駒澤大学 シラバス照会

 履修コード/科目名称  116201 / 刑事訴訟法
 開講年度・期  2020年 通年  開講曜日・時限  月曜日 4時限
 単位数  4
 付記  ◎予
 主担当教員氏名(カナ)  田中 優企(タナカ ユウキ)
 副担当教員氏名(カナ)  
 授業概要  1.みなさんは、我が国の刑事手続(捜査によって犯罪事実を解明し、公判での犯罪事実の認定を経て、犯罪を行った者に刑罰を科す手続)を「正しく」説明できますか? 例えば、逮捕は何のために行われるのですか? 検察官はどのような基準で起訴するのですか? 無罪推定とは何ですか? 有罪率99.9%というのは何を意味しますか? この授業では、我が国の刑事手続について、各種統計・資料などを織り交ぜつつ、ドラマや映画によるあやふやなものではない「正しい」知識・認識を提供します。将来、法曹三者や警察官、裁判所事務官といった専門職を目指す人はもちろん、そうではない人にも役立つ授業です。
 2.刑事手続では、国家によって、対象者の権利・自由・財産を制約する形で捜査が行なわれ、公訴・公判を経た後に、対象者から生命・自由・財産を剥奪する形で刑罰が科されます。これら一連の国家の活動は犯罪という社会問題の解決に必要不可欠な活動ですが、見方を変えるといわば副作用を伴う劇薬のようなものともいえます。この劇薬を的確かつ適正に取り扱うために、我が国の刑事手続はいかなる考え方(基本原理・原則)に基づいて規律されているのか、実際にいかなる法運用が行なわれているのか、そこではいかなる問題が生じているのか、その問題についていかなる考え方が示されているのか、その問題はどのように解決されるべきなのかということを学びます。
 3.授業は、パワーポイントを使用しながら、教科書や判例を読み解く形で進めていきます。近時は、刑事法関連の立法が活発に行われており、また、新たな判例も続々と出されていますので、可能な限り、これらも授業で取り上げていきます。さらに、各種文献や学会、研究会等を通じて実務家(裁判官、検察官、弁護士、警察官など)から得た実務に関する知見・動向などについても、可能な限り、授業内で紹介していきます。
 4.この授業に関する私からの情報提供や次回の授業内容の告知、実施した授業内容の整理などはC-Learningでも行いますので、受講者は毎回必ずチェックして下さい。
 5.下記の授業スケジュールについては、受講生の理解の程度や授業の進み具合などによって、各回の項目を変更する場合があります。
 到達目標(ねらい)  この科目は、法学部の卒業単位・学位授与の方針DP2・3・5と関連すると共に、法律学科の卒業単位・学位授与の方針の内、特にDP2・4・5と2と深く関連します。
 この授業の到達目標は、受講者各自が、
 1.我が国の刑事手続の流れや全体像を正しく理解する
 2.我が国の刑事手続を規律する原理・原則、基本的知識、そこで生じている問題・課題及びこれに対して示されている考え方・解決策を修得する
 3.我が国の刑事法運用制度の実際や近時の動向(判例や立法など)を正しく理解する
ことです。
 授業スケジュール
第 1 回
授業の計画・内容 オリエンテーション(今年度の授業の進め方、成績評価の方法、定期試験、小テスト及び任意レポートの説明、刑事訴訟法の学び方、我が国の犯罪情勢と刑事手続の概要)
準備学習
(予習・復習等)
教科書・六法を準備の上、シラバスを読んで授業概要や年間スケジュールを確認する 90分
第 2 回
授業の計画・内容 刑事裁判のかたち(弾劾主義・当事者主義)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 3 回
授業の計画・内容 強制捜査と任意捜査
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 4 回
授業の計画・内容 職務質問,所持品検査,自動車検問
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 5 回
授業の計画・内容 コントロールドデリバリー,おとり捜査,その他の仮装・秘匿捜査
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 6 回
授業の計画・内容 逮捕・勾留①(通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕,勾留)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 7 回
授業の計画・内容 逮捕・勾留②(逮捕・勾留に関わる諸原則,別件逮捕・勾留など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 8 回
授業の計画・内容 捜索・差押①(令状に基づく捜索・差押)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 9 回
授業の計画・内容 捜索・差押②(逮捕に伴う捜索・差押など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 10 回
授業の計画・内容 強制採尿・採血,写真撮影
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 11 回
授業の計画・内容 通信傍受,GPS捜査,その他の科学技術を用いた捜査
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 12 回
授業の計画・内容 被疑者取調べ①(身柄拘束下の被疑者取調べ、取調べの録音・録画など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 13 回
授業の計画・内容 被疑者取調べ②(任意取調べなど)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 14 回
授業の計画・内容 弁護権・接見交通権
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 15 回
授業の計画・内容 公訴①(公訴手続,捜査・公判協力型協議・合意制度,刑事免責など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 16 回
授業の計画・内容 公訴②(訴因制度、起訴状一本主義など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 17 回
授業の計画・内容 公判前整理手続,証拠開示
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 18 回
授業の計画・内容 公判,裁判員制度
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 19 回
授業の計画・内容 証拠法総論①(証拠裁判主義,証拠の種類,証拠能力と証明力,証明を必要とする事実,証明の主体・方法・程度など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 20 回
授業の計画・内容 証拠法総論②(自由心証主義,科学的証拠,悪性格・類似事実による立証など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 21 回
授業の計画・内容 自白法則①(意義,任意性の判断基準など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 22 回
授業の計画・内容 自白法則②(反復自白の証拠能力など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 23 回
授業の計画・内容 補強法則①(意義,趣旨,適用範囲など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 24 回
授業の計画・内容 補強法則②(共犯者の自白など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 25 回
授業の計画・内容 排除法則①(理論的根拠,適用基準など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 26 回
授業の計画・内容 排除法則②(派生証拠の証拠能力,毒樹の果実法理など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 27 回
授業の計画・内容 伝聞法則①(意義,趣旨,伝聞と非伝聞など)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 28 回
授業の計画・内容 伝聞法則②(伝聞例外の一般的理由,各種の伝聞例外)
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 29 回
授業の計画・内容 裁判,上訴
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
第 30 回
授業の計画・内容 非常救済手続,裁判の執行,少年手続
準備学習
(予習・復習等)
授業前にC-Learning掲載のレジュメと教科書の該当箇所を読み、授業後にノートに整理する 90分
 履修上の留意点等  1.憲法はもちろんのこと、1年次及び2年次配当の刑事法科目(刑法総論、刑法各論、刑事政策)を履修・学習していると、刑事訴訟法の理解が、より一層、深まります。
 2.教科書を読み解く形で授業を進めますので、教科書と六法を必ず持参してください。
 3.授業では、パワーポイントを使用しますが、私が口頭で説明していることについても、各自、整理しながらノートにとってください。
 4.授業概要にも記載した通り、この授業に関する私からの情報提供や次回の授業内容の告知、実施した授業内容の整理、授業アンケートなどはC-Learningにて行いますので、受講者は毎回必ずチェックして下さい。
 成績評価の方法
70 % 試験
レポート
30 % 小テスト
平常点




 定期試験と小テスト(年6回)の合計点(160点満点)を基に評価します。
 なお、この点数が合格点(100点)に満たなかった場合には、試験前に提出してもらうレポート(任意)も加味して評価します。ただし、定期試験と小テストの合計点が70点に満たなかった場合には、レポートを加味することなく、不合格とします。
 成績評価の方法などの詳細については、第1回目の授業の時にお話しします(後日、C-Learningにも掲載します)。
 教科書/テキスト
 椎橋隆幸編『よくわかる刑事訴訟法(第2版)』ミネルヴァ書房、2,600円+税、ISBN:9784623075805
 椎橋隆幸・柳川重規編『刑事訴訟法基本判例解説(第2版)』信山社出版、3,000円+税、ISBN:9784797286205
 参考書
 図書館蔵書検索 図書館蔵書検索
 渥美東洋『全訂刑事訴訟法(第2版)』有斐閣、5,300円+税、ISBN:9784641042711
 椎橋隆幸編『プライマリー刑事訴訟法(第6版)』不磨書房、2,900円+税、ISBN:9784797286267
 椎橋隆幸他編『ポイントレクチャー刑事訴訟法』有斐閣、4,200円+税、ISBN:9784641139251
 関正晴編『刑事訴訟法(第2版)』弘文堂、2,500円+税、ISBN:9784335002366
 椎橋隆幸編『ブリッジブック刑事裁判法』信山社出版、2,000円+税、ISBN:9784797223194
 井上正仁他編『刑事訴訟法判例百選(第10版)』有斐閣、2,400円+税、ISBN:9784641115323
 井田良『基礎から学ぶ刑事法(第6版)』有斐閣、1,890円+税、ISBN:9784641220997
 学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について  1.授業の予習・復習にあてた時間を1時間未満とする割合が90%・74%と非常に高い。複数回の小テストに解答する中で復習は事実上行われていると思われるので、今年度は予習にも力を入れるよう指導したい。
 2.授業に熱心に取り組んだかという質問について、どちらとも言えないとする割合が32%であった。今年度も、パワポによる詳細なスライドを評価する声が多かったので、今年度も継続すると共に、より一層の工夫に努めたい。
 3.授業の進み方は適切であったかという質問について、どちらとも言えないとする割合が30%であった。学生の受講目的や理解の程度なども勘案しながら、授業の進め方の工夫に継続的に努めたい。
 4.授業内容についてよく理解できたかという質問について、どちらとも言えないとする割合が38%であった。授業内容や説明はわかりやすいという声は多く聞かれるが、情報量が多くなっている可能性もある。改善の余地がありそうなので、わかりやすい授業内容や説明を徹底したい。
 関連リンク
 実務経験がある教員による授業科目
 アクティブラーニング型の授業科目