日本の観光業の将来展望 ~ホテルかずさや工藤代表ご登壇~

2024年度「現代マネジメントⅠ」の最後の登壇者は、株式会社ホテルかずさや代表取締役の工藤 哲夫 氏です。コロナ禍で縮小した市場から一転して成長が期待される観光業についてお話しいただきました。

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講義では、国内観光業のトレンドとして一人旅や素泊まりの増加について紹介され、その後、日本における観光の将来展望について語られました。特に、日本のGDP全体に占める観光GDP比率は2%に過ぎず、G7平均の4%と比較して低いことが指摘されました。今後の訪日観光客の増加と価格上昇による市場成長の見通しも示されました。

工藤氏が代表を務めるホテルかずさやは、日本橋に位置し、創業133年の老舗です。吉田松陰終焉の地や、江戸時代に時間を知らせた時の鐘、「江戸の出島」といわれた長崎屋跡など、江戸の文化を今に伝える場所でもあります。この地に根ざしたホテルかずさやは、オリンピックに向けて新築されましたが、2020年に完成した直後にコロナの影響を受けました。

学生から「どうやってコロナ禍を乗り切ったのか?」という質問が早速寄せられました。工藤氏は、「新築で全てが整っていなかったことが幸いしましたが、お客様が来ないのは厳しかったです。これは宿泊業だけでなく、鉄道業や航空業などをふくめた業界全体が同じ状況でした」と振り返りました。

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講義の最後には、日本の人口推移が紹介されました。江戸時代は3,000万人程度、1900年には4,000万人程度でした。長期的に見ると、人口ボーナスが高度経済成長を支えたことが分かります。現在は人口減少が問題視されていますが、依然としてその恩恵は残っています。「明治以降の日本の近代化は今よりずっと少ない人口で成し遂げられました。日本には多くの原資があり、やり方次第で発展できるはずです。皆さんに期待しています」と学生にエールを送りました。

感想には、「インバウンド産業は間違いなく今後も発展していくと思うし、多くのビジネスチャンスがあると感じた」「オーバーツーリズムなど課題への対応の話も聞けて良かった」といった声がありました。

ありがとうございました。

(H.O.)