TSMCと世界の半導体業界のこれから ~朝元氏が講義~

2023年7月11日の「現代マネジメントⅠ」では、九州産業大学名誉教授の朝元照雄先生より、オンライン形式でお話しいただきました。

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半導体は様々なものに組み込まれているので、21世紀の「産業のコメ」と表現されます。

たとえば、最新のiPhoneはTSMC製の半導体が使われています。半導体を小さくすることで、バッテリーの体積を増やすことができます。昔は充電器が手放せなかったスマートフォンのバッテリーの持続性が改善されたのは、こういった事情があります。

TSMCは半導体製造のトップ企業。熊本の新工場で注目されているTSMCですが、日本では車載半導体の不足で広く知られるようになりました。自動車やゲーム機などが半導体不足で品薄状態になりました。半導体はあらゆるものにかかわる重要な産業です。
需要の見込み違いだけではなく、地政学的リスクや気候変動でも大きく不足するようになるのが半導体の特徴です。

業界全体としてみれば、半導体は単一の産業ではありません。IDM、ファブレス、ファウンドリー、封止・検査、IPコアとEDA、メモリーなどを含んでいます。朝元先生は、複雑なサプライチェーンと市場の仕組みをわかりやすく説明されました。

学生からは、「台湾は地政学的リスクが非常に高いと思われるのですが、なぜTSMCは工場を世界各地に分散させず台湾に集中させているのでしょうか」といった質問や、「今後、日本の半導体事業はTSMCやサムスンのように最前線に立つことはできますか?」といった質問があがりました。

朝元先生は、台湾を拠点にする理由について、新興国よりも製造コストが低くなることを解説され、日本の半導体事業の見通しについては、これまでかけてきた開発費の経緯から考えれば、日本企業には大きな課題がある、と指摘されました。

受講者からは、「半導体産業の台風の目となり続けているTSMCやそれに付随する台湾有事のリスクなど、個人的に興味のあるトピックについても自分とは別の視点で見られたのは非常に有意義だった」といった感想がありました。

どうもありがとうございました。

(H.O.)