キャリアセンターCareer Center

~襷~ 「偶然の出会い」から見つけた自分の進みたい道

【襷(たすき)】は、駒澤大学に通う皆さんが「どのような社会人生活を送りたいか」をイメージできる、キャリアセンター発の連載企画です。在学生が現在活躍する駒大OB・OGを訪問し、先輩たちのリアルな声をお届けします。

齋木雅弘先輩に、経済学部1年 山島が取材しました!(2025年2月取材)

tasuki_PR_20250227_saiki.png

学生時代について

どのような学生生活を送られていましたか?

正直に言えば、大学1〜2年生の間は特に明確な目標を持たず過ごしていました。最初は洋服に興味を持ち、渋谷や原宿の古着屋に通い詰める日々。サークルにも入りましたが、練習と飲み会が本格的で早い段階で辞めてしまいました。3年生になって「ゼミには入ろう」と思い、当時、経営学科で一番厳しいと言われていた先生のゼミに入りました。マーケティングを学ぶようになって「意外と勉強って楽しいな」と気づき始めましたが、それまでの怠惰な生活で単位が足りず、結局5年かけて卒業することになりました。

思い入れの深い出来事を教えてください

大学生活の中で大きな転機となったのは、アルバイトで出会った天ぷらと、偶然手に取った本から知った落語という二つの文化でした。元々天ぷらは嫌いだったのですが、バイト先で職人が揚げたての天ぷらを食べた瞬間に魅了されました。また、本屋で手に取った落語の本がきっかけで実際の寄席に通うようになりました。

この二つの文化に触れるうちに、「天ぷらも落語も東京・江戸の文化だ」という共通点に気づき、東京という街とその歴史文化に強く惹かれるようになったのです。

「東京が好き」から始まった進路選択

公務員を目指そうと思ったきっかけを教えてください。

5年生になって真剣に将来を考えた時、天ぷらと落語を通して芽生えた「東京の文化が好き」「東京から離れたくない」という思いが進路を決める大きな軸となりました。東京の文化や観光に携わる仕事がしたい、海外から来る人々に東京の魅力を伝えたいという思いから、東京都庁という選択肢に行き着いたのです。

「公務員になりたい」というよりも「東京都庁で働きたい」という思いが強かったため、公務員試験対策と並行して、東京に関する知識を深める活動も行いました。例えば、東京の野鳥公園で日本人と外国人が共同生活を送りながら保護活動を行うボランティアにも参加しました。

こうして5年生で大学を卒業し、その後公務員試験に合格。東京都庁への入庁が決まりました。振り返れば、特に計画していたわけではない「天ぷら」と「落語」との出会いが、思いがけず進路を決める重要な要素になったと感じています。
tasuki_pic_20250227_1

都庁での歩み

入庁後の経験について教えてください。

都庁に入って最初の配属は主税局でした。板橋都税事務所で、家にかかる固定資産税の調査を担当しました。新築の住宅を訪問し、外壁や内壁、床などの資材や設備等をチェックして税額を決定する仕事です。「税務署の人が来る」と聞くと身構える方もいるのではと心配しましたが、思ったより温かく迎えていただけました。この仕事を3年間経験した後、同じ事務所の庶務係で職員の福利厚生や研修企画を3年担当。その後、中央都税事務所に移り、会社にかかる法人事業税を1年担当しました。

税金関連の仕事を7年経験した後、希望していた中央卸売市場に異動となりました。最初の3年間は品川にある食肉市場を担当し、今年からは都内11か所にある市場全体の広報を担当しています。税金の部署から市場の部署への異動は、まるで転職したような感覚で、組織文化も仕事内容も大きく変わりました。

現在の仕事と将来の展望

今の仕事の魅力と今後の目標を教えてください。

現在の主な仕事は、市場のPR動画制作とイベント運営です。今年は大田市場のお花市場のPR動画を担当し、競りの様子や産地での取材、生産者へのインタビューなどを行っています。また、豊洲市場になって初めてのお祭りの運営にも携わりました。

市場の仕事の魅力は、様々な業界の方とのやりとりにあります。天ぷらが好きで季節の食材に詳しくなったことが、業界の方々との会話のきっかけになることも多いです。「この季節はこの魚だよね」と話が盛り上がり、それが仕事をスムーズに進める一助になっています。

今後は市場にしばらく残って、より多くの業界の方々と関わりを持ちたいと考えています。食肉市場で3年間働いたことで業界の方々との繋がりができましたが、まだ豊洲市場やその他の市場についてはこれからです。もっと市場について知り、業界の方々と天ぷらや魚、野菜の話で盛り上がりながら、市場の魅力をより多くの方に伝えていきたいと思っています。
tasuki_pic_20250227_2

後輩へのメッセージ

駒澤大学の学生に向けて、伝えたいことはありますか?

私の大学生活や仕事を振り返って感じるのは、「偶然の出会いを大切にする」ことの価値です。天ぷら屋でのアルバイトも、落語の本との出会いも、最初から計画していたわけではありませんでした。しかし、その偶然の機会に心を開いて取り組んだことが、今の仕事や生き方に大きく影響しています。

大学生は何でもできる時期です。勉強に限らず、何か一つでも興味を見つけて深めていけば、それが思わぬところで活きてくるかもしれません。私の場合は天ぷらと落語から東京の文化への愛着が生まれ、都庁という進路につながりました。最近では、タイ料理が好きで旅行に行くたびに現地の屋台を巡るうちに、タイ語の勉強を始めました。少し話せるようになると現地の方との交流がさらに楽しくなります。このように、好きなことが新たな挑戦や出会いを生み出し、人生を豊かにしてくれるのです。

道を進むにあたって重要なのは目的地だけでなく、そこに至るまでの道のりを楽しむこと。偶然の出会いを大切にし、興味を持ったことには躊躇せず飛び込んでみてください。その過程で見つけた「好き」が、将来の道を開くかもしれません。

おわりに ~インタビュアーの感想~

「偶然の出会い」から視野を広げて、多くのことに挑戦されてきた齋木先輩。
ひとつひとつの出会いを大切にしながら、真摯に向き合ってこられたからこそ、どのようなことにも常に前を向き続けていらっしゃる印象を受けました。たまたま立ち止まったところから興味が広がり、その場所で見つけたご自身の「好きなこと」が原動力となって、今に繋がっていると感じました。東京都の職員として、都の最前線で活躍されている齋木先輩の「東京の魅力や文化を伝えたい」想いが、都民をはじめとする多くの方々に届いているように、私たち在学生にもしっかりと届いています!

齋木先輩がこれまで経験されたさまざまな出会いからご自身の進むべき道を見つけたように、経験したことや出会ったことを一度立ち止まって振り返り、自分自身と向き合っていくことが大切だと強く感じることができた取材となりました。齋木先輩の今後の目標は「市場についてより知識を深め、より多くの関係者と信頼関係のもとに繋がっていく」こと。

「偶然の出会い」から見つけた自らの道で、とことん学び前へ進み続ける素敵な社会人を目指して、一生懸命に頑張っていきたいです。

[著]・[聞] 経済学部 経済学科1年_山島雛
[写] キャリアセンター_山口魁紀

※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
※本記事掲載写真は、無断での転載・使用はご遠慮くださいますようお願い申し上げます。

本記事関連リンク
東京都
東京都中央卸売市場 
∟現在齋木先輩が制作中の大田市場の花き動画を掲載予定。3月28日(金)公開。
駒澤大学経営学部経営学科
襷~先輩の足跡~