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道をひらく(松下 幸之助著)

眼横鼻直(教員おすすめ図書)
Date:2021.07.01

書名 「道をひらく」
著者 松下 幸之助
出版者 PHP研究所
出版年 1962年10月
請求番号 159/337-1
Kompass書誌情報

私は大学を卒業し、診療放射線技師として医療の現場に身を置いた。高度な医療、多くの患者と相対したとき、自身の不甲斐なさを感じる場面に多々遭遇した。今思えば、新社会人として、当然といえば当然の出来事だったと整理されるが、当時の自分にはそういった割り切った考えを持つことが出来なかったのが実際である。私が担当する医療の職域においては放射線が利活用されている。いわゆるレントゲン検査やCT検査といった類のものである。これらの業務は、放射線被ばくといったリスクが介在するため、私は罪悪感を覚えながら人体に対し放射線の照射行為を行なっていた。
しかしながら、当時の私ときたら、

「今日も業務が大変だ・・・。」
「もっと、効率的な技術を誰か開発してくれないだろうか・・・。」
「私は国家資格を有した、ただのスイッチマンではないだろうか・・・。」

など、積極的・自発的な考え持つことがなく、心が歪んでいたかもしれない。そんな時に、何か自分を奮い立たせようと思ったのか、自然と書店に足を運んでおり、手に取っていたのが、今回紹介させていただく本である。これは、経営の神様と称えられる松下幸之助氏が自身の高い理想を実現するための信念が詰まったもので、自己啓発にはとても都合の良い一冊ではないだろうか。構成としては見開きの2ページ毎に信念が掲げられており、非常に読みやすく、松下幸之助氏の心情を汲み取りやすい。もちろん、人間であるが故、それぞれの心情や状況に照らし、合点がいく篇とそうでない篇があるだろうが、あらゆる物事の見方に接し、一歩踏み出す勇気を与えてくれる。自らの志と態度をあらため、私自身に少しばかりの実行力を与えてくれた本である。

一歩踏み出すことに不安がある方がいらっしゃれば、是非、一度ご覧になられてみてはいかがだろうか。

医療健康科学部 講師 新井 知大

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