坂野井和代准教授(総合教育研究部自然科学部門)の研究グループが日本国内で初めて夜光雲の観測に成功
北海道大学低温科学研究所、名古屋大学太陽地球環境研究所(名大STEL)、駒澤大学(総合教育研究部 自然科学部門 准教授 坂野井和代)、明治大学、国立極地研究所、情報通信研究機構の研究グループは、2015年6月21日2~3時(日本時間)にかけて、北海道内の陸別町にある名大STEL陸別観測所短波ドップラーレーダー観測施設、幌加内町の同研究所母子里観測所、名寄市のなよろ市立天文台および紋別市のオホーツクタワーにおいて、国内初の夜光雲の観測に同時に成功しました。複数のカメラ画像データを使用した観測により、高度約80~90kmの夜光雲を検出・同定したのは日本国内で初めてです。
夜光雲は、大気中の高度80~90kmに存在する中間圏界面付近において、氷の結晶が太陽光を散乱して青白く光るものであり、通常は極域(だいたい緯度60度以上)の夏期に見られます。温室効果気体である二酸化炭素とメタンの増加によって、出現頻度が増加し、出現領域が低緯度に広がると考えられ、地球温暖化の進行度合いを示す可能性がある現象として注目されています。近年フランスやアメリカの中緯度地域においては、年に数回観測されていましたが、日本国内で観測されたのは初めてです。なお、複数の観測データから、夜光雲の出現場所・高度の同定に成功しており、今後、科学的な研究を進めることで、地球温暖化との関連も解明されてゆくと期待されます。
この研究の詳細情報は、名古屋大学太陽地球環境研究所のウェブにて公開されています。
名古屋大学太陽地球環境研究所
夜光雲についての解説は、地球電磁気・地球惑星圏学会Facebookをご覧ください。
地球電磁気・地球惑星圏学会Facebook
謝辞
この研究は、平成22年度名古屋大学太陽地球環境研究所「地上ネットワーク観測大型共同研究」の助成を受けて行っています。観測場所・設備を提供いただいている名古屋大学太陽地球環境研究所および同研究所母子里観測所の関係者のみなさまに深く感謝いたします。観測用カメラのコントロールソフトは情報通信研究機構により開発・提供されています、心よりお礼申し上げます。
参考情報・関連報道
- 夜空に青白く輝く雲「夜光雲」 国内初の観測か(NHKニュースウェブ 6/29 18:02)
- 水平線に神秘の光「夜光雲」北大低温研が国内初観測(北海道新聞どうしんウェブ 6/30 7:00)
- 夜光雲:筋状の雲が白く輝く現象 北海道で国内初観測(毎日新聞 6/30 19:00)