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ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「荒布」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「あらめ」と記載する。
滑海藻アラメ 。荒布同/俗用之 。〔黒川本・植物門下22オ六〕
滑海藻アラメ/俗用荒布 。〔卷第八・植物門275三〕
海帶(アラメ/カイタイ・ウミ、ヲビ)[上・去] 又作二荒布一。醫書用レ之。〔草木門745六〕
荒和布(アラメ) 。〔草木門170二〕
このように、上記当代の古辞書においては、「荒布」「荒和布」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、
692昆布荒布K煮ノ烏頭布(カチメ)蕗(フキ)薊(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ) 作∨茗非也。求名菩薩ヨリ始也。故ハ求名鈍而書‖我名ヲ|荷テ行ク也。死シテ後ニ墳ニ生∨草ト名‖々何ト|也。即号‖鈍根草|也。是即求名ノ菩薩ハ釈迦如来ノ時之弥勒佛ハ是也。〔謙堂文庫蔵五八左G〕
とあって、標記語「荒布」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
煮染(にしめ)の牛房(ごぼう)昆布(こんぶ)烏頭布(うどめ)搗布(かちめ)荒布(あらめ)黒煮(くろに)の蕗(ふき)/煮染ノ牛房昆布搗布烏頭布荒布K煮ノ蕗 和名集にハふゝきと訓す。ふきといふハ畧語(りやくご)なり。〔90オ四〜六〕
とあって、この標記語「荒布」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。黒煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲荒布ハ本字海帯(かいたい)と書。昆布(こんふ)に似(に)て狭(せば)く黒色(くろいろ)なり。〔66ウ一、66ウ八〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)黒煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲荒布ハ本字海帯(かいたい)と書。昆布(こんぶ)に似(に)て狭(せば)く黒色(くろいろ)なり。〔11ウ一、120オ四〕
Arame.アラメ(荒布) ある海藻.〔邦訳30r〕
あら-め〔名〕【荒布】〔和布(にぎめ)に對して、皴の粗きを云ふ、め、(海藻)竝に、昆布(コンブ)の條を見よ〕海藻の名。海底の石に着きて生ず、葉、扁(ひらた)く長くして、一根より叢生し、長きは四五尺に至る、色Kく、縱に粗き皴あり、食ふべし、或は、沃度(ヨウド)採収の原料とし、又は、肥料とす。K菜。倭名抄、十七8「滑海藻、俗用荒布阿良女」大膳職式、「荒布」賦役令「滑海藻、二百六十斤」土左日記、正月元日「芋も、あらめも、齒固(はがため)もなし、かうやうの物、無き國なり」(國は、所の意、土佐國、大湊、停泊の船中にてなり)〔0109-5〕
烏布(カヂメ) 海藻(ウミノモ)。〔元亀二年本97八〕
烏布(カヂメ) 海藻。〔静嘉堂本122二〕
烏布(カチメ) 海藻。〔天正十七年本上60オ三〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本は此の語を未収載にする。宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本は、「烏頭布」、文明四年本は、「烏布」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本「ウトメ」、文明四年本に「くろめ/かちめ」と記載する。
未滑海藻カチメ 。搗布同俗用之 。〔黒川本・植物門上75ウ四・五〕
未滑海藻カチメ 。搗布同 。〔卷第三・植物門167一〕
搗和布(カヂメ) 。〔弘・官位門76八〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「搗和布」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
692昆布荒布K煮ノ烏頭布(カチメ)蕗(フキ)薊(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ) 作∨茗非也。求名菩薩ヨリ始也。故ハ求名鈍而書‖我名ヲ|荷テ行ク也。死シテ後ニ墳ニ生∨草ト名‖々何ト|也。即号‖鈍根草|也。是即求名ノ菩薩ハ釈迦如来ノ時之弥勒佛ハ是也。〔謙堂文庫蔵五八左G〕
とあって、標記語「烏頭布」の語を収載し、語注記は未記載にする。ここで、真名注が「烏頭布」の訓みを「かちめ」としていることに注目したい。これは上記『庭訓往來』古写本のなかで文明四年本が「烏布」と表記し、「くろめ」「かちめ」の訓みを記載している点とも関連している。そして、『庭訓往來』には別状に「醍醐烏頭布」なる語が収載されていて、その意味合いは、木の芽漬けとして加工された京都の醍醐寺に因む食品名であり、この食品の素材に「烏頭布(うどめ)」を用いたことからこの名が記載されたものと思われる。但し、「独活芽」であれば樹木類であり、その食材が全く異なるものとなる。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
煮染(にしめ)の牛房(ごぼう)昆布(こんぶ)烏頭布(うどめ)搗布(かちめ)荒布(あらめ)黒煮(くろに)の蕗(ふき)/煮染ノ牛房昆布搗布烏頭布荒布K煮ノ蕗 和名集にハふゝきと訓す。ふきといふハ畧語(りやくご)なり。〔90オ四〜六〕
とあって、この標記語「烏頭布」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。黒煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲烏頭布ハ未考。或説に黒和布(くろわかめ)といへり。〔66ウ一、66ウ八〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)黒煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲烏頭布ハ未考。或説に黒和布(くろわかめ)といへり。〔11ウ一、120オ四〕
Cagime.カヂメ(搗和布) 海藻の一種.〔邦訳79l〕
かち-め〔名〕【搗布】〔め、(海布)并に、昆布(こぶ)、搗(か)つ、の條を見よ〕海藻の名。若布(わかめ)に似て、細そく狹くして、皴多し、乾して粉末(こ)とし、吸物に加ふれば、甚だ滑らかなり。今、相良布(さがらめ)とも云ふ。倭名抄、十七8「末滑海藻、加知女、俗用二搗布一、搗末之義也」〔0385-5〕
昆布(ブ) 。〔元亀二年本232三〕
昆布(コブ) 。〔静嘉堂本266七〕
昆布 。〔天正十七年本中62オ六〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「昆布」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本に「コフ」、文明四年本「コ(ブ)」と記載する。
昆布 コンフ。〔黒川本・植物門下2ウ七〕
昆布 一名云衣比酒女/コフ。〔卷第七・植物門110五〕
昆布(コンブ) 。〔草木門129七〕
昆布(コンブ/エノカミ、シク・ヌノ)[平・去] 海藻。〔草木門654五〕
昆布(コブ) 海藻。〔弘・草木門185六〕
昆布(コンブ) 海藻。〔永・草木門152一〕
昆布(コブ) 海藻。海帯艸。〔尭・草木門141九〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「昆布」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』及び系統の『節用集』類の語注記は、真字註には見えない。
692昆布荒布K煮ノ烏頭布(カチメ)蕗(フキ)薊(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ) 作∨茗非也。求名菩薩ヨリ始也。故ハ求名鈍而書‖我名ヲ|荷テ行ク也。死シテ後ニ墳ニ生∨草ト名‖々何ト|也。即号‖鈍根草|也。是即求名ノ菩薩ハ釈迦如来ノ時之弥勒佛ハ是也。〔謙堂文庫蔵五八左G〕
とあって、標記語「昆布」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
煮染(にしめ)の牛房(ごぼう)昆布(こんぶ)烏頭布(うどめ)搗布(かちめ)荒布(あらめ)黒煮(くろに)の蕗(ふき)/煮染ノ牛房昆布搗布烏頭布荒布K煮ノ蕗 和名集にハふゝきと訓す。ふきといふハ畧語(りやくご)なり。〔90オ四〜六〕
とあって、この標記語「昆布」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲昆布ハ多く東海に産す。和名ヒロメ又ヱビスメといふ。〔66ウ一、66ウ七〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲昆布ハ多(おほ)く東海(とうかい)に産(さん)す。和名(わミやう)ヒロメ又ヱビスメといふ。〔11ウ一、120オ三〕
Cobu.コブ(昆布) 食用になる葉の広い海藻.⇒Lri〜;Ni〜(煮昆布)..〔邦訳r〕
コンブ〔名〕【昆布】〔蝦夷(アイヌ)の語、Kombu.の音譯字なり、夷布(ゑびすめ)と云ふも、それなり、海藻類に、荒布(あらめ)、和布(わかめ)、搗布(かちめ)など、布の字を用ゐるも、昆布より移れるならむ、支那の本草に、昆布を舉げたり、然れども、東海に生ず、とあれば、此方より移りたるなるべし、こぶと云ふは、こんぶの約なり(勘解由(かんげゆ)、かげゆ。見參(ゲンザン)、げざん)廣布(ひろめ)と云ふは、海藻の中にて、葉の幅、最も廣きが故に、名とするなり〕古名、ひろめ。又、えびすめ。又、約めて、こぶとも云ふ。海藻の名、北海道に産ず。根は、淺海の岩礁に着きて生じ、葉の大なるは、長さ、六七尺より、二三丈に及び、幅、一二尺、濃緑なるを上とし、黄褐なるを下とす、乾し晒せば、柔醐(しなやか)なること、なめしがはの如し、貯へて、食用とす、廣めの名に寄せて、多く、祝賀に用ゐる、此海藻、種類多し。續日本紀、七、靈龜元年十月「蝦夷、須賀君古麻比留等言、先祖以來、貢獻昆布、常採此地、年時不闕、云云、請於閉村、便建郡家、同於百姓共率親族、永不闕貢」(熟蝦夷(にぎゑみじ)なり、陸奥、牡鹿郡邊の地ならむ、金華山以北には、昆布あり、今の陸中の閉伊郡とは、懸隔せり)民部省式、交易雜物、陸奥國「昆布六百斤」倭名抄、十七8海藻類「本草云、昆布、生東海、和名、比呂米、一名、衣比須女」字類抄、飲食「昆布、エビスメ、ヒロメ、コブ」下學集(文安)下、草木門「昆布(コンブ)」〔0735-4〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「牛房」と表記し、訓みは文明四年本に「コハウ」と記載する。
牛蒡(コハウ) 北朗反/ヌキタキス/又ウマフヽキ。〔黒川本・植物門下2ウ一〕
牛蒡 俗人蒡乍房者非也。〔卷第七・植物門112一〕
691煮染(ニシメ)ノ牛房 似ル‖牛之閉ニ|間云尓也。〔謙堂文庫蔵五八左G〕
とあって、標記語「牛房」の語を収載し、語注記は「牛の閉に似る。間に尓(し)か云ふ」と記載する。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
煮染(にしめ)の牛房(ごぼう)昆布(こんぶ)烏頭布(うどめ)搗布(かちめ)荒布(あらめ)黒煮(くろに)の蕗(ふき)/煮染ノ牛房昆布搗布烏頭布荒布K煮ノ蕗 和名集にハふゝきと訓す。ふきといふハ畧語(りやくご)なり。〔90オ四〜六〕
とあって、この標記語「牛房」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。黒煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲牛房ハ本字(ほんじ)牛蒡(きうほう)と書。和名(わめう)キタキス又ムマブキといふ。〔66ウ一、66ウ七〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)黒煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲牛房ハ本字(ほんじ)牛蒡(ぎうばう)と書。和名(わミやう)キタキス又ムマフヾキといふ。〔119ウ一、120オ二・三〕
Gobo<.ゴバゥ(牛蒡) 薊(あざみ)の根のようなある種の根で,食用になるもの.→Acujit.〔邦訳304l〕
ご-ばう〔名〕【牛蒡】〔ゴは、牛(ギウ)の呉音〕古名、きたきす。うまふぶき。蔬菜(あをもの)の名、春、又は秋、種を下す、莖、高さ二三尺、根の上、紫色なり、葉は、芋に似て、長く厚く、皴あり、夏の初、淡紫の小花、蔟り開く。根、長大なるは、長さ、二三尺、圍、六七寸にも至るものあり、皮Kくして、肉、白し、畠に作りて、專ら、食用とす。音便に、ごんばう。實(み)の殻(から)に、棘(いが)あり、中に、數十子あり、葡萄の核に似て、赤Kし、藥用とす。惡實。康頼本草、上14「惡實、支太支須、ゴバウ」〔0711-2〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「煮染」と表記し、訓みは経覺筆本に「にじめ」、山田俊雄藏本・文明四年本に「にしめ」と記載する。
煮染(ニジメ) 。〔食服門26六〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に、標記語「煮染」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
691煮染(ニシメ)ノ牛房 似ル‖牛之閉ニ|間云尓也。〔謙堂文庫蔵五八左G〕
とあって、標記語「煮染」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
煮染(にしめ)の牛房(ごぼう)昆布(こんぶ)烏頭布(うどめ)搗布(かちめ)荒布(あらめ)黒煮(くろに)の蕗(ふき)/煮染ノ牛房昆布搗布烏頭布荒布K煮ノ蕗 和名集にハふゝきと訓す。ふきといふハ畧語(りやくご)なり。〔90オ四〜六〕
とあって、この標記語「煮染」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。黒煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66オ八〜66ウ六、〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)黒煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119オ六〜120オ一〕
に-しめ〔名〕【煮染】種種の魚菜を、醤油、鰹節などにて、煮染むること。又、その煮染めたるもの。易林本節用集(慶長)上、食服門「煮染、ニシメ」庭訓往來、十月「菜者、繊蘿蔔、煮染牛房、昆布、荒布、K煮烏頭布」〔0456-5〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「繊蘿蔔」と表記し、訓みは経覺筆本に「サンロフ」、山田俊雄藏本・文明四年本に「センロフ」と記載する。
690菜者繊蘿蔔 (サンロフ) 用大根ヲ也。〔謙堂文庫蔵五八左F〕
とあって、標記語「繊蘿蔔」の語を収載し、語注記に「大根を用いるなり」と記載する。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんろふ)/菜者繊蘿蔔 細くきさみたる大根也。〔90オ三・四〕
とあって、この標記語「繊蘿蔔」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。黒煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲繊蘿蔔ハ大根(だいこん)を細(ほそ)く切(き)りたる也。〔66オ八、66ウ六・七〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)黒煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲繊蘿蔔ハ大根(たいこん)を細(ほそ)く切(き)りたる也。〔119オ六、120オ二〕
せん-ろふ〔名〕【繊蘿蔔】前條に同じ。庭訓徃來、十月「菜者、繊蘿蔔、煮染牛房」→「せん-ろッぽん〔名〕〔次條の繊蘿蔔(センロフ)の音轉と云ふ〕大根を、甚だ細長く、切り刻みたるもの。セロッポウ。略して、せん。」〔1134-5〕
菜(ナ) 。蔓(同) 。〔元亀二年本381四〕
菜(ナ) 。蔓(ナ) 。〔静嘉堂本459八〕
とあって、標記語「菜」の語を収載する。
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「菜」と表記し、訓みは経覺筆本・文明四年本に「サイ」と記載する。
菜 ナ/生―。〔黒川本・植物門中32ウ八〕
菜 ナ。生菜/草可食者皆名―。〔卷第五・植物門29三〕
菜(ナ/サイ)[去] 或云二蕪彩(フせイ)ト一。又云二蔓草ト一。〔草木門435二〕
菜(ナ) 又蕪青(ブセイ)。又蔓艸(マンサウ)。〔弘・草木門137八〕
菜(ナ) 或云蕪彩(ブせイ)。又云レ蔓草。〔永・草木門110三〕
菜(ナ) 又蕪青。又云蔓艸。〔尭・草木門100六〕
菜(ナ) 或云蕪彩。又云蔓草。〔両・草木門122六〕
菜(ナ) 。〔草木門110一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「菜」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』を頂点とする『節用集』類の語注記は、真名注には見えない。
690菜者繊蘿蔔 (サンロフ) 用大根ヲ也。〔謙堂文庫蔵五八左F〕
とあって、標記語「菜」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんろふ)/菜者繊蘿蔔 細くきさみたる大根也。〔90オ三・四〕
とあって、この標記語「菜」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。黒煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲菜ハもと野草(やさう)の食(くら)ハるべきものをいふ也。夫(それ)を轉(てん)じて飯汁(めししる)の外膳(ほかぜん)に具(そな)ふる品(しな)をすべてかくいふ。本朝(わかくに)の俗習(ならハせ)也。〔66オ八〜66ウ六、66ウ六〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)黒煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲菜ハもと野草(やさう)の食(くら)ハるべきものをいふ也。夫(それ)を轉(てん)じて飯汁(めししる)の外膳(ほかぜん)に具(そな)ふる品(しな)をすべてかくいふ。本朝(わがくに)の俗習(ならハせ)也。〔119オ六〜120オ一、120オ一〜二〕
NA.ナ(菜) 菜.¶Nauo tcumu.(菜を摘む)菜を採取する.〔邦訳437r〕
な-〔名〕【菜】〔前條の語意に同じ。説文「莫可レ食者、曰レ菜」〕(一)草の莖、葉、根の食ふべきものの總稱。箋注倭名抄、九、菜類「菜、奈」萬葉集、一7長歌「籠もよ、美籠もち、ふぐしもよ、この岳に、みふぐし持ち、此の岡に、菜摘ます兒」(二)專ら豌臺(あぶらな)、又は、菘(たうな)の稱。〔0456-5〕
御時汁者豆腐羹辛羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔至徳三年本〕
御時汁者豆腐羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔宝徳三年本〕
御齋之汁者豆腐羹辛辣羹雪林菜并暑蕷笋蘿蔔山葵寒汁等也〔建部傳内本〕
御時ノ汁ニハ者豆腐羹(トウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜三和羮并ニ薯蕷(ヤマノイモ)笋蘿蔔(シユンロフ)山葵(ワサヒ)冷(ヒヤ)汁等也〔山田俊雄藏本〕
御時之汁(シル)者(ハ)豆腐羹(タウフカン)雪林ノ菜(サイ)並ニ薯蕷(ヤマノイモ)豆腐笋蘿蔔(シユンロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也〔経覺筆本〕
御齋ノ汁(シル)者豆腐羹(タウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜(せツリンサイ)并ニ暑豫(ヤマノイモ)豆腐(タウフ)笋蘿蔔(シユンロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也。〔文明四年本〕
と見え、山田俊雄藏本は「冷汁」とし、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・経覺筆本・文明四年本は、「寒汁」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「ひや(しる)」、経覺筆本・文明四年本に「ヒヤシル」と記載する。
冷汁(ヒヤシル/レイシフ)[去・入] 。〔飲食門1034四〕
冷汁(ヒヤシル) 。〔弘・食物門254七〕〔永・食物門217九〕
冷麺(ヒヤムキ) 冷汁。〔尭・食物門203五〕
冷麪(ヒヤムギ)レイメン ―汁(ジル)。―酒(ザケ)。〔食服門224七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「冷汁」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本は「寒汁」の表記を以て収載しているのである。そして、真字本に異本表記の例として「冷汁」が見えているのである。
689并暑蕷(/ヤマノイモ)野老笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)寒{冷イ}汁等也 山葵形ハ似‖大黄ニ|。色青白也。葉ハ如‖皈ノ寒汁ニ如‖大根ヲ砕ト|。々ニハ以‖石木ヲ|。如‖網ノ目|也。刻彫シテ以∨其ヲ砕也。即是ハ根之亊也。〔謙堂文庫蔵五八左E〕
とあって、標記語「寒汁{冷汁(イ)}」の語を収載し、語注記は未記載にする。
汁(シル)者(ハ)豆腐羹(トウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜(せツリンサイ)并ニ薯蕷(ジヨヨ)腐笋(フシユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサビ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也 汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(セツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アル)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ三〜36オ一〕
山葵(わさび)寒汁(ひやしる)等也/山葵ノ寒汁等也 豆腐以下皆汁の実(ミ)なり。〔90オ三〕
とあって、この標記語「寒汁」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋(おんとき)の汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならび)に薯蕷(しよよ)腐笋(ふしゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさび)乃寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)/御齋ノ汁者豆腐羹辛辣羹雪林菜并薯蕷腐笋蘿蔔山葵ノ寒汁等也。〔66オ六〕
御齋(おんときの)汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならびに)薯蕷腐(しよよふ)笋(しゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさびの)寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)〔119オ三・四〕
Fiyaxiru.ヒヤジル(冷汁) 実として野菜を入れた,冷たい汁(Xiru)で,夏に食べるもの.→Mozzucubiyaxiru;Tadebiyaxiru.〔邦訳253l〕
御時汁者豆腐羹辛羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔至徳三年本〕
御時汁者豆腐羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔宝徳三年本〕
御齋之汁者豆腐羹辛辣羹雪林菜并暑蕷笋蘿蔔山葵寒汁等也〔建部傳内本〕
御時ノ汁ニハ者豆腐羹(トウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜三和羮并ニ薯蕷(ヤマノイモ)笋蘿蔔(シユンロフ)山葵(ワサヒ)冷(ヒヤ)汁等也〔山田俊雄藏本〕
御時之汁(シル)者(ハ)豆腐羹(タウフカン)雪林ノ菜(サイ)並ニ薯蕷(ヤマノイモ)豆腐笋蘿蔔(シユンロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也〔経覺筆本〕
御齋ノ汁(シル)者豆腐羹(タウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜(せツリンサイ)并ニ暑豫(ヤマノイモ)豆腐(タウフ)笋蘿蔔(シユンロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「蘿蔔」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「ロフ」と記載する。
蘿蔔(ロフ/ツタ、フク)[平・去] 異名廬服。〔飲食門44八〕
蘿蔔(ロフ) 。〔弘・飲食門16一〕
大根(タイコン) 又云芦性(ロフク)。又云蘿蔔。〔両・草木門99八〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「蘿蔔」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記「異名、廬服」は、他と異なる記載となっている。
689并暑蕷(/ヤマノイモ)野老笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)寒{冷イ}汁等也 山葵形ハ似‖大黄ニ|。色青白也。葉ハ如‖皈ノ寒汁ニ如‖大根ヲ砕ト|。々ニハ以‖石木ヲ|。如‖網ノ目|也。刻彫シテ以∨其ヲ砕也。即是ハ根之亊也。〔謙堂文庫蔵五八左E〕
とあって、標記語「蘿蔔」の語を収載し、語注記は未記載にする。
汁(シル)者(ハ)豆腐羹(トウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜(せツリンサイ)并ニ薯蕷(ジヨヨ)腐笋(フシユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサビ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也 汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(セツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アル)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ三〜36オ一〕
蘿蔔(ろふ)/蘿蔔 蘿蔔ハ大根(たいこん)の事也。〔90オ二〕
とあって、この標記語「蘿蔔」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋(おんとき)の汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならび)に薯蕷(しよよ)腐笋(ふしゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさび)乃寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)/御齋ノ汁者。豆腐羹。辛辣羹。雪林菜。并ニ薯蕷腐。笋。蘿蔔。山葵ノ寒汁等也▲蘿蔔ハ大根(だいこん)也。和名オホネといふ。是等(これら)いづれも汁(しる)の実(ミ)に用ふる料(れう)也。〔66オ五、66オ八〕
御齋(おんときの)汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならびに)薯蕷腐(しよよふ)笋(しゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさびの)寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)▲蘿蔔ハ大根(たいこん)也。和名オホネといふ。是等(これら)いづれも汁(しる)の実(ミ)に用(もち)ふる料(れう)也。〔119オ三、119オ五・六〕
ら-ふく〔名〕【蘿蔔・蘆性・?性】だいこん(大根)に同じ。箋注和名抄、九40菜類、温菘、注「引爾雅云、□、蘆胖、釋曰、紫花菘也、俗呼二温菘一、似二蕪彩一、大根、一名□、俗呼雹□、一名蘆性、今謂二之蘿蔔一是也、則知、温菘即蘆性」〔2113-4〕
笋干(シユンカン) 。〔元亀二年本312十〕〔静嘉堂本366六〕
御時汁者豆腐羹辛羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔至徳三年本〕
御時汁者豆腐羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔宝徳三年本〕
御齋之汁者豆腐羹辛辣羹雪林菜并暑蕷笋蘿蔔山葵寒汁等也〔建部傳内本〕
御時ノ汁ニハ者豆腐羹(トウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜三和羮并ニ薯蕷(ヤマノイモ)笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)冷(ヒヤ)汁等也〔山田俊雄藏本〕
御時之汁(シル)者(ハ)豆腐羹(タウフカン)雪林ノ菜(サイ)並ニ薯蕷(ヤマノイモ)豆腐笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也〔経覺筆本〕
御齋ノ汁(シル)者豆腐羹(タウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜(せツリンサイ)并ニ暑豫(ヤマノイモ)豆腐(タウフ)笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・経覺筆本・文明四年本は、この語は未収載であり、山田俊雄藏本だけが「笋」と表記し、訓みは「シユン」と記載する。
笋干(シユンカン/タカンナ、モトム・ホス)[去・平] 又作レ笋。〔飲食門923七〕
笋干(シユンカン) 。〔弘・官位門243五〕〔永・官位門209一〕〔尭・官位門193四〕
笋干(シユンカン) 。〔食服門208三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「笋」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
689并暑蕷(/ヤマノイモ)野老笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)寒{冷イ}汁等也 山葵形ハ似‖大黄ニ|。色青白也。葉ハ如‖皈ノ寒汁ニ如‖大根ヲ砕ト|。々ニハ以‖石木ヲ|。如‖網ノ目|也。刻彫シテ以∨其ヲ砕也。即是ハ根之亊也。〔謙堂文庫蔵五八左E〕
とあって、標記語「笋」の語を収載し、語注記は未記載にする。
汁(シル)者(ハ)豆腐羹(トウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜(せツリンサイ)并ニ薯蕷(ジヨヨ)腐(フ)笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサビ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也 汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(セツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アル)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ三〜36オ一〕
笋(しゆん)/笋 竹の子なり。〔90オ二〕
とあって、この標記語「笋」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋(おんとき)の汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならび)に薯蕷(しよよ)腐笋(ふしゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさび)乃寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)/御齋ノ汁者豆腐羹辛辣羹雪林菜并薯蕷腐笋蘿蔔山葵ノ寒汁等也▲笋ハ和名(わミやう)タカンナといふ。竹(たけ)の子(こ)也。〔66オ六、66オ八〕
御齋(おんときの)汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならびに)薯蕷腐(しよよふ)笋(しゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさびの)寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)▲笋ハ和名(わミやう)タカンナといふ。竹(たけ)の子(こ)也。〔119オ三、119オ五〕
Xuncan.シュンカン(笋干) Foita taqenoco.(干いた笋)日にあてて乾かした筍.文書語.〔邦訳801r〕
野老(トコロ) 。〔元亀二年本378四〕〔静嘉堂本461八〕
そして、「多」部に、
豆腐(タウフ) 。〔元亀二年本139五〕〔静嘉堂本148五〕
御時汁者豆腐羹辛羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔至徳三年本〕
御時汁者豆腐羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔宝徳三年本〕
御齋之汁者豆腐羹辛辣羹雪林菜并暑蕷笋蘿蔔山葵寒汁等也〔建部傳内本〕
御時ノ汁ニハ者豆腐羹(トウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜三和羮并ニ薯蕷(ヤマノイモ)笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)冷(ヒヤ)汁等也〔山田俊雄藏本〕
御時之汁(シル)者(ハ)豆腐羹(タウフカン)雪林ノ菜(サイ)並ニ薯蕷(ヤマノイモ)豆腐笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也〔経覺筆本〕
御齋ノ汁(シル)者豆腐羹(タウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜(せツリンサイ)并ニ暑豫(ヤマノイモ)豆腐(タウフ)笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本いずれにもこの語は未収載とする。そして、至徳三年本・宝徳三年本・経覺筆本・文明四年本には「豆腐」の語を茲に収載している。
輒(カイ)トコロ 。粳同。野老同/或用之。未詳。〔黒川本・植物門上43ウ八〕
輒(カイ)トコロ 。粳俗用―字。或用野老/二字未詳。野老已上同/俗用之。〔卷第二・植物門378六〜379一〕
豆腐(トウフ) 。〔飲食門99四〕
黄精(トコロ/クワウせイ・キナリ、アキラカ)[平・去] 或云二涙輒(ヒツカイ)ト一。又云二野老一。〔草木門127二〕
豆腐(タウフ/トウ・マメ、クチル)[去・去] 或作二唐布一。又云二白壁(ハクヘキ)一。〔飲食門340三〕
豆腐(タウフ)ヅフ 或云白壁/又云唐布。〔弘・食物門102六〕
豆腐(タウフ) 或云白壁/又云唐布。〔永・食物門94六〕
豆腐(タウフ) 或云白壁/又云唐腐。〔両・食物門104七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「野老」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
689并暑蕷(/ヤマノイモ)野老笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)寒{冷イ}汁等也 山葵形ハ似‖大黄ニ|。色青白也。葉ハ如‖皈ノ寒汁ニ如‖大根ヲ砕ト|。々ニハ以‖石木ヲ|。如‖網ノ目|也。刻彫シテ以∨其ヲ砕也。即是ハ根之亊也。〔謙堂文庫蔵五八左E〕
とあって、標記語「野老」の語を収載し、語注記は未記載にする。
汁(シル)者(ハ)豆腐羹(トウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜(せツリンサイ)并ニ薯蕷(ジヨヨ)腐笋(フシユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサビ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也 汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(セツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アル)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ三〜36オ一〕
野老(しよよ)/野老 菜(な)の莖立(くゝたち)なり。〔90オ一〕
とあって、この標記語「野老」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋(おんとき)の汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならび)に薯蕷(しよよ)腐笋(ふしゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさび)乃寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)/御齋ノ汁者豆腐羹辛辣羹雪林菜并薯蕷腐笋蘿蔔山葵ノ寒汁等也。〔66オ〕
御齋(おんときの)汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならびに)薯蕷腐(しよよふ)笋(しゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさびの)寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)〔119オ〕
※「輒」の注記▲輒ハ正字涙輒(ひかい)也。俗に野老(やらう)と書。蔓葉(つるは)ともに薯蕷(ながいも)に似(に)たり。〔67オ一&120ウ五〕
Tocoro.トコロ(野老・涙輒) 苦味のある或る種の草の根で,食用になるもの.→Ficai.〔邦訳653r〕
や-らう〔名〕【野老】(一)田舎のとしより。ゐなかおやぢ。村翁。野翁。杜甫、秦州雜詩「唐堯眞自聖、野老復何知」(二)ところ(野老)に同じ。本朝食鑑、三、柔滑「輒、訓土古呂、云云、有節多長鬚、煮之則根黄鬚白、故稱二野老一」〔2059-2〕
とう-ふ〔名〕【豆腐】大豆にて製する食物。大豆を水に漬し、水を加へて碾(ひ)き、其液を煮て、布袋(ぬのぶくろ)にて搾(しぼ)りて滓を去り、(此滓をとうふがらと云ひ、略してからとも云ふ)其液に鹵汁(にがしる)を加へ、稍、凝れるを、布を敷ける匣に汲み入れ、布をたたみ、壓(おし)を置き、水の滴り去れるを、冷水中に漬(ひた)して成る。純白にして、極めて、やはらかし。生、灸、共に食ふ。かべ。おかべ。菽乳。本朝食鑑、二、豆腐「豆腐之法、始於漢准南王劉安、其造法、大抵與二本邦一同」和漢三才圖會、百五、造 矇類「豆腐、於加倍、言似二白壁一也、豆腐皮、宇波、言似二老媼皴一、豆腐粕、木良須、言不レ用庖刀如創也」兼好法師物見事(寳永、近松作)中「兼好机引き抱へ、紙帳の外へ逃げでて、なふなふ豆腐かと思うたれば、若い豆腐のうばが來た」〔1389-3〕
山芋(ヤマノイモ) 。薯蕷(同) 。〔元亀二年本378四・五〕
山芋(ヤマノイモ) 。薯蕷(ヤマノイモ) 。〔静嘉堂本461八、462一〕
御時汁者豆腐羹辛羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔至徳三年本〕
御時汁者豆腐羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔宝徳三年本〕
御齋之汁者豆腐羹辛辣羹雪林菜并暑蕷笋蘿蔔山葵寒汁等也〔建部傳内本〕
御時ノ汁ニハ者豆腐羹(トウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜三和羮并ニ薯蕷(ヤマノイモ)笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)冷(ヒヤ)汁等也〔山田俊雄藏本〕
御時之汁(シル)者(ハ)豆腐羹(タウフカン)雪林ノ菜(サイ)並ニ薯蕷(ヤマノイモ)豆腐笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也〔経覺筆本〕
御齋ノ汁(シル)者豆腐羹(タウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜(せツリンサイ)并ニ暑豫(ヤマノイモ)豆腐(タウフ)笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本に「暑預」、山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は「薯蕷」と表記し、訓みは「ヤマノイモ」と記載する。ここを若しくは、次の「豆腐」の語と一つ熟語として「薯蕷豆腐」と云ったのか、今後の用例検索に委ねておく。
薯蕷 俗乍暑預/ヤマノイモ。山芋同。旌遶同。〔黒川本・植物門中83オ三・四〕
薯蕷 ヤマノイモ/本草和名無草香/俗乍暑預。山芋本草云署預一名――。旌遶已上同。署預。秦楚名王延。鄭越名土旌仁謂/音諸。歛荼根。茅荼根已上二名/出少品方。事脆。鄭越名山陽出雜要决/已上ヤマツイモ。〔卷第六・植物門498六〜499四〕
薯蕷 山芋(ヤマノイモ)也。又云フ二蕷藥(ヨヤク)ト一。或ハ云フ二山藥ト一。趙宋(チヤウソウ)ノ之時兩度去ルレ諱(イミナ)ヲ。故ニ有リ二多ク名一也。〔草木門128一〕
薯蕷(ヤマノイモ/シヨヨ)[○・去] 本草云。一ノ名山芋(ヤマノイモ)。山藥。又云二蕷藥ト一。趙宋ノ時兩度去(サリ)レ諱。故有二多名一。又玉延。〔草木門555三〕
薯蕷(シヨヨ) 一名山藥(ヤク)。一名山芋(ヤマノイモ)。〔弘・草木門237一〕
薯蕷(シヨヨ) 一名云山藥。又云山芋。〔永・草木門197四〕
薯蕷(ジヨヨ) 一名云山藥/又云山芋。〔尭・草木門187四〕
薯蕷(ヤマノイモ) 山藥。山芋/蕷藥。小藥。趙宋箕兩度去/レ諱。故有レ多名。〔永・草木門135四・197四〕
薯蕷(ヤマノイモ) 。山藥(同)。山芋(同)。〔弘・草木門165三〕
薯蕷(ヤマノイモ) 山藥。山芋/蕷藥。小藥。旌(同)/趙宋兩度去諱。故有二多名一。〔尭・官位門124三〕
薯蕷(ジヨヨ) 。〔草木門207七〕
薯蕷(ヤマノイモ) 。山芋(同)。〔草木門137二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「薯蕷」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、但し、『下學集』・広本『節用集』の語注記は見えない。
689并暑蕷(/ヤマノイモ)野老笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)寒{冷イ}汁等也 山葵形ハ似‖大黄ニ|。色青白也。葉ハ如‖皈ノ寒汁ニ如‖大根ヲ砕ト|。々ニハ以‖石木ヲ|。如‖網ノ目|也。刻彫シテ以∨其ヲ砕也。即是ハ根之亊也。〔謙堂文庫蔵五八左E〕
とあって、標記語「薯蕷」の語を収載し、語注記に「蕪の莖立なり。大根根の雪阿惠と云ふは非なり」と記載する。
汁(シル)者(ハ)豆腐羹(トウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜(せツリンサイ)并ニ薯蕷(ジヨヨ)腐笋(フシユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサビ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也 汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(セツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アル)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ三〜36オ一〕
并(ならび)に薯蕷(しよよ)腐(ふ)/并薯蕷腐 山のいもをすり豆腐の如く制したる物也。〔90オ一・二〕
とあって、この標記語「薯蕷腐」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋(おんとき)の汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならび)に薯蕷(しよよ)腐(ふ)笋(しゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさび)乃寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)/御齋ノ汁者豆腐羹辛辣羹雪林菜并薯蕷腐笋蘿蔔山葵ノ寒汁等也▲薯蕷腐ハ長芋(ながいも)を擦(おろ)し擂(す)りたるものにてとろゝ汁(じる)乃料(れう)也。〔66オ六、66オ七〕
御齋(おんときの)汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならびに)薯蕷腐(しよよふ)笋(しゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさびの)寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)▲薯蕷腐ハ長芋(ながいも)を擦(おろ)し擂(す)りたるものにてとろゝ汁(しる)乃料(れう)也。〔119オ三、119オ五〕
Ioyo.ジヨヨ(薯蕷) Yamano imo.(山の芋)山林に生ずる芋.〔邦訳370l〕
しょ-よ〔名〕【薯蕷】やまのいも。杜甫詩「充腸多二薯蕷一」〔1017-5〕
×。〔元亀二年本〕
雪林菜(せツリンサイ) 。〔静嘉堂本432三〕
御時汁者豆腐羹辛羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔至徳三年本〕
御時汁者豆腐羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔宝徳三年本〕
御齋之汁者豆腐羹辛辣羹雪林菜并暑蕷笋蘿蔔山葵寒汁等也〔建部傳内本〕
御時ノ汁ニハ者豆腐羹(トウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜三和羮并ニ薯蕷(ヤマノイモ)笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)冷(ヒヤ)汁等也〔山田俊雄藏本〕
御時之汁(シル)者(ハ)豆腐羹(タウフカン)雪林ノ菜(サイ)並ニ薯蕷(ヤマノイモ)豆腐笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也〔経覺筆本〕
御齋ノ汁(シル)者豆腐羹(タウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜(せツリンサイ)并ニ暑豫(ヤマノイモ)豆腐(タウフ)笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「雪林菜」と表記し、訓みは経覺筆本に「(セツリン)のサイ」、文明四年本に「セツリンサイ」と記載する。
雪林(セツリン/ユキ、ハヤシ)[入・平] 蕪ノ莖立也。〔飲食門1085三〕
このように、上記当代の古辞書においては、ただ、広本『節用集』に標記語「雪林」の語を以て収載が見られ、複合語「雪林菜」の語は『運歩色葉集』が収載している。これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。そして、広本『節用集』の語注記は、真名注の語注記にの前半部に合致するものとなっている。
688雪林菜(サイ) 蕪之莖立也。大根根ノ雪阿惠ト云非也。〔謙堂文庫蔵五八左D〕
とあって、標記語「雪林菜」の語を収載し、語注記に「蕪の莖立なり。大根根の雪阿惠と云ふは非なり」と記載する。
汁(シル)者(ハ)豆腐羹(トウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜(せツリンサイ)并ニ薯蕷(ジヨヨ)腐笋(フシユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサビ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也 汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(セツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アル)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ三〜36オ一〕
雪林菜(せつりんさい)/雪林菜 菜(な)の莖立(くゝたち)なり。〔90オ一〕
とあって、この標記語「雪林菜」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋(おんとき)の汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならび)に薯蕷(しよよ)腐笋(ふしゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさび)乃寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)/御齋ノ汁者豆腐羹辛辣羹雪林菜并薯蕷腐笋蘿蔔山葵ノ寒汁等也▲雪林菜ハ莖暮(くゞたち)也。〔66オ五、66オ七〕
御齋(おんときの)汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならびに)薯蕷腐(しよよふ)笋(しゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさびの)寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)▲雪林菜ハ莖暮(くゞたち)也。〔116ウ六、119オ四・五〕
御時汁者豆腐羹辛羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔至徳三年本〕
御時汁者豆腐羹雪林菜并暑預豆腐笋蘿蔔山葵寒汁等也〔宝徳三年本〕
御齋之汁者豆腐羹辛辣羹雪林菜并暑蕷笋蘿蔔山葵寒汁等也〔建部傳内本〕
御時ノ汁ニハ者豆腐羹(トウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜三和羮并ニ薯蕷(ヤマノイモ)笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)冷(ヒヤ)汁等也〔山田俊雄藏本〕
御時之汁(シル)者(ハ)豆腐羹(タウフカン)雪林ノ菜(サイ)並ニ薯蕷(ヤマノイモ)豆腐笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也〔経覺筆本〕
御齋ノ汁(シル)者豆腐羹(タウフカン)辛辣羹(シンラツカン)雪林菜(せツリンサイ)并ニ暑豫(ヤマノイモ)豆腐(タウフ)笋(シユン)蘿蔔(ロフ)山葵(ワサヒ)ノ寒汁(ヒヤシル)等也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「汁」と表記し、訓みは経覺筆本・文明四年本に「しる」と記載する。
汁 シル/―物/正入反。〔黒川本・飲食門下72オ五〕
汁 シル/―物。〔卷第九・飲食門150五〕
汁(シル/シフ)[入] 。瀋(同/シ)。滓(同/シ)。斜(―/リ) 史記啜(スヽル)レ―。〔飲食門923八〕
汁(シル) 。〔弘・食物門243五〕〔永・食物門209一〕〔尭・食物門193三〕
汁(シル) ジフ。〔食服門208四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「汁」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
686捌茶(ルイ―)々磨并豆子豆子楪子(チヤツ)追膳(ヲイセン)三峰膳(―ボ―)同可∨被‖副整(ソヘトヽヘ)|也。御時汁者豆腐羹(カン) 自覚之入唐之時始作也。〔謙堂文庫蔵五八左B〕
とあって、標記語「汁」の語は未収載にする。
汁者豆腐羹 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
御齋(おんとき)汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)/御齋汁者豆腐羹 羹といへるハ皆あつものゝ事にして上の鼈羮羊羹の類とハ別なり。〔89ウ七・八〕
とあって、この標記語「汁」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋(おんとき)の汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならび)に薯蕷(しよよ)腐笋(ふしゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさび)乃寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)/御齋ノ汁者豆腐羹辛辣羹雪林菜并薯蕷腐笋蘿蔔山葵ノ寒汁等也。〔66オ五〕
御齋(おんときの)汁(しる)者(ハ)豆腐羹(とうふかん)辛辣羹(しんらつかん)雪林菜(せつりんさい)并(ならびに)薯蕷腐(しよよふ)笋(しゆん)蘿蔔(らふ)山葵(わさびの)寒汁(ひやしる)等(とう)也(なり)。〔119オ一〕
Xiru.シル(汁) 中に何か食物の入っている日本のスープ.〔邦訳779r〕
し-る〔名〕【汁・液】(一){物より浸み出でなどして、流るるものの總稱。(水、血、脂(やに)、など)古事記、上(~代)41長歌「染木が斯流に、染(し)め衣を」榮花物語、七、鳥邊野「寸白(スバク)、云云、しるなど、雫(あ)えさせ給ひ」字類抄「汁、シル」(二){あつもの。しるもの。羮。宇津保物語、祭使34「黄菜(サハヤケ)のしるして、持て來たり」宇治拾遺物語、十三、第八條、鯰を煮て「これが汁、啜れ」源平盛衰記、三十五、木曾首被レ渡事「信濃なる、木曾の御料に、汁懸て、只一口に、九郎(食らう)義經」(三)みそしる(味噌汁)の略、其條を見よ。〔0456-5〕
可制整也〔至徳三年本〕
同可被副贈((整カ))也〔宝徳三年本〕
同可被副整也〔建部傳内本〕
并折敷(ヲシキ)追膳(ヲイせン)楪子(シヤヅ)豆子(ツス)皿等同可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也〔山田俊雄藏本〕
同可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也〔経覺筆本〕
可∨被(ラル)‖∨副整(ソヘトヽノヘ)|也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本は「制整」、宝徳三年本は「副贈((整カ))」、建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は「副整」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「そへとゝのへ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「副整」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
686捌茶(ルイ―)々磨并豆子豆子楪子(チヤツ)追膳(ヲイセン)三峰膳(―ボ―)同可∨被‖副整(ソヘトヽヘ)|也。御時汁者豆腐羹(カン) 自覚之入唐之時始作也。〔謙堂文庫蔵五八左B〕
とあって、標記語「副整」の語を収載する。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
三(さん)の膳(ぜん)の折敷(おしき)同(おな)じく副整(そへとゝの)へ被(らる)可(へき)也/三ノ膳ノ折敷同可∨被‖副整|也 しらへそろへるを整と云。これらの道具ハ齋(とき)の前にしらへ置れよと也。〔89ウ六・七〕
とあって、この標記語「副整」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。〔66オ一〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。〔118ウ二〕
三峰膳 。〔元亀二年本224一〕〔天正十七年本中57ウ一〕
三峰膳 。〔静嘉堂本256五〕
可制整也〔至徳三年本〕
同可被副贈((整カ))也〔宝徳三年本〕
同可被副整也〔建部傳内本〕
并折敷(ヲシキ)追膳(ヲイせン)楪子(シヤヅ)豆子(ツス)皿等同可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也〔山田俊雄藏本〕
同可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也〔経覺筆本〕
可∨被(ラル)‖∨副整(ソヘトヽノヘ)|也。〔文明四年本〕
と見え、古写本は至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本いずれも、この語は未収載とする。
三峯副(サンボウゼン) 羹ノ之類也。〔飲食門102二〕
三峰卜(サンホウゼン/○、ミツ、ソナヱ)[平去・平・去] 羮也。〔飲食門779二〕
三峰膳(ホウせン) 。〔弘・食物門212七〕
三峰卜(サンホウぜン) 。〔永・食物門177九〕
三峰ノ膳 。〔尭・食物門166八〕
三峰膳(ボウぜン) 。〔食服門178四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「三峰膳」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。そして、『下學集』及び広本『節用集』の語注記は、下記真名注には見えない。
686捌茶(ルイ―)々磨并豆子豆子楪子(チヤツ)追膳(ヲイセン)三峰膳(―ボ―)同可∨被‖副整(ソヘトヽヘ)|也。御時汁者豆腐羹(カン) 自覚之入唐之時始作也。〔謙堂文庫蔵五八左B〕
とあって、標記語「三峰膳」の語を収載する。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
三(さん)の膳(ぜん)の折敷(おしき)同(おな)じく副整(そへとゝの)へ被(らる)可(へき)也/三ノ膳ノ折敷同可∨被‖副整|也 しらへそろへるを整と云。これらの道具ハ齋(とき)の前にしらへ置れよと也。〔89ウ六・七〕
とあって、この標記語「三膳折敷」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。〔65ウ八〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。〔118ウ一〕
Saobo>jen.サンボゥゼン(三峰膳) 粘土製のある種の皿あるいは鉢で,三種の料理を盛って,食卓〔膳〕についている人の前に据えるもの.〔邦訳553l〕
追膳(ヲイゼン) 。〔元亀二年本78四〕
追膳(ヲイセン) 。〔静嘉堂本96一〕〔天正十七年本上47ウ五〕
可制整也〔至徳三年本〕
同可被副贈((整カ))也〔宝徳三年本〕
同可被副整也〔建部傳内本〕
并折敷(ヲシキ)追膳(ヲイせン)楪子(シヤヅ)豆子(ツス)皿等同可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也〔山田俊雄藏本〕
同可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也〔経覺筆本〕
可∨被(ラル)‖∨副整(ソヘトヽノヘ)|也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・経覺筆本・文明四年本は、この語は未収載であり、山田俊雄藏本だけが「追膳」と表記し、訓みは「をひゼン」と記載する。
追卜(ヲイゼン/ツイ、―)[平・入] 。〔飲食門213八〕
追膳(ツイゼン)折敷 。〔弘・財宝門64五〕
追膳(ヲイせン)――(ヲシキ) 。〔永・財宝門65六〕
追膳(ヲイぜン) 折敷也。〔尭・財宝門60二〕
追膳(ヲイせン) ――折敷。〔両・財寳門70四〕
追膳(ヲヒぜン)折敷(ヲシキ) 。〔財寳門62四〕
このように、上記当代の古辞書においては、印度本系『節用集』及び易林本に標記語「追膳折敷」の語を収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。そして、広本『節用集』の標記語は異なっている。
686捌茶(ルイ―)々磨并豆子豆子楪子(チヤツ)追膳(ヲイセン)三峰膳(―ボ―)同可∨被‖副整(ソヘトヽヘ)|也。御時汁者豆腐羹(カン) 自覚之入唐之時始作也。〔謙堂文庫蔵五八左B〕
とあって、標記語「追膳」の語を収載する。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
追膳(ついぜん)/追膳 二の膳なり。〔89ウ五・六〕
とあって、この標記語「追膳」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲追膳ハ二の膳をいふ。〔65オ八、66オ四・五〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲追膳ハ二の膳をいふ。〔118ウ一、119オ一〕
楪子(チヤツ) 。〔元亀二年本67九〕〔静嘉堂本80一〕〔天正十七年本上40オ五〕〔西來寺本〕
可制整也〔至徳三年本〕
同可被副贈((整カ))也〔宝徳三年本〕
同可被副整也〔建部傳内本〕
并折敷(ヲシキ)追膳(ヲイせン)楪子(シヤヅ)豆子(ツス)皿等同可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也〔山田俊雄藏本〕
同可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也〔経覺筆本〕
可∨被(ラル)‖∨副整(ソヘトヽノヘ)|也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・経覺筆本・文明四年本は、この語は未収載であり、山田俊雄藏本だけが「楪子」と表記し、訓みは「シヤヅ」と記載する。
楪子(チヤツ) 。〔器財門106三〕
楪子(チヤツ/―、シ・コ)[○・上] 椀(ワン)ノ具(グ)。〔器財門162五〕
楪子(チヤツ) 椀具。〔弘・財宝門50四〕〔尭・財宝門47三〕〔両・財寳門56一〕
楪子(チヤツ) 椀之―。〔永・財宝門51九〕
楪子(チウフ) 。〔器財門51一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「楪子」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。そして、真字本には広本『節用集』及び印度本系統『節用集』に見える語注記はない。
686捌茶(ルイ―)々磨并椀折敷豆子楪子(チヤツ)追膳(ヲイセン)三峰膳(―ボ―)同可∨被‖副整(ソヘトヽヘ)|也。御時汁者豆腐羹(カン) 自覚之入唐之時始作也。〔謙堂文庫蔵五八左B〕
とあって、標記語「楪子」の語は未収載にする。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
豆子(づす)畛子(てうし)/豆子畛子 木具なり。〔89ウ五〕
とあって、この標記語「畛子」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲楪子ハ平盤(ひらざら)の類淺くして高(たか)き臺(だい)あり。〔65ウ八、66オ四〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲楪子ハ平盤(ひらざら)の類淺くして高(たか)き臺(だい)あり。〔118ウ一、119オ一〕
IIen.チャッ(楪子) 底の浅い木の椀.※楪子チヤツ,椀具(天正十八年本節用集).〔邦訳118l〕
チャ-ツ〔名〕【楪子】〔字の唐音〕又、ちゃっつ。木製の漆器。菓子など盛るもの。皿の如し、根來塗(ねごろぬり)の朱漆多し。壺深きを豆子(ヅス)と云ふ。底に陶器の絲尻(いとじり)の如きものあり。茶家に、銘銘盆(メイメイボン)など云ふ。資暇録(唐、李濟翁「始建中、蜀相崔寧之女、以二茶盃無一レ襯、病二其熨一レ指取二楪子一承レ之、既啜而盃傾、乃以レ蒻環二楪子之央一」禪林象器箋、器物門「楪子、淺而底平、環足、便于□疊也」鮮嚢鈔、七、第四條「楪子(チヤツ)(一本、ちゃすに作る)大に淺し、豆子は小にて深し」林逸節用集「楪子、チャツ」尤草子(寛永)赤きもの、ちゃつか、づすか」〔1285-4〕
厨子(ヅシ) 。〔元亀二年本159三〕〔静嘉堂本175二〕
厨子(ツシ) 。〔天正十七年本中19オ一〕
可制整也〔至徳三年本〕
同可被副贈((整カ))也〔宝徳三年本〕
同可被副整也〔建部傳内本〕
并折敷(ヲシキ)追膳(ヲイせン)楪子(シヤヅ)豆子(ツス)皿等同可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也〔山田俊雄藏本〕
同可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也〔経覺筆本〕
可∨被(ラル)‖∨副整(ソヘトヽノヘ)|也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・経覺筆本・文明四年本は、この語は未収載であり、山田俊雄藏本だけが「豆子」と表記し、訓みは「ツス」と記載する。
厨子(ヅス) 。〔器財門106三〕
豆子(ヅス/トウシ・マメ、コ)[去・上] 或作二逗子(ツス)ト一。椀(ワン)ノ―。〔器財門415六〕
豆子(ヅス) 椀具。〔弘・財宝門128一〕〔永・財宝門105六〕〔尭・財宝門95九〕
豆子(ヅス) 椀之具。〔両・財寳門117六〕
厨子(ヅス) 。〔器財門105一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「豆子」の語を以て収載するのは広本『節用集』と印度本系統の『節用集』であり、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』及び印度本系統の『節用集』の語注記の内容を真名注には未記載とする。
686捌茶(ルイ―)々磨并椀折敷豆子楪子(チヤツ)追膳(ヲイセン)三峰膳(―ボ―)同可∨被‖副整(ソヘトヽヘ)|也。御時汁者豆腐羹(カン) 自覚之入唐之時始作也。〔謙堂文庫蔵五八左B〕
とあって、標記語「豆子」の語を収載する。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
豆子(づす)畛子(てうし)/豆子畛子 木具なり。〔89ウ五〕
とあって、この標記語「豆子」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲豆子ハ漆器(しつき)壺盤(つぼざら)の小きもの也。〔65ウ八、66オ四〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲豆子ハ漆器(しつき)壺盤(つぼざら)の小きもの也。〔118ウ一、118ウ六〕
Zzusu.ヅス(豆子) 底の広い木製の鉢の一種で,漆塗りした(Vruxados)もの.※Nuri,uの注参照.〔邦訳845r〕
ヅ-ス〔名〕【豆子】〔字の唐音〕漆器の名。ちャつ(楪子)の條を見よ。庭訓往來、十月「豆子」尤草子(寛永)「赤きもの、ちゃつか、づすか」〔1317-4〕
椀(ワン) 。〔元亀二年本90三〕〔静嘉堂本111三〕〔天正十七年本上54ウ六〕
折敷(ヲシキ) 。〔元亀二年本77八〕〔静嘉堂本94八〕
折敷(ヲリシキ) 。〔天正十七年本上47オ四〕
可制整也〔至徳三年本〕
同可被副贈((整カ))也〔宝徳三年本〕
同可被副整也〔建部傳内本〕
并折敷(ヲシキ)追膳(ヲイせン)楪子(シヤヅ)豆子(ツス)皿等同可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也〔山田俊雄藏本〕
同可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也〔経覺筆本〕
可∨被(ラル)‖∨副整(ソヘトヽノヘ)|也。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・経覺筆本・文明四年本は、この語は未収載であり、山田俊雄藏本だけが「折敷」と表記し、訓みは「ヲシキ」と記載する。
莅 ワン/茶―。〔黒川本・雜物門上71オ三〕
椀 ワン/茶―。全―。 粥 同。〔卷第三・雜物門121四〕
椀(ワン) 玉篇云小盂。亦慈ノ器。職(同) 。牘(同) 三字義同。〔器財門237四・五〕
折敷(ヲシキ/せツフ)[入・○] 或作二和卓(ヲシキ)一。〔器財門214七〕
濮(ワン) 玉篇ニ小盂。亦慈器/職牘同字。〔弘・財宝門71八〕
椀(ワン) 。〔永・財宝門71四〕〔尭・財宝門65三〕〔両・財寳門77四〕
折敷(ヲシキ) 或作二和車一。〔弘・財宝門64五〕
折敷(ヲシキ) 或作和卓。〔永・財宝門65六〕
折敷(ヲシキ) 。〔尭・財宝門60一〕
折敷(ヲシキ) 或云和卓。〔両・財寳門70四〕
椀小盂。職(同) 同上。〔器財門67一〕 折敷(ヲシキ) 。〔財宝門62四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「椀」「折敷」の二語で収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』及び印度本系統『節用集』の語注記は、真名註には見えない。
686捌茶(ルイ―)々磨并椀折敷豆子楪子(チヤツ)追膳(ヲイセン)三峰膳(―ボ―)同可∨被‖副整(ソヘトヽヘ)|也。御時汁者豆腐羹(カン) 自覚之入唐之時始作也。〔謙堂文庫蔵五八左B〕
とあって、標記語「椀折敷」の語は未収載にする。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
茶磨(ちやうす)等并に椀折敷(わんおしき)/茶磨等并ニ椀折敷 本膳(ほんぜん)乃折敷也。〔89ウ四・五〕
とあって、この標記語「椀折敷」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲折敷ハ和卓(わしよく)の轉音(てんおん)也。俗(ぞく)誤(あやまり)呼(よん)で膳(ぜん)といふ。〔65ウ七・八、66オ四〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲折敷ハ和卓(わしよく)の轉音(てんおん)也。俗(ぞく)誤(あやまり)呼(よん)で膳(ぜん)といふ。豆子ハ漆器(しつき)壺盤(つぼざら)の小きもの也。〔118オ六、118ウ六〜119オ一〕
Van.ワン(椀) Tamabuchino aruuo yu< nari.(玉縁の有るを言ふなり)木製の漆塗りした(vruxadas)椀の一種で,上の縁の回りに線条や縁飾りのようなものがあるもの.¶Xo<jiuan.(精進椀)ほかのとは一種異なった格好の椀で,魚肉を食べず,野菜しか食べない坊主(Bonzos)が物を食べるのに使うもの.※Nuri,uの注参照.→Xuuan.〔邦訳677l〕
Voxiqi.オシキ(折敷) 日本の食卓.→Cacuno〜;Caixuno〜;Saxi〜;Sumiqirazu;Tori〜.〔邦訳726r〕
を-しき〔名〕【折敷】〔古へ、柏、又は、椎などの葉を折り敷きて、食物を盛りたれば云ふ〕飯器を載する具。片木(へぎ)作りの角盆(カクボン)。又、白木造りの隅切角(すみきりかく)の盆。脚あるを、足打(あしうち)のをしきと云ふ。食盤。萬葉集、十九24「すめろぎの、還御代御代は、射布折(イシキヲリ)、酒飲むと云ふぞ、此厚朴(ほほがしは)」宇津保物語、藤原君34「宮内の君に、をしきして物まゐれり」拾遺集、七、物名、くちば色のをしき「足引きの、山の木の葉の、おちくちば、色のをしきぞ、あはれなりける」〔2201-1〕
茶臼(ウス) 。茶磨(同) 。〔元亀二年本67十〕
茶臼(ウス) 。茶磨(同) 。〔静嘉堂本80二〕
茶臼(ウス) 。茶磨(ウス) 。〔天正十七年本上40オ六〕
并木茶土器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引菟足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔至徳三年本〕
并木[椀]茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶杓菟足湯瓶鑵子擂茶茶磨等〔宝徳三年本〕
并木茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引兎足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔建部傳内本〕
并ニ木(モク)○[粥]茶器(ツキ)八入(シホ)ノ盆一對(ツイ)茶瓢(サベウ)茶箋(せン)茶桶(トウ)茶巾(キン)茶引(ヒシヤク)兎(ト)足湯瓶(タウビン)鑵子(クワンス)擂茶(ルイサ)茶磨(ウス)等〔山田俊雄藏本〕
並ニ木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢(ヘウ)茶筅(セン)茶桶(ヲケ)茶巾茶杓兎足(トソク)湯瓶(ユヒン)鑵子(クワンス)茶磨(チヤウス)等〔経覺筆本〕
并木茶器(チヤツキ)八入ノ盆(ホン)一對(ツイ)。茶瓢(チヤヘウ)。茶箋(せン)。茶桶(ヲケ)。茶巾(キン)。茶引(サシヤク)。菟足(トソク)。湯瓶(タウヒン)。鑵子(クワンス)。擂茶(ルイサ)。々(茶)磨(ウス)等。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「茶磨」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に「(チヤ)ウス」、経覺筆本「チヤウス」、文明四年本に「茶ウス」と記載する。
茶磨(チヤウス) 。〔器財門107四〕
茶磨(チヤウス/―、マ・ミガク)[平・平去] 。〔器財門162四〕
茶磨(チヤウス) 。〔弘・財宝門50三〕〔永・財宝門51九〕
茶磨(チヤウス) ―壺。―篩。―巾/―筅。―碗。―桶 。〔尭・財宝門47三〕〔両・財寳門56一〕
茶磨 臼同。〔器財門007三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「茶磨」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
686捌茶(ルイ―)々磨并椀折敷豆子楪子(チヤツ)追膳(ヲイセン)三峰膳(―ボ―)同可∨被‖副整(ソヘトヽヘ)|也。御時汁者豆腐羹(カン) 自覚之入唐之時始作也。〔謙堂文庫蔵五八左B〕
とあって、標記語「茶磨」の語を収載し、語注記は、「弘法始めて作り給ふなり」と記載する。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
茶磨(ちやうす)等并に椀折敷(わんおしき)/茶磨等并ニ椀折敷 本膳(ほんぜん)乃折敷也。〔89ウ四・五〕
とあって、この標記語「茶磨」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。〔65ウ七〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。〔118オ六〕
Chausu.チャウス(茶磨) 茶(Cha)を入れて碾く臼.→Guidarin;Maqi,u(卷き,く);Vori,ruru.〔邦訳118l〕
ちゃ-うす〔名〕【茶臼】末茶とすべき葉茶を碾くに用ゐる石臼。山城國、宇治の朝日山の石を良しとす。茶碾。倭名抄、十六11木器類「茶研、茶碾子」謡曲、放下僧「都の牛は車にもまるる、茶臼は挽木にもまるる」〔1281-1〕
捌茶(ルイヂヤ) 。〔元亀二年本76四〕〔静嘉堂本92七〕
糯(ルイ)茶 。〔天正十七年本上46オ八〕〔西來寺本〕
并木茶土器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引菟足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔至徳三年本〕
并木[椀]茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶杓菟足湯瓶鑵子擂茶茶磨等〔宝徳三年本〕
并木茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引兎足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔建部傳内本〕
并ニ木(モク)○[粥]茶器(ツキ)八入(シホ)ノ盆一對(ツイ)茶瓢(サベウ)茶箋(せン)茶桶(トウ)茶巾(キン)茶引(ヒシヤク)兎(ト)足湯瓶(タウビン)鑵子(クワンス)擂茶(ルイサ)茶磨(ウス)等〔山田俊雄藏本〕
並ニ木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢(ヘウ)茶筅(セン)茶桶(ヲケ)茶巾茶杓兎足(トソク)湯瓶(ユヒン)鑵子(クワンス)茶磨(チヤウス)等〔経覺筆本〕
并木茶器(チヤツキ)八入ノ盆(ホン)一對(ツイ)。茶瓢(チヤヘウ)。茶箋(せン)。茶桶(ヲケ)。茶巾(キン)。茶引(サシヤク)。菟足(トソク)。湯瓶(タウヒン)。鑵子(クワンス)。擂茶(ルイサ)。々(茶)磨(ウス)等。〔文明四年本〕
と見え、経覺筆本は未収載にし、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・文明四年本は、「擂茶」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本・文明四年本に「ルイサ」と記載する。
擂茶(るいざ) 。〔器財門107七〕
櫑茶(ルイサ/モタイ・サカヅキ、―)[平・平] 茶器櫑或作レ擂(ルイ)ト。集韻櫑字注云。力回切。刻(キサムテ)レ木為二雲雷ノ象一謂二之櫑一。又作レ罍又集韻櫑字注云力對切。櫑鼓也。〔器財門205六〕
翡茶(ルイサ) 茶器也某謂(ヲモヘリ)櫑乎。集韵櫑ノ字ノ注云。力回切。刻テレ木ヲ為雲雷象謂二之櫑一。又作レ罍又集翡字注云力對切。翡鼓也。〔弘・財宝門60六〕
櫑茶(ルイザ) 茶器也某謂(ヲモヘラク)櫑乎。集(シウイン)櫑ノ字ノ注ニ云ク。力回切。刻(キサン)テレ木ヲ為ス二雲雷ノ象(カタチ)ヲ。謂フ二之ヲ櫑ト一。又作レ罍。又集翡字注云。力對切。翡鼓也。〔永・財宝門62三・四〕 捌茶(ルイザ) 異本ニ。〔永・財宝門62四〕
櫑茶 茶器也其謂櫑乎。集櫑ノ字ノ注云。力回反。刻レ木為二雲雨象。謂二之櫑一。又集翡字注云。力對反。翡鼓也。〔尭・財宝門56三〕 捌茶(ルイザ) 異本。〔尭・財宝門56三〕
翡茶(ルイザ) 茶器也某謂櫑乎。集櫑字ノ注云。力回切。刻テレ木ヲ為二雲雷象ト。謂之櫑缶。又集翡字注云。力對切。翡鼓也。〔両・財寳門65一〕 捌茶(ルイザ) 異本。 〔両・財寳門65二〕
櫑茶(ルイザ) 。〔器財門60三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「擂茶」「捌茶」「櫑茶」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』及び印度本系統の『節用集』の語注記は、真名註には見えず、上記『節用集』の特徴的な内容説明となっている。この注記が如何なる資料に基づくものなのかは今後研究に俟ちたい。
686捌茶(ルイ―)々磨并椀折敷豆子楪子(チヤツ)追膳(ヲイセン)三峰膳(―ボ―)同可∨被‖副整(ソヘトヽヘ)|也。御時汁者豆腐羹(カン) 自覚之入唐之時始作也。〔謙堂文庫蔵五八左B〕
とあって、標記語「擂茶」の語を収載し、語注記は未記載にする。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
擂茶(るいさ)/擂茶 茶入なり。〔89ウ四〕
とあって、この標記語「擂茶」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲擂茶ハ茶入也と。〔65ウ七、66オ四〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲擂茶ハ茶入也と。〔118オ六、118ウ六〕
Ruiza.ルイザ(擂茶) 碾いた茶(Cha)を入れる,耳付きのコップのような小さい壺.〔邦訳544l〕
鑵子(クワンス) 。〔元亀二年本189七〕〔静嘉堂本213五〕〔天正十七年本中36オ五〕
并木茶土器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引菟足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔至徳三年本〕
并木[椀]茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶杓菟足湯瓶鑵子擂茶茶磨等〔宝徳三年本〕
并木茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引兎足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔建部傳内本〕
并ニ木(モク)○[粥]茶器(ツキ)八入(シホ)ノ盆一對(ツイ)茶瓢(サベウ)茶箋(せン)茶桶(トウ)茶巾(キン)茶引(ヒシヤク)兎(ト)足湯瓶(タウビン)鑵子(クワンス)擂茶(ルイサ)茶磨(ウス)等〔山田俊雄藏本〕
並ニ木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢(ヘウ)茶筅(セン)茶桶(ヲケ)茶巾茶杓兎足(トソク)湯瓶(ユヒン)鑵子(クワンス)茶磨(チヤウス)等〔経覺筆本〕
并木茶器(チヤツキ)八入ノ盆(ホン)一對(ツイ)。茶瓢(チヤヘウ)。茶箋(せン)。茶桶(ヲケ)。茶巾(キン)。茶引(サシヤク)。菟足(トソク)。湯瓶(タウヒン)。鑵子(クワンス)。擂茶(ルイサ)。々(茶)磨(ウス)等。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「鑵子」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「クワンス」と記載する。
鑵子(クワンス) 。〔器財門107六〕
罐子(クワンス/ツルベ、コ)[去・上] 。〔器財門506二〕
鑵子(クワンス) 。〔弘・財宝門159三〕
罐子(クワンス) 。〔永・財宝門130九〕〔尭・財宝門120一〕〔両・財寳門145七〕
罐子(クワンス) 。〔器財門132二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「鑵子」と「罐子」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、真字本の語注記は古辞書中には見えていない。
685湯n罐子 弘法始作給也。〔謙堂文庫蔵五八左B〕
とあって、標記語「罐子」の語を収載し、語注記は、「弘法始めて作り給ふなり」と記載する。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
鑵子(くわんす)/鑵子 茶の釜也。〔89ウ四〕
とあって、この標記語「鑵子」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲鑵子ハ茶釜(ちやがま)也。〔65ウ七、66オ四〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲鑵子ハ茶釜(ちやがま)也。〔118オ六、118ウ六〕
Quansu.クヮンス(鑵子) 茶の湯(Chanoyu)用の鉄の大釜,または,釜.〔邦訳519r〕
くゎん-す〔名〕【鑵子】〔禪家より出でたる語なるべし〕(一)湯を沸かすに用ゐる器、青銅(からかね)、眞鍮、などにて作り、鉉(つる)をかく。清波雜志「數人持二水罐子一」(罐は鑵に通ず)太平記、廿六、執事兄弟奢侈事「塔の九輪は、大略、赤銅にてあると覺ゆる、哀れ是を以て、鑵子に鑄たらむに、如何によからむずらんと」(二)畿内、西國、茶釜の稱。(物類稱呼)(三)大阪詞に、藥罐。(俚言集覽)〔0456-5〕
湯瓶(ビン) 。〔元亀二年本135四〕〔静嘉堂本142五〕
湯瓶(ヒン) 。〔天正十七年本中3オ八〕
并木茶土器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引菟足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔至徳三年本〕
并木[椀]茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶杓菟足湯瓶鑵子擂茶茶磨等〔宝徳三年本〕
并木茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引兎足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔建部傳内本〕
并ニ木(モク)○[粥]茶器(ツキ)八入(シホ)ノ盆一對(ツイ)茶瓢(サベウ)茶箋(せン)茶桶(トウ)茶巾(キン)茶引(ヒシヤク)兎(ト)足湯瓶(タウビン)鑵子(クワンス)擂茶(ルイサ)茶磨(ウス)等〔山田俊雄藏本〕
並ニ木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢(ヘウ)茶筅(セン)茶桶(ヲケ)茶巾茶杓兎足(トソク)湯瓶(ユヒン)鑵子(クワンス)茶磨(チヤウス)等〔経覺筆本〕
并木茶器(チヤツキ)八入ノ盆(ホン)一對(ツイ)。茶瓢(チヤヘウ)。茶箋(せン)。茶桶(ヲケ)。茶巾(キン)。茶引(サシヤク)。菟足(トソク)。湯瓶(タウヒン)。鑵子(クワンス)。擂茶(ルイサ)。々(茶)磨(ウス)等。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「湯瓶」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に「タウビン」、経覺筆本に「ユヒン」、文明四年本に「タウヒン」と記載する。
湯瓶 タウヘイ。タウビン。〔黒川本・雜物門中05ウ五〕
湯瓶(タウビン) 。〔器財門107四〕
湯瓶(タウビン/ユ、ヘイ・ツルベ)[平・平] 弘法大師始造ルレ之也。〔器財門341七〕
湯瓶(タウビン) 。〔弘・財宝門104二〕〔永・財宝門93三〕〔両・財寳門103一〕
湯瓶(タウヒン) 。〔尭・財宝門85三〕
湯瓶(タウビン) 。〔器財門91七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「湯瓶」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。そして、広本『節用集』の語注記と真字本の注記内容はその類似性から両書の継承関係を示唆している。
685湯n罐子 弘法始作給也。〔謙堂文庫蔵五八左B〕
とあって、標記語「湯瓶」の語を収載し、語注記は、「弘法始めて作り給ふなり」と記載する。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
湯瓶(たうひん)/湯瓶 湯つきなり。〔89ウ三・四〕
とあって、この標記語「湯瓶」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲湯瓶ハ湯(ゆ)つぎ也。〔65ウ七、66オ三・四〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲湯瓶ハ湯つぎ也。〔118オ五、118ウ六〕
To<bin.タウビン(湯瓶) 熱い湯を入れておくのに使うある金属製の瓶.※原文はbules,ou frascos.bu-leは注ぎ口と取っ手のついている瓶.frascoは頸が細くなっている瓶.〔邦訳652l〕
たう-びん〔名〕【湯瓶】〔びんは、瓶の唐音〕ゆわかし。撮壤集、下、家具部「湯瓶、タウヒン」和訓栞「たうびんは、湯瓶の音也といへり」〔1197-2〕
兎足(ソク) 拂∨塵(チリヲ)物也。〔元亀二年本54六〕
兎(ト)足 拂塵物。〔静嘉堂本60七〕
兎足(トソク) 拂塵物。〔天正十七年本上31オ七〕
并木茶土器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引菟足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔至徳三年本〕
并木[椀]茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶杓菟足湯瓶鑵子擂茶茶磨等〔宝徳三年本〕
并木茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引兎足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔建部傳内本〕
并ニ木(モク)○[粥]茶器(ツキ)八入(シホ)ノ盆一對(ツイ)茶瓢(サベウ)茶箋(せン)茶桶(トウ)茶巾(キン)茶引(ヒシヤク)兎(ト)足湯瓶(タウビン)鑵子(クワンス)擂茶(ルイサ)茶磨(ウス)等〔山田俊雄藏本〕
並ニ木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢(ヘウ)茶筅(セン)茶桶(ヲケ)茶巾茶杓兎足(トソク)湯瓶(ユヒン)鑵子(クワンス)茶磨(チヤウス)等〔経覺筆本〕
并木茶器(チヤツキ)八入ノ盆(ホン)一對(ツイ)。茶瓢(チヤヘウ)。茶箋(せン)。茶桶(ヲケ)。茶巾(キン)。茶引(サシヤク)。菟足(トソク)。湯瓶(タウヒン)。鑵子(クワンス)。擂茶(ルイサ)。々(茶)磨(ウス)等。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・文明四年本は、「菟足」とし、建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本は「兎足」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に「ト(ソク)」、経覺筆本・文明四年本に「トソク」と記載する。
兎足(トソク・―タル/ウサギ、アシ)[去・去] 盆掃(ボンハライ)也。〔器財門131二〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』と『運歩色葉集』に標記語「兎足」の語が収載され、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記が後半部に類するのに対し、『運歩色葉集』の方は大いに異なった語注記となっている。
684茶筌茶桶茶巾茶杓兎足(トソク) 茶釜蓋置也。又云盆掃也。〔謙堂文庫蔵五八左A〕
とあって、標記語「兎足」の語を収載し、語注記は「茶釜の蓋置きなり。また云ふ、盆掃ひなり」と記載する。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
兎足(とそく)/兎足 ごとくの事也。又鑵子(くわんす)のふた置なりともいふ。〔89ウ三〕
とあって、この標記語「兎足」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲兎足ハ鑵子(くハんす)の蓋(ふた)おき也。〔65ウ七、66オ四〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲兎足ハ鑵子(くわんす)の蓋(ふた)おき也。〔118オ五、118ウ五・六〕
と-そく〔名〕【兎足】鑵子の蓋置き。庭訓往來、十月「茶杓、兎足、湯瓶」〔1407-2〕
茶杓(チヤシヤク)サ―。〔元亀二年本270六〕〔天正十七年本中57ウ一〕
茶杓 。〔静嘉堂本256五〕
并木茶土器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引菟足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔至徳三年本〕
并木[椀]茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶杓菟足湯瓶鑵子擂茶茶磨等〔宝徳三年本〕
并木茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引兎足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔建部傳内本〕
并ニ木(モク)○[粥]茶器(ツキ)八入(シホ)ノ盆一對(ツイ)茶瓢(サベウ)茶箋(せン)茶桶(トウ)茶巾(キン)茶引(ヒシヤク)兎(ト)足湯瓶(タウビン)鑵子(クワンス)擂茶(ルイサ)茶磨(ウス)等〔山田俊雄藏本〕
並ニ木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢(ヘウ)茶筅(セン)茶桶(ヲケ)茶巾茶杓兎足(トソク)湯瓶(ユヒン)鑵子(クワンス)茶磨(チヤウス)等〔経覺筆本〕
并木茶器(チヤツキ)八入ノ盆(ホン)一對(ツイ)。茶瓢(チヤヘウ)。茶箋(せン)。茶桶(ヲケ)。茶巾(キン)。茶引(サシヤク)。菟足(トソク)。湯瓶(タウヒン)。鑵子(クワンス)。擂茶(ルイサ)。々(茶)磨(ウス)等。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・文明四年本は「茶引」、宝徳三年本・経覺筆本は「茶杓」とそれぞれ表記し、訓みは、山田俊雄藏本に「(チヤ)ヒシヤク」、文明四年本に「サシヤク」と記載する。
茶酌(チヤシヤク) 酌ハ可シ∨作ス∨杓ニ。〔器財門107五〕
茶杓(チヤシヤク/ヲノレ・スデニ、マヱ)[去・平] 又作二茶杓一。〔態藝門416六〕
茶杓 。〔弘・官位門007三〕〔永・官位門007三〕〔尭・官位門007三〕〔両・官位門007三〕
茶杓 。〔器財門007三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「茶杓」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
684茶筌茶桶茶巾茶杓兎足(トソク) 茶釜蓋置也。又云盆掃也。〔謙堂文庫蔵五八左A〕
とあって、標記語「茶杓」の語を収載し、語注記は未記載にする。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
茶巾(きん)茶引(しやく)/茶巾茶引 竹にてへらの如く作りしさじ也。〔89ウ二〕
とあって、この標記語「茶引」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲茶杓ハ茶をすくふ匙(さじ)也。〔65ウ六、66オ三〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲茶杓ハ茶をすくふ匙(さじ)也。〔118オ五、118ウ五〕
IIen.チャシャク(茶杓) .〔邦訳r〕
ちャ-しャく〔名〕【茶杓】小さき匙(さじ)の、抹茶を汲み取るに用ゐるもの。竹、又は、象牙などにて、甚だ細そく作る。ちゃびしゃく。茶匙。撩雲。狂言記、通圓「大茶たてんと茶杓をおっとり、ひくづどもをちゃをちゃっと打ち入れて」〔1285-1〕
茶巾(キン) 。〔元亀二年本67七〕〔静嘉堂本80二〕
茶巾(チヤキン) 。〔天正十七年本上40オ六〕
并木茶土器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引菟足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔至徳三年本〕
并木[椀]茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶杓菟足湯瓶鑵子擂茶茶磨等〔宝徳三年本〕
并木茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引兎足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔建部傳内本〕
并ニ木(モク)○[粥]茶器(ツキ)八入(シホ)ノ盆一對(ツイ)茶瓢(サベウ)茶箋(せン)茶桶(トウ)茶巾(キン)茶引(ヒシヤク)兎(ト)足湯瓶(タウビン)鑵子(クワンス)擂茶(ルイサ)茶磨(ウス)等〔山田俊雄藏本〕
並ニ木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢(ヘウ)茶筅(セン)茶桶(ヲケ)茶巾茶杓兎足(トソク)湯瓶(ユヒン)鑵子(クワンス)茶磨(チヤウス)等〔経覺筆本〕
并木茶器(チヤツキ)八入ノ盆(ホン)一對(ツイ)。茶瓢(チヤヘウ)。茶箋(せン)。茶桶(ヲケ)。茶巾(キン)。茶引(サシヤク)。菟足(トソク)。湯瓶(タウヒン)。鑵子(クワンス)。擂茶(ルイサ)。々(茶)磨(ウス)等。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「茶巾」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本・文明四年本に「(チヤ)キン」と記載する。
茶巾(チヤキン) 。〔器財門107五〕
茶巾(チヤキン/―、ノゴフ・カザル・ツヽム)[平・平] 。〔器財門162四〕
茶磨(チヤウス) ―壺。―篩。―巾。―筅。―烈。―桶。〔尭・財宝門47三〕〔両・財寳門56一〕
茶巾(キン) 。〔器財門50六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「茶巾」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
684茶筌茶桶茶巾茶杓兎足(トソク) 茶釜蓋置也。又云盆掃也。〔謙堂文庫蔵五八左A〕
とあって、標記語「茶巾」の語を収載し、語注記は未記載にする。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
茶巾(きん)茶引(しやく)/茶巾茶引 竹にてへらの如く作りしさじ也。〔89ウ二〕
とあって、この標記語「茶巾」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲茶巾ハ茶器を拭(ぬぐ)う巾(ふくさ)也。〔65ウ六、66オ三〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲茶巾ハ茶器を拭(ぬぐ)う巾(ふくさ)也。〔118オ五、118ウ五〕
Chaqin.チャキン(茶巾) 茶(Cha)を飲む茶碗を拭き清める小さな布.※原文はporsolana.〔Chauanの注〕〔邦訳118l〕
ちャ-きん〔名〕【茶巾】茶家にて、茶碗を拭ふ麻布。朝鮮照布(てりふ)を上とす。拭盞巾。受汚。下學集、下、器財門「茶巾、チャキン」〔1284-1〕
茶桶(ツウ) 。〔元亀二年本270六〕〔静嘉堂本308五〕
并木茶土器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引菟足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔至徳三年本〕
并木[椀]茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶杓菟足湯瓶鑵子擂茶茶磨等〔宝徳三年本〕
并木茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引兎足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔建部傳内本〕
并ニ木(モク)○[粥]茶器(ツキ)八入(シホ)ノ盆一對(ツイ)茶瓢(サベウ)茶箋(せン)茶桶(トウ)茶巾(キン)茶引(ヒシヤク)兎(ト)足湯瓶(タウビン)鑵子(クワンス)擂茶(ルイサ)茶磨(ウス)等〔山田俊雄藏本〕
並ニ木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢(ヘウ)茶筅(セン)茶桶(ヲケ)茶巾茶杓兎足(トソク)湯瓶(ユヒン)鑵子(クワンス)茶磨(チヤウス)等〔経覺筆本〕
并木茶器(チヤツキ)八入ノ盆(ホン)一對(ツイ)。茶瓢(チヤヘウ)。茶箋(せン)。茶桶(ヲケ)。茶巾(キン)。茶引(サシヤク)。菟足(トソク)。湯瓶(タウヒン)。鑵子(クワンス)。擂茶(ルイサ)。々(茶)磨(ウス)等。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「茶桶」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に「(チヤ)トウ」、経覺筆本・文明四年本に「(チヤ)ヲケ」と記載する。
茶桶(チヤヲケ) 。〔器財門107五〕
茶桶(チヤヲケ/―、トウ)[平・上] 。〔器財門162四〕
茶磨(チヤウス) ―壺。―篩。―巾。―筅。―烈。―桶。〔尭・財宝門47三〕〔両・財寳門56一〕
茶桶(ヲケ) 。〔器財門50七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「茶桶」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
684茶筌茶桶茶巾茶杓兎足(トソク) 茶釜蓋置也。又云盆掃也。〔謙堂文庫蔵五八左A〕
とあって、標記語「茶桶」の語を収載し、語注記は未記載にする。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
茶箋(ちやせん)茶桶(おけ)/茶箋茶桶 茶の水を入るゝ桶なり。〔89ウ二〕
とあって、この標記語「茶桶」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲茶桶ハ茶の水を入る手桶(てをけ)也。〔65ウ六、66オ三〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲茶桶ハ茶の水を入る手桶(てをけ)也。〔118オ五、118ウ五〕
†Satcu<.サツゥ(茶桶) 碾いた茶(Cha)を入れる小箱.〔邦訳560r〕
さ-つう〔名〕【茶桶】〔桶(トウ)の呉音、つう(面桶(メンツウ))〕茶道に、濃茶、二種を納れおくもの、桐の箱あり、臺子、又は、棚に飾りおく、點茶する扱方あり。和訓栞、さつう「茶桶の音なり、茶湯(ちやのゆ)に、つうだてあり」〔0810-5〕
茶筅(せン) 。〔元亀二年本67十〕〔静嘉堂本80二〕〔天正十七年本上40オ六〕〔西來寺本〕
并木茶土器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引菟足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔至徳三年本〕
并木[椀]茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶杓菟足湯瓶鑵子擂茶茶磨等〔宝徳三年本〕
并木茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引兎足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔建部傳内本〕
并ニ木(モク)○[粥]茶器(ツキ)八入(シホ)ノ盆一對(ツイ)茶瓢(サベウ)茶箋(せン)茶桶(トウ)茶巾(キン)茶引(ヒシヤク)兎(ト)足湯瓶(タウビン)鑵子(クワンス)擂茶(ルイサ)茶磨(ウス)等〔山田俊雄藏本〕
並ニ木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢(ヘウ)茶筅(セン)茶桶(ヲケ)茶巾茶杓兎足(トソク)湯瓶(ユヒン)鑵子(クワンス)茶磨(チヤウス)等〔経覺筆本〕
并木茶器(チヤツキ)八入ノ盆(ホン)一對(ツイ)。茶瓢(チヤヘウ)。茶箋(せン)。茶桶(ヲケ)。茶巾(キン)。茶引(サシヤク)。菟足(トソク)。湯瓶(タウヒン)。鑵子(クワンス)。擂茶(ルイサ)。々(茶)磨(ウス)等。〔文明四年本〕
と見え、・経覺筆本は「茶筅」、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・文明四年本は、「茶箋」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「(チヤ)セン」と記載する。
茶筅(チヤセン) 。〔器財門107五〕
茶箋(チヤセン/―、カミ・シルス)[平・平] 或作二茶筅一。〔器財門162四〕
茶箋(セン) 。〔弘・財宝門50三〕
茶箋(チヤセン) 。〔永・財宝門51九〕
茶磨(チヤウス) ―壺。―篩。―巾。―筅。―烈。―桶。〔尭・財宝門47三〕〔両・財寳門56一〕
茶筌(せン) 或作筅。〔器財門007三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「茶筅」「茶箋」「茶筌」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』(「茶筅」「茶箋」)及び、下記真字本(「茶筌」)が収載しているのである。
684茶筌茶桶茶巾茶杓兎足(トソク) 茶釜蓋置也。又云盆掃也。〔謙堂文庫蔵五八左A〕
とあって、標記語「茶筌」の語を収載し、語注記は未記載にする。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
茶箋(ちやせん)茶桶(おけ)/茶箋茶桶 茶の水を入るゝ桶なり。〔89ウ二〕
とあって、この標記語「茶箋」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲茶箋ハ茶をかきまぜて泡(あハ)を發(おこ)すもの。〔65ウ六、66オ二・三〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲茶箋ハ茶をかきまぜて泡(あわ)を發すもの。〔118オ四・五、118ウ四・五〕
Chaxen.チャセン(茶筅・茶筌) 茶碗の中で湯と茶(Cha)とを混ぜ合わせるのに用いる竹製の刷毛(はけ).*原文はporsolana.〔Chauanの注〕〔邦訳118l〕
ちゃ-せん〔名〕【茶箋】(一)末茶を湯に點(た)つるに用ゐる筅(ささら)。三寸許なる竹筒の、半以上を、極めて細そく割きて穗に作り、其末端を少し内に曲げたるもの。謝宗可、茶筅詩「此君一節瑩無レ瑕、夜聽二松聲一漱二玉華一」海人藻芥、中「建盞に、茶一服入て、湯を半斗入て、茶筅にてたつる、云云」(二)ちゃせんがみ(茶筅髪)の略。其條を見よ。今川大雙紙(今川了俊)「ゑぼしを着ざる時は、髪をちゃせんに結ふなり」〔0456-5〕
茶瓢(ヘウ) 。〔元亀二年本270六〕
茶瓢(サヘウ) 。〔静嘉堂本308五〕
并木茶土器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引菟足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔至徳三年本〕
并木[椀]茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶杓菟足湯瓶鑵子擂茶茶磨等〔宝徳三年本〕
并木茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引兎足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔建部傳内本〕
并ニ木(モク)○[粥]茶器(ツキ)八入(シホ)ノ盆一對(ツイ)茶瓢(サベウ)茶箋(せン)茶桶(トウ)茶巾(キン)茶引(ヒシヤク)兎(ト)足湯瓶(タウビン)鑵子(クワンス)擂茶(ルイサ)茶磨(ウス)等〔山田俊雄藏本〕
並ニ木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢(ヘウ)茶筅(セン)茶桶(ヲケ)茶巾茶杓兎足(トソク)湯瓶(ユヒン)鑵子(クワンス)茶磨(チヤウス)等〔経覺筆本〕
并木茶器(チヤツキ)八入ノ盆(ホン)一對(ツイ)。茶瓢(チヤヘウ)。茶箋(せン)。茶桶(ヲケ)。茶巾(キン)。茶引(サシヤク)。菟足(トソク)。湯瓶(タウヒン)。鑵子(クワンス)。擂茶(ルイサ)。々(茶)磨(ウス)等。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「茶瓢」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に「サベウ」、経覺筆本に「(サ)ヘウ」、文明四年本に「チヤヘウ」と記載する。
茶瓢(チヤヘウ/―、ヒサゴ)[平・平] 柄杓(ヒシヤク)立(タテ)也。〔器財門162四〕
茶瓢(ヘウ) 。〔器財門50七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「茶瓢」の語を以て収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。そして、広本『節用集』の語注記内容はこれに合致する。
683繞州(ニヨ―)并木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢 柄杓立也。〔謙堂文庫蔵五八左@〕
とあって、標記語「茶瓢」の語を収載し、語注記は「柄杓を立つるなり」と記載する。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
茶瓢(びやう)/茶瓢 ふくべの茶入灰取の類也。〔89ウ一・二〕
とあって、この標記語「茶瓢」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲茶瓢ハふくべを以て作(つく)る。茶器(ちやき)を納(いる)るもの歟。菓子盆(くハしぼん)などの料(りやう)なるべし。〔65ウ六、66オ三〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲茶瓢ハふくべを以て作る。茶器(ちやき)を納(いる)るもの歟。菓子盆(くハしほん)などの料(れう)なるべし。〔118オ四、118ウ四〕
Safio>.サヒョゥ(茶瓢) 碾いた茶(Cha)を入れる容器.〔邦訳548l〕
并木茶土器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引菟足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔至徳三年本〕
并木[椀]茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶杓菟足湯瓶鑵子擂茶茶磨等〔宝徳三年本〕
并木茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引兎足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔建部傳内本〕
并ニ木(モク)○[粥]茶器(ツキ)八入(シホ)ノ盆一對(ツイ)茶瓢(サベウ)茶箋(せン)茶桶(トウ)茶巾(キン)茶引(ヒシヤク)兎(ト)足湯瓶(タウビン)鑵子(クワンス)擂茶(ルイサ)茶磨(ウス)等〔山田俊雄藏本〕
並ニ木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢(ヘウ)茶筅(セン)茶桶(ヲケ)茶巾茶杓兎足(トソク)湯瓶(ユヒン)鑵子(クワンス)茶磨(チヤウス)等〔経覺筆本〕
并木茶器(チヤツキ)八入ノ盆(ホン)一對(ツイ)。茶瓢(チヤヘウ)。茶箋(せン)。茶桶(ヲケ)。茶巾(キン)。茶引(サシヤク)。菟足(トソク)。湯瓶(タウヒン)。鑵子(クワンス)。擂茶(ルイサ)。々(茶)磨(ウス)等。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「八入盆」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に「(やつ)しほの(ボン)」、文明四年本に「(やつしほ)のボン」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「八入盆」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
683繞州(ニヨ―)并木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢 柄杓立也。〔謙堂文庫蔵五八左@〕
とあって、標記語「八入盆」の語を収載し、語注記は未記載にする。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
八入(やついれ)の盆(ぼん)一對(いつつい)/八入ノ盆一對 面々茶子の盆の類なり。〔89ウ一〕
とあって、この標記語「八入盆」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲八入ハ入子(いれこ)也。〔65ウ五、66オ二〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲八入ハ入子(いれこ)也。〔118オ四、118ウ四〕
茶器(キ) 。〔元亀二年本67十〕
茶器(ヅキ) 。〔静嘉堂本80三〕
茶器(ツキ) 。〔天正十七年本上40オ七〕
并木茶土器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引菟足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔至徳三年本〕
并木[椀]茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶杓菟足湯瓶鑵子擂茶茶磨等〔宝徳三年本〕
并木茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引兎足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔建部傳内本〕
并ニ木(モク)○[粥]茶器(ツキ)八入(シホ)ノ盆一對(ツイ)茶瓢(サベウ)茶箋(せン)茶桶(トウ)茶巾(キン)茶引(ヒシヤク)兎(ト)足湯瓶(タウビン)鑵子(クワンス)擂茶(ルイサ)茶磨(ウス)等〔山田俊雄藏本〕
並ニ木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢(ヘウ)茶筅(セン)茶桶(ヲケ)茶巾茶杓兎足(トソク)湯瓶(ユヒン)鑵子(クワンス)茶磨(チヤウス)等〔経覺筆本〕
并木茶器(チヤツキ)八入ノ盆(ホン)一對(ツイ)。茶瓢(チヤヘウ)。茶箋(せン)。茶桶(ヲケ)。茶巾(キン)。茶引(サシヤク)。菟足(トソク)。湯瓶(タウヒン)。鑵子(クワンス)。擂茶(ルイサ)。々(茶)磨(ウス)等。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本は「茶土器」、宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「茶器」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本・経覺筆本に「(チヤ)ツキ」、文明四年本に「チヤツキ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』にだけ標記語「茶器」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
683繞州(ニヨ―)并木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢 柄杓立也。〔謙堂文庫蔵五八左@〕
※天理図書館蔵『庭訓往來註』に「没州(ニヨウシ―)○{茶椀}并木○{椀}茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢 柄杓立也」と、「没州」の語の後に「茶椀」、そして「木」と「茶器」との間に「椀」の語を補入し、「木椀」とする。
とあって、標記語「茶器」の語を収載し、語注記は未記載にする。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
茶器(ちやき)/茶器 茶湯(ちやのゆ)につかふ道具なり。〔89オ八〜89ウ一〕
とあって、この標記語「茶器」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲茶器ハすべて茶道具(たうぐ)を指(さ)せる義なれとまづハ茶入(ちやいれ)をいふ。〔65ウ五、66オ二〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲茶器ハすべて茶道具(たうぐ)を指(さ)せる義なれとまづハ茶入(ちやいれ)をいふ。〔118オ四、118ウ三・四〕
ちャ-き〔名〕【茶器】茶道に必要なる具。急須、茶碗、茶釜、茶柄杓、等。茗器。翁卷、贈二趙靈秀一詩「一軸黄庭看不厭、詩嚢茶器毎隨レ身」〔1284-1〕
并木茶土器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引菟足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔至徳三年本〕
并木[椀]茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶杓菟足湯瓶鑵子擂茶茶磨等〔宝徳三年本〕
并木茶器八入盆一對茶瓢茶箋茶桶茶巾茶引兎足湯瓶鑵子擂茶々磨等〔建部傳内本〕
并ニ木(モク)○[粥]茶器(ツキ)八入(シホ)ノ盆一對(ツイ)茶瓢(サベウ)茶箋(せン)茶桶(トウ)茶巾(キン)茶引(ヒシヤク)兎(ト)足湯瓶(タウビン)鑵子(クワンス)擂茶(ルイサ)茶磨(ウス)等〔山田俊雄藏本〕
並ニ木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢(ヘウ)茶筅(セン)茶桶(ヲケ)茶巾茶杓兎足(トソク)湯瓶(ユヒン)鑵子(クワンス)茶磨(チヤウス)等〔経覺筆本〕
并木茶器(チヤツキ)八入ノ盆(ホン)一對(ツイ)。茶瓢(チヤヘウ)。茶箋(せン)。茶桶(ヲケ)。茶巾(キン)。茶引(サシヤク)。菟足(トソク)。湯瓶(タウヒン)。鑵子(クワンス)。擂茶(ルイサ)。々(茶)磨(ウス)等。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・建部傳内本・経覺筆本・文明四年本は、「木茶器」と表記し、宝徳三年本・山田俊雄藏本に補入として「木椀・木粥」の表記がなされている。訓みは、山田俊雄藏本に「モク(ワン)」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「木椀」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
683繞州(ニヨ―)并木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢 柄杓立也。〔謙堂文庫蔵五八左@〕
※天理図書館蔵『庭訓往來註』に「没州(ニヨウシ―)○{茶椀}并木○{椀}茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢 柄杓立也」と、「没州」の語の後に「茶椀」、そして「木」と「茶器」との間に「椀」の語を補入し、「木椀」とする。
とあって、天理本に標記語「木椀」の語を収載し、語注記は未記載にする。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)没州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
并に木椀(もくわん)/并ニ木椀 木にて作りたる茶わん也。〔89オ八〕
とあって、この標記語「木椀」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲木椀ハ挽物(ひきもの)の職(わん)也。〔65ウ五、66オ一・二〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲木椀ハ挽物(ひきもの)の職(わん)也。〔118オ四、118ウ三〕
饒州椀(ニウせウワン) 。〔元亀二年本164五〕
饒州椀(ネウシウノワン) 。〔静嘉堂本182一〕
饒州碗(ネウシウノワン) 。〔天正十七年本中21ウ七〕
被調置茶具者建盞天目胡盞饒州〔至徳三年本〕
御時以前可被調置茶具建盞天目胡盞饒州〔宝徳三年本〕
御齋以前可可([マヽ])被調置茶具者建盞天目胡盞饒州〔建部傳内本〕
御時以前ニ可∨被‖調ヘ置ル|茶ノ具茶粥ノ具ハ建盞(ケンサン)天目胡(ウ)盞繞州粥(ネウシユワン)。〔山田俊雄藏本〕
御時以前ニ可シ∨被‖調(トヽノヘ)ヘ置|茶具者(ハ)建盞(ケンサン)天目胡盞(ウサン)繞州(ニヨウシウ)瀏。〔経覺筆本〕
御齋以前ニ可∨被(ル)‖調ヘ置(オカ)|之茶(チヤ)ノ具ニハ建盞(ケンサン)天目。饒州(ネウシユウ)〔文明四年本〕※建盞(ケンサン)。※没(ネウ)州。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・文明四年本は「饒州」と表記し山田俊雄藏本・経覺筆本は「繞州粥」・「繞州瀏」、訓みは、山田俊雄藏本に「ネウシウワン」、経覺筆本に「ニヨウシウ(ワン)」、文明四年本に「ネウシユウ」と記載する。
饒州椀(ネウシウワン) 。〔器財門106六〕
饒州椀(ネウジウノワン) 。〔弘・財宝門134四〕
饒州(ネウジウ) 。〔弘・天地門132七〕
饒州椀(ネウシウワン) 。〔器財門108二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「饒州」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。そのなかで古辞書広本『節用集』がこの語自体を未収載にしていることが注目されよう。
683繞州(ニヨ―)并木茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢 柄杓立也。〔謙堂文庫蔵五八左@〕
※天理図書館蔵『庭訓往來註』に「没州(ニヨウシ―)○{茶椀}并木○{椀}茶器(ツキ)八ツ入ノ盆一對茶瓢 柄杓立也」と、「饒州」の語の後に「茶椀」、そして「木」と「茶器」との間に「椀」の語を補入する。
とあって、標記語「饒州」(饒州茶椀)の語を収載し、語注記は未記載にする。
客料(カクレウ)ノ|可(ヘシ)∨被三用‖意せ之ヲ|御時粥(カユ)已前ニ可∨被‖調置(トヽノヘヲカル)|茶ノ具ハ建盞(ケンザン)天目胡盞(コサン)饒州(ニヨウジウ)ノ茶碗(チヤワン)并ニ木椀(モクワン)茶器(キ)八ツ入ノ盆(ボン)ヲ一對(ツイ)茶瓢(ヘウ)茶盞(せン)茶桶(ヲケ)茶巾(キン)茶杓(シヤク)兎足(トソク)湯n(タウビン)罐子(クハンス)捌茶(ルイサ)茶臼(チヤウス)并ニ椀折敷(ワンヲシキ)豆子(ヅス)楪子(チヤツ)追膳(ヲイせン)折敷(ヲシキ)同ク可∨被‖副整(ソヘトヽノヘ)|也。御齋(トキ)ノ之 客料トハ其人々ノ召(メシ)ツレ來ル者冫也。座敷(ザシキ)ヘハ不∨出内々ニ居ルナリ。〔下35オ六〜35ウ三〕
饒州(にやうしう)茶碗(ちやわん)/饒州茶碗 唐の没州といふ地より出すちやわん也。〔89オ七・八〕
とあって、この標記語「饒州茶碗」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御齋粥(おんときがゆ)以前(いぜん)に調へ置か被(る)可(べ)き茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)没州(にやうしう)の茶碗(ちやわん)并(ならび)に木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれ)乃盆(ぼん)一對(いつつい)茶瓢(ちやびやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(とうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならび)に椀折敷(わんおしき)豆子(つす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三(さん)の膳(ぜん)折敷(をしき)同(おなじ)く副(そ)へ整(とゝの)へら被(る)可(べ)き也(なり)/御齋粥以前ニ可キ∨被‖調ヘ置カ|茶ノ具者。建盞。天目。胡盞。繞州ノ茶碗。并ニ木椀。茶器。八入ノ盆一對。茶瓢。茶箋。茶桶。茶巾。茶杓。兎足。湯n。鑵子。擂茶。茶磨等。并ニ椀折敷。豆子。畛子。追膳。三ノ膳ノ折敷。同ク可キ∨被‖副ヘ整ヘテ|也。▲饒州ハ唐土(もろこし)の地名(ちのな)。〔65ウ五、66オ一〕
御齋粥(おんときかゆ)以前(いぜんに)可(べき)調(とゝのへ)置(おか)茶具(ちやぐ)者(ハ)建盞(けんさん)天目(てんもく)胡盞(こさん)繞州(ねうしうの)茶碗(ちやわん)并(ならびに)木椀(もくわん)茶器(ちやき)八入(やついれの)盆(ぼん)一對(いつつゐ)茶瓢(ちやひやう)茶箋(ちやせん)茶桶(ちやおけ)茶巾(ちやきん)茶杓(ちやしやく)兎足(とそく)湯n(たうびん)鑵子(くわんす)擂茶(らいさ)茶磨(ちやうす)等(とう)并(ならびに)椀折敷(わんをしき)豆子(づす)畛子(ちやす)追膳(おひぜん)三膳(さんのぜん)折敷(をしき)同(おなじく)可(べき)被(る)副(そへ)整(とゝのへら)也(なり)。▲饒州ハ唐土(もろこし)の地名(ちのな)。〔118オ三、118ウ三〕
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