BACK(「ことばの溜め池」表紙へ)
MAIN MENU
ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
娠坊内過度濁酒酔酊睡眠昏沈形儀散動食物飽滿所作労苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲労閑居朦氣愁歎勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩○飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌候也〔至徳三年本〕
娠房内過度濁酒醉酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作勞苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲勞閑居朦氣愁嘆勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌事也〔宝徳三年本〕
凡房内過度濁酒酩酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作之辛苦戀慕辛労長途窮屈旅之疲労閑居朦氣愁歎労傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天之重服皆以禁忌事候也〔建部傳内本〕
凡房(ボウ)内ノ過度(ド)濁(タク)酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠(スイメンノ)昏沈(コンチン)形儀(ギヤウキ)ノ散動(サンドウ)食物ノ飽満(バウマン)所作ノ辛勞(シンロウ)戀慕(レンボ)ノ労苦長途(ト)ノ窮屈旅所ノ疲勞(ヒラウ)閑居(キヨ)ノ朦氣愁嘆(シユウタン)ノ勞傷(せウ)闕乏(ケツボク)ノ失(シチ)食深更(シンコウ)ノ夜食五更ノ空腹(クウブク)塩(ヱン)増ノ飲水(インスイ)淺(せン)味ノ熱湯(ネツトウ)寒氣ノ薄衣(ハクヱ)炎(ヱン)天ノ重(デウ)服皆以禁忌(キ)ノ事候也〔山田俊雄藏本〕
凡ソ坊内ノ過度濁酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠ノ昏沈(コンチン)形儀ノ散動食物ノ飽満所作ノ辛苦戀慕辛方長途(ト)ノ窮屈旅(レヨ)所ノ疲(ヒ)労閑居ノ朦氣(モウキ)愁歎(タン)ノ勞傷闕乏(ケツホウ)ノ失食(シツシヨク)深更(シンカウ)ノ夜食五更ノ空腹(フク)塩(エン)増ノ飲水(ヲンスイ)淺味(センミ)ノ熱湯寒氣(キ)ノ薄衣(ハクイ)炎天(エンテン)ノ重服皆以テ禁忌ノ事也〔経覺筆本〕
凡(ヲヨソ)房内ノ過度(クワド)ノ濁酒(チヨクシユ)酩酊(メイテイ)睡眠(スイメン)之昏沈(コンチン)形儀(ギヤウギ)散動(サンドウ)食物(クツク)飽満(バウマン)所作(シヨサノ)辛苦(シンク)戀慕(レンホノ)辛苦(シンク)長途(チヤウト)窮屈(キウクツ)旅所之(ノ)疲労(ヒラウ)閑居(カンキヨ)朦氣(モウキ)愁歎(シウタン)之勞傷(ラウシヤウ)闕乏(ケツボク)失食(シチシキ)深更(シンカウ)夜食五更(カウ)之空腹(クウフク)塩増(エンゾウ)之(ノ)飲水(ヲンスイ)淺味(せンミノ)熱湯(ネツタウ)アツユ寒氣(カンキノ)薄衣(ヱ)炎(エン)天重服(チウフク)皆(ミナ)以テ禁忌(キノ)事候也〔文明四年本〕※熱(ネツ)。寒(カン)。温(ウン)。重服(ジウフク)。愁歎(シウタン)。朦氣(モウキ)。闕乏(ケツホク)。禁忌(キンキ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「散動」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・文明四年本に「サンドウ」と記載する。
散用(サンヨウ) ―乱(ラン)。―動(ドウ)。―失(シツ)。―機(キ)。―善(ぜン)。〔言辞門180五・天理図書館蔵下23オ五〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に「散動」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
723睡眠昏沈形儀散動食物飽滿所作ノ辛苦 書‖疲気|也。〔謙堂文庫蔵六二右A〕
とあって、標記語「散動」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
行儀(ギ)ノ散動(サンドウ)食物(シヨクブツ)飽滿(バウマン)ハ。荒(アラ)ク。ハタラキテ身ヲ狂(クル)ハせテ血(チ)ヲ乱(ミタ)ス事第一ノ毒也。〔下38オ七・八〕
行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)/行儀ノ散動行儀ハ身のふるまい也。散ハちる。動ハうこくと訓す。気血(きけつ)のくるふほと大に骨折(ほねおり)つかるゝをいふなり。 〔96オ三・四〕
とあって、この標記語「散動」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くハど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)乃昏沈(こんちん)行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)乃辛苦(しんく)長途(ちやうど)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)乃朦氣(もうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)剩更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)鹽増(えんぞう)乃飲水(ゐんすい)淺味(せんミ)の熱湯(ねつとう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)之(の)事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)/凡房内ノ過度。濁酒ノ酩酊。睡眠ノ昏沈。行儀ノ散動。食物ノ飽満。所作ノ辛労。戀慕ノ辛苦。長途ノ窮屈。旅所ノ疲勞。閑居ノ朦氣。愁歎勞傷。闕乏ノ失食。深更夜食。五更空腹。塩増ノ飲水。淺味熱湯。寒氣薄衣。炎天重服。皆以禁忌事ニ候フ也▲行儀ノ散動ハ身(ミ)の立居(たちゐ)ふるまひをあらくする也。〔71オ五、71ウ四〕
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くわど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)の昏沈(こんちん)行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)の辛苦(しんく)長途(ちやうと)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)の朦氣(まうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)深更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)塩増(えんぞう)の飲水(いんすゐ)淺味(せんミ)の熱湯(ねつたう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)の事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)▲行儀散動ハ身(ミ)の立居(たちゐ)ふるまひをあらくする也。〔127ウ六、128ウ三〕
行儀(ギ) 。〔元亀二年本283十〕
行儀(キヤウキ) 。〔静嘉堂本325四〕
娠坊内過度濁酒酔酊睡眠昏沈形儀散動食物飽滿所作労苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲労閑居朦氣愁歎勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩○飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌候也〔至徳三年本〕
娠房内過度濁酒醉酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作勞苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲勞閑居朦氣愁嘆勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌事也〔宝徳三年本〕
凡房内過度濁酒酩酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作之辛苦戀慕辛労長途窮屈旅之疲労閑居朦氣愁歎労傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天之重服皆以禁忌事候也〔建部傳内本〕
凡房(ボウ)内ノ過度(ド)濁(タク)酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠(スイメンノ)昏沈(コンチン)形儀(ギヤウキ)ノ散動(サンドウ)食物ノ飽満(バウマン)所作ノ辛勞(シンロウ)戀慕(レンボ)ノ労苦長途(ト)ノ窮屈旅所ノ疲勞(ヒラウ)閑居(キヨ)ノ朦氣愁嘆(シユウタン)ノ勞傷(せウ)闕乏(ケツボク)ノ失(シチ)食深更(シンコウ)ノ夜食五更ノ空腹(クウブク)塩(ヱン)増ノ飲水(インスイ)淺(せン)味ノ熱湯(ネツトウ)寒氣ノ薄衣(ハクヱ)炎(ヱン)天ノ重(デウ)服皆以禁忌(キ)ノ事候也〔山田俊雄藏本〕
凡ソ坊内ノ過度濁酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠ノ昏沈(コンチン)形儀ノ散動食物ノ飽満所作ノ辛苦戀慕辛方長途(ト)ノ窮屈旅(レヨ)所ノ疲(ヒ)労閑居ノ朦氣(モウキ)愁歎(タン)ノ勞傷闕乏(ケツホウ)ノ失食(シツシヨク)深更(シンカウ)ノ夜食五更ノ空腹(フク)塩(エン)増ノ飲水(ヲンスイ)淺味(センミ)ノ熱湯寒氣(キ)ノ薄衣(ハクイ)炎天(エンテン)ノ重服皆以テ禁忌ノ事也〔経覺筆本〕
凡(ヲヨソ)房内ノ過度(クワド)ノ濁酒(チヨクシユ)酩酊(メイテイ)睡眠(スイメン)之昏沈(コンチン)形儀(ギヤウギ)散動(サンドウ)食物(クツク)飽満(バウマン)所作(シヨサノ)辛苦(シンク)戀慕(レンホノ)辛苦(シンク)長途(チヤウト)窮屈(キウクツ)旅所之(ノ)疲労(ヒラウ)閑居(カンキヨ)朦氣(モウキ)愁歎(シウタン)之勞傷(ラウシヤウ)闕乏(ケツボク)失食(シチシキ)深更(シンカウ)夜食五更(カウ)之空腹(クウフク)塩増(エンゾウ)之(ノ)飲水(ヲンスイ)淺味(せンミノ)熱湯(ネツタウ)アツユ寒氣(カンキノ)薄衣(ヱ)炎(エン)天重服(チウフク)皆(ミナ)以テ禁忌(キノ)事候也〔文明四年本〕※熱(ネツ)。寒(カン)。温(ウン)。重服(ジウフク)。愁歎(シウタン)。朦氣(モウキ)。闕乏(ケツホク)。禁忌(キンキ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「形儀」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・文明四年本に「ギヤウギ」と記載する。
形儀(ギヤウギ/ケイ・カタチ、ヨソヲイ)[平・○] ――進退。〔態藝門852四〕
行道(ギヤウダウ) ―儀(ギ)。―法(ボフ)。―證(シヨウ)。―水(ズイ)。―業(ゴフ)。―幸(ガウ)。―歩(ブ)。―力(リキ)。―用(ヨウ)。―状(ジヤウ)。〔言辞門190五・天理図書館蔵下28オ五〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』のみに標記語「形儀」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
723睡眠昏沈形儀散動食物飽滿所作ノ辛苦 書‖疲気|也。〔謙堂文庫蔵六二右A〕
とあって、標記語「形儀」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
行儀(ギ)ノ散動(サンドウ)食物(シヨクブツ)飽滿(バウマン)ハ。荒(アラ)ク。ハタラキテ身ヲ狂(クル)ハせテ血(チ)ヲ乱(ミタ)ス事第一ノ毒也。〔下38オ七・八〕
行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)/行儀ノ散動行儀ハ身のふるまい也。散ハちる。動ハうこくと訓す。気血(きけつ)のくるふほと大に骨折(ほねおり)つかるゝをいふなり。 〔96オ三・四〕
とあって、この標記語「行儀」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くハど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)乃昏沈(こんちん)行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)乃辛苦(しんく)長途(ちやうど)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)乃朦氣(もうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)剩更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)鹽増(えんぞう)乃飲水(ゐんすい)淺味(せんミ)の熱湯(ねつとう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)之(の)事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)/凡房内ノ過度。濁酒ノ酩酊。睡眠ノ昏沈。行儀ノ散動。食物ノ飽満。所作ノ辛労。戀慕ノ辛苦。長途ノ窮屈。旅所ノ疲勞。閑居ノ朦氣。愁歎勞傷。闕乏ノ失食。深更夜食。五更空腹。塩増ノ飲水。淺味熱湯。寒氣薄衣。炎天重服。皆以禁忌事ニ候フ也▲行儀ノ散動ハ身(ミ)の立居(たちゐ)ふるまひをあらくする也。〔71オ五、71ウ四〕
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くわど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)の昏沈(こんちん)行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)の辛苦(しんく)長途(ちやうと)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)の朦氣(まうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)深更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)塩増(えんぞう)の飲水(いんすゐ)淺味(せんミ)の熱湯(ねつたう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)の事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)▲行儀散動ハ身(ミ)の立居(たちゐ)ふるまひをあらくする也。〔127ウ六、128ウ三〕
Guio<gui.ギャウギ(行儀) 生活のしかた,あるいは,所行.例,Guio<guino tadaxij,l,yoi fito.(行儀の正しい,または,良い人)正しい有徳の人,または行状のよい人.→Aratame,uru.〔邦訳301l〕
ぎャう-ぎ〔名〕【行儀】行跡の威儀。起居(たちゐ)、動作(ふるまひ)の作法。史記、張湯傳「甲所三以責二湯行義過失一、亦有二烈士風一」庭訓往來、十一月「行儀散動、云云、所作辛苦、云云、皆以、禁忌之事候」〔491-5〕 ※江戸期以降の古版『庭訓徃来註』以下の『庭訓往來』本文資料に依拠しているため、「行儀」の語を以て収載する。
娠坊内過度濁酒酔酊睡眠昏沈形儀散動食物飽滿所作労苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲労閑居朦氣愁歎勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩○飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌候也〔至徳三年本〕
娠房内過度濁酒醉酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作勞苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲勞閑居朦氣愁嘆勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌事也〔宝徳三年本〕
凡房内過度濁酒酩酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作之辛苦戀慕辛労長途窮屈旅之疲労閑居朦氣愁歎労傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天之重服皆以禁忌事候也〔建部傳内本〕
凡房(ボウ)内ノ過度(ド)濁(タク)酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠(スイメンノ)昏沈(コンチン)形儀(ギヤウキ)ノ散動(サンドウ)食物ノ飽満(バウマン)所作ノ辛勞(シンロウ)戀慕(レンボ)ノ労苦長途(ト)ノ窮屈旅所ノ疲勞(ヒラウ)閑居(キヨ)ノ朦氣愁嘆(シユウタン)ノ勞傷(せウ)闕乏(ケツボク)ノ失(シチ)食深更(シンコウ)ノ夜食五更ノ空腹(クウブク)塩(ヱン)増ノ飲水(インスイ)淺(せン)味ノ熱湯(ネツトウ)寒氣ノ薄衣(ハクヱ)炎(ヱン)天ノ重(デウ)服皆以禁忌(キ)ノ事候也〔山田俊雄藏本〕
凡ソ坊内ノ過度濁酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠ノ昏沈(コンチン)形儀ノ散動食物ノ飽満所作ノ辛苦戀慕辛方長途(ト)ノ窮屈旅(レヨ)所ノ疲(ヒ)労閑居ノ朦氣(モウキ)愁歎(タン)ノ勞傷闕乏(ケツホウ)ノ失食(シツシヨク)深更(シンカウ)ノ夜食五更ノ空腹(フク)塩(エン)増ノ飲水(ヲンスイ)淺味(センミ)ノ熱湯寒氣(キ)ノ薄衣(ハクイ)炎天(エンテン)ノ重服皆以テ禁忌ノ事也〔経覺筆本〕
凡(ヲヨソ)房内ノ過度(クワド)ノ濁酒(チヨクシユ)酩酊(メイテイ)睡眠(スイメン)之昏沈(コンチン)形儀(ギヤウギ)散動(サンドウ)食物(クツク)飽満(バウマン)所作(シヨサノ)辛苦(シンク)戀慕(レンホノ)辛苦(シンク)長途(チヤウト)窮屈(キウクツ)旅所之(ノ)疲労(ヒラウ)閑居(カンキヨ)朦氣(モウキ)愁歎(シウタン)之勞傷(ラウシヤウ)闕乏(ケツボク)失食(シチシキ)深更(シンカウ)夜食五更(カウ)之空腹(クウフク)塩増(エンゾウ)之(ノ)飲水(ヲンスイ)淺味(せンミノ)熱湯(ネツタウ)アツユ寒氣(カンキノ)薄衣(ヱ)炎(エン)天重服(チウフク)皆(ミナ)以テ禁忌(キノ)事候也〔文明四年本〕※熱(ネツ)。寒(カン)。温(ウン)。重服(ジウフク)。愁歎(シウタン)。朦氣(モウキ)。闕乏(ケツホク)。禁忌(キンキ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「昏沈」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「コンチン」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「昏沈」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
723睡眠昏沈形儀散動食物飽滿所作ノ辛苦 書‖疲気|也。〔謙堂文庫蔵六二右A〕
とあって、標記語「昏沈」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
睡眠(スイメンノ)昏沈(コンチン)トハ。クラキ処ニ入テヒルネヲスル事ワルシ。〔下38オ七〕
睡眠(すゐめん)の昏沈(こんちん)/睡眠ノ昏沈睡眠ハ皆ねむる。昏ハくらし。沈ハしつむと訓す。心うと/\する程あくまてねむるを云なり。 〔96オ二・三〕
とあって、この標記語「昏沈」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くハど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)乃昏沈(こんちん)行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)乃辛苦(しんく)長途(ちやうど)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)乃朦氣(もうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)剩更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)鹽増(えんぞう)乃飲水(ゐんすい)淺味(せんミ)の熱湯(ねつとう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)之(の)事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)/凡房内ノ過度。濁酒ノ酩酊。睡眠ノ昏沈。行儀ノ散動。食物ノ飽満。所作ノ辛労。戀慕ノ辛苦。長途ノ窮屈。旅所ノ疲勞。閑居ノ朦氣。愁歎勞傷。闕乏ノ失食。深更夜食。五更空腹。塩増ノ飲水。淺味熱湯。寒氣薄衣。炎天重服。皆以禁忌事ニ候フ也▲睡眠ノ昏沈ハねふ(ム)り過(すご)して気(き)昏(くら)ミうつとりなるをいふ。〔71オ五、71ウ三・四〕
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くわど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)の昏沈(こんちん)行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)の辛苦(しんく)長途(ちやうと)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)の朦氣(まうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)深更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)塩増(えんぞう)の飲水(いんすゐ)淺味(せんミ)の熱湯(ねつたう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)の事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)▲睡眠ノ昏沈ハねふり過(すご)して気(き)昏(くら)ミうつとりなるをいふ。〔127ウ五、128ウ二・三〕
× 。〔元亀二年本は脱落語〕
睡眠(スイメン) 。〔静嘉堂本439七〕
娠坊内過度濁酒酔酊睡眠昏沈形儀散動食物飽滿所作労苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲労閑居朦氣愁歎勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩○飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌候也〔至徳三年本〕
娠房内過度濁酒醉酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作勞苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲勞閑居朦氣愁嘆勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌事也〔宝徳三年本〕
凡房内過度濁酒酩酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作之辛苦戀慕辛労長途窮屈旅之疲労閑居朦氣愁歎労傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天之重服皆以禁忌事候也〔建部傳内本〕
凡房(ボウ)内ノ過度(ド)濁(タク)酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠(スイメンノ)昏沈(コンチン)形儀(ギヤウキ)ノ散動(サンドウ)食物ノ飽満(バウマン)所作ノ辛勞(シンロウ)戀慕(レンボ)ノ労苦長途(ト)ノ窮屈旅所ノ疲勞(ヒラウ)閑居(キヨ)ノ朦氣愁嘆(シユウタン)ノ勞傷(せウ)闕乏(ケツボク)ノ失(シチ)食深更(シンコウ)ノ夜食五更ノ空腹(クウブク)塩(ヱン)増ノ飲水(インスイ)淺(せン)味ノ熱湯(ネツトウ)寒氣ノ薄衣(ハクヱ)炎(ヱン)天ノ重(デウ)服皆以禁忌(キ)ノ事候也〔山田俊雄藏本〕
凡ソ坊内ノ過度濁酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠ノ昏沈(コンチン)形儀ノ散動食物ノ飽満所作ノ辛苦戀慕辛方長途(ト)ノ窮屈旅(レヨ)所ノ疲(ヒ)労閑居ノ朦氣(モウキ)愁歎(タン)ノ勞傷闕乏(ケツホウ)ノ失食(シツシヨク)深更(シンカウ)ノ夜食五更ノ空腹(フク)塩(エン)増ノ飲水(ヲンスイ)淺味(センミ)ノ熱湯寒氣(キ)ノ薄衣(ハクイ)炎天(エンテン)ノ重服皆以テ禁忌ノ事也〔経覺筆本〕
凡(ヲヨソ)房内ノ過度(クワド)ノ濁酒(チヨクシユ)酩酊(メイテイ)睡眠(スイメン)之昏沈(コンチン)形儀(ギヤウギ)散動(サンドウ)食物(クツク)飽満(バウマン)所作(シヨサノ)辛苦(シンク)戀慕(レンホノ)辛苦(シンク)長途(チヤウト)窮屈(キウクツ)旅所之(ノ)疲労(ヒラウ)閑居(カンキヨ)朦氣(モウキ)愁歎(シウタン)之勞傷(ラウシヤウ)闕乏(ケツボク)失食(シチシキ)深更(シンカウ)夜食五更(カウ)之空腹(クウフク)塩増(エンゾウ)之(ノ)飲水(ヲンスイ)淺味(せンミノ)熱湯(ネツタウ)アツユ寒氣(カンキノ)薄衣(ヱ)炎(エン)天重服(チウフク)皆(ミナ)以テ禁忌(キノ)事候也〔文明四年本〕※熱(ネツ)。寒(カン)。温(ウン)。重服(ジウフク)。愁歎(シウタン)。朦氣(モウキ)。闕乏(ケツホク)。禁忌(キンキ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「睡眠」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・文明四年本に「スイメン」と記載する。
睡眠(スイメン/ネムル、ネムル)[去・平] 。〔態藝門1128四〕
睡眠(スイメン) 。〔弘・言語進退門271六〕
睡眠(スイメン) ―中(チウ)。〔永・言語門231七〕
睡眠(スイミン) ―中。〔堯・言語門217六〕
醉眠(スイメン) ―狂(キヤウ)。―吟(キン)。〔言語門241二・天理図書館蔵下53ウ二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「睡眠」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
723睡眠昏沈形儀散動食物飽滿所作ノ辛苦 書‖疲気|也。〔謙堂文庫蔵六二右A〕
とあって、標記語「睡眠」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
睡眠(スイメンノ)昏沈(コンチン)トハ。クラキ処ニ入テヒルネヲスル事ワルシ。〔下38オ七〕
睡眠(すゐめん)の昏沈(こんちん)/睡眠ノ昏沈睡眠ハ皆ねむる。昏ハくらし。沈ハしつむと訓す。心うと/\する程あくまてねむるを云なり。 〔96オ二・三〕
とあって、この標記語「睡眠」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くハど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)乃昏沈(こんちん)行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)乃辛苦(しんく)長途(ちやうど)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)乃朦氣(もうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)剩更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)鹽増(えんぞう)乃飲水(ゐんすい)淺味(せんミ)の熱湯(ねつとう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)之(の)事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)/凡房内ノ過度。濁酒ノ酩酊。睡眠ノ昏沈。行儀ノ散動。食物ノ飽満。所作ノ辛労。戀慕ノ辛苦。長途ノ窮屈。旅所ノ疲勞。閑居ノ朦氣。愁歎勞傷。闕乏ノ失食。深更夜食。五更空腹。塩増ノ飲水。淺味熱湯。寒氣薄衣。炎天重服。皆以禁忌事ニ候フ也▲睡眠ノ昏沈ハねふ(ム)り過(すご)して気(き)昏(くら)ミうつとりなるをいふ。〔71オ五、71ウ三・四〕
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くわど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)の昏沈(こんちん)行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)の辛苦(しんく)長途(ちやうと)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)の朦氣(まうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)深更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)塩増(えんぞう)の飲水(いんすゐ)淺味(せんミ)の熱湯(ねつたう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)の事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)▲睡眠ノ昏沈ハねふり過(すご)して気(き)昏(くら)ミうつとりなるをいふ。〔127ウ五、128ウ二・三〕
Suimen.スイメン(睡眠) Nemuri,u.(眠り,る)眠ること.例,Suimen suru.(睡眠する)〔邦訳585r〕
すゐ-めん〔名〕【睡眠】すゐみん(睡眠)に同じ。古今著聞集、二、釋教、大原良忍上人「日夜不斷に稱念して、いまだ睡眠(スヰメン)せず」謡曲、三井寺「少し睡眠(スヰメン)の中に、顯著(あらた)なる靈夢を蒙りて候ふは、如何(いかに)」〔3-945-1〕
娠坊内過度濁酒酔酊睡眠昏沈形儀散動食物飽滿所作労苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲労閑居朦氣愁歎勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩○飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌候也〔至徳三年本〕
娠房内過度濁酒醉酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作勞苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲勞閑居朦氣愁嘆勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌事也〔宝徳三年本〕
凡房内過度濁酒酩酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作之辛苦戀慕辛労長途窮屈旅之疲労閑居朦氣愁歎労傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天之重服皆以禁忌事候也〔建部傳内本〕
凡房(ボウ)内ノ過度(ド)濁(タク)酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠(スイメンノ)昏沈(コンチン)形儀(ギヤウキ)ノ散動(サンドウ)食物ノ飽満(バウマン)所作ノ辛勞(シンロウ)戀慕(レンボ)ノ労苦長途(ト)ノ窮屈旅所ノ疲勞(ヒラウ)閑居(キヨ)ノ朦氣愁嘆(シユウタン)ノ勞傷(せウ)闕乏(ケツボク)ノ失(シチ)食深更(シンコウ)ノ夜食五更ノ空腹(クウブク)塩(ヱン)増ノ飲水(インスイ)淺(せン)味ノ熱湯(ネツトウ)寒氣ノ薄衣(ハクヱ)炎(ヱン)天ノ重(デウ)服皆以禁忌(キ)ノ事候也〔山田俊雄藏本〕
凡ソ坊内ノ過度濁酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠ノ昏沈(コンチン)形儀ノ散動食物ノ飽満所作ノ辛苦戀慕辛方長途(ト)ノ窮屈旅(レヨ)所ノ疲(ヒ)労閑居ノ朦氣(モウキ)愁歎(タン)ノ勞傷闕乏(ケツホウ)ノ失食(シツシヨク)深更(シンカウ)ノ夜食五更ノ空腹(フク)塩(エン)増ノ飲水(ヲンスイ)淺味(センミ)ノ熱湯寒氣(キ)ノ薄衣(ハクイ)炎天(エンテン)ノ重服皆以テ禁忌ノ事也〔経覺筆本〕
凡(ヲヨソ)房内ノ過度(クワド)ノ濁酒(チヨクシユ)酩酊(メイテイ)睡眠(スイメン)之昏沈(コンチン)形儀(ギヤウギ)散動(サンドウ)食物(クツク)飽満(バウマン)所作(シヨサノ)辛苦(シンク)戀慕(レンホノ)辛苦(シンク)長途(チヤウト)窮屈(キウクツ)旅所之(ノ)疲労(ヒラウ)閑居(カンキヨ)朦氣(モウキ)愁歎(シウタン)之勞傷(ラウシヤウ)闕乏(ケツボク)失食(シチシキ)深更(シンカウ)夜食五更(カウ)之空腹(クウフク)塩増(エンゾウ)之(ノ)飲水(ヲンスイ)淺味(せンミノ)熱湯(ネツタウ)アツユ寒氣(カンキノ)薄衣(ヱ)炎(エン)天重服(チウフク)皆(ミナ)以テ禁忌(キノ)事候也〔文明四年本〕※熱(ネツ)。寒(カン)。温(ウン)。重服(ジウフク)。愁歎(シウタン)。朦氣(モウキ)。闕乏(ケツホク)。禁忌(キンキ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本は「醉酊」、建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は、「酩酊」と表記し、訓みは山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本に「メイテイ」と記載する。
722濁酒酩酊 江南在有∨虫。似‖熟柿ニ|无‖鼻目|彼ヲ名∨泥ト。人酔則似∨彼故云ナリ。〔謙堂文庫蔵六二右A〕
※「酩酊ハ古人云燕宴是沈毒人間卆晢時多」〔国会図書館藏左貫註頭冠書込〕
とあって、標記語「酩酊」の語を収載し、この語における語注記は上記の如く記載する。
凡(ヲヨソ)房(バウ)内ノ過度(クハド)ノ濁酒(タク )ノ酩酊(メイテイ)ハ。嫌(キラ)ヒ物ノ事房内(ハウナイ)ノ過度(クハト)トハ日夜ノ女グルイ。房内(バウナイ)ハ女ノ惣名(ソウミヤウ)。過度(クハト)ハ。タビヲ過(スコ)ストヨメリ。此本ノ注ヲ以テ外別ノ事ヲ書付候房内(バウナイ)ト云ル文字ノ心少シキモナシ。〔下38オ四〜六〕
濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)/濁酒ノ酩酊酩酊ハ大に酒に酔(ゑい)たる事也。 〔96オ一・二〕
とあって、この標記語「酩酊」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くハど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)乃昏沈(こんちん)行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)乃辛苦(しんく)長途(ちやうど)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)乃朦氣(もうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)剩更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)鹽増(えんぞう)乃飲水(ゐんすい)淺味(せんミ)の熱湯(ねつとう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)之(の)事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)/凡房内ノ過度。濁酒ノ酩酊。睡眠ノ昏沈。行儀ノ散動。食物ノ飽満。所作ノ辛労。戀慕ノ辛苦。長途ノ窮屈。旅所ノ疲勞。閑居ノ朦氣。愁歎勞傷。闕乏ノ失食。深更夜食。五更空腹。塩増ノ飲水。淺味熱湯。寒氣薄衣。炎天重服。皆以禁忌事ニ候フ也▲濁酒ノ酩酊、濁酒ハ麁酒(あらきさけ)をいふなれど爰(こゝ)にハたゞ酒にいたく醉(ゑ)ふをいふ。〔71オ五、71ウ三〕
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くわど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)の昏沈(こんちん)行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)の辛苦(しんく)長途(ちやうと)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)の朦氣(まうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)深更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)塩増(えんぞう)の飲水(いんすゐ)淺味(せんミ)の熱湯(ねつたう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)の事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)▲濁酒ノ酩酊、濁酒ハ麁酒(あらきさけ)をいふなれど爰(こゝ)にハたゞ酒にいたく醉(ゑ)ふをいふ。〔127ウ五、128ウ二〕
麻酒(シユ) 。〔元亀二年本68六〕
濁酒 。〔静嘉堂本81一〕
濁酒(シユ) 。〔天正十七年本上40ウ五〕〔西來寺本〕
娠坊内過度濁酒酔酊睡眠昏沈形儀散動食物飽滿所作労苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲労閑居朦氣愁歎勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩○飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌候也〔至徳三年本〕
娠房内過度濁酒醉酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作勞苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲勞閑居朦氣愁嘆勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌事也〔宝徳三年本〕
凡房内過度濁酒酩酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作之辛苦戀慕辛労長途窮屈旅之疲労閑居朦氣愁歎労傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天之重服皆以禁忌事候也〔建部傳内本〕
凡房(ボウ)内ノ過度(ド)濁(タク)酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠(スイメンノ)昏沈(コンチン)形儀(ギヤウキ)ノ散動(サンドウ)食物ノ飽満(バウマン)所作ノ辛勞(シンロウ)戀慕(レンボ)ノ労苦長途(ト)ノ窮屈旅所ノ疲勞(ヒラウ)閑居(キヨ)ノ朦氣愁嘆(シユウタン)ノ勞傷(せウ)闕乏(ケツボク)ノ失(シチ)食深更(シンコウ)ノ夜食五更ノ空腹(クウブク)塩(ヱン)増ノ飲水(インスイ)淺(せン)味ノ熱湯(ネツトウ)寒氣ノ薄衣(ハクヱ)炎(ヱン)天ノ重(デウ)服皆以禁忌(キ)ノ事候也〔山田俊雄藏本〕
凡ソ坊内ノ過度濁酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠ノ昏沈(コンチン)形儀ノ散動食物ノ飽満所作ノ辛苦戀慕辛方長途(ト)ノ窮屈旅(レヨ)所ノ疲(ヒ)労閑居ノ朦氣(モウキ)愁歎(タン)ノ勞傷闕乏(ケツホウ)ノ失食(シツシヨク)深更(シンカウ)ノ夜食五更ノ空腹(フク)塩(エン)増ノ飲水(ヲンスイ)淺味(センミ)ノ熱湯寒氣(キ)ノ薄衣(ハクイ)炎天(エンテン)ノ重服皆以テ禁忌ノ事也〔経覺筆本〕
凡(ヲヨソ)房内ノ過度(クワド)ノ濁酒(チヨクシユ)酩酊(メイテイ)睡眠(スイメン)之昏沈(コンチン)形儀(ギヤウギ)散動(サンドウ)食物(クツク)飽満(バウマン)所作(シヨサノ)辛苦(シンク)戀慕(レンホノ)辛苦(シンク)長途(チヤウト)窮屈(キウクツ)旅所之(ノ)疲労(ヒラウ)閑居(カンキヨ)朦氣(モウキ)愁歎(シウタン)之勞傷(ラウシヤウ)闕乏(ケツボク)失食(シチシキ)深更(シンカウ)夜食五更(カウ)之空腹(クウフク)塩増(エンゾウ)之(ノ)飲水(ヲンスイ)淺味(せンミノ)熱湯(ネツタウ)アツユ寒氣(カンキノ)薄衣(ヱ)炎(エン)天重服(チウフク)皆(ミナ)以テ禁忌(キノ)事候也〔文明四年本〕※熱(ネツ)。寒(カン)。温(ウン)。重服(ジウフク)。愁歎(シウタン)。朦氣(モウキ)。闕乏(ケツホク)。禁忌(キンキ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「濁酒」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「タク(シユ)」、文明四年本に「チヨクシユ」と記載する。
濁酒(ヂヨクシユ) 。〔弘・食物門50二〕〔永・食物門52五〕
濁酒(チヨクシユ) 。〔堯・食物門47七〕〔両・食物門56七〕
濁酒(ヂヨクシユ) 悪酒。〔食服門50四・天理図書館蔵上25ウ四〕
このように、上記当代の古辞書においては、印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本・両足院本『節用集』・易林本『節用集』に標記語「濁酒」の語を収載し、いずれも「チ」部で「ヂヨクシユ」と訓読する。これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
722濁酒酩酊 江南在有∨虫。似‖熟柿ニ|无‖鼻目|彼ヲ名∨泥ト。人酔則似∨彼故云ナリ。〔謙堂文庫蔵六二右A〕
とあって、標記語「濁酒」の語を収載し、この「濁酒酩酊」の語における語注記は「江南に在りて虫有り。熟柿に似て鼻目无く彼を泥と名づく。人酔ふて則ち彼に似たる故に云ふなり」と記載する。
凡(ヲヨソ)房(バウ)内ノ過度(クハド)ノ濁酒(タク )ノ酩酊(メイテイ)ハ。嫌(キラ)ヒ物ノ事房内(ハウナイ)ノ過度(クハト)トハ日夜ノ女グルイ。房内(バウナイ)ハ女ノ惣名(ソウミヤウ)。過度(クハト)ハ。タビヲ過(スコ)ストヨメリ。此本ノ注ヲ以テ外別ノ事ヲ書付候房内(バウナイ)ト云ル文字ノ心少シキモナシ。〔下38オ四〜六〕
濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)/濁酒ノ酩酊酩酊ハ大に酒に酔(ゑい)たる事也。 〔96オ一・二〕
とあって、この標記語「濁酒」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くハど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)乃昏沈(こんちん)行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)乃辛苦(しんく)長途(ちやうど)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)乃朦氣(もうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)剩更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)鹽増(えんぞう)乃飲水(ゐんすい)淺味(せんミ)の熱湯(ねつとう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)之(の)事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)/凡房内ノ過度。濁酒ノ酩酊。睡眠ノ昏沈。行儀ノ散動。食物ノ飽満。所作ノ辛労。戀慕ノ辛苦。長途ノ窮屈。旅所ノ疲勞。閑居ノ朦氣。愁歎勞傷。闕乏ノ失食。深更夜食。五更空腹。塩増ノ飲水。淺味熱湯。寒氣薄衣。炎天重服。皆以禁忌事ニ候フ也▲房内過度は男女(なんによ)の交合(まじハり)を過(すご)す也。〔71オ五、71ウ三〕
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くわど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)の昏沈(こんちん)形儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)の辛苦(しんく)長途(ちやうと)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)の朦氣(まうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)深更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)塩増(えんぞう)の飲水(いんすゐ)淺味(せんミ)の熱湯(ねつたう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)の事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)▲房内過度は男女(なんによ)の交合(まじハり)を過(すご)す也。〔127ウ五、128ウ一・二〕
Giocuxu.ヂョクシュ(濁酒) Nigori saqe.(濁り酒)日本酒の一種で,白く濁った酒.〔邦訳318r〕
だく-しゅ〔名〕【濁酒】〔清酒に對す〕にごりざけ。どぶろく。白馬。耶律楚材詩「清茶佳果餞二行路一、遠勝濁酒烹二駝蹄一」〔1206-4〕
娠坊内過度濁酒酔酊睡眠昏沈形儀散動食物飽滿所作労苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲労閑居朦氣愁歎勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩○飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌候也〔至徳三年本〕
娠房内過度濁酒醉酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作勞苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲勞閑居朦氣愁嘆勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌事也〔宝徳三年本〕
凡房内過度濁酒酩酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作之辛苦戀慕辛労長途窮屈旅之疲労閑居朦氣愁歎労傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天之重服皆以禁忌事候也〔建部傳内本〕
凡房(ボウ)内ノ過度(ド)濁(タク)酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠(スイメンノ)昏沈(コンチン)形儀(ギヤウキ)ノ散動(サンドウ)食物ノ飽満(バウマン)所作ノ辛勞(シンロウ)戀慕(レンボ)ノ労苦長途(ト)ノ窮屈旅所ノ疲勞(ヒラウ)閑居(キヨ)ノ朦氣愁嘆(シユウタン)ノ勞傷(せウ)闕乏(ケツボク)ノ失(シチ)食深更(シンコウ)ノ夜食五更ノ空腹(クウブク)塩(ヱン)増ノ飲水(インスイ)淺(せン)味ノ熱湯(ネツトウ)寒氣ノ薄衣(ハクヱ)炎(ヱン)天ノ重(デウ)服皆以禁忌(キ)ノ事候也〔山田俊雄藏本〕
凡ソ坊内ノ過度濁酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠ノ昏沈(コンチン)形儀ノ散動食物ノ飽満所作ノ辛苦戀慕辛方長途(ト)ノ窮屈旅(レヨ)所ノ疲(ヒ)労閑居ノ朦氣(モウキ)愁歎(タン)ノ勞傷闕乏(ケツホウ)ノ失食(シツシヨク)深更(シンカウ)ノ夜食五更ノ空腹(フク)塩(エン)増ノ飲水(ヲンスイ)淺味(センミ)ノ熱湯寒氣(キ)ノ薄衣(ハクイ)炎天(エンテン)ノ重服皆以テ禁忌ノ事也〔経覺筆本〕
凡(ヲヨソ)房内ノ過度(クワド)ノ濁酒(チヨクシユ)酩酊(メイテイ)睡眠(スイメン)之昏沈(コンチン)形儀(ギヤウギ)散動(サンドウ)食物(クツク)飽満(バウマン)所作(シヨサノ)辛苦(シンク)戀慕(レンホノ)辛苦(シンク)長途(チヤウト)窮屈(キウクツ)旅所之(ノ)疲労(ヒラウ)閑居(カンキヨ)朦氣(モウキ)愁歎(シウタン)之勞傷(ラウシヤウ)闕乏(ケツボク)失食(シチシキ)深更(シンカウ)夜食五更(カウ)之空腹(クウフク)塩増(エンゾウ)之(ノ)飲水(ヲンスイ)淺味(せンミノ)熱湯(ネツタウ)アツユ寒氣(カンキノ)薄衣(ヱ)炎(エン)天重服(チウフク)皆(ミナ)以テ禁忌(キノ)事候也〔文明四年本〕※熱(ネツ)。寒(カン)。温(ウン)。重服(ジウフク)。愁歎(シウタン)。朦氣(モウキ)。闕乏(ケツホク)。禁忌(キンキ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「過度」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「(クワ)ト」、文明四年本に「クワド」と記載する。
過度(クワド) 。〔言辭門149五〕
過度(クワド・ノリ/スギル、タビ)[去・去入] 。〔態藝門537八〕
過度(クワド) 。〔弘・言語進退門161六〕
過度(クハト) 二義ニ用之。〔永・言語門132八〕
過度(クハト) 二之義用之。〔堯・言語門121九〕
過度(クハト) 二之義ニ用之。〔両・言語門148三〕
過當(クワタウ) ―現(ゲン)。―書(シヨ)。―伴(ハン)。―失(シツ)。―上(シヤウ)。―錢(せン)。―分(ブン)。―怠(タイ)。―去(コ)。―料(レウ)。〔言辭門133四・天理図書館蔵上67オ四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「過度」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
721無指費衰病凡房内ノ過度 夫婦之和合也。〔謙堂文庫蔵六二右@〕
とあって、標記語「過度」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
凡(ヲヨソ)房(バウ)内ノ過度(クハド)ノ濁酒(タク )ノ酩酊(メイテイ)ハ。嫌(キラ)ヒ物ノ事房内(ハウナイ)ノ過度(クハト)トハ日夜ノ女グルイ。房内(バウナイ)ハ女ノ惣名(ソウミヤウ)。過度(クハト)ハ。タビヲ過(スコ)ストヨメリ。此本ノ注ヲ以テ外別ノ事ヲ書付候房内(バウナイ)ト云ル文字ノ心少シキモナシ。〔下38オ四〜六〕
娠(およそ)房内(ばうない)の過度(くわど)/娠房内ノ過度此句より下ハ禁物をいふ。房ハ婦人(ふじん)の居(お)る部屋(へや)也。過度ハ分(ぶん)に過たる也。男女交接(かうせつ)の節(せつ)に過るを云也。 〔95ウ八〜96オ一〕
とあって、この標記語「過度」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くハど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)乃昏沈(こんちん)行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)乃辛苦(しんく)長途(ちやうど)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)乃朦氣(もうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)剩更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)鹽増(えんぞう)乃飲水(ゐんすい)淺味(せんミ)の熱湯(ねつとう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)之(の)事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)/凡房内ノ過度。濁酒ノ酩酊。睡眠ノ昏沈。行儀ノ散動。食物ノ飽満。所作ノ辛労。戀慕ノ辛苦。長途ノ窮屈。旅所ノ疲勞。閑居ノ朦氣。愁歎勞傷。闕乏ノ失食。深更夜食。五更空腹。塩増ノ飲水。淺味熱湯。寒氣薄衣。炎天重服。皆以禁忌事ニ候フ也▲房内過度は男女(なんによ)の交合(まじハり)を過(すご)す也。〔71オ五、71ウ三〕
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くわど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)の昏沈(こんちん)形儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)の辛苦(しんく)長途(ちやうと)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)の朦氣(まうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)深更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)塩増(えんぞう)の飲水(いんすゐ)淺味(せんミ)の熱湯(ねつたう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)の事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)▲房内過度は男女(なんによ)の交合(まじハり)を過(すご)す也。〔127ウ五、128ウ一・二〕
Quado.クヮド(過度) 例,Bo<naino quado.(房内の過度)夫婦が,その交わりを頻繁に行うことによって犯すあやまち,あるいは,不節制.〔邦訳516l〕
くヮ-ど〔名〕【過度】度に過(すご)すこと。程合の、過ぎたること。史記、高祖紀「宮闕壯甚、云云、何治二宮室一過度也」庭訓往來、十一月「房内過度」「過度の勉強」〔580-2〕
房内(ナイ) 。〔元亀二年本28五〕〔静嘉堂本27五〕
房内(ハウナイ) 。〔天正十七年本上14ウ八〕
娠坊内過度濁酒酔酊睡眠昏沈形儀散動食物飽滿所作労苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲労閑居朦氣愁歎勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩○飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌候也〔至徳三年本〕
娠房内過度濁酒醉酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作勞苦戀慕辛苦長途窮崛旅所疲勞閑居朦氣愁嘆勞傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天重服皆以禁忌事也〔宝徳三年本〕
凡房内過度濁酒酩酊睡眠昏沈形儀散動食物飽満所作之辛苦戀慕辛労長途窮屈旅之疲労閑居朦氣愁歎労傷闕乏失食深更夜食五更空腹塩増飲水淺味熱湯寒氣薄衣炎天之重服皆以禁忌事候也〔建部傳内本〕
凡房(ボウ)内ノ過度(ド)濁(タク)酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠(スイメンノ)昏沈(コンチン)形儀(ギヤウキ)ノ散動(サンドウ)食物ノ飽満(バウマン)所作ノ辛勞(シンロウ)戀慕(レンボ)ノ労苦長途(ト)ノ窮屈旅所ノ疲勞(ヒラウ)閑居(キヨ)ノ朦氣愁嘆(シユウタン)ノ勞傷(せウ)闕乏(ケツボク)ノ失(シチ)食深更(シンコウ)ノ夜食五更ノ空腹(クウブク)塩(ヱン)増ノ飲水(インスイ)淺(せン)味ノ熱湯(ネツトウ)寒氣ノ薄衣(ハクヱ)炎(ヱン)天ノ重(デウ)服皆以禁忌(キ)ノ事候也〔山田俊雄藏本〕
凡ソ坊内ノ過度濁酒ノ酩酊(メイテイ)睡眠ノ昏沈(コンチン)形儀ノ散動食物ノ飽満所作ノ辛苦戀慕辛方長途(ト)ノ窮屈旅(レヨ)所ノ疲(ヒ)労閑居ノ朦氣(モウキ)愁歎(タン)ノ勞傷闕乏(ケツホウ)ノ失食(シツシヨク)深更(シンカウ)ノ夜食五更ノ空腹(フク)塩(エン)増ノ飲水(ヲンスイ)淺味(センミ)ノ熱湯寒氣(キ)ノ薄衣(ハクイ)炎天(エンテン)ノ重服皆以テ禁忌ノ事也〔経覺筆本〕
凡(ヲヨソ)房内ノ過度(クワド)ノ濁酒(チヨクシユ)酩酊(メイテイ)睡眠(スイメン)之昏沈(コンチン)形儀(ギヤウギ)散動(サンドウ)食物(クツク)飽満(バウマン)所作(シヨサノ)辛苦(シンク)戀慕(レンホノ)辛苦(シンク)長途(チヤウト)窮屈(キウクツ)旅所之(ノ)疲労(ヒラウ)閑居(カンキヨ)朦氣(モウキ)愁歎(シウタン)之勞傷(ラウシヤウ)闕乏(ケツボク)失食(シチシキ)深更(シンカウ)夜食五更(カウ)之空腹(クウフク)塩増(エンゾウ)之(ノ)飲水(ヲンスイ)淺味(せンミノ)熱湯(ネツタウ)アツユ寒氣(カンキノ)薄衣(ヱ)炎(エン)天重服(チウフク)皆(ミナ)以テ禁忌(キノ)事候也〔文明四年本〕※熱(ネツ)。寒(カン)。温(ウン)。重服(ジウフク)。愁歎(シウタン)。朦氣(モウキ)。闕乏(ケツホク)。禁忌(キンキ)。
と見え、至徳三年本・経覺筆本に「坊内」、宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・文明四年本には、「房内」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「ボウ(ナイ)」と記載する。
房内 云開中也/ハウナイ。〔黒川本・畳字門上26オ四〕
房室過度。〔黒川本・畳字門上27オ八〕
房室 〃内。〔卷第一・畳字門215三〕
房内(バウナイ/フサ・ネヤ、ダイ)[平・去] 。〔態藝門70一〕
とあって、標記語「房内」の語を収載する。印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・両足院本『節用集』には、
房内(ナイ) 。〔弘・言語進退門26三〕
房内(バウナイ) 。〔永・言語門22八〕
房室(バウシツ) ―内。〔堯・言語門20三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「房内」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
721無指費衰病凡房内ノ過度 夫婦之和合也。〔謙堂文庫蔵六二右@〕
※无二指(サせル)費(ツイエ)ヘ一凡ソ房内ノ過度 夫婦之和合也。〔天理図書館蔵『庭訓往來註』〕として、「房内」の語は未記載とする。
とあって、標記語「房内」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
凡(ヲヨソ)房(バウ)内ノ過度(クハド)ノ濁酒(タク )ノ酩酊(メイテイ)ハ。嫌(キラ)ヒ物ノ事房内(ハウナイ)ノ過度(クハト)トハ日夜ノ女グルイ。房内(バウナイ)ハ女ノ惣名(ソウミヤウ)。過度(クハト)ハ。タビヲ過(スコ)ストヨメリ。此本ノ注ヲ以テ外別ノ事ヲ書付候房内(バウナイ)ト云ル文字ノ心少シキモナシ。〔下38オ四〜六〕
娠(およそ)房内(ばうない)の過度(くわど)/娠房内ノ過度此句より下ハ禁物をいふ。房ハ婦人(ふじん)の居(お)る部屋(へや)也。過度ハ分(ぶん)に過たる也。男女交接(かうせつ)の節(せつ)に過るを云也。 〔95ウ八〜96オ一〕
とあって、この標記語「房内」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くハど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)乃昏沈(こんちん)行儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)乃辛苦(しんく)長途(ちやうど)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)乃朦氣(もうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)剩更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)鹽増(えんぞう)乃飲水(ゐんすい)淺味(せんミ)の熱湯(ねつとう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)之(の)事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)/凡房内ノ過度。濁酒ノ酩酊。睡眠ノ昏沈。行儀ノ散動。食物ノ飽満。所作ノ辛労。戀慕ノ辛苦。長途ノ窮屈。旅所ノ疲勞。閑居ノ朦氣。愁歎勞傷。闕乏ノ失食。深更夜食。五更空腹。塩増ノ飲水。淺味熱湯。寒氣薄衣。炎天重服。皆以禁忌事ニ候フ也▲房内過度は男女(なんによ)の交合(まじハり)を過(すご)す也。〔71オ五、71ウ三〕
凡(およそ)房内(ばうない)の過度(くわど)濁酒(だくしゆ)の酩酊(めいてい)睡眠(すゐめん)の昏沈(こんちん)形儀(ぎやうぎ)の散動(さんどう)食物(しよくもつ)の飽満(ばうまん)所作(しよさ)の辛労(しんらう)戀慕(れんぼ)の辛苦(しんく)長途(ちやうと)の窮屈(きうくつ)旅所(りよしよ)の疲労(ひらう)閑居(かんきよ)の朦氣(まうき)愁嘆(しうたん)の勞傷(らうしやう)闕乏(けつぼふ)の失食(しつしよく)深更(しんかう)の夜食(やしよく)五更(ごかう)の空腹(くうふく)塩増(えんぞう)の飲水(いんすゐ)淺味(せんミ)の熱湯(ねつたう)寒氣(かんき)の薄衣(はくえ)炎天(えんてん)の重服(ぢうふく)皆(ミな)以(もつ)て禁忌(きんき)の事(こと)に候(さふら)ふ也(なり)▲房内過度は男女(なんによ)の交合(まじハり)を過(すご)す也。〔127ウ五、128ウ一・二〕
Bo<nai.バウナイ(房内) Tcubonenouchi.(つぼねの内)ある人の家や私室の内.→Quado.〔邦訳60r〕
衰病(ヘイ) 。〔弘・言語進退門272一〕
このように、上記当代の古辞書においては、弘治二年本『節用集』に標記語「衰病」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
721無指費衰病凡房内ノ過度 夫婦之和合也。〔謙堂文庫蔵六二右@〕
※国会図書館藏左貫註は、「無二指セル費ヘ衰病大切也。凡房内過度」と「衰病」の語を収載し、書込注記に「天人五衰也」と記載している。
※无二指(サせル)費(ツイエ)ヘ一凡ソ房内ノ過度 夫婦之和合也。〔天理図書館蔵『庭訓往來註』〕として、「衰病」の語は未記載とする。
とあって、唯一標記語「衰病」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
五木八草之湯治風爐温泉等無指費〔至徳三年本〕
五木八草之湯治風爐温泉等無指費〔宝徳三年本〕
五木八草之湯治風呂温泉等無差費〔建部傳内本〕
五木八草之湯治風呂温泉等ハ無シ‖指(サセル)費(ツイエ)|〔山田俊雄藏本〕
五木八草之(ノ)湯治風爐温泉(テユ)等者无‖指セル費(ツイヘ)|〔経覺筆本〕
五木八草之(ノ)湯治風-爐(ロ)温泉(ウンせン)等無シ‖レ指(サせル)費(ツイヘ)|〔文明四年本〕
と見え、建部傳内本は「差費」とし、至徳三年本・宝徳三年本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本は「指費」と表記し、訓みは経覺筆本に「(さ)せるついへ」、山田俊雄藏本「させるついえ」、文明四年本に「させるついへ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「指せる費」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
721無指費衰病□房内ノ過度 夫婦之和合也。〔謙堂文庫蔵六二右@〕
とあって、標記語「指費」の語を収載し、この語における語注記は「温泉は秦の始皇、天女、古の事なり」と記載する。
五木八草之(ノ)湯治風爐温泉(テユ)等者无‖指セル費(ツイヘ)|療養トハ。療ハ。藥(クスリ)ニテナヲス事。養ハ病人ヲアツカフ事也。起臥(ヲキフシ)行(キヤウ)儀食(シヨク)事ノ寒熱(カンネツ)ヲ能(ヨク)教(ヲシヘ)テアツカフヲ養トハ云フナリ。〔下37ウ八〜下38オ三〕
指(さ)せる費(つゐへ)無(なく)候/無‖指セル費(ツイヘ)|候さしたる物入もなしと也。 〔95ウ六・七〕
とあって、この標記語「指費」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
五木(ごもく)八草(はつさう)之(の)湯治(たうぢ)風呂(ふろ)温泉(おんせん)等(とう)ハ指(させる)費(つひえ)無(なく)候(さふら)ふ/五木八草之湯治風呂温泉等ハ無ク‖指セル費(ツイヘ)|候フ▲。〔71オ三、71オ四〕
五木(ごもく)八草(はつさう)之(の)湯治(たうぢ)風呂(ふろ)温泉(おんせん)等(とう)ハ無(なく)‖指(させる)費(つひえ)|候(さふらふ)フ▲。〔127ウ二、127ウ四・五〕
させる〔連体〕【指】〔指せりの連體形、指すの完了なり〕(一)さしたるの(一)に同じ。和泉式部集、二「我れもさぞ、思ひやりつる、夜もすがら、させるつまなき、宿は如何にと」(二)さしたるの(二)に同じ。「させる才學は無けれども、コ望ある人なり」〔808-2〕
温泉(せン) 。〔元亀二年本181三〕〔静嘉堂本203一〕〔天正十七年本中30ウ七〕
五木八草之湯治風爐温泉等無指費〔至徳三年本〕
五木八草之湯治風爐温泉等無指費〔宝徳三年本〕
五木八草之湯治風呂温泉等無差費〔建部傳内本〕
五木八草之湯治風呂温泉等ハ無シ‖指(サセル)費(ツイエ)|〔山田俊雄藏本〕
五木八草之(ノ)湯治風爐温泉(テユ)等者无‖指セル費(ツイヘ)|〔経覺筆本〕
五木八草之(ノ)湯治風-爐(ロ)温泉(ウンせン)等無シ‖レ指(サせル)費(ツイヘ)|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「温泉」と表記し、訓みは経覺筆本に「でゆ」、文明四年本に「ウンセン」と記載する。
伊豫豫э\四郡 温泉(せン) 。〔弘・日本六十余州名数・南海道六ケ國295四〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』に標記語「温泉」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
720之湯治風呂温泉等者 風呂ハ自‖相國寺|起ル也。温泉ハ秦始皇、天女古ノ事也。〔謙堂文庫蔵六一左H〕
とあって、標記語「温泉」の語を収載し、この語における語注記は「温泉は秦の始皇、天女、古の事なり」と記載する。そして、この注記内容は古辞書には見えていない。
五木八草之(ノ)湯治風爐温泉(テユ)等者无‖指セル費(ツイヘ)|療養トハ。療ハ。藥(クスリ)ニテナヲス事。養ハ病人ヲアツカフ事也。起臥(ヲキフシ)行(キヤウ)儀食(シヨク)事ノ寒熱(カンネツ)ヲ能(ヨク)教(ヲシヘ)テアツカフヲ養トハ云フナリ。〔下37ウ八〜下38オ三〕
温泉(おんせん)等(とう)ハ/温泉等山より自然(しぜん)にわき出る湯なり。諸國あるといへとも攝州(せつしう)の有馬山(ありまやま)、和(わ)州の十津川(とつかわ)、上(じやう)州の伊香保(いかほ)、相(さう)州の熱海(あたミ)、信(しん)州の草津(くさつ)、餘(よ)рフ道後(たうご)を名勝(めいしよう)とす。多(おほく)ハ硫黄(いわう)の薬あり。有馬の湯にハ塩(しほ)の気あり。 〔95ウ六・七〕
とあって、この標記語「温泉」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
五木(ごもく)八草(はつさう)之(の)湯治(たうぢ)風呂(ふろ)温泉(おんせん)等(とう)ハ指(させる)費(つひえ)無(なく)候(さふら)ふ/五木八草之湯治風呂温泉等ハ無ク‖指セル費(ツイヘ)|候フ▲温泉ハ地(ち)よりおのづから涌出(わきいづ)る湯(ゆ)也。攝州(つのくに)有馬(ありま)の湯餘州(よしう)道後(だうご)の湯等乃類なり。〔71オ三、71オ四〕
五木(ごもく)八草(はつさう)之(の)湯治(たうぢ)風呂(ふろ)温泉(おんせん)等(とう)ハ無(なく)‖指(させる)費(つひえ)|候(さふらふ)フ▲温泉ハ地(ち)よりおのづから涌出(わきいづ)る湯(ゆ)也。攝州(つのくに)有馬(ありま)の湯(ゆ)餘州(よしう)道後(だうご)の湯(ゆ)等乃類(るゐ)なり。〔127ウ二、127ウ四・五〕
Vonxen.ヲンセン(温泉) Atatacana izzumi.(温かな泉)入浴場,または,温泉.〔邦訳715r〕
をん-せん〔名〕【温泉】古言、ゆ。いでゆ。泉の熱氣あるもの。諸國に涌出す。多少鐵物の氣あれば、其質に因りて、人、常に浴して、病を醫す。晉書、紀瞻傳「今有二温泉一、而無二寒火一、其故何也」天武紀、下、十三年十月「大地震、云云、伊豫温泉没而不レ出」〔2208-5〕
ふ-ろ〔名〕【風呂・風爐】〔湯室(ゆむろ)の略轉、又、一説に、むろの轉、土窟、石窟の義と(新村出の説)〕(一)浴(ゆあみ)する湯を沸かす槽(ふね)。ゆぶね。浴槽。(二)湯殿。風呂場。今物語「板風呂と云ふものをして、人人入りけるに、云云、風呂の前に脇戸のありけるに、風呂と心得て」海人藻芥(應永)、上「於湯屋風呂進退事、云云、入二風呂一時可下敲レ戸二三度上、是禮也、於二湯屋一雜談、不レ可レ然事也」下學集、上、家屋門「風呂、湯殿也、日本之俗、呂作レ爐、大誤、又曰、爐火器也、風呂温室義同也」愚記(宣胤卿記)文明十二年三月廿五日「參一條殿入二風呂一」守武千句(慶安)「風呂に人、いりては垢を、かきつばた」(三)湯屋。風呂屋。(四)塗師の、漆器を乾かすために、入れおく穴藏。即ち、抛(むろ)の内にて、箱(とこ)の内に水を注ぐ、其状、風呂の如くなればふろと云へど、實はむろの轉なるべし。今、箱の中に納れて乾かす。これ塗師(ぬし)の床(とこ)なり。(五)室町時代には饗應。(下の出典を見よ)俗語考(橘守部)「貞彌の日記(世に花營三代記と云ふ)、春日亭へ風呂御成といふ事、年年あり、云云、案に、此ごろは、風俗に、人をまねきて、燕樂する事を風呂と稱したるものなり、又東國紀行に、湯風呂、石風呂よなど、ねんごろに人をもてなす、云云、なども皆おなじ、こは、湯にいれてのちに、酒宴などする業よりいへるなるべし」〔3-255-1・2〕
五木(ごぼく)八草(はつそう)之(の)湯治(たうぢ)風呂(ふろ)/五木八草之湯治風呂五木ハ桑(くハ)槐(ゑんじゆ)桃(もゝ)楮(かぢ)柳(やなぎ)也。八草ハ蓬(よもき)石菖(せきしやう)牛膝(ごしつ)車前草(しやせんそう)繁?(はこへ)蓮葉(はすのは)薔薇(しやうひ)ばべん草也。五木八草の薬湯(くすりゆ)を風呂にわかして浴(あび)るなり等。 〔95ウ四・五、95ウ五・六〕
とあって、この標記語「八草」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
五木(ごもく)八草(はつさう)之(の)湯治(たうぢ)風呂(ふろ)温泉(おんせん)等(とう)ハ指(させる)費(つひえ)無(なく)候(さふら)ふ/五木八草之湯治風呂温泉等ハ無ク‖指セル費(ツイヘ)|候フ▲八草ハ菖蒲(しやうぶ)艾葉(よもき)車前(おほばこ)荷葉(はすのは)蒼耳(をなもミ)忍冬(すいかつら)馬鞭(うまづら)薬?(はこべ)をいふ。〔71オ二、71オ三・四〕
五木(ごもく)八草(はつさう)之(の)湯治(たうぢ)風呂(ふろ)温泉(おんせん)等(とう)ハ無(なく)‖指(させる)費(つひえ)|候(さふらふ)フ▲八草ハ菖蒲(しやうぶ)艾葉(よもき)車前(おほばこ)荷葉(はすのは)蒼耳(をなもミ)忍冬(すいかつら)馬鞭(うまづら)薬?(はこべ)をいふ。〔127ウ二、127ウ三・四〕
五木(モク) 梅。桃。柳。桑。杉。又ハ除杉入合歓木。〔元亀二年本239十〕
五木(モク) 梅。柳。桃。桑。杉。又ハ除レ杉入ルヽ二合歓木ヲ一。〔静嘉堂本276六〕
五木 梅。桃。柳。桑。杉。又除杉入合歓木。〔天正十七年本中67ウ五〕
五木八草之湯治風爐温泉等無指費〔至徳三年本〕
五木八草之湯治風爐温泉等無指費〔宝徳三年本〕
五木八草之湯治風呂温泉等無差費〔建部傳内本〕
五木八草之湯治風呂温泉等ハ無シ‖指(サセル)費(ツイエ)|〔山田俊雄藏本〕
五木八草之(ノ)湯治風爐温泉(テユ)等者无‖指セル費(ツイヘ)|〔経覺筆本〕
五木八草之(ノ)湯治風-爐(ロ)温泉(ウンせン)等無シ‖レ指(サせル)費(ツイヘ)|〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「五木」と表記する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「五木」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
718大薬秘薬者斟酌之亊候。被∨用‖和薬|者可∨参也。五木 梅桃柳桑杉也。師説ニ除∨杉ヲ被∨入‖歡木ヲ|也。〔謙堂文庫蔵六一左F〕
とあって、標記語「五木」の語を収載し、この語における語注記は「梅・桃・柳・桑・杉なり。師説に杉を除き歡木を入被るなり」と記載し、上記『運歩色葉集』の語注記と共通する。但し、「師説」にという典拠記載が『運歩色葉集』には未記載となっている点が異なっている。
五木八草之(ノ)湯治風爐温泉(テユ)等者无‖指セル費(ツイヘ)|療養トハ。療ハ。藥(クスリ)ニテナヲス事。養ハ病人ヲアツカフ事也。起臥(ヲキフシ)行(キヤウ)儀食(シヨク)事ノ寒熱(カンネツ)ヲ能(ヨク)教(ヲシヘ)テアツカフヲ養トハ云フナリ。〔下37ウ八〜下38オ三〕
五木(ごぼく)八草(はつそう)之(の)湯治(たうぢ)風呂(ふろ)/五木八草之湯治風呂五木ハ桑(くハ)槐(ゑんじゆ)桃(もゝ)楮(かぢ)柳(やなぎ)也。八草ハ蓬(よもき)石菖(せきしやう)牛膝(ごしつ)車前草(しやせんそう)繁?(はこへ)蓮葉(はすのは)薔薇(しやうひ)ばべん草也。五木八草の薬湯(くすりゆ)を風呂にわかして浴(あび)るなり等。 〔95ウ四・五、95ウ五・六〕
とあって、この標記語「五木」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
五木(ごもく)八草(はつさう)之(の)湯治(たうぢ)風呂(ふろ)温泉(おんせん)等(とう)ハ指(させる)費(つひえ)無(なく)候(さふら)ふ/五木八草之湯治風呂温泉等ハ無ク‖指セル費(ツイヘ)|候フ▲五木ハ桑(くハ)槐(ゑんじゆ)楮(かぢ)楡(にれ)柳(やなぎ)也。又桑(くハ)槐(ゑんじゆ)桐(きり)樗(あふち)朴(ほう)をもいふ。〔71オ二、71オ三〕
五木(ごもく)八草(はつさう)之(の)湯治(たうぢ)風呂(ふろ)温泉(おんせん)等(とう)ハ無(なく)‖指(させる)費(つひえ)|候(さふらふ)フ▲五木ハ桑(くハ)槐(えんじゆ)楮(かぢ)楡(にれ)柳(やなぎ)也。又桑(くハ)槐(えんじゆ)桐(きり)樗(あふち)朴(ほう)をもいふ。〔127ウ二、127ウ三〕
Gomocuyu.ゴモクユ(五木湯) 薬用になる五種類の木で作る,洗滌用,あるいは,内服用の薬湯.〔邦訳307l〕
ご-ぼく〔名〕【五木】ごもく(五木)の條を見よ。孔子家語「五木不レ中レ伐、不レ粥二於市一」〔720-4〕
ご-もく〔名〕【五木】槐、柳、桃、桑、楮、の稱。倭名抄、十二14藥名類、湯藥「五木湯、煮二槐、柳、桃、桑、穀(カヂ)、五木一、治二脚氣一」(説文「穀、楮也」)珠嚢隱訣「正月一日、取二五木、煎レ湯以浴、令二人至レ老髪K一」(佩文韻府)庭訓徃來、十一月「五木、八草之湯治」和訓栞、後編、ごもく「五木湯と云ふは、桑、槐、桃、楮、柳、なり、云云、和名抄には、煮と云へば、外の湯藥の如く服するにや」(浴するなり)〔739-2〕
倭藥(ヤク) 。〔元亀二年本87四〕
倭藥 。〔静嘉堂本107五〕
倭藥(ワヤク) 。〔天正十七年本上53オ五〕〔西來寺本〕
被用和薬者可令参也〔至徳三年本〕
被用和藥者可令參也〔宝徳三年本〕
被用和薬者可令参也〔建部傳内本〕
被∨用‖和薬ヲ|者可キ∨令∨参也〔山田俊雄藏本〕
被レハ∨用‖和薬ヲ|者可キ∨参也〔経覺筆本〕
被レハ∨用‖和薬(ワヤク)ヲ|者可∨令(シム)∨参(サン)せ也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「和藥」と表記し、訓みは文明四年本に「ワヤク」と記載する。
倭藥(ワヤク/ヤマト、クスリ)[平・入] 日本藥也。〔態藝門237一〕
和藥(ワヤク) 日本之藥。〔弘・草木門70六〕
和藥(ワヤク) 日本藥。〔永・財宝門71五〕〔堯・財宝門65三〕
和藥(ワヤク) 。〔両・財寳門77四〕
和藥(ワヤク) 。〔草木門66四・天理図書館蔵上33ウ四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「和藥」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。但し、広本『節用集』及び印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本『節用集』に見える語注記「日本の薬なり」は未記載にあり、別文献資料からの引用語であることを示唆すべきものであろう。ここで、表記「倭」は「和」に變遷する形態は印度本『節用集』のなかで、両足院本にその異なりが見えている。そして、その注記も省かれているのである。
さて、真字本『庭訓往来註』十一月十二日の状には、
718大薬秘薬者斟酌之亊候。被∨用‖和薬|者可∨参也。五木 梅桃柳桑杉也。師説ニ除∨板ヲ被∨入‖歡木ヲ|也。〔謙堂文庫蔵六一左F〕
とあって、標記語「和藥」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
療養(レウヤウ)共(トモ)ニ名譽(メイヨ)ノ達者(タツシヤ)拔群(ハツクン)之仁ニ候但(タヽシ)渡唐(トタウ)ノ舟(フネ)依テ‖中絶(チウゼツ)ニ|藥種(シユ)高直(カウジキ)之間(アヒタ)大藥(タイヤク)秘藥(ヒヤク)ハ者可キ∨令∨参(サン)せ也療養トハ。療ハ。藥(クスリ)ニテナヲス事。養ハ病人ヲアツカフ事也。起臥(ヲキフシ)行(キヤウ)儀食(シヨク)事ノ寒熱(カンネツ)ヲ能(ヨク)教(ヲシヘ)テアツカフヲ養トハ云フナリ。〔下37ウ八〜下38オ三〕
和藥(わやく)を用(もち)ひ被ハ/被∨用‖和薬ヲ|者和藥ハ日本にて出来(でき)る薬をいふ。 〔95ウ三〕
とあって、この標記語「和藥」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
但(たゞ)し渡唐(とたう)之(の)船(ふね)中絶(ちうぜつ)に依(よつ)て藥種(やくしゆ)高直(かうちき)之(の)間(あいだ)大藥(だいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)斟酌(じんしやく)の事(こと)に候(さふら)ふ和藥(わやく)を用(もち)ひら被(れ)者(バ)参(さん)ぜ令(し)む可(べ)き也(なり)/但シ渡唐之舩依テ‖中絶ニ|藥種高直之間。大藥秘藥者斟酌ノ事ニ候フ。被∨用ヒテ‖和藥ヲ|者可キ∨令ム∨参せ也▲和藥ハ日本(につほん)の地(ち)に産(さん)する薬種(やくしゆ)也。〔70ウ七、71オ二〕
但(たゞし)渡唐(とたう)之(の)舩(ふね)依(よつて)‖中絶(ちうせつに)|藥種(やくしゆ)高直(かうぢき)之(の)間(あひだ)大藥(だいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)斟酌(しんしやく)の事(こと)に候(さふら)ふ。被(れ)∨用(もち)ひら‖和藥(わやく)を|者(バ)可(へき)∨令(しむ)∨参(さん)ぜ也(なり)▲和藥ハ日本(につほん)の地(ち)に産(さん)する薬種(やくしゆ)也。〔127オ四、127ウ一〕
Vayacu.ワヤク(和藥) 日本の薬.→To<mot.〔邦訳682l〕
わ-やく〔名〕【和藥】〔漢藥、洋藥に對す〕日本の醫術に用ゐる藥。和製の藥。尺素徃來「硫黄、并甘勿等之和藥者御所持之閨A云云」〔2173-4〕
秘藥(ヤク) 。〔元亀二年本339九〕
秘藥 。〔静嘉堂本407五〕
但渡唐之舩依中絶藥種高直之間大藥秘藥者斟酌事候〔至徳三年本〕
但渡唐之船依中絶藥種高直候之間大藥秘藥者斟酌事候〔宝徳三年本〕
但渡唐之舩依中絶藥種高直候之間大藥秘藥者斟酌候〔建部傳内本〕
但渡唐(トトウ)ノ舩久ク依テ‖中絶ニ|藥種高直ニ候之間大藥秘藥ハ者斟酌ノ事候〔山田俊雄藏本〕
但シ渡唐(ト )之(ノ)舟依テ‖中絶ニ|藥種(シユ)高直候之間大藥秘藥者(ハ)斟酌(シンシヤク)候〔経覺筆本〕
但渡唐(トタウ)ノ舩依テ‖中絶(チウせツ)ニ|藥種高直(カウチキ)ニ候之間大藥秘藥斟酌之(ノ)事候〔文明四年本〕 ※斟酌(シンシヤク)
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「秘藥」と表記し、訓みは文明四年本に「トタウ」と記載する。
秘藥(ヒヤク/ヒソカ・カクス、クスリ)[去・入] 。〔態藝門1039一〕
秘蔵(ヒサウ) ―計(ケイ)。―術(ジユツ)。―亊(ジ)。―薬(ヤク)。―密(ミツ)。―法。―曲(キヨク)。〔永・言語門218五〕
秘蔵 ―計。―術。―亊。―曲。―薬。―蜜。―法。〔堯・言語門203七〕
秘密 ―計(ケイ)。―要(ヨウ)。―傳(デン)。―術(ジユツ)。―曲(キヨク)。―書(シヨ)。―事(ジ)。―藏(サウ)。〔言辞門226三・天理図書館蔵下46オ三〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』・『運歩色葉集』に標記語「秘藥」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
718大薬秘薬者斟酌之亊候。被∨用‖和薬|者可∨参也。五木 梅桃柳桑杉也。師説ニ除∨板ヲ被∨入‖歡木ヲ|也。〔謙堂文庫蔵六一左F〕
とあって、標記語「秘藥」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
療養(レウヤウ)共(トモ)ニ名譽(メイヨ)ノ達者(タツシヤ)拔群(ハツクン)之仁ニ候但(タヽシ)渡唐(トタウ)ノ舟(フネ)依テ‖中絶(チウゼツ)ニ|藥種(シユ)高直(カウジキ)之間(アヒタ)大藥(タイヤク)秘藥(ヒヤク)ハ者可キ∨令∨参(サン)せ也療養トハ。療ハ。藥(クスリ)ニテナヲス事。養ハ病人ヲアツカフ事也。起臥(ヲキフシ)行(キヤウ)儀食(シヨク)事ノ寒熱(カンネツ)ヲ能(ヨク)教(ヲシヘ)テアツカフヲ養トハ云フナリ。〔下37ウ八〜下38オ三〕
大藥(たいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)/大藥秘藥者是ハ貴(たつと)き唐藥(とうやく)を云。 〔95ウ一・二〕
とあって、この標記語「秘藥」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
但(たゞ)し渡唐(とたう)之(の)船(ふね)中絶(ちうぜつ)に依(よつ)て藥種(やくしゆ)高直(かうちき)之(の)間(あいだ)大藥(だいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)斟酌(じんしやく)の事(こと)に候(さふら)ふ和藥(わやく)を用(もち)ひら被(れ)者(バ)参(さん)ぜ令(し)む可(べ)き也(なり)/但シ渡唐之舩依テ‖中絶ニ|藥種高直之間。大藥秘藥者斟酌ノ事ニ候フ。被∨用ヒテ‖和藥ヲ|者可キ∨令ム∨参せ也▲秘薬ハ製方(せいはう)組方(くみはう)に秘事(びじ)ある薬(くすり)をいふ。但(たゞ)し爰(こゝ)ハ唐薬(たうやく)を指(さ)せると見て可(か)なるべし。〔70ウ七、71オ一・二〕
但(たゞし)渡唐(とたう)之(の)舩(ふね)依(よつて)‖中絶(ちうせつに)|藥種(やくしゆ)高直(かうぢき)之(の)間(あひだ)大藥(だいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)斟酌(しんしやく)の事(こと)に候(さふら)ふ。被(れ)∨用(もち)ひら‖和藥(わやく)を|者(バ)可(へき)∨令(しむ)∨参(さん)ぜ也(なり)▲秘薬ハ製方(せいはう)組方(くみはう)に秘事(ひじ)ある薬(くすり)をいふ。但(たゞ)し爰(こゝ)ハ唐薬(たうやく)を指(さ)せると見て可(か)なるべし。〔127オ四、127ウ一〕
Fiyacu.ヒヤク(秘藥) すぐに効き目を現わす,非常に貴重な,秘密にしている薬.¶また,ある場合には,微細な少量の薬の意に用いる.〔邦訳253l〕
但渡唐之舩依中絶藥種高直之間大藥秘藥者斟酌事候〔至徳三年本〕
但渡唐之船依中絶藥種高直候之間大藥秘藥者斟酌事候〔宝徳三年本〕
但渡唐之舩依中絶藥種高直候之間大藥秘藥者斟酌候〔建部傳内本〕
但渡唐(トトウ)ノ舩久ク依テ‖中絶ニ|藥種高直ニ候之間大藥秘藥ハ者斟酌ノ事候〔山田俊雄藏本〕
但シ渡唐(ト )之(ノ)舟依テ‖中絶ニ|藥種(シユ)高直候之間大藥秘藥者(ハ)斟酌(シンシヤク)候〔経覺筆本〕
但渡唐(トタウ)ノ舩依テ‖中絶(チウせツ)ニ|藥種高直(カウチキ)ニ候之間大藥秘藥斟酌之(ノ)事候〔文明四年本〕 ※斟酌(シンシヤク)
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「大藥」と表記する。
718大薬秘薬者斟酌之亊候。被∨用‖和薬|者可∨参也。五木 梅桃柳桑杉也。師説ニ除∨板ヲ被∨入‖歡木ヲ|也。〔謙堂文庫蔵六一左F〕
とあって、標記語「大藥」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
療養(レウヤウ)共(トモ)ニ名譽(メイヨ)ノ達者(タツシヤ)拔群(ハツクン)之仁ニ候但(タヽシ)渡唐(トタウ)ノ舟(フネ)依テ‖中絶(チウゼツ)ニ|藥種(シユ)高直(カウジキ)之間(アヒタ)大藥(タイヤク)秘藥(ヒヤク)ハ者可キ∨令∨参(サン)せ也療養トハ。療ハ。藥(クスリ)ニテナヲス事。養ハ病人ヲアツカフ事也。起臥(ヲキフシ)行(キヤウ)儀食(シヨク)事ノ寒熱(カンネツ)ヲ能(ヨク)教(ヲシヘ)テアツカフヲ養トハ云フナリ。〔下37ウ八〜下38オ三〕
大藥(たいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)/大藥秘藥者是ハ貴(たつと)き唐藥(とうやく)を云。 〔95ウ一・二〕
とあって、この標記語「大藥」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
但(たゞ)し渡唐(とたう)之(の)船(ふね)中絶(ちうぜつ)に依(よつ)て藥種(やくしゆ)高直(かうちき)之(の)間(あいだ)大藥(だいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)斟酌(じんしやく)の事(こと)に候(さふら)ふ和藥(わやく)を用(もち)ひら被(れ)者(バ)参(さん)ぜ令(し)む可(べ)き也(なり)/但シ渡唐之舩依テ‖中絶ニ|藥種高直之間。大藥秘藥者斟酌ノ事ニ候フ。被∨用ヒテ‖和藥ヲ|者可キ∨令ム∨参せ也▲大薬未∨考。〔70ウ七、71オ一〕
但(たゞし)渡唐(とたう)之(の)舩(ふね)依(よつて)‖中絶(ちうせつに)|藥種(やくしゆ)高直(かうぢき)之(の)間(あひだ)大藥(だいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)斟酌(しんしやく)の事(こと)に候(さふら)ふ。被(れ)∨用(もち)ひら‖和藥(わやく)を|者(バ)可(へき)∨令(しむ)∨参(さん)ぜ也(なり)▲大薬未∨考。〔127オ四、127オ六〕
Taiyacu.タイヤク(大藥) すなわち,Tacai cusuri.(高い薬)高価な,上等の薬.〔邦訳606r〕
高直(チキ) 。〔元亀二年本91二〕
高直(カウチキ) 。〔静嘉堂本112五〕
高直(シキ) 。〔天正十二年本上55ウ二〕
但渡唐之舩依中絶藥種高直之間大藥秘藥者斟酌事候〔至徳三年本〕
但渡唐之船依中絶藥種高直候之間大藥秘藥者斟酌事候〔宝徳三年本〕
但渡唐之舩依中絶藥種高直候之間大藥秘藥者斟酌候〔建部傳内本〕
但渡唐(トトウ)ノ舩久ク依テ‖中絶ニ|藥種高直ニ候之間大藥秘藥ハ者斟酌ノ事候〔山田俊雄藏本〕
但シ渡唐(ト )之(ノ)舟依テ‖中絶ニ|藥種(シユ)高直候之間大藥秘藥者(ハ)斟酌(シンシヤク)候〔経覺筆本〕
但渡唐(トタウ)ノ舩依テ‖中絶(チウせツ)ニ|藥種高直(カウチキ)ニ候之間大藥秘藥斟酌之(ノ)事候〔文明四年本〕 ※斟酌(シンシヤク)
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「高直」と表記し、訓みは文明四年本に「カウチキ」と記載する。
高直 カウチキ/同(資用部)/商賈分。〔黒川本・畳字門上89ウ一〕
高直(カウヂキ/タカシ、チヨク・ナヲシ・アタイ)[平・入] 代(シロ)。〔態藝門275五〕
高直 代也。〔弘・言語進退門86七〕
高名(カウミヤウ) ―聞(フン)。―覧(ラン)。―察(サツ)。―声(シヤウ)。―直(ヂキ)。―運(ウン)。〔永・言語門82五〕
高名(カウミヤウ) ―卑。―家。―下。―聞。―覧。―察。―声。―直。―運。〔堯・言語門74九〕高名(カウミヤウ) ―聞。―覧。―察。―声。―直。―運。〔両・言語門90一〕
高直(ヂキ) 。〔言語門77四・天理図書館蔵上39オ四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「高直」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
717但渡唐ノ舩依テ‖中絶ニ|藥種高直之間 唐舩ハ昔自‖日本|毎年於‖太唐ニ|運‖-上官物|。其官貢ノ使ヲ号‖遣唐使ト|。舩ノ額ヲ打‖進亊貢舩ト|、官勘合ヲハ用‖勅書ヲ|。官物ニハ馬・太刀・扇子也。扇子ハ三本也。書ハ一本ニハ畫‖冨士山ヲ|。一本ニハ畫‖志賀唐崎ノ一ツ松ヲ|。一本ニハ畫‖博多箱崎ノ松原ノ体ヲ|。又舟之幕ハ少貮家之幕ヲ用也。寄_垣(ヨセ−)ノ之紋也云々。〔謙堂文庫蔵六一左C〕
とあって、標記語「高直」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
療養(レウヤウ)共(トモ)ニ名譽(メイヨ)ノ達者(タツシヤ)拔群(ハツクン)之仁ニ候但(タヽシ)渡唐(トタウ)ノ舟(フネ)依テ‖中絶(チウゼツ)ニ|藥種(シユ)高直(カウジキ)之間(アヒタ)大藥(タイヤク)秘藥(ヒヤク)ハ者可キ∨令∨参(サン)せ也療養トハ。療ハ。藥(クスリ)ニテナヲス事。養ハ病人ヲアツカフ事也。起臥(ヲキフシ)行(キヤウ)儀食(シヨク)事ノ寒熱(カンネツ)ヲ能(ヨク)教(ヲシヘ)テアツカフヲ養トハ云フナリ。〔下37ウ八〜下38オ三〕
藥種(やくしゆ)高直(かうじき)之(の)間(あいだ)/藥種高直之間唐へ便(たよ)りの舟もなきゆへ薬種の來らさるにより払底(ふつてい)にして直段(ねだん)高しと也。 〔95オ八〜95ウ一〕
とあって、この標記語「高直」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
但(たゞ)し渡唐(とたう)之(の)船(ふね)中絶(ちうぜつ)に依(よつ)て藥種(やくしゆ)高直(かうちき)之(の)間(あいだ)大藥(だいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)斟酌(じんしやく)の事(こと)に候(さふら)ふ和藥(わやく)を用(もち)ひら被(れ)者(バ)参(さん)ぜ令(し)む可(べ)き也(なり)/但シ渡唐之舩依テ‖中絶ニ|藥種高直之間。大藥秘藥者斟酌ノ事ニ候フ。被∨用ヒテ‖和藥ヲ|者可キ∨令ム∨参せ也。〔70ウ七〕
但(たゞし)渡唐(とたう)之(の)舩(ふね)依(よつて)‖中絶(ちうせつに)|藥種(やくしゆ)高直(かうぢき)之(の)間(あひだ)大藥(だいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)斟酌(しんしやく)の事(こと)に候(さふら)ふ。被(れ)∨用(もち)ひら‖和藥(わやく)を|者(バ)可(へき)∨令(しむ)∨参(さん)ぜ也(なり)〔127オ四〕
Co<giqi.カゥヂキ(高直) 高価.¶Co<giqina coto.(高直な事)費用の多くかかる事,または,高価な事.〔邦訳141r〕
かう-ぢき〔名〕【高直】〔高直(たかね)の字を音讀したる語〕たかね。直段(ねだん)の、低(やす)からぬこと。高價。庭訓徃來、十一月「渡唐之船依二中絶一、藥種高直之閨v〔2-575-4〕
藥種(シユ) 。〔元亀二年本201四〕
藥種(ヤクシユ) 。〔静嘉堂本227五〕
※天正十七年本は此の語を未収載にする。
但渡唐之舩依中絶藥種高直之間大藥秘藥者斟酌事候〔至徳三年本〕
但渡唐之船依中絶藥種高直候之間大藥秘藥者斟酌事候〔宝徳三年本〕
但渡唐之舩依中絶藥種高直候之間大藥秘藥者斟酌候〔建部傳内本〕
但渡唐(トトウ)ノ舩久ク依テ‖中絶ニ|藥種高直ニ候之間大藥秘藥ハ者斟酌ノ事候〔山田俊雄藏本〕
但シ渡唐(ト )之(ノ)舟依テ‖中絶ニ|藥種(シユ)高直候之間大藥秘藥者(ハ)斟酌(シンシヤク)候〔経覺筆本〕
但渡唐(トタウ)ノ舩依テ‖中絶(チウせツ)ニ|藥種高直(カウチキ)ニ候之間大藥秘藥斟酌之(ノ)事候〔文明四年本〕 ※斟酌(シンシヤク)
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「藥種」と表記し、訓みは経覺筆本に「(ヤク)シユ」と記載する。
藥種(ヤクシユ) 。〔器財門137七・天理図書館蔵下一ウ七〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』及び易林本『節用集』に標記語「藥種」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
717但渡唐ノ舩依テ‖中絶ニ|藥種高直之間 唐舩ハ昔自‖日本|毎年於‖太唐ニ|運‖-上官物|。其官貢ノ使ヲ号‖遣唐使ト|。舩ノ額ヲ打‖進亊貢舩ト|、官勘合ヲハ用‖勅書ヲ|。官物ニハ馬・太刀・扇子也。扇子ハ三本也。書ハ一本ニハ畫‖冨士山ヲ|。一本ニハ畫‖志賀唐崎ノ一ツ松ヲ|。一本ニハ畫‖博多箱崎ノ松原ノ体ヲ|。又舟之幕ハ少貮家之幕ヲ用也。寄_垣(ヨセ−)ノ之紋也云々。〔謙堂文庫蔵六一左C〕
とあって、標記語「藥種」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
療養(レウヤウ)共(トモ)ニ名譽(メイヨ)ノ達者(タツシヤ)拔群(ハツクン)之仁ニ候但(タヽシ)渡唐(トタウ)ノ舟(フネ)依テ‖中絶(チウゼツ)ニ|藥種(シユ)高直(カウジキ)之間(アヒタ)大藥(タイヤク)秘藥(ヒヤク)ハ者可キ∨令∨参(サン)せ也療養トハ。療ハ。藥(クスリ)ニテナヲス事。養ハ病人ヲアツカフ事也。起臥(ヲキフシ)行(キヤウ)儀食(シヨク)事ノ寒熱(カンネツ)ヲ能(ヨク)教(ヲシヘ)テアツカフヲ養トハ云フナリ。〔下37ウ八〜下38オ三〕
藥種(やくしゆ)高直(かうじき)之(の)間(あいだ)/藥種高直之間唐へ便(たよ)りの舟もなきゆへ薬種の來らさるにより払底(ふつてい)にして直段(ねだん)高しと也。 〔95オ八〜95ウ一〕
とあって、この標記語「藥種」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
但(たゞ)し渡唐(とたう)之(の)船(ふね)中絶(ちうぜつ)に依(よつ)て藥種(やくしゆ)高直(かうちき)之(の)間(あいだ)大藥(だいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)斟酌(じんしやく)の事(こと)に候(さふら)ふ和藥(わやく)を用(もち)ひら被(れ)者(バ)参(さん)ぜ令(し)む可(べ)き也(なり)/但シ渡唐之舩依テ‖中絶ニ|藥種高直之間。大藥秘藥者斟酌ノ事ニ候フ。被∨用ヒテ‖和藥ヲ|者可キ∨令ム∨参せ也。〔70ウ七〕
但(たゞし)渡唐(とたう)之(の)舩(ふね)依(よつて)‖中絶(ちうせつに)|藥種(やくしゆ)高直(かうぢき)之(の)間(あひだ)大藥(だいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)斟酌(しんしやく)の事(こと)に候(さふら)ふ。被(れ)∨用(もち)ひら‖和藥(わやく)を|者(バ)可(へき)∨令(しむ)∨参(さん)ぜ也(なり)〔127オ四〕
但渡唐舟依中絶藥種高直之間大藥秘藥者可令参也。〔126ウ六〕
Yacuxu.ヤクシユ(藥種) 薬の原料.〔邦訳806r〕
やく-しゅ〔名〕【藥種】薬用の料の物。きぐすり。藥材。庭訓徃來、十一月「渡唐之船依二中絶一、藥種高直之閨A大藥秘藥者斟酌之事候」〔4-656-4〕
中絶(ゼツ) 久ク交ハテ――(チウセツスルヲ)費(ツイヘト云)也。曽子。〔元亀二年本64一〕
中絶 ――費。曽子。〔静嘉堂本74四・五〕
中絶(せツ) 久交――費。曽子。〔天正十七年本上37ウ二〕〔西來寺本〕
但渡唐之舩依中絶藥種高直之間大藥秘藥者斟酌事候〔至徳三年本〕
但渡唐之船依中絶藥種高直候之間大藥秘藥者斟酌事候〔宝徳三年本〕
但渡唐之舩依中絶藥種高直候之間大藥秘藥者斟酌候〔建部傳内本〕
但渡唐(トトウ)ノ舩久ク依テ‖中絶ニ|藥種高直ニ候之間大藥秘藥ハ者斟酌ノ事候〔山田俊雄藏本〕
但シ渡唐(ト )之(ノ)舟依テ‖中絶ニ|藥種(シユ)高直候之間大藥秘藥者(ハ)斟酌(シンシヤク)候〔経覺筆本〕
但渡唐(トタウ)ノ舩依テ‖中絶(チウせツ)ニ|藥種高直(カウチキ)ニ候之間大藥秘藥斟酌之(ノ)事候〔文明四年本〕 ※斟酌(シンシヤク)
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「中絶」と表記し、訓みは文明四年本に「チウセツ」と記載する。
中絶(チウせツ・アタル/ナカ、タヱル)[平・入] 。〔態藝門166一〕
中絶(ゼツ) 。〔弘・言語進退門51八〕
中間(チウゲン) ―門(チウモン)。―興(コウ)。―瀏。―媒(バイ)。―夭(ヨウ)。―戸(コ)。―分(フン)。―古(コト)。―庸(ヨウ)。―絶(ゼツ)。〔永・言語門52七〕
中間(チウケン) ―門。―興。―瀏。―媒。―夭。―戸。―分。―古。―庸。―絶。〔堯・言語門47九〕
中絶(―ぜツ) 。〔言語門52五・天理図書館蔵上26ウ五〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に標記語「中絶」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
717但渡唐ノ舩依テ‖中絶ニ|藥種高直之間 唐舩ハ昔自‖日本|毎年於‖太唐ニ|運‖-上官物|。其官貢ノ使ヲ号‖遣唐使ト|。舩ノ額ヲ打‖進亊貢舩ト|、官勘合ヲハ用‖勅書ヲ|。官物ニハ馬・太刀・扇子也。扇子ハ三本也。書ハ一本ニハ畫‖冨士山ヲ|。一本ニハ畫‖志賀唐崎ノ一ツ松ヲ|。一本ニハ畫‖博多箱崎ノ松原ノ体ヲ|。又舟之幕ハ少貮家之幕ヲ用也。寄_垣(ヨセ−)ノ之紋也云々。〔謙堂文庫蔵六一左C〕
とあって、標記語「中絶」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
療養(レウヤウ)共(トモ)ニ名譽(メイヨ)ノ達者(タツシヤ)拔群(ハツクン)之仁ニ候但(タヽシ)渡唐(トタウ)ノ舟(フネ)依テ‖中絶(チウゼツ)ニ|藥種(シユ)高直(カウジキ)之間(アヒタ)大藥(タイヤク)秘藥(ヒヤク)ハ者可キ∨令∨参(サン)せ也療養トハ。療ハ。藥(クスリ)ニテナヲス事。養ハ病人ヲアツカフ事也。起臥(ヲキフシ)行(キヤウ)儀食(シヨク)事ノ寒熱(カンネツ)ヲ能(ヨク)教(ヲシヘ)テアツカフヲ養トハ云フナリ。〔下37ウ八〜下38オ三〕
但(たゝ)し渡唐(ととう)之(の)舩(ふね)中絶(ちうぜつ)に依(よつ)て/但シ渡唐之舩依テ‖中絶ニ|渡唐とハ唐(から)へ行事也。中絶ハなかころたへたると讀。 〔95オ七・八〕
とあって、この標記語「中絶」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
但(たゞ)し渡唐(とたう)之(の)船(ふね)中絶(ちうぜつ)に依(よつ)て藥種(やくしゆ)高直(かうちき)之(の)間(あいだ)大藥(だいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)斟酌(じんしやく)の事(こと)に候(さふら)ふ和藥(わやく)を用(もち)ひら被(れ)者(バ)参(さん)ぜ令(し)む可(べ)き也(なり)/但シ渡唐之舩依テ‖中絶ニ|藥種高直之間。大藥秘藥者斟酌ノ事ニ候フ。被∨用ヒテ‖和藥ヲ|者可キ∨令ム∨参せ也。〔70ウ七〕
但(たゞし)渡唐(とたう)之(の)舩(ふね)依(よつて)‖中絶(ちうせつに)|藥種(やくしゆ)高直(かうぢき)之(の)間(あひだ)大藥(だいやく)秘藥(ひやく)者(ハ)斟酌(しんしやく)の事(こと)に候(さふら)ふ。被(れ)∨用(もち)ひら‖和藥(わやく)を|者(バ)可(へき)∨令(しむ)∨参(さん)ぜ也(なり)〔127オ四〕
Chu'jet.チュウゼツ(中絶) Naca tayuru.(中絶ゆる)物事を中止すること,あるいは,中断すること.¶また,友情の破綻.〔邦訳130r〕
ちュう-ぜつ〔名〕【中絶】なかほどにてたゆること。半途に止むこと。張衡、南都賦「或豁爾而中絶」醒睡笑(元和、安樂庵策傳)二「久しく交りて中絶す」〔3-360-1〕
渡唐(タウ) 。〔元亀二年本56一〕
渡唐(トタウ) 。〔静嘉堂本63一〕
渡唐 。〔天正十七年本上32オ八〕
但渡唐之舩依中絶藥種高直之間大藥秘藥者斟酌事候〔至徳三年本〕
但渡唐之船依中絶藥種高直候之間大藥秘藥者斟酌事候〔宝徳三年本〕
但渡唐之舩依中絶藥種高直候之間大藥秘藥者斟酌候〔建部傳内本〕
但渡唐(トトウ)ノ舩久ク依テ‖中絶ニ|藥種高直ニ候之間大藥秘藥ハ者斟酌ノ事候〔山田俊雄藏本〕
但シ渡唐(ト )之(ノ)舟依テ‖中絶ニ|藥種(シユ)高直候之間大藥秘藥者(ハ)斟酌(シンシヤク)候〔経覺筆本〕
但渡唐(トタウ)ノ舩依テ‖中絶(チウせツ)ニ|藥種高直(カウチキ)ニ候之間大藥秘藥斟酌之(ノ)事候〔文明四年本〕 ※斟酌(シンシヤク)
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「渡唐」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「トトウ」、経覺筆本に「ト(タウ)」、文明四年本に「トタウ」と記載する。
渡唐(――/ワタル、カラ)[○・○] 。〔態藝門144三〕
渡唐(トタウ) 。〔弘・言語進退門46三〕〔両・言語門49八〕
渡海(トカイ) ―唐(タウ)。―御(トキヨ)。―世。〔永・言語門45二〕
渡海(トカイ) ―唐(タウ)。―御(トキヨ)。―世也。〔堯・言語門41七〕
渡唐(トタウ) 。〔言語門44一・天理図書館蔵上22ウ一〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「渡唐」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
717但渡唐ノ舩依テ‖中絶ニ|藥種高直之間 唐舩ハ昔自‖日本|毎年於‖太唐ニ|運‖-上官物|。其官貢ノ使ヲ号‖遣唐使ト|。舩ノ額ヲ打‖進亊貢舩ト|、官勘合ヲハ用‖勅書ヲ|。官物ニハ馬・太刀・扇子也。扇子ハ三本也。書ハ一本ニハ畫‖冨士山ヲ|。一本ニハ畫‖志賀唐崎ノ一ツ松ヲ|。一本ニハ畫‖博多箱崎ノ松原ノ体ヲ|。又舟之幕ハ少貮家之幕ヲ用也。寄_垣(ヨセ−)ノ之紋也云々。〔謙堂文庫蔵六一左C〕
とあって、標記語「渡唐」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
療養(レウヤウ)共(トモ)ニ名譽(メイヨ)ノ達者(タツシヤ)拔群(ハツクン)之仁ニ候但(タヽシ)渡唐(トタウ)ノ舟(フネ)依テ‖中絶(チウゼツ)ニ|藥種(シユ)高直(カウジキ)之間(アヒタ)大藥(タイヤク)秘藥(ヒヤク)ハ者可キ∨令∨参(サン)せ也療養トハ。療ハ。藥(クスリ)ニテナヲス事。養ハ病人ヲアツカフ事也。起臥(ヲキフシ)行(キヤウ)儀食(シヨク)事ノ寒熱(カンネツ)ヲ能(ヨク)教(ヲシヘ)テアツカフヲ養トハ云フナリ。〔下37ウ八〜下38オ三〕
但(たゝ)し渡唐(ととう)之(の)舩(ふね)中絶(ちうぜつ)に依(よつ)て/但シ渡唐之舩依テ‖中絶ニ|渡唐とハ唐(から)へ行事也。中絶ハなかころたへたると讀。 〔95オ七・八〕
とあって、この標記語「渡唐」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
但(たゞ)し渡唐(とたう)之(の)船(ふね)中絶(ちうぜつ)に依(よつ)て/但シ渡唐之舩依テ‖中絶ニ|〔70ウ七〕
但(たゞし)渡唐(とたう)之(の)舩(ふね)依(よつて)‖中絶(ちうせつに)|。〔127オ四〕
Toto<.トタゥ(渡唐) Taito<ni vataru.(大唐に渡る)シナへ渡ること.〔邦訳670r〕
と-たう〔名〕【渡唐】唐土(もろこし)へ渡り行くこと。入唐。帝王編年紀、十一「吉備眞吉備、云云、入唐留學十八年、靈龜二年渡唐、天平七年歸朝」大乘院寺社雜事記、文明五年六月十七日「渡唐船巡風樣、天竺人西忍入道説者、兩度渡唐之閨A巨細存知」。〔3-555-3〕
拔郡(ハツクン) 。〔元亀二年本25六〕
拔群(グン) 。〔静嘉堂本23四〕
拔群(ハツクン) 。〔天正十七年本上12ウ六〕〔西來寺本〕
療養共名譽達者拔群仁候〔至徳三年本〕
療養共名譽達者抜群之仁候〔宝徳三年本〕
療養共名誉達者拔群之仁候〔建部傳内本〕
療養共ニ名誉ノ達者抜-群(バツ クン)之(ノ)仁ニ候〔山田俊雄藏本〕
療養共ニ名誉(メイヨ)ノ達者(タツシヤ)抜群(ハツクン)之仁ニ候〔経覺筆本〕
療養(レウヤウ)共ニ名誉(ヨ)之(ノ)達(タツ)-者抜-群(ハツクン)之(ノ)仁ニ候〔文明四年本〕 ※名譽(メイヨ)。※拔群(ハツクン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「拔群」と表記し、訓みは山田俊雄藏本に「バツクン」、経覺筆本・文明四年本に「ハツクン」と記載する。
拔郡(人―ツクンニ)―群也 同(才智部)/ハツクン。〔黒川本・畳字門上26ウ二〕
拔萃―粋イ 〃膓。〃出。〃頭舞。〃済。〃刺。〃郡。〔卷第一・畳字門210五〕
拔群(バツクン) 。〔言辞門149三〕
拔群(ハツクン/ヌク、ムラガル)[入・○] 。〔態藝門78一〕
拔群(バツグン) 勝人義。〔弘・言語進退門25三〕
拔禊(ハツケイ)石名 ―萃(スイ)利根也。―群(クン)。―刀(タウ)。〔永・言語門21八〕
拔禊(ハツケイ) ―萃利根也。―群。―刀。〔堯・言語門19六〕
拔羣(バツクン) 。〔言語門22七・天理図書館蔵上11ウ七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「拔群」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。語注記は唯一、弘治二年本に見えているが、真名注にはその記載は見えていない。
716誦‖-明シテ/シ一流之書籍ヲ|療養共ニ名誉之達者抜-群之仁ニ候 言ハ風寒暑湿ノ四氣、風寒湿暑燥熱ノ六淫、喜怒憂悲思恐驚ノ七情、外(ハツルヽ)病無∨之能達‖脈論|。神農ノ本草ニハ薬種三百六十五種也。其内或君藥百廿種、臣藥百廿種、佐使藥百五種也。然ルニ上藥百廿種、為テ∨君ト主‖養-性ヲ|。以応シテ∨天ニ无∨毒。或ハ中藥百廿種為∨臣。主∨養∨命ヲ以應シテ∨人ニ有∨毒无∨毒。下藥百弐十五種為‖佐使|主治病ヲ、以応∨地ニ多∨毒也。都合三品ニ三百六十五種也。莫∨外‖彼藥ニ|能ク鍛錬ノ仁ヲ一流一篇之仁ト云也。〔謙堂文庫蔵六一右G〕
とあって、標記語「拔群」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
療養(レウヤウ)共(トモ)ニ名譽(メイヨ)ノ達者(タツシヤ)拔群(ハツクン)之仁ニ候但(タヽシ)渡唐(トタウ)ノ舟(フネ)依テ‖中絶(チウゼツ)ニ|藥種(シユ)高直(カウジキ)之間(アヒタ)大藥(タイヤク)秘藥(ヒヤク)ハ者可キ∨令∨参(サン)せ也療養トハ。療ハ。藥(クスリ)ニテナヲス事。養ハ病人ヲアツカフ事也。起臥(ヲキフシ)行(キヤウ)儀食(シヨク)事ノ寒熱(カンネツ)ヲ能(ヨク)教(ヲシヘ)テアツカフヲ養トハ云フナリ。〔下37ウ八〜下38オ三〕
療養(りやうやう)共(とも)に名譽(めいよ)の達者(たつしや)拔群(ばつくん)之(の)仁(じん)候/療養共ニ名誉之達者抜-群之仁ニ候療ハ療治病ひを治(ぢ)し去(さ)るを云。養ハ養生氣を養ひ立るを云なり。名譽ハ名ありほまれある也。抜群ハ衆人にすくれたる也。候とハあると云事也。 〔95オ六・七〕
とあって、この標記語「拔群」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
療養(りやうやう)共(とも)に名譽(めいよ)の達者(たつしや)拔群(ばつくん)之(の)仁(じん)候(さふら)ふ/療養共ニ名誉ノ達者。抜-群之仁候フ▲拔群ハ衆人(しゆにん)に勝(すぐ)るゝなり。〔70ウ四、70ウ七〕
療養(れうやう)共(とも)に名誉(めいよ)の達者(たつしや)拔群(ばつくん)之(の)仁(じん)候(さふらふ)▲拔群ハ衆人(しゆにん)に勝(すぐれ)るなり。〔126ウ六、127オ四〕
Baccun.バツクン(拔群) 副詞.非常に,一段と,または,すぐれて.例,Toxino fodoyorimo baccun votonaxu<miyuru.(年の程よりも拔群大人しう見ゆる)実際の年の程にまさった思慮分別と知識とをもっているように見える.〔邦訳46l〕
ばつ-くん〔名〕【拔群】又、ばつぐん。多くの羣(むれ)より、一人、拔け出でたること。出羣。梁書、劉顯傳「聰明特達、出レ類拔レ羣」十訓抄、上、第三、第十條「形體拔羣、勇力人に軼(す)ぎたり、鬼王の形をあらはし、力士のたちまちに來るかとおぼゆ」太平記、十七、山門攻事「縱令さきざき、拔羣の忠ありと云ふとも、無に處して本領を没收し」信長記、二、六條合戰「母衣かけたる武者一人、手槍提ぐ、諸卒を拔羣はなれて、進んだるに」〔2-741-1〕
達者(タツジヤ) 。〔元亀二年本138二〕
達(タツ)者 。〔静嘉堂本146五〕
達者(タツシヤ) 。〔天正十七年本中5オ五〕
療養共名譽達者拔群仁候〔至徳三年本〕
療養共名譽達者抜群之仁候〔宝徳三年本〕
療養共名誉達者拔群之仁候〔建部傳内本〕
療養共ニ名誉ノ達者抜-群(バツ クン)之(ノ)仁ニ候〔山田俊雄藏本〕
療養共ニ名誉(メイヨ)ノ達者(タツシヤ)抜群(ハツクン)之仁ニ候〔経覺筆本〕
療養(レウヤウ)共ニ名誉(ヨ)之(ノ)達(タツ)-者抜-群(ハツクン)之(ノ)仁ニ候〔文明四年本〕 ※名譽(メイヨ)。※拔群(ハツクン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「達者」と表記し、訓みは経覺筆本に「タツシヤ」、文明四年本に「タツ(シヤ)」と記載する。
達者 同(才智部)/タツシヤ。〔黒川本・畳字門中10オ七〕
達者 〃士。〃親。〔卷第四・畳字門450五〕
宗匠(ソウシヤウ) 先達ノ義也。日本ノ俗或ハ指シテ二歌道ノ之達者ヲ一云フ二宗匠ト一也。〔態藝門88六〕
達者(タツシヤ/イタル、モノ)[入・上] 。〔態藝門357三〕
達者(タツシヤ) 。〔弘・言語進退門110二〕
達者(タツシヤ) 。〔言語門94三・天理図書館蔵上47ウ三〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に標記語「達者」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
716誦‖-明シテ/シ一流之書籍ヲ|療養共ニ名誉之達者抜-群之仁ニ候 言ハ風寒暑湿ノ四氣、風寒湿暑燥熱ノ六淫、喜怒憂悲思恐驚ノ七情、外(ハツルヽ)病無∨之能達‖脈論|。神農ノ本草ニハ薬種三百六十五種也。其内或君藥百廿種、臣藥百廿種、佐使藥百五種也。然ルニ上藥百廿種、為テ∨君ト主‖養-性ヲ|。以応シテ∨天ニ无∨毒。或ハ中藥百廿種為∨臣。主∨養∨命ヲ以應シテ∨人ニ有∨毒无∨毒。下藥百弐十五種為‖佐使|主治病ヲ、以応∨地ニ多∨毒也。都合三品ニ三百六十五種也。莫∨外‖彼藥ニ|能ク鍛錬ノ仁ヲ一流一篇之仁ト云也。〔謙堂文庫蔵六一右G〕
とあって、標記語「達者」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
療養(レウヤウ)共(トモ)ニ名譽(メイヨ)ノ達者(タツシヤ)拔群(ハツクン)之仁ニ候但(タヽシ)渡唐(トタウ)ノ舟(フネ)依テ‖中絶(チウゼツ)ニ|藥種(シユ)高直(カウジキ)之間(アヒタ)大藥(タイヤク)秘藥(ヒヤク)ハ者可キ∨令∨参(サン)せ也療養トハ。療ハ。藥(クスリ)ニテナヲス事。養ハ病人ヲアツカフ事也。起臥(ヲキフシ)行(キヤウ)儀食(シヨク)事ノ寒熱(カンネツ)ヲ能(ヨク)教(ヲシヘ)テアツカフヲ養トハ云フナリ。〔下37ウ八〜下38オ三〕
療養(りやうやう)共(とも)に名譽(めいよ)の達者(たつしや)拔群(ばつくん)之(の)仁(じん)候/療養共ニ名誉之達者抜-群之仁ニ候療ハ療治病ひを治(ぢ)し去(さ)るを云。養ハ養生氣を養ひ立るを云なり。名譽ハ名ありほまれある也。抜群ハ衆人にすくれたる也。候とハあると云事也。 〔95オ六・七〕
とあって、この標記語「達者」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
療養(りやうやう)共(とも)に名譽(めいよ)の達者(たつしや)拔群(ばつくん)之(の)仁(じん)候(さふら)ふ/療養共ニ名誉ノ達者。抜-群之仁候フ▲療ハ病(やまひ)を治(ぢ)し去(さ)る也。▲養は生気(せいき)を養(やしな)ふ也。〔70ウ四、70ウ六・七〕
療養(れうやう)共(とも)に名誉(めいよ)の達者(たつしや)拔群(ばつくん)之(の)仁(じん)候(さふらふ)▲療ハ病(やまひ)を治(ぢ)し去(さ)る也。▲養は生気(せいき)を養(やしな)ふ也。〔126ウ六、127オ三〕
Foyacu.タツシャ(達者) Taxxita fito.(達した人)ある物事に熟達した人.例,Taxxa vomomuqiyo qirauazu.(達者趣を嫌はず)熟達した人は上等の道具を求めず,多くの器財をも求めない.§Michino taxxa.(道の達者)ある技芸に堪能な人,あるいは,完璧な人.※毛吹草,二.⇒Ichido<(一道);Ido<;Reo>yo<..〔邦訳619r〕
たつ-しャ〔名〕【達者】(一)才學藝能の達人。左傳、昭公七年「吾聞將有達者、曰孔丘、聖人之後也」吾妻鏡、一、治承四年十二月十九日「爲弓馬達者之士、臨戰場廻智謀勝人」同、十一、建久二年八月一日「鎭西八郎者、吾朝無雙弓矢達者也」(二)專ら、歩行に勝れたること。健脚。健歩。參考保元物語、二、白河殿攻落事「鎭西そだちの者なれば、歩行立ちハ定めて達者にぞあらむ」(三)轉じて、身のすこやかなること、ヂャウブ。壯健。狂言記、梟「日比、達者な者であったが」(四)よどみ無くして、疾(はや)きこと。「口が達者」文章が達者」〔3-246-4〕
療養(ヤウ) 。〔元亀二年本149十〕〔天正十七年本中13ウ四〕
療養(レウヤウ) 。〔静嘉堂本163五〕
療養共名譽達者拔群仁候〔至徳三年本〕
療養共名譽達者抜群之仁候〔宝徳三年本〕
療養共名誉達者拔群之仁候〔建部傳内本〕
療養共ニ名誉ノ達者抜-群(バツ クン)之(ノ)仁ニ候〔山田俊雄藏本〕
療養共ニ名誉(メイヨ)ノ達者(タツシヤ)抜群(ハツクン)之仁ニ候〔経覺筆本〕
療養(レウヤウ)共ニ名誉(ヨ)之(ノ)達(タツ)-者抜-群(ハツクン)之(ノ)仁ニ候〔文明四年本〕 ※名譽(メイヨ)。※拔群(ハツクン)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「療養」と表記し、訓みは文明四年本に「レウヤウ」と記載する。
療養(リヨウヨウ) 同レ上ニ(治スレ病ヲ)。〔態藝門92一〕
療養(リヨウヤウ/イヱル、ヤシナウ)[去・上] 。〔態藝門195六〕
療養(レウヤウ) 。〔弘・言語進退門116八〕
療治(レウヂ) ―養(ヤウ)。〔永・言語門99二〕〔堯・言語門89九〕
療治(レウヂ) ―悟。〔両・言語門109三〕
療養(レウヤウ) ―治(ヂ)。〔言辞門98五・天理図書館蔵上49ウ五〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「療養」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
716誦‖-明シテ/シ一流之書籍ヲ|療養共ニ名誉之達者抜-群之仁ニ候 言ハ風寒暑湿ノ四氣、風寒湿暑燥熱ノ六淫、喜怒憂悲思恐驚ノ七情、外(ハツルヽ)病無∨之能達‖脈論|。神農ノ本草ニハ薬種三百六十五種也。其内或君藥百廿種、臣藥百廿種、佐使藥百五種也。然ルニ上藥百廿種、為テ∨君ト主‖養-性ヲ|。以応シテ∨天ニ无∨毒。或ハ中藥百廿種為∨臣。主∨養∨命ヲ以應シテ∨人ニ有∨毒无∨毒。下藥百弐十五種為‖佐使|主治病ヲ、以応∨地ニ多∨毒也。都合三品ニ三百六十五種也。莫∨外‖彼藥ニ|能ク鍛錬ノ仁ヲ一流一篇之仁ト云也。〔謙堂文庫蔵六一右G〕
とあって、標記語「療養」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
療養(レウヤウ)共(トモ)ニ名譽(メイヨ)ノ達者(タツシヤ)拔群(ハツクン)之仁ニ候但(タヽシ)渡唐(トタウ)ノ舟(フネ)依テ‖中絶(チウゼツ)ニ|藥種(シユ)高直(カウジキ)之間(アヒタ)大藥(タイヤク)秘藥(ヒヤク)ハ者可キ∨令∨参(サン)せ也療養トハ。療ハ。藥(クスリ)ニテナヲス事。養ハ病人ヲアツカフ事也。起臥(ヲキフシ)行(キヤウ)儀食(シヨク)事ノ寒熱(カンネツ)ヲ能(ヨク)教(ヲシヘ)テアツカフヲ養トハ云フナリ。〔下37ウ八〜下38オ三〕
療養(りやうやう)共(とも)に名譽(めいよ)の達者(たつしや)拔群(ばつくん)之(の)仁(じん)候/療養共ニ名誉之達者抜-群之仁ニ候療ハ療治病ひを治(ぢ)し去(さ)るを云。養ハ養生氣を養ひ立るを云なり。名譽ハ名ありほまれある也。抜群ハ衆人にすくれたる也。候とハあると云事也。 〔95オ六・七〕
とあって、この標記語「療養」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
療養(りやうやう)共(とも)に名譽(めいよ)の達者(たつしや)拔群(ばつくん)之(の)仁(じん)候(さふら)ふ/療養共ニ名誉ノ達者。抜-群之仁候フ▲療ハ病(やまひ)を治(ぢ)し去(さ)る也。▲養は生気(せいき)を養(やしな)ふ也。〔70ウ四、70ウ六・七〕
療養(れうやう)共(とも)に名誉(めいよ)の達者(たつしや)拔群(ばつくん)之(の)仁(じん)候(さふらふ)▲療ハ病(やまひ)を治(ぢ)し去(さ)る也。▲養は生気(せいき)を養(やしな)ふ也。〔126ウ六、127オ三〕
Reo>yo<.レウヤウ(療養) 病気を治療すること,自分の健康について配慮すること.¶Reo>yo< tomoni meiyo no tayxa.(療養共に名誉の達者)病気の治療と,それにあわせた健康の維持とについて練達で有名な医者である.※庭訓往来,十一月返状.なお,taxaは字音の入声を表記した形になっているが,一般には促音化するので,taxxaと綴るのが普通である.別条にTaxxaがある.〔邦訳530r〕
れう-やう〔名〕【療養】療冶と、養生と。又、病氣の保養。庭訓往來、十一月「讀二明一流之書籍一、療養共、名譽達者、拔羣之仁候」〔2-741-1〕
書籍(ジヤク) 。〔元亀二年本311九〕
書籍(シヤク) 。〔静嘉堂本365一〕
権侍醫邊讀明一流書籍〔至徳三年本〕
侍權醫邊讀明一流書籍〔宝徳三年本〕
権侍醫邊讀明一流之書籍〔建部傳内本〕
権(カリニ)侍(シ)-醫ノ道讀二-明メ一流ノ書籍ヲ一〔山田俊雄藏本〕
権(カリニ)侍(ハンへツテ)二醫邊(イヘン)ニ一讀(ヨミ)二-明(アカス)一流(リウ)ノ書籍(シヨシヤク)ヲ一〔経覺筆本〕
権(カリニ)侍(ハンへツテ)二レ醫邊( ヘン)ニ一讀(ヨミ)二-明メ一流(イチリウ)ノ書籍( シヤク)ヲ一〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「書籍」と表記し、訓みは経覺筆本に「シヨシヤク」、文明四年本に「(シヨ)シヤク」と記載する。
文庫(ブンコ/フミ、クラ)[平・去] 書籍(シヨジヤク)ノ藏(クラ)也。〔家屋門618三〕
書籍(シヨジヤク) 。〔弘・財宝門241六〕〔永・言語門207五〕
書籍(シヨジヤク) 。〔器財門209二・天理図書館蔵下37ウ二〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』、印度本系統の弘治二年本・永祿二年本『節用集』、易林本『節用集』に標記語「書籍」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
716誦‖-明シテ/シ一流之書籍ヲ|療養共ニ名誉之達者抜-群之仁ニ候 言ハ風寒暑湿ノ四氣、風寒湿暑燥熱ノ六淫、喜怒憂悲思恐驚ノ七情、外(ハツルヽ)病無∨之能達‖脈論|。神農ノ本草ニハ薬種三百六十五種也。其内或君藥百廿種、臣藥百廿種、佐使藥百五種也。然ルニ上藥百廿種、為テ∨君ト主‖養-性ヲ|。以応シテ∨天ニ无∨毒。或ハ中藥百廿種為∨臣。主∨養∨命ヲ以應シテ∨人ニ有∨毒无∨毒。下藥百弐十五種為‖佐使|主治病ヲ、以応∨地ニ多∨毒也。都合三品ニ三百六十五種也。莫∨外‖彼藥ニ|能ク鍛錬ノ仁ヲ一流一篇之仁ト云也。〔謙堂文庫蔵六一右G〕
とあって、標記語「書籍」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
一流(リウ)ノ書籍(シヨジヤク) トハ。カクラタト讀也。醫藥一道ノ事ヲ記(シル)シタル書ナリ。〔下37ウ八〕
一流(いちりう)の書籍(しよじやく)を讀明(よみあか)し/讀二-明シ一流ノ書籍ヲ一。讀明とハ熟読(しゆくとく)した其義理に通したる也。一流ハ一家の流義(りうき)也。和氣丹波の類を云。書籍ハ書物の事なり。 〔95オ四・五〕
とあって、この標記語「書籍」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
一流(いちりう)の書籍(しよじやく)を讀明(よみあきら)め/讀ミ二-明メ一流書籍ヲ一。〔70ウ三〕
讀(よミ)二-明(あきら)め一流(いちりう)の書籍(しよじやく)を一。〔126ウ四〕
Xojacu.ショジヤク(書籍) 書物.〔邦訳792l〕
しョ-じャく〔名〕【書籍】しょもつ(書物)に同じ。支那の古へには、竹を炙りて、青色を去り、漆にて字を書き、革にて編む、漢の世に、紙、出來て、墨にて書き、卷物にす、數ふるに、卷(クワン)、又、まきと云ふ。書卷。唐の世に、綴本となる。書册。册子。後漢書、馬融傳「小臣螻蟻、不レ勝二區區一、職在二書籍一、謹依二舊文一、重述二蒐狩之義一」〔3-844-1〕
一流(リウ) 。〔元亀二年本19五〕〔天正十七年本上9オ一〕〔西來寺本〕
一流 。〔静嘉堂本15二〕
権侍醫邊讀明一流書籍〔至徳三年本〕
侍權醫邊讀明一流書籍〔宝徳三年本〕
権侍醫邊讀明一流之書籍〔建部傳内本〕
権(カリニ)侍(シ)-醫ノ道讀二-明メ一流ノ書籍ヲ一〔山田俊雄藏本〕
権(カリニ)侍(ハンへツテ)二醫邊(イヘン)ニ一讀(ヨミ)二-明(アカス)一流(リウ)ノ書籍(シヨシヤク)ヲ一〔経覺筆本〕
権(カリニ)侍(ハンへツテ)二レ醫邊( ヘン)ニ一讀(ヨミ)二-明メ一流(イチリウ)ノ書籍( シヤク)ヲ一〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「一流」と表記し、訓みは経覺筆本に「(イチ)リウ」、文明四年本に「イチリウ」と記載する。
一流(イツリウ/―、ナガルヽ)[入・平] 。〔態藝門37二〕
一流(リウ) 。〔弘・言語数量門7六〕〔永・言語進退門5二〕
一位 ―種。《畧》―見。―流。―覽。《畧》―笑。〔堯・言語門5五〕
一位 ―種(シユ)。《畧》―見(ケン)。―流(リウ)。―覽(ラン)。《畧》―落索(ラクサク)大里昼在之。〔両・言語門6五〕
一流(リウ) 。〔言語門6四・天理図書館蔵上3ウ四〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に標記語「一流」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
716誦‖-明シテ/シ一流之書籍ヲ|療養共ニ名誉之達者抜-群之仁ニ候 言ハ風寒暑湿ノ四氣、風寒湿暑燥熱ノ六淫、喜怒憂悲思恐驚ノ七情、外(ハツルヽ)病無∨之能達‖脈論|。神農ノ本草ニハ薬種三百六十五種也。其内或君藥百廿種、臣藥百廿種、佐使藥百五種也。然ルニ上藥百廿種、為テ∨君ト主‖養-性ヲ|。以応シテ∨天ニ无∨毒。或ハ中藥百廿種為∨臣。主∨養∨命ヲ以應シテ∨人ニ有∨毒无∨毒。下藥百弐十五種為‖佐使|主治病ヲ、以応∨地ニ多∨毒也。都合三品ニ三百六十五種也。莫∨外‖彼藥ニ|能ク鍛錬ノ仁ヲ一流一篇之仁ト云也。〔謙堂文庫蔵六一右G〕
とあって、標記語「一流」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
一流(リウ)ノ書籍(シヨジヤク) トハ。カクラタト讀也。醫藥一道ノ事ヲ記(シル)シタル書ナリ。〔下37ウ八〕
一流(いちりう)の書籍(しよじやく)を讀明(よみあか)し/讀二-明シ一流ノ書籍ヲ一。讀明とハ熟読(しゆくとく)した其義理に通したる也。一流ハ一家の流義(りうき)也。和氣丹波の類を云。書籍ハ書物の事なり。 〔95オ四・五〕
とあって、この標記語「一流」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
一流(いちりう)の書籍(しよじやく)を讀明(よみあきら)め/讀ミ二-明メ一流書籍ヲ一。〔70ウ三〕
讀(よミ)二-明(あきら)め一流(いちりう)の書籍(しよじやく)を一。〔126ウ四〕
†Ichiriu<.イチリュウ(一流) 宗派・流派を数える言い方.〔邦訳328l〕
いち-りう〔名〕【一流】(一)技術の一派。漢書、藝文志「儒家流、道家流、陰陽家流、云云、各有レ所二從(ヨリテ)出(イヅル)一」庭訓徃來(元弘)十一月「權(カリニ)侍二醫邊一、讀二一流ノ書籍一」辨慶物語(足利時代)「法華經一部讀誦スル、固ヨリ音曲一流、極ハメタレバ、聞クニ心モタヘガタシ」(二)事物の一等。人物志「一流之人、能識二一流之善一、二流之人、能識二二流之美一」「一流の旅館」〔1-298-3〕
権侍醫邊讀明一流書籍〔至徳三年本〕
侍權醫邊讀明一流書籍〔宝徳三年本〕
権侍醫邊讀明一流之書籍〔建部傳内本〕
権(カリニ)侍(シ)-醫ノ道讀二-明メ一流ノ書籍ヲ一〔山田俊雄藏本〕
権(カリニ)侍(ハンへツテ)二醫邊(イヘン)ニ一讀(ヨミ)二-明(アカス)一流(リウ)ノ書籍(シヨシヤク)ヲ一〔経覺筆本〕
権(カリニ)侍(ハンへツテ)二レ醫邊( ヘン)ニ一讀(ヨミ)二-明メ一流(イチリウ)ノ書籍( シヤク)ヲ一〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「讀明」と表記し、訓みは経覺筆本に「ヨミアカス」、文明四年本に「ヨミ(アカラ)メ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「讀明」の語は未収載にあって、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
716誦‖-明シテ/シ一流之書籍ヲ|療養共ニ名誉之達者抜-群之仁ニ候 言ハ風寒暑湿ノ四氣、風寒湿暑燥熱ノ六淫、喜怒憂悲思恐驚ノ七情、外(ハツルヽ)病無∨之能達‖脈論|。神農ノ本草ニハ薬種三百六十五種也。其内或君藥百廿種、臣藥百廿種、佐使藥百五種也。然ルニ上藥百廿種、為テ∨君ト主‖養-性ヲ|。以応シテ∨天ニ无∨毒。或ハ中藥百廿種為∨臣。主∨養∨命ヲ以應シテ∨人ニ有∨毒无∨毒。下藥百弐十五種為‖佐使|主治病ヲ、以応∨地ニ多∨毒也。都合三品ニ三百六十五種也。莫∨外‖彼藥ニ|能ク鍛錬ノ仁ヲ一流一篇之仁ト云也。〔謙堂文庫蔵六一右G〕
とあって、標記語「誦明」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
名醫(メイイ)者(ハ)可キ∨有ル‖奔走(ホンソウ)|也。権(カリニ)侍(ハンベツテ)‖醫邊(イヘン)ニ|讀(ヨミ)‖-明ス トハ。名ヲ得タル醫師(クスシ)也。〔下37ウ七〕
一流(いちりう)の書籍(しよじやく)を讀明(よみあか)し/讀二-明シ一流ノ書籍ヲ一。讀明とハ熟読(しゆくとく)した其義理に通したる也。一流ハ一家の流義(りうき)也。和氣丹波の類を云。書籍ハ書物の事なり。 〔95オ四・五〕
とあって、この標記語「讀明」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
一流(いちりう)の書籍(しよじやく)を讀明(よみあきら)め/讀ミ二-明メ一流書籍ヲ一。〔70ウ三〕
讀(よミ)二-明(あきら)め一流(いちりう)の書籍(しよじやく)を一。〔126ウ四〕
†Yomiaqirame,uru,eta.ヨミアキラメ,ムル,メタ.(讀明) 読んで,その読んだことをよく理解する.〔邦訳827l〕
権侍醫邊讀明一流書籍〔至徳三年本〕
侍權醫邊讀明一流書籍〔宝徳三年本〕
権侍醫邊讀明一流之書籍〔建部傳内本〕
権(カリニ)侍(シ)-醫ノ道讀二-明メ一流ノ書籍ヲ一〔山田俊雄藏本〕
権(カリニ)侍(ハンへツテ)二醫邊(イヘン)ニ一讀(ヨミ)二-明(アカス)一流(リウ)ノ書籍(シヨシヤク)ヲ一〔経覺筆本〕
権(カリニ)侍(ハンへツテ)二レ醫邊( ヘン)ニ一讀(ヨミ)二-明メ一流(イチリウ)ノ書籍( シヤク)ヲ一〔文明四年本〕
と見え、山田俊雄藏本は、「侍醫の道」とし、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・経覺筆本・文明四年本には、「醫邊」と表記し、訓みは経覺筆本に「イヘン」、文明四年本に「(イ)ヘン」と記載する。
醫邊(イヘン/クスシ、ホトリ)[平・平] 。〔態藝門20一〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』に標記語「醫邊」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
715披‖玉章ヲ|窺‖厳旨ヲ|御用望既ニ分明也。如∨仰當道(タウ)之當道者可∨有‖奔走|也。権侍(カリニマカセ/コンチ)ノ‖醫邊ニ| 権侍――内裡ニ雖十二人ノ醫者逢‖天子ノ御氣色ニ|輩一人也。二人歟。其人有‖指_合|不‖参内|。則唯一人別ニ在也。醫辺ノ々ノ字ハ師マテ也。師ノ説ニ曰、権侍醫辺ヲ於茂登(ヲモト)藥師ト讀也。十二人ノ内ニテモ取分自‖典薬|撰出シテ置也。半昇殿ノ人也。故ニ辺ノ字ヲ用歟。旁辺ノ心也。薬ニ有‖佐使君臣ノ差別|佐使ハ其験極急也。君臣ハ其験漸々ニ治∨病ヲ。〔謙堂文庫蔵六一右C〕
とあって、標記語「醫邊」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
名醫(メイイ)者(ハ)可キ∨有ル‖奔走(ホンソウ)|也。権(カリニ)侍(ハンベツテ)‖醫邊(イヘン)ニ|讀(ヨミ)‖-明ス トハ。名ヲ得タル醫師(クスシ)也。〔下37ウ七〕
権(かり)に医邊(いへん)に侍(はんべつ)て/権ニ侍テ二醫邊ニ一。権侍とハ医学(いがく)のためしはらく此所に来て居すを云。施薬院ハ医師集り居る所ゆへ医辺と云也。 〔95オ三・四〕
とあって、この標記語「醫邊」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
権侍醫(ごんぢい)の邊(へん)に/権侍醫ノ邊ニ▲権侍醫ハ皆醫道(いとう)の五位(ゐ)六位是(これ)に任(にん)ず。其侍醫(ちゐ)と称(しやう)する者ハ相當(さうだう)正六位ノ下常(つね)に禁中(きんちう)に候(こう)して天脈(てんミやく)を診(うかゝ)ふ。〔70ウ三、70ウ六〕
権侍醫(ごんじい)の邊(へん)に▲権侍醫ハ皆醫道(いだう)の五位(ゐ)六位是(これ)に任(にん)ず。其侍醫(ちゐ)と称(しよう)する者ハ相當(さうだう)正六位ノ下常(つね)に禁中(きんちう)に候(かう)して天脈(てんミやく)を診(うかゝ)ふ。〔126ウ五、127オ二・三〕
権侍醫邊讀明〔至徳三年本〕
権侍醫邊讀明〔宝徳三年本〕
権侍醫邊讀明〔建部傳内本〕
権(カリニ)侍(ハンベツテ)‖醫邊(イヘン)ニ|讀(ヨミ)‖-明ス〔山田俊雄藏本〕
権(カリニ)侍(ハンベツテ)‖醫邊(イヘン)ニ|讀(ヨミ)‖-明ス〔経覺筆本〕
権(カリニ)侍(ハンベツテ)‖醫邊(イヘン)ニ|讀(ヨミ)‖-明ス〔文明四年本〕 ※奔走(ホンソウ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「権」と表記し、訓みは経覺筆本に「バン(タン)」と記載する。
假(カリニ) 。権(同) 。〔言語門82六・天理図書館蔵上41ウ六〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に標記語「権」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
715披‖玉章ヲ|窺‖厳旨ヲ|御用望既ニ分明也。如∨仰當道(タウ)之當道者可∨有‖奔走|也。権侍(カリニマカセ/コンチ)ノ‖醫邊ニ| 権侍――内裡ニ雖十二人ノ醫者逢‖天子ノ御氣色ニ|輩一人也。二人歟。其人有‖指_合|不‖参内|。則唯一人別ニ在也。醫辺ノ々ノ字ハ師マテ也。師ノ説ニ曰、権侍醫辺ヲ於茂登(ヲモト)藥師ト讀也。十二人ノ内ニテモ取分自‖典薬|撰出シテ置也。半昇殿ノ人也。故ニ辺ノ字ヲ用歟。旁辺ノ心也。薬ニ有‖佐使君臣ノ差別|佐使ハ其験極急也。君臣ハ其験漸々ニ治∨病ヲ。〔謙堂文庫蔵六一右C〕
とあって、標記語「権」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
名醫(メイイ)者(ハ)可キ∨有ル‖奔走(ホンソウ)|也。権(カリニ)侍(ハンベツテ)‖醫邊(イヘン)ニ|讀(ヨミ)‖-明ス トハ。名ヲ得タル醫師(クスシ)也。〔下37ウ七〕
権(かり)に医邊(いへん)に侍(はんべつ)て/権ニ侍テ‖醫邊ニ|権侍とハ医学(いがく)のためしはらく此所に来て居るを云。施薬院ハ医師集り居る所ゆへ医辺と云し也。 〔95オ三〜四〕
とあって、この標記語「権」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
権侍醫(ごんじい)の邊(へん)に一流(いちりう)の書籍(しよじやく)を讀(よミ)明(あきら)め療養(りやうやう)共(とも)に名譽(めいよ)の達者(たつしや)抜群(ばつくん)之(の)仁(じん)候(さふら)ふ/権侍醫ノ邊ニ。讀ミ‖-明メ一流書籍ヲ|。療養共ニ名譽ノ達者。抜群之仁候フ▲権侍醫ハ醫道(いとう)の五位(ゐ)六位是(これ)に任(にん)ず。其侍醫(ぢゐ)と稱(しよう)する者はハ相當(さうたう)正六位ノ下常(つね)に禁中(きんちう)に候(こう)して天脈(てんミやく)を診(うかゞ)ふ。〔70ウ三、70ウ六〕
権侍醫(ごんじいの)邊(へん)に讀(よミ)‖-明(あきらめ)一流(いちりうの)書籍(しよじやく)を|療養(れうやう)共(ともに)名譽(めいよの)達者(たつしや)抜群(ばつくん)之(の)仁(じん)候(さふらふ)▲権侍醫ハ醫道(いだう)の五位(ゐ)六位是(これ)に任(にん)ず。其侍醫(ぢい)と稱(しよう)する者はハ相當(さうたう)正六位下常(つね)に禁中(きんちう)に候(かう)して天脈(てんミやく)を診(うかゞ)ふ。〔126ウ五、127オ二・三〕
Carini.カリニ(仮に) 仮に,かりそめに,または,ついちょっとの間,などの意.※本条は,原本では,本篇のCareyedaとCari(狩)との間に配列されていて,その位置が順当でない.そのために,次条と重複する結果になっている.〔邦訳103l〕
かり-に〔副〕【假】確(しか)と定めずして。暫しのこととして。〔2-741-1〕
如仰當道名醫者可有奔走也〔至徳三年本〕
如仰當道名醫者可有奔走也〔宝徳三年本〕
如仰當道之名醫者可有奔走也〔建部傳内本〕
如レ仰ノ當道ノ名醫者(ハ)可レ有二奔走一也〔山田俊雄藏本〕
如レ仰ノ當道之名醫(イ)者(ハ)可レ有二奔走一也〔経覺筆本〕
如レ仰(ヲヽせノ)當道ノ之名醫(メイイ)者(ハ)尤可レ有ル奔走也〔文明四年本〕 ※奔走(ホンソウ)。
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「當道」と表記記載する。
當道(タウダウ) 諸藝(ゲイ)ノ之道也。〔態藝門85三〕
當道(タウダウ/アタル、ミチ)[去・上] 諸藝ニ言レ之。〔態藝門348四〕
當道(タウダウ) 諸藝(ゲイ)ノ道ニ在之。〔弘・言語進退門110五〕
當職(タウシヨク) ―世。―道諸藝云道。―座即席。―流。―分。―腹。〔永・言語門95二〕
當職(タウシヨク) ―世。―道諸藝道。―座。―流。―分。―服。〔堯・言語門86九〕
當職(タウシヨク) ―世。―道。―座(ザ)。―流(リウ)。―分(ブン)。―服(ブク)。〔両・言語門105四〕
當時(タウジ) ―代(ダイ)。―道(ダウ)。―流(リウ)。―腹(ブク)。―院(井ン)。―世(せイ)。―座(ザ)。―罰(バツ)。―番(バン)。―機(キ)。―學(カク)。―用(ヨウ)。―家(ケ)。―山(サン)。―國(コク)。―所(シヨ)。―來(ライ)。―季(キ)。―分(ブン)。〔言語門93一・天理図書館蔵上47オ一〕
このように、上記当代の古辞書に標記語「當道」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。ただし、『下學集』・広本『節用集』などに見える語注記は未記載にある。
715披‖玉章ヲ|窺‖厳旨ヲ|御用望既ニ分明也。如∨仰當道(タウ)之名醫者可∨有‖奔走|也。権侍(カリニマカセ/コンチ)ノ‖醫邊ニ| 権侍――内裡ニ雖十二人ノ醫者逢‖天子ノ御氣色ニ|輩一人也。二人歟。其人有‖指_合|不‖参内|。則唯一人別ニ在也。醫辺ノ々ノ字ハ師マテ也。師ノ説ニ曰、権侍醫辺ヲ於茂登(ヲモト)藥師ト讀也。十二人ノ内ニテモ取分自‖典薬|撰出シテ置也。半昇殿ノ人也。故ニ辺ノ字ヲ用歟。旁辺ノ心也。薬ニ有‖佐使君臣ノ差別|佐使ハ其験極急也。君臣ハ其験漸々ニ治∨病ヲ。〔謙堂文庫蔵六一右C〕
とあって、標記語「當道」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
披(ヒライテ)‖玉章ヲ|窺(ウカヽヒ)‖嚴旨(ゲンシ)ヲ|御用望( マウ)既(ステ)ニ分明也。如ク∨仰(ヲホセ)ノ當道ノ 嚴旨トハイツクシキ詞(コトハ)也。〔下37ウ四〕
仰(おほせ)の如(ごと)く當道(たう/゛\)乃名醫(めいゐ)者(ハ)。奔走(ほんさう)有(あ)る可(べ)き也(なり)/如ク∨仰ノ當道ノ名醫者可∨有‖奔走|也。當道ハ當表(たうおもて)といふかことし。施薬院をさして云也。奔走ハ賞翫する事也。前の奔走とハ意味同しからす。云こゝろは申さるゝ通り施薬院の医師ハ世の賞翫なりとそ。 〔95オ一〜三〕
とあって、この標記語「當道」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
仰(おほせ)の如(ごと)く當道(たう/゛\)乃名医(めいい)者(ハ)。奔走(ほんそう)有(あ)る可(へき)也/如ク∨仰ノ當道ノ名醫者。可キ∨有ル‖奔走|也▲當道ハ醫道(いたう)を指(さ)して典藥寮(てんやく )をいふ。〔70ウ三、70ウ五・六〕
如(ごと)く∨仰(おほせ)の當道(たう/゛\)の名醫(めいい)者(ハ)。可(べき)∨有(ある)‖奔走(ほんさう)|也(なり)▲當道ハ醫道(いだう)を指(さ)して典藥寮(てんやくれう)をいふ。〔126ウ四、127オ一・二〕
To<do<.タウダウ(當道) Ataru michi.(当る道) ある一族に属していて,それ以外の人は何人も公然と教授することのできない,その一族の技芸.¶To<do<no mei-i.(当道の名医)ある医術,あるいは,療法にける著名な医師.※如仰当道之名医可有奔走(庭訓往来十一月返状).〔邦訳655l〕
たう-どう〔名〕【當道】(一)この道。我が學ぶ道。(二)醫家に、内科の稱。太平記、廿四、天龍寺供養事「中にも荒序(クワウジヨ)は當道の深秘にて、容易雖レ不レ奏レ之」京よりは誰人の御許より、屋島の何れの方へぞと問へば、いや只と云ひて、いと當道ならず」〔4-232-3〕
分明(フンミヤウ) 。〔元亀二年本223八〕
分明 。〔静嘉堂本256三〕〔天正十七年本中57オ六〕
披玉章窺厳旨御用望既分明也〔至徳三年本〕
披玉章窺嚴旨御用望既分明也〔宝徳三年本〕
披玉章窺厳旨御用望既分明也〔建部傳内本〕
披テ二玉章ヲ一窺ヒ二厳旨ヲ一御用望既ニ分明也〔山田俊雄藏本〕
披二玉章ヲ一窺フニ二厳(ケン)旨ヲ一御用望既(ステ)ニ分明也〔経覺筆本〕
披(ヒライテ)二玉章(キヨクシヤウ)ヲ一窺(ウカヽウ)ニレ厳旨(ケンシ)ヲ一御用望(ヨウマウ)既(ステ)ニ分明也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「分明」と表記する。
分明 法家部/フンミヤウ/發免分。〔黒川本・畳字門中107オ一〕
分明 〃配。〃法。〃附。〃別。〃毫。〃散。〃憂。〃付。〃作。〃怒。〃竹。〃給。〔卷第七・畳字門81三〕
分明(ブンミヤウ/ワカツ、メイ・アキラカ)[平去・平] 。〔態藝門635七〕
分明(ミヤウ) 。〔弘・言語進退門182八〕
分限(ブンゲン) ―際(ザイ)。―明(ミヤウ)。―衛(エイ)。―捕(トリ)。―別(ベツ)。〔永・言語門149八〕
分限(ブンケン) ―際。―明。―衛。―捕。〔堯・言語門139五〕
分際(ブンザイ) ―限(ゲン)。―劑(ザイ)。―捕(ドリ)。―量(リヤウ)。―位(井)。―兩(リヤウ)。―別(ヘツ)。―明(ミヤウ)。〔言辞門151四・天理図書館蔵下8ウ四〕
このように、上記当代の古辞書においては、易林本『節用集』に標記語「分明」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
715披‖玉章ヲ|窺‖厳旨ヲ|御用望既ニ分明也。如∨仰當道(タウ)之名醫者可∨有‖奔走|也。権侍(カリニマカセ/コンチ)ノ‖醫邊ニ| 権侍――内裡ニ雖十二人ノ醫者逢‖天子ノ御氣色ニ|輩一人也。二人歟。其人有‖指_合|不‖参内|。則唯一人別ニ在也。醫辺ノ々ノ字ハ師マテ也。師ノ説ニ曰、権侍醫辺ヲ於茂登(ヲモト)藥師ト讀也。十二人ノ内ニテモ取分自‖典薬|撰出シテ置也。半昇殿ノ人也。故ニ辺ノ字ヲ用歟。旁辺ノ心也。薬ニ有‖佐使君臣ノ差別|佐使ハ其験極急也。君臣ハ其験漸々ニ治∨病ヲ。〔謙堂文庫蔵六一右C〕
とあって、標記語「分明」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
披(ヒライテ)‖玉章ヲ|窺(ウカヽヒ)‖嚴旨(ゲンシ)ヲ|御用望( マウ)既(ステ)ニ分明也。如ク∨仰(ヲホセ)ノ當道ノ 嚴旨トハイツクシキ詞(コトハ)也。〔下37ウ四〕
玉章(ぎよくしやう)を披(ひら)き嚴旨(げんし)を窺(うかゞ)ひ御用望(ごようはう)既(すで)に分明(ふんミやう)也/披(ヒライテ)‖玉章ヲ|窺(ウカヽヒ)‖嚴旨(ゲンシ)ヲ|御用望( マウ)既(ステ)ニ分明也。玉章の注前に見へたり。嚴旨ハ尊意(そんい)貴命(きめい)なとといふに同し。仰(おほ)せの趣(おもむき)といふこゝろなり。〔94ウ六・七〕
とあって、この標記語「分明」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
玉章(ぎよくしやう)を披(ひら)き嚴旨(げんし)を窺(うかゞ)ひ御用望(ごようはう)既(すでに)分明(ふんミやう)也(なり)/披(ヒライテ)‖玉章ヲ|窺(ウカヽヒ)‖嚴旨(ゲンシ)ヲ|御用望( マウ)既(ステ)ニ分明也。〔70ウ二〕
披(ひらき)‖玉章(ぎよくしやう)を|窺(うかゝひ)‖嚴旨(げんし)を|御用望(ごようばう)既(すで)に分明(ふんミやう)也(なり)。〔126ウ三〕
Funmio<.フンミャウ(分明) 明瞭なこと.⇒Chocu(直);Qiocuchocu;Texxo.〔邦訳278r〕
ふんみゃう-に〔副〕【分明】少しも疑ひなき状に云ふ語。あきらかに。さだかに。はきと。ブンミャウに。ブンメイに。明白に。源平盛衰記、四十二、六條北政所使逢二義經一事「京よりは誰人の御許より、屋島の何れの方へぞと問へば、いや只と云ひて、いと分明ならず」〔4-232-3〕
披玉章窺厳旨御用望既分明也〔至徳三年本〕
披玉章窺嚴旨御用望既分明也〔宝徳三年本〕
披玉章窺厳旨御用望既分明也〔建部傳内本〕
披テ二玉章ヲ一窺ヒ二厳旨ヲ一御用望既ニ分明也〔山田俊雄藏本〕
披二玉章ヲ一窺フニ二厳(ケン)旨ヲ一御用望既(ステ)ニ分明也〔経覺筆本〕
披(ヒライテ)二玉章(キヨクシヤウ)ヲ一窺(ウカヽウ)ニレ厳旨(ケンシ)ヲ一御用望(ヨウマウ)既(ステ)ニ分明也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「用望」と表記し、訓みは文明四年本に「ヨウマウ」と記載する。
用望(ヨウノゾミ/モチイル、ノゾム)[去・○] 。〔態藝門317八〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』・『塵芥』(上67三)に標記語「用望」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
715披‖玉章ヲ|窺‖厳旨ヲ|御用望既ニ分明也。如∨仰當道(タウ)之名醫者可∨有‖奔走|也。権侍(カリニマカセ/コンチ)ノ‖醫邊ニ| 権侍――内裡ニ雖十二人ノ醫者逢‖天子ノ御氣色ニ|輩一人也。二人歟。其人有‖指_合|不‖参内|。則唯一人別ニ在也。醫辺ノ々ノ字ハ師マテ也。師ノ説ニ曰、権侍醫辺ヲ於茂登(ヲモト)藥師ト讀也。十二人ノ内ニテモ取分自‖典薬|撰出シテ置也。半昇殿ノ人也。故ニ辺ノ字ヲ用歟。旁辺ノ心也。薬ニ有‖佐使君臣ノ差別|佐使ハ其験極急也。君臣ハ其験漸々ニ治∨病ヲ。〔謙堂文庫蔵六一右C〕
とあって、標記語「用望」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
披(ヒライテ)‖玉章ヲ|窺(ウカヽヒ)‖嚴旨(ゲンシ)ヲ|御用望( マウ)既(ステ)ニ分明也。如ク∨仰(ヲホセ)ノ當道ノ 嚴旨トハイツクシキ詞(コトハ)也。〔下37ウ四〕
玉章(ぎよくしやう)を披(ひら)き嚴旨(げんし)を窺(うかゞ)ひ御用望(ごようはう)既(すで)に分明(ふんミやう)也/披(ヒライテ)‖玉章ヲ|窺(ウカヽヒ)‖嚴旨(ゲンシ)ヲ|御用望( マウ)既(ステ)ニ分明也。前の状に万端筆を馳難しと書て文言短(ミしか)く用事(ようじ)の旨分(わか)り難(かたか)らんとの意味(いみ)を含(ふくミ)てしるしたるゆへ御返状にかく云し也。こゝにいふこゝろハ御状をひらき申越れし趣を見たりしに用事のわけも能知れたりと也。〔94ウ七〜95オ一〕
とあって、この標記語「用望」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
玉章(ぎよくしやう)を披(ひら)き嚴旨(げんし)を窺(うかゞ)ひ御用望(ごようはう)既(すでに)分明(ふんミやう)也(なり)/披(ヒライテ)‖玉章ヲ|窺(ウカヽヒ)‖嚴旨(ゲンシ)ヲ|御用望( マウ)既(ステ)ニ分明也。〔70ウ二〕
披(ひらき)‖玉章(ぎよくしやう)を|窺(うかゝひ)‖嚴旨(げんし)を|御用望(ごようばう)既(すで)に分明(ふんミやう)也(なり)。〔126ウ三〕
披玉章窺厳旨御用望既分明也〔至徳三年本〕
披玉章窺嚴旨御用望既分明也〔宝徳三年本〕
披玉章窺厳旨御用望既分明也〔建部傳内本〕
披テ二玉章ヲ一窺ヒ二厳旨ヲ一御用望既ニ分明也〔山田俊雄藏本〕
披二玉章ヲ一窺フニ二厳(ケン)旨ヲ一御用望既(ステ)ニ分明也〔経覺筆本〕
披(ヒライテ)二玉章(キヨクシヤウ)ヲ一窺(ウカヽウ)ニレ厳旨(ケンシ)ヲ一御用望(ヨウマウ)既(ステ)ニ分明也〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本・宝徳三年本・建部傳内本・山田俊雄藏本・経覺筆本・文明四年本には、「嚴旨」と表記し、訓みは経覺筆本に「(ゲン)シ」と記載する。
嚴旨(ゲンシ/イツクシム、ムネ)[上・平] 。〔態藝門594四〕
嚴札(ゲンサツ) ―重(デウ)。―命(メイ)。―旨(シ)。―密(ミツ)。〔言辞門146四・天理図書館蔵下6オ四〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』、易林本『節用集』に「嚴旨」の語を収載し、これを古写本『庭訓徃來』及び下記真字本が収載しているのである。
715披‖玉章ヲ|窺‖厳旨ヲ|御用望既ニ分明也。如∨仰當道(タウ)之名醫者可∨有‖奔走|也。権侍(カリニマカセ/コンチ)ノ‖醫邊ニ| 権侍――内裡ニ雖十二人ノ醫者逢‖天子ノ御氣色ニ|輩一人也。二人歟。其人有‖指_合|不‖参内|。則唯一人別ニ在也。醫辺ノ々ノ字ハ師マテ也。師ノ説ニ曰、権侍醫辺ヲ於茂登(ヲモト)藥師ト讀也。十二人ノ内ニテモ取分自‖典薬|撰出シテ置也。半昇殿ノ人也。故ニ辺ノ字ヲ用歟。旁辺ノ心也。薬ニ有‖佐使君臣ノ差別|佐使ハ其験極急也。君臣ハ其験漸々ニ治∨病ヲ。〔謙堂文庫蔵六一右C〕
とあって、標記語「嚴旨」の語を収載し、この語における語注記は未記載にする。
披(ヒライテ)‖玉章ヲ|窺(ウカヽヒ)‖嚴旨(ゲンシ)ヲ|御用望( マウ)既(ステ)ニ分明也。如ク∨仰(ヲホセ)ノ當道ノ 嚴旨トハイツクシキ詞(コトハ)也。〔下37ウ四〕
玉章(ぎよくしやう)を披(ひら)き嚴旨(げんし)を窺(うかゞ)ひ御用望(ごようはう)既(すで)に分明(ふんミやう)也/披(ヒライテ)‖玉章ヲ|窺(ウカヽヒ)‖嚴旨(ゲンシ)ヲ|御用望( マウ)既(ステ)ニ分明也。玉章の注前に見へたり。嚴旨ハ尊意(そんい)貴命(きめい)なとといふに同し。仰(おほ)せの趣(おもむき)といふこゝろなり。〔94ウ六・七〕
とあって、この標記語「嚴旨」の語を収載し、語注記は上記の如く記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
玉章(ぎよくしやう)を披(ひら)き嚴旨(げんし)を窺(うかゞ)ひ御用望(ごようはう)既(すでに)分明(ふんミやう)也(なり)/披(ヒライテ)‖玉章ヲ|窺(ウカヽヒ)‖嚴旨(ゲンシ)ヲ|御用望( マウ)既(ステ)ニ分明也▲嚴旨ハ仰(おほせ)せの趣(おもむき)といふ意也。貴命(きめい)御意(ぎよい)などいふと同じ。〔70ウ二、70ウ五〕
披(ひらき)‖玉章(ぎよくしやう)を|窺(うかゝひ)‖嚴旨(げんし)を|御用望(ごようばう)既(すで)に分明(ふんミやう)也(なり)▲嚴旨ハ仰(おほせ)せの趣(おもむき)といふ意也。貴命(きめい)御意(ぎよい)などいふと同じ。〔126ウ三、127オ一〕
BACK(「言葉の泉」へ)
MAIN MENU(情報言語学研究室へ)