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ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
主計允(カズヘノテウ) 唐名度支郎。〔元亀二年本101一〕
主計允(カスヘノせウ) 唐名度支郎。〔静嘉堂本127一〕〔天正十七年本上62オ八〕〔西來寺本〕
謹上 主計頭殿〔至徳三年本〕
謹上 主計頭殿〔宝徳三年本〕
謹上 主計頭殿〔建部傳内本〕
謹上 主計頭(カスヱノカミ)殿〔山田俊雄藏本〕
進上 主計頭(カスエノカミ)殿〔経覺筆本〕
謹上 主計頭殿〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「主計頭」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「かずゑのかみ」、経覺筆本に「かすえのかみ」と記載する。
主計寮(カズヱノレウ/ヌシ、ハカル・カスウ) 唐名金部又云度支頭一人。無二權官一相當従五位上。唐名金部郎中又云二度支郎中一助一人。權助一人。相當正六位下唐名金部員外郎允大少唐名度支郎属大少唐名度支主事ト在二明句抄ニ一。〔官位門262六〕
主計頭(カズヘノカミ) ―頭―允。度支郎。〔弘・官名門77八〕
主計頭(カスエノカミ) 度支郎。〔永・官名門78三〕
主計頭(カスヘノカミ) 度支郎。〔堯・官名門71四〕〔両・官名門85五〕
主計頭(カスエノカミ) 助/允。〔人倫門71六・天理図書館蔵上36オ六〕
このように、上記当代の古辞書においては、印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・両足院本『節用集』・易林本『節用集』に標記語「主計頭」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
714謹上 主計頭殿〔謙堂文庫蔵六一右B〕
とあって、標記語「主計頭」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
謹言 主計頭(カスエノカミ)殿 〔下37ウ四〕
謹上 主計頭殿(かすへのかミとの)/謹上 主計頭殿 。〔94ウ一・二〕
とあって、この標記語「主計頭」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
謹上(きんじやう) 主計(かずへ)の頭殿(かミとの)/謹上 主計ノ頭殿▲主計頭ハ従(じう)五位上に相當(さうたう)す。唐名(からな)ハ金部(きんほう)郎中(らうちう)といふ。〔70オ七、70オ八〕
謹上(きんじやう) 主計頭殿(かずへのかミどの)▲主計頭ハ従(じう)五位上に相當(さうたう)す。唐名(からな)ハ金部(きんほう)郎中(らうちう)といふ。〔125オ四、125オ六〕
主税助 。〔元亀二年本316五〕
主税助 。〔静嘉堂本371六〕
十一月十二日 秦某〔至徳三年本〕
十一月十二日 秦某〔宝徳三年本〕
十一月十二日 秦某〔建部傳内本〕
十一月十二日 秦(ハタノ)某〔山田俊雄藏本〕
十一月十二日 秦(ハダノ)某〔経覺筆本〕
十一月十二日 秦某 ハダ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「主税助」語は未記載にする。後世の真名註の書に見える語である。
主税寮(チカラノレウ/シユセイ)[○・去・上] 唐名倉部又免田頭助允属同二主計ニ一。〔官位門161三〕
主税頭(チカラノカミ) 倉部郎中。〔弘・官名門49四〕〔永・官名門51三〕〔堯・官名門46七〕〔両・官名門55二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「主税助」の語は未収載にあって、これを下記真字本が収載しているのである。
713十一月十二日 主税助秦 秦始皇之流ノ故ニ云∨尓。〔謙堂文庫蔵六一右A〕
とあって、標記語「主税助」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
十一月十二日 秦某(ハダノナニガシ) 〔下37ウ四〕
十一月十二日 秦某/十一月十二日 秦某 。〔94ウ一・二〕
とあって、この標記語「主税助」の語は未収載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
十一月十二日 主税(ちから)の助(すけ)秦(はだ)/十一月十二日 主税助秦▲主税助ハ正六位ノ下に相當す。唐名ハ倉部(そうぼう)員外郎(いんぐわいらう)といふ。〔70オ六、70オ八〕
十一月(じふいちくわつ)十二日(じふにゝち) 主税助(ちからのすけ)秦(はだ)▲主税助ハ正六位ノ下に相當す。唐名ハ倉部(そうほう)員外郎(いんぐわいらう)といふ。〔125オ四、1256オ六〕
十一月十二日 秦某〔至徳三年本〕
十一月十二日 秦某〔宝徳三年本〕
十一月十二日 秦某〔建部傳内本〕
十一月十二日 秦(ハタノ)某〔山田俊雄藏本〕
十一月十二日 秦(ハダノ)某〔経覺筆本〕
十一月十二日 秦某 ハダ〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「秦」と表記し、訓みは、山田俊雄藏本に「ハタ」、経覺筆本・文明四年本に「ハダ」と記載する。
秦椒(シンせウ・イタサンせウ/ハダ、―)[平・平] 。〔草木門915二〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に標記語「秦」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
713十一月十二日 主税助秦 秦始皇之流ノ故ニ云∨尓。〔謙堂文庫蔵六一右A〕
とあって、標記語「秦」の語を収載し、この語における語注記は「秦始皇の流の故に尓云ふ」と記載する。
十一月十二日 秦某(ハダノナニガシ) 〔下37ウ四〕
十一月十二日 秦某(はだのそれがし)/十一月十二日 秦某 。〔94ウ四〕
とあって、この標記語「秦」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
十一月十二日 主税(ちから)の助(すけ)秦(はだ)/十一月十二日 主税助秦▲秦ハ人(にん)皇廿二代雄畧(ゆうりやく)天皇十五年酒(さけの)君に禹豆麻佐(うづまさ)の姓(せい)を賜(たま)ふ。是(これ)其はじめ也。盖(けだし)酒君ハ百濟國(ひやくさいこく)の王子(わうじ)也。禹豆麻佐の字を太秦(たいしん)と書(かく)。秦とのミ書も同(おな)じ。然(しか)るをハダと讀(よま)せるハもと誤(あやまり)なれども今にしてハまた改めがたし。〔70オ六、70オ八〜70ウ一〕
十一月(じふいちくわつ)十二日(じふにゝち) 主税助(ちからのすけ)秦(はだ)▲秦ハ人皇(にんわう)廿二代雄畧(ゆうりやく)天皇十五年酒君(さけのきミ)に禹豆麻佐(うづまさ)の姓(せい)を賜(たま)ふ。是(これ)其はしめ也。盖(けだし)酒ノ君ハ百濟國(ひやくさいこく)の王子(わうじ)也。禹豆麻佐の字を太秦(たいしん)と書。秦とのミ書も同(おな)じ。然るをハダと讀(よま)せるハもと誤(あやまり)なれども今にしてハまた改(あらた)めがたし。〔126オ四、126オ六〜126ウ二〕
はた-〔名〕【秦】〔古語拾遺「所レ貢絹綿軟レ於二肌膚一、故訓秦字謂二之波陀一〕(一)はた(繪)に同じ。(二)韓國より歸化したる人の姓。〔1583-4〕
併(シカシナガラ) 。〔元亀二年本334四〕
併(シカシナカラ) 。〔静嘉堂本398五〕
万端難馳筆併期面拝恐々謹言〔至徳三年本〕
萬端難馳筆併期面拝恐々謹言〔宝徳三年本〕
萬端難馳筆併期面拝之時候也恐々謹言〔建部傳内本〕
萬端難キレ馳レ筆ヲ黙併期二面拝ヲ一恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
万端(タン)難シレ馳(ハせ)レ筆ニ併ラ期ス二面拝ヲ一恐々謹言〔経覺筆本〕
萬端難(カタシ)レ馳(ハせ)レ筆(フテ)ニ。併期二面拝之時一。恐々謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「併」と表記し、訓みは経覺筆本に「(しかしなが)ラ」と記載する。
併シカシナカラ/必野必姓二反皆也。〔黒川本・辞字門下76オ八〕
併シカシナカラ/皆也。〔卷第九・辞字門185三〕
併(シカシナガラ/ヘイ)[去] 。〔態藝門1024三〕
併(シカシナカラ) 。〔弘・言語進退門244一〕〔永・言語門212九〕〔堯・言語門196七〕
併(シカシナガラ) 。〔言辞門219六・天理図書館蔵下42ウ六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「併」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「併」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
合食禁(カウシヨクキン)ノ日記任二藥(クス)殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可ク二寫(ウツシ)給ハル一候。萬端(バンタン)難シレ馳(ハせ)レ筆(フテ)ヲ。併ラ期シ二面拝之時ヲ一候合食禁トハ。食ニ付テ戚藥多キヲ忌(イ)メト云心ナリ。〔下37ウ一〜三〕
併(しかしながら)面拝(めんばい)之時を期(ご)し候/併期シ二面拝之時ヲ一候 注前に見へたり。〔94ウ二・三〕
とあって、この標記語「併」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)合食(がふしよく)禁(きん)乃日記(につき)藥殿(くすどの)の壁書(へきしよ)に任(まか)せ冩(うつ)し給(たま)ふ可(べく)く候(さふらふ)。萬端(ばんたん)筆(ふで)を馳(はせ)せ難(がたし)。併(しかしながら)面拝(めんばい)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)。/禁好物ノ之注文。合食禁ノ日記。任せ二藥殿ノ壁書ニ一可ク二冩シ給フ一候フ。万端難シレ馳セレ筆ヲ。併期ス二面拝ヲ一。恐々謹言。〔69ウ四〕
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)、合食(がふしよく)禁(きん)の日記(につき)、任(まかせ)二藥殿(くすりどの)の壁書(へきしよ)に一可(べく)二写給(うつしたまふ)一候(さふらふ)。万端(ばんたん)難(がたし)レ馳(はせ)レ筆(ふで)を。併(しかしながら)期(ごす)二面拝(めんはい)を恐々(きよう/\)謹言(きんけん)。〔125オ四〕
Xicaxinagara.シカシナガラ(併) 結局,すべての場合を通じて,あるいは,言った事のすべてについて,など.例,Xicaxinagara Coyetuo fedatcuruni nitari.(併ら胡越を隔つるに似たり)私が言った事を要約すると,まことに私どもは,互いに遙かに隔たっている胡(Co)と越(Yet)との二国のように,遠ざかり離れている.※併似隔胡越(庭訓往來,二月往状).〔邦訳761l〕
しかしながら-〔副〕【併】〔説文「併、兼也、合也、皆也、列也」然ながらに、天爾波の強め詞と云ふ、しを加へたる語にて、さしながらなどと、同用法の語か〕しかながら。さながら。それながら。ことごとく。悉皆。一切。日本霊異記、下、第十縁「發レ火、惣家皆悉燒滅」訓註「惣家、シカシナガラ」名義抄「併、ナラブ、シカシナガラ」又「並、シカシナガラ」欽明紀、六年九月「普天之下、一切(シカシナガラ)衆生、皆蒙二解脱一」平家物語、二、烽火事「重盛、始め、敍爵より、今、大臣の大將に至る迄、併しながら、君の御恩ならずと云ふ事なし」古今著聞集、二、釋教「此事は、もと我思寄りたるにあらず、仰せられし旨を聞きて、おのづから發願して、大功をなしたる、しかしながら、御恩なり」同、三、政道忠臣、末條「殿下、故なく流されさせ給ひし事は、しかしながら、平太政入道の強行にて侍りけるに」沙石集、一、下、第八條「その~は、只、古き釜なり、云云、靈、何の所にか有と云て、しかしながら、打くだきてけり」庭訓徃來、二月「併期二參會之次一」伊達政宗感状之文「敵數輩討捕、得二勝利一、一段感悦候、併、忠節無二比類一事、至二子孫一、可二申傳一候」」平家物語、三、燈籠事「謀叛の企、候ひし事、全く私の計略にあらず、併、君、御許容あるに依てなり」字鏡84「傾城、擧城也、城、志加志奈加良」〔879-4〕
万端難馳筆併期面拝恐々謹言〔至徳三年本〕
萬端難馳筆併期面拝恐々謹言〔宝徳三年本〕
萬端難馳筆併期面拝之時候也恐々謹言〔建部傳内本〕
萬端難キレ馳レ筆ヲ黙併期二面拝ヲ一恐々謹言〔山田俊雄藏本〕
万端(タン)難シレ馳(ハせ)レ筆ニ併ラ期ス二面拝ヲ一恐々謹言〔経覺筆本〕
萬端難(カタシ)レ馳(ハせ)レ筆(フテ)ニ。併期二面拝之時一。恐々謹言〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「馳レ筆」と表記し、訓みは経覺筆本・文明四年本に「ふでにはせ」、山田俊雄藏本及び下記注釈諸本に「ふでをはせ」と記載する。ここで、古写本の訓読中、「○○に●●」と「○○ヲ●●」といった両用の訓読形態が見えている。この受動形態が如何なる異なりを示しているのかを考察することは未だ言及できない。しかし、訓読文献資料においては、平安時代初期に既にこの両用形態が見えていることを述べておく。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「馳レ筆」の語は未収載にし、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「馳レ筆」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
合食禁(カウシヨクキン)ノ日記任二藥(クス)殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可ク二寫(ウツシ)給ハル一候。萬端(バンタン)難シレ馳(ハせ)レ筆(フテ)ヲ。併ラ期シ二面拝之時ヲ一候合食禁トハ。食ニ付テ戚藥多キヲ忌(イ)メト云心ナリ。〔下37ウ一〜三〕
萬端(ばんたん)筆(ふで)を馳(はせ)せ難(がたし)/萬端難レ馳レ筆ヲ 病中にてものかきゆへ紙面にくわしく書記しかたしと也。〔94ウ一・二〕
とあって、この標記語「馳レ筆」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)合食(がふしよく)禁(きん)乃日記(につき)藥殿(くすどの)の壁書(へきしよ)に任(まか)せ冩(うつ)し給(たま)ふ可(べく)く候(さふらふ)。萬端(ばんたん)筆(ふで)を馳(はせ)せ難(がたし)。併(しかしながら)面拝(めんばい)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)。/禁好物ノ之注文。合食禁ノ日記。任せ二藥殿ノ壁書ニ一可ク二冩シ給フ一候フ。万端難シレ馳セレ筆ヲ。併期ス二面拝ヲ一。恐々謹言。〔69ウ四〕
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)、合食(がふしよく)禁(きん)の日記(につき)、任(まかせ)二藥殿(くすりどの)の壁書(へきしよ)に一可(べく)二写給(うつしたまふ)一候(さふらふ)。万端(ばんたん)難(がたし)レ馳(はせ)レ筆(ふで)を。併(しかしながら)期(ごす)二面拝(めんはい)を恐々(きよう/\)謹言(きんけん)。〔125オ四〕
冩(ウツス) 。〔元亀二年本184十〕〔静嘉堂本208二〕〔天正十七年本中33オ六〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔至徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔宝徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔建部傳内本〕
禁好物ノ注文合食(カツシヨ)禁ノ日記任テ二藥殿ノ壁書ニ一可二写シ給一候〔山田俊雄藏本〕
禁(キン)好物ノ注文合食禁ノ日記任せ二藥殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可二写シ給ル一候〔経覺筆本〕
禁好物(キンカウ )ノ之注文合食(カツシヨ)禁ノ之日記任テレ藥(ヤク)殿(テン)ノ壁書(ヘキ )ニ一可二写(ウツシ)給ウ一候〔文明四年本〕
と見え、は未収載で、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本は、「冩」、山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「冩」と表記し、訓みは文明四年本に「ウツシ」と記載する。
冩繕輪潟壮捷輸影搓捫弛乗迷運邇已上同摸ウツス/亦作竄/以手―也摺影冩騾潟歩已上同。〔黒川本・辞字門中52ウ二・三〕
冩ウツス/書―潟摸亦作竄/以手―摺影冩騾潟歩已上同/ウツス。〔卷第五・辞字門194四〕
冩(ウツス/シヤ)[上] 。〔態藝門488八〕
冩(ウツス) 寫同―レ字。〔弘・言語進退門150八〕
冩(ウツス) 。〔永・言語門123八〕〔両・言語門137七〕
写(ウツス) 。〔堯・言語門113三〕
寫(ウツロフ)ウツス 月/水。衰(同)。〔言辞門120二・天理図書館蔵上60ウ二〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に標記語「冩」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「冩」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
合食禁(カウシヨクキン)ノ日記任二藥(クス)殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可ク二寫(ウツシ)給ハル一候。萬端(バンタン)難シレ馳(ハせ)レ筆(フテ)ヲ。併ラ期シ二面拝之時ヲ一候合食禁トハ。食ニ付テ戚藥多キヲ忌(イ)メト云心ナリ。〔下37ウ一〜三〕
冩(うつ)し給(たま)ふ可(べく)く候(さふらふ)/可二写給一候 。〔94オ八〕
とあって、この標記語「冩」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)合食(がふしよく)禁(きん)乃日記(につき)藥殿(くすどの)の壁書(へきしよ)に任(まか)せ冩(うつ)し給(たま)ふ可(べく)く候(さふらふ)。萬端(ばんたん)筆(ふで)を馳(はせ)せ難(がたし)。併(しかしながら)面拝(めんばい)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)。/禁好物ノ之注文。合食禁ノ日記。任せ二藥殿ノ壁書ニ一可ク二冩シ給フ一候フ。万端難シレ馳セレ筆ヲ。併期ス二面拝ヲ一。恐々謹言。〔69ウ六〕
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)、合食(がふしよく)禁(きん)の日記(につき)、任(まかせ)二藥殿(くすりどの)の壁書(へきしよ)に一可(べく)二写給(うつしたまふ)一候(さふらふ)。万端(ばんたん)難(がたし)レ馳(はせ)レ筆(ふで)を。併(しかしながら)期(ごす)二面拝(めんはい)を恐々(きよう/\)謹言(きんけん)。〔125オ四〕
Vtcuxi,su.ウツシ,ス,イタ(移・冩し,す,いた) ある物を他へ移転する,または,運び渡す.例,Iyeuo vtcusu.(家を移す)家を他の所へ移転する.¶Iremono uo vtcusu.(容れ物をうつす)箱や器物やそれに類する物をあけて空にする.¶また,写し取る.例,Fitono catachiuo vtcusu.(人の貌を写す)人をありのままに描く,または,写し取る.¶Qio<uo caqi vtcusu.(経を写す)ある教典を筆写する.→Guato;Iijit.〔邦訳736l〕
うつ・す・ス・セ・サ・シ・セ〔他動・四〕【冩】〔字を移す意〕(一)他の文字、畫圖を、別に書き取る。 佛足石歌「釋迦のみあと、石(いは)に宇都志(うつし)おき、ゆきめぐり、歌ひまつり、吾がよはをへん」天治字鏡、一24「竄、亡夫反平、冩也、志太加太於支天宇豆須」(二)物の形、又、音に擬へて作る。摸造。源氏物語、十四、澪標4「源氏の大納言の御顔を、二つにうつしたらやうに見え給ふ」十訓抄、下、第十、六十三條「師涓といふ人を召して、此聲を、琴の音にうつし給ふ」〔242-5〜243-1〕
壁書(ヘキシヨ) 。〔元亀二年本48二〕〔静嘉堂本55六〕〔西來寺本〕
壁書 。〔天正一七年本上28ウ六〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔至徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔宝徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔建部傳内本〕
禁好物ノ注文合食(カツシヨ)禁ノ日記任テ二藥殿ノ壁書ニ一可二写シ給一候〔山田俊雄藏本〕
禁(キン)好物ノ注文合食禁ノ日記任せ二藥殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可二写シ給ル一候〔経覺筆本〕
禁好物(キンカウ )ノ之注文合食(カツシヨ)禁ノ之日記任テレ藥(ヤク)殿(テン)ノ壁書(ヘキ )ニ一可二写(ウツシ)給ウ一候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「壁書」と表記し、訓みは経覺筆本に「ヘキシヨ」、文明四年本に「ヘキ(シヨ)」と記載する。
壁書(ヘキシヨ/カベ、カク)[入・平] 禁制文也。〔器財門114六〕
壁書(ヘキシヨ) 禁制。〔弘・財宝門38四〕
壁書(ヘキシヨ) 。〔永・言語門38二〕〔堯・言語門35三〕〔両・言語門42六〕
壁書(ヘキシヨ) 。〔食服門37二・天理図書館蔵上19オ二〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』・『運歩色葉集』・印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』・易林本『節用集』に標記語「壁書」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』及び弘治二年本のような「禁制…」の語注記はない。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「壁書」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
合食禁(カウシヨクキン)ノ日記任二藥(クス)殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可ク二寫(ウツシ)給ハル一候。萬端(バンタン)難シレ馳(ハせ)レレ筆(フテ)ヲ。併ラ期シ二面拝之時ヲ一候合食禁トハ。食ニ付テ?藥多キヲ忌(イ)メト云心ナリ。〔下37ウ一〜三〕
藥殿(やくでん)の壁書(へきしよ)に任(まか)せ/任せ二藥殿ノ壁書ニ一 藥殿ハ藥一切の事を取扱(とりあつか)ふ所也。見やすきやうに壁(かへ)にしるし置を壁書といふ也。〔94オ八〕
とあって、この標記語「壁書」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)合食(がふしよく)禁(きん)乃日記(につき)藥殿(くすどの)の壁書(へきしよ)に任(まか)せ冩(うつ)し給(たま)ふ可(べく)く候(さふらふ)。萬端(ばんたん)筆(ふで)を馳(はせ)せ難(がたし)。併(しかしながら)面拝(めんばい)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)。/禁好物ノ之注文。合食禁ノ日記。任せ二藥殿ノ壁書ニ一可ク二冩シ給フ一候フ。万端難シレ馳セレ筆ヲ。併期ス二面拝ヲ一。恐々謹言。▲壁書ハ壁(かべ)に張(はり)をく書付と云定なり。〔69ウ六、70オ二〕
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)、合食(がふしよく)禁(きん)の日記(につき)、任(まかせ)二藥殿(くすりどの)の壁書(へきしよ)に一可(べく)二写給(うつしたまふ)一候(さふらふ)。万端(ばんたん)難(がたし)レ馳(はせ)レ筆(ふで)を。併(しかしながら)期(ごす)二面拝(めんはい)を恐々(きよう/\)謹言(きんけん)▲壁書ハ壁(かべ)に張(はり)おく書付と云定なり。〔125オ四、125ウ四・五〕
へき-しょ〔名〕【壁書】(一)もと、吏員の執務上、守るべき事、又は、一般に布告すべき事柄。かべがき。和簡禮經、八、壁書事「奉行書より事始りたる儀候、諸人に知らせん事をかべに押付て、云云」太平記、十四、將軍御進發事「此度の合戰に於て、忠あらん者には、不日に恩賞行はるべしと云ふ壁書を、決斷所に押されたり」(二)戰國時代の大名などの家法。「今川壁書」「大内家壁書」(三)壁に、心得、教訓などの文を書きて貼ること。又、その文章。芭蕉庵再興集、芭蕉庵壁書「草庵心得之事、一、火之元の大事第一也、云云」喫茶餘録、下「遠州宗甫居士壁書」〔1804-2〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔至徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔宝徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔建部傳内本〕
禁好物ノ注文合食(カツシヨ)禁ノ日記任テ二藥殿ノ壁書ニ一可二写シ給一候〔山田俊雄藏本〕
禁(キン)好物ノ注文合食禁ノ日記任せ二藥殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可二写シ給ル一候〔経覺筆本〕
禁好物(キンカウ )ノ之注文合食(カツシヨ)禁ノ之日記任テレ藥(ヤク)殿(テン)ノ壁書(ヘキ )ニ一可二写(ウツシ)給ウ一候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「藥殿」と表記し、訓みは文明四年本に「ヤクテン」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「藥殿」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕※天理図書館蔵『庭訓往來注』・国会図書館蔵左貫注は、「藥殿」と記載する。
とあって、標記語「藥典殿(藥殿)」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
合食禁(カウシヨクキン)ノ日記任二藥(クス)殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可ク二寫(ウツシ)給ハル一候。萬端(バンタン)難シレ馳(ハせ)レ筆(フテ)ヲ。併ラ期シ二面拝之時ヲ一候合食禁トハ。食ニ付テ戚藥多キヲ忌(イ)メト云心ナリ。〔下37ウ一〜三〕
藥殿(やくでん)の壁書(へきしよ)に任(まか)せ/任せ二藥殿ノ壁書ニ一 藥殿ハ藥一切の事を取扱(とりあつか)ふ所也。見やすきやうに壁(かへ)にしるし置を壁書といふ也。〔94オ八〕
とあって、この標記語「藥殿」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)合食(がふしよく)禁(きん)乃日記(につき)藥殿(くすどの)の壁書(へきしよ)に任(まか)せ冩(うつ)し給(たま)ふ可(べく)く候(さふらふ)。萬端(ばんたん)筆(ふで)を馳(はせ)せ難(がたし)。併(しかしながら)面拝(めんばい)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)。/禁好物ノ之注文。合食禁ノ日記。任せ二藥殿ノ壁書ニ一可ク二冩シ給フ一候フ。万端難シレ馳セレ筆ヲ。併期ス二面拝ヲ一。恐々謹言。〔69ウ六〕
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)、合食(がふしよく)禁(きん)の日記(につき)、任(まかせ)二藥殿(くすりどの)の壁書(へきしよ)に一可(べく)二写給(うつしたまふ)一候(さふらふ)。万端(ばんたん)難(がたし)レ馳(はせ)レ筆(ふで)を。併(しかしながら)期(ごす)二面拝(めんはい)を恐々(きよう/\)謹言(きんけん)。〔125オ五〕
くす-どの〔名〕【藥殿】又、くすりどの。禁中にて、典藥寮の侍醫、等の祗候する所。江家次第、一、供御藥(正月屠蘇)「藥殿(くすどの)謂御藥、云云、宮内典藥寮官人、侍醫等、謂申御藥、云云」欄外「藥殿、月華門南腋」續古事談、一、王道后宮「くすり殿の御銚子」〔523-5〕
日記(キ) 。〔元亀二年本38五〕〔天正一七年本上21ウ二〕
日記 。〔静嘉堂本41六〕〔西來寺本69五〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔至徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔宝徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔建部傳内本〕
禁好物ノ注文合食(カツシヨ)禁ノ日記任テ二藥殿ノ壁書ニ一可二写シ給一候〔山田俊雄藏本〕
禁(キン)好物ノ注文合食禁ノ日記任せ二藥殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可二写シ給ル一候〔経覺筆本〕
禁好物(キンカウ )ノ之注文合食(カツシヨ )禁ノ之日記任テレ藥(ヤク)殿(テン)ノ壁書(ヘキ )ニ一可二写(ウツシ)給ウ一候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「日記」と表記する。
日記(ニツキ/シツ・ヒ、シルス)[入・去] 犬追者所役也。〔態藝門89六〕
日記(キ) 。〔弘・言語進退門30一〕〔両・言語門31四〕
日限(ゲン) ―果(ニツクハ)。―給(キウ)帝王―。―勞(ラウ)。―参(サン)。―記(キ)。―数(シユ)。〔永・言語門29四〕
日限(ニチケン) ―課。―給帝王部。―労。―参。―記。―数。〔堯・言語門26六〕
日記(キ) 。〔言辞門28三・天理図書館蔵上14ウ三〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に標記語「日記」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「日記」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
合食禁(カウシヨクキン)ノ日記任二藥(クス)殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可ク二寫(ウツシ)給ハル一候。萬端(バンタン)難シレ馳(ハせ)レ筆(フテ)ヲ。併ラ期シ二面拝之時ヲ一候合食禁トハ。食ニ付テ戚藥多キヲ忌(イ)メト云心ナリ。〔下37ウ一〜三〕
合食(がふしよく)禁(きん)の日記(につき)/合食禁ノ日記 食合(くひあはせ)の品を記したる書面也。〔94オ七・八〕
とあって、この標記語「日記」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)合食(がふしよく)禁(きん)乃日記(につき)藥殿(くすどの)の壁書(へきしよ)に任(まか)せ冩(うつ)し給(たま)ふ可(べく)く候(さふらふ)。萬端(ばんたん)筆(ふで)を馳(はせ)せ難(がたし)。併(しかしながら)面拝(めんばい)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)。/禁好物ノ之注文。合食禁ノ日記。任せ二藥殿ノ壁書ニ一可ク二冩シ給フ一候フ。万端難シレ馳セレ筆ヲ。併期ス二面拝ヲ一。恐々謹言。▲合食禁ノ日記ハ食合(くひあハ)せの品(しな)を記(しる)したる書付也。〔69ウ四、70オ二〕
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)、合食(がふしよく)禁(きん)の日記(につき)、任(まかせ)二藥殿(くすりどの)の壁書(へきしよ)に一可(べく)二写給(うつしたまふ)一候(さふらふ)。万端(ばんたん)難(がたし)レ馳(はせ)レ筆(ふで)を。併(しかしながら)期(ごす)二面拝(めんはい)を恐々(きよう/\)謹言(きんけん)▲合食禁ノ日記ハ食合(くひあハ)せの品(しな)を記(しる)したる書付也。〔125オ四、125ウ四〕
Nicqi.ニッキ(日記) 毎日記入する帳簿,または,書付.→次条.〔邦訳462r〕
にッ-き〔名〕【日記】にき。日次(ひなみ)の記。日毎に起れる事を、記しつけて置くもの。日録。日誌。日乘。清彼雜志(宋、周盜)「雖二數日程道倥孤之際一、亦有二日記一」宇津保物語、藏開、上84「俊蔭の朝臣、唐に渡りける日より、父は日記し」〔1494-5〕
合食禁(カツジヨキン) 。〔元亀二年本100三〕
合食禁(ガツシヨキン) 。〔静嘉堂本125七〕
合食禁(カツシヨクキン) 。〔天正一七年本上61ウ七〕
合食禁(カウシヨクキ ) 。〔西來寺本178六〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔至徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔宝徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔建部傳内本〕
禁好物ノ注文合食(カツシヨ)禁ノ日記任テ二藥殿ノ壁書ニ一可二写シ給一候〔山田俊雄藏本〕
禁(キン)好物ノ注文合食禁ノ日記任せ二藥殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可二写シ給ル一候〔経覺筆本〕
禁好物(キンカウ )ノ之注文合食(カツシヨ)禁ノ之日記任テレ藥(ヤク)殿(テン)ノ壁書(ヘキ )ニ一可二写(ウツシ)給ウ一候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「合食禁」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・文明四年本に「カツシヨ(キン)」と記載する。
合食禁(ガツシヨクキン/カワス、クラウ、イマシム)[入・入・平去] 。〔態藝門275一〕
合食禁(ガツシヨキン) 薬。〔弘・言語進退門87三〕
合戦(カツセン) ―力(カウリヨク)。―點(カツテン)。―躰(テイ)。―宿(シユク)。―壁(ヘキ)。―期(ガウゴ)。―木(カウモク)。―食禁(カツシヨキン)。〔永・言語門82四〕
合戦(カツセン) ―力。―點。―体。―宿。―薬。―壁。―期。―食禁。―木。〔堯・言語門74八〕
合戦(カツセン) ―力。―點。―躰。―宿。―壁。―期。―木。―食禁。〔両・言語門89八〕
合食禁(カツシヨクキン) 。〔言語門83二・天理図書館蔵上42オ二〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』・『運歩色葉集』・印度本系統の『節用集』・易林本『節用集』に標記語「合食禁」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「合食禁」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
合食禁(カウシヨクキン)ノ日記任二藥(クス)殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可ク二寫(ウツシ)給ハル一候。萬端(バンタン)難シレ馳(ハせ)レ筆(フテ)ヲ。併ラ期シ二面拝之時ヲ一候合食禁トハ。食ニ付テ戚藥多キヲ忌(イ)メト云心ナリ。〔下37ウ一〜三〕
合食(がふしよく)禁(きん)の日記(につき)/合食禁ノ日記 食合(くひあはせ)の品を記したる書面也。〔94オ七・八〕
とあって、この標記語「合食」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)合食(がふしよく)禁(きん)乃日記(につき)藥殿(くすどの)の壁書(へきしよ)に任(まか)せ冩(うつ)し給(たま)ふ可(べく)く候(さふらふ)。萬端(ばんたん)筆(ふで)を馳(はせ)せ難(がたし)。併(しかしながら)面拝(めんばい)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)。/禁好物ノ之注文。合食禁ノ日記。任せ二藥殿ノ壁書ニ一可ク二冩シ給フ一候フ。万端難シレ馳セレ筆ヲ。併期ス二面拝ヲ一。恐々謹言。▲合食禁ノ日記ハ食合(くひあハ)せの品(しな)を記(しる)したる書付也。〔69ウ四、70オ二〕
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)、合食(がふしよく)禁(きん)の日記(につき)、任(まかせ)二藥殿(くすりどの)の壁書(へきしよ)に一可(べく)二写給(うつしたまふ)一候(さふらふ)。万端(ばんたん)難(がたし)レ馳(はせ)レ筆(ふで)を。併(しかしながら)期(ごす)二面拝(めんはい)を恐々(きよう/\)謹言(きんけん)▲合食禁ノ日記ハ食合(くひあハ)せの品(しな)を記(しる)したる書付也。〔125オ四、125ウ四〕
Gaxxo<qin.ガウショウキン(合食禁) 互いに調和しない食物,または,それらを一緒に食べた人に害をなす食物.¶比喩.Cano fitoto,ano fitoua gaxxo<qingia.(あれはわが合食禁ぢや)あれは私の解毒剤である.〔邦訳293r〕
註文(モン) 。〔元亀二年本64十〕
注文(モン) 。〔静嘉堂本75七〕
註文(チウモン) 。〔天正十七年本上38オ三〕
註(チウ)文 。〔西來寺本116四〕
とあって、標記語元・天・西は「註文」の語を収載し、静は「注文」の語を記載する。
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔至徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔宝徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔建部傳内本〕
禁好物ノ注文合食(カツシヨ)禁ノ日記任テ二藥殿ノ壁書ニ一可二写シ給一候〔山田俊雄藏本〕
禁(キン)好物ノ注文合食禁ノ日記任せ二藥殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可二写シ給ル一候〔経覺筆本〕
禁好物(キンカウ )ノ之注文合食(カツシヨ )禁ノ之日記任テレ藥(ヤク)殿(テン)ノ壁書(ヘキ )ニ一可二写(ウツシ)給ウ一候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「注文」と表記する。
注文(チウモン/アラワス・シルス、フン・フミ)[去・平] 。〔器財門162七〕
注文(モン) 。〔弘・言語進退門54三〕
注文(チウモン) 。〔永・言語門54四〕〔両・言語門58一〕
注進(チウシン) ―文。〔堯・言語門49二〕
註文(モン) 註与レ注同。〔言語門53一・天理図書館蔵上27オ一〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に標記語「注文」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「註文」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
禁好物(キンカウモツ)ノ注文(チウモン)トハ病人ノ食事ニヨキコトヲ注(チウ)スルナリ。〔下37ウ一〕
禁好物(きんかうもつ)ノ注文(ちうもん)/禁好物ノ注文 食してあしき物を禁物と云。よき物を好物と云。注文とハ何/\はよし何/\ハあしといふ事を記したる書付也。〔94オ六・七〕
とあって、この標記語「注文」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)合食(がふしよく)禁(きん)乃日記(につき)藥殿(くすどの)の壁書(へきしよ)に任(まか)せ冩(うつ)し給(たま)ふ可(べく)く候(さふらふ)。萬端(ばんたん)筆(ふで)を馳(はせ)せ難(がたし)。併(しかしながら)面拝(めんばい)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)。/禁好物ノ之注文。合食禁ノ日記。任せ二藥殿ノ壁書ニ一可ク二冩シ給フ一候フ。万端難シレ馳セレ筆ヲ。併期ス二面拝ヲ一。恐々謹言。▲禁好物注文ハ病により食物(くひもの)に禁物(いむもの)と好物(ようきもの)とあるをしるしたる書付也。〔69ウ四、70オ一・二〕
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)、合食(がふしよく)禁(きん)の日記(につき)、任(まかせ)二藥殿(くすりどの)の壁書(へきしよ)に一可(べく)二写給(うつしたまふ)一候(さふらふ)。万端(ばんたん)難(がたし)レ馳(はせ)レ筆(ふで)を。併(しかしながら)期(ごす)二面拝(めんはい)を恐々(きよう/\)謹言(きんけん)▲禁好物注文ハ病により食物(くひもの)に禁物(いむもの)と好物(ようきもの)とあるをしるしたる書付也。〔125オ四、125ウ三・四〕
Chu'mon.チュウモン(注文) 覚書きの表や書付.§また,贈物として,織物や沈香などが贈られる時の品目表.なぜならば,贈物が馬,太刀,樽(Tarus),肴(Sacanas)であれば,Mocurocu(目録)と呼ばれるからである.〔邦訳130r〕
ちう-もん〔名〕【注文】(一)事を記し付けたる文書。「新恩所領注文」。(二)物を誂(あつら)へ作らするに、其形、寸法など注(しる)せる書付。(三)轉じて、直に、誂へ作らすること。製造の好み。室町殿日記(楢林長教)「衣類注文」(四)事を註したる文。又、注釋したる文。チュウブン。源平盛衰記、廿五、行二御會一事「官の外記の注文を召す、かの申状について」吾妻鏡、二、養和元年八月廿九日「至二伊豆箱根兩山一者、今被仰之、註文者、各一紙被レ送二遺彼山一」〔1292-4〕
好物(カウモツ) 。〔元亀二年本95八〕〔静嘉堂本119二〕〔天正一七年本上58五〕
好物 。〔西來寺本170二〕
禁好物(キンカウモツ) 。〔元亀二年本285七〕〔静嘉堂本330五〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔至徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔宝徳三年本〕
禁好物注文合食禁日記任藥殿壁書可冩給候〔建部傳内本〕
禁好物ノ注文合食(カツシヨ)禁ノ日記任テ二藥殿ノ壁書ニ一可二写シ給一候〔山田俊雄藏本〕
禁(キン)好物ノ注文合食禁ノ日記任せ二藥殿ノ壁書(ヘキシヨ)ニ一可二写シ給ル一候〔経覺筆本〕
禁好物(キンカウ )ノ之注文合食(カツシヨ)禁ノ之日記任テレ藥(ヤク)殿(テン)ノ壁書(ヘキ )ニ一可二写(ウツシ)給ウ一候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「禁好物」と表記し、訓みは経覺筆本に「キン(カウモツ)」、文明四年本に「キンカウ(モツ)」と記載する。
好物(コノムブツ/カウ・ヨシ、モノ)[去・入] 。〔態藝門280八〕
禁好物(キンカウ・コノム―/イマシメ、ヨシ、モノ)[平・平] 。〔態藝門827八〕
好物(ブツ) 。〔弘・言語進退門87八〕
好色(カウシヨク) ―物(ブツ)。―士(ジ)。〔永・言語門83二〕
好色(カウシヨク) ―物。―士。〔堯・言語門75五〕
好色(カウシヨク) ―物。―使。―士。〔両・言語門90八〕
好物(ブツ) 。〔言語門77五・天理図書館蔵上39オ五〕
禁制(キンゼイ) ―断(ダン)。―物(モツ)。―札(サツ)。―獄(ゴク)。―戒(カイ)。―忌(キ)。―足(ソク)。―好物(カウモツ)。―止(ジ)。〔言辭門189三・天理図書館蔵下27ウ三〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』・『運歩色葉集』・易林本『節用集』に標記語「好物」「禁好物」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「禁好物」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
禁好物(キンカウモツ)ノ注文(チウモン)トハ病人ノ食事ニヨキコトヲ注(チウ)スルナリ。〔下37ウ一〕
禁好物(きんかうもつ)ノ注文(ちうもん)/禁好物ノ注文 食してあしき物を禁物と云。よき物を好物と云。注文とハ何/\はよし何/\ハあしといふ事を記したる書付也。〔94オ六・七〕
とあって、この標記語「禁好物」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)合食(がふしよく)禁(きん)乃日記(につき)藥殿(くすどの)の壁書(へきしよ)に任(まか)せ冩(うつ)し給(たま)ふ可(べく)く候(さふらふ)。萬端(ばんたん)筆(ふで)を馳(はせ)せ難(がたし)。併(しかしながら)面拝(めんばい)を期(ご)す。恐々(きやう/\)謹言(きんげん)。/禁好物ノ之注文。合食禁ノ日記。任せ二藥殿ノ壁書ニ一可ク二冩シ給フ一候フ。万端難シレ馳セレ筆ヲ。併期ス二面拝ヲ一。恐々謹言。▲禁好物注文ハ病により食物(くひもの)に禁物(いむもの)と好物(ようきもの)とあるをしるしたる書付也。〔69ウ四、70オ一・二〕
禁好物(きんかうぶつ)の注文(ちうもん)、合食(がふしよく)禁(きん)の日記(につき)、任(まかせ)二藥殿(くすりどの)の壁書(へきしよ)に一可(べく)二写給(うつしたまふ)一候(さふらふ)。万端(ばんたん)難(がたし)レ馳(はせ)レ筆(ふで)を。併(しかしながら)期(ごす)二面拝(めんはい)を恐々(きよう/\)謹言(きんけん)▲禁好物注文ハ病により食物(くひもの)に禁物(いむもの)と好物(ようきもの)とあるをしるしたる書付也。〔125オ四、125ウ三・四〕
Qinco<mot.キンカウモツ(禁好物) 病人に禁じられている有害な物と,病人に許されている良い物と.→Co<mot.〔邦訳498l〕
Co<mot.カウモツ(好物) Co<but(好物)と言う方がまさる.ある病気にとって良い物,あるいは,病人の服用する薬などに対して害をなす物となさない物.害をなせばQinmot(禁物)と言い,なさなければCo<mot(好物)と言う.→Co<but;Qinco<mot;Qinmot.〔邦訳145r〕
かう-ぶつ〔名〕【好物】(一)好(この)む物(もの)。「好物の酒」(二)すき。このみ。〔347-4〕
所望(マウ) 。〔元亀二年本309七〕
所望 。〔静嘉堂本361六〕
同擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔至徳三年本〕
擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減一劑欲令服此條尤本望也〔宝徳三年本〕
同者擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔建部傳内本〕
同擣畫(タウシ)合藥(ヤク)瀉藥(シヤヤク)補(ホ)藥等任テ二本方ニ一以テ二名醫ノ加減ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一欲スレレ服(ブク)せントレ此条尤本望也〔山田俊雄藏本〕
同クハ擣畫(タウシ)合藥瀉藥(シヤ )任せ二本方ニ一以テ二名醫(メイイ)加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一欲レ令ントレ服二此ノ藥ヲ一条尤本望也〔経覺筆本〕
同擣篩(タウシ)合(ガウ)藥瀉藥(シヤヤク)補藥(ホヤク)等(トウ)任(マカせ)二本方(ホンホウ)ニ一以テ二名醫ノ加減( ケン)ヲ一合テ二一劑(サイ)ヲ一欲(ホツ)スレ令(せシメン)トレ服(ブク)シレ此条尤本ノ望也〔文明四年本〕※擣畫(タウシ)。一劑( サイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「本望」と表記し、訓みは文明四年本に「(モト)ノ(ノゾミ)」と記載する。
所望(シヨマウ・ノゾミ/トコロ、ノゾム)[上・平] 。〔態藝門932七〕
本望(ホンマウ・ノゾミ/モト、ノゾム)[上・平去] 。〔態藝門101三〕
所望(シヨマウ) ―行(ギヤウ)。―職(シヨク)。―為(イ)。―課(クワ)。―勘(カン)。―務(ム)年貢。―帯(タイ)。―領(リヤウ)。―役(ヤク)。―當(タウ)。―労(ラウ)。―作(サク)。―詮(せン)。〔弘・言語進退門245二〕
所職(シヨシヨク) ―行。―為。―課。―望。―勘。―領。―務(ム)。―役。―當。―労。―詮。―帯。―作。〔永・言語門210四〕
所職(シヨシヨク) ―行。―為。―課。―務。―役。―労。―望。―勘。―領。―當。―詮。―帯。―作。―持。―存。―用。〔堯・言語門194四・五〕
本望(ホンマウ) 遂―。〔弘・言語進退33七〕
本末(ホンマツ) ―意(ホンイ)。―系モトヲツク。―来(ライ)。―復(フク)。―懐(クワイ)。―性(シヤウ)。―跡(せキ)。―所。―領(リヤウ)。―体(タイ)。―様。―望(マウ)。―分(フン)。―訴(ソ)。―券(ケン)。〔永・言語門35一〕
本末(ホンマツ) ―意。―系。―来。―復。―懐。―性。―跡。―所。―願。―体。―様。―望。―分。―訴。―地。〔堯・言語門31九〕
本望(ホンマウ) 。〔両・言語門38八〕
所得(シヨトク) ―謂(イ)。―詮(せン)。―犯(ホン)。―知(チ)。―役(ヤク)。―作(サ)。―願(グワン)。―辨(ベン)。―用(ヨウ)。―縁(エン)。―期(ゴ)。―領(リヤウ)。―職(シヨク)。―望(マウ)。―爲(井)。―帶(タイ)。―學(ガク)。―存(ゾン)。〔言語門214四・天理図書館蔵40オ四〕
本望(ホンマウ) 。〔言語門32二・天理図書館蔵上16ウ二〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』・印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・両足院本『節用集』・易林本『節用集』に標記語「所望」「本望」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。ここで、『運歩色葉集』だけが標記語「本望」の語を未収載としていることは、重要な意味を有しているといえよう。すなわち、『運歩色葉集』編者は古写本『庭訓徃來』を編纂の過程で直接引用していないという事実である。この点について今後、その証例の語彙をまとめて報告したい。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「所望」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷風(シヤウフウ)虚勞(キヨラウ)等(トウ)者(ハ)無(ブ)才覚候。同者擣畫(タウシノ)合藥補(ホ)藥等任せ二本(ホン)方ニ一、以テ二名醫(メイイ)加減(カゲン)ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一、欲スレ令ントレ服(ブク)せレ此条、尤所望(マウ)也傷風ハ風ニ傷(ヤフレ)熱兎自汗(カン)出(イツル)ヲ云也。〔下37オ六〜37ウ一〕
此(この)条(でう)尤(もつとも)本望(ほんもう)也/此条尤本望也 。定りたる本方に名医は加減したる薬を用ひん事願ひのそむ所なりとそ。〔94オ五・六〕
とあって、この標記語「所望」「本望」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
同(おなじ)く者(ハ)擣畫(たうし)の合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)本方(ほんぱう)に任(まか)せ名醫(めいい)の加減(かげんを)を以(もつて)一劑(いちさいを)を合(あハ)し之(これ)を服(ふく)せ令(し)めんと欲(ほつ)す此(この)條(でう)尤(もつとも)本望(ほんまう)也(なり)。/同者ハ擣畫合藥瀉藥補藥等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑ヲ一、欲レ令レ服レ之條、尤モ本望也。〔69ウ五〕
同(おなしく)者(ハ)擣篩(たうしの)合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)任(まかせ)二本方(ほんぱうに)一、以(もつて)二名醫(めいいの)ノ加減(かげんを)ヲ一合(あハし)二一劑(いちさいを)ヲ一、欲(ほつす)レ令(しめんと)レ服(ふくせ)レ之(これを)此(この)条(でう)尤(もつとも)モ本望(ほんまう)也(なり)。〔125オ三〕
Xomo<.シヨマウ(所望) Nozomu tocoro.(望む所)願望.§また,この語にMo<xi,su(申し,す),または,Tcucamatcuri,ru(仕り,る)が連接して,乞う,頼むという意.§Xomo< mo<su,l,Tcucamatcuritai cotoga aru.(所望申す,または,仕りたい事がある)私はあなたにお頼みしたい事がある.〔邦訳793r〕
Fonmo<.ホンマウ(本望) 願望.例,Fonmo<uo toguru,l,tassuru.(本望を遂ぐる,又は,達する)自分の望みを達する.⇒Soquai..〔邦訳260r〕
しョ-まう〔名〕【所望】又、そまう。のぞみ。このみ。注文。囑望。杜陽雜編(唐、蘇鶚)「禄位茅土、皆非レ所レ望」古今著聞集、十、相撲強力、頼朝、畠山重忠に「所望の事の候を、申出さんと思ふが」〔1017-3〕
ほん-まう〔名〕【本望】本來の希望。本心の望み。素志。素懷。宋書、劉粹傳「當二以レ法御一レ下、深思自警、以副二本望一」平家物語、一、鹿谷事「いかにしても平家を亡ぼし、本望を遂げん」〔1859-2〕
服(ブク) 重。〔元亀二年本228七〕
服(フク) 重(ヂウ)―。〔静嘉堂本261七〕
服(フク) 重―。〔天正十七年本中59ウ八〕
同擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔至徳三年本〕
擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減一劑欲令服此條尤本望也〔宝徳三年本〕
同者擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔建部傳内本〕
同擣畫(タウシ)合藥(ヤク)瀉藥(シヤヤク)補(ホ)藥等任テ二本方ニ一以テ二名醫ノ加減ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一欲スレレ服(ブク)せントレ此条尤本望也〔山田俊雄藏本〕
同クハ擣畫(タウシ)合藥瀉藥(シヤ )任せ二本方ニ一以テ二名醫(メイイ)加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一欲レ令ントレ服二此ノ藥ヲ一条尤本望也〔経覺筆本〕
同擣篩(タウシ)合(ガウ)藥瀉藥(シヤヤク)補藥(ホヤク)等(トウ)任(マカせ)二本方(ホンホウ)ニ一以テ二名醫ノ加減( ケン)ヲ一合テ二一劑(サイ)ヲ一欲(ホツ)スレ令(せシメン)トレ服(ブク)シレ此条尤本ノ望也〔文明四年本〕※擣畫(タウシ)。一劑( サイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「服」と表記し、訓みは文明四年本に「ブクし」と記載する。
服(フクスル)[入] 藥(クスリ)。衣(コロモ)。〔態藝門651七〕
服(ブクスル) 薬。〔弘・言語門181四〕
服(ブクスル) 薬。〔永・言語門150九〕
服(ブクス)レ 薬ヲ。〔堯・言語門140六〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』・印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・堯空本『節用集』に標記語「服」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「服」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷風(シヤウフウ)虚勞(キヨラウ)等(トウ)者(ハ)無(ブ)才覚候。同者擣畫(タウシノ)合藥補(ホ)藥等任せ二本(ホン)方ニ一、以テ二名醫(メイイ)加減(カゲン)ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一、欲スレ令ントレ服(ブク)せレ此条、尤所望(マウ)也傷風ハ風ニ傷(ヤフレ)熱兎自汗(カン)出(イツル)ヲ云也。〔下37オ六〜37ウ一〕
服(ふく)せ令(しめ)んと欲(ほつ)す/欲レ令レ服せ 服ハ薬を飲事也。〔94オ五〕
とあって、この標記語「服」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
同(おなじ)く者(ハ)擣畫(たうし)の合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)本方(ほんぱう)に任(まか)せ名醫(めいい)の加減(かげんを)を以(もつて)一劑(いちさいを)を合(あハ)し之(これ)を服(ふく)せ令(し)めんと欲(ほつ)す此(この)條(でう)尤(もつとも)本望(ほんまう)也(なり)。/同者ハ擣畫合藥瀉藥補藥等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑ヲ一、欲レ令レ服レ之條、尤モ本望也。〔69ウ五〕
同(おなしく)者(ハ)擣篩(たうしの)合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)任(まかせ)二本方(ほんぱうに)一、以(もつて)二名醫(めいいの)ノ加減(かげんを)ヲ一合(あハし)二一劑(いちさいを)ヲ一、欲(ほつす)レ令(しめんと)レ服(ふくせ)レ之(これを)此(この)条(でう)尤(もつとも)モ本望(ほんまう)也(なり)。〔125オ三〕
Bucu.ブク(服) 単独では用いられないで,必ずxi,suru(し,する)と共に用いられる.¶例,Bucusuru.(服する)食う.¶また,薬や茶(cha)を飲む.〔邦訳64l〕
ふく・す・スル・スレ・セ・シ・セヨ〔他動・左變〕【服】(一)附き從はしむ。孟子、公孫丑、上篇「以レ力服レ人者、非二心服一也、力不レ膽也、以レコ服レ人者、中心悦誠服也」「敵を服す」「天下を服す」(二)着る。(衣に)。孝經、卿大夫章「非二先王之法服一、不二敢服一」衣服令「當色以下、各兼得レ服レ之」(三)飲む。食ふ。ぶくす。〔1734-3〕
一劑(ザイ) 薬。〔元亀二年本19六〕〔静嘉堂本15三〕〔西來寺本30五〕
一劑(サイ) 薬。〔天正十七年本〕
同擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔至徳三年本〕
擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減一劑欲令服此條尤本望也〔宝徳三年本〕
同者擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔建部傳内本〕
同擣畫(タウシ)合藥(ヤク)瀉藥(シヤヤク)補(ホ)藥等任テ二本方ニ一以テ二名醫ノ加減ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一欲スレレ服(ブク)せントレ此条尤本望也〔山田俊雄藏本〕
同クハ擣畫(タウシ)合藥瀉藥(シヤ )任せ二本方ニ一以テ二名醫(メイイ)加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一欲レ令ントレ服二此ノ藥ヲ一条尤本望也〔経覺筆本〕
同擣篩(タウシ)合(ガウ)藥瀉藥(シヤヤク)補藥(ホヤク)等(トウ)任(マカせ)二本方(ホンホウ)ニ一以テ二名醫ノ加減( ケン)ヲ一合テ二一劑(サイ)ヲ一欲(ホツ)スレ令(せシメン)トレ服(ブク)シレ此条尤本ノ望也〔文明四年本〕※擣畫(タウシ)。一劑( サイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「一劑」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「(イチ)サイ」と記載する。
一劑(イチザイ/―、ワクル・キサム)[○・去] 藥。〔数量門12二〕
一劑(サイ) 薬。〔弘・言語数量門8一〕
一劑(ザイ) 。〔永・言語進退門5六〕
一位 ―種。〜―部始終。―劑。―擧。〜―笑。〔堯・言語門5六〕
一位 ―種。〜―部始終。―劑(サイ)。―擧。〜―落索(ラクサク)大K畫在之。〔両・言語門6六〕
一劑( ザイ) 薬合。〔数量門6六・天理図書館蔵上3ウ六〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に標記語「一劑」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「一劑」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷風(シヤウフウ)虚勞(キヨラウ)等(トウ)者(ハ)無(ブ)才覚候。同者擣畫(タウシノ)合藥補(ホ)藥等任せ二本(ホン)方ニ一、以テ二名醫(メイイ)加減(カゲン)ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一、欲スレ令ントレ服(ブク)せレ此条、尤所望(マウ)也傷風ハ風ニ傷(ヤフレ)熱兎自汗(カン)出(イツル)ヲ云也。〔下37オ六〜37ウ一〕
一劑(いちさいを)を合(あハ)せ/合二一劑ヲ一 剤ハ調合する事也。薬を合(あわ)するに何(なに)ハ何匁(なんもんめ)、何ハ何匁と定りたる目方の通り合せたるを一劑といふなり。〔94オ四、94オ四・五〕
とあって、この標記語「一劑」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
同(おなじ)く者(ハ)擣畫(たうし)の合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)本方(ほんぱう)に任(まか)せ名醫(めいい)の加減(かげんを)を以(もつて)一劑(いちさいを)を合(あハ)し之(これ)を服(ふく)せ令(し)めんと欲(ほつ)す此(この)條(でう)尤(もつとも)本望(ほんまう)也(なり)。/同者ハ擣畫合藥瀉藥補藥等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑ヲ一、欲レ令レ服レ之條、尤モ本望也。▲剤ハ調(とゝの)へ合(あハ)すの義。〔69ウ四、70オ一〕
同(おなしく)者(ハ)擣篩(たうしの)合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)任(まかせ)二本方(ほんぱうに)一、以(もつて)二名醫(めいいの)ノ加減(かげんを)ヲ一合(あハし)二一劑(いちさいを)ヲ一、欲(ほつす)レ令(しめんと)レ服(ふくせ)レ之(これを)此(この)条(でう)尤(もつとも)モ本望(ほんまう)也(なり)。▲剤ハ調(とゝの)へ合(あハ)すの義。〔125オ一、125ウ三〕
†Ichizai.イチザイ(一劑) この言い方によって,薬のある重さや分量を数える.〔邦訳329l〕
いち-ざい〔名〕【一劑】〔正字通、説文「劑、齊也」漢書、藝文志「百藥齊和」註「與レ劑同」〕種種の藥品を、定量に應じて、合せ製したるもの。典藥寮式「白散一劑、屠蘇散一劑」齋宮寮式「呉茱萸丸、芍藥丸、温白丸、各、一劑」〔1860-4〕
同擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔至徳三年本〕
擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減一劑欲令服此條尤本望也〔宝徳三年本〕
同者擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔建部傳内本〕
同擣畫(タウシ)合藥(ヤク)瀉藥(シヤヤク)補(ホ)藥等任テ二本方ニ一以テ二名醫ノ加減ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一欲スレレ服(ブク)せントレ此条尤本望也〔山田俊雄藏本〕
同クハ擣畫(タウシ)合藥瀉藥(シヤ )任せ二本方ニ一以テ二名醫(メイイ)加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一欲レ令ントレ服二此ノ藥ヲ一条尤本望也〔経覺筆本〕
同擣篩(タウシ)合(ガウ)藥瀉藥(シヤヤク)補藥(ホヤク)等(トウ)任(マカせ)二本方(ホンホウ)ニ一以テ二名醫ノ加減( ケン)ヲ一合テ二一劑(サイ)ヲ一欲(ホツ)スレ令(せシメン)トレ服(ブク)シレ此条尤本ノ望也〔文明四年本〕※擣畫(タウシ)。一劑( サイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「加減」と表記し、訓みは文明四年本に「カ(ケン)」と記載する。
加減(カゲン/クワエル、カン・ヲトル)[平・去] 藥。〔態藝門273三〕
加減( ゲン) 。〔弘・言語進退門87六〕
加護(カゴ) ―減。―級(キウ)亦?位義。―地子(ヂシ)。―持(ヂ)。―判(ハン)。―被。〔永・言語門82八〕
加護(カゴ) ―拭。―減。―級亦?位義。―地子。―増。―持。―判。―被。―薬。―勢。〔尭・言語門75三〕
加護(カゴ) ―減。―級?位義。―持。―判。―被。―勢。〔両・言語門90五〕
加減( ケン) 。〔言語門80五・天理図書館蔵上40ウ五〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に標記語「加減」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「加減」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷風(シヤウフウ)虚勞(キヨラウ)等(トウ)者(ハ)無(ブ)才覚候。同者擣畫(タウシノ)合藥補(ホ)藥等任せ二本(ホン)方ニ一、以テ二名醫(メイイ)加減(カゲン)ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一、欲スレ令ントレ服(ブク)せレ此条、尤所望(マウ)也傷風ハ風ニ傷(ヤフレ)熱兎自汗(カン)出(イツル)ヲ云也。〔下37オ六〜37ウ一〕
加減(かげん)/加減 虚分(きよぶん)を補(おきな)ひ益(ま)す薬なり。〔94オ一・二〕
とあって、この標記語「加減」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
同(おなじ)く者(ハ)擣畫(たうし)の合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)本方(ほんぱう)に任(まか)せ名醫(めいい)の加減(かげんを)を以(もつて)一劑(いちさいを)を合(あハ)し之(これ)を服(ふく)せ令(し)めんと欲(ほつ)す此(この)條(でう)尤(もつとも)本望(ほんまう)也(なり)。/同者ハ擣畫合藥瀉藥補藥等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑ヲ一、欲レ令レ服レ之條、尤モ本望也。▲加減ハ内の虚(きよ)したる所を補(おぎな)ひ益(ま)す薬。〔69ウ四、69ウ八〕
同(おなしく)者(ハ)擣篩(たうしの)合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)任(まかせ)二本方(ほんぱうに)一、以(もつて)二名醫(めいいの)ノ加減(かげんを)ヲ一合(あハし)二一劑(いちさいを)ヲ一、欲(ほつす)レ令(しめんと)レ服(ふくせ)レ之(これを)此(この)条(でう)尤(もつとも)モ本望(ほんまう)也(なり)▲加減ハ内の虚(きよ)したる所を補(おきな)ひ益(ま)す薬。〔125オ一、125ウ一・二〕
Caguen.カゲン(加減) 程よくととのえること.¶また,物事のよい取合わせ,または,程あいなどの意味に取られる.→Ambai.Cami(加味).〔邦訳78l〕
か-げん〔名〕【加減】(一)加はると、減ると。又、加ふると、減らすと。東坡集、「加二減秧馬一、曲二盡其用一」(二)ほどあひ。ぐあひ。あんばい。調子。狂言記、禰宜山伏「荼、云云、良いかげんにして進ぜられ」「味を加減する」(三)病気の容子。あんばい。「かげんがよい」かげんがわるい」〔1-609-2〕
名醫(イ) 。〔元亀二年本296五〕〔静嘉堂本344六〕
同擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔至徳三年本〕
擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減一劑欲令服此條尤本望也〔宝徳三年本〕
同者擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔建部傳内本〕
同擣畫(タウシ)合藥(ヤク)瀉藥(シヤヤク)補(ホ)藥等任テ二本方ニ一以テ二名醫ノ加減ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一欲スレレ服(ブク)せントレ此条尤本望也〔山田俊雄藏本〕
同クハ擣畫(タウシ)合藥瀉藥(シヤ )任せ二本方ニ一以テ二名醫(メイイ)加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一欲レ令ントレ服二此ノ藥ヲ一条尤本望也〔経覺筆本〕
同擣篩(タウシ)合(ガウ)藥瀉藥(シヤヤク)補藥(ホヤク)等(トウ)任(マカせ)二本方(ホンホウ)ニ一以テ二名醫ノ加減( ケン)ヲ一合テ二一劑(サイ)ヲ一欲(ホツ)スレ令(せシメン)トレ服(ブク)シレ此条尤本ノ望也〔文明四年本〕※擣畫(タウシ)。一劑( サイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「名醫」と表記し、訓みは経覺筆本に「メイイ」と記載する。
耆婆(ギバ) 天竺ノ阿闍(アジヤ)世王ノ之時ノ名醫(メイイ)ナリ 与ト二釋尊(シヤクソン)一同スレ時ヲ 即チ奈女ノ之子也 平生竊(ヒソカ)ニ持シテ二藥王樹ノ枝ヲ一照二見(テラシミ)テ人ノ之五臓ノ病根ヲ一醫スレ之ヲ 詳ニ見二耆婆経ニ一云々。〔人名門51一〕
名醫(メイイ/ナト、クスシ)[平・平] 。〔人倫門872一〕
扁鵲(ヘンジヤク) 周ノ末戦国ノ時ノ名醫(メイイ)也。〔永・人倫門37八〕
名僧( ソウ) ―人(ジン)。―童(ドウ)。―醫(イ)。―匠。〔人倫門195五・天理図書館蔵下30ウ五〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』・易林本『節用集』に標記語「名醫」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「名醫」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷風(シヤウフウ)虚勞(キヨラウ)等(トウ)者(ハ)無(ブ)才覚候。同者擣畫(タウシノ)合藥補(ホ)藥等任せ二本(ホン)方ニ一、以テ二名醫(メイイ)加減(カゲン)ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一、欲スレ令ントレ服(ブク)せレ此条、尤所望(マウ)也傷風ハ風ニ傷(ヤフレ)熱兎自汗(カン)出(イツル)ヲ云也。〔下37オ六〜37ウ一〕
名醫(めいい)の加減(かげんを)を以(もつて)一劑(いちさいを)を合(あハ)し之(これ)を服(ふく)せ令(し)めんと欲(ほつ)す/以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑ヲ一、欲レ令レ服レ之 加ハくわへ。減ハへらすと訓す。定りたる本方を其病症によりて或ハ薬種を加へ或ハへらすを加減と云。医術に通達せさる人の加減したるハかへつて害をなす事多きゆへ名医の加減といひし也。〔94オ二、94オ三・四〕
とあって、この標記語「名醫」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
同(おなじ)く者(ハ)擣畫(たうし)の合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)本方(ほんぱう)に任(まか)せ名醫(めいい)の加減(かげんを)を以(もつて)一劑(いちさいを)を合(あハ)し之(これ)を服(ふく)せ令(し)めんと欲(ほつ)す此(この)條(でう)尤(もつとも)本望(ほんまう)也(なり)。/同者ハ擣畫合藥瀉藥補藥等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑ヲ一、欲レ令レ服レ之條、尤モ本望也。〔69ウ四〕
同(おなしく)者(ハ)擣篩(たうしの)合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)任(まかせ)二本方(ほんぱうに)一、以(もつて)二名醫(めいいの)ノ加減(かげんを)ヲ一合(あハし)二一劑(いちさいを)ヲ一、欲(ほつす)レ令(しめんと)レ服(ふくせ)レ之(これを)此(この)条(でう)尤(もつとも)モ本望(ほんまう)也(なり)。〔125オ二・三〕
Mei-i.メイイ(名醫) Na aru cusuxi.(名ある医師)すなわち,Meijinno cusuxi.(名人の医師) 著名な医者.〔邦訳394r〕
めい-い〔名〕【名醫】名高き醫者。技術の、すぐれたる良き醫師。上醫。國手。漢書、杜延年傳「昭帝末寢レ疾、懲二天下名醫一」北史、許智藏傳「覽二醫方一、因而究極、時號二名醫一」源平盛衰記、十一、大臣所勞事「重盛が身佛體にあらず、名醫亦耆婆に及ぶべからず」〔1979-3〕
夲方(ハウ) 藥。〔元亀二年本43五〕〔天正十七年本上25オ一〕〔西來寺本〕
夲方 藥也。〔静嘉堂本48二〕
同擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔至徳三年本〕
擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減一劑欲令服此條尤本望也〔宝徳三年本〕
同者擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔建部傳内本〕
同擣畫(タウシ)合藥(ヤク)瀉藥(シヤヤク)補(ホ)藥等任テ二本方ニ一以テ二名醫ノ加減ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一欲スレレ服(ブク)せントレ此条尤本望也〔山田俊雄藏本〕
同クハ擣畫(タウシ)合藥瀉藥(シヤ )任せ二本方ニ一以テ二名醫(メイイ)加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一欲レ令ントレ服二此ノ藥ヲ一条尤本望也〔経覺筆本〕
同擣篩(タウシ)合(ガウ)藥瀉藥(シヤヤク)補藥(ホヤク)等(トウ)任(マカせ)二本方(ホンホウ)ニ一以テ二名醫ノ加減( ケン)ヲ一合テ二一劑(サイ)ヲ一欲(ホツ)スレ令(せシメン)トレ服(ブク)シレ此条尤本ノ望也〔文明四年本〕※擣畫(タウシ)。一劑( サイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・経覺筆本・山田俊雄藏本・文明四年本には、「本方」と表記し、訓みは文明四年本に「ホンホウ」と記載する。
本方(ホンハウ/モト、ミチ・カタ)[上・平] 藥。〔態藝門962二〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』に標記語「本方」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「本方」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷風(シヤウフウ)虚勞(キヨラウ)等(トウ)者(ハ)無(ブ)才覚候。同者擣畫(タウシノ)合藥補(ホ)藥等任せ二本(ホン)方ニ一、以テ二名醫(メイイ)加減(カゲン)ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一、欲スレ令ントレ服(ブク)せレ此条、尤所望(マウ)也傷風ハ風ニ傷(ヤフレ)熱兎自汗(カン)出(イツル)ヲ云也。〔下37オ六〜37ウ一〕
本方(ほんぱう)に任(まか)せ/任せ二本方ニ一 本方ハ定めある個人その法なり。〔94オ二〕
とあって、この標記語「本方」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
同(おなじ)く者(ハ)擣畫(たうし)の合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)本方(ほんぱう)に任(まか)せ名醫(めいい)の加減(かげんを)を以(もつて)一劑(いちさいを)を合(あハ)し之(これ)を服(ふく)せ令(し)めんと欲(ほつ)す此(この)條(でう)尤(もつとも)本望(ほんまう)也(なり)。/同者ハ擣畫合藥瀉藥補藥等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑ヲ一、欲レ令レ服レ之條、尤モ本望也。▲本方ハ古人(こじん)の定(さだ)め置(おか)れたる組合(くミあハ)せの薬方(はう)也。〔69ウ四、69ウ八〜70オ一〕
同(おなしく)者(ハ)擣篩(たうしの)合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)任(まかせ)二本方(ほんぱうに)一、以(もつて)二名醫(めいいの)ノ加減(かげんを)ヲ一合(あハし)二一劑(いちさいを)ヲ一、欲(ほつす)レ令(しめんと)レ服(ふくせ)レ之(これを)此(この)条(でう)尤(もつとも)モ本望(ほんまう)也(なり)▲本方ハ古人(こじん)の定(さだ)め置(おか)れたる組合(くミあハ)せの薬方(やくはう)也。〔125オ二、125ウ二〕
Fonpo>.ホンハウ(本方) 何かの病気に関して,ある著名な医師たちが書き残している養生法,あるいは,処方.¶Cusurino fonqo>(薬の本方)昔の書物に書いてある,或る薬の処方,すなわち,調合法.〔邦訳261l〕
ほん-ぱう〔名〕【本方】漢方醫術にて、古へより定まりたる調劑の方。庭訓徃來、十一月「瀉藥補藥者、任二本方一、以二名醫加減一、合二一劑一」〔1856-4〕
同擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔至徳三年本〕
擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減一劑欲令服此條尤本望也〔宝徳三年本〕
同者擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔建部傳内本〕
同擣畫(タウシ)合藥(ヤク)瀉藥(シヤヤク)補(ホ)藥等任テ二本方ニ一以テ二名醫ノ加減ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一欲スレレ服(ブク)せントレ此条尤本望也〔山田俊雄藏本〕
同クハ擣畫(タウシ)合藥瀉藥(シヤ )任せ二本方ニ一以テ二名醫(メイイ)加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一欲レ令ントレ服二此ノ藥ヲ一条尤本望也〔経覺筆本〕
同擣篩(タウシ)合(ガウ)藥瀉藥(シヤヤク)補藥(ホヤク)等(トウ)任(マカせ)二本方(ホンホウ)ニ一以テ二名醫ノ加減( ケン)ヲ一合テ二一劑(サイ)ヲ一欲(ホツ)スレ令(せシメン)トレ服(ブク)シレ此条尤本ノ望也〔文明四年本〕※擣畫(タウシ)。一劑( サイ)。
と見え、経覺筆本は未収載で、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・文明四年本には、「補藥」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「ホ(ヤク)」、文明四年本に「ホヤク」と記載する。
補藥(ホヤク) 。〔食服門31四・天理図書館蔵上16オ四〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に標記語「補藥」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「補藥」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷風(シヤウフウ)虚勞(キヨラウ)等(トウ)者(ハ)無(ブ)才覚候。同者擣畫(タウシノ)合藥補(ホ)藥等任せ二本(ホン)方ニ一、以テ二名醫(メイイ)加減(カゲン)ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一、欲スレ令ントレ服(ブク)せレ此条、尤所望(マウ)也傷風ハ風ニ傷(ヤフレ)熱兎自汗(カン)出(イツル)ヲ云也。〔下37オ六〜37ウ一〕
補藥(ほやく)/補藥 虚分(きよぶん)を補(おきな)ひ益(ま)す薬なり。〔94オ一・二〕
とあって、この標記語「補藥」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
同(おなじ)く者(ハ)擣畫(たうし)の合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)本方(ほんぱう)に任(まか)せ名醫(めいい)の加減(かげんを)を以(もつて)一劑(いちさいを)を合(あハ)し之(これ)を服(ふく)せ令(し)めんと欲(ほつ)す此(この)條(でう)尤(もつとも)本望(ほんまう)也(なり)。/同者ハ擣畫合藥瀉藥補藥等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑ヲ一、欲レ令レ服レ之條、尤モ本望也。▲補藥ハ内の虚(きよ)したる所を補(おぎな)ひ益(ま)す薬。〔69ウ四、69ウ八〕
同(おなしく)者(ハ)擣篩(たうしの)合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)任(まかせ)二本方(ほんぱうに)一、以(もつて)二名醫(めいいの)ノ加減(かげんを)ヲ一合(あハし)二一劑(いちさいを)ヲ一、欲(ほつす)レ令(しめんと)レ服(ふくせ)レ之(これを)此(この)条(でう)尤(もつとも)モ本望(ほんまう)也(なり)▲補藥ハ内の虚(きよ)したる所を補(おきな)ひ益(ま)す薬。〔125オ一、125ウ一・二〕
Foyacu.ホヤク(補藥) Voguino> cusuri.(補ふ薬).舎利別〔シロップ〕などのような,少しずつ徐々に配合していく薬.¶また,体力を回復させたり,活気を与えたりする薬.〔邦訳267r〕
ほ-やく〔名〕【補藥】おぎなひぐすり(補藥)に同じ。庭訓徃來、十一月「瀉藥、補藥者、任二本方一、以二名醫加減一、合二一劑一」花月草紙(文政、松平定信)三「補藥とても、草根。木皮もて、天受のかけたるは更なり、うちのやぶれしをもいかで補ふべき」」〔1860-4〕
瀉藥(ヤク) 。〔元亀二年本316五〕
瀉藥(シヤヤク) 。〔静嘉堂本371六〕
同擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔至徳三年本〕
擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減一劑欲令服此條尤本望也〔宝徳三年本〕
同者擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔建部傳内本〕
同擣畫(タウシ)合藥(ヤク)瀉藥(シヤヤク)補(ホ)藥等任テ二本方ニ一以テ二名醫ノ加減ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一欲スレレ服(ブク)せントレ此条尤本望也〔山田俊雄藏本〕
同クハ擣畫(タウシ)合藥瀉藥(シヤ )任せ二本方ニ一以テ二名醫(メイイ)加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一欲レ令ントレ服二此ノ藥ヲ一条尤本望也〔経覺筆本〕
同擣篩(タウシ)合(ガウ)藥瀉藥(シヤヤク)補藥(ホヤク)等(トウ)任(マカせ)二本方(ホンホウ)ニ一以テ二名醫ノ加減( ケン)ヲ一合テ二一劑(サイ)ヲ一欲(ホツ)スレ令(せシメン)トレ服(ブク)シレ此条尤本ノ望也〔文明四年本〕※擣畫(タウシ)。一劑( サイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「瀉藥」と表記し、訓みは経覺筆本に「シヤ(ヤク)」、山田俊雄藏本・文明四年本に「シヤヤク」と記載する。
瀉藥(シヤヤク/ソヽク、クスリ)[上・入] 。〔態藝門962二〕
瀉藥(シヤヤク) 。〔食服門208五・天理図書館蔵下37オ五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「瀉藥」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「瀉藥」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷風(シヤウフウ)虚勞(キヨラウ)等(トウ)者(ハ)無(ブ)才覚候。同者擣畫(タウシノ)合藥補(ホ)藥等任せ二本(ホン)方ニ一、以テ二名醫(メイイ)加減(カゲン)ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一、欲スレ令ントレ服(ブク)せレ此条、尤所望(マウ)也傷風ハ風ニ傷(ヤフレ)熱兎自汗(カン)出(イツル)ヲ云也。〔下37オ六〜37ウ一〕
瀉藥(しややく)/瀉藥 くたし薬也。〔94オ一〕
とあって、この標記語「瀉藥」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
同(おなじ)く者(ハ)擣畫(たうし)の合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)本方(ほんぱう)に任(まか)せ名醫(めいい)の加減(かげんを)を以(もつて)一劑(いちさいを)を合(あハ)し之(これ)を服(ふく)せ令(し)めんと欲(ほつ)す此(この)條(でう)尤(もつとも)本望(ほんまう)也(なり)。/同者ハ擣畫合藥瀉藥補藥等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑ヲ一、欲レ令レ服レ之條、尤モ本望也。▲瀉藥ハ病(やまひ)の実(しつ)したるを瀉藥ハ病(やまひ)の実(しつ)したるを泄(も)らす薬。〔69オ三、69ウ八〕
同(おなしく)者(ハ)擣篩(たうしの)合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)任(まかせ)二本方(ほんぱうに)一、以(もつて)二名醫(めいいの)ノ加減(かげんを)ヲ一合(あハし)二一劑(いちさいを)ヲ一、欲(ほつす)レ令(しめんと)レ服(ふくせ)レ之(これを)此(この)条(でう)尤(もつとも)モ本望(ほんまう)也(なり)▲瀉藥ハ病(やまひ)の実(じつ)したるを泄(も)らす薬。〔125オ一、125ウ一・二〕
Xayacu.シャヤク(瀉藥) 下剤,すなわち,悪い物を排泄させる薬.〔邦訳743r〕
合藥 。〔元亀二年本63九〕
合藥 。〔静嘉堂本74二〕〔天正十七年本上37オ八〕
同擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔至徳三年本〕
擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減一劑欲令服此條尤本望也〔宝徳三年本〕
同者擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔建部傳内本〕
同擣畫(タウシ)合藥(ヤク)瀉藥(シヤヤク)補(ホ)藥等任テ二本方ニ一以テ二名醫ノ加減ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一欲スレレ服(ブク)せントレ此条尤本望也〔山田俊雄藏本〕
同クハ擣畫(タウシ)合藥瀉藥(シヤ )任せ二本方ニ一以テ二名醫(メイイ)加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一欲レ令ントレ服二此ノ藥ヲ一条尤本望也〔経覺筆本〕
同擣篩(タウシ)合(ガウ)藥瀉藥(シヤヤク)補藥(ホヤク)等(トウ)任(マカせ)二本方(ホンホウ)ニ一以テ二名醫ノ加減( ケン)ヲ一合テ二一劑(サイ)ヲ一欲(ホツ)スレ令(せシメン)トレ服(ブク)シレ此条尤本ノ望也〔文明四年本〕※擣畫(タウシ)。一劑( サイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「合藥」と表記し、訓みは文明四年本に「寮」と記載する。
合藥 醫方部/カウ(フ)ヤク。〔黒川本・畳字門上87ウ六〕
合離 〃戰。〃藥。〃眼。〃文。〃掌。〃毓阿弥陀佛等也。〃宿。〃聟。〃子。〃夕。〃力。〔卷第三・畳字門273五〕
このように、三卷本『色葉字類抄』(1177-81年)と十巻本『伊呂波字類抄』に見えるほかは上記当代の古辞書においては、標記語「合藥」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「合藥」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷風(シヤウフウ)虚勞(キヨラウ)等(トウ)者(ハ)無(ブ)才覚候。同者擣畫(タウシノ)合藥補(ホ)藥等任せ二本(ホン)方ニ一、以テ二名醫(メイイ)加減(カゲン)ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一、欲スレ令ントレ服(ブク)せレ此条、尤所望(マウ)也傷風ハ風ニ傷(ヤフレ)熱兎自汗(カン)出(イツル)ヲ云也。〔下37オ六〜37ウ一〕
擣畫(たうし)の合藥(がふやく)/擣畫ノ合藥 擣ハ臼(うす)にてつく事。畫ハ篩(ふるい)にてふるふ事也。合ハ調合(てうかう)なり。是ハ調合したる粉薬(こくすり)を云也。〔93ウ八〜94オ一〕
とあって、この標記語「合藥」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
同(おなじ)く者(ハ)擣畫(たうし)の合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)本方(ほんぱう)に任(まか)せ名醫(めいい)の加減(かげんを)を以(もつて)一劑(いちさいを)を合(あハ)し之(これ)を服(ふく)せ令(し)めんと欲(ほつ)す此(この)條(でう)尤(もつとも)本望(ほんまう)也(なり)。/同者ハ擣畫合藥瀉藥補藥等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑ヲ一、欲レ令レ服レ之條、尤モ本望也。▲擣畫合薬ハ臼(うす)にて擣(つ)き篩(ふるい)にて篩(ふる)ひたる調合藥(あハせくすり)也。練藥(ねりやく)散(さん)薬の類(るい)なるべし。〔69オ三、69ウ七・八〕
同(おなしく)者(ハ)擣篩(たうしの)合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)任(まかせ)二本方(ほんぱうに)一、以(もつて)二名醫(めいいの)ノ加減(かげんを)ヲ一合(あハし)二一劑(いちさいを)ヲ一、欲(ほつす)レ令(しめんと)レ服(ふくせ)レ之(これを)此(この)条(でう)尤(もつとも)モ本望(ほんまう)也(なり)▲擣畫合薬ハ臼(うす)にて擣(つ)き篩(ふるひ)にて篩(ふる)ひたる調合藥(あハせくすり)也。練藥(ねりやく)散薬(さんやく)の類(るゐ)なるべし。〔125オ一、125ウ一〕
がう-やく〔名〕【合藥】あはせぐすり。くヮやく(火藥)の條を見よ。〔408-4〕
同擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔至徳三年本〕
擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減一劑欲令服此條尤本望也〔宝徳三年本〕
同者擣畫合藥瀉藥補藥等任本方以名醫加減合一劑欲令服此条尤本望也〔建部傳内本〕
同擣畫(タウシ)合藥(ヤク)瀉藥(シヤヤク)補(ホ)藥等任テ二本方ニ一以テ二名醫ノ加減ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一欲スレレ服(ブク)せントレ此条尤本望也〔山田俊雄藏本〕
同クハ擣畫(タウシ)合藥瀉藥(シヤ )任せ二本方ニ一以テ二名醫(メイイ)加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一欲レ令ントレ服二此ノ藥ヲ一条尤本望也〔経覺筆本〕
同擣篩(タウシ)合(ガウ)藥瀉藥(シヤヤク)補藥(ホヤク)等(トウ)任(マカせ)二本方(ホンホウ)ニ一以テ二名醫ノ加減( ケン)ヲ一合テ二一劑(サイ)ヲ一欲(ホツ)スレ令(せシメン)トレ服(ブク)シレ此条尤本ノ望也〔文明四年本〕※擣畫(タウシ)。一劑( サイ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本は、「擣畫」、文明四年本は、「擣篩」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「タウシ」と記載する。
擣畫(ウチフルフ)ツキ? タウシ/同(醫方部)。〔黒川本・畳字門中9ウ八〕
擣篩(タウシ)ウチフルウ 〃株。〔巻第四・畳字門448五〕
このように、三卷本『色葉字類抄』に収載する語だが上記当代の古辞書においては、標記語「擣篩」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「擣篩」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷風(シヤウフウ)虚勞(キヨラウ)等(トウ)者(ハ)無(ブ)才覚候。同者擣畫(タウシノ)合藥補(ホ)藥等任せ二本(ホン)方ニ一、以テ二名醫(メイイ)加減(カゲン)ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一、欲スレ令ントレ服(ブク)せレ此条、尤所望(マウ)也傷風ハ風ニ傷(ヤフレ)熱兎自汗(カン)出(イツル)ヲ云也。〔下37オ六〜37ウ一〕
擣畫(たうし)の合藥(がふやく)/擣畫ノ合藥 擣ハ臼(うす)にてつく事。畫ハ篩(ふるい)にてふるふ事也。合ハ調合(てうかう)なり。是ハ調合したる粉薬(こくすり)を云也。〔93ウ八〜94オ一〕
とあって、この標記語「擣畫」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
同(おなじ)く者(ハ)擣畫(たうし)の合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)本方(ほんぱう)に任(まか)せ名醫(めいい)の加減(かげんを)を以(もつて)一劑(いちさいを)を合(あハ)し之(これ)を服(ふく)せ令(し)めんと欲(ほつ)す此(この)條(でう)尤(もつとも)本望(ほんまう)也(なり)。/同者ハ擣畫合藥瀉藥補藥等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑ヲ一、欲レ令レ服レ之條、尤モ本望也。▲擣畫合薬ハ臼(うす)にて擣(つ)き篩(ふるい)にて篩(ふる)ひたる調合藥(あハせくすり)也。練藥(ねりやく)散(さん)薬の類(るい)なるべし。〔69オ三、69ウ七・八〕
同(おなしく)者(ハ)擣篩(たうしの)合藥(がふやく)瀉藥(しややく)補藥(ほやく)等(とう)任(まかせ)二本方(ほんぱうに)一、以(もつて)二名醫(めいいの)ノ加減(かげんを)ヲ一合(あハし)二一劑(いちさいを)ヲ一、欲(ほつす)レ令(しめんと)レ服(ふくせ)レ之(これを)此(この)条(でう)尤(もつとも)モ本望(ほんまう)也(なり)▲擣畫合薬ハ臼(うす)にて擣(つ)き篩(ふるひ)にて篩(ふる)ひたる調合藥(あハせくすり)也。練藥(ねりやく)散薬(さんやく)の類(るゐ)なるべし。〔125オ一、125ウ一〕
才覚(サイカク) 。〔元亀二年本269一〕〔静嘉堂本306四〕
癲狂癩病傷寒傷風虚身等者無才覚候〔至徳三年本〕
癲狂癩病傷寒傷風虚勞等者無才覺候〔宝徳三年本〕
癲狂(てんきやう)癩病傷寒傷風虚身等無才覚候〔建部傳内本〕
癲狂(テンカウ)癩(ライ)病傷(シヤウ)風傷寒(シヤウカン)虚勞等者無二才覚一候〔山田俊雄藏本〕
癲(テン)狂癩(ライ)病傷寒傷風虚勞等者(ハ)无ク二才覚一候〔経覺筆本〕
癲狂(テンキヤウ)癩(ライ)病傷寒(シヤウカン)傷風(シヤウフウ)虚労(キヨラウ)等(トウ)無(ナク)二才覚(サイカク)一候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「無才覚」と表記し、訓みは文明四年本に「サイカクなく」と記載する。
才覺(サイカク・サムル/シワザ、サトル・ヲホユル)[平・入] 。〔態藝門787一〕
才覚(サイカク) 。〔弘・言語進退門214二〕
才覚(サイカク) ―斈(ガク)。〔永・言語門178四〕
才覚(サイカク) ―学。〔堯・言語門167五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「才覚」の語は収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「无二才覚一」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷風(シヤウフウ)虚勞(キヨラウ)等(トウ)者(ハ)無(ブ)才覚候。同者擣畫(タウシノ)合藥補(ホ)藥等任せ二本(ホン)方ニ一、以テ二名醫(メイイ)加減(カゲン)ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一、欲スレ令ントレ服(ブク)せレ此条、尤所望(マウ)也傷風ハ風ニ傷(ヤフレ)熱兎自汗(カン)出(イツル)ヲ云也。〔下37オ六〜37ウ一〕
虚勞(きよらう)等(とう)者(ハ)才覚(さいかく)無(なく)候/虚勞等者無二才覚一候 。こゝに云こゝろハ我所近辺にある医者ハ御気より膜まて病症(ひやうしやう)をハ少しハ尋たれとも癲狂より虚労まての疾病の事ハ知りたる者なしと也。〔93ウ六〜八〕
とあって、この標記語「無才覚」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
癲狂(てんきやう)癩病(らいびやう)傷寒(しやうかん)傷風(しやうふう)虚勞(きよらう)等(とう)者(ハ)才覚(さいかく)無(なく)候(さふら)ふ。/癲狂癩病傷寒傷風虚勞等者無ク二才覚一候フ。〔69オ四〕
癲狂(てんきやう)癩病(らいびやう)傷寒(しやうかん)傷風(しやうふう)虚勞(きよらう)等(とう)者(ハ)無(なく)二才覚(さいかく)一候(さふらふ)フ。〔124オ三・四〕
Busaicacu.ブサイカク(無才覚) 物事に関して才知や注意が足りないこと.〔邦訳67l〕
さい-かく〔名〕【才覚】〔ざえ(才)の條を見よ〕ざえのおぼえ。學問のさとり。文學の力。~皇正統記、後醍醐「白河の御時、修理大夫顯季と云ひし人、云云、參議を申しけるに、院の仰に、それも、物書きて上の事とありければ、理に伏して止みぬ。云云、和漢の才覺の足らぬにぞありけむ」〔3-407-2〕
さい-かく〔名〕【才覚】〔前條の語の轉〕(一)才(さい)の機轉(はたらき)。機智。七十一番職人歌合(文安)五十七番
庖丁師、判詞「左歌、庖丁には、魚も、鳥も、いくらも、寄せありぬべきを、二首ながら、鯉も詠(よ)める、才覺なきに似たり」鷹筑波集(寛永)「二道かくる、人のさいかく」(二)工夫して、索(もと)むること。工面(くめん)。算段(さんだん)。經營。狂言記、鱸包丁「方方、さいかく致して、淀一番の鯉を求めまして」西織留(貞享)「損銀、仇銀、年年積(つも)りて、才覺の花も散り」〔3-407-3〕
× 。〔元亀二年本は脱落語〕
虚労(キヨラウ) 。〔静嘉堂本326四〕
癲狂癩病傷寒傷風虚身等者無才覚候〔至徳三年本〕
癲狂癩病傷寒傷風虚勞等者無才覺候〔宝徳三年本〕
癲狂(てんきやう)癩病傷寒傷風虚身等無才覚候〔建部傳内本〕
癲狂(テンカウ)癩(ライ)病傷(シヤウ)風傷寒(シヤウカン)虚勞等者無二才覚一候〔山田俊雄藏本〕
癲(テン)狂癩(ライ)病傷寒傷風虚勞等者(ハ)无ク二才覚一候〔経覺筆本〕
癲狂(テンキヤウ)癩(ライ)病傷寒(シヤウカン)傷風(シヤウフウ)虚労(キヨラウ)等(トウ)無(ナク)二才覚(サイカク)一候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・建部傳内本は「虚身」、宝徳三年本・・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「虚勞」と表記し、訓みは文明四年本に「キヨラウ」と記載する。
衍勞(キヨラウ/ムナシ、ツカルヽ・イタワル)[平・平] 。〔態藝門842七〕
虚労(キヨラウ) 。〔永・支体門183二〕〔堯・支体門172五〕
虚勞(キヨラウ) 。〔支體門186四・天理図書館蔵下26オ四〕
このように、上記当代の古辞書においては、古写本至徳三年本・建部傳内本に見える標記語「虚身」の語は未収載にあるが、他古写本の標記語「虚勞」の語では収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「虚勞」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷風(シヤウフウ)虚勞(キヨラウ)等(トウ)者(ハ)無(ブ)才覚候。同者擣畫(タウシノ)合藥補(ホ)藥等任せ二本(ホン)方ニ一、以テ二名醫(メイイ)加減(カゲン)ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一、欲スレ令ントレ服(ブク)せレ此条、尤所望(マウ)也傷風ハ風ニ傷(ヤフレ)熱兎自汗(カン)出(イツル)ヲ云也。〔下37オ六〜37ウ一〕
虚勞(シヤウフウ)/虚勞 也。〔93オ七〕
とあって、この標記語「虚勞」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
癲狂(てんきやう)癩病(らいびやう)傷寒(しやうかん)傷風(しやうふう)虚勞(きよらう)等(とう)者(ハ)才覚(さいかく)無(なく)候(さふら)ふ。/癲狂癩病傷寒傷風虚勞等者無ク二才覚一候フ。〔69オ三〕
癲狂(てんきやう)癩病(らいびやう)傷寒(しやうかん)傷風(しやうふう)虚勞(きよらう)等(とう)者(ハ)無(なく)二才覚(さいかく)一候(さふらふ)フ。〔124オ二〕
Qioro>.キヨラウ(虚勞) Munaxu< tcucaruru.(虚しう労るる)疲労すると,元気や活気がなくなるとかする病気.※Qioro<(キョラゥ)の誤り.〔邦訳503l〕
きょ-らう〔名〕【虚勞】病に因りて、精力の衰へ、身體の疲るること。庭訓徃來、十一月「心氣、腹病、虚勞」〔505-2〕
傷風(フウ) 。〔元亀二年本309十〕
傷風 。〔静嘉堂本362二〕
癲狂癩病傷寒傷風虚身等者無才覚候〔至徳三年本〕
癲狂癩病傷寒傷風虚勞等者無才覺候〔宝徳三年本〕
癲狂(てんきやう)癩病傷寒傷風虚身等無才覚候〔建部傳内本〕
癲狂(テンカウ)癩(ライ)病傷(シヤウ)風傷寒(シヤウカン)虚勞等者無二才覚一候〔山田俊雄藏本〕
癲(テン)狂癩(ライ)病傷寒傷風虚勞等者(ハ)无ク二才覚一候〔経覺筆本〕
癲狂(テンキヤウ)癩(ライ)病傷寒(シヤウカン)傷風(シヤウフウ)虚労(キヨラウ)等(トウ)無(ナク)二才覚(サイカク)一候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「傷風」と表記し、訓みは文明四年本に「寮」と記載する。
傷風(シヤウフウ/ヤブル、カぜ)[平・平] 。〔支體門923三〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』と『運歩色葉集』に標記語「傷風」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
712傷風(虚勞)等者无二才覚一候。同ハ擣篩(タウジ/ツキフルウ)合藥瀉藥補藥(ホ−)等任二本方ニ一、以テ二名醫ノ之加減ヲ一合二一劑(サイ)ヲ一、欲レ令レ服レ之条、尤モ所望也。禁ル好物ノ之註文、合食禁之日記、任二藥典ノ殿壁書ニ一可二写給一候。萬端難レ馳レ筆ヲ。併ラ期二面拝之時一候。恐々謹言〔謙堂文庫蔵六〇左E〕
とあって、標記語「傷風」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷風(シヤウフウ)虚勞(キヨラウ)等(トウ)者(ハ)無(ブ)才覚候。同者擣畫(タウシノ)合藥補(ホ)藥等任せ二本(ホン)方ニ一、以テ二名醫(メイイ)加減(カゲン)ヲ一合せ二一劑(ザイ)ヲ一、欲スレ令ントレ服(ブク)せレ此条、尤所望(マウ)也傷風ハ風ニ傷(ヤフレ)熱兎自汗(カン)出(イツル)ヲ云也。〔下37オ六〜37ウ一〕
傷風(シヤウフウ)/傷風 切疵(きりきづ)より風を受たる病也。破傷風(はしやうふう)といふ。〔93オ七〕
とあって、この標記語「傷風」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
癲狂(てんきやう)癩病(らいびやう)傷寒(しやうかん)傷風(しやうふう)虚勞(きよらう)等(とう)者(ハ)才覚(さいかく)無(なく)候(さふら)ふ。/癲狂癩病傷寒傷風虚勞等者無ク二才覚一候フ▲傷寒傷風ハ共にもと寒邪(かんじゃ)に傷(やぶ)られて發る。其寒気(かんき)肌肉(きにく)の間に伏(ふく)し夏(なつ)に至(いたつ)て変(へん)じて熱病(ねつびやう)と成。汗(あせ)なきを傷寒といひ、汗あるを傷風といふ。〔69オ四、69ウ二・三〕
癲狂(てんきやう)癩病(らいびやう)傷寒(しやうかん)傷風(しやうふう)虚勞(きよらう)等(とう)者(ハ)無(なく)二才覚(さいかく)一候(さふらふ)フ。傷寒傷風ハ共にもと寒邪(かんじゃ)に傷(やぶ)られて發る。其寒気肌肉(きにく)の間に伏(ふく)し夏(なつ)に至て変(へん)して熱病(ねつびやう)と成。汗(あせ)なきを傷寒といひ、汗あるを傷風といふ。〔124オ三、124ウ六〜125オ一〕
Xo<fu<.シャゥフゥ(傷風) Cajeni yabururu.(風に傷るる)風がもとで起こる病気.〔邦訳790r〕
癲狂癩病傷寒傷風虚身等者無才覚候〔至徳三年本〕
癲狂癩病傷寒傷風虚勞等者無才覺候〔宝徳三年本〕
癲狂(てんきやう)癩病傷寒傷風虚身等無才覚候〔建部傳内本〕
癲狂(テンカウ)癩(ライ)病傷(シヤウ)風傷寒(シヤウカン)虚勞等者無二才覚一候〔山田俊雄藏本〕
癲(テン)狂癩(ライ)病傷寒傷風虚勞等者(ハ)无ク二才覚一候〔経覺筆本〕
癲狂(テンキヤウ)癩(ライ)病傷寒(シヤウカン)傷風(シヤウフウ)虚労(キヨラウ)等(トウ)無(ナク)二才覚(サイカク)一候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「傷寒」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・文明四年本に「シヤウカン」と記載する。
このように、当代の古辞書においては、広本『節用集』に標記語「傷寒」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
711諠病(コ/キヤ)咳病(ガイ―)疾齒(ヤミハ)膜(マケ)等者如レ形見知候歟。癲狂(テンカウ)癩病(ライ―)傷寒 過ルヲ二三日ニ一傷寒(カン)ト云。〔謙堂文庫蔵六〇左C〕
とあって、標記語「傷寒」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
傷寒(シヤウカン)ハ。寒ニ傷(ヤブラ)レ熱(ネツ)兎汗(アせ)不ルヲレ出テヲ云。〔下37オ六〕
傷寒(しやうかん)/傷寒 つよく寒気を受けたる病なり。〔93ウ五〕
とあって、この標記語「傷寒」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
癲狂(てんきやう)癩病(らいびやう)傷寒(しやうかん)傷風(しやうふう)虚勞(きよらう)等(とう)者(ハ)才覚(さいかく)無(なく)候(さふら)ふ。/癲狂癩病傷寒傷風虚勞等者無ク二才覚一候フ。▲傷寒傷風ハ共にもと寒邪(かんじゃ)に傷(やぶ)られて發る。其寒気(かんき)肌肉(きにく)の間に伏(ふく)し夏(なつ)に至(いたつ)て変(へん)じて熱病(ねつびやう)と成。汗(あせ)なきを傷寒といひ、汗あるを傷風といふ。〔69オ四、69ウ二・三〕
癲狂(てんきやう)癩病(らいびやう)傷寒(しやうかん)傷風(しやうふう)虚勞(きよらう)等(とう)者(ハ)無(なく)二才覚(さいかく)一候(さふらふ)フ。▲傷寒傷風ハ共にもと寒邪(かんじゃ)に傷(やぶ)られて發る。其寒気肌肉(きにく)の間に伏(ふく)し夏(なつ)に至て変(へん)して熱病(ねつびやう)と成。汗(あせ)なきを傷寒といひ、汗あるを傷風といふ。〔124オ三、124ウ六〜125オ一〕
しャう-かん〔名〕【傷寒】病の名、熱病の如くにして、重きもの。腸窒扶斯。「傷寒論」〔961-2〕
癩(ライ) 病也。〔元亀二年本174六〕〔天正十七年本中27オ三〕
癩 病也。〔静嘉堂本194三〕
癲狂癩病傷寒傷風虚身等者無才覚候〔至徳三年本〕
癲狂癩病傷寒傷風虚勞等者無才覺候〔宝徳三年本〕
癲狂(てんきやう)癩病傷寒傷風虚身等無才覚候〔建部傳内本〕
癲狂(テンカウ)癩(ライ)病傷(シヤウ)風傷寒(シヤウカン)虚勞等者無二才覚一候〔山田俊雄藏本〕
癲(テン)狂癩(ライ)病傷寒傷風虚勞等者(ハ)无ク二才覚一候〔経覺筆本〕
癲狂(テンキヤウ)癩(ライ)病傷寒(シヤウカン)傷風(シヤウフウ)虚労(キヨラウ)等(トウ)無(ナク)二才覚(サイカク)一候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「癩病」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「ライ(ビヤウ)」と記載する。
癩病(ライビヤウ/ハタケ、ヘイ・ヤマイ)[去・去] 。〔態藝門452四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「癩病」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
711諠病(コ/キヤ)咳病(ガイ―)疾齒(ヤミハ)膜(マケ)等者如レ形見知候歟。癲狂(テンカウ)癩病(ライ―)傷寒 過ルヲ二三日ニ一傷寒(カン)ト云。〔謙堂文庫蔵六〇左C〕
とあって、標記語「癩病」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
癩(ライ)病トハ。身損兎瘡(カサ)出デ五体(コタイ)チヾニ崩(クツル)ルナリ。崩(クズ)レテ後死スル也。〔下37オ五・六〕
癩病(らいびやう)/癩病 皮肉(ひにく)くさるゝわつらひなり。〔93ウ五〕
とあって、この標記語「癩病」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
癲狂(てんきやう)癩病(らいびやう)傷寒(しやうかん)傷風(しやうふう)虚勞(きよらう)等(とう)者(ハ)才覚(さいかく)無(なく)候(さふら)ふ。/癲狂癩病傷寒傷風虚勞等者無ク二才覚一候フ。▲。〔69オ三、69ウ二〕
癲狂(てんきやう)癩病(らいびやう)傷寒(しやうかん)傷風(しやうふう)虚勞(きよらう)等(とう)者(ハ)無(なく)二才覚(さいかく)一候(さふらふ)フ。▲癩病ハ原(もと)心血(しんけつ)の不足(ふそく)より發る目(め)眩(くるめ)き仆(たほ)れ神気(しんき)守(まも)らざるの病。〔124オ二、124ウ五〕
Raibio<.ライビャウ(癩病) すなわち,Cattaino yamai.(かつたゐの病)癩病.〔邦訳524l〕
らい-びャう〔名〕【癩病】古言。かたき。癩菌によりて起る傳染病にして、最も醜きもの。表皮に赤色の斑紋を生じ、痒きこと甚しく、乾きて白く、薄き痂(かさぶた)を生じ、眉毛、瞼毛等、脱落し、次第に深くして、後に全身腐爛す。ふくよし。かったゐ。なりんばう。どす。かはらもの。癩疾。天刑病。癩の條、參見せよ。増補下學集、上、二、支體門「癩病(ライビヤウ)」醫心方、三、第廿「凡癩病、皆是惡風及犯二觸忌害一得レ之、初覺二皮膚不仁一、或淫淫苦癢如二虫行一、云云」〔2105-4〕
癲狂(テンカウ) 。〔元亀二年本245六〕
癲狂(テンキヤウ) 。〔静嘉堂本283五〕
癲狂癩病傷寒傷風虚身等者無才覚候〔至徳三年本〕
癲狂癩病傷寒傷風虚勞等者無才覺候〔宝徳三年本〕
癲狂(てんきやう)癩病傷寒傷風虚身等無才覚候〔建部傳内本〕
癲狂(テンカウ)癩(ライ)病傷(シヤウ)風傷寒(シヤウカン)虚勞等者無二才覚一候〔山田俊雄藏本〕
癲(テン)狂癩(ライ)病傷寒傷風虚勞等者(ハ)无ク二才覚一候〔経覺筆本〕
癲狂(テンキヤウ)癩(ライ)病傷寒(シヤウカン)傷風(シヤウフウ)虚労(キヨラウ)等(トウ)無(ナク)二才覚(サイカク)一候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「癲狂」と表記し、訓みは建部傳内本に「てんきやう」、山田俊雄藏本に「テンカウ」、経覺筆本に「テン(キヤウ)」、文明四年本に「テンキヤウ」と記載する。
癲狂 醫方部/疾病分/テンク井ヤウ。〔黒川本・畳字門下18ウ三〕
癲狂(テンワウ) 。〔卷第七・畳字門247三〕
癲狂(テンキヤウ/クツチ、クルウ)[○・平] 。癲癇癲與腔二共病義。〔態藝門733四〕
癲狂(テンキヤウ) 。〔言辞門167一・天理図書館蔵一下16ウ一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「癲狂」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
711諠病(コ/キヤ)咳病(ガイ―)疾齒(ヤミハ)膜(マケ)等者如レ形見知候歟。癲狂(テンカウ)癩病(ライ―)傷寒 過ルヲ二三日ニ一傷寒(カン)ト云。〔謙堂文庫蔵六〇左C〕
とあって、標記語「癲狂」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
癲狂(テンキヤウ)ト云ハ。頓(ニハカ)ニ倒(タヲ)レ臥(フシ)テクツキ入ナリ。〔下37オ五〕
癲狂(てんかん)/癲狂 俄(にわか)に倒(たを)れ伏して絶入(たへいる)わつらひ也。〔93オ七〕
とあって、この標記語「癲狂」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
癲狂(てんきやう)癩病(らいびやう)傷寒(しやうかん)傷風(しやうふう)虚勞(きよらう)等(とう)者(ハ)才覚(さいかく)無(なく)候(さふら)ふ。/癲狂癩病傷寒傷風虚勞等者無ク二才覚一候フ。▲癲狂ハ原(もと)心血(しんけつ)の不足(ふそく)より發る目(め)眩(くるめ)き仆(たほ)れ神気(しんき)守(まも)らざるの病。〔69オ三、69ウ二〕
癲狂(てんきやう)癩病(らいびやう)傷寒(しやうかん)傷風(しやうふう)虚勞(きよらう)等(とう)者(ハ)無(なく)二才覚(さいかく)一候(さふらふ)フ。▲癲狂ハ原(もと)心血(しんけつ)の不足(ふそく)より發る目(め)眩(くるめ)き仆(たほ)れ神気(しんき)守(まも)らざるの病。〔124オ二、124ウ五〕
†Tengo<.テンカウ(癲狂) Cutcuchi(くつち)に同じ.癲癇.※別条Sanbio<(三病)の条では,クツチとテンガウとを区別して,後者は“癲癇”に似た別の病気としている.〔邦訳645l〕
てん-きャう〔名〕【癲狂】きちがひ。杜甫、寄漢中王詩「尚憐二詩警策一、猶憶二酒?狂一」元?詩、「?亭今日顛狂醉、舞引二紅娘一亂二打人一」〔3-488-3〕
此邊候輩者脚氣中風上氣頭風黄痢赤痢内痔内鹸癰丁腫物諠病咳病疾齒膜等者如形見知候黙〔至徳三年本〕
此邊候輩者脚氣中風上氣頭風荒痢赤痢内痔内消癰丁腫物諠病咳病疾齒膜等者如形見知候歟〔宝徳三年本〕
此邊候輩者脚氣中風上氣頭風荒痢赤痢内痔内催癰疔腫物諠病咳病疾齒膜等者如形見知候黙〔建部傳内本〕
此邊ニ候輩者ハ脚氣(カツケ)中風上氣(キ)頭風黄痢(クワウリ)赤痢(リ)内痔(ジ)内催(ヨウ)腫物癰疔(ヤウテウ)諠(ギヤク)ヲコリ病咳病疾齒(ムシクヒハ)膜(マケ)等者(ハ)如レ形ノ見知リ候〔山田俊雄藏本〕
此邊ニ候輩者ハ脚氣中風諠病(キヤヘイ)上氣頭(ツ)風荒痢赤痢内痔(チ)内催(せウ)癰丁ノ腫物(シユモツ)咳病(カイヘイ)病齒(ヤミハ)膜等者(ハ)如レ形ノ見知候歟〔経覺筆本〕
此邊ニ候輩(トモカラ)ハ脚氣(カツケ)中風(フ)上氣(キ)頭風(ヅフウ)黄痢(クワウリ)赤痢(シヤクリ)内痔(ナイチ)内催(ナイせウ)癰(ヨウ)丁(チヤフ)ノ腫物(シユモツ)諠病(キヤヘイ)咳病(カイヒヤウ)疾齒(ヤミハ)膜(マケ)等(トウ)者(ハ)如(コトク)レ形(カタ)ノ見知(ミシリ)候黙〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「見知」と表記し、訓みは文明四年本に「みしり」と記載する。
見知(ミシル/ケンチ)[去・平] 。〔態藝門892二〕
見知(シル) 。〔弘・言語進退門233六〕
見澄(ミスマス) ―知(シル)。―苦(クルシ)。〔永・言語門194六〕
見澄(ミスマス) ―知。―上。―苦。〔尭・言語門184二〕
見繕(ミツクロフ) ―知(シル)。―継(ツグ)。―事(ゴト)。―仄(ソル)。―懲(ゴリ)。―苦(グルシ)。―直(ナホス)。―付(ツク)。〔言語門200七・天理図書館本下33オ七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「見知」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
711諠病(コ/キヤ)咳病(ガイ―)疾齒(ヤミハ)膜(マケ)等者如レ形見知候歟。癲狂(テンカラ)癩病(ライ―)傷寒 過ルヲ二三日ニ一傷寒(カン)ト云。〔謙堂文庫蔵六〇左C〕
とあって、標記語「見知」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
諠病(キヤクヘイ)咳病(ガイビヤウ)疾齒(ヤミハ)膜(マケ)等者如クレ形(カタノ)見知(ミシリ)候黙諠病ハ。オコリ日マぜニ混(ヲコ)リテフルフ事也。傳送(テンソウ)ノ靈神付給フナリ。〔下37オ四・五〕
形(かた)の如(ごと)く見知(ミし)リ候ふ黙/如レ形ノ見知リ候フ黙(ガ) 此黙の字も濁りて讀へし。〔93ウ四〕
とあって、この標記語「見知」の語を収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
此邊(このへん)に候(さふら)ふ輩(ともがら)者(ハ)脚氣(かくけ)中風(ちうぶう)上氣(じやうき)頭風(づふう)黄痢(わうり)赤痢(しやくり)内痔(ないぢ)内癰疔(ないようてう)腫物(しゆもつ)諠病(ぎやくびやう)咳病(がいびやう)疾齒(やミは)膜(まけ)等(とう)者(ハ)形(かた)の如(ごと)く見知(ミし)リ候(さふら)ふ歟(か)/此邊候フ輩者。脚氣。中風。上氣。頭風。黄痢。赤痢。内痔。内癰。疔。腫物。諠病。咳病。疾齒。膜。等者如ク形ノ見知リ候フ黙。〔69オ三〕
此邊(このへんに)候(さふらふ)輩(ともがら)者(ハ)脚氣(かくけ)中風(ちうふう)上氣(じやうき)頭風(づふう)黄痢(わうり)赤痢(しやくり)内痔(ないぢ)内癰疔(ないようちやう)腫物(しゆもつ)諠病(ぎやくびやう)咳病(がいびやう)疾齒(やミは)膜(まけ)等(とう)者(ハ)如(ことく)レ形(かたの)見知(ミしり)候(さふらふ)黙(か)。〔124オ三〕
Mixiri,u.tta.ミシリ,ル、ッタ(見知) 見分けてよく知る.¶Miuo mixiru.(身を見知る)自分自身をよく知る.〔邦訳413l〕
み-し・るル・レ・ラ・リ・レ〔他動、四〕【見知】(一){見て知る。書言字考節用集、九、言辭門「見知、ミシル」源氏物語、四十八、寄生64「けせうにはしたなきさまには、えてもなし給はぬもの、見しり給へるにこそはと、思ふ心ときめきに」(二)交りて其人を知り居る。知り合ふ。相識。甲陽軍鑑、四、品第十二「靜にして、それぞれに人をみしりて使ひ給へば、一人として恨み申すべき樣なし」〔4-475-1〕
如(ゴトク)レ形(カタノ) 。〔元亀二年本94七〕
如(コトク)レ形(カタノ) 。〔静嘉堂本117五〕〔天正十七年本上57ウ八〕
此邊候輩者脚氣中風上氣頭風黄痢赤痢内痔内鹸癰丁腫物諠病咳病疾齒膜等者如形見知候黙〔至徳三年本〕
此邊候輩者脚氣中風上氣頭風荒痢赤痢内痔内消癰丁腫物諠病咳病疾齒膜等者如形見知候歟〔宝徳三年本〕
此邊候輩者脚氣中風上氣頭風荒痢赤痢内痔内催癰疔腫物諠病咳病疾齒膜等者如形見知候黙〔建部傳内本〕
此邊ニ候輩者ハ脚氣(カツケ)中風上氣(キ)頭風黄痢(クワウリ)赤痢(リ)内痔(ジ)内催(ヨウ)腫物癰疔(ヤウテウ)諠(ギヤク)ヲコリ病咳病疾齒(ムシクヒハ)膜(マケ)等者(ハ)如レ形ノ見知リ候〔山田俊雄藏本〕
此邊ニ候輩者ハ脚氣中風諠病(キヤヘイ)上氣頭(ツ)風荒痢赤痢内痔(チ)内催(せウ)癰丁ノ腫物(シユモツ)咳病(カイヘイ)病齒(ヤミハ)膜等者(ハ)如レ形ノ見知候歟〔経覺筆本〕
此邊ニ候輩(トモカラ)ハ脚氣(カツケ)中風(フ)上氣(キ)頭風(ヅフウ)黄痢(クワウリ)赤痢(シヤクリ)内痔(ナイチ)内催(ナイせウ)癰(ヨウ)丁(チヤフ)ノ腫物(シユモツ)諠病(キヤヘイ)咳病(カイヒヤウ)疾齒(ヤミハ)膜(マケ)等(トウ)者(ハ)如(コトク)レ形(カタ)ノ見知(ミシリ)候黙〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「如レ形」と表記し、訓みは文明四年本に「かたのことく」と記載する。
如レ形(ゴトクレカタノ/ジヨ―)[平・○] 。〔態藝門282五〕
如(コトク)レ形(カタノ) 。〔弘・言語進退門85六〕〔永・言語門83五〕〔兩・言語門94三〕
如(コトク)レ形(カタノ) 。〔言語門83五・天理図書館本上42オ五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「如レ形」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
711諠病(コ/キヤ)咳病(ガイ―)疾齒(ヤミハ)膜(マケ)等者如レ形見知候歟。癲狂(テンカラ)癩病(ライ―)傷寒 過ルヲ二三日ニ一傷寒(カン)ト云。〔謙堂文庫蔵六〇左C〕
とあって、標記語「如レ形」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
諠病(キヤクヘイ)咳病(ガイビヤウ)疾齒(ヤミハ)膜(マケ)等者如クレ形(カタノ)見知(ミシリ)候黙諠病ハ。オコリ日マぜニ混(ヲコ)リテフルフ事也。傳送(テンソウ)ノ靈神付給フナリ。〔下37オ四・五〕
形(かた)の如(ごと)く見知(ミし)リ候ふ黙/如レ形ノ見知リ候フ黙(ガ) 此黙の字も濁りて讀へし。〔93ウ四〕
とあって、この標記語「如レ形」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
此邊(このへん)に候(さふら)ふ輩(ともがら)者(ハ)脚氣(かくけ)中風(ちうぶう)上氣(じやうき)頭風(づふう)黄痢(わうり)赤痢(しやくり)内痔(ないぢ)内癰疔(ないようてう)腫物(しゆもつ)諠病(ぎやくびやう)咳病(がいびやう)疾齒(やミは)膜(まけ)等(とう)者(ハ)形(かた)の如(ごと)く見知(ミし)リ候(さふら)ふ歟(か)/此邊候フ輩者。脚氣。中風。上氣。頭風。黄痢。赤痢。内痔。内癰。疔。腫物。諠病。咳病。疾齒。膜。等者如ク形ノ見知リ候フ黙。〔69オ三〕
此邊(このへんに)候(さふらふ)輩(ともがら)者(ハ)脚氣(かくけ)中風(ちうふう)上氣(じやうき)頭風(づふう)黄痢(わうり)赤痢(しやくり)内痔(ないぢ)内癰疔(ないようちやう)腫物(しゆもつ)諠病(ぎやくびやう)咳病(がいびやう)疾齒(やミは)膜(まけ)等(とう)者(ハ)如(ことく)レ形(かたの)見知(ミしり)候(さふらふ)黙(か)。〔124オ二〕
Catanogotocu.かたのごとく(如レ形) 副詞.普通に,中位に,または,適度に.〔邦訳108l〕
かたの-ごとく〔副〕【如法】法のとほり。例の如く。如法。源氏物語、三十四、下102「かたのごとくなむ、齋ひの御鉢參るべきを」保元物語、一、官軍方方手分事「身不肖に候へども、形の如く系圖なきにしも候はず」「葬式、かたのごとく執り行ひ」〔2-634-3〕
瑁(マケ) 。翳(同)。〔元亀二年本210四〕〔静嘉堂本239七〕
× 。〔天正十七年本中〕
此邊候輩者脚氣中風上氣頭風黄痢赤痢内痔内鹸癰丁腫物諠病咳病疾齒膜等者如形見知候黙〔至徳三年本〕
此邊候輩者脚氣中風上氣頭風荒痢赤痢内痔内消癰丁腫物諠病咳病疾齒膜等者如形見知候歟〔宝徳三年本〕
此邊候輩者脚氣中風上氣頭風荒痢赤痢内痔内催癰疔腫物諠病咳病疾齒膜等者如形見知候黙〔建部傳内本〕
此邊ニ候輩者ハ脚氣(カツケ)中風上氣(キ)頭風黄痢(クワウリ)赤痢(リ)内痔(ジ)内催(ヨウ)腫物癰疔(ヤウテウ)諠(ギヤク)ヲコリ病咳病疾齒(ムシクヒハ)膜(マケ)等者(ハ)如レ形ノ見知リ候〔山田俊雄藏本〕
此邊ニ候輩者ハ脚氣中風諠病(キヤヘイ)上氣頭(ツ)風荒痢赤痢内痔(チ)内催(せウ)癰丁ノ腫物(シユモツ)咳病(カイヘイ)病齒(ヤミハ)膜等者(ハ)如レ形ノ見知候歟〔経覺筆本〕
此邊ニ候輩(トモカラ)ハ脚氣(カツケ)中風(フ)上氣(キ)頭風(ヅフウ)黄痢(クワウリ)赤痢(シヤクリ)内痔(ナイチ)内催(ナイせウ)癰(ヨウ)丁(チヤフ)ノ腫物(シユモツ)諠病(キヤヘイ)咳病(カイヒヤウ)疾齒(ヤミハ)膜(マケ)等(トウ)者(ハ)如(コトク)レ形(カタ)ノ見知(ミシリ)候黙〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「膜」と表記し、訓みは文明四年本に「まけ」と記載する。
瑁 マケ/目病也。〔黒川本・人躰門中90ウ五〕
瑁 マケ/目病也。〔卷第五・人躰門564一〕
瑁(マケ/バク)[入] 目(メノ)病。〔支體門569六〕
瑁(マケ) 目病。〔弘・支体門169四〕
瑁(マケ) 。〔永・支体門139二〕〔尭・支体門128五〕
眼膜(マケ) 。〔支躰門141五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「瑁・膜」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
711諠病(コ/キヤ)咳病(ガイ―)疾齒(ヤミハ)膜(マケ)等者如レ形見知候歟。癲狂(テンカラ)癩病(ライ―)傷寒 過ルヲ二三日ニ一傷寒(カン)ト云。〔謙堂文庫蔵六〇左C〕
とあって、標記語「膜」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
諠病(キヤクヘイ)咳病(ガイビヤウ)疾齒(ヤミハ)膜(マケ)等者如クレ形(カタノ)見知(ミシリ)候黙諠病ハ。オコリ日マぜニ混(ヲコ)リテフルフ事也。傳送(テンソウ)ノ靈神付給フナリ。〔下37オ四・五〕
膜(まげ)等/膜等 膈膜(かくまく)とてむねに有。むねの病也。〔93オ三〕
とあって、この標記語「膜」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
此邊(このへん)に候(さふら)ふ輩(ともがら)者(ハ)脚氣(かくけ)中風(ちうぶう)上氣(じやうき)頭風(づふう)黄痢(わうり)赤痢(しやくり)内痔(ないぢ)内癰疔(ないようてう)腫物(しゆもつ)諠病(ぎやくびやう)咳病(がいびやう)疾齒(やミは)膜(まけ)等(とう)者(ハ)形(かた)の如(ごと)く見知(ミし)リ候(さふら)ふ歟(か)/此邊候フ輩者。脚氣。中風。上氣。頭風。黄痢。赤痢。内痔。内癰。疔。腫物。諠病。咳病。疾齒。膜。等者如ク形ノ見知リ候フ黙。▲膜ハかゝりものゝ類(るい)。眼(メ)の病也。多くハ血(ち)の不足(ふそく)より發る。〔69オ三、69ウ一〕
此邊(このへんに)候(さふらふ)輩(ともがら)者(ハ)脚氣(かくけ)中風(ちうふう)上氣(じやうき)頭風(づふう)黄痢(わうり)赤痢(しやくり)内痔(ないぢ)内癰疔(ないようちやう)腫物(しゆもつ)諠病(ぎやくびやう)咳病(がいびやう)疾齒(やミは)膜(まけ)等(とう)者(ハ)如(ことく)レ形(かたの)見知(ミしり)候(さふらふ)黙(か)▲膜ハかゝりものゝ類(るゐ)。眼(め)の病也。多(おほ)くハ血の不足(ふそく)より發る。〔124オ二、124ウ四・五〕
Iiai.まけ(瑁) 眼病の一種.¶Maqeuo vazzuro<.(瑁を煩ふ)眼病にかかっている.〔邦訳384r〕
ま-け〔名〕【僧】〔目氣の義、脚(キヤク)の氣と同趣〕又、ひ。眼の病。そこひ。外障眼(うはひ)。目翳。字類抄「瑁、マケ、目病也」天治字鏡、二7「僧、目生翳也、麻介」同、同「銭、麻介、又、目暗」〔4-394-4〕
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