就職氷河期世代 : データで読み解く所得・家族形成・格差 (近藤絢子著)
眼横鼻直(教員おすすめ図書)
Date:2025.02.01
Date:2025.02.01
書名 「就職氷河期世代:データで読み解く所得・家族形成・格差」
編著者 近藤 絢子 著
出版社 中央公論新社
出版年 2024年
請求番号 080/11-2825
Kompass書誌情報
最近、就職氷河期世代という言葉を耳にすることが増えているかもしれません。就職氷河期世代とは、バブル経済崩壊後の1990年代半ばから2000年代初めに、就職活動を行った世代のことを言います。かく言う私も、就職氷河期世代の一人です。
日本では、初職がその後のキャリアにも影響を与える傾向があります。就職氷河期世代は新卒時が不景気で採用を減らしていたこともあり、就職できなかったり、非正規雇用となることが多かったといわれます。
本書は就職氷河期世代の「その後」を描いています。就職氷河期世代は上の世代と比べると、卒業後長期にわたり不安定雇用だったり、年収も低い状況でした。その一方で女性の場合は出生率が下げ止まり、出産後の就業継続が増えるなど良い面もあったことなども指摘しています。データに基づいた論考で冷静な筆致の好著です。皆さんの卒業論文にも役立つと思います。
今は、人手不足で労働市場は売り手市場です。就職氷河期世代に想像力や共感を持ちにくいかもしれません。これから就職活動を迎える皆さんは、どのような読後感を持ちましたか。
経済学部 准教授 田中 聡一郎