就活に自分軸、自分企画を~グロナビ代表・長田邦博さん特別講義

 2021年11月8日、演習Ⅱ(村山元理ゼミナール3年生)では、就職活動(就活)に関する特別講義を受けました。ご講義は、『もし、アドラーが「しゅうかつ」をしたらー人生を豊かにするキャリアデザイン』(2021年)を出版されたキャリアコンサルタントの長田邦博様(グロナビ代表)から受けました。

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 五つの基本的な考え方(特に、目的論に注目)に基づいた共同体感覚、勇気づけなどが特色のアドラー心理学(勇気づけの心理学)をバックボーンにして、さらに36年間の社会人経験(大会社での多くの組織部門に勤務し、山形県のM社での経営の実践も)をもとに、キャリアデザインモデル「しゅうかつ(就活、習活、充活)」を提言したのがご著書の内容でした。今回は、「就活に向かう心得」を中心にして、そのエッセンスを90分の中で短縮された非常に濃い内容でした。

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 まず、就活を働く目的から自分に問いかけて、原体験から自分企画(自分探しではなく)をすることでブレない自分軸をつくります。つぎに、就活は、短期決戦なので、志望する会社が求める人財要件を洗い出して、自分企画の原体験と重ね合わせる戦略が必要であるという提案でした。

 最後に、人間力を磨くために、良質な経験を受容することが大切であるという説明がありました。この受容するということを体感してもらうために、全員でワクワク体操をして盛り上がり、その時の気づきが講師からの大きなお土産になりました。

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以下、学生から感想(質問)とそれに対する長田様の応答を掲載します。

 先日はお忙しい中御足労頂き、又私共のためになるご講演を頂きまして誠にありがとうございました。

 長田様のお話をお聞きした上で、就活をしていく中で先のことを深くまで考えられていなかったと、とても自分にショックを受けたというのが素直な感想です。

 現在、自分にある軸が大きくぶれていることを認識し、どうやって就活するかと言う部分に活力を消費しており、こうなりたい、自分とは?という部分に欠けていると実感しています。短期戦の就活に対して容量の良い(満足のいく)活動になるように努力するべきだと感じております。

 私自身、海外に住んでいたということもあり、他の人より遥かに多く、差別化できるような経験をしていることは自覚しておりますが、それまでの経験を上手く活かした、自分のなりたい在り方をまた見つけられていません。 外資系に就きたい、大使館で働きたい、などのざっくりしたゴールはあります。しかし、本当に?という問いに上手く答えられません。やはり、今まで以上に自分と向き合うことをした方が良いのでしょうか?

 現代、転職の時代と言われていますが、私の考えでは、働くうちにもっとやりたいこと、違うことをしたいなどの思いが出てくることはもちろんあると思います。転職をするにもそれなりに自分らしさを発信できるような職場、もしくは長田様のように、自分にとってこれがあったから今の自分が居ると思えるような会社に勤めていないと難しいのかなと感じています。初めから転職をすることを考えて新卒で就活している方も多くいると思いますが、長田様はどうお考えでしょうか。

 繰り返しにはなりますが、素晴らしいご講演をありがとうございました。

 また、乱筆乱文大変失礼いたしました。 お忙しい中恐縮ではありますが、お返事頂けますと幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。

 *長田様の会社(グロナビ)に送られた上記の問い合わせに対しては、すぐに以下のような返信がありました。

 00さん
 こんにちは。
 お問い合わせありがとうございます!
 私なりにコメントしました。
 意味不明なことがあれば、遠慮なく質問してくださいね。

 ・就活をしていく中で先のことを深くまで考えられていなかったと、とても自分にショックを受けたというのが素直な感想です。
 ➡就活(狭義の意味で)は、人生のイベントの点に過ぎません。むしろ、その点を出発点にして社会に出てから線にしていくことがキャリアデザインです。どの方向に行きたいのかをイメージして、バックキャストすることが大切だと思います。ショックというのは、アドラー心理学で言えば、劣等感です。とても良い気づきが素直にできたことは素晴らしいです。自己受容ができましたね。あとは、その劣等感をどう使うかは、〇〇さんがハンドルを握って、行きたい方向に進むのみです。

 ・現在、自分にある軸が大きくぶれていることを認識し、どうやって就活するかと言う部分に活力を消費しており、こうなりたい、自分とは?という部分に欠けていると実感しています。短期戦の就活に対して容量の良い(満足のいく)活動になるように努力するべきだと感じております。
 ➡how to do(どうやって)が先ではなく、how to be(こうなりたい、自分とは?)が先です。この順番のボタンを掛け違えるとあとで致命傷になると言っても過言ではないと思います。なぜなら、ここに気づいて後戻りしても、就活は短期決戦なので終活しているからです。自分企画をしっかりすれば軸はぶれないと思います。

 ・私自身、海外に住んでいたということもあり、他の人より遥かに多く、差別化できるような経験をしていることは自覚しておりますが、それまでの経験を上手く活かした、自分のなりたい在り方をまた見つけられていません。 外資系に就きたい、大使館で働きたい、などのざっくりしたゴールはあります。しかし、本当に?という問いに上手く答えられません。やはり、今まで以上に自分と向き合うことをした方が良いのでしょうか?
 ➡海外で生活していたことは、即、アドバンテージになりません。他の学生とは違った色の道具も持ったに過ぎません。この道具をどう使うかによってはじめて道具が武器になります。どう使うかは、やはり、先ほどの自分のあり方がないと決めれませんので、今まで以上に、自分と向き合うしかありません。自分でやるのは限界があれば、視座を変えてくれる、高めてくれる友人や先生や先輩などと対話することで気づくこともあります。
ワクワク体操をしたように、自分を開示する勇気をもってトライしてみたらどうでしょうか。

 ・現代、転職の時代と言われていますが、私の考えでは、働くうちにもっとやりたいこと、違うことをしたいなどの思いが出てくることはもちろんあると思います。転職をするにもそれなりに自分らしさを発信できるような職場、もしくは長田様のように、自分にとってこれがあったから今の自分が居ると思えるような会社に勤めていないと難しいのかなと感じています。初めから転職をすることを考えて新卒で就活している方も多くいると思いますが、長田様はどうお考えでしょうか。
 ➡転職は手段の一つに過ぎません。つまり、道具です。これも使い方を間違えると大変なことになります。劇薬に近いと思います。初めから転職を前提に就活をするのは反対の立場を取ります。真剣勝負をすべきだと思います。

 以上、ご参考まで。 (以上)

 *なお長田様が代表をつとめる会社のサイトは以下です。

 https://gronavi.net/

 ご著書は本学の図書館にも所蔵されています。

 駒澤大学図書館蔵書検索 (komazawa-u.ac.jp)

 今回の特別講演を補足する東洋経済オンラインのインタビュー記事サイトは以下です。

 <タイトル>就活生に教えたい会社選びで「最も重要な点」―入ってから後悔することないように今考えよう

 https://toyokeizai.net/articles/-/423400