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ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
勝栗(カチグリ) 。搗栗(同) 擣之字同。〔元亀二年本95三〕
勝栗(カチクリ) 。搗栗(同) 擣之字同。〔静嘉堂本118五〕
勝栗(カチクリ) 。搗栗(同) 。〔天正十七年本上58オ七〕
隨躰可引之時以後之菓子者生栗搗栗串柿熟柿干棗花梨子枝椎菱田烏子覆盆子百合草隨御自愛可用之〔至徳三年本〕
隨躰可引之時以後菓子者生栗搗栗串柿熟柿干棗花梨子枝椎菱田烏子覆盆子百合草隨御自愛可用之〔宝徳三年本〕
隨躰可引之齋以後菓子者生栗串柿熟柿干棗花梨子枝椎菱田烏子覆盆子百合草隨御自愛可用之〔建部傳内本〕
隨テ∨躰∨之可∨引∨之ヲ時以後ノ菓子ハ者生栗(ナマクリ)搗栗(カチ )串柿熟柿(シユクシ)干棗(ホシナツメ)花梨子枝椎( シイ)菱(ヒシ)田烏子(クワイ)覆盆子(イチコ)百合草(ユリ )野老(トコロ)零陵子(ヌカコ)等隨テ‖御自愛( アイ)|可∨用∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
隨∨躰∨之可シ∨引(ヒク)∨之ヲ時以後ノ菓子者(ハ)生栗(ナマクリ)搗栗(カチ )串柿(クシカキ)熟柿(シユクシ)干棗(ホシナツメ)花梨子(ハナナシ)枝椎(エタシイ)菱(ヒシ)田烏子(クワイ)覆盆子(イチコ)百合草隨‖御自愛ニ|可シ∨用‖意之ヲ|〔経覺筆本〕
隨テ∨躰ニ∨之可∨引∨之ヲ齋(トキ)以後ノ菓子(クワシ)者(ハ)生栗(ナマクリ)搗栗(カチクリ)串柿(クシカキ)熟柿(シユクシ)干棗(ホシナツメ)花梨子( ナシ)枝椎(エタシ井)菱(ヒシ)田烏(クワ井)覆盆子(イチコ)百合草(ユリ )隨テ‖御自愛(コジアイ)ニ|可用之ヲ〔文明四年本〕
と見え、建部傳内本は此の語を未収載にし、至徳三年本・宝徳三年本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には「搗栗」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本に「(かち)くり」、文明四年本に「かちくり」と記載する。
栗黄カチクリ/式云――年。搗栗 同/俗用之。〔黒川本・飲食門〕
栗黄カチクリ/式云――年。搗栗 同/俗用之。〔卷第三・飲食門206六〕
搗栗(カチクリ) 搗与擣同字也。〔飲食門100七〕
搗栗(カチクリ/タウリツ)[上・入] 搗與擣同字。作二勝栗(カチクリ)ト一。〔飲食門267二〕
搗栗(カチグリ) 。〔弘・草木門76八〕
勝栗(カチクリ) 搗栗。搗与擣同。〔弘・食物門83四〕〔両・飲食門89五〕
勝栗(カチクリ) 搗栗(同)。―与擣同。〔永・食物門82二〕
勝栗(カチグリ) 搗栗。〔尭・食物門74六〕
搗栗(カチクリ) 搗与擣同。〔食服門74五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「搗栗」と「「勝栗」」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本は標記語「搗栗」で収載しているのである。
696隨∨体∨之可∨引∨之時以後之菓子者生栗(イケクリ)・搗栗(カチ―)・串柿・熟柿(―クシ)・干棗(―ナツメ)・花梨子(ハナナシ)・枝椎(ヱタシイ)・胡桃(クルミ) 生北土。今陜洛間、多有∨之。大株厚葉多陰、實亦外有皮包之。胡桃乃核中桃為‖胡桃|。内秋冬熟時採之。外青皮染髪及帛黒、其樹皮可∨染∨褐也也云々。〔謙堂文庫蔵五九右E〕
とあって、標記語「搗栗」の語を収載し、語注記は未記載にする。
之菓子者生栗搗栗串柿熟柿干棗花梨子枝椎胡桃汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
搗栗(かちぐり)/搗栗 平煎餅(ひらせんへい)のことく打ひしきたる栗なり。〔91ウ八〜92オ一〕
とあって、この標記語「搗栗」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
齋(とき)以後(いご)の菓子(くハし)者(ハ)生栗(なまぐり)檮栗(かちぐり)串柿(くしがき)熟柿(じゆくし)干棗(ほしなつめ)花梨子(はななし)枝椎(えだしい)菱(ひし)田烏子(くハゐ)覆盆子(いちご)百合草(ゆり)零陵子(むかご)御自愛(ごじあい)に隨(したがつ)て之(これ)を用(もち)ゆ可(べ)し/齋以後菓子者。生栗。搗栗。串柿。熟柿。干棗。花梨子。枝椎。菱。田烏子。覆盆子。百合草。隨テ二御自愛ニ一可シレ用ニレ之ヲ〔67オ五〜八〕
齋(とき)以後(いごの)菓子(くハし)者(ハ)生栗(なまぐり)檮栗(かちぐり)串柿(くしがき)熟柿(じゆくし)干棗(ほ なつめ)花梨子(はななし)枝椎(えだしひ)菱(ひし)田烏子(くわゐ)覆盆子(いちご)百合草(ゆり)零陵子(むかご)隨(したがつて)二御自愛(ごじあいに)一可(べし)レ用(もちふ)レ之(これを)〔120ウ六〕
Cachiguri.カチクリ(搗栗) 臼で搗いて殻を取り去った栗,または,日に干して干からびた栗.〔邦訳73r〕
かち-ぐり〔名〕【搗栗】ほしぐり。栗の實を、殻のままにて乾して、肉の皴みたるとき、杵にて搗(か)ちて、殻と渋皮とを去れるもの。味更に甘美となる、勝栗の義として、出陣の祝儀の酒肴に、打鮑、昆布と三種を用ゐ、打ち勝ちてよろこぶの名詮とす。字類抄「栗黄、搗栗、カチグリ」〔385-2〕
隨躰可引之時以後之菓子者生栗搗栗串柿熟柿干棗花梨子枝椎菱田烏子覆盆子百合草隨御自愛可用之〔至徳三年本〕
隨躰可引之時以後菓子者生栗搗栗串柿熟柿干棗花梨子枝椎菱田烏子覆盆子百合草隨御自愛可用之〔宝徳三年本〕
隨躰可引之齋以後菓子者生栗串柿熟柿干棗花梨子枝椎菱田烏子覆盆子百合草隨御自愛可用之〔建部傳内本〕
隨テ∨躰∨之可∨引∨之ヲ時以後ノ菓子ハ者生栗(ナマクリ)搗栗(カチ )串柿熟柿(シユクシ)干棗(ホシナツメ)花梨子枝椎( シイ)菱(ヒシ)田烏子(クワイ)覆盆子(イチコ)百合草(ユリ )野老(トコロ)零陵子(ヌカコ)等隨テ‖御自愛( アイ)|可∨用∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
隨∨躰∨之可シ∨引(ヒク)∨之ヲ時以後ノ菓子者(ハ)生栗(ナマクリ)搗栗(カチ )串柿(クシカキ)熟柿(シユクシ)干棗(ホシナツメ)花梨子(ハナナシ)枝椎(エタシイ)菱(ヒシ)田烏子(クワイ)覆盆子(イチコ)百合草隨‖御自愛ニ|可シ∨用‖意之ヲ|〔経覺筆本〕
隨テ∨躰ニ∨之可∨引∨之ヲ齋(トキ)以後ノ菓子(クワシ)者(ハ)生栗(ナマクリ)搗栗(カチクリ)串柿(クシカキ)熟柿(シユクシ)干棗(ホシナツメ)花梨子( ナシ)枝椎(エタシ井)菱(ヒシ)田烏(クワ井)覆盆子(イチコ)百合草(ユリ )隨テ‖御自愛(コジアイ)ニ|可用之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「生栗」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「なまくり」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「生栗」の語は未収載にあって、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
696隨∨体∨之可∨引∨之時以後之菓子者生栗(イケクリ)・搗栗(カチ―)・串柿・熟柿(―クシ)・干棗(―ナツメ)・花梨子(ハナナシ)・枝椎(ヱタシイ)・胡桃(クルミ) 生北土。今陜洛間、多有∨之。大株厚葉多陰、實亦外有皮包之。胡桃乃核中桃為‖胡桃|。内秋冬熟時採之。外青皮染髪及帛黒、其樹皮可∨染∨褐也也云々。〔謙堂文庫蔵五九右E〕
とあって、標記語「生栗」の語を収載し訓みを「いけくり」とし、語注記は未記載にする。
菓子(クワシ)者(ハ)生栗(ナマクリ)搗栗(カチグリ)串柿(クシガキ)熟柿(ジユクシ)干棗(ホシナツメ)花梨子(ハナナシ)枝椎(エダシイ)菱(ヒシ)田烏子(クワイ)覆盆子(イチコ)百合草(ユリ )隨(シタカツ)テ二御自愛ニ一可レ用レ之ヲハ具(ツフサ)ニ記ス処ナシ。〔下36オ一〜三〕
生栗(なまくり)/生栗 生にて食すれハ瘡を生す。乾たるも同し。煮て食すれハ氣をふさぐ。多く食ふへからす。〔91オ三・四〕
とあって、この標記語「生栗」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
齋(とき)以後(いご)の菓子(くハし)者(ハ)生栗(なまぐり)檮栗(かちぐり)串柿(くしがき)熟柿(じゆくし)干棗(ほしなつめ)花梨子(はななし)枝椎(えだしい)菱(ひし)田烏子(くハゐ)覆盆子(いちご)百合草(ゆり)零陵子(むかご)御自愛(ごじあい)に隨(したがつ)て之(これ)を用(もち)ゆ可(べ)し/齋以後菓子者。生栗。搗栗。串柿。熟柿。干棗。花梨子。枝椎。菱。田烏子。覆盆子。百合草。隨テ二御自愛ニ一可シレ用ニレ之ヲ〔67オ五〜八〕
齋(とき)以後(いごの)菓子(くハし)者(ハ)生栗(なまぐり)檮栗(かちぐり)串柿(くしがき)熟柿(じゆくし)干棗(ほ なつめ)花梨子(はななし)枝椎(えだしひ)菱(ひし)田烏子(くわゐ)覆盆子(いちご)百合草(ゆり)零陵子(むかご)隨(したがつて)二御自愛(ごじあいに)一可(べし)レ用(もちふ)レ之(これを)〔120ウ六〕
IIen.イケクリ・ナマクリ(生栗) .〔邦訳r〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は「隨躰」と表記し、記載する。
軆 テイ。四支/亦乍躰見/太部。〔黒川本・人躰門〕
軆 テイ。四支/亦乍躰見/太部 。〔卷第七・人躰門230二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「隨躰」の語は未収載にあって、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
696隨∨体∨之可∨引∨之時以後之菓子者生栗(イケクリ)・搗栗(カチ―)・串柿・熟柿(―クシ)・干棗(―ナツメ)・花梨子(ハナナシ)・枝椎(ヱタシイ)・胡桃(クルミ) 生北土。今陜洛間、多有∨之。大株厚葉多陰、實亦外有皮包之。胡桃乃核中桃為‖胡桃|。内秋冬熟時採之。外青皮染髪及帛黒、其樹皮可∨染∨褐也也云々。〔謙堂文庫蔵五九右E〕
とあって、標記語「隨躰」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
躰(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひく)可(へし)/隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ 躰に隨ふとハ時宜(しぎ)によるなり。こゝにて齋の菜は全終りたり。〔91オ一〜二〕
とあって、この標記語「隨躰」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ四〕
てい〔名〕【體】〔タイの呉音〕かたち。すがた。ありさま。やうす。ふり。字類抄「體、テイ、四支」保元物語、一、新院御所各門門固事「兜をば郎等に持せて歩み出たる體、樊?も斯やと覺えて、由由しかりき」狂言記、どぶかッちり「イヤ、座頭が酒を飲むていでござる」先哲叢談、三、熊澤蕃山「嘗至某候、及入見一士人威儀特秀、骨體非常、相與張目注観良久、遂不交一言」「體ヲ變ヘテ」事ナキ體ニ」〔1343-2〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「雁煎」と表記し、訓みは経覺筆本に「(かり)いり」、文明四年本に「かりいり」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「雁煎」の語は未収載にあって、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「雁煎」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)/平茸雁煎等 平茸ハ人の指乃ならへるか如く重りて生す。毒なふして味も又よし。にして味甘く毒なし。木蕈(たけ)の第一也。牝松(めまつ)にあらされハ生せす。京都には牝松多く牡松(をまつ)少きゆへ松茸多く茯苓(ふくれう)少し。雁煎ハ其煮方によりて味雁に似たる故名つく雉焼鴫焼といふの類ひなり。〔91ウ八〜92オ一〕
とあって、この標記語「雁煎」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ四〕
平茸(ヒラタケ) 。〔元亀二年本342七〕〔静嘉堂本410八〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、宝徳三年本は此の語を脱し、至徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「平茸」と表記し、訓みは経覺筆本に「ひら(たけ)」、文明四年本に「ひらたけ」と記載する。
平茸 ヒラタケ。〔黒川本・植物門〕
菌茸 ヒラケタリ。〔卷第十・植物門325六〕
平茸(ヒラタケ/ヘイシヨウ・タイラカ、シゲル)[平・平] 或云二菌茸一。〔草木門1031一〕
平茸(ヒラタケ) 或云菌茸。〔弘・草木門251三〕
平茸(ヒラタケ) 。〔永・草木門215四〕〔尭・草木門200七〕
平耳(ヒラタケ) 。〔草木門224四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「平茸」の語を収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「平茸」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)/平茸雁煎等 平茸ハ人の指乃ならへるか如く重りて生す。毒なふして味も又よし。にして味甘く毒なし。木蕈(たけ)の第一也。牝松(めまつ)にあらされハ生せす。京都には牝松多く牡松(をまつ)少きゆへ松茸多く茯苓(ふくれう)少し。雁煎ハ其煮方によりて味雁に似たる故名つく雉焼鴫焼といふの類ひなり。〔91ウ八〜92オ一〕
とあって、この標記語「平茸」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ四〕
Firataqe.ヒラタケ(平茸) 木の根元に生える茸.〔邦訳242r〕
ひら-たけ〔名〕【平茸】菌(きのこ)の一種。山林中の闊葉樹の枯木に生ず。又、人工的にも生ぜしむ。柄は短く、蓋は貝殻状をなし、大きさ二三寸、灰色、又は、茶褐色を呈し、漸次に褪色す。蓋の上皮を剥ぎ、柔かき内部を食用とす。一名、むきたけ。又、あはびたけ。林逸節用集、草木類「平茸、ヒラタケ」今昔物語集、廿八、第三十八語「片手には平茸を三總許持て上給へり」宇治拾遺物語、一、第二條「年頃、平茸やるかたもなく多かりけり」古今著聞集、十八、飲食「觀知僧都、九條の太政大臣の許へ平茸をおくるとて添へ侍りける、たひらかに、たひらのきゃうに、住む人は、ひらたけをこそ、食ふべかりけれ、かへし、平茸は、よき武者にこそ、似たりけれ、おそろしながら、さすが見まほし」〔1709-5〕
松茸(マツダケ) 。〔元亀二年本206五〕〔静嘉堂本234四〕
松茸(マツタケ) 。〔天正十七年本中46ウ四〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「松茸」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「わかめ」と記載する。
松茸(マツダケ/せウ、シヨウ・シケシ・クサビラ)[平・去] 。〔草木門567六〕
松茸(マツダケ) 。〔弘・草木門168七〕〔永・草木門138五〕
松茸(マツタケ) 。〔尭・草木門137五〕
松蕈(マツダケ) 。〔草木門140六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「松茸」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「松茸」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)/甘苔塩苔酒煎ノ松茸 性平にして味甘く毒なし。木蕈(たけ)の第一也。牝松(めまつ)にあらされハ生せす。京都には牝松多く牡松(をまつ)少きゆへ松茸多く茯苓(ふくれう)少し。西国ハ牡松多く牝松少きゆへ茯苓多く松茸少しといえり。〔91ウ六〜八〕
とあって、この標記語「松茸」の語を収載し、語注記未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ四〕
Matcudaqe.マツダケ(松茸) 茸の一種.〔邦訳388r〕
まつ-だけ〔名〕【松茸】(一)菌(きのこ)の名。山中、雌松(あかまつ)多き地に生ず、秋の半より末を時とす。低きは一二寸、高きは尺に至る。蓋の上は紫Kにして、裏は白くして、刻みあり、莖の皮は淡褐なり。全體脆くして、肉白く、裂け易く、香氣最も高し。炙り、又、煮て食ふ。菌の中の最とす。松蕈。まッたけ。(關西にて)運歩色葉集「松茸」林逸節用集、草木「松茸、マツダケ」(二)陰莖の異名。宇治拾遺物語、一、第六條「毛の中より松茸の大きやかなるものの、ふらふらと出で來て」〔0456-5〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、宝徳三年本は此の語を未収載とし、至徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には「酒煎」と表記し、訓みは経覺筆本に「(さか)いり」、山田俊雄藏本・文明四年本に「さかいり」と記載する。
酒熬(サカイリ) ―直(テ)。〔食服門178三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「酒煎」の語では未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「酒煎」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)/甘苔塩苔酒煎ノ松茸 性平にして味甘く毒なし。木蕈(たけ)の第一也。牝松(めまつ)にあらされハ生せす。京都には牝松多く牡松(をまつ)少きゆへ松茸多く茯苓(ふくれう)少し。西国ハ牡松多く牝松少きゆへ茯苓多く松茸少しといえり。〔91ウ六〜八〕
とあって、この標記語「酒煎」の語を収載し、語注記未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ四〕
さか-いり〔名〕【酒煎】〔酢煎(すいり)と云ふもあり〕肉、菜の汁に、酒を加へて煎ること。さかびて。さかしほ。庭訓往來、十月「御齋之汁者、云云、酒煎、松茸、平茸、鴈煎、等、隨レ體可レ引レ之」易林本節用集(慶長)食服「酒煎(サカイリ)」合類節用集(元禄)六、服食門「櫻熬(サクライリ)、酒熬(サカイリ)」〔776-5〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、宝徳三年本は未収載とし、至徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「塩苔」と表記し、訓みは経覺筆本に「(しほ)のり」、文明四年本に「しほのり」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「塩苔」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「塩苔」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)/甘苔塩苔酒煎ノ松茸 性平にして味甘く毒なし。木蕈(たけ)の第一也。牝松(めまつ)にあらされハ生せす。京都には牝松多く牡松(をまつ)少きゆへ松茸多く茯苓(ふくれう)少し。西国ハ牡松多く牝松少きゆへ茯苓多く松茸少しといえり。〔91ウ六〜八〕
とあって、この標記語「塩苔」の語を収載し、語注記未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲塩苔未考。〔66ウ四、67オ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲塩苔未∨考。〔119ウ四、120オ四〕
甘苔(アマノリ) 。紫菜(同) 醫云。海帯(同)。〔元亀二年本260六〕
甘苔(アマノリ) 。紫菜(同) 醫書。海帶(同) 同。〔静嘉堂本295三〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「甘苔」と表記し、訓みは経覺筆本に「(あま)のり」、山田俊雄藏本・文明四年本に「あまのり」と記載する。
神仙(シンせン)菜 アマノリ。甘苔 同/俗用之。紫菜 同。〔黒川本・植物門下22オ六・七〕
神仙菜 アマノリ。紫菜 。甘苔 同/俗用之。〔卷第八・植物門275三・四〕
紫菜(アマノリ) 。〔草木門129七〕
紫菜(アマノリ/シ・ムラサキ、サイ・ナ)[上・去] 。〔草木門745五〕
甘苔(アマノリ) 。〔草木門169七〕
神仙菜(アマノリ) 。〔草木門170一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「甘苔」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「甘苔」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)/甘苔塩苔酒煎ノ松茸 性平にして味甘く毒なし。木蕈(たけ)の第一也。牝松(めまつ)にあらされハ生せす。京都には牝松多く牡松(をまつ)少きゆへ松茸多く茯苓(ふくれう)少し。西国ハ牡松多く牝松少きゆへ茯苓多く松茸少しといえり。〔91ウ六〜八〕
とあって、この標記語「甘苔」の語を収載し、語注記未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ▲甘苔ハ本字紫菜(しさい)と書。〔66ウ四、67オ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲甘苔ハ本字紫菜(しさい)と書。〔119ウ四、120ウ四〕
Amanori.アマノリ(甘苔) 海藻の一種.〔邦訳22l〕
あま-のり〔名〕【甘海苔】海苔の一種。冬、海中の石に付きて生ず、生なるは緑Kにして、乾けば紫Kなり、或は、生は緑にして、乾けば紫なるは、食ふに下品なり。此種に、あさくさのりあり。最上品とす。一名、むらさきのり。紫菜。内膳寮式、新嘗祭供御料「紫菜」倭名抄、十七9「紫菜、阿末乃里、俗用二甘苔一」名義抄「紫菜、ムラサキノリ、アマノリ」吾妻鏡、六、文治二年二月十九日「供御甘海苔、自二伊豆國一、到二來于鎌倉一、彼國土産也」〔0085-5〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「曳干」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「ひき(ほし)」、経覺筆本・文明四年本に「ひきほし」と記載する。
曳干 ヒキホシ。〔黒川本・飲食門下〕
曳干 ヒキホシ。〔卷第十・飲食門341一〕
引干(ヒキボシ/イン、カン・ヲカス)[去・平] 。〔飲食門1034六〕
曳干(ヒキボシ) 。〔食服門225一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「引干」「曳干」の語を収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本は後者の「曳干」の語を以て収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「曳干」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)/神馬藻ノ曳干 神馬藻ハ神功皇后三韓(さんかん)を討玉ふ時舟中にて馬にかひ玉ひしによりて名付くほたハらの事なり。〔90ウ四〜六〕
とあって、この標記語「曳干」の語を収載し、語注記未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ四〕
ひき-ぼし〔名〕【曳干】海藻を引干したるもの。干(ほ)したる海藻。字類抄、「曳干、ヒキボシ」宇津保物語、國讓、上8「色色の折敷、四つして、曳干、果物などして」蜻蛉日記、上、下12「海松の曳干のみじかくちぎりたるを」源氏物語、五十三、夢浮橋11「畫、あなた(僧都)にひきぼし奉れたりつる返事に」〔1653-4〕
神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)/神馬藻ノ曳干 神馬藻ハ神功皇后三韓(さんかん)を討玉ふ時舟中にて馬にかひ玉ひしによりて名付くほたハらの事なり。〔90ウ四〜六〕
とあって、この標記語「神馬藻」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲神馬藻ハ莫鳴菜(ななりそ)なり。俗に穂俵(ほたハら)といふハ正月蓬?盤(ほうらいばん)の飾(かさり)に用る形(かたち)の名也。〔66ウ四、67オ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲神馬藻ハ莫鳴菜(ななりそ)なり。俗に穂俵(ほだハら)といふハ正月蓬?盤(ほうらいばん)の飾(かざり)に用る形(かたち)の名也。〔119ウ四、120オ三・四〕
青苔(アヲノリ) 。渉厘(同) 定。〔元亀二年本260三〕
青茄(アヲノリ) 。青苔(同) 。渉厘(同) 定。〔静嘉堂本294七〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「青苔」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本に「(あを)のり」、文明四年本に「あをのり」と記載する。
陟釐(チヨクテン)リ アヲノリ/音離。青苔 同/俗用之。〔黒川本・植物門下22オ七〕
陟釐 アヲノリ。青海菜。青苔。陟厘楊玄操音也/又音勅。水中苔。河中側梨。水中麁苔已上二名。出蘇敬注。銷毛。石衣。苔縻已上出/崔禹。水衣出兼名苑。水落出新録方/已上アヲノリ。〔卷第八・植物門279六〜280四〕
青海苔(アヲノリ) 。〔草木門129七〕
青海苔(アヲノリ/せイ・アヲシ、カイ・ウミ、タイ・コケ)[平・上・平] 又作二青渉厘一。海藻。〔草木門745六〕
青海苔(アヲノリ) 。〔弘・草木門202五〕〔永・草木門167八〕〔尭・草木門156八〕
青苔(アヲノリ) 。〔草木門170三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「青海苔」と「青苔」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本は後者の「青苔」の語で収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「青苔」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)/差酢ノ和布青苔 茶を飲(のミ)て腹鳴を治す。〔90ウ四〕
とあって、この標記語「青苔」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲青苔ハ本字乾苔(かんたい)と書。〔66ウ四、67オ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲青苔ハ本字乾苔(かんたい)と書。〔119ウ四、120オ三〕
Auonori.アヲノリ(青海苔) 食用になる緑色をした海藻の一種.〔邦訳40r〕
あを-のり〔名〕【青海苔】海苔の一種。海中に生ず、甚だ細そくして、絲の如くにて緑なり、長さ二三寸より、一尺に及ぶ、干して食用とす。倭名抄、十七9海菜類「陟釐、阿乎乃利、俗用二青苔一」(陟釐は、かはあをのりなり)大膳職式、下「正月修太元帥法料、青苔五百八十條」下學集(文安)下、草木「青(アヲ)海苔(ノリ)」〔123-1〕
和布(フ) 。〔元亀二年本87六〕〔静嘉堂本107七〕〔天正十七年本上53オ七〕
若和布(ワカメ) 。〔元亀二年本89八〕〔静嘉堂本110六〕〔天正十七年本上54ウ二〕
若和布(ワカメ)苅(カルハ) 。〔元亀二年本90一〕
若和布(ワカメ)苅(カル) 。〔静嘉堂本110八〕
若和布(ワカメ)苅 。〔天正十七年本上54ウ四〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「和布」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「わかめ」と記載する。
和布(ワカメ/クハ・ヤワラク、シク・ヌノ)[平去・去] 海藻。〔草木門235二〕
和布(ワカメ) 海藻。〔弘・草木門70六〕
和布(ワフ)ワカメ 海藻。〔両・草木門76二〕
若和布(メ) 。〔草木門66二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「和布」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「和布」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)/差酢ノ和布青苔 茶を飲(のミ)て腹鳴を治す。〔90ウ四〕
とあって、この標記語「和布」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲和布ハ本字石蓴(せきじゆん)と云。〔66ウ四、67オ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲和布ハ本字石蓴(せきじゆん)と云。〔119ウ四、120オ三〕
Vacame.ワカメ(和布) 新しくて柔らかな,葉の大きな或る海藻.〔邦訳675l〕
わか-め〔名〕【若布・稚和布】〔わかきめの略、又、わけめの轉かとも云ふ、め(海布)、竝にこんぶ(昆布)の條を見よ、荒布に對する名〕古名、和布(にぎめ)。褐色の海藻の名。淺き海中の石上に生ず。形、略、昆布に似て、羽状に分裂し、薄く狹く、長さ一二尺、色青し。食用とす。裙帶菜。萬葉集、十六27「角島(つぬしま)の瀬戸(せと)の稚和藻(わかめ)は、人のむた、荒かりしかど、吾がむたは和海藻(にぎめ)」(古義の訓)大膳職式、下「稚和藻(わかめ)三兩」〔2162-4〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「差酢」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「さし(す)」、経覺筆本・文明四年本に「さしす」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「差酢」の語は未収載にあって、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、語注記は見えない。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「差酢」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)/差酢ノ和布青苔 茶を飲(のミ)て腹鳴を治す。〔90ウ四〕
とあって、この標記語「差酢」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輅。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ四〕
薺(ナヅナ) 。〔元亀二年本381五〕〔静嘉堂本459八〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「薺」と表記し、訓みは経覺筆本に「なつな」、山田俊雄藏本・文明四年本に「なづな」と記載する。
薺(サイ) ナツナ。唔同。〔黒川本・植物門中32ウ六〕
薺 ナツナ。唔同。靡草。岔薺實也。燕薺小苦。竈薺竈食其葉故以名之。胡薺葉央長。大薺葉細。老薺已上五名出崔禹。狗薺。娶音典。已上出兼名苑/已上七名ナツナ見本草。〔卷第・植物門007三〕
薺(ナヅナ) 。〔草木門128四〕
薺(ナヅナ/せイ)[上] 。〔草木門435一〕
薺(ナヅナ) 。〔弘・草木門137八〕〔永・草木門110三〕〔尭・草木門100七〕
薺(せイ/ナツナ) 。〔両・草木門122七〕
薺(ナヅナ) 。〔草木門110一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「薺」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「薺」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
薺(なづな)/薺 あつものにして食(しよく)すれハ又臓を利す。〔90ウ三・四〕
とあって、この標記語「薺」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輅。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲薺ハ俗に三味線草(さミせんくさ)といふ。〔66ウ四、67オ三〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲薺ハ俗に三味線草(さミせんくさ)といふ。〔119ウ四、120ウ三〕
Nazzuna.ナヅナ(薺) この名で呼ばれる草.→次条.〔邦訳455r〕
†Nazzuna.ナヅナ(薺) 萵苣(ちしや),または,野芥子(のげし)の類.※原文はAlmeira~o,ou serralha.〔邦訳455r〕
なづ-な〔名〕【薺】〔撫菜(なでな)の義にて、愛づる意かと云ふ〕草の名。所在の地に叢生し、初生は蔬(そ)とし、又、春の七草の一となす。莖の高さ七八寸、葉は、たんぽぽに似て、岐あり。春の初、莖を出し、四辨の小白花を開く、穗長し。後に、細小なる莢を結ぶ。形、三味線の撥(ばち)に似たれば、さみせんぐさ、又ぺんぺんぐさの名もあり。倭名抄、十七12、野菜類「薺、奈都那」本草和名、下35「薺、奈都奈」字鏡55「薺、奈豆奈」古今六帖、四「今はとて、人のかれはて、淺茅生に、さればなづなの、花ぞ咲きける」曽丹集「みそのふの、なづなのくきも、立ちにけり、今朝の朝なに、何をつままし」散木集、一「君がため、夜ごしにつめる、なな草の、なづなの花を、見てしのびませ」〔1460-2〕
芹(せリ) 。〔元亀二年本381五〕〔静嘉堂本464一〕
とあって、標記語「芹」の語を収載する。
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「芹」と表記し、訓みは「せり」と記載する。
芹(キン) せリ/巨斤反。水芹 同。水英 同。〔黒川本・植物門下101ウ六〕
荷 せリ。水荷。水芙。水跼仁謂正乍/芹音勤。水英。渣跼仁謂音/出陶景注。水勒出釋藥性。楚葵出兼名苑。芹 已上せリ。〔卷第・植物門007三〕
芹(せリ) 。〔草木門128四〕
芹(せリ/キン)[去] 。〔草木門1080八〕
芹(せリ) 。〔弘・草木門262六〕〔永・草木門223八〕
芹(せリ) 古河屮。〔尭・草木門210六〕
芹(せリ) 。〔草木門234七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「芹」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「芹」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
芹(せり)/芹 頭中の風熱を去り酒後の熱をさます。酢に和してくらへハ歯を損す。〔90ウ三〕
とあって、この標記語「芹」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輅。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔69ウ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ四〕
Xeri.セリ(芹) 芹.※原文はRabacas.オランダぜりの類.〔邦訳755r〕
せり-〔名〕【芹】〔一處に競(せ)りて生ふれば云ふと云ふ〕草の名、水中にて生ず、葉、冬を經て枯れず、三出複葉をなして、互生す、夏最も茂る、莖を出すこと一二尺、枝の頭毎に、小白花、數十、傘の萸して、簇り開く。一名、川芹(かはぜり)。ねじろぐさ。つかつみ。田に植ゑて、專ら、莖葉を食用とすれば、田芹(たぜり)の名あり。其陸生のものを、畠芹(はたけぜり)、野芹(のぜり)と云ふ。旱芹。本草和名、下38「水跼、世利」倭名抄、十七9藻類「芹、勢利」天治字鏡、七30「芹、世利」天智紀、十年十二月、童謡「水葱(ナギ)ノモト、制利ノモト」〔1135-5〕
豌豆(ヱンヅウ) 。〔元亀二年本378五〕
豌豆(ヱントウ) 。〔静嘉堂本462一〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「薗豆」と表記し、訓みは「ヱンドウ」と記載する。
園豆(ヱントウ) 。〔黒川本・植物門下84ウ二〕〔卷第十・植物門296三〕
薗豆(ヱンドウ/―、マメ)[○・○] 或作二苑豆(ヱントウ)ト一。福田方在二十二卷ニ一。豌豆(ヱンドウ)。〔態藝門699二〕55七
豌豆(ヱンドウ) 薗豆(同)。〔弘・草木門193二〕
豌豆(ヱンドウ) 。〔永・草木門159五〕
豌豆(ヱントウ) 。〔尭・草木門148五〕
豌豆(ヱンドウ) 。〔草木門162二〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』に標記語「薗豆」の語を収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』には典拠用例を有する語注記を収載する。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「薗豆」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
園豆(ゑんとう)/園豆 味蠶豆(そらまめ)の如し。〔90ウ二・三〕
とあって、この標記語「園豆」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輅。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔69ウ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ四〕
ゑん-どう〔名〕【豌豆】〔のらまめ(野豆)の條を見合はすべし〕のらまめ。のまめ。荳(まめ)科の二年生蔓草。高さ四五尺、秋、種を下して、翌年夏、實熟す。葉は羽状に排列して、藤に似て、小葉は圓く、白みを帶ぶ。葉の頭毎に、細そき鬚あり、春、白、又は、紫色の蝶形花を開く、ふぢまめ(藤豆)の花に似て大なり。花後、莢果を結ぶ。豆はしろまめ(白豆)の大きさにて、略、方形にて、K褐色なり。又、白花なるは、豆、圓くして白く、莢を併せて食ふべし、さやゑんどう(莢豌豆)と云ふ。又、烏のゑんどう、雀のゑんどう、野ゑんどう、濱ゑんどう、などあり。文豆。字類抄「園豆、ヱントウ」倭名抄、十七3豆類「野豆、本草蔬云、豌豆、一名野豆、乃良末女」倭爾雅、六、米穀門「豌豆、ヱントウ、ノラマメ、胡豆、戎穀、囘鶻豆、畢豆、青小豆、青班豆並同、或云二野豆一」物類稱呼、三、生殖「豌豆、ゑんどう、畿内にて、のらまめと云、東國にて、ゑんどうと云、伊勢にて、ぶんどうと云、上總にて、ゑんづといふ」〔2194-3〕
苣萵(チシヤ) 。〔元亀二年本378八〕〔静嘉堂本462五〕
苣(チシヤ)。萵(同)。〔元亀二年本381一〕〔静嘉堂本459五〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「苣」と表記し、訓みは「あさみ」と記載する。
苣(チシヤ) 。〔草木門128五〕
苣(チシヤ)[○] 。〔草木門158二〕
苣(チシヤ) 又作苣菖。〔弘・草木門48六〕
苣(チシヤ) 苣萵(チシヤ)イ。〔永・草木門49九〕
苣(チシヤ) 又―菖/地甘屮。〔尭・草木門45七〕
苣(チシヤ) 又苣菖/地甘草(チシヤ)。〔両・草木門53七〕
苣(チシヤ) 。〔草木門49六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「苣」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆煎豆苣(チシヤ)薗豆(トウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)和布青苔(―ノリ)神馬藻ノ曳干(ヒキ―)甘苔(アマノリ)塩苔酒煎松茸(―タケ)平茸雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕※「煎豆」と「苣」との中間に古写本・他註釈そして、「荼」の語が見えていて、また他の真名注諸本には「茶苣(チシヤ)」(天理本・国会図書館左貫註本など)と収載する。
とあって、標記語「苣」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
苣(ちさ)/苣 目をあきらかにし乳汁(ち)を益(ま)し歯(は)をしろくす。〔90オ七・八〕
とあって、この標記語「苣」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輅。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲苣ハ正字萵苣(くハきよ)と書く。〔66ウ一、67オ三〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲苣ハ正字萵苣(くわきよ)と書く。〔119ウ四、120ウ二〕
Chixa.チシヤ(苣) 萵苣(ちしや).¶Chixauo caqu.(苣を掻く)萵苣の葉を摘み取る.〔邦訳124r〕
ち-さ〔名〕【萵苣】〔ちハ、莖葉を斷つ時は、乳汁の如きもの出づるより云ふ〕菜の名。苗の高さ三四尺、初め地に布きて四散し、長ずれば薹を起す。葉は芥(からし)に似て、厚く軟(やはらか)にして、皴あり、互生す。生食、又は煮食すべし。又、鹽に漬けても食ふ。春の末、梢に多く淡黄花を開く、小菊花の如し。訛して、ちしゃ。倭名抄、十七11「園菜類「苣、知散」本草和名、下40「白苣、知佐」字鏡、53「苣、知佐」同56「萵、知左」〔1266-1〕
荼 。〔元亀二年本224一〕〔天正十七年本中57ウ一〕
荼 。〔静嘉堂本256五〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「荼」と表記し、訓みは「おほとち」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「荼」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「荼」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
荼(おほとぢ)/荼 にかななり。〔90ウ二〕
とあって、この標記語「荼」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輅。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲荼ハ苦菜(にがな)也。俗にケシナグサといふ。〔66ウ三、67オ三〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲荼ハ苦菜(にがな)也。俗にケシナグサといふ。〔119ウ四、120ウ二〕
おほ-とち〔名〕【荼】草の名。けしあざみの古名。ニガナ。おほつち(敗醤)を併せ見よ。字鏡52「荼、於保土知」倭名抄、十七12「荼苦菜之可食也、於保都知」〔0315-3〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「煎豆」と表記し、訓みは「いりまめ」と記載する。
煎豆(イリマメ/せントウ)[平去・去] 。〔飲食門9五〕
煎豆(イリマメ) 。〔弘・食物門7四〕〔永・食物門4八〕〔尭・食物門5四〕〔両・食物門6四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「煎豆」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「煎豆」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)/納豆煎豆 座禅豆の類ひ也。〔90ウ一〕
とあって、この標記語「煎豆」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輅。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。。〔66ウ四〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ四〕
Irimame.イリマメ(炒豆) 炒った大豆.※原文はGrao~s.〔Mame(豆)の注〕〔邦訳340r〕
いり-まめ〔名〕【炒豆】(一)大豆を、炒りたるもの。厨事類記、「かちぐり、いりまめ、うつくしくつきふるひて」(二)まめいり。〔0218-4〕
納豆(トウ) 。〔元亀二年本165八〕〔静嘉堂本184一〕
納豆(ナツトウ) 。〔天正十七年本中23オ二〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「納豆」と表記し、訓みは経覺筆本・文明四年本に「ナツトウ」と記載する。
納豆(ナツトウ/ヲサム、マメ)[入・去] 。〔飲食門436八〕
納豆(ナツトウ) 。〔弘・食物門138八〕〔永・食物門111五〕〔尭・食物門102三〕〔両・食物門124八〕
納豆(ナツトウ) 。〔食服門110二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「納豆」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)納(ナツ)ノ豆煎豆苣(チシヤ)薗豆(トウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)和布青苔(―ノリ)神馬藻ノ曳干(ヒキ―)甘苔(アマノリ)塩苔酒煎松茸(―タケ)平茸雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「納豆」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)/納豆煎豆 座禅豆の類ひ也。〔90ウ一〕
とあって、この標記語「納豆」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ三〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ〕
Natto>.ナツタウ(納豆) 大豆を少し煮てから室(むろ)の中に入れて作る食物の一種.¶Natto>jiru.(納豆汁)この大豆を材料として作った汁(Xiru).※原文はgra~os.〔Mame(豆)の注〕〔邦訳453r〕
なッ-とう〔名〕【納豆】〔寺納豆に起り、納所の僧の豆の義かと云ふ、いかが〕(一)古製なるは、即ち、濱名(ハマナ)納豆(ナツトウ)。(其條を見よ)鹹借。(二)今、常に稱するものは、白大豆を煮て麹とし、粘泥を生ずるを窺ひ、藁に包みて貯へて成る。豆黄。まめなっとう(豆納豆)と云ふは、大豆を一日程、水に浸し、やはらかに煮て、新藁の苞につつみ、更に筵をかぶせ、箱などに入れ、湯、又は、炭火にてあたため、或は温室(むろ)などに入れて、一晝夜を經れば、ばくてりあ?酵(ハツカウ)を起して、白花を生じ、絲を引く。簡なるは、煮たる大豆を重箱に入れ、新藁を刻みて、それに載せ、蓋をして、炬燵の中に、一晝夜入れおけば成る。いとひきなっとう(絲引納豆)は、又、汁納豆(しるナツトウ)とも云ふ。近江國、粟田郡、蘆浦の觀音寺なるを初とす。粘甚しく、絲を引くこと強し。たたきなっとう(敲納豆)と云ふは、豆を庖丁などにて、敲きくだきたるもの。直に納豆汁になるやうにしたるものなり。又、京の大コ寺眞珠庵の一休納豆などあり。何れも飯の菜(さい)などとして食ふ。運歩色葉集「借、ナツトウ」庭訓往來、十月「菜者、胡瓜甘漬、納豆、煎豆、荼苣、園豆」書言字考節用集、六、服食門「豆借、ナツトウ、納豆、同」浮世風呂(文化、三馬)四編、下「何事も氣の早い事さ、納豆を見なせぇ、わしらは、冬でなくて食はねぇもんだと心得てるに、近頃は八月の初から納豆汁だ、云云、霜月頃に食べたいと思っても、もはや納豆納豆の聲もしませぬ」〔1460-1〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「甘漬」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「あまづけ」、経覺筆本・文明四年本「あまつけ」と記載する。
甘漬アマツケ 。〔黒川本・飲食門下26オ四〕
甘漬アマツケ/或云瓜―。絮嘗。清已上同/アマツケ。〔巻第八・飲食門四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「甘漬」の語は未収載にあって、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「甘漬」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
茹物(ゆでもの)ハ茄子(なすひ)の酢菜(すさい)ハ胡瓜(きうり)の甘漬(あまつけ)/茹物ハ茄子酢菜ハ胡瓜ノ甘漬 胡瓜毒(どく)あり。寒熱(かんねつ)を動(うこか)し瘡を生ず。〔90オ八〜91ウ一〕
とあって、この標記語「甘漬」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輅。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ三〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ三〕
あま-づけ〔名〕【味漬】〔淡漬(あまづけ)の義か、淡しの條を見よ〕(一){漬物(つけもの)の名。古く云へるは、あま鹽に漬けたるものなるべし。内膳司式「味漬」字類抄「味漬、アマヅケ」(二)香物(かうのもの)の名。淺漬大根の類。本朝食鑑(元禄)二、穀、香物、甘漬「九十月用二好肥蘿蔔句根百箇一、洗淨略乾、用二不レ舂粳飯八升、麹八升、白鹽一升六合一拌憧、一重蘿蔔、一重板、麹、鹽、漬二填于一レ桶、壓レ蓋除レ水、過二三十日餘一而熟」〔0082-3〕
胡瓜(キウリ) 。〔元亀二年本379三〕〔静嘉堂本462六〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「胡瓜」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「きうり」と記載する。
黄瓜。黄鼇同。白〓(瓜+専)同。胡(コ)瓜キウリ/又ソハウリ 。〔黒川本・植物門下45ウ八〕
黄瓜キウリ。黄鼇蒲田反/黄瓜名也。〃――。白〓(瓜+専)同。菌形似蓋者也。胡瓜已上同。キウリ。亦フタハウリ/多食發瘧病云々。〔巻第八・植物門 五・六〕
胡瓜(キウリ) 。〔植物門129二〕
胡瓜(キウリ/コクワ・ヱビス、―)[○・平] 。〔草木門811五〕
胡瓜(キウリ) 。〔弘・草木門217四〕〔永・草木門181四〕〔尭・草木門171一〕
胡瓜(キフリ) 。〔草木門下26ウ二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「胡瓜」の語を収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「胡瓜」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
茹物(ゆでもの)ハ茄子(なすひ)の酢菜(すさい)ハ胡瓜(きうり)の甘漬(あまつけ)/茹物ハ茄子酢菜ハ胡瓜ノ甘漬 胡瓜毒(どく)あり。寒熱(かんねつ)を動(うこか)し瘡を生ず。〔90オ八〜91ウ一〕
とあって、この標記語「胡瓜」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ三〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ三〕
Qiuri.キウリ(胡瓜) 胡瓜.〔邦訳512l〕
き-うり〔名〕【胡瓜】〔黄瓜の義、熟すれば、黄なり、黄烏瓜(きからすうり)、同意〕古名、からすうり。そばうり。瓜の一種。春、苗を生じて、蔓延す、葉は冬瓜(トウグワ)の如くにして、亦、毛刺あり、初夏に五瓣の黄花を開く、瓜の類の、最も早く熟するものにて、瓜の形、圓く長く緑にして、刺あることなまこの肌の如し、熟すれば黄なり、生にても食ふべく、又、鹽漬にす。倭名抄、十七6「胡瓜、木宇利」胡瓜〔0454-3〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「酢菜」と表記し、訓みは経覺筆本・文明四年本に「すさい」と記載する。
酢菜(スサイ) ―漬(ヅケ)。―薑(キヤウ)。〔食服門239六〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に標記語「酢菜」の語を収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
695酢菜ニハ胡瓜(キウリ)ノ甘漬(―ツケ)・納(ナツ)ノ豆・煎豆・苣(チシヤ)薗豆(トウ)・芹(セリ)・薺(ナツナ)・差酢(サシス)和布・青苔(―ノリ)・神馬藻ノ曳干(ヒキ―)・甘苔(アマノリ)・塩苔・酒煎松茸(―タケ)・平茸・雁煎(カンイリ)等 神馬藻ハ神宮皇后自‖異国退治ノ時|始也。舩中ニ无‖馬ノ草|。取‖海中藻|飼∨馬。故云。〔謙堂文庫藏五九右B〕
とあって、標記語「酢菜」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
茹物(ゆでもの)ハ茄子(なすひ)の酢菜(すさい)ハ胡瓜(きうり)の甘漬(あまつけ)/茹物ハ茄子酢菜ハ胡瓜ノ甘漬 胡瓜毒(どく)あり。寒熱(かんねつ)を動(うこか)し瘡を生ず。〔90オ八〜91ウ一〕
とあって、この標記語「酢菜」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輅。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲酢菜ハ軒(さしミ)やうのものなるべし。〔66ウ三、67オ二〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲酢菜ハ軒(さしミ)やうのものなるべし。〔11ウ一、120オ三〕
†Susai.スサイ(酢菜) 一般に大根と酢とで作るサラダ.〔邦訳591l〕
茹物(ユデモノ) 。〔元亀二年本293四〕〔静嘉堂本340八〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「茹物」と表記し、訓みは経覺筆本に「ゆてもの」、山田俊雄藏本・文明四年本に「ゆて(もの)」と記載する。
茹(シヨ) 人怒反/ユテモノ/又ニラキ。〔黒川本・飲食門下55オ五〕
茹 ユテモノ/ニラキ。菜也。〔卷第九・飲食門10四〕
茹物(ユテモノ) 。〔飲食門103一〕
茹物(ユデモノ/シヨフツ・ムサボル、―)[去・入] 。〔飲食門860七〕
茹物(ユデモノ) 湯ニテ。〔弘・食物門226五〕
茹物(ユデモノ)ユツル/―。〔永・食物門188六〕
茹物(ユテモノ) 。〔尭・食物門178二〕
茹物(ユデモノ) 。〔食服門194一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「茹物」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
694蒸物(ムシ―)・茹物(ユテ―)・茄子 名‖落蘇|。又名ル‖崑崙瓜ト|也。〔謙堂文庫藏五九右A〕
とあって、標記語「茹物」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
茹物(ゆでもの)ハ茄子(なすひ)の酢菜(すさい)ハ胡瓜(きうり)の甘漬(あまつけ)/茹物ハ茄子酢菜ハ胡瓜ノ甘漬 胡瓜毒(どく)あり。寒熱(かんねつ)を動(うこか)し瘡を生ず。〔90オ八〜91ウ一〕
とあって、この標記語「茹物」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輅。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ三〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ三〕
Yudemono.ユデモノ(茹物) 何であれ煮た物.〔邦訳834l〕
ゆで-もの〔名〕【毫物・茹物】毫でたる食物の名。又、菜などを毫でたるもの。今、ひたしもの。倭名抄、十六17、菜羮類「茹、由天毛乃」庭訓往來、十月「菜者繊蘿蔔、煮染牛房、昆布搗布烏頭布荒布K煮蕗、莇、輒、蕪酢漬、茗荷、薦子蒸物、茹物茄子」〔2071-1〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「蒸物」と表記し、訓みは「あさみ」と記載する。
蒸(シヨウ)ムス/ムシモノ。茄{茹歟}同。蹤同。附同。〔飲食門中44オ二〕
蒸ムス/ムシモノ。茹。附同。蹤已上同/亦乍〓。〔卷第五・飲食門六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「蒸物」の語は未収載にあって、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
694蒸物(ムシ―)茹物(ユテ―)茄子 名‖落蘇|。又名ル‖崑崙瓜ト|也。〔謙堂文庫藏五九右A〕
とあって、標記語「蒸物」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
薦(こも)の子(ミ)の蒸物(むしもの)/薦ノ子ノ蒸物 菰の実ハ菰米の事也。又薦子(こもミ)と書たる本も有。〔90オ七・八〕
とあって、この標記語「蒸物」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輅(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輅。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ一〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ六〕
むし-もの〔名〕【蒸物】(一){蔬菜類など、蒸したるもの。倭名抄、十六16菜羮類「渫、無之毛乃、蒸也」名義抄「渫、ムシモノ」大和物語、下「廣き庭に生ひたる菜をつみて、むしものと云ふ物にして、ちゃわんに盛りて」盛衰記、三、殿下乘會(参考盛衰記)、乘舊訛作レ事、今改レ之)「土器に蔓菜を高杯にもりて折敷にすへ、云云、其造物こそ、むし物にあひて腰がらみと云事よ」(二)今、饅頭など、蒸し作る菓子の稱。蒸菓子。〔4-548@〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「薦子」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「こもの(こ)」、経覺筆本・文明四年本に「こものこ」と記載する。
菰首 味甘冷也/コモノコ/コモツノ/コモフツロ。抃蒻 同。賁蒻 同。茉(ホウ)コモノネ/又云ナ。〔黒川本・植物門下二オ六〕
菰首 コモノコ/コモツノ。味甘冷也。茉コモノコ。菰首 コッモノネ/出七卷食經。賁蒻 コモノコ/見本草。〔卷第七・植物門110一・二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「薦子」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
693薦子(コモノネ) 或云‖茅白根|非也。只如字心ノ也。〔謙堂文庫藏五九右@〕
とあって、標記語「薦子」の語を収載し、語注記は、「或は茅白根と云ふは非なり。只、如の字の心なり」と記載する。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
薦(こも)の子(ミ)の蒸物(むしもの)/薦ノ子ノ蒸物 菰の実ハ菰米の事也。又薦子(こもミ)と書たる本も有。〔90オ七・八〕
とあって、この標記語「薦子」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲薦ノ子ハ菰(まこも)の子(ミ)也。皮(かハ)黒褐色(くろきいろ)にして内(うち)の子(ミ)甚(はなはだ)白(しろ)く滑(なめらか)に膩(あぶらつ)けり。是を沙孤米(さんごべい)といふ。薦(せん)の字ハ其葉(ハ)を取て蓆(むしろ)に織(をり)たるの名(な)也。〔66ウ二、67オ二〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲薦ノ子ハ菰(まこも)の子(ミ)也。皮(かハ)黒褐色(くろきいろ)にして内(うち)の子(ミ)甚(はなはだ)白(しろ)く滑(なめらか)に膩(あぶらつ)けり。是を沙孤米(さんごべい)といふ。薦(せん)の字ハ其葉(は)を取て蓆(むしろ)に織(おり)たるの名也。〔119ウ二、120オ六〜ウ一〕
こも-の-こ〔名〕【菰子】〔竹の子、木の子、同趣〕菰角(こもつの)に同じ。菰(こも)の初生(めばえ)。食ふべし。菰菜。本草和名、下53「?蒻、古毛乃古」韻會「?、乾レ之曰レ?」廣雅「菰、正シクハ作?」説文「蒻、蒲子」除曰、根上初生」古今著聞集、十八、飲食「左京大夫顯輔卿の許に、盃酌ありけるに、畳布(たたみめ)に、こものこを、肴にしたりけるを見て、主人(あるじ)「たたみめに、しく肴こそ、なかりけれ」(敷くに、如くをかけたり)前にありける青侍の、附け侍ける「こものこのさしまさるらむ」(畳を刺すにかけたり)庭訓往来、十月「薦ノ子ノ蒸物」(菰の借字)〔2−383B〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「茗荷」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「メウガ」、経覺筆本に「ミヤウガ」、文明四年本に「ミヤウカ」と記載する。
迪荷メカ/又ミヤウカ。賁苴同。蓴苴同。〔黒川本・植物門下57ウ五・六〕
迪荷メカ/ミヤウカ。賁苴同。蓴苴同。〔巻第九・植物門六・一〕
さて、真字本『庭訓往来註』十月三日の状には、
692昆布荒布K煮ノ烏頭布(カチメ)蕗(フキ)薊(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ) 作∨茗非也。求名菩薩ヨリ始也。故ハ求名鈍而書‖我名ヲ|荷テ行ク也。死シテ後ニ墳ニ生∨草ト名‖々何ト|也。即号‖鈍根草|也。是即求名ノ菩薩ハ釈迦如来ノ時之弥勒佛ハ是也。〔謙堂文庫蔵五八左G〕
とあって、標記語「茗荷」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)/酢漬ノ茗荷 名多くくらへは足の病を生す。〔90オ七〕
とあって、この標記語「茗荷」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ一、66ウ七〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔11ウ一、120オ三〕
Mio<ga.ミヤウガ(茗荷) 生姜のような葉をもった或る草.〔邦訳408l〕
みやう-が〔名〕【茗荷】めうが(迪荷)の誤。〔4-520@〕
めう-が〔名〕【茗荷】〔めかの音便、俗、茗荷は當字(あてじ)、茗は茶なり〕(一)古名、めか。迪荷科の多年生草本の名。山谷、或は、竹木の林中に生じ、常に畠にも植ゑて菜とす。春、宿根より苗を生ず、めうがだけと云ふ、形、略、生薑の苗に似たり。長じて高さ二三尺、根の旁に黄なる花を生ず、めうがのこと云ふ、形、筍の如くにして、二三寸、めうがだけと共に、採りて食用とす。康頼本草、下11「白迪荷、ミヤウガ、女加」狂言記、鈍根草(ドコンサウ)「めうがと蓼とが御座りまする」(二)俗に、ぎゃうえふ(杏葉)の異稱。(三)愚なる人の異稱。(迪荷を多く食へば、愚鈍になると云ふ俗説に因るか)柳樽「大門を、はいるめうがに出る生薑」〔4−576@〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「酢漬」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「すゝけ」、経覺筆本・文明四年本に「すつけ」と記載する。
酢菜(スサイ) ―漬(ヅケ)。―薑(キヤウ)。〔食服門下52ウE〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に注記熟語群「酢漬」の語を収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
692昆布荒布K煮ノ烏頭布(カチメ)蕗(フキ)薊(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ) 作∨茗非也。求名菩薩ヨリ始也。故ハ求名鈍而書‖我名ヲ|荷テ行ク也。死シテ後ニ墳ニ生∨草ト名‖々何ト|也。即号‖鈍根草|也。是即求名ノ菩薩ハ釈迦如来ノ時之弥勒佛ハ是也。〔謙堂文庫蔵五八左G〕
とあって、標記語「酢漬」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)/酢漬ノ茗荷 名多くくらへは足の病を生す。〔90オ七〕
とあって、この標記語「酢漬」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ二〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ二〕
す-づけ〔名〕【酢漬】食物を、酢に漬ぅること。又、其食物。酢藏。易林本節用集(慶長)食服門「酢漬、スヅケ」〔2-909A〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「蕪」と表記し、訓みは「あさみ」と記載する。
蕪彩カフラ。彩根同。〔黒川本・植物門上75オ三〕
蕪彩カフラ。蕪。菲根。下軆。蔓彩根或用彩根。菲已上同/見毛詩。〔卷第三・植物門149一〜三〕
蕪(カブラ/ブ・アルヽ)[平] 蔓草ノ根也。〔草木門258三〕
蕪(カフラ) 。〔弘・草木門76六〕
蕪(カブラ) 。〔永・草木門76二〕〔尭・草木門69一〕
蕪(カブラ) 。〔草木門73四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「蕪」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』の語注記は、大いに異なっている。
692昆布荒布K煮ノ烏頭布(カチメ)蕗(フキ)薊(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ) 作∨茗非也。求名菩薩ヨリ始也。故ハ求名鈍而書‖我名ヲ|荷テ行ク也。死シテ後ニ墳ニ生∨草ト名‖々何ト|也。即号‖鈍根草|也。是即求名ノ菩薩ハ釈迦如来ノ時之弥勒佛ハ是也。〔謙堂文庫蔵五八左G〕
とあって、標記語「蕪」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
蕪(かぶら)/蕪 常にくらへハ身肥(こへ)る。〔90オ六・七〕
とあって、この標記語「蕪」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲蕪ハ根(ね)をいふ也。正字蕪彩(ぶせい)と書く。〔66ウ二、67オ一〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲蕪ハ根(ね)をいふ也。正字蕪彩(ぶせい)と書く。〔119ウ二、120オ六〕
Cabu.カブラ(蕪) かぶらの根,または,かぶら.これは婦人語である.Cabura(蕪)と言う方がまさる.〔邦訳71l〕
かぶ-ら〔名〕【蕪】かぶらなの略。其條を見よ。〔0408-4〕
かぶら-な〔名〕【蕪菜】〔根莖菜(かぶらな)の義、かぶら(根莖)の條を見よ〕常に略して、かぶら、又、かぶと云ふ。菜の名。葉はあぶらなに似て大きく、根はだいこんに似て太く短し、種類多く、形、扁(ひらた)きあり、圓きあり、長きありて、皆、大小あり、近江蕪、最も大なり。煮、又は、鹽漬にして食ふ、かぶな。かぶだいこん。蕪彩。蔓彩。康頼本草、下6「蕪彩、加布良奈」倭名抄、十七10「蕪彩、蔓彩、加布良」宇津保物語、國讓、下18「生薑、漬けたるかぶら、堅鹽(かたいしほ)ばかりして、云云、參りたり」和玉篇「蕪、カブ、カブナ」〔0408-5〕
かぶ-ら〔名〕【根莖】〔かぶは、頭(かぶ)の義、植物は根を頭とす、らは意なき辭、らの條を見よ〕株の古言。植物の根の脹れたる處の稱。倭名抄、十七10「蔓彩根、蔓彩曰、茉、毛詩云(詩經、桀風、北風篇)采茉采菲、無以下體、下體、根莖也、加布良」〔0408-4〕
莇(アザミ)。輒(同)。薊(同)。〔元亀二年本381五〕
莇(アザミ) 。郡(同)。〔静嘉堂本464一〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「莇」と表記し、訓みは「あさみ」と記載する。
薊(ケイ)アサミ。莇(同)。〔黒川本・植物門下21ウ八〕
薊アサミ。―菜亦乍節。莇。〔卷第七・植物門271二〕
薊菜 或ハ作ス二莇ノ字ニ一。〔草木門128五〕
莇(アザミ)[○]。輒(同/カイ)[○]。薊(同)[○]。〔草木門745二〕
莇(アザミ)。輒(同)。薊(同)。〔弘・草木門202三・四〕
輒(アザミ) 薊/薊菜。〔永・草木門167八〕
輒(アザミ) 薊/輒菜。気(アザミ)力屮。〔尭・草木門156八〕 續断子(アサミ)。〔尭・草木門157二〕
薊菜(アザミ) 。薊(同) 。莇(同) 。〔草木門170二・三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「莇」「薊」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
692昆布荒布K煮ノ烏頭布(カチメ)蕗(フキ)薊(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ) 作∨茗非也。求名菩薩ヨリ始也。故ハ求名鈍而書‖我名ヲ|荷テ行ク也。死シテ後ニ墳ニ生∨草ト名‖々何ト|也。即号‖鈍根草|也。是即求名ノ菩薩ハ釈迦如来ノ時之弥勒佛ハ是也。〔謙堂文庫蔵五八左G〕
とあって、標記語「莇」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
莇(あざミ)/莇 本名を大薊(だいれい)と云。吐血(とけつ)衂血(ちくけつ)をとめる能あなり。〔90オ六〕
とあって、この標記語「莇」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲莇ハ薊(あざミ)と書べし。おにあざミをいふ也。〔66ウ一、66ウ八〜67オ一〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲莇ハ薊(あさミ)と書(かく)べし。おにあざミをいふ也。〔119ウ二、120オ四〕
Azami.アザミ(莇) 和物(Ayemono)にして食べる草.¶Voniazami.(鬼薊)野生のcardo〔アザミ類の総称〕のような草.〔邦訳44r〕
あざみ-〔名〕【薊】〔あざみ草と云ふが成語にて、刺(とげ)多きをあざむ(惘)意にてもあるか〕草の名。春の初、芽を出す、葉は、地に就きて生じて、刻辱ありて、刺(とげ)多し、春の末、三四尺の莖を出す、亦、刺あり、秋、花を開く、形、眉刷毛(まゆはけ)に似て、萼(うてな)にも刺あり、て、色、紫なり。人家に植うるものは、はなあざみ、まゆはきあざみなど云ひて、花、紅、白、紫、黄、等、種種あり。又、山薊、鬼薊、野薊、狐薊等あり、各條に註す。字鏡34「薊、阿佐彌」倭名抄、十七11「薊、葉多レ刺、阿佐美」〔0032-2〕
落(フキ){蕗(フキ)} 。〔元亀二年本381三〕
蕗(フキ) 。〔静嘉堂本459七〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「蕗」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「フキ」と記載する。
蕗フヽキ 。〔黒川本・植物門中101ウ二〕
蕗フウキ 。梠莖菜 。蕗伏。〔卷第七・植物門42三〕
款冬(クワンドウ/フキ) 枳莖(キキヤウ/フキ)菜(サイ)ナリ也。本草ニ云ク款冬十二月有リ∨花。其ノ色黄(キ)或ハ紫(ムラサキ)。其ノ味イ苦(ニカシ)也。三躰詩([サン]テイシ)ニ云ク僧房([ソウ]バウ)ニ逢著(ブチヤク)ス‖款冬花([クワンドウ]クワ)|。出テテ∨寺ヲ吟行スレハ日已(ステ)ニ斜ナリ。十二街中(カイ[チユウ])春雪遍(アマネシ)‖馬蹄([バ]テイ)|。今ニ去テ入ラン‖誰(タレ)カ家ニカ|。按(アン)スルニ此ノ詩ヲ十二月ノ之花至ル‖暮春雪ノ時分ニ|也。然ルニ我カ朝ノ朗詠集ニ清愼公ノ詩ニ云ク款冬誤(アヤマツ)テ綻(ホコロフ)‖暮春ノ風ニ|。何ンソヤ哉所詮([シヨ]セン)日本ノ之俗皆以テ‖山吹(―フキ)ヲ|謂フ‖款冬ト|。山吹ハ即チ鴿秕(ドビ)ナリ也。其ノ色ロ黄(キ)ニシテ而如シ‖緑酒(リヨク[シユ])ノ|也。清愼公ノ之作モ亦タ誤テカ黙。鴿秕ヲ謂フ‖款冬ト|也。其ノ詩ノ意ニ云ク此レ花ノ名也。若(モシ)是レ款冬ナラハ何(ナン)ソ綻(ホコロビン)‖暮春ノ風ニ|ヤ乎。咎(トカメ)テ款冬ノ字ヲ而云フ∨尓(シカ)ノミ耳。詩ノ意ロ雖トモ‖工(タクミ)ニ用ユト|上ノ故事(コジ)ノ誤リ矣。可シ∨辨(ベン)ス∨之ヲ。〔草木門123六〕
蕗(フキ)[○] 。〔草木門619六〕
款冬(フキノタウ/クワントウ・タヽク、フユ)[○○] 倭俗――ノ二字ヲ云二山吹(フキ)ト一。大誤也。〔草木門619六〕
款冬(フキノタウ/クワンドウ) 倭俗云山吹。蕗(フキ) 。〔弘・草木門179四〕
蕗(フキ) 。〔永・草木門147二〕 款冬(フキノタウ/クワンドウ) 倭俗云二山吹一。《以下省略》。〔永・草木門147二〕
蕗(フキ) 。〔尭・草木門137一〕 款冬 倭俗云山吹。《以下省略》。〔尭・草木門137三〕
梠莖菜(フキ) 。蕗(同) 。〔草木門149四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「蕗」の語を以て収載し、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
692昆布荒布K煮ノ烏頭布(カチメ)蕗(フキ)薊(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ) 作∨茗非也。求名菩薩ヨリ始也。故ハ求名鈍而書‖我名ヲ|荷テ行ク也。死シテ後ニ墳ニ生∨草ト名‖々何ト|也。即号‖鈍根草|也。是即求名ノ菩薩ハ釈迦如来ノ時之弥勒佛ハ是也。〔謙堂文庫蔵五八左G〕
とあって、標記語「蕗」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)K煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
煮染(にしめ)の牛房(ごぼう)昆布(こんぶ)烏頭布(うどめ)搗布(かちめ)荒布(あらめ)黒煮(くろに)の蕗(ふき)/煮染ノ牛房昆布搗布烏頭布荒布K煮ノ蕗 和名集にハふゝきと訓す。ふきといふハ畧語(りやくご)なり。〔90オ四〜六〕
とあって、この標記語「蕗」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。K煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。▲蕗ハ和名(わミやう)フヽキといふ。〔66ウ二、66ウ八〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)▲蕗ハ和名(わミやう)フヽキといふ。〔11ウ二、120オ五〕
Fuqi.フキ(蕗) 大きな葉をもった草の一種で,食用になるもの.〔邦訳279l〕
ふき-〔名〕【蕗】〔ふふきの約〕(一)古くは、ふふき。菊科の多年草本の名。山野に自生すれども、又畠に植ゑて蔬菜とす。冬春の交、宿根より、先づ花莖を生ず、初生は、大きさ大指の如く、薄青し、蕗の薹(たう)、と云ひ、(款冬花)食用として賞す、苦味あり。春、高さ四五寸、梢に黄白花を開く。別に莖を出すこと一二尺、葉の初生は、ところ(野老)に似て、叉劣なく、大なるは牛蒡の葉に似て圓し。莖、青白に紫を帶ぶ、若莖の皮を剥ぎて煮て食ふ、亦、苦味あり。款冬氏冬。爾雅、釋草編「菟奚、顆凍」注「款凍也」(款冬ナリ)倭名抄、十七10園菜類「蕗、崔禹錫食經云、蕗、音路、和名布布木、葉似レ葵而圓廣、其莖煮可怡レ之」字鏡60「蕗、不不支、夾同」名義抄「蕗、フキ」和玉篇「韵、フキ」林逸節用集、六、生植門「蕗、フキ、款冬、フキノタウ」書言字考節用集、六、生植門「款冬、フキ、菟奚、ヅキ、蕗、フキ」(二)ふきぐみ(蕗組)の略。〔1727-1〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔至徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏[頭]布荒布黒煮蕗蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣薗豆芹薺差酢和布青苔神馬藻曳干甘苔雁煎等隨躰可引之〔宝徳三年本〕
菜者繊蘿蔔煮染牛房昆布烏頭布荒布黒煮蕗莇蕪酢漬茗荷薦子蒸物茹物茄子酢菜胡瓜甘漬納豆煎豆荼苣園豆芹薺差酢和布青苔神馬草曳干甘苔塩苔酒煎松茸平茸雁煎等隨躰可引之〔建部傳内本〕
菜ハ者繊蘿蔔(せンロフ)蒟蒻(コンニヤク)煮染(ニシメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)黒煮蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スヽケ)茗荷(メウガ)薦(コモノ)子蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜胡瓜(キウリ)甘漬(アマヅケ)納豆煎豆(イリマメ)荼(ヲホヂ)苣(チシヤ)園豆(エン )芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシ )若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)海雲(モツク)曳干(ヒキ )甘苔(アマノリ)塩苔酒煎(サカイリ)ノ松茸( タケ)滑茸(ナメスヽキ)平茸ノ雁煎等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔山田俊雄藏本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(サンロフ)煮染(ニジメ)ノ牛房昆布(コフ)烏頭布(ウトメ)荒布(アラメ)煮黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦子(コモノコ)ノ蒸物(ムシ )茹物(ユテモノ)茄子ノ酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)薗豆(エントウ)芹(セリ)薺(ナツナ)差酢(サシス)若布(ワカメ)青苔( ノリ)神馬藻( サウ)ノ曳干(ヒキホシ)甘苔( ノリ)塩苔( ノリ)酒煎( イリ)ノ松茸( ダケ)平茸(ヒラ )ノ雁煎( イリ)鴨煎等隨∨躰可シ∨引(ヒク)∨之ヲ〔経覺筆本〕
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニシメ)ノ牛房(コハウ)昆布(コ )烏(クロ)カチ布(メ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ)薦子(コモノコ)蒸物(ムシ )茹物(ユテ )茄子(ナスヒ)酢菜(スサイ)胡瓜(キウリ)ノ甘漬(アマツケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼(ヲヽトチ)苣(チシヤ)園豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(シムハサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)松茸( タケ)平茸(ヒラタケ)之(ノ)雁煎(カンイリ)等隨テ∨躰可∨引∨之ヲ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「黒煮」と表記し、訓みは、経覺筆本・文明四年本に「くろに」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「黒煮」の語は未収載にあって、これを、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本が収載しているのである。
692昆布荒布黒煮ノ烏頭布(カチメ)蕗(フキ)薊(アサミ)蕪(カフラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウカ) 作∨茗非也。求名菩薩ヨリ始也。故ハ求名鈍而書‖我名ヲ|荷テ行ク也。死シテ後ニ墳ニ生∨草ト名‖々何ト|也。即号‖鈍根草|也。是即求名ノ菩薩ハ釈迦如来ノ時之弥勒佛ハ是也。〔謙堂文庫蔵五八左G〕
とあって、標記語「黒煮」の語を収載し、語注記は未記載にする。
菜(サイ)者(ハ)繊蘿蔔(せンロフ)煮染(ニゾメ)ノ牛房(ゴバウ)昆布(コブ)烏頭布(ウドメ)荒布(アラメ)黒煮(クロニ)ノ蕗(フキ)莇(アサミ)蕪(カブラ)酢漬(スツケ)ノ茗荷(ミヤウガ)薦(コモ)ノ子蒸物(ムシモノ)茹(ユテ)物茄子(ナスビ)酢菜(スサイ)ハ胡瓜(キフリ)甘漬(アマヅケ)納豆(ナツトウ)煎豆(イリマメ)荼苣(オホトチヰ)薗豆(エントウ)芹(せリ)薺(ナヅナ)差酢(サシス)和布(ワカメ)青苔(アヲノリ)神馬藻(ジンバサウ)曳干(ヒキホシ)甘苔(アマノリ)塩苔(シホノリ)酒煎(サカイリ)ノ松茸(マツタケ)平茸(ヒラタケ)雁煎(ガンイリ)等隨テ∨躰ニ可∨引∨之ヲ∨之時已(イ)後汁菜(シルサイ)何(イツ)レモ雪林菜(せツリンサイ)雪(ユキ)アヘトテ有(アン)也。食事(シヨクジ)ハ皆人ノ御存(ゴゾンシ)也。〔下35ウ四〜36オ一〕
煮染(にしめ)の牛房(ごぼう)昆布(こんぶ)烏頭布(うどめ)搗布(かちめ)荒布(あらめ)黒煮(くろに)の蕗(ふき)/煮染ノ牛房昆布搗布烏頭布荒布黒煮ノ蕗 和名集にハふゝきと訓す。ふきといふハ畧語(りやくご)なり。〔90オ四〜六〕
とあって、この標記語「黒煮」の語を収載し、語注記は、上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめ)の牛房(ごほう)昆布(こんふ)擣布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろに)の蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけ)の茗荷(めうが)薦(こも)乃子(こ)の蒸物(むしもの)茹物(うで )ハ茄子(なすび)の酢菜(すさい)胡瓜(きうり)乃甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)の和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばそう)乃曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)鹽苔(しほのり)酒煎(さかいり)の松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)の雁煎(がんいり)等(とう)體(てい)に隨(したがつ)て之(これ)を引(ひ)く可(べ)し/菜者。繊蘿蔔。煮染ノ牛房。昆布。搗布。烏頭布。荒布。黒煮ノ蕗。莇。 輒。蕪。酢漬ノ茗荷。薦ノ子ノ蒸物。茹物。茄子ノ酢菜。胡瓜ノ甘漬。納豆。煎豆。荼。苣。園豆。芹。薺。差酢ノ和布。青苔。神馬藻ノ曳干。甘苔。塩苔。酒煎ノ松茸。平茸雁煎等。隨テ∨躰ニ可シ∨引∨之ヲ。〔66ウ一・二〕
菜(さい)者(ハ)繊蘿蔔(せんらふ)煮染(にしめの)牛房(ごばう)昆布(こんぶ)搗布(かちめ)烏頭布(うどめ)荒布(あらめ)K煮(くろにの)蕗(ふき)莇(あざミ)輒(ところ)蕪(かぶら)酢漬(すづけの)茗荷(ミやうが)薦(こもの)子(この)蒸物(むしもの)茹物(うでものハ)茄子(なすびの)酢菜(すさい)胡瓜(きうりの)甘漬(あまづけ)納豆(なつとう)煎豆(いりまめ)荼(おほとぢ)苣(ちさ)園豆(ゑんとう)芹(せり)薺(なづな)差酢(さしす)和布(わかめ)青苔(あをのり)神馬藻(じんばざうの)曳干(ひきぼし)甘苔(あまのり)塩苔(しほのり)酒煎(さかいりの)松茸(まつたけ)平茸(ひらたけの)雁煎(がんいり)等(とう)隨(したかつて)∨躰(ていに)可(べし)∨引(ひく)∨之(これを)。〔119ウ二〕
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