平成30年度 学位記授与式(卒業式) 学長式辞

Date:2019.03.28
駒澤大学 学長 長谷部 八朗
学位記授与式会場

卒業生・修了生の皆さん、ご卒業・ご修了おめでとうございます。また、ご家族をはじめ、関係者の皆さまには、心よりお祝いの意を表しますと共に、本学への日頃のご支援に対し、厚くお礼申し上げます。

桜のつぼみもほころび始め、春の気配が日に日に窺える好時節、皆さんは通い慣れたこの学び舎からの、巣立ちの時を迎えられました。

「光陰矢のごとし」。月日は、あっと言う間に過ぎ去り、二度と戻ってこないことをたとえるこの言葉が、今の皆さんの心境を何より端的に表現しているのではないでしょうか。大学生活を振り返る皆さんの脳裡には、さまざまな思い出が去来していると思います。そこには、楽しく充実した内容ばかりでなく、辛く苦しかった経験、それゆえ思い起こせば悔いの残る内容も含まれているものと推察します。

しかし、本日この式に臨んだ皆さんに等しく言えることは、所定の履修条件を満たし、晴れて「学士」の称号を授与されたと言う事実です。世間には、気ままでのんびりした大学生活などと評する向きもありますが、おそらく皆さん自身が実感しているように、卒業に必要な履修単位を修得する目標は、それなりの堅古な意志と努力が伴わなければ到底達成できません。

その意味で皆さんは、入学時に比べて、一般教養や専門的な知識・スキルをより深く身につけ、一段と人間的な成長を遂げているはずです。次なるステージへの門戸をくぐり、スタート地点に付いた皆さんは、自らの成長の跡を実践力として未だ自覚できていないだけで、そうした素養を潜在的に備えているのです。

問題はその潜在力を、これから皆さんが向き合うそれぞれの社会的環境・条件の下で、いかに顕在化、具体化し得るかです。実社会に飛び立つスタートラインについた皆さんは、先ず、このことを自覚的に受け止めなければなりません。

とはいえ、社会は大きく変動しています。しかもその変動を生む要因はますます多様化しています。つまり、先を見通すことの困難な社会の到来です。社会の担い手は、デジタル機器やインターネットが普及した生活環境に生まれ育った、いわゆる「デジタル・ネイティブ」の世代へと移っていきます。瞬時に情報が行き交い、コミュニケーションが可能なデジタル社会は、変化や多様性を一層受け入れ促進することでしょう。

しかし大切なのは、変化への場当たり的な対応ではなく、じっくり考えた末の主体的な判断にもとづく対応です。そのためには、連続的、継続的な時間の下で一連の成果の達成を目指そうとする、言わばアナログ式の思考や発想の回路を内蔵することが求められると思います。皆さんには、デジタルかアナログかではなく、両者のバランスのとれた柔軟な物事の捉え方・考え方を鍛え、充実した人生を築かれるよう念願しています。

最後になりますが、私たち教職員一同、学位を取得された卒業生・修了生を物心両面から支えてこられたご家族ならびに関係者の皆さまに対し、心よりご慰労申し上げると同時に、本日の栄えあるご卒業・ご修了の慶びを共にしたいと思います。

本日は、誠におめでとうございます。

平成31年3月22日、23日
駒澤大学 学長 長谷部 八朗