第8回学生シンポジウムに経営学部から14チームが参加(前編)

 11月25日(土)、駒澤大学駒沢キャンパスで第8回学生シンポジウムが開催されました。今回は複数の学部等から23ゼミ計55チームが参加し、午前・午後の部に分けて行われました。このイベントは経済学部ゼミナール連合会が主催するもので、学部の枠を超えた学際的イベントとして学内に定着しています。
 経営学部からは6ゼミ14チームが参加しました。以下では、経営学部からの出場チームについてその研究内容と参加学生のコメントを紹介します。
(2回に分けてお伝えします。今回は前編です。)


1)菅野ゼミ①
【研究テーマ】Tiktokコメント欄によるブランド態度の変化

 近年日本の広告は様々な変化を見せている。一般的であった TV 広告や新聞雑誌広告よりも、より効果的で影響力を持つのが SNS 広告やインターネット広告である。SNS 広告やインターネット広告は大きな影響力を持つため多くの企業がこれらの広告に力を入れる時代となった。私たちはこの中でもまず Tiktok に目を向けた。
 エンゲージメントのデータからTiktok は 6.73%と高いエンゲージメント率を誇っており、すべてのソーシャルメディアプラットフォームの中で最も高い数値である。この高いエンゲージメント率を誇る Tiktok に企業は多くの広告を打ち出すようになった。その中でもさらに私たちが目を向けたのがコメント欄である。調べていく中で、企業の広告に対してコメント欄を開示しているのは、例外を除けばTiktok のみであった。
 近年は SNS 広告及びインターネットの普及によりコメント欄での誹謗中傷が絶えない中、広告を打ち出している企業としてコメント欄の開示は、ブランド態度に影響しないのかといった疑問から「コメント欄によるブランド態度の変化」といったリサーチクエスチョンをたてた。 研究としては疑似コメント欄を作成し様々な角度からブランドへの影響を調べる。先行研究を参考にしながら、コメントの順番、いいね数、コメント数をもとに研究を進めアンカリング効果がコメント欄にも適用されるのではないかといったものから、社会的インパクト理論によるブランドへの影響はあるのかなど、独自の観点から研究を検証していく。
 高いエンゲージメント率を誇っていることによる企業の広告の打ち出しから、Tiktok のような広告がこれからの時代の常識になるかもしれない。そのような時代を予測しながらこの研究を深めていきたいと考える。

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【参加学生の感想】

 普段交流しない学部やゼミの方々と意見を交わし、交流することはとても刺激的で有意義な時間でした。普段交流しないからこその新たな視点のご意見を受け、これからより一層研究に励んでいこうと思いました。またポスターセッションの時間でも人への見せ方といった部分で大変勉強なりました。合同での発表は大変なことも多かったですが、たくさんの学びや知識や観点を得られたため有意義な時間を過ごすことができました!


2)菅野ゼミ②
【研究テーマ】試す行動が与える購買への影響

 私たちは日々の生活において、"試す"という行為を通して商品を購入する機会が多くある。例えば試食や試着、化粧品・香水など美容系商品のお試し購入やシャープペンシルを購入する際の試し書きなどだ。実際、試し行為を通して商品を購入した経験がある人は多くいるのではないだろうか。実際、既存の調査結果があり、現代の若者(20代男女)における試し買いの経験がある人の割合は男女ともに半数ほどいることが分かっている。
 私たちのグループはその"試す"という行為そのものに注目してみた。"試す"という行動自体が消費者の購買活動、また消費者の心理に対してどのような影響・効果をもたらすのかについて、非常に興味を抱いたため、その"試す"という行動を中心に詳しく研究した。
 私たちは今回三つの仮説を立てて研究の方を行わせていただいた。研究内容は次の通りだ。試し行為を行っている際、店員さんとコミュニケーション(商品についての会話)があった場合と逆になかった場合では消費者の感じる商品への好感度に違いが生じるのではないか、その場で試し行為を行った場合とネットショッピングなどのように試すことなく見るだけで商品を選ぶ場合ではどちらの方がまた購買につながりやすくなるのか、お試し期間があった方がなかった場合に比べて商品に対する愛着度合いが高くなり、そのことが結果としてブランドに対する評価アップにつながっていきやすいのではないかなど、様々なパターンを想定して調査・研究を行った。

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【参加学生の感想】

・視点が興味深い
・発表の仕方が上手であった
・なぜ実験資料としてシャープペンを使用したのか
・既存調査における割合の差について自分たちで調査を行わなかったのか。
・試すことについての影響はプラスとして捉えているのかマイナスとして捉えているのか。


3)菅野ゼミ③
【研究テーマ】返品と消費者行動

 まずは返品ポリシーがどの程度消費者の購買行動に影響を及ぼしているかを調査した。また返品を行うことのできるサイトの特徴を考え、消費者がどのような要素に従って購買行動を決定しているかを推測した。その中から「返品可能期間」「返品にかかる料金」「返品ポリシーの文章の複雑さ」の3点を抽出し、以下3つの仮説を立てた。
 仮説1-1 返品可能期間が長い方が消費者の購買意欲が高まる。
 仮説1-2 返品にかかる料金が安いほど消費者の購買意欲が高まる。
 仮説1-3 返品ポリシーの文章が単純であるほど消費者の購買意欲が高まる。
 ECサイトの模擬画面を作成し、消費者がどこの点に目を向けているか、またその度合いはどの程度かを調査・考察する。
 次に私たちは、ブランドへのこだわりと製品へのこだわりが、返品率に影響するのではないかという疑問を抱き、「製品関与」及び「ブランド・コミットメント」という観点より以下の様な仮説を立てた。
 仮説2 製品関与とブランド・コミットメントが返品率に影響する。
 これを研究する上で、製品に対して抱くこだわりを意味する「製品関与」と、ブランドに対して抱くこだわりを意味する「ブランド・コミットメント」双方の有無の組み合わせのなかで返品率が異なるのかを調査・考察する。

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【参加学生の感想】

 比較的研究内容が近い中野ゼミと、普段かかわりのない吉田ゼミの発表は非常に刺激的で、質問を受ける中での新たな気づきなどもあり、有意義な時間を過ごすことができた。また、本イベントは一つの目標としての立ち位置であり、ゼミの活動を行う上で士気が上がる要因ともなった。また司会者としても、多くの学生を前に会を捌く練習の良い機会となり、次回あるこのような発表の機会に活かしていきたい。


4)菅野ゼミ④
【研究テーマ】人間型アバターの選択が消費者心理に与える影響

 近年、最先端技術の進歩とともにメタバースという新たな市場は様々な業界から注目されている。人々はメタバース空間内では、「アバター」を設定し自身の化身として操作して生活している。アバターの見た目は自由に設定することが可能であり、有料のものも存在している。私たちは、人によって違いが出る見た目という点に注目し、アバターを現実の自身と「類似性を持つもの」と「そうでないもの」に分類した。そして、人々の現実における見た目の満足度がアバターの自身との類似性に影響を与えるという仮説を立てるなど、アバターを中心に研究を進める。

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【参加学生の感想】

 他大学、他学部の学生と意見を交換し合うことで、新たな視点からのアドバイスをいただくことが出来ました。特に質疑応答や討論の時間をしっかりと作って頂いたので、とても有意義なものになったと感じています。
様々な意見を元に自分たちの研究をブラッシュアップしていこうと思います。ありがとうございました。


5)中野ゼミ①
【研究テーマ】SNS診断と購買意向

 近年、SNS上でのパーソナライズ診断(SNS診断)がZ世代の間で流行している。SNS診断は気軽に誰でもできるので、診断をすることで自分に似合うものが分かり、商品を選びやすくなった。しかし、選びやすくなった一方で、診断結果に囚われて診断結果以外の商品に興味はあるが購入を躊躇ってしまう人も多い。そこで私たちは、「診断結果以外の商品の購入機会の損失」を問題意識とし、購入を躊躇ってしまう層に対する有効なアプローチ方法を見つけるために、診断結果通りに購買行動をする人の特性を明らかにすることを研究目的とする。

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【参加学生の感想】

 他ゼミとの議論を通して、班員内での話し合いでは得られない新たな視点を得ることができ、有意義な時間となりました。また、発表を通して交流を深めることもできて良かったです。今回の経験を今後の研究に活かしたいと思います。


6)中野ゼミ②
【研究テーマ】真のSNSセールスプロモーション

 現在のSNS セールスプロモーションはZ世代に有効なのか。班員との話し合いでSNS セールスプロモーションについての考察を進めていく中で「ハッシュタグはダサくて使わない」という意見があがった。しかし、今日のSNS セールスプロモーションではハッシュタグを利用したものが多く存在している。他の2世代の人はどのように感じているか気になり、実際にアンケートを取ったところ、Z世代の8割の人が普段ハッシュタグを使用しないという結果になった。
 このことから、企業はZ世代に刺さるSNSセールスプロモーションがわかっていないように感じる。そこに「社会とZ世代のズレ」が生していると考える。本来のSNS セールスプロモーションは拡散力や認知拡大の効果などがあるが、サブアカウントの利用による拡散力の減少やハッシュタグの多用により企業の求めている効果が発揮できていないのではないだろうか。
 そこで私たちは、メインアカウントでも参加してもらえるような共感を得られる、私たちZ世代に有効なSNSセールスプロモーションを検討していく。

【参加学生の感想】

 学内の他のゼミとの交流の機会は少ないので、さまざまな意見を聞くことができ、とても新鮮でした。また、分野の異なる発表を聞くことができ、視野が広がる機会にもなりました。今回の機会で得たことを今後の研究に活かしていきたいと思います。


7)中野ゼミ③
【研究テーマ】 効果的なティーザー広告とは

 最近のZ世代は自身のSNSなどで「匂わせ」の投稿をしていたり、友達のSNSで見ていたりするという現状を見つけた。そして、Z世代は「匂わせ」の投稿に興味を惹かれているのではないか。そのようなことから、広告における匂わせとは何かに注目した。そこで見つけたのがティーザー広告である。行ったアンケートからもティーザーはZ世代にとって身近な広告手法であることが分かった。そして、ティーザー広告の事例を調べていたところ、情報を小出しにされるところに興味を惹かれた一方、興味を惹かれないティーザーも存在しているということが分かった。広告をすることの意味として消費者の興味を惹くということが目的とされているなか、興味を惹かれないティーザーを作ることに意味はあるのだろうか。そのような問題意識を解決するために、「効果的なティーザーとは」ということを研究の目的としたい。
 そこで、ティーザーの事例を見た班員の意見や先行研究から興味を惹かれるティーザーとは具体的なことが分からない抽象的なものなのではないかという意見が上がった。そのため、「抽象度」に注目をした。また、先行研究から「好奇心」、「不確実性」、「考察」などというキーワードが抽象度に関連し、効果的なティーザー広告を作るのに関わってくるのではないかという疑問が上がった。
 その疑問を解決するために、仮説として、抽象度が高いティーザーは消費者の興味を惹く、抽象度が高と消費者の好奇心を高める、好奇心が高まることによって考察するようになるという3つをあげて調査をとっていく。
 調査の結果として、どのレベルの情報を伝えることが最も興味を惹くティーザーとなるのか、また効果的なティーザー広告のメカニズムを明らかにしていくことを目標に研究としている。最終的に、学術的、実務的に良い効果をもたらすようなインプリケーションに繋げていきたい。

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【参加学生の感想】

 ・他学部との発表を通して、学生同士の交流を深めることができ、また新たな視点からの意見を頂けて、とても有意義な時間になりました。
 ・他のゼミからの斬新なアイデアや考え方を取り入れられて、今後の研究に活かしていこうと思いました。

(後編もお楽しみに 12月14日(木)公開予定です)

(H.K.)