ゼミ日誌 駒澤大学・小林ゼミナール

科目名: 演習  II

開催日: 2003115日水曜日

司会者: 宮地

欠席者: なし

日誌記録者: 三浦

次の日誌記録者: 小池

全体的なテーマ: 

日本興業銀行産業調査〔編〕『日本産業読本』

第3章第5  繊維産業(P.97~P.107第7章第5節 大型小売業(P.293~P.305

報告者名、各報告の題名と要点/分担の範囲: 

繊維産業

小池→

1.     わが国繊維産業の発展過程

・明治以降政府は絹に続き、綿紡績についても振興策をとり、繊維産業は日本の中心的産業として発展

60年代、繊維産業の主役は綿紡績から合成繊維へと交代

・川上の合繊・紡績業界においては、需給バランスが大きく崩れ、深刻な収益悪化

87年、欧米諸国同様、日本も繊維輸入国に転じ、構造的にも輸入を組み込んだ供給体制へ移行

・現在わが国の繊維メーカーは差別化商品や高級品の開発によってアジア地域への進出を活性化

2.     わが国繊維産業の特色

・各国繊維産業の特色

@    一般的には労働集約的で投下資本が小さい

A    各国の工業化の初期段階に発達する産業であり、工業化の牽引車

    複雑な繊維産業の構造

@    川上業界→糸を作り出す化学繊維製造業や紡績業(大企業が中心)

A    川中業界→生地の段階である織・編み物業や染色業(中小零細企業)

B    川下業界→縫製業以下(中小零細企業)

3.     最近の繊維メーカーの動向

・グローバル展開を進める合繊メーカー

SPA業態での展開をはじめているアパレルメーカー

杉浦→

SPA(製造小売業)

・メリット

@    自らの企画、生産であるため、リスクが大きい

A    リーズナブルな価格で製造できる

B    情報ネットワークを駆使し、売れ行きをチェックし、早期に対応できる

    デメリット

@    リスクが大きい

A    顧客リサーチから企画に仕上げる手間がかかる

B    工場管理から店頭オペレーションまで広いノウハウが必要

問題提起と考察

SPAを導入すると他の企業と似たような商品展開をしてしまう可能性があるので、ビジネス優先ではなくブランドポジションを見失うことなく商品を企画していく必要性がある

大型小売業

生知→

・小売業の役割は、流通の基本的機能のなかで、最終消費者を取引対象とし、直接商品取引を行うこと

・小規模小売店舗が多いという業界構造は、スーパー、コンビニエンスストア等の拡大により、徐々に組織小売業の比率を高める方向に変化

・百貨店とスーパーとの業態特性

@    百貨店

・商品構成は衣料品および身の回り品が全売上高の約半分

・大量交通機関による来店客が主要な顧客

・商品の売れ残りリスクを負担しない委託仕入れの比率が高い

・買取り商品の取り扱い強化で、粗利益率の引き上げを図る

A    スーパー

・日常生活密着型の商品構成

・自宅から徒歩で行ける場所へ比較的小規模な店舗で出店

PB商品・輸入商品等の商品原価の低い商品の取り扱い強化に努めることで、粗利益率の引き上げを図る

今後の課題

〈百貨店〉

・消費者行動がバリュー志向へと変化したので、これまで以上に消費者のニーズを把握すべき

・「百貨店」からファッション性の強い高級品に商品を絞り込んだ「五〇貨店」への転換

〈スーパー〉

・売上高が拡大しないことを前提としてのオペレーション

3つのイノベーション @店舗開発 A商品開発 B情報テクノロジーの導入

問題提起と考察

・スーパーの売上を増やすには、GMSではなく、専門性に富んだ業態での展開を増やしていく必要がある

提起された論点と討論の内容 

繊維産業

    間明田:小売店からの返品も認めるという特殊な制度を取り入れるとどのような効果があるのか?→小売店がメーカーに積極的に発注するという効果もあるが、売れ残りが返品されるとシーズン後にメーカーの負担が出てくるのでメーカーの経営がやりにくくなる。by コバマサ

    武宮:合成繊維と再生繊維の違いは?→合成繊維は石油から、再生繊維はパルプから作る。

    稲葉:SPAには工場管理から店頭オペレーションまで広いノウハウが必要なのはなぜか?→企画から販売まですべてをやらなくてはならないので、すべて把握する必要がある。

    小林:ITによって消費者情報を入手とあるが、どのように入手するのか? →POSシステムによって売れ筋や性別、年齢層などを知る。購買記録の積み重ね。 

大型小売業

    大江:「五〇貨店」への転換は進んでいるのか? 進んでいるとしたら具体的な店は? →進んでいる。新宿の伊勢丹。

    稲葉:各スーパーの出店の特徴は? →立地にあわせてであり、会社としてスーパー自体の出店に特徴はない。

    飯泉:専門性に富んだ業態展開をしても近くにまた同じような店が出店してきたら、売り上げは伸びないのでは? →違う専門分野で出店していくしかない。

    飯泉:考察以外で何か売り上げを伸ばす方法は? →スーパー単体ではなく、いろいろな施設とともに出店してはどうだろう。アミューズメント性もとりいれるといいのではないか。 

教員の発言: 

    合成繊維は完全に人為的に作る。再生繊維はもともと繊維のあるものから作る。

    外資の進入がまた増えてきている。トイザラスはすでに定着しているのではないか。ウォルマートの低価格攻勢は日本でうまくいくかどうかが今後の注目点。

    そごう、ダイエーはGMSがうまくいかなかった典型的な企業ではないのか。

    日米の百貨店の利益率の違い →日本は店舗数を増やしすぎた。

    ドイツの各都市の中心部では小規模店とスーパーなどが共存し、真中を自動車道路が分断することもなく、音楽会場などの文化施設も中心部にあるので、日本のように郊外の大規模店舗に買い物客が流出して市街地が空き店舗だらけになるということがない。

特記事項: 

・ゼミ生追加募集の面接について

・就職講座についてのアンケートを来週は提出しよう。

感想/問題点/提案: 

 日本の都市の街づくりはこれから変わっていけるのだろうか。文化的、歴史的要素が違うといってしまえばそれまでだが、欧米的な街づくりをこれからは望みたいと思う。

自由カキコミ: 

 今回のA班はレジュメが多かったので要点のところが長くなってしまいました。もっと簡素にまとめた方がよいのでしょうか? でも、もう書いてしまったのでこれで提出します。(コバマサより)いやいやなかなかの力作ですよ。

 何気に就職講座でどんなことが聞けるのか楽しみにしている今日この頃です。