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~襷~ 「誠実に向き合い、臆せず挑む」〜人と人を繋ぐ営業~

【襷(たすき)】は、駒澤大学に通う皆さんが「どのような社会人生活を送りたいか」をイメージできる、キャリアセンター発の連載企画です。在学生が現在活躍する駒大OB・OGを訪問し、先輩たちのリアルな声をお届けします。

石丸裕先輩に、GMS学部4年 鈴木が取材しました!(2025年3月取材)
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学生時代はどのように過ごされていましたか?

多忙な日々を支えた生活習慣

高校卒業後、学費を貯める為、新聞奨学生として2年間働き、そして、大学ではラグビー部に所属し、4年間、授業に出て、ラグビーの練習をして、夜はアルバイトという生活をすごしていたので、時間の使い方は常に意識していました。

集中力を高めるメリハリの大切さ

忙しい日々を送る中で大切にしていたことは、オンとオフのメリハリです。休む時間は、どんなに少なくてもきちんと休むことを意識していました。また、人間の集中力は長くても90分と言われているので、授業の90分間は完全に授業の内容だけに集中して、その時間内に必ず何かを得るということを意識していました。

学生時代の経験は今の仕事にどう活かされていますか?

重要な局面を支えるタスク管理と集中力

営業という仕事は、お客様と会う事だけでなく、社内外での調整も必要で、仕事の進め方を考えなければいけないタイミングが多いです。さらに、今はラグビー部の監督も務めさせていただいているので、膨大な業務をこなすために、学生時代からなんとなく意識していた時間の使い方を今では1週間、1ヶ月、四半期、年単位でタスク管理するようにしています。

今自分が何をすべきかを常に把握できるので、お客様と交渉で大事な場面でも先を読んで対応することやラグビー部の運営や強化方針を決める上でも、この習慣が役立っています。また、ラグビーで培った集中力と瞬発力は、ビジネスでの重要な場面で自分の能力を最大限に発揮することにつながっています。
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不動産・建設業界を志望したきっかけは何だったのでしょうか?

教員から社会人への進路変更

元々大学に入った時は学校の先生になりたかったんです。歴史学科で建設史も学びながら、教員免許を取得しました。しかし、大学2年生の頃から、一度社会での経験を積む事で、生徒に伝えられる事がより増えるのではと考えはじめました。

父親が大工をしていた影響もあり、当時、人生で最も影響を与えるものの一つが「家」だと思っていました。誰もが必ず必要とするものであり、「家を買う」という経験は、結婚や子どもの誕生と並ぶ人生の大きなイベントに携わる仕事がしたいと考え、不動産・建設業界に目を向け、就職活動をしました。そして、新築分譲マンションの販売や仲介業務を展開している不動産会社に入社しました。

就職活動ではどんなことを大切にされていましたか?

自分の思いを言葉で伝える為の準備と情報取得だけではない企業研究

自分の思いを伝えるための準備をしっかりすることが大切です。「〇〇だから、この会社に入りたい!」という思いを伝える表現を何パターンも準備しました。その為には、相手のことをよく知ることもとても大切です。会社のことだけでなく、そこで働く人たちの雰囲気も理解することを心掛けていました。情報だけでなく、目や耳、肌で感じられる感覚も大切にしていました。

誠実さがもたらす真のマッチング

そして最も大切なのは、ありのままの自分を表現することです。少しでもいいように見せようとしがちですが、自分のありのままの姿を見てもらって評価してもらうことが、企業と自分のマッチングのためには絶対に大事です。

その人柄、誠意ある対応は必ず相手に伝わります。私の場合、高校卒業後すぐに大学に入れなかった一方、新聞奨学生やラグビー部で培った経験が理不尽なことが多い社会でも通じる人間であると感じてもらえたのではないかと思います。

卒業後の経験や考えの変化をお聞かせください

若手マネージャーとしての成長

分譲マンションは高額商品かつ顧客層も幅広く、そこに慣れることも大変でしたが、2年目で販売ギャラリーの責任者になった時は本当に苦労しました。マネージャーとして人を束ねるために、マネジメントの勉強を0から急ピッチで進めました。

上司よりも部下から学ぶことがとても多く、当時のメンバーとは、今でも年一の集まりが続く大切な出会いになっています。学生時代から意識していた時間の使い方も膨大な業務の前では通用せず、出向時代に上司から厳しく指摘されたこともありました。「これはどうする?」と常に問われる日々の中で今のタスク管理をするようになりました。あの経験が今に活きています。

出向での経験と転職の決断

その後、大阪への転勤を経て、総合不動産デベロッパーであるグループ会社への出向を命じられました。そこで5年間、マンション以外にもホテルや物流施設、オフィスなど様々な施設の市場調査や企画提案に携わり、視野が広がりました。

マンション以外にも、建物一つで、街、行政単位で影響を与えられることを体感できました。この経験を通じて、マンション販売だけでなく、幅広い提案ができる様な環境に身を置きたいと考える様になりました。「自分のやりたいことを思い切ってやってみよう」という思いから転職を決意し、ゼネコンである清水建設へ転職しました。
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現在の仕事内容を教えていただけますか?

営業という架け橋の役割

現在は第一建築営業本部で、民間企業の建物を建設する受注営業を担当しています。お客様と会社を繋ぐ仲介役が私たちの役割です。

お客様から「建物を建てたい」と言われたら、社内の設計や施工など様々な部署と調整して体制を整え、価格交渉 >> 契約 >> 建設 >> お引渡しまでをサポートします。さらにお引渡し後も、何かお困り事があれば対応していく。これを繰り返しています。

長く続く顧客とのリレーション

また、清水建設は200年以上の歴史があり、代々受け継がれてきたお客様との関係を良好に保つことも私の仕事です。今担当しているお客様は100社程度ありますが、これらのお客様とのリレーションを維持しながら、新たな案件の受注につなげていくことが求められています。

仕事で意識されていることは何ですか?

誠実なコミュニケーション

お客様には「できること」と「できないこと」をはっきり伝えることも大切です。時には「このビルを1億円で建てたい」と言われても、実際には予算よりも多大に費用がかかるのであれば、そのことを明確にお伝えします。

その結果、お客様から「もう来なくてよい。会いたくない。」と言われる事もあります。それでも、お客様に寄り添い、一緒に考え、お客様が望む形を見出していく、そういった誠意ある対応を大切にしています。

社内調整の重要性

社内に対しては、お客様の言葉・思いを正確に伝えることを意識しています。また、設計、施工、その他関連部署など、様々な部門のバランスを取り持つことも大切です。特に近年は建設業界全体で人手不足が深刻化していて、社内調整に多くの労力を割いています。

何気ない会話ができるリアルな関係構築

コロナ禍で営業職になったことも、人生で辛い経験の一つでした。人と会えない状況で、お客様との関係構築に苦労しました。だからこそ、お客様と直接会話できる環境を自ら率先してつくることを大切にしています。可能な限りリアルで会話することを繰り返し、気軽に話せる、相談できる関係になる。そういった関係を確固たるものにしていくことを常に意識しています。
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建設業界の現状について感じていることはありますか?

深刻化する人材不足

建設業界はいま人手不足が深刻です。我々ゼネコンはコンクリートや鉄骨で躯体を造る人、床・天井・窓ガラスを張る人、トイレやエアコン、エレベーターを設置する人、電気配線をする人など、多くの専門職の方々に支えられています。しかし、各専門分野で人材が不足し、数年先まで施工に取り掛かれないと言われてしまう事もしばしばあります。

不均衡な市場環境

また、世界情勢の変化や国の政策によって特定の建物には補助金が出る等、ある建設現場に人材が集中するという偏りも生じています。そんな中でもお客様が建てたい建物を実現するために、社内の様々な部署と調整し、バランスを取りながら進めています。

これからの仕事での目標を教えてください

自分の代表作を残す

厳しい市場環境だからこそ、会社とお客様との懸け橋である営業が大いに活躍できると思っています。「石丸がいたからできた」と言われるプロジェクトを数多く手がけたいと思っています。そして、関わった建物を利用する方だけでなく、その街を豊かにする一助となることが私の目標です。
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駒澤大学ラグビー部監督としての思いをお聞かせください

チーム作りの理念

まず、駒澤大学ラグビー部は「一人ひとりが持つ個性を見出し、社会で活躍できる人財を育むコミュニティ」であるべきと考えています。ラグビー憲章のコアバリューである「品位」・「情熱」・「結束」・「規律」・「尊重」、大学の理念である「しなやかな、意思。」を、グラウンド内外ともに体現して貰えるように指導していきたいです。

今シーズンについて

2024年、関東大学リーグ戦4部を準優勝し、入替戦に勝利。約30年ぶりに3部へ昇格しました。

駒澤ラグビーの特徴は、ここぞという時に守り切るディフェンス、グラウンドを目一杯使ったアタックです。今年は3部で勝ち越し、駒澤ラグビーに新たな歴史を創る事を目標に日々部員・スタッフ一丸となって取り組んでいます。

監督としての役割

部員には、自分の持っている個性・役割に自信を持ち、チームの中で役割を果たすために「どうするべきなのか」を考え、きちんとコミュニケーションがとれる人になってもらいたいです。ラグビーはポジションによって役割が全く違うので、それぞれの個性を活かせるスポーツです。

自らの個性を活かし、自分の役割を果たし、組織を引き上げる事ができれば、社会で必ず活躍できる人になれると考えています。そういった「人財」を育むための環境をつくることが私の役割だと思っています。

学生へのメッセージをお願いします

ぜひ、「休む時」と「やるべきことに集中する時」のメリハリのある習慣を身につけてください。社会に出ると慣れない環境が日常茶飯事です。仕事をしっかりこなし、楽しい休日を過ごす為には、大学時代の過ごし方が大きく影響します。

そして、自分の意見、意思をしっかり言葉で示せる人になってほしいと思います。最後に、仕事はやる気のある人のところにしか来ません。何事も責任を背負うことを恐れずにどんどん挑戦してほしいと思います。

おわりに ~インタビュアーの感想~

石丸先輩に取材をさせていただいた中で、「信頼される為の努力」と「伝え方」を大切にされている印象を受けました。それは、ラグビー部の活動と勉強の文武両道に励まれた学生時代の経験と、不動産・建設系企業でキャリアを重ねられた事で培われたのではないかと思います。

お客様や社内の方とコミュニケーションを取る為の環境づくりや相手の考えを理解し、お客様の言葉を正確に伝える事、また、お客様に付加価値を提供する努力など誠実な気持ちを持って相手と接する姿勢が、この春、新社会人となる私にとって、とても勉強になりました。「責任を恐れず果敢に挑戦する姿勢」を意識して、何事にも挑戦していこうと思いました。
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[著]・[聞] グローバル・メディア・スタディーズ学部 グローバル・メディア学科4年_鈴木翔太
[写] キャリアセンター_山口魁紀

※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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本記事関連リンク
清水建設株式会社
駒澤大学文学部歴史学科日本史学専攻
駒澤大学体育会ラグビーフットボール部
襷~先輩の足跡~