2003.01.13更新
2002年度 短大国文講義概要
担当:萩原 義雄
文献資料を読む
2003.01.13(火)講義内容
本日の講義内容及び事務連絡
本日の講義概要
2002.12.11(水)講義内容
『西洋道中膝栗毛』の地名「龍動」を検索し、次にその用字について考察しました。今回も引き続き、福沢諭吉『西洋事情』を含めその用字について考えてみます。
2002.11.27(水)講義内容
前期分
1 文字との出会い
4月16日(水)の講義内容
《2001年度に講義した内容を総括します》
4月24日(水)の講義内容
人物「柿本人麻呂」について知ろう。『万葉集』の歌人として「人麿歌集」は一割を占めること。なぜ、このように多くの歌が採録されているのであろうか?
「人麿歌集」からみた『万葉集』29番は、
玉手次 畝火之山乃 橿原乃 日知之御世従 阿礼座師 神之盡 樛木乃 弥継嗣尓 天下 所知食之乎 天尓満 倭乎置而 青丹吉 平山乎超 何方 御念食可 天離 夷者雖有 石走 淡海國乃 樂浪乃 大津宮尓 天下 所知食兼 天皇之 神之御言能 大宮者 此間等雖聞 大殿者 此間等雖云 春草之 茂生有 霞立 春日之霧流 百礒城之 大宮處 見者悲毛
と、「万葉仮名」という文字表記体によってなっている。
さらに、正述心緒(正ただに心緒おもひを述ぶ)〔百四十九首。四十七首、人麿集。百二首、人麿集外。〕の、
2368 垂乳根乃 母之手放 如是許 無為便事者 未為國
(たらちねの母が手離れかくばかりすべなきことはいまだせなくに)
を見ると「万葉仮名」の表記形態がより明確になってくるだろう。
最後に、「いろはうた」について説明しておきました。
いろはにほへと ちりぬるをわか よたれそつね ならむうゐのおく やまけふこえて あさきゆめみし ゑひもせす
次回は、「人麿歌集」の字母について作業しながら考えていきます。
5月8日(水)の講義内容
5月11日(土)国立歴史博物館(佐倉)へ 13:00〜
第221回(2002/5/11)「柿本人麻呂の文字世界」神野志隆光(東京大学大学院)
講演要旨―『万葉集』には、「柿本朝臣人麻呂歌集」から採ったとされる歌が 360首以上含まれる。七世紀末に人麻呂が筆録したと見られるこの歌集は、歌を文字で書くことの始発に位置づけられる。文字をもたなかったなかで、外来の漢字によって表現することが、歌にとってどういう問題であったか。人麻呂が文字をどのように歌の方法としてゆくか。人麻呂歌集の歌を読みながら考えてみたい。
5月22日(水)の講義内容
「柿本人麻呂の文字の世界」を聞いて
5月11日の講演内容を踏まえて、このときのレジュメを参考にして文字表記の関係することがらについて話し合いましょう。私が当日記録したメモ書きを当日用意しますので、これを参考になさって自らが気づいたこと、また疑問に感じたこと、もっとこのあたりのことを深く知りたいと思うことなどをこの時間に発表してみましょう。
発表報告書の作成
マイクロソフト・ワード2000を立ち上げて見ます。
ここで、
1制作年月日、2作成者の名前、3作成題目、4参考資料の明示、5キィワード、
6、報告すべき経緯、7、報告の内容、8、報告の問題点、9報告の解決方法、10、まとめ
と10項目を評価対象にします。
題目は「柿本人麻呂の文字の世界」を聞いてということになります。工夫してみては如何?
今回のキィワードであれば、「眷」「清」「敷・布」「髣髴」の四種のことばです。
5月29日(水)の講義内容
先週、まとめてみた内容をさらにより見やすい、わかりやすい報告書にしてみましょう。
6月05日(水)の講義内容
月が変わり、暦の上で「みなづき【水無月】」となりました。まもなく、長雨の季節にはいります。中国では此時期を「梅雨(バイウ)」と言いました。中国の揚子江流域では、ちょうど梅の実が熟する時季に雨季を迎え、それを「梅雨」と呼んでいます。そして本邦ではこれを「つゆ」と表現します。この漢字表記で和語「つゆ」と表現するようになったのは江戸時代になってからです。それ以前には、どう表記したかといえば、次のように表記していました。みなさんは、「墜栗」ということばを知っていますか?これも漢字は異なりますが「つゆ」と読みます。室町時代の古辞書広本(文明本)『節用集』という辞書のなかに、雨冠に「于」と書いた標記語「寛(ツユ)」の注記に「又作墜栗(ツユ)。〔時節門411六〕と見えています。これを同じく、室町時代の古辞書『運歩色葉集』では、標記語にして「墜栗(ツユ)」〔元亀本158二〕と記載しています。この辞書は写本でしか今日伝わっていません。その特徴としては、当時の世俗語をより多く収載した辞書として今日に伝わってきました。さて、「つゆ」の語源についてですが、
があります。日本の里山には栗林がよく似合います。その栗の花が強烈な匂いとともに四辺に漂いはじめ、この花穂(雄蘂)が地上に落ち始める光景を「墜栗」と表記したのです。
こうした漢字表記とその読みが異なる文字群をわたしたちは、「熟字訓」「宛字」「義訓」と呼称します。そんな漢字表記を古人はどのように学んだのでしょうか?本日はそのようなことを考えながら文献資料と向き合って行きます。
[参考HP]キィワード「戯訓」で、「漢字と日本文化」(山口明穂さん) 「Q&Aのページ」中澤信幸さんのHPを拝見しました。
6月12日(水)の講義内容
かな表記について考察して行きます。「難波津」すなわち「奈尓波川{都}尓佐久夜己(なにはづに さくやこ)」の歌を言及して見ます。『古今和歌集』(905年)仮名序に見えるこの歌は、それ以前どのような形態で流布していたのだろうか?現在、落書・木簡・土師器などが知られ、いずれも万葉仮名で「奈尓波川{都}尓佐久夜己」までの九字しか表記がなされていない。なぜ、以下の歌の文言を記さないのか?そして、これらが井戸に投げ込まれたものとして、また人目につかない天井組子板の裏に書き込まれているものとして発見されているのである。とすれば、この時代における「奈尓波川{都}尓佐久夜己」には平安時代に見られる手習のための歌ではない別の意識があったのではないか?
そして、文字表記を見るに「なにはづ」の「つ」の字を「都」または「川」で表記していること、とりわけ、後者の「川」の字を「つ」と読む草書文字となる原形だが、この三画目を右に九十度曲げて伸ばし書く筆法に何か時代性を表出する意味合いがないか考察して見た。今後の課題は、この九字の万葉仮名で記述されたのは一体何を意味しているのか?文献資料を読む意識を持って考えてみようではないか。
6月19日(水)の講義内容
かな表記について考察して行きます。
6月26日(水)の講義内容
かな表記について
「三十一文字」について考察してみました。
7月02日(水)の講義内容
かな表記について考察して行きます。
[参考HP]かな表記と文学的方法 文字の主な流れ
7月10日(水)の講義内容
かな表記について考察。
7月17日(水)の講義内容
かな表記について考察。
「たそがれ」の語史について、類語表現の語を『分類語彙表』と角川『類語新辞典』の記載語を比較考察し、『萬葉集』の「誰彼」から『源氏物語』の「たそかれ」と「たそかれ時」、『今昔物語集』の「彼レハ誰ソ時」、『名語記』、近現代の太宰治『斜陽』などにおける「事象の盛りを過ぎて終焉を迎える頃」の意として用いる「いのちの黄昏。藝術との黄昏。人類の黄昏」までを考察してみました。
9月18日(水)の講義内容
全国の博物館めぐりと文献調査の報告
1,和歌山市立博物館「本居宣長と和歌山の人々 和歌山国学人物誌」
2,東京美術館「飛鳥・藤原京展 奈良文化財研究所創立50周年記念」
3,高野山大学図書館・釈迦門院「印融法印関係の典籍資料調査」
9月25日(水)の講義内容
10月09日(水)の講義内容
『平家納経』にみえる文字について―「無量義經」(開經)の文字―
10月16日(水)の講義内容
手紙の世界
10月23日(水)の講義内容
手紙の世界
10月30日(水)の講義内容
手紙の世界−往来資料における検索−
手紙の世界−往来資料から一作品を選択し、入力してみましょう。−
書式の見本「冨士野往来」2−301WORKSの「jyoho_h」→「文献資料を読む」→「消息往来」のなかにを用意してあります。これをMO乃至FDに複写し、これに従い、ご自身が選んだ“書簡往来”を入力して見ましょう。
《2001年度に講義していない内容を対象に考察します》
3 公家文書と武家文書そして寺社文書(表白)
5 法制にみる文献資料 滝沢馬琴編、読本『青砥藤綱模稜案』
6 寺小屋の教科書を読む
7 事件文書を追う瓦版から新聞へ
8 速記・講演記録
《参考文献》
橋本進吉『古代国語の音韻に就いて』(岩波文庫)1980年
大野 晋『日本語をさかのぼる』(岩波新書)1974年
岸 俊男『ことばと文字』(『日本の古代』14)中央公論社1988年
小松茂美『かな―その成立と変遷』(岩波新書)1968年
小松茂美『手紙の歴史』(岩波新書)1976年
『日本国語大辞典』全20巻 小学館1976年→改編第二版随時参照2000年11月〜2001年11月
「文化資源」として、この地球上に刻まれた文字言語資料は、数知れない。時には金石文・鉄剣・木簡・竹簡・紙(和紙・洋紙)と様々なところに記録されてきた。これらのうち、我が那の文献資料として、東洋(中国)の漢字資料を見事に取り込み、そこからこの風土に見合った形態に置換し、発展させた「仮名」と「真字」による文字文化の融合利用による適合性。漢字仮名混じり文が織り成す文化土壌を知り、少しく見つめ直すことで、日本語の「文化資源」を学習してみたい。
日本語で刻まれた多種多様の文化情報資源でもある古代から近代にわたる文献資料を正確に読みとる力を身につけることを第一義の目的とした。見る・読む・わかるといった個人レベルの次元から一歩を踏み出し、異文化領域からの疑問、なぜそう読むの?いつそのように用いるようになったの?どこに行けばもっと詳しいことがわかるの?などといった実用質問に自信をもって対応できる日本語文化資源情報能力を養うことを目的とする。
必要な資料は、その多くをネット公開資料で随時活用、利用し、毎回それぞれの課題を提示し、考察を深めていくことになる。