理事長メッセージ
学校法人駒澤大学 理事長: 小島 𣳾道
この度、令和7年6月19日から学校法人駒澤大学理事長に就任いたしました、小島𣳾道でございます。長い歴史と伝統を誇る駒澤大学を擁する学校法人としての重責を担うこととなり、身が引き締まる思いでおります。覚悟と決意をもって、その職責を果たしてまいる所存ですので、何卒よろしくお願い申し上げます。
駒澤大学は、430年以上前の1592年に江戸駿河台の吉祥寺境内に創設された「旃檀林(せんだんりん)」という学寮を前身としています。麻布北日ヶ窪への移転を経て「曹洞宗大学林専門本校」となり、今から100年以上前の1913年に現在の駒沢の地に移転しました。
その後は、寺院の子弟だけでなく、広く一般にも門戸を広げた総合大学として発展し、時代の変化に合わせて学部の増設や教育・研究施設の拡充を図ってまいりました。現在は、7学部8研究科1専門職大学院を擁し、さらに2校の附属高等学校を併設して、高大連携による建学の理念に基づいた人材育成にも力を注いでおります。
これまでも、時代の要請に応じた質の高い教育研究活動を推進するため、計画的に施設環境の整備更新を進めてまいりました。2022年には知の拠点として駒澤大学図書館が新たに開館し、新教場棟(仮称)の2028年竣工を目指して、関係各位のご理解を得ながら工事を進めております。
しかしながら、地域に開かれた教育研究機関としての環境整備には、玉川キャンパス、深沢キャンパス、附属高校のキャンパスなど、まだ多くの課題が残されているのも事実です。
特に、現在、日本の高等教育を取り巻く環境は、少子化のさらなる進行による18歳人口の減少、AIをはじめとする技術革新の急速な進展、そしてグローバル社会における競争の激化といった、複合的な変化の波に直面しています。こうした中で、培われた伝統を守りつつも、グローバルな社会情勢の変化、そしてSociety 5.0時代に求められる人材育成にも臆することなく革新を重ねていくことが、使命であると認識しております。
学生、生徒の皆さんが有意義な日々を過ごし、心身ともに健やかに学業や諸活動に励んでいただける環境を、役員並びに教職員が一丸となって整えてまいりたいと存じます。
予期せぬ困難が世界中に多くの不安と混乱をもたらし、教育研究機関としても多くの難問に直面し、果敢な対応が求められたことは、我々の記憶にも新しいところです。
道元禅師は「有時(うじ)」の教えの中で、私たちは常に時間の中に生き、その一瞬一瞬がかけがえのない「ご縁」によって成り立っていることを説かれました。予期せぬ困難により、人と人とのつながり、すなわち「ご縁」というものが分断されつつあった状況の中で、その本質を改めて見つめ直された方も多かったのではないでしょうか。この教えは、現代社会においても、私たちが他者との関係性の中でいかに生きるべきかを示唆しています。
学校法人駒澤大学長期ビジョン「駒澤2030」では、"自他協創"(繋がりを大切にし、ともに社会変化を乗り越えるために、自己研鑽し続ける人材の育成)を掲げています。
私たちは、教育を通じて、多様な繋がりの中で培われた広い視野と自他への深い洞察により、いかなる状況下においても本質を見極め、人と人との思いの″繋がり″を駆使し、社会変化を乗り越えるために自己研鑽し、卒業後も成長し続ける人材を育成します。そうした高い志を、建学の理念に基づく唯一無二の付加価値として、学生、生徒の皆さんに体得していただきたいと願っております。そして、皆さんが幸せや喜びを多くの人と共に実感できるよう、尽力してまいります。
今後も役員並びに教職員一同、そして卒業生やご支援いただいております皆様のご理解とご協力をいただきながら、未来を共に切り開いてまいる所存です。皆様には、今後とも変わらぬご法愛、ご法助を賜りますよう、謹んでお願い申し上げ、就任の挨拶とさせていただきます。