2001.12.17更新
2001年度 短大国文講義概要
担当:
萩原 義雄文献資料を読む
「文化資源」として、この地球上に刻まれた文字言語資料は、数知れない。時には金石文・鉄剣・木簡・竹簡・紙(和紙・洋紙)と様々なところに記録されてきた。これらのうち、我が那の文献資料として、東洋(中国)の漢字資料を見事に取り込み、そこからこの風土に見合った形態に置換し、発展させた「仮名」と「真字」による文字文化の融合利用による適合性。漢字仮名混じり文が織り成す文化土壌を知り、少しく見つめ直すことで、日本語の「文化資源」を学習してみたい。
前期分
1
文字との出会い4月16日(月)の講義内容
大阪・野中寺「
弥勒菩薩半跏思惟像」(白鳳・金銅)重文の台座下框銘文を読む丙寅 年四 月大 旧八 日癸 卯開 記。栢 寺智 識
之 等、詣 中宮 天皇 大御 身勞 坐之 時、誓 願之 奉弥 勒御 像也。 友等 人數 一百 十八、 是依 六道 四生 人等、 此教 可相 之也。4月23日(月)の講義内容
金石文とは 仏像の光背や台座、石に刻まれた碑文が対象となる。紙に書かれた文字は秘蔵されていても、読み書きする人の数も少なく大概は焼失してしまっている。
法隆寺の
薬師如来像と光背銘…丁卯年(607)法隆寺の
釈迦三尊像と光背銘…癸未年(623)飛騨の匠
止利の作、法隆寺金堂に安置されている釈迦三尊像光背銘文「戊子年十二月十五日朝風文」
戊子年十二月十五日、朝風文将其零濟師慧燈為嗽加大臣 将其零濟師慧燈、嗽加大臣の為に誓願敬造釈迦佛像以此願力 誓願して、敬みて釈迦佛像を造る。此の願力を以て、七世四恩六道四生倶成正覺 七世の四恩、六道の四生、倶に正覺を成ぜむことを。
5月7日(月)の講義内容
文字としての漢字 ―「一」という漢字―
「一二」の読み、「一二三」の読みなど
2 日記・記録類と説話資料『今昔物語集』を探る
正倉院文書・木簡にみる日常語文・六国史の世界・文字(かな・カナ、異体字)
5月14日(月)の講義内容
木簡について
〔奈良文化財研究所木簡データベース〕
〔元岡遺跡群より出土した木簡〕
〔その他〕
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/topics/99jul/12/06.html http://www.daito.ac.jp/~hama/s980318.html http://www.tac-net.co.jp/~kuroda/78yamash.htm http://reimeikan.pref.kagoshima.jp/kgs01_s5_2.htm http://www.intacc.ne.jp/~kiya/sehaci/kouko/asukaike.htm http://www.mainichi.co.jp/news/journal/photojournal/archive/199911/23/23-03.html http://www.city.kashihara.nara.jp/kashihara/hj7/ http://www.obako.or.jp/haniwa/hotta.htm http://www.iss-net.ne.jp/~city-is/shougaigakushu/bunza/yubun/kouko/tamokka.html http://www.city.takaoka.toyama.jp/manreki/gaiyou/tenjihin/nihudamokkan.htm http://www.city.odawara.kanagawa.jp/houdou/990617/990617tiyoiseki.html http://www.ishikawa-maibun.or.jp/maibun/hakkutu_99/uneda_jityu/uneda.htm http://www.imeasure.co.jp/fig/mokkan1s.jpg http://www.pluto.dti.ne.jp/~byblos/HP/mokkan.html http://www.ohyu.ed.jp/~shakai/news1/syoumu.html http://www.tokushima-maibun.or.jp/kako/kanonji2000/mokkan.htm http://www.ne.jp/asahi/taigo/w/mokkan.htm http://www1.freeweb.ne.jp/~rekimin/gaiyou/shiryokantenjibutsu/shiryoukantenjihin.htm http://www.ryukoku.seikyou.ne.jp/home/kyoin88/folkph1.htm http://www.biwa.ne.jp/~sigaraki/book/ http://www.gpwu.ac.jp/door/kitagawa/new15.html http://www.gpwu.ac.jp/door/kitagawa/new11.html http://www.gpwu.ac.jp/door/kitagawa/manyou.html http://www.hum.u-tokai.ac.jp/~taguchi/kontentsu_30.htm5月21日(月)の講義内容
角筆文献資料について5月28日(月)の講義内容
古典文学作品とその原典その1
紀貫之『土左日記』のばあい6月4日(月)の講義内容
その1
紀貫之『土左日記』のばあい(補足)その2
松尾芭蕉『奥の細道』のばあい《手書きの資料・図版複写配布》《
6月11日(月)の講義内容
その3 紀貫之『土左日記』に学ぶ
―国語学者小松英雄『やまとうた』(講談社刊)を参考引用して―
6月18日(月)の講義内容
その4 紀貫之『土左日記』に学ぶ
漢字とかな文字の融合性 ―『土左日記』から近代・現代作家の表記へその1―
6月24日(月)の講義は、交通機関での移動時間の都合により教室での講義は休講になります。
但し、ネットでの配信は可能。ネット授業となります。
7月2日(月)の講義内容
7月9日(月)の講義内容
この内容は二週にまたがって考察していきます。
7月16日(月)の講義内容
夏休みの学習課題について説明します。
文献資料を読む―夏休暇直前の自主課題設定―9月17日(月)の講義内容
全国の博物館めぐりとその報告
1、奈良国立博物館における「東寺西大門勅額」
2、横浜市根岸の「馬博物館」藏『貞永式目』
3、島根県出雲市「風土記の丘」における「墨書土器」
4、東京都立川市保存資料館における「武藏国府跡出土の墨書土器」
5、東京都「印刷博物館」駿河版銅活字版など。
後期分
10月22日(月)の講義内容
一三三三年成立の随筆、
吉田兼好『徒然草』に採録された「いづれのへんにか侍らん」という能書の歌人源有房が醫師和気篤成に「しほ」とう文字の「へん【扁】」を尋ねた逸話から、「土」の文字を考察してみることにします。話しの内容 「土扁」の文字と旁としての「土」の文字まで言及できればと考えています。
10月29日(月)の講義内容
投稿日:10月29日(月)12時25分50秒現代新聞にみる漢字表記「タンソキン【炭疽菌】」について
―朝日新聞の記載状況から考察―
11月12日(月)の講義内容
失われた文字を求めて
『万葉集』卷第一八の大伴池主の書簡(心の手紙)について
正倉院仮名文書 甲種・乙種について
4 書簡文書の作法 徃来物・消息など
11月19日(月)の講義内容
消息・往来・書簡・手紙における文字について
『消息徃来』とは
11月26日(月)の講義内容
消息・往来・書簡・手紙における文字について
江戸時代の版本『消息徃来』資料(テキストデータ)の公開
東京学芸大学附属図書館・望月文庫蔵と家蔵本(文久元年辛酉十一月・金澤横安江町、近岡屋八郎右衛門・同上堤町、同出店))による 解読作業。
http://library.u-gakugei.ac.jp/orai/f073_032.html12月3日(月)の講義内容
消息・往来・書簡・手紙における文字について
江戸時代の版本『消息徃来』江戸版と加賀版とを対比して、その語形及び読み方の異同について分析。
12月10日(月)の講義内容
漢字と日本語文章そして、明治の洋語混在化について
資料としては、江戸時代の
本居宣長『玉勝間』、新井白石の『讀史餘論』などの文章から、明治の森鴎外の文章『舞姫』(原文)を資料にして考察。12月17日(月)の講義内容
早いものです。今日が年内最後の講義時間と成りました。
この一年間の講義を通じて、貴方が文字という言語を学ぶことで何に目覚め、何を見出し得たか?発話者である私がそんな問いかけをするに必要な時を迎えています。
そうした意味から、よく質問されることでもあります国語学(日本語学)と歴史学(日本史学)とはどうあるべきかということを述べてみました。
この感想および質問コメントが後期のリポート課題とします。
ところで、前期のリポート提出は、
「時を超えて語るもの」―史料と美術の名宝―
平成13年12月11日(火)?平成14年1月27日(日)但し、毎週月曜日休館。
開館時間 午前9:30?午後5:00まで〔入館は4:30まで〕
学生 入館料金600円です。
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/index-j.html[未講義解説箇所]
3 公家文書と武家文書そして寺社文書(表白)
5 法制にみる文献資料
滝沢馬琴編、読本『青砥藤綱模稜案』6 寺小屋の教科書を読む
7 事件文書を追う瓦版から新聞へ
8 速記・講演記録
日本語で刻まれた多種多様の文化情報資源でもある古代から近代にわたる文献資料を正確に読みとる力を身につけることを第一義の目的とした。見る・読む・わかるといった個人レベルの次元から一歩を踏み出し、異文化領域からの疑問、なぜそう読むの?いつそのように用いるようになったの?どこに行けばもっと詳しいことがわかるの?などといった実用質問に自信をもって対応できる日本語文化資源情報能力を養うことを目的とする。
必要な資料は、その多くをネット公開資料で随時活用、利用し、毎回それぞれの課題を提示し、考察を深めていくことになる。
参考文献
橋本進吉
『古代国語の音韻に就いて』(岩波文庫)1980年大野 晋
『日本語をさかのぼる』(岩波新書)1974年岸 俊男
『ことばと文字』(『日本の古代』14)中央公論社1988年小松茂美
『かな―その成立と変遷』(岩波新書)1968年小松茂美
『手紙の歴史』(岩波新書)1976年『日本国語大辞典』全20巻 小学館1976年→改編第二版随時参照2000年11月〜2001年11月
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