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ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
梅が枝に
莟花咲き
吾がこゝろ
馨しき道に
惠み育む
2005年
酉年元旦 Ca Podanno
索麺(サウメン) 。〔元亀二年本270三〕〔静嘉堂本308二〕
點心者水繊紅糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅〔至徳三年本〕
點心等([者])水繊紅([温])糟々鶏鼈羮羊羹武([饂])飩饅頭索麺碁子麺巻餅温餅〔宝徳三年本〕
點心者水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖饅頭素麺碁子麺巻餅温餅 武飩〔建部傳内本〕
點(テン)心ハ者水繊(せン)紅糟(ウンサウ)糟鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊(ヤウ)羹猪(チヨ)羹笋(シユン)羊羹驢腸(ロチヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンヂウ)索麺(サウメン)碁子(キシ)麺水團(ドン)巻餅(ケンビン)温(ウン)アタヽカナリ餅〔山田俊雄藏本〕
点心者(ハ)水繊(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(ソウケイ)鼈羮(ベツカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヨウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)饂飩(ウドン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシ)巻餅(ケンヒン)温(ウン)餅〔経覺筆本〕
點心者水蟾(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(サウケイ)鼈羮(ヘツカン)羊羹(ヤウカン)猪(チヨ)羹驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊(シユンヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温(アタヽカナ)餅ウンせン〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・建部傳内本が「素麺」とし、宝徳三年本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「索麺」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に・経覺筆本・文明四年本に「サウメン」と記載する。
索麺(サウメン) 。〔飲食門100二〕
索麺(サフメン/サク・モトム・ナワ、ムギ)[入・去] 跣與麪同。〔飲食門779一〕
索麺(サウメン) 。〔弘・食物門212八〕〔永・食物門177九〕〔尭・食物門166八〕
索麪(サウメン) ―餅(サクヘイ)。〔飲食門007三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「「素麺」は見えず、「索麺」「索麪」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
674索麺(サウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンヒン) 用油也。〔謙堂文庫蔵五八右@〕
とあって、標記語「索麺」の語を収載し、語注記は未記載にする。
水煎(スイせン)温糟(ウンサウ)曹鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊羹(ヤウカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)砂糖(サタウ)羊羹(ヤウカン)饂飩(ウンドン)饅頭(マンヂウ)索麺(ソウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温餅(アタヽケ)蒸餅菓子(クワシ)者(ハ)柚柑(ユカウ)柑子(カウジ)橘(タチバナ)熟送(ジユククワ)澤茄子(サワナスビ)等可(ヘキ)∨随( フ)‖時ノ景物(ケイブツ)ニ|伏兎(フト)曲煎餅(マガリせンベイ)焼餅(ヤキモチ)粢(シトギ)興米(ヲコシゴメ)索豬(サクベイ)糒(ホシヒ)粽(チマキ)等爲ニ‖ 至ルマデ點心也。常ノ如シ。菓子ナンドモ同前ナリ。〔下35オ一〜六〕
素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)/素麺碁子麺 是ハ皆形によりて名付し也。索ハなわ也。〔88ウ五〜六〕
とあって、この標記語「素麺」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さたうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)/點心者水繊温糟糟鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羊羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅○爰(こゝ)にいへる品(しな)ハすべて今の水菓子(ミづぐハし)蒸(むし)菓子の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまび)ならずよし名(な)を同(おなし)うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪に作るべし。〔65オ一、65オ四・五〕
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すゐせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(やうかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さとうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)○爰(こゝ)にいへる品ハすべて今の水菓子(ミつくわし)蒸(むし)菓子(くわし)の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまびらか)ならずまゝ名(な)を同うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪(そうめん)に作るべし。〔116ウ六、117オ四・五〕
So<men.サゥメン(索麺) そうめん.→Zoro.〔邦訳572l〕
さう-めん〔名〕【索麺】〔索麪(サクメン)の音便(格子(カクシ)、かうし。冊子(サクシ)、さうし)素?などと書くは、當字なり〕又、ほそもの。小麥の粉を、水と、鹽とに捏(こ)ねて、胡麻の油をつけて、昔は、麪板に載せ、麪棒にて押し伸ばしたれど、今は、器械にて伸べ、細そく切りて、索(ひも)として、乾したるもの、煮(ゆ)でて、食ふ。又醤油を加へ、煮て食ふを、煮麪(ニウメン)と云ひ、或は、ひやむぎの如く、冷水に浸し、汁にても食ふ。庭訓往來(元弘)十月「索麪、棊子麺」尺素往來(文明)「索麪者熱麥(あつむぎ)」七十一番職人盡歌合(文安)三十七番、さうめん賣「我が戀は、建仁寺なる、さうめんの、心太くも、思ひよるかな」〔0774-3〕
饅頭(マンヂウ) 。〔元亀二年本207五〕〔静嘉堂本236二〕
饅頭(マンチウ) 。〔天正十七年本中47ウ一〕
點心者水繊紅糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅〔至徳三年本〕
點心等([者])水繊紅([温])糟々鶏鼈羮羊羹武([饂])飩饅頭索麺碁子麺巻餅温餅〔宝徳三年本〕
點心者水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖饅頭素麺碁子麺巻餅温餅 武飩〔建部傳内本〕
點(テン)心ハ者水繊(せン)紅糟(ウンサウ)糟鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊(ヤウ)羹猪(チヨ)羹笋(シユン)羊羹驢腸(ロチヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンヂウ)索麺(サウメン)碁子(キシ)麺水團(ドン)巻餅(ケンビン)温(ウン)アタヽカナリ餅〔山田俊雄藏本〕
点心者(ハ)水繊(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(ソウケイ)鼈羮(ベツカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヨウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)饂飩(ウドン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシ)巻餅(ケンヒン)温(ウン)餅〔経覺筆本〕
點心者水蟾(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(サウケイ)鼈羮(ヘツカン)羊羹(ヤウカン)猪(チヨ)羹驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊(シユンヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温(アタヽカナ)餅ウンせン〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「饅頭」とし、訓みは、山田俊雄藏本に「マンヂウ」、経覺筆本・文明四年本に「マンチウ」と記載する。
饅頭(マンチウ) 。〔飲食門100二〕
饅頭(マンヂウ/―、カシラ・カウベ)[平・○] 饅與韭同字。異名牢丸。籠餅。縮葱。銀線。〔飲食門569七〕
饅頭(マンヂウ) 。〔弘・食用門170二〕〔永・食用門139八〕
饅頭(マンチウ) 。〔尭・食用門129二〕
饅頭(マンチウ) 。〔飲食門140三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「饅頭」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。とりわけ、広本『節用集』の語注記とは、大いに異なっていることも注意されたい。
673羊羹(ヤウカン)猪羹松露羹驢腸(ロチヤウ)羹笋羊羹(シユンヤウカン)鮮羹(セン−)砂糖羊羹(サタウ――)白魚羹(ハク――)蒸羊羹饂飩(ウントン)饅頭(マンチウ) 曼ハ土茸也。見∨経ニ土茸不成佛云々。故假‖食物ノ名ニ|用‖佛亊ニ|。其ノ故ハ皮ノ草ヲ結縁之意也。〔謙堂文庫蔵五七左G〕
とあって、標記語「饅頭」の語を収載し、語注記は「曼は土茸なり。経に見ゆ、土茸不成佛云々。故に食物の名に假し、佛亊に用ゆ。其の故は、皮の草を結縁の意なり」と記載する。
水煎(スイせン)温糟(ウンサウ)曹鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊羹(ヤウカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)砂糖(サタウ)羊羹(ヤウカン)饂飩(ウンドン)饅頭(マンヂウ)索麺(ソウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温餅(アタヽケ)蒸餅菓子(クワシ)者(ハ)柚柑(ユカウ)柑子(カウジ)橘(タチバナ)熟送(ジユククワ)澤茄子(サワナスビ)等可(ヘキ)∨随( フ)‖時ノ景物(ケイブツ)ニ|伏兎(フト)曲煎餅(マガリせンベイ)焼餅(ヤキモチ)粢(シトギ)興米(ヲコシゴメ)索豬(サクベイ)糒(ホシヒ)粽(チマキ)等爲ニ‖ 至ルマデ點心也。常ノ如シ。菓子ナンドモ同前ナリ。〔下35オ一〜六〕
饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)/饂飩饅頭 南都(なんと)の塩瀬(しほぜ)か先祖(せんそ)。中華(もろこし)にて其法を習ひて日本に来り。饅頭を作りはしめし故南都を始(はしめ)とす。饅頭と名けしハ頭のなめらかなるによる。〔88ウ四〜五〕
とあって、この標記語「饅頭」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さたうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)/點心者水繊温糟糟鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羊羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅○爰(こゝ)にいへる品(しな)ハすべて今の水菓子(ミづぐハし)蒸(むし)菓子の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまび)ならずよし名(な)を同(おなし)うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪に作るべし。〔65オ一、65オ四・五〕
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すゐせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(やうかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さとうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)○爰(こゝ)にいへる品ハすべて今の水菓子(ミつくわし)蒸(むし)菓子(くわし)の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまびらか)ならずまゝ名(な)を同うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪(そうめん)に作るべし。〔116ウ六、117オ四・五〕
Mangiu<.マンヂュウ(饅頭) 小麦の小さなパンであって,湯の蒸気で蒸した物.→Fucurame,uru;Man(饅);Muxi,su;Voman.〔邦訳383r〕
マン-ヂュウ〔名〕【饅頭】〔字の元代ノ音、暦應四年、元人、林淨因、建仁寺第三十五世、コ見龍山禪師に從ひて歸化し、南都にて作り始むと〕(一)餅菓子の名。麪粉(むぎこ)に精好なる甘酒を絞り入れ、捏(こ)ねて、中に餡(あん)を包みて、蒸し作る。形、圓く平たし。書言故事(宋、胡繼宗)十二、饌食類「饅頭、晉、束皙、餅賦、有二饅頭、薄餅、起、珊、牢九之號一、惟饅頭至レ今名存、而薄持、起、珊、牢九、莫レ曉二其何物一」下學集、下、飲食門「饅頭、マンヂウ」七十一番職人盡歌合、十八番、まむぢう賣「うりつくす、タイタウ餅や、まんぢう兎、聲ほのかなる、夕月夜かな」同、五十七番、調菜「いかにせん、こしきに蒸せる、饅頭の、思ひふくれて、人の戀しき」(二)袂時計の一名。〔盗人の語〕〔1902-5〕
饂飩(ウンドン) 。〔元亀二年本179四〕
饂飩(ウントン) 。〔静嘉堂本200四〕〔天正十七年本中29ウ三〕
點心者水繊紅糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅〔至徳三年本〕
點心等([者])水繊紅([温])糟々鶏鼈羮羊羹武([饂])飩饅頭索麺碁子麺巻餅温餅〔宝徳三年本〕
點心者水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖饅頭素麺碁子麺巻餅温餅 武飩〔建部傳内本〕
點(テン)心ハ者水繊(せン)紅糟(ウンサウ)糟鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊(ヤウ)羹猪(チヨ)羹笋(シユン)羊羹驢腸(ロチヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンヂウ)索麺(サウメン)碁子(キシ)麺水團(ドン)巻餅(ケンビン)温(ウン)アタヽカナリ餅〔山田俊雄藏本〕
点心者(ハ)水繊(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(ソウケイ)鼈羮(ベツカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヨウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)饂飩(ウドン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシ)巻餅(ケンヒン)温(ウン)餅〔経覺筆本〕
點心者水蟾(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(サウケイ)鼈羮(ヘツカン)羊羹(ヤウカン)猪(チヨ)羹驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊(シユンヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温(アタヽカナ)餅ウンせン〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・経覺筆本が「饂飩」、宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・文明四年本は「武飩」、と表記し、訓みは、山田俊雄藏本・文明四年本に「ウトン」、経覺筆本に「ウドン」と記載する。
饂飩(ウンドン) 。〔飲食門100一〕
温飩(ウンドン/アタヽカ、カレイ)[去・平] 或作二饂飩(ウンドン)ト一。〔飲食門475六〕
温飩(ドン) 或饂飩。〔弘・食物門150四〕
温飩(ウンドン) 或饂―。〔永・食物門122三〕
温飩(ウトン) 又作饂―。〔尭・食物門112一〕
温飩(ウンドン) 又作饂―。〔両・食物門136四〕
武飩(ウ ドン) 。〔食服門118一〕
※この表記は、上記古写本『庭訓往來』(宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・文明四年本)に共通している。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「饂飩」「温飩」「武飩」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
673羊羹(ヤウカン)猪羹松露羹驢腸(ロチヤウ)羹笋羊羹(シユンヤウカン)鮮羹(セン−)砂糖羊羹(サタウ――)白魚羹(ハク――)蒸羊羹饂飩(ウントン)饅頭(マンチウ) 曼ハ土茸也。見∨経ニ土茸不成佛云々。故假‖食物ノ名ニ|用‖佛亊ニ|。其ノ故ハ皮ノ草ヲ結縁之意也。〔謙堂文庫蔵五七左G〕
とあって、標記語「饂飩」の語を収載し、語注記は未記載にする。
水煎(スイせン)温糟(ウンサウ)曹鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊羹(ヤウカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)砂糖(サタウ)羊羹(ヤウカン)饂飩(ウンドン)饅頭(マンヂウ)索麺(ソウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温餅(アタヽケ)蒸餅菓子(クワシ)者(ハ)柚柑(ユカウ)柑子(カウジ)橘(タチバナ)熟送(ジユククワ)澤茄子(サワナスビ)等可(ヘキ)∨随( フ)‖時ノ景物(ケイブツ)ニ|伏兎(フト)曲煎餅(マガリせンベイ)焼餅(ヤキモチ)粢(シトギ)興米(ヲコシゴメ)索豬(サクベイ)糒(ホシヒ)粽(チマキ)等爲ニ‖ 至ルマデ點心也。常ノ如シ。菓子ナンドモ同前ナリ。〔下35オ一〜六〕
饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)/饂飩饅頭 南都(なんと)の塩瀬(しほぜ)か先祖(せんそ)。中華(もろこし)にて其法を習ひて日本に来り。饅頭を作りはしめし故南都を始(はしめ)とす。饅頭と名けしハ頭のなめらかなるによる。〔88ウ四〜五〕
とあって、この標記語「饂飩」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さたうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)/點心者水繊温糟糟鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羊羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅○爰(こゝ)にいへる品(しな)ハすべて今の水菓子(ミづぐハし)蒸(むし)菓子の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまび)ならずよし名(な)を同(おなし)うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪に作るべし。〔65オ一、65オ四・五〕
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すゐせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(やうかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さとうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)○爰(こゝ)にいへる品ハすべて今の水菓子(ミつくわし)蒸(むし)菓子(くわし)の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまびらか)ならずまゝ名(な)を同うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪(そうめん)に作るべし。〔116ウ六、117オ四・五〕
Vdon.ウンドン(温飩・饂飩) 小麦粉を捏ねて非常に細く薄く作り,煮たもので,素麺,あるいは,切麦(Quirimugui)のような食物の一種.〔邦訳689r〕
うん-どん〔名〕【饂飩】〔饂は温なるに、飩の食偏に連れて、連字改偏旁せしなり、輻湊を輻輳、爛漫を爛澣とする類〕約めて、うどん。こむぎこに鹽を加へて、水にて固くこねて、薄く展べ、細そく切りたるもの。煮(ゆ)でて、汁に浸して食ふ。温飩。切麪。麪條。庭訓往來、十月「饂飩」〔0259-1〕
う-どん〔名〕【饂飩】うんどんの約。宗五大雙紙「饂飩も點心にて候へども、殿上にても私にても、急度したる一獻に見及ばず候」〔0247-1〕
砂糖羊羹(サタウヤウカン) 。〔元亀二年本276二〕〔静嘉堂本316二〕
點心者水繊紅糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅〔至徳三年本〕
點心等([者])水繊紅([温])糟々鶏鼈羮羊羹武([饂])飩饅頭索麺碁子麺巻餅温餅〔宝徳三年本〕
點心者水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖饅頭素麺碁子麺巻餅温餅 武飩〔建部傳内本〕
點(テン)心ハ者水繊(せン)紅糟(ウンサウ)糟鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊(ヤウ)羹猪(チヨ)羹笋(シユン)羊羹驢腸(ロチヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンヂウ)索麺(サウメン)碁子(キシ)麺水團(ドン)巻餅(ケンビン)温(ウン)アタヽカナリ餅〔山田俊雄藏本〕
点心者(ハ)水繊(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(ソウケイ)鼈羮(ベツカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヨウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)饂飩(ウドン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシ)巻餅(ケンヒン)温(ウン)餅〔経覺筆本〕
點心者水蟾(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(サウケイ)鼈羮(ヘツカン)羊羹(ヤウカン)猪(チヨ)羹驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊(シユンヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温(アタヽカナ)餅ウンせン〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本が「砂糖羹」、建部傳内本が「砂糖」、山田俊雄藏本・文明四年本が「砂糖羊羹」とし、宝徳三年本・経覺筆本は、「砂糖羊羹」の語を未記載にする。訓みは、山田俊雄藏本・文明四年本に「サタウ(ヤウカン)」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、唯一『運歩色葉集』に標記語「砂糖羊羹」の語を収載し、これをまた、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。その他、下記『日葡辞書』に収載する語となっている。
673羊羹(ヤウカン)猪羹松露羹驢腸(ロチヤウ)羹笋羊羹(シユンヤウカン)鮮羹(セン−)砂糖羊羹(サタウ――)白魚羹(ハク――)蒸羊羹饂飩(ウントン)饅頭(マンチウ) 曼ハ土茸也。見∨経ニ土茸不成佛云々。故假‖食物ノ名ニ|用‖佛亊ニ|。其ノ故ハ皮ノ草ヲ結縁之意也。〔謙堂文庫蔵五七左G〕
とあって、標記語「砂糖羊羹」の語を収載し、語注記は未記載にする。
水煎(スイせン)温糟(ウンサウ)曹鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊羹(ヤウカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)砂糖(サタウ)羊羹(ヤウカン)饂飩(ウンドン)饅頭(マンヂウ)索麺(ソウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温餅(アタヽケ)蒸餅菓子(クワシ)者(ハ)柚柑(ユカウ)柑子(カウジ)橘(タチバナ)熟送(ジユククワ)澤茄子(サワナスビ)等可(ヘキ)∨随( フ)‖時ノ景物(ケイブツ)ニ|伏兎(フト)曲煎餅(マガリせンベイ)焼餅(ヤキモチ)粢(シトギ)興米(ヲコシゴメ)索豬(サクベイ)糒(ホシヒ)粽(チマキ)等爲ニ‖ 至ルマデ點心也。常ノ如シ。菓子ナンドモ同前ナリ。〔下35オ一〜六〕
水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖(さとう)羊羹(ようかん)/水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹(しんよふかん)砂糖羊羹 鳥獣(とりけたもの)等の名を付たるハ実に其肉(にく)を以て制(せい)したるにはあらす。其美味(びミ)の作たるを以て名付けたるなり。〔88ウ一〜四〕
とあって、この標記語「砂糖羊羹」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さたうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)/點心者水繊温糟糟鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羊羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅○爰(こゝ)にいへる品(しな)ハすべて今の水菓子(ミづぐハし)蒸(むし)菓子の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまび)ならずよし名(な)を同(おなし)うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪に作るべし。〔65オ一、65オ四・五〕
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すゐせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(やうかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さとうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)○爰(こゝ)にいへる品ハすべて今の水菓子(ミつくわし)蒸(むし)菓子(くわし)の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまびらか)ならずまゝ名(な)を同うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪(そうめん)に作るべし。〔116ウ六、117オ四・五〕
Sato<yo<can.サタゥヤゥカン(砂糖羊羹) 豆と砂糖とで作る,甘い板菓子〔羊羹〕の一種.〔邦訳561r〕
笋羊羹(ジユンヤウカン) 。〔元亀二年本322三〕〔静嘉堂本380二〕
點心者水繊紅糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅〔至徳三年本〕
點心等([者])水繊紅([温])糟々鶏鼈羮羊羹武([饂])飩饅頭索麺碁子麺巻餅温餅〔宝徳三年本〕
點心者水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖饅頭素麺碁子麺巻餅温餅 武飩〔建部傳内本〕
點(テン)心ハ者水繊(せン)紅糟(ウンサウ)糟鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊(ヤウ)羹猪(チヨ)羹笋(シユン)羊羹驢腸(ロチヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンヂウ)索麺(サウメン)碁子(キシ)麺水團(ドン)巻餅(ケンビン)温(ウン)アタヽカナリ餅〔山田俊雄藏本〕
点心者(ハ)水繊(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(ソウケイ)鼈羮(ベツカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヨウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)饂飩(ウドン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシ)巻餅(ケンヒン)温(ウン)餅〔経覺筆本〕
點心者水蟾(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(サウケイ)鼈羮(ヘツカン)羊羹(ヤウカン)猪(チヨ)羹驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊(シユンヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温(アタヽカナ)餅ウンせン〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「笋羊羹」とし、宝徳三年本は、未収載にある。訓みは、山田俊雄藏本に「シユン(ヤウカン)」、文明四年本に「シユンヤウ(カン)」、経覺筆本に「シユンヤウカン」と記載する。
羮名(カンノナ) 鶏舌羮(ケイゼツカン)。笋羊(シユンヤウ)羹。砂糖羊羹(サタウヤウ )。麩羊羹(フヤウ )。水精包羮(スイシヤウハウ )。雲月(ウンゲツ)。猪(チヨ)羹。寸金(スンキン)羮。雲膳羮(ウンゼン )。白魚(ハクギヨ)羮。鼈羮(ベツ )。階腸羹(ロチヤウカン)。水蟾羹(スイセン )。宝珠羹(ホウシユ )。曹鶏羹(サウケイ )。〔弘・食物門81六〕
笋羊羹(シユンヤウカン) 。〔食服門208五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「笋羊羹」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
673羊羹(ヤウカン)猪羹松露羹驢腸(ロチヤウ)羹笋羊羹(シユンヤウカン)鮮羹(セン−)砂糖羊羹(サタウ――)白魚羹(ハク――)蒸羊羹饂飩(ウントン)饅頭(マンチウ) 曼ハ土茸也。見∨経ニ土茸不成佛云々。故假‖食物ノ名ニ|用‖佛亊ニ|。其ノ故ハ皮ノ草ヲ結縁之意也。〔謙堂文庫蔵五七左G〕
とあって、標記語「笋羊羹」の語を収載し、語注記は未記載にする。
水煎(スイせン)温糟(ウンサウ)曹鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊羹(ヤウカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)砂糖(サタウ)羊羹(ヤウカン)饂飩(ウンドン)饅頭(マンヂウ)索麺(ソウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温餅(アタヽケ)蒸餅菓子(クワシ)者(ハ)柚柑(ユカウ)柑子(カウジ)橘(タチバナ)熟送(ジユククワ)澤茄子(サワナスビ)等可(ヘキ)∨随( フ)‖時ノ景物(ケイブツ)ニ|伏兎(フト)曲煎餅(マガリせンベイ)焼餅(ヤキモチ)粢(シトギ)興米(ヲコシゴメ)索豬(サクベイ)糒(ホシヒ)粽(チマキ)等爲ニ‖ 至ルマデ點心也。常ノ如シ。菓子ナンドモ同前ナリ。〔下35オ一〜六〕
水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)/水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹(しんよふかん) 鳥獣(とりけたもの)等の名を付たるハ実に其肉(にく)を以て制(せい)したるにはあらす。其美味(びミ)の作たるを以て名付けたるなり。〔88ウ一〜四〕
とあって、この標記語「笋羊羹」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さたうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)/點心者水繊温糟糟鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羊羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅○爰(こゝ)にいへる品(しな)ハすべて今の水菓子(ミづぐハし)蒸(むし)菓子の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまび)ならずよし名(な)を同(おなし)うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪に作るべし。〔65オ一、65オ四・五〕
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すゐせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(やうかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さとうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)○爰(こゝ)にいへる品ハすべて今の水菓子(ミつくわし)蒸(むし)菓子(くわし)の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまびらか)ならずまゝ名(な)を同うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪(そうめん)に作るべし。〔116ウ六、117オ四・五〕
驢腸羹(ロチヤウカン) 。〔元亀二年本24一〕
階腸羹(ロチヤウカン) 。〔静嘉堂本21五〕〔天正十七年本上11ウ七〕
點心者水繊紅糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅〔至徳三年本〕
點心等([者])水繊紅([温])糟々鶏鼈羮羊羹武([饂])飩饅頭索麺碁子麺巻餅温餅〔宝徳三年本〕
點心者水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖饅頭素麺碁子麺巻餅温餅 武飩〔建部傳内本〕
點(テン)心ハ者水繊(せン)紅糟(ウンサウ)糟鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊(ヤウ)羹猪(チヨ)羹笋(シユン)羊羹驢腸(ロチヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンヂウ)索麺(サウメン)碁子(キシ)麺水團(ドン)巻餅(ケンビン)温(ウン)アタヽカナリ餅〔山田俊雄藏本〕
点心者(ハ)水繊(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(ソウケイ)鼈羮(ベツカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヨウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)饂飩(ウドン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシ)巻餅(ケンヒン)温(ウン)餅〔経覺筆本〕
點心者水蟾(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(サウケイ)鼈羮(ヘツカン)羊羹(ヤウカン)猪(チヨ)羹驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊(シユンヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温(アタヽカナ)餅ウンせン〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「驢腸羹」とし、宝徳三年本は、未収載にする。訓みは、山田俊雄藏本に「ロチヤウ(カン)」、経覺筆本・文明四年本に「ロチヤウカン」と記載する。
鷺腸羹(ロチヤウカン) 。〔飲食門100一〕
驢腸羹(ロチヤウカン/ウサギムマ、ハラワタ、カウ)[平・平・平] 。〔飲食門44八〕
鷺腸羹(ロチヤウカン) 。〔弘・食物門15八〕〔永・食物門13七〕〔尭・食物門12二〕〔両・食物門13七〕
羮名(カンノナ) 鶏舌羮(ケイゼツカン)。笋羊(シユンヤウ)羹。砂糖羊羹(サタウヤウ )。麩羊羹(フヤウ )。水精包羮(スイシヤウハウ )。雲月(ウンゲツ)。猪(チヨ)羹。寸金(スンキン)羮。雲膳羮(ウンゼン )。白魚(ハクギヨ)羮。鼈羮(ベツ )。階腸羹(ロチヤウカン)。水蟾羹(スイセン )。宝珠羹(ホウシユ )。曹鶏羹(サウケイ )。〔弘・食物門81六〕
驢腸羹(ロチヤウカン) 。〔衣食門12一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「鷺腸羹」と「驢腸羹」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本は後者の表記で収載している。
673羊羹(ヤウカン)猪羹松露羹驢腸(ロチヤウ)羹笋羊羹(シユンヤウカン)鮮羹(セン−)砂糖羊羹(サタウ――)白魚羹(ハク――)蒸羊羹饂飩(ウントン)饅頭(マンチウ) 曼ハ土茸也。見∨経ニ土茸不成佛云々。故假‖食物ノ名ニ|用‖佛亊ニ|。其ノ故ハ皮ノ草ヲ結縁之意也。〔謙堂文庫蔵五七左G〕
とあって、標記語「驢腸羹」の語を収載し、語注記は未記載にする。
水煎(スイせン)温糟(ウンサウ)曹鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊羹(ヤウカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)砂糖(サタウ)羊羹(ヤウカン)饂飩(ウンドン)饅頭(マンヂウ)索麺(ソウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温餅(アタヽケ)蒸餅菓子(クワシ)者(ハ)柚柑(ユカウ)柑子(カウジ)橘(タチバナ)熟送(ジユククワ)澤茄子(サワナスビ)等可(ヘキ)∨随( フ)‖時ノ景物(ケイブツ)ニ|伏兎(フト)曲煎餅(マガリせンベイ)焼餅(ヤキモチ)粢(シトギ)興米(ヲコシゴメ)索豬(サクベイ)糒(ホシヒ)粽(チマキ)等爲ニ‖ 至ルマデ點心也。常ノ如シ。菓子ナンドモ同前ナリ。〔下35オ一〜六〕
水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)/水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹(しんよふかん) 鳥獣(とりけたもの)等の名を付たるハ実に其肉(にく)を以て制(せい)したるにはあらす。其美味(びミ)の作たるを以て名付けたるなり。〔88ウ一〜四〕
とあって、この標記語「驢腸羹」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さたうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)/點心者水繊温糟糟鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羊羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅○爰(こゝ)にいへる品(しな)ハすべて今の水菓子(ミづぐハし)蒸(むし)菓子の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまび)ならずよし名(な)を同(おなし)うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪に作るべし。〔65オ一、65オ四・五〕
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すゐせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(やうかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さとうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)○爰(こゝ)にいへる品ハすべて今の水菓子(ミつくわし)蒸(むし)菓子(くわし)の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまびらか)ならずまゝ名(な)を同うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪(そうめん)に作るべし。〔116ウ六、117オ四・五〕
猪羹(ヂヨカン) 。〔元亀二年本67四〕
猪(チヨ)羹 。〔静嘉堂本79三〕
猪羹(チヨカン) 。〔天正十七年本上39ウ七〕〔西來寺本〕
點心者水繊紅糟々鶏鼈羮猪羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅〔至徳三年本〕
點心等([者])水繊紅([温])糟々鶏鼈羮羊羹武([饂])飩饅頭索麺碁子麺巻餅温餅〔宝徳三年本〕
點心者水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖饅頭素麺碁子麺巻餅温餅 武飩〔建部傳内本〕
點(テン)心ハ者水繊(せン)紅糟(ウンサウ)糟鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊(ヤウ)羹猪(チヨ)羹笋(シユン)羊羹驢腸(ロチヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンヂウ)索麺(サウメン)碁子(キシ)麺水團(ドン)巻餅(ケンビン)温(ウン)アタヽカナリ餅〔山田俊雄藏本〕
点心者(ハ)水繊(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(ソウケイ)鼈羮(ベツカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヨウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)饂飩(ウドン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシ)巻餅(ケンヒン)温(ウン)餅〔経覺筆本〕
點心者水蟾(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(サウケイ)鼈羮(ヘツカン)羊羹(ヤウカン)猪(チヨ)羹驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊(シユンヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温(アタヽカナ)餅ウンせン〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「猪羹」とし、宝徳三年本は、未収載にある。訓みは、山田俊雄藏本に・文明四年本に「チヨ(カン)」、経覺筆本に「チヨカン」と記載する。
羮名(カンノナ) 鶏舌羮(ケイゼツカン)。笋羊(シユンヤウ)羹。砂糖羊羹(サタウヤウ )。麩羊羹(フヤウ )。水精包羮(スイシヤウハウ )。雲月(ウンゲツ)。猪(チヨ)羹。寸金(スンキン)羮。雲膳羮(ウンゼン )。白魚(ハクギヨ)羮。鼈羮(ベツ )。驢腸羹(ロチヤウ )。水蟾羹(スイセン )。宝珠羹(ホウシユ )。曹鶏羹(サウケイ )。〔弘・食物門81六〕
猪羹(チヨカン) 。〔食服門50五〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』・易林本『節用集』に標記語「猪羹」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
673羊羹(ヤウカン)猪羹松露羹驢腸(ロチヤウ)羹笋羊羹(シユンヤウカン)鮮羹(セン−)砂糖羊羹(サタウ――)白魚羹(ハク――)蒸羊羹饂飩(ウントン)饅頭(マンチウ) 曼ハ土茸也。見∨経ニ土茸不成佛云々。故假‖食物ノ名ニ|用‖佛亊ニ|。其ノ故ハ皮ノ草ヲ結縁之意也。〔謙堂文庫蔵五七左G〕
とあって、標記語「猪羹」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
水煎(スイせン)温糟(ウンサウ)曹鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊羹(ヤウカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)砂糖(サタウ)羊羹(ヤウカン)饂飩(ウンドン)饅頭(マンヂウ)索麺(ソウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温餅(アタヽケ)蒸餅菓子(クワシ)者(ハ)柚柑(ユカウ)柑子(カウジ)橘(タチバナ)熟送(ジユククワ)澤茄子(サワナスビ)等可(ヘキ)∨随( フ)‖時ノ景物(ケイブツ)ニ|伏兎(フト)曲煎餅(マガリせンベイ)焼餅(ヤキモチ)粢(シトギ)興米(ヲコシゴメ)索豬(サクベイ)糒(ホシヒ)粽(チマキ)等爲ニ‖ 至ルマデ點心也。常ノ如シ。菓子ナンドモ同前ナリ。〔下35オ一〜六〕
水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)猪羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)/水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹(しんよふかん) 鳥獣(とりけたもの)等の名を付たるハ実に其肉(にく)を以て制(せい)したるにはあらす。其美味(びミ)の作たるを以て名付けたるなり。〔88ウ一〜四〕
とあって、この標記語「猪羹」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さたうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)/點心者水繊温糟糟鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羊羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅○爰(こゝ)にいへる品(しな)ハすべて今の水菓子(ミづぐハし)蒸(むし)菓子の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまび)ならずよし名(な)を同(おなし)うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪に作るべし。〔65オ一、65オ四・五〕
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すゐせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(やうかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さとうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)○爰(こゝ)にいへる品ハすべて今の水菓子(ミつくわし)蒸(むし)菓子(くわし)の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまびらか)ならずまゝ名(な)を同うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪(そうめん)に作るべし。〔116ウ六、117オ四・五〕
Chocan.チョカン(猪羹) 豆や砂糖などで作られるある甘い食物.sarapatelに類するシナの或る料理に似せて作ったもの.※1)原文はasuquere.acucarの古形.Couorizaito<の条などにも用例がある.2)豚や羊の臓物や血などで調理したポルトガルのシチューの一種.〔邦訳125r〕
羊羹(ヤウカン) 。〔元亀二年本202六〕〔静嘉堂本229二〕
羊羹(カン) 。〔天正十七年本中44オ八〕
點心者水繊紅糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅〔至徳三年本〕
點心等([者])水繊紅([温])糟々鶏鼈羮羊羹武([饂])飩饅頭索麺碁子麺巻餅温餅〔宝徳三年本〕
點心者水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖饅頭素麺碁子麺巻餅温餅 武飩〔建部傳内本〕
點(テン)心ハ者水繊(せン)紅糟(ウンサウ)糟鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊(ヤウ)羹猪(チヨ)羹笋(シユン)羊羹驢腸(ロチヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンヂウ)索麺(サウメン)碁子(キシ)麺水團(ドン)巻餅(ケンビン)温(ウン)アタヽカナリ餅〔山田俊雄藏本〕
点心者(ハ)水繊(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(ソウケイ)鼈羮(ベツカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヨウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)饂飩(ウドン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシ)巻餅(ケンヒン)温(ウン)餅〔経覺筆本〕
點心者水蟾(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(サウケイ)鼈羮(ヘツカン)羊羹(ヤウカン)猪(チヨ)羹驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊(シユンヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温(アタヽカナ)餅ウンせン〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「羊羹」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に「ヤウ(カン)」、文明四年本に「ヤウカン」と記載する。
羊羹(ヤウカン) 。〔飲食門100一〕
羊羹(ヤウカン/ヒツジ、ホウ・アツモノ)[平・平] 。〔飲食門557一〕
羊羹(ヤウカン) 砂糖(サタウ)。〔弘・食物門166八〕
羊羹 砂糖――。〔永・食物門136六〕
羊羹(ヤウカン) 砂糖――。〔尭・食物門125六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「羊羹」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
673羊羹(ヤウカン)猪羹松露羹驢腸(ロチヤウ)羹笋羊羹(シユンヤウカン)鮮羹(セン−)砂糖羊羹(サタウ――)白魚羹(ハク――)蒸羊羹饂飩(ウントン)饅頭(マンチウ) 曼ハ土茸也。見∨経ニ土茸不成佛云々。故假‖食物ノ名ニ|用‖佛亊ニ|。其ノ故ハ皮ノ草ヲ結縁之意也。〔謙堂文庫蔵五七左G〕
とあって、標記語「羊羹」の語を収載し、語注記は未記載にする。
水煎(スイせン)温糟(ウンサウ)曹鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊羹(ヤウカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)砂糖(サタウ)羊羹(ヤウカン)饂飩(ウンドン)饅頭(マンヂウ)索麺(ソウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温餅(アタヽケ)蒸餅菓子(クワシ)者(ハ)柚柑(ユカウ)柑子(カウジ)橘(タチバナ)熟送(ジユククワ)澤茄子(サワナスビ)等可(ヘキ)∨随( フ)‖時ノ景物(ケイブツ)ニ|伏兎(フト)曲煎餅(マガリせンベイ)焼餅(ヤキモチ)粢(シトギ)興米(ヲコシゴメ)索豬(サクベイ)糒(ホシヒ)粽(チマキ)等爲ニ‖ 至ルマデ點心也。常ノ如シ。菓子ナンドモ同前ナリ。〔下35オ一〜六〕
水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)/水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹(しんよふかん) 鳥獣(とりけたもの)等の名を付たるハ実に其肉(にく)を以て制(せい)したるにはあらす。其美味(びミ)の作たるを以て名付けたるなり。〔88ウ一〜四〕
とあって、この標記語「羊羹」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さたうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)/點心者水繊温糟糟鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羊羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅○爰(こゝ)にいへる品(しな)ハすべて今の水菓子(ミづぐハし)蒸(むし)菓子の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまび)ならずよし名(な)を同(おなし)うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪に作るべし。〔65オ一、65オ四・五〕
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すゐせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(やうかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さとうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)○爰(こゝ)にいへる品ハすべて今の水菓子(ミつくわし)蒸(むし)菓子(くわし)の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまびらか)ならずまゝ名(な)を同うするものも古今形製異なることあらん。素麪ハ索麪(そうめん)に作るべし。〔116ウ六、117オ四・五〕
Yo<can.ヤゥカン(羊羹) 豆に粗糖をまぜて,こねったもので作った食物.※原文はJagra.〔Curozato<の注〕〔邦訳823r〕
やう-カン〔名〕【羊羹】〔カンは、支那音羹(キヤング)なるべきか、或は、羹(カウ)の音轉か、(庚申(カウシン))、カンシン、甲乙(カフオツ)、かんおつ、冠(かうぶり)、かんむり、馨(かうばし)、かんばし〕支那にて羊羹と云ふは、戰國策、中山策に「中山君饗都士大夫、云云、羊羹不レ遍」とあり、羊肉のあつものなれば、固より當らず、是れれは羊肝茵にて(茵は餅(もち)なり)、羹、茵、同音なれば、通はせ用ゐたるなり。(羹を茵の意とし、菓子の名とすと云ふ)羊肝とは、其形色、羊の肝に相似たれば云ふ、牛皮糖の如し〕(一)蒸菓子の名。赤小豆を煮て、擂りて皮を去り、水を絞り去りて、其粉に麪粉を加へ、砂糖汁にてこねて、釜にて蒸したるもの。後に、ねり羊羹、出来てより、これをむし羊羹と云ふ。豆沙茵。ねり羊羹は、製、同じく、但し、麪粉を加へず、カンテン(寒天)にて煉り凝らしめて、蒸さず。庭訓往來、十月「點心者、云云、羊羹、猪羹、驢腸羹、笋羊羹、砂糖羊羹」(二)K羽二重の羽織などの、古くなりて色褪め赤みを帶びたるを云ふ。(三)やうかんがみ(羊羹紙)の略。竹屋紙。〔2024-5〕
糟介(サウケイ)羮(カン) 。〔元亀二年本275五〕〔静嘉堂本315一〕
點心者水繊紅糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅〔至徳三年本〕
點心等([者])水繊紅([温])糟々鶏鼈羮羊羹武([饂])飩饅頭索麺碁子麺巻餅温餅〔宝徳三年本〕
點心者水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖饅頭素麺碁子麺巻餅温餅 武飩〔建部傳内本〕
點(テン)心ハ者水繊(せン)紅糟(ウンサウ)糟鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊(ヤウ)羹猪(チヨ)羹笋(シユン)羊羹驢腸(ロチヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンヂウ)索麺(サウメン)碁子(キシ)麺水團(ドン)巻餅(ケンビン)温(ウン)アタヽカナリ餅〔山田俊雄藏本〕
点心者(ハ)水繊(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(ソウケイ)鼈羮(ベツカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヨウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)饂飩(ウドン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシ)巻餅(ケンヒン)温(ウン)餅〔経覺筆本〕
點心者水蟾(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(サウケイ)鼈羮(ヘツカン)羊羹(ヤウカン)猪(チヨ)羹驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊(シユンヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温(アタヽカナ)餅ウンせン〔文明四年本〕
と見え、山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「糟鶏」とし、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本は、「々鶏」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に「(サウ)ケイ」・経覺筆本・文明四年本に「サウケイ」と記載する。
糟鶏(サウケイ) 。〔飲食門100二〕
糟介(サウケイ/カス、ニワトリ)[平・平] 。〔飲食門779二〕
糟介(サウケイ) 。〔弘・食物門212八〕〔永・食物門177九〕〔尭・食物門166八〕
糟介(サウケイ) ―糠(カウ)。〔食服門178三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「糟鶏」乃至「糟介」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
671曹鶏(ソヲケイ) 或作∨糟用∨麦也。〔謙堂文庫蔵五七左E〕
とあって、標記語「曹鶏」の語を収載し、語注記は、「或は糟に作り、麦に用いるなり」と記載する。
水煎(スイせン)温糟(ウンサウ)曹鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊羹(ヤウカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)砂糖(サタウ)羊羹(ヤウカン)饂飩(ウンドン)饅頭(マンヂウ)索麺(ソウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温餅(アタヽケ)蒸餅菓子(クワシ)者(ハ)柚柑(ユカウ)柑子(カウジ)橘(タチバナ)熟送(ジユククワ)澤茄子(サワナスビ)等可(ヘキ)∨随( フ)‖時ノ景物(ケイブツ)ニ|伏兎(フト)曲煎餅(マガリせンベイ)焼餅(ヤキモチ)粢(シトギ)興米(ヲコシゴメ)索豬(サクベイ)糒(ホシヒ)粽(チマキ)等爲ニ‖ 至ルマデ點心也。常ノ如シ。菓子ナンドモ同前ナリ。〔下35オ一〜六〕
水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)/水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹(しんよふかん) 鳥獣(とりけたもの)等の名を付たるハ実に其肉(にく)を以て制(せい)したるにはあらす。其美味(びミ)の作たるを以て名付けたるなり。〔88ウ一〜四〕
とあって、この標記語「糟鶏」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さたうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)/點心者水繊温糟糟鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羊羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅○爰(こゝ)にいへる品(しな)ハすべて今の水菓子(ミづぐハし)蒸(むし)菓子の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまび)ならずよし名(な)を同(おなし)うするものも古今形製異なることあらん。素麺ハ索麪に作るべし。〔65オ一、65オ四・五〕
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すゐせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(やうかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さとうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)○爰(こゝ)にいへる品ハすべて今の水菓子(ミつくわし)蒸(むし)菓子(くわし)の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまびらか)ならずまゝ名(な)を同うするものも古今形製異なることあらん。素麺ハ索麪(そうめん)に作るべし。〔116ウ六、117オ四・五〕
So<qei.ソウケイ(曹鶏) ある料理の名前.〔邦訳574r〕
紅糟(ウンザウ) 。〔元亀二年本180二〕〔静嘉堂本201六〕
紅糟(ウンサウ) 。〔天正十七年本中29ウ三〕
點心者水繊紅糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅〔至徳三年本〕
點心等([者])水繊紅([温])糟々鶏鼈羮羊羹武([饂])飩饅頭索麺碁子麺巻餅温餅〔宝徳三年本〕
點心者水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖饅頭素麺碁子麺巻餅温餅武飩〔建部傳内本〕
點(テン)心ハ者水繊(せン)紅糟(ウンサウ)糟鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊(ヤウ)羹猪(チヨ)羹笋(シユン)羊羹驢腸(ロチヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンヂウ)索麺(サウメン)碁子(キシ)麺水團(ドン)巻餅(ケンビン)温(ウン)アタヽカナリ餅〔山田俊雄藏本〕
点心者(ハ)水繊(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(ソウケイ)鼈羮(ベツカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヨウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)饂飩(ウドン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシ)巻餅(ケンヒン)温(ウン)餅〔経覺筆本〕
點心者水蟾(せン)温糟(ウンサウ)糟鶏(サウケイ)鼈羮(ヘツカン)羊羹(ヤウカン)猪(チヨ)羹驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊(シユンヤウ)羹砂糖(サタウ)羊羹武飩(ウトン)饅頭(マンチウ)索麺(サウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温(アタヽカナ)餅ウンせン〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・山田俊雄藏本が「紅糟」とし、建部傳内本・経覺筆本・文明四年本は、「温糟」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に・経覺筆本・文明四年本に「ウンサウ」と記載する。
紅糟(ウンザウ) 。〔飲食門100三〕
温糟(ウンサウ/アタヽカ、カス)[平・平] 或作二紅糟一。〔飲食門416六〕
温糟(ウンザウ) 或紅糟。〔弘・食物門150四〕
温糟(ウンザウ) 或作レ紅糟。〔永・食物門122三〕
温糟(ウンサウ) 或紅―。〔尭・食物門112一〕
温糟(ウンザウ) 或作紅糟(ウンザウ)。〔両・食物門136五〕
紅糟(ウンザウ) 。〔食服門118一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「温糟」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
670温{紅イ}糟(ウンサウ) 釈迦大師自‖成道|始也。〔謙堂文庫蔵五七左E〕
とあって、標記語「温糟」の語を収載し、語注記は、「釈迦大師、成道より始めるなり」と記載する。
水煎(スイせン)温糟(ウンサウ)曹鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊羹(ヤウカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)砂糖(サタウ)羊羹(ヤウカン)饂飩(ウンドン)饅頭(マンヂウ)索麺(ソウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温餅(アタヽケ)菓子(クワシ)者(ハ)柚柑(ユカウ)柑子(カウジ)橘(タチバナ)熟送(ジユククワ)澤茄子(サワナスビ)等可(ヘキ)∨随( フ)‖時ノ景物(ケイブツ)ニ|伏兎(フト)曲煎餅(マガリせンベイ)焼餅(ヤキモチ)粢(シトギ)興米(ヲコシゴメ)索豬(サクベイ)糒(ホシヒ)粽(チマキ)等爲ニ‖ 至ルマデ點心也。常ノ如シ。菓子ナンドモ同前ナリ。〔下35オ一〜六〕
水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)/水繊温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹(しんよふかん) 鳥獣(とりけたもの)等の名を付たるハ実に其肉(にく)を以て制(せい)したるにはあらす。其美味(びミ)の作たるを以て名付けたるなり。〔88ウ一〜四〕
とあって、この標記語「温糟」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さたうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)/點心者水繊温糟糟鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羊羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅○爰(こゝ)にいへる品(しな)ハすべて今の水菓子(ミづぐハし)蒸(むし)菓子の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまび)ならずよし名(な)を同(おなし)うするものも古今形製異なることあらん。素麺ハ索?に作るべし。〔65オ一、65オ四・五〕
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すゐせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(やうかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さとうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)○爰(こゝ)にいへる品ハすべて今の水菓子(ミつくわし)蒸(むし)菓子(くわし)の類なるべし。盖(けだし)。製方(せいはう)詳(つまびらか)ならずまゝ名(な)を同うするものも古今形製異なることあらん。素麺ハ索?(そうめん)に作るべし。〔116ウ六、117オ四・五〕
Vnzo<.ウンザゥ(温糟・紅糟) 食物の一種.〔邦訳695r〕
うん-ざう〔名〕【温糟】次條の語の略。其條を見よ。〔0258-3〕
うんざう-の-かゆ〔名〕【温糟粥】〔禪家の食に起れるものなるべし。臘八粥(ラウハチがゆ)などに縁あるか〕味噌、酒糟を加へて煮たる粥。(貞上雜記)或は、昆布、串柿、大豆、粉藥を加ふとも云ふ。(二中記)略して、うんざう。庭訓往來、十月「温糟」、狂言記、文藏「汝が食べたは、うんざうのかいであらう」〔0258-3〕
水蟾(せん) 。〔元亀二年本359四〕〔静嘉堂本437四〕
とあって、標記語「水蟾」の語を収載する。
竹箆曲淵法被打敷水引等頭首以下可被加布施也點心者水繊〔至徳三年本〕
竹箆曲淵法被打敷水引等頭首以下可被加布[施]也點心等([者])水繊〔宝徳三年本〕
竹箆曲禄法被打敷水引等頭首以下可被加布施也點心者水繊〔建部傳内本〕
竹箆(シツヘイ)曲禄(ロク)法(ハツ)被打敷水引等頭(テウ)首以下ニ可∨被‖加布|也點(テン)心ハ者水繊(せン)〔山田俊雄藏本〕
竹箆(シツヘイ)曲淵(キヨクロク)法被(ハツヒ)打敷水引等頭首ニハ可∨被∨加‖布施ヲ|也点心者(ハ)水繊(せン)〔経覺筆本〕
竹箆(シツヘイ)。曲淵(キヨクロク)。法被(ハツヒ)。打敷。水引等。頭首(テウシユ)已下可シ∨被ル∨加(カ)布施ヲ|也。點心者水蟾(せン)〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本が「水繊」とし、文明四年本は、「水蟾」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に・経覺筆本・文明四年本に「(スイ)セン」と記載する。
水煎(スイセン) 。〔飲食門100二〕
水繊(スイセン/ミツ、ホソシ)[上・平] 或作水蟾水煎。〔飲食門1124三〕
羮名(カンノナ) 鶏舌羮(ケイゼツカン)。笋羊(シユンヤウ)羹。砂糖羊羹(サタウヤウ )。麩羊羹(フヤウ )。水精包羮(スイシヤウハウ )。雲月(ウンゲツ)。猪(チヨ)羹。寸金(スンキン)羮。雲膳羮(ウンゼン )。白魚(ハクギヨ)羮。鼈羮(ベツ )。驢腸羹(ロチヤウ )。水蟾羹(スイセン )。宝珠羹(ホウシユ )。曹鶏羹(サウケイ )。〔弘・食物門81六〕
水繊(スイセン) 又―蟾。水煎。〔永・食物門230九〕
水繊(スイセン) 又蟾(せん)。―團(トン)。―花麪(クワメン)。〔言辞門007三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「水繊」「水煎」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
669竹箆(シツヘイ)曲禄法被(ハツヒ)打敷水引等頭首(―シユ)以下可∨被∨加‖布施ヲ|也。点心者水煎 或ハ作∨繊ニ誤也。蟾ノ字善也。〔謙堂文庫蔵五七左C〕
とあって、標記語「水煎」の語を収載し、語注記は、「或は、繊に作り誤るなり。蟾の字善きなり」と記載する。
水煎(スイせン)温糟(ウンサウ)曹鶏(ケイ)鼈羮(ベツカン)羊羹(ヤウカン)猪羹(チヨカン)驢腸羹(ロチヤウカン)笋羊羹(シユンヤウカン)砂糖(サタウ)羊羹(ヤウカン)饂飩(ウンドン)饅頭(マンヂウ)索麺(ソウメン)碁子麺(キシメン)巻餅(ケンビン)温餅(アタヽケ)菓子(クワシ)者(ハ)柚柑(ユカウ)柑子(カウジ)橘(タチバナ)熟送(ジユククワ)澤茄子(サワナスビ)等可(ヘキ)∨随( フ)‖時ノ景物(ケイブツ)ニ|伏兎(フト)曲煎餅(マガリせンベイ)焼餅(ヤキモチ)粢(シトギ)興米(ヲコシゴメ)索豬(サクベイ)糒(ホシヒ)粽(チマキ)等爲ニ‖ 至ルマデ點心也。常ノ如シ。菓子ナンドモ同前ナリ。〔下35オ一〜六〕
水煎(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)/水煎温糟々鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹(しんよふかん) 鳥獣(とりけたもの)等の名を付たるハ実に其肉(にく)を以て制(せい)したるにはあらす。其美味(びミ)の作たるを以て名付けたるなり。〔88ウ一〜四〕
とあって、この標記語「水煎」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すいせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(ようかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さたうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)/點心者水繊温糟糟鶏鼈羮羊羹猪羹驢腸羹笋羊羹砂糖羊羹饂飩饅頭素麺碁子麺巻餅温餅▲水繊ハ葛切(くずきり)の類にやあらん。〔65オ一、65オ四〕
點心(てんしん)者(ハ)水繊(すゐせん)温糟(うんそう)糟鶏(そうけい)鼈羮(べつかん)羊羹(やうかん)猪羹(ちよかん)驢腸羹(ろちやうかん)笋羊羹(しゆんやうかん)砂糖羊羹(さとうやうかん)饂飩(うんどん)饅頭(まんぢう)素麺(そうめん)碁子麺(きしめん)巻餅(けんびん)温餅(うんべい)▲水繊ハ葛切(くずきり)の類にやあらん。〔117オ三〕
Suixen.スイセン(水繊) ある草の根で作った,ある種の料理.〔邦訳586r〕
すゐ-せん〔名〕【水線・水繊】〔一に、水蟾とも書くは、蟾(かへる)の如く作りたりとて、名とせるか〕食物、葛煉(くずねり)の事なりと云ふ。後撰夷曲集(寛文)九、雜、下、水繊「此葛は、味も吉野の、名物と、食はぬ先より、誰れもすゐせん」〔1072-3〕
水引(ミヅヒキ) 。〔元亀二年本300二〕
水引(ヒキ) 。〔静嘉堂本349二〕
竹箆曲淵法被打敷水引等頭首以下可被加布施也點心者水繊〔至徳三年本〕
竹箆曲淵法被打敷水引等頭首以下可被加布[施]也點心等([者])水繊〔宝徳三年本〕
竹箆曲禄法被打敷水引等頭首以下可被加布施也點心者水繊〔建部傳内本〕
竹箆(シツヘイ)曲禄(ロク)法(ハツ)被打敷水引等頭(テウ)首以下ニ可∨被‖加布|也點(テン)心ハ者水繊(せン)〔山田俊雄藏本〕
竹箆(シツヘイ)曲淵(キヨクロク)法被(ハツヒ)打敷水引等頭首ニハ可∨被∨加‖布施ヲ|也点心者(ハ)水繊(せン)〔経覺筆本〕
竹箆(シツヘイ)。曲淵(キヨクロク)。法被(ハツヒ)。打敷。水引等。頭首(テウシユ)已下可シ∨被ル∨加(カ)布施ヲ|也。點心者水蟾(せン)〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・山田俊雄藏本・経覺筆本が「水引」とし、宝徳三年本・建部傳内本・文明四年本は、「水引」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に・経覺筆本・文明四年本に「フトン」と記載する。
水引(ミヅヒキ) 。〔絹布門98三〕
水引(ミヅヒキ/スイイン)[上・上] 飾ノ具。〔絹布門891二〕
水引(ミツヒキ) 飾具。〔弘・財宝門232八〕〔永・財宝門194一〕〔尭・財宝門183七〕
水引(ミヅヒキ) 。〔食服門199六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「水引」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
669竹箆(シツヘイ)曲禄法被(ハツヒ)打敷水引等頭首(―シユ)以下可∨被∨加‖布施ヲ|也。点心者水煎 或ハ作∨繊ニ誤也。蟾ノ字善也。〔謙堂文庫蔵五七左C〕
とあって、標記語「水引」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
法被(ハツヒ)打敷(ウチシキ)水引等頭首(テウシユ)以下可(ヘキ)∨被∨加ヘ‖布施物(フせモツ)| 法被(ハツヒ)打敷(ウチシキ)水引(ミツヒキ)何モ當(タウ)莊嚴(シヤウコン)ナリ。〔下34ウ七・八〕
水引(ミづひき)等(とう)/水引等 金襴(きんらん)織物(おりもの)なとにて仕立(したて)、佛間(ぶつま)ののきにかくるもの也。右乃仏具(ふつぐ)僧服(そうふく)僧器(そうき)くわしく圖説にしるしたるゆへこゝに畧(りやく)せり。〔88オ七〕
とあって、この標記語「水引」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
水引(ミづひき)等(とう)頭首(てうしゆ)以下(いげ)に加(くハへら)へら被(る)可(べ)きの布施(ふせ)也(なり)/水引等頭首以下ニ可キノ∨被∨加ラ布施也▲水引ハ幕(まく)に似(に)て仏前の上に掛(かく)るもの。以上の三品(しな)ハ仏壇(ぶつだん)の荘厳(かざり)也。〔64ウ四・64ウ八〜65オ一〕
水引(ミづひき)等(とう)頭首(てうしゆ)以下(いげに)可(べき)∨被(る)∨加(くハへら)布施(ふせ)也(なり)▲水引ハ幕(まく)に似(に)て佛前の上に掛(かく)るもの。以上の三品(しな)ハ仏壇(ぶつだん)の荘厳(かざり)也。〔116オ四・116ウ五〕
†Mizzufiqi.ミヅヒキ(水引) 進物として送る物とか,直接差し上げる物とかを結ぶのに使う,種々の色に染めた紙紐.¶また,裝飾のために劇場内の柱から柱へ引いて垂らす,ヴェールのような布〔水引幕〕〔邦訳414l〕
みづ-ひき〔名〕【水引】〔其萸、水を引廻したるが如きより云ふかと云ふ〕水引幕の略。幕の類。下に張るを云ひ、上に張る帽額(もかう)に對すと云ふ。今、專ら、芝居などにて、舞臺の上の方などに張る横に細長き幕を云ふ。幔。筌帷。御伽草子、濱出草紙「舞臺の上に綾を敷き、みづひきに錦をさげぬれば、浦吹く風に飄?して」〔1938-1〕
打敷(シキ) 。〔元亀二年本182一〕〔静嘉堂本204三〕〔天正十七年本中31オ八〕
竹箆曲淵法被打敷水引等頭首以下可被加布施也點心者水繊〔至徳三年本〕
竹箆曲淵法被打敷水引等頭首以下可被加布[施]也點心等([者])水繊〔宝徳三年本〕
竹箆曲禄法被打敷水引等頭首以下可被加布施也點心者水繊〔建部傳内本〕
竹箆(シツヘイ)曲禄(ロク)法(ハツ)被打敷水引等頭(テウ)首以下ニ可∨被‖加布|也點(テン)心ハ者水繊(せン)〔山田俊雄藏本〕
竹箆(シツヘイ)曲淵(キヨクロク)法被(ハツヒ)打敷水引等頭首ニハ可∨被∨加‖布施ヲ|也点心者(ハ)水繊(せン)〔経覺筆本〕
竹箆(シツヘイ)。曲淵(キヨクロク)。法被(ハツヒ)。打敷。水引等。頭首(テウシユ)已下可シ∨被ル∨加(カ)布施ヲ|也。點心者水蟾(せン)〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「打敷」と記載する。
打敷(ウチシキ) 。〔絹布門98三〕
打敷(ウチシキ/テイフ)[上・平] 飾具。〔絹布門475八〕
打敷(ウチシキ) 。〔弘・財宝門150一〕〔永・財宝門121七〕〔尭・財宝門111五〕〔両・財宝門135七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「打敷」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』には語注記「飾具」とあって、他資料とは異なっている。
669竹箆(シツヘイ)曲禄法被(ハツヒ)打敷水引等頭首(―シユ)以下可∨被∨加‖布施ヲ|也。点心者水煎 或ハ作∨繊ニ誤也。蟾ノ字善也。〔謙堂文庫蔵五七左C〕
とあって、標記語「打敷」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
法被(ハツヒ)打敷(ウチシキ)水引等頭首(テウシユ)以下可(ヘキ)∨被∨加ヘ‖布施物(フせモツ)| 法被(ハツヒ)打敷(ウチシキ)水引(ミツヒキ)何モ當(タウ)莊嚴(シヤウコン)ナリ。〔下34ウ七・八〕
打鋪(うちしき)/打鋪 仏前の机に敷もの也。〔88オ六〕
とあって、この標記語「打鋪」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
打敷(うちしき)/打敷▲打敷ハ仏前(ぶつぜん)の机(つくえ)に敷(し)くもの。〔64ウ四、64ウ八〜65オ一〕
打敷(うちしき)▲打敷ハ仏前(ぶつぜん)の机(つくゑ)に敷(し)くもの。〔116オ四、116ウ四・五〕
Vchixiqi.ウチシキ(打敷) 仏(Fotoque)などを敬って,その前を飾るために,卓子とか壇上とかの上に敷き延べる絹の布,または,刺繍を施した布など.¶また,香炉の中に置く,水晶や銀などで作った小さな薄板.その上に沈香や伽羅の香などをのせて焚くための物.〔邦訳688r〕
うち-しき〔名〕【打敷】(一){布帛の製の敷物。宇津保物語、俊蔭72「御座(おまし)裝(よそ)はす、うちしき、褥(しとね)、皆新らしくせられたり」源氏物語、十七、繪合16「うちしきは、青地の高麗(こま)の錦」枕草子、六、五十一段「燈臺のうちしきを蹈みて立てるに、新らしき油單にて足につき纏うひたるなり」(二)佛壇前机の花立、香爐などの敷物。多くは、死者の衣服にて製し、供養とす。鷹筑波集(寛永)二「摺箔の、小袖を見ては、物思ひ」妻のためとて、縫へる打しき」(亡妻に云へるなるへし)(三)菓子を器に盛るに敷く白紙。〔0456-5〕
法被(ハ) 。〔元亀二年本26四〕
法被(ヒ) 。〔静嘉堂本24五〕
法(ハツ)被 。〔天正十七年本上13オ八〕
竹箆曲淵法被打敷水引等頭首以下可被加布施也點心者水繊〔至徳三年本〕
竹箆曲淵法被打敷水引等頭首以下可被加布[施]也點心等([者])水繊〔宝徳三年本〕
竹箆曲禄法被打敷水引等頭首以下可被加布施也點心者水繊〔建部傳内本〕
竹箆(シツヘイ)曲禄(ロク)法(ハツ)被打敷水引等頭(テウ)首以下ニ可∨被‖加布|也點(テン)心ハ者水繊(せン)〔山田俊雄藏本〕
竹箆(シツヘイ)曲淵(キヨクロク)法被(ハツヒ)打敷水引等頭首ニハ可∨被∨加‖布施ヲ|也点心者(ハ)水繊(せン)〔経覺筆本〕
竹箆(シツヘイ)。曲淵(キヨクロク)。法被(ハツヒ)。打敷。水引等。頭首(テウシユ)已下可シ∨被ル∨加(カ)布施ヲ|也。點心者水蟾(せン)〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「法被」とし、訓みは、山田俊雄藏本に「ハツ(ヒ)」、経覺筆本・文明四年本に「ハツヒ」と記載する。
法被(ハツビ) 。〔絹布門98三〕
法被(ハツヒ) 僧具。〔弘・財宝門20六〕
法被(ハツヒ) 。〔永・財宝門18八〕〔尭・財宝門17三〕〔両・財寳門21四〕
法被(ハツヒ) 。〔衣食門17六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「法被」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』だけは、此語を未収録としている。
669竹箆(シツヘイ)曲禄法被(ハツヒ)打敷水引等頭首(―シユ)以下可∨被∨加‖布施ヲ|也。点心者水煎 或ハ作∨繊ニ誤也。蟾ノ字善也。〔謙堂文庫蔵五七左C〕
とあって、標記語「法被」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
法被(ハツヒ)打敷(ウチシキ)水引等頭首(テウシユ)以下可(ヘキ)∨被∨加ヘ‖布施物(フせモツ)| 法被(ハツヒ)打敷(ウチシキ)水引(ミツヒキ)何モ當(タウ)莊嚴(シヤウコン)ナリ。〔下34ウ七・八〕
法被(ほうひ)/法被 袖なき羽織の如きものなり。〔88オ六〕
とあって、この標記語「法被」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
烹被(はつぴ)/法被▲法被は仏前(ぶつぜん)の斗帳(とちやう)たれぎぬ等の類をいふ歟。〔64ウ四、64ウ八〕
法被(はつひ)▲法被は仏前(ぶつぜん)の斗帳(とちやう)たれぎぬ等の類をいふ歟。〔116オ四、116ウ四〕
Fappi.ハツピ(法被) 演劇〔能〕で用いられる着物.〔邦訳206r〕
はッ-ぴ〔名〕【法被】〔字の音、法被(ハフヒ)の音便〕(一)禪家にて、椅子を覆裹する布。禪林象器箋、二十八、器物門「法被、覆二裹椅子一之被也」易林本節用集(慶長)上、衣食門「法被、ハッヒ」庭訓往來、十月「法被、打敷、水引」注「法被、打敷、水引、何モ當莊嚴ナリ」下學集、下、絹布門「法被、打敷」貞コ文集、御能の裝束「法被、半切、長絹、大口」(二)もと武家にて、隷卒の表衣に着する羽織の如きもの。家の標(しるし)など染付く。今、一般に、職人などこれを用ゐる。しるしばんてん。かんばん。東行話説(寳暦、安部泰邦)荒井渡「水主(かこ)の者、皆、大島のはっぴをなむ着たる」春波樓筆記(司馬江漢)「大名の火事羽織は、くすべ皮なり、從者は木綿のはっぴ」〔1598-4〕
× {欠落脱語}〔元亀二年本〕
曲淵(キヨクロク) 。〔静嘉堂本325一〕
竹箆曲淵法被打敷水引等頭首以下可被加布施也點心者水繊〔至徳三年本〕
竹箆曲淵法被打敷水引等頭首以下可被加布[施]也點心等([者])水繊〔宝徳三年本〕
竹箆曲禄法被打敷水引等頭首以下可被加布施也點心者水繊〔建部傳内本〕
竹箆(シツヘイ)曲禄(ロク)法(ハツ)被打敷水引等頭(テウ)首以下ニ可∨被‖加布|也點(テン)心ハ者水繊(せン)〔山田俊雄藏本〕
竹箆(シツヘイ)曲淵(キヨクロク)法被(ハツヒ)打敷水引等頭首ニハ可∨被∨加‖布施ヲ|也点心者(ハ)水繊(せン)〔経覺筆本〕
竹箆(シツヘイ)。曲淵(キヨクロク)。法被(ハツヒ)。打敷。水引等。頭首(テウシユ)已下可シ∨被ル∨加(カ)布施ヲ|也。點心者水蟾(せン)〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・経覺筆本・文明四年本が「曲淵」とし、建部傳内本・山田俊雄藏本は、「曲禄」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に「(キヨク)ロク」、経覺筆本・文明四年本に「キヨクロク」と記載する。
曲貴(キヨクロク) 。〔器財門122一〕
曲淵(キヨクロク/マガル、―)[入・入] 靠(ヨせカクル)レ腰ヲ物也。〔器財門816七〕
曲淵(キヨクロク) 。〔弘・財宝門219四〕〔永・財宝門183六〕〔尭・財宝門173三〕
曲淵(キヨクロク) 。〔器財門188三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「曲貴」「曲淵」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。そのなかで、唯一語注記を記載する広本『節用集』は、大いに注目されよう。
669竹箆(シツヘイ)曲禄法被(ハツヒ)打敷水引等頭首(―シユ)以下可∨被∨加‖布施ヲ|也。点心者水煎 或ハ作∨繊ニ誤也。蟾ノ字善也。〔謙堂文庫蔵五七左C〕※天理図書館蔵『庭訓往來註』・国会図書館蔵『左貫注』は「曲淵」に作る。
とあって、標記語「曲禄」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
竹箆(シツヘイ)曲淵(キヨクロク) 竹箆(シツヘイ)ハ。警策(ケイサク)トテ。竹ニテケズリテ人ヲウツナリ。眼ヲ醒(サマ)ス物ナリ。〔下34ウ七〕
曲淵(きよくろく)/曲淵 腰懸る物也。左右に手摺(てすり)あり、後(うしろ)によりかゝる所をもふく。〔88オ五・六〕
とあって、この標記語「曲淵」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
曲淵(きよくろく)/曲淵▲曲淵ハ腰(こし)をかけて後(うしろ)へもたるゝやうに作(つく)る俗(ぞく)によりかゝりといふ。〔64ウ四、64ウ七・八〕
曲淵(きよくろく)▲曲淵ハ腰(こし)をかけて後(うしろ)へもたるゝやうに作(つく)る俗(ぞく)によりかゝりといふ。〔116オ四、116ウ三・四〕
Qiocurocu.キョクロク(曲淵) 腰掛.〔邦訳501r〕
きよく-ろく〔名〕【曲淵】〔集韻「淵、盧谷切、音録」説文「淵、刻テレ木ヲ淵(クル)、淵(クル)也(メクル)」貴は、淵木の合字〕僧の用ゐる椅子、圓く曲れる寄掛りあるもの。脚は、多くは、打違へに作りて、牀机の如し。圓椅。交椅。太平記、十、鹽飽入道自害事「中門に曲淵を飾らせて、其上に結跏趺坐し」下學集、下、器財門「曲貴(キヨクロク)」〔0502-5〜0503-1〕
竹箆(シツベイ) 。〔元亀二年本313七〕
竹箆(シツヘイ) 。〔静嘉堂本367五〕
竹箆曲淵法被打敷水引等頭首以下可被加布施也點心者水繊〔至徳三年本〕
竹箆曲淵法被打敷水引等頭首以下可被加布[施]也點心等([者])水繊〔宝徳三年本〕
竹箆曲禄法被打敷水引等頭首以下可被加布施也點心者水繊〔建部傳内本〕
竹箆(シツヘイ)曲禄(ロク)法(ハツ)被打敷水引等頭(テウ)首以下ニ可∨被‖加布|也點(テン)心ハ者水繊(せン)〔山田俊雄藏本〕
竹箆(シツヘイ)曲淵(キヨクロク)法被(ハツヒ)打敷水引等頭首ニハ可∨被∨加‖布施ヲ|也点心者(ハ)水繊(せン)〔経覺筆本〕
竹箆(シツヘイ)。曲淵(キヨクロク)。法被(ハツヒ)。打敷。水引等。頭首(テウシユ)已下可シ∨被ル∨加(カ)布施ヲ|也。點心者水蟾(せン)〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「竹箆」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に・経覺筆本・文明四年本に「シツヘイ」と記載する。
竹箆(シツヘイ) 打(ウツ)レ人ヲ杖(ツヱ)也。〔器財門121七〕
竹箆(シツヘイ/チク・タケ、カゴ・ヘラ)[入・上] 打レ人杖也。首山和尚ノ竹箆(シツヘイ)也。〔態藝門925五〕
竹箆(シツヘイ) 。〔弘・財宝門241五〕〔永・財宝門207五〕〔尭・財宝門191七〕
竹箆(シツベイ) 。〔器財門209一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「竹箆」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、『下學集』及び広本『節用集』の語注記は、未記載にある。
669竹箆(シツヘイ)曲禄法被(ハツヒ)打敷水引等頭首(―シユ)以下可∨被∨加‖布施ヲ|也。点心者水煎 或ハ作∨繊ニ誤也。蟾ノ字善也。〔謙堂文庫蔵五七左C〕
とあって、標記語「竹箆」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
竹箆(シツヘイ)曲淵(キヨクロク) 竹箆(シツヘイ)ハ。警策(ケイサク)トテ。竹ニテケズリテ人ヲウツナリ。眼ヲ醒(サマ)ス物ナリ。〔下34ウ七〕
竹箆(しつべい)/竹箆 座禅(ざぜん)の時なと睡氣(ねむけ)催(もよふ)すを打て醒覚(さまさ)ん為なり。〔88オ五〕
とあって、この標記語「竹箆」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
竹箆(しつぺい)/竹箆▲竹箆ハ警策(けいさく)とて身(ミ)を打(う)ち睡眠(ねふり)を制(せい)するための物也。〔64ウ四、64ウ七・八〕
竹箆(しつへい)▲竹箆ハ警策(けいさく)とて身(ミ)を打(う)ち睡眠(ねふり)を制(せい)するための物也。〔116オ四、116ウ三・四〕
Xippei.シッペイ(竹箆) 打ちたたくのに使う竹.¶また,ある指の先で打つこと.¶Xippo> fajiqu.(竹箆を弾く)指先で打ちたたく.〔邦訳775l〕
しっ-ぺい〔名〕【竹箆】〔漆箆の宋音〕(一)竹製の、杖の如きもの、禪家にて、人を打つに用ゐるものと云ふ。下學集、下、器財門「竹箆(シツペイ)」注「打レ人杖也」(二)又、俗に、戲れに、指を、指にて張り反(そら)
せて、其弾く力にて、人の肌を打つこと。狂言記、太刀奪「今、しっぺいをあててやらう」〔0456-5〕
火箸(コシ) 。〔元亀二年本231九〕〔静嘉堂本266三〕〔天正十七年本中62オ二〕
蒲團花瓶香爐香合香匙火筋蝋燭〔至徳三年本〕
郵團花瓶香爐香合香匙火筋蝋燭〔宝徳三年本〕
郵團花(はな)瓶香爐香合香匙火筋蝋燭〔建部傳内本〕
蒲團(フトン)花瓶(ヒン)香爐香合(ハコ)香匙(ジ)火筋(コシ)蝋燭〔山田俊雄藏本〕
蒲團(フトン)花瓶(ヒン)香爐(ロ)香合(ハコ)香匙(ハシ)火筋(シヨ)蝋燭(ロウソク)〔経覺筆本〕
郵團(フトン)。花瓶(ヒン)。香爐(ロ)。香合(バコ)。香匙(キヤウシ)。火筋(コシ)。蝋燭(ラツソク)。〔文明四年本〕※香匙(キヤウシ)。火箸(コシ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「火筋」表記し、訓みは、経覺筆本に「(コ)シヨ」、山田俊雄藏本と文明四年本に「コシ」と記載する。
火箸(コジ) 。〔器財門105七〕
火筋(コジ/ヒ、シヨ・ハシ)[上・平] 。〔器財門662六〕
香匙(キヤウジ) 火筋(コシ)。〔弘・財宝門219四〕
香匙(キヤウジ) 火筋(コジ) 。〔永・財宝門183六〕
火燵(コタツ) ―踏(タツ)。―鈴(リン)。―箸(ジ)。〔器財門158二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「火筋」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
668蒲團(フトン)花瓶香炉香合匙火筋蝋燭(ラツソク) 黄帝蚩尤退治ノ時始作給也。〔謙堂文庫蔵五七左C〕
とあって、標記語「火筋」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
郵團(フトン)花瓶(クワヒン)香爐(カウロ)香合(カウハコ)香匙(キヤウジ)火筋(コジ)蝋燭(ラツソク) 蒲團(フトン)ハ。座禪スル時敷(シク)物ナリ。〔下34ウ四・五〕
火筋(こし)/火筋 火ばしなり。〔88オ四〕
とあって、この標記語「火筋」の語を収載し、語注記は「火ばしなり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
蒲團(ふとん)花瓶(くわひん)香爐(かうろ)香合(かうはこ)香匙(きやうじ)火筋(こじ)蝋燭(らふそく)/蒲團花瓶香炉香合匙火筋蝋燭▲火筋は火(ひ)ばしなり。〔64ウ二・64ウ七〕
蒲團(ふとん)花瓶(くわひん)香爐(かうろ)香合(かうはこ)香匙(きやうじ)火筋(こじ)蝋燭(らふそく)▲火筋は火(ひ)ばしなり。〔116オ二、116ウ三〕
†Coji.コジ(火箸・火筋) 香炉に香をくべるのに使う,木の柄のついている細い鉄の棒.→Qio<ji(香匙).〔邦訳143r〕
×{脱落欠語} 。〔元亀二年本224一〕
香匙(キヤウジ) 。〔静嘉堂本327三〕
蒲團花瓶香爐香合香匙火筋蝋燭〔至徳三年本〕
郵團花瓶香爐香合香匙火筋蝋燭〔宝徳三年本〕
郵團花(はな)瓶香爐香合香匙火筋蝋燭〔建部傳内本〕
蒲團(フトン)花瓶(ヒン)香爐香合(ハコ)香匙(ジ)火筋(コシ)蝋燭〔山田俊雄藏本〕
蒲團(フトン)花瓶(ヒン)香爐(ロ)香合(ハコ)香匙(ハシ)火筋(シヨ)蝋燭(ロウソク)〔経覺筆本〕
郵團(フトン)。花瓶(ヒン)。香爐(ロ)。香合(バコ)。香匙(キヤウシ)。火筋(コシ)。蝋燭(ラツソク)。〔文明四年本〕※香匙(キヤウシ)。火箸(コシ)。
と見え、至徳三年本・山田俊雄藏本・経覺筆本が「香匙」とし、宝徳三年本・建部傳内本・文明四年本は、「香匙」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に「(キャウ)ジ」、経覺筆本に「(キャウ)ハシ」、文明四年本に「キヤウシ」と記載する。
香匙(カウジ/キヤウ―) 。〔器財門105七〕
香匙(キヤウシ/カウバシ、カイ)[去・平] ――火筋(コジ)。〔器財門816八〕
香匙(キヤウジ) 火筋(コシ)。〔弘・財宝門219四〕
香匙(キヤウジ) 火筋(コジ)。〔永・財宝門183六〕
香匙(キヤウシ) 火筋。〔尭・財宝門173三〕
香匙(キヤウジ) 火筋(コジ)。〔器財門188六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「香匙」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
668蒲團(フトン)花瓶香炉香合香匙火筋蝋燭(ラツソク) 黄帝蚩尤退治ノ時始作給也。〔謙堂文庫蔵五七左C〕
とあって、標記語「香匙」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
蒲團花瓶香炉香合香匙火筋蝋燭 柱杖ハ。カシヤウト云蟲(ム )ノ中ノ骨(ホネ)也。其蟲(ムシ)ノ骨(ホネ)ヲ表(ヒヨフ)スルナリ。〔下34ウ四・五〕
香炉(かうろ)香箱(はこ)香匙(がい)/香炉香箱香匙 香をすくひて火にのせるさじ也。〔88オ二〕
とあって、この標記語「香匙」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
蒲團(ふとん)花瓶(くわひん)香爐(かうろ)香合(かうはこ)香匙(きやうじ)火筋(こじ)蝋燭(らふそく)/蒲團花瓶香炉香合香匙火筋蝋燭▲香匙ハ香(かう)すくひ灰押(はいおし)等也。〔64ウ三、64ウ七〕
蒲團(ふとん)花瓶(くわひん)香爐(かうろ)香合(かうはこ)香匙(きやうじ)火筋(こじ)蝋燭(らふそく)▲香匙ハ香(かう)すくひ灰押(はいおし)等也。〔116オ三、116ウ三〕
Qio<ji.キャウジ(香匙) 香炉の灰を突き砕くのに用いる,耳かきのような金属製の或る道具.例,Qio<ji,coji.(香匙,火筋)この道具と,火かき立てるのに使う箸(Faxis)と.〔邦訳502l〕
華瓶(ヒン) 。〔元亀二年本190五〕
華(クワ)瓶(ヒン) 。〔天正十七年本中36ウ六〕
花瓶(クワヒン) 。〔静嘉堂本214六〕
蒲團花瓶香爐香合香匙火筋蝋燭〔至徳三年本〕
郵團花瓶香爐香合香匙火筋蝋燭〔宝徳三年本〕
郵團花(はな)瓶香爐香合香匙火筋蝋燭〔建部傳内本〕
蒲團(フトン)花瓶(ヒン)香爐香合(ハコ)香匙(ジ)火筋(コシ)蝋燭〔山田俊雄藏本〕
蒲團(フトン)花瓶(ヒン)香爐(ロ)香合(ハコ)香匙(ハシ)火筋(シヨ)蝋燭(ロウソク)〔経覺筆本〕
郵團(フトン)。花瓶(ヒン)。香爐(ロ)。香合(バコ)。香匙(キヤウシ)。火筋(コシ)。蝋燭(ラツソク)。〔文明四年本〕※香匙(キヤウシ)。火箸(コシ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は「花瓶」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に・経覺筆本・文明四年本に「(クワ)ビン」と記載する。
古銅(コトウノ)花瓶(クワヒン) 。〔器財門105D〕
華瓶(クワヒン/ハナ、ヘイ・ツルベ)[平・平] ――燭臺。〔器財門504三〕
古銅(コトウ)ノ花瓶(クワヒン/ハナ、ヘイ・ツルベ)[平・平] 。〔器財門661三〕
花瓶(クワヒン) 。〔弘・財宝門159七〕
古銅(コトウ)――ノ花瓶クハヒン/又胡(コ)―。〔永・財宝門154四〕
古銅(コトウ)――花瓶/又胡―。〔尭・財宝門144五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「花瓶」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
668蒲團(フトン)花瓶香炉香合匙火筋蝋燭(ラツソク) 黄帝蚩尤退治ノ時始作給也。〔謙堂文庫蔵五七左C〕
とあって、標記語「花瓶」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
蒲團花瓶香炉香合匙火筋蝋燭 柱杖ハ。カシヤウト云蟲(ム )ノ中ノ骨(ホネ)也。其蟲(ムシ)ノ骨(ホネ)ヲ表(ヒヨフ)スルナリ。〔下34ウ四・五〕
蒲團(ふとん)花瓶(くわひん)/蒲團花瓶 花いけなり。〔88オ二〕
とあって、この標記語「花瓶」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
蒲團(ふとん)花瓶(くわひん)香爐(かうろ)香合(かうはこ)香匙(きやうじ)火筋(こじ)蝋燭(らふそく)/蒲團花瓶香炉香合香匙火筋蝋燭。〔64ウ三〕
蒲團(ふとん)花瓶(くわひん)香爐(かうろ)香合(かうはこ)香匙(きやうじ)火筋(こじ)蝋燭(らふそく)。〔116オ三〕
Quafin.クヮヒン(花瓶) 花束にして花を生ける器.〔邦訳516l〕
くゎ-ビン〔名〕【花瓶】はながめ。挿花(はないけ)の瓶(かめ)。花瓶(クワヘイ)。建武以來追加、定、コ政事「茶わん、花びん、かうろ、かな物、已下、廿ケ月たるべき事」〔0580-5〕
蒲團(フトン) 。〔元亀二年本224六〕〔静嘉堂本257二〕〔天正十七年本中57ウ四〕
蒲團花瓶香爐香合香匙火筋蝋燭〔至徳三年本〕
郵團花瓶香爐香合香匙火筋蝋燭〔宝徳三年本〕
郵團花(はな)瓶香爐香合香匙火筋蝋燭〔建部傳内本〕
蒲團(フトン)花瓶(ヒン)香爐香合(ハコ)香匙(ジ)火筋(コシ)蝋燭〔山田俊雄藏本〕
蒲團(フトン)花瓶(ヒン)香爐(ロ)香合(ハコ)香匙(ハシ)火筋(シヨ)蝋燭(ロウソク)〔経覺筆本〕
郵團(フトン)。花瓶(ヒン)。香爐(ロ)。香合(バコ)。香匙(キヤウシ)。火筋(コシ)。蝋燭(ラツソク)。〔文明四年本〕※香匙(キヤウシ)。火箸(コシ)。
と見え、至徳三年本・山田俊雄藏本・経覺筆本が「蒲團」とし、宝徳三年本・建部傳内本・文明四年本は、「郵團」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に・経覺筆本・文明四年本に「フトン」と記載する。
蒲團(フトン) 。〔器財門121七〕
蒲團(フトン/カマ、マロシ)[平・平] 。〔器財門622七〕
蒲團(フトン) 。〔弘・財宝門180三〕〔永・財宝門148三〕〔尭・財宝門138五〕
蒲團(フトン) 。〔器財門150五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「蒲團」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
668蒲團(フトン)花瓶香炉香合匙火筋蝋燭(ラツソク) 黄帝蚩尤退治ノ時始作給也。〔謙堂文庫蔵五七左C〕
とあって、標記語「蒲團」の語を収載し、語注記は、未記載にする。
郵團(フトン)花瓶(クワヒン)香爐(カウロ)香合(カウハコ)香匙(キヤウジ)火筋(コジ)蝋燭(ラツソク) 蒲團(フトン)ハ。座禪スル時敷(シク)物ナリ。〔下34ウ六〕
蒲團(ふとん)花瓶(くわひん)/蒲團花瓶 花いけなり。〔88オ二〕
とあって、この標記語「蒲團」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
蒲團(ふとん)花瓶(くわひん)香爐(かうろ)香合(かうはこ)香匙(きやうじ)火筋(こじ)蝋燭(らふそく)/蒲團花瓶香炉香合香匙火筋蝋燭▲蒲團ハ圓座(ゑんざ)の類(るゐ)也。座禪(ざぜん)等の料(れう)なるべし。〔64ウ三、64ウ七〕
蒲團(ふとん)花瓶(くわひん)香爐(かうろ)香合(かうはこ)香匙(きやうじ)火筋(こじ)蝋燭(らふそく)▲蒲團ハ圓座(ゑんざ)の類(るゐ)也。座禪(ざぜん)等の料(れう)なるへし。〔116オ二、116ウ二〕
Futon.フトン(蒲團) Xiqimono(敷物)に同じ.敷蒲団.¶また,馬の鞍の上にのせる小さな座蒲団.→Baxen(馬氈).〔邦訳286r〕
フ-トン〔名〕【蒲團】〔字の宋音、炭團(タドン)の類。禪林象器箋、廿八、器物門「坐物以レ蒲編造、其形團圓、故言二蒲團一」〕蒲の葉にて編める圓座(ヱンザ)。もと禪林にては、坐禪の時、臀の下に敷き用ゐたり。後には、蒲の穗を布にて包み、圓形に造れるをも云ふ。大慧禪師書、上、答二曾侍郎一「公既與二竹椅蒲團一爲レ侶、不レ異三善財見二最寂靜婆羅門一」希叟曇禪師廣録、禪房十事蒲團頌「百草頭邊薦得、何妨打レ塊成レ團、直下千差坐斷、無心猶隔二重關一」貞丈雜記、八、調度「蒲團と云は圓座の事なり、蒲と云草の葉にて、圓く組みたる物ゆゑ、蒲團と云ふなり」近代世事談、一、蒲團「或人云、ふとんハ蒲にて作りたる圓座也、今云ふとんにあらず、今のふとんは衾といふもの也と云り、左にあらず、やはり蒲團也。木綿(きわた)わたらざる以前は、庶人の冬の衣服には、布に蒲蘆の穗わたを入てきたり、云云、蒲團また同じ蒲の穗を團て入る、よって蒲團の名あり」〔1769-1〕
肚脱(ヅダツ) 。〔元亀二年本159三〕
肚脱(ツダツ) 。〔静嘉堂本175二〕
肚脱(ツタツ) 。〔天正十七年本中19オ二〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布筋匙木錦肚脱〔至徳三年本〕
此外帽子沓襪子柱杖脚榻○([拂子])手巾布衫○([平江帯])鉢孟((盂))巾脚布筋匙木錦肚脱〔宝徳三年本〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布匙木綿肚脱〔建部傳内本〕
此外帽子(モウス)履(クツ)襪(シタウヅ)盜杖脚榻(キヤタツ)手巾(スキン)布衫(サン)鉢盂巾(ホ井キン)脚布筋匙(ハシガヒ)木綿ノ肚脱(ヅタツ)〔山田俊雄藏本〕
此ノ外帽子(モウス)沓(クツ)襪子(シタウツ)柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(キン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカイ)木綿ノ肚脱(ツタツ)〔経覺筆本〕
此ノ外。帽子(モウス)。履(クツ)。襪(シタウヅ)。柱杖(シユチヤウ)。脚榻(キヤタツ)。手巾(シユキン)。布衫(フサム)。鉢盂巾(ホユキン)。脚布(キヤツフ)。筋匙(ハシカイ)。木綿(モメンノ)。肚脱(ツタツ)。〔文明四年本〕※箸匙(ハシカイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「肚脱」とし、訓みは、山田俊雄藏本に「ヅタツ」、経覺筆本・文明四年本に「ツタツ」と記載する。
肚脱(ヅダツ/ト・ハラワタ、ヌク)[上・入] 。〔絹布門414五〕
肚脱(ヅダツ) 。〔弘・財宝門127八〕〔永・財宝門105四〕
肚脱(ヅタツ) 。〔尭・財宝門95八〕
肚脱(ヅダツ) 。〔食服門104五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「肚脱」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、真字本のような語注記の記載は見えない。
667木綿肚脱(ツタツ) 四十八道具之内也。〔謙堂文庫蔵五七左B〕
とあって、標記語「肚脱」の語を収載し、語注記は、「四十八道具の内なり」と記載する。
柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(シユキン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカヒ)木綿(モメン)肚脱(ツタツ) 柱杖ハ。カシヤウト云蟲(ム )ノ中ノ骨(ホネ)也。其蟲(ムシ)ノ骨(ホネ)ヲ表(ヒヨフ)スルナリ。〔下34ウ四・五〕
木綿(もめん)の肚脱(づたつ)/木綿ノ肚脱 僧の道具(とうぐ)を入ゑかにかけむねにさげるふくろなり。〔88オ二〕
とあって、この標記語「肚脱」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
木綿(もめん)の肚脱(づたつ)/木綿ノ肚脱▲肚脱は三衣袋( えぶくろ)の類(たぐひ)にや。古注に禅僧(ぜんそう)の頭(かしら)に掛(かく)る袋也。四十八の道具(だうぐ)の内と云々。〔64ウ六・七〕
木綿(もめんの)肚脱(づだつ)▲肚脱は三衣袋(さんえふくろ)の類(たぐひ)にや。古注に禅僧(せんそう)の頭(かしら)に掛(かく)る袋也。四十八の道具(どうぐ)の内と云々。〔116オ二〕
Zzudat.ヅダツ(肚脱) または,yodare caqe.(涎掛け)幼児の首から垂らして掛ける涎掛け,または,婦人が胴着のように用いる前掛け.また,禅宗(Lenxus)の坊主(Bonzos)がきたない仕事をする際に用いる前掛け. ※原文のL,i.(すなわち)の誤植か.〔邦訳845l〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布筋匙木錦肚脱〔至徳三年本〕
此外帽子沓襪子柱杖脚榻○([拂子])手巾布衫○([平江帯])鉢孟((盂))巾脚布筋匙木錦肚脱〔宝徳三年本〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布匙木綿肚脱〔建部傳内本〕
此外帽子(モウス)履(クツ)襪(シタウヅ)盜杖脚榻(キヤタツ)手巾(スキン)布衫(サン)鉢盂巾(ホ井キン)脚布筋匙(ハシガヒ)木綿ノ肚脱(ヅタツ)〔山田俊雄藏本〕
此ノ外帽子(モウス)沓(クツ)襪子(シタウツ)柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(キン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカイ)木綿ノ肚脱(ツタツ)〔経覺筆本〕
此ノ外。帽子(モウス)。履(クツ)。襪(シタウヅ)。柱杖(シユチヤウ)。脚榻(キヤタツ)。手巾(シユキン)。布衫(フサム)。鉢盂巾(ホユキン)。脚布(キヤツフ)。筋匙(ハシカイ)。木綿(モメンノ)。肚脱(ツタツ)。〔文明四年本〕※箸匙(ハシカイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本は、「木錦」とし、建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「木綿」と記す。訓みは、文明四年本に「モメン」と記載する。前者の「木錦」には傍訓は施されておらずその語について定かでないはないが古写本二書に見える表記故、あえて此処に留め置くことにした。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「木錦」の語は未収載にあって、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本は収載しているのである。
667木綿肚脱(ツタツ) 四十八道具之内也。〔謙堂文庫蔵五七左B〕
とあって、標記語「木綿」の語を収載し、語注記は未記載にする。
柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(シユキン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカヒ)木綿(モメン)肚脱(ツタツ) 柱杖ハ。カシヤウト云蟲(ム )ノ中ノ骨(ホネ)也。其蟲(ムシ)ノ骨(ホネ)ヲ表(ヒヨフ)スルナリ。〔下34ウ四・五〕
木綿(もめん)の肚脱(づたつ)/木綿ノ肚脱 僧の道具(とうぐ)を入ゑかにかけむねにさげるふくろなり。〔88オ二〕
とあって、この標記語「木綿」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
木綿(もめん)の肚脱(づたつ)/木綿ノ肚脱。〔64ウ二〕
木綿(もめんの)肚脱(づだつ)。〔116オ二〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布筋匙木錦肚脱〔至徳三年本〕
此外帽子沓襪子柱杖脚榻○([拂子])手巾布衫○([平江帯])鉢孟((盂))巾脚布筋匙木錦肚脱〔宝徳三年本〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布匙木綿肚脱〔建部傳内本〕
此外帽子(モウス)履(クツ)襪(シタウヅ)盜杖脚榻(キヤタツ)手巾(スキン)布衫(サン)鉢盂巾(ホ井キン)脚布筋匙(ハシガヒ)木綿ノ肚脱(ヅタツ)〔山田俊雄藏本〕
此ノ外帽子(モウス)沓(クツ)襪子(シタウツ)柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(キン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカイ)木綿ノ肚脱(ツタツ)〔経覺筆本〕
此ノ外。帽子(モウス)。履(クツ)。襪(シタウヅ)。柱杖(シユチヤウ)。脚榻(キヤタツ)。手巾(シユキン)。布衫(フサム)。鉢盂巾(ホユキン)。脚布(キヤツフ)。筋匙(ハシカイ)。木綿(モメンノ)。肚脱(ツタツ)。〔文明四年本〕※箸匙(ハシカイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「筋匙」とし、建部傳内本だけ「匙」と記す。訓みは、山田俊雄藏本に「はしがひ」、経覺筆本・文明四年本に「はしかい」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「筋匙」及び「筋匙刷」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本は収載しているのである。
666脚鉢盂巾(キヤホイキン/−ホユ)脚布(キヤツフ)筋匙刷(ハシカイサツ) 沙波ハ掻者也。〔謙堂文庫蔵五七左A〕
とあって、標記語「筋匙刷」の語を収載し、語注記は、「沙波ば、掻く者なり」と記載する。
柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(シユキン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカヒ)木綿(モメン)肚脱(ツタツ) 柱杖ハ。カシヤウト云蟲(ム )ノ中ノ骨(ホネ)也。其蟲(ムシ)ノ骨(ホネ)ヲ表(ヒヨフ)スルナリ。〔下34ウ四・五〕
筋匙(はしがい)/筋匙 律僧食事の時箸のかわりに用るさじ也。又生飯(さば)をかくもの也。〔88オ一〕
とあって、この標記語「筋匙」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
筋匙(はしがい)刷(せつ)/筋匙刷▲筋匙刷ハ生飯(さば)かくもの也。〔64ウ二、64ウ六〕
筋匙(はしがい)刷(せつ)▲筋匙刷ハ生飯(さば)かくもの也。〔116オ二、116ウ一〕
× {脱落欠語}。〔元亀二年本〕
脚布(キヤウフ) 。〔静嘉堂本256五〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布筋匙木錦肚脱〔至徳三年本〕
此外帽子沓襪子柱杖脚榻○([拂子])手巾布衫○([平江帯])鉢孟((盂))巾脚布筋匙木錦肚脱〔宝徳三年本〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布匙木綿肚脱〔建部傳内本〕
此外帽子(モウス)履(クツ)襪(シタウヅ)盜杖脚榻(キヤタツ)手巾(スキン)布衫(サン)鉢盂巾(ホ井キン)脚布筋匙(ハシガヒ)木綿ノ肚脱(ヅタツ)〔山田俊雄藏本〕
此ノ外帽子(モウス)沓(クツ)襪子(シタウツ)柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(キン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカイ)木綿ノ肚脱(ツタツ)〔経覺筆本〕
此ノ外。帽子(モウス)。履(クツ)。襪(シタウヅ)。柱杖(シユチヤウ)。脚榻(キヤタツ)。手巾(シユキン)。布衫(フサム)。鉢盂巾(ホユキン)。脚布(キヤツフ)。筋匙(ハシカイ)。木綿(モメンノ)。肚脱(ツタツ)。〔文明四年本〕※箸匙(ハシカイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「脚布」とし、訓みは、経覺筆本に「キヤフ」、文明四年本に「キヤツフ」と記載する。
脚布(キヤツフ/カク・アシ、ヌノ)[入・去] 纏(マトウ)二女ノ腰(コシ)膚(ハタヱニ)一則云二脚布(キヤツフト)一。〔絹布門816五〕
脚布(キヤフ) 。〔弘・衣服門220三〕〔永・衣服門184二〕
脚布(キヤツフ) 。〔尭・財宝門173七〕
脚絆(キヤハン) 或半/―布(キヤフ)。〔食服門187四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「脚布」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なり、別資料からの引用となっている。
666脚鉢盂巾(キヤホイキン/−ホユ)脚布(キヤツフ)筋匙刷(ハシカイサツ) 沙波ハ掻者也。〔謙堂文庫蔵五七左A〕
とあって、標記語「脚布」の語を収載し、語注記は未記載にする。
柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(シユキン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカヒ)木綿(モメン)肚脱(ツタツ) 柱杖ハ。カシヤウト云蟲(ム )ノ中ノ骨(ホネ)也。其蟲(ムシ)ノ骨(ホネ)ヲ表(ヒヨフ)スルナリ。〔下34ウ四・五〕
脚布(きやふ)/脚布 腰にまく白布(はくふ)也。〔88オ一〕
とあって、この標記語「脚布」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
脚布(きやふ)/脚布▲脚布ハ古注に腰(こし)に巻(ま)く白布(しらぬの)也と。〔64ウ二、64ウ六〕
脚布(きやふ)▲脚布ハ古注に腰(こし)に巻(ま)く白布(しらぬの)也と。〔116オ二、116ウ一〕
Qiappu.キャップ(脚布) 坊主(Bonzos)が衣の上に締める前垂れのような恰好のもの.〔邦訳492r〕
Qiafu.キャフ(脚布) 婦人が腰から下に巻きつける,下着の白い布.〔邦訳492r〕
鉢盂巾(ホイキン) 。〔元亀二年本45九〕
鉢盂巾(ホユキン) 。〔静嘉堂本51二〕〔天正十七年本上26オ八〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布筋匙木錦肚脱〔至徳三年本〕
此外帽子沓襪子柱杖脚榻○([拂子])手巾布衫○([平江帯])鉢孟((盂))巾脚布筋匙木錦肚脱〔宝徳三年本〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布匙木綿肚脱〔建部傳内本〕
此外帽子(モウス)履(クツ)襪(シタウヅ)盜杖脚榻(キヤタツ)手巾(スキン)布衫(サン)鉢盂巾(ホ井キン)脚布筋匙(ハシガヒ)木綿ノ肚脱(ヅタツ)〔山田俊雄藏本〕
此ノ外帽子(モウス)沓(クツ)襪子(シタウツ)柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(キン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカイ)木綿ノ肚脱(ツタツ)〔経覺筆本〕
此ノ外。帽子(モウス)。履(クツ)。襪(シタウヅ)。柱杖(シユチヤウ)。脚榻(キヤタツ)。手巾(シユキン)。布衫(フサム)。鉢盂巾(ホユキン)。脚布(キヤツフ)。筋匙(ハシカイ)。木綿(モメンノ)。肚脱(ツタツ)。〔文明四年本〕※箸匙(ハシカイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「鉢盂巾」とし、訓みは、山田俊雄藏本に「ホ井キン」、経覺筆本に「ホイキン」、文明四年本に「ホユキン」と記載する。
鉢盂巾(ホイキン/ハチ、ウ・ホトキ、カサル・ツヽム)[入・平・平] 。〔器財門99四〕
鉢盂巾(ホイキン) 。〔弘・財宝門32三〕〔永・財宝門32七〕〔両・財寳門37四〕
鉢盂巾(ホウ{イ}キン) 。〔尭・財宝門31二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「鉢盂巾」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
666脚鉢盂巾(キヤホイキン/−ホユ)脚布(キヤツフ)筋匙刷(ハシカイサツ) 沙波ハ掻者也。〔謙堂文庫蔵五七左A〕
とあって、標記語「鉢盂巾」の語を収載し、語注記は未記載にする。
柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(シユキン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカヒ)木綿(モメン)肚脱(ツタツ) 柱杖ハ。カシヤウト云蟲(ム )ノ中ノ骨(ホネ)也。其蟲(ムシ)ノ骨(ホネ)ヲ表(ヒヨフ)スルナリ。〔下34ウ四・五〕
鉢盂巾(ほいきん)/鉢盂巾 鉢の子をおほふ絹也。〔88オ一〕
とあって、この標記語「鉢盂巾」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
鉢盂巾(ほいきん)/鉢盂巾▲鉢盂巾ハ鉢(はち)を覆(おほ)ふきぬ也。〔64ウ二、64ウ六〕
鉢盂巾(ほいきん)▲鉢盂巾ハ鉢(はち)を覆(おほ)ふきぬ也。〔116オ一・二、116ウ一〕
Foiqin.ホイキン(鉢盂巾) 椀や食卓〔膳〕などの塵を払い、綺麗に拭くのに用いる布,あるいは,手巾.〔邦訳258r〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布筋匙木錦肚脱〔至徳三年本〕
此外帽子沓襪子柱杖脚榻○([拂子])手巾布衫○([平江帯])鉢孟((盂))巾脚布筋匙木錦肚脱〔宝徳三年本〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布匙木綿肚脱〔建部傳内本〕
此外帽子(モウス)履(クツ)襪(シタウヅ)盜杖脚榻(キヤタツ)手巾(スキン)布衫(サン)鉢盂巾(ホ井キン)脚布筋匙(ハシガヒ)木綿ノ肚脱(ヅタツ)〔山田俊雄藏本〕
此ノ外帽子(モウス)沓(クツ)襪子(シタウツ)柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(キン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカイ)木綿ノ肚脱(ツタツ)〔経覺筆本〕
此ノ外。帽子(モウス)。履(クツ)。襪(シタウヅ)。柱杖(シユチヤウ)。脚榻(キヤタツ)。手巾(シユキン)。布衫(フサム)。鉢盂巾(ホユキン)。脚布(キヤツフ)。筋匙(ハシカイ)。木綿(モメンノ)。肚脱(ツタツ)。〔文明四年本〕※箸匙(ハシカイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本が「布衫」とし、訓みは、山田俊雄藏本に「(フ)サン」、経覺筆本に「フサン」、文明四年本に「フサム」と記載する。
布衫(フサン/ヌノ、カタビラ)[去・平] 足巾云二――一。〔絹布門622三〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』のみに標記語「布衫」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、真字註には未記載の内容である。
665素紗(ソ/スジヤ)ノ衣袈裟各一帖(テウ)此ノ外帽子(モウ\ホウス)沓襪(シタウツ/ナイ)柱杖(シユチヤウ) {柱杖ハカジヤウト云ムシノ中ノ骨ナリ。ソノ虫ノ骨ヲ表ス也}脚〓〔月-榻〕(キヤタツ) {脚〓、腰カクル者ナリ}手巾(シユキン)布衫(サン)平江帯(ヒガウタイ) 帯條(タイ)ニ作−府ヨリ出之故云‖――ト|也云々。〔謙堂文庫蔵五七左@〕※脚榻
とあって、標記語「布衫」の語を収載し、語注記は未記載にする。
柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(シユキン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカヒ)木綿(モメン)肚脱(ツタツ) 柱杖ハ。カシヤウト云蟲(ム )ノ中ノ骨(ホネ)也。其蟲(ムシ)ノ骨(ホネ)ヲ表(ヒヨフ)スルナリ。〔下34ウ四・五〕
布衫(ふさん)/布衫 裳(すそ)短(ミしか)き衣なり。又はだゑともいふ。〔87ウ八〕
とあって、この標記語「布衫」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
布衫(ふさん)/布衫▲布衫ハ裾(すそ)短(ミじか)き衣はだ着(ぎ)也。〔64ウ二、64ウ六〕
布衫(ふさん)▲布衫ハ裾(すそ)短(ミじか)き衣はだ着(き)也。〔116オ一、116オ六〜ウ一〕
手巾(キン) 。〔元亀二年本317九〕〔静嘉堂本373八〕
手拭(ノコイ) 。手巾(テノコイ) 。剃巾(同) 。〔元亀二年本244五〕
手拭(ノゴフ) 。手巾(同) 。〔静嘉堂本282一〕
手拭(ノコイ) 。手巾(テイキン) 。剃巾(同) 。〔天正十七年本中69ウ八〕
手拭(タナゴイ) 。〔元亀二年本137七〕〔静嘉堂本145七〕
手拭(タナコイ) 。〔天正十七年本中4ウ八〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布筋匙木錦肚脱〔至徳三年本〕
此外帽子沓襪子柱杖脚榻○([拂子])手巾布衫○([平江帯])鉢孟((盂))巾脚布筋匙木錦肚脱〔宝徳三年本〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布匙木綿肚脱〔建部傳内本〕
此外帽子(モウス)履(クツ)襪(シタウヅ)盜杖脚榻(キヤタツ)手巾(スキン)布衫(サン)鉢盂巾(ホ井キン)脚布筋匙(ハシガヒ)木綿ノ肚脱(ヅタツ)〔山田俊雄藏本〕
此ノ外帽子(モウス)沓(クツ)襪子(シタウツ)柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(キン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカイ)木綿ノ肚脱(ツタツ)〔経覺筆本〕
此ノ外。帽子(モウス)。履(クツ)。襪(シタウヅ)。柱杖(シユチヤウ)。脚榻(キヤタツ)。手巾(シユキン)。布衫(フサム)。鉢盂巾(ホユキン)。脚布(キヤツフ)。筋匙(ハシカイ)。木綿(モメンノ)。肚脱(ツタツ)。〔文明四年本〕※箸匙(ハシカイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は「手巾」とし、訓みは、山田俊雄藏本に「スキン」、経覺筆本に「―キン」、文明四年本に「シユキン」と記載する。
手巾(タナゴイ/シユキン、テ、ツヽム・カザル)[上・平] 或作二浴巾一。〔絹布門340六〕
手巾(タノコイ)シユキン 。浴巾(同)。〔弘・衣服門102三〕
手巾(シユキン) 。〔弘・衣服門243三〕
手拭(タナゴイ) 。〔弘・財宝門105三〕〔尭・財宝門86一〕〔両・財宝門104一〕
手拭(タナゴイ) 浴巾。〔永・財宝門94二〕
手巾(シユキン)テノゴヒ。〔食服門208四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「手巾」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
665素紗(ソ/スジヤ)ノ衣袈裟各一帖(テウ)此ノ外帽子(モウ\ホウス)沓襪(シタウツ/ナイ)柱杖(シユチヤウ) {柱杖ハカジヤウト云ムシノ中ノ骨ナリ。ソノ虫ノ骨ヲ表ス也}脚〓〔月-榻〕(キヤタツ) {脚〓、腰カクル者ナリ}手巾(シユキン)布衫(サン)平江帯(ヒガウタイ) 帯條(タイ)ニ作−府ヨリ出之故云‖――ト|也云々。〔謙堂文庫蔵五七左@〕※国会図書館蔵『左貫注』に「手巾( ノゴイ)―キン」とあって、右読に「(タ)ノゴイ」と訓読み、左読に「(シユ)キン」と音読み記載が見える。
とあって、標記語「手巾」の語を収載し、語注記は未記載にする。
柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(シユキン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカヒ)木綿(モメン)肚脱(ツタツ) 柱杖ハ。カシヤウト云蟲(ム )ノ中ノ骨(ホネ)也。其蟲(ムシ)ノ骨(ホネ)ヲ表(ヒヨフ)スルナリ。〔下34ウ四・五〕
手巾(しゆきん)/手巾 手拭(てぬくい)なり。〔87ウ八〕
とあって、この標記語「手巾」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
手巾(しゆきん)/手巾▲手巾ハてぬぐひ也。〔64ウ二、64ウ六〕
手巾(しゆきん)▲手巾ハてぬぐひ也。〔115オ六、115ウ六〕
Xuqin.シュキン(手巾) 坊主(Bonzo)が衣(Coromo)の上にしめる帯.〔邦訳802r〕
しゅ-きん〔名〕【手巾】てぬぐひ。てふき。古詩、焦仲卿妻「手巾掩レ口啼」世説、文學篇「殷浩語左右、取手巾、與二謝郎一拭レ面」〔0989-1〕
×(欠語) 。〔元亀二年本224一〕
脚蹈(キヤタツ) 。〔静嘉堂本325八〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布筋匙木錦肚脱〔至徳三年本〕
此外帽子沓襪子柱杖脚榻○([拂子])手巾布衫○([平江帯])鉢孟((盂))巾脚布筋匙木錦肚脱〔宝徳三年本〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布匙木綿肚脱〔建部傳内本〕
此外帽子(モウス)履(クツ)襪(シタウヅ)盜杖脚榻(キヤタツ)手巾(スキン)布衫(サン)鉢盂巾(ホ井キン)脚布筋匙(ハシガヒ)木綿ノ肚脱(ヅタツ)〔山田俊雄藏本〕
此ノ外帽子(モウス)沓(クツ)襪子(シタウツ)柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(キン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカイ)木綿ノ肚脱(ツタツ)〔経覺筆本〕
此ノ外。帽子(モウス)。履(クツ)。襪(シタウヅ)。柱杖(シユチヤウ)。脚榻(キヤタツ)。手巾(シユキン)。布衫(フサム)。鉢盂巾(ホユキン)。脚布(キヤツフ)。筋匙(ハシカイ)。木綿(モメンノ)。肚脱(ツタツ)。〔文明四年本〕※箸匙(ハシカイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・文明四年本が「脚榻」と記載し、経覺筆本は、「愚意」と記載する。
脚蹈(キヤタツ) 。〔器財門109五〕
脚榻(キヤタツ/アシ、シヂ)[入・入] 或作二脚蹈(キヤタツ)ト一。〔器財門816七・八〕
脚榻(キヤタツ) 。〔弘・財宝門219四〕
脚榻(キヤタツ) ―蹈イ。〔永・財宝門183六〕
脚榻(キヤタツ) 又―蹈。〔尭・財宝門173三〕
脚榻(キヤタツ) 榻又作蹈。〔器財門188六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「脚榻」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
665素紗(ソ/スジヤ)ノ衣袈裟各一帖(テウ)此ノ外帽子(モウ\ホウス)沓襪(シタウツ/ナイ)柱杖(シユチヤウ) {柱杖ハカジヤウト云ムシノ中ノ骨ナリ。ソノ虫ノ骨ヲ表ス也}脚〓〔月-榻〕(キヤタツ) {脚〓、腰カクル者ナリ}手巾(シユキン)布衫(サン)平江帯(ヒガウタイ) 帯條(タイ)ニ作−府ヨリ出之故云‖――ト|也云々。〔謙堂文庫蔵五七左@〕
※素(ス)紗ノ衣袈裟各一帖(デウ)此ノ外帽(モウ)子沓(クツ)襪(シタフツ) {牛喝比丘ヨリ始也}柱杖脚榻(キヤタツ)手巾(シユウキン)布衫(フサン)平(ヒン)江帯(ダイ) 帯條(タウト)作レ之府ヨリ出レ之故云之也。{平江ト云処ヨリ出帶ナリ}〔天理図書館蔵『庭訓往來註』〕※左貫注も「脚榻(タウ)キヤタツ」と表記する。
とあって、標記語「脚榻」の語を収載し、語注記は未記載にする。
柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(シユキン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカヒ)木綿(モメン)肚脱(ツタツ) 柱杖ハ。カシヤウト云蟲(ム )ノ中ノ骨(ホネ)也。其蟲(ムシ)ノ骨(ホネ)ヲ表(ヒヨフ)スルナリ。〔下34ウ四・五〕
脚榻(きやたつ)/脚榻 曲禄(きよくろく)の類。腰懸る物なり。〔87ウ七・八〕
とあって、この標記語「脚榻」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
脚榻(きやたつ)/脚榻▲脚榻ハ腰(こし)かけ也。〔64ウ二、64ウ五・六〕
脚榻(きやたつ)▲脚榻ハ腰(こし)かけ也〔116オ一、116オ六〕
Qiatat.l,Qiatatcu.キャタッ.または,キャタツ(脚榻) Axitcugui.(足継)四本足のついた高い足台で,仕事をする際,高い所に届くように使うもの.→次条.〔邦訳492r〕
Quatatcu.キヤタツ(脚榻) Qiatat(脚榻)と言う方がまさる.同上.〔邦訳492r〕
キャ-タツ〔名〕【脚榻】〔脚榻子(キヤクタフシ)の宋音、火榻子(コタツ)もあり、禪家の語、楪子(テフシ)をチャとも云ふ、唐韻「榻(タフ)、土盍切」説文「牀(ゆか)也」〕(一)ふみだい。あしつぎ。庭訓往來、十月「脚榻」林逸節用集、財寳「脚榻(キヤタツ)」史記抄(文明)二90「客殿の天井に、ふらふらとさがりてあるを、云云、脚蹈はとどかず、梯子は取出すにも及ばず、云云」(二)今、專ら、木製にて、高き四脚をつけ、淺き海に立てて、乘りて、漁(すなどり)する具の名とす。〔0497-1〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布筋匙木錦肚脱〔至徳三年本〕
此外帽子沓襪子柱杖脚榻○([拂子])手巾布衫○([平江帯])鉢孟((盂))巾脚布筋匙木錦肚脱〔宝徳三年本〕
此外帽子沓襪子盜杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布匙木綿肚脱〔建部傳内本〕
此外帽子(モウス)履(クツ)襪(シタウヅ)盜杖脚榻(キヤタツ)手巾(スキン)布衫(サン)鉢盂巾(ホ井キン)脚布筋匙(ハシガヒ)木綿ノ肚脱(ヅタツ)〔山田俊雄藏本〕
此ノ外帽子(モウス)沓(クツ)襪子(シタウツ)柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(キン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカイ)木綿ノ肚脱(ツタツ)〔経覺筆本〕
此ノ外。帽子(モウス)。履(クツ)。襪(シタウヅ)。柱杖(シユチヤウ)。脚榻(キヤタツ)。手巾(シユキン)。布衫(フサム)。鉢盂巾(ホユキン)。脚布(キヤツフ)。筋匙(ハシカイ)。木綿(モメンノ)。肚脱(ツタツ)。〔文明四年本〕※箸匙(ハシカイ)。
と見え、至徳三年本・・建部傳内本・山田俊雄藏本は、「盜杖」とし、宝徳三年本・経覺筆本・文明四年本が「柱杖」と表記し、訓みは、経覺筆本・文明四年本に「シユチヤウ」と記載する。
柱杖(シユヂヤウ) 。〔器財門121六〕
盜杖(シユヂヤウ/サヽユ、ツヱ)[上・上] 又作二主丈/主丈一。釋氏要覽云、佛聽二蓄――ヲ一。有二二ノ因縁一。一ニハ爲二老痩無力ノ一。二ニハ爲二病苦嬰身ノ一故也。又云、蓋シ行孝之善助也云々。或云盜杖トハ者。天竺ニ有二云レ悄(ラウト)虫一。長七尺五寸也。食物ニハ獅子象等也。經二千年ヲ一其後云二祖師ト一也一日ニ飛二万里ヲ一帰也。然ハ此虫行前(ユクサキハ)崩落動轉スル也。天竺ニハ云二月輪ト一。震旦ニハ云二寒深ト一。本朝ニハ云二山形ト一也。佛ニハ云二錫杖ト一。真言曰二散杜一武士云二兵杖一。鬼神云。二死活杖ト一。禅家ニハ云二盜杖一。悪魔降伏スル故也云々。 ○異名、K面翁。K面老。K和。皴K。輪皴妓菴録又輪作■虚堂禄。K和杖。一枝盜杖。木上座。木上人。龍形。鉄君坡。烏藤全。藜杖。烏角。兎角。方竹万。痩藤同。竹方兄。杖老同。榔栗烟藤。緑竹万。青竹同。紅藤全。龍化同。紫栗。于木。于丈。七尋。赤藤。青藜万。健竹。麁糲(ソラフ)梨(リ)。阿糲(ラフ)梨。木頭陀。一尋波。若眼(シヤカン)。戸木。夜明。I藤。鉄蜃藜。一木枴。木居士。手中黒蛇坡。〔器財門924八〕
柱杖(シユヂヤウ) 。〔弘・財宝門241五〕〔永・財宝門207五〕
柱杖(シユシヤウ) 。〔尭・財宝門191七〕
盜杖(シユヂヤウ) 。〔器財門209一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「盜杖」と「柱杖」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、『釋氏要覽』を引用し且つ詳細にして大いに異なっている。
665素紗(ソ/スジヤ)ノ衣袈裟各一帖(テウ)此ノ外帽子(モウ\ホウス)沓襪(シタウツ/ナイ)柱杖(シユチヤウ) {柱杖ハカジヤウト云ムシノ中ノ骨ナリ。ソノ虫ノ骨ヲ表ス也}脚〓〔月-榻〕(キヤタツ) {脚〓、腰カクル者ナリ}手巾(シユキン)布衫(サン)平江帯(ヒガウタイ) 帯條(タイ)ニ作−府ヨリ出之故云‖――ト|也云々。〔謙堂文庫蔵五七左@〕※脚榻
とあって、標記語「柱杖」の語を収載し、語注記は未記載にする。
柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(シユキン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカヒ)木綿(モメン)肚脱(ツタツ) 柱杖ハ。カシヤウト云蟲(ム )ノ中ノ骨(ホネ)也。其蟲(ムシ)ノ骨(ホネ)ヲ表(ヒヨフ)スルナリ。〔下34ウ四・五〕
柱杖(しゆぢやう)/柱杖 老和尚(らうおしやう)のつく杖也。〔87ウ七〕
とあって、この標記語「柱杖」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
柱杖(しゆぢやう)/柱杖▲柱杖ハつゑなり。〔64ウ一、64ウ六〕
柱杖(しゆぢやう)▲柱杖ハつゑなり。〔115オ六、115ウ六〕
Xugio<.シュヂャゥ(柱杖) 坊主(Bonzo)が,弟子をこらしめたり,叩いたりするために机の上に置いておく杖.※原文はbanco.〔Qio<zzucuyeの注〕〔邦訳800r〕
しゅ-ぢゃう〔名〕【盜杖・手杖】又盜杖子。禪宗の僧侶の用ゐる杖。狂言記、盜杖「某、いつぞや、都へ用事ありて上ぼり、、其の次手に、しゅぢゃうを誂へ置きました」謡曲、熊坂「一壁には、大長刀、手杖にあらざる鐵(かね)の棒」〔0996-3〕
靴(クツ) 左ヨリハキ右ヨリヌク。沓(同)。履(同)僧。A(同)。〔元亀二年本198二・三〕
靴(クツ) 左ヨリハキ右ヨリヌク。沓(同)。履(同)僧ノハク。A(同)。〔静嘉堂本225一〕
靴(クツ) 左ヨリハキ右ヨリヌク。沓(同)。履(同)。A(同)。〔天正十七年本中41ウ七・八〕
襪(シタウス) 。〔元亀二年本333八〕
襪(シタウツ) 。〔静嘉堂本397八〕
此外帽子沓襪子柱杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布筋匙木錦肚脱〔至徳三年本〕
此外帽子沓襪子柱杖脚榻○([拂子])手巾布衫○([平江帯])鉢孟((盂))巾脚布筋匙木錦肚脱〔宝徳三年本〕
此外帽子沓襪子柱杖脚榻手巾布衫鉢盂巾脚布匙木綿肚脱〔建部傳内本〕
此外帽子(モウス)履(クツ)襪(シタウヅ)柱杖脚榻(キヤタツ)手巾(スキン)布衫(サン)鉢盂巾(ホ井キン)脚布筋匙(ハシガヒ)木綿ノ肚脱(ヅタツ)〔山田俊雄藏本〕
此ノ外帽子(モウス)沓(クツ)襪子(シタウツ)柱杖(シユチヤウ)脚榻(キヤタツ)手巾(キン)布衫(フサン)鉢盂巾(ホイキン)脚布(キヤフ)筋匙(ハシカイ)木綿ノ肚脱(ツタツ)〔経覺筆本〕
此ノ外。帽子(モウス)。履(クツ)。襪(シタウヅ)。柱杖(シユチヤウ)。脚榻(キヤタツ)。手巾(シユキン)。布衫(フサム)。鉢盂巾(ホユキン)。脚布(キヤツフ)。筋匙(ハシカイ)。木綿(モメンノ)。肚脱(ツタツ)。〔文明四年本〕※箸匙(ハシカイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・経覺筆本は、「沓襪子」、山田俊雄藏本・文明四年本が「履襪」とし、訓みは、山田俊雄藏本・文明四年本に「クツシタウヅ」とし、経覺筆本に「クツシタウツ」と記載する。
襪子(シタウヅ) 。〔絹布門98一〕
靴(クツ/クワ)[平]慰(同/クワ)[平]沓(同/タフ)[入]A(同/せキ)[入]鞋(同/アイ)[平]履(同/リ)[上] 又作二履子一。合紀呼土(クツ)。〔器財門505八〜506一〕
襪子(シタフズ/ヘツシ) 。〔絹布門924三〕
履(クツ)。靴(同)クワ。沓(同)クツ。A(同)セキ。〔弘・衣服門160一〕 履(クツ)。〔弘・財宝門159五〕
A 履也。〔永・財宝門131四〕 履(クツ) 呼土。〔永・國花合紀集拔書280九〕
A 履。〔尭・財宝門120五〕〔両・財寳門146三〕
履(クツ)。靴(クツ)。〔両・財寳門146三・四〕
襪子(シタウズ) 。〔弘・衣服門243二〕
襪子(シタウヅ) 。〔永・財宝門208九〕〔尭・財宝門193一〕
靴沓(クワノクツ) 大臣沓也。〔器財門131七〕
襪子(シタウズ)ベツス 。〔食服門208二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「沓襪」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
665素紗(ソ/スジヤ)ノ衣袈裟各一帖(テウ)此ノ外帽子(モウ\ホウス)沓襪(シタウツ/ナイ)柱杖(シユチヤウ) {柱杖ハカジヤウト云ムシノ中ノ骨ナリ。ソノ虫ノ骨ヲ表ス也}脚〓〔月-榻〕(キヤタツ) {脚〓、腰カクル者ナリ}手巾(シユキン)布衫(サン)平江帯(ヒガウタイ) 帯條(タイ)ニ作−府ヨリ出之故云‖――ト|也云々。〔謙堂文庫蔵五七左@〕※脚榻
とあって、標記語「沓襪」の語を収載し、語注記は未記載にする。
沓(クツ)襪子(シタウス) 恒(ツネ)ノ如シ。〔下34ウ四〕
沓(くつ)襪子(したうず)/沓襪子 爪先(つまさき)をわらぬ足袋也。〔87ウ六〕
とあって、この標記語「沓襪子」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
沓(くつ)襪子(したうす)/沓襪子▲襪子ハ沓下(くつした)にはく足袋(たび)也。〔64ウ一、64ウ五〕
沓(くつ)襪子(したうず)▲襪子ハ沓下(くつした)にはく足袋(たび)也。〔115オ六、115ウ六〕
Cutcu.クツ(沓) ¶Cutcuuo caqu.(沓を掻く)馬用のわらじをつくる.§Cutcuuo vtcu.(沓を打つ)馬にわらじをはかせる.⇒Fumi,u;Tcumari,u;Vchi,tcu.(打ち,つ).〔邦訳174r〕
Xito<zzu.シタウス(襪子) 坊主(Bonzos)のはく一種の白い足袋.※原文はcalcas.〔邦訳783l〕
くつ〔名〕【沓・靴】〔沓は、鞜(かはぐつ)の省字、鹽鐵論「韋沓絲履」〕足首の形に凖へて作り、穿(ハ)きて歩(ある)くに用ゐる具。木沓、革沓、絲沓、藁沓、などあり。又、束帶(ソクタイ)・衣冠(イクワン)の時に用ゐる深沓、淺沓、靴(くつ)の沓、半靴(ハウクワ)、などあり、各條を見よ。今は、西洋製に傚ひて、多くは革製にて、長沓、半沓など、種種あり。神代紀、上14「履(クツ)」古事記、中(應神)82「襪、沓(クツ)」字鏡24「?、久豆」和名抄、十二21履襪類「履、久豆、用二鞜字一、音沓」〔0533-3〕
した-うづ〔名〕【襪】したぐつの音便、其條を見よ。名義抄「襪、シタウツ」名目抄、衣服「襪、シタウツ」枕草子、六、五十段「燈臺は倒れぬ、したうづは、打敷に附きて行くに」〔0897-5〕
帽子(モウス) 又道具也。太唐畜(ロ)山寺ノ惠遠(エヲン)禪師ノ召シ給フ也。大國ニ昔(ムカ)シ大旱(ヒテリ)スル事アリ。人ノ頭(カウベ)破(ワル)也。彼(カノ)遠(ヲン)法師(ホツシ)ニ祈(イノラ)せテ雨請(アマゴヒ)ヲサセラレシ也。餘(アマリ)ニ日強(ツヨ)ク照(テツ)テ人ノ通(カヨフ)事稀(マレ)也。其時帝(ミカト)ヨリ法師ガ頭(カウベ)ニ御衣(キヨイ)ノ御袖(ヲンソテ)ヲ引(ヒキ)ムシリ。御(ヲン)被(カブラ)せアリ。水(ミツ)ト云字ヲ忝(カタシケ)ナクモ帝(ミカト)御手(テ)ヲノベサせ玉ヒテ遊(アソ)ハシケリ。其(ソレ)ヨリ帽子(モウス)始(ハジマ)リシ也。帽子(モウス)ト云字ヲ唐音(タウイン)テモウスト云也。モウスノ上ノヒダノ姿(スカタ)水(ミツ)ノ形(カタチ)ナリ。〔下34ウ一〜四〕
此外(このほか)帽子(もうす)/此外帽子 僧のかふり物也。注前にくわし。〔87ウ六〕
とあって、この標記語「帽子」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
此外(このほか)帽子(まうす)/此外帽子▲帽子は七月の返状にミゆ。〔64ウ一、64ウ五〕
此外(このほか)帽子(まうす)▲帽子は七月の返状にミゆ。〔115オ四、115ウ五〕
一帖(デウ) 紙。〔元亀二年本19六〕
一帖 紙。〔静嘉堂本15四〕
頭首方者素紗衣袈裟各一帖〔至徳三年本〕
頭首方者素紗衣袈裟各一帖〔宝徳三年本〕
頭首方者素紗衣袈裟各一帖〔建部傳内本〕
頭首(テウシユ)方(ガタ)者(ハ)素紗(ソシヤ)ノ衣(コロモ)袈裟(ケサ)各ノ一帖(テウ)〔山田俊雄藏本〕
頭首(テウシユ)方(ガタ)者(ハ)素紗(ソシヤ)ノ衣(コロモ)袈裟(ケサ)各ノ一帖(テウ)〔経覺筆本〕
頭首(テウシユ)方(ガタ)者(ハ)素紗(ソシヤ)ノ衣(コロモ)袈裟(ケサ)各ノ一帖(テウ)〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は「一帖」と記載し、訓みは、山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「(イチ)テウ」と記載する。
一帖(イチテウ/ヒトツ、ノリ)[○・入] 同(紙)。〔數量門11六〕
一帖(デウ) 料紙等。〔弘・言語数量門8七〕
一帖(デフ) 紙。〔言語門6四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「一帖」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
665素紗(ソ/スジヤ)ノ衣袈裟各一帖(テウ)此ノ外帽子(モウ\ホウス)沓襪(シタウツ/ナイ)柱杖(シユチヤウ) {柱杖ハカジヤウト云ムシノ中ノ骨ナリ。ソノ虫ノ骨ヲ表ス也}脚〓〔月-榻〕(キヤタツ) {脚〓、腰カクル者ナリ}手巾(シユキン)布衫(サン)平江帯(ヒガウタイ) 帯條(タイ)ニ作−府ヨリ出之故云‖――ト|也云々。〔謙堂文庫蔵五七左@〕※脚榻
とあって、標記語「一帖」の語を収載し、語注記は未記載にする。
花〓(クハリン)(糸+彦)木綿(モメン)等各一ツ配(ツヽ)頭首(テウシユ)方(ガタ)者(ハ)素紗(ソシヤ)ノ衣(コロモ)袈裟(ケサ)各ノ一帖(テウ)此ノ外 花〓(糸+彦)木綿ハ。色色アルモメン也。〔下34オ八〜34ウ一〕
頭首方(てうしゆかた)者(ハ)素紗(そしや)の衣(ころも)袈裟(けさ)各(おの/\)一帖(いちてう)/頭首方者素紗ノ衣袈裟各ノ一帖 けさころも侍りたるを一帖と云。〔87ウ六〕
とあって、この標記語「一帖」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
頭首方(てうしゆかた)者(ハ)素紗(そしや)の衣(ころも)袈裟(けさ)平江帯(びんがうたい)各(おの/\)一帖(いちでう)/頭首方者素紗ノ衣袈裟各ノ一帖。〔64オ四〕
頭首方(てうしゆかた)者(ハ)素紗(そしやの)衣(ころも)袈裟(けさ)平江帯(びんがうたい)各(おの/\)一帖(いちでう)。〔115オ五〕
†Ichigio>.イチデフ(一帖) 紙の帖数,坊主(Bonzos)のストラ,および,草子(So<xis)という日本のある書き物などの数え方.※原文はestllas.聖職者の祭服用の頸垂帯.ここでは,肩袈裟をさす.〔邦訳326l〕
いち-でふ〔名〕【一帖】〔帖は、疊(たた)むなり、其條を見よ、折手本を、はふでふ(法帖)と云ふも、是れなり〕(一){折りたたみたる物を數ふるに云ふ語。二帖、三帖、五帖なども云ふ。内匠寮式「屏風、一帖」江家次第、九、十一日小安殿行幸装束「大宋御屏風、三帖」同、五、圓宗寺最勝會「上紙三十帖、但馬」源氏物語、十七、繪合9「かたわなるまじき一でうづつ、さすがに浦浦のありさま、さやかに見えたるを、擇(え)りたまふ」細流抄「かたわなるまじきは、此中にて勝(すぐ)れたるを撰りたまふなり」(繪合(ゑあはせ)に出す繪なり、一枚(いちまい)の條の(二)を見よ)(二)紙の枚(ひら)に云ふことは、前項の江家次第(1111年頃)にも見えたるが、後世は、專ら廣く紙に云ふ。半紙は二十枚を一帖と云ひ、美濃紙は四十八枚を一帖としたり、これは三尺幅にて腰板ある紙障子を貼(は)るに、四十八枚にて過不足なきに因るなりと聞けり、其外、何紙、某(それ)の紙とて、一帖の枚數を定むること、區區(まちまち)なりき、然るに、大正十四年八月、東京と大阪との紙商同業組合にて、半紙を二十枚一帖とし、十帖を一束、五束を一締とし、四締を一丸とし、其外、各種の紙、皆五十枚を一帖としたり。江戸、東京にて、乾海苔は、十枚を一帖と云ふ。〔0171-5〕
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