駒澤大学 シラバス照会

 履修コード/科目名称  042701 / 社会科教育法Ⅲ(地理歴史)
 開講年度・期  2020年 前期  開講曜日・時限  金曜日 4時限
 単位数  2
 付記  ◎予
 主担当教員氏名(カナ)  生田 清人(イクタ キヨト)
 副担当教員氏名(カナ)  
 授業概要 《地理と歴史の授業を創るために、教師はどのような力量を形成することが求められているか。》という大きな課題を基軸に、「教師として、地理と歴史の授業を創るとはどういうことか」「地理と歴史の授業を創るとは、どういう活動なのか」「地理と歴史の授業を創るには、どのような考え方と技法があるのか」「地理と歴史の授業の学習評価・教育評価はどのように行うか」などについて、毎回、具体的な実践例の紹介と課題の演習を取り入れて授業を展開する予定です。
社会科教育法Ⅲでは、教師が授業を創るプロセスをたどるように、1つ1つの作業を分析しながら進みます。また、あとに続く、社会科教育法Ⅳでは、社会科教育法Ⅲで学んだことを模擬授業や総合的な学習のカリキュラムプログラムなどを通して総合化する形で進みます。
 到達目標(ねらい) 本授業の目標は、高校地歴科の教員免許を取得するだけでなく、地歴科の教師として教壇に立ち続けるための考え方や技法、授業に臨む姿勢を理解し修得することにあります。
具体的には、授業を創るための、学習指導案や教材用のプリントなどを自分の力で作り、模擬授業で使える力量の形成をめざします。また、毎回の授業で、授業を創るための姿勢の形成を支援する問いかけに答えることで、授業を創るという仕事について理解し修得することをめざします。
 授業スケジュール
第 1 回
授業の計画・内容 教師として中・高校生に地理と歴史を教えるとはどういうことか、中高生に教える地理と歴史はどのような教科・科目か、地理と歴史の教育目標や内容構成はどのようになっているか、など《地理と歴史の授業を創る》意味を考えます。
準備学習
(予習・復習等)
各自が高校で履修した地理・歴史(日本史・世界史)の教科書・資料集・地図帳などを準備し、第1回の授業に教科書は持参してください。また、教科書はひと通り目を通しておいてください。 60分
第 2 回
授業の計画・内容 地理と歴史の授業を創るときの考え方と技法を、単元構成表を作成する演習を通して考えます。単元学習を事例に、自分の力で構成表をつくります。
*高校で使用した地理・日本史・世界史の教科書を準備してください。
準備学習
(予習・復習等)
教科書のがどのように組み立ててあるかを調べておく。また、任意の章の学習課題について記述されていることと学習課題の関係を調べておく。さらに授業内で単元構成表が出来上がらなかった場合には、次回授業までに完成させておく。 90分
第 3 回
授業の計画・内容 地理と歴史の授業を創る前段階として、コンセプトマップを活用して地理や歴史の知識がどのように習得されるかを考えます。さらに、コンセプトマップを活用して授業で扱う学習課題について授業研究をする方法を修得します。
準備学習
(予習・復習等)
授業内で授業案を作る学習課題を決めておく。授業内で授業研究について要点を整理するので、授業後も授業研究をする練習しておく。次回授業では教材プリントを作るので、そのための授業研究と資料集めなどをしておく。 90分
第 4 回
授業の計画・内容 授業で扱う学習課題について、自分の力で教材用のプリント(「教材プリント」とよぶ)をつくる演習を通して、学習課題の範囲の設定、授業での展開の適切な順序などについて考え修得します。
*高校で使用した教科書・資料集・地図帳・統計集などを準備してください。
準備学習
(予習・復習等)
授業内に教材プリントが完成しなかった場合には、次回授業までに完成させておく。また、完成した授業プリントを活用した授業の手順を考えておく。 60分
第 5 回
授業の計画・内容 第4回で作成した教材プリントを、受講生どうしで評価しあいます。この作業を通して、どのような観点で教材を準備するか、研究発表での説明の順序と生徒を前にして行う授業での説明の順序の違いなどを検討して、より構造的な授業づくりを修得します。
準備学習
(予習・復習等)
授業内で指摘されたことをもとに教材プリントを修正・加筆する。
教材プリントは完成したという前提で次回授業は展開する。
60分
第 6 回
授業の計画・内容 自分の力で作成した教材プリントをもとに、学習指導案をつくります。授業は、教師の教授活動と生徒の学習活動の総和で成り立つという視点から、授業での教師と生徒のやり取りのシミュレーションや板書計画の作成を中心に習得します。
準備学習
(予習・復習等)
教材プリントを活用した授業を展開するための指導案を作成します。授業内では学習指導案の構造や作り方を解説するので、授業内にできなかったことは次回授業までに完成しておく。
60分
第 7 回
授業の計画・内容 学習指導案と教材プリントを、受講生どうしで評価しあいます。この作業を通して、授業をより構造化するための課題を整理します。また、授業で教師が発する言葉(説明・問いかけ・質問・指示)をどのように組み立てるか修得します。
*ここで第3回から第7回までのふりかえりをします。
準備学習
(予習・復習等)
教材プリントと学習指導案が完成したことを前提に授業を展開するので、完成していない場合には完成させて出席すること。 60分
第 8 回
授業の計画・内容 第8回と第9回では地理と歴史の授業で活用する教材・教具について考えます。
第8回では、1970年代にイギリスの学校地理で考案された教材用シミュレーションゲームを題材に、適切な教材・教具の必要な条件や作り方を修得します。
準備学習
(予習・復習等)
とくに準備することはありません。授業後に、授業内で行う教材について振り返り、その結果をまとめて次回授業で提出する。 90分
第 9 回
授業の計画・内容 第9回では、歴史新聞や空想旅行記などロールプレイングゲームを題材に、適切な教材・教具の必要な条件や作り方とともに、地理と歴史の学習課題や教授・学習の内容構成の組み立てについて考え、修得します。
準備学習
(予習・復習等)
とくに準備することはありません。授業後に、授業内で行う教材について振り返り、その結果をまとめて次回授業で提出する。 90分
第 10 回
授業の計画・内容 ここまでに作った、授業研究用のコンセプトマップ、学習指導案、教材プリントを見直し、授業ができるように仕上げていきます。受講生どうしで評価しあい、修正点や今後の課題などを確かめていきます。
*前期課題レポートについて要項をもとに説明し、評価基準も説明します。
準備学習
(予習・復習等)
コンセプトマップ、学習指導案、教材プリントが完成したとの前提で授業を進めるので、すべてが完成していない場合には、完成させて出席すること。 60分
第 11 回
授業の計画・内容 学習評価について、どのようなタイミングで行うか、どのような方法で行うかを考えます。また、受講生が作った学習指導案、教材プリントをもとに、テスト案をつくることを通し、3つのタイミング(診断的評価・形成的評価・総括的評価)の作り方を習得します。
準備学習
(予習・復習等)
授業内で単元テスト案を作るので、そこで使用する予定の資料類はコピーを取り持参する。(切ったり貼ったりするので必ずコピーしたものを使う)授業内で完成しなかった場合には、次回授業までに完成させて持参する。 60分
第 12 回
授業の計画・内容 自作のテスト案と自作の学習指導案・教材プリントとの整合性を検討しながら、受講生どうしで評価しあいます。それによって、テストの作成だけでなく、どのように教師は教授すべきか、生徒にはどのように学習支援をすればいいかを考えます。
準備学習
(予習・復習等)
単元テスト案は完成したことを前提に授業を展開するので、完成していない場合には完成させて出席すること。 60分
第 13 回
授業の計画・内容 生徒の学習評価に対し、教師が作る授業の評価を授業評価、教育評価という。
第13回では、これまでに作った学習指導案や教材プリントなどをもとに、授業評価の在り方や、評価の基準についてルーブリック評価を中心に考えます。
準備学習
(予習・復習等)
学習評価・教育評価について学習する。とくに予習は必要ない。授業内で配布する資料について、追加の調べ学習を課す。 60分
第 14 回
授業の計画・内容 中等教育の学校で社会科教師には、総合的な学習の時間や研修旅行・修学旅行において中心的な役割が期待されています。そこで、第14回では、総合的な学習の実践例を紹介し、また、社会科教育法Ⅳ(後期)に実施する野外実習を題材に、カリキュラムプランニングのありかたを考え、技法について修得する。
準備学習
(予習・復習等)
総合学習のカリキュラムプランニングについて学習する。とくに予習は必要ない。最終回に提出する授業案を完成させる。全体を完成させるには数日を要すると思われるので、事前に計画的に創る。 90分
第 15 回
授業の計画・内容 本授業の成果として、課題レポートを作成し提出する。課題レポートには、授業研究用コンセプトマップ、学習指導案、教材プリント、単元テスト案などが含まれ、これら授業案は、社会科教育法Ⅳ(後期)で行う模擬授業の授業案として活用する。
準備学習
(予習・復習等)
場合により、個人的な振り返りが必要な場合もある。 60分
 履修上の留意点等 受講する学生が、高校で履修した時の地理または歴史(日本史・世界史)の教科書・資料集・地図帳などを準備し、第1回の授業から持参してください。
地理と歴史は、本来補完しあう教科です。2022年には「地理総合」「歴史総合」という科目ができ、どちらも必修科目となります。地理だけ、日本史だけ、世界史だけができればいいということではありません。授業の中で、地理にも歴史にも積極的に取り組む姿勢を求めます。
 成績評価の方法
試験
70 % レポート
小テスト
30 % 平常点





 教科書/テキスト
本授業では、毎回、授業の内容をまとめたレジュメを配布し、資料します。また、過年度の受講生が授業で作った授業案などを実践例として配布します。
また、中高教員の採用試験をめざす学生は、次の書籍をテキストに準ずるものとして勧めます。

臼井嘉一・柴田義松編 『社会・地歴・公民科教育法』 学文社
 参考書
 図書館蔵書検索 図書館蔵書検索
授業の理解を助けるものとして、下記の書籍を参考図書として紹介します。

社会認識教育学会編 『改訂新版 中学社会科教育法』  学術図書出版
社会認識教育学会編 『改訂新版 地理歴史科教育法』  学術図書出版
 学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について 本授業履修後には、教育実習として実際に学校の教壇で生徒に教えることになります。また、教育実習では、指導教諭などの先生方や生徒からも様々な指摘を受けることになります。そこで、自分の力で修正することも求められます。そのために、授業は先生の研究発表の場ではなく、生徒の成長にかかわる、生徒と向き合うという姿勢を持つことを求めます。また、何かを教えてもらおうではなく、自ら積極的に学ぼう、修得しようという姿勢を求めます。
 関連リンク
 実務経験がある教員による授業科目
 アクティブラーニング型の授業科目