(タメ)ニ來ルトナリ。一夏(ゲ)一會(クハイ)アルヲ掛塔(クハタ)ト云フナリ。〔下33ウ三・五〕
相違(そうゐ)なく御(ご)許容(きよよう)に預(あづか)り候ハゝ畏(おそ)れ入候/無‖相違(サヲイ)|預‖御許容ニ|者畏入候 許容ハ承知(せうち)する事也。是ハこの僧乃口入にて他寺の僧を学問の為に侍者(ししや)の寺へ入れん事を頼置(たのミおき)しによりて、此申状乃序に其僧の事いよ/\承知せられよと云事也。〔85ウ七〕
とあって、この標記語「畏入」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
諸事(しよじ)御(ご)才覺(さいかく)之(の)外(ほか)憑(たの)む所(ところ)無(な)し心底(しんてい)を貽(のこ)さ不(ず)之(これ)を示(しめ)さ被(れ)者(バ)尤(もつとも)以(もつて)本望(ほんまう)也(なり)。兼(かね)て又(また)先日(せんじつ)申(まを)し入(いる)る所(ところ)之(の)掛塔(くハだ)の僧(そう)の事(こと)相違(さうい)無(な)く御(ご)許容(きよよう)に預(あづか)り候(さふら)は者(バ)畏(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。毎事(まいじ)参入(さんにう)之(の)次(ついで)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)/諸事御才覚之外。無シ∨所∨憑ム。不∨貽サ‖心底ヲ|被∨示サ∨之ヲ者。尤以本望也。兼テ又。先日所‖申シ入ル|之掛塔ノ之僧ノ事。無ク‖相違|預‖御許容ニ|候ハ者。畏レ入リ候フ。毎事期ス‖参入之次ヲ|恐々謹言。〔62ウ八〕
諸事(しよじ)御(ご)才覚(さいかく)之(の)外(ほか)無(なし)∨所(ところ)∨憑(たのむ)不(ず)∨貽(のこさ)‖心底(しんていを)|被(れ)∨示(しめさ)∨之(これを)者(ハ)尤(もつとも)以(もつて)本望(ほんまう)也(なり)。兼(かねて)又(また)先日(せんじつ)所(ところ)‖申(まうし)入(いる)|之(の)掛塔(くハだの)僧(そうの)事(こと)無(なく)‖相違(さうゐ)|預(あづかり)‖御(ご)許容(きよように)|候(さふらハ)者(ゞ)畏(おそれ)入(いり)候(さふらふ)。毎事(まいじ)期(ごす)‖参入(さんにふ)之(の)次(ついでを)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)。〔113オ二〕
掛塔(クワタウ) 。〔元亀二年本190七〕〔天正十七年本中37オ一〕
掛塔(クワタ) 。〔静嘉堂本215二〕
兼又先日所申入候掛塔僧事無相違預御許容候者畏入候〔至徳三年本〕
兼又先日所申入之掛塔僧事無相違預御許容者畏入候〔宝徳三年本〕
兼又先日所申入掛塔僧事無相違預御許容候者畏入候〔建部傳内本〕
兼又先日所ノ‖申入候|掛塔(クワタウ)僧ノ事無‖相違|預ラ‖御許容ニ|者畏入候〔山田俊雄藏本〕
兼又先日内々所‖申入|之掛塔(クワタ)之僧ノ事无‖相違|預‖御許容(キヨヨウ)ニ|者畏入候〔経覺筆本〕
兼(カネテハ)又(マタ)先日所レ申入|候之掛塔(クワタウ)クワタウ僧ノ事無‖相(アイナク)違|預レ御許容(キヨヨウ)ニ|候者畏入候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「掛塔」と記載する。
掛塔(クワタ) 。〔態藝門84二〕
掛塔(クワタ/カイタフ・カケル、タカラ)[去・入] 。掛錫(クワシヤク/カイタフ・カケル、スヾ・タマワル)[去・入] 二共參暇(カノ)義也。〔態藝門541四〕
掛塔(クワタ) 僧之参暇。〔弘・言語進退門163五〕
掛塔(クハタ) 。〔永・言語門131九〕
掛塔(クワタ) 。〔尭・言語門121一〕〔両・言語門147二〕
掛錫(クワせキ) ―塔(タ)。〔言辞門133五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「掛塔」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』及び、弘治二年本『節用集』の語注記とは異なっている。
647可∨註シ‖給フ上下品ヲ|也。諸亊御才覚之外无∨所∨憑不∨貽‖心底|被∨示∨之者尤以テ本望也。兼又先日内々所‖申入|之掛塔(クワタ)ノ之僧ノ亊无‖相違(サヲイ)|預‖御許容ニ|者畏入候。毎亊期‖参拝之時|候。恐惶敬白 監寺(カンゾ) 〔謙堂文庫蔵五六左B〕
とあって、標記語「掛塔」の語を収載し、語注記は未記載にする。
掛塔(クワタフ)僧ノ事無‖相違(サウイ)|預(アツカリ)‖御許容(ゴキヨヨウ)ニ|者可ク‖畏リ入|候。心事期シ‖参拝ノ之次ヲ|候 掛塔僧(クハタノソウ)トハ。他(タ)寺ノ僧(ソウ)衆学文ノ爲(タメ)ニ來ルトナリ。一夏(ゲ)一會(クハイ)アルヲ掛塔(クハタ)ト云フナリ。〔下33ウ三・五〕
先日(せんじつ)申(もふし)入(いる)るゝ所(ところ)の掛塔(くわとう)の僧(そう)の事/先日所‖申シ入ル|之掛塔ノ之僧ノ事 學問(かくもん)の為來りし他寺(たじ)の僧をいふ也。〔86オ二・三〕
とあって、この標記語「掛塔」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
諸事(しよじ)御(ご)才覺(さいかく)之(の)外(ほか)憑(たの)む所(ところ)無(な)し心底(しんてい)を貽(のこ)さ不(ず)之(これ)を示(しめ)さ被(れ)者(バ)尤(もつとも)以(もつて)本望(ほんまう)也(なり)。兼(かね)て又(また)先日(せんじつ)申(まを)し入(いる)る所(ところ)之(の)掛塔(くハだ)の僧(そう)の事(こと)相違(さうい)無(な)く御(ご)許容(きよよう)に預(あづか)り候(さふら)は者(バ)畏(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。毎事(まいじ)参入(さんにう)之(の)次(ついで)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)/諸事御才覚之外。無シ∨所∨憑ム。不∨貽サ‖心底ヲ|被∨示サ∨之ヲ者。尤以本望也。兼テ又。先日所‖申シ入ル|之掛塔ノ之僧ノ事。無ク‖相違|預‖御許容ニ|候ハ者。畏レ入リ候フ。毎事期ス‖参入之次ヲ|恐々謹言。▲掛搭ノ僧ハ他寺(ほかてら)の僧学問(がくもん)のために來る也。掛搭とハ一夏(げ)一会(ゑ)をいふとぞ。〔62ウ八〕
諸事(しよじ)御(ご)才覚(さいかく)之(の)外(ほか)無(なし)∨所(ところ)∨憑(たのむ)不(ず)∨貽(のこさ)‖心底(しんていを)|被(れ)∨示(しめさ)∨之(これを)者(ハ)尤(もつとも)以(もつて)本望(ほんまう)也(なり)。兼(かねて)又(また)先日(せんじつ)所(ところ)‖申(まうし)入(いる)|之(の)掛塔(くハだの)僧(そうの)事(こと)無(なく)‖相違(さうゐ)|預(あづかり)‖御(ご)許容(きよように)|候(さふらハ)者(ゞ)畏(おそれ)入(いり)候(さふらふ)。毎事(まいじ)期(ごす)‖参入(さんにふ)之(の)次(ついでを)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)▲掛搭ノ僧ハ他寺(ほかてら)の僧学問(がくもん)のために來る也。掛搭とハ一夏(げ)一会(ゑ)をいふとぞ。〔113オ二〕
兼又先日所申入候掛塔僧事無相違預御許容候者畏入候〔至徳三年本〕
兼又先日所申入之掛塔僧事無相違預御許容者畏入候〔宝徳三年本〕
兼又先日所申入掛塔僧事無相違預御許容候者畏入候〔建部傳内本〕
兼又先日所ノ‖申入候|掛塔(クワタウ)僧ノ事無‖相違|預ラ‖御許容ニ|者畏入候〔山田俊雄藏本〕
兼又先日内々所‖申入|之掛塔(クワタ)之僧ノ事无‖相違|預‖御許容(キヨヨウ)ニ|者畏入候〔経覺筆本〕
兼(カネテハ)又(マタ)先日所レ申入|候之掛塔(クワタウ)クワタウ僧ノ事無‖相(アイナク)違|預レ御許容(キヨヨウ)ニ|候者畏入候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「先日」と記載する。
先日(せンジツ/マヅ、ヒ)[平・入] 。〔態藝門1087七〕
647可∨註シ‖給フ上下品ヲ|也。諸亊御才覚之外无∨所∨憑不∨貽‖心底|被∨示∨之者尤以テ本望也。兼又先日内々所‖申入|之掛塔(クワタ)ノ之僧ノ亊无‖相違(サヲイ)|預‖御許容ニ|者畏入候。毎亊期‖参拝之時|候。恐惶敬白 監寺(カンゾ) 〔謙堂文庫蔵五六左B〕
とあって、標記語「先日」の語を収載し、語注記は未記載にする。
臈次(ラツシ)ヲ|可∨注シ‖給ハル上下ノ之品(シナ)ヲ|也諸事御才覺(サイカク)之外(ホカ)無∨所∨頼(タノム)候不(ズ)∨貽(ヲコサ)‖心底(テイ)ヲ|被(シ)∨示(シメ)|者(ハ)最(モツトモ)以テ本望(ホンモウ)也。兼(カネテハ)又先日所カ‖申入| 臈(ラツ)トハ。上ヲマナブ事。〔下33ウ一〕
先日(せんじつ)申(もふし)入(いる)るゝ所(ところ)の掛塔(くわとう)の僧(そう)の事/先日所‖申シ入ル|之掛塔ノ之僧ノ事 學問(かくもん)の為來りし他寺(たじ)の僧をいふ也。〔86オ二・三〕
とあって、この標記語「先日」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
諸事(しよじ)御(ご)才覺(さいかく)之(の)外(ほか)憑(たの)む所(ところ)無(な)し心底(しんてい)を貽(のこ)さ不(ず)之(これ)を示(しめ)さ被(れ)者(バ)尤(もつとも)以(もつて)本望(ほんまう)也(なり)。兼(かね)て又(また)先日(せんじつ)申(まを)し入(いる)る所(ところ)之(の)掛塔(くハだ)の僧(そう)の事(こと)相違(さうい)無(な)く御(ご)許容(きよよう)に預(あづか)り候(さふら)は者(バ)畏(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。毎事(まいじ)参入(さんにう)之(の)次(ついで)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)/諸事御才覚之外。無シ∨所∨憑ム。不∨貽サ‖心底ヲ|被∨示サ∨之ヲ者。尤以本望也。兼テ又。先日所‖申シ入ル|之掛塔ノ之僧ノ事。無ク‖相違|預‖御許容ニ|候ハ者。畏レ入リ候フ。毎事期ス‖参入之次ヲ|恐々謹言。〔62ウ八〕
諸事(しよじ)御(ご)才覚(さいかく)之(の)外(ほか)無(なし)∨所(ところ)∨憑(たのむ)不(ず)∨貽(のこさ)‖心底(しんていを)|被(れ)∨示(しめさ)∨之(これを)者(ハ)尤(もつとも)以(もつて)本望(ほんまう)也(なり)。兼(かねて)又(また)先日(せんじつ)所(ところ)‖申(まうし)入(いる)|之(の)掛塔(くハだの)僧(そうの)事(こと)無(なく)‖相違(さうゐ)|預(あづかり)‖御(ご)許容(きよように)|候(さふらハ)者(ゞ)畏(おそれ)入(いり)候(さふらふ)。毎事(まいじ)期(ごす)‖参入(さんにふ)之(の)次(ついでを)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)。〔113オ二〕
Xenjit.センジツ(先日) Saqino fi.(先の日)過ぎた日々〔過日〕.→Ienjit.〔邦訳751r〕
せん-じつ〔名〕【先日】さきのひ。過ぎし日。前日。漢書、鄒陽傳「吾先日欲獻二愚計一」〔1124-1〕
諸事御才学之外無所憑不貽心底被示之者尤以本望也〔至徳三年本〕
諸事御才覺之外無所憑不貽心底被示之者尤以本望也〔宝徳三年本〕
諸事御才覚之外無所憑不貽心底被示之者尤本望也〔建部傳内本〕
諸事御才学ノ之外無∨所∨憑(タノム)不∨貽‖心底|被レハ∨示∨之ヲ者尤以本望候也〔山田俊雄藏本〕
諸事御才覚之外无∨所∨憑不∨貽(ノコサ)‖心底ヲ|被∨示∨之ヲ者尤以本望也〔経覺筆本〕
諸事御才覚ノ之外無(ナク)シ∨所∨憑ム以不∨貽(ノコサ)‖心底ヲ|被∨示(シメ)∨之ヲ者尤以テ本望也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「貽」と記載する。
貽貝(イヽガイ/イハイ・ノコス、―)[平・上] 。〔氣形門008五〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』の左訓に標記語「貽貝」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
647可∨註シ‖給フ上下品ヲ|也。諸亊御才覚之外无∨所∨憑不∨貽‖心底|被∨示∨之者尤以テ本望也。兼又先日内々所‖申入|之掛塔(クワタ)ノ之僧ノ亊无‖相違(サヲイ)|預‖御許容ニ|者畏入候。毎亊期‖参拝之時|候。恐惶敬白 監寺(カンゾ) 〔謙堂文庫蔵五六左B〕
とあって、標記語「貽」の語を収載し、語注記は未記載にする。
臈次(ラツシ)ヲ|可∨注シ‖給ハル上下ノ之品(シナ)ヲ|也諸事御才覺(サイカク)之外(ホカ)無∨所∨頼(タノム)候不(ズ)∨貽(ヲコサ)‖心底(テイ)ヲ|被(シ)∨示(シメ)|者(ハ)最(モツトモ)以テ本望(ホンモウ)也。兼(カネテハ)又先日所カ‖申入| 臈(ラツ)トハ。上ヲマナブ事。〔下33ウ一〕
心底(しんてい)を貽(のこ)さ不(ず)之(これ)を示(しめさ)被(れ)者(ハ)尤(もつとも)以(もつ)て本望(ほんまう)也/不∨貽‖心底|被∨示∨之者尤以テ本望也 こゝに云心ハ其元(そこもと)の賢慮(けんりよ)を頼(たのま)んより外によらん方なき事なれハ心申に思ハるゝ事残さす差圖(さしづ)ありて遠慮(ゑんりよ)せらるゝ事なくんハ本望に叶(かなわ)んと也。〔85ウ七〕
とあって、この標記語「貽」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
諸事(しよじ)御(ご)才覺(さいかく)之(の)外(ほか)憑(たの)む所(ところ)無(な)し心底(しんてい)を貽(のこ)さ不(ず)之(これ)を示(しめ)さ被(れ)者(バ)尤(もつとも)以(もつて)本望(ほんまう)也(なり)。兼(かね)て又(また)先日(せんじつ)申(まを)し入(いる)る所(ところ)之(の)掛塔(くハだ)の僧(そう)の事(こと)相違(さうい)無(な)く御(ご)許容(きよよう)に預(あづか)り候(さふら)は者(バ)畏(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。毎事(まいじ)参入(さんにう)之(の)次(ついで)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)/諸事御才覚之外。無シ∨所∨憑ム。不∨貽サ‖心底ヲ|被∨示サ∨之ヲ者。尤以本望也。兼テ又。先日所‖申シ入ル|之掛塔ノ之僧ノ事。無ク‖相違|預‖御許容ニ|候ハ者。畏レ入リ候フ。毎事期ス‖参入之次ヲ|恐々謹言。〔62ウ八〕
諸事(しよじ)御(ご)才覚(さいかく)之(の)外(ほか)無(なし)∨所(ところ)∨憑(たのむ)不(ず)∨貽(のこさ)‖心底(しんていを)|被(れ)∨示(しめさ)∨之(これを)者(ハ)尤(もつとも)以(もつて)本望(ほんまう)也(なり)。兼(かねて)又(また)先日(せんじつ)所(ところ)‖申(まうし)入(いる)|之(の)掛塔(くハだの)僧(そうの)事(こと)無(なく)‖相違(さうゐ)|預(あづかり)‖御(ご)許容(きよように)|候(さふらハ)者(ゞ)畏(おそれ)入(いり)候(さふらふ)。毎事(まいじ)期(ごす)‖参入(さんにふ)之(の)次(ついでを)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)。〔113オ二〕
才覺(サイカク) 。〔元亀二年本269一〕
才覚 。〔静嘉堂本306四〕
諸事御才学之外無所憑不貽心底被示之者尤以本望也〔至徳三年本〕
諸事御才覺之外無所憑不貽心底被示之者尤以本望也〔宝徳三年本〕
諸事御才覚之外無所憑不貽心底被示之者尤本望也〔建部傳内本〕
諸事御才学ノ之外無∨所∨憑(タノム)不∨貽‖心底|被レハ∨示∨之ヲ者尤以本望候也〔山田俊雄藏本〕
諸事御才覚之外无∨所∨憑不∨貽(ノコサ)‖心底ヲ|被∨示∨之ヲ者尤以本望也〔経覺筆本〕
諸事御才覚ノ之外無(ナク)シ∨所∨憑ム以不∨貽(ノコサ)‖心底ヲ|被∨示(シメ)∨之ヲ者尤以テ本望也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本と山田俊雄藏本は「才学」とし、宝徳三年本・建部傳内本・・経覺筆本・文明四年本が「才覚」と記載する。
才覺(サイカク・サムル/シワザ、サトル・ヲホユル)[平・入] 才學(サイカク/シワザ、マナブ)[平・入]。〔態藝門787一〕
才覚(サイカク) 。〔弘・言語進退門214二〕
才諛(サイカク) ―斈(ガク)。〔永・言語門178四〕
才覚 ―学。〔尭・言語門167五〕
才學(サイカク) ―智(チ)。―人(ジン)/―勘(カン)。―藝(ゲイ)。〔言辞門181四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「才覚」「才學」の両語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本は「才覚」の語で収載しているのである。
647可∨註シ‖給フ上下品ヲ|也。諸亊御才覚之外无∨所∨憑不∨貽‖心底|被∨示∨之者尤以テ本望也。兼又先日内々所‖申入|之掛塔(クワタ)ノ之僧ノ亊无‖相違(サヲイ)|預‖御許容ニ|者畏入候。毎亊期‖参拝之時|候。恐惶敬白 監寺(カンゾ) 〔謙堂文庫蔵五六左B〕
とあって、標記語「才覚」の語を収載し、語注記は未記載にする。
臈次(ラツシ)ヲ|可∨注シ‖給ハル上下ノ之品(シナ)ヲ|也諸事御才覺(サイカク)之外(ホカ)無∨所∨頼(タノム)候不(ズ)∨貽(ヲコサ)‖心底(テイ)ヲ|被(シ)∨示(シメ)|者(ハ)最(モツトモ)以テ本望(ホンモウ)也。兼(カネテハ)又先日所カ‖申入| 臈(ラツ)トハ。上ヲマナブ事。〔下33ウ一〕
諸事(しよじ)御才覚(ごさいかく)の外(ほか)憑(たの)む所(ところ)無(な)し/諸事御才覚之外無∨所∨憑ム 才覚ハ了簡(れうかん)也。〔85ウ七〕
とあって、この標記語「才覚」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
諸事(しよじ)御(ご)才覺(さいかく)之(の)外(ほか)憑(たの)む所(ところ)無(な)し心底(しんてい)を貽(のこ)さ不(ず)之(これ)を示(しめ)さ被(れ)者(バ)尤(もつとも)以(もつて)本望(ほんまう)也(なり)。兼(かね)て又(また)先日(せんじつ)申(まを)し入(いる)る所(ところ)之(の)掛塔(くハだ)の僧(そう)の事(こと)相違(さうい)無(な)く御(ご)許容(きよよう)に預(あづか)り候(さふら)は者(バ)畏(おそ)れ入(い)り候(さふら)ふ。毎事(まいじ)参入(さんにう)之(の)次(ついで)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)/諸事御才覚之外。無シ∨所∨憑ム。不∨貽サ‖心底ヲ|被∨示サ∨之ヲ者。尤以本望也。兼テ又。先日所‖申シ入ル|之掛塔ノ之僧ノ事。無ク‖相違|預‖御許容ニ|候ハ者。畏レ入リ候フ。毎事期ス‖参入之次ヲ|恐々謹言。▲才覚ハ了簡(りやうけん)也。〔63オ一、63オ四〕
諸事(しよじ)御(ご)才覚(さいかく)之(の)外(ほか)無(なし)∨所(ところ)∨憑(たのむ)不(ず)∨貽(のこさ)‖心底(しんていを)|被(れ)∨示(しめさ)∨之(これを)者(ハ)尤(もつとも)以(もつて)本望(ほんまう)也(なり)。兼(かねて)又(また)先日(せんじつ)所(ところ)‖申(まうし)入(いる)|之(の)掛塔(くハだの)僧(そうの)事(こと)無(なく)‖相違(さうゐ)|預(あづかり)‖御(ご)許容(きよように)|候(さふらハ)者(ゞ)畏(おそれ)入(いり)候(さふらふ)。毎事(まいじ)期(ごす)‖参入(さんにふ)之(の)次(ついでを)恐々(きよう/\)謹言(きんげん)▲才覚ハ了簡(りやうけん)也。〔113オ二、113ウ一〕
Saicacu.サイカク(才覚) 物事を工夫する才,賢明さ,など.¶Saicacuuo megurasu.(才覚を廻らす)知恵と工夫の才を働かす.〔邦訳549r〕
さい-かく〔名〕【才覺】〔ざえ(才)の條を見よ〕ざえのおぼえ。學問のさとり。文學の力。神皇正統記、後醍醐「白河の御時、修理大夫顯季と云ひし人、云云、參議を申しけるに、院の仰に、それも、物書きての上の事ありければ、理に伏して止みぬ、云云、和漢の才覺の足らぬにぞありけむ」〔0754-3〕
さい-かく〔名〕【才覺】〔前條の語の轉〕(一)才(さい)の機轉(はたらき)。機智。七十一番職人盡歌合(文安)五十七番、庖丁師、判詞「左歌、庖丁には、魚も、鳥も、いくらも、寄せありぬべきを、二首ながら、鯉を詠める、才覺なきに似たり」鷹筑波集(寛永)「二道かくる、人のさいかく」(二)工夫して、索むること。工面(クメン)。算段(サンダン)。經營。狂言記、鱸包丁「方方、さいかく致して、淀一番の鯉を求めまして」西鶴織留(貞享)「損銀、仇銀、年年積(つも)りて、才覺の花も散り」〔0754-4〕
さい-がく〔名〕【才學】才と、學問と。漢書、應秦傳「皆有二才學一」今鏡、下、第七、うたたね「堀河殿は、才學高くおはして、文作りたまふこと、すぐれて聞こえ給ひき」〔0754-4〕
品 。〔元亀二年本224一〕〔天正十七年本中57ウ一〕
品 。〔静嘉堂本256五〕
聖道者從僧駈士同朋推参之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔至徳三年本〕
聖道者從僧駈使同朋推參之道俗臨時之客人任人數云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔宝徳三年本〕
聖道者従僧駈仕同朋推參之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下之品也〔建部傳内本〕
聖道者從僧(ジウソ)駈使(クジノ)同朋(ホウ)推参(スイサン)之道俗臨時ノ客人也任テ二人数ニ一云二點心ト一云二布施物ト一糺(タヽシテ)二臈次(ロウシ)ヲ一可キ三注シ二給ル上下ノ之品(シナ)ヲ一也〔山田俊雄藏本〕
聖道者從(シユウ)僧駈使(クシ)同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心ト|云(イヽ)‖布施物ト|糺(タヽシテ)二臈次(ラツシ)ヲ|可レ注シ二給上下ノ品(シナ)一也〔経覺筆本〕
聖道ニ者(ハ)從僧(ジウソウ)駈使(クシ)同朋(ホウ)推(スイ)参之道俗(タウソク)臨時之ノ客僧(かくソウ){人}任テレ人数ニ|云(イヽ)‖點心(テンシン)ト|云レ布施物ト|糺(タヽシテ)‖臈次(ラツシ)ヲ|可レ注(シルシ)給レ上下ノ品(シナ)ヲ|也〔文明四年本〕 ※布施(フせ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「品」と記載する。
品 シナ/否飯反/―量。―藻。官―。〔黒川本・人事門下71オ一〕
科 シナ/胡定反。〔黒川本・方角門下73ウ八〕
品 シナ/―量。―作。官品。〔卷第九・人事門143四〕
品(シナ/ヒン)[上] 科(同/クワ・トガ)[平・去]。〔數量門930七〕
科(シナ) 。品(同) 。〔弘・言語進退門244二〕
科(シナ) 品 。〔永・言語門213一〕
科(シナ) 品。差。〔尭・官位門196八〕
品(シナ)。科(同)。階(同)。 〔言辞門219五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「品」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
647可∨註シ‖給フ上下品ヲ|也。諸亊御才覚之外无∨所∨憑不∨貽‖心底|被∨示∨之者尤以テ本望也。兼又先日内々所‖申入|之掛塔(クワタ)ノ之僧ノ亊无‖相違(サヲイ)|預‖御許容ニ|者畏入候。毎亊期‖参拝之時|候。恐惶敬白 監寺(カンゾ) 〔謙堂文庫蔵五六左B〕
とあって、標記語「品」の語を収載し、語注記は未記載にする。
臈次(ラツシ)ヲ|可∨注シ‖給ハル上下ノ之品(シナ)ヲ|也諸事御才覺(サイカク)之外(ホカ)無∨所∨頼(タノム)候不(ズ)∨貽(ヲコサ)‖心底(テイ)ヲ|被(シ)∨示(シメ)|者(ハ)最(モツトモ)以テ本望(ホンモウ)也。兼(カネテハ)又先日所カ‖申入| 臈(ラツ)トハ。上ヲマナブ事。〔下33ウ一〕
上下(じやうけ)の品(しな)を注(しる)し給(たまハ)る可(へく)也/可∨注シ‖給ル上下之品ヲ|也 上下の品とハ善き品軽き品也。点心布施物をさしていえり。云こゝろハ何役の僧へハ何の品々といふ事を書記し玉ハれと也。〔85ウ五・六〕
とあって、この標記語「品」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
聖道(しやうたう)者(ハ)從僧(じうそう)驅使(くし)同朋(どうほう)推参(すいさん)之(の)道俗(たうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)人数(にんじゆに)に任(まかせ)せ點心(てんしん)と云(い)ひ布施物(ふせもつ)と云(い)ひ臈次(らつじ)を糺(たゞ)し上下(じやうげ)之(の)品(しな)を注(ちう)し給(たま)ふ可(べ)き也(なり)/聖道者從僧駈使同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施|物|上下‖臈次ヲ|可∨注‖給上下之品|也。〔62ウ五〕
聖道(しやうだう)者(ハ)從僧(じうそう)駈使(くし)同朋(どうほう)推参(すゐさん)之(の)道俗(だうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)任(まかせ)‖人数(にんじゆに)|云(いひ)‖点心(てんしんと)|云(いひ)‖布施物(ふせもつと)|糺(たゞし)‖臈次(らふじを)|可(べき)∨注(ちゆうし)‖給(たふ)上下(じやうげ)之(の)品(しなを)|也(なり)。〔112ウ三〕
Xina.シナ(品) 物の種類,または,物の違い目.〔邦訳768l〕
Xina.シナ(品) 風采,または,身じまい.¶Xinano yoi fito(品の良い人)手足の均整がとれて,すんなりとしている人.また,犬についても言う.〔邦訳768l〕
しな〔名〕【品・科】(一){物事の、たぐひ。種類。~樂歌、採物、弓「弓と云へば、志奈なきものを、梓弓、檀弓(まゆみ)、槻弓、志奈こそあるらん」(二)上下、優劣のたがひ。段(きだ)。格。階級。等差。「しなを異にす」(三){階段(きだはし)。階。倭名抄、十、15居宅具「?、俗爲階字、波之、一、訓二之奈一」(四){身柄。人品。品(ヒン)。品位。品格。(五)物の、種種(くさぐさ)なるもの。いろ。「一(ひと)品」二(ふた)品」(六)事の状態。(七)物(もの)。貨物(しろもの)。狂言記、吃「十一の品で縫うたる小包、一つ」「此しな、粗末なれど」しなが切れて」〔0911-2〕
聖道者從僧駈士同朋推参之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔至徳三年本〕
聖道者從僧駈使同朋推參之道俗臨時之客人任人數云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔宝徳三年本〕
聖道者従僧駈仕同朋推參之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下之品也〔建部傳内本〕
聖道者從僧(ジウソ)駈使(クジノ)同朋(ホウ)推参(スイサン)之道俗臨時ノ客人也任テ二人数ニ一云二點心ト一云二布施物ト一糺(タヽシテ)二臈次(ロウシ)ヲ一可キ三注シ二給ル上下ノ之品(シナ)ヲ一也〔山田俊雄藏本〕
聖道者從(シユウ)僧駈使(クシ)同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心ト|云(イヽ)‖布施物ト|糺(タヽシテ)二臈次(ラツシ)ヲ|可レ注シ二給上下ノ品(シナ)一也〔経覺筆本〕
聖道ニ者(ハ)從僧(ジウソウ)駈使(クシ)同朋(ホウ)推(スイ)参之道俗(タウソク)臨時之ノ客僧(かくソウ){人}任テレ人数ニ|云(イヽ)‖點心(テンシン)ト|云レ布施物ト|糺(タヽシテ)‖臈次(ラツシ)ヲ|可レ注(シルシ)給レ上下ノ品(シナ)ヲ|也〔文明四年本〕 ※布施(フせ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「上下」と記載する。
上下 シヤウケ。〔黒川本・畳字門下82オ七〕
上下 〃天。〃陽春。〃弦。〃表。〃科。〃人。〃宰。〃腴地。〃根。〃等。〃道。〃兵。〃智。〃田。〃日。〃開。〃洛。〃服。〃京。〃卿。〔卷第九・畳字門195六〕
上下(シヤウ・カミ、ゲ/ノボル、―)[上去・上去] ――万民。〔態藝門936五〕
上品(シヤウボン) ―手。―下/―裁。―表。―洛/―聞。〔永・言語門210二〕
上品(シヤウホン) ―手。―下。―裁/―表。―落。―聞。〔尭・官位門194四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「上下」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
647可∨註シ‖給フ上下品ヲ|也。諸亊御才覚之外无∨所∨憑不∨貽‖心底|被∨示∨之者尤以テ本望也。兼又先日内々所‖申入|之掛塔(クワタ)ノ之僧ノ亊无‖相違(サヲイ)|預‖御許容ニ|者畏入候。毎亊期‖参拝之時|候。恐惶敬白 監寺(カンゾ) 〔謙堂文庫蔵五六左B〕
とあって、標記語「上下」の語を収載し、語注記は未記載にする。
臈次(ラツシ)ヲ|可∨注シ‖給ハル上下ノ之品(シナ)ヲ|也諸事御才覺(サイカク)之外(ホカ)無∨所∨頼(タノム)候不(ズ)∨貽(ヲコサ)‖心底(テイ)ヲ|被(シ)∨示(シメ)|者(ハ)最(モツトモ)以テ本望(ホンモウ)也。兼(カネテハ)又先日所カ‖申入| 臈(ラツ)トハ。上ヲマナブ事。〔下33ウ一〕
上下(じやうけ)の品(しな)を注(しる)し給(たまハ)る可(へく)也/可∨注シ‖給ル上下之品ヲ|也 上下の品とハ善き品軽き品也。点心布施物をさしていえり。云こゝろハ何役の僧へハ何の品々といふ事を書記し玉ハれと也。〔85ウ五・六〕
とあって、この標記語「上下」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
聖道(しやうたう)者(ハ)從僧(じうそう)驅使(くし)同朋(どうほう)推参(すいさん)之(の)道俗(たうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)人数(にんじゆに)に任(まかせ)せ點心(てんしん)と云(い)ひ布施物(ふせもつ)と云(い)ひ臈次(らつじ)を糺(たゞ)し上下(じやうげ)之(の)品(しな)を注(ちう)し給(たま)ふ可(べ)き也(なり)/聖道者從僧駈使同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施物|糺‖臈次ヲ|可∨注‖給上下之品|也。〔62ウ三〕
聖道(しやうだう)者(ハ)從僧(じうそう)駈使(くし)同朋(どうほう)推参(すゐさん)之(の)道俗(だうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)任(まかせ)‖人数(にんじゆに)|云(いひ)‖点心(てんしんと)|云(いひ)‖布施物(ふせもつと)|糺(たゞし)‖臈次(らふじを)|可(べき)∨注(ちゆうし)‖給(たふ)上下(じやうげ)之(の)品(しなを)|也(なり)。〔112オ六〕
Io<gue.ジヤウゲ(上下) Vye xita.(上下).上にと下にと。¶また,上級のものと下級のものと.例,Io<gue banmin.(上下万民)上下貴賤すべての人々.§また,Nobori,cudaru.(上り,下る)上ると下ると.例,Camiye jo<gueuo xiguio> itasu.(上へ上下を繁う致す)都(Miyaco)へ頻繁に行き来する.〔邦訳368l〕
じやう-げ〔名〕【上下】(一)かみと、しもと。うへと、したと。保元物語、一、官軍方方手分事「上下二十餘人、都へ打ッてぞ上りける」(二)のぼると、くだると。あがり、おり。狂言記、文相撲「汝は、上下の海道へ往(い)て、良ささうな者が來たらば、抱へて來い」(三)往(ゆ)きと、復(かへ)りと。往復(片路(かたみち)と云ふに對す、舟子(センドウ)、舁夫(かごかき)などの語)(四)裃(かみしも)。「麻上下」〔0962-5〕
糺(タヾス) 。理(同) 。殷(同) 。〔元亀二年本148七〕
糺(同) 。理(タヾス) 。殷(同) 。〔静嘉堂本160六〕
糺(タヽス) 。理(同) 。殷(同) 。〔天正十七年本中12ウ四〕
聖道者從僧駈士同朋推参之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔至徳三年本〕
聖道者從僧駈使同朋推參之道俗臨時之客人任人數云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔宝徳三年本〕
聖道者従僧駈仕同朋推參之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下之品也〔建部傳内本〕
聖道者從僧(ジウソ)駈使(クジノ)同朋(ホウ)推参(スイサン)之道俗臨時ノ客人也任テ二人数ニ一云二點心ト一云二布施物ト一糺(タヽシテ)二臈次(ロウシ)ヲ一可キ三注シ二給ル上下ノ之品(シナ)ヲ一也〔山田俊雄藏本〕
聖道者從(シユウ)僧駈使(クシ)同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心ト|云(イヽ)‖布施物ト|糺(タヽシテ)二臈次(ラツシ)ヲ|可レ注シ二給上下ノ品(シナ)一也〔経覺筆本〕
聖道ニ者(ハ)從僧(ジウソウ)駈使(クシ)同朋(ホウ)推(スイ)参之道俗(タウソク)臨時之ノ客僧(かくソウ){人}任テレ人数ニ|云(イヽ)‖點心(テンシン)ト|云レ布施物ト|糺(タヽシテ)‖臈次(ラツシ)ヲ|可レ注(シルシ)給レ上下ノ品(シナ)ヲ|也〔文明四年本〕 ※布施(フせ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「糺」とし、訓みは、山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「タゝシテ」と記載する。
糺 タヽス/タヽシ。正断弾督弼賛…。〔黒川本・辞字門中7オ二〕
正 タヽス。断。督。匡。糺。弾。弼。賛…。〔卷第四・辞字門421一〕
糺(タヾス/キウ)[上] 。〔態藝門371七〕
糺(タヽス) 。〔弘・言語進退門106一〕〔尭・言語門87八〕〔両・言語門106六〕
糺(タヾス) 。〔永・言語門96三〕
糾(タヽス) 糺同(タヽス)。規(同)。雅(同)。正(同)。貞(同)。匡(同)。〔言辞門96二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「糺」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
646聖道者從(シユ)僧駈使(クシ/ハシリツカイ)同朋(−ボウ)推参(スイ−)之道−俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施|物|糺‖臈次(ラツ−)ヲ| 糺‖臈次|。有‖式目四ケ条ニ|。老之次第也。〔謙堂文庫蔵五六左A〕
とあって、標記語「糺」の語を収載し、語注記は未記載にする。
同朋(ドウボウ)推参(スイサン)道俗(ゾク)臨時(リンジ)ノ客(キヤク)人任テ‖人數ニ|云(イヽ)‖點心ト|云‖布施(フせ)物ト|糺(タヽシ)‖ 同朋(ドウボウ)ハ。力者(リキシヤ)也。又弟子(デシ)兄(キヤウ)弟人歟〔下33オ七〜ウ一〕
點心(てんしん)と云(い)ひ布施物(ふせもつ)と云ひ臈次(らつし)を糺(たゞ)し/云‖點心|云‖布施物|糺‖臈次ヲ| 貴賤の次第を正し點心布施物なとの品等(しな)をするなり。〔85ウ四・五〕
とあって、この標記語「糺」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
聖道(しやうたう)者(ハ)從僧(じうそう)驅使(くし)同朋(どうほう)推参(すいさん)之(の)道俗(たうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)人数(にんじゆに)に任(まかせ)せ點心(てんしん)と云(い)ひ布施物(ふせもつ)と云(い)ひ臈次(らつじ)を糺(たゞ)し上下(じやうげ)之(の)品(しな)を注(ちう)し給(たま)ふ可(べ)き也(なり)/聖道者從僧駈使同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施物|糺‖臈次ヲ|可∨注‖給上下之品|也。〔62ウ五〕
聖道(しやうだう)者(ハ)從僧(じうそう)駈使(くし)同朋(どうほう)推参(すゐさん)之(の)道俗(だうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)任(まかせ)‖人数(にんじゆに)|云(いひ)‖点心(てんしんと)|云(いひ)‖布施物(ふせもつと)|糺(たゞし)‖臈次(らふじを)|可(べき)∨注(ちゆうし)‖給(たふ)上下(じやうげ)之(の)品(しなを)|也(なり)。〔112ウ三〕
Tadaxi,su,aita.タダシ,ス,イタ(正・糺し,す,いた) 取り調べて,審理する.¶Sugimeuo tadasu.(筋目を糺す)もつれている糸や撚糸を探して,もとどおりに直す.¶また,比喩.ある人の血統や家系を取り調べる.〔邦訳601l〕
ただ・す〔他動、四〕【正】(一){正しくなす。善く改む。なほす。源氏物語、三十四、下、若紫、下13「喜びの涙、ともすれば落ちつつ、目をさへ拭ひただして」「誤を正す」容を正す」(二)誤れりや否やを問ふ。質問す。質。字類抄「質、規、タタス」(三){理非を究め分つ。糺明す。詮議す。吟味す。糺。名義抄「紂、タダス、カムガフ」源氏物語、十榊9「國ツ~、そらにことわる、物ならば、なほざりごとをまづやたださん」新古今集、十八、雜、下「車より紅の衣を出だしたりけるを、紂非違使のたださんとしければ」「邪正をただす」罪をただす」〔1215-5〕
聖道者從僧駈士同朋推参之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔至徳三年本〕
聖道者從僧駈使同朋推參之道俗臨時之客人任人數云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔宝徳三年本〕
聖道者従僧駈仕同朋推參之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下之品也〔建部傳内本〕
聖道者從僧(ジウソ)駈使(クジノ)同朋(ホウ)推参(スイサン)之道俗臨時ノ客人也任テ二人数ニ一云二點心ト一云二布施物ト一糺(タヽシテ)二臈次(ロウシ)ヲ一可キ三注シ二給ル上下ノ之品(シナ)ヲ一也〔山田俊雄藏本〕
聖道者從(シユウ)僧駈使(クシ)同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心ト|云(イヽ)‖布施物ト|糺(タヽシテ)二臈次(ラツシ)ヲ|可レ注シ二給上下ノ品(シナ)一也〔経覺筆本〕
聖道ニ者(ハ)從僧(ジウソウ)駈使(クシ)同朋(ホウ)推(スイ)参之道俗(タウソク)臨時之ノ客僧(かくソウ){人}任テレ人数ニ|云(イヽ)‖點心(テンシン)ト|云レ布施物ト|糺(タヽシテ)‖臈次(ラツシ)ヲ|可レ注(シルシ)給レ上下ノ品(シナ)ヲ|也〔文明四年本〕 ※布施(フせ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「布施物」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「布施物」の語は未収載にあって、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
646聖道者從(シユ)僧駈使(クシ/ハシリツカイ)同朋(−ボウ)推参(スイ−)之道−俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施物|糺‖臈次(ラツ−)ヲ| 糺‖臈次|。有‖式目四ケ条ニ|。老之次第也。〔謙堂文庫蔵五六左A〕
とあって、標記語「布施物」の語を収載し、語注記は未記載にする。
同朋(ドウボウ)推参(スイサン)道俗(ゾク)臨時(リンジ)ノ客(キヤク)人任テ‖人數ニ|云(イヽ)‖點心ト|云‖布施(フせ)物ト|糺(タヽシ)‖ 同朋(ドウボウ)ハ。力者(リキシヤ)也。又弟子(デシ)兄(キヤウ)弟人歟〔下33オ七〜ウ一〕
點心(てんしん)と云(い)ひ布施物(ふせもつ)と云ひ臈次(らつし)を糺(たゞ)し/云‖點心|云‖布施物|糺‖臈次ヲ| 貴賤の次第を正し點心布施物なとの品等(しな)をするなり。〔85ウ四・五〕
とあって、この標記語「布施物」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
聖道(しやうたう)者(ハ)從僧(じうそう)驅使(くし)同朋(どうほう)推参(すいさん)之(の)道俗(たうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)人数(にんじゆに)に任(まかせ)せ點心(てんしん)と云(い)ひ布施物(ふせもつ)と云(い)ひ臈次(らつじ)を糺(たゞ)し上下(じやうげ)之(の)品(しな)を注(ちう)し給(たま)ふ可(べ)き也(なり)/聖道者從僧駈使同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施物|糺‖臈次ヲ|可∨注‖給上下之品|也。〔62ウ五〕
聖道(しやうだう)者(ハ)從僧(じうそう)駈使(くし)同朋(どうほう)推参(すゐさん)之(の)道俗(だうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)任(まかせ)‖人数(にんじゆに)|云(いひ)‖点心(てんしんと)|云(いひ)‖布施物(ふせもつと)|糺(たゞし)‖臈次(らふじを)|可(べき)∨注(ちゆうし)‖給(たふ)上下(じやうげ)之(の)品(しなを)|也(なり)。〔112ウ二〕
Fuxemot.フセモッ(布施物) 何かのお勤めや法事などに対して,坊主(bonzos)に与える寄付.→Fuxe(布施).〔邦訳287l〕
聖道者從僧駈士同朋推参之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔至徳三年本〕
聖道者從僧駈使同朋推參之道俗臨時之客人任人數云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔宝徳三年本〕
聖道者従僧駈仕同朋推參之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下之品也〔建部傳内本〕
聖道者從僧(ジウソ)駈使(クジノ)同朋(ホウ)推参(スイサン)之道俗臨時ノ客人也任テ二人数ニ一云二點心ト一云二布施物ト一糺(タヽシテ)二臈次(ロウシ)ヲ一可キ三注シ二給ル上下ノ之品(シナ)ヲ一也〔山田俊雄藏本〕
聖道者從(シユウ)僧駈使(クシ)同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心ト|云(イヽ)‖布施物ト|糺(タヽシテ)二臈次(ラツシ)ヲ|可レ注シ二給上下ノ品(シナ)一也〔経覺筆本〕
聖道ニ者(ハ)從僧(ジウソウ)駈使(クシ)同朋(ホウ)推(スイ)参之道俗(タウソク)臨時之ノ客僧(かくソウ){人}任テレ人数ニ|云(イヽ)‖點心(テンシン)ト|云レ布施物ト|糺(タヽシテ)‖臈次(ラツシ)ヲ|可レ注(シルシ)給レ上下ノ品(シナ)ヲ|也〔文明四年本〕 ※布施(フせ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「點心」とし、訓みは文明四年本に「テンシン」と記載する。
人数(ジユ) 。〔元亀二年本38七〕
人数 。〔静嘉堂本41八〕
人数(シユ) 。〔天正十七年本上21ウ四〕
聖道者從僧駈士同朋推参之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔至徳三年本〕
聖道者從僧駈使同朋推參之道俗臨時之客人任人數云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔宝徳三年本〕
聖道者従僧駈仕同朋推參之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下之品也〔建部傳内本〕
聖道者從僧(ジウソ)駈使(クジノ)同朋(ホウ)推参(スイサン)之道俗臨時ノ客人也任テ二人数ニ一云二點心ト一云二布施物ト一糺(タヽシテ)二臈次(ロウシ)ヲ一可キ三注シ二給ル上下ノ之品(シナ)ヲ一也〔山田俊雄藏本〕
聖道者從(シユウ)僧駈使(クシ)同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心ト|云(イヽ)‖布施物ト|糺(タヽシテ)二臈次(ラツシ)ヲ|可レ注シ二給上下ノ品(シナ)一也〔経覺筆本〕
聖道ニ者(ハ)從僧(ジウソウ)駈使(クシ)同朋(ホウ)推(スイ)参之道俗(タウソク)臨時之ノ客僧(かくソウ){人}任テレ人数ニ|云(イヽ)‖點心(テンシン)ト|云レ布施物ト|糺(タヽシテ)‖臈次(ラツシ)ヲ|可レ注(シルシ)給レ上下ノ品(シナ)ヲ|也〔文明四年本〕 ※布施(フせ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「人数」と記載する。
人数(ニンジユ/ジン・ヒト、カズ)[平・去] 。〔態藝門90五〕
人數(ジユ) 。〔言辞門27七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「人数」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
646聖道者從(シユ)僧駈使(クシ/ハシリツカイ)同朋(−ボウ)推参(スイ−)之道−俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施|物|糺‖臈次(ラツ−)ヲ| 糺‖臈次|。有‖式目四ケ条ニ|。老之次第也。〔謙堂文庫蔵五六左A〕
とあって、標記語「人数」の語を収載し、語注記は未記載にする。
同朋(ドウボウ)推参(スイサン)道俗(ゾク)臨時(リンジ)ノ客(キヤク)人任テ‖人數ニ|云(イヽ)‖點心ト|云‖布施(フせ)物ト|糺(タヽシ)‖ 同朋(ドウボウ)ハ。力者(リキシヤ)也。又弟子(デシ)兄(キヤウ)弟人歟〔下33オ七〜ウ一〕
人数(にんじゆに)に任(まかせ)せ/任セ‖人数ニ| 人数(にんす)次第(したい)にといふかことし。〔85ウ三・四〕
とあって、この標記語「人数」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
聖道(しやうたう)者(ハ)從僧(じうそう)驅使(くし)同朋(どうほう)推参(すいさん)之(の)道俗(たうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)人数(にんじゆに)に任(まかせ)せ點心(てんしん)と云(い)ひ布施物(ふせもつ)と云(い)ひ臈次(らつじ)を糺(たゞ)し上下(じやうげ)之(の)品(しな)を注(ちう)し給(たま)ふ可(べ)き也(なり)/聖道者從僧駈使同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施|物|糺‖臈次ヲ|可∨注‖給上下之品|也。〔62ウ四〕
聖道(しやうだう)者(ハ)從僧(じうそう)駈使(くし)同朋(どうほう)推参(すゐさん)之(の)道俗(だうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)任(まかせ)‖人数(にんじゆに)|云(いひ)‖点心(てんしんと)|云(いひ)‖布施物(ふせもつと)|糺(たゞし)‖臈次(らふじを)|可(べき)∨注(ちゆうし)‖給(たふ)上下(じやうげ)之(の)品(しなを)|也(なり)。〔112ウ二〕
Ninju.ニンズ(人数) Fitocazu.(人かず) 人々の数,または,大勢の人々・軍勢.→Catarai,o<;Cuuauari,u;Feraxi,u;Fiqitori,u;Irecaye,uru;Irechigaye,uru;Macubari,u;Mexiatcume,uru;Saximuqe,uru;Saxicarami,u;Saximuqe,uru;Saxisoye,uru;Saxivoroxi,su;Vchidaxi,su;Vmeague,uru.〔邦訳466l〕
にん-ず〔名〕【人數】(一)ひとのかず。あたまかず。人頭(ニントウ)。人員。(二)多勢の人。大勢。「人數を繰出す」〔1505-1〕
りん-じ〔名〕【臨時】其時にのぞみてすること。不時。三國志、魏志、薫昭傳「計在二臨時一、未レ可二得言一」近衛府式「凡威儀及行幸所レ須器仗者、收二於府庫一、臨時出用」〔2126-3〕
きゃく-じん〔名〕【客人】まらうど。客となりて、來れる人。校量功コ記「奴婢客人」曾我物語、十一、母虎を具して箱根へのぼる事「あれは、いづくよりのきやく人にや、と問じければ」〔0496-2〕
道俗(ゾク) 。〔元亀二年本138十〕〔静嘉堂本147七〕
道俗(ソク) 。〔天正十七年本中5ウ六〕
聖道者從僧駈士同朋推参之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔至徳三年本〕
聖道者從僧駈使同朋推參之道俗臨時之客人任人數云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔宝徳三年本〕
聖道者従僧駈仕同朋推參之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下之品也〔建部傳内本〕
聖道者從僧(ジウソ)駈使(クジノ)同朋(ホウ)推参(スイサン)之道俗臨時ノ客人也任テ二人数ニ一云二點心ト一云二布施物ト一糺(タヽシテ)二臈次(ロウシ)ヲ一可キ三注シ二給ル上下ノ之品(シナ)ヲ一也〔山田俊雄藏本〕
聖道者從(シユウ)僧駈使(クシ)同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心ト|云(イヽ)‖布施物ト|糺(タヽシテ)二臈次(ラツシ)ヲ|可レ注シ二給上下ノ品(シナ)一也〔経覺筆本〕
聖道ニ者(ハ)從僧(ジウソウ)駈使(クシ)同朋(ホウ)推(スイ)参之道俗(タウソク)臨時之ノ客僧(かくソウ){人}任テレ人数ニ|云(イヽ)‖點心(テンシン)ト|云レ布施物ト|糺(タヽシテ)‖臈次(ラツシ)ヲ|可レ注(シルシ)給レ上下ノ品(シナ)ヲ|也〔文明四年本〕 ※布施(フせ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「道俗」とし、訓みは、文明四年本に「道俗(タウソク)」と記載する。
道俗 同(両合部)/タウソク。〔黒川本・畳字門中10ウ七〕
道路 〃塲 チヤウ/ニハ。〃祖。〃理。〃心。〃宗。〃里。〃法。〃コ。〃義。〃士。〃途。〃程。〃俗。〔卷第四・畳字門446二〕
道俗(ダウゾク) 。〔弘・言語進退門110八〕
道俗(ダウゾク) ―者。〔人倫門89七〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』・印度本系統の弘治二年本『節用集』・易林本『節用集』に標記語「道俗」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』については、此の語を未収載としている。
646聖道者從(シユ)僧駈使(クシ/ハシリツカイ)同朋(−ボウ)推参(スイ−)之道−俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施|物|糺‖臈次(ラツ−)ヲ| 糺‖臈次|。有‖式目四ケ条ニ|。老之次第也。〔謙堂文庫蔵五六左A〕
とあって、標記語「道俗」の語を収載し、語注記は未記載にする。
同朋(ドウボウ)推参(スイサン)道俗(ゾク)臨時(リンジ)ノ客(キヤク)人任テ‖人數ニ|云(イヽ)‖點心ト|云‖布施(フせ)物ト|糺(タヽシ)‖ 同朋(ドウボウ)ハ。力者(リキシヤ)也。又弟子(デシ)兄(キヤウ)弟人歟〔下33オ七〜ウ一〕
推参(すいさん)之(の)道俗(だうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくじん)/推参之道俗臨時之客人 皆其時に當(あた)り不意(ふい)に來りし客をいふ。〔85ウ二・三〕
とあって、この標記語「道俗」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
聖道(しやうたう)者(ハ)從僧(じうそう)驅使(くし)同朋(どうほう)推参(すいさん)之(の)道俗(たうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)人数(にんじゆに)に任(まかせ)せ點心(てんしん)と云(い)ひ布施物(ふせもつ)と云(い)ひ臈次(らつじ)を糺(たゞ)し上下(じやうげ)之(の)品(しな)を注(ちう)し給(たま)ふ可(べ)き也(なり)/聖道者從僧駈使同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施|物|糺‖臈次ヲ|可∨注‖給上下之品|也。〔62ウ四〕
聖道(しやうだう)者(ハ)從僧(じうそう)駈使(くし)同朋(どうほう)推参(すゐさん)之(の)道俗(だうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)任(まかせ)‖人数(にんじゆに)|云(いひ)‖点心(てんしんと)|云(いひ)‖布施物(ふせもつと)|糺(たゞし)‖臈次(らふじを)|可(べき)∨注(ちゆうし)‖給(たふ)上下(じやうげ)之(の)品(しなを)|也(なり)。〔112ウ一〕
Do<zocu.ダゥゾク(道俗) Xucqeto,zaiqe.(出家と,在家) 僧侶と俗人と.〔邦訳191l〕
だう-ぞく〔名〕【道俗】〔出家の人を道と云ひ、在家の人を俗と云ふ〕僧侶と、俗人と。魏書、李同軌傳「道俗咸以爲レ善」中書疏、一「道俗者、智度論云、聲聞法中、未レ説二生死即涅槃、衆生則是佛一、故二乘不能一二道俗一也、道則涅槃、俗則生死」大鏡、上、序「入道殿下の、御ありさまの、世にすぐれておはします事を、道俗男女の御前にて申さんと思ふが」〔1195-1〕
推参(サン) 。〔元亀二年本359七〕〔静嘉堂本437七〕
聖道者從僧駈士同朋推参之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔至徳三年本〕
聖道者從僧駈使同朋推參之道俗臨時之客人任人數云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔宝徳三年本〕
聖道者従僧駈仕同朋推參之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下之品也〔建部傳内本〕
聖道者從僧(ジウソ)駈使(クジノ)同朋(ホウ)推参(スイサン)之道俗臨時ノ客人也任テ二人数ニ一云二點心ト一云二布施物ト一糺(タヽシテ)二臈次(ロウシ)ヲ一可キ三注シ二給ル上下ノ之品(シナ)ヲ一也〔山田俊雄藏本〕
聖道者從(シユウ)僧駈使(クシ)同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心ト|云(イヽ)‖布施物ト|糺(タヽシテ)二臈次(ラツシ)ヲ|可レ注シ二給上下ノ品(シナ)一也〔経覺筆本〕
聖道ニ者(ハ)從僧(ジウソウ)駈使(クシ)同朋(ホウ)推(スイ)参之道俗(タウソク)臨時之ノ客僧(かくソウ){人}任テレ人数ニ|云(イヽ)‖點心(テンシン)ト|云レ布施物ト|糺(タヽシテ)‖臈次(ラツシ)ヲ|可レ注(シルシ)給レ上下ノ品(シナ)ヲ|也〔文明四年本〕 ※布施(フせ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「推参」とし、訓みは、山田俊雄藏本に「スイサン」、文明四年本に「スイ(サン)」と記載する。
推参(スイサン/ヲシ、マイル)[平・平] 。〔態藝門1127四〕
推参(スイサン) 。〔弘・言語進退門271四〕
推参(スイサン) ―量(リヤウ)。―問(モン)/―察(サツ)。〔永・言語門231七〕
推参(スイサン) ―量。―察/―問。〔尭・言語門217六〕
推量(スイリヤウ) ―參(サン)。―察(サツ)/―問(モン)。―舉(キヨ)。〔言辞門241一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「推参」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
646聖道者從(シユ)僧駈使(クシ/ハシリツカイ)同朋(−ボウ)推参(スイ−)之道−俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施|物|糺‖臈次(ラツ−)ヲ| 糺‖臈次|。有‖式目四ケ条ニ|。老之次第也。〔謙堂文庫蔵五六左A〕
とあって、標記語「推参」の語を収載し、語注記は未記載にする。
同朋(ドウボウ)推参(スイサン)道俗(ゾク)臨時(リンジ)ノ客(キヤク)人任テ‖人數ニ|云(イヽ)‖點心ト|云‖布施(フせ)物ト|糺(タヽシ)‖ 同朋(ドウボウ)ハ。力者(リキシヤ)也。又弟子(デシ)兄(キヤウ)弟人歟〔下33オ七〜ウ一〕
推参(すいさん)之(の)道俗(だうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくじん)/推参之道俗臨時之客人 皆其時に當(あた)り不意(ふい)に來りし客をいふ。〔85ウ二・三〕
とあって、この標記語「推参」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
聖道(しやうたう)者(ハ)從僧(じうそう)驅使(くし)同朋(どうほう)推参(すいさん)之(の)道俗(たうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)人数(にんじゆに)に任(まかせ)せ點心(てんしん)と云(い)ひ布施物(ふせもつ)と云(い)ひ臈次(らつじ)を糺(たゞ)し上下(じやうげ)之(の)品(しな)を注(ちう)し給(たま)ふ可(べ)き也(なり)/聖道者從僧駈使同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施|物|糺‖臈次ヲ|可∨注‖給上下之品|也▲推参之道俗ハ推(おし)かけに参つて法義(ほふぎ)の談話(はなし)する者をいふ。〔62ウ三、62ウ七〕
聖道(しやうだう)者(ハ)從僧(じうそう)駈使(くし)同朋(どうほう)推参(すゐさん)之(の)道俗(だうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)任(まかせ)‖人数(にんじゆに)|云(いひ)‖点心(てんしんと)|云(いひ)‖布施物(ふせもつと)|糺(たゞし)‖臈次(らふじを)|可(べき)∨注(ちゆうし)‖給(たふ)上下(じやうげ)之(の)品(しなを)|也(なり)▲推参之道俗ハ推(おし)かけに参(まゐ)りて法義(ほふぎ)の談話(はなし)する者をいふ。〔112オ六、112ウ六〜113オ一〕
Suisan.スイサン(推参) Voxi,mairu.(推し,参る)呼ばれもしないのにやって来るとか,問われもしないのに語るとかすること.〔邦訳586r〕
すゐ-さん〔名〕【推参】(一)おしかくること。おして、まゐること。我れより、訪ふこと。平家物語、一、祇王妓女事「遊者は、人の召に隨ひてこそ參れ、左右なく、推參するやうやある」明衡往來「上酒一樽相具、可レ令二推參待一」(二)差しでがましきこと。出過(ですぎ)。太平記、十六、本間孫四郎遠矢事「如何なる推參の馬鹿者にてかありけむ」〔1071-2〕
同崩(ボウ) 。〔元亀二年本55三〕
同朋(ボウ) 。〔静嘉堂本61七〕
同朋(ホウ) 。〔天正十七年本中57ウ一〕〔西來寺本〕
聖道者從僧駈士同朋推参之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔至徳三年本〕
聖道者從僧駈使同朋推參之道俗臨時之客人任人數云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔宝徳三年本〕
聖道者従僧駈仕同朋推參之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下之品也〔建部傳内本〕
聖道者從僧(ジウソ)駈使(クジノ)同朋(ホウ)推参(スイサン)之道俗臨時ノ客人也任テ二人数ニ一云二點心ト一云二布施物ト一糺(タヽシテ)二臈次(ロウシ)ヲ一可キ三注シ二給ル上下ノ之品(シナ)ヲ一也〔山田俊雄藏本〕
聖道者從(シユウ)僧駈使(クシ)同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心ト|云(イヽ)‖布施物ト|糺(タヽシテ)二臈次(ラツシ)ヲ|可レ注シ二給上下ノ品(シナ)一也〔経覺筆本〕
聖道ニ者(ハ)從僧(ジウソウ)駈使(クシ)同朋(ホウ)推(スイ)参之道俗(タウソク)臨時之ノ客僧(かくソウ){人}任テレ人数ニ|云(イヽ)‖點心(テンシン)ト|云レ布施物ト|糺(タヽシテ)‖臈次(ラツシ)ヲ|可レ注(シルシ)給レ上下ノ品(シナ)ヲ|也〔文明四年本〕 ※布施(フせ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「同朋」とし、訓みは山田俊雄藏本・文明四年本に、「(ドウ)ホウ」と記載する。
同朋 同/トウホウ。〔畳字門上50オ四〕
同異 〃心。〃意。〃寮。〃文。〃母。〃法。〃道。〃類。〃車。〃宿。〃品。〃僚。〃門。〃莟トウレイ。〃朋。〃行。〔巻二・畳字門425一〕
同朋(ドウボウ/ヲナシ、トモ)[平・平] 遁世者也。〔人倫門127六〕
同朋(ドウボウ) 遁世者。〔弘・人倫門42一〕
同朋(ドウボウ) 。〔永・人倫門42九〕〔両・人倫門46六〕
同朋(トウバウ) 。〔尭・人倫門39五〕
同朋(ボウ) 。〔言辞門41一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「同朋」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
646聖道者從(シユ)僧駈使(クシ/ハシリツカイ)同朋(−ボウ)推参(スイ−)之道−俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施|物|糺‖臈次(ラツ−)ヲ| 糺‖臈次|。有‖式目四ケ条ニ|。老之次第也。〔謙堂文庫蔵五六左A〕
とあって、標記語「同朋」の語を収載し、語注記は未記載にする。
同朋(ドウボウ)推参(スイサン)道俗(ゾク)臨時(リンジ)ノ客(キヤク)人任テ‖人數ニ|云(イヽ)‖點心ト|云‖布施(フせ)物ト|糺(タヽシ)‖ 同朋(ドウボウ)ハ。力者(リキシヤ)也。又弟子(デシ)兄(キヤウ)弟人歟〔下33オ七〜ウ一〕
驅使(くし)同朋(どうぼう)/駈使同朋 小つかひのものなり。〔85ウ二〕
とあって、この標記語「同朋」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
聖道(しやうたう)者(ハ)從僧(じうそう)驅使(くし)同朋(どうほう)推参(すいさん)之(の)道俗(たうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)人数(にんじゆに)に任(まかせ)せ點心(てんしん)と云(い)ひ布施物(ふせもつ)と云(い)ひ臈次(らつじ)を糺(たゞ)し上下(じやうげ)之(の)品(しな)を注(ちう)し給(たま)ふ可(べ)き也(なり)/聖道者從僧駈使同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施|物|糺‖臈次ヲ|可∨注‖給上下之品|也▲同朋ハ近(ちか)く侍(はへ)りて用(よう)を聞(き)く者〔62ウ三、62ウ七〕
聖道(しやうだう)者(ハ)從僧(じうそう)駈使(くし)同朋(どうほう)推参(すゐさん)之(の)道俗(だうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)任(まかせ)‖人数(にんじゆに)|云(いひ)‖点心(てんしんと)|云(いひ)‖布施物(ふせもつと)|糺(たゞし)‖臈次(らふじを)|可(べき)∨注(ちゆうし)‖給(たふ)上下(じやうげ)之(の)品(しなを)|也(なり)▲同朋ハ近(ちか)く侍(はべ)りて用(よう)を聞(き)く者也。〔112オ六、112ウ六〕
Do>bo>.ドウボウ(同朋) 屋形(Yacata),すなわち,大名の御殿に奉公するある種の剃髪者.〔邦訳185l〕
どう-ぼう〔名〕【同朋】〔もと童坊(ドウバウ)に作る〕(一)足利義滿の時、時宗(ジシユウ)の僧を使はる。大紋の直垂に白袴の姿にて、御成の御供には必ず從ふものなれば、力者の頭なりしか。同朋故實考「同朋の始の事、さだかならざれども、鎌倉將軍家の比は、力者など云ひし者なるべし」貞丈雜記、四、役名「同朋と云は、剃髪の者にて、殿中にて諸侍につかはれ、雜役の者也、云云、或説に云、鹿苑院義滿公、十歳にて父におくれ給ひし時、細川頼之、執事となりて義滿公を養育す、其比、頼之のはからひにて、法師六人をえらび、異體の衣服を着させて、侫坊と名づけ、又童坊とも名づけ、何れも何阿彌と名のり、色色のたわけ事をさせ、たわことを云はせて殿中をありかせ、諸侍のなぶりものとし、わらひぐさとしけり、是れは義滿公に、侫人のにくみ給ふ樣に教へ奉る頼之下心也」(二)禪家にて、供法師の稱。承仕法師の流なり。(三)江戸時代、武家にて雑役に使用せし剃髪の小吏。幕府にては、將軍出行の時、扈從するもの。一名、ちまつりばうず(血祭坊主)と云へり。その條を見よ。東照宮御實紀、五、慶長八年三月廿五日「將軍、云云、御參内あり、云云、同朋全阿彌正次騎馬」廿四、依二山門嗷訴一公卿僉議事趙世家「いかなる大刹の長老、大同朋の人も、路次に行き逢ふ時は、膝を屈めて、地に跪き」〔0456-5〕
聖道者從僧駈士同朋推参之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔至徳三年本〕
聖道者從僧駈使同朋推參之道俗臨時之客人任人數云點心云布施物糺臈次可注給上下品也〔宝徳三年本〕
聖道者従僧駈仕同朋推參之道俗臨時之客人任人数云點心云布施物糺臈次可注給上下之品也〔建部傳内本〕
聖道者從僧(ジウソ)駈使(クジノ)同朋(ホウ)推参(スイサン)之道俗臨時ノ客人也任テ二人数ニ一云二點心ト一云二布施物ト一糺(タヽシテ)二臈次(ロウシ)ヲ一可キ三注シ二給ル上下ノ之品(シナ)ヲ一也〔山田俊雄藏本〕
聖道者從(シユウ)僧駈使(クシ)同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心ト|云(イヽ)‖布施物ト|糺(タヽシテ)二臈次(ラツシ)ヲ|可レ注シ二給上下ノ品(シナ)一也〔経覺筆本〕
聖道ニ者(ハ)從僧(ジウソウ)駈使(クシ)同朋(ホウ)推(スイ)参之道俗(タウソク)臨時之ノ客僧(かくソウ){人}任テレ人数ニ|云(イヽ)‖點心(テンシン)ト|云レ布施物ト|糺(タヽシテ)‖臈次(ラツシ)ヲ|可レ注(シルシ)給レ上下ノ品(シナ)ヲ|也〔文明四年本〕 ※布施(フせ)。
と見え、至徳三年本「駈士」、建部傳内本「駈仕」、宝徳三年本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「駈使」とし、訓みは山田俊雄藏本「クジ」、経覺筆本・文明四年本に「クシ」と記載する。
駈仕(クジ) 。〔人倫門129二〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本に標記語「駈仕」(「駈使」は未収載)の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
646聖道者從(シユ)僧駈使(クシ/ハシリツカイ)同朋(−ボウ)推参(スイ−)之道−俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施|物|糺‖臈次(ラツ−)ヲ| 糺‖臈次|。有‖式目四ケ条ニ|。老之次第也。〔謙堂文庫蔵五六左A〕
とあって、標記語「駈使」の語を収載し、語注記は未記載にする。
駈使(クシ) ハ定使也。〔下33オ七〕
驅使(くし)同朋(どうぼう)/駈使同朋 小つかひのものなり。〔85ウ二〕
とあって、この標記語「駈使」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
聖道(しやうたう)者(ハ)從僧(じうそう)驅使(くし)同朋(どうほう)推参(すいさん)之(の)道俗(たうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)人数(にんじゆに)に任(まかせ)せ點心(てんしん)と云(い)ひ布施物(ふせもつ)と云(い)ひ臈次(らつじ)を糺(たゞ)し上下(じやうげ)之(の)品(しな)を注(ちう)し給(たま)ふ可(べ)き也(なり)/聖道者從僧駈使同朋推参之道俗臨時ノ客人任‖人数ニ|云‖点心|云‖布施|物|糺‖臈次ヲ|可∨注‖給上下之品|也▲駈使ハ使(つかひ)を勤(つと)むる小者(こもの)也。〔62ウ三、62ウ七〕
聖道(しやうだう)者(ハ)從僧(じうそう)駈使(くし)同朋(どうほう)推参(すゐさん)之(の)道俗(だうぞく)臨時(りんじ)之(の)客人(きやくしん)任(まかせ)‖人数(にんじゆに)|云(いひ)‖点心(てんしんと)|云(いひ)‖布施物(ふせもつと)|糺(たゞし)‖臈次(らふじを)|可(べき)∨注(ちゆうし)‖給(たふ)上下(じやうげ)之(の)品(しなを)|也(なり)▲駈使ハ使(つかひ)を勤(つと)むる小者也。〔112オ六、112ウ五・六〕
ク-シ〔名〕【驅使】おひ、つかふこと。漢書、?長房傳「驅使社公」「奴僕を驅使す」〔0521-2〕
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