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スペイン語

スペイン語とは?

親しみやすく実用的

スペイン語は、私たち日本人に最も親しみやすい外国語の一つです。理由として、まず発音のなじみやすさがあげられます。母音はa、e、i、o、uの5つですし、子音も有名な巻き舌音をはじめわずかなものを除けば、さほど習得に困難を覚えません。海外旅行用の会話手帳には片仮名のふりがなが付いていますが、スペイン語ほど日本語的なローマ字発音でも良く通じる外国語はないでしょう。たとえば、panは発音も意味も「パン」でそのまま通用します。
また、英語の学習経験のある私たちにとって有り難いことに、スペイン語には英語とほぼ同じ綴りで意味も共通の語が少なからずあります。実は英語の方が、スペイン語と同じロマンス語に属するフランス語経由で大量のラテン語系語彙(英語のおよそ50%を占める)を借用しているからです。
スペイン語圏は、スペインをはじめ、中南米18ヶ国および米国自治領のプエルトリコ、アフリカの赤道ギネアと広大な地域に渡ります。また、米国本土にもニューヨークやカリフォルニア・フロリダ両州を中心に、約4000万人以上のヒスパニック系市民が住み、その政治的文化的影響力を軽視できない存在になっています。現在、世界のスペイン語の話者は、およそ4億人に達し、中国語、英語に次ぐ世界第3位の使用人口を持つ言語です。
スペイン語がかくも広く定着したのは、コロンブスの新大陸到達以後、スペイン人(ブラジルの場合はポルトガル人)による植民地化がそこで行われた歴史的経緯から説明されます。

生いたちとその周辺

スペイン語は、イベリア半島のローマ帝国による支配の一環として普及したラテン語(正確にはキケロの作品などの文語ラテン語ではなく、一般民衆の話していた俗ラテン語)を共通の祖先にもつロマンス諸語の一つです。ロマンス語には、他にフランス語、イタリア語、ポルトガル語、カタルーニャ語(スペインのバルセロナを中心とした地域で話されている)、ルーマニア語等があります。これらの言語は兄弟関係なので、互いに文法も似通っています。
スペイン語は、スペイン中央部の一地域で話されていたカスティーヤ方言が国家語化したものです。同方言の話されていたカスティーヤ地方がイスラム教徒に対するレコンキスタで主導的な役割を果たし、その政治的な勢力伸張と軌をーにして言語的な覇権を確立していきました。それゆえ、スペイン語は「カスティーヤ語」とも呼ばれます。

音声と文法

スペイン語の音声の特徴を一言で表せば、母音の明瞭さが際立ち、きびきび、とした張りに満ちています。しかもきれいに流れるようで、耳に快く響きます。

英語との比較で際立つ文法的特徴を挙げれば、法(スペイン語には、行為や状態を現実的なものとして述べる直説法と非現実的ないし不確定的に提示する接続法の2つ)・時制・人称・数に従い、かなり複雑な変化を示す動詞の活用があります。また名詞には男性形・女性形があり、これに一致して形容詞も語尾変化します。
近年EUで存在感を増しつつあるスペイン本国に加え、将来に豊かな可能性を秘めた、中南米にも根をおろしたスペイン語の世界を知ることは、新しい言語観や価値観を培い、異文化理解への視野を広げる良き糸口になるでしょう。

教員紹介

教授:上野 勝広

研究テーマ
1.現代スペイン語の語彙と記述文法
2.日本人学生のためのスペイン語教授法と教材開発
学生へのメッセージ
外国語を学ぶことは、未知の文化や価値観への扉を開いてくれます。知的好奇心を羽ばたかせて、積極的に挑戦してみましょう。やる気と根気で継続すれば、視野の広がった新しい自分を発見できるでしょう。卒業生の中には、スペイン語専攻の学生に負けない熱意で勉強を続け、スピーチコンテスト入賞とメキシコ留学を実現し、現地で人生の伴侶と出会った人もいます。
教育方針
何事も最初が肝心です。初級の授業では、基礎の理解と定着を図れるよう、丁寧な文法説明と反復練習に重点を置きます。またスペイン語圏の多様で魅力的な文化を紹介するため、ビデオ等の映像資料も随時提示します。中級以上のレベルでは、受講学生の興味関心を意識した教材(特に時事)の選択をしています。同時に既習事項の確認も怠らず、その復習と発展にも心がけます。

教授:真下 祐一

研究テーマ
ラテンアメリカ文学・20世紀のイスパノアメリカ詩
学生へのメッセージ
スペイン語は世界中で用いられています。聞き耳をたてればあなたの身の回りからも聞こえてくるはずです。常日頃スペイン語圏のニュースに注意していてください。広大にして深遠なるスペイン語世界へ、ともかく一歩踏み出しましょう。
教育方針
わたしたちはなぜ外国語を学ぶのでしょうか。具体的な必要に迫られて、という場合もあるでしょうが、一般的には、個々の学習者のうちに眠っている言語能力を目覚めさせ、彼らの人間としての成長を助けてくれるから、と答えることができると思います。成長への道のりは多様です。ひとりひとりの学生が積極的に勉強にとりくめるよう教室の雰囲気づくりからはじめて、毎回の授業を大切にしていきたいと思っています。

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教授:齊藤 明美

研究テーマ
スペイン現代史

学生へのメッセージ
私の好きなスペイン語のことわざで"Querer es poder"というのがあります。「好きこそ物の上手なれ。」という意味です。語学の学習はこの一言に尽きると思います。ちなみに私はフラメンコやラテンアメリカの友人がきっかけでスペイン語の世界に飛び込みました。今、大学で教壇に立っておりますが、もし大学時代にスペイン語と出会っていなかったら、全く違う人生を歩んでいたと思います。ひとつの言語との出会いは、私たちの生活を豊かにそして変化に富んだものにしてくれるのです。
教育方針
私も含め多くの日本人語学学習者は、人前で間違って恥をかくことを恐れ外国語で話すことに消極的と言われています。「間違い」は「失敗」ではなく言語学習の「成長の足跡」なのです。「間違い」を恐れないリラックスした雰囲気作りに励みたいです。また楽しみながらスペイン語で「話す」「書く」「聞く」「読む」ことができるよう、メリハリのある授業を展開したいと思っています。

准教授:笛田 千容

研究テーマ
ラテンアメリカ政治
学生へのメッセージ
みなさんは「シャーロック・ホームズ」の作者コナン・ドイルが、「チャレンジャー教授」を主人公とするSF小説も手掛けていることをご存知でしょうか。私は子どもの頃、チャレンジャー教授が南米のギアナ高地を舞台に活躍する話を読んで、ラテンアメリカへの憧れを抱きました。そして後年、スペイン語を学んで知った現地の社会は、その小説とは別の意味でスリリングな「未知の何か」の宝庫でした。スペイン語を学習することはきっと、みなさんの知的冒険心や探求心を刺激する出逢いや発見につながるでしょう。
教育方針
スペイン語の魅力の一つは、スペイン語を全く解さない人が聞いてもそこに威厳や優美さを感じとれるような、音声の美しさにあります(国や地域によって多少のバリエーションはありますが)。授業ではなるべく口を動かし、声に出して発音することを重視します。簡単なスキットなどを取り入れて、スペイン語のリズム・テンポに乗ってみましょう。そうすると口が慣れてきて、単語や文も覚えやすくなり、聴き取りもできるようになってきます。

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