第9回学生シンポジウムに経営学部から17チームが参加(前編)

 11月30日(土)、駒澤大学駒沢キャンパスで第9回学生シンポジウムが開催されました。今回は複数の学部や他大学ゼミ等から計55チームが参加し、午前・午後の部に分けて行われました。このイベントは経済学部ゼミナール連合会が主催するもので、学部の枠を超えた学際的イベントとして学内に定着しています。

 経営学部からは5ゼミ18チームが参加しました。以下では、経営学部からの出場チームについてその研究内容と参加学生のコメントを紹介します。

(2回に分けてお伝えします。今回は前編です。)


村山ゼミ① 東京のカフェを参考にしながら山口県に若者を呼び込む

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 山口県は美しい自然景観と新鮮な食材に恵まれているにも関わらず、多くの若者が県外に流出していることが深刻な問題となっている。利便性の低さなど、若者離れの原因は多岐にわたるが、その中でも個人的には、娯楽施設、就業機会の不足や公共交通機関の選択肢が少なく、若者にとって魅力的な生活環境が整っていないことが一因だと考える。 東京での大学生活を通じて、多くの若者が都市部のカフェに魅力を感じていることを実感した。現代の都心部のカフェは、SNS 映えを狙う若者たちの人気スポットとなっている。このような場所を山口県にも導入することで、県内外の若者の呼び込みに繋がり、より魅力的な県にすることができるのではないかと考えもちろん、都心部のカフェを単純に模倣するのではなく、都市部のカフェの成功事例を参考にしながら山口県の魅力を保ちつつ、地元の特性を生かしたカフェ戦略を練る。

【参加学生の感想】

 チームは2名。普段は同じゼミの人のプレゼンしか聞くことが出来ないが、違う学部のプレゼンを聞くことが出来て良い機会だった。


村山ゼミ② 広告とブランド

 アパレルブランド「SUBSLIY」(サブスリー)を立ち上げ、運営をしていく中で3つの学びを得た。1つ目は「アイデアの単発では意味がない」。2つ目は「2割のファンが8割の売り上げをつくる」。3つ目は「誰に向けてどのようなコミュニケーションを方法を選択するか」。これらの学びを関係性の高い本や資料、理論を使ってさらに深掘り、発展させていく。
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【参加学生の感想】

 関係性の高い本や資料を読み理論を理解することでたくさんの学びがあり、考えを発展させることができた。
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村山ゼミ③ 亀戸天神の活性化

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 私たちは亀戸天神社の活性化について研究を行った。亀戸天神社は江東区亀戸にあり、学問の神として知られる菅原道真を祀った天神社で、地元や受験生からの信仰を集めている。発表では、まず亀戸天神社の成り立ちや歴史、天神信仰、菅原道真について触れ、信仰の背景や神社の役割を明確する。 次に、亀戸天神社やその参道に面する商店街の関係者に対してのインタビューにより分かったことを踏まえ、亀戸天神の参拝者数は年によって変化しているか。変化があるとすればその原因は少子高齢化などの社会問題に影響された結果なのか。出店や周辺地域の影響なのか。また、一年の間で時期によってどれほど参拝者数に差があるのか。学問の神として有名な亀戸天神には受験期に多く人が集まると考えられるので、時期ごとにどれほど奉納の差があるのか、などについて言及する。 これらの調査結果をもとに、亀戸天神社が抱える課題を明確化し、その課題を解決するための具体的な提案をした。特に、東京都内の天神社であり、亀戸天神社よりも参拝者数が多い湯島天神と比較することで、亀戸天神社の集客戦略を考察した。湯島天神の成功事例を参考にすることで、受験シーズンにおける参拝者の増加を図るため、受験生がさらにお参りしたくなるような企画案の検討した。また、参拝者が少ない祭りがない時期や、受験シーズン以外の時期にも集客を図るため、地域住民や観光客向けの新たな施策についても提案をした。
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【参加学生の感想】

 他学部の生徒と交流する機会は4年間でほとんどなかったため、新鮮で楽しかった。 また、発表後に討論の時間が設けられていることによって、聞き手の際には自分の考えを交えながら聞くため、発表の内容がより深く記憶に残っているように感じた。発表者側では、自身では思いつかなかった他人の視点からの意見を聞くことができるため、発表内容の改善点を知ることができた。 シンポジウム形式であることが、このイベントをより有意義なものにしていると感じた。
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村山ゼミ④ 「サンリオピューロランドの集客と活性化」

 皆さんご存知の人気キャラクター、ハローキティは、2024年現在で50周年を迎えました。 それを記念し、現在サンリオは様々なイベントの企画やグッズを発売しており、さらに世間からの注目が高まっています。 サンリオ株式会社の売上は右肩上がりであるのにも関わらず、サンリオピューロランドは開業以来構造的な赤字が続いていました(22年まで)。はじめはサンリオピューロランドというと退屈で、パーク内容を改善すべきだと考えていましたが、実際に訪れてみると、キャラクターがいる癒し空間やフードの美味しさ、ライドも非常に楽しく、この可愛さ、楽しさをさらに広めたいと考えました。インバウンドの数は昨年よりも増加しているものの、曜日や時間帯によって人数の変動が激しく、まだまだ認知が足りないと考え、外国人向けのプロモーションを考えることになりました。サンリオピューロランドの分析と他テーマパークとの比較で、潜在的な女子・女児向けイメージが強いテーマパークからまた行きたいと思えるテーマパークへプロモーションのアイデアを考察していきます。

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【参加学生の感想】

 見ていて楽しいスライドだった。インバウンド対策についてより慎重になるべきだなど。

村山ゼミ⑤ 駒澤大学の食堂での フードロス削減

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 本研究は、大学の食堂におけるフードロス削減策を提案するもので、食料廃棄問題が地球規模で深刻化していることを背景としている。特に学生食堂での食べ残しが頻発し、資源の無駄や環境への負荷が増している現状から、啓発活動、適量提供システム、ドギーバッグ導入の三つの対策を提案している。これにより、学生のフードロスに対する意識を高め、実際の廃棄量の減少を目指す。

中野ゼミ① 考えさせられる広告の活用による生理の貧困に対する意識への影響

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 マーケティングの活用は、社会問題に対する意識を高めたり、公共マナーを守ったり、といった共生意識の醸成にも役立ち、さらにウェルビーイング(幸福感)を向上させる可能性がある。
 今の社会が抱える諸問題を少しでも解消し、皆が暮らしやすい社会を実現するために「不安の解消」、「頼の構築」、「共生意識の醸成」、「ウェルビーイングの向上」などに対するマーケティングの可能性を示していく。
 より良い社会を実現するためのマーケティングというテーマに基づいて、考えさせられる広告の活用における社会問題への影響について研究を行っている。広告の意図を明白且つダイレクトに伝える一般的な啓発広告ではなく、「考えさせられる広告」という一目では広告の意図が把握しきれず、広告の受け手の興味を引くような啓発広告に着眼し、これが社会問題の啓発に効果的かを研究する。
 社会問題の中でも特に、現在あまり問題として意識されていない社会問題の啓発に考えさせられる広告は有効なのではないかと考え、今研究では社会問題の例として「生理の貧困」を扱い、考えさせられる広告を使うことで生理の貧困という社会問題の問題意識を高めることが出来るのかを研究をしていく。さらに、「考えさせられる広告」の「間接的である」という要素が、生理に関する特徴の一つである「触れづらい」という部分に効果的なのではないかという旨の仮説を立てて検証していく。
 また、学内で開催された生理についてのセミナーにてアンケート調査を行い、生理の貧困の理解度の現状や、今後どのように行動したいか、という回答をもとにして研究を進めている。
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【参加学生の感想】

 今回このような機会をいただき今までは同じような研究をしている学生との交流がほとんどだったためとても貴重な機会になりました。
 実際にブランドを立ち上げ学生でビジネスをしている方々の発表を聞きとても良い刺激になりました。また、他大学の学生も一緒の教室だったためインドに行ったお話などたくさん聞けて良い経験になりました
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中野ゼミ② ネタバレを活用したマーケティングの可能性

 私たちの中野ゼミ B 班では、 SNS 等にアニメや映画を短く編集した動画である切り抜き動画の無断転載や海賊版コンテンツの違法アップロードが多く見受けられることを社会問題ととらえ、以上のコンテンツ視聴にはネタバレへの需要があると考えました。多くの場合、ネタバレは避けられる傾向にありますが、情報社会を生きるZ世代は、多くの情報をもとに購買を行う傾向があります。そこで、公式に企業がネタバレを活用することは、新たな市場の拡大に効果的であるのではないかと考え研究を進めました。
 ネタバレとそれによる物語の不確実性への影響。また、ネタバレによって影響を受けた不確実性がコンテンツへの視聴意欲を向上させるのではないかと考え、分散分析と回帰分析を用いて、仮設の検証・考察を行いました。
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【参加学生の感想】

 皆様、発表お疲れ様でした。普段、交流のない他学部のゼミの方々との意見交換はとても新鮮で充実した時間とすることができました。今回、得た新たな知見を生かして今後の研究活動に取り組んでまいります。


中野ゼミ③ 転売ヤーほんまイヤー!!!〜罪悪感が悪質な転売に与える影響〜

 近年、誰でも気軽に商品を売買することのできるフリマアプリにおいて、悪質な転売が行われていることが社会的に問題視され始めている。転売とは「安く仕入れて高く売る行為」や「人気商品を買い占めて高値で売る行為」のことであり、中でも希少価値の高い商品を買い占めて一気に値段を吊り上げるような、市場の健全な成長を阻害するような悪質なものが特に問題である。実際に、国内企業における転売総被害額は 1300億円にものぼることから、企業が受ける損害はとても深刻なものだと考えた。
 私たちはその悪質な転売行為が減少しない最たる要因について、値段が高くても転売商品を買ってしまう最終消費者にあると捉え、転売屋側ではなく最終消費者側に焦点を向けた。そこで、最終消費者が転売商品を購入しないようにすることを目的としてこの研究を進めていく。研究対象は、フリマアプリの利用率の高いZ世代とし、その2世代の中で最も利用率の高いフリマアプリであるメルカリを選択した。そして自分や他人の経験から生まれる罪悪感と恥感情という変数に着目し、検討を重ねた。
 さらに、私たちは実際に転売商品を購入した経験があるかどうかにより、変数間の関係に差が出るのではないかと考えた。購入経験がある人には罪悪感を喚起させることでより行動喚起に正の影響が、購入経験のない人には恥感情または共感性羞恥を喚起させることで行動回避により負の影響を与えることが出来るのではないかということについても研究を進めていく。
 また、最終的には最終消費者の中にそれらを喚起することで実際に転売商品の不買に繋げることができるのかについても検討していく。
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【参加学生の感想】

 ゼミ外の方との活発な意見交換を行うことができ、今まで気づけなかった視点を知ることができました。また、他のゼミの発表を聞くことでスライドの見せ方や調査方法を学べ、とても有意義な時間を過ごすことができました。ここで学んだ経験をもとにこれからもゼミ活動を進めていきたいと思います。
(H.K.)