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ことばの溜め池
ふだん何氣なく思っている「ことば」を、池の中にポチャンと投げ込んでいきます。ふと立ち寄ってお氣づきのことがございましたらご連絡ください。
細金彩色絵像各一輻薄濃墨畫一對摺写摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔至徳三年本〕
細金彩色繪像各一鋪([輻])薄濃墨繪(畫)一對書寫摺寫御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦眞言〔宝徳三年本〕
細金彩色畫像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念殊真言〔建部傳内本〕
細金彩色ノ繪像各一鋪(フク)薄濃(ダミ)ノ墨畫一對書冩摺写ノ妙典。轉讀ノ般若讀誦ノ經王(ワウ)。勤行ノ秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔山田俊雄藏本〕
細(ホソ)金彩(サイ)色ノ絵像各一輻薄濃(ダミ)ノ墨畫(スミヱ)一對書寫ノ御經轉讀ノ般若讀誦ノ經王勤行ノ秘法唱滿ノ陀羅尼念誦ノ真言〔経覺筆本〕
細金(ホソカネ)。彩色(サイシキ)ノ繪像(エサウ)。各。一鋪(フク)。薄濃(ウスタミ)ノ。墨畫(スミエ)。一對(ツイ)。書寫(シヨシヤ)。摺写(シツシヤ)ノ御經。轉讀(テントク)ノ。般若(ハンニヤ)一。讀誦(ドクシユ)ノ經王一。勤(コン)行ノ秘(ヒ)法。唱滿(シヤウマン)ノ陀羅尼(タラニ)。念誦(シユ)ノ真(シン)言。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本の古写本は、「摺写」と記載し、、経覺筆本は此の語を欠脱する。訓みは、文明四年本に「シツシヤ」と記載する。
摺写(シツシヤ) 。〔言辞門218三〕
このように、上記当代の古辞書においては、唯一易林本『節用集』に標記語「摺写」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
532書写摺写御經転讀般若 慈覚大師清和天王御宇祈祷之時始也。〔謙堂文庫藏五一右A〕
とあって、標記語「摺写」の語を収載し、語注記は未記載にする。
摺写(シユシヤ)ノ御經ハスリホンナリ。〔下27ウ八〕
書写(しよしや)摺寫(しうしや)の御經(おんきやう)/書写摺写ノ御經書写の経ハかき本也。摺写の経ハすり本也。金色等身の如来といふよりこゝ迄ハ開眼供養也。〔75ウ八〜76オ一〕
とあって、この標記語「摺写」の語をもって収載し、語注記は、「摺写の経は、すり本なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲書写の経(きやう)ハかき本。摺写の経ハ板本(はんほん)也。〔55オ一〜55ウ七〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲書写の経(きやう)ハかき本。摺写の經ハ板本(はんほん)也。〔100オ三〕
細金彩色絵像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔至徳三年本〕
細金彩色繪像各一鋪([輻])薄濃墨繪(畫)一對書寫摺寫御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦眞言〔宝徳三年本〕
細金彩色畫像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念殊真言〔建部傳内本〕
細金彩色ノ繪像各一鋪(フク)薄濃(ダミ)ノ墨畫一對書冩摺写ノ妙典。轉讀ノ般若讀誦ノ經王(ワウ)。勤行ノ秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔山田俊雄藏本〕
細(ホソ)金彩(サイ)色ノ絵像各一輻薄濃(ダミ)ノ墨畫(スミヱ)一對書寫ノ御經轉讀ノ般若讀誦ノ經王勤行ノ秘法唱滿ノ陀羅尼念誦ノ真言〔経覺筆本〕
細金(ホソカネ)。彩色(サイシキ)ノ繪像(エサウ)。各。一鋪(フク)。薄濃(ウスタミ)ノ。墨畫(スミエ)。一對(ツイ)。書寫(シヨシヤ)。摺写(シツシヤ)ノ御經。轉讀(テントク)ノ。般若(ハンニヤ)一。讀誦(ドクシユ)ノ經王一。勤(コン)行ノ秘(ヒ)法。唱滿(シヤウマン)ノ陀羅尼(タラニ)。念誦(シユ)ノ真(シン)言。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「書冩」と記載し、訓みは、文明四年本に「シヨシヤ」と記載する。
書冩 ヒヤクタン俗/栴檀白者/――。〔黒川本・植物門下87ウ五〕
書冩 ヒヤクタン。〔巻第十・植物門322四〕
書冩(シヨシヤ/カク、ウツス)[平・上] 。〔態藝門957八〕
書?(シヨジヤウ) ―札(サツ)。―籍(ジヤク)。―判(ハン)。―寫(シヤ)。〔言辞門214五〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』、易林本『節用集』に標記語「書冩」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
532書写摺写御經転讀般若 慈覚大師清和天王御宇祈祷之時始也。〔謙堂文庫藏五一右A〕
とあって、標記語「書写」の語を収載し、語注記は未記載にする。
書冩(シヨシヤ)ト云ハ書事ナリ。〔下27ウ八〕
書写(しよしや)摺寫(しうしや)の御經(おんきやう)/書写摺写ノ御經書写の経ハかき本也。摺写の経ハすり本也。金色等身の如来といふよりこゝ迄ハ開眼供養也。〔75ウ八〜76オ一〕
とあって、この標記語「書写」の語をもって収載し、語注記は、「書写の経は、かき本なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲書写の経(きやう)ハかき本。摺写の経ハ板本(はんほん)也。〔55オ一〜55ウ七〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲書写の経(きやう)ハかき本。摺写の經ハ板本(はんほん)也。〔100オ三〕
Xoxa.ショシャ(書冩) Caqi vtçusu(書き写す)筆写すること.〔邦訳796r〕
しょ-しゃ〔名〕【書冩】(一)書き、寫すこと。筆寫。順宗實録、「求入二集賢一、爲二書冩吏一」古今著聞集、二、釋教、大中臣親守「年來、大般若、一筆書冩の志ありけれども、空しくて、止みにけり」〔1014-4〕
曼荼羅(マンタラ) 。〔元亀二年本208八〕
曼荼羅(マンダラ) 。〔静嘉堂本238一〕〔天正十七年本中48オ七〕
細金彩色絵像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔至徳三年本〕
細金彩色繪像各一鋪([輻])薄濃墨繪(畫)一對書寫摺寫御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦眞言〔宝徳三年本〕
細金彩色畫像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念殊真言〔建部傳内本〕
細金彩色ノ繪像各一鋪(フク)薄濃(ダミ)ノ墨畫一對書冩摺写ノ妙典。轉讀ノ般若讀誦ノ經王(ワウ)。勤行ノ秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔山田俊雄藏本〕
細(ホソ)金彩(サイ)色ノ絵像各一輻薄濃(ダミ)ノ墨畫(スミヱ)一對書寫ノ御經轉讀ノ般若讀誦ノ經王勤行ノ秘法唱滿ノ陀羅尼念誦ノ真言〔経覺筆本〕
細金(ホソカネ)。彩色(サイシキ)ノ繪像(エサウ)。各。一鋪(フク)。薄濃(ウスタミ)ノ。墨畫(スミエ)。一對(ツイ)。書寫(シヨシヤ)。摺写(シツシヤ)ノ御經。轉讀(テントク)ノ。般若(ハンニヤ)一。讀誦(ドクシユ)ノ經王一。勤(コン)行ノ秘(ヒ)法。唱滿(シヤウマン)ノ陀羅尼(タラニ)。念誦(シユ)ノ真(シン)言。〔文明四年本〕
と見え、古写本には、この箇所に「曼陀羅」の語は未記載になっている。
531薄濃墨畫一對九曜曼多羅 唐ノ一行阿闍梨ハ玄宗ノ御持楊貴妃ニ立∨名ヲ。掛落国ニ被∨流仲ノ国ニハ三ノ道有リ。綸地道カエノ御幸ノ道遊地道トテ雜人ノ道闇穴道トテ重科ノ者ノ行。一行ハ名ヲ立犯人故ニ闇穴ニ遣ス。七日七夜ノ程不∨見‖日月之光ヲ|行也。冥々トシテ无∨人モ深々トシテ山深行歩ニ千度迷ンヲ只函谷ニ鳥ノ一声計ニテ苔ノ凋衣千敢ス也。一行實ニ无∨罪天道モ哀ミ現‖九曜ノ形ヲ給照‖一行ヲ|也。一行則右ノ指ヲ食_切テ左ノ袖ニ写ス‖九曜ヲ|。和漢ノ真言之本尊也。九曜之曼多羅是也云々。〔謙堂文庫藏五〇左F〕
とあって、古写本類には見えない標記語「曼陀羅」の語を茲に収載し、語注記は末文に「九曜の曼多羅、是なり云々」と記載する。真字本の諸本全てにこの語が収載されており、真名本独自の増補と云うことになる。
Mandara.マンダラ(曼荼羅) 仏法語(Bub.)肖像,あるいは,何か物を描いた絵.〔邦訳383l〕
マンダラ〔名〕【曼陀羅・曼荼羅】〔又、まだら。梵語、Mandala.舊譯は、壇、又は、道塲、新譯は輪圓具足、又は、聚集となす〕(一)方圓の土壇を築きて、諸尊を安置して祭ること。獅子莊嚴王菩薩諸間經「道塲之處、當レ作二方壇一、名二曼荼羅一、廣狭隨レ時」探玄記、廿「曼荼羅、云道塲也、圓壇也」(二)佛所を始め、十方世界の状を畫き集めたるもの。又、淨土の實相を具圖せるものの稱。即ち、觀經(觀無量壽經)一部を具さに寫しあらはしたるもの。由來、我が國には、極樂世界の曼陀羅、即ち淨土曼陀羅に二樣あり、一は、當麻寺の中將姫の織れると云ふ當麻曼陀羅と、他は、俊乘房重源の善導の所圖を將來せしと云ふ觀經曼陀羅となり。又、密教の金剛界の現圖曼陀羅を、九會(くゑ)曼陀羅とも云ひ、東方を正面とし、第一會は、大日如來が五相を以て現に等正覺を成じ、金剛三摩地より三十七尊、乃至、外部の諸衆を現出し、衆生を攝化せる?を説きたるもの、故に之を成身會と名づく。第二會は、成身會の諸尊、其本誓を示したるもの、之を羯磨(こんま)會と名づく。第三會は、諸尊、各五智等の微細のコを標したるもの、故に之を微細會(又は三昧耶會)と名づく。第四會は、諸尊、各寳冠、華鬘等を以て、大日尊を供養する作業を述べたもの、之を大供養會と名づく。第五會は、以上の四會を一會に合集したるものなれば、四印會と名づく。第六會は、大日如來の獨一法界を示したるものなれば、一印會と名づく。第七會は、金剛薩?を中臺として、欲觸愛慢の四煩悩を轉じて、欲觸愛慢の四菩薩となす如き深密の理趣を示したるものなれば、之を理趣會(一に普賢會)と名づく。第八會は、大日如來が強剛難化の衆生を折伏せんが爲に、金剛薩?より更に降三世明王の忿怒身に現じたるものなれば、之を降三世明王羯磨會と名づく。第九會は、降三世明王の三昧耶形を列ねたるものなれば、之を降三世三昧耶會と名づく。又、以上の金剛界曼陀羅に對して、胎藏曼陀羅あり。胎藏界の諸尊を、其位の如く壇塲、即ち、四重圓壇、十三大院に四百十四尊を安置し、即ち、中臺八葉院を第一重とし、遍知院、持明院、觀音院、金剛手院の四院を第二重とし、釋迦院、地藏院、虚空院、除蓋障院、蘇悉地院、文殊院の六院を第三重とし、外金剛部院を第四重とす。以上の二曼陀羅を合はせて、金胎兩部曼陀羅と云ふ。大日經疏、四「曼陀羅者、名爲二聚集一、今以二如來眞實功コ一、集在二一處一、云云、十方世界微塵數差別、智印輪圓輻輳、翼二輔大日心王一、使二一切衆生普門進趣一、是故説爲二曼陀羅一也」榮花物語、十八、玉鬘「ある所を見れば、曼陀羅を懸け奉りて、阿彌陀の護摩、尊勝の護摩を行ふ」平家物語、三、大塔建立事「娑婆世界の思出にとて、高野の金堂に、曼陀羅を書かれけるが」〔1902-3〕
細金彩色絵像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔至徳三年本〕
細金彩色繪像各一鋪([輻])薄濃墨繪(畫)一對書寫摺寫御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦眞言〔宝徳三年本〕
細金彩色畫像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念殊真言〔建部傳内本〕
細金彩色ノ繪像各一鋪(フク)薄濃(ダミ)ノ墨畫一對書冩摺写ノ妙典。轉讀ノ般若讀誦ノ經王(ワウ)。勤行ノ秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔山田俊雄藏本〕
細(ホソ)金彩(サイ)色ノ絵像各一輻薄濃(ダミ)ノ墨畫(スミヱ)一對書寫ノ御經轉讀ノ般若讀誦ノ經王勤行ノ秘法唱滿ノ陀羅尼念誦ノ真言〔経覺筆本〕
細金(ホソカネ)。彩色(サイシキ)ノ繪像(エサウ)。各。一鋪(フク)。薄濃(ウスタミ)ノ。墨畫(スミエ)。一對(ツイ)。書寫(シヨシヤ)。摺写(シツシヤ)ノ御經。轉讀(テントク)ノ。般若(ハンニヤ)一。讀誦(ドクシユ)ノ經王一。勤(コン)行ノ秘(ヒ)法。唱滿(シヤウマン)ノ陀羅尼(タラニ)。念誦(シユ)ノ真(シン)言。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「墨畫」と記載し、宝徳三年本が「墨繪」と記載する。訓みは、経覺筆本は「すみゑ」、文明四年本は「すみえ」と記載する。
黙庵(モクアン/モダス、イヲリ)[入・平] 宋人畫観音山水人物鳥牧溪弟子墨繪(スミヱ)能似リ。〔草木門1030五〕
531薄濃墨畫一對九曜曼多羅 唐ノ一行阿闍梨ハ玄宗ノ御持楊貴妃ニ立∨名ヲ。掛落国ニ被∨流仲ノ国ニハ三ノ道有リ。綸地道カエノ御幸ノ道遊地道トテ雜人ノ道闇穴道トテ重科ノ者ノ行。一行ハ名ヲ立犯人故ニ闇穴ニ遣ス。七日七夜ノ程不∨見‖日月之光ヲ|行也。冥々トシテ无∨人モ深々トシテ山深行歩ニ千度迷ンヲ只函谷ニ鳥ノ一声計ニテ苔ノ凋衣千敢ス也。一行實ニ无∨罪天道モ哀ミ現‖九曜ノ形ヲ給照‖一行ヲ|也。一行則右ノ指ヲ食_切テ左ノ袖ニ写ス‖九曜ヲ|。和漢ノ真言之本尊也。九曜之曼多羅是也云々。〔謙堂文庫藏五〇左F〕
とあって、標記語「墨畫」の語を収載し、語注記は未記載にする。
細金(ホソガネ)彩色(サイシキ)ノ繪像(エザウ)各一輻(フク)薄濃(ウスダミ)ノ墨畫(スミエ)一對(ツイ)常の事也。〔下27ウ七〜八〕
薄濃(うすごふ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)/薄濃ノ墨畫一對薄濃の絵像と濃き墨絵乃像と一對にしたる懸物也。〔76オ一〜二〕
とあって、この標記語「墨畫」の語をもって収載し、語注記は、「(金泥)の画像と彩色の画像と二つゆへ各と云ひ、懸物壱つを一輻と云ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲薄濃墨画一對トハ只墨画の二輻(ふく)對(つい)をいふ。〔55オ一〜55ウ六・七〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲薄濃墨画一對トハ只(たゞ)墨画の二輻(ふく)對(つひ)をいふ。〔100オ三〕
Sumiye.スミヱ(墨畫) 黒インク〔墨〕で描いた水彩画.〔邦訳588l〕
すみ-ゑ〔名〕【墨畫】(一)彩色なく、墨のみにて畫(ゑが)きたる畫。(彩色繪(いろゑ)に對す)水墨畫。扶木抄、二、霞「朝霞、鄙の長道に、立ちにけり、すみゑに見ゆる、遠(をち)の旅人」紙に、墨の模様を染むる法、古きは、淡墨にて、一條の烟の、風に靡くが如き文をなせり、今は、墨汁の淡きに、桐の白灰一匁、明礬三分、松脂五分を雜ぜあはせ、五彩にせむとならば、紅、藍など、加へ、先づ、油氣なき器に、水を盛りおきて、筆を墨に漬して、筆先を水の上に入るれば、墨、圓く浮ぶ、竹串の先に油を少し着けて、其圓に差入るれば、墨開き散りめぐる、其時、器を靜かに動かせば、色色に渦巻く、其上に白紙を浸して、移し取るなり。金泥は、紙を板に張り、乾かして、墨の間を色取る。(二)彩色せざる繪。白繪(しらゑ)。白描。榮花物語、八、初花「白裝束どもの、種種(さまざま)なるは、ただ、すみゑの心地して、いとなまめかし」〔1064-1〕
細金彩色絵像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔至徳三年本〕
細金彩色繪像各一鋪([輻])薄濃墨繪(畫)一對書寫摺寫御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦眞言〔宝徳三年本〕
細金彩色畫像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念殊真言〔建部傳内本〕
細金彩色ノ繪像各一鋪(フク)薄濃(ダミ)ノ墨畫一對書冩摺写ノ妙典。轉讀ノ般若讀誦ノ經王(ワウ)。勤行ノ秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔山田俊雄藏本〕
細(ホソ)金彩(サイ)色ノ絵像各一輻薄濃(ダミ)ノ墨畫(スミヱ)一對書寫ノ御經轉讀ノ般若讀誦ノ經王勤行ノ秘法唱滿ノ陀羅尼念誦ノ真言〔経覺筆本〕
細金(ホソカネ)。彩色(サイシキ)ノ繪像(エサウ)。各。一鋪(フク)。薄濃(ウスタミ)ノ。墨畫(スミエ)。一對(ツイ)。書寫(シヨシヤ)。摺写(シツシヤ)ノ御經。轉讀(テントク)ノ。般若(ハンニヤ)一。讀誦(ドクシユ)ノ經王一。勤(コン)行ノ秘(ヒ)法。唱滿(シヤウマン)ノ陀羅尼(タラニ)。念誦(シユ)ノ真(シン)言。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「薄濃」と記載し、訓みは、山田俊雄藏本、経覺筆本は「(ウス)ダミ」、文明四年本は「ウスタミ」と記載する。
薄(ウス) ―紅(クレナヒ)。―濃(ダミ)。―墨(ズミ)。―竪(タテ)。―紫(ムラサキ)。―衣(キヌ)。〔食服門117七〕
このように、上記当代の古辞書においては、唯一易林本『節用集』(他に天正十八年本)に標記語「薄濃」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
531薄濃墨畫一對九曜曼多羅 唐ノ一行阿闍梨ハ玄宗ノ御持楊貴妃ニ立∨名ヲ。掛落国ニ被∨流仲ノ国ニハ三ノ道有リ。綸地道カエノ御幸ノ道遊地道トテ雜人ノ道闇穴道トテ重科ノ者ノ行。一行ハ名ヲ立犯人故ニ闇穴ニ遣ス。七日七夜ノ程不∨見‖日月之光ヲ|行也。冥々トシテ无∨人モ深々トシテ山深行歩ニ千度迷ンヲ只函谷ニ鳥ノ一声計ニテ苔ノ凋衣千敢ス也。一行實ニ无∨罪天道モ哀ミ現‖九曜ノ形ヲ給照‖一行ヲ|也。一行則右ノ指ヲ食_切テ左ノ袖ニ写ス‖九曜ヲ|。和漢ノ真言之本尊也。九曜之曼多羅是也云々。〔謙堂文庫藏五〇左F〕
とあって、標記語「薄濃」の語を収載し、語注記は未記載にする。
細金(ホソガネ)彩色(サイシキ)ノ繪像(エザウ)各一輻(フク)薄濃(ウスダミ)ノ墨畫(スミエ)一對(ツイ)常の事也。〔下27ウ七〜八〕
薄濃(うすごふ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)/薄濃ノ墨畫一對薄濃の絵像と濃き墨絵乃像と一對にしたる懸物也。〔76オ一〜二〕
とあって、この標記語「薄濃」の語をもって収載し、語注記は、「薄濃の絵像と濃き墨絵の像と一對にしたる懸物なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲薄濃墨画一對トハ只墨画の二輻(ふく)對(つい)をいふ。〔55オ一〜55ウ六・七〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲薄濃墨画一對トハ只(たゞ)墨画の二輻(ふく)對(つひ)をいふ。〔100オ三・四〕
Vsudami.ウスダミ(薄濃) 例,Vsudamino ye.(薄濃の絵)水彩画すなわち墨絵の上にところどころ薄い色やあまり目立たない色で彩色を施した絵.§Gocudami.(極濃)完全に彩色を施した絵.§また,Vsudami.(薄濃)墨絵,すなわち,水彩画の上に軽く金箔や金粉を塗ったもの.〔邦訳734l〕
うす-だみ〔名〕【薄彩】〔「だむ(彩)の條を見よ」〕淡(うす)く彩(だ)みたること。薄彩色。淡彩。〔0232-4〕
一幅(ブク) 繪。〔元亀二年本18五〕
一幅(フク) 繪。〔静嘉堂本13四〕
一幅(フク) 繪。〔天正十七年本上8オ三〕
細金彩色絵像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔至徳三年本〕
細金彩色繪像各一鋪([輻])薄濃墨繪(畫)一對書寫摺寫御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦眞言〔宝徳三年本〕
細金彩色畫像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念殊真言〔建部傳内本〕
細金彩色ノ繪像各一鋪(フク)薄濃(ダミ)ノ墨畫一對書冩摺写ノ妙典。轉讀ノ般若讀誦ノ經王(ワウ)。勤行ノ秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔山田俊雄藏本〕
細(ホソ)金彩(サイ)色ノ絵像各一輻薄濃(ダミ)ノ墨畫(スミヱ)一對書寫ノ御經轉讀ノ般若讀誦ノ經王勤行ノ秘法唱滿ノ陀羅尼念誦ノ真言〔経覺筆本〕
細金(ホソカネ)。彩色(サイシキ)ノ繪像(エサウ)。各。一鋪(フク)。薄濃(ウスタミ)ノ。墨畫(スミエ)。一對(ツイ)。書寫(シヨシヤ)。摺写(シツシヤ)ノ御經。轉讀(テントク)ノ。般若(ハンニヤ)一。讀誦(ドクシユ)ノ經王一。勤(コン)行ノ秘(ヒ)法。唱滿(シヤウマン)ノ陀羅尼(タラニ)。念誦(シユ)ノ真(シン)言。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、建部傳内本、経覺筆本の古写本は、「一輻」と記載し、宝徳三年本、山田俊雄藏本、文明四年本は、「一鋪」と記載する。訓みは、山田俊雄藏本と文明四年本に「(イツ)フク」と記載する。
一幅(イチフク/ハク・シロシ、マユミ)[入・平] 繪。〔數量門12三〕
一幅(フク) 繪。〔言語門4七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「一幅」の語表記で収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語とは異なっている。
530刻∨‐彫ス之|細金(ホソ−)彩‐色ノ絵‐像各一輻 上ニ佛師ト云註ニ委内典録曰、後漢明帝使∨秦景|往ス中天竺月支国ニ上。得∨優填王ノ彫像|。尋ツイテ至シム∨洛陽ニ|。勅シテ圖∨聖相ヲ|。即漢土ノ画像始也。〔謙堂文庫藏五〇左D〕
とあって、標記語「一輻」の語を収載し、語注記は未記載にする。
細金(ホソガネ)彩色(サイシキ)ノ繪像(エザウ)各一輻(フク)薄濃(ウスダミ)ノ墨畫(スミエ)一對(ツイ)常の事也。〔下27ウ七〜八〕
細金(さいきん)彩色(さいしき)の画像(ゑぞう)各(おの/\)一幅(いつふく)/細金彩色ノ画像各一幅ノ細金ハ金泥(きんでい)の事□□□の画像と彩色の画像と二つゆへ各と云懸物壱つを一輻と云。〔75ウ八〜76オ一〕
とあって、この標記語「一幅」の語をもって収載し、語注記は、「(金泥)の画像と彩色の画像と二つゆへ各と云ひ、懸物壱つを一輻と云ふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲細金彩色繪像各一輻ハ金泥(きんてい)がきと彩色(いろどり)がきとの掛物(かけもの)すへて二軸(にちく)也。〔55オ一〜55ウ五〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲細金彩色ノ繪像各一輻ハ金泥(きんてい)がきと彩色(いろどり)がきとの掛物(かけもの)すべて二軸(にぢく)也。〔100オ三〕
†Ippucu.イップク(一服・一輻) 茶(Cha)や薬を飲む回数の言い方,また,表補絵(Fio>foye)に表装された絵像や書,その他の絵画を数える言い方.〔邦訳338l〕
いっ-ぷく〔名〕【一幅】〔薄く、幅(はば)の廣きものなれば、幅(ふく)と云ふか〕書、畫の掛物、ひとつ。庭訓往來(元弘)九月「細金彩色ノ繪像、各、一輻」同じ畫工が、一筆にて、左右に、二輻、花鳥など書けるを、二幅對と云ひ、其中に、佛像など加ふるを、三幅對と云ふ。(後には、佛像ならぬをも、然(しか)云ふ)槐記(近衛家熈)享保十年正月廿一日「御床に、尚信が(狩野)三幅對の(註「中、文殊、右、枯木に尾長鳥、左、枯木に鳩」)左右の表具は斎しく、云云、中に限りては、兩脇とは、別にするが作法なり」〔0192-1〕
畫像(エザウ) 。〔元亀二年本336八〕 ×〔静嘉堂本〕
細金彩色絵像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔至徳三年本〕
細金彩色繪像各一鋪([輻])薄濃墨繪(畫)一對書寫摺寫御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦眞言〔宝徳三年本〕
細金彩色畫像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念殊真言〔建部傳内本〕
細金彩色ノ繪像各一鋪(フク)薄濃(ダミ)ノ墨畫一對書冩摺写ノ妙典。轉讀ノ般若讀誦ノ經王(ワウ)。勤行ノ秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔山田俊雄藏本〕
細(ホソ)金彩(サイ)色ノ絵像各一輻薄濃(ダミ)ノ墨畫(スミヱ)一對書寫ノ御經轉讀ノ般若讀誦ノ經王勤行ノ秘法唱滿ノ陀羅尼念誦ノ真言〔経覺筆本〕
細金(ホソカネ)。彩色(サイシキ)ノ繪像(エサウ)。各。一鋪(フク)。薄濃(ウスタミ)ノ。墨畫(スミエ)。一對(ツイ)。書寫(シヨシヤ)。摺写(シツシヤ)ノ御經。轉讀(テントク)ノ。般若(ハンニヤ)一。讀誦(ドクシユ)ノ經王一。勤(コン)行ノ秘(ヒ)法。唱滿(シヤウマン)ノ陀羅尼(タラニ)。念誦(シユ)ノ真(シン)言。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「繪像」と記載し、訓みは、経覺筆本と文明四年本に「(ビヤク)タン」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、唯一、元亀二年本『運歩色葉集』に標記語「畫像」の語を収載していて、この表記語としては古写本『庭訓徃來』建部傳内本に見えている語である。他古写本類及び、下記真字本にはは、「繪像」と表記されている語である。
530刻∨‐彫ス之|細金(ホソ−)彩‐色ノ絵‐像各一輻 上ニ佛師ト云註ニ委内典録曰、後漢明帝使∨秦景|往ス中天竺月支国ニ上。得∨優填王ノ彫像|。尋ツイテ至シム∨洛陽ニ|。勅シテ圖∨聖相ヲ|。即漢土ノ画像始也。〔謙堂文庫藏五〇左D〕
とあって、標記語「繪像」の語を収載し、語注記は「上に「佛師」と云ふ註に委し。『内典録』に曰く、後漢の明帝、秦に使ひして、天竺の月支国に景往す。優填王の彫像を得て。尋ねついて、洛陽に至らしむ。勅して聖相を圖る。即ち漢土の画像の始めなり」と記載する。
細金(ホソガネ)彩色(サイシキ)ノ繪像(エザウ)各一輻(フク)薄濃(ウスダミ)ノ墨畫(スミエ)一對(ツイ)常の事也。〔下27ウ七〜八〕
細金(さいきん)彩色(さいしき)の画像(ゑぞう)各(おの/\)一幅(いつふく)/細金彩色ノ画像各一幅ノ細金ハ金泥(きんでい)の事□□□の画像と彩色の画像と二つゆへ各と云懸物壱つを一輻と云。〔75ウ八〜76オ一〕
とあって、この標記語「画像」の語をもって収載し、語注記は、未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲細金彩色繪像各一輻ハ金泥(きんてい)がきと彩色(いろどり)がきとの掛物(かけもの)すへて二軸(にちく)也。〔55オ一〜55ウ五〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲細金彩色ノ繪像各一輻ハ金泥(きんてい)がきと彩色(いろどり)がきとの掛物(かけもの)すべて二軸(にぢく)也。〔100オ三〕
Yezo<.ヱザゥ(繪像) Caita catachi.(かいた像)絵に描いた姿形で,絵画の意に解せられる.〔邦訳822l〕
ゑ-ざう〔名〕【繪像・畫像】人物の姿を繪に寫したるもの。にせゑ。にがほ。にがほゑ。ゑすがた。ぐゎざう。肖像。平家物語、灌頂巻、小原御幸事「左に普賢の繪像、右に善導和尚、竝に先帝の御影をかけ、云云」〔2189-2〕
彩色(サイシキ) 。〔元亀二年本271六〕〔静嘉堂本310一〕
細金彩色絵像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔至徳三年本〕
細金彩色繪像各一鋪([輻])薄濃墨繪(畫)一對書寫摺寫御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦眞言〔宝徳三年本〕
細金彩色畫像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念殊真言〔建部傳内本〕
細金彩色ノ繪像各一鋪(フク)薄濃(ダミ)ノ墨畫一對書冩摺写ノ妙典。轉讀ノ般若讀誦ノ經王(ワウ)。勤行ノ秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔山田俊雄藏本〕
細(ホソ)金彩(サイ)色ノ絵像各一輻薄濃(ダミ)ノ墨畫(スミヱ)一對書寫ノ御經轉讀ノ般若讀誦ノ經王勤行ノ秘法唱滿ノ陀羅尼念誦ノ真言〔経覺筆本〕
細金(ホソカネ)。彩色(サイシキ)ノ繪像(エサウ)。各。一鋪(フク)。薄濃(ウスタミ)ノ。墨畫(スミエ)。一對(ツイ)。書寫(シヨシヤ)。摺写(シツシヤ)ノ御經。轉讀(テントク)ノ。般若(ハンニヤ)一。讀誦(ドクシユ)ノ經王一。勤(コン)行ノ秘(ヒ)法。唱滿(シヤウマン)ノ陀羅尼(タラニ)。念誦(シユ)ノ真(シン)言。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「彩色」と記載し、訓みは、経覺筆本と文明四年本に「(ビヤク)タン」と記載する。
綵色(イロトル) 同/サイシキ。〔黒川本・畳字門下41ウ六〕
彩色 一乍采綵。〃艶。〃雲。〃繪。〃緻。〃飾。〔巻第八・畳字門443一〕
彩色(サイシキ) 。〔言辞門182三〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』、十巻本『伊呂波字類抄』、『節用集』類では、天正十八年本、易林本『節用集』に、標記語「彩色」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
530刻∨‐彫ス之|細金(ホソ−)彩‐色ノ絵‐像各一輻 上ニ佛師ト云註ニ委内典録曰、後漢明帝使∨秦景|往ス中天竺月支国ニ上。得∨優填王ノ彫像|。尋ツイテ至シム∨洛陽ニ|。勅シテ圖∨聖相ヲ|。即漢土ノ画像始也。〔謙堂文庫藏五〇左D〕
とあって、標記語「彩色」の語を収載し、語注記は未記載にする。
細金(ホソガネ)彩色(サイシキ)ノ繪像(エザウ)各一輻(フク)薄濃(ウスダミ)ノ墨畫(スミエ)一對(ツイ)常の事也。〔下27ウ七〜八〕
細金(さいきん)彩色(さいしき)の画像(ゑぞう)各(おの/\)一幅(いつふく)/細金彩色ノ画像各一幅ノ細金ハ金泥(きんでい)の事□□□の画像と彩色の画像と二つゆへ各と云懸物壱つを一輻と云。〔75ウ八〜76オ一〕
とあって、この標記語「彩色」の語をもって収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲細金彩色繪像各一輻ハ金泥(きんてい)がきと彩色(いろどり)がきとの掛物(かけもの)すへて二軸(にちく)也。〔55オ一〜55ウ五〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲細金彩色ノ繪像各一輻ハ金泥(きんてい)がきと彩色(いろどり)がきとの掛物(かけもの)すべて二軸(にぢく)也。〔100オ三〕
Saixiqi.サイシキ(彩色) Irodoru.(彩る)種々の色で描くこと,あるいは,彩ること.例,Saixiqiuo suru.(彩色をする).〔邦訳551r〕
さい-しき〔名〕【采色・彩色】繪に、繪具(ゑのぐ)を用ゐて、色取ること。ゑどり。着色。設色。淡(うす)く色取りたるを、薄(うす)彩色と云ふ。淡彩。濃厚、精密なるを、極(ゴク)彩色と云ふ。濃彩。傾城反魂香(寳永、近松作)上「親の繪筆の彩色に、生れつきたる美男なり」〔0757-4〕
細金彩色絵像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔至徳三年本〕
細金彩色繪像各一鋪([輻])薄濃墨繪(畫)一對書寫摺寫御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念誦眞言〔宝徳三年本〕
細金彩色畫像各一輻薄濃墨畫一對書冩摺冩御經轉讀般若讀誦經王勤行秘法唱滿陀羅尼念殊真言〔建部傳内本〕
細金彩色ノ繪像各一鋪(フク)薄濃(ダミ)ノ墨畫一對書冩摺写ノ妙典。轉讀ノ般若讀誦ノ經王(ワウ)。勤行ノ秘法唱滿陀羅尼念誦真言〔山田俊雄藏本〕
細(ホソ)金彩(サイ)色ノ絵像各一輻薄濃(ダミ)ノ墨畫(スミヱ)一對書寫ノ御經轉讀ノ般若讀誦ノ經王勤行ノ秘法唱滿ノ陀羅尼念誦ノ真言〔経覺筆本〕
細金(ホソカネ)。彩色(サイシキ)ノ繪像(エサウ)。各。一鋪(フク)。薄濃(ウスタミ)ノ。墨畫(スミエ)。一對(ツイ)。書寫(シヨシヤ)。摺写(シツシヤ)ノ御經。轉讀(テントク)ノ。般若(ハンニヤ)一。讀誦(ドクシユ)ノ經王一。勤(コン)行ノ秘(ヒ)法。唱滿(シヤウマン)ノ陀羅尼(タラニ)。念誦(シユ)ノ真(シン)言。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「細金」と記載し、訓みは、経覺筆本「ホソ(カネ)」、文明四年本に「ホソカネ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「細金」の語は未収載にして、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
530刻∨‐彫ス之|細金(ホソ−)彩‐色ノ絵‐像各一輻 上ニ佛師ト云註ニ委内典録曰、後漢明帝使∨秦景|往ス中天竺月支国ニ上。得∨優填王ノ彫像|。尋ツイテ至シム∨洛陽ニ|。勅シテ圖∨聖相ヲ|。即漢土ノ画像始也。〔謙堂文庫藏五〇左D〕
とあって、標記語「細金」の語を収載し、訓みは「ホソ(カネ)」とし、語注記は未記載にする。
細金(ホソガネ)彩色(サイシキ)ノ繪像(エザウ)各一輻(フク)薄濃(ウスダミ)ノ墨畫(スミエ)一對(ツイ)常の事也。〔下27ウ七〜八〕
細金(さいきん)彩色(さいしき)の画像(ゑぞう)各(おの/\)一幅(いつふく)/細金彩色ノ画像各一幅ノ細金ハ金泥(きんでい)の事□□□の画像と彩色の画像と二つゆへ各と云懸物壱つを一輻と云。〔75ウ八〜76オ一〕
とあって、この標記語「細金」の語をもって収載し、訓みは「サイキン」と音読し、語注記は、「細金ハ金泥(きんでい)の事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲細金彩色繪像各一輻ハ金泥(きんてい)がきと彩色(いろどり)がきとの掛物(かけもの)すへて二軸(にちく)也。〔55オ一〜55ウ五〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲細金彩色ノ繪像各一輻ハ金泥(きんてい)がきと彩色(いろどり)がきとの掛物(かけもの)すべて二軸(にぢく)也。〔100オ三〕
ほそ-がね〔名〕【細金】金銀の箔を、ほそく切りて、彫刻せる物などに埋めて、模様をなすこと。又、そのもの。(佛畫、木佛などに)人倫訓蒙圖彙、五、細工人部「細金師(ほそがねし)、諸の彩色に有事なれども、專ら佛像の繪に、これを用ゆ、金銀の薄を細に刻みて、衣紋をなし、花の筋を分つ、細金師は繪師に從ふ也」〔1839-1〕
金色等身如来白檀座像菩薩各脇侍二天刻彫之〔至徳三年本〕
金色等身如來白檀座像菩薩各脇侍二天剋彫之〔宝徳三年本〕
金色等身如来白檀座像菩薩各脇士二天刻彫之〔建部傳内本〕
金色ノ等身ノ如来白檀座像ノ菩薩各脇侍(コウシ)二天刻二彫(テウ)ス之ヲ一。〔山田俊雄藏本〕
金色等身ノ如来白檀( タン)ノ座像各菩薩。脇侍(ケフジ)ノ二天刻(コク)二彫(テウ)ス之ヲ一。〔経覺筆本〕
金色。等身(トウ )ノ如来。白檀( タン)ノ。座像(ザサウ)ノ。菩薩。各(ヲノ/\)。脇侍(ケウシ)ノ二天。剋彫(コクテウ)スレ之ヲ一。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「刻彫」と記載し、文明四年本だけが「剋彫」と記載する。訓みは、山田俊雄藏本が「(コク)テウ」、経覺筆本と文明四年本に「コクテウ」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「刻彫」の語は未収載なっていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
530刻∨‐彫ス之|細金(ホソ−)彩‐色ノ絵‐像各一輻 上ニ佛師ト云註ニ委内典録曰、後漢明帝使∨秦景|往ス中天竺月支国ニ上。得∨優填王ノ彫像|。尋ツイテ至シム∨洛陽ニ|。勅シテ圖∨聖相ヲ|。即漢土ノ画像始也。〔謙堂文庫藏五〇左D〕
とあって、標記語「刻彫」の語を収載し、語注記は未記載にする。
脇士(ケウシ)ノ二天剋(コク)二彫(テウ)シ之ヲ一脇侍トハツキ立ナリ。不動毘沙門等ナリ。〔下27ウ六〜七〕
之(これ)を尅彫(こくてう)す/剋(コク)二彫(テウ)シ之ヲ一剋彫ハ木にてきさみほる事也。如来菩薩二天ともに木像ゆへ剋彫すといふ。〔75ウ六〜七〕
とあって、この標記語「刻彫」の語をもって収載し、語注記は、「剋彫は、木にてきざみほる事なり。如来菩薩二天ともに木像ゆへ剋彫すといふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲剋彫ハ木にて刻(きさ)ミ作(つく)るをいふ。〔55オ一〜55ウ六〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲剋彫ハ木(き)にて刻(きざ)ミ作(つく)るをいふ。〔98ウ四〜100オ一〕
Cocugio>.コクヂョゥ(刻彫) すなわち,Yeri qizamu.(彫り刻む)金属や木などに彫刻すること,あるいは,〔文字などを〕彫りつけること.→Cocucho>.〔邦訳137r〕
脇士(ジ) 。〔元亀二年本217三〕
脇士(ケフシ)〔静嘉堂本247五〕
金色等身如来白檀座像菩薩各脇侍二天刻彫之〔至徳三年本〕
金色等身如來白檀座像菩薩各脇侍二天剋彫之〔宝徳三年本〕
金色等身如来白檀座像菩薩各脇士二天刻彫之〔建部傳内本〕
金色ノ等身ノ如来白檀座像ノ菩薩各脇侍(コウシ)二天刻二彫(テウ)ス之ヲ一。〔山田俊雄藏本〕
金色等身ノ如来白檀( タン)ノ座像各菩薩。脇侍(ケフジ)ノ二天刻(コク)二彫(テウ)ス之ヲ一。〔経覺筆本〕
金色。等身(トウ )ノ如来。白檀( タン)ノ。座像(ザサウ)ノ。菩薩。各(ヲノ/\)。脇侍(ケウシ)ノ二天。剋彫(コクテウ)スレ之ヲ一。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「脇侍」と記載し、訓みは、山田俊雄藏本「コウシ」、経覺筆本「ケフジ」と文明四年本「ケウシ」とそれぞれ異なる表記で記載する。漢字表記では、建部傳内本だけが「脇士」の表記を示す。
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』だけが標記語「脇士」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』の建部傳内本の表記と合致している。但し、真字本には、「脇侍」として扱われている語となっている。
529各脇侍二天 韋駄天毘沙門天也。〔謙堂文庫藏五〇左D〕
とあって、標記語「脇侍」の語を収載し、語注記は「韋駄天・毘沙門天なり」と記載する。
脇士(ケウシ)ノ二天剋(コク)二彫(テウ)シ之ヲ一脇士トハツキ立ナリ。不動毘沙門等ナリ。〔下27ウ六〜七〕
脇侍(けうじ)の二天(にてん)/脇侍ノ二天脇侍ハ仏のわきに立なり韋駄天毘沙門天なとを二つ左右に立るゆへ二天といふ。〔75ウ六〜七〕
とあって、この標記語「脇侍」の語をもって収載し、語注記は、「脇侍は、仏のわきに立なり。韋駄天・毘沙門天などを二つ左右に立るゆへ二天といふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲脇士ハ左右の脇(わき)だち也。二天ハ韋駄天(いたてん)毘沙門天(ひしやもんてん)をいふ。〔55オ一〜55ウ六〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲脇士ハ左右(さいう)の脇(わき)だち也。二天ハ韋駄天(いだてん)毘沙門天(びしやもんてん)をいふ。〔98ウ四〜100オ二〕
けふ-じ〔名〕【挾侍・?侍】〔挾(さしはさ)み侍(はべ)る意、脇侍、脇士、とも書く、挾、?、相、通ず、陳書、韋載傳「素有二名望一、毎二大事一、恒令レ?二侍左右一」唐書、禮樂志「侍臣夾侍」(狹侍とあるは、誤字なり)脇侍ハ、音通にて記すなるべし、わきだちハ、其訓讀ならむ、脇士とあるは、脇侍大士の意か、菩薩を、大士と云ふ、脇仕とも記したるあるは、俗なり〕脇立(わきだて)。ワイダチ。如來の左右に侍り立つ二菩薩の稱。阿彌陀如來に、觀世音菩薩、勢至菩薩、釋迦如來に、文殊菩薩、普賢菩薩、の類なり。又、不動明王の制?迦童子、矜羯羅(コンガラ)童子などをも云ふ。續日本紀、十二、天平九年三月「釋迦佛像一驅、挾侍菩薩二驅」」孝徳紀、白雉元年十月「丈六ノ繍像挾侍」用明紀、二年四月「南淵坂田寺ノ木丈六佛像ノ挾侍菩薩」大安寺資財帳「脇侍」源氏物語、三十七、鈴蟲1「阿彌陀佛、けうじの菩薩(ぼさち)、各、白檀して造り奉りたる」靈異記、中、題三十六縁「聖武太上天皇ノ世、奈良ノ京、下毛野寺金堂ノ脇士ノ觀音之項、无レ故斷落也」同、下、第十七縁「彌勒脇士之菩薩」運歩色葉集、「脇立、ワキダチ、佛~」〔0621-2〕
菩薩(サツ) ―ハ救レ上―化レ下也。〔元亀二年本44四〕
菩薩 ―救上―化下。〔静嘉堂本49三〕
菩薩 ―救上―化レ下也。〔天正十七年本上25ウ三〕〔西來寺本〕
金色等身如来白檀座像菩薩各脇侍二天刻彫之〔至徳三年本〕
金色等身如來白檀座像菩薩各脇侍二天剋彫之〔宝徳三年本〕
金色等身如来白檀座像菩薩各脇士二天刻彫之〔建部傳内本〕
金色ノ等身ノ如来白檀座像ノ菩薩各脇侍(コウシ)二天刻二彫(テウ)ス之ヲ一。〔山田俊雄藏本〕
金色等身ノ如来白檀( タン)ノ座像各菩薩。脇侍(ケフジ)ノ二天刻(コク)二彫(テウ)ス之ヲ一。〔経覺筆本〕
金色。等身(トウ )ノ如来。白檀( タン)ノ。座像(ザサウ)ノ。菩薩。各(ヲノ/\)。脇侍(ケウシ)ノ二天。剋彫(コクテウ)スレ之ヲ一。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「菩薩」と記載する。
菩薩 ホサツ。〔黒川本・人倫門上34オ七〕
菩薩 。〔巻第二・人倫門303六〕
菩薩(ボサツ/□ノリ)[去・入] 菩提薩?唐言二覚有情一覚者所求ノ果也。有情者所度ノ境也。薩?ハ勇猛精進之義也。〔態藝門104五〕
菩薩(ホサツ) 。〔弘・人倫門32八〕〔永・人倫門33三〕
菩薩( ) 。〔尭・人倫門29九〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「菩薩」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。但し、真字本に見える語注記の内容を最も継承しているのは、『運歩色葉集』となっていることに留意しておきたい。広本『節用集』は、詳細のなる語注記を記載しているが別資料からの引用となっている。
528菩薩 自覚ノ尺ニ曰、菩ハ即上求。薩ハ即下化。又云上求菩提下化衆生云々。〔謙堂文庫藏五〇左C〕
とあって、標記語「菩薩」の語を収載し、語注記は「自覚の釈に曰く、菩は、即ち上に求むる。薩は、即ち下に化す。また云く、上求菩提下化衆生云々」と記載する。
白檀(ヒヤク ン)座像(ササウ)ノ菩薩(ホサツ)各(ヲノ/\)白檀ハサイシキナシ刀目( ナメ)ヲ顕(アラハ)ス也。喩(タト)ヘバ菩薩(ホ )ト云條普賢(フケン)文殊(モンシユ)觀音(クハンヲン)地蔵(チサウ)ノ事也。〔下27ウ五〕
白檀(びやくだん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)/白檀座像ノ菩薩白檀ハ木の名此木にてほりたるほさつ也。座(すわ)りて居る形(かたち)を座像(さそう)と云。立て居るを立像(りうそう)といふ。〔75ウ五〜六〕
とあって、この標記語「菩薩」の語をもって収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲白檀坐像ノ菩薩ハ白檀にて刻(きさ)ミたる坐(すハ)らせ給ふ木像(もくそう)也。菩薩ハ菩提薩?(ほたいさつた)を略(りやく)せる也。〔55オ一〜55ウ五〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲白檀坐像ノ菩薩ハ白檀(びやくたん)にて刻(きざ)ミたる坐(すわ)らせ給ふ木像(もくざう)也。菩薩(ぼさつ)ハ菩提薩?(ぼだいさつた)を略(りやく)せる也。〔98ウ四〜100オ一〕
Biacudan.ボサツ(菩薩) Tasuqe,uru.(菩け,くる)仏(Fotoqe)よりも下の位.※菩たすく(落葉集).〔邦訳62l〕
ぼ-さつ〔名〕【菩薩】〔金剛經、注「菩、普也、薩、濟也、善普濟二衆生一」梵語、Bodh-isattva.即ち、菩提(ボデ)(佛道)、薩?(サツタ)(大心衆生、又、覺衆生)の略、開士、大士などと義釋す〕(一)又、ぼさち。大慈悲心を以て、菩提の道を求め、衆生を化し、自行、化他の行ひをする人の義にて、佛の次に位する號。或は、薩?とのみも云ふ。佛地論、二「縁二菩薩薩?一爲レ境、故名二菩薩一、具二足自利利他大願一、求二大菩提一、利二有情一故」同「薩?者、是勇猛義、精進勇猛、求二大菩提一、故名二菩薩一」淨名疏、一「菩提爲二無上道一、薩?名二大心一、謂無上道大心、此人發二大心一、爲二衆生一、求無上道、故名二菩薩一」、宇津保物語、俊蔭15「この琴を、佛よりはじめ奉りて、菩薩に一つづつ奉る」源氏物語、三十七、鈴蟲2「あみだ佛、脇士の菩薩、おのおのびゃくだんして造り奉りたり」「観世音菩薩」勢至菩薩」文殊菩薩」普賢菩薩」虚空藏菩薩」(二)米の異名。(人の命をつなぐより云ふ)。物類稱呼、三、生殖「米、遠江國天龍の川上にてぼさつと稱す」東雅、十三、穀「民間の語に、穀を呼びて菩薩ぼさつといふ事あり、此語は、もと韓地方言に出しなり、?林類事に、かの方言、白米を漢菩薩(ぼさる)といひ、粟を田菩薩といふとしるせり」(菩薩の字の韓音、ポサル、今、米をさると云ふ)文化の川柳「いづれ菩薩は、道明寺、滿願寺」(道明寺は、糒、滿願寺は銘酒の名)〔1835-5〕
金色等身如来白檀座像菩薩各脇侍二天刻彫之〔至徳三年本〕
金色等身如來白檀座像菩薩各脇侍二天剋彫之〔宝徳三年本〕
金色等身如来白檀座像菩薩各脇士二天刻彫之〔建部傳内本〕
金色ノ等身ノ如来白檀座像ノ菩薩各脇侍(コウシ)二天刻二彫(テウ)ス之ヲ一。〔山田俊雄藏本〕
金色等身ノ如来白檀( タン)ノ座像各菩薩。脇侍(ケフジ)ノ二天刻(コク)二彫(テウ)ス之ヲ一。〔経覺筆本〕
金色。等身(トウ )ノ如来。白檀( タン)ノ。座像(ザサウ)ノ。菩薩。各(ヲノ/\)。脇侍(ケウシ)ノ二天。剋彫(コクテウ)スレ之ヲ一。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「座像」と記載し、訓みは、文明四年本に「ザサウ」と記載する。
坐像(ザザウ/アル、シヤウ)[去・上] 。〔態藝門792三〕
坐禪(ザぜン) ―像(ザウ)。〔言語門181六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「坐像」の語は未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
526坐像 白磨云也。〔謙堂文庫藏五〇左B〕
とあって、標記語「坐像」の語を収載し、語注記は「白磨を云ふなり」と記載する。
白檀(ヒヤク ン)座像(ササウ)ノ菩薩(ホサツ)各(ヲノ/\)白檀ハサイシキナシ刀目( ナメ)ヲ顕(アラハ)ス也。喩(タト)ヘバ菩薩(ホ )ト云條普賢(フケン)文殊(モンシユ)觀音(クハンヲン)地蔵(チサウ)ノ事也。〔下27ウ五〕
白檀(びやくだん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)/白檀座像ノ菩薩白檀ハ木の名此木にてほりたるほさつ也。座(すわ)りて居る形(かたち)を座像(さそう)と云。立て居るを立像(りうそう)といふ。〔75ウ五〜六〕
とあって、この標記語「坐像」の語をもって収載し、語注記は、「座(すわ)りて居る形(かたち)を座像(さそう)と云。立て居るを立像(りうそう)といふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲白檀坐像ノ菩薩ハ白檀にて刻(きさ)ミたる坐(すハ)らせ給ふ木像(もくそう)也。菩薩ハ菩提薩?(ほたいさつた)を略(りやく)せる也。〔55オ一〜55ウ五〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲白檀坐像ノ菩薩ハ白檀(びやくたん)にて刻(きざ)ミたる坐(すわ)らせ給ふ木像(もくざう)也。菩薩(ぼさつ)ハ菩提薩?(ぼだいさつた)を略(りやく)せる也。〔98ウ四〜100オ一〕
ざ-ざう〔名〕【坐像】坐りて居る像。(立像に對す)冥報記「爲畫二坐像於寺西壁一」〔0795-1〕
白檀(ダン) 。〔元亀二年本342三〕〔静嘉堂本410四〕
金色等身如来白檀座像菩薩各脇侍二天刻彫之〔至徳三年本〕
金色等身如來白檀座像菩薩各脇侍二天剋彫之〔宝徳三年本〕
金色等身如来白檀座像菩薩各脇士二天刻彫之〔建部傳内本〕
金色ノ等身ノ如来白檀座像ノ菩薩各脇侍(コウシ)二天刻二彫(テウ)ス之ヲ一。〔山田俊雄藏本〕
金色等身ノ如来白檀( タン)ノ座像各菩薩。脇侍(ケフジ)ノ二天刻(コク)二彫(テウ)ス之ヲ一。〔経覺筆本〕
金色。等身(トウ )ノ如来。白檀( タン)ノ。座像(ザサウ)ノ。菩薩。各(ヲノ/\)。脇侍(ケウシ)ノ二天。剋彫(コクテウ)スレ之ヲ一。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「白檀」と記載し、訓みは、経覺筆本と文明四年本に「(ビヤク)タン」と記載する。
白檀 ヒヤクタン俗/栴檀白者/――。〔黒川本・植物門下87ウ五〕
白檀 ヒヤクタン。〔巻第十・植物門322四〕
白檀(ビヤクダン/ハク・シロシ、マユミ)[入・平] 。〔草木門1030五〕
白檀(ヒヤクダン) 。〔永・草木門215一〕
白檀(ヒヤクタン) 。〔尭・草木門200四〕
白檀(ビヤクダン) 。〔草木門223七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「白檀」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。但し、真字本に見える「白磨云也」の語注記は継承されていない語となっている。
526白檀 白磨云也。〔謙堂文庫藏五〇左B〕
とあって、標記語「白檀」の語を収載し、語注記は「白磨を云ふなり」と記載する。
白檀(ヒヤク ン)座像(ササウ)ノ菩薩(ホサツ)各(ヲノ/\)白檀ハサイシキナシ刀目( ナメ)ヲ顕(アラハ)ス也。喩(タト)ヘバ菩薩(ホ )ト云條普賢(フケン)文殊(モンシユ)觀音(クハンヲン)地蔵(チサウ)ノ事也。〔下27ウ五〕
白檀(びやくだん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)/白檀座像ノ菩薩白檀ハ木の名此木にてほりたるほさつ也。座(すわ)りて居る形(かたち)を座像(さそう)と云。立て居るを立像(りうそう)といふ。〔75ウ五〜六〕
とあって、この標記語「白檀」の語をもって収載し、語注記は、「白檀は、木の名」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲白檀坐像ノ菩薩ハ白檀にて刻(きさ)ミたる坐(すハ)らせ給ふ木像(もくそう)也。菩薩ハ菩提薩?(ほたいさつた)を略(りやく)せる也。〔55オ一〜55ウ五〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲白檀坐像ノ菩薩ハ白檀(びやくたん)にて刻(きざ)ミたる坐(すわ)らせ給ふ木像(もくざう)也。菩薩(ぼさつ)ハ菩提薩?(ぼだいさつた)を略(りやく)せる也。〔98ウ四〜100オ一〕
Biacudan.ビャクダン(白檀) 白檀の木.※原文はsandalo.sandalo brancoことで白檀.なお,この条下にあるべき一項が次条に混入している.→Xitan.〔邦訳54r〕
びゃく-ダン〔名〕【白檀】〔栴檀の條を見よ。紫檀。K檀などに對す〕(一){熱地に産ずる樹。栴檀の類、其材を舶來す。色、白くして黄を帶ぶ、香料、藥料、などとし、又、器具を作る。一種、油色なるを黄檀と云ふ、亦、藥料とす。新唐書、南蠻傳「單單在二攝州東南多羅磨之西一、亦有二州縣一、木多二白檀一」倭名抄、廿25木類「白檀、栴檀白者謂二之白檀一」古事談、二、釋教「紫檀、白檀等皆唐土之物也、云云、白檀は栴檀之白也」(二)わびゃくだん(和白檀)に同じ。次次條の語を見よ。〔1703-4〕
金色等身如来白檀座像菩薩各脇侍二天刻彫之〔至徳三年本〕
金色等身如來白檀座像菩薩各脇侍二天剋彫之〔宝徳三年本〕
金色等身如来白檀座像菩薩各脇士二天刻彫之〔建部傳内本〕
金色ノ等身ノ如来白檀座像ノ菩薩各脇侍(コウシ)二天刻二彫(テウ)ス之ヲ一。〔山田俊雄藏本〕
金色等身ノ如来白檀( タン)ノ座像各菩薩。脇侍(ケフジ)ノ二天刻(コク)二彫(テウ)ス之ヲ一。〔経覺筆本〕
金色。等身(トウ )ノ如来。白檀( タン)ノ。座像(ザサウ)ノ。菩薩。各(ヲノ/\)。脇侍(ケウシ)ノ二天。剋彫(コクテウ)スレ之ヲ一。〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「等身」と記載し、訓みは、文明四年本に「トウ(シン)」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「等身」の語は未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
524僧-坊金-色等ノ身 立像也。言ハ建ハ立旦那ノ長ト等キ也。又後二条ノ関白山王ノ咎ニ病ノ時北政所願ニ御身等身ノ薬師ノ像各七体作被∨供養|也。〔謙堂文庫藏五〇左A〕
とあって、標記語「等身」の語を収載し、語注記は「立像なり。言は、建立は旦那の長と等しきなり。また、後二条の関白、山王の咎に病ひの時、北政所願に御身等身の薬師の像、各七体を作り供養せらるるなり」と記載する。
僧坊金色等身ノ如來僧坊ハ寺中ノ房也。金色ノ如來ノ事夫五智圓滿ノ如來ハ紫摩金也。身ノ御形チナリ。作リ立ル処ヲ泥佛ニ作ルナリ。〔下27ウ四〜五〕
金色(こんじき)等身(とうしん)乃如来(によらい)/金色等身ノ如来衣もはたへも皆金色にしたる仏像なり。又建立する人の身の丈と等しくしたる如来なりともいふ。〔75ウ三〕
とあって、この標記語「等身」の語をもって収載し、語注記は、「また、建立する人の身の丈と等しくしたる如来なりともいふ」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲金色等身ノ如来ハ衣(ころも)も肌(はたへ)も等(ひとし)く金色(きんいろ)にしたる仏像(ふつそう)をいふ〔55オ一〜55ウ五〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲金色等身ノ如来ハ衣(ころも)も肌(はたへ)も等(ひとし)く金色(きんいろ)にしたる仏像(ぶつざう)をいふ。〔98ウ四〜100オ一〕
とう-しん〔名〕【等身】己が身の高さと、等しきこと。升菴集(明、楊愼)「宋賈黄中、幼日聽悟過レ人、父師取レ書、與二其身一相等、令レ讀レ之、謂二之等身書一、張子野詞、等身金誰能意、買レ此好二光景一」役行者靈験記、上「等身ノ藏王の形像を作り」更級日記「とうしんに藥師佛を造りて」〔1385-5〕
僧房(バウ) 。僧坊(バウ) 。〔元亀二年本153三〕
可有御供養条々精舎一宇三重塔婆金堂寳塔經蔵鐘楼食堂休所惣門二階湯屋僧坊〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
可有御供養條々精舎一宇三重塔婆寳塔經藏鐘樓食堂○ ○〔宝徳三年本〕
可レ有二御供養一条々精舎一宇三重ノ塔婆金堂 ○多寳塔經蔵鐘樓食堂休所惣テ門二階湯屋風呂僧-坊〔山田俊雄藏本〕
可キノレ有二御供養一条々精舎(シヤウシヤ)一宇(ウ)。三重ノ塔婆金堂宝塔経蔵鐘楼食堂休所(ヤスミ )ハ門二階湯屋(ユヤ)僧坊〔経覺筆本〕
可有二御供養(ク ヤウ)ノ一条目(ジヨウモク)。精舎(シヤウシヤ)。一宇(イチウ)。三重ノ。塔婆(タウハ)金堂。寳塔。経蔵(キヤウサウ)。鐘樓(シユロウ)。食(シキ)堂。休所(ヤスミトコロ)。?(ソウ)門。二階(カイ)。湯屋。僧(ソウ)-坊(ハウ)房〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「僧坊」と記載し、訓みは、文明四年本に「ソウハウ」と記載する。
僧坊 同/ソウハウ。〔畳字門中18ウ六〕
僧侶 〃徒。〃衆。〃正。〃祇。〃房。〃器。〃事。〃綱。〃供。〔畳字門56二〕
僧坊(ソウバウ) 。〔家屋門57六〕
僧坊(シヤウダウ/ヒキイル、ミチビク)[平・去] 。〔態藝門1018一〕
僧房(バウ) 。〔弘・天地門117八〕
僧坊( ウハウ) ―堂(タウ)。〔乾坤門99三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「僧坊」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
524僧-坊金-色等ノ身 立像也。言ハ建ハ立旦那ノ長ト等キ也。又後二条ノ関白山王ノ咎ニ病ノ時北政所願ニ御身等身ノ薬師ノ像各七体作被∨供養|也。〔謙堂文庫藏五〇左A〕
とあって、標記語「僧坊」の語を収載し、語注記は未記載にする。
僧坊金色等身ノ如來僧坊ハ寺中ノ房也。金色ノ如來ノ事夫五智圓滿ノ如來ハ紫摩金也。身ノ御形チナリ。作リ立ル処ヲ泥佛ニ作ルナリ。〔下27ウ四〜五〕
僧坊(そうばう)/僧坊寺中の坊なり。精舎といふよりこゝまてハ皆普請(ふしん)成就(じやうじゆ)の供養なり。〔75ウ三〕
とあって、この標記語「僧坊」の語をもって収載し、語注記は、「寺中の坊なり。精舎といふよりこゝまでは皆普請(ふしん)成就(じやうじゆ)の供養なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲僧坊ハ寺中(しちう)の坊舎(はうしや)也。〔55オ一〜55ウ四・五〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲僧坊ハ寺中(じちう)の坊舎(ばうしや)也。〔98ウ四〜99ウ六〕
そう-ばう〔名〕【僧坊】僧の居る別室。僧侶の房室。佛國記(晉、釋法顯)「作二四方僧坊一、供二給客僧一」晉書、鳩摩羅什傳「不レ住二僧坊一」倭名類聚抄、十三1伽藍具「僧坊、法華經云、起塔寺、及造二僧坊一、(注、他經等或云二僧坊一)供二養衆僧一、其徳最勝、無量無邊」源氏物語、五、若紫3「高き所にて、此處彼處、僧坊ども、あらはに見下さるる」平家物語、一、清水炎上事「山門の大衆、六波羅へは寄せずして、漫なる清水寺に押し寄せて、佛閣、僧坊、一宇も殘さず、焼き拂ふ」〔1142-4〕
金色(こんじき)等身(とうしん)乃如来(によらい)/金色等身ノ如来衣もはたへも皆金色にしたる仏像なり。又建立する人の身の丈と等しくしたる如来なりともいふ。〔75ウ三〕
とあって、この標記語「金色」の語をもって収載し、語注記は、「衣もはだへも皆金色にしたる仏像なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲金色等身ノ如来ハ衣(ころも)も肌(はたへ)も等(ひとし)く金色(きんいろ)にしたる仏像(ふつそう)をいふ。〔55オ一〜55ウ五〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲金色等身ノ如来ハ衣(ころも)も肌(はたへ)も等(ひとし)く金色(きんいろ)にしたる仏像(ぶつざう)をいふ。〔98ウ四〜100オ一〕
二階(カイ) 。〔元亀二年本40五〕〔静嘉堂本44三〕〔天正十七年本上22ウ四〕
可有御供養条々精舎一宇三重塔婆金堂寳塔經蔵鐘楼食堂休所惣門二階湯屋僧坊〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
可有御供養條々精舎一宇三重塔婆寳塔經藏鐘樓食堂○ ○〔宝徳三年本〕
可レ有二御供養一条々精舎一宇三重ノ塔婆金堂 ○多寳塔經蔵鐘樓食堂休所惣テ門二階湯屋風呂僧-坊〔山田俊雄藏本〕
可キノレ有二御供養一条々精舎(シヤウシヤ)一宇(ウ)。三重ノ塔婆金堂宝塔経蔵鐘楼食堂休所(ヤスミ )ハ門二階湯屋(ユヤ)僧坊〔経覺筆本〕
可有二御供養(ク ヤウ)ノ一条目(ジヨウモク)。精舎(シヤウシヤ)。一宇(イチウ)。三重ノ。塔婆(タウハ)金堂。寳塔。経蔵(キヤウサウ)。鐘樓(シユロウ)。食(シキ)堂。休所(ヤスミトコロ)。?(ソウ)門。二階(カイ)。湯屋。僧(ソウ)-坊(ハウ)房〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「二階」と記載し、訓みは、文明四年本に「(ニ)カイ」と記載する。
二階(ニカイ/ジ・フタツ、キダハシ)[去・平] 。〔態藝門85七〕
二階(カイ) 家上。〔弘・天地門27八〕
二階(ニカイ) 家。〔永・天地門28二〕
二階(カイ) 。〔尭・天地門25二〕
二階(ニカイ) 。〔両・天地門29二〕
二階(ニカイ) 。〔乾坤門25三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「二階」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
522二階 上ノ付∨門善也。〔謙堂文庫藏五〇左@〕
とあって、標記語「二階」の語を収載し、語注記は、「上の門を付け善きなり」と記載する。
惣門(ソウモン)二階(カイ)湯屋(ユヤ)如シレ常ノ。〔下27ウ四〕
惣門(そうもん)二階(にかい)/惣門二階二階にしたる門也。〔75ウ六〕
とあって、この標記語「二階」の語をもって収載し、語注記は、「二階にしたる門なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲惣門二階ハ二階作(にかいつく)り乃大門也。〔55オ一〜55ウ三〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲惣門二階ハ二階作(にかいづく)りの大門也。〔98ウ四〜99ウ六〕
Nicai.ニカイ(二階) 二階.§Nicaizzucurino iye.(二階造りの家)二階建ての家.〔邦訳462l〕
に-かい〔名〕【二階】(一){二階廚子の略。二層に造りたる廚子。又、その廚子の棚。類聚雜要抄、二、調度「大治五年、云云、北庇二階」源氏物語、三十八、夕霧71「沈の二階」同、四十九、東屋18「廚子二かいなど、あやしきまでしくはへ」今昔物語集、廿七、第四語「二階に、蒔繪の硯箱をも置き、火取に空薫の匂、馨ばしくきこゆ」蜻蛉日記、上21「云云、と書きつけて二かいに置きたり」(二)平家の上に、なほ一層重ねて造りたる所。又、その家。たかどの。重家。樓。思儘日記「水の上に二かいを作りかけ」二階から目薬をさすとハ、二階より階下の人に目藥をさす如く、思ふやうに届きかぬる意。又、迂遠なる喩に云ふ語。御前義經記「二階から目藥さす仕掛け、さりとは急な戀ぞかし」〔1484-2〕
?門(モン) 。〔元亀二年本152二〕〔天正十七年本中14ウ四〕
?門 。〔静嘉堂本166二〕
可有御供養条々精舎一宇三重塔婆金堂寳塔經蔵鐘楼食堂休所惣門二階湯屋僧坊〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
可有御供養條々精舎一宇三重塔婆寳塔經藏鐘樓食堂○ ○〔宝徳三年本〕
可レ有二御供養一条々精舎一宇三重ノ塔婆金堂 ○多寳塔經蔵鐘樓食堂休所惣テ門二階湯屋風呂僧-坊〔山田俊雄藏本〕
可キノレ有二御供養一条々精舎(シヤウシヤ)一宇(ウ)。三重ノ塔婆金堂宝塔経蔵鐘楼食堂休所(ヤスミ )ハ門二階湯屋(ユヤ)僧坊〔経覺筆本〕
可有二御供養(ク ヤウ)ノ一条目(ジヨウモク)。精舎(シヤウシヤ)。一宇(イチウ)。三重ノ。塔婆(タウハ)金堂。寳塔。経蔵(キヤウサウ)。鐘樓(シユロウ)。食(シキ)堂。休所(ヤスミトコロ)。?(ソウ)門。二階(カイ)。湯屋。僧(ソウ)-坊(ハウ)房〔文明四年本〕
と見え、古写本については、至徳三年本、建部傳内本、山田俊雄藏本は、「惣門」と記載し、経覺筆本の「ハ門」と記載し、文明四年本は、「?(ソウ)門」と記載する。訓みは、文明四年本に「ソウ(モン)」とある。宝徳三年本は、此の語を欠落にする。
総門(ソウモン) 。〔家屋門56一〕
總門(ソウモン/スベテ・フサ、カド)[上・平] 。〔態藝門383八〕
?門(ソウモン) 。〔弘・天地門117八・言語進退門122三〕〔永・天地門100三〕〔尭・天地門90八〕〔両・天地門110四〕
?門(ソウモン) 。〔乾坤門99三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「総門」「總門」「?門」の語をもって収載していて、このうち古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語は表記上からは、『下學集』と共通している。
521食堂休所総門 大門ヲ云也。〔謙堂文庫藏五〇右H〕{食堂僧堂也。座禅スル処一日一夜ハン也}
とあって、標記語「総門」の語を収載し、語注記は、「大門を云ふなり」と記載する。
惣門(ソウモン)二階(カイ)湯屋(ユヤ)如シレ常ノ。〔下27ウ四〕
惣門(そうもん)二階(にかい)/惣門二階二階にしたる門也。〔75ウ六〕
とあって、この標記語「惣門」の語をもって収載し、語注記は、「二階にしたる門なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲惣門二階ハ二階作(にかいつく)り乃大門也。〔55オ一〜55ウ四〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲惣門二階ハ二階作(にかいづく)りの大門也。〔98ウ四〜99ウ六〕
So>mon.ソウモン(惣門) 皆が,すなわち,すべての種類の人々が,そこを通って出入りする主な門.〔邦訳572r〕
そう-もん〔名〕【總門】外構への第一の正門。大門(ダイモン)。おおみかど。平家物語、四、信連合戰事「三條表の總門をも、高倉表の小門をも、共に開きて、待ちかけたり」徒然草、四十四段、「山の際に、總門のある内に入りぬ」〔1143-3〕
可有御供養条々精舎一宇三重塔婆金堂寳塔經蔵鐘楼食堂休所惣門二階湯屋僧坊〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
可有御供養條々精舎一宇三重塔婆寳塔經藏鐘樓食堂○ ○〔宝徳三年本〕
可レ有二御供養一条々精舎一宇三重ノ塔婆金堂 ○多寳塔經蔵鐘樓食堂休所惣テ門二階湯屋風呂僧-坊〔山田俊雄藏本〕
可キノレ有二御供養一条々精舎(シヤウシヤ)一宇(ウ)。三重ノ塔婆金堂宝塔経蔵鐘楼食堂休所(ヤスミ )ハ門二階湯屋(ユヤ)僧坊〔経覺筆本〕
可有二御供養(ク ヤウ)ノ一条目(ジヨウモク)。精舎(シヤウシヤ)。一宇(イチウ)。三重ノ。塔婆(タウハ)金堂。寳塔。経蔵(キヤウサウ)。鐘樓(シユロウ)。食(シキ)堂。休所(ヤスミトコロ)。?(ソウ)門。二階(カイ)。湯屋。僧(ソウ)-坊(ハウ)房〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「休所」と記載し、訓みは、経覺筆本に「ヤスミ(トコロ)」、文明四年本に「ヤスミトコロ」と記載する。
休所(ヤスミトコロ) 。〔家屋門57一〕
このように、上記当代の古辞書においては、何と『下學集』にのみ標記語「休所」の語が収載されていて、他の古辞書は未収載にする。この語が古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
521食堂休所総門 大門ヲ云也。〔謙堂文庫藏五〇右H〕{食堂僧堂也。座禅スル処一日一夜ハン也}
とあって、標記語「休所」の語を収載し、語注記は未記載にする。
食堂(ジキタウ)休所(キウシヨ)ハ一寺ノ衆徒(シユト)同會( イ)ノ時食事ノ処ナリ。〔下27ウ三〜四〕
休所(やすミところ)/休所勤行の間に休息する所なり。〔75ウ一〜二〕
とあって、この標記語「休所」の語をもって収載し、語注記は、「勤行の間に休息する所なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲休所ハ勤行(こんきやう)休息(きうそ)の所。〔55オ一〜55ウ四〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲休所ハ勤行(ごんぎやう)休息(きうそく)の所。〔98ウ四〜99ウ六〕
Yasumidocoro.ヤスミドコロ(休所) 休止したり,休息したりする所.〔邦訳812r〕
やすみ-どころ〔名〕【休所】休憩する塲所。休憩所。大嘗祭式「祝部憩屋(ヤスミドコロ)一宇」〔2037-5〕
食堂(ダウ) 。〔元亀二年本313一〕
食堂(ジキダウ) 。〔静嘉堂本366六〕
可有御供養条々精舎一宇三重塔婆金堂寳塔經蔵鐘楼食堂休所惣門二階湯屋僧坊〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
可有御供養條々精舎一宇三重塔婆寳塔經藏鐘樓食堂○ ○〔宝徳三年本〕
可レ有二御供養一条々精舎一宇三重ノ塔婆金堂 ○多寳塔經蔵鐘樓食堂休所惣テ門二階湯屋風呂僧-坊〔山田俊雄藏本〕
可キノレ有二御供養一条々精舎(シヤウシヤ)一宇(ウ)。三重ノ塔婆金堂宝塔経蔵鐘楼食堂休所(ヤスミ )ハ門二階湯屋(ユヤ)僧坊〔経覺筆本〕
可有二御供養(ク ヤウ)ノ一条目(ジヨウモク)。精舎(シヤウシヤ)。一宇(イチウ)。三重ノ。塔婆(タウハ)金堂。寳塔。経蔵(キヤウサウ)。鐘樓(シユロウ)。食(シキ)堂。休所(ヤスミトコロ)。?(ソウ)門。二階(カイ)。湯屋。僧(ソウ)-坊(ハウ)房〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「食堂」と記載し、訓みは、文明四年本に「シキ(ダウ)」と記載する。
食堂 シキタウ。〔黒川本・地儀門下68オ三〕
食堂(シキタウ) 。〔巻第九・地儀門127二〕
食堂(ジキダウ/クラウ、イヱ)[入・○] 。〔家屋門908一〕
食堂(ジキダウ) 。〔乾坤門203三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「食堂」の語は未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
521食堂休所総門 大門ヲ云也。〔謙堂文庫藏五〇右H〕{食堂僧堂也。座禅スル処一日一夜ハン也}
とあって、標記語「食堂」の語を収載し、語注記は未記載にする。
食堂(ジキタウ)休所(キウシヨ)ハ一寺ノ衆徒(シユト)同會( イ)ノ時食事ノ処ナリ。〔下27ウ三〜四〕
食堂(じきだう)/食堂僧徒の食事する所なり。〔75ウ一〕
とあって、この標記語「食堂」の語をもって収載し、語注記は、「僧徒の食事する所なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲食堂ハ僧衆(そうしゆ)の食事(しよくし)する所。〔55オ一〜55ウ四〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲食堂ハ僧衆(そうしゆ)の食事(しよくじ)する所。〔98ウ四〜99ウ五・六〕
Iiqido<.ジキダウ(食堂) 食堂.〔邦訳364r〕
じき-だう(ドウ)〔名〕【食堂】ショクダウ(食堂)に同じ。寺に云ふ。法隆寺伽藍縁起并流記資材帳「堂二口(一口、金堂、一口、食堂)字鏡抄「食堂、在二諸寺一、安二置文殊聖像一」増補、下學集、上、二、家屋門「食堂(ジキドウ)」〔0883-1〕
可有御供養条々精舎一宇三重塔婆金堂寳塔經蔵鐘楼食堂休所惣門二階湯屋僧坊〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
可有御供養條々精舎一宇三重塔婆寳塔經藏鐘樓食堂○ ○〔宝徳三年本〕
可レ有二御供養一条々精舎一宇三重ノ塔婆金堂 ○多寳塔經蔵鐘樓食堂休所惣テ門二階湯屋風呂僧-坊〔山田俊雄藏本〕
可キノレ有二御供養一条々精舎(シヤウシヤ)一宇(ウ)。三重ノ塔婆金堂宝塔経蔵鐘楼食堂休所(ヤスミ )ハ門二階湯屋(ユヤ)僧坊〔経覺筆本〕
可有二御供養(ク ヤウ)ノ一条目(ジヨウモク)。精舎(シヤウシヤ)。一宇(イチウ)。三重ノ。塔婆(タウハ)金堂。寳塔。経蔵(キヤウサウ)。鐘樓(シユロウ)。食(シキ)堂。休所(ヤスミトコロ)。?(ソウ)門。二階(カイ)。湯屋。僧(ソウ)-坊(ハウ)房〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「寳塔」と記載し、このうち、山田俊雄藏本には「多」を添える形態で示されている。訓みは、いずれも未記記載にする。
寳塔(ホウタフ) 。〔乾坤門〕
このように、上記当代の古辞書においては、饅頭屋本『節用集』だけに標記語「寳塔」の語を収載していて、これが古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
518金堂多宝ノ塔 多宝也。釈迦也。〔謙堂文庫藏五〇右G〕
とあって、標記語「多宝塔」の語を収載し、語注記は、「多宝なり。釈迦なり」と記載する。
三重ノ塔婆(タウバ)金堂(コンタウ)多寳塔(タホウタウ)三重ノ塔婆(トウバ)ハ莊嚴(シヤウコン)ノ塔ナリ。此塔ハ儀軌(キキ)ノ塔ナリ。〔下27ウ二〜三〕
寳塔(ほうたう)/寳塔佛舎利なとを入置塔なり。〔75オ五〜六〕
とあって、この標記語「寳塔」の語をもって収載し、語注記は、「佛舎利などを入れ置く塔なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲宝塔ハ佛舎利(ふつしやり)などを納(おさ)む。一に多宝塔に作(つく)る。〔55オ一〜55ウ三〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲宝塔ハ佛舎利(ぶつしやり)などを納(をさ)む。一に多宝塔(たはうたふ)に作る。〔98ウ四〜99ウ五〕
†Fo>to<.ホウタウ(寳塔) 二層から成る一種の小さな塔.〔邦訳265r〕
ほう-たふ〔名〕【寳塔】珍寳もて裝飾したる塔。法華經、寳塔品「佛前有二七寳塔一、云云、種種寳物而莊二校之一、云云、三十三天、雨二曼陀羅華一、供養二寳塔一」扶桑略記、三、推古天皇元年「起二立寺塔一、云云、寳塔壹基、五重瓦葺、金堂一宇、二重瓦葺、金銅救世觀音像一?、云云、金塗六重寳塔一基」〔1826-3〕
可有御供養条々精舎一宇三重塔婆金堂寳塔經蔵鐘楼食堂休所惣門二階湯屋僧坊〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
可有御供養條々精舎一宇三重塔婆寳塔經藏鐘樓食堂○ ○〔宝徳三年本〕
可レ有二御供養一条々精舎一宇三重ノ塔婆金堂 ○多寳塔經蔵鐘樓食堂休所惣テ門二階湯屋風呂僧-坊〔山田俊雄藏本〕
可キノレ有二御供養一条々精舎(シヤウシヤ)一宇(ウ)。三重ノ塔婆金堂宝塔経蔵鐘楼食堂休所(ヤスミ )ハ門二階湯屋(ユヤ)僧坊〔経覺筆本〕
可有二御供養(ク ヤウ)ノ一条目(ジヨウモク)。精舎(シヤウシヤ)。一宇(イチウ)。三重ノ。塔婆(タウハ)金堂。寳塔。経蔵(キヤウサウ)。鐘樓(シユロウ)。食(シキ)堂。休所(ヤスミトコロ)。?(ソウ)門。二階(カイ)。湯屋。僧(ソウ)-坊(ハウ)房〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「金堂」と記載し、宝徳三年本だけが脱語している。訓みは、いずれも未記載にする。
金堂(コンタウ) 。〔黒川本・地儀門下1ウ八〕
金堂 。〔巻第七・地儀門107三〕
金堂(コンダウ) 。〔乾坤門153七〕
このように、上記当代の古辞書においては、三卷本『色葉字類抄』(1177-81年)と十巻本『伊呂波字類抄』、易林本『節用集』に標記語「金堂」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
518金堂多宝ノ塔 多宝也。釈迦也。〔謙堂文庫藏五〇右G〕
とあって、標記語「金堂」の語を収載し、語注記は、「多宝なり。釈迦なり」と記載する。
三重ノ塔婆(タウバ)金堂(コンタウ)多寳塔(タホウタウ)三重ノ塔婆(トウバ)ハ莊嚴(シヤウコン)ノ塔ナリ。此塔ハ儀軌(キキ)ノ塔ナリ。〔下27ウ二〜三〕
時代は降って、江戸時代の訂誤『庭訓徃來捷注』(寛政十二年版)に、
金堂(こんだう)/金堂とハひらはしらなとへ金箔(きんはく)を重たる堂の事也。〔75オ七〜八〕
とあって、この標記語「金堂」の語をもって収載し、語注記は、「ひらはしらなどへ金箔(きんはく)を重たる堂の事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲金堂金箔(きんはく)にて濃(たミ)たるゆへ名(なつ)く。〔55オ一〜55ウ三〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲金堂ハ金箔(きんばく)にて濃(だミ)たるゆゑ名(なつ)く。〔98ウ四〜99ウ四〕
Condo<.コンダウ(金堂) この名で呼ばれる礼拝堂.または,寺院.〔邦訳146l〕
こん(コン)-だう(ドウ)〔名〕【金堂】〔東寳記「金堂、亦名二佛殿一、佛稱二金人一、名異、體同、是故配二佛室一」〕 法相宗、眞言宗の寺院にて、本堂の稱。(ほんだうの條を見よ)推古記、十四年四月「銅繍丈六佛像、云云、坐(スウ)レ於(ニ)二元興寺ノ金堂一」箋注倭名抄、五4伽藍具、金堂「梁元帝入佛日殿禮拝詩云「玳瑁金堂柱、云云」註「楊氏云、佛殿金堂也」東寳記、一「舊記云、延暦十五年、造二東寺一云云、金堂、藥師等形像、云云」野山名靈集、一、「金堂、云云、本尊は、藥師如来」(高野山)源平盛衰記、十五、高倉宮出寺事「高倉宮は、云云、南都を憑みて落ちさせ給ひけるが、先づ、金堂に御入堂あり」〔0773-3〕
塔婆(バ) 。〔元亀二年本137十〕
塔婆(タウバ) 。〔静嘉堂本146三〕〔天正十七年本中5オ三〕
可有御供養条々精舎一宇三重塔婆金堂寳塔經蔵鐘楼食堂休所惣門二階湯屋僧坊〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
可有御供養條々精舎一宇三重塔婆寳塔經藏鐘樓食堂○ ○〔宝徳三年本〕
可レ有二御供養一条々精舎一宇三重ノ塔婆金堂 ○多寳塔經蔵鐘樓食堂休所惣テ門二階湯屋風呂僧-坊〔山田俊雄藏本〕
可キノレ有二御供養一条々精舎(シヤウシヤ)一宇(ウ)。三重ノ塔婆金堂宝塔経蔵鐘楼食堂休所(ヤスミ )ハ門二階湯屋(ユヤ)僧坊〔経覺筆本〕
可有二御供養(ク ヤウ)ノ一条目(ジヨウモク)。精舎(シヤウシヤ)。一宇(イチウ)。三重ノ。塔婆(タウハ)金堂。寳塔。経蔵(キヤウサウ)。鐘樓(シユロウ)。食(シキ)堂。休所(ヤスミトコロ)。?(ソウ)門。二階(カイ)。湯屋。僧(ソウ)-坊(ハウ)房〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「塔婆」と記載し、訓みは、文明四年本に「タウハ」と記載する。
塔婆(タフバ/イヱ・タカラ、ウバ)[入・平] ――ハ梵語也。此ニハ翻ス二靈廟(レイベウ)ト一。塔與?同。又浮圖。浮屠。抖燈(トスウ)。神諸墳支提高顯樹。〔天地門330二〕
塔婆(タウバ) ――梵語也。此ニハ飜方墳ト又云??。塔トハ与?同字也。〔弘・天地門97五〕
塔婆(タウバ) ――ハ梵語也。此翻(ホン)ス二方墳一。又云二??ト一。〔永・天地門90三〕
塔婆(タウバ) ―梵語也。此飜ス二方墳一又云?。〔尭・天地門82三〕
塔婆(タウバ) ――ハ梵語也。此翻方墳。又云?一。〔両・天地門98五〕
塔婆(タフバ) 梵語。此翻二方墳ト一。〔乾坤門88四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「塔婆」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。その語注記の一部が近似ていることに注目されたい。
517三重ノ塔婆 一重ハ宝級院ト云也。阿?佛也。二重ヲ多宝ト云釈迦佛也。三重ハ彌勒五重ハ五地如来也。九重ハ大日如来也。小一重ハ支佛也。十三重ハ阿弥陀也。塔婆ハ梵語也。此ニハ云‖方墳ト|。又云∨霊廟ト|。又云∨高建ト|。佛滅度之時造∨之也。即塔也。科註ニ曰明大乗ヲ以テ∨金銀珍宝ヲ|廣厳飾シテ云ニ或ハ甎瓦泥土等。若ハ於廣野中積土ヲ成∨佛廟ヲ|。増一阿含ニ曰、佛ノ言四人ニ應∨起∨塔ヲ。輪王羅漢支佛等也。支佛ハ悟佛法ノ因縁而入∨深法性ニ|。能為∨世間也。輪王ハ為∨十善化∨物ヲ応∨起∨塔。但シ未∨晩∨三界ノ諸有|。故級也。如来塔ハ十三層{百尺也}也。支佛ハ十一層也。羅漢ハ四層也。輪王ノ塔ニ无級云々。級ハ重也。位也。有∨童子二人|。集∨沙ヲ造∨塔。戯ニ払沙佛底沙佛ハ成也。乃至童子戯トテ仮ニ立ルモ成佛ハ也。統紀ニ曰、佛入‐滅ニ帝尺於∨喜見城ニ|立∨四重|也。又南史ニ曰、阿育王滅度ノ後、无‖佛舎利|役∨鬼神|碎∨七宝ヲ|。未∨一日一夜|造∨八方四千ノ塔|云々也。〔謙堂文庫藏四九左H〕
とあって、標記語「塔婆」の語を収載し、語注記は、「塔婆は、梵語なり。此には、方墳と云ふ。又霊廟と云ふ。又高建と云ふ。佛、滅度の時之を造るなり。即ち塔なり。科註に曰く、明大乗を金銀珍宝を以って廣厳飾して云ふに或は、甎瓦泥土等。若しくは廣き野中に積土の佛廟を成せり。増一阿含に曰く、佛の言四人に塔を起せと應ず。輪王羅漢支佛等なり。支佛は、悟佛法の因縁にして深く法性に入る。能く世間と為すなり。輪王は、十善を為し物を化し、まさに塔を起つべし。但し、未だ三界の諸有を晩れず。故に級なり。如来塔は、十三層{百尺なり}なり。支佛は、十一層なり。羅漢は、四層なり。輪王の塔に級无し云々。級は、重なり。位なり。童子二人有り。沙を集め塔を造る。戯れに沙を払ふ。佛底沙佛は、成なり。乃至、童子の戯れとて仮に立つるも成佛はなり。統紀に曰く、佛入滅に帝尺喜見城に於いて四重を立つるなり。又、南史に曰く、阿育王滅度の後、佛舎利无く鬼神役し、七宝を碎く。未だ一日一夜八方四千の塔を造らず云々なり」と詳細な記載がなされている。
三重ノ塔婆(タウバ)金堂(コンタウ)多寳塔(タホウタウ)三重ノ塔婆(トウバ)ハ莊嚴(シヤウコン)ノ塔ナリ。此塔ハ儀軌(キキ)ノ塔ナリ。〔下27ウ二〜三〕
三重(さんぢう)の塔婆(とうば)/三重ノ塔婆三重ハ三階なり。五重にしたるものもあり。塔婆ハ塔の事也。〔75オ六〜七〕
とあって、この標記語「塔婆」の語をもって収載し、語注記は、「塔婆は、塔の事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲三重ノ塔婆ハ三階(かい)の塔(たふ)をいふ。〔55オ一〜55ウ三〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲三重ノ塔婆ハ三階(がい)の塔(たふ)をいふ。〔98ウ四〜99ウ四〕
To<ba.タフバ(塔婆) すなわち,To<.(塔) ある種の高い木造の塔.〔邦訳651l〕
タフ(トウ)-バ(バ)〔名〕【塔婆】(一)そとば(卒塔婆)の條を見よ。釋氏要覽「浮屠、梵語塔婆、此云二高顯一、今稱レ塔」源平盛衰記、十九、聞生檢二八員一事「藥王菩薩は八萬の塔婆を立て」因果物語、上、二「幽霊夢中に僧に告げて、塔婆を書直す事」(二)五輪塔の稱。(三)墓の稱。〔1235-4〕
可有御供養条々精舎一宇三重塔婆金堂寳塔經蔵鐘楼食堂休所惣門二階湯屋僧坊〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
可有御供養條々精舎一宇三重塔婆寳塔經藏鐘樓食堂○ ○〔宝徳三年本〕
可レ有二御供養一条々精舎一宇三重ノ塔婆金堂 ○多寳塔經蔵鐘樓食堂休所惣テ門二階湯屋風呂僧-坊〔山田俊雄藏本〕
可キノレ有二御供養一条々精舎(シヤウシヤ)一宇(ウ)。三重ノ塔婆金堂宝塔経蔵鐘楼食堂休所(ヤスミ )ハ門二階湯屋(ユヤ)僧坊〔経覺筆本〕
可有二御供養(ク ヤウ)ノ一条目(ジヨウモク)。精舎(シヤウシヤ)。一宇(イチウ)。三重ノ。塔婆(タウハ)金堂。寳塔。経蔵(キヤウサウ)。鐘樓(シユロウ)。食(シキ)堂。休所(ヤスミトコロ)。?(ソウ)門。二階(カイ)。湯屋。僧(ソウ)-坊(ハウ)房〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「三重」と記載する。
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「三重」の語は未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
517三重ノ塔婆 一重ハ宝級院ト云也。阿?佛也。二重ヲ多宝ト云釈迦佛也。三重ハ彌勒五重ハ五地如来也。九重ハ大日如来也。小一重ハ支佛也。十三重ハ阿弥陀也。塔婆ハ梵語也。此ニハ云‖方墳ト|。又云∨霊廟ト|。又云∨高建ト|。佛滅度之時造∨之也。即塔也。科註ニ曰明大乗ヲ以テ∨金銀珍宝ヲ|廣厳飾シテ云ニ或ハ甎瓦泥土等。若ハ於廣野中積土ヲ成∨佛廟ヲ|。増一阿含ニ曰、佛ノ言四人ニ應∨起∨塔ヲ。輪王羅漢支佛等也。支佛ハ悟佛法ノ因縁而入∨深法性ニ|。能為∨世間也。輪王ハ為∨十善化∨物ヲ応∨起∨塔。但シ未∨晩∨三界ノ諸有|。故級也。如来塔ハ十三層{百尺也}也。支佛ハ十一層也。羅漢ハ四層也。輪王ノ塔ニ无級云々。級ハ重也。位也。有∨童子二人|。集∨沙ヲ造∨塔。戯ニ払沙佛底沙佛ハ成也。乃至童子戯トテ仮ニ立ルモ成佛ハ也。統紀ニ曰、佛入‐滅ニ帝尺於∨喜見城ニ|立∨四重|也。又南史ニ曰、阿育王滅度ノ後、无‖佛舎利|役∨鬼神|碎∨七宝ヲ|。未∨一日一夜|造∨八方四千ノ塔|云々也。〔謙堂文庫藏四九左H〕
とあって、標記語「三重」の語を収載し、語注記は、「一重は宝級院と云ふなり。阿?佛なり。二重を多宝と云ふ釈迦佛なり。三重は、彌勒。五重は五地如来なり。九重は、大日如来なり。小一重は、支佛なり。十三重は、阿弥陀なり」と記載する。
三重ノ塔婆(タウバ)金堂(コンタウ)多寳塔(タホウタウ)三重ノ塔婆(トウバ)ハ莊嚴(シヤウコン)ノ塔ナリ。此塔ハ儀軌(キキ)ノ塔ナリ。〔下27ウ二〜三〕
三重(さんぢう)の塔婆(とうば)/三重ノ塔婆三重ハ三階なり。五重にしたるものもあり。塔婆ハ塔の事也。〔75オ六〜七〕
とあって、この標記語「三重」の語をもって収載し、語注記は、「三重は、三階なり。五重にしたるものもあり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲三重ノ塔婆ハ三階(かい)の塔(たふ)をいふ。〔55オ一〜55ウ三〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲三重ノ塔婆ハ三階(がい)の塔(たふ)をいふ。〔98ウ四〜99ウ四〕
さん-ぢゅう〔名〕【三重】(一)平家琵琶を語るに云ふ語。語る聲に、初重、中音(ちゆうおん)、三重の、三音階あり、中音より、二律低きを、初重と云ひ、二律高きを、三重と云ふ。平家を習ふ小盲が、苦しきことを、河原三重、蜆汁、と云ふ。三重の聲をあぐる苦しさを、石河原を歩くと、蜆汁を食ふと、に比して、此語ありと云ふ。《用例は省略》(二)三重と云ふ語、浄瑠璃の語物(かたりもの)の江戸節などにも移りて、聲高く揺(ゆ)りて發するを云ふ。長唄の謡物(うたひもの)にも云ふは、義太夫節より取り入れたるなり。《用例は省略》(三)義太夫節にも、種種の三重あり、文の段落に用ゐるに、何某の地に「着きにけり」など、五音を長く引くを、送り三重と云ふ。《用例は省略》〔0847-1〕※意味が異なる。
さんぢゅう-の-タフ〔名〕【三重】塔の、三重なるもの。五重の塔の條を見よ。〔0847-1〕
精舎(シヤウシヤ) 。〔元亀二年本312九〕
精舎(シヤウジヤ) 。〔静嘉堂本366四〕
可有御供養条々精舎一宇三重塔婆金堂寳塔經蔵鐘楼食堂休所惣門二階湯屋僧坊〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
可有御供養條々精舎一宇三重塔婆寳塔經藏鐘樓食堂○ ○〔宝徳三年本〕
可レ有二御供養一条々精舎一宇三重ノ塔婆金堂 ○多寳塔經蔵鐘樓食堂休所惣テ門二階湯屋風呂僧-坊〔山田俊雄藏本〕
可キノレ有二御供養一条々精舎(シヤウシヤ)一宇(ウ)。三重ノ塔婆金堂宝塔経蔵鐘楼食堂休所(ヤスミ )ハ門二階湯屋(ユヤ)僧坊〔経覺筆本〕
可有二御供養(ク ヤウ)ノ一条目(ジヨウモク)。精舎(シヤウシヤ)。一宇(イチウ)。三重ノ。塔婆(タウハ)金堂。寳塔。経蔵(キヤウサウ)。鐘樓(シユロウ)。食(シキ)堂。休所(ヤスミトコロ)。?(ソウ)門。二階(カイ)。湯屋。僧(ソウ)-坊(ハウ)房〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「精舎」と記載し、訓みは、経覺筆本と文明四年本に「シヤウシヤ」と記載する。
精舎(シヤウジヤ・クワシ、イヱ/アキラカ、ステル)[平・去] 息心ニ兎所レ栖曰二――ト一。同。〔家屋門907八〕
精舎(シヤウジヤ) 寺。〔弘・天地門235二〕
精舎(シヤウジヤ) 寺也。〔永・天地門195六〕
精舎(シヤウシヤ) 寺也。〔尭・天地門185五〕
精舎(シヤウジヤ) 寺也。〔乾坤門202四〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「精舎」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語であり、とりわけ、印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本『節用集』と易林本『節用集』の語注記と真名註の語注記とが合致し、広本『節用集』については、全く別の資料である『釋氏要覽』から抜粋していることが知られる。
515精舎 々々寺也。〔謙堂文庫蔵四九左H〕
とあって、標記語「精舎」の語を収載し、語注記は、「精舎は寺なり」と記載する。
精舎(シヤウジヤ)一宇ト云ハ寺一ツノコトナリ。〔下27オウ一〜二〕
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)/可∨有∨御供養|条々者精舎一宇精舎ハ寺の事也。一宇ハ一軒也。〔75オ五〜六〕
とあって、この標記語「精舎」の語をもって収載し、語注記は、「精舎は、寺の事なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲精舎一宇ハ寺(てら)一軒(けん)也。〔55オ一〜55ウ三〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲精舎一宇ハ寺(てら)一軒(けん)也。〔98ウ四〜99ウ四〕
Xo<ja.シャウジャ(精舎) すなわち,寺(Tera),寺院.〔邦訳792l〕
しゃう-じゃ〔名〕【精舎】〔梵語、Vihara.の譯語、精妙の舎の意〕(一)寺(てら)の異名。釋氏要覽「釋伽譜曰、息レ心所レ棲、曰二精舎一」敏達紀、十四年三月「馬子、云云、新營二精舎一」大安寺縁起「其自小及大、蓋起二上宮太子(厩戸)熊凝精舎一」平家物語、一、祇園精舎事「祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響きあり」(二)儒者の諸生を教ふる所。書斎。漢書、劉淑傳「淑少好レ學、明二五經一、遂隱居立二精舎一、講二授諸生一、常數百人」同、包感傳「感住二東海一、立二精舎一授レ講」〔0965-4〕
条々(デウ/\) 。〔元亀二年本245三〕
条々 。〔静嘉堂本283二〕
条々(テウ/\) 。〔天正十七年本中70ウ一〕
可有御供養条々精舎一宇三重塔婆金堂寳塔經蔵鐘楼食堂休所惣門二階湯屋僧坊〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
可有御供養條々精舎一宇三重塔婆寳塔經藏鐘樓食堂○ ○〔宝徳三年本〕
可レ有二御供養一条々精舎一宇三重ノ塔婆金堂 ○多寳塔經蔵鐘樓食堂休所惣テ門二階湯屋風呂僧-坊〔山田俊雄藏本〕
可キノレ有二御供養一条々精舎(シヤウシヤ)一宇(ウ)。三重ノ塔婆金堂宝塔経蔵鐘楼食堂休所(ヤスミ )ハ門二階湯屋(ユヤ)僧坊〔経覺筆本〕
可有二御供養(ク ヤウ)ノ一条目(ジヨウモク)。精舎(シヤウシヤ)。一宇(イチウ)。三重ノ。塔婆(タウハ)金堂。寳塔。経蔵(キヤウサウ)。鐘樓(シユロウ)。食(シキ)堂。休所(ヤスミトコロ)。?(ソウ)門。二階(カイ)。湯屋。僧(ソウ)-坊(ハウ)房〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「條條」と記載し、文明四年本だけが別語「条目(ジヨウモク)」と記載する。
條々 テウ/\。〔黒川本・重點門下18オ五〕
條々 。〔巻第七・重點門239五〕
條々(デウ/\)[平・○] 。〔態藝門739六〕
條々(デウ/\) 。〔弘・言語進退門199八〕〔永・言語門165二〕
條々(テウ/\) 。〔尭・言語門154五〕
條々(デウ/\) 。〔言語門165七〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「條々」(『節用集』類)、「条々」(『運歩色葉集』)の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
514頭首(テウシユ)斗リヲ|光臨候者可∨進∨力者加輿丁ヲ|候可∨有∨御供養|条々 科註ニ曰賎カ施∨高ニ云ト∨供養ト|云也。自∨高施∨賎ニ利益トハ云也。〔謙堂文庫蔵四九左F〕
とあって、標記語「条々」の語を収載し、語注記は未記載にする。
加輿(カヨ)丁ヲ一候可キレ有御( ン)供養(クヤウ)條條駕輿丁ハ御コシカキナリ。駕輿丁ト書テコシノ足代(アシシロ)カマヘトヨムナリ。〔下27オ八〜ウ一〕
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)/可∨有∨御供養|条々者精舎一宇精舎ハ寺の事也。一宇ハ一軒也。〔75オ五〜六〕
とあって、この標記語「条々」の語をもって収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。〔55オ一〜55ウ三〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。〔98ウ四〜99ウ四〕
Gio>gio>.デウデウ(條條) 箇条箇条,あるいは,項目項目.〔邦訳318r〕
でうでう(ジヨウジヨウ)-がき(ガキ)〔名〕【條條書】事の箇條を書きたるもの。かでうがき。〔1350-2〕
供養(ヤウ) 。〔元亀二年本190六〕〔静嘉堂本214七〕〔天正十七年本中36ウ七〕
可有御供養条々精舎一宇三重塔婆金堂寳塔經蔵鐘楼食堂休所惣門二階湯屋僧坊〔至徳三年本〕〔建部傳内本〕
可有御供養條々精舎一宇三重塔婆寳塔經藏鐘樓食堂○ ○〔宝徳三年本〕
可レ有二御供養一条々精舎一宇三重ノ塔婆金堂 ○多寳塔經蔵鐘樓食堂休所惣テ門二階湯屋風呂僧-坊〔山田俊雄藏本〕
可キノレ有二御供養一条々精舎(シヤウシヤ)一宇(ウ)。三重ノ塔婆金堂宝塔経蔵鐘楼食堂休所(ヤスミ )ハ門二階湯屋(ユヤ)僧坊〔経覺筆本〕
可有二御供養(ク ヤウ)ノ一条目(ジヨウモク)。精舎(シヤウシヤ)。一宇(イチウ)。三重ノ。塔婆(タウハ)金堂。寳塔。経蔵(キヤウサウ)。鐘樓(シユロウ)。食(シキ)堂。休所(ヤスミトコロ)。?(ソウ)門。二階(カイ)。湯屋。僧(ソウ)-坊(ハウ)房〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「供養」と記載し、訓みは、文明四年本に「メシ(グス)」と記載する。
供養(グヤウ/トモ・ヤシナフ・タテマツル、ヤシナフ)[平去・上] 指要録云。佛爲(タメ)ニ二須達一説法ス。供(ク)二養(ヤウ)スルヨリハ百千ノ白衣ヲ一。不レ如供(ク)二養(ヤウ)スルニハ一浄行一。供養(ヤウ)スルヨリ百千諸佛ヲ一。不レ如レ供二養一無心ノ道人ヲ一大藏一覧。〔態藝門544五〕
供養(ヤウ) 。〔弘・言語進退門162二〕
供養(クヤウ) ―給(キウ)。―奉(ブ)。〔永・言語門131八〕〔両・言語門146八〕
供養(クヤウ) ―給。―奉。〔尭・言語門120九〕
供養(クヤウ) ―物(モツ)。―給(キフ)。―奉(ブ)。〔言語門132六〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「供養」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。ただ、語注記の内容では、広本『節用集』と真名註とでは異なった参考文献を引用していることが注目されよう。すなわち、『指要録』と『科註』とである。
514頭首(テウシユ)斗リヲ|光臨候者可∨進∨力者加輿丁ヲ|候可∨有∨御供養|条々 科註ニ曰賎カ施∨高ニ云ト∨供養ト|云也。自∨高施∨賎ニ利益トハ云也。〔謙堂文庫蔵四九左F〕
とあって、標記語「供養」の語を収載し、語注記は、「『科註』に曰く、賎が高きに施すを供養と云ふなり。高きより賎に施すを利益とは云ふなり」と記載する。
加輿(カヨ)丁ヲ一候可キレ有御( ン)供養(クヤウ)條條駕輿丁ハ御コシカキナリ。駕輿丁ト書テコシノ足代(アシシロ)カマヘトヨムナリ。〔下27オ八〜ウ一〕
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)/可∨有∨御供養|条々者精舎一宇精舎ハ寺の事也。一宇ハ一軒也。〔75オ五〜六〕
とあって、この標記語「供養」の語をもって収載し、語注記は未記載にする。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御供養(こくやう)有(あ)る可(べ)き條條(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんちう)乃塔婆(たふは)金堂(こんたう)寳塔(ほうたふ)經藏(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミところ)總門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんしき)等身(とうしん)の如來(によらい)白檀(ひやくたん)坐像(ざぞう)の菩薩(ぼさつ)脇士(わきし)乃二天(にてん)之(これ)を尅彫(こくてう)す細金(さいきん)彩色(さいしき)の繪像(ゑそう)一幅(いつふく)薄濃(うすたミ)の墨画(すミゑ)一對(いつつい)書寫(しよしや)摺寫(しふしや)の御經(おんきやう)般若(はんにや)を轉讀(てんどく)し經王(きやうわう)を讀誦(どくしゆ)し秘鎌(ひほふ)を勤行(こんぎやう)し陀羅尼(だらに)を唱滿(しやうまん)し眞言(しんごん)を念誦(ねんしゆ)す稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ちさい)禪律(せんりつ)抖藪(とさう)乃行人(きやうにん)等(とう)攝待(せつたい)千僧供養(せんぞうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)/可キレ有二御供養一條々者精舎一宇三重ノ塔婆金堂。宝塔。経蔵。鐘樓。食堂。休所。惣門。二階。湯屋僧坊。金色等身ノ如来。白檀座像ノ菩薩。脇士ノ二天。刻二彫ス之ヲ一。細金。彩色ノ絵像。各一輻。薄濃ノ墨畫一對。書寫摺写ノ御經。轉二讀般若ヲ一。讀二誦シ經王ヲ一。勤二行シ秘法ヲ一。唱二滿陀羅尼ヲ一。念二誦ス真言ヲ一。稱名念佛。九旬供花。一夏持齋。禪律。斗藪行人等。接待千僧供養。非人施行等也。▲供養ハ賤(いやしき)が貴(とふとき)へ施(ほとこ)すをいふ。貴か賤へ施すを利益(りやく)といふ。〔55オ一〜55ウ三〕
可(べき)レ有(ある)二御供養(ごくやう)一條々(でう/\)者(ハ)精舎(しやうしや)一宇(いちう)三重(さんぢう)の塔婆(たふば)金堂(こんたう)宝塔(はうたふ)経蔵(きやうざう)鐘樓(しゆろう)食堂(じきだう)休所(やすミどころ)惣門(そうもん)二階(にかい)湯屋(ゆや)僧坊(そうばう)金色(こんじき)等身(とうしん)の如来(によらい)白檀(びやくだん)坐像(ざざう)菩薩(ぼさつ)脇士(たうし)の二天(にてん)尅(こく)二彫(てう)す之(これ)を一細金(さいきん)彩色(さいしき)の絵像(ゑざう)各(おの/\)一輻(いつふく)薄濃(うすだミ)の墨畫(すミゑ)一對(いつつゐ)書寫(しよしや)摺写(しふしや)の御經(おんきやう)轉(てん)二讀(どく)し般若(はんにや)を一讀(どく)二誦(じゆ)し經王(きやうわう)を一勤(ごん)二行(ぎやう)し秘法(ひほふ)を一唱(しやう)二滿(まん)し陀羅尼(だらに)を一念(ねん)二誦(じゆ)す真言(しんごん)を一稱名(しやうミやう)念佛(ねんぶつ)九旬(くしゆん)供花(くげ)一夏(いちけ)持齋(ぢさい)禪律(ぜんりつ)抖藪(とさう)の行人(ぎやうにん)等(とう)接待(せつたい)千僧供養(せんそうくやう)非人(ひにん)施行(せぎやう)等(とう)也(なり)。▲供養ハ賤(いやしき)が貴(たふとき)へ施(ほとこ)すをいふ。貴か賤へ施すを利益(りやく)といふ。〔98ウ四〜99ウ四〕
Cuyo<.クヤウ(供養) 坊主(Bonzos)を食事に招待して,法事を執り行なうための費用とか,ある寺院を奉献したり,イドロ(idoro偶像)〔仏像〕を安置したりするための費用とかを寄付すること.→Manzo>〜.〔邦訳176r〕
Cuyo<.クヤウ(供養) 寺院や仏(Fotoqe)などの奉納をする法事.§Do<no cuyo<uo suru.(堂の供養をする)ある寺院の奉献式を執り行なう.〔邦訳176r〕
く-やう〔名〕【供養】(一){又、きょうやう。三寳(佛、法、僧)に向ひて、財と、行とを進むるを、供(ク)とも云ひ、攝養する所あるを、養と云ふ。其堂舎を莊嚴するなどを、敬供養(キヤウクヤウ)とし、讀經、禮佛するなどを、行供養(ギヤウクヤウ)とし、飲食、衣服を供するなどを利供養(リクヤウ)とす。(佛教辭林)一般の亡者の靈に向ひてするを、追善の供養と云ふ、其條を見よ。法華經、序品「香花伎樂、常以供養」同、授記品「供養恭敬、尊重讃歎」天武紀、下、朱鳥元年正月「請二三綱律師、云云、九僧一、以二俗供養(タダヒトノクラヒモノ)一養之(クシキ)、仍施二?綿布一」源氏物語、三十四、上、若菜、上63「院の御賀に、嵯峨野の御堂にて、藥師佛、供養し奉りtまふ」同、下75「日ごとに、法華經一部づつ、くやうせさせたまふ」同、四十七、早蕨01「蕨、筆頭菜(つくづくし)、をかしき籠(ご)に入れて、これは、童部(わらハべ)のくやうじて侍る初穂なりとて、奉れり」(二){轉じて、修行者の食物。宇津保物語、忠杜23山伏「徃(い)ぬる七月より、修行にまかりありくに、くやう絶えて、今日三日、わらはべに、物もえ給(た)ばで、疲れ臥しはべれば、とどまり申す」同、吹上、上10「果(このミ)、松の葉をくやうとし、木の皮、苔を衣として、年比(としごろ)になり侍りぬ」(三)食物の料。太平記、十一、金剛山寄手等被レ誅事「口養(クヤウ)の資(たす)けなくして、子に後れたる老母は、僅に、一日の餐(サン)を求めかねて、自ら、溝壑に倒れ伏す」(鎌倉武士の母なり)廿、小兒讀諷誦事「修行者を招請して、召具を勤めけるに」〔0553-1〕
駕輿丁(カ ヨ チヤウ) 。〔元亀二年本100六〕〔天正十七年本上62オ三〕〔西來寺本〕
駕與丁(カ ヨ チヤウ) {輿歟}。〔静嘉堂本126四〕
被召具侍者聽叫請客頭許計光臨候者可進力者駕輿丁候〔至徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭○許光臨候者可進力者駕輿丁候〔宝徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭計光臨候者可進力者加輿丁候〔建部傳内本〕
被レ三召二-具侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭(テウ)首計リヲ一光臨候者。可レ進二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
可被レ召シ二-具サ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭首(テウシユ)斗(ハカリ)一光臨候者。可レ進ズ二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔経覺筆本〕
被レ召二-具せ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭(テウ)計(ハカリ)ヲ一光臨候者可レ進(シン)ヅレ力者(リキシヤ)加輿丁(カヨチヤウ)ヲ|候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「駕輿丁」と記載し、訓みは、文明四年本に「メシ(グス)」と記載する。
駕輿丁 カヨチヤウ/在近衛。〔黒川本・官職門上91ウ二〕
駕輿丁 カヨチヤウ。〔巻第三・人倫門188三〕
駕輿丁(カヨチヤウ/ノリモノ、コシ)[○・平・平] 。〔人倫門260七〕
駕輿丁(カ ヨ チヤウ) 。〔弘・人倫門77六〕
駕輿丁(カ ヨ チヤウ) 。〔人倫門71三〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「駕輿丁」の語は未収載にあって、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。
514頭首(テウシユ)斗リヲ|光臨候者可∨進∨力者加輿丁ヲ|候可∨有∨御供養|条々 科註ニ曰賎カ施∨高ニ云ト∨供養ト|云也。自∨高施∨賎ニ利益トハ云也。〔謙堂文庫蔵四九左F〕
とあって、標記語「加輿丁」の語を収載し、語注記は未記載にする。
加輿(カヨ)丁ヲ一候可キレ有御( ン)供養(クヤウ)條條駕輿丁ハ御コシカキナリ。駕輿丁ト書テコシノ足代(アシシロ)カマヘトヨムナリ。〔下27オ八〜ウ一〕
力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(へく)候/可∨進ス∨力者駕輿丁ヲ|候力者ハ徒若黨の類なり。駕輿丁ハなかえのこしをかく者也。こゝに云こゝろハ長老もし諸役僧を召連られ此方に來りて尋師となる事を承知し玉ハゝ追ひの人と乗物なとを出(いたさ)んと也。〔75オ三〜五〕
とあって、この標記語「駕輿丁」の語をもって収載し、語注記は、「駕輿丁は、ながえのこしをかく者なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲駕輿丁ハ腰舁(こしかき)也。〔54オ七〜55オ一〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲駕輿丁ハ腰舁(こしかき)也。。〔97ウ一〜98ウ三〕
かよ(カヨ)-ちゃう(チョウ)〔名〕【駕輿丁】輿を舁く仕丁(シチヤウ)。こしかき。續紀、三十六、寳龜十一年三月「諸司仕丁、駕輿丁」類聚國史、百六十五、祥瑞「駕輿丁已上、賜レ綿者レ差」狭衣物語、四、下29「川渡らせたまふ程は、かよちゃうの聲聲も、聞くにくきに」〔0436-3〕
力者(シヤ) 。〔元亀二年本72三〕
力者(リキシヤ) 。〔静嘉堂本86七〕〔天正十七年本上43ウ一〕
被召具侍者聽叫請客頭許計光臨候者可進力者駕輿丁候〔至徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭○許光臨候者可進力者駕輿丁候〔宝徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭計光臨候者可進力者加輿丁候〔建部傳内本〕
被レ三召二-具侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭(テウ)首計リヲ一光臨候者。可レ進二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
可被レ召シ二-具サ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭首(テウシユ)斗(ハカリ)一光臨候者。可レ進ズ二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔経覺筆本〕
被レ召二-具せ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭(テウ)計(ハカリ)ヲ一光臨候者可レ進(シン)ヅレ力者(リキシヤ)加輿丁(カヨチヤウ)ヲ|候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「力者」と記載し、訓みは、文明四年本に「リキシヤ」と記載する。
力者(リキシヤ)[入・上] 。〔人倫門189八〕
力者(リキシヤ) 。〔弘・人倫門56四〕〔永・人倫門56八〕〔尭・人倫門51八〕〔両・人倫門60二〕
力者(リキシヤ) 。〔人倫門56二〕
このように、上記当代の古辞書においては、標記語「力者」の語を収載していて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
514頭首(テウシユ)斗リヲ|光臨候者可∨進∨力者加輿丁ヲ|候可∨有∨御供養|条々 科註ニ曰賎カ施∨高ニ云ト∨供養ト|云也。自∨高施∨賎ニ利益トハ云也。〔謙堂文庫蔵四九左F〕
とあって、標記語「力者」の語を収載し、語注記は未記載にする。
力(リキ)者ハ狂(キヤウ)文ノ衫(さん)ニテ白ハカマニ結(ムスヒ)ヲ入テハタラク者ナリ。〔下27オ八〕
力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(へく)候/可∨進ス∨力者駕輿丁ヲ|候力者ハ徒若黨の類なり。駕輿丁ハなかえのこしをかく者也。こゝに云こゝろハ長老もし諸役僧を召連られ此方に來りて尋師となる事を承知し玉ハゝ追ひの人と乗物なとを出(いたさ)んと也。〔75オ三〜五〕
とあって、この標記語「力者」の語をもって収載し、語注記は、「力者は、徒若黨の類なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ。〔54オ七〜55オ一〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)。〔97ウ一〜98ウ三〕
Riqixa.リキシャ(力者) 力のある者.〔邦訳536r〕
Riqixa.リキシャ(力者) 槍持ちの小姓のような人.上のRiqi(力)の条を見よ.〔邦訳536r〕
りき-しゃ〔名〕【力者】(一)古へ、剃髪したる一種の中間やうのもの。腰舁(こしかき)、駕丁(かごかき)の類。剃髪したれども、眞の法師に非ず。故に禪家にては、其長を兄部(このかうべ)と云ふ。力者法師。後に訛して、陸尺(ロクシヤク)。平家物語、三、法皇御遷幸事「御車に召されけり、公卿、殿上人、一人も供奉せられず、北面の下臈と、さては金行(コンギヤウ)と云ふ御力者ばかりぞ參りける」海人藻芥、中、僮僕事「力者十二人、牛飼一人、白丁一人」(二)相撲取の稱。ちからびと。力士。蕪村句集、秋、「飛び入りの、力者怪しき、角力かな」〔2120-4〕
光臨(くハうりん)を許(ゆる)被(され)候ハ/許中光臨(クハウリン)ヲ上候者許ハ承知する事也。光臨とハ此方へ人の來る事をあつめていふ詞なり。〔75オ一〕
とあって、この標記語「光臨」の語をもって収載し、語注記は、「光臨とは、此方へ人の來る事をあつめていふ詞なり」と記載する。明治から大正・昭和時代の大槻文彦編『大言海』には、
くわう-りん〔名〕【光臨】くゎうらい(光來)に同じ。曹植、七啓「幸見二光臨一」晉書、劉之傳「使君既枉レ駕光臨」庭訓往來、五月「客人光臨、結構奔走、奉レ察候」〔0574-1〕
頭首(テウシユ) 。〔元亀二年本246一〕〔静嘉堂本284三〕
×〔天正十七年〕
被召具侍者聽叫請客頭許計光臨候者可進力者駕輿丁候〔至徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭○許光臨候者可進力者駕輿丁候〔宝徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭計光臨候者可進力者加輿丁候〔建部傳内本〕
被レ三召二-具侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭首計リヲ一光臨候者。可レ進二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
可被レ召シ二-具サ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭首(テウシユ)斗(ハカリ)一光臨候者。可レ進ズ二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔経覺筆本〕
被レ召二-具せ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭計(ハカリ)ヲ一光臨候者可レ進(シン)ヅレ力者(リキシヤ)加輿丁(カヨチヤウ)ヲ|候〔文明四年本〕
と見え、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本の古写本は、「頭」と記載し、山田俊雄藏本、経覺筆本の古写本は、「頭首」の語で収載し、訓みは、経覺筆本に「テウシユ」と記載する。
頭首(テウシユ) 僧。〔弘・人倫門197三〕
このように、上記当代の古辞書においては、『運歩色葉集』、弘治二年本『節用集』(他に『伊京集』・明応本・天正十八年本に収載)に、標記語「頭首」の語が収載されていて、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本に見えている語となっている。
514頭首(テウシユ)斗リヲ|光臨候者可∨進∨力者加輿丁ヲ|候可∨有∨御供養|条々 科註ニ曰賎カ施∨高ニ云ト∨供養ト|云也。自∨高施∨賎ニ利益トハ云也。〔謙堂文庫蔵四九左F〕
とあって、標記語「頭首」の語を収載し、語注記は未記載にする。
請客(シンカ)頭首(テウス)許ヲ|光臨(クハウリン)候者可ク∨進ス‖請客頭ハ客人ヲアヒシラフ僧ナリ。〔下27オ七〜八〕
頭首(てうしゆ)/頭首ヲ|仏法乃宗儀を知り万事のさバきをする役僧なり。〔75オ一・二〕
とあって、この標記語「頭首」の語をもって収載し、語注記は、「仏法の宗儀を知り、万事のさばきをする役僧なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲頭首ハすへて頭(かしら)たちたる役僧(やくそう)をいふ。〔54オ七〜55オ一〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲頭首ハすへて頭(かしら)たちたる役僧( そう)をいふ。〔97ウ一〜98ウ三〕
被召具侍者聽叫請客頭許計光臨候者可進力者駕輿丁候〔至徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭○許光臨候者可進力者駕輿丁候〔宝徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭計光臨候者可進力者加輿丁候〔建部傳内本〕
被レ三召二-具侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭(テウ)首計リヲ一光臨候者。可レ進二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
可被レ召シ二-具サ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭首(テウシユ)斗(ハカリ)一光臨候者。可レ進ズ二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔経覺筆本〕
被レ召二-具せ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭(テウ)計(ハカリ)ヲ一光臨候者可レ進(シン)ヅレ力者(リキシヤ)加輿丁(カヨチヤウ)ヲ|候〔文明四年本〕
と見え、古写本は、「請客頭」と記載する至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本と、ただ「請客」と記載する山田俊雄藏本、経覺筆本の二種に区分される。
請客頭(シンカテウ・コウ/せイ・ウケル、アヅマ、カウベ)[去・入・平] 行堂(アンタウ)官名奏者役也。〔態藝門920一〕
請客頭(シンカテウ) 行者官。〔弘・人倫門238二〕〔尭・人倫門190八〕
請客頭(シンカテウ) 行者(アンシヤ)官。〔永・官名門200九〕
このように、上記当代の古辞書においては、広本『節用集』を筆頭に印度本系統の弘治二年本・永祿二年本・尭空本『節用集』にこの標記語「請客」の語が収載され、古写本『庭訓徃來』及び、下記真字本には見えている語となっている。ここで、『運歩色葉集』の編者が此の語を収載しないことから、禪語名については、これを収録する意欲に欠け、ひいては此のことばを必要としない言語環境が茲には漂っていることに気づくのである。また、語注記にあっては、広本『節用集』を中心とする印度本系統の語注記と、真名本の語注記とそれ以降の注釈書の注記内容にそれぞれの用途及び編纂者の意図に異なりを見ることができるのである。
513行者(アン−)請客(シンカ) 請客ハ五侍者之一也。〔謙堂文庫蔵四九左F〕
とあって、標記語「請客」の語を収載し、語注記は、「請客は、五侍者の一つなり」と記載する。
請客(シンカ)頭首(テウス)許ヲ|光臨(クハウリン)候者可ク∨進ス‖請客頭ハ客人ヲアヒシラフ僧ナリ。〔下27オ七〜八〕
請客(しんか)/請客客人をあしらふ僧なり。〔75オ一〕
とあって、この標記語「請客」の語をもって収載し、語注記は、「客人をあしらふ僧なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲請客ハ客人(きやくしん)をあしらふ役(やく)也。五侍者の内より兼帯(けんたい)す。〔54オ七〜ウ八〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲請客ハ客人(きやくしん)をあしらふ役也。五侍者の内より兼帯(けんたい)す。〔97ウ一〜98ウ三・四〕
†Xinca.シンカ(請客) 禅宗(Lenxus)の宗派の坊主(Bonzos)の間における或る位.〔邦訳769l〕
被召具侍者聽叫請客頭許計光臨候者可進力者駕輿丁候〔至徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭○許光臨候者可進力者駕輿丁候〔宝徳三年本〕
被召具侍者聽叫請客頭計光臨候者可進力者加輿丁候〔建部傳内本〕
被レ三召二-具侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭(テウ)首計リヲ一光臨候者。可レ進二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔山田俊雄藏本〕
可被レ召シ二-具サ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭首(テウシユ)斗(ハカリ)一光臨候者。可レ進ズ二力者駕輿(カヨ)丁ヲ一候〔経覺筆本〕
被レ召二-具せ侍者聽叫(チンキヨ)請客(シンカ)頭(テウ)計(ハカリ)ヲ一光臨候者可レ進(シン)ヅレ力者(リキシヤ)加輿丁(カヨチヤウ)ヲ|候〔文明四年本〕
とあって、至徳三年本、宝徳三年本、建部傳内本、文明四年本、山田俊雄藏本、経覺筆本のいずれの古写本も、「行者」の語は此処には未収載にする。
513行者(アン−)請客(シンカ) 請客ハ五侍者之一也。〔謙堂文庫蔵四九左F〕
とあって、標記語「行者」の語を収載し、語注記は未記載にする。
512聽叫(チン−/チンキヤウ) 香合ヲ持而従也。〔謙堂文庫蔵四九左F〕
とあって、標記語「聽叫」の語を収載し、語注記は、「香合を持て従ふなり」と記載する。
聽叫ト云ハ白袴(ハカマ)キテハタラク者也。奏者ヲキク者也。コシメカイシヤウ等打者ナリ。〔下27オ六〜七〕
聽叫(ちんけう)/聽叫住持のかたハらおゐて事を達する童子(どうじ)なり。〔75オ一〕
とあって、この標記語「聽叫」の語をもって収載し、語注記は、「住持のかたはらおゐて事を達する童子(どうじ)なり」と記載する。これを頭書訓読『庭訓徃來精注鈔』『庭訓徃來講釈』には、
御鎌談(ごほうだん)之(の)後(のち)常(つね)に參仕言上(さんしごんじやう)せ令(し)む可(べ)き之(の)旨(むね)相存(あいぞん)ずる之(の)處(ところ)公私(こうし)の艸劇(そうげき)に依(より)て懈怠(けだい)せ令(し)むる之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り佛意(ぶつゐ)冥慮(ミやうりよ)に背(そむ)き後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)他(た)無(な)く候(さふら)ふ。抑(そも/\)近日(きんじつ)佛事(ぶつじ)大鎌會(たいほふゑ)を執行(とりおこな)ふ事(こと)に候(さふら)ふ奉リ∨貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を拝請(はいしやう)して當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に定(さだ)め申(もを)し度(た)く候(さふら)ふ。侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんか)頭首(ちやうしゆ)を召具(めしぐ)せら被(れ)光臨(くハうりん)を許(ゆる)し候(さふら)ハ者(ば)力者(りきしや)駕輿丁(がよてう)を進(しん)す可(べ)く候(さふら)ふ/御法談之後。常ニ可キ∨令ム‖参仕言上セ|之旨。相存ズル之處。依テ‖公私ノ?劇ニ|。令ムル‖懈怠セ|之條。越度之至。背キ‖佛意冥慮ニ|。後悔之外無ク∨他候フ。抑近日。執‖行フ佛事大法會ヲ|事候フ。拝‖請兎貴寺ノ長老ヲ|。定メ‖申シ當日ノ唱導師ヲ|度候フ。被∨召シ‖-具せラ侍者。聽叫。請客。頭首ヲ|許シ‖光臨ヲ|。候ハ者。可ク∨進ス∨力者。加輿丁ヲ|候フ▲聽叫ハ和尚の小用を勤(つとむ)る小童(こわらハ)也。〔54オ七〜ウ八〕
御法談(ごほふだん)之(の)後(のち)常(つね)可(べき)∨令(しむ)‖參仕言上(さんしごんじやう)せ|之(の)旨(むね)相存(あひぞん)ずる之(の)處(ところ)依(より)て‖公私(こうし)の?劇(そうげき)に|令(し)むる‖懈怠(けだい)|之(の)條(でう)越度(おちど)之(の)至(いた)り背(そむ)き‖佛意(ぶつい)冥慮(ミやうりよ)に後悔(こうくわい)之(の)外(ほか)無(なく)∨他(た)候(さふらふ)抑(そも/\)近日(きんじつ)執行(とりおこなふ)佛事(ぶつじ)大法會(だいほふえ)を|事(こと)に候(さふらふ)拝(はい)‖請(しやう)して貴寺(きじ)の長老(ちやうらう)を|定(さだめ)‖申(まうし)當日(たうにち)の唱導(しやうだう)師(し)に|度(たく)候(さふらふ)被(れ)∨召(めし)‖具(ぐ)せら侍者(じしや)聽叫(ちんけう)請客(しんかく)頭首(ちやうしゆ)を|許(ゆる)し‖光臨(くハうりん)を|候(さふら)ハ者(ゞ)可(べく)∨進(しん)ず‖力者(りきしや)駕輿丁(かよちやう)を|候(さふらふ)▲聽叫ハ和尚の小用を勤(つとむ)る小童(こわらハ)也。〔97ウ一〜98ウ一〕
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