駒澤大学 シラバス照会

 履修コード/科目名称  011821 / 演習Ⅰ 011822 / 演習Ⅱ
 開講年度・期  2020年 通年  開講曜日・時限  月曜日 4時限
 単位数  4
 付記  
 主担当教員氏名(カナ)  松田 陽志(マツダ ヨウジ)
 副担当教員氏名(カナ)  
 授業概要  曹洞宗は江戸時代に入って、幕府による一括統制という内からの圧力と、黄檗宗の流布という外からの波を契機にして、教団の一体性と宗旨の独自性が問題とされ、従来までの枠組みに対する、さまざまな点からの議論がわき起こり、実際に大きな変革運動として展開します。中でも、師と弟子との嗣法相続の意義の見直しとその制度の改革を目的にした、いわゆる「宗統復古運動」は、寺社奉行の裁定を受ける大きな問題となり、また裁定後も、宗旨・教団に関わる多くの課題が盛んに議論されました。
 演習では、「宗統復古運動」の中心者であった卍山道白(一六三六~一七一五)や梅峯竺信(一六三三~一七〇七)の著述を通じてその嗣法論を確認し、両者の制度改革の形式性を特に嗣法の本質を問題にする視点から厳しく批判した天桂伝尊(一六四八~一七三五)の立場を研究の対象とする。
 到達目標(ねらい)  江戸時代に刊行された版本や書写本を直接訓読し、内容解釈の手法を修得する。その上で当時の曹洞宗の僧侶の教団論における問題意識と宗旨構築の視点について検討し、そこで交わされたさまざまな議論が現在の曹洞宗にどのような影響を及ぼしているかを考えることで、自らの問題意識を高めること。
 授業スケジュール
 基本的に江戸時代の嗣法論の文献を、駒大図書館に所蔵される原刊本より複写して、毎回担当を決めて発表してもらいます。文献の複写・配布は私が事前に行い、発表する担当箇所は演習参加者全員で話し合って決めます。発表者は発表資料を必ず事前に作成して発表に臨み、授業内でその資料を元にして発表し、その内容について受講者全員で話し合います。

一年(演習Ⅰ)を通じて取り上げる文献は、概ね以下の通りです(予定)。
4~5月 オリエンテーション〈講義〉
    嗣法制度改革  『護法明鑑』 『宗統復古志』
6~7月  卍山の嗣法論 『洞門衣袽集』 『洞門劇譚』
9月~    天桂伝尊の卍山批判   『正法眼蔵面授』


3年次の最後に、卒業論文で取り上げたい課題について、各自発表します。
4年次の演習Ⅱでは卒業論文の指導と共に、天桂伝尊の『正法眼蔵弁註』の立場を理解します。特に『正法眼蔵弁註』の数種の書写本を比較しながら、天桂を批判した乙堂喚丑の『正法眼蔵続絃講義』などの関係文献を輪読していきます。
4年生は6月に論題発表会、12月には論文発表会を行います。
 履修上の留意点等  発表を担当しないときでも、毎回漢和辞典を持参し、授業中に活用しながら自身の理解を深めることにつとめてください。受講者で分担して訓読と内容解釈を発表します。発表は漢文訓読に慣れ、文章の理解力をつけるためなので、わからないことは逐次質問してください。事前に、図書館で辞書や関連文献をできうる限り活用して、発表資料を作成し、わかりやすい発表ができるように工夫してください。授業においては、漢文を読んで、そこで何が問題になっているのか、を考え話し合います。わからないことでも、必ず発言してください。
 
 成績評価の方法
試験
レポート
小テスト
100 % 平常点




毎回の出席と、授業内での発表内容及び授業内での発言によって総合的に評価します。発表を担当しないと評価できないので、授業内でかならず発表すること。
 教科書/テキスト
使用する文献資料はコピーして配布する。その文献資料を使って、担当者が授業で使う発表資料を作成する。発表担当のときは、受講者全員のために配付資料を作成する必要がある。
 参考書
 図書館蔵書検索 図書館蔵書検索
鏡島元隆『道元禅師とその門流』(誠信書房、昭和36年)
小坂機融「江戸期に於ける嗣承論の展開」(『永平正法眼蔵蒐書大成』二十、昭和56年)
『永平寺史』下巻 第六節「宗統復古運動」(吉田道興執筆、昭和57年)
黒丸寛之「嗣法論の展開」(『道元思想のあゆみ』3、吉川弘文館、平成5年)
 学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について 学生による授業アンケートは行っていませんが、前年度受講の状況に鑑み、発表担当者以外でも授業内で積極的に発言することで、分析力を高めるように、指導したいと思います。また受講生全員が、緊張せず穏やかに討議しあえるような雰囲気を作ることにも留意したいと思います。
 関連リンク
 実務経験がある教員による授業科目 寺院住職
 アクティブラーニング型の授業科目